ゴーヤやアサガオならまだ間に合う!? 今年の猛暑を「緑のカーテン」でエコで涼しく――『緑のカーテンのつくり方』

2018年6月29日。関東甲信越地方の梅雨明けが発表された。昨年より7日、平年より22日も早いというタイミングは、1951年の観測開始から史上初の6月の梅雨明けということになった。うっとうしさを感じる間もなく夏本番に突入してしまったわけだ。

 

この日の午前中から“史上最速”が最新のバズワードになり、瞬間最大風速的と感じられた勢いもまったく衰えを見せなかった。そして昼頃、JR渋谷駅前付近を歩いていた筆者は、ビルの屋上に表示された32という気温を示す数字を見てもたいして驚かなかった。体感温度が36度くらいに思えたからだ。

 

今年の夏は暑くて長い

史上最速の梅雨明け宣言から遡ること4日。6月25日に出された気象庁の3か月予報では、9月まで全国的に暑くなるという可能性が示されていた。1か月ずつ詳しく見ていくと、以下のようになる。6月28日の予報では、7月は平年より気温が高く、特に初めが平年より暑いという見込みだった。梅雨明け宣言後の気温を考えても、これはずばり的中といっていいだろう。

 

8月は全国的に平年並みか平年よりも高い気温という予報が出されている。9月もまったく同じ傾向になるようだ。

 

筆者は夏が大好きなので、いくら暑くなってもいいと思っている。アスファルトから立ち上る熱気で頭がぼうっとするくらいになっても、体が動かないように感じられる冬の寒さを思えば、はるかにいい。ただ、自宅の作業環境や電気代を考えると、暑い夏への期待も速度が落ちる。

 

 

夏好きの暑がり

実は筆者、夏が大好きなのに暑がりなのだ。8月に入る頃には、決して大げさではなく24時間エアコンをフル稼働させてしまう。外に出るときは温度差でクラクラするくらいキンキンに冷やした空気のなかで仕事をしている。夜寝るときも、「ちょっと冷やし過ぎかな」なんて思いながら毛布にくるまるのが好きなのだ。

 

ネガティブな自覚が一切ないので、夏はこういうライフスタイルを貫いている。でもときどき、「さすがに毒かもしれない」と思うことがある。そうは思うのだが、具体的な代替案は一切浮かばない。いや、これまでは浮かんだことがなかった、と言っておく。

 

この原稿で紹介したいのは、筆者のような典型的エアコン依存型サマーライフから脱却するための、アナログでエコなアイデア満載の一冊だ。一時期さかんに言われていた“ロハス”という言葉がフラッシュバックする。

 

 

見た目にも鮮やかな緑のカーテン

緑のカーテンのつくり方』(学研パブリッシング・編/学研プラス・刊)のテーマは、夏の強い日差しをさえぎる“緑のカーテン”を自分の手でいちから作っていくことだ。ちなみに、いわゆるガーデニングは筆者の得意ジャンルではない。それに筆者は、鉢植えの観葉植物をかいがいしく世話するタイプでもない。でも、この緑のカーテンにはなぜか強く心惹かれる。「はじめに」に記されている文章を読んでみよう。

 

夏の厳しい日差しも、緑のカーテンで窓を覆えば、室内に差し込んでくる様子が木漏れ日のよう。まるで森の中にいるような心地さえ感じられます。そんな緑のカーテンは、植物が持つ本来の力を借りて、暑い夏をできるだけ涼しく過ごす、日本古来の知恵。

(『緑のカーテンのつくり方』より引用)

 

筆者のような初心者は、ゴーヤやアサガオ、そしてヘチマなんかが比較的始めやすいようだ。

 

 

効果も抜群

そもそも緑のカーテンにはどんな効果があるのか。本書では以下の4点が挙げられている。

 

・葉っぱで日差しをカット

・蒸散作用で気温を下げる

・きれいな酸素で新鮮な空気

・省エネでエコ!

 

見た目に涼しげなだけじゃない。つるが伸びて葉が茂り、それがカーテンとなって直射日光を遮り、目隠しにもなる。葉っぱの蒸散作用によって、緑のカーテンを通る風が涼しく感じられ、光合成で周囲の空気が浄化される。

 

日差しがやわらげられて気温が下がり、新鮮な空気に包まれれば、自然とエアコンを使う頻度も下がるというきわめてヘルシーな循環が生まれるのだ。

 

 

実用的アートとして趣味にしたい

ハウツー本としての作りも、実に親切だ。フローチャート的にまとめられた「緑のカーテンの栽培の流れとポイント」は、カーテンに使う植物のライフサイクルと作業の詳細が併せて表記されているので、全体的なプロセスがひと目で把握できる。

 

種や苗、培養土と肥料、そしてコンテナ、ネットと支柱の選び方も実践的。目的に応じてピンポイントな選び方ができるだろう。必要なものが揃ったことを確認した上で、先に紹介した「緑のカーテンの栽培の流れとポイント」に沿って実際の作業にとりかかることができる。

 

緑のカーテンという概念が優れているのは、好きな植物を使って好きなスケールのものを作ることができるところだ。一軒家に住んでいてもマンションに住んでいても、スケールの違いこそあれ、まったく同じコンセプトで作っていける。

 

ゴーヤやアサガオなら今年の夏もまだ間に合うかもしれない。今年はテスト期間として、来年は完成度の高い緑のカーテンを作れる気がしている。作って育てるプロセスを楽しめる実用的なアートの形態であることはまちがいない。筆者としては、趣味と呼びたい。

 

ガーデニングではなく“カーテニング”をきわめる気持ちを固めながら、来年の夏も今年みたいに暑くなることを今から祈っている。

 

 

【書籍紹介】

緑のカーテンのつくり方

著者:学研パブリッシング(編)
発行:学研プラス

アサガオやゴーヤなどのつる性植物をブランド状に育てるグリーンカーテン。電気を使わずに真夏の室内を涼しく保つ、ナチュラルでエコな園芸技術を、イラストと写真で解説したハウツーと、利用できる花や野菜の詳しいカタログで構成した入門書です。

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週末農園やレジャー農園が人気。露地栽培から始める家庭菜園のススメ

現代の集合住宅では、庭がないケースがほとんど。そのため、庭先で野菜を育てたくてもできない、そんな人が多いのではないでしょうか。

 

とはいえ、ベランダで手軽にできるプランター菜園では、栄養たっぷりで大ぶりの野菜は育ちにくいもの。せっかく野菜づくりに取り組むなら、太陽の恵みがたっぷり注がれる露地栽培にチャレンジしてみませんか?

 

そこで注目したいのが、レンタル農園や区民農園、あるいは週末農園、レジャー農園などと呼ばれている菜園です。また、“クラインガルテン”と呼ばれる小さな別荘付きの農園も、根強い人気があります。自分で野菜を育てることで、無農薬や減農薬野菜を作れるのはもちろん、自然と触れ合うことが、心と体の癒しやリフレッシュにもつながるとされており、人気を後押ししているのです。

↑編集部スタッフがレンタルしている区民農園。例えばこちらは1区画が15㎡で年額4800円(2年契約)と破格。他方、都内には手厚いサービス込みで3㎡・月額1万円程度、という超高級ファームも!

 

↑首都圏と関西地区の貸し農園情報をまとめてチェック、申し込みまでできる「シェア畑」。こういった情報サイトを活用してみると便利です

 

では早速、そういった菜園で野菜作りをする際のポイントを紹介しましょう。

 

おいしい野菜作りは土作りから

「初めてのテラスガーデニング」編でもお伝えしましたが、第一に大切なのは、土作り。野菜の露地栽培ならなおさらです。

 

野菜苗を購入し、そのまま植えれば野菜がたっぷり収穫できる! そんな風に思っている人も少なくないようですが、ただ野菜苗を購入して植えるだけでは、おいしい野菜は作ることはできません。畑の土の状態にも左右されますが、「有機質肥料」(Organic fertilizer)と呼ばれる植物や動物由来の肥料を土に混ぜ込むことで、微生物の活性が促され、良い土になるとされています。ここで言う“良い土”とは、ほどよく空気が含まれ水はけがよく、さらに養分がある土のこと。とはいえ、この有機質肥料は微生物の力で分解されてはじめて、土にパワーを与えるものなので、植え付け寸前に施すのではなく、多くの場合は植え付けの1カ月から2カ月前に土に混ぜ込み、畑の準備をすることに使われます。

 

ちなみに、畑の準備では石灰をまくと良いと聞いたことがある人もいるかと思いますが、これは土の消毒と畑の酸度調整のため。ただまけばいいわけではなく、土の酸度を測定(測定液やpH計を使って測る)してから、その分量を決めることをおすすめします。

↑美味しい野菜を育てるポイントは土作りが一番。腐葉土などをたっぷり土に混ぜ込みましょう

 

時間に余裕があるなら肥料のことは考えず、まずは雑草を抜き、しっかり土を耕すことからスタートしましょう。

 

土を耕す場合には、表面だけではなく最低でも深さ30㎝ぐらいまではしっかりと。できれば、上のほうにあった土を、下の土と入れ替えるようにする気持ちで耕し、土を1-2日天日に干してから、元肥(もとごえ)を混ぜてから畝(うね)にするといいでしょう。

↑しっかりと耕し、水はけしやすいよう高く畝を作る

 

畑の管理は除草がキホン

土作りの上で大事なのが除草。ようは、草むしりです。とくに、タネから育てている場合や、植え付けてすぐのポット苗の場合は要注意。雑草のほうが成長が早いため、土の養分をとられてしまうだけでなく、日当たりも悪くなってしまい成長が阻害されてしまうのです。そのため、見つけたら雑草は早めに抜くようにしてください。

 

これは、区民農園やレンタル農園の場合は、雑草が大きく成長し花を咲かせ、タネをつけてしまうと、ご自身の畑だけでなく他の人たちの畑にも影響を及ぼすので、こまめにケアを。だからと言って、売られている除草剤を使ってしまうと、せっかく植えた野菜などの苗まで枯らしてしまうので注意が必要です。除草はあまりしたくない……そんな人は、畝に黒ビニールをかける“マルチング”を行ってから植えるといいでしょう。

↑メンテナンスを怠り、雑草が生えてしまった家庭菜園。見た目も美しくなくなるので雑草は引き抜くようにしましょう

 

↑マルチングされた畝。こうすることで、雑草の防除になります。地温を高めることもできるので、作物はすくすくと育ちます

 

効果的な肥料の使い方とは?

野菜に限らず、植物を育てるには肥料がたっぷり必要だと思い込んでいる人が少なくないようです。しかし、肥料の与えすぎは禁物です。

 

とくに、植物がダメージを受けているから肥料で回復させようと濃度の濃いものをたっぷり与えてしまうと、逆効果になってしまいます。これは人間でも、体力が弱っているときに栄養があるからと濃い栄養ドリンクを飲むと、かえって具合が悪くなるのと同じ。植物の場合は濃い肥料を与えると根の状況を悪くし、最悪の場合は根を枯らしてしまうこともあるからです。そのため、野菜に限らずどんな植物であっても、肥料はやや少なめに与えるのが上手に育てるコツなのです。肥料は植えた植物の栄養と考えるよりも、植えている土に含まれる養分が植物の成長に伴って不足した分を補うもの、と考えるほうがいいかもしれません。

 

肥料を与えるタイミングには、3段階があることを知っておくといいでしょう。

・「元肥」:植え付けの時
・「花肥(はなごえ)」:花が咲いた時
・「お礼肥」:実を収穫した時

 

また、植物を育てる時に、大切な三大肥料を覚えておいてください。

・チッソ(N):葉にはたらきかける
・リン酸(P):花と実にはたらきかける
・カリ(K):根にはたらきかける

 

そのため元肥にはカリとチッソ、花肥え、お礼肥えにはリン酸系肥料を与えることをおすすめします。

 

肥料選びは、ホームセンターやガーデンショップで。超初心者の場合は薄めずにそのまま与えることができる液肥、またはばらまくタイプのものを選ぶとよいでしょう。最近は、育てる植物別の肥料が販売されているので、どれがいいのかわからない場合は、とりあえず植えている野菜に合わせて購入するのが一番です。肥料の与え方は、肥料のパッケージに分量やタイミングが書いてありますので自己判断ではなく、正しい使い方で与えることで上手に育てることができます。

 

使いたくない……でも知っておきたい農薬のこと

せっかく自分で育てるのだから「農薬は絶対に使いたくない!」と考える人も少なくないでしょう。ただ、農薬とは虫を殺すだけではなく、“農業で使われるクスリ”のことを言います。また、家庭用農薬と農家などのプロが使う農薬とは区別されています。最近では、農薬の中には自然由来のものもあるため、すべての農薬を毛嫌いするのではなく、必要に応じて使うことをおすすめします。

 

とくに、春に植え夏から秋にかけて収穫する野菜の多くは、葉を食べる害虫、液を吸う害虫などの被害も受けやすいので、害虫が発生したら、手で採るか、それとも農薬を散布するかのいずれかの方法が必要になります。害虫は植えられている植物に被害を与えるだけでなく、病気の媒介もする可能性があるので、自宅の菜園やベランダ菜園などなら放置しても許されますが、共同で楽しんでいる農園スペースでは防除はもちろんですが、他の人に迷惑をかけないためにも駆除も大切です。農薬にも色々な種類がありますが、超初心者の場合にはホームセンター等で売られている家庭用農薬の中で“そのまま使える“タイプを選ぶと良いでしょう。害虫や病気の種類がわからない場合などは、殺菌・殺虫剤タイプを。使用方法や保管方法は農薬によって異なるため、かならず使用説明書に目を通してから使うようにしましょう。

↑植木市などでズラリと売られている農薬。さまざまな種類があるので、お店の人にまずは相談を

 

どんな野菜を育てる?

どんなものを育てたらいいの? とよく聞かれますが、育てたいものを育てるのが一番です。ただし、植物によっては同じ場所で何度も続けて育てると、土のダメージが回復しないため、上手に育たない“連作障害”を起こすことがあります。そのため、区民農園などでは前にどんなものを植えていたのかをリサーチしてから、違う種類のものを植えることをおすすめします。

 

また、農薬をあまり使いたくない人は、育て野菜の“コンパニオンプランツ”を探して植えるといいでしょう。コンパニオンプランツの多くは、ネギやニラ、ハーブ類など匂いの強いものになります。その他、畑を管理する人の性格などに合わせ、水やりの回数が多い、少ないなどで植えるものを決めたりしてもいいでしょう。

 

ただ、どんなものを植えるにしても、植え付け間隔がありますので、植えたい!育てたい!植物について調べてから植え付けるようにしましょう。ツルを伸ばして成長するものは、支柱たてネットを貼る作業があったり、あまりに大きく広がるものなどは区民農園やレンタル農園では場所によっては育てられないものもあるので注意を。

↑ホームセンターなどには植え付け適期の野菜苗がズラリと並ぶ。植えて見たいもの、育てみたいものを探してみましょう。(撮影協力/農産物直売所 なのはな)

 

ここまでは、おもに露地栽培について説明してきましたが、おいしい野菜は育てたいけれどやっぱりスペースが確保できない! という場合のために、省スペースでできる栽培方法についても説明しておきましょう。

 

菜園スペースなしでOK! 超ズボラな袋植えコンテナ栽培

ベランダなどで栽培するとなると、コンテナ栽培が思いつきますが、プランターや鉢の種類によって植物が上手に育てられなかった、という話はよくあります。そこで、おすすめしたいのが“袋植え”です。培養土の袋に直接野菜を植えて、育てることができるのです。袋を見せたくない人は、麻袋をかぶせることでカバーできます。

 

もちろん、袋は縦、横、あるいは平置きなど育てる植物の形状に合わせて置いて使うことができます。植物を植え込む時には、袋に直接穴を開けて植えるので、袋がマルチングの役割にもなるので植物の成長を早めることができます。ちなみに、縦置きの袋ではイチゴ、ジャガイモ、ダイコン、サツマイモ、ミニトマトなどの野菜はもちろん、グラジオラス、ユリなど通常のプランターではやや背が高くなりすぎ、転倒しやすい植物も育てることもできます。

↑麻袋の中に、培養土の袋を入れ、上部を切ります。穴を開けたい人は底部分に開けてもOK

 

胴の部分を麻紐などで結んでもよい。上部に野菜苗を植え付けます。植え付け後はたっぷり水を与えます。培養土をそのまま使うので、肥料の必要もありません

 

以上の知識を踏まえて、さっそく夏野菜から、栽培を楽しんでみてください。

 

【プロフィール】
園芸研究家・グリーンアドバイザー / ふじえりこ

監修&執筆に『ベランダ菜園 おいしい野菜づくりのポイント70 (メイツ出版)』、『とびきりおいしい野菜の作り方』他多数。エバーグリーン(http://evergreeninc.site/evergreenpost/)にて、ご神木やお家レシピを紹介。東京都北区の植木市にて緑の相談員歴20年以上。現在はハリネズミと一緒にハーブを中心に、多肉植物を栽培中。

 

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庭がなくても問題なし! コンテナだけでできる初めてのテラスガーデニング

ガーデニングは、庭がなくちゃ楽しめない。そんな風に思っていませんか? 集合住宅に暮らす人が増えているほか、一軒家であっても庭がなく、スペースを駐車場に割いてしまっている家は少なくありません。実はそういった環境でも、ガーデニングは楽しめるんです。

 

そこで、今回は庭がなくてもコンテナ(鉢やプランター)を使えば楽しめる、ガーデングのコツを紹介しましょう。

コンテナを使うなら、まずは土にこだわること

プランターをはじめとするコンテナ栽培で大切なのは、実はなにはなくとも“土選び”。そこで、まず知っておきたいのが、植物と土の関係です。

 

草花、野菜、果樹をはじめとする植物は、当たり前のことですが、生き物です。そのため、太陽の光で光合成を行うことによって、体内のエネルギーに変え成長していきます。その成長を助けるのが、土に含まれるさまざまな栄養素や微生物の力なのです。自然環境の中では、植物は根を伸ばして栄養を得られますが、コンテナ栽培では土を選ぶことが重要になるのです。

 

培養土を使ってすくすくと育てる

とはいえ、初心者はどんな土を使えばいいのか頭を悩ませることに。そこでおすすめしたいのが“培養土”です。

 

培養土とは、いろいろな土を作っている会社が、育てる植物に合わせて「赤玉土」「黒土」といった土に、植えた植物がスクスクと育つよう工夫して肥料を混ぜ込み作った土のこと。小麦粉にベーキングパウダーなどを混ぜて作られ、そのまま水や牛乳などを加えるだけで手軽にホットケーキを焼ける、ホットケーキミックスのようなものと考えればわかりやすいですね。

 

そのため、培養土には育てる植物に合わせてさまざまな種類が販売されています。コンテナで、自分がどんな植物を育てたいのかを考えて購入を。ガーデニングショップやガーデンセンターでは、「培養土」と書かれたものもありますが、草花の土、観葉植物の土、多肉植物の土、ハーブの土、野菜の土、バラの土、イチゴの土、ブルーベリーの土……と育てる植物名別に細分化され、販売されています。

 

これらの土の大きな違いは、水はけはもちろんですが、実や花を楽しむ土はリン酸系肥料、葉を楽しむものはチッソ系肥料、地下部に実がなるジャガイモなどの肥料にはカリ肥料が多めに配合されていること。そのため、培養土を使って育てる場合は、肥料を通常よりやや少なめを意識して与えるといいのです。

↑培養土は、赤玉や黒土などを中心に各種の土を混ぜ合わせて作られて土のこと。育てる植物に合わせて配合されているものも多く、手軽に取り入れられます。(撮影協力/滝野川種苗)

 

コンテナ選びが空間演出のポイント

なにを植えよう? と考える前に、まずはベランダや玄関先をどのように演出したいのかをイメージし、それに合わせてコンテナを探してみましょう。園芸の世界では、プランターをはじめ、植物を植え込む容器のことをその総称して「コンテナ」と呼びます。人が入ることができるほど大型のものから、小指の先よりももっと小さなものまで、サイズや形状、素材もさまざま。また、床に置くだけでなく、壁にかけたり、上から吊り下げたりすることができるものなどもラインナップしています。

 

集合住宅などの玄関先に置く場合は、自宅以外の周囲の住まいへの配慮も大切です。あまり大きなものを置いて通行の邪魔にならないようにしましょう。また、ベランダや屋上などにコンテナを置く場合には、どのくらいの荷重にまでその場所が耐えられるのかを考えることも大切です。植物のことばかりに気を取られてしまうあまりにベランダの床が落ちてしまったという事例も少なからずありますのでご注意を! また、吊り下げ(ハンギング)型のものは、風などによる落下にも注意したいものです。

↑コンテナとは、プランターを含む鉢の総称として使われる言葉で、多種多様

 

シンプルに飾りたいなら同系色を選ぼう

玄関先をシンプルにまとめたい! ならば、同じコンテナに植えて並べることです。形状だけでなく、カラーも揃えることで統一感を出せます。また、植える植物も同種に揃えるといいでしょう。ついついガーデニングにハマってしまうと、いろいろな種類の植物をひとつのコンテナにたくさん植えこんでしまいたくなりますが、初心者ならそこはグッと我慢して。

 

どうしてもいろいろ植えてみたいなら、花の種類を変えるなら同系色を、または同じ花の品種をいろいろと植え込んで、色を変えるといった植え方をおすすめします。

↑ホームセンターなどに行けば、季節を彩る美しい草花に出会えます。(撮影協力/農産物直売所 なのはな)

 

ナチュラルに楽しみたいなら素材はプラスチック以外を

ナチュラルな印象になるのは、テラコッタや木製タイプの、プラスチック以外の素材。プラ鉢などに木をイメージしたプリントのものでもかまいません。もちろん、自分で木材を購入し手作りしてもOK。その場合は、ニスやペンキでコーティングを。

 

草花を上手に寄せ植えするには?

植物の中でも、“宿根草(しゅっこんそう)”や“多年草(たねんそう)”と呼ばれるものを上手に配することで、植え替え回数を少なくすることもできます。植え方は置き場によって異なりますが、端に寄せて置くなら、後ろに背の高い植物を、手前に背の低い植物を配するボーダーがいいでしょう。ただし、大型のものはそれなりに土の量も使うのでベランダに置く場合は、必ずベランダの荷重を確認してから。

 

また寄せ植えをすることで、さらに草花を美しく飾ることができます。そこで、実際に草花の寄せ植えを作ってみましょう。用意するものは、好みのコンテナと草花、培養土、鉢底の網になります。

 

今回は、青と白の花を使った夏向きのコンテナを紹介しましょう。

 

Step1
鉢を平らで、床などが汚れても良い場所に置きます。これは、作業をする上で大切なことです。床を汚したくない場合は新聞紙を敷きましょう。

 

Step2
鉢底の網を使って、鉢の穴をふさぎます。これは、鉢から土がこぼれないようにするだけでなく、鉢底から害虫などの侵入を防ぐ役割もあります。

 

Step3
土を入れる前に、植物を仮置きしてバランスを見るようにします。今回使用の植物は、デルフィニュウム(ミントブルー)、ローダンセダム、ワスレナグサの3種類。

 

Step4
土を少し入れ、植物を植えます。植物を鉢から抜く時は、優しくそっと抜きます。

 

Step5
中央に背の高いデルフィニュウムを植えます。次にワスレナグサを周囲に植えます。

 

Step6
ワスレナグサを植えたら、最後にローゼンセダムを植えれば完成です。土は押し込まないようにしましょう。最後に、鉢底から水が出るまでたっぷり水を与えます。

 

次編では、「初めての家庭菜園」をテーマに初心者のための野菜づくりのコツを紹介します。

 

【プロフィール】
園芸研究家・グリーンアドバイザー / ふじえりこ
監修&執筆に『ベランダ菜園 おいしい野菜づくりのポイント70 (メイツ出版)』、『とびきりおいしい野菜の作り方』他多数。エバーグリーン(http://evergreeninc.site/evergreenpost/)にて、ご神木やお家レシピを紹介。東京都北区の植木市にて緑の相談員歴20年以上。現在はハリネズミと一緒にハーブを中心に、多肉植物を栽培中。

 

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