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ブランドの個性を定める – ブランドパーソナリティー【ブランディング入門#5】

世間にブランドの重要性が認知されていくのと同時に仕事をオファーするサービスも増え、デザイナーに仕事を依頼することが手軽になった。その結果、世の中にはクオリティの高いクリエイティブを持つブランドが多く存在するようになった。
そういった状況では、表面的なクオリティの高さだけでは他社との差別化や商品を顧客に選んでもらう理由にはならなくなってしまった。そこで、ブランドは見た目ではなく顧客が感じるイメージをうまく形成し顧客に伝える必要性が生まれた。
良いイメージが形成されてはじめてブランドのロゴやテーマカラー…

アメリカの総消費40%を占めるZ世代について押さえるべき5つの特徴

米国の総消費量40%を占めるZ世代とは。 ミレニアル世代と大きく異なる 特徴① 堅実で本質主義なコツコツタイプ 特徴② デジタルは当たり前 「リモートネイティブ」という新たな側面も 特徴③ 8秒間が勝負。コンテンツの“超”大量消費時代の中、モバイルファーストが鍵 特徴④ ダイバーシティーへの理解 「ありのまま」リアルさの重視 特徴⑤ 買い物はオンラインと店舗のハイブリッド  「開封」もコンテンツに オンラインとオフラインのシームレスなサービス・UX設計が重要 Z世代やGen Z。ミレニアル世代と一括りで語られることも多いが、細かく見ていくと、その属性や世界観、考え方はミレニアル世代と大きく異なる。 この記事では、アメリカのデータを中心に、Z世代の特徴や消費動向、物事に対する姿勢など、その習性を紐解いていく。彼らをターゲットにしたサービス開発や、マーケティング戦略を考えている方の一助になれば幸いだ。 実は筆者も1997年生まれのZ世代。自分の肌で感じるものも織り交ぜながら書いていければと思う。 Z世代とは?ミレニアル世代とは似て非なる存在 諸説あるが、Z世代は1996年から2012年に生まれた世代を指す。一方のミレニアル世代は、1981年から1995年に生まれた世代である。Z世代は、9.11の同時多発テロや、リーマンショックなど、アメリカの歴史に残る大きな出来事を幼いながらに経験してきた世代だ。 また、2020年時点でアメリカにおける総消費の40%以上をZ世代が占め、さらには、金額にして1,430億ドルもの購買力を持つというデータも存在する。これほど大きなボリュームの消費者層を取り逃すわけにはいかないことは自明だ。 では、ここからZ世代の特徴を購買行動などのマーケティングの視点から分析していく。 1. 堅実的かつ本質主義なリアリスト まず特徴としてあるが、リアリスト(現実主義者)だということ。これは、先述のリーマンショックからの大不況に起因しているという主張が一般的である。 この頃、Z世代本人たちはまだ幼く、直接その影響を受けているとは考えづらいが、彼らの親が苦労をした分、お金に関する知識やマナーが教えられている可能性は高そうだ。 Z世代やミレニアル世代は、消費において、体験に重きを置くというデータは随所で見られる。しかし、2世代間には違いが存在する。 ミレニアル世代がラグジュアリーな体験を求めるのに対し、Z世代が求めるのは、たまの非日常ではなく、日々の楽しみであり、日常的なポジティブな体験のようだ。瞬間的な刺激よりも、コツコツと毎日のQOL (生活の質) を上げることに興味を持つことからも、堅実さが窺える。 また、ブランドのネームバリューよりも、実際のプロダクトそのもののユニークさや質の良さを重視する傾向にあり、本質的な側面もある。 2. テックネイティブ・デジタルネイティブ ミレニアル世代が、“Tech savvy (テクノロジーの精通者)”と表されるのに対し、Z世代は“Tech native (テックネイティブ)” と呼ばれることが多い。テクノロジー中心の世界が成熟していく過程を見て育ってきたのか、浸透しきった環境で生まれ育ってきたのかの違いだ。 Z世代は、新たなツールに対する抵抗感をほとんど抱いていないように感じる。というのも、生まれた時から携帯は当たり前。“ガラケー”よりもむしろ、スマホを身近に感じる世代で、デジタルデバイスを始めとするツールに壁を作ることは少ない。 モバイル前提 また、デジタルツールのなかでも「モバイルの利用」がZ世代の特徴だ。Z世代の98%がモバイルデバイスを所有しており、コミュニケーションはもちろん、買い物もコンテンツ視聴もモバイルで行う割合が高い。 Z世代のオンラインアクティビティ時の媒体別使用率 この最たる例が、モバイルファーストを主戦略とするTikTokだろう。次のコンテンツを見る際は、モバイルならではの「スワイプ」をしていく仕様で、そのUXもモバイルを念頭に設計されている。そんなTikTokは、アメリカにおける全ユーザーのうち、60%がZ世代だ。 ソーシャルコマースの兆し その他、ソーシャルコマースの潮流がきている。Instagramに関しては、モバイルとデスクトップの利用率の比較では、ユーザーの98%はモバイルで利用している。 写真がメインのInstagramは、商品画像を載せ、キャプションにその説明を書くことができるため、オンラインショッピングのプラットフォームに向いている。 また、Z世代は、他の世代と比較して2〜3倍の割合でソーシャルメディアで買い物をしており、最も利用しているプラットフォームはInstagramで、41%はブランドのアカウントをフォローしているというデータもある。 モバイル上でのユーザーがほとんどを占める上に、とりわけZ世代にとっては、ショッピングプラットフォームとしても利用されるInstagramでの購買は今後ますます盛り上がっていくのではないかと考えている。 関連記事:ブランド拡大に欠かせないソーシャルコマースとは。特徴と海外トレンド紹介 リモートネイティブ また、Z世代は、テック / デジタルネイティブもさることながら、リモートネイティブ世代だ。2020年現在、Z世代に当たる層は、高校生/大学生か、社会人1、2年目といったところ。 コロナウイルスの影響で、多くの学校や企業でリモート対応が始まり、彼らは、Zoomに代表されるオンラインコミュニケーションツールを駆使した会議や授業を余儀なくされ、適応をしてきたことだろう。 テックネイティブという基盤を持っているため、新しいツールへの適応に骨を折ることは少なかったと考えられる。 一方で、Z世代が求めるものは変わってきていると筆者は考えている。例えば、名刺交換のマナーよりも、オンラインミーティングで独特の間をうまく対処し、議論に入っていく方法や、オンラインを前提とした上司とのコミュニケーションの方法の方が知りたいと感じる。 作られたばかりのルールを新たな当たり前として生きていかなければならないため、先人からの教えが活かせることが少ない。 状況があまりにも大きく変わってしまったため、従来のルールでは通用しない局面にいる。その意味で、Z世代には先駆者的なアントレプレナーシップ的なマインドを持った行動をしていくことが求められていくのではないかと思う。 3. コンテンツの“超”大量消費 様々な記事でこの特徴を目にしたが、これはきっとZ世代ではない世代の方々が出した答えだと思った。なぜなら、筆者を含めZ世代張本人たちは、自分たちが膨大な量のコンテンツを消費している自覚すらないからである。 集中力はたったの8秒 1つのコンテンツに対する集中力が極端に短いことも特徴だ。平均して8秒ほどとされている。大量にコンテンツを見ているということは、1つのコンテンツに使う時間が短いとも言える。 また、大量にコンテンツを見ているからこそ審美眼が育っており、良し悪しの判断も速い。興味のないものにはすぐに拒否反応を起こし、広告を見抜くのは一瞬だ。 8秒間の勝負の鍵を握るのは、Z世代の使う“言語”に合わせることだ。GIFやミーム、絵文字と言ったビジュアルコミュニケーションを積極的に活用すると良い。 実際、Z世代を対象にしたある調査では、コロナ禍におけるフラストレーションの対処に、ミームなどユーモラスなコンテンツが一役買っていると回答した割合が72%という結果も出ている。 それだけミームはZ世代にとって身近なものであり、テキストだけでなく、ビジュアルも使った、流行りの共通言語や内輪ネタとうまく絡めたコンテンツも利用することは、彼らとの距離を近づける1つの方法だと思われる。企業としても、コンテンツ作りの際にはぜひ意識したいポイントだ。 4. 「ありのまま」「多道」の重視 他の世代と比較して、ダイバーシティーへの理解があるというのもまたZ世代の特徴だ。SNSがあって当然の世界で生きてきたZ世代は、学校教育やオフラインで出会う周りの人以上に「見知らぬ誰か」の発信を目にしている。 それだけ多種多様なコンテンツに出会う機会に恵まれており、その中で多様性に対する理解や知見が自然と育まれていったのではないかと思う。筆者も、学校教育以上に、普段視聴するコンテンツから多様性を学ぶ機会が多いように感じている。 関連記事:令和に絶対押さえるべきインクルーシブマーケティングとは。事例6選 リアルな声こそ重宝される また、「ありのまま」というキーワードから派生して、不完全さ、失敗、正直さへの共感もZ世代に刺さるコンテンツを作る鍵になるだろう。先述したように、Z世代はモバイル上で買い物をすることが多く、その際には、SNSやブログなどといったリアルな声を参考にしている。 ある統計では、Z世代は初めて購入するものに対しては第三者による口コミを確認してから購入の検討をすると回答した割合が86%、そしてそのうちの68%が、3つ以上の口コミを読み、熟考したのちに購買を決めるというデータが出ている。 口コミには赤裸々な感想が書かれているもの。ポジティブなものだけでなく、時にはネガティブな要素もある正直なメッセージこそ、Z世代にとっては信頼のおける価値ある情報となる。 5. オンラインとオフラインの使い分け ショッピングに関してZ世代は、情報のインプットや検討はオンラインで、購入はオフラインで行う傾向がある。 モノを買う場合、実際にオフラインの店舗に足を運んで買い物をしたいと考える割合が多い。実物を見たり、モノを購入するだけでなく、店舗の雰囲気や体験全てを包括的に経験した上で総合的に評価をする、ということだ。 日本でのわかりやすい例は、年始に原宿駅前にオープンした@cosme tokyoだろう。もともと@cosmeは、コスメや美容関連商品の口コミサイトとして知られていたが、オフラインのフラッグシップショップをオープンさせたことで話題になった。 また、 アメリカでも、Z世代をターゲットとしたブランドが、オフラインの店舗体験に重きを置いていることはみなさんもすでにご存知だろう。 Z世代を対象にしたIBMの調査を見てみる。いつもどの方法でモノを購入するか?という問いに対し、実店舗やウェブサイト上など、購入方法の頻度を回答してもらう質問だ。 この結果、ほとんどのモノを実店舗で購入するとの回答が67%だった。この数字は、購入チャネルとしてウェブサイトやアプリを最も使うと答えた割合の3〜5倍に相当する。 Z世代のモノ購入方法とその頻度に関する調査 オフラインとオンラインの「いいとこ取り」をして購買行動を起こすのがZ世代の特徴だと言えそうだ。 オンラインでは、SNSやブログ記事を通じて多くの口コミに出会い、商品の良し悪しを総合的に判断することができる。そしてそのインプットを踏まえ、実際に店舗に足を運び、自分の目で商品やその使用感を確認して、購入するかを決める傾向にあると分析できる。 また、動画コンテンツにおいて、面白いところは、開封の様子を載せるものが多く見られるということだ。 開封体験、侮ることなかれ たかが開封と思うかもしれないが、されど開封だ。実際、Instagram上では #Unboxing (開封) というハッシュタグのついたコンテンツが150万以上投稿されている。 また、開封の様子と共に商品を紹介する動画は非常に多く、公式チャンネルが発信しているものもあれば、一般ユーザーによる開封動画もある。 Z世代・ミレニアル世代を中心に人気を誇るコスメブランドGlossierのプロダクトの開封動画 開封体験そのものは、消費者全員・全世代を対象に考えられるべきものだが、SNSや動画のコンテンツになると、Z世代は見逃せないターゲットになる。 Z世代は、コンテンツの「正直さ」に信頼を寄せることは先述の通りだ。実際に手元に商品が届いてから、開封して使用するまでの一連の流れを見せてくれる開封コンテンツは、自分が購入した場合の状況が想像しやすく、購買体験をリアルに感じられる。 したがって、購買行動において包括的な体験を重視するZ世代たちにとってより有益なものに感じられるのではないだろうか。 商品だけでなく、開封からの一連の流れを購買行動として認識することはもちろん、それら全てがZ世代にはコンテンツ化されることも頭に置いて、ユーザー体験をデザインしていく必要がある。 ましてや、このコロナ禍だ。年代別の傾向などもはや関係なく、ECでの買い物率が跳ね上がっている。家にいながら価値を感じてもらえる購買行動のために、開封というフェーズも軽視してはならない。 最後に これまで Z世代の特徴をマーケティング目線で解説してきた。章立てて説明はしているが、それぞれのポイントは密接に関わり合っており、総合的に捉えていただけると幸いだ。 テックネイティブという最大の特徴から、特にモバイルを中心とするデジタルデバイスを起点としたコミュニケーションが重要になる。Z世代は、物事をそもそもデジタルを前提で考えているため、もはや「重要」というよりも「必須」でデジタルの活用を考えていくべきだ。 その一方で、自分の目で確かめたい、自分が信用できるものを選びたいという思いから、オフラインの体験にも価値を感じているところが大きなポイントだと筆者は考えている。 […]

成功するブランド名やプロダクトのネーミング方法【ブランディング入門#4】

ヒットするブランド名を考えるには具体的な手法がある 世界的な有名ブランドの名前の由来 偶然ではない!成功するブランドやプロダクト名に共通する3つの法則 ネーミングの際に気をつけたい6つのポイント 6つのタイプ別ネーミング事例 ビジネスアイディアを考え、プランを作成したは良いが、商品やサービス、そして会社名などのいわゆる“ブランドネーム”を何にするかで悩んでしまうケースは意外と多い。 響きが良く、海外の人達にも覚えてもらいやすい。そして、時間が経っても色あせない、そんな優れたブランド名を考えるのは容易ではない。一方で、成功する名前を付けるのは、グローバルブランド構築の第一歩でもある。 有名ブランド名の由来 まずは、現在著名になっているブランド名の由来を見てみよう。有名な内容から、全く知られていないネーミングの秘密もあり、面白い。 ナイキ: Nike ギリシャ神話の勝利の女神の名前から。 アップル: Apple 創業者のスティーブ・ジョブスが果実食主義者であり、それまで勤めていた会社「ATARI社」よりも電話帳で前にくる名前にしたかったため。 パンドラ : Pandora 音楽サブスクリプションのPandoraは由来は、ギリシャ神話のアポロが音楽のプレゼントをPandoraに与えたことに由来する。 ニベア : Nivea ニベアはラテン語で雪の白さを表す単語。白いスキンクリームを表す名前として選ばれた。 キャディラック : Cadillac デトロイト市を設立したフランスの冒険家の名前が由来。 レゴ : Lego デンマーク語の“leg godt (よく遊ぶ)”から。 ソニー : SONY ラテン語で音を表す“Sonus”から ハーゲンダッツ : Haagen-Dazs “ハーゲンダッツ”という響きからヨーロッパのブランドっぽい。しかし、それは大きな勘違い。ブランド名自体は全くの造語であり、意味は全く無い。実は創設者が“ヨーロッパ風”のブランド名を狙い、デンマーク語っぽい響きの名前を考案したのである。 プロによるネーミング方法を公開 ビートラックスでは、ブランディングサービスの一つとして、新しくサービスを作る際や、日本で展開しているプロダクトを海外展開する場合のブランドローカリゼーションの一環として、プロダクトやブランドのネーミングを行っている。 今回はその場合のプロセスとして気をつけているポイントや具体的な手法をご紹介したい。 偶然ではない!成功するブランドやプロダクト名に共通する3つの法則 世界的なブランドをそのブランド価値を包括的に分析しランキングする、InterBrandが発表しているブランドランキングを統計的に分析し、成功事例を元に分析したパターンを元に、成功するブランド名に関する3つの法則を紹介する。 世界のブランドランキングのTop 30のうち、60%が下記の2つ以上の条件を、そして、実に86%がいずれかの条件を満たしているという結果になった。 1. 長さはアルファベットで5文字から10文字以内 歴史的に見て成功しているブランド名のその多くが英語のアルファベット表記で、5文字以上で10文字以内である。これは短くて覚えやすい、書きやすいだけではなく、最近ではメールやTwitterなどのデジタルメディア上でもメリットが大きい。 例: HONDA (5文字) Disney (5文字) Microsoft (9文字) Starbucks (9文字) Facebook (8文字) 2. 同じアルファベット文字が2回以上繰り返されている 英語圏の人達から見ると、ブランド名に同じ文字が2回以上入っていると、なんとなく可愛いイメージがあり愛着が湧きやすい。 例: Apple (pが2回) Google (oが2回) CocaCola (Cが3回、oが2回) Toyota (oが2回) Canon (nが2回) 3. 子音 (硬音) の文字を最低でも1つ含んでいる 子音文字とは、発音した時に「ア・イ・ウ・エ・オ」の音以外になる文字で、その中でも硬音は、英語で発音した際に硬い印象がある文字。具体的なアルファベットで言うと、“Z, B, T, G, Y, H”がそれにあたる。 例: SONY (Y) IBM (B) Uber (B) BMW (B) Amazon (Z) ネーミングの際に気をつけたい6のポイント 上記踏まえて実際にネーミングをする際には、いくつか注意するべきポイントがある。特に、最終的に海外でも知名度を上げたい場合は、これらをきっちりと押さえておきたい。 1. 外国の人にも発音しやすい 日本国内では解りやすく、サービス内容を想像しやすい名前であっても、外国では発音しにくい場合がある。日本語で多く見られる英単語ではなく、かつ複数の母音が含まれている名前。 例えば、サイボウズ、ドコモ、アラタナなどは日本語を話さない人々にとっては、とても発音しにくく、覚えてもらいにくいので注意が必要だ。 2. 他言語で他のものを連想させる名前は危ない 日本では何の問題もなく通用していても、海外に出ると使えない商品やブランド名がある。例えば、“カルピス”は英語圏だと “Cow piss (牛のおしっこ)” に響きが近いので、「カルピコ」に名前を変えている。また、ポカリスウェットの“スウェット”は、英語では“汗”という意味であるため、微妙なイメージと感じる人もいる。 […]

自動車メーカーのリブランディング分析: Nissan、VW、BMW

多くの自動車メーカーがリブランディングを進めている Nissanの事例紹介 VWの事例紹介 BMWの事例紹介 3社のリブランディングにおける主な共通点と展望 ブランドにおけるロゴの真の役割とは? デジタルメディアの普及により、UIデザインやブランディングにおけるフラットデザインの採用が進んでいる。その波は最も”物理的”なプロダクトを提供している自動車メーカーにも影響を与え、複数のブランドが軒並みリブランディングを進めている。その中でも今回は、Nissan、VW、BMWの事例を紹介する。 Nissanのリブランディング事例 先日、Nissanが大胆なリブランディングを行った。最も象徴的なのが、ロゴの大幅な変更。このリブランディングプロジェクトでは、これまで20年近く利用されていたブランドロゴを大胆に刷新した。 デジタルファーストのデザインスタイル それまでデザインは、グラデーションやエンボス等の立体エフェクトを活用し、車両のボンネットに載っているエンブレムを彷彿とさせた。そのデザインテーマを踏襲しながらも、立体的な物理デザインから、一色によるフラットなデザインに変更された。 このリブランディングプロジェクトは、日産自動車株式会社のグローバルデザイン担当専務執行役員、アルフォンソ・アルバイサの主導によって2017年にスタートした。キーワードは「細さ、軽さ、柔軟性」 同氏はプレスリリースにて、今回のリブランディングでは、“科学、技術、コネクティビティにおけるブレークスルーによる顧客への根本的な変化からインスピレーションを得た” と語っている。 コネクテッドなライフスタイルに対応 過去20年間で人々の生活が大きく変化した。インターネットを中心に、我々の生活においてスクリーンやデジタルデバイスに接する機会が格段に増えた。 自動車のコネクテッド化もどんどん進んでいる。それに対応するために、Nissanも、デジタルタッチポイントに強いブランドを象徴するのをゴールとしたアプローチである。 例えば、今回新しくデザインされたロゴは、車内でLEDイルミネーションとしてロゴが光った際に美しく見えることも重要視されている。 時代と共に大きく変化をしてきたNissanブランド 今回のリブランディングはかなり大きな変化のように思える。しかし、下記の通り、Nissanはこれまでも時代の変化に合わせて、幾度となくロゴのリデザインを行っている。 他の自動車ブランドと比べてみても、その変更の頻度はかなり高いと言えるだろう。 Nissanの新しいロゴを分析 Nissanのこの新しいロゴは、全般的にかなりポジティブな印象を受ける。時代のトレンドであるデジタルメディアに上手に対応しているし、ロゴに求められる最も重要な要素の一つである、複数の利用シーンでの可視性も高くなった。 細かいポイントを中心に分析をしてみる。 1. メタル感から未来感へ 一つ前のロゴと比べて最も大きな違いは、ロゴから受け取るイメージ。これまでのロゴが3Dっぽさを演出したことで、自動車メーカーっぽいメタルな感じだった。今回のリデザインでは、フラットになったことで、より未来的なイメージを醸し出している。 2. オープンさを上手に演出 これまでは“NISSAN”の文字部分が閉じられた空間内にデザインされていたのに対し、新しいロゴでは開いた空間となったことで、オープンなイメージが演出されている。同時に、“円”の部分との間に絶妙なスペースを設けたことで、無意識のうちに前ロゴとの共通点を確保している。 3. シンメトリー“N”のバランスが良い このロゴの最も優れている点の一つが、NISSANの最初と最後の“N”とその周りのスペースと、円のエッジ部分とのアラインメントのバランスが共通していることで、Nで始まりNで終わる同ブランド名を優れたデザインに落とし込んでいる。 4. Nの上下の曲線の角度が不安定に感じる その一方で、気になる点が全く無いわけでもない。では、新しいロゴの懸念点を“あえて”指摘してみる。 一番大きな問題なのは、Nの上下の円から直線をつなぐカーブの曲線が内側と外側で異なることで、微妙に“ズレている”感覚を与え、見る人を少し不安な気持ちにさせること。これはデザイン理論でいう“Tangent”という状態を発生させている。 5. シンプルにしたことで汎用性の高さと環境への配慮を実現 今回のリブランディングでロゴの構成要素を減らしたことで、車両自体以外のより多くの場面で活用可能になった。それによりアナログでもデジタルでも使いやすくなった。また、3D効果を廃止したことで、制作にかかる工程やコストも下がるので、環境にも優しくなっている。 VWのリブランディング事例 フォルクスワーゲン (VW) も2019年に大幅なリブランディングを通じ、ロゴのアップデートを行った。その方向性はNissanと同様に、立体的・メタル感のあるものから、シンプルでフラットなものになった。 New Volkswagenと呼ばれるこのリブランディングプロジェクトには、実に9ヶ月の時間と19の社内チーム、17の外部デザインエージェンシーが関わっている。 プロジェクト責任者でもある同社CMOによると、今回のリブランディングのゴールは、全てのタッチポイントにおいて、より総合的なグローバルブランド体験の創造であるとのこと。新しいロゴは、より人間的で生き生きしたものになり、顧客の視点をより多く取り入れ、本物のストーリーを伝えたいと考えているとも語っている。 自動車のロゴからアプリのアイコンスタイルへ VWのロゴはその構成要素を極端に減らすことにより、モダンでシンプルなものとなった。それにより、利用における汎用性は格段に上がり、特にデジタルメディアでの利用性は非常に高まっていると言える。 この新しいをロゴ見ると、まるでモバイルアプリでも提供しているアメリカ西海岸のスタートアップっぽい感じがする。以前の記事でも紹介した通り、最近のスタートアップロゴは共通して、アイコン感を演出し、ロゴタイプよりも、ロゴシンボルの方を重要視する傾向にある。 最近のスタートアップのロゴのスタイルが似通ってきている問題について それもそのはず。VWはこれからWeb、モバイルアプリ、Apple Watchアプリなどのデジタルプラットフォームにおいて、複数のブランド展開を進めていく予定なのだ。これは、デジタル・アナログの両方でユーザーに体験を届けようとする同社のモビリティーカンパニーとしての方向性を感じさせる。 VWのロゴ遍歴 ドイツ語で「国民車」を意味するフォルクスワーゲンのブランドの歴史は1939年より始まる。設立当初から、円の中に”V”と”W”の文字を縦に配置しするロゴのモチーフは共通。 そして、時代と共に微調整を重ね、2000年より、メタリックさと立体感を打ち出したロゴに変更し、2012年には、より金属感をました先代のロゴに辿りついた。 VWのこれまでのロゴの変更遍歴を見てみると、そのブランドの一貫性の高さは、自動車ブランド随一と言っても良いだろう。 VWの新しいロゴを分析 では今回新しくなったVWのロゴを少し分析してみる。全体的に最も大きな変化としては、アウトラインスタイルに移行し、フラットになったこと。採用されている色も一色のみで、これ以上削れる要素がないほどに洗練されている。 全体のコントラストが強くなり、可視性も高まった。それにより、利用シーンを選ばない汎用性の高さを獲得したと言える。 加えて、その他の細かいポイントを分析してみる。 1. 重厚感よりも可愛らしさを演出 今回のリデザインでユーザーがイメージ的に最も変化があったとすれば、その可愛さだろう。細いラインを採用したことで、より繊細に雰囲気が醸し出されている。同時に、一つ前の重厚感は無くなり、軽さ、柔軟さ、可愛らしさを演出している。 2. 少し未完成な感じが親しみやすさを感じさせる このデザイン、プロの視点から見ると、少しアンバランスな部分がある。VとWの間のわずかな隙間や、円の部分と文字の部分のアウトラインの太さの微妙な違い、そしてWの下の隙間などがそれである。おそらくこれはあえてそうすることで、少し不器用な感じで、親しみやすさだしたのではないかとも感じる。 3. “動くフレーム”のコンセプトを上手に活用 ロゴのリデザインに加え、今回のVWのリブランディングで最も特質すべき点は、ブランド全体の異なるタッチポイントを上手につなげたところだろう。自動車ブランドはどうしても、車両とデジタルでユーザー体験が分断されがちであるが、下記のコンセプト動画でも表現されているように、VWは”動くフレーム”のコンセプトで、そのギャップを上手に埋めたと言える。 BMWのリブランディング事例 最後に紹介するのはBMWの事例。同社は2020年の3月にリブランディングを行い、ロゴのアップデートも行った。その結果は、前出の2つの事例と同様に、メタリック、立体的なものから、フラットなデザインになった。 加えて、BMWは、ロゴの背景を透明にするという大胆なデザインを採用した。そして、このアップデートに対して、世界のデザイナーの間で議論が広がっている。 BMWのロゴ遍歴 BMWのブランド名は、Bayerische Motoren Werkeの頭文字を取ったもの。元々は軍用飛行機のエンジンを製造しており、その歴史は100年以上も前の1917年に遡る。その当時はBtoBのビジネスモデルであったこともあり、当初ブランドロゴはなかった。 一般的には、ロゴのモチーフは飛行機のプロペラだとされることが多いが、実は、本社のあったブラビア州のシンボルカラーの青と白を採用したとのこと。ある日、飛行機を掲載した広告を採用したことで、そのロゴがプロペラをモチーフとしているという噂が広がったという。 その後、時代と共に微調整をかけているが、初期のデザインから大きな変更はない。 BMWの新しいロゴを分析 今回のリブランディングでは、デジタルネイティブの若い層をターゲットにし、その層によりアピールするスタイルを採用している。具体的には、立体的なグラデーションを廃止し、思いっきりフラットなスタイルに振った。 そして、顧客に対して自動車メーカーよりも、リレーションシップブランドとしてのポジショニングを優先した事によるリデザインである。同社の100年以上の歴史の中でも、最も大胆なリブランディングと言っても良いだろう。 下記に細かなポイントを掘り下げていく。 1. オープンさと透明性の高さをロゴにも反映 このロゴの最もユニークなところは、BMWの文字が記載された円のエリアが透明になっていること。これは、オープンさと透明性の高さをモチーフとしている。 その一方で、この試作はかなりギャンブルでもある。というのも、ロゴが置かれる背景によっては、ブランド名が読みにくくなったり、ロゴの一貫性が下がるからだ。デザイナー的な視点で見ると、まるでデザインファイルから背景レイヤーを誤って削除したまま出力ようにも見える。 2. 伝統よりもモダンな未来を想起 今回のリブランディングでは、フラットなデザインを採用することでこれまでのBMWのブランドを大胆に刷新した。それにより、100年以上続く同ブランドの伝統を武器にするよりも、より現代、そして未来に向かって進んでいるイメージを与えることができるだろう。 既存のBMWファンの中には多少残念に思う人もいるかもしれないが、これからブランドに接し始める新規ユーザーに対しては、よりフレッシュなイメージを届けられるだろう。 3. インスタ映えを優先 実はこの新しいロゴ、背景などを入れ替えることで、めっちゃインスタ映えする。BMWの公式インスタアカウントでも、動画がアップされている。デジタル時代に最適化されたロゴであると言えると同時に、自動車メーカーの枠にとらわれない同社の意気込みを感じる。 View this post on Instagram Introducing the new BMW brand design for online and offline communication. 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【考察】アフターコロナ時代に備えて企業が今考えるべきこと

アフターコロナの消費行動、購買行動を4軸で分析 ①リアル X 生活必需品: 個人スペースを保つ移動ニーズ。サービス利用からモノ所有への揺り戻しか? ②リアル X 嗜好品: 五感を刺激するリッチな非日常空間の体験への注目。 ③オンライン X 生活必需品: シニア層もオンライン移行。新たなユーザー獲得のチャンス。 ④ オンライン X 嗜好品: “おうち時間”充実のためのサービス需要アップ。“お店が家に来る”という価値の転換。 コロナ前後の違和感や違いを好奇心を持って考えるマインドセットが重要 コロナウィルスが収束し、経済が再開したあとの消費者ニーズや購買行動はどう変わっていくのだろうか。 日経クロストレンドが発表したアンケート調査で、51.7%の人がコロナ収束後はお金の消費を減らすと回答しているが、そういった人たちに対して今後どのようにアプローチしていけばよいのだろうか。多くのビジネスマンがこうした課題について考え始めている。 徐々にお店や企業がオープンされつつある今日だが、With/Afterコロナと題されるように、今後もウィルスへの懸念は完全に消えることはなく、ユーザーの生活の一部であり続ける。 それに伴い、ユーザーの価値観や消費行動は劇的に変化を遂げ、それはコロナ以前に戻る可能性は限りなく低く、企業はユーザーが抱える課題・ニーズを再定義し、アプローチ方法を見直す必要がある。 例えば外食産業は、オンライン注文やデリバリーで対策し始めている。この迅速なピボットはコロナ禍により発生した自宅待機という短期的な課題とニーズにはマッチするが、ユーザーの価値観の変化を掴まず進められたソリューションは、長期的な意味での展開はなかなか望めなく、諸刃の剣になりかねない。 そこで今回は、コロナ収束後に人々の価値観や思考法にどのような変化が起こりうるのかを分析する。 また、これらを考察していくとともに、それを見据えて企業はどう対応していけば良いのか、アメリカ企業の具体例を中心に紹介していきたい。 With/Afterコロナによる社会変革はピンチではなく、新たに生まれた課題を解決するチャンスというマインドで取り組み、コロナ禍前以上のさらなるビジネス展開のきっかけに繋げてもらえると幸いだ。 ユーザーの視点別に分解する ユーザーを分析する視点は、彼らがどこにいるのか(リアル/オフラインなのかオンラインなのか)、何を求めているのか(必需品なのか嗜好品なのか)を2つの軸、4つのパターンに分ける。 軸1: リアルとオンライン 今回のパンデミックはまさにリアルでの接触が脅威になっており、ユーザーは自宅、もしくはオンラインに避難した。このこともあり空間の違いによって心配事・感心事が異なるので、空間別に分ける。 軸2: 必需品と嗜好品 パンデミック発生直後、人々の嗜好品に対する購買意欲は下がり、まずは生活必需品を揃えることに重きが置かれた。一方で、感染拡大が収まってきている中、嗜好品を求める余裕も出てきた。この2つのバランスの移り変わりも絡め、それぞれを見ていく。 ① 個人スペースを確保し安全に移動することに重視 (リアル X 生活必需品) 日本に比べると車通勤がはるかに多いアメリカだが、サンフランシスコやニューヨークなどの大都市では電車やバスを利用して移動している人も多く、ラッシュ時はかなりの乗車率だった。 通勤や通院など移動は生活において必要となる。この移動におけるユーザーのニーズにも変化が現れ始めている。 経済が活気を取り戻しつつある現在、公共交通機関の利用も徐々に増えてきているが、三密の代表格として認知されていることから、安全に利用することがままならない状況にあり、利用者の多くは不安を抱えながら移動している現状にある。 そのため、コロナ収束後の移動においては、密を避けることが求められる。つまり一番良いとされるのは個人スペースを保った移動なのだ。そのため、通勤、旅行、買い物時の移動シーンではできる限り個人スペースを確保したいとの考えが広がった結果、個人車所有の価値が見直されるのではないかと考える。 実際に、今まではタクシーの代替品として毎日のように使われていた、UberやLyftに代表されるライドシェアリングサービスは、経営的にダメージを大きく受けたビジネスモデルだ。 彼らのビジネスモデルは、他人と相席をするという、言わば三密を避けられない状態になるので不衛生、不摂生というイメージがあり、安心して利用することを躊躇っている人が多い。 そのため「コロナ危機でシェアリングエコノミーはどうなってしまうのか」でも紹介されているように、UberやLyftなどは主要事業のライドシェアリングから生活必需品をデリバリーするビジネスモデルの可能性を模索している。 またレンタカーに関しても同様に、誰がいつ何をしているか、本当に消毒されているのかなどの不安から利用者が激減し、先日、米国最大手のレンタルカー会社のHertzが倒産する事態にまで発展した。 他人とモノやスペースを共有し、リーズナブルかつ効率化を求めるトレンドは今後、個人のスペースを確保し、安全に移動することに移っていくのではないかと思う。 実際にアメリカの中古車市場は既に上昇傾向にあり、サービスの利用からモノの所有への揺り戻し需要が期待されている。 ② 非日常空間で五感を刺激しストレス解消することに重視 (リアル X 嗜好品) コロナ前は、当たり前のように、映画館で大スクリーン上に映し出される映画を観たり、ライブ会場で生演奏を聞いたり、お洒落なレストランで美味しいものを食べたりと、人は好きな時に五感を刺激し、ストレスを発散することができた。 それがコロナにより、容易にストレスを発散できなくなった現在、人々が抱えている課題は、その失われた五感をコロナ収束後にどのようにして回復させるかだ。 もちろん経済が再建すれば、映画館やレストランをストレス発散の場として利用することはできるが、コロナの懸念は完全には消えず、常に不安を抱えながら生活する必要がある。 せっかく遠出をし買い物をしに行ったとしても、現地で多くの人がいればそちらが気になって楽しめなかったり、映画館に行ってもコロナのことばかりが気になり、集中できずに体験として物足りないと思うかもしれない。 それは、再開していくレジャー系アクティビティも同様で、特にこれから真夏に向けて、例年の、夏祭りや子供連れでプールに行くなどの機会をいかに安全に体験することができるかに需要が向くと考えられる。安全にソーシャルディスタンスを取りながら、レジャーを体験することに期待が寄せられる。 現在、アメリカを中心に新たなシェアリングビジネスとして人気を集めているのが、プライベートでプールの貸し借りができるSwimplyというスタートアップ企業だ。 Swimplyレンタル画面 同社のビジネスモデルは、シェアリングハウスでお馴染みのAirbnbと類似している。しかし差別化ポイントとしては、家の貸し出しではなく、高級住宅に併設されているプールの貸し出しを行うという、あくまでもレジャーアクティビティ体験にフォーカスされているところにある。 プライベートで借りることができ、料金は場所により異なるが、安いところだと、$35/hourと良心的な価格設定になっている。時間は1時間からとホスト側も利用者の回転率を上げることができるという点でメリットが多い。コロナ後の売上は3月に比べて1,200%を達成したという。 長い自宅待機や外出先でもコロナの不安からくるストレス解消のために、高級住宅のプールを使うという非日常感を味わいながら、安全にソーシャルディスタンスも取れるという体験に今後も需要の期待が寄せられる。 ③ シニア層も生活必需品の買い物はオンラインに重視 (オンライン X 生活必需品) コロナ禍をきっかけにオンラインビジネスの成長がさらに顕著だ。TechCrunchの記事によると、食料品のオンライン注文が前月の3月に比べ、49%上昇したとある。 もちろん、コロナ前も小売分野を中心に、オンラインショッピングやデリバリーを利用していた人は多くいただろうが、コロナをきっかけにその加速がさらに進むと考えられる。 コロナにより様々な飲食店や食料品店はオンラインでの注文・デリバリーを強化し、サービスを展開を始めている。サンフランシスコ発祥の食料品即日配達で有名なInstacartは、コロナをきっかけに食料品のデリバリーによる売上が昨年同期比400%を達成しさらに勢いを増している。 また、同社は全米200店舗のCostcoと提携し、食料品だけでなく処方薬の配達を開始すると発表し、注目を集めている。 InstacartのアプリUI このような取り組みは、単にオンラインサービスを利用する人が増えるだけではなく、ターゲット層にも変化を与えると考えている。 今までオンラインサービスの利用者層は主に、インターネットにアレルギー反応がない若者をメインターゲットとしてサービス展開されていたケースが多いが、これからはシニア層のオンラインでの購入需要が高まると考えられる。 シニア層は若年層に比べ、オンラインよりも実店舗に出向き生活必需品を購入するケースは何かと多い印象だ。実店舗は彼らにとってただ単に買い物をする場ではなく、憩いの場だったり、ソーシャルな場だったりもする。 しかし、それは同時にコロナ感染リスクの上昇に繋がり、若者に比べ重症化するリスクが高いとされている不安から、外出を避けてオンラインでの買い物に移行するケースが増えると考えている。 Instacartの処方薬デリバリーの例は、こうした不安や懸念を抱えるシニア層を中心に利用ケースが増えると考えられる。 コロナによって引き起こされたユーザーの価値観や考え方の変化を捉え、ニーズの再定義をもとに作られたソリューションは、新たなターゲットへのリーチにも繋がり、さらなるサービス展開の起爆剤になり、そうしたマインドセットを持つことがコロナ収束以降も必要となる。 関連記事:ニュートンのイノベーションは隔離体験から生まれた ④ 趣味で自宅時間を充実させることに重視 (オンライン X 嗜好品) コロナ前は仕事や外出で忙しく、なかなかインドア系の趣味に対して重要性を見出せていなかった人も、パンデミックをきっかけにインドア系趣味を取り入れ、自宅時間を充実させるケースが増えたのではないだろうか。 人気なのは、料理やガーデニング、家具作りなどのDIYといったところだろうか。もしくは今まではわざわざ外出をして行っていた運動はジムではなく、自宅でできるように新たに器具を揃えたり、オンラインクラスを受講したりで対応していったケースもあるかもしれない。 今回のパンデミックで人々の購買意欲・行動意欲が下がったため、アウトドアの趣味で時間を充実させるよりは、自宅でできる趣味を取り入れることで時間を充実させたい欲が続いていくと考えられる。こうした需要に共感し、新たなサービスを始めた飲食店がある。 サンフランシスコやロサンゼルス 、ニューヨークで人気のタピオカ店Boba Guysは休業期間を利用して、ただ単にデリバリーやオンライン注文を受けるだけでなく、新たに半調理品の商品を開発し専用キットとしてオンライン販売する仕法で新規顧客を取り込んでいる。 Boba Guysメニューキット 専用キットの中には材料や調理器具の他、レシピも同封されており、自宅でもお店さながらの味が再現できる。 これはただ単にドリンクをデリバリー注文して飲むだけでは体験できない付加価値がプラスされていると同時に、今まではなかなかお店に足を運べなかった新たな層にもリーチでき、それが競合との差別化にも繋がり新規顧客の取り込みにも成功している。 飲食店の生命線ともいえるレシピを公開してしまうことは、競合にヒントを与えることになり、リスクにもなりかねないが、なぜ実行に至ったのか。 それはユーザー視点で、彼らが自宅時間で求めていることは何なのかをしっかりと考え、持てるリソースでそのニーズに答えるというマインドセットがあったからだと言える。 ③のポイントとも繋がるが、“お店に足を運ぶ”という従来の思考法から“お店が自宅に来る”という新たな発想の転換と“レシピ公開はリスク”という固定概念を払拭したことで生まれた、新しい可能性なのである。 おわりに コロナウイルスによって、人の価値観や思考法に変化がもたらされた現在、企業はユーザーのニーズや行動、欲求を再度見直し、サービスの改善や対策を行っていく必要がある。 上記で紹介したような事例はそのようなニーズをいち早く捉え、実行している例であるが、コロナによって引き起こされたユーザーが抱える不安や懸念は何なのかを考え、どのように安心感を与えるかを考えることが今後のカギとなりそうである。 そのためには、ユーザーへの共感と実体験から感じたコロナ前とコロナ後の違和感や違いを好奇心を持って考えるマインドセットを持つことが第一ステップになる。 コロナによるパンデミックはピンチではなく、新たな課題を解決するための源と捉えてさらなるビジネス展開に繋げて頂きたい。 btraxではユーザー中心視点からグローバルに通用するためのマインドセットを醸成するためのデザイン思考ワークショップを提供している。少しでも興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせを。 参考記事: Hertz files for bankruptcy Uber lays off […]

一人の男が4年前に放ったメッセージが今、世界を動かし始めた

世界中を巻き込むBLMのムーブメント、その4年前にはある別の動きが。 とある男の行動が全米を巻き込んだ。一部賛同があるも、大統領をも激怒させ、批判、その末の流浪。 もう終わったと思われていた彼を、ある企業がブランドキャンペーンに起用。さらに物議を醸す。 しかし今回のフロイド事件で、彼自身、そして当時の広告に書かれたメッセージに再注目。 4年にわたる一連の動きから、ブランドメッセージに本当に込めるべきものを問う。 BLM (Black Lives Matter)。日本でも少しずつ浸透し始めたキーワード。アメリカにおける黒人差別を無くそうという活動を通じて発せられるメッセージである。首都のワシントンD.C.やシアトル、サンフランシスコのストリートに黄色の文字がペイントされたり、各地のデモでプラカードを掲げたりして、多くの人への認知活動を広めている。 この活動は、アメリカだけでなく世界各地にも広がり、これまでの差別・虐待の歴史や現状に対しての理解が高まったり、状況の改善に繋がるような施策が始まったりもしており、人類にとってもその価値は非常に大きい。 世界各地に広がるBLMデモ 約4年前、一人の男が自らの信念を貫いた 今でこそ多くの人々からの支持を得ているこのBLMムーブメントであるが、2016年にも黒人差別問題に対して一人のNFL選手が静かな、しかし、とても強力なメッセージを発信していたことはあまり知られていない。 彼の名前はコリン・キャパニック (Colin Kaepernick)。当時サンフランシスコ・フォーティナイナーズのクオーターバックとして大活躍をしていたスター選手だ。 その彼が2016年8月26日に行われたプレシーズンマッチで試合前の国歌斉唱でベンチに座ったまま立ち上がらず、起立を拒否した。その理由を「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」と語っている。その具体的な原因は、相次ぐ警官の黒人対する暴力だとされる。 アメリカでは、スポーツの試合を含む様々な採点で必ずと言って良いほど星条旗が掲げられ、国家斉唱が行われる。そこでは、会場にいる全ての人が立ち上がり、帽子を脱ぐのが常識とされている。特に選手という立場で起立しないことは考えられない。 だから当然、彼のこの行動は大きな物議を醸し、彼の元には殺害予告が届くまでに発展した。しかし、次の試合からも彼はひざまづく姿勢を貫いた。そして、それに賛同する他の選手も同じポーズを取り始めた。ピーク時には実に200人の選手が国歌斉唱時にひざまづく、座る、拳をあげるアクションで抗議を示した。 国歌斉唱の際にひざまづき、抗議の意を示すキャパニック選手 (中央) 彼のこの態度に対してトランプ大統領が激怒 キャパニック選手のこの行動に対して激怒したのがアメリカ大統領のドナルド・トランプだ。彼は「星条旗を冒涜し、アメリカの伝統に泥を塗るようなバカ野郎はクビだ!」と荒ぶった。そして「多くのNFLオーナーは私の友人だ」とも付け加えた。 ちなみに、イギリスの調査会社YouGov (英語版) の調査によると、全体では国歌斉唱時に起立しなかったことに賛成しているのは29%にとどまり、69%が反対だった。しかし、黒人に限ると72%がキャパニックの抗議に賛成する一方、反対は19%となった。 その後、NFLは選手会の反対を押し切り、2018年5月に、国歌斉唱時の起立を事実上義務化した。 キャパニックはチームを早期離脱 この騒動が発端となり、キャパニックは申し分ない成績だったのにも関わらず、2016年シーズン終了後チームとの契約の早期終了を選択し、フリーエージェントとなった。一説にはチームを実質上クビになったとも言われている。 彼を雇ってくれるチームはなかった フォーティナイナーズを離脱し、フリーとなったキャパニック選手。それまでの輝かしい成績をもってすれば、すぐにチームが見つかると思われた。しかし、どのチームも彼を雇おうとはしなかった。 一度、シアトル・シーホークスが彼を合同練習に招待したことで期待されたが、結果として明らかに実力の劣る他の選手を選択した。 それでも、キャパニックはその後も人種差別撤廃への活動を続け、これまでに100万ドル以上を寄付している。 Nikeが「浪人」の彼を広告に起用 しかし、その後世の中を大きく驚かせることが起こった。なんと、2018年にNIkeが彼を広告キャンペーンに起用したのだ。どこのチームとも契約ができない状態、イコール現役ではない浪人選手を起用するのは通常、ありえない。それも彼が採用されたのは、“Just Do it”の30周年キャンペーン。 このキャンペーンにて、モノクロのキャパニック選手の顔写真の上に書かれたメッセージは 何かを信じろ。例えそれが全てを犠牲にすることだとしても。 原文は ”Believe in something. Even if it means sacrificing everything.” NikeのJust do it. 30周年キャンペーンに起用されたメッセージ 一部ではアンチNikeキャンペーンも このメッセージを気に入らないとした人々が、ネット上にNikeのスニーカーを燃やす動画をアップしたり、Twitter上でNikeをディスるハッシュタグを使ったキャンペーンを行ったりした。それも影響したのかキャンペーンリリースの翌日には、Nike社の株価が3.2%下がった。 ドナルド・トランプも”What was Nike thinking? (Nikeは何考えてんだ)”とツイートした。このブランドキャンペーンは失敗に終わったかと思われた。 しかし、数日後にはNikeのオンライン売り上げが25%アップ。ブランドの発するメッセージに共感した消費者が商品を買い始めたのだ。俳優のニック・キャノンは、大量のNikeの商品を買い、ホームレスに与えた。一見世の中へのインパクトを重視したキャンペーンだったが、結果的にはビジネス的にも成功した。 フロイド事件で再び注目を浴びる このキャンペーンの約2年後の2020年6月、ミネアポリスにて警察官によるアフリカ系米国人の暴行死事件が起きた。この事件がきっかけに、冒頭のBLMをはじめとした多くのデモやプロテストが世界各地に広がった。 アメリカ各地でこのデモは一週間以上も続き、警察との衝突も発生した。その一方で、デモを無理に鎮圧するのではなく、自分たちも賛同する警官も出てきた。都市によっては、警察署長自らがひざまづくことで賛同の意を表明した。 そう、これは4年前のコリン・キャパニックがとったのと同じポーズである。 警官がひざまづき、人種差別に対してのデモへ理解を示す NFLが謝罪 そしてついにNFLから「謝罪」ともとれる声明がTwitterを上で発信された。2020年6月5日、ロジャー・グッデルコミッショナーは、「かつて私たちがNFL選手の言葉を聞かなかったのは間違っていた。我々は、全ての人が発言し平和的に抗議することを応援します」とのツイートを行った。 具体的な選手の名前や事例は明記されていないが、恐らくこれはキャパニック選手による抗議のことと理解して間違いないだろう。 We, the NFL, condemn racism and the systematic oppression of Black People. We, the NFL, admit we were wrong for not listening to NFL players earlier and encourage all to speak out and peacefully protest. We, the NFL, believe Black Lives […]

ソーシャルコマースを制するものは売上を制する。特徴とトレンド紹介

ソーシャルコマースとは「ソーシャルメディアのプラットフォーム上でオンラインショッピングができるような機能、状態」 モバイルでのショッピングをミレニアル世代の73%が重要視している Facebook/Instagramの新機能ショップ:没入感のあるショッピング機能 Pinterest:ARや画像検索などによりビジュアルに特化した機能を充実 THE YES:Stitch Fixの元COOが創業したAIレコメンドEコマースモール Shop:Shopifyからリリースされたショッピングアシスタントアプリ ECサイトへの流入獲得のためにSNSを使うのはもう古い。 そうなっていくかもしれない。ポイントはSNSが「流入獲得のため」という点。ブランドとしては究極、売上をたてたいのだから、SNSで売上を獲得できれば流入はいらない。 SNSで売上をたてるというのがまさに、ソーシャルコマースなのだ。 本記事は、ソーシャルコマースとは何か、なぜ注目なのか、Facebook/Instagram/Pinterestといった大手のソーシャルコマース動向、ソーシャルコマース関連最新サービスについて紹介する。 ソーシャルコマースとは ソーシャルコマースとは、ソーシャルメディアのプラットフォーム上でオンラインショッピングができるような機能、状態をさす。 広義には、「ソーシャルメディア上でブランドの商品を探して、商品詳細を確認して、そこからウェブサイトに飛び、購入・決済をする」というソーシャルメディアを起点としたオンラインショッピング体験だ。2005年Yahoo!が最初に使い始めたという説があり、特に新しい言葉ではないが、最近は新しい重要な特徴が定義として付け加えられ始めている。 前述の買い物ルートだと、購入は、ソーシャルメディアを一旦離脱し、ブランドの自社サイトで購入手続きを進める事になる。一方、最近付け加えられたソーシャルコマースの特徴の1つになっているのが、カートに入れてから購入の決済までを、そのソーシャルメディア上で行うことができるという点である。 これにより、顧客にとっては、よりシームレスな購入体験となり、ブランドにとっては、ブランド認知から購入までのファネルが短くすることができるのだ。 これはつまり、ソーシャルメディアの役割が、自社サイトへの流入獲得ツールということではなく、ソーシャルメディア自体がブランドのECサイトになってくるということでもある。 ミレニアル世代 x モバイルのソーシャルコマース需要に注目 オンラインショッピングの拡大についてはよく取り上げられるので皆さんもご存知だろう。グローバルのEC売上額は2019年から2022年の3年で、85%増加の6.54兆ドルになると予測されている。 もちろん、小売全体でみると、オンラインでの売上は14%程度にとどまる(2019年)が、この割合も徐々に増加していくことが期待されている(下図)。これに加え、特にミレニアル世代の73%はモバイルがオンラインショッピングで1番重要なツールだと回答もしている(Z世代63%)。 2015-2023年のグローバルリテール売上におけるECの割合。データ転載元 大手から新サービスまで各社のソーシャルコマース導入実態 こういった需要がある中、コロナによって支出が落ち込んだりはしたものの、ニューノーマルの環境で回復を図るためにバランスを保ちながらもオンラインに注力するブランドは少なくないだろう。 これを追い風にすべく、各企業がソーシャルコマースを中心とするオンラインショッピング体験を盛り上げようとしているのだ。 ソーシャルメディアとして強かった大手テック企業が、コマース機能を充実させ、コマースが得意だった企業や人たちが、ソーシャルにも広がる可能性があるコマースサービスを拡充している。それぞれの特徴を紹介する。 Facebook/Instagram:さらに没入感のあるショッピング機能をリリース 2020年5月、Facebookが新たな機能、Facebook Shopのローンチを発表(日本でも約1ヶ月後にリリース)。説明はFacebook Liveにて、CEOのマーク・ザッカーバーグ直々に。 サービス名はFacebookショップだが、FacebookとInstagramをメインとするモバイルファーストの新しいショッピング体験を提供するサービスだ。まさにコロナ禍における、小売ビジネスやスモールビジネスの売上や広告費が落ち込む中、タイムリーなデビューとなった。大まかに、新しい特徴・機能は以下の通りである(リリース時期は各国で異なるので公式HPを参照されることをお勧めします)。 1. FacebookとInstagramでオンラインストアを無料で簡単に開設できるように 今までは、既存のオンラインストアが、ソーシャルメディアチャネルの1つとしてFacebookやInstagramのアカウントを作り、ECと連携させる、というパターンだったかもしれないが、いきなりFacebookやInstagramでオンラインストアが作れるようになるのだ。 USではチェックアウト登録をしていればApp内決済も可能になる。 もちろん、ただ「箱」を用意したというだけではなく、ブランドページは、コレクションページの設定、おすすめの商品の選択、フォントや色のカスタマイズも可能。オンラインでは特に重要なブランドストーリーの構築ができる。 また、新機能発表のライブで、マークが特に訴えていたのは、スモールビジネスへの支援という側面。Facebookのリサーチによると、コロナウィルスの影響でスモールビジネスの31%が営業停止に追い込まれており、Facebook ショップはまさにスモールビジネスのための機能だと言う。 Instagram上でもショップタブが追加されており、新しいブランド発掘もしやすくなっている。 2. メッセージ機能を通した、リアル店舗のようなパーソナライズされた接客も可能に 顧客からの質問や配送のトラッキングなどのやり取りがWhatsApp、Messenger、Instagram Directでできるようになる。将来的にはメッセージツール上での購入・決済も可能になるという。 ソーシャルコマースにおいても、メッセージ機能を使ったインタラクションやパーソナライズは鍵となる。自動化するなどして、適切なタイミングで適切なコンテンツを適切な人に提供し、効率的かつ効果的に強化したいところ。 3. ライブショッピング 外出自粛期間でお馴染みとなってきたライブ配信。このライブ中に、インフルエンサーやクリエイターが紹介した商品に、商品タグをつけられるようになる。リアルタイムで、商品詳細を見ることができたり、購入ができるようになったりするのだ。2019年6月現在は試験的に一部のビジネスでリリースをしているようだ。 公式サイトより また、Facebookショップ上で買うと、ポイントがつくようなロイヤリティプログラム機能もテストしているという。 これは各ブランドの自社サイトで買うよりもお得になる可能性があるし、いろんなブランドで買い物するようになるとポイントがより早くたまるという、Facebookショップを使い続ける理由になりそうだ。 Facebookは今まで、ヒトやコトを繋げるソーシャルネットワーキングサービスとして、26億人のMAUを抱えるまでに成長してきた。その中でもユーザー同士がマーケットプレイスでモノの売り買いをしていたり、子会社のInstagramではブランドの商品を買ったりする動きが主流になっており、こういった動きをさらに加速させるためにもFacebook Shopをはじめとする今回の新機能追加に至ったようだ。 Pinterest:よりビジュアルに特化した機能を充実 Pinterestは現在アプリ内決済はサポートをしていない(2015年から2018年頃にBuyable Pinsという機能はあったが、現在は商品ページをタグつけられるプロダクトピンのみ)が、Pinterestの情報から買い物を促すための機能はある。 1. ARを使って、コスメのお試しが可能に Pinterestでは口紅の色味を、スマホから簡単に試し塗りができる。いろんなブランドの色を試すことができるので、知らないブランドでも、色ベースで選ぶことができる。また、コスメ関連の検索は、フィルターに自分の肌の色が何であるか選ぶこともできるようになっている。 今後このAR機能は口紅だけでなく、アイウェア、家具、服など色々な可能性がありそうだ。 公式サイトより 2. オフラインで見かけたものの写真検索が簡単 このお店にあるこんなランプが欲しい、これと同じようなものが欲しい、といったような、リアルに目の前にあるものを、Pinterestの画像検索でサクッと調べることできる。使ってみた感じ、かなり処理が早い。 欲しいものが見つかれば、そこから購入に進めるし、類似するピンから新しいイメージを広げていくことも可能だ。 ちなみにPinterestのボードに広告として出てくるピンは、Pinterest上にいながらも画面半分はブランドの自社サイト(しかもロードが早い)といったUIになっていた。 新規サービス系2社 上2つは巨大ソーシャルメディアにコマース要素が強化された例であるが、Eコマースメインのサービスからソーシャル要素を持ちそうな新サービスも出てきている。次の2社どちらもバック(もしくはバックグラウンド的)にはEC巨大企業がついており、デザイン・ブランディングも優れているのでぜひ注目して今後の拡大を見ていきたい。 THE YES:Stitch Fixの元COOが創業した究極にパーソナライズしてくれるEコマースモール THE YESはユーザーの好きなブランド、スタイル、サイズをベースに、AIによるおすすめ商品をフィードに出してくれることが特徴のECショッピングモール。2020年5月にローンチしたばかりだが、すでに3,000万ドルをVCから調達済み。現在はiOSのみで展開。 まずは簡単なYes No質問に答えて、パーソナライズをしてくれる。基本的には希望に1番近いものをランク付けして表示してくれるが、そのランキングにもYes Noを示せるので、好みを学習し続けてくれるのだ。 公式App Storeより また、特許申請中でもある、価格マッチ技術により、Google検索しなくても1番お得なオプションを提示してくれるのだそう。さらに、Yesした商品がセールになっている場合は通知をくれたり、送料・返品無料だったりと、価格面での訴求もある。 現在は150ほどのブランドが登録しており、ハイブランドからD2C系のブランドなど、ファッション感度の高いものが並ぶ。 THE YESはソーシャルコマースの、コマース要素が今は前面に出ている。まずはAIによるスマートショッピングの便利さ、リーズナブルさを感じてもらい信頼を獲得するところに専念をしているようだ。 しかしながら、ユーザーのマイページがあり、どんなアイテム、ブランドを好んでいて、何を買ったか記録されているあたり、シェアしてコミュニティが広がっていくことも想像できる。間違いのないギフト選びもできるようになるかもしれない。 Shop:Shopifyからリリースされたショッピングアシスタントアプリ ECプラットフォーム構築サイトのShopifyが2020年5月にリリースしたモバイルアプリ、Shop。Shopifyを使っているECサイトではShop Payのオプションが追加されており、一度カード情報を登録しておくと、他のShop対応のお店でカード情報を自動入力してくれるようになる。 公式HPより Shopのモバイルアプリをからは注文した商品の、配送状況をトラックできるようになっている(トラッキングはShopで支払いをしていない注文も、メール情報などから一括して見られる)。さらに、ブランドの「フォロー」もできるし、他の商品をShop上で見ることもできる(購入はサイトに飛ぶ)。ShopifyマーチャントになっているブランドをShopから探すこともできるのだ。 ShopもTHE YES同様、ソーシャルメディアとしてリリースしたわけではない。それよりもAmazonと対抗するためという見方がされている。大量のマーチャントを、1つの強力な検索エンジンで探せるように。 一方で、Amazonのようなマーケットプレイスになって終わるのではなく、ブランドがカスタマイズできることが増えたり、カスタマーが新しいブランドを発見したりお気に入りなどできることが増えてくると、Shopにソーシャルの要素が強くなってくるのではないかと思っている。 ちなみにShopはエシカルビジネスにも注力をしており、配送にかかった排気ガスをトラックし、その分を相殺するための森林を保護するのに貢献をするという取り組みをしている ソーシャルとコマースの境目がなくなってくるのかもしれない コロナをきっかけに、購買心理・行動に変化があったと自覚している人もいると察する。本記事で紹介したソーシャルコマースは、今までもくると言われてたけど、これを機にさらに拍車がかかるものの1つであろう。 前みたいに実店舗で売上が立たなくなり、オンラインにシフト・注力するブランド。オンラインやモバイルでの注文の楽さに気づき、習慣として定着し始めてきているカスタマー。そしてソーシャルコマースはソーシャルの延長線上に、コマースが、もしくはコマースの延長線上にソーシャルがあって、少し緊張のとけた今、こういった「楽しいこと」を消費する余裕が出てきているのではないだろうか。 ソーシャルコマースは、コロナ前のショッピングができない「代替」ではなく、より良いショッピング体験になることを期待している。 最後に、本記事で紹介したサービスはどれもUS発、USで使えるものだ。こういった最新の機能、サービスを使えばより良いブランド体験を、グローバルに展開していくことができる。これほどアメリカへのブランド進出のためのツールが揃っている状態はないだろう。 btraxではD2Cビジネスモデルを中心とした、日本ブランドのアメリカ進出をサポートしている。ブランディング、UI/UXデザイン、マーケティングなどユーザー体験を中心としたコンサルティングが強みだ。ご興味のある方はぜひお問い合わせを。 参考 ・Social commerce(Sprout Social) ・Social Commerce Market Report: How social media […]

D2C×グローバルに勝機あり!ファッション業界のグローバル課題とその解決策

「ファッションブランドのグローバル進出」の考え方、方法、チームは変わってきている(パリコレ、卸売 → デジタルを中心とした展開)
ファッションブランドが海外進出した際には、いくつか共有の課題が出てくる

日本のデザインがグローバルで受け入れられない:日本で通用したプロダクト・サービスが、世界にとって良いものかどうかは、ユーザーにある。そのため、できるだけはやくグローバルユーザーを取り込んでプロダクト・サービスの改善をしていくことが重要。
海外展開すると価格が上がる:グローバル展開であっても、D2…

Withコロナの体験デザイン。世界の企業がとったアクションとは?

Withコロナ時代に対応するため、米国企業から新たな体験デザインが提供されている ①コミュニティとして支え合い、共存を目指すスモールビジネス応援募金系デザイン(MealPal、ClassPass ②StayHomeのためにできることを優先する、家にいようと啓発系デザイン(Netflix、Uber/UberEats) ③家にいてもひとりじゃない、コミュニティビルディング系デザイン(Instagram、Coffee Meets Bagel) ④インフォデミックを防止する情報共有系デザイン (Medium、Note、Google、Facebook など) Withコロナにおいて、企業がどういうスタンスをとり、人々の価値観に対してどう体験デザインを提供していくか、考え抜き、実行する必要がある   全く未知のウイルスの登場により、経済が停滞、数年先どころか、数ヶ月、数週間先の状況まで全く予測することができず、まさに世界中の人々が足踏み状態である。このことから、欧米では現在の状況を「Great Pause(大いなる停止)」と呼ぶようになってきた。 前例のない状況に困惑し、今後の仕事や生活に不安を抱える人の方が多いことだろう。一方で、環境問題の改善や交通渋滞や事故の減少が顕著に見られるなど、人々が経済活動を一時休止したことによるポジティブな側面も注目されている。それはまさに、この停止期間を我々がどう考え乗り越えていくかによって、この後の世界が大きく変わっていくことを示唆しているようだ。 そして、世界を新しく形作っていく上で大きな力を持つのが「企業」である。今、企業はどのようなアクションを取り、メッセージを社会に発信していくべきなのか。世界中が立ち止まっているこの状況こそ、社会に新たな価値や考え方を提案することができるチャンスと捉え、真剣に向き合っていくべきではないだろうか。 すでに米国では、各企業が自分たちが社会に提供できることを考え、迅速な動きを見せている。消費者を巻き込んだそれらの動きは、体験デザインの視点から見ても、非常に参考になるものが多い。この記事では、コロナ危機発生直後の状況に対応する米国企業の体験デザインを考察しながら、この歴史的な転換期に、企業としてどのような行動をしていくべきなのかを考えていく。 コロナ危機に対する企業の迅速な対応が活発に アメリカではこの世界的危機に対し、企業としてどのように貢献できるかを考えて、即時に行動する流れがとても顕著である。これらの動きは英語で『COVID-19 Corporate Responses』と呼ばれている。 その中でも目立っているのは、資金や物資の支援だ。例えば、Mastercardや、Wellcome、Bill&Mellida Foundationは、3月10日という大変早い段階でCOVID-19事態収束のためのスタートアップを支援するアクセラレーターを共同設立。 CocaColaはフェイスシールドを作る非営利団体の支援のためにリソースとロジスティクスを提供した。各国のマスクの不足に対しては、AlibabaやTrip.comのような企業が日本、アメリカ、ヨーロッパ等に大量寄贈したニュースを目にした読者も多いのではないだろうか。 また、PepsicoやChipotleをはじめとする食品企業やレストラン業が、ウイルスと最前線で戦う医療従事者や経済的に困窮する層に対して、無料で食事を提供する動きもアメリカでは目立った。 ZoomやWorkplaceなどのオフィスツールを提供する企業も、急な自宅勤務が導入された企業をサポートするために、期間限定でサービスの無料提供を行っている。 消費者を巻き込む企業のコロナ対応デザイン 上記のように、直接的に企業の資金や物資を無料提供するような企業活動が目立つ一方で、別の形でコロナ危機に対する企業活動を実践している企業が存在している。 彼らは、この前代未聞の危機の中で私たち消費者側が、お互い助け合い、賢く判断して生活できるようなデザインを提供している。 パンデミックの世の中で新たな社会生活の在り方の創造が求められる中、これらの企業は、他者と自分とのつながりの中で社会が存在することを消費者に再認識させ、新しい社会での行動の仕方をポジティブに提案してくれている。 1. スモールビジネス応援募金系(MealPal、ClassPass) コロナウイルスの感染拡大防止の自宅退避令により、多くの都市で必要最低限のビジネスが禁止される措置が取られている。サンフランシスコでも、レストランやカフェは宅配とお持ち帰りのみが許され、イートインスペースは閉鎖されてしまっている。 スポーツジムやヨガスタジオといった施設も未だ全て閉鎖されている状況だ(5/1現在)。2ヶ月以上もこのような状況が続くため、多くが従業員の解雇や廃業にまで追い込まれている。 このような状況に対して、MealPalやClassPassは、消費者たちが支援を必要とするスモールビジネスをサポートできるような仕組みを提供し始めた。 MealPal MealPalは街中のレストランと提携し、オフィス街で働く人向けに格安でランチを提供するサブスクリプションサービスだ。ユーザーはアプリから翌日のランチとピックアップ時間を選択し、その時間になったらレストランまでランチを受け取りに行く。 参加するレストラン側のメリットはMealPalプラットフォームに参加することでレストランを周知してもらえる点だ。また、MealPal用のランチメニューは数種類に限定することができるのと、事前にオーダー数がわかるのでロスも少なく効率的であるというのもメリットだ。ユーザーは通常より安価にランチを手に入れられるほか、お店で待たずに受け取れるのが嬉しい。     しかし、コロナウイルスの感染拡大が懸念される今、ほぼ全てのオフィスワーカーが自宅勤務になった。ここサンフランシスコでも、MealPalを利用できるユーザーが激減してしまった。またレストラン自体が一時休業というケースも少なくない。 自分たちの経営すらも危ういであろうこの状況の中、MealPalが始めたのは、加盟店への募金のシステムだ。 今現在、ユーザーがアプリを起動すると、いまだにランチ提供を続けるお店にランチを予約するだけでなく、今日ランチを注文する代わりにその金額を提携レストランへの募金に回すというオプションも存在する。 また、このような状況の中、多くのユーザーがサービス利用の一時停止を考えるだろうが、お金に余裕のあるユーザーに向けて、1ヶ月分のサブスクリプション費用を全額募金に回すという選択肢も提案している。 関連記事:【UX分析】ランチの格安サブスクサービス MealPal ClassPass MealPalと似たビジネスモデルを持つClassPassは、MealPalのジム版とでも言うことができる。ClassPassのサブスクリプション(回数券)を使うと、ダンスやヨガ、ボクササイズなど、複数の異なるエクササイズジムを横断的に使うことができる。 ユーザーはオンデマンドで様々なクラスを予約、ドロップイン参加できるのだ。ユーザーは特定のジムに会費を払う必要はなく、様々なジムで異なったエクササイズを気軽に楽しめるのが魅力だ。 ClassPassのコロナウイルス対応は、とてもスピーディーだった。サンフランシスコでは自宅退避令が3月14日に発令されたが、ClassPassはその翌日15日には、該当地域に居住するユーザーのサブスクリプションを全て自動で一時停止した。現在ClassPassは、加盟するジムのオンラインストリーミングクラスをプラットフォーム上で提供している。 また、各エクササイズジムのClassPassプロフィールページには「サポート機能」を追加している。この機能を通じて、ユーザーはお気に入りのジムに対して、$5-$500の範囲で金額を設定して簡単に献金することができる。 さらに、エクササイズジムで働く人々に補助金を出すことを求めるオンライン署名活動を促す特設ページも一時期設けていた。   寄付文化が日本より浸透するアメリカであっても、先行きの不透明なこの状況で誰かに募金をしてサポートするというのは決して誰もができることではないはずだ。 しかし、いつも使うアプリからの募金の呼びかけは、普段ランチを手渡してくれる飲食店従業員や、エクササイズをサポートしてくれるジムのスタッフの笑顔がユーザーの頭をよぎらせるだろう。 そうしてユーザーは、コロナウイルスの影響で窮地に追いやられているコミュニティが、実は自分の属すコミュニティであることを実感し、募金という行動を選ぶ。そんな体験のデザインが、MealPalとClassPassの「サポート機能」には隠されているように筆者は考える。 このようにして、この2社は、自分の生活すらも不安な今、スモールビジネスを応援する意味を人々に考えさせ、コミュニティとして支え合い、共存してくという価値観を社会に醸成しているのである。 2. 家にいようと啓発系(Netflix、 Uber/UberEats) 次に紹介するのは、コロナウイルス感染のピークを抑え医療崩壊を防ごうとする「Stay Home」の動きを啓発する形で社会に貢献しようとする企業だ。 Netflix 動画配信サービスを提供するNetflixはもう日本でもお馴染み。彼らは街頭に、今一番人気のあるリアリティショーのネタバレ広告を出した。外出する消費者に「家に帰ってNetflixを観たい」という気持ちにさせることで、コロナウイルス感染拡大防止に貢献させるという秀逸な対応である。 このリアリティショーのファンであるbtraxスタッフも「ネタバレし過ぎない程度の絶妙なネタバレ具合で普段から視聴している人にとっては続きが気になって仕方ない」と絶賛していた。 ちなみにNetflixはサブスクリプションベースなので、新規ユーザー獲得でなく、既存ユーザー1人あたりの視聴時間が増えたからといって単純に利益が増えるわけではない。 Uber また、配車マッチングプラットフォームのUberは「A company that moves people is asking you not to move(人々の移動を生業にする会社が、動かないでとお願いしています)」と広告を出した。 現在、Uberをオーダーしようとアプリを開くと「それは本当に必要な外出ですか?」と確認メッセージが表示され、不要不急の外出を避けるように促される。 また、ドライバーたちにも社内のクリーニングキットを提供してたり、万が一ウイルスに感染してしまった場合には14日間の休業支援金を支払ったりしているようだ。 Thank you for not ridingというメッセージも動画広告で発信されている UberEats さらに、レストランのデリバリーに対応するUberEatsでは、現在デリバリー手数料を無料化し、金銭的な面で普段より利用ハードルを下げることで「Stay Home」を後押ししている。 ソーシャルディスタンスの実践をサポートするために、受け取り方法にも「Leave at the door(ドアの外に置く)」というオプションを素早く導入して対応した。 これらの企業は、自社のサービスがどのようにコロナの渦中にある社会で位置付けられるのか、その中で自分たちが取るべき行動はなんなのか考えて即座に行動している。 たとえその動きが自分たちの利益に直接繋がらなかったり、むしろ利益を下げてしまう場合であったとしても、潔く社会のためにその活動を決断している点に注目したい。 3. 家にいてもひとりじゃないーコミュニティビルディング系(Instagram、Coffee Meets Bagel) ソーシャルディスタンスの実施により、自宅退避を強いられ、多くの人々が友人知人と直接顔を合わることがほぼなくなってしまった。そのことから、強い孤独やストレスを感じている人も多いだろう。 そんな中、自宅にいながらも、人と人との繋がりや新たなコミュニケーションのきっかけをデザインしてくれている企業も存在する。 Instagram 日本を含め世界中にユーザーがいるInstagramもその1つだと筆者は考える。彼らは「Stay Home(おうち時間)」スタンプを作ることで、コロナ時代の孤独になりがちな「おうち時間」をサポートしている。 「Stayhome(おうち時間)」スタンプは、日本語、英語のみならず、ドイツ語やスペイン語など世界中の言葉に対応されているようだ。Instagramは、このスタンプを作ることで、ユーザーそれぞれが自宅での過ごし方を共有しあうことを促した。 自宅でも有意義な時間の使い方が可能であることを互いに共有しあったり、逆に「家で寂しい思いをしているのは自分だけじゃない」という同胞感を感じさせる体験デザインしているように見える。   この状況で実は大きな打撃を受けている業界は数えきれないが、オンラインデーティング業界も実はそのうちの1つだ。「オンラインデート」とは言うものの、ユーザーの多くがオンラインで「マッチ」した後に直接顔を合わせることを前提にサービスを利用している。 自宅退避令により、実際に顔を合わせるのがいつになるかわからないため、一旦活動を停止してしまうユーザーも多いようだ。 CoffeeMeetsBagel この状況に対し、Coffee Meets Bagel(以下CMB)は自宅退避令中も(バーチャルで)人々の出会いを支援するデザインを行っている。まずCMBの特徴の1つと言えばマッチした人とのメッセージ機能が7日間でクローズすること(それによって、実際に顔をあわせることを促す仕組み)だが、彼らはその機能を真っ先に「無制限」にした。 […]

Allbirds、CasperなどD2Cエキスパートに聞くブランド構築6つのポイント

日本でもじわじわと認知度が高まり始めてきているD2Cブランド。すでにアメリカでは、Everlane、Allbirds、Werby Parker, Casperなどのブランドの人気が高く、急成長や上場などの大成功する事例も増えてきている。 freshtraxでは、これまでも何度かD2Cに関する記事を書いてきたが、今回は実際にD2Cブランドを構築している人たちによるアドバイスを紹介する。 Direct to Consumer とは Direct to Consumer (D2C) とはその名前の通り、自ら企画、製造した商品をどこの店舗にも介すことなく販売するビジネスモデルのことである。もともとは店舗を持たず、オンライン販売のみが主流であったが、ここ数年でオンラインで販売開始後に、実店舗を出す事例が増えてきている。 中間業者を極力省き、製造から販売までをブランドが一括管理することで、消費者に直接商品をリーズナブルに届けられるようになるだけではなく、それぞれの工程の透明性を高め、ブランドに対しての高い帰属意識を構築しているのが特徴。 アメリカを中心に、このD2C型のビジネスモデルをベースにするスタートアップが急激に増えてきている。 参考: アパレル業界を席巻する新勢力 – Direct to Consumer (D2C) で成功した7つのブランド D2Cビジネスの成長例 日本ではD2Cはまだまだ個人事業や中小企業のイメージを持たれがちだが、アメリカではかなりのビッグビジネスになっている。 2015年創業のAwayは1年目に5万台 (売上約12億円) を達成 Warby ParkerがFast Company誌上で最もイノベーティブな会社に選ばれる Casperの売り上げ: 1年目1億円、2年目100億円、3年目200億円、現在上場準備中 Allbirdsが創業2年で売り上げ100億円を突破 Bonobosが創業10年でウォールマートに約350億円で買収される 参考: 【ボノボス】アメリカ発 オンライン・メンズアパレルブランド Bonobos 成功物語 D2Cの2つの特徴 D2Cは従来のブランドと比べると下記の点においてかなり特徴的である。 選び抜かれた少数精鋭のアイテム D2Cブランドは選び抜かれた少数精鋭のアイテムでスタートすることが多い。ブランド力を築いてから販売商品を増やしていくという方法はかつてラグジュアリーブランドが行ってきたそれと共通している。ルイヴィトンが鞄メーカーとしてのブランドを築いてからライフスタイル提案という形で販売商品を増やしていったのは有名な話だろう。 今となっては多くの販売商品を抱えるD2Cブランドも最初は少ないアイテムでのスタートであるケースが多い。前回の記事でご紹介したWarby Parkerが当初扱ったのは$95のメガネのみ、Bonobosはデニム以外のメンズパンツのみ、Everlaneも無地のTシャツ・ネクタイ・かばんのみでのスタートだったという。 ストーリーによるブランディング ストーリーによるブランディングもD2Cの特徴としてあげられる。D2Cブランドの多くは歴史が浅く、著名なデザイナーを擁している訳でもない為、ストーリーによってアイデンティティを確立させるブランドが多い。 例えば、Warby Parkerの誕生のきっかけは創業者自らの辛い経験に基づいているという。公式サイトにはこう書いてある。「私が学生の頃、バックパッカーをしている間にメガネを無くしてしまいました。新しいものを買いに行きましたが、値段が高すぎたため購入を断念せざる得えなったのです。その結果、大学院での1学期間は目を細め、不満を言いながら過ごすことになってしまいました。Warby Parkerを興したのは、そんな苦い思い出を皆様には味わって欲しくないという思いがきっかけです。」 ストーリーによるブランディングは従来の店舗での販売をメインに行うブランドよりも、自宅で落ち着いてゆっくり買い物が出来るD2Cとの相性が良いと言えるかもしれない。ストーリーに引き込まれると、彼らの魂の篭った商品を思わず買ってみたくなってしまうだろう。 参考: Direct to Consumer (D2C) 躍進の理由と大企業のジレンマ D2Cブランドに共通する主なブランドメッセージ これはあくまで感覚的なのだが、D2Cブランドがユーザーや世の中に発している共通のメッセージがある。 サステイナブルな素材で人と環境に優しい 製造工場などでの労働環境が良い 無駄なコストを掛けていない 誇大な広告にお金を掛けない 高い透明性でユーザーと共に成長してく 店舗がある場合はその地域に還元する 性別やLGBTなどの多様性への高い意識 世の中を良くすための寄付活動を行っている 中間業者などの既得権益を払拭する 参考: ミッションを売れ! 薄利多売から抜け出すためのD2C戦略とは ↑ EverlaneのSF店舗に展示されている人と地域に対する寄付活動のポップ D2Cエキスパートに聞くブランド構築のポイント これから紹介するのは、D2Cの第一線で活躍するエキスパートによるアドバイス。ユーザーに正しいD2C体験を届ける際に役立つ。おそらく近いうちに日本でもD2Cの潮流が来ると思われるので、知っておいて損はないはず。 体験を最優先したブランド構築を 他のブランドを真似しない スピード重視 できるだけ早く告知を始める ゴール設定は現実的に 時には競合も支援する 1. 体験を最優先したブランド構築を D2Cはユーザーに届ける体験を通じてそのブランド価値を生み出している。例えばマットレスを提供するCasperは、マットレスそのものよりも、質の良い睡眠体験を販売している。同じつ、Glossierはそのプロダクトを通じて、より良いコスメ体験を提供しているのだ。 それを実現するためにはどうしたら良いのか?Casperでは、マットレスに入っている素材よりも、より良い睡眠の効果をユーザーにストリートして届けている。もちろん素材に関してもしっかりと説明はしているが、広告でもキャンペーンでも、彼らのメッセージは必ずより良い睡眠に関してのものだ。 体験を通じたブランド構築をするもう一つの方法は、それぞれの顧客の特性をしっかりと理解すること。Glossierが提供する楽しげなブランディングの裏には、ブランドを愛する顧客の嗜好をしっかりと理解することを差別化要因としている。 そして、ソーシャルメディアなどを通じて、専属のコミュニティースタッフが日々やりとりを重ねている。それが功を奏し、アンバサダーを中心に口コミで多くのファンが広がっていった。 Dollar Shave ClubやWarby Parkerなどの以前までのD2Cブランドが便利さを前面に出していたのと比べてみても、最近のD2Cはより体験を重要視したブランド構築を行っている。 参考: D2Cブランドに学ぶウェブサイトに必要な3つのUX要素とは 2. 他のブランドを真似しない 成功しているモデルを徹底的に研究し、それをなぞるのが、これまでのビジネス戦略の定番の1つだった。これがD2Cになると全く通用しない。むしろ逆効果になってしまう。 そもそもD2Cブランドは、プロダクトやストーリーにおいて、オリジナル性が非常に重要になっている。ユーザーの記憶に残り、周りの人々に自慢したくなるようなブランドにするためには、他がやっていないオリジナル演出が不可欠だ。 その1つが開封体験だろう。オンラインで販売されたプロダクトが届き、パッケージを開ける体験は、ブランドに接する一番最初のタッチポイントであり、ユーザーに強烈な印象を与えることができる。 実に、Dotcom Distributionが2016年に実施したEコマースのパッケージングに関する調査によると、しっかりとブランディングされたプレゼントようなプレミアム感のあるパッケージは、ブランドに対するロイヤリティーを上げ、さらにクチコミを促進するという。 参考: D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン 3. スピード重視 多くのD2Cはスタートアップである。これは、デジタルテクノロジーを活用しているからだけではなく、スピードも重要視しているから。既存のブランドは、じっくりと時間をかけて行うことが多いが、D2Cブランドの場合は、それだけ早く動き、アップデートできるから勝負の鍵となる。 そのスピード感を実現するために、小さくスタートすることが多い。Bonobosは当初お洒落なズボンだけで始めたし、Allbirdsのラインアップもウールのスニーカーだけであった。 もちろん色やサイズのバリエーションはあるのだが、全ての工程でのスピードを上げるために、最小限のプロダクト数にするのがD2C流。その後、ユーザーからのデータを元に、次の商品の企画や、翌月の選定を行うのが一般的になってきている。 参考: シリコンバレーの企業はどのようにしてスピードを上げているのか? […]

2020年にヒットサービスを生み出す3つの秘訣

世界的にヒットしているサービスやブランドにはどのような共通点があるのだろうか?スペック重視の時代は随分前に終わりを告げ、プロダクトのサービス化が進んでいる。そのような状況に加え、シェアリングエコノミーやD2Cなど、ユーザーを取り巻く環境は急激に変化している。
世界に先駆けて、次のヒットを生み出すことにフォーカスを当てているシリコンバレーを始めとしたアメリカの企業は、2020年以降、どのような要素を含む商品やサービスがユーザーに喜ばれるかを日々研究している。
我々btraxも、日本企業向けにグローバル…

アメリカに学ぶ、2020年のマーケティング重要な3つのポイント

メディアや動画、音声などのコンテンツ消費、作成・提供の流れ過去最高。1日約6時間は費やす
ソーシャルコマースでさらにオンラインショッピングは進む。それに伴い店舗が提供する体験がより重要になる
幸福を求める「ウェルビーイング」。企業のマーケティング活動もウェルビーイングが長期的に愛される鍵
番外編:多様性を取り込むインクルーシブ・マーケティングはトレンドではなく当たり前に!

新しいトレンド、マーケティングツール・機能についてくのに必死で、多くのマーケターは「で、結局2020年何をやっておけばいいの…

こんまりから学ぶグローバル進出3つのポイント

今週サンフランシスコの中心部に位置する大規模なイベント会場で、楽天が毎年主宰しているカンファレンス、Rakuten Optimismが開催された。代表の三木谷さんに加え、目玉ゲストとして、こんまりこと、近藤 麻理恵さんが出演した。
アメリカにおけるこんまりの人気は異常で、CBSの人気番組、The Late Show with Stephen Colbertをはじめとして、全国ネットのテレビ番組に複数出演したり、自身のNetflixチャンネルを提供したりもしている。そして、このイベントで最もオーディエ…

最近のロゴが似通ってきている問題 – 第2弾

最近になってYahoo本社のロゴがまたアップデートされた。Yahoo! Japanのロゴはかなり長い間変更されていないのに。これはいかにも、変化スピードの速いシリコンバレーを象徴するようだ。なるべくゆっくり進むことが多い日本文化と比べてみても、企業の平均生存率が15%であるアメリカでは、”変化しない=死”を意味することもあり、ロゴのアップデートもかなり頻繁に行われる。

↑ 最近アップデートされたYahooのロゴ
時代の変化に合わせてロゴもアップデート
ではなぜロゴを変える必…

ロゴにおけるデザインの重要性がわかるマッシュアップ例

以前に「君の名は」がテレビ放送された際に、そのストーリーに合わせて、提供企業のロゴが入れ替わるという演出がされていた。ロゴの色やデザインをそのままに、文字の部分だけを入れ替えている。一見すると入れ替わっていることすら気づかないぐらいのナチュラルさである。
これは、人間の目が「読む」ということよりも「見る」ことを優先していることから、デザインを「なんとなく」の雰囲気で受け取り、脳が理解していることがわかる。

↑ 「君の名は」でのスポンサー表示画面
このロゴを入れ替えは、デザイナーたちの間で「マッシュ…

ブランド価値を下げてしまう7つの落とし穴

最近活躍している企業やプロダクトは共通してブランディングを重要視している。
ブランディングの最終目的は「価値の向上」である。価値を上げる対象は、商品であったり、サービスであったり、企業だったり、人だったりもする。
ブランド資産は目に財務資料に載らない大きな価値
強いブランドは模倣不可能な「見えない価値」を得ることが可能となる。そしてそれは数字では計りにくいこの価値が実は大きな差別化要素となり、競争で優位に立つことで長期的に成功するためには欠かせない重要な資産となるのだ。
参考: 今さら人には聞きにく…

売れる商品・販促の「色」とは/ブランディングなど影響解説、7月23日

マーケティング研究協会は7月23日、「カラーマーケティング~他社との差別化を図る!「売れる」ための商品パッケージ・販促カラー戦略~」を開催する。 商品パッケージや販促物のカラーリング、その「色の決定」に根拠、説得力が重要 […]…

名刺の紙は重いほうがいい? 潜在意識に働きかける戦略的ビジネスデザイン

 筆者は数年前に『名刺デザイン心理』というセミナーを数か月間、数十人の方に向けて実施していた。これは、名刺のデザインをデザイン屋さんが作った「かっこいい」「かわいい」名刺から、本来の目的の「覚えてもらう名刺」にするための […]…

LGBTプライド月間に知っておきたいインクルーシブマーケティング

時代の変化とともにマーケティングに求められる効果とその内容に大きな変化が生まれてきている。 例えば、あなたが家庭用食器洗剤ブランドの広告ビジュアルを考えていたとして、どのようなシーンをイメージして作るだろうか。 もし台所にいる女性を想定していたら、あなたのマーケティング手法は時代にあっていない可能性がある。なぜなら、現代において台所に立つのは必ずしも女性とは限らないからである。 (あなたのマーケティングは時代遅れかもしれない。画像転載元) ダイバーシティー実現にはマイノリティへの配慮を ダイバーシティという言葉が様々なところで使われるようになった一方で、マイノリティへの配慮が足りていない制度やコンテンツ、発言をいまだによく見かけるのではないだろうか。 著名人による差別的発言、企業と従業員の間で起こる性的蔑視、人種について嘲笑する動画など、これらの問題や報道を他人事のように感じている人さえ、無意識的に排他的な発言や行動をしているかも知れないのである。 企業にとっても必須事項 現状がどうであれ、ダイバーシティを受け入れることは、企業にとって「オプション」ではなく「マスト」であるということだけは言える。企業としてマイノリティーを考慮できていないと、信頼や評判は落ち、消費者や従業員、ステークホルダーはみるみる離れ、企業存続を揺るがせかねない。 ここアメリカでは、日本よりもダイバーシティが一般的であり複雑だ。ゆえに先進的な取り組みが多いのも事実。そしてこのような多様性を受け入れる姿勢・理解を自社のマーケティング活動に反映させようというインクルーシブマーケティングがすでに広がりつつある。 上の写真はサンフランシスコのプライドパレードの様子。毎年6月はLGBT(レズビアン、ゲイ、バイ、トランスジェンダーの頭文字からなる造語。最近ではクエスチョニングやクィアのQが最後につくことも)を啓発するプライド月間となっている。ここサンフランシスコは主要都市の1つとして、6月はLGBTQを表すレインボーの旗がメインストリートに掲げられる。(写真転載元) 流行と捉えるべきではない、インクルーシブマーケティングとは インクルーシブマーケティングとはダイバーシティ(多様性)を受け入れ、それを考慮し、マーケティング活動へ反映させることだ。ダイバーシティーがインクルードされている(含まれている、受容されている)マーケティングである。 これにより、マイノリティとされる人たちが、自分たちも企業のサービス対象に含まれているという自覚を持てるようになるのだ。 そもそもインクルーシブマーケティングを理解するにはダイバーシティを理解する必要がある。 「【2019年】絶対おさえておくべき、4つのマーケティングトレンド」でも説明している通り、ダイバーシティとは人種、性別、年齢に限ったことではない。宗教や障害、性自認、食習慣(ビーガン、ベジタリアンなど)、体型など、個人を成形するあらゆる点が含まれる。 (Airbnbが2017年のアメフト決勝戦で流した広告キャンペーン。画像転載元) これは当たり前のことのように聞こえるかも知れないが、人口の98%を日本国籍保持者が占める日本では、なかなか身近には感じにくいことだと思う。日本が相当ダイバーシティの低い国であるということを自覚しておく必要がある。さもなくば、無意識に排他的なマーケティングをしかねない。 次に、今までの固定概念を疑っていく必要がある。先に質問した、家庭用食器洗剤を使うのが女性だ、というような固定概念だ。現在では働き方や性に関して多様化しているため、「家庭用食器洗剤ユーザー=女性」と強く押し出してしまうのは排他的ともなる。 顧客管理アプリケーションを開発・販売するセールスフォースは職場におけるダイバーシティやインクルージョンの価値についてオンライン学習ツールを提供している(日本語での受講も可能で、単元ごとに受けやすくなっているのぜひ社内で受けてみてほしい)。 ここでは受講者のダイバーシティに関する固定観念に問いかけるようなコンテンツもある。 (これらを改めて想像すると、ステレオタイプに気づくことができる。転載・加工した画像はこちらのサイトから) インクルーシブマーケティングを取り入れているアメリカ企業 アメリカでは、既存企業が自分たちの社風やマーケティング活動にダイバーシティを反映していこうとする動きも盛んだが、最近ではダイバーシティをメインのミッションにあげるブランドも出てきており、インクルーシブマーケティングやインクルーシブな商品開発のお手本となっている。 以下は該当するブランドの一例だ。 1. 世界の歌姫リアーナが始めたコスメブランド:Fenty Beauty Fenty Beautyは世界的R&Bシンガーのリアーナが2017年に創業したコスメブランド。インクルーシブな商品展開が売りで、ファンデーションのカラーバリエーションは50以上にもなる。 既存のコスメブランドのファンデーションなどのカラーラインアップ対応範囲が、実際のユーザーである有色人種を含む全ての女性層とギャップがあることを感じ、Fenty Beautyの立ち上げに至ったという。Fentyはリアーナの苗字からきている。 リアーナはコスメブランドのMACとも過去にコラボしており、業界への関心を示してきたが、今回は初のソロでのブランドだ。ルイヴィトンやディオールを運営するLVMHの傘下であるKendo Holdingsという美容ブランドインキュベーターと共同で商品開発などを行っている。 なんとブランドローンチの1ヶ月目から7,200万ドル(約72億円)の売上があったという。 もちろん、彼女の歌手としての知名度があったことも影響しているが、インクルーシビティへの徹底ぶりも人気の理由だ。以下のウェブサイト商品ページを見ていただければわかる通り、カラーバリエーションの数が非常に幅広い。色を表す言葉もLightからDeep(Lightの反対Darkではなく)にしている点も考えられている。 メイクで顔に凹凸を作るためのハイライトと呼ばれる化粧品もカラーバリエーション豊富だ。 もちろん、ソーシャルメディアやビデオコンテンツもインクルーシブマーケティングを意識したものとなっている。 リアーナはコスメブランド以外にもSavage X Fentyというランジェリーブランドも展開しており、こちらも様々な体型にあった商品が揃う。さらに2019年にはファッションブランドも開始すると発表されており、インクルーシブマーケティングにおいて彼女の動向は今後も注目だ。 2. ユーザーの声に耳を傾けるコスメブランド:Glossier こちらもミレニアルを中心に人気が高い、コスメD2C(Direct to Consumer)ブランドだ。ユーザーのフィードバックを積極的に商品に反映してきたことも人気の理由だ。ファンデーションのカラーバリエーションも豊富で、ウェブサイトに載せている試し塗りサンプルの様子も様々な肌の色で表現されている。 またGlossierのインスタグラムには度々男性のユーザーの写真が投稿される。必ずしも化粧をしている訳ではなく、日焼け止めやスキンケアなどGlossierの商品を使っているユーザーの写真だ。 ブランドカラーがピンクなだけに女性感が強いGlossierだが、そんな彼らが積極的に男性ユーザーのコンテンツを発信しているのは非常に興味深い。ユーザーの声を聞いている彼らだからこそ、素早くこのような発信ができたのではないだろうか。化粧品は女性だけが使うもの、という考え方は過去のものになりつつある。 3. ファッションのさらなる可能性を見せたアパレルD2C:Tread by Everlane Tread by Everlaneはサステイナビリティとトランスペアレンシーを追求するアパレルD2CのEverlaneがローンチしたスニーカーブランドだ。2019年春に発売が開始されると、瞬く間に話題になり、Everlaneの実店舗には長蛇の列ができた。 究極のエコスニーカーを目指しており、ソールの部分に使われている素材は94%リサイクルプラスチックを採用している。もちろん価格についてもその内訳を公開し、透明性を高めている。 そんなTread by Everlaneの広告に、先進的とも言えるインクルーシブマーケティングを見かけた。それが以下の広告だ。 ただでさえ義足のモデルというのは珍しいのに、義足がブランドのスタイルとマッチしていて驚いた。マイノリティを無理やり起用するのではなく、むしろクールにファッションやビジュアルに落とし込んでいて非常に参考になる。 筆者がこれを見かけたのはソーシャルメディア広告であった。自社の顔ともなる広告にインクルーシブマーケティングを取り入れているあたり、Everlaneがどれほどインクルーシビティを重視しているかがわかる。 4. 子供にこそインクルーシビティを伝えたい:バービー(マテル) 玩具メーカーのマテルは、2019年車椅子や義足のバービー人形の発売を発表した。以前から肌の色や体型などは多様性を受け入れた商品展開をしていたが、今回は身体障害者も含まれている。 マテルはバービー人形が創業から提供してきた美やファッションの多角的な視点を見せていきたいとしている。人形用の車椅子デザインはUCLA Mattel子供病院と協同してデザインされたものというこだわりぶり。 さらにマテルは2015年、女性であろうがどの職種にでもなれるというメッセージを謳った「Imagine The Possibilities(可能性を創造しよう)」というタイトルのバービー動画広告を公開し、話題になった。 大学教授、獣医、アメリカンフットボールのコーチなど、小さな女の子たちがその職業に扮して大人たちに支持・指導している(大人たちのリアクションは全てノンフィクション)。 バービー人形を使って遊んだどんな業界、職業も、性別関係なく誰もがなることができる、そんなメッセージがある。 玩具は小さい頃から触れるものだから、ダイバーシティへの理解や感覚を教えるのに非常に重要な接点だ。マテルは先陣を切って、インクルーシブマーケティングを行っている企業の一つだ。 5. デートの形一つとっても様々:Dating Around(邦題:5ファースト・デート) 動画ストリーミングサービスのNetfixオリジナルコンテンツである。これはマーケティング活動ではない(もしかしたらマーケティング活動かもしれない)が、非常に多様性が盛り込まれている内容だ。 これは「6人の独身男女がそれぞれ5度のブラインド・デートに挑戦し、ときめきや気まずさを体験しながら、初めて会った5人のうち、2回目のデートの相手を1人だけ選ぶ」というリアリティー番組だ。 初回2エピソードは1人の男性が5人の女性とデートをするというものと、1人の女性が5人の男性とデートするというものだった。しかしながら3エピソード目からは同性同士のデートや結婚経験もあるシニアのデートなど、非常に多様な角度でそれぞれのストーリーが展開された。 正直筆者も番組タイトルからは想像していなかった展開もあり、自分にも無意識の偏見があったのかもしれないという思いはあった。また、全てのセッティングに自分が置き換えられる訳ではないが、色々な形のデートがあるということは非常に興味深いし、コンテンツとして非常に見応えのあるものだった。 Netflixは社会問題に対する動画コンテンツも多く制作、配信しており、ダイバーシティを意識した番組はこれが初めてではない。インクルーシブマーケティングは商品そのものがインクルーシブでないことには始まらない。 その点、Netflixの商品(コンテンツ)はインクルーシブであり、社会への問題提起をしており、なおかつエンターテイメントとして楽しめるものを生み出していくことに非常に長けていると言える。 6. btrax事例(大手靴下ブランド) btraxの過去クライアントでもインクルーシブマーケティングはアメリカ市場で成功するための重要項目だという位置付けだ。 例えばアメリカ市場向け、バレンタインキャンペーンでは必ずしも「男性から女性にプレゼントをあげる」訳ではないという点を考慮してターゲット、メッセージ、ビジュアルを作っていった。アメリカのバレンタインは男性から女性にプレゼントを送るという習慣はあるものの、カップルのあり方が、女性同士の場合もあるし、男性同士の場合もあるからだ。 ゆえに女性だけが好むと思われる、女性しか使えないもの、ガーリーすぎるもの、をプレゼントの提案として取り扱うのも注意である。 また、ウェブサイトやソーシャルメディアなどで使うモデルは、一般的に日本企業が海外のモデルと聞いて想像する「細身、白人、金髪」に偏らないように様々な人種を採用した。 まとめ このような新しい概念はマーケティング活動に反映させることがゴールではない。それよりも、今までのステレオタイプが染み付いた思考を変えることに意味がある。その思考がインクルーシブマーケティングとなって世に広がっていくというのが理想だ。 現在皆さんのビジネスが海外向けに展開している・いないに関わらず、日本でも働き方といった面で多様になっていたり、海外からの人が増えていたりと、インクルーシブマーケティングの重要性は間違いなく高まっている(もっとも今後のビジネス拡大をしていく場合、海外は無視できない)。 会社としての歴史が長く、日本的・保守的・伝統的だという点に当てはまる企業は特に自分たちだけで変わろうというのは難しくなるが、変われない訳ではない。ぜひ先進的なインクルーシブマーケティングを行っているアメリカ市場に注目していただきたい。 そしてbtraxオフィスのあるサンフランシスコではダイバーシティやインクルーシブなブランドが特に進み、受け入れられている。btraxではこのようなトレンドのリサーチと発信だけでなく、トレンドを踏まえたサービス開発からマーケティング支援まで包括的なグローバルビジネス支援を行っている。ご興味がある方はこちらよりぜひお気軽にお問い合わせください。 参考: FENTY BEAUTY BY RIHANNA (HARBEY NICHOLS)

アメリカの大手ブランドから学ぶビデオマーケティング事例3選

みなさんがネット上で最近見たコンテンツはどのようなものだっただろうか。YouTubeのゲームの実況やメイクアップ講座、SNSに流れてくるレシピ動画、Netflixでドラマや映画を見たり、ネットの記事に添付された動画広告を見たりと、オンライン上で動画を全く見ない日はないと言っても過言ではない程、私たちの周りにはすでに動画コンテンツが溢れている。 また、日本では2019年に本格導入が予定されている5Gの通信システムにより、動画を用いたコンテンツの広がりはさらに加速するとも言われている。 ほぼ毎日新しい動画がネットにアップロードされ、動画が溢れ返った近年、企業はただ動画コンテンツを作成・配信するだけでなく、動画を活用してどのような効果的なマーケティングを行えるかが鍵となる。以前【2019年】絶対おさえておくべき、4つのマーケティングトレンドでもご紹介した通り、2019年は動画を使ったマーケティングの中でも、「ユーザーとつながる」ための動画配信がトレンドとして注目だ。 そこで今回は、ユーザーと繋がるだけでなくユーザーの心を掴み、さらに関係性を構築/強化した動画マーケティングの事例を紹介する。この記事が今後の動画マーケティング戦略の参考になれば幸いだ。 関連記事:広告を超えたバイラル動画を活用 – 海外ブランドキャンペーン事例 海外最新動画マーケティングトレンド事例3選 1. リアルタイムのライブ配信動画で熱気を伝えて盛り上げる:Disney ライブ配信動画は、今この瞬間何が起こっているのかを伝えるには最適なコンテンツだ。 アメリカのザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下ディズニー)は、映画プレミアイベントのライブ情報をFacebook上で発信し、ファンの心を掴んだ。 この動画は2016年にディズニーが公開した当時の最新映画「ジャングルブック」のワールドプレミアの映像で、本来現場にいないとみられないようなキャストのレッドカーペットでの様子や、インタビューを映し、ファンがその様子をリアルタイムで視聴できる特別な体験を提供した。 レポーターの女性の後ろにはAirbnbの看板が見えるが、この映画プレミアはAirbnbとも提携していた。映画のような雰囲気を再現するため、会場がAirbnbの提供するツリーハウスで行われていたのだ。 このFacebookのライブストリームは1時間半ほどありの動画にも関わらず、現時点で9.8万回再生されていることからもおり、反響を得られたは大きかったことがわかる。 このように、リアルタイムで起こっているイベントをファンとシェアすることで、映画の公開を楽しみにするファンの心を掴んだ動画プロモーションであった。 2. 役立つ+楽しい+クリエイティブなInstagramストーリー:Lowe’s アメリカのホームセンターLowe’sは、自社の提供する住宅用品を用いたEdutainment(エデュケーション/教育とエンターテイメント/娯楽を掛け合わせた言葉で、「楽しくてためになる」という意味)動画を公開した。しかしただの動画配信ではなく、Instagramストーリーズの特徴を利用して、イノベーティブかつクリエイティブなやり方で顧客とのエンゲージを高めた。 ユーザーと繋がる動画マーケティングにおいてInstagramのストーリーズの重要度は増すばかりだ。InstagramストーリーズのDAU (1日当たりのアクティブユーザー)は、2019年で全世界5億人を突破し、リリースされた2016年から増え続けている。 (引用元:statista) ここでInstagramストーリーズの特徴をおさらいする。Instagramストーリーズとは1つの投稿につき最長15秒の動画、もしくは画像を24時間限定で流すことができる。投稿(ストーリー)をアーカイブ保存すれば、24時間たっても消えずに、プロフィール画面に残すことができる機能もついている。すぐに消えてしまうことから気軽に投稿できることや限定感のあるコンテンツをあげられることも人気の理由だ。 Lowe’sのInstagramストーリーズでは、小さな部屋の模様替えDIY(Do It Yourself:自分でモノを作ること)の手順をシェアしている。小さなスペースがどれだけ簡単に素敵で機能的な部屋にDIYできるかを見せるビデオだ。 この動画はInstagramストーリーズの特徴をいかし、今まで誰も見たことのないような工夫をした。それは、DIYをしている様子を、1秒に満たないほどの非常に短い動画に複数に分けて投稿した点だ。これにより、ストーリーをみる視聴者は短い動画の集まりを35秒ほどみるだけでDIYの手順が一通りわかってしまう。 また、通常なら早送り・巻き戻し機能のないInstagramストーリーだが、Lowe’sのシェアした動画はコマが多く一つ一つの動画が短いことで、DIYの過程の一部を確認したい時にわざわざ最初から動画をもう一度再生せずに、指で画面をタップして好きなところで動画を停止して確認できるようになっている。Lowe’sが行ったInstagramハックと言える。 使い方や完成のイメージがしにくい住宅用品も、テンポよく動画で見せることでLowe’sはオーディエンスとのエンゲージを高めたと言える(このストーリーを投稿したYoutube動画ですら約5万回の再生がされている)。もちろん、Lowe’sが提供するDIYハックの良さも楽しくわかりやすく伝えるということができた。 関連記事:ミレニアル世代を引きつける“SNSを駆使した分散型コンテンツ“とは 3. ファンの心をつかむ特別映像・舞台裏の公開:Netflix 映像ストリーミングサービスを提供するNetflixは、IGTVを用いてNetflixドラマのファンに特別感を与えるような映像を提供した。 IGTVは、先ほどの例にも出てきたInstagramの機能の1つで、ストーリーズと同様、モバイル視聴を前提とした縦長フォーマットのプラットフォームである。ストーリーズと異なるのはライブ視聴が可能で、最大60分の動画をアーカイブとして保存、表示できるという仕組みになっている。 動画のリンク こちらの動画はNetflixに登録していない人には全くわけのわからない動画だ。なんと、この男性が60分間ただただハンバーガーを食べる様子を写しただけの動画である。 この動画の何が特別かというと、実はこの男性、Netflixが配信する人気ミステリードラマ「リバーデイル」に出演する人気俳優Cole Sprouseなのだ。リバーデイルはアメリカのティーンエイジャーに大人気のドラマで、昨年度のティーンチョイスアワードでは12ノミネートを獲得し、主要な賞を総なめにしたほどである。 またColeは同アワードで”Choice Male Hottie”「ホットな男性賞」を獲得し、ドラマ内でも特に女性人気が高いキャラクターだ。さらに彼のキャリアは俳優、モデル、フォトグラファーなど多彩な才能を持ち合わせており女性人気が高い。 ハンバーガーを食べながらわざとカッコつけるような姿をみせるColeの動画は、ファンにとっては需要の高い動画で、かつドラマのファンが見ても、ドラマ内の出演者の本当の姿を見て好感を持てるような動画だ。 NetflixはColeがハンバーガーを60分間食べる映像の他にも、同ドラマの出演者たちによる特別映像や、他の人気ドラマの舞台裏もIGTV上で配信しており、ファンにはたまらない特別感のある映像で既存のファンとの関係性を強めようとした新しい動画の活用方法をした。 関連記事:【デジタル広告最新トレンド2018】今米国で起きている4つの現象 まとめ 2019年の5Gの導入により、一層加速するとされる動画を用いたマーケティング。しかしながら、だからと言ってとにかく動画を活用しようという安易な考えをするのではなく、すでに世の中は動画で溢れ、飽和状態になるという現状を捉え、何のために動画マーケティングを行うのかという目的をしっかりと認識することが必要だ。 この際に、ユーザーとのつながりを構築し、ユーザー視点になって作った動画がひとつ、鍵となる。 事業やブランドが海外展開を行う際も、動画マーケティングの最新のトレンドを活用し、提供する商品やサービスのユーザーを把握することで、より現地で効果的なプロモーション、マーケティングを行うことが可能になるだろう。 btraxでは、ユーザー視点を元にした海外展開におけるマーケティングノウハウを提供している。今回ご紹介したようなプロモーション活動だけではなく、プロダクトマーケットフィットの仮説・検証からウェブサイトの構築を含むブランド認知のためのマーケティング戦略立案も一貫して行っているので、ご興味をお持ちの方は、お気軽にこちらまでご連絡いただきたい。 参考 17 Brands Effectively Using Instagram Live & Facebook Live Lowe’s Hacked Instagram Stories With Fun Microvideos of DIY Jobs in Tiny Vertical Rooms Ten examples of brands already CRUSHING IT on IGTV with Vertical Video

ブランド拡大に役立つシェアリング小売スペースという新しい選択肢

昨今、AmazonやShopify、ソーシャルメディアなどオンラインで商品を売るビジネスのためのツールが充実し、D2C(Direct to Consumer)をはじめ多くのデジタルネイティブブランドが勢いを増している。
そしてこれらのデジタルブランドはオンラインでのビジネスがある程度軌道に乗り始めると、オフライン・実店舗にも進出をする。実際、AWAY、Everlane、Warby Parkerなど多くのD2Cブランドが店舗拡大をしている。
こういったスタートアップD2Cは何百万ドルもの資金調達に成功…

ミッションを売れ! 薄利多売から抜け出すためのD2C戦略とは

D2C(Direct to Consumer。直販型)ブランドは小売業界からだけでなく、スタートアップ界隈からも注目を集め続けてきた。彼らは独自のビジネスモデルを採用しているという点だけでなく、その商品やブランディングについても注目されており、freshtraxでも幾度となく紹介してきた。
このような注目を集める一方で、D2Cブランドは既存のマーケットから集客獲得と増え続ける振興D2Cブランドとの競争も激化している為、D2Cとして成功し続けることは簡単な道のりではない。商品の改善、ブランディングの確…

ミレニアル世代を引きつける“SNSを駆使した分散型コンテンツ“とは

皆さんは普段SNSを使う中でタイムライン上に流れてくるチュートリアル動画や時事ニュース、最新グッツの紹介、可愛い動物の動画などにふと気を留めたことはないだろうか?   昨今、このようにSNSに向けたコンテンツを配信するメディアが急増し、「分散型メディア」と呼ばれている。分散型メディアとは、ウェブサイトが主体であった従来のオンラインメディアとは異なり、他のプラットフォーム(主に複数のSNS)を用いて情報を発信するメディアのことを指す。 日本では、bouncy, C CHANNEL, Tasty japanなどが有名な分散型メディアとして挙げられる。 このような分散型メディアの人気の背景には、ユーザーの行動やニーズの変化が挙げられる。以下はSNSでニュースをチェックするユーザーの傾向を示したデータだ。 アメリカの成人の68%がSNSでニュースをチェックすると回答。またそのうちの20%は「頻繁に」そうしていると答えた(Pew Reserch Center) 74%のTwitter利用者、32%のYouTube利用者、29%のSnapchat利用者がそれぞれの媒体からニュースをチェックしている(Pew Reserch Center) 47%のユーザーが1週間の間に、ニュース目当てでFacebookを開いたと回答(Digital News Report 2017) また、74%が1日に最低一回はFacebookをチェックすると回答(Pew Reserch Center) 1週間の間に使用したSNSの割合(At all)とニュースをチェックするために使用したSNSの割合(For news): Disital News Report 2017 SNSを用いたニュースの入手が近年急増中: Digital News Report 2017 これらのデータを見てもわかる通り、ニュースを見るプラットフォームが徐々にマスメディアからSNSにシフトしているようだ。それではなぜこのような分散型メディアが多くのユーザーに受け入れられているのだろうか。今回は、分散型メディアが注目を浴びる2つの理由と活用事例をご紹介したい。 分散型メディアが好まれる2つの理由と企業事例 1. 分散型メディアは“動画の時代”に最適なタッチポイントとなる btraxに参画した澤円が語る「日本企業が今すぐ改めるべき習慣」でご紹介した通り、世界に存在するデータのうち、直近2年で生まれたデータの割合は90%だという。 世界中で情報が溢れてしまっているため、ユーザーはより良い情報を素早くゲットしたいと感じるようになった。そのため、読ませるテキストベースのコンテンツよりも瞬時に内容がわかる動画コンテンツの方が好まれる傾向にある。 世界中で情報が溢れてしまっているため、ユーザーはより良い情報を素早くゲットしたいと感じるようになった。そのため、読ませるテキストベースのコンテンツよりも瞬時に内容がわかる動画コンテンツの方が好まれる傾向にある。 実際に、1分の動画は180万語に匹敵するといったデータや、テキストと画像だけの投稿よりも動画コンテンツの方が12倍シェアされやすいというデータも公表されている。 また、5Gの導入により、これからは外出先で通信制限を気にすることなく気軽に動画コンテンツを見ることができるようになるといわれている。【2019年】絶対おさえておくべき、4つのマーケティングトレンドで紹介した通り、動画を活用したコンテンツの勢いはより一層増していくだろう。 なお、分散型メディアは通常のオンラインメディアとは異なり、ユーザーにエンゲージしやすい動画を活用することで、情報に敏感なミレニアル層に広くリーチできる。これからは動画の時代とも言われているので、いかにユニークかつ共感性を生むような動画コンテンツを配信できるかがポイントとなるだろう。分散型メディアの事例として、NOW THISをご紹介したい。 【事例1】NOW THIS:動画コンテンツを駆使した次世代メディア (画像はNOW THISのFacebookから引用) 分散型メディアで有名なのはNOW THIS というアメリカのメディアだ。NOW THISは、Instagram, Facebook, Twitter, YouTube, Snapchatの5つのプラットフォームを使って、政治や時事など話題のトピックをおよそ1分の動画をシェアすることで情報を発信するメディアだ。 NOW THISは以前、自社のウェブサイトにて大胆なキャッチフレーズを公表していた。“Homepage. Even the word sounds old. Today the news lives where you live.”(ホームページ。もうその言葉すらダサい。今は人がいる場所にニュースがある時代だ。) ホームページにホームページの自虐を載せるという大胆な手法がうけて話題となったが、このメッセージがまさに分散型メディアの姿を表しているといっても過言ではない。 NOW THISは数々のトピックを扱っているが、トピックによってアカウントを複数保持し使い分けているのも特徴だ。例えば、NOW THISのInstagramアカウントは時事ネタを広く扱ったメインのアカウント@nowthisnewsから、最新テクノロジーを紹介する@nowthisfuture、エンターテイメントトピックを扱う@nowthispop、女性の社会進出やフェミニストなどのトピックを扱う@nowthisherなど、FacebookやTwitterも合わせて10個以上もの異なるトピックを扱うアカウントを運営している。 そしてNOW THISの最大の特徴は、ほとんどすべてのコンテンツが動画であることだ。NOW THISのキャッチフレーズが”Stories that move” という言葉の通り、「感動させる(move)ストーリー / 動く(move)ストーリー」の2通りの意味を含んでいる。 動画コンテンツを制作するメリットは、ユーザーの興味・関心によって動画のテーマを分けることで、ユーザーに刺さる情報を提供できることだ。動画は政治系、面白動画系、テクノロジー系など、チームに分かれて制作が行われている。そのため、視聴者はわかりやすく、より正確な情報を含んだコンテンツを享受することができるのだ。 2. それぞれのSNSの特徴を捉え、ユーザーの関心テーマに沿った情報を提供 従来のオンラインメディアは、能動的に情報を得るためのものだった。情報はすべてウェブサイト上にあるため、ウェブサイトを訪問しない限りそのメディアがどんな情報を発信しているのかがわからない。 加えてSNSの台頭によりプラットフォームの種類が急増し、いたるところに情報が溢れかえるようになった。これによりウェブサイトを訪れるまでのカスタマージャーニーが複雑になったことから、ユーザーが普段使うSNSも上手く活用して「情報が自然に入る」状態を作り出すことが必要となったのだ。 それぞれのSNSの特徴を捉えたコンテンツとは SNSは、それぞれに特徴がある。例えばInstagramだったら、ビジュアル重視なので、画質はもちろんのこと画像や動画に込められたストーリーに気を配る必要がある。Twitterは”つぶやく”ことが本来の目的なので、限られた文字数の中でどれだけシンプルにメッセージを発信できるかが重要だ。FacebookはTwitterやInstagramとは逆で、文字や画像に制限がないことから、自分でコンテンツをカスタマイズして好きな情報を発信できる。 これらの特徴を生かしきれていないと、ユーザーの目を引くことができず、インプレッション数が落ちてしまう原因となりかねないのだ。 例えばInstagramに投稿する際、シンプルな写真とともに長文のキャプションを載せても、文章の内容の良し悪しにかかわらず目に留めてもらえないのは言うまでもない。情報を享受する側に立ったとき、自分が伝えたい情報が見やすく、受け取る相手のストレスがないということはいたって重要だ。 多岐にわたるSNSアプリの中で、ユーザーは分散している。どのアプリをどれくらい見るかも年齢や性別、生活リズムにより異なるのだ。そのため、同じ情報をそれぞれのSNSに合わせて分散して提供する方が、多くのユーザーに情報が届くのである。ユーザーからしたら、SNSでフォローするだけで「探さないでも勝手に現れるコンテンツ」となるわけである。 【事例2】BuzzFeed:可愛い動物の画像から時事ネタまで、幅広いコンテンツをSNSで発信 (画像はBuzzFeed JapanのFacebookから引用) BuzzFeedも、初期から人気の分散型メディアの一つだ。「猫のGIF画像から政治トピックまで」と言われるほど幅広いコンテンツを、様々なSNS上で発信している。 中でもBuzzFeedの特徴は、SNSの違いを生かしたコンテンツ作りだ。BuzzFeedが扱うトピックは様々だが、それぞれのSNSの特徴を生かしてコンテンツの発信の仕方を変えている。 例えば、Facebookでは、BuzzFeedのホームページに載っている記事へのリンクとともに、短い意見や感想、面白いフレーズなど投稿者のコメントを添えて投稿している。Facebookでリンクを開くと、Facebook上でそのページが起動されるため、一読し終えた後に読者がコメント欄に感想を書くことが多い。これによりインプレッション数が増えるのだ。 また、YouTubeでは幅広い話題を扱う動画コンテンツを発信しており、シリーズ化している。Instagramではおもわず笑ってしまうような話題の面白いツイートを画像で紹介し、コメント欄には笑った顔の絵文字やコメントが多く寄せられている。 このように、発信するコンテンツを統一せず、SNSによって形式を変えて、それぞれのSNSユーザーが楽しめる情報を発信する点がBuzzFeedの特徴だ。 まとめ 分散型メディアは、SNSでニュースをチェックするといったユーザーの行動やニーズの変化を背景に成長していった。情報があふれ返る近年、動画やSNSの特徴を生かしたコンテンツ提供がユーザーの心をつかんでいる。 今回は分散型メディアの例をご紹介したが、これらのメディアの戦略を一言でまとめると、「ユーザーのいるところにユーザーが本当に求めるものを提供する」ということだ。これは、PRの戦略を練る上でも重要なUXの視点である。 btraxではUXを考慮したマーケティング、新規事業開発メソッドを提供している。ご興味をお持ちの方は、是非お問い合わせを。

【2019年】絶対おさえておくべき、4つのマーケティングトレンド

2019年がスタートし、本格的に来年度のマーケティング計画に取り組む、もしくは最終の見直しに入った会社は多いだろう。 新しいソーシャルメディア、サービス、キャンペーンが日々登場し、マーケティング業界は目まぐるしく変化をし続けている。一方、マーケティングのトレンドは、突如現れるというよりも、徐々にその傾向が見てくるというのが通例だ。 そこで2018年に顕著に現れてきた、絶対に外すことができない4つのマーケティングのキードレンドと、それらに対して2019年に取り組むべきことについてまとめてみた。統計データも多数紹介しているので、上司やクライアントへの提案資料作成の際の参考にして頂ければ幸いだ。 1. 動画(オーガニック・広告) 動画を使ったマーケティングの台頭については、ここ数年ずっと言われて続けているが、2019年もその勢いはより一層加速することが予想される。今まで動画マーケティングに本腰を入れていなかった企業も、もはや動画を無視することができなくなるだろう。 IGTVの登場とTikTok 2018年の動画マーケティングのハイライトといえば、instagramのスタンドアローン動画プラットフォームIGTVの登場と中国発の動画投稿アプリTikTokの大流行だ。 Instagram Story(Source: instagram) IGTVはモバイルデバイスからの視聴に特化した、縦型の長時間の動画に対応したプラットフォーム。Instagram Storyは15秒までの動画しか投稿できないのに対して、IGTVでは最大で10分の動画投稿が可能になった。(フォロワーが多いアカウントや公式アカウントなら最大60分の動画投稿が可能) TikTokは中高生を中心に人気の動画投稿アプリで、リップシンキング(音楽に合わせて口パクで歌っているように見せるパフォーマンス)やダンスなどの動画が投稿されている。 数字で見る動画マーケティングトレンド 一般的なアメリカの消費者は平均で毎日1.5時間の動画コンテンツを視聴する(Wyzowl) 2020年までに、インターネットのトラフィックの80%以上がオンライン動画の視聴になる(Cisco) ライブ動画市場規模は、2016年302億ドルに対して、2021年までに700億ドルまで拡大する見込み(Research and Market) 2018年6月の時点でInstagram StoryのDAUは、全世界4億人で、2016年から増え続けている instagram storyのデイリーアクティブユーザーの変遷(Source: Statista) 2019年に取り組むべきは、ユーザーと繋がるための動画配信 Online Publisher Associationによると、80%のユーザーは、過去30日に視聴した動画の内容を覚えているという。オーガニックの動画コンテンツの配信はもちろん、動画広告にも積極的に取り組む必要があるだろう。特に、Instagram Story, Facebook Story, IGTV, snapchatなど縦型動画フォーマットも増えてきていることを考えると、モバイル視聴を前提とし、かつメディアの特性にあった動画コンテンツの制作が必要となる。 また、企業に透明性を求める動きや、FOMO(Fear of Mission Out、重要なイベントを見逃してしまうことを恐れる感情)、リアルなつながりへのニーズから、ライブ動画に対する人気も見落すことはできない。リアルタイムでユーザーからの質問に答えたり、商品のライブデモ、イベントの「舞台裏」を公開したりするなど、その時しか見ることができない、限定感のあるコンテンツ制作に取り組みたい。 加えて、一対一ののパーソナルな動画の活用にもチャレンジしたい。Eメールや電話ではなく、クライアント一人ひとりに合った動画コンテンツを届けることで、より深いエンゲージメントを得ることが期待される。クライアントの疑問に対して動画で説明するのでも良いし、感謝の気持ちを伝える手段としても有効だ。 btraxでも弊社主催のイベント「DESIGN for Innovation 2018」にお越し頂いたクライアント一人ひとりに、CEOのBrandonとデザインディレクターJensenからお礼のメッセージ動画をお送りしたところ、非常に好評を頂いた。 2. オーディオメディア この数年でオーディオメディアが充実しているが、この傾向は2019年も続くことが予想されている。ニールセンの調査によると2018年第二期四半期の時点で、アメリカの24%の家庭がスマートスピーカーを保有しており、そのうちの4割が1台以上持っているという。 ポッドキャストやボイシーなど、耳で楽しむコンテンツが充実 2018年の6月、ついにGoogleがスタンドアローンのポッドキャストアプリ『Google Podcast』を発表した。このアプリは、Google アシスタントと連動しているので、Googleアシスタントが搭載されたすべてのデバイスでコンテンツを聞くことが可能だ。例えば、スマートフォンで通勤中に聞いていたポッドキャストの続きを、自宅に帰ってリビングルームのGoogle Homeスピーカーで聞くことができる。 今までもGoogle Play Store経由やサードパーティーのアプリを使って聞くことは可能であったが、Androidデバイスにおけるポッドキャスト環境はAppleデバイスほど整ったものではなかった。このGoogle公式アプリによって、世界のスマートフォン市場の8割を占めるAndroidユーザーが快適にポッドキャストを楽しむ環境が整った。 日本では、「声のブログ」として知られる音声メディアVoicyが今年の2月に2800万円の資金調達を行った。ポッドキャストは誰でも配信することができるのに対して、現在Voicyでチャンネルを持つことができるユーザーは、審査に通った人のみとなっている。また、Googleアシスタント及び、Amazonアレクサへのコンテンツ配信も行っており、スマートスピーカーを使ってVoicyのコンテンツを楽しむことができる。 数字で見るアメリカの音声メディアトレンド 18歳以上の16%、人数にして約3900万人がスマートスピーカーを保有している(Edison Research) 58%の消費者が、過去12か月に音声検索を使い身近なお店についての情報を調べている (BrightLocal) 46%の音声検索ユーザーは、身近なお店を検索するのに日常的に音声検索を使用している (BrightLocal) 2020年までに検索の30%が音声検索に置き換えられる(Gartner) スマートスピーカーを保有する71%が、以前より頻繁に音声コンテンツを楽しむようになった(Edison Research) 月間のポッドキャストリスナーは、2019年には8,700万人、2021年には1.12億人に達する(Activate Tech & Media Report in 2018) 2019年に取り組むべきは、目的に合った音声メディア選び 多くのユーザーが日常的に音声検索を利用していることは、音声検索を意識したコンテンツ作りを行う必要性を意味する。 SEO専門会社Yoastによると、ウェブサイト上のコンテンツを制作する際に5W+1H(Who, What, When, Where, Why, How)を意識することが必要だという。なぜなら、ユーザーが音声検索を行う際には、キーワードではなく話し言葉、すなわちフレーズで検索を行うからだ。例えば、近くのコーヒーショップをテキスト検索する場合は、「コーヒー 渋谷(地名)」というキーワードを使用する。その一方で、音声検索は、「渋谷にあるコーヒーショップはどこ?」とフレーズで検索する。 加えて、耳で楽しむための音声コンテンツをどのように提供するのが、自社の目的を達成するのに最適であるか見極める必要がある。特に、ポッドキャストはリスナーのエンゲージメントの高さ、ニッチなユーザーにリーチをできることから、新しい広告メディアとして注目されている。 また、自社オリジナルのポッドキャスト番組を制作する動きも盛んだ。デートアプリのTinderや、D2CマットレスブランドのCasper、オフィス用チャットアプリのSlack、Eコマースプラットフォームを提供するShopifyのポッドキャスト番組は、番組そのものが広告であるにもかかわらず、人気の番組となっている。 3. ダイバーシティー・インクルージョン メッセージを伝えるには、消費者に「自分ごと」としてメッセージを捉えてもらう必要がある。マーケティングキャンペーンにおいて多様性を取り入れることが、ここ数年重要視されており、その傾向は2019年も続くことが予想されている。 インクルージョン・マーケティングの広がり ダイバーシティーとは、必ずしも人種や性別、年齢のことだけではない。宗教や食事制限、体型、健康状況、性的志向、コミュニティーなど、消費者が持つ様々な価値観やバックグラウンド、究極的には彼・彼女たち一人ひとりの個性を意味する。 これらを企業の活動(商品開発やマーケティング、採用活動に至るまで)に含めていくことを、インクルージョン(「Inclution」は「含める」の意味)といい、この考え方を採用したマーケティング手法のことを、インクルーシブマーケティングを言う。 障害のある女性をモデルに起用した女性用下着ブランドaerie 女性用インナーウエアブランドのaerieは今年、様々な健康状態にある女性や障害を持つ女性をブランドのモデルとして起用した。 同ブランドは、多くの企業に先駆け、画像にレタッチを一切加えていない、多様な体型・人種のモデルを起用した、Body Positiviy(ありのままの自分を受け行ける)を支援する『#AerieReal』キャンペーンを2014年から実施している。最近ではEverlaneやThirdLoveなどインナーウエアを展開するブランドの多くがaerieに追随しているが、aerieはさらに先を行った。 多種多様な女性を起用した #aerieReal キャンペーンビジュアル (source: aerie) 2018年の#AerieRealキャンペーンでは、インスリンポンプを背中につけた糖尿病を患う女性、車椅子に乗った女性、皮膚の色が抜け白い斑点ができる皮膚疾患、尋常性白斑を持つ女性などが起用されている。 ステレオタイプは、ビジネスに悪影響を与える インクルーシブネスを支持する機運が高まってきている今、特定の属性に対するステレオタイプをマーケティングキャンペーンに反映させてしまうと、大炎上する恐れがある。日本でも某飲料メーカーが、同社商品のユーザー女性像をシニカルに描いたキャンペーンを行い、顧客を馬鹿にしている、と多くの批判の声が上がった。 また無意識のうちに、特定の属性に対するバイアスをかけたマーケティングキャンペーンは多数存在している。とある調査によると、映画やテレビ番組にネガティブなステレオタイプが使われていると感じた場合、66%の女性が観るのを止めると回答している。 数字でみる広告におけるステレオタイプ 広告におけるジェンダーバイアスを調べるために、2006年から2016年のカンヌライオンズフィルム及びフィルムクラフト部門における受賞作及び、最終候補に選ばれた英語の2,000作品を分析した共同調査は、下記のような非常に興味深い結果を示している。 広告内で起用される女性キャラクターの数は、男性の約3/1。2006年から2016年の調査機関においてその数字は、ほぼ変わらず 男性キャラクターのみを描いた広告は、全体の25%であるのに対して、女性のそれはたったの5% 男性キャラクターがセリフを話す時間は、女性のそれの約3倍 「Power(力・権力)」や「Achievement(功績)」に関する内容は、男性キャラクターによってより多く語られている 女性が語るセリフには、男性のセリフより若干簡単な語彙が使用されている 広告における男女の差 (source:Geena […]

【2018年】ストーリー性を重視したブランド構築事例4選

ブランドを構成する要素として挙げられるのは機能性、デザイン性、ストーリー性と言われているが、近年その中でもストーリー性が力を持ち始めている。
機能性やデザイン性に関して良い商品はすでに世の中に溢れていたり、すぐに他社に真似されたりする中で、ストーリー性はそのブランド固有のものである分、カスタマ―が感じる価値も無二のものとして捉えられるからだ。それは情緒価値、すなわち情緒的な付加価値とも言えるものだ。
そこで今回は、2018年にご紹介したブランドのなかで、ストーリーを共有し情緒価値をうまく伝えた事例を…

ヤマハとコニカミノルタが語る「経営におけるデザインの役割」とは【DFI2018】

btraxでは毎年デザインと経営の融合をテーマにしたカンファレンスDESIGN for Innovationを開催し、3年目となる今年は10月11日(木)にFiNC有楽町にて行われた。
当日は様々な切り口でデザインと経営に関する基調講演やパネルディスカッションが行われたのだが、その中の一つではヤマハ発動機の長屋明浩氏とコニカミノルタの平賀明子氏をゲストスピーカーとしてお招きし、日々経営やビジネスに対してどのようにデザインの価値を取り入れているのかお話を伺った。
お二人ともデザイナー出身でありながら執…

D2Cブランドに学ぶブランド認知向上に効果的なキャンペーン事例4選

日々D2C(Direct to Consumer)に特化した企業が興隆し、ユーザーに対しクリエイティブなアプローチをかけることでマーケットの割合を高めている。freshtraxでは過去何度かD2Cに関する記事を取り上げているが、今回はD2Cだからこそ実現できるユーザーとの密な関係構築とユーザーを引きつけるのに効果的なキャンペーンについて触れたいと思う。 関連記事:アパレル業界を席巻する新勢力 – Direct to Consumer (D2C) で成功した7つのブランド ユーザーの意識や購買行動の変化がD2Cブランドの支持に繋がっている? なぜD2Cブランドは店舗を持たないのにも関わらずユーザーから支持されるのか。それは、ユーザーの意識や購買行動の変化に関係がある。 インターネットを通じて情報にアクセスしやすくなったことで、ユーザーは商品やサービスに関する情報に対して敏感になっている。そのため、最近の傾向としてユーザーはブラントに対して透明性や信頼性を求めるようになったのだ。 仲買人を設けないD2Cブランドは、製造から販売までを一貫して行う。よって、ユーザーの手に届くまでの過程の透明性や、情報開示による信頼性をユーザーに感じてもらうことができる。実際に、リサーチ会社Forrester Reserchの調査によると、76%のD2Cブランドが予想通りかそれ以上の売上収益をあげているということがわかった。 もちろん変化したのはユーザーの意識だけではない。以前に比べ購買プロセスも大きく変わり、ユーザーは購買前・購買中・購買後全ての段階において良いユーザー体験を求めるようになったのだ。例えば、決済方法が少ないことやホームページの更新頻度が少ないことはは企業への信頼度が下がる要因になる。そのため企業は、ユーザーとの直接的な関係においてユーザーの思考や行動がどのようにビジネスに関係するかを常に把握しておく必要があるのだ。 このようにD2Cは企画・製造から販売までを一貫して行うことから様々なニーズに素早く対応することができるので、ユーザーからも大きな支持を得られるのだろう。 認知度を向上するベストなタイミングとは? ユーザーに関心を持ってもらうためにはブランドの認知度を向上する必要がある。その為にできる施策の一つとして、キャンペーンの実施が挙げられる。アメリカでは様々な種類のキャンペーンがあるが、中でもホリデーや季節イベントを利用したキャンペーンはユーザーを引きつける最高のタイミングと言っても過言ではない。 なぜなら、ホリデーや季節イベントがある時期はユーザーが一番新しいアイディアや商品、サービスに興味を持つタイミングだからだ。北米では毎年ホリデーの間にセールが開催されることが多く、全米小売業協会の試算では2017年に比べ2018年の休日の小売売上高は4.3%から4.8%上回るのではないかと見込まれている。 もちろん休日だけでなく季節のイベントにおいてもセールが開かれることは多く、以下に挙げるのがプロモーションに効果的なホリデー・イベントである。 ・Black Friday(ブラック・フライデー) 最近日本でも少しづつその名を聞くようになったブラック・フライデー。ブラック・フライデーは、アメリカで毎年11月の第4木曜日に催される「感謝祭」の翌日の金曜日のことで、この日はアメリカでは年末商戦の初日かつ最大の山場となる日と位置づけられている。ブラック・フライデーの由来は、あらゆるビジネスが利益を出し、赤字から黒字に変えてしまうという意味合いからきている。 2016年の調査によると、13億7400万人ものユーザーのうち74%がブラック・フライデーに買い物をすると回答した。もはや感謝祭の伝統の一つになりかけているといっても過言ではない。 ・Back to School(バック・トゥー・スクール) 日本では社会人や学生にとって春が新年度なのに対し、アメリカでは、夏と秋の季節の変わり目が新年度の開始を意味する。学生は新しい洋服や文房具を新調したい、そして大人は秋向けの洋服を買い替えたい時期なので、様々なセールがこの時期に行われている。 2017年には、アメリカ全土における小中高校・大学への進学、進級の準備にかける消耗品費用の総額が8260億ドルにも上ると推定された。これは、2016年の7580億ドルと比べ10%の上昇である。 ・クリスマス アメリカではクリスマスになると家族が集いプレゼント交換をしたり、友人や恋人と過ごすことが多い。そのため、全米小売業協会によると2018年のクリスマスでは、国内消費者一人当たり平均700ドルの出費をすると予測されている。これはアメリカ全体で4,670億ドルもの売上になるということだ。 それではD2Cブランドはどのようにこれらのイベントを活用して、ブランドの認知度や売上を増加させているのだろうか?以下では、4つのD2Cブランドによるキャンペーン事例を紹介したい。 ホリデーや季節イベントを活用したキャンペーン事例4選 1.Thirdlove(サード・ラブ) Thirdloveは、2013年にHeidi ZakとDave Spectorによってサンフランシスコで設立された女性向けの下着ブランドだ。現在は「全ての女性に合った商品を提供する」という理念の基、オンラインのみで商品を展開している。 2017年にThirdloveは、”12 Days of Gifting”(ギフトの12日間)といったキャンペーンを打ち出した。これは、クリスマスまでの12日間毎日抽選で異なる商品がプレゼントされるといったキャンペーンである。”12 Days of Gifting”は、友人や恋人に贈るクリスマスのギフトとしては人気のあるアイディアだが、ビジネスとしてこのようなキャンペーンを打ち出した会社は少ない。 12日間毎日商品がSNSで紹介され、以下の3ステップを行うことで投稿へのインプレッション増加、フォロワー増加、そしてギフトを無料でプレゼントすることによるブランドのイメージアップを成功させた。 ①投稿を「いいね!」する ②SNSアカウントをフォローする ③コメント欄にギフトを送りたい友人のアカウント名を投稿する また、クリスマス用のプレゼント選びに迷うユーザーに対して、オススメの商品をブログで提案するといった取り組みもあって、既存のユーザーだけでなく潜在顧客にもブランドの良い印象を与えることに成功した。 このキャンペーンを行う前は、インスタグラムの各投稿における「いいね!」数が250から1,000に止まっていたのに対し、このキャンペーンが始まってから最初の投稿には、14,600もの「いいね!」があり、キャンペーン全体を通して高い数値を打ち出している。クリスマスとSNSを上手く活用しユーザーとの交流を図ることで、ブランドへのロイヤリティを高めることに成功したのだ。 2.Frank and Oak(フランク・アンド・オーク) Frank and Oakはモントリオールに本社を置く衣料品店。2012年にEthan SongとHicham Ratnanによって立ち上げられ、設立当初からグローバル展開をしている。企業理念には「男女ともにおしゃれな衣服を安く提供すること」を掲げている。 Frank and Oakはクリスマスにキャンペーンを行ったのだが、他のブランドとは違った施策を行った。“And”コレクションと呼ばれる衣服の販売を筆頭に、インクルージョン(一人ひとりが異なる存在として受け入れられ、その違いが活かされること)、平等そしてダイバーシティに焦点を置いたキャンペーンをクリスマスの数週間前に始めたのだ。 (画像は公式ウェブサイトより引用) 具体的な取り組みとしては、”And”という文字がプリントされたユニセックスの衣服を販売し、ユーザーがこのコレクションから衣料品を購入した場合、そのうちの5ドルが人権擁護を目的とした教育プログラムに寄付されるといったプロジェクトを行った。 Frank and Oakはこの季節をキャンペーンに上手く活用し、「coming together(一体となる/団結する) 」というテーマの基、人と違うことに誇りを持つことが重要だというメッセージを発信した。このキャンペーンを通して、寄付や啓蒙といった社会貢献を行うと同時に、Frank and Oakを知らなかった潜在顧客に関心を持ってもらうことができた。 3.Glossier(グロッシアー) Glossierはニューヨークに本社を置く化粧品ブランドで、2010年にEmily Weissによって設立された。実店舗はアメリカ国内に数店舗だけ存在し、ポップアップストアも出店されている。 「メイクアップをファッションのようにパーソナライズする」というミッションを掲げるGlossierは、2017年9月に異なる体型や職業を持つ女性5人を紹介する”Body Hero Campaign”を実施。 体型のコンプレックスを持ちがちな女子学生に対して、ポジティブなマインドを持ってもらいたいという思いから、バック・トゥ・スクールの時期にキャンペーンを行った。このキャンペーンは開始直後1週間で3万3千ドルの利益をだし、5千人ものユーザーがハッシュタグ#BodyHeroを使い、Glossierのブランド認知が一気に向上したのだ。 (画像は公式ウェブサイトより引用) また、Glossierはブラック・フライデーも上手く活用している。2017年のブラック・フライデーでは送料無料のキャンペーンが1週間続いて行われ、2016年に実施した3日間のキャペーンに比べ、期間を大幅に延長した。このキャンペーンは一般的なブラック・フライデーのセール時期よりも一足先に開始され、他のブランドよりも早く宣伝することで、認知度の確保、また顧客の予算の確保が可能となったのだ。 4.Warby Parker(ワービー・パーカー) Warby Parkerはアイウェアアクセサリーの店舗で、ニューヨークに本社を置いている。2010年にNeil Blumenthal、Andrew Hunt、David Gilboa、そしてJeffrey Raiderによって設立されアメリカとカナダの各地に店舗を展開している。 (画像は公式ウェブサイトより引用) Warby Parkerは他のブランドとは少し異なったキャンペーンを打ち出した。休日やその他のイベントを利用するのではなく、2017年に起こった大きなイベントを自社ブランドの認知度をあげる絶好の機会にしたのだ。その大きなイベントとは日食である。 2017年の日食はアメリカで最後に日食が起こってから実に99年ぶりの大イベントだったので大きく注目された。皆さんご存知だとは思うが日食とは月が太陽と重なり、完全に見えなくなる現象である。Warby Parkerはこれをユーザーにリーチする最適な機会だと考え、日食イベントのコミュニティに参加した。 (画像は公式ウェブサイトより引用) 日食の1週間前から、潜在顧客と既存のユーザーに対して安全に日食を鑑賞し十分に楽しむための知恵をSNS等でシェアした。この行動は、企業がユーザーを気にかけ価値のある情報を提供していることを示し、信頼を得るための絶好の機会となった。また同社は当日、日食を見に行きたいと思っている人達が集って共に日食を楽しむことのできるイベントも開催した。 彼らは国内のコミュニティすべてに対し大きなファンベースを作り上げ、ブランドの認知とイメージ向上を成し遂げた。このイベントの会場の一つでもあるテネシー州のナッシュビルでは、100人弱の参加者が集まり無料で日食用メガネを配布するなどした。これによりWarby Parkerは、企業が顧客と直接関わり合えるコミュニティを作り上げることに成功した。 最後に 冒頭でもお伝えしたが、ユーザーの意識や購買行動の変化に伴い今後ブランドは彼らのニーズや関心を素早く察知して、行動に起こすことが重要となる。アメリカではオンラインでの買い物が主流になっているので今回紹介したようなD2Cブランドの存在も大きくなっているのだろう。今後も引き続きD2Cブランドの動向に着目していきたい。 btraxではユーザーのインサイトに基づいたD2Cブランドのグローバル進出をサポートしている。今回ご紹介したようなユーザー獲得のためのプロモーション活動だけではなく、ウェブサイトの構築を含むブランド認知のためのマーケティング戦略立案も一貫して行っているので、ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせを。

【ユーザーと商品開発】海外の「共創」成功事例

我々は、自社商品への愛が強すぎるが故に、時にユーザーが本当に求めているものを見失ってしまうことがある。技術力の結晶であるはずの商品なのに、なぜか売れない。特に、日本では成功しているのに、海外ではいまいちユーザーの反応が悪 […]

エイベックスが新社屋で起こすイノベーション【加藤信介氏インタビュー#2】

エイベックスの加藤信介さんへのインタビュー記事後編。(前編はこちら)今回は新社屋で起こっているコラボレーションとそこから見える新たな課題について話を聞いた。 社員 × 社員のコラボレーション 社員同士で効率の良い働き方が […]

D2Cブランドに学ぶウェブサイトに必要な3つのUX要素とは

今やあらゆるビジネスにとってオンラインストアは欠かせない販売チャネルとなった。むしろオンラインストアはもはや実店舗をもつブラントがサブ的に持ち始める販売チャネルではなく、主流の販売チャネルになりつつあると言える。 このよ […]

企業文化を保つためにAirbnbが取り組んだオフィス拡張計画とは?

スタートアップがひしめく街、サンフランシスコにはユニークなオフィスが多く存在する。

その中でもここ1年で特に大きな注目を浴びているのが、民泊サービスを中心に提供するAirbnbである。今回は彼らが2017年7月にオープンした、14,000ft²(約1,300m²)に及ぶ新社屋の中身をご紹介する。

注目するのは999 Brannanという場所にあるオフィス。その住所からわかる通り、1ブロック離れた888 Brannanに建つ本社ビルの拡張プロジェクトとしてデザインが施された。

これは…

サンフランシスコのUXデザイナーが語る UXの基本とこれからのトレンド【btrax Voice #9 Mimi Yu】

btrax社員の生の声をお届けする「btrax voice」シリーズ。

今回のインタビューは、btraxのサンフランシスコオフィスで活躍するUXデザイナーのMimi Yuさんです。今回は彼女がデザイナーになるまでの道のりや、彼女の考える最新のデザイントレンド、また彼女が今後どのようにデザインの世界で成長し続けていきたいかについて語ってもらいました。

関連記事:2018年にUXデザインを取り巻く7つの変化
Who is Mimi?

Mimi Yu
役職:UX Designer…

D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン

人の第一印象は、最初の10秒以内で決まると言われているが、これはブランド体験においても同じである。オフラインの世界に実店舗を持つブランドであれば、店舗空間全体を利用し、カスタマーが店に足を踏み入れた瞬間に彼らをブランドの世界観に浸らせることができる。

一方、店舗を持たないD2Cブランドにとって、オフラインにおけるカスタマーの最初のタッチポイントは、カスタマーサポートに問い合わせる時でも、プロダクトを初めて使う時でもない。それは、配達された箱を開ける瞬間だ。

「どうせ捨てられてしまうものに…

アパレル業界の未来を紐解く6つの最新トレンド 【後編】

今までの常識が塗り替えられるような「イノベーション」が様々な業界で起こると予想されている時代において、ファッション業界はどのような歴史を刻んでいくことになるのだろうか。
前半の記事ではそれを紐解く手がかりになりそうなトピックとして、「ウェアラブルデバイス」・「実店舗」・「ラグジュアリー」という3つの言葉が再定義されることについて言及した。

後半となるこの記事では、ファッション業界が抱えている問題について注目したい。労働搾取や大量廃棄といったこの業界が長らく解決出来ずに抱え込んでいるものから、…

【最近アメリカで話題】ブランド認知に効果的なポッドキャスト広告とは

「Good morning, Google!」筆者の1日は、この一言で始まる。今日のニュースと天気予報、購読中のポッドキャストの最新のエピソードを聞きながら、仕事に行くための身支度をする。そして、オーディオブックを聞きながら、サンフランシスコ市内の職場に向かう。

今、音声メディアが再注目されている。かつては、ラジオがほぼ唯一の音声メディアであったが、今では音楽ストリーミングサービス、ポッドキャスト、オーディオブックなど、様々な選択肢が存在する。
なぜ今、音声メディアが再注目されているのか?

アパレル業界の未来を紐解く6つの現象 【前編】

音楽や映画と並び、ファッションは「時代を映す鏡」としての役割を担ってきた。川久保玲氏や山本耀司氏がパリコレデビューし全身真っ黒のカラス族が現れたのは80年代であり、藤原ヒロシ氏らによって裏原系と呼ばれるジャンルが誕生したのは90年代だ。「A BATHING APE / アベイシングエイプ」や「NUMBER (N)INE / ナンバーナイン」などの人気ブランドが次々と誕生し、国内のファッション業界に最も活気があった時代ともいえる。

そんなファッション業界は2000年代に大きな転換期を迎えることに…

経験価値マーケティング【入門編】消費者の思い出に残るブランド体験を

経験価値マーケティング(Experiential Marketing)とは、インタラクティブなブランド体験を通して消費者との関係性を構築するマーケティング手法である。

従来のマーケティングが一方的にブランドや商品のベネフィットを幅広いオーディエンスに向けて発信するのに対し、経験価値マーケティングはブランドやプロダクトのコアバリューが凝縮されたオフライン空間の中で、消費者と一対一のパーソナルなコミュニケーションを行うことに焦点を当てている。

そして、忘れられないブランド体験を提供し、消費者…

ユーザーの心を掴むヒントは“ハイパー・パーソナライゼーション“にあり

Googleによると、過去2年間でモバイル上でのGoogle検索内において”Best”という単語がなんと80%も増加したという。

またアクセンチュアによると、アメリカとイギリスにて1,500人のユーザーを対象に行った調査でユーザーの75%はパーソナライズされた情報やコンテンツを提供してくれるブランドから商品を購入する傾向にあることがわかってきた。

この2つのレポート結果から言えることは、ユーザーがオンラインで買い物をする際、購入前にベストなものをリサーチすることが当たり前になった、そして…

最近のスタートアップのロゴのスタイルが似通ってきている問題について

お気に入りのスタートアップやサービスのロゴがいつの間にか変わっている。このような事が最近増えている。少し前までであれば、「ロゴのリデザイン ー なぜGapが失敗しAirbnbが受け入れられたのか」でも見られるように、ロゴの変更やリブランディングは一つのトピックとして、多くの人たちからの反響が得られていた。

しかし、最近ではなぜか”しれっと”変わっているケースが後を絶たない。それも新しいロゴのデザインが”ある一定の”共通パターンをなぞっていて、特にロゴタイプの部分はどのロゴもかなり似通ってきてい…

アパレル業界が挑む新たな変革 – 消費者がブランドに求める“透明性”とは?

ハイウエストスキニージーンズ - $95
従来の小売価格 - $225

アメリカのDirect to Consumer (D2C)系ファッションブランドで、最近よく見かけるようになったこの表記。D2Cとは、自社で企画、製造した製品を実店舗や小売店を介さずに、自社のオンラインストアのみで販売するビジネスモデルである。

削減した中間コストや小売マージンを販売価格に反映させることで、消費者は高品質の商品を従来価格の約半額もしくはそれ以上で購入することができるというわけだ。

(画像転…

サンフランシスコのデザイン会社から見た中国企業の優位性

”中国製品”と聞いてどのようなイメージを持つだろうか?恐らく日本製品よりも性能が低く、デザイン性も劣っていると感じる人は少なくはないだろう。その一方で、世界的な視点で見てみると意外とそうでもないことに気づく。

例えば、アメリカに住んでいると、電化製品を中心に様々なプロダクトが中国製であることが多いことに加え、Made in Chinaだけではなく、いわゆる”中国ブランド”も多く、その評価も決して低くはない事を日々感じる。

一昔前だったら日本製であることが一つのブランドになり得たのであるが…

世界4大IT企業“GAFA”に学ぶ次世代の働き方 (前編) -コーポレートキャンパスの実態を探る

仕事の作業スペースに留まらず、生活に必要なほぼすべての機能を広大な敷地に内包するコーポレートキャンパス。

スポーツ設備や娯楽施設、カフェテリア、ヘルスケア施設に移動手段となる通勤バス等をすべて無料で社員に提供し、カジュアルな格好に自由な就労時間という環境を整えたこの「キャンパス型オフィス」は、今日のワークスペースの中でも最高レベルの施設だろう。

今回はそんなコーポレートキャンパスについて、前後編の2部作にわたってお送りする。世界の大企業が社員の働き方改善のために取り入れたワークプレイスと…