価格はマニア・プロ向けだが……GoProの360°カメラ「Fusion」の切り札機能

各社から相次いで360°を同時に撮影できるカメラが登場し、いまや世の中はまさに“VR全盛時代”。そんななか、昨年9月、アクションカメラで有名なGoProから満を持して360°カメラ「Fusion」が登場した。日本での正式発売がいつなのか関心は日ごとに高まっていたが、家電量販店での発売が4月に決定。その告知を兼ねた体験イベントが東京都内で開催された。

20180220_y-koba3 (1)↑4月より家電量販店での販売が開始されるGoProの360°カメラ「Fusion」。同社のオンラインサイトでの実売価格は8万8000円(税込)

 

まるでジンバルを使っているような安定感はさすが!

Fusionは、全天球のVR動画が撮影できる360°カメラ。動画では5.2K/30fpsと3K/60fpsで、静止画では1800万画素で360°撮影を実現している。高度な手ブレ補正の能力を搭載しており、手持ちであってもまるでジンバルを使っているような安定感のある映像が撮影できるという。Fusionはすでに同社のオンラインサイトでは販売が開始されており、価格は8万8000円(税込)となっている。4月に販売される家電量販店での販売価格は未定。

20180220_y-koba3 (7)↑「Fusion」の主なスペック

 

この日は、第1部でGoProのバイス・プレジデントであるRick Loughery氏がFusionの魅力をプレゼンしたあと、「GoPro Awards」でWinnerとなったCGクリエイターの普光江 新さんが登場。これまでに生み出した作品を披露しながら、Fusionがかき立てる創造力の素晴らしさを語ってくれた。

20180220_y-koba3 (3)↑GoProのバイス・プレジデントであるRick Loughery氏が挨拶

 

20180220_y-koba3_13↑「GoPro Awards」でWinnerとなったCGクリエイターの普光江 新さんがFusionで表現できる楽しさを語った

 

20180220_y-koba3 (11)↑普光江新さんがFusionを使って撮影したオリジナル作品

 

続いてフロアを移動して第2部のFusionの体験会が開催された。

 

4つのマイクで臨場感あふれるサウンドを実現

まずFusionのボディは、同社の「HERO 6 Black」などよりも厚みこそないものの、投影面積は大きく一定のサイズ感はある。前後非対称の位置にカメラを1つずつ備え、この2つのカメラで360°撮影を行うのだ。360°撮影では、気になる三脚や自撮り棒のアームの部分だけをキレイに消すことができる。また、音声は自然な360°動画が作れる4つのマイクを搭載し、全方向から収録した音が臨場感あふれるサウンドを実現。10か国語での音声コントロールにも対応しているという。

20180220_y-koba3 (5)↑前後にオフセットして搭載された2台のカメラが180°ずつの映像を撮影し、継ぎ目のない360°動画を自動生成

 

20180220_y-koba3 (8)↑充電やデータ通信用に使うUSB端子は「typeC」を使用する

 

特にハウジングは用意されていないが、アクションカメラには欠かせない防水機能は本機単体で5mまでに対応する。水中でも360°撮影は可能であるものの、光の屈折の影響もあって映像を合わせる際に継ぎ目が出やすくなってしまうそうだ。そのほか、タイムラプスビデオ&フォト、ナイトプラス、バーストモードなど、GoProでお馴染みの機能も360°撮影に対応して搭載されている。

20180220_y-koba3 (6)↑「Fusion」の同梱されるキット。専用ケースやバッテリー、マウントのほか、三脚兼自撮り棒の「Fusion Grip」が付属

 

20180220_y-koba3 (10)↑カメラモードでは、夜間の低速度撮影モード「ナイトラプス」など多彩な機能が用意された

 

動画から映像を切り出す新機能が手軽&便利!

そんな魅力いっぱいのFusionで最も注目すべきは、新機能「OverCapture」を搭載したことだ。これは360°で撮影した動画から必要な画角の映像を切り出す編集機能で、切り出せる解像度は5.2Kで撮影した場合はフルHD(1920×1080)が、3Kで撮影した場合はHD(1280×720)が作り出せる。

 

この使い方として最も有効なのは、とりあえずはカメラの向きを気にせず撮影し、あとから任意に切り出す方法だ。つまり、撮影さえしておけば360°をカバーできるので、アングル上で取り逃すという心配は一切ない。しかも素晴らしいのはその使い勝手で、iPhoneやiPadなどのアプリを使い、再生時に切り出したい部分を撮影するように追いかければ自動的にその内容が保存される。その便利さは一度使ってみれば手放せなくなるほど。PCを使って本格的な動画編集もできるが、その場合にはプラグインソフトなどが必須だ。

20180220_y-koba3 (12)↑スマホには「GoProアプリ」を、PCでは「GoPro Fusion Studio」にAdobeのプラグインソフトを組み合わせて使う

 

この機能は様々な利用シーンが想定される。たとえば、アスリートの表情と視点の先を同時にピクチャーinピクチャーする場合、いままでなら2台のカメラが必要だったが、Fusion なら1台で済んでしまう。これはプライベートユースでも十分に有効だろう。注意点としては、前後のカメラ1つずつに専用の記録メディアが必要で、つまりは2枚のマイクロSDカードが欠かせない。どちらか一方がない状態でも撮影はできなくなるのだ。

20180220_y-koba3 (9)↑前後のカメラごとに専用のメディアが必要で2枚のマイクロSDカードは常に欠かせない

 

体験会では「幅広い層に使ってもらいたい」という話だったが、8万円を超えると予想される価格設定と、このマニアックな仕様のため、まずは一般向けというよりもプロの現場での利用が想定されそう。創造力をかきたてるFusionがどのように使われていくのか、今後も注目したい。

これは新たな撮影体験だ! GoPro最新モデル「HERO6 Black」を使ってわかった驚愕の進化

今秋のGoPro新モデル「HERO6 Black」は、より高度な処理を実現する「G1チップ」を搭載して登場した。一見、前モデル「HERO5 Black」との違いはほとんどないように見えるが、中身はまったくの別物。前モデルの2倍を謳うパフォーマンスとシリーズ最高画質を実現しており、その実力の高さは予想をはるかに超えるものだったのだ。

20171107_y-koba2_P1330602_R↑4K/60pや、1080p/240fpsといった高品質な撮影が可能なアクションカメラ「GoPro HERO6 Black」。参考価格は5万9000円

 

4K/60pや1080p・240fpsなどワンランク上の撮影能力を獲得

HERO6 Blackにおける注目ポイントの筆頭が、撮影能力を一段と高めたことだ。HERO5 Blackでは4K/30pだった動画撮影を本機は4K/60pへと進化させ、より滑らかな4K動画を撮影できるようになっている。実際に撮影した動画をPCと組み合わせた4Kモニターで再生してみると、細部まで相当に鮮明に映し出されており、それは4K映像の素晴らしさを改めて実感できるものだった。また、スローモーション効果が出るハイスピード撮影は「1080p・240fps」「1080p・120fps」から選択可能だ。

 

ただし、こうした4K/60pや1080p・240fpsなどはデータサイズがかなり大きくなる点、採用される動画ファイル形式「HEVC/H.265」の再生には、互換性のある対応デバイス(iPhoneであれば7以降のモデル)が必要な点には注意だ。

 

また、暗所での撮影特性も一気に向上。前モデルのHERO5 Blackではノイズが画面全体を覆ってしまうような夜景撮影でも、本機ではそのノイズを大幅に低減。夜景を夜景らしく撮影できるようになったのは、GoProにとってかなり大きなトピックとなるに違いない。

20171107_y-koba2_月夜_R↑ほぼ月明かりのみの夜景、といった光量の少ないシーンでも、問題なく撮影可能だ

 

見比べると一目瞭然! 強力な手ブレ補正がさらに進化

手ブレ補正能力の大幅な進化も見逃せない。その効果は軽く走りながら撮影してもしっかりとブレを補正するほど絶大だ。手ブレ補正をオン/オフで撮影した次の動画を見比べてもらえば、その違いは一目瞭然だろう。

【手ブレ補正機能オフ】

【手ブレ補正機能オン】

映像の周辺部は5%ほどケラれるが、それを知ったうえでなお積極的に使いたくなるほど十分な効果が得られると言っていい。ただし、4K60pなど一部の撮影モードでは手ブレ補正が効かない点には要注意。また、GoProでは手ブレ補正機能を「安定化機能」と表示している点にも留意したい。

 

手軽に作成できるハイライト動画も楽しい

GoProだけに、特殊撮影機能も充実している。ぜひ報告しておきたいのが、撮影した映像を自動でGoProアプリに転送してハイライト動画を作る「QuikStories」が進化したことだ。発表によれば、G1チップの搭載により視覚情報処理能力と機械学習能力が進化し、動画作成時にもより的確に最高の瞬間を選び出せるようになったという。試しにiPhoneに保存した映像を使って「Quik」で編集を試みたが、その扱いやすさには誰もが驚くはず。使いたい映像をタップして選ぶだけで簡単に動画編集ができ、テーマや音楽、テロップなども指先の操作で自在に入れ替えられる。使うほどにどんどん楽しくなってくるはずだ。

 

好評だったタッチパネル&音声操作を踏襲

外観はほとんど前モデルと違いを感じない。操作系もHERO5 Blackで採用されたタッチパネル方式を踏襲し、画角を変えるデジタルズームも指先での操作が可能だ。デジタルズームであるため画質劣化は否めないが、映像に変化を持たせられるという意味では価値ある装備となるだろう。

20171107_y-koba2_Digital_Zoom_R↑デジタルズームもタッチパネルで感覚的に操作できる

 

音声での操作にも対応し、「GoPro」に続けて具体的なコマンドを入れることで、たとえば「GoPro、ビデオ撮影を開始」とか、「GoPro 、電源OFF」と発することでコマンドを実行できる。認識率も高く、手を放せないときなどの操作に使うとかなり便利そうだ。

20171108_y-koba1↑何か行動しながら撮影することの多いアクションカメラにおいて、ボイスコントロールは画期的だ

 

本体のタフネス性能もHERO5 BLACKから踏襲されたもの。防水機能も備え、ハウジングなしで水深10mまで対応できる。一方で、バッテリー容量は1220mAhとあまり大きくはないままで、動画を撮影しているとアッという間に残量が減ってくる。予備バッテリーは必須だろう。本体に備えた端子はUSB Type-CポートとmicroHDMI出力の2つで、USB Type-Cケーブルは標準添付されている。

 

豊富なアクセサリーで撮影領域が広がる

HERO6 Blackの発売に合わせ、新たなオプションも追加された。

 

「Shorty」(参考価格/4860円)は三脚としても使えるミニ延長ポールで、ポケットにも収まるコンパクトさがポイント。最大22.7cmまで伸ばすことができ、自撮りやハイアングル撮影にも効果的だ。「The Handler」(参考価格/3780円)は、水に浮くハンドグリップの最新版で、新たにクイックリリースマウントを採用した。汎用性の高いバイトマウントに簡単装着を可能にしたフロート「Bite Mount + Floaty」(参考価格/3780円)も発売された。

20171107_y-koba2_Shorty_R↑三脚付きミニ延長ポール「Shorty」。ポケットに収まる大きさで、ちょっとしたアクティビティのおともに最適だ。参考価格は4860円

 

こうした30種類以上のアクセサリーに対応する拡張性も、GoProの大きな魅力。工夫しだいでさまざまなシーンで活躍するだろう。今回大きく進化した「HERO6 Black」を手にすれば、いままでにない撮影体験が得られるに違いない。