カテゴリーアーカイブ: デザイン

ワークショップはオンラインでも上手くいく?押さえておきたいポイント5つ

ワークショップもオンラインで実施する機会が増加
オンラインワークショップをより上手に実践するためのポイント
オンラインの利点① 参加における場所の制約を受けない
オンラインの利点② 保存・複製が簡単にできる
オンラインの利点③ 具体的な2次元のプロトタイプを素早く作りやすい
より質を高めるために① 参加者側の安定したインターネット環境、社内ルール等を確認する
より質を高めるために② インタラクションの機会を意識的に増やす
今後はオンラインとオフライン、双方の強みを意識した上で、使い分けていくことが…

ワークショップはオンラインでも上手くいく?押さえておきたいポイント5つ

ワークショップもオンラインで実施する機会が増加
オンラインワークショップをより上手に実践するためのポイント
オンラインの利点① 参加における場所の制約を受けない
オンラインの利点② 保存・複製が簡単にできる
オンラインの利点③ 具体的な2次元のプロトタイプを素早く作りやすい
より質を高めるために① 参加者側の安定したインターネット環境、社内ルール等を確認する
より質を高めるために② インタラクションの機会を意識的に増やす
今後はオンラインとオフライン、双方の強みを意識した上で、使い分けていくことが…

ワークショップはオンラインでも上手くいく?押さえておきたいポイント5つ

ワークショップもオンラインで実施する機会が増加
オンラインワークショップをより上手に実践するためのポイント
オンラインの利点① 参加における場所の制約を受けない
オンラインの利点② 保存・複製が簡単にできる
オンラインの利点③ 具体的な2次元のプロトタイプを素早く作りやすい
より質を高めるために① 参加者側の安定したインターネット環境、社内ルール等を確認する
より質を高めるために② インタラクションの機会を意識的に増やす
今後はオンラインとオフライン、双方の強みを意識した上で、使い分けていくことが…

ワークショップはオンラインでも上手くいく?押さえておきたいポイント5つ

ワークショップもオンラインで実施する機会が増加
オンラインワークショップをより上手に実践するためのポイント
オンラインの利点① 参加における場所の制約を受けない
オンラインの利点② 保存・複製が簡単にできる
オンラインの利点③ 具体的な2次元のプロトタイプを素早く作りやすい
より質を高めるために① 参加者側の安定したインターネット環境、社内ルール等を確認する
より質を高めるために② インタラクションの機会を意識的に増やす
今後はオンラインとオフライン、双方の強みを意識した上で、使い分けていくことが…

サービスをデザインする際に重要な「7つの大罪」とは

ヒットしているサービスには共通する「秘密」がある
サービス例とそれぞれの秘密を紹介
ユーザーの心をくすぐるデザインのコツ
キーワードは「探索」「学習」「表現」「承認」

「7つの大罪」という言葉を聞いたことがあるだろうか? キリスト教において罪の根源とされる7種類の悪しき感情、欲望などを指す語のことを指す。いくつかの説やバリエーションがあるが、下記の7つが現在一般的に広く知られており、映画の「Se7en」でも採用されているリストは以下だ。

憤怒 (Wrath)
強欲 (Greed)
傲慢 (Pr…

UXデザインとCXデザインの違いとそれぞれの役割

混乱しがちなUXとCXの違いを説明
そもそもUXってなんだっけ
最近出てきたCXの概念と企業へのメリット
UXデザイナーとCXデザイナーの役割
ブランディングにおけるCXの重要性

最近のデザイン界隈において、あまりにも多くの専門用語が飛び交っている。その中でも最もよく使われているバズワードが「UXデザイン」だろう。それなのに、その概念は時代と共に変化し、内容がイマイチわかりにくい部分もある。
UIとUXとの違いは何か?の問いから始まり、その守備範囲、UXデザイナーの役割など、異なる人やコンテキス…

自動車メーカーのリブランディング分析: Nissan、VW、BMW

多くの自動車メーカーがリブランディングを進めている Nissanの事例紹介 VWの事例紹介 BMWの事例紹介 3社のリブランディングにおける主な共通点と展望 ブランドにおけるロゴの真の役割とは? デジタルメディアの普及により、UIデザインやブランディングにおけるフラットデザインの採用が進んでいる。その波は最も”物理的”なプロダクトを提供している自動車メーカーにも影響を与え、複数のブランドが軒並みリブランディングを進めている。その中でも今回は、Nissan、VW、BMWの事例を紹介する。 Nissanのリブランディング事例 先日、Nissanが大胆なリブランディングを行った。最も象徴的なのが、ロゴの大幅な変更。このリブランディングプロジェクトでは、これまで20年近く利用されていたブランドロゴを大胆に刷新した。 デジタルファーストのデザインスタイル それまでデザインは、グラデーションやエンボス等の立体エフェクトを活用し、車両のボンネットに載っているエンブレムを彷彿とさせた。そのデザインテーマを踏襲しながらも、立体的な物理デザインから、一色によるフラットなデザインに変更された。 このリブランディングプロジェクトは、日産自動車株式会社のグローバルデザイン担当専務執行役員、アルフォンソ・アルバイサの主導によって2017年にスタートした。キーワードは「細さ、軽さ、柔軟性」 同氏はプレスリリースにて、今回のリブランディングでは、“科学、技術、コネクティビティにおけるブレークスルーによる顧客への根本的な変化からインスピレーションを得た” と語っている。 コネクテッドなライフスタイルに対応 過去20年間で人々の生活が大きく変化した。インターネットを中心に、我々の生活においてスクリーンやデジタルデバイスに接する機会が格段に増えた。 自動車のコネクテッド化もどんどん進んでいる。それに対応するために、Nissanも、デジタルタッチポイントに強いブランドを象徴するのをゴールとしたアプローチである。 例えば、今回新しくデザインされたロゴは、車内でLEDイルミネーションとしてロゴが光った際に美しく見えることも重要視されている。 時代と共に大きく変化をしてきたNissanブランド 今回のリブランディングはかなり大きな変化のように思える。しかし、下記の通り、Nissanはこれまでも時代の変化に合わせて、幾度となくロゴのリデザインを行っている。 他の自動車ブランドと比べてみても、その変更の頻度はかなり高いと言えるだろう。 Nissanの新しいロゴを分析 Nissanのこの新しいロゴは、全般的にかなりポジティブな印象を受ける。時代のトレンドであるデジタルメディアに上手に対応しているし、ロゴに求められる最も重要な要素の一つである、複数の利用シーンでの可視性も高くなった。 細かいポイントを中心に分析をしてみる。 1. メタル感から未来感へ 一つ前のロゴと比べて最も大きな違いは、ロゴから受け取るイメージ。これまでのロゴが3Dっぽさを演出したことで、自動車メーカーっぽいメタルな感じだった。今回のリデザインでは、フラットになったことで、より未来的なイメージを醸し出している。 2. オープンさを上手に演出 これまでは“NISSAN”の文字部分が閉じられた空間内にデザインされていたのに対し、新しいロゴでは開いた空間となったことで、オープンなイメージが演出されている。同時に、“円”の部分との間に絶妙なスペースを設けたことで、無意識のうちに前ロゴとの共通点を確保している。 3. シンメトリー“N”のバランスが良い このロゴの最も優れている点の一つが、NISSANの最初と最後の“N”とその周りのスペースと、円のエッジ部分とのアラインメントのバランスが共通していることで、Nで始まりNで終わる同ブランド名を優れたデザインに落とし込んでいる。 4. Nの上下の曲線の角度が不安定に感じる その一方で、気になる点が全く無いわけでもない。では、新しいロゴの懸念点を“あえて”指摘してみる。 一番大きな問題なのは、Nの上下の円から直線をつなぐカーブの曲線が内側と外側で異なることで、微妙に“ズレている”感覚を与え、見る人を少し不安な気持ちにさせること。これはデザイン理論でいう“Tangent”という状態を発生させている。 5. シンプルにしたことで汎用性の高さと環境への配慮を実現 今回のリブランディングでロゴの構成要素を減らしたことで、車両自体以外のより多くの場面で活用可能になった。それによりアナログでもデジタルでも使いやすくなった。また、3D効果を廃止したことで、制作にかかる工程やコストも下がるので、環境にも優しくなっている。 VWのリブランディング事例 フォルクスワーゲン (VW) も2019年に大幅なリブランディングを通じ、ロゴのアップデートを行った。その方向性はNissanと同様に、立体的・メタル感のあるものから、シンプルでフラットなものになった。 New Volkswagenと呼ばれるこのリブランディングプロジェクトには、実に9ヶ月の時間と19の社内チーム、17の外部デザインエージェンシーが関わっている。 プロジェクト責任者でもある同社CMOによると、今回のリブランディングのゴールは、全てのタッチポイントにおいて、より総合的なグローバルブランド体験の創造であるとのこと。新しいロゴは、より人間的で生き生きしたものになり、顧客の視点をより多く取り入れ、本物のストーリーを伝えたいと考えているとも語っている。 自動車のロゴからアプリのアイコンスタイルへ VWのロゴはその構成要素を極端に減らすことにより、モダンでシンプルなものとなった。それにより、利用における汎用性は格段に上がり、特にデジタルメディアでの利用性は非常に高まっていると言える。 この新しいをロゴ見ると、まるでモバイルアプリでも提供しているアメリカ西海岸のスタートアップっぽい感じがする。以前の記事でも紹介した通り、最近のスタートアップロゴは共通して、アイコン感を演出し、ロゴタイプよりも、ロゴシンボルの方を重要視する傾向にある。 最近のスタートアップのロゴのスタイルが似通ってきている問題について それもそのはず。VWはこれからWeb、モバイルアプリ、Apple Watchアプリなどのデジタルプラットフォームにおいて、複数のブランド展開を進めていく予定なのだ。これは、デジタル・アナログの両方でユーザーに体験を届けようとする同社のモビリティーカンパニーとしての方向性を感じさせる。 VWのロゴ遍歴 ドイツ語で「国民車」を意味するフォルクスワーゲンのブランドの歴史は1939年より始まる。設立当初から、円の中に”V”と”W”の文字を縦に配置しするロゴのモチーフは共通。 そして、時代と共に微調整を重ね、2000年より、メタリックさと立体感を打ち出したロゴに変更し、2012年には、より金属感をました先代のロゴに辿りついた。 VWのこれまでのロゴの変更遍歴を見てみると、そのブランドの一貫性の高さは、自動車ブランド随一と言っても良いだろう。 VWの新しいロゴを分析 では今回新しくなったVWのロゴを少し分析してみる。全体的に最も大きな変化としては、アウトラインスタイルに移行し、フラットになったこと。採用されている色も一色のみで、これ以上削れる要素がないほどに洗練されている。 全体のコントラストが強くなり、可視性も高まった。それにより、利用シーンを選ばない汎用性の高さを獲得したと言える。 加えて、その他の細かいポイントを分析してみる。 1. 重厚感よりも可愛らしさを演出 今回のリデザインでユーザーがイメージ的に最も変化があったとすれば、その可愛さだろう。細いラインを採用したことで、より繊細に雰囲気が醸し出されている。同時に、一つ前の重厚感は無くなり、軽さ、柔軟さ、可愛らしさを演出している。 2. 少し未完成な感じが親しみやすさを感じさせる このデザイン、プロの視点から見ると、少しアンバランスな部分がある。VとWの間のわずかな隙間や、円の部分と文字の部分のアウトラインの太さの微妙な違い、そしてWの下の隙間などがそれである。おそらくこれはあえてそうすることで、少し不器用な感じで、親しみやすさだしたのではないかとも感じる。 3. “動くフレーム”のコンセプトを上手に活用 ロゴのリデザインに加え、今回のVWのリブランディングで最も特質すべき点は、ブランド全体の異なるタッチポイントを上手につなげたところだろう。自動車ブランドはどうしても、車両とデジタルでユーザー体験が分断されがちであるが、下記のコンセプト動画でも表現されているように、VWは”動くフレーム”のコンセプトで、そのギャップを上手に埋めたと言える。 BMWのリブランディング事例 最後に紹介するのはBMWの事例。同社は2020年の3月にリブランディングを行い、ロゴのアップデートも行った。その結果は、前出の2つの事例と同様に、メタリック、立体的なものから、フラットなデザインになった。 加えて、BMWは、ロゴの背景を透明にするという大胆なデザインを採用した。そして、このアップデートに対して、世界のデザイナーの間で議論が広がっている。 BMWのロゴ遍歴 BMWのブランド名は、Bayerische Motoren Werkeの頭文字を取ったもの。元々は軍用飛行機のエンジンを製造しており、その歴史は100年以上も前の1917年に遡る。その当時はBtoBのビジネスモデルであったこともあり、当初ブランドロゴはなかった。 一般的には、ロゴのモチーフは飛行機のプロペラだとされることが多いが、実は、本社のあったブラビア州のシンボルカラーの青と白を採用したとのこと。ある日、飛行機を掲載した広告を採用したことで、そのロゴがプロペラをモチーフとしているという噂が広がったという。 その後、時代と共に微調整をかけているが、初期のデザインから大きな変更はない。 BMWの新しいロゴを分析 今回のリブランディングでは、デジタルネイティブの若い層をターゲットにし、その層によりアピールするスタイルを採用している。具体的には、立体的なグラデーションを廃止し、思いっきりフラットなスタイルに振った。 そして、顧客に対して自動車メーカーよりも、リレーションシップブランドとしてのポジショニングを優先した事によるリデザインである。同社の100年以上の歴史の中でも、最も大胆なリブランディングと言っても良いだろう。 下記に細かなポイントを掘り下げていく。 1. オープンさと透明性の高さをロゴにも反映 このロゴの最もユニークなところは、BMWの文字が記載された円のエリアが透明になっていること。これは、オープンさと透明性の高さをモチーフとしている。 その一方で、この試作はかなりギャンブルでもある。というのも、ロゴが置かれる背景によっては、ブランド名が読みにくくなったり、ロゴの一貫性が下がるからだ。デザイナー的な視点で見ると、まるでデザインファイルから背景レイヤーを誤って削除したまま出力ようにも見える。 2. 伝統よりもモダンな未来を想起 今回のリブランディングでは、フラットなデザインを採用することでこれまでのBMWのブランドを大胆に刷新した。それにより、100年以上続く同ブランドの伝統を武器にするよりも、より現代、そして未来に向かって進んでいるイメージを与えることができるだろう。 既存のBMWファンの中には多少残念に思う人もいるかもしれないが、これからブランドに接し始める新規ユーザーに対しては、よりフレッシュなイメージを届けられるだろう。 3. インスタ映えを優先 実はこの新しいロゴ、背景などを入れ替えることで、めっちゃインスタ映えする。BMWの公式インスタアカウントでも、動画がアップされている。デジタル時代に最適化されたロゴであると言えると同時に、自動車メーカーの枠にとらわれない同社の意気込みを感じる。 View this post on Instagram Introducing the new BMW brand design for online and offline communication. […]

デザイン入門 【UXデザイン編】プロダクトやサービスの体験をデザインする

ここ最近の市場動向を見てみると、ヒットしている商品やサービスには共通点がある。それは、どれもユーザーや顧客に対して、最もふさわしい利用体験を提供しているということだ。
プロダクトをスペックや性能で選ぶ時代が終焉を迎え、利用した際に具体的な何を得られるかがプロダクトの成功を左右する最も重要なファクターなってきている。
それは言い換えると、商品自体にお金を払う時代が終わり、ユーザーは“経験”に価値を見いだすようになったとも言える。
ユーザー体験を制するものが勝つ
ハードウェアやソフトウェアも全てサービス…

UXデザインプロセス入門 – 基本的な6ステップ

Step1 – 理解: Understand Step 2 – 共感: Emphasize Step 3 – アイディエート: Ideate Step 4 – プロトタイプ: Prototype Step 5 – テスト: Test Step 6 – ローンチ&計測: Launch&Measure ユーザー体験を設計するUXデザインは、現代ではかなり高い認知度を獲得し、多くの企業が注目をしている。その一番の理由が、「スペック重視」から「体験重視」にビジネスもモデルが変換し始めたことだろう。 ユーザーのフォーカスが、所有することから利用することに移行したことで、プロダクト提供側も、より良い体験設計が求められている。 これからの時代にヒットするのはサービス化されたプロダクトだと言えるだろう。そこで最も重要な存在になってくるが、UXデザインであり、UXデザイナーである。 意外と知られていないUXデザインのプロセス その一方で、肝心のUXデザインのプロセスは意外と知られてない上に、多くのデザイナー達がUXを学ぶ方法を未だに模索しているケースが後を絶たない。 ビートラックスでもデザインチームを中心に、UXデザインのプロセスを社内全体に共有しているが、今回はそのUXデザインプロセスと、それぞれのステップで作り出される活動と成果物をまとめて紹介する。 UXデザインにおける6つのステップ ビートラックスによるUXデザインプロセス Step1 – 理解: Understand 最初のステップはユーザーの課題とビジネスのゴールを理解することから始まる。見た目を美しくするだけでは、ユーザーとビジネスの両方の課題を解決することは永遠に不可能である。 主な活動・成果物: ユーザーインタビュー 消費者アンケート マーケット調査 競合調査 ステークホルダーインタビュー お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い Step 2 – 共感: Emphasize 優れたデザインを生み出すために最も重要なプロセスがエンパサイズ。デザインを受け取る人たちへの共感をすることだ。彼らがが何を見て、何を感じて、何を経験しているかを理解しなければ、デザインは無意味な作業になってしまう。 主な活動・成果物: ペルソナ ユーザーストーリー ユーザーシナリオ エンパシーマップ カスタマージャーニーマップ デザイン思考入門 Part 2 – Empathize 理解と共感 Step 3 – アイディエート: Ideate アイディエートとは、アイディアを出すプロセスのことで、アイディエーションとも呼ばれる。アイディエーションとは、良いものも悪いものも含めて、可能性のあるすべての解決策を探り、どのようなアイデアで前進すべきかを絞り込んでいく。そのプロセスは対話的で共同作業的であるため、メンバーが一つの場所に集まり、一気に進めていくことが多い。 主な活動・成果物: ブレインストーミング スケッチ ムードボード リファレンス アイディエーションとは?効率的に行うための5つのポイント Step 4 – プロトタイプ: Prototype プロトタイプは、Webやアプリの場合、UIやコンテンツ構成などを確認し、その操作性を理解すること。ハードウェアなどでも、どのようなユーザー体験を提供できるかを理解するために制作される。その役割に合わせ、早い段階でラフなものを作ることもあれば、かなり作り込み、細部の確認に活用する場合もある。 主な活動・成果物: ユーザーフロー ペーパープロトタイプ ワイヤーフレーム インタラクティブプロトタイプ コンセプト動画 ロールプレイ デザイン思考入門 Part 5 – Prototype 今さら人に聞けないプロトタイプの作り方 Step 5 – テスト: Test アイディアやモックアップ、プロトタイプをユーザーにぶつけ、フィードバックを得ることでデザインを洗練させる段階だ。テストを行う時期が早ければ早いほど、変更が容易になり、デザインの制度を高めることが可能になる。 主な活動・成果物: ユーザビリティテスト ヒューリスティック評価 アクセシビリティ評価 フォーカスグループ オンライン調査 […]

日本人は議論が苦手?デザイン思考を成功に導くファシリテーションとは

ファシリテーターとは何者?基本をおさらい
ファシリテーション成功の極意は、「ラポールの形成」にあり!
入念な準備とチームへの共感が鍵
ワークショップ中、3つの「日本人あるある」と、ファシリテーターの打開策
ファシリテーションはチームで仕事する人全員が持つべきコラボレーションの姿勢・考え方

近年「ファシリテーション」というスキルがにわかに注目を集め始めている。多様な価値観や複雑で予測不可能な社会に対応すべく、チームで物事を作り上げていく「チームでのデザイン」に対する価値が浸透してきたことに起因する…

Miroは、事業企画をするときにアイデアやボトルネックやその他の気が付いたことをばらして、次にまとめてみて、方向性を決めていくなんてことが自由にできるのがいいね。

アイデアを書き出してまとめるツールは多数あるけど、今一番よく使っているのはMiroだな。書き方に規制がないのがいい。マインドマップやその他の手法だと書き方に規制があるんで自由度が失われるもんな。。。。

インクルーシブデザインとは?現代の多様性に寄り添う7つの実例

今こそ向き合うべき「インクルーシブ」という概念 様々な肌の色に対応。Band-Aidの絆創膏 まさにユニバーサルデザイン。スパイラル形式のお風呂 性別も体型も。あらゆる既成概念にとらわれないジェンダーニュートラルな下着 宗教の違いに合わせて。リデザインされたキューピーちゃん 赤ちゃんから大人になるまで。ずっと使える椅子 男性も女性も、さらには宇宙人まで。誰でも使えるニュートラルトイレ カラーリングの知られざる理由。青と赤のカスタネット ここから始めるインクルーシブデザイン入門 誰のためのデザインか?徹底的なユーザー視点で既成概念を崩す発想が競争優位性を勝ち取る ここ数週間アメリカでは、デモやネット上での熱い議論など、人種や考え方の違いによる様々な軋轢が表面化している。それに伴い、これまでは「普通」と考えられていた概念が見直され、より多様性を受け入れる動きが進んでいる。 日本と比べても、実に多種多様な人種が集まっているアメリカでも、まだまだ多くの商品やマーケティングメッセージが画一的なデモグラフィーを中心に考えられており、マイノリティーと言われるユーザーを考慮していないケースが少なくない。 その一方で、サンフランシスコを中心とした都心部では、ダイバーシティ(多様性)を受け入れ、それを考慮することで、より多くの人々のためのプロダクト作りやマーケティング手法が進んでいる。 関連記事: 令和に絶対押さえるべきインクルーシブマーケティングとは。事例6選 ダイバーシティーの主な構成要素 最近は日本でも知名度が高まってきている「ダイバーシティー」という単語。「多様性」を意味するが、具体的にはどのような要素が含まれているのだろうか?LGBTなどに代表される性別的な要素や人種はわかりやすい例であるが、それ以外にも複数のファクターが存在している。 性別 年齢 人種 言語 体型 肌の色 宗教 食習慣 障がい 収入 利き手 ライフスタイル 人々の多種多様な要素を包み込むのがインクルーシブ 世界中には上記のような様々なバックグラウンドを持つ人々がいるが、一つの場所で生活していると、どうしてもそれを忘れがちになる。特に日本国内に住む98%が「日本人」であることを考えると、日本が相当ダイバーシティの低い国であるということになる。 それを象徴するのが、ターゲットを性別と年齢だけで区切ってしまうマーケティング手法。おそらくこの手法は、日本国外へ出た瞬間に、一瞬で通用しなくなる。 加えて、今後は日本にも海外からの移住者がどんどん増えていくことを考えると、日本企業も、早い段階からダイバーシティーへの理解とインクルーシブデザインの採用を進めていく必要があるだろう。 インクルーシブデザインとは どんなデザインのプロセスにおいても、特定の顧客を除外してしまう可能性がある。インクルーシブデザインは、ユーザーの多様性を理解することで、意思決定の情報を提供し、できるだけ多くの人を取り込むことに貢献することをゴールとしたデザイン手法。ユーザーの多様性は、能力、ニーズ、願望などに様々なバリエーションがあり、インクルーシブデザインでは、それらを広範囲でカバーしている。 近いコンセプトとしては、ユーザー中心デザインや、ユニバーサルデザイン、そしてアクセシビリティーというものも存在する。 インクルーシブデザインは、一人でも多くの人に役立つ製品を作るのがゴールとなる。アクセシビリティはそれ自体がゴールとなるが、インクルージョンはそれ以上の意味を持つ。達成できれば、多様な特性を持った人が、様々な環境で自分の製品を使用することが可能になる。特に何百万人もの人々のためにデザインをする場合、人々が体験に参加するためのさまざまな方法を作ることが重要になってくる。 インクルーシブデザインが考慮するべき要素 多種多様な人々に寄り添うインクルーシブデザイン事例 では、具体的には世の中にはデザインを通じて、どの表に多種多様な人々に対応しているのだろうか。実際の例をいくつか見てみよう。 1. 異なる肌の色に対応したバンドエイド これまでは、形やサイズ、柄などの種類のバリエーションはいくつかあったが、より多くの肌の色の消費者に対応するべく、Band-Aidは複数の色味を持つ商品をリリースした。そして、公式のインスタグラムでは”We hear you. We see you. We’re listening to you.⁣” という、消費者のことを親身に考えているというブランドメッセージを発信している。 様々な肌の色に対応したバンドエイド 2. 車椅子の方でもスムーズに使えて、健常者にも違和感のないお風呂 デザインが解決すべき最も大きな多様性の一つが障がい者向けの施設だろう。特にトイレやお風呂は、日常での利用頻度も高いため、とても重要な場所になってくる。駅や総合施設などでは、車椅子の方でも利用できるトイレを見かけることはあるが、お風呂はあまり知られていないだろう。 今回紹介するお風呂は、静岡県のJIKKAというゲストハウスに設置されたスパイラル形式のお風呂。5mのスロープを設置することで、体の不自由な方や、お年寄りにも優しい設計を実現している。 身体の不自由な方も使いやすいJIKKAのお風呂 3. 性別や体型の既成概念にとらわれない下着 下着といえば、ついついヴィクトリアズシークレットのセクシー系や、トミーヒルフィガーのワイルド系など、どうしても型にはまったスタイルを想像しがちであるが、TomboyXでは、多様性の高いユーザー向けに、多種多様なアイテムを提案している。 トランクスやボクサーブリーフなどの男性的な下着を女性の体に合わせてアレンジしたり、男性の体向けにフェミニンなデザインを提供したりもしている。これはいわゆる、ジェンダーニュートラルのコンセプト。「男性っぽさ」や「女性っぽさ」からあえて離れることで、新しいニーズに対応している。 全ての性別・体型に対応しているTomboyXのオールニュートラル下着 4. 宗教の違いに合わせてキャラクターをリデザインしたキューピーマヨネーズ 日本でもお馴染みのキューピーちゃんであるが、実は販売されている地域で、そのキャラクターのデザインが一部変更されている。変更している地域は、東南アジアのマレーシア、インドネシア。オリジナルのキューピーの背中の羽をなくし、顔と手だけのデザインになってる。 この地域ではイスラム教徒の方々が多いのが理由。イスラム教では、偶像崇拝が禁じられており、オリジナルの羽のついたキューピーは、天使と受け止められる可能性を考慮したものなのだ。 オリジナル(左) とイスラム圏向け(右)のキューピーマヨネーズ 5. 赤ちゃんから大人までが使える椅子 赤ちゃんが生まれて、成長する過程では、身体がどんどん大きくなる。その度に家具を買い替えていると非常にコスト高になる。 この課題を解決すべく、北欧のデザイナー Peter Opsvikは、一生使える椅子をデザインした。TRIPP TRAPPと呼ばれるこの椅子は、生まれた直後から、大人になっても使える。全てのライフステージをインクルーシブにデザインされている。  成長に合わせて使い続けられるTRIPP TRAPPの椅子 6. 誰でも使えるニュートラルトイレ 海外では、男性でも女性でも利用できるトイレが増えてきているが、ヨーロッパなどでは文字通り「誰でも」使えるユニバーサルトイレが出現。 サイネージには、男性、女性、車椅子、老人、人魚、バッドマン、アンドロイド、そして宇宙人までが表記され、しっかりと点字も記載されている。まさに、全てを内包 (インクルード) するデザインとなっている。 ユーモアのあるインクルーシブトイレのサイン 7. 男の子でも女の子でも使えるカスタネット おそらくほとんどの人が学校で使ったことのあるカスタネット。多くの場合、赤と青の2色で構成されている。実は、その理由は男子でも女子でも使えるようにするため。もともとは、男の子向けの青と女の子向けの赤が別々に存在してた。 しかし、クラスによって男女比率が異なったりすることで、どちらかの数が足りない状態が発生していた。そこで、両方の色を合わせて一つにすることで、どちらでも使えるようにデザインをしたというもの。ちなみに現代では、青=男性、女性=赤、という概念自体がなくなり始めている。 男子でも女子でも使える赤と青が合わさったカスタネット インクルーシブデザイン入門 それでは、どのようにすれば、多様性に対応したデザインが実現できるのだろうか?我々btraxでは、世界の異なる地域の様々なニーズに合わせたプロダクトに対するデザインを提供するために、まずはユーザーを深く理解し、共感することからデザインのプロセスを始めている。 これは、デザイン思考のプロセスの第一歩である、エンパサイズのプロセスでもある。 そして、実際のデザインプロセスを進めるにあたり、下記のような命題を踏まえ、より多くの人々に受け入れられるようなプロダクト作りを進める。 デザインを始める前に自分たちにはどんなバイアスがかかっているのか? このデザインを良しとしないのはどのような人だろうか? 必要のない要素にこだわってはいないか? 自分のためだけのデザインになっていないか? 最終的に誰のためにデザインをしているのか? どんなデザインチームでも、これらのシンプルな質問を自問自答し、包括性について考え始めることが重要になってくる。 インクルーシブデザインを実現するための6つのステップ 実際にデザインプロセスを進めるにあたって、下記の6つのステップが有効になる。 1. 排除されているポイントとユーザーを理解する 排除のポイントを積極的に探し出し、それを利用して新しいアイデアを生み出し、新しい解決策を生み出す機会を模索する。人々がどのようにして、なぜ排除されているのかを正確に理解することで、よりインクルーシブになるための具体的なステップを確立することができる。例えば、動画作成をする場合に、耳の不自由なユーザーにもメッセージが届くかどうかを検証するために、音量がオフになっていても、内容が伝わるかの検証を行う。 2. 状況に応じた課題を特定する 排除は状況に応じて発生する可能性がある。ユーザーがプロダクトを利用している際の「特定」のポイントにてインプルーシブではない瞬間が発生していることを探る。今回の例の場合、通常は問題なく視聴できている動画コンテンツでも、空港やカフェなどの騒がしい場所では、音が聞こえなくなる瞬間がある。その場合、耳の不自由なユーザー向けにデザインされた要素がその課題を解決してくれる。 3. […]

デザインの力で、新しい生活様式に安心と喜びを作るコツ:3事例

「新しい生活様式」の「身体的距離の確保」に関する制約は、特に我々の心を窮屈にするもの
人と人の間にそっと介在することで、心の穴を埋めてくれる体験のデザインがある
① 口の見えるマスク:口の動きや顔の表情はコミュニケーションの重要な情報である
② C’entro:物理サークルがマスクの代わりとなり、公共の場での心理的・身体的安心感をくれる
③ タイのレストラン:レストランと客、双方に嬉しい空間を作り出すのは、店内に居座るパンダ!?
我々の新しい生活を解決してくれるのは、ハイテクではなく、…

Withコロナの体験デザイン。世界の企業がとったアクションとは?

Withコロナ時代に対応するため、米国企業から新たな体験デザインが提供されている ①コミュニティとして支え合い、共存を目指すスモールビジネス応援募金系デザイン(MealPal、ClassPass ②StayHomeのためにできることを優先する、家にいようと啓発系デザイン(Netflix、Uber/UberEats) ③家にいてもひとりじゃない、コミュニティビルディング系デザイン(Instagram、Coffee Meets Bagel) ④インフォデミックを防止する情報共有系デザイン (Medium、Note、Google、Facebook など) Withコロナにおいて、企業がどういうスタンスをとり、人々の価値観に対してどう体験デザインを提供していくか、考え抜き、実行する必要がある   全く未知のウイルスの登場により、経済が停滞、数年先どころか、数ヶ月、数週間先の状況まで全く予測することができず、まさに世界中の人々が足踏み状態である。このことから、欧米では現在の状況を「Great Pause(大いなる停止)」と呼ぶようになってきた。 前例のない状況に困惑し、今後の仕事や生活に不安を抱える人の方が多いことだろう。一方で、環境問題の改善や交通渋滞や事故の減少が顕著に見られるなど、人々が経済活動を一時休止したことによるポジティブな側面も注目されている。それはまさに、この停止期間を我々がどう考え乗り越えていくかによって、この後の世界が大きく変わっていくことを示唆しているようだ。 そして、世界を新しく形作っていく上で大きな力を持つのが「企業」である。今、企業はどのようなアクションを取り、メッセージを社会に発信していくべきなのか。世界中が立ち止まっているこの状況こそ、社会に新たな価値や考え方を提案することができるチャンスと捉え、真剣に向き合っていくべきではないだろうか。 すでに米国では、各企業が自分たちが社会に提供できることを考え、迅速な動きを見せている。消費者を巻き込んだそれらの動きは、体験デザインの視点から見ても、非常に参考になるものが多い。この記事では、コロナ危機発生直後の状況に対応する米国企業の体験デザインを考察しながら、この歴史的な転換期に、企業としてどのような行動をしていくべきなのかを考えていく。 コロナ危機に対する企業の迅速な対応が活発に アメリカではこの世界的危機に対し、企業としてどのように貢献できるかを考えて、即時に行動する流れがとても顕著である。これらの動きは英語で『COVID-19 Corporate Responses』と呼ばれている。 その中でも目立っているのは、資金や物資の支援だ。例えば、Mastercardや、Wellcome、Bill&Mellida Foundationは、3月10日という大変早い段階でCOVID-19事態収束のためのスタートアップを支援するアクセラレーターを共同設立。 CocaColaはフェイスシールドを作る非営利団体の支援のためにリソースとロジスティクスを提供した。各国のマスクの不足に対しては、AlibabaやTrip.comのような企業が日本、アメリカ、ヨーロッパ等に大量寄贈したニュースを目にした読者も多いのではないだろうか。 また、PepsicoやChipotleをはじめとする食品企業やレストラン業が、ウイルスと最前線で戦う医療従事者や経済的に困窮する層に対して、無料で食事を提供する動きもアメリカでは目立った。 ZoomやWorkplaceなどのオフィスツールを提供する企業も、急な自宅勤務が導入された企業をサポートするために、期間限定でサービスの無料提供を行っている。 消費者を巻き込む企業のコロナ対応デザイン 上記のように、直接的に企業の資金や物資を無料提供するような企業活動が目立つ一方で、別の形でコロナ危機に対する企業活動を実践している企業が存在している。 彼らは、この前代未聞の危機の中で私たち消費者側が、お互い助け合い、賢く判断して生活できるようなデザインを提供している。 パンデミックの世の中で新たな社会生活の在り方の創造が求められる中、これらの企業は、他者と自分とのつながりの中で社会が存在することを消費者に再認識させ、新しい社会での行動の仕方をポジティブに提案してくれている。 1. スモールビジネス応援募金系(MealPal、ClassPass) コロナウイルスの感染拡大防止の自宅退避令により、多くの都市で必要最低限のビジネスが禁止される措置が取られている。サンフランシスコでも、レストランやカフェは宅配とお持ち帰りのみが許され、イートインスペースは閉鎖されてしまっている。 スポーツジムやヨガスタジオといった施設も未だ全て閉鎖されている状況だ(5/1現在)。2ヶ月以上もこのような状況が続くため、多くが従業員の解雇や廃業にまで追い込まれている。 このような状況に対して、MealPalやClassPassは、消費者たちが支援を必要とするスモールビジネスをサポートできるような仕組みを提供し始めた。 MealPal MealPalは街中のレストランと提携し、オフィス街で働く人向けに格安でランチを提供するサブスクリプションサービスだ。ユーザーはアプリから翌日のランチとピックアップ時間を選択し、その時間になったらレストランまでランチを受け取りに行く。 参加するレストラン側のメリットはMealPalプラットフォームに参加することでレストランを周知してもらえる点だ。また、MealPal用のランチメニューは数種類に限定することができるのと、事前にオーダー数がわかるのでロスも少なく効率的であるというのもメリットだ。ユーザーは通常より安価にランチを手に入れられるほか、お店で待たずに受け取れるのが嬉しい。     しかし、コロナウイルスの感染拡大が懸念される今、ほぼ全てのオフィスワーカーが自宅勤務になった。ここサンフランシスコでも、MealPalを利用できるユーザーが激減してしまった。またレストラン自体が一時休業というケースも少なくない。 自分たちの経営すらも危ういであろうこの状況の中、MealPalが始めたのは、加盟店への募金のシステムだ。 今現在、ユーザーがアプリを起動すると、いまだにランチ提供を続けるお店にランチを予約するだけでなく、今日ランチを注文する代わりにその金額を提携レストランへの募金に回すというオプションも存在する。 また、このような状況の中、多くのユーザーがサービス利用の一時停止を考えるだろうが、お金に余裕のあるユーザーに向けて、1ヶ月分のサブスクリプション費用を全額募金に回すという選択肢も提案している。 関連記事:【UX分析】ランチの格安サブスクサービス MealPal ClassPass MealPalと似たビジネスモデルを持つClassPassは、MealPalのジム版とでも言うことができる。ClassPassのサブスクリプション(回数券)を使うと、ダンスやヨガ、ボクササイズなど、複数の異なるエクササイズジムを横断的に使うことができる。 ユーザーはオンデマンドで様々なクラスを予約、ドロップイン参加できるのだ。ユーザーは特定のジムに会費を払う必要はなく、様々なジムで異なったエクササイズを気軽に楽しめるのが魅力だ。 ClassPassのコロナウイルス対応は、とてもスピーディーだった。サンフランシスコでは自宅退避令が3月14日に発令されたが、ClassPassはその翌日15日には、該当地域に居住するユーザーのサブスクリプションを全て自動で一時停止した。現在ClassPassは、加盟するジムのオンラインストリーミングクラスをプラットフォーム上で提供している。 また、各エクササイズジムのClassPassプロフィールページには「サポート機能」を追加している。この機能を通じて、ユーザーはお気に入りのジムに対して、$5-$500の範囲で金額を設定して簡単に献金することができる。 さらに、エクササイズジムで働く人々に補助金を出すことを求めるオンライン署名活動を促す特設ページも一時期設けていた。   寄付文化が日本より浸透するアメリカであっても、先行きの不透明なこの状況で誰かに募金をしてサポートするというのは決して誰もができることではないはずだ。 しかし、いつも使うアプリからの募金の呼びかけは、普段ランチを手渡してくれる飲食店従業員や、エクササイズをサポートしてくれるジムのスタッフの笑顔がユーザーの頭をよぎらせるだろう。 そうしてユーザーは、コロナウイルスの影響で窮地に追いやられているコミュニティが、実は自分の属すコミュニティであることを実感し、募金という行動を選ぶ。そんな体験のデザインが、MealPalとClassPassの「サポート機能」には隠されているように筆者は考える。 このようにして、この2社は、自分の生活すらも不安な今、スモールビジネスを応援する意味を人々に考えさせ、コミュニティとして支え合い、共存してくという価値観を社会に醸成しているのである。 2. 家にいようと啓発系(Netflix、 Uber/UberEats) 次に紹介するのは、コロナウイルス感染のピークを抑え医療崩壊を防ごうとする「Stay Home」の動きを啓発する形で社会に貢献しようとする企業だ。 Netflix 動画配信サービスを提供するNetflixはもう日本でもお馴染み。彼らは街頭に、今一番人気のあるリアリティショーのネタバレ広告を出した。外出する消費者に「家に帰ってNetflixを観たい」という気持ちにさせることで、コロナウイルス感染拡大防止に貢献させるという秀逸な対応である。 このリアリティショーのファンであるbtraxスタッフも「ネタバレし過ぎない程度の絶妙なネタバレ具合で普段から視聴している人にとっては続きが気になって仕方ない」と絶賛していた。 ちなみにNetflixはサブスクリプションベースなので、新規ユーザー獲得でなく、既存ユーザー1人あたりの視聴時間が増えたからといって単純に利益が増えるわけではない。 Uber また、配車マッチングプラットフォームのUberは「A company that moves people is asking you not to move(人々の移動を生業にする会社が、動かないでとお願いしています)」と広告を出した。 現在、Uberをオーダーしようとアプリを開くと「それは本当に必要な外出ですか?」と確認メッセージが表示され、不要不急の外出を避けるように促される。 また、ドライバーたちにも社内のクリーニングキットを提供してたり、万が一ウイルスに感染してしまった場合には14日間の休業支援金を支払ったりしているようだ。 Thank you for not ridingというメッセージも動画広告で発信されている UberEats さらに、レストランのデリバリーに対応するUberEatsでは、現在デリバリー手数料を無料化し、金銭的な面で普段より利用ハードルを下げることで「Stay Home」を後押ししている。 ソーシャルディスタンスの実践をサポートするために、受け取り方法にも「Leave at the door(ドアの外に置く)」というオプションを素早く導入して対応した。 これらの企業は、自社のサービスがどのようにコロナの渦中にある社会で位置付けられるのか、その中で自分たちが取るべき行動はなんなのか考えて即座に行動している。 たとえその動きが自分たちの利益に直接繋がらなかったり、むしろ利益を下げてしまう場合であったとしても、潔く社会のためにその活動を決断している点に注目したい。 3. 家にいてもひとりじゃないーコミュニティビルディング系(Instagram、Coffee Meets Bagel) ソーシャルディスタンスの実施により、自宅退避を強いられ、多くの人々が友人知人と直接顔を合わることがほぼなくなってしまった。そのことから、強い孤独やストレスを感じている人も多いだろう。 そんな中、自宅にいながらも、人と人との繋がりや新たなコミュニケーションのきっかけをデザインしてくれている企業も存在する。 Instagram 日本を含め世界中にユーザーがいるInstagramもその1つだと筆者は考える。彼らは「Stay Home(おうち時間)」スタンプを作ることで、コロナ時代の孤独になりがちな「おうち時間」をサポートしている。 「Stayhome(おうち時間)」スタンプは、日本語、英語のみならず、ドイツ語やスペイン語など世界中の言葉に対応されているようだ。Instagramは、このスタンプを作ることで、ユーザーそれぞれが自宅での過ごし方を共有しあうことを促した。 自宅でも有意義な時間の使い方が可能であることを互いに共有しあったり、逆に「家で寂しい思いをしているのは自分だけじゃない」という同胞感を感じさせる体験デザインしているように見える。   この状況で実は大きな打撃を受けている業界は数えきれないが、オンラインデーティング業界も実はそのうちの1つだ。「オンラインデート」とは言うものの、ユーザーの多くがオンラインで「マッチ」した後に直接顔を合わせることを前提にサービスを利用している。 自宅退避令により、実際に顔を合わせるのがいつになるかわからないため、一旦活動を停止してしまうユーザーも多いようだ。 CoffeeMeetsBagel この状況に対し、Coffee Meets Bagel(以下CMB)は自宅退避令中も(バーチャルで)人々の出会いを支援するデザインを行っている。まずCMBの特徴の1つと言えばマッチした人とのメッセージ機能が7日間でクローズすること(それによって、実際に顔をあわせることを促す仕組み)だが、彼らはその機能を真っ先に「無制限」にした。 […]

ロックダウン直前にオープンしたインスタ映えレストランの現状

満を辞してサンフランシスコにインスタ映え確実なレストランが開店!ただ、タイミングが悪かった… 外出自粛令による売上の大幅縮小とレイオフの実施、起死回生の策を探る ソーシャルメディアの活用とユーザーの嗜好に合わせたメニュー改編でピンチを乗り越える 店舗でのハイレベルな顧客体験をデリバリーでどう再現するか、重要なのはモノより体験 街中が封鎖される直前に体験重視のめっちゃオシャレなレストランがオープンしたらどうなってしまうのか? シェフでオーナーのカセム・セーンサワンと妻のイング・チャタージーは、3月初旬にサンフランシスコ市内に新しいレストランをソフトオープンした。 このレストラン、Son & Gardenはインスタ映えを求めるキラキラ系の熱狂的な夢をイメージしてデザインされた。 インスタ映えバッチリのたSon & Gardenのインテリア インスタ映えを狙った体験型レストラン in サンフランシスコ 室内の壁や天井には花が散りばめられ、全体にブルーの花柄の壁紙が貼られている。店内には「シークレットバー」と呼ばれるエリアもあり、テーブルと座り心地の良いベルベットのラウンジチェアが用意されている。 メニューとしては、アフタヌーンティーセットに加え、バニラソースとブルーベリーのコンポートを使ったリコッタパンケーキ、ポテトウェッジとマッシュルームソースのフライドチキンドーナツ、自家製ベーコンとエンドウ豆、卵、ペコリーノ・ロマーノを使ったパスタカルボナーラなどがある。 その内装、盛り付け、雰囲気、サービス、全てがソーシャルメディアでシェアされることに特化してデザインを施されたレストランだ。 提供するメニューや食器もかなりオシャレ キラキラ系女子垂涎の演出満載 リコッタのパンケーキとブルーベリーのコンポートが芸術的に盛り付けられ、「クラウド9」と呼ばれるスパークリングワインのカクテルの上には、青い蝶々をあしらった綿菓子がトッピング。 すべてがインスタグラムで話題になるように仕立てられたもので、招待されたインフルエンサーたちは、Son & Gardenがグランドオープンする前から、三脚やリングライトを持ってきて、このマジカルな空間を撮影していた。 インフルエンサーを通じて話題沸騰になる…予定だった しかし、3月16日にはサンフランシスベイエリアでは、外出自粛が施行され、レストランやバーの営業に大きな制限が設けられた。それにより、この体験型の新しいレストランがテイクアウトのみに追い込まれた。 オープンまでに2年間という年月と、かなりのコストを掛けオープンに漕ぎ着けた。しかしそのわずか2週間後に市によりシェルターインプレイスの要請が発動された。それにより、忙しい日には2万ドル近くあった売り上げが、4,000ドルにまで落ち込んだとオーナーは語る。 View this post on Instagram Who’s ready to par-tea? ☕️❤️ Tag your pals who needs to experience the Son & Garden High Tea Set! ⤵️⤵️⤵️ A post shared by Son & Garden (@sonandgarden) on Feb 23, 2020 at 6:38pm PST スタッフをレイオフし家賃支払いの猶予要請も これにより、スタッフの60%をレイオフせざるを得なくなり、2ヶ月分の家賃支払いの延期を物件の大家にリクエストした。彼らは州政府に中小企業向け支援を申請しているが、いまだ返事は来ていないという。 現在、全国のレストランの多くが苦戦している中、Son & Gardenのような新しいレストランは特に厳しい状況にある。老舗レストランではある程度テイクアウトを求める常連客を期待できるが、新規オープンの所はまだ忠実なファンを確保できていない。 そのため、インスタ映えするブランチのためにデザインされたSon & Gardenも、シェルターインプレイスの下では、テイクアウトとデリバリーのみにピボットしなければならなくなった。 View this post on Instagram We have exciting news! Our beautiful Cloud 9 boozy drink is available to go 🦋☁️ You can now enjoy this fun drink at home. Available for pick up in store […]

トイレットペーパー買い溜めをデザイナーとして分析してみた

トイレットペーパーが売り切れの論理的理解:1人当たりが使うトイレットペーパの量に変動はなくても、「家庭用の」トイレットペーパーが自宅隔離で必要になっている
一方で、論理的に解釈できない理由こそ、人間の心理・価値観を表している
①ガラガラになった商品棚。抱きかかえられたトイレットペーパー。見た目のインパクトによる購買掻き立て
②他人の行動を見て自分の行動を決める
③非常事態下で自宅隔離という「手持ち無沙汰感」
解決策のポイントは、人の心理・価値観を理解した自由と制限、信頼のバランスにあり

はじめに…

環境保護とUXデザインの両立!3つの例に学ぶ優れたサービスとは

環境問題への配慮と、ユーザー体験の良さは両立しうるのか。 環境◎ × UX△:紙製ストローに学ぶ、ユーザーを置いてけぼりにしないプロダクトとは 環境◎ × UX◎:Square社の決済端末と、Nimble社のポータブル充電器が持つユーザー体験の質の高さ ユーザーにとっての課題を問い、問題起点での発想が重要 地球環境問題を解決する方法はどれも辛く、不便なものなのだろうか。真夏の冷房・真冬の暖房を気合で我慢したり、複雑すぎるまでのゴミの分別など日常生活で求められることは多く、環境対策のために工夫が必要な時代となった。 そうした中、環境対策とユーザー体験満足度が両立された製品・サービスは世の中にいったいいくつ存在するだろうか。 環境対策と良いユーザー体験の両立はやはり実現が難しい問いなのだろうか。ロサンゼルスとサンフランシスコで暮らし始めて6年余り、そんな問いが筆者に芽生え始めた。 人口約4,000万人を誇るカリフォルニア州では、2045年までに州内で使用される電力の100%を再生可能エネルギーで賄うという強気な法案を可決するなど、環境対策に関して世界を牽引している州として有名である。 ユーザー体験面に関しても、イノベーションの街、サンフランシスコ・シリコンバレーを中心に環境対策とユーザー体験満足度の両立を目指す製品・サービスが日常的にも体験できるようになってきた。 今回は、その中でも実際の体験を通して気づいた事例を3つ紹介すると共に、果たして環境対策とユーザ体験満足度は両立するのか、もしくは本当に両立させるべき問いなのかを考えてみたい。 この機会に新しい分野の動向をチェックしつつ、自社の次なる新規事業開拓のヒントに繋げて頂けたら幸いだ。 環境に良い × UXに課題ありの例:紙製ストロー カリフォルニア州では、2019年1月から、同州に店舗を構えるフルサービス型レストラン(店員がお客の注文を取り、席まで料理を運ぶ形式)でのプラスチック製ストローの提供を原則禁止する法律が施工された。 この政策をきっかけに、フルサービス型レストランだけではなく、スターバックス社やマクドナルド社などの大手企業でも、自主的にプラスチック製ストローの提供を取り止めると発表し話題となった。 プラスチック製ストローの代替案として現在市場に出ているのが、紙製ストローである。紙で作られたストローは、ゴミの分別が簡単でリサイクルにも繋がり環境に良く、企業としての導入コストも安いため、多くのレストランや飲料店で提供され始めている。 環境には配慮されている一方で、ユーザーの体験満足度はどうか。正直、それほど素晴らしいものとは言えない。「紙ストローは飲み物を飲んでいる最中に、ふやけて型崩れするから最後まで飲めない」など否定的な声が多く聞かれる。 そしてそれを見越してか、最初からストローを2つ貰う人もしばしば目にする。これでは結果的にゴミの量が増え、環境対策という点においても問題解決に繋がらず、支離滅裂である。 もちろん、上記のような懸念から、より丈夫で環境にも考慮された竹製ストローやシリコン製ストローなど代替品は出てきてはいるものの、紙ストローに比べて導入コストが高く、採用に足踏みをしている店舗が多い印象だ。 試行錯誤は繰り返される一方で、なぜ環境面もユーザー体験満足度も確保された解決策が生み出せないのか。この問題で重要なポイントは、「プラスチックストローの代替案になるのは何か?」という解決策視点ではなく、「そもそもユーザーにとってストローとは何か?」という問題起点で物事を考える視点が必要である。 ユーザーにとってストローは、飲み物を飲むためのただの道具であり、最終的なゴールは飲み物をストレスなく飲むことである。つまり、ストローがなくても、飲み物を飲めさえすればユーザーはHappyなのではないだろうか。 スターバックスのストロー不要のフタ プラスチックストローの代替案ばかりに気を取られ、ユーザー体験を置いてけぼりにしてしまっては使われない製品となり、絶対に問題解決に繋がらないのである。 環境に良い × UXも良い例:Square社の決済端末 アメリカでレストランに行くと、いつもお会計にひどく時間が掛かる。チップ制度があるアメリカでは、各テーブルに1人店員がついてくれるのが通常だが、これがピーク時ともなると、その店員の手が空くまで座席で待つことになり、この時間が本当にとてつもなく長い。 そこから、会計表を貰って、クレジットカードを渡して、チップを計算して、レシートにサインをしてとなると、それだけで最低15分は必要になる(おしゃべり好きなアメリカ人なら尚更時間がかかるだろう)。 また、顧客によっては、レシートのハードコピーを希望する人がまだまだ多く、ペーパーレス化という環境面においても課題が残っているのが現状で、環境とユーザー体験満足度に関して課題を抱えている場面であった。 そうした中、2009年にサンフランシスコで創業された、新しい形の決済サービスを提供しているSquare社がSquare Terminalという新しいサービスを開始した。 Square Terminal Square Terminalの最大の特徴は、Wi-Fi接続ができ、デバイスの充電は1日持続するため、店員が常にこれを持ち歩いて仕事できるところにある。これにより客は卓上で支払いを済ませることができるようになる。会計表を待ったり、店員がレジまでクレジットカードを切りに行ったりするのを待つという、ムダな時間を過ごさなくて済む。 レシートに関してもデジタルでの送付が可能なため、紙の削減に繋がり、環境にも十分考慮されている。一見、レシートを削減したところで大した環境対策効果はないのではと思われがちだ。 しかし、米国での1年間のレシートの消費量は相当なもので、Green Americaが行った調査によると、年間300万本の木と90億ガロンの水を消費しているとの報告もあるほど深刻な問題なのだ。 こうした環境とユーザー体験満足度が両立された製品が生まれるポイントとして、ユーザー体験に着目し、問題起点で考えられた製品開発を行ったからだと考えている。 今までのクレジットカード決済端末では、持ち運びができず待ち時間が重なり、レシートもハードコピーだけで、ユーザーにとっても環境保護にとっても特別良い体験とは言い難かった。 Square社は、「お店での会計体験がストレス」というユーザーが抱える課題に着目し、どうすればそれを変えることができるかという視点で取り組んだからこそ、多くの店舗にも採用され、レシート紙の削減という環境対策にも繋がっているのだ。 環境に良い × UXも良い例:Nimble社のポータブル充電器 様々な業界が環境対策に動く中、家電・電化製品分野は特に対応が遅れていると言われている。それはなぜか。多くの家電製品は使い古した後ゴミになり、土に還ることができず、リサイクルするにしても引き取りなどには費用が掛かるため、身動きが取れず放っておかれる、もしくは間違った方法で破棄される状況に陥ることが多いからである。あなたの自宅にも使い古しのスマートフォンや電化製品がいくつかないだろうか。 カリフォルニア州に拠点を構えるNimble(ニンブル)社は環境に優しいリサイクル可能なポータブル充電器を製造・販売しているスタートアップ企業だ。 同社の最大の強みはそのポータブル充電器だけではなく、上記のようなユーザーが持つ「使い古しの電化製品の処理方法に困る」という課題を解決しているところにある。 まず製品面。Nimble社では、製造している充電器の素材はもちろん、付属ケーブルや製品をユーザーへ発送する際の梱包もリサイクル可能な材質を採用しており、製品そのものが既に環境に配慮されている。 Nimble社のポータブル充電器 環境に配慮された充電器と聞くと、製品の性能や価格面でネガティブに捉えられがちだが、しかし、使ってみての印象は市販のポータブル充電器よりも長持ちし、充電速度も速く、デザインも素晴らしい。 価格設定も手頃で、ワイヤレス充電器は40ドルからと大手ブランドと比べても同等か安い印象があり、ユーザー体験満足度は高い。 ユーザーとしてはそれだけでも満足なのだが、この企業の素晴らしい点は他にもある。最大の特徴は、製品を使い古した後の処理に掛かるカスタマーサポート面だ。Nimble社の製品を購入すると、電子機器のリサイクルに利用できるグレーの袋が付属品として付いてくる。 付属リサイクル袋 この袋には、最大1ポンド(450g)までの重さであれば、どんな電化製品でも入れることができ、無料でリサイクル業者への配送に対応してくれる。 自宅に転がっている使い古したスマートフォンやカメラなどのリサイクルにも対応することで、電化製品の処理に困っているユーザーの課題を解決し、環境対策にも適用しているのだ。 この例もSquare社同様、ユーザーが抱えている問題は何なのかという問題視点でサービスを作った事が最大のポイントだと言える。ただ単に環境に良いポータブル充電器を作り、販売しているだけではおそらくユーザーには届かず、問題解決には繋がっていなかっただろう。 ユーザーが抱える問題をしっかりと考えた上で作られた製品・サービスだからこそ、多くの人に受け入れられより強い形で環境対策にも貢献できていると考える。 まとめ 今回は、環境対策とユーザー体験満足度が本当に両立するのか、そしてそれは達成されるべき問いなのかを考えるために、事例を用いながら紹介をした。 環境問題は世界が抱える課題の1つで、一刻も早く対策が必要の分野であるが、そこでユーザー体験を置き去りにしてしまっては、せっかくのソリューションも使用されず意味がなくなってしまう。 ここで最も難しい問題は、ユーザーがそのサービスや製品を利用することによって、どれだけ環境保護の役に立っているのか見えづらく、継続に繋がりづらいところにある。真夏の冷房・真冬の暖房を気合いで我慢をする行為は、正直バカらしく続けられない人が多いだろう。 環境もユーザー体験も両立された製品やサービス開拓は難しい問いであるが不可能ではない。それを達成するには、ユーザーへの共感、そして問題起点で考え、ユーザーに継続して利用してもらう必要がある。紙ストローの例のような環境対策だけに目を向けた解決策では、その場凌ぎにしかならず、長期的な展望は見込めない。 Square社やNimble社の例のように、ユーザーが抱える課題を起点に考えられたソリューションであれば、短期的な効果は望めなくても、長期的に利用者数が増えることで、それが結果的に環境対策にも繋がり両立が達成されるのではないだろうか。 btraxでは、ユーザーへの共感を通して課題を解決するためのワークショップ、「Innovation Booster」を提供している。ユーザーのニーズや課題にフォーカスした新規事業開発プロセスに興味のある方は、ぜひこちらまで問い合わせ頂きたい。 関連記事:「誰にも使われない機能を持つ製品」が生まれてしまう2つの理由

WORKMANプラスじっくり見てきました。

株価とかですごく期待してんやけどなあ。 アウトドアとしては価格破壊です。これだけでも価値はあるかもですね。 ただカラーとかデザインとかはまだまだやなあという感じでしたね。しかし秋冬はこれからまだ期待できるとして、春夏の商 […]

2019年のデザイン経営トレンドを振り返る

2019年を締めくくるにあたり、経営におけるデザインの与えるポジティブインパクトについて、まとめてみたい。アメリカ西海岸をはじめ、多くの企業がすでにデザインの恩恵を受けているが、まだまだその数は少なく、世の中のビジネスの大半は、その重要性をいまだ実感していない。 数字で表される経営に対するデザインの力 米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。 ちなみに、このDesign Value Index指数におけるDesign-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り: 過去10年間で上場している 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している 参照: Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders また、2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出ている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン施策の計測方法とその活用事例 マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語る。マッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測している。 1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用 例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。 2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計 例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。 3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる 例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにした。 4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨 例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出した リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかった。逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあった。 デザインが経営に与える具体的なインパクト InVisionが実施した、デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れている。 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 2019年はデザイン経営元年 グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じる。 今年は年始に予測した通り、主に下記のような変化があったと感じる。 デザインが経営資源の一つの軸に 差別化要因としてのデザインの役割 データ活用とAI連動の実用化 デザイナーの概念の変革 デザイン会社と企業の連動が常識に 参考: 【2019年】デザインと経営に関する5つのトレンド予測 世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値 これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきた。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになる。 現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分である。 数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきている。 差別化の最後の砦となるデザイン的要素 むしろデザイン力を武器にすれば、大きな差別化要素を生み出すことも可能になってくる。 このことは、SONYの前会長、大賀典雄氏の下記の言葉からも推し量ることができるだろう。 SONYでは、同業他社の製品は全て基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。 価格競争から抜け出し付加価値で勝負 特にアメリカでは、今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきている。 言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってくる。さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ない。 まずは社員にデザイナー的マインドセットを デザイン経営を始めるにあたり、よく聞かれるのは「何から始めたら良いでしょうか?」という質問。答えとしては、スタッフの方々にデザインの基本や、その役割を理解してもらう事から始めるのが良いと思われる。言い換えると、デザイナー的マインドセットを身に付ける事である。 デザイナー的マインドセットとは デザイナーの人たちが普段問題解決を行う際に利用している考え方やプロセスを元にした価値観や考え方。 デザイナー的考え方: クリアにコミュニケーションを行なう 正しいものを正しいところに 自由な発想からスタート 制限をクリエイティブの源に 顧客/ユーザー視点で考える 仮説 → コンセプト→ プロトタイプ → 検証→ 改善のプロセス 失敗から学ぶ 心地よさを優先する ロジックと感覚の両方を活用 分かりやすく使いやすくを優先 Less is more 相手の気持ちを理解する 細部にこだわる […]

2019年のデザイン経営トレンドを振り返る

2019年を締めくくるにあたり、経営におけるデザインの与えるポジティブインパクトについて、まとめてみたい。アメリカ西海岸をはじめ、多くの企業がすでにデザインの恩恵を受けているが、まだまだその数は少なく、世の中のビジネスの大半は、その重要性をいまだ実感していない。 数字で表される経営に対するデザインの力 米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている上場企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。 ちなみに、このDesign Value Index指数におけるDesign-centric Organizationに選ばれるための評価項目は下記の通り: 過去10年間で上場している 経営とマネージメントの根幹にデザインを活用してる デザインに関する事柄に対しての投資と影響力が増えている 企業の組織構造とプロセスにデザインが浸透している 経営陣に15-20年のデザインバックグラウンドをもつ者が含まれている 経営トップ及び部門長がデザインの重要性を理解し実践している 参照: Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders また、2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果が出ている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザイン施策の計測方法とその活用事例 マッキンゼーのパートナーであり、イギリスでプロダクト開発とデザインに関するサービスを提供するベネディクト・シェパードによると、商品の差別化がどんどん難しくなってきている現代において、多くの企業の重役たちが、プロダクトやサービスデザインの重要性を叫び始めていると語る。マッキンゼーの調査では、下記の4つの領域においてのデザインの経営に対するインパクトを計測している。 1. デザインの影響が実際の数字で計測できる領域での活用 例: とあるゲーム会社はホームページのユーザビリティを改善したことで売り上げが25%アップした。 2. ユーザーとの対話を最優先したユーザー体験 (UX) 設計 例: とあるホテルは、お土産のアヒルのおもちゃにそれぞれの都市名を刻印することで、コレクション性を高めた。それにより顧客の維持率が3%高まった。 3. プロジェクトチームに優秀なデザイナーを参加させ裁量を任せる 例: ストリーミング音楽配信サービスのSpotifyではデザイナーに多くの権限を与え、自分たちの判断で自由な活動ができるようにした。 4. プロダクト開発においてリサーチ、プロトタイピング、改善を推奨 例: とある旅客クルーズ会社は、ユーザー行動調査及び支払データを元に、船上で人気の高い活動を分析し、機械学習を活用することで、最も効率の良い船のレイアウトを導き出した リサーチの結果、上記の4つの領域を一貫して実行している企業は売り上げなどの業績が他の企業よりも急上昇していることがわかった。逆に言うと、この4つ全てをしっかりとコミットしていなければ、しっかりとした結果が出てないという事でもあった。 デザインが経営に与える具体的なインパクト InVisionが実施した、デザインを経営経営に取り入れている企業300社に対するリサーチによると、具体的に下記のようなメリットが表れている。 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 2019年はデザイン経営元年 グローバル規模では上記のような統計データがあるものの、日本国内において本当の意味でデザインの経営における重要性が理解され始めたのはここ最近であり、2019年になってからやっと本格的に企業がデザインに対しての取り組みを進めていると感じる。 今年は年始に予測した通り、主に下記のような変化があったと感じる。 デザインが経営資源の一つの軸に 差別化要因としてのデザインの役割 データ活用とAI連動の実用化 デザイナーの概念の変革 デザイン会社と企業の連動が常識に 参考: 【2019年】デザインと経営に関する5つのトレンド予測 世の中が豊かになったからこそ求められるデザイン的価値 これまではどの企業も価格や機能、品質などの「カタログ要素」で勝負をしてきた。しかし、全てのプロダクトのコモディティ化が進む中では、カタログには乗りにくい特性、例えば、斬新さや、美しさ、使い心地の良さなどで他社製品と争うことになる。 現代のような豊かな時代では、合理的、理論的、そして機能的な必要に訴えるだけのプロダクトでは、とうてい利益は上げられない。これからのビジネスの世界では、手頃な価格で十分な機能が備わった製品を製造するだけではもはや不十分である。 数字で表現できる性能の高さに加え、感覚的に美しく、ユニークで、意味があり、利用体験の優れたプロダクトでなければ、消費者の心を動かすことが難しくなってきている。 差別化の最後の砦となるデザイン的要素 むしろデザイン力を武器にすれば、大きな差別化要素を生み出すことも可能になってくる。 このことは、SONYの前会長、大賀典雄氏の下記の言葉からも推し量ることができるだろう。 SONYでは、同業他社の製品は全て基本的に同じ技術を使っていて、価格、性能、そして特徴に差はないと考えている。市場において製品を差別化できるものは、デザインをおいて他にない。 価格競争から抜け出し付加価値で勝負 特にアメリカでは、今日の供給気味の市場の中で、他社製品やサービスとの差別化を図るには、デザイン性やユーザー体験の品質が高く、消費者の心に訴えかけるようなものを提供するしかなくなってきている。 言い換えると、どれだけ付加価値を提供できるかが勝負のポイントになってくる。さもなければ、熾烈な価格競争に巻き込まれるのがオチであり、中国などの製造コストの安い国には全くをもって太刀打ちすることが出来ない。 まずは社員にデザイナー的マインドセットを デザイン経営を始めるにあたり、よく聞かれるのは「何から始めたら良いでしょうか?」という質問。答えとしては、スタッフの方々にデザインの基本や、その役割を理解してもらう事から始めるのが良いと思われる。言い換えると、デザイナー的マインドセットを身に付ける事である。 デザイナー的マインドセットとは デザイナーの人たちが普段問題解決を行う際に利用している考え方やプロセスを元にした価値観や考え方。 デザイナー的考え方: クリアにコミュニケーションを行なう 正しいものを正しいところに 自由な発想からスタート 制限をクリエイティブの源に 顧客/ユーザー視点で考える 仮説 → コンセプト→ プロトタイプ → 検証→ 改善のプロセス 失敗から学ぶ 心地よさを優先する ロジックと感覚の両方を活用 分かりやすく使いやすくを優先 Less is more 相手の気持ちを理解する 細部にこだわる […]

なぜ優秀なデザイナーでも酷いデザインを生み出してしまうのか?

日常生活において「なんでこんなデザインにしちゃったんだろう?」と感じることが意外と多い。誰がどう見たって醜いルックス、どうしたって使いにくい操作性、非常に心地悪い体験、などなど。もっと良いデザイナーにデザインさせろよ!と思うかもしれない。でも、もしかしたら原因は他にある可能性も。 優秀なデザイナー ≠ 優れたアウトプット 優れたデザイナーに頼めば、必ず優れたデザインをしてもらえるのか?答えはNo。むしろどんな優秀なデザイナーであっても、低いアウトプットのクオリティーが低いものになってしまうこともある。そして、その理由はデザイナーのスキル以外にあったりする。これは、イコール優秀なデザイナーさえ雇えばクオリティーの高い結果が出るわけではないということでもある。 ■ 醜いデザインが生み出されてしまう主な理由■ 事前に十分なインプットが得られていない 間違った期待値設定 クライアントや担当者に対して間違った質問をしている 民主主義の決定プロセス PM主体のプロジェクトプロセス フィードバックではなく承認を求め始める 身の丈に合わないプロダクトスペック チームメンバーの主観だけで決めてしまう 全体のUXよりも見た目のデザインを優先してしまう 長期的なUXゴールよりも短期的な結果を優先してしまう 組織が分断されている デザイナースキルのミスマッチ 心理的安全性が担保されていない 多様性の低いチームメンバー構成 求めるデザインの仮説を立て、リサーチを行い、ユーザーとの対話もし、チェックポイントごとに関係各所と綿密な確認も行なった。その後、QAをして、リリースまで漕ぎ着けた。しかし、完成したものを見てみると、なぜか微妙な結果になっている。そのような事例は後を絶たない。これは、デザイナーの能力に問題があったのではなく、多くの場合、組織構造、プロセスや期待値設定など、複合的な理由であることがほとんど。 より良い結果を望むのであれば、デザイナーの方々だけでなく、社内でも、社外でも、デザイナーと仕事をする方々にもぜひ覚えておきたい落とし穴をいくつか紹介する。 事前に十分なインプットが得られていない これは、デザイン会社とクライアントとのプロジェクトで生まれやすい落とし穴。本来はプロジェクトをスタートする時点で、クライアント側からプロジェクトの目的やゴールなど、の入念なインプットに十分な時間を費やすべきなのであるが、どうしても忙しい、納期がきつい、めんどくさい、などの理由で、いきなりデザイン作業に移行してしまうことがある。この“見切り発車”が大きな落とし穴。 そうなると、しばらくしてから出来上がった物がクライアントが想定していた目的に準じていない感じになってしまう。我々、btraxでは、プロジェクトの開始時の1-2週間を”ディスカバリーフェーズ”と名付けた、情報共有と信頼関係構築のための期間に充てる。そうすることで、結果的に時間とコストの短縮につながる。 典型的な結果例: クライアントから発注内容と異なるというクレームが出る 間違った期待値設定 デザインが課題の解決や目的達成のための手段だとするならば、まず最初のゴールや期待値の設定がとても重要になってくる。しかし、多くの場合その時点で既にズレが生じている。多くの場合は、当初設定していた期待値よりも、より多くのことを求めすぎる傾向がある。 例えば、ECサイトのチェックアウト機能の改善という目標に対して、リピート顧客がよりスムーズに買い物ができるようにするために、ステップを減らす、というゴール設定をしたとする。しかし、それがいつの間にか「ユーザーの買い物体験の向上」といった、壮大なるテーマにすり替わり、デザインフォーカスがぶれ始める。 その結果、本当に何を達成すべきかを見失い始め、当初設定していたゴール達成が難しくなってくる。これは、多くの場合、プロジェクトリーダーが上司の顔を気にしすぎることで、欲張りになってしまっているのが原因だ。 典型的な結果例: 何をするにも使いにくいデザイン、構成要素が多すぎて分かりにくい 関連記事: デザイン最優先のAirbnbがユーザー獲得のために行う3つのマインドセットと4つのコアプロセス クライアントや担当者に対して間違った質問をしている デザイナーが最もしてはいけない質問は「こんな感じでどうでしょうか?」だろう。この質問をした瞬間に、そのデザインに対する主導権は相手に渡ってしまい、デザイナーの仕事は一気に言われたことだけをやる、オペレーターになってしまう。 そして、最悪なことに、その時点からデザインのことがよくわからない素人が、個人的な感覚で指示を出し始める。そこにデザイナーとしてのアイディアを提案する余地は残されていない。そうなってくると、その後はデザインのクオリティーがどんどん劣化してしまうだけだ。 以前に先輩のデザイナーから受けた最も重要なアドバイスの1つが「デザインプレゼンの際にはデザインの話をするな」だった。この狙いは、そのデザインが解決するべき課題や、目的、経営的ゴール、プロダクトのビジョンなどにフォーカスを当てることで、デザインを”目的”ではなく、あくまで”手段”として客観的に捉えるようにすることだ。 その目的も考慮せずに、ボタンの色は青が良いか、赤が良いか、のような議論が始まったとしたら要注意である。 典型的な結果例: デザイン理論的にもトンチンカンなアウトプット 民主主義の決定プロセス 優れたデザインを世の中に出すことよりも、プロジェクトメンバーや上司の顔色を伺うことを優先したプロダクトは必ず失敗する。例えば、Appleの製品のその多くが、機能面でかなり”削られた”ものであるケースが多い。それは、iPhoneの物理的ボタンの数や、Macbookのポートの数を見てもわかる。これがもし、プロジェクト参加メンバーみんなの合意を得るプロセスであったとしたら、あのようなプロダクトは生まれない。 また、SONYのウォークマンのような、新しい価値を生み出すプロダクトは、熱狂的なリーダーの一存で決まっていくことも多い。この辺は議論やぶつかりを避ける傾向にある日本企業にとっては大きなハンデとなっている。 典型的な結果例: つまらないデザイン、機能てんこ盛りのプロダクト 関連記事: なぜデザインはシンプルな方が良いのか PM主体のプロジェクトプロセス ユーザーのと対話がデザインプロセスの中で最も重要なポイントであるのであれば、デザイナー自身がエンドユーザーとの対話ができていないのに優れたデザインを生み出すのは、ほぼ不可能に近いだろう。しかし、多くの場合は、プロジェクト担当者やPMの方が表に立ち、デザイナーはあくまで”裏方”として仕事を進めていく。ここにプロセス的に大きな問題が潜んでいる。 デザイナー自身が直接ユーザーとの対話ができないことでモチベーションが下がり、デザインのオーナーシップが失われる。そして、その後はデザイナーとPMとの伝言ゲームが始まり、負のスパイラルに陥る。加えて、デザイナーは最終的なビジネスゴールを理解するのが難しくなり、見た目のデザインだけに終始してしまう現象が発生する。 典型的な結果例: 見た目のクオリティーは悪くないが、妙に使いにくいUX フィードバックではなく承認を求め始める プロジェクトにおける定期的なチェックポイントでは、主にフィードバックとディスカッションに時間を費やすべきなのであるが、チーム内、およびデザイン会社とクライアントの間でフラットな信頼関係が構築されていない場合、どうしても、承認を得るのが目的になってしまい、ミーティングの内容も「これで進めて良いでしょうか」に終始してしまう。 このプロセスに巻き込まれると、承認を得るために、決定権のある人の顔色ばかりを伺ってしまい、デザイナーのスキル以上のアウトプットを出すことが不可能になる。 典型的な結果例: とてもダサいデザイン 身の丈に合わないプロダクトスペック サイトやサービス、プロダクトを考える際には、リリースした後の状態も考慮して設計をする必要がある。と言うのも、あれもこれも含めてしまって、リリース後にコンテンツが間に合わないケースが多発しているからだ。 例えば、更新頻度がめっちゃ低いブログや、表記項目だけあって、中身が空っぽのECページなど、明らかにリリース後の運用フェーズを想定せずにデザインされていることが意外と多い。また、リソースの足りなさから、箱は作ったものの、中身が空っぽの状態でユーザーに届けられる。 そうなると「これ、誰が責任持ってアップデートしていくの?」という質問が公開後にされ、短時間でサービス終了に追い込まれるケースも少なくない。 典型的な結果例: UIは美しいが、コンテンツが空っぽのアプリ チームメンバーの主観だけで決めてしまう 優れたデザインプロセスには、ユーザーとの対話が不可欠である。しかし、現実はそれを行っていない場合の方が多いだろう。なぜなら、デザイナーを含めた、プロジェクトチームのメンバーの直感で多くのことが決められるからだ。人間は視覚で物事を判断しやすく、ことビジュアルデザインに関しては、エンドユーザーでなくとも、意見が言いやすい。 それが上司なのか、クライアントなのか、製作者なのかはケースによって異なるだろうが、想定される利用者からのフィードバックを得ずにデザインされたプロダクトのクオリティーはどうしても低くなってしまいがちである。 典型的な結果例: 説明してもらわないと意図が伝わりにくいプロダクト 全体のUXよりも見た目のデザインを優先してしまう これは、昔からの叩き上げや、アーティスト気質のデザイナーが陥りやすいトラップ。本来、プロダクトやサービスにおけるデザインクオリティーを考えた場合、総合的なユーザー体験が最も優先されるべきである。しかし、目先のビジュアルクオリティーにこだわりすぎたがために、利用した際に、使いにくい、心地悪いUXになってしまうこともある。 このポイントにおけるもう1つの弊害は、デザインした内容が技術的に実現不可能であるケース。見た目にこだわりすぎて、実際にどのようなテクノロジーを活用して”動かす”かを見落としているために、総合的なUXが全く実現されなくなる。 典型的な結果例: 全てが画像になっているサイト 長期的なUXゴールよりも短期的な結果を優先してしまう ビジネス的な結果を重視するのは良いのだが、短期的な結果を求めすぎるが故に、長期的なユーザー体験が犠牲になる。そして、最終的にはブランド価値の低下を招き、顧客離れが起こってしまう。 例えば、短期的な売り上げや問い合わせを増やすことに気が取られすぎると、サイトに余計なポップアップバナーやキャンペーン広告がどんどん表示されたり、連日割引メールが届いたりする。短期の売り上げ目標を達成し、予算獲得をしたいのはわかるが、長期的には絶対的にマイナスなイメージしか残らない。 典型的な結果例: 売り上げ重視が丸見えの使いにくいサイト 関連記事: UXハニカム – UXデザインの正しい品質評価方法 – 組織が分断されている 多くの現代企業における大きな問題の1つが、組織の分断だろう。戦略、マーケティング、企画、エンジニアリング、などそれぞれの役割のチーム間にギャップができてしまうと、ユーザーにとって使いにくいプロダクトや体験が生み出される。優れたデザインを求めるのであれば、相互が重なり合う、”クロスファンクショナル”なチームが理想とされる。 お互いがお互いの領域を理解しながらも、自分たちの専門分野をカバーすることで、一貫したユーザー体験を生み出すことができると考えられている。 典型的な結果例: 一貫性の無い体験、低いユーザービリティー 関連記事: 澤円x越川慎司激論!日本企業がイノベーションを生み出す組織になるには【DFI 2019】 デザイナースキルのミスマッチ そもそも、”優秀なデザイナー” という概念自体がナンセンス。それぞれのデザイナーには得意な範囲や、媒体、スタイルがあり、どんなプロジェクトに対しても良い結果を出すことのできるデザイナーは皆無だろう。 加えて、今の時代は、グラフィック、Web、イラスト、UI、UX、サービスデザイン、ビジネスデザイン、などデザイナーが関わる範囲が無限大に広がっており、一人のデザイナーが全てのエリアで貢献するのはほぼほぼ不可能である。 これは医者に例えると分かりやすい。一言で”医者”と言っても、内科、外科、精神科など、異なる症状に対して、そこにエキスパートがいる。何事も適材適所が重要だ。 逆に考えると、デザイナーとしては、自分の得意な領域とスタイルを集解と理解し、そのスキルセットに合致した役割を与えてもらえるプロジェクトに関わらないと大怪我をしてしまう。 典型的な結果例: フレキシブルになっていないUI、ずれた色やレイアウト、タイポグラフィーの詰めが甘いパンフレット 心理的安全性が担保されていない 優れたデザインを生み出すには、ディスカッションをする時点で、異なる役割の人から多種多様なアイディアを出すことから始める。その際には、”Yes, &”と呼ばれる、相手の意見を否定せずに、よりそれを良くする助言をする姿勢が良いとされる。そうすることで、どんな肩書きや役職の人であっても、否定されることを怖がらずに発言ができる安心感が得られる。 これを心理的安全性の担保されている状態と呼び、Googleが行った調査によると、パフォーマンスの高いチームに共通していたポイントだという。相手の反応が怖くてクレイジーなアイディアが出せないチームは、面白いプロダクトが作り出せない、と解釈しても良いだろう。 典型的な結果例: どこかで見たことのある平凡なプロダクト 関連記事: 上司が若手を育むための5つのマインドセット【DFI 2019】 […]

【今さら聞けない】デザインがビジネスにこれほど重要な理由

経営におけるデザインの重要性が叫ばれるが具体的な成果があまり出ていない デザインがもたらす7つのメリットとは? なぜデザインがイノベーションに不可欠なのか? 企業内にデザインを浸透させるための7つのポイント グローバル規模でデザイン的競争力をあげるには デザイン思考やデザイン経営などのバズワードが巷にあふれ、オープンイノベーションやデジタルトランスフォーメーションなどのカタカタキーワードが羅列される。そんな状況で実際に結果としてどのようなアウトプットが生み出されているのか?おそらく、日本国内で働いている人たちのその多くが、上記のようなトレンドとに関する取り組みに少なからず関わったことがあることだろう。 その一方で、デザインがプロダクトや企業経営に対して具体的な結果として効果を生み出した事例は、日本国内で見渡してみると驚くほどに少なく感じる。その一方で、グローバル規模で考えてみると、デザインのビジネスに対する利点は具体的な数字としてクリアになってきている、 参考: 統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ そのギャップを少しでも埋められないかと思い、我々btraxでもfreshtraxのようなメディア、DESIGN for Innovationに代表されるイベント、そして、デザインサービスを通じて、日本企業の国際的デザイン競争力の向上に寄与できないかと試みている。 今回は、先日開催されたイベント、DESIGN for Innovationの総括として、最も基本的な事柄である、なぜデザインが企業の経営やビジネス全体に重要な役割を果たしているのかを今一度まとめてみることにした。 デザインがもたらす7つのメリット “良い”デザインが大切な理由を考える際に、そこからどのようなメリットを得るかがわかると理解しやすい。大きく分けると恐らく下記の7つに集約されるだろう。 1. ユーザビリティー向上 直接的な効果として、商品やソフトウェアなどの使いやすさが向上する。例えば、リモコン1つとってみても、ボタンの数が少ない方が使いやすい。デザインの質を上げれば、単純により使いやすいプロダクトになる。 参考: 優れたユーザビリティを実現する25の基本概念 2. 効率性の向上 ソフトウェアが使いにくいために、作業効率が下がってしまった経験はないだろうか?特に業務用システムの場合、どうしてもセキュリティーや安全性を優先することで、使いやすさが犠牲になってしまうことも多い。その一方で、シリコンバレーの企業を中心に、最近では、効率性を高めるデザインに注目が集まってきている。 日本でも働きかた改革などの影響で、労働時間を減らす傾向にある。その一方で、求められる結果は同じであることも多い。少ない時間で同じ結果を得るには、より効率化を進める必要が出てくる。そこで必要になってくるのが、より優れたデザインを採用したツールや環境だったり、プロセスだったりする。 参考: 【ワークライフバランスはもう古い】新しい働き方、ワークライフインテグレーションとは 3. 安全性の向上 デザインの品質が悪いと、時に人の命も奪う結果につながってしまう。2016年の夏にロサンゼルスの郊外の自宅の入り口付近で、27歳の俳優が死亡した。それも、自身が運転していた車に押しつぶされて。どうやら、彼は一度自動車を停め、自宅のゲートを開けようとしていたところだったと推測された。 なぜこんなことが起こったのか?調査によると、彼の2015モデルのジープはリコール対象になっていた。原因はそのシフトレバーのデザイン。パッと見では”P (パーキング) “に入れていることがわかりにくい事で、それまでにも100件ほどの事故が発生していたという。間違ったデザインが安全性を下げてしまった例である。 参考: UXピラミッド – UXデザインの正しい評価方法 – 4. 競争力の向上 現代において、多くの企業が脅威を感じるライバル的存在に共通しているものは何か?おそらく、そのデザイン性の高さだろう。例えば、テクノロジー業界で考えてみると、世界的にユーザー数の多いTop 7社 (Google, Amazon, Facebook, Apple, Microsoft, Salesforce, Oracle) のすべての会社には専属のデザインチームが存在しており、ブランディングからプロダクトのユーザー体験までを横断的に管理している。そうすることで、より多くのユーザーを集め、最終的な企業競争力を高めている。 そうなってくると、デザイン性の高さそのものが企業にとっての武器となる。一昔前は、Appleのプロダクトを愛していたのは一部の強烈なファン層だけだったが、いつの間にかマジョリティーの消費者がiPhoneを利用するようになった。高いデザイン性を提供するプロダクトでないと利用されなくなってきている例だ。 参考: 【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッドな企業は強いのか 5. 利益率の向上 優れたデザインやユーザー体験を施したプロダクトづくりができれば、多くのユーザーを獲得する事ができる。自ずと結果として、売り上げや利益の向上に繋がる。特に利益率については、Appleの製品が競合のものよりも割高であ事から考えてみても、高い利幅を獲得していることは想像に難くない。 実際のリサーチ統計を見てみても、デザインへの投資は具体的な数字として表れ始めている。 製品デザインへの投資が1%増えるごとに、売り上げと利益は平均して3-4%増加する。(ロンドン・ビジネススクール) デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっている。 (マッキンゼー) デザイン的アプローチを経営の戦略に積極的に取り入れている状況企業の株価の伸び率が、S&P 500全体平均と比べ10年間で228%高くなっている。(Design Value Index Results) 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 6. ウェルネス向上 デザインの意外な役割として、人々の心に対してのポジティブな効果もある。特に最近は、デジタルデバイスとソーシャルメディアの普及で、人と接する時間よりも、デバイスと過ごす時間の方が多くってきており、精神的に疲れている人が増えている。それを癒すのもデザインの役割りだ。 シリコンバレーの企業の中には、「自分たちのサービスは、果たしてユーザーの人生にポジティブな影響を与えているのか?」と疑問を感じるところも出てきている。特にデザイナーたちからは、「お金儲けのために、ユーザーの人生を台無しにしてしまっていないか?」との意見もある。 特にUXデザイナーの間では、エシカル (倫理的な) デザインの概念が議論され、すでにプロダクトに採用しているケースもある。 そしてすでにAppleのScreen TimeやGoogleのFocus Modeなど、ユーザーのより良い人生 (ウェルビーイング) のためのデザインが進んでいる。 参考: デジタルウェルビーイングを実現する ”使わせない” デザインとは? 7. クオリティーオブライフ、クオリティーオブワークの向上 そして最終的に優れたデザインは、日々の生活の品質や仕事をしている時間の価値の向上にもつながる。住環境やオフィス環境のデザイン要素を改善することで、より充実した日常生活を送ることができる。昨今話題のWeWorkがそのデザインにこだわりまくっている理由も理解できるだろう。 最近我々btraxも、コミュニケーションがより促進されるデザインへとオフィスの一部をリニューアルした。   View this post on Instagram   参考: ブランド戦略 × オフィスデザイン ー 成功事例に見る企業ブランド構築手法 デザインとイノベーションとの関係 そして、今回の本題である昨今叫ばれているビジネスにおけるデザインの重要性であるが、その背景にはテクノロジーの進歩と、ユーザーの期待値の上昇があると考えられる。 時代が進むにつれ、テクノロジーが進化し、ムーアの定義で説明されているように、どんどん新しく優れたテクノロジーが普及する。それに伴い、ユーザーの日常生活にテクノロジーが入り込み、特別なことではなくなってくる。言い換えると、加速するテクノロジーのコモディティー化が急速に加速していく。 結果として、商品やサービスから提供されるユーザー体験に対する消費者のの期待値はどんどん高まる。企業側は、その期待値にどのように対応できるか = デザイン的な熟成が進むかが、向こう5年以内の勝負の分かれ目となってくると考えられる。 ユーザーが求める体験を提供できる企業は勝ち残り、そうでないところは衰退していくのは明白だ。そのためには、いち早く、企業内にデザインを”インストール”する必要が出てくる。 企業にデザインをインストールための7つのポイント では、実際に社内にデザイン的考え方を浸透させるためにはどのようにな方法があるだろうか?おそらく下記の7つが必要とされると思われる。 […]

グローバルにイノベーションを起こす人の7つの特徴

経済産業省が「デザイン経営宣言」を発表したのが2018年のこと。経営にデザインを取り入れることで、組織のイノベーションの創出力を高めようとする試みだ。
実際、日本の多くの企業でも、デザインを取り入れる動きが見られるようになり、その効果も少しずつ現れ始めている。
関連記事:統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ
イノベーション、説明できますか?
では、そもそも「イノベーション」とは何だろうか?ふわっとした「なんとなく」のイメージに留まり、その定義ができていないのではないだろうか?
バ…

デザイン思考のプロセスだけでは革新的な製品が生まれない?説

デザイン思考は基本的なマインドセットであり、イノベーション創出のための万能な方法論ではない デザイン思考を学んで終わりにしない。「当たり前」にし、そのあとの行動に移してやっと価値が出てくる デザイン思考に倣うだけでは心に響くプロダクトは生まれない イノベーションに必要な要素 = (マインドセット+カルチャー+パッション) x アクション みんな頑張ってデザイン思考を会得しようとしている デザイン思考の重要性が一般的に浸透し、多くの企業が何らかの方法でその手法を社内に取り入れようとしている。有望な若手を1日のデザイン思考ワークショップに参加させたり、経営陣自らがデザインの重要性を学ぶためのセミナーを受けたりなど、それなりの活動を進めていることが多い。 やってみたけど結果が出ない? しかしここに来て、多くの企業の方々から聞こえてくるのは、「それなりにやってはみたものの、イマイチ結果につながっていない」と言う課題。そもそも、ここでの”結果”とは何を意味するのか? よくよく聞いてみるとそれは、「デザイン思考を活用した画期的な事業の創出」だと言う。おそらく彼らは、デザイン思考を取得すれば、今まで不可能だったようなアイディアや、ビジネスモデルが生まれると考えているのだろう。 実はそれは大きな間違いなのかもしれない。「ここがちゃうねんデザイン思考。5つの違いを理解してモヤモヤを解決」でも説明されている通り、そもそもデザイン思考は基本的なマインドセットであり、万能なメソッドではない。と言うことは、デザイン思考自体は、あくまでイノベーションを生み出すための”下地”であり、方法論ではない。 言い換えると、デザイン思考を学んだだけでは期待する結果を得るのは難しい。実際に活用しながら試行錯誤していく必要がある。我々が提供しているデザイン思考をベースとしたワークショップでも、数ヶ月にわたり実際にスタートアップサービスを作りながら、やっとヒットするサービスの糸口を掴みかけるような状態なのである。 グローバル的には多くの成功事例が生まれている その一方で、「統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ」を見てもわかる通り、デザインを経営に導入することのメリットがあるのは明白なのである。 具体的な経営的な数字でデザインの重要性が明確になればなるほど、世の中の多くの企業たちが、ビジネスにおけるデザインの重要性に着目し、自分たちも乗り遅れないように何らかの試作をしなければ、と考え始めるのは当然の流れだろう。 そもそも何がデザイン思考なのかがわかりにくい そんな世の中の流れもあり、最近の日本では、猫も杓子もデザイン思考を叫び、本屋さんには関連した本が平積みされている。コンビニでも思わず「デザイン思考ください」と言ってしまいそうになる。 その一方で、何がデザイン思考なのか?それはどのようなメリットがあるのか、に関しては明確かつ統一した理解がない。そもそも、その概念自体が広すぎて、人によって解釈が違うし、利用方法も違う。そして、デザイン思考という概念自体が本来そうあるべきである。 なぜなら、デザイン思考は厳密なプロセスやルールなのではなく、参考程度に活用するべき考え方であるから。なので、「デザイン思考とは?」と聞くこと自体が愚問である。 ↑ 数多く出版されているデザイン思考関連の書籍 実は一番困惑しているのは現場のデザイナー達 デザイン思考って何?と言う質問に一番困惑するのは、もしかしたらデザイナー達だろう。そもそも、自分たちが今まで情熱を持って、長い年月を費やしてやってきた事が1つのブームになり、デザインの”デ”の字もわからないお偉いさんが、知ったかぶりで「やっぱデザイン思考だよねー」って擦り寄ってきても、「は?」と思ってしまうこともある。 それだけデザインは奥が深く、一朝一夕で身につくものでもない。それを、昨今のトレンドにより、誰でも簡単に学ぶことができ、ビジネスに即効性があると思われると、かなりしんどい。そして、昨今の社内デザイナー達は、他のスタッフにデザイン思考を教えることに毎日奔走し始めている。そうなってくると、本来やりたかったデザインの仕事がなかなかできなくなり、モチベーション低下にも繋がりかねない。 また、経営の現場に単純にデザイナーを突っ込めば全てが解決するわけではない。なのに、成功している会社の多くはデザインを経営に活用している、と言う理由だけで、なぜかデザインは万能な魔法のような捉え方をしているケースも見受けられる。 社内にしっかりとデザインを浸透させたければ、まずはスタッフのマインドセット、次にカルチャー変革が求められる。 そもそも、デザイン思考を社内に浸透させたければ、デザイナーよりもファシリテーター的な役割の人が行う方がよっぽど効果が高い。我々、btraxでも、デザイン思考ワークショップを提供する際には、ファシリテーターがメインで進めていくようにしている。 ↑ ファシリテーターがリードするbtraxでのデザイン思考ワークショップの様子 スタートアップ業界ではすでに”母国語”化している ちなみに、サンフランシスコやシリコンバレーのスタートアップ界隈では、今更デザイン思考を学んだりはしない。自分を含め、ここに長く住んでいる人たちにとってみると、デザイン思考的な流れでサービスを作るのがあまりにも当たり前のやり方すぎて、いまさら体系立てて学ぶことはあまりしない。 サービスを考えるときに、特定のユーザーのニーズにフォーカスを当てるのは当たり前だし、短いスパンでプロトタイプを作成し、ユーザーテストをするのも当たり前。アイディア段階でカフェに行って横に座ってる人からフィードバックをもらいながら改善したい、よりふさわしいユーザーを紹介してもらったりするのも日常茶飯事である。 それはまるでデザイン思考がすでに我々にとっては”母国語”になっており、努力して会得するものでない感じなのだ。例えると、英語を学んでいる人は、その文法から発音までを論理的に身につけようとするが、生まれつき喋れる人は、逆にそんなややこしい部分は気にも止めない。 海で生まれた魚は、泳ぐことを一から学ばないのに似ている。「Fishes can swim」ではなく、「Fishes swim」となる。同様に、スティーブ・ジョブズが一からデザイン思考を学んだとは想像しづらい。 デザイン思考を会得してやっとスタートラインに立てるレベル ここで気付いた方もいるかもしれないが、「英語が喋れる = グローバル」ではない。それは単純に海外の人とのやりとりをしやすくなっただけであり、そのスキル自体はコミュニケーションの第一歩でしかない。これは、「デザイン思考 = イノベーション」ではないのに似ている。 イノベーションを生み出している企業がデザイン思考を活用してるのは間違いない。しかし、それはあくまで基本中の基本ができているだけであり、万能ではない。デザイン思考プラス何かがなければ、求める結果を得ることは非常に難しい。 デザイン思考は”思考”ではなく、”行動”であるべき これはその呼び方が大きな問題がるのかもしれないが、デザイン”思考”を通じて結果を出したければ、早い段階で、考えることよりも、行動に移す必要がある。下記のダイアグラムを見てもわかる通り、デザイン思考のプロセスにおいては、多くの箇所で行動が求められる。そして、それを短いサイクルとして、グルグル回す必要がある。ちなみに、デザイナーに求められる能力の1つが、短時間でどれだけ多くの量のアウトプットを出せるかである。 以前にアメリカで被験者を2つのグループに分け、一定時間内に陶芸を作る実験を行った。Aのグループには、「最も優れた作品を作ってください」と伝え、Bのグループには、「作品の質ではなく、使った粘土の量が多さで評価します」と伝えた。すると、Bグループの方が最終的には、より優れた作品を作った結果となった。トライアルアンドエラーを多く繰り返した方が良いものが出来上がりやすかった。 デザイン思考でも、どれだけの量の失敗を繰り返せるかが重要で、座学よりもアウトプット重視するべきである。 しかし、デザイン思考を”思考”のままで終わらせているケースが後を絶たない。優れたプロダクトを生み出したければ、頭で考えるより、まず行動。習うより慣れよ、が求められる。なのに、デザイン”思考”と名付けてしまったのが誤解を生み出す1つの原因になってると思われる。 ↑ 思考よりも行動が重視されるデザイン思考のプロセス 実際の現場はかなりカオス 実際のところ、デザイン思考を活用しても、その成功率は必ずしも高くは無い。しかし、プロダクトが生み出されるのに要するコストと時間が短縮されるので、長期的にみると良い結果につながる。 そして、議論よりも行動重視でプロダクト作りを進めている現場は、想像ができないぐらいに、はちゃめちゃであり、またそうあるべきである。プロセスの行ったり来たり、コンセプトの練り直し、ニーズの再認識は日常茶飯事で、チーム内のいざこざや、感情のぶつかり合い、仲間割れも珍しく無い。 それが本当に良いものを生み出すためのクリエイティブなプロセスなのであるが、和を大切にする日本の文化や、大企業のエリート経営陣にはなかなか理解のしづらい部分でもある。 会社がカオスな状況を許容してくれない限り、良いものは生まれづらい。 デザイン思考プロセスを丁寧になぞってできたプロダクトは面白味がない これはとても主観的な感想になるが、デザイン思考の教科書に従って、お勉強した内容を元に、そのプロセスを丁寧になぞって作り上げらたプロダクトは、妙に”のっぺり”としている。そして世の中にある他のサービスにかなり類似したものが出来上がる。何か一味足りない。スパイスが効いていない感じがする。 なぜか?多くの場合、作っている人たちが本当に作りたいものを作っていない場合があるから。教科書に書いてあるやり方をしっかりと踏まえ、間違えの無いように1つ1つしっかりと検証して作ったとしても、そこに強い情熱や想いが無ければ、なんかつまらない物が出来上がる。 作る側に強い愛情が無いと、ユーザーにとっても魅力的なプロダクトにはならない。ユーザー検証を通じて、”つじつまのあう”プロダクトは作れるかもしれないが、なぜか心に響かないものになりがち。単純にデザイン思考のプロセスを踏まえ、ユーザーが欲しいと言ったものを作ったところで、それは単なる御用聞きプロダクトになってしまいがちである。 参考: お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い デザイン思考は音楽におけるカノン進行みたいなもの この感覚、何かに似ているなー?と思って考えてみた。そうそう、それはまるでカノン進行を活用したヒットソングっぽい。カノン進行とは、パフェルベルのカノンと言うクラシックの名曲に利用されているコード進行。それが、日本人の耳に妙に心地よく聞こえることから、そのコード進行をベースに作曲するとヒットソングを生み出しやすいと言うことで、多用されている。 ミュージシャンの間でも、「ヒットを生み出したければ、カノン進行を使えばなんとかなる」とされるが、同時にそれは禁断の果実でもあり、妙にどっかで聞いたことのあるJ-Popソングになりがちで、イマイチ面白味がない作品になってしまう。 うまくいかないケースに欠如しているのは何か? では、本題に戻って、なぜデザイン思考のプロセスだけでは革新的な製品が生まれないのか?おそらく、ここで重要なのが、そこに強い情熱があるか無いか。企業の新規サービスを作る際には、もちろん最終的な売り上げが重要になってくるのだから、ヒットを狙って物づくりをする必要が出てくる。それにデザイン思考が用いられる。 その一方で、本能的にデザイン思考を取り入れているスタートアップの多くは、初めから売り上げを意識しない。むしろ特定のユーザーや社会、そして作っている人たち自身が強烈に感じている課題を解決するための手段として、プロダクト作りをする。そこには、他の人ではなかなか持つことのできないレベルのパッションがあり、それが大きな原動力となる。 強いパッションがあれば、物凄い勢いでニーズの深掘りを行い、素早く試作品を作り上げ、テストを繰り返す。そして、その結果に合わせて、どんどん改善やピボットを行う。それはまるでアーティストの自己表現にも通じるものがあり、ヒットソングを狙った理詰な作業とは異なる。 イノベーションに必要な要素とは デザイン思考だけではイノベーションが生み出されないとしたら、他にどんな要素が必要になってくるのだろうか?おそらく、それには、下記の要素が求められると思われる。 マインドセット: デザイン思考自体がそもそもプロセスというよりは、基本的に理解しておくべきマインドセットである。それぞれのメンバーが、ユーザー視点の考え方をしっかりと理解し、会社の利益の前に課題解決のためのマインドセットをしっかりと共有しておく必要がある。 カルチャー: 次に、チームや組織におけるカルチャー的要素。自由に発言しやすい心理的安全性と、失敗を許容する考え方。そして、机上の空論よりも、速いスピードでアウトプットを評価するカルチャーが求められる。 パッション: 最も重要な要素になってくるのが、プロダクトやサービスに対する情熱。自分たちが本当に解決したい課題に対してのソリューションの具現化としてのプロダクトであること。そして、そこに他の人たちよりも強い情熱を注ぐ必要がある。 アクション: そして、上記の3つの要素をしっかりとアクションに移すこと。アクションの部分が無ければ、全てがゼロになってしまう。どれだけ強い情熱を持っていても、検討の結果、見送ることにした場合、アウトプットはゼロである。 結論として、イノベーションを生み出すためには、下記の方程式が必要になってくるのでは無いかと思う。 イノベーション = (マインドセット+カルチャー+パッション) x アクション デザイン思考を上手に活用している秘訣を学ぶイベント もちろん、実際にうまくいっているケースも多数ある。その1つを紹介するのが、11月5日に東京で開催されるDESIGN for Innovationでの下記のセッション。詳細は公式サイトにて紹介されている。 『デザイン思考を利用したグローバルイノベーション創出方法』 日本が世界に誇るモビリティー企業であるHONDA、YAMAHAの2社が急激に変化をしている市場にて、どのような方法で生き残り、成長を続けるのか。デザイン思考的アプローチや、社外のスタートアップとのコラボレーションなど、最先端の取り組みを紹介。 日本国外のユーザーの心を掴むプロダクトの秘訣とは。それぞれの企業にて、従来とは異なるアプローチからイノベーションに取り組んでいる2名が、どのようにこれからのユーザーに受け入れられるプロダクト作りをしていくのかを語る。 杉本 直樹氏 / CEO、 本田R&Dイノベーションズ / 執行役員 統括機能本部 オープンイノベーション戦略担当、 株式会社 本田技術研究所 長屋 明浩氏 / 執行役員デザイン本部長、ヤマハ発動機株式会社 […]

最近のロゴが似通ってきている問題 – 第2弾

最近になってYahoo本社のロゴがまたアップデートされた。Yahoo! Japanのロゴはかなり長い間変更されていないのに。これはいかにも、変化スピードの速いシリコンバレーを象徴するようだ。なるべくゆっくり進むことが多い日本文化と比べてみても、企業の平均生存率が15%であるアメリカでは、”変化しない=死”を意味することもあり、ロゴのアップデートもかなり頻繁に行われる。

↑ 最近アップデートされたYahooのロゴ
時代の変化に合わせてロゴもアップデート
ではなぜロゴを変える必…

今求められているデザインは「社会実装」できるかどうか。次世代を担うクリエイターになるための処世術

気鋭のクリエイター発掘のきっかけになるデザインアワード  デザイン経営やデザインシンキングなど、最近では「デザイン」に対する注目度が高まっている。一方で、クリエイターやデザイナーにとって、コンペティションやアワードで第三 […]…

統計データで見るデザインの経営に対するインパクトの大きさ

ここ数年で経営に対するデザインの重要性に注目が集まっている。デザインを経営に活用している企業の株価の伸びが平均値の2倍以上であったり、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているなど、その結果が具体的な数字に表れ始めている。 参考: 数字で証明されたデザイン経営の重要性 デザインと経営に関する最新のリサーチ結果 そんな中でも、デザイナー向けのプロトタイピングツールを提供するInVisionが、これまでにないレベルの世界規模でのデザインに関するリサーチを発表した。The New Design Frontierと名付けられたこのレポートでは、世界中のさまざまな規模の企業や団体をリサーチを実施した。 リサーチ対象の内訳は、大企業:71%、エージェンシー:25%、非営利団体:2%、行政:1%で、金融や教育、エンタメなどの異なる24の業界から2,200を超える団体。 70%の企業が積極的に経営に対してデザインを活用してる その結果、全体の2/3以上が、デザインを機能や見た目以外にも活用しているという事がわかった。全体の70%の企業が商品の開発や企業経営のプロセスにデザイン的考えを導入していると答えている。 デザインの浸透に関する主なアンケート結果: 商品開発プロセスに組み込まれている: 66% デザインリーダーが商品開発やエンジニアリーダーと連動している: 53% 従業員がデザインプロセスに参加している: 51% 重役がデザインプロセスに関わっている: 49% 従業員がユーザーや顧客リサーチに関わっている: 48% デザインが経営に与えるインパクトが理解できる統計 また下記の通り、デザインの経営に対する効果としては、効率、利益、ポジショニングなどに加え、3/4近くの企業がデザインを通じて顧客の満足度とユーザービリティが改善されたと答えている。(サンプル数:2,229団体) 商品のクオリティに対するインパクト ユーザビリティ改善: 81% 顧客満足度向上: 71% 業務に与えるインパクト 社員の作業効率の向上: 33% 商品の市場リリーススピードの向上: 29% 会社の利益に対するインパクト 売り上げの向上: 42% コンバージョン率の向上: 35% コスト削減: 30% マーケットポジショニングに関してのインパクト ブランド価値向上: 39% 新しい市場参入への効果: 25% デザインパテントや知的財産権への効果: 13% 評価額や株価への効果: 10% 組織内におけるデザイン熟成度と経営へのインパクトにおけるデザインレベルとその効果 このレポートでは、企業や組織がどれだけデザインを業務や経営に活かしているかによって、会社自体のデザインレベルを5段階に分けている。その結果、経営に対してデザインのポテンシャルを最大限に引き出しているLevel 5に入るのは、全体のわずか5%にとどまった。 全体の80%の企業が常にデザインを企業内の何かしらのプロセスに導入している中で、実に95%はまだまだデザインを活用する余地が残っている。 デザインの活用度合いレベルと全体での割合 Level 1 – 見た目に対してのデザインを重視している: 41% Level 2 – 定期的にデザインワークショップを実施している: 21% Level 3 – 業務プロセスにデザインが導入されている: 21% Level 4 – 絶え間ない仮説検証が行われている: 12% Level 5 – デザインこそがビジネスの根幹になっている: 5% 組織が大きくなるほど経営戦略へのデザイン導入難易度が上がる 組織の規模が大きくなればなるほど、デザインを経営に浸透させる難易度が高まる。例えば、大企業と比較した場合、最高レベルであるLevel 5の比率は、中小企業で2倍、小規模企業で3倍ほどの開きが見られる。 多くの大企業は、組織構造やプロセスが複雑化しており、経営に対してのデザインの導入に時間がかかる結果となっている。 デザインチームの大きさと経営へのインパクトは必ずしも比例しない 上記のデザインレベルにて、高い数字を達成している = 経営へのインパクトが大きい企業におけるデザインチームが必ずしも大きいとは限らない。 重要なのは、組織内でどのような影響力を持ち、経営陣からのサポート受けているかであり、デザイナーの数や大きさだけではそのインパクトを測ることはできないと言う結果が出ている。 言い換えると、むやみに多くのデザイナーを採用したとしても、そこにしっかりとしたプロセスとカルチャーがない場合は、宝の持ち腐れになってしまう可能性もあるのだ。逆にたとえデザイナーの数が少なくても、経営に有効活用することが十分可能と言うことである。 デザイン経営に遅れを取るアジア諸国 企業に対するデザインの浸透度合いを地域ごとに見てみると、大きな違いは見られないが、主に北アメリカとヨーロッパが経営戦略にデザインを活用しているLevel 5の率が他の地域と比べ比較的高い。 その一方で、南米とアジア地域は、中間レベルのLevel 2, 3はそれなりの比率となっているが、Level 5はそれぞれ1%、 3%と低い数字となっている。 それぞれのデザインレベルのメリットと改善点 では、それぞれのデザインレベルごとに、ユーザーや企業にとってどのようなメリットがあるのか、そして、次のレベルに上がるにはどのような点が課題となっているかの詳細を紹介する。また、それぞれのレベルにおける平均デザイナー数の調査結果も掲載してみた。 Level 1 – 見た目に対してのデザインを重視している: 41% デザインを活用することで、主にUIなどの画面やプロダクトの見た目の改善を行っている。一昔前は、デザインレベルが低い=デザイナーが足りない、といのが一般的な理由であった。 しかし、レベル1に属する組織のデザイナーの数は平均30人。これは最高レベルであるレベル5組織のそれの倍であり、デザイナーの数がデザインレベルに比例するわけではないことがわかる。 Level 1では、デザイナーの影響範囲はかなり狭く、主にスクリーン上などでの”見た目のデザイン”にとどまっているケースが多い。 平均的なデザイナー数: […]

ロゴにおけるデザインの重要性がわかるマッシュアップ例

以前に「君の名は」がテレビ放送された際に、そのストーリーに合わせて、提供企業のロゴが入れ替わるという演出がされていた。ロゴの色やデザインをそのままに、文字の部分だけを入れ替えている。一見すると入れ替わっていることすら気づかないぐらいのナチュラルさである。
これは、人間の目が「読む」ということよりも「見る」ことを優先していることから、デザインを「なんとなく」の雰囲気で受け取り、脳が理解していることがわかる。

↑ 「君の名は」でのスポンサー表示画面
このロゴを入れ替えは、デザイナーたちの間で「マッシュ…

【クレジットカード革命】Apple Cardから学ぶ革新的UXデザインのポイント

もしAppleがクレジットカードを作ったら? シンプル、クール、使いやすい。こんな形容詞が思い浮かぶAppleというブランドが、もしクレジットカードを作ったらどんなものになるだろうか? 今年の初めに発表されたAppleが提供するクレジットカード、Apple Cardが北米ユーザー向けに限定的提供を開始した。これにより、現在のところ、アメリカ在住の特定のユーザーがApple Cardを手にすることができる。*米国時間8月20日に他のアメリカの全ユーザー向けにリリース開始 選ばれたユーザーにはメールにて案内が届き、iPhoneのWalletアプリ内から申し込む。ラッキーなことに自分も選ばれたようなので、早速申し込み、使ってみた。 ↑ Appleから特定のユーザーだけに送られてくる招待メール これまでのクレジットカードの常識を覆す体験満載 では、Apple Cardは何が特別なのか? 実は、そのカード自体から利用体験、アプリとの連動性など、すべてのタッチポイントにおいて、デジタルな現代に最適な体験がデザインされている。 特に、これまでのクレジットカードは、銀行などの金融機関が発行しているものがほとんどで、顧客体験もその延長線上にあった。しかし、以前の「銀行はなぜ滅びるのか – それを阻止する方法は?」を読んでも分かる通り、金融機関が提供する体験はお世辞にも良いものではない。 今回、その体験をAppleが思いっきりリ・デザインすることで、これまでの常識を覆すようなスムーズな利用体験をユーザーに提供している。そのいくつかのポイントを紹介する。 アプリ上から一瞬で申請、数秒後から利用可能 通常アメリカでクレジットカードを申請する際には、銀行の店舗やオンラインで必要事項を入力し送信する。その数週間後に審査結果が郵送され、承認された場合はカードが同封され、却下の際にはお詫びの手紙が添えられている。そのプロセスに要する時間は少なくても数週間。 これがApple Cardの場合、Walletアプリにクレジットカードを追加する要領でできてしまう。Appleから選ばれたユーザーは、Wallet内の➕アイコンをクリックすると、申請プロセスに進むことができる。 必要事項を記入し、その数秒後に承認か否かが表示され、承認された場合、Apple Pay経由で即座に利用可能となる。そして、物理的なカードは、その数日後に送られてくる。これにより、プロセスに要する時間の大幅短縮と、カードが届くまで待っている時間がなくなった。 ↑ カードの申請はWalletアプリ内から行う 番号が記載されていないチタン製のカード 自分の場合は、アプリで申請してから5日後にFedExにてカードが送られてきた。ちなみにカードの発送状況もアプリから確認ができる。 中心にAppleのロゴが刻印された真っ白なパッケージを開けると、中はインスタを思わせるカラフルなデザインが施されている。そしてその真ん中に真っ白なカードが同封されている。 驚くべきことに、このカードには通常のクレジットカードにはあまり見られない工夫がされている。まず、どこにもカード番号も有効期限も記載されていない。表面にAppleのロゴと所有者の名前、裏面には発行銀行のGoldman SachsのロゴとMasterCardのロゴだけだ。 これはカード番号が無いというわけではなく、実はアプリ内でカード番号と有効期限などの情報を確認することができるようになっている。オンラインショッピングなので番号が必要な際には、その方法で情報が獲得可能。 ↑ パッケージに同封されたカードには番号も有効期限も記載されていない 卓越した開封体験とソーシャルシェア性を提供 最初はなぜ番号が記載されていないのか?と思ったが、物理カードに番号を記載しないことで、落としてもセキュリティー的な部分での優位性が保たれるし、何よりもインスタなどのSNS経由で、ゲットしたことを友達に自慢しやすくなることに気づいた。 まさにAppleらしい逆転の発想とシンプルさの追求がされている。 また、カードの素材はチタンで、一般的なプラスチックのものよりもかなりの重厚感がある。ちなみに、CompareCards社のリサーチによると、アメリカ国内のクレジットカード利用者の38%が、素材でカードを選ぶと答えており、ミレニアルになるとその割合は53%にまでアップするという。 チタンのカードは消費者の所有欲を掻き立てる。加えて、容易に切ったりすることができないため、内蔵されているチップを切り取ることが難しく、セキュリティー向上の役割を果たしているとも言える。 開けてびっくりの演出と、手で持った時の満足感がしっかりと設計されている。ユーザーとカードとの最初の接点である、開封体験も総合的に上手にデザインされているのもさすがAppleと感じた。 参考: D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン View this post on Instagram Quite happy so far. #applecard #applecreditcard A post shared by brandonkhill (@brandonkhill) on Aug 19, 2019 at 4:32pm PDT 革新的なアクティベーション方法 そして、Apple Cardの最も革新的な体験の1つが、そのアクティベーション方法だろう。通常の場合、新しいクレジットカードを利用する前に、カードに記載されている電話番号に電話するか、サイトに行って番号を入力する。 これは、手間がかかるだけでなく、セキュリティ的に甘い。なぜなら、本人ではない人がもしそのカードを受け取り、アクティベーションしたとしても、本人確認される事は稀であるから。 これがApple Cardの場合はどうなっているのか。驚くべきことに、カードを登録したWalletアプリが入っているiPhoneをパッケージの下の部分に当て、画面に表示されたボタンをたっぷするだけ。そのプロセスに要する時間はおよそ5秒。 それもパッケージがそれぞのユーザーのWalletアプリと紐づいているため、他のユーザーのiPhoneを当てた場合は、アクティベーションができないようになっている。 カード所有者本人のiPhoneを利用しない限りカードを使うことができないため、かなり安全な設計が施されている。そして何より、電話したりサイトにログインしたりせずに一瞬でアクティベーションできるのが最高だ。 ↑ ユーザーのiPhoneをパッケージ部分に当てるだけで一瞬でカードがアクティベートされる ユーザー体験のコアはWalletアプリとの連動性にあり そして、ここからがApple Cardが提供するユーザー体験が最も大きな価値を生み出している要因。Walletアプリとの連動性である。 もともとWalletアプリは、他のクレジットカードなどを登録することで、Apple Payを通じてキャッシュレス決済を可能にする役割としてiPhoneにインストールされている。しかし、自分を含め、アメリカでApple Payを使う機会は意外と少なく、Walletアプリもほとんど使ったことがなかった。Apple Cardに出会う前までは。 実際にApple Cardを店舗で使ってみる。そうするとその直後に利用履歴が自動的にWalletアプリに表示される。それも、金額だけではなく、利用した場所の写真とロケーション情報のマップも。 また、利用した商品のジャンルによってカードとグラフがカラフルに色分けされることで、どのような内容に利用しているのかが一目でわかるようになっている。また、それぞれの利用金額に対するキャッシュバックの額も表示される。 ちなみに、物理カードは1%、Apple Payを使うと2%、Uber、UberEats、およびAppleで買い物をすると3%のキャッシュバックとなっている。 このように、利用状況を即座に可視化することで、リアルタイム性と透明性を高め、ユーザーの安心感とセキュリティ向上を達成している。 ↑ 利用状況とそれぞれの詳細が一目でわかるWalletアプリ Less-is-moreを体現した”無い無い尽くし”が体験の質を高める 生前よりスティーブ・ジョブスもAppleのデザイン哲学の1つとして掲げている”Less-is-more (少ない方がより多くを得られる) “ は、このApple Cardにもしっかりと受け継がれているように感じる。 参考: Appleを1兆ドル企業に成長させた6つのデザイン哲学 そこには、ミニマルなデザインの裏に、大きなメリットがいくつも隠されている。例えば、カード自体に番号が表示されていないのは、上記の理由に加え、もし番号が漏れた際の対策にもメリットを生み出す。 カードの番号はWalletアプリ内でいつでも変えることができるため、万が一番号を変えたいときは、アプリ経由でリクエストすれば良い。また、その際新しい番号が既存のカードにクラウド上で紐づけられるため、物理的なカードを取得し直す必要がない。 こうすることで、カード会社に電話をする手間、カード再発行の手間とコストを抑えることに成功しているのだろう。また、カードメンバー規約等もデジタル化されているため、通常であればカードに同封される分厚い書類が存在していないのも良い。 Apple Cardが改善した体験 カードの申請: Walletアプリ内から → 手間が減る 利用開始までの待ち時間: Walletアプリ内からすぐに利用 → 待ち時間無し […]

次期トレンドはというところで面白いのが「クアデルノ」

電子ペーパーって前から好きやったけど、みんなが最も手に取るのはアマゾンキンドルやろうね。電池もつもんな。。。次 … 続きを読む 次期トレンドはというところで面白いのが「クアデルノ」

お客様第一主義とユーザー中心デザインの違い

デザイン思考のゴールの1つが、顧客の視点に立って物事を考え、そのニーズに即した商品やサービスをデザインすることになる。
しかし、これを聞いた多くの人々が「そんなの以前からやっているよ」と言う。そう、世の中の多くの企業は、すでにお客様からの意見を最優先し、それに即したサービス作りや改善を日々行なっている。
では、なぜ今さらデザイン思考が特筆すべき存在になっているのだろうか?おそらくその理由は、いわゆる ”User Centered Design (ユーザー中心デザイン) ”と呼ばれる概念を通じて、ユー…

これらの時代にヒットするのはサービス化されたプロダクトだ

シェア、サブスク、オンデマンド。最近耳にすることの多いフレーズであるが、これまでは、全て「所有」が中心であった商品との、全く新しい接し方である。簡単にいうと、所有することなく必要な時にだけ「利用」するのが、ユーザーとプロダクトを繋げる新しい体験になってきている。
その背景にはインターネットとモバイルテクノロジーの発達があり、現代のインフラで育ったような世代にとっては、むしろ所有しない方が一般的にもなりつつある。
時代と共に変化するライフスタイル
例えば、これまでは頑張ってローンを組んで買うのが一般的…

数字で証明されたデザイン経営の重要性

ここ数年で日本でもデザイン思考やデザイン経営などの概念が浸透し、ビジネスにおけるデザインの重要性がなんとなく認知され始めている感じがする。
その一方で、実際にはどのくらいの効果が表れているかを可視化するのは意外と難しい。というのも、デザインの組織や経営に対しての効果をこれまでの財務資料等の仕組みで測るのには限界がある。加えて、目に見える結果が現れるにはそれなりの時間もかかる。
企業経営におけるデザインの重要性が具体的な結果として表れ始めた
そんな中、以前の「【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッ…

デジタルウェルビーイングを実現する ”使わせない” デザインとは?

デジタルテクノロジーの進化に合わせて、こちらシリコンバレーの企業の勢いがより加速しているように感じる。大型M&AやIPOのニュースが毎日のように流れ、時価総額や評価額の最高記録更新も続いている。
その大きなファクターの1つとなっているのが、ユーザー数とそこから獲得しているユーザーデータ、そして優れたユーザー体験だろう。(参考: これからの企業に不可欠な三種の神器とは)
ユーザーの時間をお金に変換してる現代の企業
GAFA (Google, Amazon, Facebook, Apple) に…

ここがちゃうねんデザイン思考。5つの違いを理解してモヤモヤを解決

「デザイン思考」という言葉が一般的になって久しい。あらゆる領域で、もはや基礎教養のような位置付けになっているように感じる。しかしながら、「結局デザイン思考て何なん?」状態の人は多いのではないか?
筆者が初めてデザイン思考という言葉を聞いた時は、「なんだか、つかみどころがない…」という感想だった。その感想は本や記事を2、3冊、読んでも正直変わらなかった。
1番の理由は、今まであらゆる業界がやってきたこと、いや、何なら自分が普段心がけていることと何ら変わりがないように思えたからだ。「ユーザー中心」、「素…

そういえばファッションショーって今後はどういったビジネスモデルにかあっていくのだろうか?もしくは無くなるのか?。。。。。うーんアレキサンダーマックイーンの映画見てすごいなっと思ったんだけどね。。

昔のファッションショーの効果や意義はさておき、最近はネット時代なんで別にバイヤーやプレスが現地に来なくってもい … 続きを読む そういえばファッションショーって今後はどういったビジネスモデルにかあっていくのだろうか?もしくは無くなるのか?。。。。。うーんアレキサンダーマックイーンの映画見てすごいなっと思ったんだけどね。。

寿司職人から学ぶ究極のUXデザイン6つの極意とは

ユーザー体験のデザイン、いわゆるUXデザインのフィールドは、どうしても欧米が進んでいると思われがちである。しかし、実は、日本的なおもてなし精神こそが、最も優れたUXデザインに直結しているのではないかという説がある。まあ、その説は自分自身が提唱しているのであるが。
こちらアメリカ西海岸では、寿司レストランがかなり定着しており、食事自体だけではなく、最近ではそこで得られる体験に注目が集まっている。特にカウンターに座り、板さんとのやりとりをしながらゆっくりディナーを楽しむ仕組みは、アメリカでもかなり評価さ…

多様なキャリアを持つUXデザイナーが語る「ユーザー中心デザインの重要性」【btrax voice #11 KJ Kim】

btrax社員の生の声をお届けする「btrax voice」シリーズ。
今回のインタビューは、UX DesignerのKJ Kim 。今回KJには、『ユーザー視点のデザインの重要性』というテーマで、ユニークなキャリアパスを歩んできたKJがどうしてUXデザイナーになったのか、また様々な環境でキャリアを積んできたからこそ気づいたユーザー視点の重要性について伺いました。
Who is KJ?

K.J. Kim (金匡宰)
btrax, Inc. UX Designer
Pratt Institute (…

優れたデザイナーになりたければダヴィンチから学ぼう

どのようにしてデザインを学べば良いのか?今まで聞かれた質問の中で最も多いのがこれ。特に、どこでUXデザインを学べが良いか?という質問は、答えに困ることが多い。なぜなら、デザインは奥が深く、最近様々な分野で求められるUXデザインになると、その幅もとても広くなり、異なる領域の理解と、デザインだけではなく、エンジニアリングの知識も求められることも少なくない。
例えば、「【これからのスキル】デザイナーとエンジニアの境界線がどんどん無くなる」で紹介されているように、自分が設計したものは自分が動かす時代になって…

他のブースと差をつけろ!トレードショーでエンゲージを高めた成功事例3選

開発中の新しいサービスや商品を感度の高いユーザーに試してもらうための場として、トレードショーといった展示会に参加するという手段を検討してみてはいかがだろうか。トレードショーはターゲットになりうるユーザーにサービスを展示できる絶好の機会であり、また投資家による提案や企業同士のコラボレーションなども期待できる場だ。 サービス開発者にとってトレードショー出展のメリットとは 数あるトレードショーの中でも注目されているのが、間も無く開催を迎えるアメリカ最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル、SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)だ。開催地はテキサス州オースティンで、イベント期間中は街全体のいたるところで関連イベントが行われる。 「SXSWを新サービス発表の場として選ぶべき理由」でも紹介した通り、SXSW出店のメリットは以下の通りだ。 1. 感度の高いイノベーターやアーリーアダターからのフィードバック獲得 2. 見込み初期ユーザーの獲得 3. 世界各国からのパブリシティの獲得 当日は2,000以上のカンファレンスやセッションが行われるほか、7万5千人もの参加者が来場する。スタートアップや企業が新しいサービスやプロダクトを展示しており、新規事業開発者にとってサービスのマーケットテストやブランディングのためにも非常に効果的な場だ。 参考記事:【SXSW2017レポート】キーワードは「社会問題解決型」注目の最新テクノロジー5選 上記の効果を最大化するには、展示するコンテンツ(サービス)はもちろん、当日のエンゲージメントも重要になってくる。そこで今回の記事では、過去のSXSW出展企業が行ったエンゲージメント向上のための事例をご紹介する。 (画像はSXSWのホームページより) トレードショーでのエンゲージを高めた成功事例3選 1. VANS:24時間限定のSNSコンテンツをヒントにゲーム感覚で景品をプレゼント トレードショーにてSNSを活用することは欠かせなくなっている。参加者は参加企業のSNSを閲覧・フォローすることで、事前に展示内容を知ることができたり、当日の様子がわかったり、様々な情報を入手することができるのだ。 またハッシュタグを上手く使えば、来場者にもSNSでの投稿を促すことができる。さらには会場にきていない世界中の人々も巻き込んだプロモーションも可能になる。というのも、イベントに参加できなかった人でもテクノロジーや新しいサービス・プロダクトに興味があるSNSユーザーは、イベントのハッシュタグを用いて情報を集めることが多いからだ。そのため、SNSの活用によるプロモーション効果は絶大だ。 シューズメーカのVANSはSNSを用いてゲームっぽくプレゼントの提供をするプロモーションを実施した。 まずVANSは、ツイッターなどのSNSを通じて、#SXSWのハッシュタグとともに、VANSのカスタムメイドの靴を無料でプレゼントすることを告知。その後、その靴を手に入れるための手順をインスタグラムストーリーにて確認するように促した。 このプレゼントを手に入れるにはインスタグラムストーリーに投稿された動画を手がかりに、SXSWの会場内に隠されたカスタムコードを入手し、靴が配布される会場内の指定の場所までたどり着く必要がある。つまり、広い会場の中でカスタムコードの居場所を探し当てる、ゲームのような体験を提供したのだ。 この企画が参加者のエンゲージメントを高められた理由は、インスタグラムのストーリーが24時間の限定コンテンツであることだ。時間が限定されていることからヒントが消えてしまうという危機感を持たせ、短時間で多くの参加者からのエンゲージを得られた。 2. Gaterade:ブースデザインによりプロダクトの世界観を可視化 ブースデザインは、人を引き付けるという点で非常に重要である。ただ人目を引くポスターや演出で存在感を出すだけでなく、その製品・プロダクトの世界観を表現したり、参加者が満足できるような体験を提供することが、エンゲージ向上に繋がるのだ。 アメリカ発のスポーツドリンクブランドGatoradeは、2018年のSXSWにて体験型の展示を行った。一見そのブースはGatoradeの商品が陳列された普通のポップアップストアのように見えるが、実はある大きな仕掛けが隠されている。 商品が陳列されている棚を開くと、そこにはジムエリアが広がっているのだ。ジムエリアには、Gatoradeが開発したVRバスケットボールゲーム「Beat the Blitz」をはじめとしたVRトレーニングシステムが設置してあり、トレードショーの参加者は実際にVRゲームの体験ができるようになっている。 (写真はADWEEKから引用) Gatoradeは、従来のスポーツドリンクメーカーとしての存在感だけでなく、Gatoradeが力を入れるテクノロジーを活用したVRゲームを紹介することによって、今後のスポーツ分野におけるテクノロジー活用の可能性を提示し、その未来に貢献したいというGatoradeの立場を表明した。 Gatoradeはこのようにしてブースの入り口から、最新機能のゲームなどを通した一貫したブランディング体験を提供することでエンゲージメント向上を図っていた。 3. Tinder:アプリのダウンロード・利用と引き換えにフリーギフトを提供 参加者をブースに呼びつけるきっかけとして、小物やステッカーなどのフリーギフトをブースに置くことがある。持ち帰って「こんな展示があったな」と参加者に思い出してもらうことがもできる。 こういったフリーギフトは客を引きつけて、話を聞いてもらうなどのインタラクションのきっかけにもなるが、特別目新しい工夫ではない。しかし、このフリーギフトを有効に活用すると、ユーザーからのエンゲージメントを得られる絶好の機会になる。 オンラインデーティングアプリのTinderは、2018年のSXSWにて、アプリをダウンロードするとアイスクリームをもらえるフリーギフトの特典を用意した。 このキャンペーンの意図は、ただフリーでアイスクリームを配布してくれる素敵な企業だと思ってもらいたいという理由だけではない。無料のアイスクリームを手に入れるためには、Tinderのアプリをダウンロードしてから実際に使用し、”golden ticket”と書かれている画面をスワイプする必要がある。 これは、まず新規のユーザーにアプリをダウンロードするきっかけを与えるだけでなく、Tinderのサービスを実際に使う機会を提供している。ダウンロードで終わりになるのではなく、アプリを開き、スワイプするというところまでユーザーとアプリがエンゲージすることになる。 無料アイスクリーム配布というキャンペーンを通して、参加者にアプリを「使わせる」ことで、Tinderというサービスを知ってもらうのにより深いエンゲージが獲得できたのだ。 まとめ ユーザー中心のサービスをブラッシュアップする手段として、トレードショーは最適な場だ。トレードショーはマーケットテストという側面だけでなく、ユーザーにブランドの体験を提供し、エンゲージできる機会でもある。 筆者は先日東京ビッグサイトで行われたSlush Tokyoにも足を運んだ。そこで様々なスタートアップがピッチを行ったり、ブースを出展する様子を見て、客を引き付ける展示にも「ユーザー視点」があるということを強く感じた。 そしてSlush Tokyoの講演等でよく耳にしたフレーズがまさに「ユーザーエクスペリエンス」や「ユーザーセントリックアプローチ(ユーザー中心型アプローチ)」といったものであった。プロダクトやサービスそのものだけでなく、トレードショーでの出展でブースに客を引き付けるためには常にユーザーの視点に立って考えることが必要なのである。 btraxでは、展示の効果を最大限に引き出すためのサポートはもちろん、サービス開発からマーケティングまで一貫したサービスを行っている。まだ新規サービス開発中の方も、すでにトレードショー出展をご検討中の方も、是非btraxにご相談ください。お問い合わせはこちらから。

【経営xデザイン】なぜデザインオリエンテッドな企業は強いのか

物が溢れている現代の市場の中では単純に正確に動く、壊れない、だけではヒット商品を生み出す事が難しくなってきている。消費者の心を引き付けるためには、美しい見た目や共感、遊び心などの「デザイン的要素」が重要になり、デザインの重要性を理解し、実践する事が、企業の業績に直接反映され始めている。
数字で証明された経営に対するデザインの重要性
2018年10月のマッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ、売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという…

イノベーション=技術革新はもう古い!新たな価値を創造した9事例

会社の生き残りをかけてイノベーション担当部署があらゆる企業で創設されている。イノベーションの必要性が自社内でも議論し始められ、そもそもイノベーションとは?と改めて問い直している読者も多いかもしれない。
iPodやAirbnb、Facebookがイノベーションの事例として挙げられることも多いが、それらに匹敵するようなアイデアが生まれるとは思えないという声もクライアント企業からよく聞く。
関連記事:「馬鹿げた」アイデアから生まれた3つの世界的なサービス
しかし、これらのような社会のあり方を大きく変えるよ…

2019年からデザインが提供する3つの新しい価値

先日書いた「2019年デザインと経営に関する5つのトレンド予測」に多くの反響をいただいたと同時に、腑に落ちないところやよく理解できない部分があるとのご指摘もあったので、補足も兼ねてこれまでにはあまり取りだたされることのなかった、デザインの新しい価値についてもう少し具体的に説明したいと思う。
そもそも、デザイン思考に代表される、デザイナー的考え方とはどのようなものなのであろうか?それを理解するところから始め、それがどのような価値を生み出すのかを検証する。
デザイナー的マインドセットとは
デザイナーの人…

2019年デザインと経営の関する5つのトレンド予測

Good design is good business.
これはかつてのIBMのCEOが行った宣言である。
そしてついにそれが現実になってきている。それもかなり急速に。
数字で表される経営に対するデザインの力
米国のコンサルティング会社Motiv Strategiesによると、デザイン的考え方を経営に積極的に取り入れている状況企業16社は、その株価の伸びがS&P 500全体と比べ2003年から2013年の10年間で228%高くなっているという統計を発表した。
また、2018年10月のマッキ…

【2018年】デザインに関する流れをカテゴリー別にふりかえる

2018年、デザインを取り巻く環境はどのように変化したのであろうか? おそらくここ10年の中で、最も世の中の注目が高まった一年であると言える。実際、経済産業省は「『デザイン経営』宣言」としての報告書を発表し、日本企業に対して経営におけるデザインの重要性を提唱。
また、マッキンゼーによる調査では、デザインを経営に活用している企業は平均と比べ売り上げの伸びが32%もアップし、株主へのリターンも56%高くなっているという結果になっている。
では、異なるデザイン分野において今年はどのような動きがあったかを総…

ヤマハとコニカミノルタが語る「経営におけるデザインの役割」とは【DFI2018】

btraxでは毎年デザインと経営の融合をテーマにしたカンファレンスDESIGN for Innovationを開催し、3年目となる今年は10月11日(木)にFiNC有楽町にて行われた。
当日は様々な切り口でデザインと経営に関する基調講演やパネルディスカッションが行われたのだが、その中の一つではヤマハ発動機の長屋明浩氏とコニカミノルタの平賀明子氏をゲストスピーカーとしてお招きし、日々経営やビジネスに対してどのようにデザインの価値を取り入れているのかお話を伺った。
お二人ともデザイナー出身でありながら執…

ユーザーフローから学ぶミスコミニュケーションの発生原因と対処方法

UXデザインのプロセスの一つとして「ユーザーフロー作成」というものがある。これは、特定の目的を果たすために、ターゲットとなるユーザーがどのようなプロセスを経るのかを明確にすることで、そこにたどり着くまでの「流れ」を設計するもの。
例えばアプリのデザインをする際には、下記のようなユーザーフローが設計される。

このプロセスの中では、それぞれのタスクごとにフローを作成し、よりユーザーにとって使いやすく、加えて、サービス提供側のゴールをスムーズに達成できる「流れ」に対しての導線をデザインする。

しかし、…

ディズニーランドから学ぶ究極のUXデザインとは

ユーザーに優れた体験を提供し、提供側の利益も生み出す。これがUXデザインにおける一つの究極のゴールである。この2つのゴールを達成している最高の例の一つがディズニーランドであろう。実際に行ったことのある人であれば、その体験の素晴らしさと、躊躇なくお金をどんどん使ってしまうその雰囲気は、まさにマジックとも言える。実は、そのマジックの裏には、UXデザイン的観点で見ても卓越した設計が施されている。
UXデザインの価値を図る際には「UXハニカム」や「UXピラミッド」が使われることが多いが、おそらくディズニーラ…

デザインスプリントが日本企業のイノベーションに必要な本当の理由

「デザインスプリントには関心があるが、そもそもチーム全員を5日間フルでアサインするのは難しいかもしれない」 先日クライアントであるBlue Labのメンバーと5日間のデザインスプリントを実施する機会があったが、実施する前 […]

デザインと経営を融合するために知っておくべき15のポイント

『「デザイン経営」宣言を宣言で終わらせないための3つの提言』でも触れられている通り、日本でもデザインと経営の融合が叫ばれ始めた。これは、世界的なビジネストレンドみるとその重要性は明白で、企業の時価総額を見ても、Apppl […]

米国企業が実践するデザイン思考の活用例3選

2018年5月、経済産業省は『デザイン経営宣言』を発表した。同省は「デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活⽤する経営」としてデザイン経営を定義し、より多くの日本企業がこれを取り入れるよう促している。 このよ […]