投稿者アーカイブ: Aoi Omori

デザインから環境問題を考える。エコ・サステナブル系サービス5選

自分たちの生活と環境の結びつきを再確認するタイミング。 ROTHY’S:一気通貫のサステナビリティー意識。サンフランシスコ発女性用シューズのD2Cブランド BIOSSANCE:バイオテクノロジーが実現する、環境への高レベルの配慮と高い安全性を誇るコスメブランド Veles:サプライチェーンから環境に配慮。資源の循環を目指した、廃棄食材生まれの家庭用洗剤 Capsulier Lite:気軽に楽しめるカフェタイムをさらにエコフレンドリーに。高いユーザビリティー提供するプロダクト Bird:より一層求められる環境への配慮。サンフランシスコではお馴染みの電動スクーター 優れたデザインを通じて問題へのアプローチを体現。「モノの使用」に留まらない「コトの提供」が重要 これまで環境問題へのアプローチは壮大な話のように感じられて、イマイチ危機感や実感を持つことが難しいと思っている方も、今回のコロナウイルスの一件で、生活と環境は強く結びついていると感じているのではないだろか。 コロナウイルスが我々の生活に多大な影響を与えていることは言うまでもないが、こうした人間の生活スタイルの変化も、環境に影響を及ぼしているのだ。 具体的には、全世界的な移動の自粛により、ガスの排出量が減少しているというデータが出てきている一方、衛生面を考慮して使い捨てのものを利用するシーンが増えたことでゴミの量が増加している、など。 世界中で品薄状態が続くマスクも、やはり使い捨てのものが多く使用されており、そのゴミ問題が深刻視されて始めている。 環境問題は自分たちの生活に強い結びつきがあるからこそ、身近な取り組みから向き合っていくことが大切だと改めて認識すべきだろう。 そこで今回は、我々の生活に溶け込み、身近な部分から環境への配慮をするプロダクト・ブランドをご紹介する。環境問題へのアプローチだけでなく、優れたデザインによってより良いユーザー体験を提供しているところもポイントだ。 ROTHY’S 2020年始、原宿駅前にサンフランシスコ発サステナブルなメリノウール製シューズブランドAllbirdsが日本初上陸を果たしたのが記憶に新しいが、同じくシューズ系列では、ROTHY’S(ローシーズ)も、サステナビリティーを掲げるレディースシューズとバッグのD2Cブランドだ。 著名人にもファンが多く、ナタリー・ポートマンやイギリスのメーガン妃も愛用。これまでには累計100万足、1億4000万ドル以上の売り上げを出している。 ROTHY’Sのプロダクトには、海洋ゴミになっているペットボトルをリサイクルした繊維素材が使われており、シューズのソール部分もカーボンフリーの素材でできている。 View this post on Instagram Our current spring favorites. Which styles are in your wardrobe rotation? 💭 A post shared by Rothy’s (@rothys) on Feb 25, 2020 at 8:11am PST 無駄ゼロを掲げ、中国の自社工場で生産されるプロセスでは、独自の3Dニット加工で編み上げるため、裁断のゴミも出ない。 さらには靴やバッグを入れて配送する際のボックスも丈夫で、梱包材を必要とせず、ここでもゴミを出さないようにしている。 製造前の素材の段階から発送に至るまで環境に配慮をしているだけでなく、プロダクト自体も優秀。軽量で、シューズは足によく馴染み、履きやすさもピカイチとのこと。 ニット生地であるため、専用の袋に入れて洗濯することもできる。シンプルなデザインで女性のライフスタイルに寄り添うプロダクトと言えるだろう。 関連記事:D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン BIOSSANCE BIOSSANCE(バイオッサンス)は、環境への配慮と高い安全性を実現するクリーンビューティコスメブランドだ。 元々BIOSSANCEは、マラリア治療のためのテクノロジーで特許を取得したローレンス・バークレー研究所の研究者たちが立ち上げた。バイオテクノロジーのバックグラウンドが高い品質を支えている。 コスメやスキンケアに関して、アメリカ国内で使用が禁止されている成分はわずか12種類。しかもこれは1938年からアップデートされていないという。ヨーロッパが1,376種類であるのに対して驚きの数値だ。 これが意味するところは、それだけ肌にも環境にも悪影響を及ぼしかねない成分が含まれてしまうリスクがあるということ。 一方、BIOSSANCEが自社製品に対して独自に定めている使用禁止成分はなんと2000種類。非常に厳しい品質基準を設けることで、人間を含め環境に配慮をしたプロダクトを開発している。 BIOSSANCE公式HPより そのうちの1つが、サトウキビ由来成分100%のスクワランオイル。元々スクワランは、サメの肝油から抽出されるのが一般的だ。 しかし、美容効果の高いスクワランを求めてサメの乱獲が行われたり、絶滅が叫ばれたりと、生態系に悪影響を及ぼす事例も存在する。 そこでBIOSSANCEは、強みであるバイオテクノロジーの知見を生かし、バイオマス資源としても注目されるサトウキビからスクワランを生成することに成功した。 また、製品自体だけでなく、ロジスティックスやコミュニティレベルで環境対策を徹底している。 例えば、配送ではカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出と吸収がプラスマイナスゼロの状態)を徹底したり、森林再生プロジェクトへのサポートをしていたり。 その他、WEBサイト上で『THE CLNAN ACADEMY』というオンラインレッスンを配信し、多方面からクリーンな成分の重要性に関する啓蒙を行うなど、多岐に及ぶ活動をしている。 Veles およそ97%が廃棄食材でできている家庭用洗剤Veles(ヴェレス)。石油化学成分など、環境にマイナスな影響を及ぼす成分は一切含まれておらず、水やアルコール、酢酸などの成分を抽出して作られている。 一般的に売られている家庭用洗剤の90%は水でできているという。これほど大部分を占めているのだから、環境に配慮した洗剤には水の使用も当然大きく関係してきそうだが、Velesは、廃棄食材から抽出した水を再活用している。そのため、水の使用も大幅にカットできているプロダクトなのだ。 Veles公式HPより また、詰め替え(近日発売予定)を購入し中身を詰め替えて使っていくため、容器のゴミも出さずに済む(アメリカは日本ほど詰め替えパックが主流ではない)。 また、この容器自体も環境に配慮されたもので、リサイクル可能なアルミニウム製だ。 原材料となる廃棄食材を調達する際には、大手廃棄物運搬業者と提携し、埋め立てられる予定の廃棄食材を彼らから直接受け取り、加工に回すことでサプライチェーンを簡素化。運搬の際のガスの排出も抑えることに成功している。 Velesが掲げる「Cleaning is closing the loop」というステートメントは、「掃除をすることは、(自分たちの環境にあるものを)循環させること」といった翻訳になる。 これは廃棄食材から成分を取り出し、洗剤として新たなプロダクトを生み出し、それもまた再生可能な有機物でできているという、資源の循環を意味している。 Capsulier Lite 手軽に本格的なコーヒーを楽しむことができると、日本でもネスプレッソのような自宅エスプレッソマシンが人気を博した。 専用のマシンに好みのカプセルをセットし、ボタンを押すだけでドリンクが出来上がる仕組みだが、通常このカプセルは使い捨てで、プラスチックゴミが出てしまう。 このゴミ問題を解決しているのが、 Capsulier Lite(キャプシラーライト)。洗って何度でも使用可能なカプセルを作ることができるプロダクトだ。最新のIoTガジェットのキュレーションストアb8taにも取り上げられており、CES2019への出展実績もある。 毎回のカプセルのゴミが出ないだけでなく、自分で好きなコーヒー豆を選んでオリジナルのカプセルを作って楽しめるため、それだけでも価値を感じることができる。 既製品がカバーしきれていないところに目をつけ、ピンポイントで訴求していく面白い例だと思う。また、特定の機能に特化しており、用途は1つという、いわば「n=1」なプロダクトであるため、使うときの紛らわしさや迷いもなく、ユーザビリティーも高いと言える。 Bird サンフランシスコには、車や自転車だけでなく電動スクーターのライドシェアも浸透している。LimeやSPiNなど複数のメーカーが展開しているが、その中の1つであるBirdは、個人向けに電動スクーターの販売も行っている。 車を使用しなくとも行ける範囲であれば電動スクーターを利用することは、エコフレンドリーな姿勢だと言えるだろう。 Bird公式HPより ただ、電動スクーターは自動車のような排気ガスの排出がないだけで、その製造過程や充電のため、回収する際には温室効果ガスを排出しているのが現状だ。一概に環境に優しいとは言い難いかもしれないことをここで断っておきたい。 電動スクーターそのものをリサイクル素材で製造することや、回収車としてEV自動車を利用するなど、より細かな環境への配慮が求められている。 関連記事:シェアサイクル事業問題から見るサンフランシスコ市の意思決定の速さ 最後に サステナブル、エコフレンドリーなど、環境問題に対して警鐘を鳴らすサービスやプロダクトは多く存在する。しかし、それらを使うことのメリットや価値、影響力の大きさは、たとえ多大なゴミの削減に繋がっているなどと具体的な数字が提示されたとしても、なかなか実感が湧きにくい。 それは、自分のすぐ目の前で問題が起きているのではないからだ。問題自体がいつ始まったかもわからない上に、地球規模という非常に大きな問題であるため、自分ごととして捉えにくい。 しかし、そのプロダクトやサービスには環境に配慮していることがより身近に感じられるストーリーで伝えられたら、あるいは、仮に環境に配慮しているものと知らなくとも使いたくなるような優れたデザインだとしたらどうだろうか。 「環境に配慮されていさえすれば、デザインの良し悪しは気にしない」というブランドはおそらく選ばれなくなってくる。 むしろ、「イケてる上に、環境にも配慮している」「わかりやすくて、使い勝手が良い」といったように、優れたデザインに加えて環境問題に取り組む姿勢が付加価値として上乗せされる構造がこれから主流になってくるだろう。 そうなると、問題意識をいかにしてプロダクトやサービスといった形あるものにしていくか、どのようにストーリーを組み込み、デザインに反映させていくかが重要になってくる。 そして、この考え方はもはや環境問題だけに限らずともサービスデザインの際の肝だ。利用するだけの「モノ」で留まってしまうのではなく、その先の「コト」を提供できるサービスづくりが求められる。 我々btraxも、問題起点でイノベーティブなサービス開発ができるよう日々クライアントの方々と取り組んでいる。ご興味のある方はぜひこちらからお問い合わせいただきたい。 参考記事:Why Fashion Customers Can’t […]

シリコンバレーのトラベルテックADARAの日本進出に学ぶローカライゼーション【インタビュー】

シリコンバレー生まれのトラベルテック企業ADARAの日本進出ローカライゼーションの秘訣を探る 専門用語x英語は日本に持ち込む際に難関。でも英語圏では共通言語 言語だけではない、進出先のビジネス・非ビジネス文化、マナー、働き方など人を意識した違いを考慮する必要あり 米国ではプレゼンで話していることを見る。日本では文字情報、書類を見る傾向あり 日米、お互いの「物差し」を理解すべし 2019年日本を沸かせたラグビーW杯や2020年夏のオリンピックなど、世界的なスポーツイベントによる日本へのインバウンド需要が高まっている。これを見越した企業・政府の動きが見られるようになってきた。 また、こういった需要・取り組みに対して興味を持ち、日本市場への参入を考える海外企業も多くなってきている。そして、こういった海外企業が日本市場に参入してくる際の戦略や自国との違いを知ることは、日本企業にとって非常に貴重な情報だ。グローバル市場を見据えたサービスや事業の展開に必要な知見を養うことができる。 ADARAもその1つだ。海外から日本に渡ってきた旅行者の動向をデータ分析し、旅行関連企業、サービスの支援を行っている。 今回、ADARAのコマーシャルディレクターである森下順子氏(June)を訪ね、日本でビジネスをしてきた4年間についてインタビューを実施した。 ADARAの事業拡大、ローカライズ、企業の文化、顧客との関係について伺った内容をまとめている。そしてそこから、日本から海外、海外から日本という両方向のベクトルに目を向け、ローカライズの際の視点や、マーケットインのポイントを解説していく。 日本へのビジネスの拡大 Q. btraxは2017年のADARAの日本へのサービスローンチイベントに携わらせていただきました。どうしてADARAは、当時日本市場への進出を決めたのですか? A: 本社は、米国カリフォルニアのパロアルトにあります。200名のスタッフと、世界に20ものオフィスを構えています。2016年には、アジア市場への参入のため、シンガポールにオフィスをオープンしました。 その後日本、香港、シドニーとアジア環太平洋エリアへのサービスの拡大をしていきました。10年間でADARAは急成長をしてきたと思います。 2017年日本でのローンチイベントの様子 日米間の言語の壁。特に専門用語は最難関! Q: ADARAは既に世界中にオフィスがありますが、日本市場への進出はスムーズでしたか? A: 最初はやはり苦労がありました。時に言語の壁です。ADARAは米国に拠点を置き、ヨーロッパ圏やアジア環太平洋圏にオフィスがあるので、共通語は英語です。ですので、日本に対しては、あらゆるものを日本語に翻訳する必要がありました。 例えば、セールスレポートや、マーケティング関連の資料、さらにwebサイトです。この困難を乗り越えるために、日本と本社両方でバイリンガルのスタッフの採用も行いました。 日本国内でのサービス展開を通じ、日本政府や地方自治体、あるいはそういったところの観光局など、公的機関とも近い距離で仕事をする機会もあります。彼らは日本語を話しますが、デジタル専門用語や、旅行関連の専門用語がわからないということもしばしばあります。 ですので私は、専門的な英語を日本語に翻訳し、専門的領域を知らない彼らでも理解できるような形にしなければなりませんでした。これは本当にチャレンジングなことでした。 小手先のローカライズでは機能しない Q: ARADAの本社は米国にあり、日本とは大きく異なるカルチャーを持っていると思います。日本市場への参入に際し、戦略面でも米国のものと変える必要はありましたか? A: 米国本社の戦略にならって日本でも展開をしようと考えていました。しかし、日本の慣習やトーン、マナー、ビジネスルールに合わせてローカライズを行いました。顧客基盤を成長させ、新たなビジネス領域へと拡大させようと考えていますので、日本の顧客が求めているものを尊重しなければいけないと思います。 日本でのビジネスが成長するにつれ、チームを拡充させ、とりわけ政府機関のようなローカルビジネスのニーズに合致するように戦略を変えていこうと考えています。日本は、特に旅行業界において、最も注力すべき市場の1つなのです。 ローカライズの鍵は、やはり参入先の市場動向や言語だけでなく、根付いたものにフィットする形で提供をすることにあると言えるだろう。また、施策レベルではなく、その大本にある戦略レベルでローカライズをしていく必要もある。 Q: ADARAが日本に進出した当初、初期顧客にはどのようにしてアプローチをしたのですか? A: まずは前職で元々持っていたネットワークを活かしました。私は長年広告、マーケティング業界にいたので、旅行関係やデジタル関係のマーケティングエージェンシーに声をかけ、プレスレビューもいただきました。 リードを生むところから始めましたね。その次に、この業界や公的機関などの他の業界にもサービス拡大の機会を獲得できる人材の採用をしていきました。 事業を広げるのは人の力。築いてきたネットワークは活かすべきだ。特に新たな市場に参入していく際や新規事業などは、ゼロから基盤を築いていかなければらず、コストがかかる。それまでのネットワークを生かすことができないかと考えてみることも重要だろう。 また、海外市場への参入を考える場合、こういったネットワークを活かした事業の拡大は、現地に根付いた人、現地の知見を持っている人を中心に行っていくことが効果的かもしれない。現地の感覚を理解している人を使うことで、より確度高くローカライズに取り組むことができる。 事業をローカライズする Q: ADARAを日本の人に説明する時に感じた難しさは何でしたか? A: テクノロジーを紹介したり、専門的な用語を使うと、他の星から来たエイリアンのように見られることがあります。しかし皆さん、いつも新たな学びに対して熱心でいらっしゃいます。そうした時に、皆さんが理解できるよう、「インプレッション」や「クリック」などのカタカナ語を使わないようにしています。 先日のADARAセミナーでは、デジタルマーケティングと測定ソリューションについてお話しました。すると、「ピクセルって何ですか?」や「トラッキングって何ですか?」といった質問を受けました。 オンラインとオフライン、双方の視点からの理解の必要性 これは、「釣り」に似たようなものなのですが、こちらから用語や概念をたくさん伝えれば、向こうが何を聞いてくるのか(何について知らないのか)知ることができます。こうして私は情報を収集していますが、そのためには、エサをまくことから始めなければならないのです。 また、どんな人がWebサイトを訪問しているか、誰が広告を見ているのか、必ず始めに理解する必要があります。デジタル面においてはこのようなことからはじめました。 セミナーなどのオフラインで話す機会と、Webサイトなどを通じたオンライン上での顧客の行動データという、両方の視点からローカルを理解することがポイントだ。 Q: ADARAはしばしば地方自治体と連携しているとおっしゃいましたね。彼らは自分たちで顧客データを所有していないため、ADARAのサービスは非常に魅力的であるように思います。彼らにサービスを売り込むのはスムーズでしたか? A: 4年前にADARAに入社したとき、電話をかけたり、メールを送ったりして観光局に連絡しなければなりませんでした。しかし、2年前、私たちの最大のパートナーの1社である日本政府観光局がADARAにサインアップし、インパクト測定ツールを導入してくださいました。それ以来、ADARAに業界の注目が集まるようになったのです。 現在では、(こちらから行かずとも)連絡をいただけるようにまでなりました。近隣住民の方と行政間での話し合いや意見交換もなされるようになったのです。 例えば九州に行った際は、現地でのセミナーで人に会い、ネットワーキングをしました。そしてその翌日、近隣の行政で観光部門のマーケティングを行っている方から、ADARAについてもっと知りたいとの電話をいただいたのです。 組織に所属するメンバーがそれぞれ築いてきたネットワークを生かすことは重要だ。しかし、よりインパクトがあるのは影響力のある企業や人に認知してもらい、その価値を広めてもらうというPR的な第三者からの視点を持つことだろう。 ADARAの場合、公的機関に導入されたことによってサービスの信頼度を高めた。現地でネームバリューを持つ企業や人物の目に留まり、採用されることは、サービスを拡大させるための大きなステップになる。 とりわけ日本では、公的機関や大企業など、ネームバリューを持った組織がそのサービスの価値を左右したり、大きな影響を及ぼしたりするケースも多い。また、日本企業は米国よりも、サービスやプロダクト以前に、その企業の過去実績を重視する傾向にある。 一方、米国は日本と比べ、公的機関や大企業とのタイアップが拡大のための必要条件ではないような印象を受ける。また、CMなどで芸能人を使うケースも少ない。日米で、どのような訴求の違いが効果があるのかは異なるようだ。 鳥の目、虫の目、そして魚の目を持つ Q: 観光局、旅行代理店などとの仕事の中で、日本の顧客について学んだ一番の教訓は何ですか? A: 旅行者はインターネットを使用して次の目的地を検索したり、どれほどコストがかかるかを確認したりします。また、旅行中もFacebookを使ったり、写真をInstagramに投稿したりすることで、友人と体験を共有します。 つまり、デジタル空間には非常に多くの接点があるということです。しかし、太平洋諸国や米国などの先進市場と比較すると、日本の旅行業界は少し遅れている状況です。 2019年のラグビーW杯や今年のオリンピックを迎え、この市場で多くのインバウンド旅行者が見られることもあり、この業界の人は、既に今までやってきたことよりもさらに旅行者を魅了し、誘致する方法を模索している状況です。 駅に置かれているパンフレットやガイドブックはもはや意味を為しません。マーケターの観点から、適切なタイミングで適切な人にリーチする方法を考える必要があります。 旅行者の行動の変化から、従来の旅行体験そのものを見直し、デジタルシフトを視野に入れたマーケティングを行っていく必要がありそうだ。 また、ローカライズには、「鳥の目」で市場を把握したり、「虫の目」を持って現地にフィットする形を模索したりすることが重要である以前に、時代という大きな流れの変化にも確実に対応していく「魚の目」を持つことが求められる。 Q: 日本市場に参入していくに際し、最も重要なことは何ですか? A: 最も重要なのは、現地の人の声を聞き、尊重の意を見せることです。これは、日本文化に限ったことではなく、日本のビジネス文化に対してもです。クリエイティブであり、なおかつ現地に存在するニーズに合わせることに努めています。 日本で”信頼”を築くということ Q: ADARAはどのようにして顧客からの信頼を築いたのですか? A: まず、データを提供してくれるパートナーに対し、透明性を示しました。彼らが私たちにデータを提供する際、こちらは、そのデータをどう使うのかを伝え、なおかつ先方にデータの扱い手の決定権を委ねています。 また、パートナーから頂いたデータは全て別々に分けて安全に保管しています。航空会社やホテルチェーンとお仕事ができたのもこれが理由だと思います。信頼を築いています。 海外進出した企業はほとんどの場合、その国ではゼロの状態からのスタートとなる。そのため企業側からの積極的な信頼構築のためのアクションが重要になる。クリアなコミュニケーションや姿勢を示すことは、その状況の打破に繋がる。相手が抱くモヤモヤを自ら晴らす行動が重要だ。 世界的なスポーツイベントの連続開催に際して Q: ラグビーW杯や、東京オリンピックについて触れていらっしゃいました。180万枚ものラグビーW杯のチケットのうち、33%が外国人(日本人以外)によって購入され、また、日本は、2020年の東京オリンピックまでに2000万人もの観光客を誘致するとの予測もあります。 旅行関連企業にとって非常に大きなビジネスチャンスが巡ってくるわけですが、こういったイベントが差し迫ってくることでADARAに関心を持つ顧客の数の増加はありましたか? A: そうですね。ADARAは、世界中200以上もの航空会社やホテルチェーン、オンラインのトラベルエージェンシー等とパートナーシップを結び、旅行データベースを構築しています。 彼らは、我々のトラベルデータコープに参画し、データの共有を行います。データに基づいて、日本に来る人や、来日した際に行こうと考えている場所などを特定することができます。また、何人で旅行をするのか、いくらお金を使うのか、などをWebサイトのデータから知ることも可能です。 特に日本のマーケターは、自分たちのサービスをプロモーションしたいと思うはずです。ラグビーW杯で人々が日本に来ると分かっていれば、旅行客にもっと自分たちのサービスの魅力に触れてみて欲しいと思うのです。 日本チームと社内文化 Q: ADARAの日本オフィスの雰囲気はどのような感じなのでしょうか?米国の本社と似ているのか、あるいは、日本の伝統的なビジネススタイルを踏襲しているのでしょうか? A: その中間でしょうか。日本オフィスにいるスタッフのほとんどは米国企業での勤務経験があります。ですので、米国の環境ややり方には慣れていますね。コミュニケーションに関しては非常にスムーズです。 また、旅行関連ビジネスだからだと思いますが、ADARAで働いている人は旅行に情熱を傾けています。常に「次はどこに旅行するの?」「バケットリスト(死ぬまでにしたい100のことをまとめたリスト)にはどこが書かれているの?」などといった質問が飛び交っています。これは電話でも。 自分の人生や経験をスタッフ同士でお互いにシェアしています。これは決して他の会社にないこと、というわけではありませんが、とてもADARAらしいことです。 Q: 会社のカルチャーが日本オフィスでのコミュニケーションの円滑化に役立っているとお考えですか? A: はい、そう思います。他の日本の企業のように、ADARAにもよりフレキシブルにしていこうという動きがあります。ADARAには日数無制限の有給取得制度があり、リモート勤務が可能になっています。 実際、お子さんがいる女性社員が2人います。彼女たちはお子さんのお世話もしなくてはなりませんよね。彼女たちには、時々学校関連のことで対応しなくてはいけないことがあり、そういった時は家から勤務することもあります。 こういった職場環境を大切にしています。ちなみに私は旅行が好きで、休暇を取る予定なのですが、現地のカフェでオンラインに入り、リモートで仕事することはよくあります。 一見、社内カルチャーはローカライズや市場参入には直接的には関係のないことに思える。しかし、社内カルチャーを参入先の風土や雰囲気に合わせていくことは、その場所でビジネスを展開させていくことに効果的のようだ。 活字至上主義の日本と、イメージドリブンの米国 Q: 日本オフィスと米国の本社との関係はどうですか?また日米でコラボレーションする際はどういった雰囲気ですか? A: 日本オフィスは、基本的に米国本社のガイドラインに沿っています。ですが、言語や適用している戦略は区別させていこうと思っています。例えば、米国はプレゼンテーションは画像が多く、文章は少ないのが典型です。 しかし日本では、プレゼンターが話をしている間でさえも、聴く側はスライド上に書かれている文章に意識を向けていることが多いです。 これは、日本のビジネスシーン、特に保守的な業界では一般的に見られます。米国本社も次第に私たちの意見に耳を傾け、日本で成功を収めるために、日本で重んじられていることを大切にすることの必要性を理解し始めています。 米国ではプレゼンで話されていることを重視する一方、日本では文字情報に重きが置かれ、紙の書類を使用するシーンも多い。そのためADARAは、日本企業に対しては、事前にプレゼン資料をシェアし、スムーズな理解とディスカッションができるよう工夫をしているのだ。 […]

澤円x越川慎司激論!日本企業がイノベーションを生み出す組織になるには【DFI2019】

イノベーターとは要素の組み合わせができる人や、足し引き掛け算ができる人。イノベーターになる可能性は十分にある
芽を育てるマインドセットと前進がみられる失敗には評価する制度を
イノベーションできないことの言い訳をするのではなく、「当たり前を疑う」こと。お互いに不得意なことを補い合える人を見つける

「イノベーション」や「グローバルマインドセット」。口で言うことは簡単だが、依然として横並び意識が色濃い日本の企業で実行に移すハードルは高い。
なかなか躍動できない若手や、そんな若手たちをどう扱うべきかわか…

グローバルにイノベーションを起こす人の7つの特徴

経済産業省が「デザイン経営宣言」を発表したのが2018年のこと。経営にデザインを取り入れることで、組織のイノベーションの創出力を高めようとする試みだ。
実際、日本の多くの企業でも、デザインを取り入れる動きが見られるようになり、その効果も少しずつ現れ始めている。
関連記事:統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ
イノベーション、説明できますか?
では、そもそも「イノベーション」とは何だろうか?ふわっとした「なんとなく」のイメージに留まり、その定義ができていないのではないだろうか?
バ…