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LGBTプライド月間に知っておきたいインクルーシブマーケティング

時代の変化とともにマーケティングに求められる効果とその内容に大きな変化が生まれてきている。 例えば、あなたが家庭用食器洗剤ブランドの広告ビジュアルを考えていたとして、どのようなシーンをイメージして作るだろうか。 もし台所にいる女性を想定していたら、あなたのマーケティング手法は時代にあっていない可能性がある。なぜなら、現代において台所に立つのは必ずしも女性とは限らないからである。 (あなたのマーケティングは時代遅れかもしれない。画像転載元) ダイバーシティー実現にはマイノリティへの配慮を ダイバーシティという言葉が様々なところで使われるようになった一方で、マイノリティへの配慮が足りていない制度やコンテンツ、発言をいまだによく見かけるのではないだろうか。 著名人による差別的発言、企業と従業員の間で起こる性的蔑視、人種について嘲笑する動画など、これらの問題や報道を他人事のように感じている人さえ、無意識的に排他的な発言や行動をしているかも知れないのである。 企業にとっても必須事項 現状がどうであれ、ダイバーシティを受け入れることは、企業にとって「オプション」ではなく「マスト」であるということだけは言える。企業としてマイノリティーを考慮できていないと、信頼や評判は落ち、消費者や従業員、ステークホルダーはみるみる離れ、企業存続を揺るがせかねない。 ここアメリカでは、日本よりもダイバーシティが一般的であり複雑だ。ゆえに先進的な取り組みが多いのも事実。そしてこのような多様性を受け入れる姿勢・理解を自社のマーケティング活動に反映させようというインクルーシブマーケティングがすでに広がりつつある。 上の写真はサンフランシスコのプライドパレードの様子。毎年6月はLGBT(レズビアン、ゲイ、バイ、トランスジェンダーの頭文字からなる造語。最近ではクエスチョニングやクィアのQが最後につくことも)を啓発するプライド月間となっている。ここサンフランシスコは主要都市の1つとして、6月はLGBTQを表すレインボーの旗がメインストリートに掲げられる。(写真転載元) 流行と捉えるべきではない、インクルーシブマーケティングとは インクルーシブマーケティングとはダイバーシティ(多様性)を受け入れ、それを考慮し、マーケティング活動へ反映させることだ。ダイバーシティーがインクルードされている(含まれている、受容されている)マーケティングである。 これにより、マイノリティとされる人たちが、自分たちも企業のサービス対象に含まれているという自覚を持てるようになるのだ。 そもそもインクルーシブマーケティングを理解するにはダイバーシティを理解する必要がある。 「【2019年】絶対おさえておくべき、4つのマーケティングトレンド」でも説明している通り、ダイバーシティとは人種、性別、年齢に限ったことではない。宗教や障害、性自認、食習慣(ビーガン、ベジタリアンなど)、体型など、個人を成形するあらゆる点が含まれる。 (Airbnbが2017年のアメフト決勝戦で流した広告キャンペーン。画像転載元) これは当たり前のことのように聞こえるかも知れないが、人口の98%を日本国籍保持者が占める日本では、なかなか身近には感じにくいことだと思う。日本が相当ダイバーシティの低い国であるということを自覚しておく必要がある。さもなくば、無意識に排他的なマーケティングをしかねない。 次に、今までの固定概念を疑っていく必要がある。先に質問した、家庭用食器洗剤を使うのが女性だ、というような固定概念だ。現在では働き方や性に関して多様化しているため、「家庭用食器洗剤ユーザー=女性」と強く押し出してしまうのは排他的ともなる。 顧客管理アプリケーションを開発・販売するセールスフォースは職場におけるダイバーシティやインクルージョンの価値についてオンライン学習ツールを提供している(日本語での受講も可能で、単元ごとに受けやすくなっているのぜひ社内で受けてみてほしい)。 ここでは受講者のダイバーシティに関する固定観念に問いかけるようなコンテンツもある。 (これらを改めて想像すると、ステレオタイプに気づくことができる。転載・加工した画像はこちらのサイトから) インクルーシブマーケティングを取り入れているアメリカ企業 アメリカでは、既存企業が自分たちの社風やマーケティング活動にダイバーシティを反映していこうとする動きも盛んだが、最近ではダイバーシティをメインのミッションにあげるブランドも出てきており、インクルーシブマーケティングやインクルーシブな商品開発のお手本となっている。 以下は該当するブランドの一例だ。 1. 世界の歌姫リアーナが始めたコスメブランド:Fenty Beauty Fenty Beautyは世界的R&Bシンガーのリアーナが2017年に創業したコスメブランド。インクルーシブな商品展開が売りで、ファンデーションのカラーバリエーションは50以上にもなる。 既存のコスメブランドのファンデーションなどのカラーラインアップ対応範囲が、実際のユーザーである有色人種を含む全ての女性層とギャップがあることを感じ、Fenty Beautyの立ち上げに至ったという。Fentyはリアーナの苗字からきている。 リアーナはコスメブランドのMACとも過去にコラボしており、業界への関心を示してきたが、今回は初のソロでのブランドだ。ルイヴィトンやディオールを運営するLVMHの傘下であるKendo Holdingsという美容ブランドインキュベーターと共同で商品開発などを行っている。 なんとブランドローンチの1ヶ月目から7,200万ドル(約72億円)の売上があったという。 もちろん、彼女の歌手としての知名度があったことも影響しているが、インクルーシビティへの徹底ぶりも人気の理由だ。以下のウェブサイト商品ページを見ていただければわかる通り、カラーバリエーションの数が非常に幅広い。色を表す言葉もLightからDeep(Lightの反対Darkではなく)にしている点も考えられている。 メイクで顔に凹凸を作るためのハイライトと呼ばれる化粧品もカラーバリエーション豊富だ。 もちろん、ソーシャルメディアやビデオコンテンツもインクルーシブマーケティングを意識したものとなっている。 リアーナはコスメブランド以外にもSavage X Fentyというランジェリーブランドも展開しており、こちらも様々な体型にあった商品が揃う。さらに2019年にはファッションブランドも開始すると発表されており、インクルーシブマーケティングにおいて彼女の動向は今後も注目だ。 2. ユーザーの声に耳を傾けるコスメブランド:Glossier こちらもミレニアルを中心に人気が高い、コスメD2C(Direct to Consumer)ブランドだ。ユーザーのフィードバックを積極的に商品に反映してきたことも人気の理由だ。ファンデーションのカラーバリエーションも豊富で、ウェブサイトに載せている試し塗りサンプルの様子も様々な肌の色で表現されている。 またGlossierのインスタグラムには度々男性のユーザーの写真が投稿される。必ずしも化粧をしている訳ではなく、日焼け止めやスキンケアなどGlossierの商品を使っているユーザーの写真だ。 ブランドカラーがピンクなだけに女性感が強いGlossierだが、そんな彼らが積極的に男性ユーザーのコンテンツを発信しているのは非常に興味深い。ユーザーの声を聞いている彼らだからこそ、素早くこのような発信ができたのではないだろうか。化粧品は女性だけが使うもの、という考え方は過去のものになりつつある。 3. ファッションのさらなる可能性を見せたアパレルD2C:Tread by Everlane Tread by Everlaneはサステイナビリティとトランスペアレンシーを追求するアパレルD2CのEverlaneがローンチしたスニーカーブランドだ。2019年春に発売が開始されると、瞬く間に話題になり、Everlaneの実店舗には長蛇の列ができた。 究極のエコスニーカーを目指しており、ソールの部分に使われている素材は94%リサイクルプラスチックを採用している。もちろん価格についてもその内訳を公開し、透明性を高めている。 そんなTread by Everlaneの広告に、先進的とも言えるインクルーシブマーケティングを見かけた。それが以下の広告だ。 ただでさえ義足のモデルというのは珍しいのに、義足がブランドのスタイルとマッチしていて驚いた。マイノリティを無理やり起用するのではなく、むしろクールにファッションやビジュアルに落とし込んでいて非常に参考になる。 筆者がこれを見かけたのはソーシャルメディア広告であった。自社の顔ともなる広告にインクルーシブマーケティングを取り入れているあたり、Everlaneがどれほどインクルーシビティを重視しているかがわかる。 4. 子供にこそインクルーシビティを伝えたい:バービー(マテル) 玩具メーカーのマテルは、2019年車椅子や義足のバービー人形の発売を発表した。以前から肌の色や体型などは多様性を受け入れた商品展開をしていたが、今回は身体障害者も含まれている。 マテルはバービー人形が創業から提供してきた美やファッションの多角的な視点を見せていきたいとしている。人形用の車椅子デザインはUCLA Mattel子供病院と協同してデザインされたものというこだわりぶり。 さらにマテルは2015年、女性であろうがどの職種にでもなれるというメッセージを謳った「Imagine The Possibilities(可能性を創造しよう)」というタイトルのバービー動画広告を公開し、話題になった。 大学教授、獣医、アメリカンフットボールのコーチなど、小さな女の子たちがその職業に扮して大人たちに支持・指導している(大人たちのリアクションは全てノンフィクション)。 バービー人形を使って遊んだどんな業界、職業も、性別関係なく誰もがなることができる、そんなメッセージがある。 玩具は小さい頃から触れるものだから、ダイバーシティへの理解や感覚を教えるのに非常に重要な接点だ。マテルは先陣を切って、インクルーシブマーケティングを行っている企業の一つだ。 5. デートの形一つとっても様々:Dating Around(邦題:5ファースト・デート) 動画ストリーミングサービスのNetfixオリジナルコンテンツである。これはマーケティング活動ではない(もしかしたらマーケティング活動かもしれない)が、非常に多様性が盛り込まれている内容だ。 これは「6人の独身男女がそれぞれ5度のブラインド・デートに挑戦し、ときめきや気まずさを体験しながら、初めて会った5人のうち、2回目のデートの相手を1人だけ選ぶ」というリアリティー番組だ。 初回2エピソードは1人の男性が5人の女性とデートをするというものと、1人の女性が5人の男性とデートするというものだった。しかしながら3エピソード目からは同性同士のデートや結婚経験もあるシニアのデートなど、非常に多様な角度でそれぞれのストーリーが展開された。 正直筆者も番組タイトルからは想像していなかった展開もあり、自分にも無意識の偏見があったのかもしれないという思いはあった。また、全てのセッティングに自分が置き換えられる訳ではないが、色々な形のデートがあるということは非常に興味深いし、コンテンツとして非常に見応えのあるものだった。 Netflixは社会問題に対する動画コンテンツも多く制作、配信しており、ダイバーシティを意識した番組はこれが初めてではない。インクルーシブマーケティングは商品そのものがインクルーシブでないことには始まらない。 その点、Netflixの商品(コンテンツ)はインクルーシブであり、社会への問題提起をしており、なおかつエンターテイメントとして楽しめるものを生み出していくことに非常に長けていると言える。 6. btrax事例(大手靴下ブランド) btraxの過去クライアントでもインクルーシブマーケティングはアメリカ市場で成功するための重要項目だという位置付けだ。 例えばアメリカ市場向け、バレンタインキャンペーンでは必ずしも「男性から女性にプレゼントをあげる」訳ではないという点を考慮してターゲット、メッセージ、ビジュアルを作っていった。アメリカのバレンタインは男性から女性にプレゼントを送るという習慣はあるものの、カップルのあり方が、女性同士の場合もあるし、男性同士の場合もあるからだ。 ゆえに女性だけが好むと思われる、女性しか使えないもの、ガーリーすぎるもの、をプレゼントの提案として取り扱うのも注意である。 また、ウェブサイトやソーシャルメディアなどで使うモデルは、一般的に日本企業が海外のモデルと聞いて想像する「細身、白人、金髪」に偏らないように様々な人種を採用した。 まとめ このような新しい概念はマーケティング活動に反映させることがゴールではない。それよりも、今までのステレオタイプが染み付いた思考を変えることに意味がある。その思考がインクルーシブマーケティングとなって世に広がっていくというのが理想だ。 現在皆さんのビジネスが海外向けに展開している・いないに関わらず、日本でも働き方といった面で多様になっていたり、海外からの人が増えていたりと、インクルーシブマーケティングの重要性は間違いなく高まっている(もっとも今後のビジネス拡大をしていく場合、海外は無視できない)。 会社としての歴史が長く、日本的・保守的・伝統的だという点に当てはまる企業は特に自分たちだけで変わろうというのは難しくなるが、変われない訳ではない。ぜひ先進的なインクルーシブマーケティングを行っているアメリカ市場に注目していただきたい。 そしてbtraxオフィスのあるサンフランシスコではダイバーシティやインクルーシブなブランドが特に進み、受け入れられている。btraxではこのようなトレンドのリサーチと発信だけでなく、トレンドを踏まえたサービス開発からマーケティング支援まで包括的なグローバルビジネス支援を行っている。ご興味がある方はこちらよりぜひお気軽にお問い合わせください。 参考: FENTY BEAUTY BY RIHANNA (HARBEY NICHOLS)

ブランド拡大に役立つシェアリング小売スペースという新しい選択肢

昨今、AmazonやShopify、ソーシャルメディアなどオンラインで商品を売るビジネスのためのツールが充実し、D2C(Direct to Consumer)をはじめ多くのデジタルネイティブブランドが勢いを増している。
そしてこれらのデジタルブランドはオンラインでのビジネスがある程度軌道に乗り始めると、オフライン・実店舗にも進出をする。実際、AWAY、Everlane、Warby Parkerなど多くのD2Cブランドが店舗拡大をしている。
こういったスタートアップD2Cは何百万ドルもの資金調達に成功…

ミレニアル世代の飲みスタイルを捉えたスタートアップ3選

お酒を飲むこと自体もう時代遅れなのだろうか?皆さんは、周りで若い人がお酒を飲まなくなったと感じることはないだろうか。
日本は「飲みニケーション」と言われるほど、昔からお酒を介したコミュニケーションや人脈形成の機会が多い。しかし、昔と違って最近の若者は飲み会に積極的に参加することがなくなったと感じている人も多いはずだ。
世界的に見ても、ミレニアル世代の飲酒量は他の世代と比べてかなり少ない。オーストラリアで行われた調査によると、ベビーブーム世代(55歳以上)の72%、X世代(35歳から54歳)の65%が…

ミッションを売れ! 薄利多売から抜け出すためのD2C戦略とは

D2C(Direct to Consumer。直販型)ブランドは小売業界からだけでなく、スタートアップ界隈からも注目を集め続けてきた。彼らは独自のビジネスモデルを採用しているという点だけでなく、その商品やブランディングについても注目されており、freshtraxでも幾度となく紹介してきた。
このような注目を集める一方で、D2Cブランドは既存のマーケットから集客獲得と増え続ける振興D2Cブランドとの競争も激化している為、D2Cとして成功し続けることは簡単な道のりではない。商品の改善、ブランディングの確…

ミレニアル世代を引きつける“SNSを駆使した分散型コンテンツ“とは

皆さんは普段SNSを使う中でタイムライン上に流れてくるチュートリアル動画や時事ニュース、最新グッツの紹介、可愛い動物の動画などにふと気を留めたことはないだろうか?   昨今、このようにSNSに向けたコンテンツを配信するメディアが急増し、「分散型メディア」と呼ばれている。分散型メディアとは、ウェブサイトが主体であった従来のオンラインメディアとは異なり、他のプラットフォーム(主に複数のSNS)を用いて情報を発信するメディアのことを指す。 日本では、bouncy, C CHANNEL, Tasty japanなどが有名な分散型メディアとして挙げられる。 このような分散型メディアの人気の背景には、ユーザーの行動やニーズの変化が挙げられる。以下はSNSでニュースをチェックするユーザーの傾向を示したデータだ。 アメリカの成人の68%がSNSでニュースをチェックすると回答。またそのうちの20%は「頻繁に」そうしていると答えた(Pew Reserch Center) 74%のTwitter利用者、32%のYouTube利用者、29%のSnapchat利用者がそれぞれの媒体からニュースをチェックしている(Pew Reserch Center) 47%のユーザーが1週間の間に、ニュース目当てでFacebookを開いたと回答(Digital News Report 2017) また、74%が1日に最低一回はFacebookをチェックすると回答(Pew Reserch Center) 1週間の間に使用したSNSの割合(At all)とニュースをチェックするために使用したSNSの割合(For news): Disital News Report 2017 SNSを用いたニュースの入手が近年急増中: Digital News Report 2017 これらのデータを見てもわかる通り、ニュースを見るプラットフォームが徐々にマスメディアからSNSにシフトしているようだ。それではなぜこのような分散型メディアが多くのユーザーに受け入れられているのだろうか。今回は、分散型メディアが注目を浴びる2つの理由と活用事例をご紹介したい。 分散型メディアが好まれる2つの理由と企業事例 1. 分散型メディアは“動画の時代”に最適なタッチポイントとなる btraxに参画した澤円が語る「日本企業が今すぐ改めるべき習慣」でご紹介した通り、世界に存在するデータのうち、直近2年で生まれたデータの割合は90%だという。 世界中で情報が溢れてしまっているため、ユーザーはより良い情報を素早くゲットしたいと感じるようになった。そのため、読ませるテキストベースのコンテンツよりも瞬時に内容がわかる動画コンテンツの方が好まれる傾向にある。 世界中で情報が溢れてしまっているため、ユーザーはより良い情報を素早くゲットしたいと感じるようになった。そのため、読ませるテキストベースのコンテンツよりも瞬時に内容がわかる動画コンテンツの方が好まれる傾向にある。 実際に、1分の動画は180万語に匹敵するといったデータや、テキストと画像だけの投稿よりも動画コンテンツの方が12倍シェアされやすいというデータも公表されている。 また、5Gの導入により、これからは外出先で通信制限を気にすることなく気軽に動画コンテンツを見ることができるようになるといわれている。【2019年】絶対おさえておくべき、4つのマーケティングトレンドで紹介した通り、動画を活用したコンテンツの勢いはより一層増していくだろう。 なお、分散型メディアは通常のオンラインメディアとは異なり、ユーザーにエンゲージしやすい動画を活用することで、情報に敏感なミレニアル層に広くリーチできる。これからは動画の時代とも言われているので、いかにユニークかつ共感性を生むような動画コンテンツを配信できるかがポイントとなるだろう。分散型メディアの事例として、NOW THISをご紹介したい。 【事例1】NOW THIS:動画コンテンツを駆使した次世代メディア (画像はNOW THISのFacebookから引用) 分散型メディアで有名なのはNOW THIS というアメリカのメディアだ。NOW THISは、Instagram, Facebook, Twitter, YouTube, Snapchatの5つのプラットフォームを使って、政治や時事など話題のトピックをおよそ1分の動画をシェアすることで情報を発信するメディアだ。 NOW THISは以前、自社のウェブサイトにて大胆なキャッチフレーズを公表していた。“Homepage. Even the word sounds old. Today the news lives where you live.”(ホームページ。もうその言葉すらダサい。今は人がいる場所にニュースがある時代だ。) ホームページにホームページの自虐を載せるという大胆な手法がうけて話題となったが、このメッセージがまさに分散型メディアの姿を表しているといっても過言ではない。 NOW THISは数々のトピックを扱っているが、トピックによってアカウントを複数保持し使い分けているのも特徴だ。例えば、NOW THISのInstagramアカウントは時事ネタを広く扱ったメインのアカウント@nowthisnewsから、最新テクノロジーを紹介する@nowthisfuture、エンターテイメントトピックを扱う@nowthispop、女性の社会進出やフェミニストなどのトピックを扱う@nowthisherなど、FacebookやTwitterも合わせて10個以上もの異なるトピックを扱うアカウントを運営している。 そしてNOW THISの最大の特徴は、ほとんどすべてのコンテンツが動画であることだ。NOW THISのキャッチフレーズが”Stories that move” という言葉の通り、「感動させる(move)ストーリー / 動く(move)ストーリー」の2通りの意味を含んでいる。 動画コンテンツを制作するメリットは、ユーザーの興味・関心によって動画のテーマを分けることで、ユーザーに刺さる情報を提供できることだ。動画は政治系、面白動画系、テクノロジー系など、チームに分かれて制作が行われている。そのため、視聴者はわかりやすく、より正確な情報を含んだコンテンツを享受することができるのだ。 2. それぞれのSNSの特徴を捉え、ユーザーの関心テーマに沿った情報を提供 従来のオンラインメディアは、能動的に情報を得るためのものだった。情報はすべてウェブサイト上にあるため、ウェブサイトを訪問しない限りそのメディアがどんな情報を発信しているのかがわからない。 加えてSNSの台頭によりプラットフォームの種類が急増し、いたるところに情報が溢れかえるようになった。これによりウェブサイトを訪れるまでのカスタマージャーニーが複雑になったことから、ユーザーが普段使うSNSも上手く活用して「情報が自然に入る」状態を作り出すことが必要となったのだ。 それぞれのSNSの特徴を捉えたコンテンツとは SNSは、それぞれに特徴がある。例えばInstagramだったら、ビジュアル重視なので、画質はもちろんのこと画像や動画に込められたストーリーに気を配る必要がある。Twitterは”つぶやく”ことが本来の目的なので、限られた文字数の中でどれだけシンプルにメッセージを発信できるかが重要だ。FacebookはTwitterやInstagramとは逆で、文字や画像に制限がないことから、自分でコンテンツをカスタマイズして好きな情報を発信できる。 これらの特徴を生かしきれていないと、ユーザーの目を引くことができず、インプレッション数が落ちてしまう原因となりかねないのだ。 例えばInstagramに投稿する際、シンプルな写真とともに長文のキャプションを載せても、文章の内容の良し悪しにかかわらず目に留めてもらえないのは言うまでもない。情報を享受する側に立ったとき、自分が伝えたい情報が見やすく、受け取る相手のストレスがないということはいたって重要だ。 多岐にわたるSNSアプリの中で、ユーザーは分散している。どのアプリをどれくらい見るかも年齢や性別、生活リズムにより異なるのだ。そのため、同じ情報をそれぞれのSNSに合わせて分散して提供する方が、多くのユーザーに情報が届くのである。ユーザーからしたら、SNSでフォローするだけで「探さないでも勝手に現れるコンテンツ」となるわけである。 【事例2】BuzzFeed:可愛い動物の画像から時事ネタまで、幅広いコンテンツをSNSで発信 (画像はBuzzFeed JapanのFacebookから引用) BuzzFeedも、初期から人気の分散型メディアの一つだ。「猫のGIF画像から政治トピックまで」と言われるほど幅広いコンテンツを、様々なSNS上で発信している。 中でもBuzzFeedの特徴は、SNSの違いを生かしたコンテンツ作りだ。BuzzFeedが扱うトピックは様々だが、それぞれのSNSの特徴を生かしてコンテンツの発信の仕方を変えている。 例えば、Facebookでは、BuzzFeedのホームページに載っている記事へのリンクとともに、短い意見や感想、面白いフレーズなど投稿者のコメントを添えて投稿している。Facebookでリンクを開くと、Facebook上でそのページが起動されるため、一読し終えた後に読者がコメント欄に感想を書くことが多い。これによりインプレッション数が増えるのだ。 また、YouTubeでは幅広い話題を扱う動画コンテンツを発信しており、シリーズ化している。Instagramではおもわず笑ってしまうような話題の面白いツイートを画像で紹介し、コメント欄には笑った顔の絵文字やコメントが多く寄せられている。 このように、発信するコンテンツを統一せず、SNSによって形式を変えて、それぞれのSNSユーザーが楽しめる情報を発信する点がBuzzFeedの特徴だ。 まとめ 分散型メディアは、SNSでニュースをチェックするといったユーザーの行動やニーズの変化を背景に成長していった。情報があふれ返る近年、動画やSNSの特徴を生かしたコンテンツ提供がユーザーの心をつかんでいる。 今回は分散型メディアの例をご紹介したが、これらのメディアの戦略を一言でまとめると、「ユーザーのいるところにユーザーが本当に求めるものを提供する」ということだ。これは、PRの戦略を練る上でも重要なUXの視点である。 btraxではUXを考慮したマーケティング、新規事業開発メソッドを提供している。ご興味をお持ちの方は、是非お問い合わせを。

動物実験廃止を促進する美容ブランドと消費者の意識変化

読者の皆さんは、普段薬や化粧品を購入する上で「商品の製造過程で動物実験が行われているかどうか」を意識することはあるだろうか?昨年9月にカリフォルニア州である衝撃的な法案が可決された。それは2020年以降カリフォルニア州で動物実験を行う化粧品の販売、輸入が一切禁止されるというもの。
これまで人間への安全性を確かめるためにウサギやモルモットなどの動物が実験に使われてきたが、年々動物実験の是非をめぐり様々な議論が世界中でなされている。
今回は、実験の反対運動や代替法の開発、新たな法律の制定など動物実験を取…

食の多様性を支えるフードテック・スタートアップ3選

ヴィーガン、オーガニック、グルテンフリー等、食生活の多様性を表す言葉をここ数年でずいぶん見かけるようになった。btraxが本社を構えるサンフランシスコでもこれらの多様性に対応したスーパーやレストランは日常的に目にすることが多い。
そしてそれらの食生活を支える食品を供給する企業も数多く出てきた。今回は日本ではまだ馴染みの少ないこの「食の多様性」を支えるスタートアップについてご紹介したい。
ミレニアル世代による「健康」の新たな定義
ワシントンポスト紙の記事「我々の食生活に変化を及ぼすミレニアル世代の9つ…

ミレニアル世代のマインドセットを捉えて成功したスタートアップ事例

資産運用会社であるAlliance Bernsteinのアナリストによると、2018年の今年にミレニアル世代(1980-2004年ごろ生まれ)の購買力は、ベビーブーマー世代を超えると見られている。

そのため、ミレニアル世代のマインドセットを理解することが世の中のマインドセットの変化を捉えるために重要だと言える。

特に食習慣は顕著にマインドセットの変化が現れやすく、他の世代とも比較しやすい。現にミレニアル世代の食習慣に関するマインドセットは今のフード業界のトレンドの要因となっている。