「ナイキ」がサステナブルで独創的なデザイン“スペース ヒッピー”発売 開発者が語る

 「ナイキ(NIKE)」は6月11日に、工場や消費者の廃棄物からプロダクトを作るナイキの実験的フットウエアコレクション“ナイキ スペース ヒッピー”を発売する。販売は「ナイキ」のオンラインストア「SNKRS」と青山のナイキラボ MA5で行う。これは、サステナブルな行動と大胆なデザインを融合させる試みで、従来同様のシューレースを使ったものやシューレースのないデザインを含む4つのスタイル(1万5400~2万1450円)をそろえ、それぞれユニークな美しさやフィット感を提供する。

 85~90%のリサイクルポリエステルを含む“宇宙ゴミの糸”と呼ぶ糸や、「ナイキ」の“ズームXフォーム”や“ナイキ フォーム”、“ナイキ グラインド ラバー”のスクラップを混合した“クレーター フォーム”を用いて炭素排出量を抑えている。

 開発を手掛けたノア・マーフィー・ラインヘルツ(Noah Murphy-Reinhertz)=イノベーション サステナビリティ デザイン リードに話を聞いた。

WWD:“スペース ヒッピー”を発売するにあたり、“宇宙ゴミ”という表現がとても印象的だったが、なぜ“宇宙ゴミ”と名付けたのか?

ノア・マーフィー・ラインヘルツ=イノベーション サステナビリティ デザイン リード(以下、ラインヘルツ):“スペースジャンク(宇宙ゴミ)”は、「ナイキ」の工場の床に落ちたスクラップ素材の愛称で、これを“スペース ヒッピー”の大胆なデザインに変身させている。先進的なランニングシューズを作るときには、そこで発生するゴミでさえ本当にテクニカルなものになるから。

“宇宙”と結びついたのは、ブレーンストーミングをするために、みんなでいろいろな素材を持ち寄ってそれぞれが違う素材を糊でくっつけたり、結び合わせたり、不思議な素材から何ができるかを考えていたときだった。誰かが、「もし私たちが宇宙にいたとすれば、自分でシューズを作ったり直したりしなくてはいけないよね。そんなときみんなならどうする?」と発言した。ちょうど、映画の「オデッセイ(The Martian)」を観たばかりで、しかもオレゴンで大規模な日食があった直後でもあったから、宇宙と結びついたいろんな発想が生まれたんだ。

そして「彼の宇宙ステーションがヤバイ状態になっているから、彼はジャガイモを育て始めているよ。自給自足しているけれど、でも宇宙なんだよね。なんだか、宇宙にいるヒッピーみたいだね」「それはおかしいね。絶対あるわけない」などと冗談を言って笑い合っていた。その直後に“Space Hippie”と書いたワッペンやTシャツを作ったんだけど、それが皆にとてもうけたんだ。それから5~6カ月間、精妙な宇宙技術と即興的なイノベーションの間の微妙な関係を考える中から、シューズの姿が浮かんできた。それがプロダクト作りにつながっていった。

“スペース ヒッピー”の製造工程を紹介する動画

WWD:“スペース ヒッピー”は「ナイキ」が取り組むサステナビリティを表現したプロダクトの一つだが、デザイン&作る工程で特に重視した点は?

ラインヘルツ:コンセプトはシンプルで、まず自分たちの足元を見つめた上で創意工夫を凝らし、炭素排出ゼロ実現の未来を目指して廃棄物をフットウエアやアパレルに変えていく、ということ。宇宙探索の世界ではこれを「ISRU(In Site Resource Utilization/その場の資源の利用技術)」と呼んでいるが、そのアイデアを地球でも応用しようとしている。“スペース ヒッピー”では、廃棄物の可能性を見出して直接人と関わるものを作っているし、素材をまず前面に打ち出して、見る人に直接語りかけられるようにしている。

“スペース ヒッピー”のフライニットの糸は、水のプラスチックボトル、Tシャツや糸くずなどの再生素材から100%作られていて、染色工程を省いているため、原料そのものの色や素材感が残っている。シューズの全てのパーツから物語が伝わり、炭素排出ゼロを実現するためのISRUのアイデアが強く伝わるようにしたいと考えた。

ソール素材の“クレーター フォーム”には、“ナイキ グラインド ラバー”を15%と“ズームXフォーム”の端材を100%リサイクルしたものを混ぜ合わせることで、これまで以上にサステナブルで、街を探索するときにも軽さと反発感を実感してもらえるはず。見た目も、青いパテにゴミからできた紙吹雪が散らされたように仕上げた。独創的かつ魅力的で、このシューズは何からどうやって作られたのだろうと思わせる仕上がりでしょう?

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カフェと一体になった「メゾンキツネ」日本1号店が6月11日にオープン 京都・新風館に

 「メゾンキツネ(MAISON KITSUNE)」は6月11日に、日本初のカフェ併設の店舗を京都の新風館にオープンする。

 「メゾンキツネ」のショップ、そして同ブランドが手掛ける「カフェ キツネ(CAFE KITSUNE)」はどちらも2013年から日本に出店しているが、一体となった業態は国内初だ。

 店内のデザインはブランド共同設立者の黒木理也が担当し、木材、銅とマーブルを多用した。オープンを記念し、クリエイティブ・ディレクターでもある黒木がデザインしたTシャツ(1万4000円)とスエットシャツ(2万4000円)を販売する。生産は国内の工場で行っている。

 新風館は日本初上陸となるアメリカ発の「エースホテル(ACE HOTEL)」などが入る複合施設で、京都・烏丸御池に同日、リニューアル開業する。

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ライフスタイルセレクトのシボネが表参道ジャイルへ移転 新プロジェクトを始動

  
 
 「ディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)」などを手掛けるウェルカムは6月1日、ライフスタイルショップのシボネ(CIBONE)を東京・表参道のジャイル地下1階に移転した。

 ジャイルの地下一階は同社が輸入販売するデンマーク発インテリア「ヘイ(HAY)」の店舗と、サンフランシスコ発ビーン・トゥ・バーチョコレート「ダンデライオン チョコレート(DANDELION CHOCOLATE)」の店舗だったが、今回の移転を機にシボネと同ショップによるギャラリー兼プロモーションスペースであるコネクト(CONNECT)が併設された。コネクトでは国内外のアーティストやデザイナーの作品およびブランドの新作などを展示するほか、音楽、本、植物、食などに関する商品も販売。初回はグラフィックアーティストのよしろっとん(YOSHIROTTEN)が率いるヤール(YAR)による映像インスタレーション展を行う。

  シボネでは、“未来のアンティーク、これからのクラシック”をコンセプトに、一点一点異なるユニークな家具やオブジェなどを販売する。今回の改装で売り場が縮小した「ヘイ」は今夏にオンラインショップ開設を予定している。

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「ボッテガ・ヴェネタ」2020年プレ・フォール・コレクション

 「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が2020年プレ・フォール・コレクションを発表した。

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「ボッテガ・ヴェネタ」2020年プレ・フォール・コレクション

 「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が2020年プレ・フォール・コレクションを発表した。

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オンワード樫山のEC専業「アンクレイヴ」が阪急うめだ本店でポップアップ 目玉は人気セットアップの新作

 オンワード樫山は、EC専業ブランド「アンクレイヴ(UNCRAVE)」の関西初となるポップアップストアを阪急うめだ本店4階で6月16日まで開催している。目玉は天然素材の風合いと機能性を両立した、麻とレーヨン混紡素材の新作セットアップ。同ブランドのセットアップは、2月のブランドスタートからこの間の好調をけん引する売れ筋アイテムとなっている。

 「アンクレイヴ」は“むやみに欲しがらない”の意。働く女性を意識してジャケットを軸に同素材のパンツ、ワンピース、スカートなどをベーシックなカラーでそろえ、着回しで訴求する。同社の百貨店ブランドを手掛ける提携工場による生産で高い品質を実現しながら、店舗を持たないことで値ごろな価格も両立している。クリエイティブディレクターには東原妙子氏、プロモーションなどのプロデューサーには宮井雅史氏を起用。2月からオンワードグループの公式EC「オンワード・クローゼット」で販売を開始し、コロナ前に組んだ販売計画を上回って推移している(6月10日時点)。

 阪急うめだ本店でのポップアップストアで先行販売している新作のセットアップは、強撚糸を使用し、しなやかなタッチとストレッチ性が特徴の “クリスピーリネンシリーズ”。オフィス使用も想定してジャケット(1万9000円)、ハイウエストスカート(1万2000円)、サスペンダーパンツ(1万3000円)、ワンピース(1万6000円)を企画した。よりソフトな風合いを楽しめ、家庭洗濯も可能な“スパンツイルシリーズ”はサロペット、開襟オールインワン、ワンピースとオフスタイルでも楽しめるラインアップだ(いずれも1万8000円)。

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高島屋がオリジナルマスクを発売 ムレや暑さを軽減した夏仕様

 高島屋は6月10日に、和紙の特徴や効果を活かした“夏仕様のマスク”を公式オンラインストアで発売した。マスク着用時のムレや暑さを軽減したほか、一日着用時に匂いがこもることから消臭性にも気を配った。サイズは、普通(1枚、1500円)、小さめ(1枚、1500円)、子ども用(1枚、1300円)の3サイズ展開となる。また高島屋店頭では3日から発売しており、日本橋店や新宿店、横浜店、大阪店などで販売している。

 マスクは、デリケートな肌にも優しい素材を使用し、フィット感とスッキリ感を追求したオリジナルのパターンをもとに製作。ノーズワイヤーで、より高いフィット性を実現したほか、夏の快適性を重視した2重構造に仕上げた(表面:和紙57%、綿43%の天竺、裏面:和紙100%モスリン)。またストレスフリーのゴム紐を採用した。

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革靴人生55年の集大成 「ボールバンド」初のショップが開店

 シューズプロデューサーの長嶋正樹とブリットハウス(東京、岩山雅洋社長)は6月11日、東京の東急池上線雪が谷大塚駅そばに、1891年創業の米国のシューズブランド「ボールバンド(BALL BAND)」の初の単独店舗をオープンする。当初、3月末の開店を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて延期した。売り場面積は約18平方メートルで、初年度売り上げ目標は2000万円。

 長嶋は2010年に「ボールバンド」の日本における商標権を取得。店舗オープンを機にブランドを3つに分類し、起源であるバルカナイズド製法のスニーカーからなる“ボールバンド”(9800円~)、これまでトレーディングポストが「マークブーツ(MARK BOOTS)」という別のブランド名で展開していた革靴を“ボールバンド・ドレス”(3万9000円~)とし、ブーツを“ボールバンド・アウトドア”(4万円~)として集約する。“ボールバンド・ドレス”と“ボールバンド・アウトドア”に用いられる革は全て手染めのイタリア製で、カラーオーダーも受け付ける。長嶋は「価格については最終調整中だが、各商品の1.5倍ほどを想定している」とし、今秋をめどに木型製作から行うフルオーダーもスタートさせる考えだ。また同店では、革小物ブランド「ブリットハウス(BRIT HOUSE)」の財布(1万1500円~)やトートバッグ(2万8000円~)もラインアップする。

 長嶋は、1966年に靴小売り大手のチヨダに入社。84年に独立してトレーディングポストを設立し、同名の靴のセレクトショップを始めた。その後、「アシックス(ASICS)」や「リーバイス(LEVI’S)」の事業にも携わり、2000年にトレーディングポスト事業を売却。新たにシューズブランド「山長」をスタート(翌01年に三陽商会と提携して「三陽山長」に改名)させた。

 そして長嶋のライフワークとも言えるのが、プラット式グッドイヤー製法で、これは1997年に特許を取得。その後も改良を重ね、現在はボールバンド式プラットグッドイヤー製法を特許出願中だ。「これまではコバが出てしまい、どうしても武骨に見えてしまっていた。新たな製法ではドレス感がアップした」と説明する。最大の特徴はグッドイヤー製法の革靴とは思えない軽さと柔軟性で、「まるでスニーカーのように屈曲する」。アッパーと中底とウエルトを手作業ですくい縫いし、インソールとアウトソールの間にコルクを入れることでクッション性を高めている。生産はベトナムだが、あくまでポジティブな選択だという。「こんなに手間のかかる作業を日本国内で引き受けてくれる工場はない。仮に実現できたとしても、価格は3倍はするだろう」と言い、「日本とベトナムの間には、革靴についての関税や輸入枠の設定がない」とビジネス的メリットについても述べる。

■ボールバンド
オープン日:6月11日
時間:11:00〜19:00
定休日:月曜日
住所:東京都大田区南雪谷1-4-10 1階

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旭化成の守山製造所で爆発事故 作業員1人が死亡

 滋賀県守山市にある旭化成の守山製造所で、6月10日13時40分ごろ爆発事故が発生した。リチウムイオン電池のセパレータなどを扱うハイポア工場の休止設備の撤去工事中に起きたもので、初期消火などにより火災には至らなかったいたものの、工事委託会社に所属する作業員1人が巻き込まれ、救急搬送先の病院で15時前に死亡が確認された。事故原因や物的被害は調査中という。

 守山製造所は旭化成の主要拠点として、高付加価値の機能繊維やエレクトロニクス向け高機能素材などの生産、開発を行っている。

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老舗インナーメーカーによる「ボディヒンツ」がストレスフリーな無縫製シルクマスク

 老舗インナーメーカーのタカギが手掛ける「ボディヒンツ(BODYHINTS)」では、“シルク マスク 無縫製 ナイトケア おやすみマスク”を公式サイトで販売している。保湿性、吸放湿性に優れたシルクを使用しているのでのどや鼻腔内の乾燥を防ぐため、就寝用として最適だが、外出用としても使用可能だ。

 シルク66%、ナイロン30%、ポリウレタン4%の特殊弾性糸は肌に当たらない編み立てで、滑らかな肌触りで敏感肌でも快適に着用できる。鼻やあごの形に添って立体的に編み立てているので、フィットしてずれにくく、長時間着用してもストレスフリーだ。スリット部分に抗ウイルスフィルターやシートを挿入することもできる。色はピンクとグレーの2色で価格は各1980円。

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「パンテーン」の「#HairWeGo」プロジェクトがついに九州エリアまで拡大 髪から気分を変える“夏アレンジ”の提案に注目

 ヘアケアブランド「パンテーン(PANTENE)」と「WWDビューティ」、それに人気美容師たちがワンチームとなって取り組んだプロジェクト「#部屋WeGo」。すでに「WWD JAPAN.COM」でもそのプロジェクトについては伝えてきた。緊急事態宣言が解除された今、それが「#HairWeGo」プロジェクトとなって、全国に新たな広がりを見せており、多くの美容師が「#HairWeGo」のハッシュタグで「久しぶりにサロンに来店するお客さまに提案したい、前向きになれるヘアスタイルや、今夏に提案したいトレンドスタイル」といったテーマで投稿を行っている。

 全国を9つのエリアに分け、これまで7つのエリアの人気美容師による夏にぴったりな髪を紹介してきたが、今回の九州でいよいよ8エリア目。これまでの投稿を踏まえた上で、新たなアレンジの提案などもあるので要注目だ。「セル( CELL)」の松下賢治代表は、気分を一新させる鮮やかなピンクカラースタイルを投稿。同サロンの江口さおりスタイリストは、難しいと思われがちなフィッシュボーンのアレンジを分かりやすい動画で紹介している。「デイジー(Daisy)」の矢冨カレンスタイリストは、パーマやアレンジ、巻き下ろしなどと相性抜群のレイヤースタイルを提案。「バブ(BABE)」のmegumiスタイリストは、「切りたいわけではないけれど何かを変えたい」という人に向け、後れ毛やうぶ毛、レイヤーなどで顔周りに動きを作るだけで雰囲気が変わることをレクチャーしている。“九州のトレンド発信地”ともいわれる福岡からの提案もあり、是非参考にして髪から気分を変え、今年の夏を満喫してもらいたい。

 もともと「#HairWeGo」は、“あなたらしい髪の美しさを通して、すべての人の前向きな一歩をサポートする”ことを理念に掲げる「パンテーン」が、髪を通して、ひとりひとりの個性の尊重について考えるきっかけづくりとして2018年から展開しているキャンペーン。自粛期間中は「#部屋WeGo」プロジェクトとして展開。「新型コロナウイルスの流行により、多くの方が自宅で過ごす中、髪を通して日本中のおうち時間を少しでも明るく過ごせること」を願って始めたプロジェクトで、業界を代表する美容師たちが賛同し、自身のSNSで「お部屋で楽しむヘアスタイリングやヘアアレンジなど髪から明るくなれるアイデア」を提案していた。「#部屋WeGo」は5月末の時点で、インスタグラムだけで800件近くの投稿があり、全国の美容師を巻き込むムーブメントとなっている。

問い合わせ先
パンテーンカスタマーサービス室
0120-021-327

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アメリカが変わる時 全米で広がるBLM運動を捉える

 アメリカで黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に押さえつけられて死亡した事件から、全米で「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」の抗議活動が続いている。数百年にわたって行われた構造的な黒人差別に対して怒りや無念さが爆発した今回の動きを受けて、いよいよアメリカが大きく変わるのかもしれない。

 新型コロナウイルスに感染するリスクがある中、抗議運動には多様な背景を持つ人々が声を上げるために集まっている。さまざまな人種や世代の人たちがアメリカ社会の根底にある構造的な不均衡や経済格差に対して、手を取り合って抗議しているのだ。ここでは変化の渦中にあるアメリカの様子を、フォトグラファーたちによる写真で紹介する。

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「スック」がフランスに初出店 老舗ル・ボン・マルシェに

 エキップが展開する「スック(SUQQU)」がフランスに初進出し、1号店を老舗百貨店ル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)に6月9日にオープンした。同店が新たに設けた化粧品エリア、アトリエ マキアージュの一角で、製品のみならずブランド独自のユニークなマッサージメソッド“顔筋マッサージ”を行うキャビンスペースも設けた。

 導入時には日本でも人気の「マスキュレイト マッサージ&クリーム」(200g、88ユーロ=約1万800円)をはじめ約180SKUをそろえている。

 同ブランドは。2003年に誕生。06年6月にタイ、同年10月にUK、15年12月に台湾、17年3月に韓国に進出。今回が5カ国目となる。UKでは、高い製品クオリティーと独自のコンセプト、オリエンタルな切り口で好評を得ており、セルフリッジ(SELFRIDGES) ロンドン店で日本発ブランドとしては随一の存在感を示すなど順調にビジネスを拡大。ブランド認知も上昇していることから欧州での展開を加速させ、グローバルブランドとしてプレステージ性を高めて、ビジネスの拡大を図る。

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お客さまの“短時間できれいになりたい”をかなえる 美容師も満足する仕上がりのナプラのクイックカラー

 仕事や家事、子育てなど忙しい女性にとって、月に1回ほどという頻度の高いグレイカラーはときにハードルになってしまうことも。そんな多忙な女性たちに向けて、プロフェッショナルヘアメーカーのナプラは従来30分ほどかかるグレイカラーの放置時間を10分に短縮できる「エヌドット クイックカラー」と「ナシードカラー 〈クイック グレイカラー〉」を提案する。時短という点では、新型コロナウイルスの影響によってできるだけサロンでの施術時間を短縮したいという新たなニーズも満たし、サロンの効率化にもつながる。「クイックカラーはサロンとお客さま双方にとってプラスの効果を生む」という本田泰伸「ニュートラル プロデュースド バイ ガーデン(NEUTRAL produced by GARDEN)」統括マネージャーに話を聞いた。

10分の放置タイムで
白髪をしっかり染めあげる

従来のカラー剤に比べて短時間で白髪を染め上げるクイックカラー。放置時間が短いことはもちろん、染まりの良さも好評だ。「導入した当初はスタッフの人数が少なかったこともありクイックカラーというものがあると知って、効率化を考えました。従来のカラー剤では30分置いても染まりが甘いなと思うことがありましたが、クイックカラーはしっかり染まって10分あれば流せるので大きいです。今では約9割のお客さまにクイックカラーを使用しているため、もう当たり前のアイテムになっています。時短という側面だけでなく、染まりの良さという点からもおすすめです」と本田統括マネージャーは話す。グレイヘア用の「エヌドットカラー 〈クイック〉」は全21色、「ナシードカラー 〈クイック グレイカラー〉」は全30色と豊富な色展開により、ほとんどのお客さまに対応できる点も魅力だ。

きちんと染まることが
グレイカラーは一番喜ばれる

「お客さまにはクイックカラーで時短で染まるとアピールするのではなく、染まりやすいカラー剤であると話をしています。ダメージも少なくきちんと染まるので、当サロンでは『エヌドット』は仕上がりの良さからプラス料金を設定しています」と本田統括マネージャー。また、「グレイカラーをするお客さまにとって一番大事なことはしっかり染まるか。美容師にとって早く染まることは利点だと思いますが、ナプラのクイックカラーの染まりの良さはお客さまにとってもプラスです」と語る。

久しぶりの美容室だから
全部整えたいというお客さまも

5月1日から営業を再開した「ニュートラル プロデュースド バイ ガーデン」。「施術時間を短くしたいというお客さまはもちろんいます。営業再開から1カ月ほどたって、せっかくサロンに来たのだから全部やっていきたいというお客さまが多くなってきました。ただやはり時間は早めに仕上げてほしいというお客さまも多いですね」と本田統括マネージャー。サロンに割ける限られた時間の中でもカラーの放置時間が短縮できることで、デザインカラーやトリートメントなどプラスメニューも可能に。短時間でも顧客が望むメニューを我慢させることなくかなえることができるかという点は今後ますます求められる。

ナプラが提案する
2つのクイックカラー

「エヌドットカラー 〈クイック〉」は、L-システインがメラニンバランスをコントロールすることで明るさをキープした色味表現と、スピーディーに染め上げる染着力を実現。ダブルタンパク質が艶のある仕上がりをかなえる。5種のオーガニックハーブエキスと6種のハーブエキスを配合し髪をいたわり、透明感のある仕上がりに。「ナシードカラー 〈クイック グレイカラー〉」は、マカダミアナッツオイルとグレープシードオイルを配合し毛髪に浸透、潤いを保持し、手触りの良い滑らかな質感へと導く。さらに、6種類のオーガニックハーブエキスとハーブエキスを配合。豊富なカラー展開でお客さまのなりたいイメージをかなえる。

問い合わせ先
ナプラ
0120-189-720

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シューズの「ダイアナ」、医療従事者や運送業者、スーパーなどの小売業者へスニーカー1000足を提供

 シューズメーカーの「ダイアナ(DIANA)」は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、エッセンシャルワーカー(医療従事者、運送業者、公共交通機関の職員、スーパーやドラッグストアなどの小売業者、電気ガス水道などのインフラ業者ら)にスニーカー1000足を無償で提供する。

 対象品はウィメンズのスニーカーで、サイズは21.5~25.5cmで白とピンクの2色を用意。必要とするエッセンシャルワーカーはブランド公式サイトの応募フォームから申請ができ、受付期間は6月9~15日まで。発送は7月下旬を予定する。

 同社は「私たちが日常生活を送る上で欠かせない仕事に担ってくださっているエッセンシャルワーカーの皆さまに心より感謝申し上げます。少しでも気分が和らぎ、新しい日常への糧となれば幸いです」とコメントしている。

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「80歳からはボランティア活動をしたい」佐伯チズ美容家が語った生涯と追い続けた信念

 美容家の佐伯チズ氏が6月5日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)により死去した。3月23日にALSの罹患を公表し、車椅子生活になったことを報告しつつも「今後も可能な限り活動を行う」とコメントを寄せてから、わずか2カ月半。日本で“美容家”の礎を築き、多くの女性に美を届けてきたレジェントは、多くの人に惜しまれながら76歳でその生涯を閉じた。2018年10月18日号の「WWDビューティ」の美容家特集で佐伯氏にインタビューを行った際、生い立ちから美容に目覚めたきっかけまで、予定していた取材時間を大幅に超過するほど語っていただいた。その時のコメントを引用しつつ、故人の功績を振り返る。

氏を育んだ環境と美容への目覚め

 佐伯氏は取材時、幼少期の思い出について「父は愛人のところへ行き、水商売をしていた母も別の男と恋愛をした。育ててくれたのは祖父母だった」とその生い立ちを振り返った。両親と縁の薄い暮らしの中で佐伯氏は自立心を育んだという。美容への興味をかきたてたのは、大阪北区の曽根崎でスタンド割烹を営んでいた叔母の存在だった。「銭湯で体を清めた後、美容室で髪を結い上げ化粧をして着物を着ると、婆が娘に変わった。その変貌を見て美容にはなんという力があるんだろうと思わされた」。

 高校卒業後はOLとして勤務していたが、美容への情熱が捨て切れず20歳の時に牛山美容文化学園(現ハリウッド美容専門学校)に入学し、美容師免許を取得。美容室で働いた後、67年に結婚したばかりの夫や恩師である牛山喜久子校長の勧めもあり、当時、日本初の直営サロンを作ろうとしていた「ゲラン(GUERLAIN)」に就職する。美容師免許を持っていた佐伯氏は「技術者からトレーナーまでなんでもこなした」といい、フランス本国から日本人で唯一のディプロマを授与されるほど活躍した。その後、84年に最愛の夫と死別し絶望を味わいつつも奮起。88年に「ディオール(DIOR)」に入社しインターナショナル・トレーニング・マネージャーに就任。定年まで勤め上げたのちにサロンを開き、“美肌師/美容家”としての活動をスタートさせた。

美容家としての信念を最後まで貫いた佐伯チズという生き方

 美容家としての活動は定年退職後の60歳からと遅咲きだが、その活躍は多くの人が知るところだ。メディア出演や書籍出版、スクールの立ち上げなどさまざまな活動の中で、手軽にビューティアップがかなう美容テクニックの数々は仕事や子育てに追われる女性たちから支持され、年齢を超越した肌の美しさと気品のある佇まいは見る人を引きつけた。また、口から放たれる前向きな言葉は多くの女性たちに勇気と自信を与え、美容本以外にも「願えば、かなう。」(講談社2006年)、「ひとり涙の法則夢追いの法則」(大和書房07年)など多くの人生哲学本を発行。女性の生き方の道しるべにもなった。

 佐伯氏は「ゲラン」在籍時に「人を美しくするには偽物ではだめ。本物でなければならない」と感じたという。1人でも多くの女性たちの肌や心に美を注ぎ込み、一人一人の人生に輝きを与えたいという信念は、美容家としての活動の柱だった。その姿勢はALSを公表した際の動画で「もっと自分を大切にね。自分らしくなるのよ」と涙を流しながらファンに訴えた姿からも分かる。

 18年の取材では「75歳から80歳まではこれまでにできなかったことを行う5年間にしたい」と語り、全国各地で「美肌塾」と題したセミナーを精力的に行っていた。また、その後のプランとして「80歳からは憧れのオードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)のようにボランティア活動を行いたい」と目を輝かせていたが、その夢はかなわなかった。しかし、7月には遺作となる書籍「夢は薬諦めは毒」(宝島社)が発売になるという。偉大な美容家は病に侵されながらもその信念を胸に、最後の最後まで女性の美と人生を応援し続けた。

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「ボッテガ・ヴェネタ」が渋谷パルコ1階にポップアップストアをオープン

 イタリア発の「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は6月16日〜7月21日、ポップアップストアを東京・渋谷の渋谷パルコ1階にオープンする。面積57平方メートルの同店は、ブランドを象徴する“イントレチャート”(編み込み技法)をイメージしたペールピンクの壁が囲み、LEDのブランドロゴが目印だ。インテリアは白い壁とピンクコンクリートの床が明るい雰囲気で、大理石の天板を合わせたスチール棚や、レザーのベンチ、サテンのような質感の青いディスプレーテーブルなどの什器や家具が並ぶ。

 取り扱うのはウエアやバッグ、シューズ、スモールレザーグッズなどのメンズとウィメンズの最新コレクション。同店のオープンを記念して、2020年プレ・フォール・コレクションのメンズのキャンバスバッグとダッフルバッグ、ウィメンズのミニホーボーバッグの限定色を先行販売する。

■「ボッテガ・ヴェネタ」ポップアップストア
期間:6月16日〜7月21日
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 1階

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ワタミが開店した焼肉店は、まるで「回転寿司」。接客も少なくて済むシステムだった

 ワタミが5月16日に焼肉の新業態をオープンしたということで食べに行った。場所は東京・京急蒲田駅から第一京浜沿いを川崎方面に歩いて7〜8分のところ。店名は「かみむら」。このひらがなの隣に小さく「上村牧場」と書かれてある。ネーミングに今一つ迷いがあるのだろうか。しかし、システムはかなりユニークだった。
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オーガニックコスメブランドが取り組む環境対策 CO2排出削減に向けてグリーンエネルギーへの転換進む

 「WWDビューティ」の5月28日号では、毎年恒例企画「オーガニック・ナチュラルコスメ特集」をお送りした。2015年に国連機関で「SDGs」と「パリ協定」が採択されて以降、サステナビリティへの関心は年々高まっている。そこで今号は、持続可能な農業生産法の一つとされるオーガニック(有機栽培)原料を用いる化粧品ブランドに取材し、製造から販売までサプライチェーン全体で取り組む環境対策にフォーカスを当てた。

 世界が抱える環境問題はさまざまあるが、地球全体の気候を大きく変える気候変動を引き起こす地球温暖化は優先すべき課題とされている。16年に発効し今年が実施初年となる「パリ協定」でも、CO2をはじめとした温室効果ガス排出削減の長期目標として、気温上昇を2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を継続することが盛り込まれている。

自然エネルギーの活用

 石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料は、燃焼させてエネルギーを得る際に大量のCO2を排出することから、オーガニック化粧品を展開する企業でも“エネルギー供給の低炭素化”あるいは“電源の非化石化”を進める動きは活発だ。メイクアップブランドの「ナチュラグラッセ(NATURAGLACE)」や国産オーガニックスキンケアの「チャント ア チャーム(CHANT A CHARM)」を製造・販売するネイチャーズウェイは昨年、名古屋にある本社と工場で使用する電力を自然エネルギー(再生可能エネルギー)100%由来の電気に切り替えた。

 また、エスティ ローダー グループの「アヴェダ(AVAEDA)」も早期に再生可能エネルギーの活用に乗り出した。アメリカ・ミネソタにある本社の屋根に太陽光パネルを試験的に設置したのは12年のことだ。今では、本社敷地内の約1万4500平方メートルの広さに2900の太陽光パネルを設置して、38キロワットのオフィス電力をまかなっている。主要工場においては、06年から100%風力発電で製造。さらに電力使用による温室効果ガス排出量を、風力発電会社からのクレジット購入により米国内でオフセット(相殺)している。

製品輸送時のCO2排出量削減

 これらの企業はエネルギー供給源を見直すほかにも、さまざまな視点からCO2排出量削減に取り組む。ネイチャーズウェイでは省エネルギー推進のため、整理整頓、清掃を徹底して製造不良発生件数を削減することに努めている。製造工程ではいったん加熱乳化を行いその後冷却するという一般的な化粧品の製法を避け、処方設計の工夫により一部製品を非加熱で製造する。また、工場、本社、物流倉庫間の輸送に、排ガスを25%削減するトラックを導入し、オンラインショップではCO2発生量の少ない紙を緩衝材に使用している。「アヴェダ」では製品を各国に輸送する際、空輸よりもCO2排出量の少ない船便の使用が基本だ。

 輸送時の環境負荷には多くのブランドが注意を払っており、スイス生まれの老舗ブランド「ヴェレダ(WELEDA)」では、一部の製品でボトルをガラス瓶からプラスチックに変更した。海洋プラスチックごみが問題視されている中で、なぜ?と思えるが、重量が軽いプラスチックの方が輸送時のCO2排出を含め環境負荷が少ないと判断してのことだ。同ブランドは現在スイス、フランス、ドイツなどの重要拠点のオフィスおよび製造工場において、太陽光発電、風力発電などを中心とした100%グリーンエネルギーを使用。事業活動全体で総合的に負荷を低減する選択を模索している。

植林でカーボンオフセット

 植林によるCO2削減に取り組む企業もある。ビーバイ・イーが展開する国産エシカルヘアケアの「凜恋」は、10年からボトル売り上げ1本につき1円を森林の増加や環境保全などを行う団体に寄付している。20年5月時点で累計植林本数は1523本になり、年間のCO2吸収量16.8トンを実現した。

 森林の減少は地球温暖化の要因となるもので、森林開発による大規模プランテーションで生産されるパーム油を使わないなど、原料調達に配慮することで地球温暖化対策に取り組んでいる企業も多く見られた。

環境配慮は投資対象に

 今回の特集で取材した環境経済学の専門家、馬奈木俊介・九州大学大学院工学研究院教授によれば、欧米では石炭火力発電によるエネルギーを使う企業への融資を行わない取り決めがあり、環境スコアを上げようとしない企業は融資対象から外すという流れになっているという。上記のように、日本の企業を含めて多くのオーガニック関連企業が環境保全に対応した取り組みを行っているにも関わらず、それが周知の事実とは言い難い。今後、サステナビリティを意識した事業展開を加速していく中で、融資を受ける場面も出てくるだろう。そうしたことも踏まえ、企業は自社で取り組んでいる環境対策をどう“見える化”し、社内外に発信していくかも課題となりそうだ。

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「かつや」アークランドの親会社、ビバホームを1千億円で公開買い付け。外食事業どうする?

「かつや」「からやま」を運営するアークランドサービスホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:臼井 健一郎)の親会社でホームセンターを展開する株式会社株式会社アークランドサカモト(本社:新潟県三条市、代表取締役社長:坂本 雅俊)が、同じくホームセンター「ビバホーム」を展開する株式会社LIXILビバを子会社化するために公開買い付けを行うと発表した。
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小島健輔リポート 「第2波が来ればアウト」コロナ休業明けの再起動体制を問う

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。大半の小売店が営業を再開したものの、新型コロナウイルスの脅威は過ぎ去ったわけではない。現時点の課題は何なのか。

 コロナ流行の第2波が危ぶまれる中での緊急事態宣言解除で商業施設の休業も明け、アパレル販売は再起動したが、ようやく眠りから醒めた売り場の品ぞろえは魅力的とは言い難い。休業前の品ぞろえからリフレッシュできないまま再開した店舗も少なからず見られるからだ。加えて、コロナ感染の危機は去ったわけではなく第2波の兆候も見られるから、顧客と従業員の感染防止に細かく配慮した運営を強いられ、コロナ以前のような効率は当分、望めそうもない。

在庫消化の努力は尽くしたのか

 休業を余儀なくされていた間も刻々と商品は陳腐化していたわけで、営業している地方や郊外の店舗、ECの出荷倉庫に移すなり、地方や郊外に店舗がなければ臨時の催事会場を確保したり、ECにしても販売スタッフによるSNS発信を広げたりチャット接客やビデオ接客を導入したりと、やるべきことは山積していたはずだ。多くのスタッフが自宅待機になる中、幹部は時間も体もいくらあっても足らなかったのではないか。それでも処分しきれない在庫はバッタ屋に叩き売るしかないから、ギリギリまで奮闘されたに違いない。

 資金繰り最優先にエクセルで予算組みしながら、秋口に持ち越せる在庫、休業明けまで店舗に残す在庫、地方店や郊外店に回す在庫、ECで値引き販売する在庫、二次流通に放出して換金する在庫、と商品を仕分けなければならない。データ上だけでなく実品を見て触って議論して仕分けていく作業が、休業で空調も止まった店舗や倉庫で延々と続くのだから、マスクを外せないまま汗だくの作業になったに違いない。

 仕分け予算の基準となる資金繰りも、固定家賃の減額や免除、支払猶予など家賃交渉や仕入代金支払いのヘッジ、雇用調整助成金の申請手続きと支給タイミング、銀行との融資枠交渉などで二転三転するから、仕分け直しや在庫の再移動も生じる。そんな奮闘もコロナ感染におびえながらだから、ストレスは想像に余りある。経営トップから各分野の幹部まで、いざ感染となって戦列を離れても任務を託せる代行者の設定も不可欠だったはずだ。

 そんなリスクと苦行を社員に強いるわけにはいかないとステイホームさせ、リモート会議と資料作り、外部とのメール交渉に終始して休業明けを迎えたアパレル企業も少なくなかったのではないか。ようやく眠りから醒めた売り場を見れば、その会社が休業期間中、どう動いていたか一目瞭然だ。

在庫状態の格差と危ぶまれる“正価離れ”

 再開業したファッションビルや駅ビルの店頭を一周して在庫内容を検証したところ、手頃なアパレルチェーンの多くはローカル店舗が営業していたことも下支えし、何とか品ぞろえを夏向きにリフレッシュできていたが、大都市に店舗が集中してほとんどの店舗が休業していたセレクトショップや高感度ブランドはECに回しても消化しきれず、春物と初夏物のセールが売り場の大半を占めていた。

 百貨店ではレナウンのブランドが処分セール一辺倒なのは致し方ないにしても、三陽商会のブランドや春のオケージョン商品が多いプレタ系のブランドも休業前からの在庫が目立ち、百貨店自営のセレクト売場は休業前の在庫状態をそのまま引き摺っていた。大御所から若手までデザイナーブランドの大半は、休業中に売り場に入って在庫を引き上げた形跡さえない。再開業してもブランドイメージをはばかって値下げ訴求するブランドも限られるから、積み上がった在庫を一体どう換金するつもりなのか危ぶまれる。

 値下げすれば地方や郊外の店舗で処分できた手頃なブランドはともかく、アウトレットモールも全て休業する中ではベターレンジ以上のブランドはECしか処分の方法がなく、新規投入の夏物で店頭の顔を作ったブランドも後方のストックや倉庫に春物と初夏物在庫を大量に抱えていると推察される。

 百貨店アパレル各社は行き場を失った在庫の換金を急いでおり、営業再開と同時にセールに入るブランドも少なくない。セール時期正常化に固執してきた業界もこの惨状には抗し得ず、百貨店側も五月雨式の早期セール開始を容認しているが、これを契機に百貨店客の“正価離れ”が加速することは避けられない。これまでブランドイメージの毀損を恐れて二次流通に放出してこなかったブランドも、今回は背に腹は変えられず大量に放出しており、正価流通からオフプライス流通へ百貨店ブランドは分水嶺を越えてしまった。

 外資系ではLVMH系ブランドの一部やインディテックス(INDITEX)系ブランドは春物在庫を引いて夏の顔に切り替えていたが、ケリング(KERING)系主要ブランドやイタリアのプレタブランドは休業前の在庫を引きずったままで、ウインドウディスプレイまで休業前のままというブランドもあった。休業期間中のリモート・マネジメントもともかく、本国から VMDスタッフが来日できないまま放置されているケースもあるようだ。コロナクライシスを契機にローカル分断が急進する中、ローカルスタッフへの権限委譲が問われたのではないか。

感染防止で様変わりする店舗運営

 営業を再開しても感染リスクを抑えるべく細かく配慮した運営を強いられるから、これまでのような販売効率はもう望めない。もとより入店客数が少なかった郊外店などはともかく、多数の顧客が訪れて販売効率が高かったターミナルの店舗など、3密を避けた入店制限や試着室の利用制限で販売効率が低下するのは避けられない。

 入店にあたっては体温チェックが不可欠だが、大型店では手持ちの非接触体温計で一人一人、測っていては渋滞して入店待ちの列が延々と伸びてしまうから、カメラとサーモセンサーを使った多人数対応の体温検知システムが必定だ。数万円〜十数万円の手頃なシステムが売り出されているから、大型店は導入を急ぐべきだろう。各店舗で入店を待たされる時間が重なればショッピングの時間も体力も浪費され、買い回れる店舗も少なくなってしまうから、館全体の問題として考えたい。

 店内でもソーシャルディスタンスを確保しマスクやフェイスガードを装着しての接客は意思疎通に手間取るから、意外と時間を要する。実際に接客されてみると、マスク越しで聞き取れないので聞き直したり、聞こえる距離まで近寄ってしまうから、かえって冷や汗ものだ。試着もブースを間引いたり、使うたびに触る部分やハンガーを逐一、アルコール消毒する必要があるから、ピーク時の販売効率はかなり落ちる。ましてや第2波が現実となれば、前回の本リポートで指摘したような試着品の隔離や消毒という厳戒態勢を取らざるを得なくなり、試着がネックとなって販売効率はさらに落ちる。

 マスクとフェイスガードを装着してのピリピリした接客は神経も体力もすり減らすから、これまでのシフト組みでは販売スタッフが疲弊してミスも多くなる。休息回数を増やし交代時のクロス時間を長めに取り、十分に休ませないと、疲労で防染作業が疎かになる。院内感染の多くは気を抜いた後方の休息室で起きたといわれるから、バックヤードでのマスク装着と朝夕の消毒は徹底されるべきだろう。

 万一、感染が発生すれば再び休業をしいられるから、失うものはさらに大きくなる。現場任せにしないで、会社として防染ルールと手順を徹底し、十分な装備を支給するべきだ。

破綻が危ぶまれるのはどこか

 アパレル販売はほぼ2カ月間の休業を強いられ、売り上げが消えた一方で固定費や買掛金、中間納付消費税(前年の売り上げで先行徴収される)や従業員の休業補償など出費は止められず、行き場のない商品の価値は刻一刻と減価していくという地獄を見た。メディアはそんなアパレル業界の惨状を「コロナ禍のアパレル24社『余命』ランキング」(ダイヤモンドオンライン)などと突き放して書き立てているが、その計算は売上減少による運転資金の枯渇であり、休業による落ち込みが大きいほど、休業が長引くほど、手許の現預金が少ないほど危ないということになる。

 上場アパレル各社の売上減少率と運転資金の逼迫度を検証すると、(1)都心の百貨店や駅ビル、ファッションビルなど休業期間が長い店舗の比率が高く、(2)日銭が入らず売上金の回収期間が長い消化取引やテナント出店の比率が高く、(3)棚卸資産の回転が遅く、(4)買掛金の支払いサイトが短い――という4条件がそろうほど危険度が高くなる。ダイヤモンドオンラインが「ユナイテッドアローズは余命3カ月」と槍玉にあげたのには理由があったわけだ。実際、同社の20年3月期決算における売掛債権回転日数は26.3日(うち商業施設売上金の未収期間は25.9日!)、棚卸資産回転日数は124.8日、買掛債権回転日数は51.0日、運転資金回転日数は100.1日だった。同社に限らず、駅ビルやSCといった高コストで日銭が入らない商業施設頼りの危うさを痛感したのではないか。

 この4条件が揃っても、一方的に発注をキャンセルしたり引き取りを翌年!まで伸ばしたり、買掛金の支払いサイトを伸ばせば余命は確実に伸びる。コロナ危機に瀕して、実際にそんな暴挙を断行したセレクトチェーンもあった。

 引き取りや支払いの遅延が広がれば、運転資金の逼迫は川上へ逆流していく。川上に押し付けた未引き取り在庫や支払いの遅延はサプライチェーンの体力を削ぎ、業界の開発力を根底から毀損してしまう。アパレルチェーンやアパレルメーカーもともかく、OEM(相手先ブランドの生産)業者やテキスタイルコンバータ、縫製工場など生産を支えるバックグラウンドの破綻が危ぶまれる。

第2波が来て再休業となれば皆、アウトになる

 ブランド力のあるアパレル企業の場合、手許の現預金が枯渇しても超過債務にならない限り、資本蓄積や収益力評価による借り入れが可能だから即、「余命」が尽きることにはならないが、アパレル各社のバランスシートは長年の販売不振で損耗が進んでおり、過半の企業は休業があと2〜3カ月も続けばアウトだった。飲食業界やイベント業界、ホテル・旅館・旅行業界などはアパレル以上に逼迫していたから、感染リスクが残る中も緊急事態宣言を解除せざるを得なかった。

 感染リスクが残る中の営業再開だから、気を抜くと感染者が広がりかねないし、地域によっては第2波も始まっている。大都市圏で第2波が広がれば再休業は避けられず、それが2カ月にも及べば過半のアパレル企業が破綻する。負債の連鎖を考えれば、過半どころでは済まなくなるかもしれない。

 待ちに待った再開業だが、甘く見るとカタルシスどころかジェノサイドになる。前回の本リポートで指摘したような防染対策を「神経過敏だ」とか「不安をあおる」とか否定的に見る意見もあるようだが、第2波が来れば本当に業界が絶滅してしまう。売上回復も必要だが、第2波を許せば皆、アウトになる。店頭の売り上げは多少犠牲にしても気も手も抜かず防染を徹底し、再び休業に追い込まれることがないよう隠忍自重してほしい。

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