- ※信の設定が特殊です。
- 女体化・王騎と摎の娘・めちゃ強・将軍ポジション(飛信軍)になってます。
- 一人称や口調は変わらずですが、年齢とかその辺は都合の良いように合わせてます。
- R18/原作程度の暴力描写あり/桓騎×信/那貴×信/無理やり/ヤンデレ/執着攻め/
苦手な方は閲覧をお控え下さい。
判断
少し遅れてから那貴が百人隊の野営地へと戻って来た。
何か言いたげな顔をしている那貴を見て、信は小首を傾げる。
「先に戻っちまって悪かったな。…もしかして、桓騎に何か言われたのか?」
いや、と那貴が首を振る。
「お頭らしいなと思っただけだ」
「?」
強張った笑みを浮かべている那貴の顔色は随分と悪かった。
「確証はないが…お頭は、もうあんたの正体に勘付いているかもしれない」
低い声で囁かれたその言葉は、決して冗談ではなかった。信は思わず生唾を飲み込む。
「引き返すなら今だ。あの様子だと、今夜はもうこっちに来ないだろ」
今頃、桓騎は娼婦たちのもてなしを受けているに違いない。
桓騎軍の野営地を後にする時に兵たちのことを観察していたが、特に後ろをつけて来るような奴もいなかったし、側近たちも離れた場所で酒を楽しんでいるようだった。
「…わかった」
信は素直に頷いた。
てっきり拒絶すると思っていた那貴は驚いたように目を瞬かせる。
今は飛信軍の将である那貴が、元は仲間であった桓騎軍の兵たちにあれこれ言われないようにと昨日は任務続行を決めていたのに、今はやけに素直だ。
「良いのか?」
「那貴がそう言うんなら、その方が良いだろ。桓騎軍のことは俺よりお前の方が詳しいんだし」
信は、兵たちにすぐさま撤退を指示した。
兵たちも、信が桓騎軍の野営地から戻って来てから察していたのか、てきぱきと撤退の支度を始める。
自分たちの後方には、本来桓騎軍につく百人隊が控えていた。
彼らに事情を話し、桓騎軍の出立に間に合うように移動してもらえればいい。那貴と蒙虎がいなくなったことを、桓騎たちは不審がるに違いないが、今はそんなことを気にしていても仕方がないだろう。
次に桓騎に会うことがあれば、那貴は飛信軍へと戻り、蒙虎は事故か違う戦で亡くなったとでも言うしかない。
あんな形で桓騎と接触することになるとは思わなかったが、直接彼の口から桓騎軍のことについて聞けたのは大いなる収穫である。
実際に悪行をその場で目撃した訳ではないが、それでも嬴政に伝えるには十分だろう。足りないと言われたら、那貴の話も補足で追加すればいい。
本音を言えば、信も一刻も早く桓騎を連想させるものから離れたかったのだ。
幸いにも桓騎軍たちに撤退を気付かれることはなく、今回のために結成された百人隊
は予定よりも早い解散となったのだった。
生還
その後、楚国の侵攻を無事に阻止し、秦軍は撤退となった。
此度の戦では趙の怪しい動きもなかったことから、北で待機していた飛信軍は出陣することなく、待機のみで終了した。
此度も桓騎の奇策が活躍したようで、論功行賞には彼の名前が呼ばれるらしい。その噂を聞いた時、信は複雑な表情を浮かべた。
秦の領土を守ることが出来たのは何にも代えがたい喜びではあるが、それがあの男の手柄だと思うと、素直には喜べなかった。
此度の戦に飛信軍は参加していなかったのだが、桓騎軍の素行調査のことと、その戦の最中に趙の動きがなかったことを報告するために、信は咸陽宮を訪れたのだった。
論功行賞の準備が整うまで、あの日、作戦会議を行った城下町を見渡せる露台で信は時間を潰すことにした。
(あー、動きづれえ…)
秦王の前と論功行賞という畏まった場であるため、久しぶりに女物の華やかな着物に身を包んでいる。
着物の価値が分からないものでも、金の刺繍をされているそれを見ればとんでもなく高価なものであることは予想出来る。
彼女が今着ているその着物は、過去に嬴政から贈られたものだった。信は論功行賞や宴など畏まった場に立つ時に、この着物を着ることが多い。
高価な着物に身を包み、静かにしていれば、誰もが振り返るような淑やかな女性にしか見えないが、背中に携えた剣のせいで台無しだった。
「信!」
後ろから誰かに声をかけられ、信は反射的に振り返る。
「おー、蒙恬!王賁!なんとか帰って来たぜ」
蒙恬と王賁だった。此度の戦では彼らも違う軍の下について参戦していたという。無事に帰還した信の姿を見て、蒙恬も王賁も安堵したようだった。
「五体満足で帰って来れたみたいで良かったよ」
蒙恬の言葉を聞き、信は苦笑する。それから、さっそく桓騎軍の素行調査の話題になった。
―――信から一部始終を聞いた蒙恬は(ギュポーのせいで絶叫して計画が台無しになった辺りから)腹を抱えながら大笑いしており、隣で蒙恬は呆れたように溜息を吐いていた。
「あはははッ!その毒虫のことは予想外だったけど、やっぱりそうなるだろうとは思ってたよ!事前に作戦立てておいて正解だったでしょ?」
蒙恬の笑い声に頭痛を覚えながら、信はその場に座り込んだ。
「もう勘弁してくれ…テンと羌瘣にもさんざんバカにされたんだぞ…俺がギュポー嫌いなのも、これでお前らにもバレちまったし…」
今回の失態が笑い話として軍の中で引き継がれていくことになるのではと、信は頭を抱えた。
「貴様、さっさと立て。着物を汚すな」
落ち込ませてくれれば良いものを、王賁は信の腕を掴んで無理やり立ち上がらせた。同じ王家の者として、信の教養のなさは目に余るらしい。
信が着ているその着物が、秦王から贈られたものだというのは王賁も知っていた。
だからこそ、容易に土埃で汚そうとする信に、無礼だと王賁は彼女の礼儀知らずな態度が腹立たしいのだろう。
そんな彼の気持ちなど露知らず、信はわざとらしい溜息を吐き出した。
「相変わらずだなあ、王賁…労いの言葉くらいかけてくれよ。初日から本当にどうなるかと思ったんだからな…!」
「それはそれは…お疲れ様」
笑い過ぎて涙が溢れている蒙恬は目尻を指で拭うと、王賁の代わりに温かい労いの言葉を掛けてくれた。
「はあ…政の頼みとはいえ、もう二度とあいつらには関わりたくねえな…」
嬴政の夢であり、目標である中華統一には桓騎の奇策が欠かせないことは分かっている。
しかし、桓騎軍の悪事をいつまでも見逃す訳にはいかない。嬴政もそう思って信頼を置いている大将軍の信に今回の件を頼んだのだろう。
蒙恬と王賁に会う前に、信は嬴政へ今回の桓騎軍の素行調査の結果を伝えていた。
実際にその現場を目撃した訳ではなかったので、桓騎の口から直接聞いた話が主であったが、それでも嬴政には十分だったらしい。「よくやってくれた」と真っ直ぐな瞳で労われた。
散々な目に遭ったが、嬴政の労いの言葉一つで全て報われたような心地になってしまうから不思議だ。秦王の存在とは偉大なものである。
「お、そろそろ論功行賞が始まるかな?行こうか」
宮中に務める者たちが廊下を慌ただしく移動しているのを見て、蒙恬は信と王賁に声を掛けた。
再会
論功行賞では、噂通りに桓騎の名前が呼ばれていた。
どのような奇策を用いたのかは分からないが、楚国の侵攻を見事なまでに防衛し、それどころか乗り込んで来た敵将を手籠めにして次々と討ち取っていったという。
論功行賞が終わると、すぐに此度の戦の勝利を祝う宴が始まった。
普段なら飽きるまで宴を楽しむ信だったが、今日は気が乗らず、屋敷に帰ることに決めた。
(父さんの宝刀を見てくか)
咸陽宮に来た時には必ずと言っていいほど、信は王騎の形見である宝刀を眺めにいく。
信の腕では持ち上げるのがやっとな重さである宝刀だが、いつかはこの宝刀を戦場で振るい、王騎と摎の意志を継いで戦っていくのだと決めていた。
賑やかな談笑や楽器の音を遠くに聞きながら、信は廊下を突き進んでいく。
宝刀が祀られている部屋は宴が行われている間とは反対方向にあり、廊下を歩く者もいなかった。
重い扉を開け、信は部屋の中に入る。部屋の中央に備えられている祭壇には、王騎が生前使っていた宝刀が奉られていた。
信がこの宝刀を使えるようになるまでという条件で、咸陽宮の一室で厳重に管理をしてくれているのだ。
部屋も宝刀も欠かさず手入れをしてくれているらしく、埃一つ被っていない。
宝刀の前に立ち、信は両手を伸ばす。
「くっ…」
両手で柄を掴むが、やはり持ち上げるのがやっとだ。
両腕の血管が浮き立つほど力を込めているというのに、それでも持ち上げることしか出来ないなんて、振るうまでには一体どれだけ時間が掛かるのだろう。
もしかしたら一生振るうことも出来ないかもしれない。こんな重い宝刀を片手で軽々と振り回していた父の強さを再認識するしかなかった。
重い溜息を吐いて、宝刀を祭壇へ戻した時だった。
「よう、蒙虎」
誰も居ないと思っていたのだが、不意に背後から呼び掛けられて、信は反射的に振り向いた。
「桓騎ッ…!?」
論功行賞の後に祝宴に出ているとばかり思っていたのだが、桓騎が扉に背を預けて立っていたのだ。気怠そうに腕を組み、楽しそうに信のことを見つめている。
なぜここに彼がいるのだろうと疑問に思うよりも先に、彼はにやりと口元を緩めた。
「どうした?飛信軍の信。俺はお前の名前なんて、一言も呼んじゃいねえぞ?」
「あ…」
言われてから、信は気づいた。
あの数日で蒙虎という名前に慣れ親しんでいたのだが、あくまで蒙虎というのは桓騎を欺くための偽名だ。反応してしまったことに、信は後悔した。
下手に言い訳をすれば怪しまれると思い、信は口を噤む。しかし、蒙虎という名に反応したことで桓騎の中では既に合点がいったらしい。
「お前が蒙虎の正体だったんだろ?」
「……何の話だ。お前と俺しかここにいないんだから、話しかけられたら当然振り返るだろ」
信は冷静さを装いながら、桓騎に言い返す。しかし、桓騎は薄ら笑いを浮かべながら首を横に振った。
「那貴の野郎が全部吐いたぜ」
「!?」
彼の言葉を聞き、信は目を見開いた。
桓騎軍から撤退してから北の河了貂たちと合流し、那貴とは楚国の戦が終わるまでは一緒に行動していたが、そういえばその後は一度も那貴と会っていない。
一体何があったのだろう。まさか桓騎軍によって捕らえられてしまったのではと、信の中で不安が広がっていく。
「那貴に何をしたッ!?」
怒鳴りつけると、桓騎の笑みがますます深まる。
相手に嫌がらせをして、苦しめることが好きだというのは那貴から聞いていたが、こういった態度が確かにそれを示している。
「なかなか手間取らせてくれたぜ。那貴の野郎、よっぽどお前のことが大事だったんだなあ?」
桓騎が胸の前で握っていた拳を開く。
手の中からぱらぱらと小石のようなものが幾つか落ちたのが見えて、信は思わず顔をしかめた。
床に落ちたその何かが、血が付着している生爪と歯だと気づき、信はまさかと息を詰まらせる。同時に顔から血の気が引いていくのを感じた。
その生爪と歯こそ、那貴に何をしたという信の問いに対する答えだった。体が震え始め、信の心臓が早鐘を打つ。
床に転がっているそれらを凝視して黙り込んだ信に、桓騎は楽しそうに目を細めていた。
「那貴も可哀相になあ?さっさと話しちまえば、痛い目に遭わずに済んだのによ」
まるで那貴を小馬鹿にするように笑った桓騎に、信の頭の中で何かがふつりと音を立てて切れた。
「てめえッ!」
信は駆け出しながら、背中に携えている剣を、桓騎の体を真っ二つに叩き切る勢いで振り下ろした。
一歩後ろに引いて回避した桓騎は少しも怯むことなく、床に振り下ろした剣を踵で押さえつける。
瞬時に剣から手を放し、信は体を大きく捻らせて蹴りを放つ。剣が使えないと分かってすぐに切り替えたのは、幾度も死地を駆け抜けて来た体の無意識の判断だった。
だが、桓騎の反応も早い。
瞬時に信の足首を掴んで蹴りを受け止めると、その勢いを利用して、背後にある扉に彼女の体を押し付ける。
「ぐっ」
背中を強く打ち付けてしまい、くぐもった声が上がる。桓騎は信の足首を掴んでいるその手を滑らせて、彼女の膝裏を掴んだ。
片足立ちの姿勢で大きく足を開かされる姿勢になると、着物が乱れて信の白い脚が露わになる。導かれるように桓騎の視線が下がった。
「良い恰好だな」
「このッ…放しやがれッ!」
膝裏に回された手を振り解こうと、信が拳を振り上げる。
「うッ」
振り上げたその拳は桓騎の顔面に届くことはなかった。乱暴に身体を床へ叩きつけられ、再び背中を強く打ち付ける。
衝撃が肺に重く響いたせいで、信は激しくむせ込んだ。
目を開くと、先ほど桓騎が落とした生爪と歯が床に散らばっているのが見えた。
「え…?」
よく見ると、爪には色が塗られている。遠目で見た時には、剥がされた時に付着した血肉かと思ったのだが、これは爪紅だ。
那貴は爪に色を塗っていなかった。それに、この爪の大きさからして男のものではなく、女の爪に違いない。
信が混乱していると、上から桓騎の笑い声が降って来た。
「落ち着けよ。それが那貴のものだなんて誰も言ってねえだろ」
怒りのあまり、肩で息をしている信が桓騎の言葉を理解するまでに時間を要した。
「桓騎ッ…!」
からかったのかと信が真意を問い正そうとするより先に、桓騎は大声で笑った。
「那貴のじゃなくて安心したか?」
その問いに信は答えず、睨み付けた。確かに那貴が無事だと分かって、彼の言う通り安心したが、この生爪と歯が那貴のものでないとすれば、一体誰のものなのだろう。
爪紅を塗っていることと大きさから女のものであるのは分かったが、桓騎と接触する女といえば、桓騎軍によく出入りしているという娼婦のものかもしれない。
正体が誰であれ、桓騎がその者の歯を抜いて爪を剥いだ事実は変わらない。
一体どうしてこんな惨いことをしたのかと信は強く奥歯を噛み締めた。
真相
悔しそうに自分を睨み付ける彼女に、桓騎は口の端を大きくつり上げている。
「随分と戦慣れしてるくせに、知らねえようだから俺が教えてやるよ。作戦や弱点っつーのは、敵に聞かれねえようにするのが大前提だろ」
「……は?」
信が床に倒れ込んだまま、桓騎を見上げた。
何を言っているのか分からないという信の顔を見て、桓騎がくくっと喉奥で笑う。
「でっけー声で作戦会議なんてされてたら、誰だって聞き耳立てるだろうが。咸陽宮は俺だって自由に出歩けるんだぜ」
「―――ッ!!」
驚愕するのと同時に、信の中で複雑に絡んでいた糸が解けた。
咸陽宮での作戦会議といえば、蒙恬と王賁と三人で考えた桓騎軍潜入の作戦だ。まさかあの場に桓騎が居たというのか。
あの時は集中して作戦を企てていたため、まさか他に聞き耳を立てている者がいるだなんて知らなかった。
もし、そうだとしたら、自分は初めから桓騎の手の平で踊らされていたということになる。
蒙驁の身内である蒙虎という存在を作り上げたことも、飛信軍から百人隊を結成したことも、伝令で飛信軍に情報を送っていたことも、そして嬴政の頼みで桓騎軍の素行調査をするという一番の目的も。
全て桓騎は知った上で、知らない演技をしながら信をからかっていたのだ。
「あのでけえ毒虫も苦手なんだろ?悲鳴一つで、俺らの兵に良い女だと思われて、良かったじゃねえか」
「――――」
開いた口が塞がらない。ギュポーが苦手であることも、桓騎は情報を仕入れていた。
飛信軍の中では周知の事実だとしても、決して口外しないように情報漏洩に努めていたはずなのに。
あからさまに信が狼狽えていると、桓騎が肩を震わせて笑った。
「…ああ、言い忘れてた。前の戦で、オギコが世話になったようだな」
どうしてここでオギコの名前が出て来るのか。信の頭に疑問符が浮かぶ。
(いや、待てよ…?)
オギコとギュポー。一見何の関係のない一人と一匹だが、信の中で何かが引っかかる。
違和感の正体を突き止めるために、信は記憶の糸を手繰り寄せる。
記憶の中にいるオギコは、敵兵の攻撃を受けて、ぼろぼろになっているのにも関わらず、自分に笑顔を向けていた。
その姿を情景を思い出した途端、信の頭に雷が落ちたような衝撃が走る。
オギコを助けたのは戦の最中だった。
桓騎軍の持ち場とは随分と離れた場所でオギコは的に囲まれていた。その外見から桓騎軍の一人であることはすぐに分かり、たまたま近くを通りかかった信が彼を救援したのだ。
周りに護衛の兵はおらず、オギコ一人しかいなかったことから、囮の役割を担っているのかと思ったが、オギコは戦場で迷子になっていただけだったという。
―――助けてくれてありがとう!
元野盗の集団である桓騎軍の噂は聞いていたのだが、オギコは唯一その噂に反する性格をしている。
飛信軍に勧誘したが、桓騎を慕っているからと理由で断られてしまったのだが…。
方向音痴なオギコに、信が桓騎軍がいる方向を教えてやると、オギコは
―――あのね、この虫食べたら美味しいんだよ!お礼にあげる!
ギュポーを干したと思われるものを、オギコは信に笑顔で差し出したのだった。非常食として馬に積んでいたらしい。
雄叫びよりも大きな悲鳴を上げた信は混乱のあまり、辺りの兵たちをあっと言う間に一掃していった。
信の中にあるオギコとギュポーの繋がりといえばそれだ。ギュポーに対する拒絶反応が強過ぎて、記憶に蓋をしてしまっていたらしい。
―――…オギコは何でも悪気なくお頭に言っちまう。今はやめとけ。
以前教えられた那貴の言葉から察するに、きっとオギコは信がギュポー嫌いなことを悪気なく、再会した桓騎に告げ口したのだろう。
蓋を開けた中から記憶が一斉に雪崩れ込んで来る。
素行調査の初日。那貴と共に木々や茂みに隠れながら桓騎軍の野営地へと近づいていく途中で、信は桶に足を引っかけた。
(待てよ…まさか…!)
不自然なところに桶があると思ったが、まさか桓騎があの中にギュポーを仕込んでいたとでもいうのだろうか。
もしそうだとすれば、那貴と信があの森を通ることも、最初から桓騎の見立て通りだったということになる。
自分たちの作戦会議を知った上で、そしてオギコから信がギュポー嫌いなのを聞いた上での計画だったということである。
まるで見えない何かに胃を強く握られたような嫌な感覚に、信は冷や汗が止まらない。しかし、桓騎は容赦なく彼女へ追い打ちを掛けた。
「たかが毒虫一匹を怖がるようなバカな女だ。名も顔も知られてねえ兵が、一人くらい入れ替わってても誰も気づけねえだろうな?」
「―――」
驚きのあまり、喉が強張って声が出せなくなった。
飛信軍にも凄まじい活躍をする兵たちは大勢いる。千人将である那貴だけでなく、桓騎軍の者たちに飛信軍の兵だと気づかれまいという意図が裏目に出てしまったらしい。
桓騎の言葉から、恐らく桓騎軍の兵が何食わぬ顔で百人隊の中に入り込んでいたことを察し、信は気を失いそうになった。
蒙恬の助言もあり、なるべく秦国の中でも名前と顔を知られていない兵たちを選んだのだが、一人が入れ替わっていたとしても、気づけるはずがなかったのだ。
知らぬ間に一人増えていたのか、それとも鎧を奪うために一人殺したのかは分からない。
一体いつから桓騎軍の兵が入り込んでいたのだろう。
(なんて奴だ…!)
実は信が大のギュポー嫌いだという極秘情報まで仕入れていたということは、素行調査が始まる前から、信たちは完全に桓騎の策に陥っていたということである。
過去に魏の廉頗軍を相手にした戦いで、桓騎は敵兵の鎧を身に纏って堂々と魏の本陣へ潜入するという奇策を用いていた。
今回もそのようにして信たちを欺いたのだろう。偽装していたのは自分たちだけだと思っていたが、桓騎軍も同じだったのだ。
(やられた…!)
陸から上がった魚の如く、口をぱくぱくと開閉させている信に、桓騎の笑みが止まない。
「大王の野郎が、この俺をどうにか抑制しようとしてんのかと思ったが、お前の面白い一面を見せてもらえたから良しとしてやる」
「ああッ?面白いだと!?」
いつまでも見下されるのは癪に障るので、信は勢いよく立ち上がり、桓騎を睨み付けた。
元々の身長差はあるにしても、床に膝をついたままでいるのは性に合わない。
「元下僕と元野盗同士、気が合うだろ。仲良くしようぜ」
肩に腕を回されて、掛けられたその言葉を聞くのは初めてではなかった。
二人の共通点
桓騎の腕を振り払おうとしたが、彼の力は凄まじく、簡単に離れてくれなかった。
まるでこれが男女の力量差を見せつけるように、桓騎はにやりと笑う。
「辛気臭い部屋だな」
部屋を見渡しながら、桓騎が呟く。
「…あれのせいか」
中央の祭壇にある王騎の宝刀を見つけると、彼は目を細めた。
「くそッ、おい、放せよッ!」
桓騎に引き摺られるようにしながら、祭壇の方へと連れていかれる。
祭壇の前に辿り着くと、桓騎はつまらなさそうな表情を浮かべた。その視線は、王騎が生前振るっていた宝刀に向けられている。
「これが葬式みてえな空気を出してやがる」
信の肩に回していない方の腕で、桓騎が宝刀の柄を掴んだ。
「―――それに触んじゃねえッ!」
大切な父の宝刀が、桓騎の手によって汚されてしまうような気がして、信は大声で怒鳴り散らした。
柄を掴んだ桓騎の手を振り払おうとするが、僅かに間に合わなかった。
「耳元でぎゃーぎゃーうるせえな」
信は持ち上げるのがやっとな宝刀を、桓騎は片手で軽々と掴み上げ、それをまるでごみを払うように祭壇から投げ落としたのだ。
鈍い音を立てて床に転がった宝刀を見て、信の中で何かがふつりと切れる。
「てめえッ!」
桓騎の腕の中で、憤怒した信は大きく拳を振り上げる。
「ぐあッ」
彼の顔面に拳が届くよりも先に、足を払われた信は祭壇の側面に身体を強く打ち付けた。
「死人にいつまでも執着してんじゃねえよ、バカが」
容赦なく髪を掴まれたせいで、頭皮が引き攣る痛みに思わず信は呻いた。
祭壇の上に転がされると、すぐに桓騎が覆い被さって来る。こんな男に身体を組み敷かれるなど、屈辱でしかない。
「放せッ、何すんだよ!」
完全に頭に血が昇っているのが分かり、桓騎は彼女の怒りをさらに煽るように、にやりと笑みを浮かべた。
「とっとと退けッ」
血走った眼で睨み付けながら怒鳴るが、桓騎は構わずに組み敷いた彼女の体を見下ろす。
胸板を突き放そうと暴れる両手が邪魔だった。彼女の両手首を掴み上げると、頭上で一纏めに押さえつける。
中華全土にその名と強さを轟かせている信だったが、娼婦の腕と大差ない細さだった。
「あんまりうるせえと、騒ぐ度に爪剥ぐぞ。爪が無くなったら、次は歯だ」
脅しのつもりは少しもなかった。桓騎にとって相手の怯える顔を見るのは愉悦であり、生かすも殺すも自分の機嫌一つで決められるものだったからだ。
信に見せつけた生爪と歯の持ち主にも同じことを告げてやったのだが、結局は泣き喚かれたので、宣告していた通りに一枚ずつ爪を剥ぎ、爪が無くなった後は歯を一本ずつ引き抜いてやった。
だが、信に同じ脅し文句は効果がなかったようで、それどころか桓騎の言葉に、彼女はますます怒りを増幅させていた。
爪と歯という言葉に反応したのか、信は床に転がっている生爪と歯に一瞬視線を向ける。
「てめえ、さっきのあれは何なんだ!誰を殺したッ!」
まさかこんな状況になっても他人の気にする余裕があるのか。いじめがいがあるというものだ。桓騎の口角がつり上がる。
「んぐッ」
片手で信の口を覆って強制的に黙らせると、桓騎は彼女に顔を近づけた。
「お前の想像通り、もう殺しちまったんだから、今さら気にしても遅えよ」
悔しそうに信の顔が歪む。飛信軍といえば、女子供や老人といった弱い命を奪わないことで有名だった。
良い女ならともかく、使えないものを生かしておいて一体何になるのか、桓騎には信の考えが少しも理解出来ない。
―――…強いて言うなら、てめえとは一生分かり合えない存在だな。
互いの思考を分かち合うつもりなど微塵もない。
信と桓騎の二人に、共通点があるとすれば、きっとそれだけだろう。
激情(※R18)
「―――、―――!」
手で蓋をした口が、もがもがと騒いでいる。助けを呼ぼうとしているのだろうか。
論功行賞の後の宴で、宮中に務めている者たちもそちらに出払っている。この部屋の前を通るものなどいないに等しかった。
喧しいから口に蓋をしただけなのだが、誰も助けに来ないのだと告げれば、この女はどんな表情を浮かべるのだろう。
信を大いに慕っている飛信軍の兵たちだったならば、咸陽宮であろうとも彼女を一人にさせることはなかったに違いない。
だが、飛信軍は此度の戦に参加しなかったこともあり、今日ここに来るのが信だけだというのを桓騎は事前に知っていた。
だからこそ、今日という日を心待ちにしていたと言っても過言ではない。
自分を嫌っている信が激しく抵抗をすることは、初めから分かっていた。
押し倒されたなら、諦めて素直に足を開けば多少は優しくてやるものを、信は男を煽らせるのが上手いらしい。
押さえつけている両手首に力を込めているのが分かる。桓騎がこの手を放せば確実に殴りつけて来るだろう。
彼女の口と両手首をそれぞれ押さえつけながら、桓騎は身を屈めた。白い喉に舌を這わせると、まるで電流でも流されたかのように、信の体がびくりと震える。
首筋を上下の歯で挟み、ゆっくりと力を込めていくと、信がくぐもった声を上げた。
舌の上に血の味が広がり、口を離すと、信の首筋に赤い歯形が刻まれている。血が滲む歯形に沿って再び舌を這わせる。
目を見開いてこちらを凝視している信に、まさかこういうことを男としたことがないのだろうかと桓騎は疑問を浮かべた。
手の下で再び信が何やら喚いている。生娘なのか尋ねようと、桓騎が信の口を押さえている手を放した時だった。
「ッ!」
右目に染みるような痛みが走る。信に唾を吐きかけられたのだと分かった。
「放せッ!」
怯んだ隙をついて信は拘束を振り解く。
覆い被さっていた桓騎の身体を突き飛ばして、祭壇から転がるように降りた――はずだった。
「いッ…!」
桓騎の下から抜け出せたと思った途端、後ろで括っていた髪を思い切り掴まれて、信は痛みに思わず息を詰まらせた。
「…随分と色気のねえ贈り物じゃねえか」
信の髪を掴んでいない方の手で目元を拭う。信に吐きかけられた唾を手の甲で拭い、そこにべろりと舌を這わせながら、桓騎が笑った。
口元は笑みを浮かべているが、その瞳からは憤怒の色が浮かんでいる。
「礼をしてやらねえとなあ?」
「んんッ!」
助けを呼ぼうとした口は桓騎の唇によって塞がれた。
再び祭壇に身体を押し倒されて、口の中にぬるりとした舌が入り込んで来る。生き物のように口内で舌が蠢き、気持ち悪さのあまり、信は鳥肌を立てた。
「~~~ッ!」
すぐさま舌に噛み付いて抵抗しようとするが、片手で首を圧迫され、息が出来ずに信は目を見開いた。
後頭部を押さえつけられて、顔を背けることも出来ない。
苦しさのあまり、自然と口が開いてしまい、まるで桓騎の唇を舌を求めているかのようだ。
信が桓騎の胸を突き放そうとするが、息が出来ないせいで、腕に上手く力が入らない。
「―――ッ…」
目の前が霞んでいく。視界いっぱいに桓騎の顔を映しながら意識を失うなんて、夢見が悪いに決まっている。眠っている間に首と体を切り離されてしまうかもしれない。
意識の糸を手放しかけた瞬間、桓騎は信の首から手を放した。
「げほッ、かはッ…!」
遮られていた気道が一気に開放し、酸素が流れ込んで来る。
何度かむせ込みながら、信は生理的な涙を浮かべて桓騎を睨み付けた。
こんな状況で、そんな目つきを向けられれば男を煽ることにしかならないのを、きっと信は知らないのだろう。
生娘でないとしても、男に抱かれる喜びには疎そうな女だ。
娼婦が持っているような男を喜ばせる術など何一つ知らないだろう。唯一、信が男を喜ばせることが出来るとすれば、その生意気な態度だ。
一切の抵抗が出来なくなるくらいに捻じ伏せて、涙を流しながら許しを乞う姿にしてやりたいと思うのは男の性というものだろう。
両手の拘束をするよりも大人しくさせる方法など桓騎はいくらでも知っていた。手っ取り早いのは首を絞め上げることだ。
「ぐッ…!」
再び首を圧迫され、信が苦悶の表情を浮かべる。桓騎が腰帯を解いても、信の両手がそれを押さえることはなかった。
こんな状況ならば、誰しも命綱である気道の確保を優先するのが当然である。
「ぁ…か、は…」
このまま気道を潰すのも、首の骨をへし折ることも容易だが、信を殺すのが目的ではない。
首を絞める手を程良く加減をしてやりながら、桓騎は反対の手で信の着物を解いていった。
拒絶(※R18)
気道が圧迫されることで僅かにしか息ができず、信は苦しさのあまり、生理的な涙を流していた。
桓騎の反対の手が着物を脱がせているのは分かっていたが、その手を押さえることが出来ない。
両手を拘束されている訳でもないのに、首を絞められると、それだけで人間は抵抗が出来なくなるものである。
「げほッ…」
ようやく桓騎が信の首から手を離してくれた時には、帯が解かれ、襟合わせも大きく開かれて、胸に巻いていたさらしも外されてしまっていた。
意図的に押さえつけられていた呼吸がようやく楽になり、信は桓騎の下から逃げ出すことも忘れて、必死に息を整える。
着物を脱がされて喘ぐように呼吸をする信が、まるで娼婦の姿と重なり、桓騎は思わず口の端をつり上げた。
「大人しくそうやって喘いどけよ」
からかわれるように桓騎に囁かれたが、首を絞められて弱り切った信は、今や彼を睨み付けることすら出来ずにいる。
「う…」
信がようやく大人しくなったことに、すっかり気を良くしながら、桓騎は解いた帯を使って彼女の両手首を一括りに縛り上げた。
まだ抵抗を続けるのなら、肩の関節を外してやっても良かったのだが、それでは色気に欠ける。
傷痕の目立つ肌に色気など感じないと思っていたのだが、若さゆえに艶と弾力のある肌を持ち合わせている。
いつもさらしで覆っているのだろう、露わになった胸は手の平に収まるほど良い形と大きさをしていた。中心にある胸の芽は、地肌に溶け込んでしまいそうな桃色をしていた。
普段から、今日のように身なりを整えていたのなら、将軍なんてものにならず、どこぞの名家の男にでも嫁いでいたに違いない。
胸に吸い付くと、息を整えていた信が目を見開いた。
反対の手で、もう片方の乳房を撫で回す。男に抱かれ慣れている娼婦なら、既に甘い吐息を零すだろう。
しかし、信といえば、体を強張らせて何をしているのだと桓騎を凝視している。
本来ならば前戯をしてとことん女の体を楽しむ桓騎だったが、扉の向こうが騒がしくなっていることに気付いた。
まだ宴は終わっていないはずだが、秦王が席を外して退席する者たちが出て来たのか、それとも料理と酒の追加を運ぶ従者たちか。
どちらにせよ、悠長に相手をしてやることは出来なさそうだ。
ようやく呼吸が整って来たらしい彼女は拘束された両腕で桓騎の体を押し退けようとしている。
喧しい声を上げるのならばまた首を絞め上げてやろうと思ったが、まだ完全には力が戻っていないようだった。
いつまでも生意気なことを言う口に、男根を突っ込めば噛み切られてしまうだろう。いつかはその悔しい顔を見下ろしながら好きに喉と口を使ってやりたいものだ。
仲間想いの信のことだ。本当に那貴を人質に取れば、歯を立てずに嫌々ながら男根を咥えるかもしれない。
くく、と喉で笑いながら、桓騎はそのうち試しても良いかと考えるのだった。
残念ながら今は歯のついていない下の口を使うしかないかと、視線を下げる。
程良く筋肉が付いて引き締まった内腿に指を這わせると、信の体がびくりと跳ねた。
「触んなッ…!」
そんな場所を他人に触れられたことがなかったのだろう。怯えにも似た色が信の瞳に浮かんだのを見て、桓騎は彼女が生娘であることを察した。
むしろ、今までよく男に抱かれなかったものだ。今日のように身なりさえ整えていれば、彼女を褥に連れ込みたいと思う男など大勢いたに違いない。
いつも信とつるんでいる蒙恬や王賁だって、女として見ていたはずなのに手を出さずにいたのかと思うと、桓騎はますます笑いが止まらなくなった。
「…那貴の野郎も、今までよく耐えてたな」
つい思ったことをそのまま口に出すと、信の眉間に皺が刻まれた。
桓騎軍の素行調査をするにあたり、事前に那貴から桓騎軍の情報を仕入れていたのは知っている。
娼婦だけでなく、滅ぼした村の美女たちに相手をさせていたのも、那貴の口から聞いていたに違いない。
那貴も元野盗であることから、信が懸念していることに手を染めていたとは考えなかったのだろうか。
信が知らない桓騎軍の悪事など、数え切れないほどある。
那貴の口から聞いたことも、実際に彼女が目の当たりにしたことも、単なる一部に過ぎないというのに、少ない情報にも憤怒している信がバカバカしくて、桓騎は笑いが止まらなかった。
自分の体を組み敷きながら笑みを浮かべている桓騎に、信が怯えた目を向ける。
しかし、彼女の視線が騒がしくなって来た廊下の方へ向けられた途端、桓騎は我に返った。
「んぐッ…!」
桓騎の手が信の口に蓋をする。性懲りもなく助けを求めようとするなど興醒めでしかない。
帯で拘束された両手が桓騎の手を外そうと爪を立てる。まるで子猫がじゃれつくような抵抗だ。
「さっさと終わらせてやるから、感謝しな」
「ぅんん、んぅッ…」
口に蓋をされながら、鼻の奥で悶えるような声を上げた信が狼狽えている。
「…やめてほしいか?」
桓騎が穏やかな口調で問うと、口を塞がれたままの信が何度も頷く。
まさかここまでしておいて安易に引き下がる男がいるのなら、それは男ではなく、きっと宦官のような、男であって男ではない存在に違いなかった。
拒絶その二(※R18)
―――散々好き勝手に扱い、気付けば信は人形のようになっていた。すっかり泣き腫らした瞼は赤く腫れてしまっている。
意識を失っている訳ではないが、心が抜け落ちてしまったかのように、虚ろな瞳をしていた。
ゆっくりと腰を引いて男根を抜くと、血の混じった精液が溢れ出て来た。厭らしく内腿を汚している姿は何とも淫靡で、思わず喉が鳴る。
しかし、そろそろ行かなくては誰かが見回りに来るかもしれない。
嬴政のお気に入りの将で、裏表のない性格から人脈が広い彼女が汚されたと知れば、面倒なことになるのは分かっていた。
そうと分かっていても、桓騎はこの女を手放したくないという気持ちに襲われる。この女の破瓜を破ったのは自分だという独占欲に近いものなのかもしれない。
桓騎は身を屈めると、股の間にある淫華から流れ落ちるそれを啜った。淫華の蜜と破瓜を破った血と、自分の吐き出した子種が口の中で混ざり合い、最低な味がした。
もちろん味わうつもりで啜ったのではない。先ほどの礼をしなければと考えたのだ。
「うっ…」
信の顔に向かって、自分の唾を交えたそれを右目に吐き捨てる。
目に染みたのか、人形のように無反応だった信がようやく表情を変えた。
「…こ、ろして、やる…」
涙で濡れた信の瞳に殺意の色が宿り、桓騎を睨み付ける。
いかに信の中で桓騎に対する拒絶が膨らもうとも、桓騎には関係ないことだった。
「はっ、やれるもんならやってみな」
彼にとっては、自分こそが規律であり、そこに信の意志など必要ないのだから。
終
文字数の関係で大分省いてしまったR18シーンと後日編は執筆検討中です。
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