【中年名車図鑑|日産VWサンタナ】販売こそ低調だったが、日産にとっては大きな収穫だった

1980年代前半に大きな問題となった日本と欧米間での自動車の貿易摩擦。国際戦略に力を入れていた日産自動車は、その対応策として西ドイツのフォルクスワーゲン社と協力関係を樹立し、同社のフラッグシップセダンであるサンタナのノックダウン生産を実施する――。今回は初の和製フォルクスワーゲン車として1984年にデビューした「日産VWサンタナ」の話題で一席。

【Vol.87 日産VWサンタナ】

厳しい排出ガス規制と石油ショックを何とか克服した日本の自動車メーカーは、来るべき1980年代に向けて海外市場への本格進出に力を入れ始める。なかでもこの分野での先駆メーカーといえる日産自動車の戦略は、群を抜いて精力的だった。陣頭指揮を執ったのは、1977年に社長に就任していた石原俊氏で、経済マスコミでは同氏のことを“輸出の石原”と称した。

 

■日産自動車の貿易摩擦への対応策

一方、ここで重大な事態が発生する。日本車の進出によって、欧米の自動車メーカーの自国シェアが大幅に減ったのである。同時に、日本市場での輸入車に対する閉鎖性が大きくクローズアップされるようになった。この状況は徐々に深刻になり、やがて時の政府を巻き込んだ自動車の“貿易摩擦”として大問題となる。

 

このままでは海外市場での事業拡大に大きな支障が出る――。日産自動車の首脳陣は様々な議論を重ね、1980年12月には欧州向けの対策プランを実施する。そのプランとは、西ドイツ(現ドイツ)のフォルクスワーゲンAGとの「国際貿易上の問題解決に積極的に貢献することを目的として、全般的な協力関係を樹立する」という合意だった。そして翌81年9月には、日本でフォルクスワーゲン車のノックダウン生産を行い、販売も日産のディーラーが手がける契約を結ぶこととなった。

 

■ノックダウン生産に選ばれた車種はVWのフラッグシップセダン

日産VWサンタナは80年代の貿易摩擦緩和のため誕生した。生産は日本国内で行うノックダウン方式、販売も日産ディーラーが行った。日本仕様として5ナンバーサイズに収まるようアレンジが施された

 

日本でノックダウン生産するクルマを決める際、日産は自社の車種ラインアップになるべくバッティングしないフォルクスワーゲン車を検討する。選ばれたのは、1981年に欧州デビューしていた同社のフラッグシップセダンである「サンタナ(SANTANA)」だった。

 

日産の開発陣はサンタナを日本仕様に仕立てるにあたり、5ナンバーサイズに収めるためにサイドモールを薄型にするなどして1690mmのボディ幅とする(全長×全高は4545×1395mm、ホイールベースは2550mm)。さらに、日本の法規に則したヘッドライトやサイドマーカー、交通環境に応じた導入口の広いラジエターグリルなどを装着した。ハンドル位置は右。駆動レイアウトはFFで、縦置きに積まれるエンジンはアウディの設計によるJ型1994cc直列5気筒OHC(110ps)、フォルクスワーゲン設計のJN型1780cc直列4気筒OHC(100ps)、そしてCY型1588cc直列4気筒ディーゼルターボ(72ps)の3タイプを用意する。5速MTおよび3速ATのトランスミッションやラック&ピニオン式のステアリングギアなどの主要部品も、フォルクスワーゲン社から供給を受けた。また、エクイップメントに関しては本国でオプション設定の快適装備品をふんだんに盛り込んだ。

 

1984年2月、神奈川県の座間工場に設けた専用ラインで生産され、M30の型式を取得した「日産VWサンタナ」が市場デビューを果たす。グレード展開はJ型エンジンを積むXi5とGi5、JN型エンジン搭載車のGiとLi、CY型エンジン搭載車のGtとLtという計6グレードを設定。トランスミッションはガソリン仕様が5速MTと3速AT、ディーゼル仕様が5速MTだけを組み合わせていた。ちなみに、サンタナの新車記者発表会の席では、当時フォルクスワーゲン車の輸入・販売権を持っていたヤナセも同席。日産のサニー店系列とヤナセの直営店の2体制で日本生産のサンタナを売る旨がアナウンスされた(後にプリンス店系列も販売に加わる)。

 

■販売台数は伸びなかったものの――

バブル景気前夜の日本において、サンタナの質実剛健なインテリアは地味に映った。同クラスのハイテク満載の国産車と比べると割高感があり、販売は苦戦した

 

貿易摩擦の打開策、そして初の和製フォルクスワーゲン車でもあったサンタナは、大きな注目を集めて日本の市場に迎えられる。自動車マスコミからも、高いボディ剛性を芯に据えたしっかりとした乗り心地やハンドリングなどが高く評価された。

 

しかし、実際に蓋を開けてみるとサンタナの販売成績は予想外に伸びなかった。1980年代中盤といえばバブル景気の助走期。日本車はハイテクが積極的に採用され、品質も大きく向上していた。そんな状況下で、サンタナの地味なルックスや質素なインテリア、数値上で見劣りするエンジンスペック、さらに同クラスの国産車に比べて割高な価格設定などが、ユーザーの購入欲を刺激しなかったのである。受け入れたのはドイツ流の固めの足回りが好きで、質実剛健の内外装に惹かれたコアなファンにとどまった。

 

日産はテコ入れ策として、サンタナのラインアップ拡充を実施する。1985年5月には専用セッティングの足回りやスポーツシートなどを装着するXi5アウトバーンを追加。1987年1月にはマイナーチェンジを敢行し、内外装の意匠変更を図った。同時に、Xi5アウトバーンには1994cc直列5気筒DOHCエンジン(140ps)が採用される。1988年1月にはXi5をベースに専用の内外装パーツを組み込んだマイスターベルクを300台限定でリリースした。

 

ところで、日産VWサンタナの広告展開およびグレード名は、当時ドイツ車への憧れが日本の一般ユーザーに広がり始めていたことから、ドイツ・カラーを色濃く打ち出す戦略をとっていた。広告でのキャッチコピーは“アウトバーンから日本の道へ”“ロマンティック街道から”“ドイツの光と風”など。また、デビュー当初は「ドイツの“香り”プレゼント」と称してドイツ産ワインのプレゼント企画も実施した。グレード名には「Xi5アウトバーン」や「マイスターベルク」といったネーミングを採用。Xi5アウトバーン登場時のCMでは、あえてドイツ語でスペック表記を映し出していた。

当時、ドイツ車への憧れが日本ユーザーに広がりはじめていたタイミング。サンタナはドイツ色を強く押し出したPR戦略をとった

 

さまざまな改良を施していった和製サンタナ。しかし、販売成績が大きく回復することはなく、そのうちに貿易摩擦の問題も現地生産化などによって次第に改善され、1988年末にはフォルクスワーゲン社との提携も解消される。そしてサンタナのノックダウン生産は中止となり、販売も1990年中には終了した。

 

販売成績の面では低調に終わった日産VWサンタナ。しかし、日産にとって高いロイヤリティを払ったことは決して無駄にはならなかった。当時の開発スタッフによると、「ドイツ流のクルマ造りを細部にわたって学べた。また、ドイツ車に対する日産の強みも把握できた」という。その結果は、以後に登場する日産車のボディ剛性の出し方や足回りのセッティングなどに存分に活かされたのである。

 

【著者プロフィール】
大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

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【著者プロフィール】

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。

【中年名車図鑑|マツダ・ユーノス500】日本では評価されなかった「世界で最も美しいサルーン」

好景気で盛り上がる1980年代終盤の日本。各自動車メーカーはディーラー網の強化と車種展開の拡大を積極的に推進する。マツダは1989年に新販売チャンネルのユーノス系列ディーラーをオープン。ロードスターや高級スペシャルティカーなどに続き、スタイリッシュな4ドアセダンを1992年に発売した――。今回は“時を超えて輝く品質”を徹底追求した新世代スタイリッシュサルーンの「ユーノス500」で一席。

【Vol.86 マツダ・ユーノス500】

マツダが1989年4月に設立した新販売チャンネルの「ユーノス」系列店では、上質かつ斬新なキャラクターのクルマを販売することが経営上の方針とされた。1990年代初頭にはライトウェイトスポーツのロードスターに輸入車のシトロエン、3ローターエンジンを搭載する高級スペシャルティのコスモ、リトラクタブルライトを配したハッチバック車の100、サッシュレス4ドアハードトップの300、スポーティなハッチバッククーペのプレッソなど、多様なカテゴリーで個性的なモデルをラインアップする。一方、量販が期待できる車種、すなわち“4ドアセダン”に関しては、まだユーノス・ブランド車が用意されていなかった。真打のセダンモデルはどのような形で登場するのか――そんな市場の期待を裏切らないよう、開発陣は懸命にユーノス版セダンの企画を推し進めた。

 

■ユーノス・ブランドにふさわしいセダンモデルの開発

1989年4月に設立した新販売チャンネル「ユーノス」の4ドアセダンとして開発。“いつまでも色あせない価値”をコンセプトに3次曲面を多用した流麗なプロポーションをまとった

 

ユーノスの4ドアセダンでは、“いつまでも色あせない価値”の創出を開発テーマに掲げる。基本骨格については、マツダの新世代ミドルクラス車であるクロノス(1991年10月デビュー)のものを流用。一方、スタイリングに関しては3次曲面を多用した流麗なプロポーションを構築したうえで、ボディの段差や隙間を極少かつ均一に整えた精緻な造り込みを実施する。また、いつまでも美しい艶めきを保ち続ける高機能ハイレフコート塗装を全ボディカラーで採用した。内包するインテリアについても、高品質かつ高機能な空間を演出する。インパネはラウンディッシュで広がり感のある造形でアレンジ。空調パネルをセンター上部に張り出して設置した点も目新しかった。装備面にも抜かりはなく、フルオートエアコンや新イルミネーテッドエントリーシステム、スイングピロー機構付きシート、後席格納式センターアームレストなどを設定。最上級グレードには本革地のシート/ステアリング/シフトノブ/パーキングブレーキレバーや電動ガラスサンルーフを採用した。

 

高品質の追求は走りに関しても貫かれる。搭載エンジンは可変共鳴過給システムのVRISを組み込んだ高性能V6DOHCの2機種で、KF-ZE型1995cc・V型6気筒DOHC24V(160ps)とK8-ZE型1844cc・V型6気筒DOHC24V(140ps)を設定。組み合わせるトランスミッションにはホールドモード機構付き電子制御4速ATと5速MTを用意する。前後ストラット式の足回りについては専用チューニングを実施。とくに高速ツーリングの快適性を高めるようにアレンジした。

 

■“10年色あせぬ価値”を謳って登場

ボディサイズが全長4545×全幅1695×全高1350mmと5ナンバー規格だったことも話題に。カーデザイン界では「小型クラスにおいて世界で最も美しいサルーン」と評された

 

ユーノス・ブランド期待の4ドアセダンは、「ユーノス500」(CA型)の車名で1992年1月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは“10年色あせぬ価値”で、グレードは上位から20G/20F-SV/20F/18Dで構成。個性的なスタイリングや高品質なハイレフコート塗装のほか、ボディサイズを全長4545×全幅1695×全高1350mmの5ナンバー規格に収めた(基本骨格を共用するクロノスやアンフィニMS-6は全長4695×全幅1770mmの3ナンバーサイズ)ことも注目を集めた。

 

当時のカーデザイン界では、「小型クラスにおいて世界で最も美しいサルーン」と評されたユーノス500。しかし、販売成績はデビュー当初を除いて振るわなかった。ユーザーの目がレクリエーショナルビークル(RV)に移っていた、上質で個性的なルックスに仕上がっていたもののデザイン自体のアクがやや強すぎた、V6エンジンの割には回転フィールのスムーズさに欠けた、ユーノス+数字の車名ではユーザーがクルマをイメージしにくかった――要因は色々と挙げられた。

 

■ベーシック仕様とスポーツモデルの追加

ラウンディッシュで広がり感のあるインパネ。空調パネルをセンター上部に張り出して設置したデザインもユニークだ

 

販売成績のアップを目指して、開発陣はユーノス500の様々な改良とラインアップの変更を実施していく。1993年1月にはオフブラックのレザー内装やリアスポイラーを備えた20F-Xを、1993年5月には装備アイテムを充実させた20Fスペシャルを追加設定。1994年3月にはマイナーチェンジを実施し、内外装の一部意匠変更のほかにFP-DE型1839cc直列4気筒DOHC16Vエンジン(115ps)搭載のエントリーグレードや専用ハードチューンサスペンションおよびアドバンA407タイヤ+15インチアルミ等を組み込んだスポーティ仕様の20GT-iの設定などを行った。

 

高品質サルーンとしての商品価値の引き上げを多様なアプローチで敢行していったユーノス500。しかし、販売は低迷が続き、しかもマツダ本体の経営悪化が深刻化してきたことから、結果的にユーノス500の国内販売は1995年いっぱいで中止されてしまう。一方、ユーノス500の欧州市場向けである「クセドス6(Xedos 6)」の販売は継続。高評価を得ながら1999年までリリースされた。マツダが追求した“色あせぬ価値”は、日本よりも欧州で広く認められたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【中年名車図鑑|第1世代・スバル・インプレッサWRX】スバリストたちに愛され、育てられた高性能スポーツセダン

海外モータースポーツへの本格参戦に際し、世界ラリー選手権(WRC)のフィールドを選択した富士重工業。独創的な技術で勝負する同社は、1992年になると新しいホモロゲーションモデルを市場に放った――。今回は新世代ハードトップセダンのインプレッサをベースに開発した「WRX」グレードの第1世代(1992~2000年)で一席。

【Vol.85 第1世代・スバル・インプレッサWRX】

富士重工業(現SUBARU)は軽自動車のヴィヴィオから小型車のレガシィへのスムーズな上級移行の形成を目指し、1992年10月に新しい中間車となる「インプレッサ(IMPREZA)」発表、翌11月に発売する。シリーズ展開はサッシュレス4ドアのセダン(GC型)およびスポーツセダンのWRX(GC8型)とコンパクトなラゲッジを備えたスポーツワゴン(GF型)で構成した。

 

■走りの性能を徹底的に磨いた最強スポーツセダンのWRX

WRXの第1世代は1992年に登場した。リアスポイラー、サイド&リアアンダースカート、大径フォグランプがシリーズ最強の存在感を主張する

 

シリーズの最強版で、かつWRCグループAのホモロゲーションモデルとなるWRXは、ロードカーバージョンのWRXとコンペティション仕様のWRXタイプRAを設定する。搭載エンジンには大容量高速型の水冷ターボチャージャーやダイレクトプッシュ式バルブ駆動、5ベアリングクランクシャフト、クローズドデッキシリンダーブロックなどを組み込んだオールアルミ合金製のEJ20型1994cc水平対向4気筒DOHC16Vインタークーラーターボを採用。パワー&トルクは240ps/31.0kg・mを発生した。組み合わせるトランスミッションには、油圧レリーズ式プルタイプのクラッチを導入したうえでギア比を最適化した5速MTをセット。駆動機構にはビスカスLSD付センターデフ式フルタイム4WDを採用し、リアにもビスカスLSDを装備する。フロントをL型ロワアームのストラット、リアをデュアルリンクのストラットで構成したサスペンションはアームやブッシュ類を強化するとともに、ダンパーおよびスプリングにハードタイプを装着。ボディは曲げとねじれともに剛性を引き上げ、同時にアルミ製フロントフードを導入するなどして効果的に軽量化を図った。ボディサイズは全長4340×全幅1690×全高1405mm/ホイールベース2520mmに設定する。制動機構にはフロントにローター厚24mm/制動有効半径228mmの2ポットベンチレーテッドディスクを、リアに同18mm/230mmのベンチレーテッドディスクをセット。専用の内外装パーツとしてリアスポイラーやサイド&リアアンダースカート、大径フォグランプ、205/55R15タイヤ+6JJ×15軽量アルミホイール、ナルディ製本革巻きステアリング&シフトノブ、バケットシートなども装備した。

 

富士重工業が大きな期待を込めて市場に送り出した新しい中間車の高性能グレードのWRX系は、走りを重視するスバリストたちから絶大な支持を集める。この勢いを維持しようと、開発陣は精力的にWRXの改良とラインアップの拡充を図っていく。1993年10月の一部改良(Bタイプ)ではスポーツワゴンにも高性能モデルのWRXグレードを設定。このときターボエンジンとATが組み合わされ、駆動機構にはVTD-4WDを採用した。

 

■STiバージョンの登場

WRX専用装備として、ナルディのステアリング&シフトノブ、バケットシートを用意

 

WRC制覇を目指した富士重工業の開発陣、さらに同社のモータースポーツ部門であるSTI(スバルテクニカインターナショナル)は、WRXの改良を矢継ぎ早に実施していく。まず1994年1月には、ハイパフォーマンスモデルの「WRX STi」がデビュー。EJ20ターボエンジンはファインチューニングが敢行され、鍛造ピストンや専用ECU、軽量化したハイドロリックラッシュアジャスター、インタークーラーウォータースプレイ&専用ノズルなどを採用した。さらに排気系にはSTi/フジツボ製のΦ101.6mm大径マフラーを組み込む。得られたパワー&トルクは250ps/31.5kg・m。加速性能とアクセルレスポンスも従来ユニットを大きく凌いだ。さらに1994年10月になるとインプレッサのマイナーチェンジ(Cタイプ)が実施され、セダンWRX系のEJ20ターボエンジンの最高出力は260psにまで引き上がる。また翌月には、競技用ベース車のWRX-RA STiが登場。専用タイプのECUにシリンダーヘッド、ナトリウム封入排気バルブおよび中空吸気バルブ、ダクト部強化型インタークーラーなどで武装し、ターボの過給圧も高めたEJ20ターボは、275psの強力パワーを発生した。

 

WRXの進化は、まだまだ続く。1995年8月にはWRX STiのバージョンⅡがデビュー。1996年9月になると“全性能モデルチェンジ”と称したインプレッサのビッグマイナーチェンジ(Dタイプ)が行われ、同時にWRX STiはバージョンⅢに発展した。全性能モデルチェンジを遂げたWRX系には、“BOXER MASTER-4”と名づけた新しいターボ付きEJ20型エンジンが搭載される。ターボチャージャーの大型化やインタークーラーのサイズアップおよびコアの水平置き化、新ピストンの採用、過給圧アップに対応したメタルガスケットの装着などを実施し、パワー&トルクはついに280ps/33.5kg・mに達した。また、WRX STiバージョンⅢは専用大容量タービンの採用や最大過給圧の引き上げなどによって最大トルクが35.0kg・mにアップ。足回りのセッティング変更も行い、操縦安定性を向上させた。さらに1997年9月には、一部改良を実施してEタイプに移行。WRX STiはバージョンⅣとなり、EJ20ターボエンジンの最大トルクは36.0kg・mにまで引き上がった。

 

■WRカーのロードバージョンを設定

400台限定、500万円で売り出された「22B-STi Version」はわずか2日で完売

 

WRCは1997年シーズンに従来のグループAからWRカーに移行する。このシーズン、マニュファクチャラーズチャンピオンに輝いたのは、インプレッサWRCで参戦したスバル・ワールドラリーチームだった。一方でスバリストたちからは、ちょっとした不満の声も聞かれた。インプレッサWRCと直結するロードバージョンがない――。その意見は、もちろん富士重工業およびSTIの耳に入っていた。最終的に富士重工業は、STI主導でインプレッサWRCのロードバージョンを開発する旨を決断。しかも、徹底して高性能化を図る方針を打ち出した。

 

まずボディに関しては、2ドアクーペ用をベースに大型のブリスターフェンダーを装備してワイド化を図る。組み付けには高田工業の協力を仰ぎ、同社のラインにおいて半ば手作業で溶接を行った。ボディカラーには、インプレッサWRC専用色のソニックブルーマイカを採用する。内包するインテリアでは、シートやドアトリムをボディ色とコーディネートしたブルー系で、インパネをインプレッサWRCと同イメージのマットブラックタイプでまとめた。搭載エンジンはEJ20系のボアを92.0→96.9mmに拡大したうえで、各部のセッティングを変更したEJ22改(2212cc水平対向4気筒DOHC16Vインタークーラーターボ)を採用する。パワー&トルクは280ps/37.0kg・mを発生。サスペンションには専用チューニングのビルシュタイン製倒立式ダンパーとアイバッハ製コイルスプリングをセットした。

 

インプレッサWRCのロードバージョンは、「22B-STi Version」のネーミングを冠して1998年3月に市場デビューを果たす。販売台数は400台限定。車両価格は500万円と高価だったが、その人気は凄まじく、わずか2日で完売した。

 

■モデル末期にSTIコンプリートカーのS201を発売

1998年9月にはマイナーチェンジが行われ、Fタイプへと切り替わる。搭載エンジンは新設計のシリンダーブロックおよびヘッドを採用した“BOXER PHASE Ⅱ”に換装。WRX系には新タイプの倒立式ストラットサスペンションをセットした。WRX STiはバージョンⅤへと進化。WRカータイプの大型リアスポイラーやスポーツABSなどを新規に設定した。さらに1999年9月になると、一部改良でGタイプに移行する。WRX系では空力特性の向上を狙った外装の仕様変更や新16インチアルミホイールの設定などを実施。バージョンⅥとなったWRX STiは、リアスポイラーの翼断面形状の刷新やリアクォーターガラスの薄板化による軽量化、クラッチスタートシステムの採用(MT車)などを行った。2000年4月にはGC8型インプレッサをベースにSTIがコンプリートで仕立てた「S201 STI version」が300台限定で発売される。搭載エンジンは専用スポーツECUを組み込むと同時に吸排気系を変更したEJ20ターボで、パワー&トルクは300ps/36.0kg・mを発生。専用装備として車高調整式強化サスペンションやリア・フルピローラテラルリンクおよびトレーリングリンク、フロントヘリカルLSD、エアロバンパー、ダブルウィングリアスポイラーなどを設定した。

 

2000年8月になるとインプレッサはついに全面改良を実施し、2代目となるGD/GG型系に移行する。じっくりと手間をかけて進化していった初代のGC/GF型系。とくにラリーのベース車となったGC8型のWRXシリーズは、1990年代の高性能スポーツセダンの代表格に昇華したのである。

 

■WRCにおいて3年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得

インプレッサはWRCで快進撃を続け、グループAカーとWRカーの両カテゴリーでチャンピオンマシンに昇りつめた

 

最後に、第1世代のインプレッサWRXのWRCにおける戦績を紹介しよう。インプレッサWRXがWRCのグループAに参戦したのは、1993年8月開催の1000湖ラリーから。ここでA.バタネン選手がいきなり2位に入るという好成績を成し遂げる。1994年シーズンではC.マクレー選手とC.サインツ選手、R.バーンズ選手らがメインドライバーに起用され、シーズン3勝、マニュファクチャラーズ2位を達成した。そして1995年シーズンでは前年と同様にC.マクレー選手やC.サインツ選手、R.バーンズ選手らがステアリングを握り、シーズン5勝でマニュファクチャラーズタイトルを獲得。さらに、C.マクレー選手がドライバーズチャンピオンに輝いた。1996年シーズンになるとC.マクレー選手やK.エリクソン選手、P.リアッティ選手などを擁し、年間3勝をあげて2年連続のマニュファクチャラーズタイトルの栄冠に輝く。また、改造範囲を最小限に抑えたグループNでもインプレッサWRXは大活躍した。

 

1997年シーズンになると、トップカテゴリーはWRカーに移行する。この新舞台にスバル・ワールドラリーチームは、新開発のインプレッサWRCで参戦した。戦績は見事なもので、第1戦のモンテカルロでP.リアッティ選手が、第2戦のスウェディッシュでK.エリクソン選手が、第3戦のサファリでC.マクレー選手が、第6戦のツール・ド・コルスでC.マクレー選手が、第9戦のニュージーランドでK.エリクソン選手が、第12戦のサンレモと第13戦のオーストラリア、第14戦のRACでC.マクレー選手が優勝を果たし、年間8勝の好成績でマニュファクチャラーズチャンピオンに輝いた。ちなみに、スバル・ワールドラリーチームが同タイトルを獲得したのは、この年で3年連続。つまり、インプレッサはグループAカーとWRカーの両カテゴリーでチャンピオンマシンに昇りつめたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【中年名車図鑑|第1世代・三菱ランサー・エボリューション】絶えず戦闘力を“進化”させてきた「武闘派セダン」

ワールドワイドなモータースポーツへの参戦に際し、ラリーの舞台を主軸に据えた三菱自動車工業。持ち前の高い技術力で勝負を挑む同社は、1992年になると新世代のホモロゲーションモデルとなる「ランサー・エボリューション」を発売した――。今回は第1世代のCD9A/CE9A型“ランエボⅠ~Ⅲ”の話題で一席。

【Vol.84 第1世代・三菱ランサー・エボリューション】

海外モータースポーツへの挑戦で世界ラリー選手権(WRC)を主戦場に選んだ三菱自動車工業および傘下のラリーアートは、1988年からギャランVR-4を駆ってWRCに参戦。徐々に戦闘力を上げていき、1989年シーズンの1000湖ラリーとRACラリー、1990年シーズンのコートジボアール・ラリー、1991年シーズンのスウェディッシュ・ラリーとコートジボアール・ラリー、1992年シーズンのコートジボアール・ラリーで総合優勝を達成した。勢いに乗る三菱自工。一方で開発現場では、ギャランVR-4に代わる新しいラリーモデルの企画を鋭意推し進める。そして、1992年9月にWRCグループAのホモロゲーションモデルとなる「ランサー・エボリューション」(CD9A型)を発表。グレード展開は、標準仕様のGSRエボリューションとコンペティション仕様のRSエボリューションを設定した。

 

■4代目ランサーをベースにホモロゲーションモデルを開発

1992年に登場したランサー・エボリューション、通称“エボⅠ”。250ps/6000rpm、31.5kg・m/3000rpmと2Lクラス最強を誇った

 

キモとなる搭載エンジンは、ギャランVR-4に採用していたターボ付きの4G63型1997cc直列4気筒DOHC16Vをベースユニットとして選択し、各部の徹底チューニングを図る。圧縮比は8.5にまで引き上げたうえで、ピストンやコンドロッド等の軽量化を実施。4バルブDOHCのヘッド回りでは、ナトリウム封入中空排気バルブを組み込んだ。また、ターボチャージャーには横470×縦256×厚65mmという大容量のインタークーラーをセットし、過給効率の向上を成し遂げる。ほかにも、専用チューニングの電子制御燃料噴射システム(ECIマルチ)や圧力検出型カルマン渦式エアフローセンサー、ローラロッカアーム、オートラッシュアジャスター、空冷式オイルクーラーなどを組み込んでエンジンの高性能化と耐久性のアップを図った。得られたパワー&トルクは250ps/6000rpm、31.5kg・m/3000rpmと2Lクラス最強を誇る。組み合わせるトランスミッションは2/3/4速をクロスレシオ化すると同時に、2速にダブルコーンシンクロを、3/4/5速にサイズアップしたシンクロ機構を導入した専用の5速MTを設定。駆動システムにはVCU(ビスカスカップリング)&センターデフ方式のフルタイム4WDを採用した。

 

ボディやシャシーの強化にも抜かりはない。ボディはベース車比でねじり剛性を約20%引き上げ、同時にアルミ製フロントフードを装着するなどして効果的な軽量化を達成。前マクファーソンストラット/後マルチリンクのサスペンションは各部の取付剛性をアップさせるとともに、専用セッティングのダンパー&スプリングの採用やピロボールの拡大展開(各アーム6カ所)などを実施した。エクステリアについては専用デザインのグリル一体型バンパーやサイドエアダム、リア大型エアスポイラーなどで武装。ボディサイズは全長4310×全幅1695×全高1395mm/ホイールベース2500mmに設定する。インテリアではレカロ製バケットシートにモモ製本革巻きステアリング、本革巻きシフトノブといったスポーツアイテムを標準で装備した。

 

■“進化”を宿命づけられたランエボ

94年登場の“エボⅡ”。最高出力は従来比で+10psをマーク。5速MTのローギアード化で加速性能にさらなる磨きをかけた

 

1994年1月になると、改良版のランサー・エボリューション、通称“エボⅡ”(CE9A型)が登場する。4G63型エンジンはマフラーの排圧を低減し、同時にターボチャージャーの過給圧を増大。また、吸気バルブと排気バルブのリフト量を増やし、バルブ開口面積を拡大させた。さらに、ピストン形状の改良やターボチャージャー本体の材質の見直し、エアインテークおよびアウトレットの容量アップなどを実施する。これらの改良の結果、最高出力は従来比で+10psの260ps/6000rpmを達成(31.5kg・m/3000rpmの最大トルクは同数値)。組み合わせる5速MTのローギアード化も図り、加速性能はさらなる高次元に至った。また、シャシー面ではホイールベースとトレッドの拡大に加え、ボディ剛性を大きくアップさせる。さらに、制動性能やトラクション性能も着実に向上させた。

 

ランエボの進化は、さらに続く。1995年1月になると、再度の改良版となるエボリューションⅢ、通称“エボⅢ”(CE9A型)が市場デビューを果たした。ターボ付き4G63型エンジンの最高出力は270ps/6250rpmにまでアップ(最大トルクは同数値)。主要変更ポイントは排気系パイプの外径拡大やターボチャージャーのコンプレッサーホイール形状の最適化、圧縮比の引き上げ(8.5→9.0)などで、主に高回転域での出力向上を狙った改良が施された。また、インタークーラーについては放熱量を高める目的で大容量化(470×256×65mm)を行い、同時にインナーフィンを細かく最適に配列。本体カラーは外熱を吸収しにくいシルバー色とした。組み合わせる5速MTにも改良を加える。第1・2速のギア比はローギアード化を実施。加えて、2~4速のギア比をエンジン出力特性に合わせてクロスレシオに設定する。同時に、2~4速にはダブルコーンシンクロを採用した。駆動メカニズムについては、いっそうの熟成と耐久性の向上を図ったVCU&センターデフ方式フルタイム4WDを採用する。加えて、ホイールの空転を防いで駆動力を確実に路面に伝えるリア1.5WAY機械式リミテッドスリップデフを組み込んだ。

大型エアダム、大型リアスポを装着した“エボⅢ”。最高出力は270ps/6250rpmまでアップした

 

エボⅢは、従来型以上に空力性能に磨きをかけたことも特徴だった。フロントバンパーは形状そのものを見直したうえで、バンパーエクステンションも大型化してダウンフォースを向上。同時に、インタークーラーやオイルクーラーの冷却性を高めるとともに、ブレーキ冷却エアダクトとトランスファー冷却スリットを新たに設置した。また、大型サイドエアダムを加えてフロア下への空気侵入を防ぎ、不要な揚力を抑制する。リア部ではスポイラーとウィッカーを大型化したことがトピック。リア揚力を抑え、後輪の接地性および操縦安定性を引き上げた。一方でボディについては、軽量かつ高剛性を誇る従来の特性をさらに補強。シャシーに関しては、前後サスのアーム類および支持部を効果的に強化し、同時にダンパー減衰力およびバネ定数の最適化を図った。

 

■WRCにおける第1世代ランエボの戦績

“エボⅢ”のインテリア。momoステアリング、レカロシートを装備

 

ランサー・エボリューションは1993年開催のラリー・モンテカルロにおいてWRC初陣を飾る。当初は苦戦を強いられるものの、緻密かつ徹底した改良によって徐々に戦闘力がアップ。1995年シーズンのスウェディッシュ・ラリーでは、エボⅡを駆るK.エリクソン選手がランエボ・シリーズでの初優勝を飾った。

 

続くランエボⅢは、1995年シーズン途中の第4戦ツール・ド・コルスにおいてWRCへの本格デビューを果たす。このレースでは早くも総合3位に入り、その後APRC(アジア・パシフィックラリー選手権)を兼ねたWRCオーストラリア・ラリーで総合優勝を達成した。結果として同シーズンでは、マニュファクチャラーズで2位、ドライバーズで3位(K.エリクソン選手)の好成績をあげる。続く1996年シーズンになると、熟成が進んだエボⅢが大活躍。スウェディッシュ・ラリーやサファリ・サリー、アルゼンチン・ラリー、1000湖ラリー、オーストラリア・ラリーで総合優勝を果たした。その結果、マニュファクチャラーズでは2位、ドライバーズではT.マキネン選手が初のチャンピオンに輝く。ちなみに、APRCでは1995年と1996年に2年連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得。ドライバーズでは1995年にK.エリクソン選手がチャンピオンに、1996年にはR.バーンズ選手が2位に入るという好成績を成し遂げた。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【中年名車図鑑|2代目・日産キャラバン】アウトドア好きスタッフが生み出した乗用1BOXの先駆け

1970年代に入って徐々に浸透し始めた日本のアウトドアレジャーによって、ユーザーは多人数での移動を1台でまかなえるクルマを求めるようになった。日産自動車はその回答として、乗用1BOXカーの刷新を画策。1980年には同社の旗艦1BOXカーであるキャラバンおよびホーミーの全面改良を敢行した――。今回は本格的な乗用1BOXの先駆モデルであり、念願のトヨタ車超えをも成し遂げたE23型系2代目キャラバン(と3代目ホーミー)の話題で一席。

【Vol.83 2代目・日産キャラバン】

モータリゼーションの発展と道路交通網の整備とともに浸透した1970年代の日本のアウトドアレジャーは、ユーザーのクルマに対する要求性能に変化をもたらすようになる。単なる郊外への移動手段から、荷物がたくさん積めて、その積み下ろしが楽で、しかも多くの人間が乗車できるモデルが求められるようになったのだ。さらに、レジャーユースにふさわしいおしゃれなスタイリングや居住空間の快適性も、より重視されはじめる。この市場動向にいち早く気づき、新たな1BOXカーの企画作りに勤しんだのは、日産自動車の開発陣だった。当時の日産スタッフによると、「あの頃の開発陣は、クルマを使って海や山やモータースポーツに出かける趣味人がとても多かった。開発・生産拠点の神奈川県は、どこの遊び場所に行くのにも近かったので。だから、アウトドアレジャーにふさわしい1BOXカーの企画には、とても熱心に取り組んだ」という。アウトドアレジャーの遊びが大好きという開発陣の特性と開発・生産拠点の地の利が、新しい1BOXモデル、具体的には旗艦1BOXカーの新型キャラバンおよび兄弟車のホーミーを造り出すバックボーンとなったのである。

 

■アウトドア好きスタッフの「ほしい」を詰め込んだ

直線基調のフォルムに、シャープなベルトラインや新造形のグリル、大型化したウィンドウを採用。大開口のサンルーフも外観上のアクセントとなった

 

1980年代に向けた新しいキャラバンを企画するに当たり、開発陣はまず経験則を踏まえて「ほしい装備」や「所有して楽しくなる内外装」を検討する。そして、居住性の向上、運転疲労の軽減、利便性のアップ、機能的で遊び心も備えたデザインの構築、安全性の向上などを商品テーマに掲げた。また、ユーザーの多様な使用パターンを鑑み、豊富な車種ラインアップを設定する方針も打ち出した。

 

エクステリアに関しては、従来型のキャラバンで好評だった機能美あふれる直線基調のフォルムをベースに、シャープなベルトラインや新造形のグリル、大型化したウィンドウなどを採用し、現代的で調和のとれた外装を演出する。アウトドアレジャーにふさわしいクルマであることを強調するために、明るいカラーの専用デカールも用意した。また、680×1000mmの開口面積を確保した電動サンルーフを開発し、乗員の開放感を高めるとともに外観上のアクセントとしても昇華させる。ボディサイズは全長4350(長尺バン4690)×全幅1690×全高1925~1950(ハイルーフ2220)mmに設定した。

 

インテリアについては、荷室寸法の拡大やドア開口部の大型化で積載性および乗降性の向上を図ったほか、運転席から荷室への移動が可能なウォークスルー機構を採用して乗員の利便性を引き上げる。さらに、固定フックの設定(バン)や回転対座シートの装着(コーチ)、最後部座席のシート折りたたみ機構の採用、フロントエアコン/リアクーラーの設定、マイクロバスの全車ハイルーフ化などを実施し、多目的車としての実用性と快適性を高めた。また、開発陣はシート表地の素材や柄、クッション厚にもこだわり、乗用車に匹敵する見栄えと座り心地を実現した。

 

メカニズムに関しては、従来のワンボックスカーで見落とされがちだった「運転のしやすさ」を鑑みた改良が実施される。具体的には、パワーステアリングの設定やオートマチック車の拡大展開、運転席のリクライニング機構と120mmのシートスライド機構の採用、ウィンドウ面積の拡大、セーフティウィンドウ(助手席側ドアの視認用の小窓)の装着などを敢行した。また、サスペンションは一般的な1BOXカーと同様のフロント・ウィッシュボーン/トーションバー、リア・縦置き半楕円リーフを踏襲するが、乗り心地とハンドリングを重視した入念なチューニングが施される。ホイールベースは2350(長尺バン2690)mmに設定した。さらに、ブレーキにはバンの一部車種を除いてフロントベンチレーテッドディスクと9インチ大型マスターバックを採用し、制動性の向上と踏力の軽減を図る。搭載エンジンはZ20型1952cc直列4気筒OHC(105ps)、H20型1982cc直列4気筒OHV(92ps)、J16型1567cc直列4気筒OHV(80ps)のガソリンユニットとSD22型2164cc直列4気筒OHVディーゼル(65ps)を設定し、このうち乗用ユースのワゴンモデルにはZ20型とSD22型が組み込まれた。

 

■ワイドな車種展開で市場デビュー

パワーステアリングの設定やオートマチック車の拡大展開で「運転のしやすさ」を追求した

 

1980年代に向けた新しい1BOXカーは、E23型系キャラバンおよびホーミーとして1980年8月に市場デビューを果たす。車種展開はワゴンモデルのコーチ(9~10人乗り)、ロングボディで15人乗りのマイクロバス、商用モデルのライトバン/ハイルーフバン/ルートバンをラインアップ。グレード展開はDXを基準車として、廉価版のCT、上級仕様のGL、高級モデルのSGLを用意し、エンジンやトランスミッションなどの組み合わせによって計55グレードものワイドバリエーションを設定した。また、日産モーター店系列から販売されるキャラバンと日産プリンス店系列で売られるホーミーでは、フロントグリルやエンブレムなどの一部装備で差異化を図った。

回転対座式のシートは多人数乗車の1BOXならではの機構としてユーザーに喜ばれた

 

市場に放たれたE23型系キャラバンおよびホーミーは、従来の1BOXカーとは明確に異なる見栄えの良さや充実した装備、さらに乗用車に匹敵する快適な走りなどで大好評を博す。当時のコーチのユーザーによると、「これほど快適な乗り心地で、しかも運転しやすい1BOXカーは70年代にはなかった。回転対座の機構も、友人や家族にとても喜ばれた」という。また、トランスポーターとして活用していたハイルーフバンのユーザーは、「積載性のよさに加え、ウォークスルー機構がとても便利だった」そうだ。さらに、キャラバンとホーミーは当時のクルマ文化の流行のひとつだった“バニング”のベース車としても用いられ、部品メーカーからは様々なドレスアップパーツが発売された。ちなみに、バニング(Vanning)は元々アメリカの西海岸で1960年代から流行ったピックアップ/バン・ベースのカスタム手法(当初はピックアップが主流で“Truckin’”などとも呼ばれた)で、若者たちがこぞって趣向を凝らした内外装に仕立てる。日本では1970年代ごろから徐々に発展。日産のキャラバンやトヨタのハイエースなどをベースに、外装にはエアロパーツと派手な塗装、内装にはレザー表地のソファーや豪華なオーディオなどを組み込んで個性を競った。並行輸入されたシボレーやダッジのバンも、バニングのベース車として人気を集めた。

 

■車種ラインアップと機能装備のさらなる拡充

1983年のマイナーチェンジで角形4灯式のヘッドライトを採用

 

従来の1BOXカー・ファンだけではなく、一般的な乗用車やボンネットバンのユーザーからも大注目を集めたE23型系キャラバンとホーミーは、デビューから間もなくして最大のライバルであるトヨタ自動車のハイエースの販売台数を抜き去り、クラスのトップシェアに君臨する。他カテゴリーではなかなか達成できなかったトヨタ車超えを、1BOXカーのセグメントでついに実現したのだ。

 

この勢いを維持しようと、日産の開発陣はキャラバンおよびホーミーの改良とラインアップの拡充を次々と実施していく。まず1981年7月には、充実装備の特別仕様車を発売。同年10月の第24回東京モーターショーでは、1BOXカーの新提案形である「キャラバン・フレグラント」と「ホーミーRV」を参考出品した。1982年5月にはマイナーチェンジを実施。コーチのディーゼルエンジンがLD20T型1952cc直列4気筒OHCターボに換装され、またコーチのトランスミッションのフロアシフト化や新グレードの7人乗り仕様(2列目にキャプテンシートを装着)の設定などを敢行する。同時に、バンのディーゼルエンジン(SD22型→SD23型)とガソリンエンジン(H20型→Z18S/Z20S型)の変更も行われた。

 

1983年4月になると、内外装をメインとした仕様変更が実施される。フロントグリルはより豪華な演出がなされ、さらにコーチSGL系には角型4灯式ヘッドライトを装着。SGLとGLの中間に位置する新グレードのFLも加わった。1985年に入ると、1月にバンモデルのラインアップ拡大や安全装備の強化を図り、5月には8人乗りのキャラバン「SGLシルクロードリミテッド」とホーミー「SGLアビィロード」を発売した。

 

■約6年の長寿命を全うする

4年サイクルのフルモデルチェンジが一般的だった当時の日本の自動車業界のなかにあって、E23型系キャラバンおよびホーミーは、6年1カ月もの長きに渡って販売され続ける。そして1986年9月にはE24型系のニューモデルが登場するが、ライバル車の成長などもあって、デビュー時のE23型系ほどの高い人気は獲得できなかった。

 

本格的な乗用1BOXカーの先駆モデルであり、念願のトヨタ車超えをも達成したE23型系キャラバンとホーミー。日本の自動車史では隠れがちな出来事ではあるが、その偉大なる業績は1980年代の日産自動車にとって欠くことのできないトピックなのである。

 

【著者プロフィール】
大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

日産「セレナ e-POWER」が売れる本質って?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、今年の上半期に最も売れたミニバン・日産セレナの人気を牽引するe-POWERモデルの本質を分析してみました。

 

【登場人物】

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も発売中。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

 

【今回のクルマ】日産 セレナ e-POWER

SPEC【ハイウェイスターV】●全長×全幅×全高:4770×1740×1865㎜●車両重量:1760㎏●パワーユニット:モーター+1198㏄直列3気筒DOHCエンジン●エンジン最高出力:84PS(62kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:10.5㎏-m(103Nm)/3200〜5200rpm●JC08モード燃費:26.2㎞/ℓ●243万5400円〜382万1040円

 

ブレーキをほとんど踏まずに走れて楽しいと、一般ユーザーにも人気

安ド「殿! 日産のe-POWERシリーズ、売れてるみたいですね」

永福「うむ。ガソリンエンジンで発電してモーターで走る、シリーズハイブリッドというシステムだが、大変よく売れている」

安ド「トヨタのハイブリッドとは構造が違うんですね!」

永福「トヨタのハイブリッドは、エンジンとモーターの動力を合体して走るが、日産のe-POWERは、エンジンは発電することに徹し、モーターのみで走るわけだ」

安ド「それと売れ行きとは関係あるんでしょうか」

永福「あるらしい」

安ド「それはどんなワケで?」

永福「日産のe-POWERはモーターだけで走るので、回生ブレーキの効きをうんと強くできる。ガソリン車でいうエンジンブレーキだ。アクセルを離すだけでかなりブレーキがかかり、ブレーキペダルを踏む必要があまりない」

安ド「ワンペダルドライブというヤツですね!」

永福「ブレーキをほとんど踏まずに走れて楽しいと、一般ユーザーにもウケているようだ」

安ド「“ひと踏みぼれ”というヤツですね!」

永福「知っておるではないか」

安ド「知ってました! でも、モーター駆動でも走っていて違和感がないので、普通の人は言わなきゃモーターで走っているとわからないんじゃないですか?」

永福「回生ブレーキが強くかかるECOモードでは違いは歴然だが、ノーマルモードでは、音の静かなミニバンだなぁくらいの、自然な感じだ」

安ド「ECOモードとノーマルモード、どっちがいいんでしょう」

永福「一般道ではECOモード、高速道路ではノーマルモードがいい。高速道路でECOモードだと、アクセル操作に敏感に反応しすぎて、疲れてしまうのだ」

安ド「僕も高速道路ではノーマルで走りました!」

永福「ただし、高速道路で『プロパイロット』を使う場合は、ECOモードでOKだ」

安ド「『プロパイロット』というのは、日産の自動運転技術ですね!」

永福「自動運転とまではとても言えず、アダプティブ・クルーズ・コントロール+α程度だな。しかし、クルマまかせで前車に追従して走るときは、エンジンブレーキが強力にかかったほうが、速度をコントロールしやすいのだ」

安ド「なるほど!」

永福「総合的に見ると、セレナe-POWERは、ミニバンのなかではなかなか良いな」

安ド「僕もそう思いました! ライバル車と比べて走りに安定感があって、乗り心地も良かったです」

永福「しかし、ミニバンというヤツは決して安くない」

安ド「おいくらでしたっけ?」

永福「試乗車は、車両本体が約340万円。オプションは約80万円」

安ド「400万円オーバーですね! 実燃費は16㎞/ℓ以上でしたが」

永福「うーむ、焼け石に水だな」

 

 

【注目パーツ01】リアサイドスポイラー

低燃費に貢献するルーフ後端形状

ルーフの後端には両端がウネウネしたスポイラー(羽根)が付けられています。小さなウネウネですが、スポイラーは空力性能を向上させるためのアイテムですから、これも燃費性能の向上に少しは貢献しているのかもしれません。

 

 

【注目パーツ02】フロントブルーグリル

エコなイメージのブルーライン

フロント面積のうち大きな割合を占めるグリルには、ブルーのアクセントラインが施されています。内装にも各所にブルーのアクセントが採用されていて、これがエコなイメージと先進性を高める役割を果たしています。

 

 

【注目パーツ03】ハーフバックドア

上部だけ開けられるから便利

ミニバンのバックドアは巨大なので、開ける際に後方に気を使う必要があります。しかしセレナは上部だけ開けることが可能なので、全面を開けるのに比べてスペースを気にせずOK。軽いので力も小さくて済みます。

 

 

【注目パーツ04】15インチエアロアルミホイール

専用デザインで先進性アピール

不思議な紋様をあしらわれたホイールは、e-POWER専用装備。シルバーの面と黒の面を織り交ぜつつ、風切り線をつけることで、先進性とスピード感を感じさせるデザインに仕上がっています。知ってる人が見ればe-POWERだとすぐわかるはず。

 

 

【注目パーツ05】セカンドキャプテンシート

リラックスできる快適仕様

e-POWER専用装備として、2列目にはロングスライドが可能でアームレストもついたキャプテンシートが採用されています。セレナは室内スペースでもミニバントップクラスですが、このシートなら、さらにリラックスして乗れます。

 

 

【注目パーツ06】ヘッドレスト

ミニバン後席の閉塞感を打破

これは3列目シートからの眺めですが、気になるのは1、2列目シートのすべてのヘッドレストに穴が開いていること。その理由は、少しでも乗員に開放感を感じさせるためだとか。もちろん座面も高めに設定されています。

 

 

【注目パーツ07】スマートアップサードシート

できるだけ窓を隠さない設計

ミニバンの3列目シートは前倒し式や床下収納など様々なアレンジ方法がありますが、セレナは側面跳ね上げ式を採用しています。ただし、跳ね上げてもサイドのガラスをほとんど隠さない設計で、運転時の視界を妨げません。

 

 

【注目パーツ08】キャップレス給油口

手を汚さずに給油できる

フタを開けると中にはキャップのない給油口があります。これは日産としては初採用なんだとか。セルフガソリンスタンドが全盛の昨今ですし、給油時に手を汚したくないというドライバーからは、好評に違いありません。

 

 

【注目パーツ09】プロパイロット

“条件付き”自動運転システム

プロパイロットは、高速道路の同一車線内において、アクセルやブレーキ、ステアリングをクルマが自動操作してくれるシステム。セットすればアクセルやブレーキはほぼ自動ですが、ステアリングはあくまで補助です。

 

 

【これぞ感動の細部だ】e-POWER

ワンペダルのみの操作で加速から減速まで自在に走れる

エンジンで発電した電力を用いてモーターで駆動するのがe-POWERシステムです。モーターならではの強い制動力を持つ回生ブレーキの特徴を利用して、アクセルペダルの踏み戻しだけで、加速も減速もできてしまいます。一昨年にノートで初採用されましたが、ミニバンでもその魅力は健在。トルク感のあるEVらしい走りを味わえます。

 

 

撮影/池之平昌信

今月の乗ってよかったクルマ3台ーーCX-3に、クラリティPHEVに、ポロGTI

本記事では、プロが最近乗って良かったと思ったモデルを厳選して、コンパクトにお届けします。今回は、マツダのクロスオーバーSUV、CX-3の大幅改良モデルをフィーチャー。そのほか、ホンダの燃料電池車に追加されたプラグイン・ハイブリッドや、人気のフォルクスワーゲン ポロのスポーティモデルGTIと、多彩なラインナップを試乗して紹介します!

 

 

その1

エンジンを一新して快適な走りを手に入れた

マツダ CX-3

(SUV)

SPEC【XD Lパッケージ(4WD/AT)】●全長×全幅×全高:4275×1765×1550㎜●車両重量:1370㎏●パワーユニット:1756㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:116PS/4000rpm●最大トルク:27.5㎏-m/1600〜2600rpm●WLTCモード燃費:19.0㎞/ℓ

乗り心地が滑らかになりエンジンの力強さもアップ

CX-3は2015年に登場以来、早くも4回目のアップデートとなりました。今回の改良では初めて内外装のデザインをリニューアルしたことも話題となりましたが、注目したいのは何といってもエンジンが一新された点です。本車の主力となるディーゼルターボエンジンは、排気量1.5ℓから1.8ℓに拡大。さらに、昨年追加された2ℓガソリンエンジンも改良されています。足まわりの仕様変更、専用タイヤの採用、シート構造の見直しなどもあり、より快適な走りを手に入れました。

 

今回は、ディーゼルとガソリンの両方に試乗しましたが、いずれも従来モデルからの進化を実感できました。乗り心地は格段に滑らかになり、エンジンは日常域における力強さが大幅にアップしています。また、フロント/リアドアの外板や、リアドアガラスを厚くしたことで、静粛性を高めたのも好印象。スタイリッシュな外観のクルマという印象が強かったCX–3は、走りの質感と快適性が向上して、一層魅力的なモデルとなりました。

 

【注目ポイント01】操縦性はスポーティ

新開発タイヤの採用や足回りの仕様変更などの効果で、従来モデルと比べて乗り心地が格段に滑らかになりました。その一方で、持ち前のスポーティな操縦性は損なわれていません。

 

【注目ポイント02】質感も使い勝手も向上

室内では、前席の構造材が変更されたほか、パーキングブレーキを電動化したことでセンターコンソールのデザインを一新。質感に加えて使い勝手も向上しています。

 

【注目ポイント03】ディーゼルは1.8ℓターボに

ディーゼルエンジン(上)は、実用燃費の向上を図り1.8ℓに拡大。2ℓガソリン(下)も燃焼室や冷却まわりなど、細部を磨いて全域のトルク向上と燃費改善を実現しました。

 

 

その2

EV航続距離はPHEVのなかでもトップ

ホンダ

クラリティ PHEV

(セダン)

SPEC【EX】●全長×全幅×全高:4915×1875×1480㎜●車両重量:1850㎏●パワーユニット:1496㏄直列4気筒DOHC+モーター●エンジン最高出力:105PS/5500rpm●エンジン最大トルク:13.7㎏-m/5000rpm●モーター最高出力:184PS/5000〜6000rpm●モーター最大トルク:32.1㎏-m/0〜2000rpm●WLTCモード燃費:24.2㎞/ℓ●EV航続距離:101㎞

 

FCV仕様をはるかに凌ぐユーザビリティを獲得した

珍しいFCV(燃料電池車)として知られるホンダ クラリティに、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)仕様が追加されました。そのシステムはガソリンエンジンに電気モーター、総電力量17kWhのバッテリーを組み合わせたものですが、最大の魅力はEV走行時の“アシの長さ”。JC08モードよりリアルに近いとされるWLTCモードで101㎞という航続距離は、数あるPHEVのなかでもトップの性能なのです。

 

実際に試乗すると、満充電時のEV走行はやはり最高でした。日常的な使用環境ならエンジンの出番はなく、室内は常に静粛。水素充填の不便さが否めないFCVに対して、本車が大きなメリットを持つことは間違いありません。

 

【注目ポイント01】室内はくつろぎ感をアピール

充電&給油口の開閉スイッチが3つもあるのはPHEVならではですが、室内の作りは基本的にFCVと同じ。バッテリーは床下に搭載されるが、室内空間の広さは十分です。

 

【注目ポイント02】容量はFCVより大幅にアップ

FCV仕様は巨大な水素タンクにスペースを取られてしまいますが、PHEVでは512ℓもの荷室容量を実現。後席が分割可倒式となるため、長尺な荷物の積載も可能です。

 

 

その3

パワフルな走りは“ホットハッチ”に相応しい

フォルクスワーゲン ポロ GTI

(ハッチバック)

SPEC●全長×全幅×全高:4075×1750×1440㎜●車両重量:1290㎏●パワーユニット:1984㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:200PS/4400〜6000rpm●最大トルク:32.6㎏-m/1500〜4350rpm●JC08モード燃費:16.1㎞/ℓ

 

ボディサイズに見合わない重厚な乗り心地を味わえた

フォルクスワーゲンの高性能なスポーツモデルに与えられる伝統ある称号「GTI」を冠したポロが、日本に上陸しました。エンジンはゴルフGTIと共通の2ℓターボを採用し、最高200馬力&最高トルク32.6㎏-mのパワーを備えています。全長約4mのコンパクトボディでこれを実現したのは圧巻で、“ホットハッチ”に相応しい性能でしょう。

 

パワフルではあるものの、ドライビングフィールに粗さはありません。わずか1500rpmで最大トルクに到達するエンジンは、日常域での扱いやすさも感じさせました。引き締まった乗り心地は上々で、ボディサイズに見合わない重厚感をも味わえるほど。速いだけでなく、ちょっと贅沢なコンパクトカーとして、オススメしたい一台です。

 

【注目ポイント01】エンジンはゴルフ譲りの2ℓ

ポロGTIで初採用となる2ℓターボエンジンは、ゴルフ用がベース。先代に対して出力が8馬力、トルクは7.1㎏-m向上しています。ミッションはツインクラッチの新世代ATです。

 

【注目ポイント02】チェック柄シートなどを継承

GTIの伝統でもあるチェック柄のシートファブリックや、トリムパネルをはじめとするレッドのアクセントで、室内はスポーティな装いになります。快適装備も充実しています。

 

文/小野泰治 写真/宮門秀行

ホームセンターで見つけてしまった「愛車がピカピカになる洗車グッズ」集

快適なドライブには、キレイなボディが必要。セルフ洗車派は、一度ホームセンターの洗車グッズを試してみてください。専門店より低価格で購入できるうえ、専門的にも負けない品揃えを誇っています。

 

その1

濡れたボディも大丈夫!二度拭き不要の時短ワックス

コメリ

NEW簡単ワックススプレー

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洗車後のボディとガラスにスプレーし、拭き上げるだけでワックスがけが完了する。洗車後の濡れた状態のボディにも使用でき、二度拭き不要。従来品より撥水力がパワーアップしています。【ボディ・ガラス用ワックス】【全色対応】【撥水】

その2

モコモコの泡が車をやさしくキレイに洗浄!

コメリ

たっぷりの泡で汚れを落とすカーシャンプー 2ℓ

298

豊富できめ細やかな泡と優れた洗浄力でボディをすっきり洗えるカーシャンプー。25倍に希釈して使用します。全色対応だから車の色を気にせず使えて便利。水滴じみを防ぐイオンキレート剤も配合。【ボディの汚れ】【ボディ・タイヤ用洗剤】【全色対応】【水あか防止】

 

その3

汚れが気になったときに水に濡らして拭くだけ

コメリ

水だけで汚れスッキリミトン KW-14

498

洗剤なしで汚れを落とすことのできるミトン型クロス。凹凸加工のマイクロファイバーが頑固な汚れをしっかりかき出します。【ボディ・ガラス用クロス】【洗剤不要】

 

その4

艶と撥水効果を与えるお手軽クロス

DCMホールディングス

水なし洗車ワックスシート L-PS015

429

拭くだけで洗車とワックスがけの両方を行える使い捨てクロス。汚れを落とすだけでなく、艶出しと撥水コーティングを施せます。12枚入り。【ボディ用クロス】【全色対応】【撥水】

 

 

その5

傷を消して艶を出すレスキューセット

コメリ

傷ケシ艶出しセット

698円

ボディのすり傷を消して艶を出す修理セット。磨きやすいネルクロスが2枚付属している。研磨剤でこすって傷を消したあと、ワックス成分を配合した艶出し剤で磨けばきれいなボディが復活します。【傷修理セット】【全色対応】

 

 

その6

泡がじっくり浸透し変色と劣化も防止

コメリ

タイヤワックス KH05

298円

1本でタイヤの洗浄とワックスがけを行えます。スプレーすると泡がじっくりと浸透し、タイヤの変色や劣化を防ぎながら、艶を与えます。【タイヤの洗浄&ワックス】

 

 

その7

トリプルシリコンで約1か月雨を弾く!

コーナン

ウインドガラス撥水剤

ビューコート KFJ07-1778

321

ガラスに塗り込み固く絞ったタオルで拭くと撥水コーティングできます。トリプルシリコンを配合していて、1回塗ると30〜45日間雨を弾きます。【ガラス用撥水剤】

 

【→併用すると効果アップ!】

洗浄力と撥水力が抜群で視界良好!

コーナン

撥水型ウインド ウォッシャー液

2ℓ KT07-8168

375

頑固な窓の汚れを落としながら撥水効果をもたらすウォッシャー液。ビューコートと併用すると、撥水効果がより長持ちします。【ウォッシャー液】

 

 

その8

用途に合わせて自在に変えられるホースノズル

コメリ

伸縮パターンノズル

角度自在

1980円

使用目的に合わせて伸縮するノズル。ヘッドの角度を自在に変えられて、ルーフの上も車体の下も立ったままラクに洗うことができます。ノズルの水形は用途に応じて選べます。

 

その9

素早くたっぷり水を吸う大判クロス

DCMホールディングス

吸水クロス L-EM005

ビッグサイズ

950円

スポンジ加工を施したクロス。タオルのように繊維がくっつくことがなく、ひとふきでしっかり吸収します。55㎝×30㎝のビッグサイズで3枚入り。

 

その10

洗いにくい部分にしっかりフィットし汚れをかき出す!

コーナン

LIFELEX 隙間すっきり

スポンジ KOT07-8451

321円

ドアノブやスライドレールなど狭い隙間にもフィットする凹凸面があるスポンジ。握りやすいように中心がくびれています。

 

その11

Z字型に歪曲した柄が洗いやすさのカギ!

カインズ

ルーフもラクに洗える柄付きスポンジ

1480円

Z字型で持ち手の位置が下がった洗いやすい柄付きスポンジ。スポンジ部分を柄からはずしホースとつなげば、水を流しながら洗車もできます。

 

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カー用品店、顔負け。ホムセンで見つかる「気配りカーグッズ」集

快適なドライブには、心地よく過ごせる車内空間が必須。ここでは、ニオイ対策アイテムから、隙間を生かした収納トレイまで。あなたの愛車を快適空間に変える気配り商品をホームセンターで探してピックアップしました。

 

その1

エアコンの風でドリンクの飲みごろ温度をキープ!

コメリ

コンパクトドリンクホルダー

498

エアコンの送風口に付けるコンパクト設計のドリンクホルダー。吹き出し口にクリップを差し込むだけの簡単装着。エアコンの風によってドリンクを保冷・保温できるのがうれしいです。

 

↑スマホ置きにもなります

 

その2

隙間に差し込むだけで収納スペースを確保!

カインズ

すきまトレイ 2個入り

398

座席とコンソールの間をはじめとした車内の隙間を収納スペースに変えられます。隙間に差し込むだけなので、状況に合わせて簡単に設置場所を変えられます。汚れたら水洗いも可能です。

その3

手ごろな価格なのに香りが上質だから大人気

コーナン

クリップ式 芳香剤

213円

エアコンの吹き出し口に付けるクリップ一体型の芳香剤。コスパの良さに反し、上質な香りがするとして人気です。消臭剤も配合しています。スカッシュ、ムスク、クリアミストの3種類。

 

その4

携帯灰皿にもなるセパレート型の灰皿

カインズ

携帯灰皿にもなるボトルアッシュ

980

ふたとボディが分かれる灰皿。ふた部分は単体で携帯灰皿として使え、車の中ではボディに付けてドリンクホルダーに収まる置き型灰皿になります。ふたとボディはマグネットでくっつきます。

 

その5

長時間のドライブをシートから快適にする!

コーナン

メッシュ腰当て

KOF07-6254 ビーズ付

538

運転席のシートにセットする腰当て。腰にぴったりフィットする立体カーブと通気性抜群の蒸れにくいメッシュ素材で、長時間のドライブも快適です。ビーズの心地よい刺激が腰と背中の疲れを癒してくれます。

 

その6

座席の下から空気を変える陰の立役者

 

DCMホールディングス

シート下消臭剤

537

ゴミが少なく環境にやさしいエコパック仕様の消臭剤。座席の下に置くと車内の空気を良い香りにしてくれます。銀イオン配合で、不快なニオイを防止。効果が2、3か月持続します。

 

その6

ダッシュボードに貼り付く便利なシート

コメリ

すべり止めシート

498

ダッシュボードの上に敷くだけで小物置き場を作れるシート。置いた物が滑らないようにしっかりホールドします。必要なサイズにカットでき、汚れたら水洗いも可能。衝撃吸収効果もあります。

 

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自動車評論家に衝撃走る! 「シングルタイヤ」が日本のベビーカーに革命を起こす

モータージャーナリストの私には、2歳の長男と6か月長女がいます。長男はそろそろベビーカーを卒業し、かわってこれから長女が使う機会が増えていきますが、思えばベビーカーというのは、それなりに長い期間を毎日のように使うもの。

 

わが家は、メインで使う妻の要望で、ネットの情報を参考にしながら、とにかく軽いベビーカーを選びました。妻はこのバギーに対してあまり不満もなく、軽くてよいと感じている様子。しかし、筆者は、職業柄か、4つのタイヤが付いているものならなんでも走りを分析したくなります。わが家のベビーカーについても、走行性能についてはいろいろ思うところもありました。たしかに軽い点では重宝しているものの、走行性能については不満を覚える点も多々あります。そんな折、今回ピジョンのベビーカーを取材することができたのですが、もしこれから述べる話をもっと前に知っていたら、迷わずピジョンのベビーカーを選んだのにと少し悔しく思っています。

 

ベビーカーのタイヤってどうなっているの?

↑シングルタイヤ(左)とダブルタイヤ

 

「Runfee」や「Bingle」をはじめ、ピジョンのベビーカーの最大のポイントは「シングルタイヤ」を採用していること。そして、シングルタイヤは「走行性」に優れていることが特徴です。ベビーカーにダブルタイヤとシングルタイヤがあることは、普段、街中で見かけてなんとなく認識していましたが、両者の間に大きな違いがあることはまったく知りませんでした。そこが、ピジョン開発本部の主任研究員である加藤義之さん(写真下)からお話を伺って思い知らされた点です。

日本製のベビーカーではダブルタイヤが多い一方、海外製品ではシングルタイヤが主流。それぞれ一長一短あります。シングルタイヤは走行性能において優れていますが、どうしても重くなりがち。対するダブルタイヤは軽くできる反面、走行性能に劣ります。

 

また、工業製品というのは生産上どうしてもある程度のバラツキが生じるものですが、しっかり走らせるためにはシングルタイヤのほうが高い精度が求められるのに対して、ダブルタイヤは「ごまかし」が利くとのこと。さらには、車体の骨格や車輪の取り付け部の剛性や角度の設計など、シングルタイヤのほうがはるかにシビアだそうなのです。このような理由でシングルタイヤのほうが作るのが難しくなっていますが、それでも、走行性能を重視する地域、特に欧州ではシングルタイヤが主流。対照的に、日本では軽さが一番に求められるうえ、色やデザインの可愛らしさでベビーカーは選ばれています。

走りのよさを追求するとは、まさしく筆者の専門分野である自動車に通じる話。最近では日本車もレベルアップして、欧州車とりわけドイツ車との差というのは、かつてよりもだいぶ小さくなったように感じていますが、欧州では走りが重視されるのに対して、日本ではそれがなおざりにされているというような話は、まさしくクルマの世界でもよく耳にしてきました。そしてベビーカーの世界でも、欧州の人は走りのよさを求める傾向が強く、それに応えるべく、これから述べるとおり走りの面で有利なシングルタイヤが一般的となっているのです。

 

「ベビーカーの使用期間は一般的に3年です。それなりに長い期間使うものになるので、軽さやデザインなどで選ぶ方も多くいらっしゃいますが、そうした表面的なものだけではなく、ちょっと視点を変えて、使いやすさを基準にして選んでいただいたほうがよいのかなと思っています。競合他社と差別化を図るのはなかなか難しいところですが、そこで私たちが着目したのがシングルタイヤです」(加藤さん)

 

開発にあたって加藤さんは最初、とにかく数多くの競合ベビーカーを試し、特に海外の製品をたくさん押して歩いたと言います。すると、シングルタイヤを採用した海外製品が概ね押しやすかったのに対して、ダブルタイヤを備えた日本製は押しにくいうえ、作りが粗いと感じるようになりました。

↑Runfee RA8

 

「ベビーカーは海外と日本では棲み分けが全然違います。日本製は剛性感に乏しく、ぐらつきがあったりして、押しにくく感じたものばかりで、単に運べればよいと考えているように見受けられたものが少なくありませんでした。それはママさんにとっても赤ちゃんにとっても好ましくない状況でしょう。しかし、海外製のものは非常に重いので、日本市場におけるニーズとかけ離れています。どうやったらこのような壁を打破できるのかと考えていました」(加藤さん)

 

ちょっとクルマに乗せて目的地まで移動するなど、ベビーカーを頻繁に畳んだり開いたりせざるをえないような場面が多々ある日本では、むろん軽いに越したことはありません。日本では軽さが重視されることにも、それなりの理由があるわけです。

 

そこで加藤さんはRunfeeを開発するにあたって、海外製と日本製の優れたところを掛け合わせると面白いものができるのではないかと考え、シングルタイヤながらも日本市場にマッチするように軽さを追求する方針を打ち出しました。

「シングルタイヤにすると走行性能が改善するのはよいけれど、普通にやると絶対に重くなるというのは当初から分かっていました。よくタイヤの数が減る分軽くなると思われがちなのですが、シングルタイヤを成立させるための構造面のことを考えると、実際にはその逆。そこでタイヤの代わりに躯体や車体の部分、赤ちゃんを乗せる部分で重量をできる限り落としました」と加藤さんは言います。

 

他社のシングルタイヤ製品は8kg台のものが多く、10kgを超える製品も多々見受けられるのに対し、Runfee RA8の重量は5.3kgと圧倒的に軽くなっています。また、Runfee RA8をダブルタイヤと比較してみても、ピジョンの「PATTAN」が4.7kgなので、両者の差は小さいといえるでしょう。シングルタイヤでこれほど軽量で押しやすいベビーカーというのは、現状では唯一ピジョンのランフィだけと加藤さんは胸を張ります。

クルマの技術をベビーカーの開発に持ち込んだ

実は、加藤さんは前職で自動車関連の開発に携わっていたという経歴の持ち主。ベビーカーの走行性の向上を図るために参考にしたのは、やはりクルマだったそうです。そこでまず、走りの要素を「直進安定性」、「段差乗り越え性」、「振動吸収性」、「転回操作性」、「転回安定性」、「静粛性」の6項目に分解し、クルマの走りを意識しつつ開発を進めました。また、シングルタイヤの優位性を確かなものとすべく、加藤さんはCAE解析(コンピューター技術を活用して製品の設計や開発をシミュレーションすること)やタイヤメーカー出身の大学教授らの力を借りたと言います。

 

構成する部品の強度や剛性、取り付けの角度などは綿密に計算されたうえで決められたもので、それぞれに意味があります。シングルタイヤとダブルタイヤでは車輪の数が違うだけでなく、部品の取り付け方や接続の構造もまったく異なり、入力の伝わり方も違ってきます。一般的なダブルタイヤの衝撃吸収構造はあまり凝ったものにはならないのに対し、スイング式のサスペンションを持つランフィでは上下だけでなく前方からの力も吸収。さらに、軽くてクッション性に優れる中空構造のタイヤが振動を巧みに吸収してくれます。

また、タイヤの外径が大きいほうが段差を乗り越える際の踏破性が高まります。外径18cmのタイヤを採用したRunfee RA8も、段差の乗り越えやすさについては、すでに多くのユーザーから高く評価されています。

走りにおけるシングルタイヤとダブルタイヤの最大の違いは、タイヤの接地点にあります。荷重のかかり方からして、ダブルタイヤの場合はパイプからくる軸とタイヤ同士の軸が離れているので、実は常に横に細かく揺れるような動き方をします。ところがシングルタイヤでは構造的に同軸上なので、タイヤの横ブレは絶対的に少ないゆえに、不快な振動が減少されます。

実際に試してみると、まさしく目からウロコ! 同じ条件の場所でシングルタイヤと押し比べてみたところ、その違いは歴然としていることがよく分かりました。シングルタイヤのほうが思った通り素直な動き方をします。これは、よくクルマの走りを表現するときに用いる“意のままのハンドリング”そのもの。狙ったとおりにラインをトレースしていけるので、これなら狭い場所を通らざるをえないような状況でも押しやすく、苦になりません。

一方、ダブルタイヤは、直進時の据わりも悪ければ方向性も定まりにくいです。その理由は4か所それぞれで両輪がバラバラに動いてしまうから。2輪ずつあるならより安定するような気がするところですが、実際にはそんなことはありません。安定感は車幅の広さで決まるものであって、タイヤの数の問題ではないのですね。

シングルタイヤが静かなことをご存知?

シングルタイヤのメリットはそれだけではありません。前述したように、振動と密接に関わってくるのが「音」。音の発生するメカニズムにはいくつかの要素がありますが、そのなかで最も大きく影響するのが振動です。

 

ダブルタイヤの場合はキャスターの軸とタイヤの軸が離れていることから、どうしても不規則な動きを常にしていることになります。実は片方のタイヤが上がってはもどり、次に別のほうが上がって下がり、片方だけ上がって下がるなどといったような動きを細かく繰り返していて、それが音になっているのです。

 

これはダブルタイヤ特有の現象で、シングルタイヤではそのような動き方はしないので、振動が圧倒的に少なく、その結果、静粛性も向上します。特に荒れた路面では音の違いが顕著。「ダブルタイヤのベビーカーを押してくると、ダブルタイヤだとすぐ分かります(笑)」と加藤さんは言います。

 

実際にどれぐらい違うのでしょうか? 詳しく測ってみると全然違います。専門の測定メーカーとのコラボレーションにより、ブロック敷きの路面で「ランフィRA8」とダブルタイヤのベビーカーを押したときのタイヤ近傍に設置したマイクラウドネスの結果はこの通り。平滑面において、実に約3分の1も走行音が静かであることがわかりました。シングルタイヤは条件が悪くなるほど優位になると加藤さんは言います。

このように静粛性にも優れることが明らかなので、「シングルタイヤは音も静かだ」ということをもっと伝えていきたいと加藤さんは強調します。

 

「ピジョンが競合他社さんと差別化できる要素として、シングルタイヤによる走りやすさという価値はあると自負しています。軽さももちろん大事だし、見た目の好みもあると思いますが、ママさんが使うことを考えると、ベビーカーを選ぶときにはもっといろいろな着眼点を持っていただいて、そのなかでもぜひ走行性能というものをもっと意識していただき、さらに音という部分にも目を向けていただけると幸いです。そうした走行性能に優れたベビーカーを選ぶと、より快適に子育てしていただけることをもっと伝えていきたいと思います」

 

日本のベビーカーにイノベーションを

そんなわけで冒頭でもお伝えしたとおり、いろいろお話をうかがって、もしもいま私がベビーカーを選ぶとしたら絶対にピジョンのランフィだと強く思ったわけです。筆者だけでなく、シングルタイヤはよいものだということが幅広く理解されると、いずれは日本でも走りのよさで選ぶことがベビーカーの常識となるかもしれません。

 

それにはまず少しでも多くのユーザーによさを実感してもらうことが大事。ピジョンではクルマの試乗会のように、「シングルタイヤ走行体験会」を全国各地で実施し、店頭の段差や疑似ロードを設定したスペースで実感してもらえる機会を設けているので、関心がある方はぜひ足を運んでみることをおすすめします。

 

走行体験会詳細はコチラ

 

テクノロジーの集合体である自動車に比べると、ベビーカーの進化というのはずっとゆっくりであることには違いありませんが、まさしくこうした取り組みからブレークスルーが始まるのではないだろうかと思います。ピジョンのシングルタイヤには、日本のベビーカーに変革をもたらすことを感じさせるだけのインパクトがありました。

 

【中年名車図鑑|ダイハツ・リーザ・スパイダー】「平成ABCトリオ」と同時期にデビューした超希少オープン

ダイハツの新世代スペシャルティ軽カーとして、1986年に市場デビューを果たしたリーザ。同車は1990年に新規格に移行し、翌91年にはユニークなオープンボディ仕様が追加される――。今回は平成ABCトリオと同時期にデビューし、往年のコンパーノ・スパイダーに倣って車名がつけられたダイハツ製軽自動車の超希少モデル、「リーザ・スパイダー」の話で一席。

【Vol.82 ダイハツ・リーザ・スパイダー】

軽自動車の個性化とハイパワー化が一気に進んだ1980年代後半の日本の自動車市場。この状況下でダイハツ工業は軽自動車のさらなる車種強化を図り、1986年12月にはミラ/クオーレに続く乗用軽シリーズの「リーザ」をデビューさせた。

モナ・リザのように“多くの人々に愛される”魅力的なクルマとの願いを込めて命名されたリーザ(Leeza)は、パーソナルユースをメインとした3ドアハッチバック車で、“エアロヘミサイクル”と呼ぶ半球形のクーペ風スタイリングに前席重視の室内レイアウトを採用する。また、電動ドアミラーやAM/FM電子チューナーといったクラス初の快適アイテムも装備した。車両タイプはL100S型系のセダンとL100V型系のバンを用意し、販売の主力には維持費の安いバンを据える。搭載エンジンはEB型系547cc直列3気筒OHCの自然吸気(32ps)とターボ仕様(50ps)の2機種を設定した。

 

リーザはその後、1989年1月にEFIの燃料供給装置を採用したターボ付きEB26型エンジン(64ps)を搭載するTR-ZZ EFIを追加し、同年中には特別仕様車のケンドーン/クラブスポーツをリリースする。そして、1990年8月になって軽自動車の新規格に対応したマイナーチェンジを行い、EF-HL型系659cc直列3気筒OHCエンジン(50ps)を積み込み、ボディも大型化したL111S型系に移行。キャッチコピーに“CRAFTSMANSHIP”“ダイハツしか作れない”と冠し、車種展開も大きく見直された。最大の特徴は、従来型では限定モデルのグレード名として使われたネーミングがカタログモデルに発展したことで、マイナーチェンジ以後はスポーティモデルが「OXY」(オキシー)、女性ユーザーをターゲットに据えた充実装備のモデルが「ChaCha」(チャチャ)を名乗るようになる。同時に、スタンダード仕様は「R」のグレード名に変更された。また、このマイナーチェンジではバン仕様が廃止され、セダンモデルに一本化される。物品税の廃止および消費税の導入などに伴う軽ボンネットバンの税制上のメリットが大幅に失われたための処置だった。

 

■参考出品時は4シーターオープン

専用ボディで開発された「平成ABCトリオ」とは異なり、「既存車のオープンボディ化」の手法をとった

 

市場ニーズに即したリーザの改良を着実に図る一方、ダイハツの開発陣は同車のスペシャルティ度をさらに引き上げる企画を打ち出す。“オープンボディ”の採用だ。1980年代終盤、軽自動車をリリースする各メーカーは後にバブル景気といわれる好況を背景に、スペシャルティ度満点の新型軽カーの開発に勤しんでいた。ホンダはミッドシップ・オープンスポーツのビートを、スズキはハードトップ/Tバールーフ/タルガ/フルオープンに変身するFRスポーツのカプチーノを、マツダはガルウィングドアを組み込んだミッドシップスポーツのオートザムAZ-1を企画する。これらのモデルは専用ボディを採用するまっさらな新型車として開発されるが、一方のダイハツは既存車のオープンボディ化という方策をとった。

 

オープンカーのリーザは、まず1989年開催の第28回東京モーターショーに参考出品される。車名は往年のコンパーノのオープン仕様に倣って「スパイダー」のサブネームが付けられた。このモデルは福岡のコーチビルダーが製作したもので、スポーツグレードのTR-ZZをベースとする。ハッチバックのルーフはAピラー以降を大胆にカット。そこに補強のためのドア三角窓フレームと折りたたみ式の幌を装着し、室内レイアウトはベース車と同じ4シーターのままとしていた。

ベルトラインのリアスポイラーやカラードバンパー、専用デカール、アルミホイールなどを装着

 

スポーティに演出されたショーモデルのリーザ・スパイダーは、現実的なフルオープン軽自動車として観客の注目を集める。当時のスタッフによると、「ちょっと見では展示車の完成度がかなり高かったため、多くの来場者がすぐに市販されると思ったようです。だから販売時期や価格を尋ねる人が予想以上に多かった」という。これに自信を深めたダイハツの首脳陣は、リーザ・スパイダーの市販化にゴーサインを出した。

 

■2シーターオープンに改良されて市場デビュー

既存車のオープンボディ化のため、ボディ剛性の確保と幌の設計に苦労した。人工皮革のプリセーム地バケットシートやモモ製本革巻きステアリングを装備

 

市販版のリーザ・スパイダーは、新規格モデルをベースとすることが決定される。オープン化に当たっては、幌の収納性やボディ後部の剛性確保を検討した結果、2シーターに変更。また、ボディ補強に伴う重量増(市販時の車重は730~740kg)に対応するため、搭載エンジンはEF-JL型659cc直列3気筒OHC12Vインタークーラーターボ(64ps/9.4kg・m)に1本化し、トランスミッションには5速MTと3速ATを組み合わせた。前マクファーソンストラット/後セミトレーリングアームの懸架機構にも専用セッティングを施し、滑らかでバランスのいい走りを実現した。

 

オープン化に当たって開発陣が苦労したのは、やはりボディ剛性の確保と幌の設計だった。ボディについてはフロアやドア、さらにコクピットまわりを可能な範囲で補強。幌に関しては防水性と格納操作性(手動開閉式)、デザイン性などを踏まえながら開発していく。とくに防水性能では、開発の最終段階までシールゴムの形状チューニングを繰り返した。

 

開発陣は内外装の演出にもこだわる。エクステリアではベルトラインのリアスポイラーやカラードバンパー、専用デカール、アルミホイールなどを装着。ボディサイズは全長×全幅×全高3295×1395×1345mm/ホイールベース2140mmとする。内包するインテリアでは、人工皮革のプリセーム地バケットシートやモモ製本革巻きステアリングといったスポーティなアイテムを標準で装備した。

 

当初リーザ・スパイダーは改造自動車扱いで発売することを予定していたが、役所から「指定自動車扱いにするように」という指導があり、急遽認証車両を製作して公式試験を受ける。これにパスしたのが1991年9月。その2カ月後の11月には、L111SKの型式をつけてついに発売にこぎつけた。

 

苦労を重ねた末に市場に放たれたリーザ・スパイダー。しかし、軽のオープンスポーツとしてはホンダ・ビートやスズキ・カプチーノの陰に隠れ、また走行性能の面でもクローズド時の幌のバタつきやボディの剛性不足が指摘されてしまう。結果的にリーザ・スパイダーは1992年に生産を中止。リーザの実質的な後継モデルとなるオプティではオープン仕様が設定されず、ダイハツ製オープン軽カーの再登場は2002年6月発表のコペンまで待たなければならなかったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

日本で生み出される廃タイヤは年間1億本近く――「リトレッドタイヤ」が解決する?

みなさんは「リトレッドタイヤ」ってご存知ですか? タイヤは使っているうちに摩耗し、スリップサインが出たら交換。そして廃棄されるというのが一般的ですよね。日本自動車タイヤ協会によれば、こうして生み出された廃タイヤは年間8300万本、廃車に伴う廃タイヤを含めると9700万本にも達するそうです。なんと日本だけで1億本近くが廃棄されているんですね。そんななかで登場したのがリトレッドタイヤなんです。

 

名前の由来は次のとおり。タイヤが路面に設置する面を“トレッド(Tread)”と呼びますが、これに“リ(Re)”を付けたもの。つまり、タイヤとしての機能を復元して再利用(リユース)するタイヤのことなのです。そのため、別名「更生タイヤ」とも呼ばれています。

 

リトレッドタイヤを早くから利用していたのは飛行機です。飛行機が着陸する際の速度は270km/h近いと言われ、数十トンもの機体をタイヤが一手に受け止めて停止させます。このとき、タイヤは機体の速度に一致するまでスリップすることとなり、摩擦によって白煙が上がるわけです。

↑着陸時に上がる白煙。飛行機にはリトレッドタイヤが早くから使われていた

 

当然ながらこのとき、タイヤは激しく摩耗しますが、その耐用回数は約500回! とはいえ、いずれは耐用回数に到達します。かといって、そのたびにタイヤを廃棄していたのでは環境にも悪影響を与えることになります。そこで、交換時期がきたらリトレッドタイヤとして再利用することが考えられたわけです。

 

ではリトレッドタイヤはどうやって作られるのでしょうか。そんな疑問を持っていた矢先、日本ミシュランタイヤのトラックやバスなど商用車向けリトレッドタイヤを製造している現場を見学できる貴重な機会を得ました。場所は新潟県糸魚川市。ここでは日本ミシュランタイヤの顧客が使用済みとしたタイヤを回収して、リトレッドタイヤとして再利用しています。これによって新品を新たに購入するよりもコストも下がって環境にも優しい、そんなリユースの流れを作り出そうと取り組んでいるのがこの工場なのです。

↑積み上げられた摩耗したタイヤはすべて契約した顧客から回収したもの

 

タイヤを再利用するうえで日本ミシュランタイヤが柱としているのが「ミシュラン3R」コンセプトです。「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の頭文字を取ったもので、「リデュース」はロングライフ性能の向上でタイヤの負担を軽減し、「リユース」で摩耗したタイヤの溝を掘り直して寿命を延ばしつつ安全性を向上させます。さらに「リサイクル」となるのがタイヤにトレッドを貼り直して再利用する(リトレッド)となるわけです。

↑ミシュラン3Rは、「リグルーブ」「リトレッド」を活用することで、タイヤ経費を削減するとともに、廃棄物の削減や省資源化、CO2排出量削減に貢献する

 

↑ミシュランが提供する「3R」コンセプトのソリューション

 

↑最初に摩耗したタイヤは専用の工具で溝を作り出す「リグルーブ」で対応する

 

日本ミシュランタイヤが商用車向けに提供しているタイヤは、あらかじめこの再利用を前提とした造りとなっており、そのためトレッド面は摩耗したトレッド面を削れるだけの厚みが与えられている構造となっています。日本ミシュランタイヤのリトレッドタイヤはこの段階からスタートしているのです。

↑ミシュランのタイヤはリグルーブやリトレッドに適した構造体を備えているのが特徴となっている

リトレッドタイヤはいかにしてできる? 生産工程をチェック【動画アリ】

工場を訪れてまず目にするのが山となった使用済みタイヤです。そのタイヤはまずしっかりと洗浄され、そのうえで超音波ウルトラソニックを使うシアログラフィ検査機にかけて部材の剥離がないかをチェック。さらにこの検査機によって通ったものをベテランの検査員が目と触診でもう一度チェックします。以前はこの目視だけだったとのことですが、シアログラフィの導入により「検索漏れは大幅に減った」(日本ミシュラン)と言います。

↑超音波ウルトラソニックで部材間の剥離を見つけ出すシアログラフィ

 

意外だったのは工程のなかで想像以上に人の手が介在していたことでした。工場のなかには工程ごとに必ずと言っていいほど担当者が割り振られ、相当な暑さ(この日は外気温が32度にもなっていた)のなか、黙々と作業が進められていたのです。ここまで人の手を経ていた理由について日本ミシュランは、「コストはかかるものの、日本ミシュランタイヤでは多品種少量生産を基本としており、その目的を達成するには人手を介在するほうが効率が良い」とのことでした。

 

検査工程を終えるとタイヤは次に「バフがけ」の工程に入ります。ここでタイヤはトレッド面をサイズ/パターンに応じて設定値まで削り、続いて損傷部分を整えるスカイプ工程へと移されます。貫通した傷があった場合は、それを埋めたり、パッチを貼って修理も実施。そして、削ったゴム面が酸化しないように加硫用セメントを塗られると、トレッドを貼り付けるケーシングの下準備が整うわけです。

↑トレッド面をサイズ/パターンに応じた設定値に削るバフがけ。すべてコンピュータ制御で行われる

 

↑削ったゴムが酸化しないように加硫用セメントを塗り、そのうえで溶けた合成ゴムで削った部分を埋めていく

 

ここからはいよいよトレッド面の貼り付けとなります。このトレッド面はあらかじめパターンが付いており、溶剤を塗布したうえでこれをケーシングに巻き付けていきます。ここで求められるのは継ぎ目をブロック形状に合わせる高度な技術。作業ではトレッド面とケーシングと一体化するためのテーピングも同時に行われていましたが、作業を終えたタイヤを見ると合わせ目が寸分の狂いもなく貼り付けられ、ホチキスでしっかりと固定されていたのです。これには驚きました。

↑トレッドをビルディング機の台の上で一旦伸ばし、溶剤を塗ってビニルに巻き直す

 

↑ケーシングにトレッドを貼り付ける。継ぎ目はホチキスで止め、加硫を終えたあとの仕上げ工程で取り外す

 

<動画でもチェック!>

 

そして、タイヤに熱を加えてケーシングと一体化させる最終工程へと移ります。ここで成形作業を終えたタイヤはエンベロープと呼ばれるゴム袋で包まれ、包んだあとは不要な空気を抜いていよいよ加硫機のなかに入れられて熱が加えられます。数時間後、加硫を終えたタイヤはエンベロープが外され、もう一度機械を用いて実際の走行状態と同レベルの圧力をかけて耐久性をチェック。目視でも検索を終えたタイヤは温かいうちに専用塗料を塗られてリトレッドタイヤは完成となるわけです。

↑エンベロープと呼ばれるゴム袋で包まれたタイヤは加硫機に投入され、長時間加硫されたあと、取り出される

 

↑加硫されたタイヤを手早くエンベロープから取り出す。かなり力のいる作業だ

 

↑加硫で仕上げられた直後のリトレッドタイヤ。このあと、ホチキスの針が抜かれる

 

↑加硫を終えたタイヤは実際の走行状態と同レベルの圧力をかけて耐久性をチェック

 

↑左から新品の「X One」、摩耗した「X One」、リトレッドした「X One」

 

<動画でもチェック!>

ところでこの方法は「コールド(プレキュア)方式」と呼ばれるもので、“多品種少量生産”に向いているとされます。たとえば多くのパターンに対応するのに有利とされます。一方、ケーシングにパターンがついていないトレッド面を貼り付けて金型に入れてパターンを付けるのが「ホット(リ・モールド)方式」です。生産効率が高いのはこちらの方式ですが、あくまで同一のパターンであることが前提となります。日本ミシュランタイヤによれば、海外では一部で「ホット(リ・モールド)方式」で生産している工場もあるが、大半は日本と同じ方式で対応しているとのことでした。

 

なお、日本ミシュランタイヤは、今年10月よりトラック・バス向けワイドシングルタイヤ「MICHELIN X One(ミシュラン エックスワン)」のリトレッドタイヤ2種を発売すると発表しました。1つはあらゆる天候の路面で優れたグリップを発揮する「MICHELIN X One XDN 2 リトレッド」で、もう1つはトレーラー用「MICHELIN X One MULTI ENERGY T リトレッド」。

 

もともと「MICHELIN X One」は、トラックの後輪に装着されている2本(ダブルタイヤ)を1本にするというコンセプトで開発されたタイヤで、1車軸当たり約100kgの軽量化を達成することができ、車両の輸送効率向上と環境負荷低減の貢献に寄与するとのことでした。日本ミシュランでは「X One」のリトレッド化を実現することで、ユーザーの選択肢を広げていく考えです。

 

日本で生み出される廃タイヤは年間1億本近く――「リトレッドタイヤ」が解決する?

みなさんは「リトレッドタイヤ」ってご存知ですか? タイヤは使っているうちに摩耗し、スリップサインが出たら交換。そして廃棄されるというのが一般的ですよね。日本自動車タイヤ協会によれば、こうして生み出された廃タイヤは年間8300万本、廃車に伴う廃タイヤを含めると9700万本にも達するそうです。なんと日本だけで1億本近くが廃棄されているんですね。そんななかで登場したのがリトレッドタイヤなんです。

 

名前の由来は次のとおり。タイヤが路面に設置する面を“トレッド(Tread)”と呼びますが、これに“リ(Re)”を付けたもの。つまり、タイヤとしての機能を復元して再利用(リユース)するタイヤのことなのです。そのため、別名「更生タイヤ」とも呼ばれています。

 

リトレッドタイヤを早くから利用していたのは飛行機です。飛行機が着陸する際の速度は270km/h近いと言われ、数十トンもの機体をタイヤが一手に受け止めて停止させます。このとき、タイヤは機体の速度に一致するまでスリップすることとなり、摩擦によって白煙が上がるわけです。

↑着陸時に上がる白煙。飛行機にはリトレッドタイヤが早くから使われていた

 

当然ながらこのとき、タイヤは激しく摩耗しますが、その耐用回数は約500回! とはいえ、いずれは耐用回数に到達します。かといって、そのたびにタイヤを廃棄していたのでは環境にも悪影響を与えることになります。そこで、交換時期がきたらリトレッドタイヤとして再利用することが考えられたわけです。

 

ではリトレッドタイヤはどうやって作られるのでしょうか。そんな疑問を持っていた矢先、日本ミシュランタイヤのトラックやバスなど商用車向けリトレッドタイヤを製造している現場を見学できる貴重な機会を得ました。場所は新潟県糸魚川市。ここでは日本ミシュランタイヤの顧客が使用済みとしたタイヤを回収して、リトレッドタイヤとして再利用しています。これによって新品を新たに購入するよりもコストも下がって環境にも優しい、そんなリユースの流れを作り出そうと取り組んでいるのがこの工場なのです。

↑積み上げられた摩耗したタイヤはすべて契約した顧客から回収したもの

 

タイヤを再利用するうえで日本ミシュランタイヤが柱としているのが「ミシュラン3R」コンセプトです。「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」の頭文字を取ったもので、「リデュース」はロングライフ性能の向上でタイヤの負担を軽減し、「リユース」で摩耗したタイヤの溝を掘り直して寿命を延ばしつつ安全性を向上させます。さらに「リサイクル」となるのがタイヤにトレッドを貼り直して再利用する(リトレッド)となるわけです。

↑ミシュラン3Rは、「リグルーブ」「リトレッド」を活用することで、タイヤ経費を削減するとともに、廃棄物の削減や省資源化、CO2排出量削減に貢献する

 

↑ミシュランが提供する「3R」コンセプトのソリューション

 

↑最初に摩耗したタイヤは専用の工具で溝を作り出す「リグルーブ」で対応する

 

日本ミシュランタイヤが商用車向けに提供しているタイヤは、あらかじめこの再利用を前提とした造りとなっており、そのためトレッド面は摩耗したトレッド面を削れるだけの厚みが与えられている構造となっています。日本ミシュランタイヤのリトレッドタイヤはこの段階からスタートしているのです。

↑ミシュランのタイヤはリグルーブやリトレッドに適した構造体を備えているのが特徴となっている

リトレッドタイヤはいかにしてできる? 生産工程をチェック【動画アリ】

工場を訪れてまず目にするのが山となった使用済みタイヤです。そのタイヤはまずしっかりと洗浄され、そのうえで超音波ウルトラソニックを使うシアログラフィ検査機にかけて部材の剥離がないかをチェック。さらにこの検査機によって通ったものをベテランの検査員が目と触診でもう一度チェックします。以前はこの目視だけだったとのことですが、シアログラフィの導入により「検索漏れは大幅に減った」(日本ミシュラン)と言います。

↑超音波ウルトラソニックで部材間の剥離を見つけ出すシアログラフィ

 

意外だったのは工程のなかで想像以上に人の手が介在していたことでした。工場のなかには工程ごとに必ずと言っていいほど担当者が割り振られ、相当な暑さ(この日は外気温が32度にもなっていた)のなか、黙々と作業が進められていたのです。ここまで人の手を経ていた理由について日本ミシュランは、「コストはかかるものの、日本ミシュランタイヤでは多品種少量生産を基本としており、その目的を達成するには人手を介在するほうが効率が良い」とのことでした。

 

検査工程を終えるとタイヤは次に「バフがけ」の工程に入ります。ここでタイヤはトレッド面をサイズ/パターンに応じて設定値まで削り、続いて損傷部分を整えるスカイプ工程へと移されます。貫通した傷があった場合は、それを埋めたり、パッチを貼って修理も実施。そして、削ったゴム面が酸化しないように加硫用セメントを塗られると、トレッドを貼り付けるケーシングの下準備が整うわけです。

↑トレッド面をサイズ/パターンに応じた設定値に削るバフがけ。すべてコンピュータ制御で行われる

 

↑削ったゴムが酸化しないように加硫用セメントを塗り、そのうえで溶けた合成ゴムで削った部分を埋めていく

 

ここからはいよいよトレッド面の貼り付けとなります。このトレッド面はあらかじめパターンが付いており、溶剤を塗布したうえでこれをケーシングに巻き付けていきます。ここで求められるのは継ぎ目をブロック形状に合わせる高度な技術。作業ではトレッド面とケーシングと一体化するためのテーピングも同時に行われていましたが、作業を終えたタイヤを見ると合わせ目が寸分の狂いもなく貼り付けられ、ホチキスでしっかりと固定されていたのです。これには驚きました。

↑トレッドをビルディング機の台の上で一旦伸ばし、溶剤を塗ってビニルに巻き直す

 

↑ケーシングにトレッドを貼り付ける。継ぎ目はホチキスで止め、加硫を終えたあとの仕上げ工程で取り外す

 

<動画でもチェック!>

 

そして、タイヤに熱を加えてケーシングと一体化させる最終工程へと移ります。ここで成形作業を終えたタイヤはエンベロープと呼ばれるゴム袋で包まれ、包んだあとは不要な空気を抜いていよいよ加硫機のなかに入れられて熱が加えられます。数時間後、加硫を終えたタイヤはエンベロープが外され、もう一度機械を用いて実際の走行状態と同レベルの圧力をかけて耐久性をチェック。目視でも検索を終えたタイヤは温かいうちに専用塗料を塗られてリトレッドタイヤは完成となるわけです。

↑エンベロープと呼ばれるゴム袋で包まれたタイヤは加硫機に投入され、長時間加硫されたあと、取り出される

 

↑加硫されたタイヤを手早くエンベロープから取り出す。かなり力のいる作業だ

 

↑加硫で仕上げられた直後のリトレッドタイヤ。このあと、ホチキスの針が抜かれる

 

↑加硫を終えたタイヤは実際の走行状態と同レベルの圧力をかけて耐久性をチェック

 

↑左から新品の「X One」、摩耗した「X One」、リトレッドした「X One」

 

<動画でもチェック!>

ところでこの方法は「コールド(プレキュア)方式」と呼ばれるもので、“多品種少量生産”に向いているとされます。たとえば多くのパターンに対応するのに有利とされます。一方、ケーシングにパターンがついていないトレッド面を貼り付けて金型に入れてパターンを付けるのが「ホット(リ・モールド)方式」です。生産効率が高いのはこちらの方式ですが、あくまで同一のパターンであることが前提となります。日本ミシュランタイヤによれば、海外では一部で「ホット(リ・モールド)方式」で生産している工場もあるが、大半は日本と同じ方式で対応しているとのことでした。

 

なお、日本ミシュランタイヤは、今年10月よりトラック・バス向けワイドシングルタイヤ「MICHELIN X One(ミシュラン エックスワン)」のリトレッドタイヤ2種を発売すると発表しました。1つはあらゆる天候の路面で優れたグリップを発揮する「MICHELIN X One XDN 2 リトレッド」で、もう1つはトレーラー用「MICHELIN X One MULTI ENERGY T リトレッド」。

 

もともと「MICHELIN X One」は、トラックの後輪に装着されている2本(ダブルタイヤ)を1本にするというコンセプトで開発されたタイヤで、1車軸当たり約100kgの軽量化を達成することができ、車両の輸送効率向上と環境負荷低減の貢献に寄与するとのことでした。日本ミシュランでは「X One」のリトレッド化を実現することで、ユーザーの選択肢を広げていく考えです。

 

「日本以上の日本車大国」インドネシアの最新クルマ事情。特に人気なのは――

インドネシア国内最大のモーターショー「ガイキンド・インドネシア国際オートショー2018(GIIAS2018)」が8月2日より12日までの11日間にわたって、ジャカルタ市郊外のインドネシア・コンベンションセンター(ICE)で開催されました。

↑昨年の来場者は約40万人だったGIIAS

 

インドネシア経済を支える重要産業ともなっている自動車産業。開催初日の8月2日はインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が会場を訪れており、いかに国を挙げてこのショーを盛り上げようとしているかがわかります。そんなインドネシアで開かれるモーターショーにはいったいどんなクルマが出展されたのでしょうか。

↑オープニングセレモニーではジョコ・ウィドド大統領も登場(右から2番目)

 

日本車の存在が圧倒的なインドネシア。今年はその状況に異変が――

実はインドネシアは東南アジアのなかでも特に日本車が強いことで知られています。直近の今年1月から7月までのシェアはなんと97.6%(トラックなど商用車含む)! これは日本国内よりも日本車のシェアが高い数字です。メルセデスやVWなど欧米勢はもちろん、韓国のヒュンダイなど“自動車業界の列強”が束になってかかっても敵わないという状況になっているのです。

 

なかでも圧倒的強さを誇るのが、トヨタ/ダイハツ連合です。ご存知のようにダイハツはトヨタの完全子会社の関係にあり、それはインドネシアでも同じ。ダイハツはインドネシア国内において2003年以降、トヨタとの共同開発車を相次いで発売。トヨタからの受託生産も行うことで両社合計でそのシェアは46.8%(今年1-7月)になり、半数近くを占めているのです。

 

その牽引役となっているのが、インドネシアで人気の多人数乗車ができるMPV「トヨタ・アバンザ」と、その兄弟車「ダイハツ・セニア」です。現在のタイプは3世代目で、いずれもダイハツがインドネシア国内で生産しています。2003年に登場した初代以降、この両車の人気は極めて高く、販売台数も常にトップを維持してきました。

 

ところが、昨年8月のGIIAS2017でこれを覆すことになる強敵が登場しました。それが三菱のMPV「エクスパンダー」です。このクルマ、登場時から評価が高く、インドネシアのカーオブザイヤー2018を受賞したほど。昨年10月に発売されると人気はうなぎ登りとなり、ついに今年1-7月の車種別販売台数ではアバンザ/セニアを抜き去ってトップの座に躍り出ました。三菱全体のシェアも13.2%と急伸。逆にそのあおりを受けたのがトヨタで、13.4%減。まさにエクスパンダーの影響をまともに受けた格好となったわけです。

↑昨年10月に発売開始以来、人気急上昇中の三菱「エクスパンダー」。今回発表された新グレードは上級志向に振った「GLS/AT」とスポーティな「SPORT/MT」の2タイプ

 

一方、海外勢でもその力を見せつけ始めているのが中国のウーリンです。今年1-7月のシェアはなんと1.4%を獲得。日本車と比較すればその数字は小さいように見えますが、この時点でマツダや日産よりもシェアは上回っているのです。インドネシアに参入してわずか1年足らずでこの実績は快挙と言っても過言ではないでしょう。

 

どうしてこんな快挙が達成できたのでしょうか。

 

ウーリンは中国国内でGM系メーカーとして販売実績を伸ばしており、海外進出の機会を虎視眈々と狙っていました。そうしたなか、2015年にGMがインドネシア国内での生産から撤退。このあとを受けたのがウーリンで、16年より国内生産を開始し、同時に販売店も充実させました。その結果、わずか1年で欧米勢を上回る実績を獲得できたというわけです。

↑“Drive、Grow、Progress”のテーマのもと、7人乗り多人数乗用車「ウーリンSUV」を発表

 

↑100%EVの「E100」は、中国で補助金の支給を踏まえると実質55万円という破格の価格で話題を呼びました

 

↑7人乗りMPV「コンフェロS」。これが市場拡大の牽引役となりました

日本では見かけないクルマが勢揃い!ダンスやミニコンサートなど見どころもいっぱい

そうした背景のもと、GIIAS2018は開催されました。会場となったICEはジャカルタ市内からクルマで小一時間ほどかかる再開発地域にあります。周囲にはショッピングモールやホテルなどが多数あるほか、インドネシア国内における自動車販売の最大手「アストラ」が手掛ける大型施設「AUTO2000 BSD City Astra」があることでも知られます。

↑会場となったICE

 

会場は中央ホールを中心に北ホールと南ホールに分かれ、その規模は千葉市にある幕張メッセと同じぐらい。ここの中央ホールには例年同様、BMW/MINIグループが陣取り、北ホールにバスやトラックなどの商用車と用品系が出展。南ホールに日系や欧米系乗用車メーカーが出展する配置となっていました。

↑会場の面積は5万㎡と、幕張メッセとほぼ同等の広さ

 

登場した新型車の大半は、すでにほかのモーターショーなどでお披露目されたものばかりで、目新しさという点ではイマイチの感は否めません。その意味では今年は新型車の端境期だったようです。それでも、MPV系やクロカン系など日本では見かけない車種が数多く出展されており、それを見れば東南アジアに来ていることを実感させてくれました。

↑バスのボディを架装する業者を「カロセリ」と呼びますが、インドネシア国内では大手だけでも100社以上あると言わています。LAKSANAはそのなかでも最大手のメーカーとして知られています

 

そんななか、唯一のワールドプレミアとなったのがホンダ「ブリオ」です。累計で23万台以上も販売した前モデルに続く第二世代モデルで、全長とホイールベースを拡大し、家族がゆったりと乗車できるのが最大のポイント。上級指向が強まっているユーザーの声に応え、あらゆる面で高品質さを追求しています。ラインナップは最上位の「TYPE RS」を筆頭に、標準車でエコカー減税が適用されるLCGC対象車である「TYPE E」「TYPE S」の3タイプを用意。この市場でのナンバーワンを狙います。

↑唯一のワールドプレミアとして発表されたホンダ「ブリオ」。全長とホイールベースを拡大し、家族がゆったりと乗車できるのが最大のポイント。ユーザーの上級志向に合わせています

 

各ブースはどこも平置きのフロア以外にステージを用意。ステージ上にはウリとする新車を並べ、ここではプレスカンファレンスも行われました。また、東南アジアで開催されるほかのモーターショーと同様、ダンスやミニコンサートといったイベントもこのステージ上で展開されました。

↑各ブースに設営されたステージではダウンスやミニコンサートなどが繰り返し披露されていました。これを見るために会場を訪れる人も少なくないそう

 

ほかのモーターショーでは見かけないのが「アストラ・フィナンシャル」のブースです。実は東南アジアで開催されるモーターショーは、新型車のお披露目をするだけでなく、実際に新車の販売も行われます。つまり、購入契約にあたってローンの仲介をするのがこのフィナンシャル会社なのです。親しみやすさを演出するためか、子どもが遊べるスペースを用意したり、ジョコ大統領が来場した際は民族衣装を着た子どもたちが出迎えたりするなど、その存在感は抜群でした。

↑ローン会社としてGIIASをサポートしていた「アストラ・フィナンシャル」。会場の至る所にブースを設け、ジョコ大統領が訪れた際は民族衣装を纏った子どもたちが出迎えました

 

また、会場の外に出ると「FOOD TRUCK FESTIVAL」という、キッチンカーが集まる屋台村ができていました。飲料メーカーの「Kopiko 78°」がスポンサーとなっているイベントで、インドネシア風弁当からホットドッグ、ケバブ、そして吉野家もあるなど、ここを巡るだけでインドネシアの食事情がわかるんじゃないかと思うほどの充実ぶり。

↑会場の外ではキッチンカーが集まる屋台村「FOOD TRUCK FESTIVAL」を開催。インドネシア風弁当からホットドッグ、ケバブ、そして吉野家など多彩なメニューが用意されていました

 

そして、今回のGIIAS2018で否応なく日本との違いを感じさせられたのが気温でした。連日35度を超えていた日本を出発し、赤道直下のジャカルタに着いたらどんだけ暑いんだろうと身構えていたわけです。ところが、驚いたことに日本よりも涼しかったのです! 朝晩は風が心地良く感じられ、昼間でも日陰にさえ入れば、屋外での食事も無理なくできてしまうほどでした。今年の気象状況がいかに異常なのか、身をもって体験したわけです。

 

また、「クルマ離れ」と言われて久しい日本と違い、インドネシアではクルマが憧れの存在。それだけにモーターショーには大勢の人が詰めかけます。会場を訪れるとその盛り上がり方が日本とはまるで違うことを肌で実感できました。そんな雰囲気を味わうためにもインドネシアをはじめ、東南アジアのモーターショーへ海外旅行のついでに出掛けてみてはいかがでしょうか?

 

最後に、各ブースの展示の様子をまとめました。

 

【ダイハツ】

↑ダイハツはコンパクトSUV「テリオス」をベースとした特別仕様車「テリオス・カスタム」を初出展

 

↑インドネシアで展開するコンパクトカー「アイラ」をベースとしたレーシングコンセプト、アイラ・ターボを出展

 

↑東京オートサロン2018出展車「ブーン」

 

【ジムニー】

↑あくまで参考出展としたジムニーはここでも大人気。ジョコ大統領も足を止めたほど。出展車は日本から持ってきたシエラで、「Jimny」のエンブレムを付けていました

 

【レクサス】

↑アジア初披露となったレクサスの新たなコンパクトSUV「UX」を出展。車両はジュネーブショーで披露された左ハンドルのままでした

 

↑北京モーターショーでデビューしたレクサス「ES」も東南アジア初披露となりました

 

【日産】

↑日産の新世代グローバル・ピックアップトラック「NP300ナバラ」の車台をベースに開発されたSUV「テラ」。インドネシアでの発表は4月の中国、5月のフィリピンに続く3番目。会場には懐かしい「テラノ」の姿もありました

 

【スズキ】

↑イグニス・スポーツは、ボディカラー別に3つの外観バリエーションを用意

 

↑インドネシア特産のバティック柄で身をまとったエルティガも出展

 

↑エルティガ・スポーツはノーマルよりもローダウンしたイメージで、精悍さを感じさせていました

 

【トヨタ】

↑東京モーターショーなど、ほかのモーターショーで披露された「コンセプト愛i」をインドネシア初出展

 

↑新たにCH-Rを加え、プリウスPHVなどとともにハイブリッドカーによる環境負荷の少ない社会を訴えていました

 

【BMW】

↑BMW/MINIは今年も中央ホールに“別枠”で陣取っていました

 

↑中央ホールをすべて使っただけにBMW/MINIの会場は広々としていました

 

【マツダ】

↑日本ではラインナップされていないマツダの最上位グレードSUV「CX-9」も出展

 

【いすゞ】

↑ピックアップのD-MAXをベースにしたSUVの「mu-X」。エンジンはコモンレール直噴ターボディーゼル

 

【アウディ/メルセデスベンツ】

↑欧州勢はBMW/MINI以外にもアウディやメルセデスベンツ、フォルクスワーゲンが出展

 

【シボレー】

↑アメリカ系で唯一出展したGM。マイチェンしたコンパクトハッチ「スパーク」と、SUV「トレイル・ブレイザー」を発表した

 

【オートバイ】

↑自動車への憧れは強いものの、インドネシアの庶民の足はいまもなおオートバイが中心。出展車両のなかには排気ガス規制の厳しい先進国では見られないキャブレター搭載車も

 

100万円台のVW車は本当にお得か? 「クルマ&カー用品」4製品をプロが○×チェック

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。

 

クルマというとどうしてもハードルの高い買い物と思いがちですが、今ではデザインと実用性にこだわった国産ミニバンと、上質なスタイリングと走りを両立する輸入ハッチバックはいずれもU-200万円と、意外とお手ごろな価格で手に入ります。話題のドラレコや電アシも含めて、専門家がシビアに〇✕判定しました。

 

【○×判定した人】

クルマ編集・ライター 安藤修也さん

元ゲットナビ編集部員。スーパーカーから軽自動車まで、幅広いジャンルのクルマに日々触れています。

軽より少し高いだけの価格ではるかに凌ぐ満足度を得る

近年の新車ランキング上位で多くを占めるのは軽自動車ですが、人気の理由はもちろんコスパの高さ。車両価格が安いだけでなく、燃料代や税金、保険料などの維持費も普通車に比べてリーズナブルです。

 

とはいえ、高速道路を走行するときなどは、軽自動車ののんびりとした加速感に不満を感じる人も多い。また、ボディ剛性にはどうしても不安が残る。これらを解消するためにターボエンジン搭載グレードを選んだり、安全装備をオプションで付けたりすると価格が大きく跳ね上がり、結局200万円を超えてしまうこともままあります。

 

ここで紹介するトヨタ シエンタとフォルクスワーゲン up!は、いずれも普通車ながらエントリーグレードなら100万円台で購入できる。前者は、ミニバンらしからぬスポーティなデザインと3列シート7人乗り、後者はVWらしい質感の高いスタイリングと走りが特徴です。最近の軽自動車は、全体に性能が高められているのも事実。とはいえ、それらに少し上乗せした価格で、はるかに凌ぐ満足度を手に入れられるクルマとしてオススメしたい。

 

【その1 トヨタ シエンタの場合】

スポーティなコンパクトボディに余裕のある3列シートを搭載

トヨタ

シエンタ

168万9709円〜

「ユニバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」をコンセプトとし、従来の“ハコ型”イメージを覆すスポーティな外観が特徴。小型ながら3列目までゆとりある室内空間や、高齢者や子どもにやさしい乗降性も備えています。SPEC【X“Vパッケージ”・FF】●全長×全幅×全高:4235×1695×1675㎜●車両重量:1310㎏●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHCエンジン●最高出力:109PS(80kW)/6000rpm●乗車定員:7人●JC08モード燃費:20.6㎞/ℓ

 

↑後方に絞ったキャビンと、コーナーが張り出したアンダーボディが特徴のリアデザイン。安定感のあるスタンスです

 

【Check!】

デザイン:〇

有機的でシトロエンのよう!

「まるでシトロエンのような有機的なデザインは、ミニバンのイメージとは一線を画します。カラーリングもアバンギャルド!」

 

走り:×

走りは凡庸だが燃費性能は高い

「走りは凡庸で高速走行には向きません。ただ、街乗りがメインなら問題なく、ハイブリッドでもガソリンでも燃費性能は◎」

 

快適性:〇

3列目シートは床下収納式

「このコンパクトボディに3列シートを収めたのは素晴らしい。3列目は床下収納式で、使わないときは室内をかなり広く使えます」

 

総評

「デザインに面白みの欠けるミニバンのなかではユニークな存在。最もリーズナブルな価格で買える7人乗りカーとして高く評価したいです」

【その2 フォルクスワーゲン up!の場合】

VWのエントリーモデルながら質感の高いスタイリングが魅力

ハッチバック

フォルクスワーゲン up!

159万9000円〜

スタイリッシュなデザインが人気の小型ハッチバック。軽自動車よりひと回り大きいほどのサイズで、大人4人が無理なく乗れる室内スペースを確保します。ユーロNCAPで最高評価5つ星の安全性能も魅力。SPEC【move up! 2ドア】●全長×全幅×全高:3610×1650×1495㎜●車両重量:930㎏●パワーユニット:999㏄直列3気筒DOHCエンジン●最高出力:75PS(50kW)/6200rpm●乗車定員:4人●JC08モード燃費:22.0㎞/ℓ

 

【Check!】

内外装の質感:〇

上質かつポップなスタイリングが魅力

「エントリーモデルといえども、内外装は輸入車らしく質感高い仕上がり。ドライバーを選ばないポップなスタイリングも魅力的です」

 

走り:〇

路面に吸いつくように走る!

「同クラスの国産車と比べて、シャーシ性能がかなり高いです。運転操作にリニアに反応するだけでなく、路面に吸いつくように走ります」

 

パワーユニット:×

パワーは物足りなさを感じる

「1ℓ3気筒エンジンに5速ASG(セミAT)の組み合わせ。先代からギクシャク感は改良されましたが、パワーに物足りなさを感じることも」

 

総評

「200万円以下で買える輸入車が少ないなか、本車はかなり割安感あり。トランスミッションも改善され、普通に乗れる良いクルマとなりました」

 

 

【その3 オウルテックのドライブレコーダーの場合】

証拠映像に使うのは厳しいが基本性能は必要十分

オウルテック

OWL-DR05-BK

実売価格6790円

W71×H69×D31㎜の小型サイズながら、視認性が高い2.4インチTFT液晶モニターを搭載。画質はHD/30fpsですが、LED信号対策や、地デジ放送受信時に影響を及ぼさないノイズ低減など、基本性能を押さえています。

 

【Check!】

操作性:〇

物理ボタンの操作が快適

「タッチ操作には非対応ですが、画面下部にまとめられた物理ボタンによる操作は快適。ボタンピッチも適度で誤操作が少なくなります」

 

画質:×

細かい文字は視認しづらい

「HD画質のため解像感は低く、ナンバープレートなどは読み取れないことも。サイズのわりに画面が大きくて見やすいのは好印象でした」

 

機能性:○

車上荒らしなども録画できる

「モーションセンサーが動くものを検知すると、自動で録画がスタート。いざというときの録り逃しを防げます」

 

総評

「画質の粗さやGPS非搭載など“省略点”は多いものの、ドラレコとしての機能性は及第点。『とりあえず付けたい』という人にオススメです」

 

 

【その4 電動アシスト自転車の場合】

各パーツにこだわって快適な走りを実現

21Technology

DA246

実売価格5万4800円

3段階のアシストモードを搭載し、走行環境によって使い分けて節電可能。CST製の高品質タイヤや、軽量アルミクランク、肉厚のU字型サドルなど、一つひとつのパーツにこだわった。カラバリは4色を用意します。

 

【Check!】

乗り心地:〇

シフトチェンジが滑らか

「シマノ製6段変速ギアが、滑らかなシフトチェンジを実現。街乗りなら快適な走りを楽しめます。グリップシフターもシマノ製です」

 

アシスト力:〇

バッテリーは小型でも高性能

「最新ではないものの、小型軽量のパナソニック製リチウムイオンバッテリーを採用。約3.5時間の充電で最長約60㎞走行可能です」

 

デザイン:×

ママチャリ感は否めない

「いかにもママチャリなデザイン。スーツスタイルでのライドも訴求していますが、スタイリッシュではないです」

 

総評

「子どもの送り迎えや買い物時などに乗る、実用車としての用途なら十分な性能。一般的な電アシの半額程度と考えればかなりお買い得に思えます」

 

 

【中年名車図鑑|オートザムAZ-1】あまりにマニアック…短命に終わった“軽自動車界のスーパーカー”

1989年に発売したオートザム・キャロルによって軽乗用車市場への復活を果たしたマツダは、その勢いを駆って新しい軽スポーツカーの企画を推し進める。そして、1992年に軽ミッドシップ2シータークーペの「オートザムAZ-1」を市場に放った――。

【Vol.81 オートザムAZ-1】

好景気を背景に車種設定の強化を目論んだ1980年代終盤のマツダは、1975年末から退いていた軽乗用車の本格生産に再び乗り出すための方策を鋭意検討する。最終的に決定した案は、他社との生産協力。当時のマツダにとって、一から軽乗用車を開発するのにはコストや時間などの制約の面で難があったからだ。首脳陣が提携先として選んだのは、直接のライバル関係にはない、つまり国内№3を競う自動車メーカーではないスズキ(当時の社名は鈴木自動車工業)だった。スズキ側にとっても、自社製品の販売量が無理なく増えるというメリットが生まれる。結果的に両社は、1987年12月に軽自動車生産の協力体制を構築する旨を発表した。

 

クルマそのものの供給、すなわちOEM供給については、まず軽商用車のカテゴリーで行われる。スズキ・エブリイ(バン)/キャリイ(トラック)をベースに専用エンブレムなどを装着したスクラムが、1989年6月にマツダのオートザムブランドを通して発売された。以後、スクラムはマツダの定番軽バン/トラックとしての地位を確立していく。また、スズキからは軽乗用車用のコンポーネント、具体的にはF5B型547cc直列3気筒OHCエンジンと駆動機構、2335mmのホイールベースを持つプラットフォームおよびシャシーなどの供給も受け、スズキの浜松工場で生産されたこれらの製品を広島に運び、独自のボディと内装パーツを組み付けて新型キャロル(AA型系)を完成させる。さらに、軽自動車が新規格に移行してからはF6A型657cc直列3気筒OHCやOHCターボなどを購入し、新しいキャロルを生み出した。

 

一方で開発現場では、マツダ製軽自動車のイメージをより向上させる目的で、オリジナルのスポーツモデルの企画を積極的に推し進める。1989年開催の第28回東京モーターショーでは、その具現作となるコンセプトカーの「AZ550 SPORTS」を発表。ガルウイング式ドアを採用したAタイプ、ノッチバッククーペボディのBタイプ、レースマシンのCカーを彷彿させるCタイプの3モデルを披露した。そして、市販化に向けては来場者から好評を博したAタイプの車両デザインをベースとすることに決定。設計統括には、初代ロードスターの主査を務めた平井敏彦氏が就任した。

 

■レースカーのような基本骨格で登場した「AZ-1」

トランスミッションは5速MT。パワー&トルクは64ps/6500rpm、8.7kg・m/4000rpm。44:56という前後重量配分(車両重量は720kg)と相まって俊敏なハンドリングと運動性能を実現

 

マツダ渾身の軽スポーツカーは、「オートザムAZ-1」(PG6SA型)の車名で1992年9月に発表、10月に発売される。ディーラー名のAutozamを略した「AZ」に、同ディーラーの設定車種内での車体の大きさを示す数値の「1」を組み合わせたAZ-1は、まずその基本骨格とデザインで注目を集めた。2シーターのミッドシップレイアウトで構成する基本骨格には、フロアの周囲にフレームを組み付けるペリメーター型をメインに、大断面サイドシルを有するスケルトンモノコックを採用。アウターパネルには軽量で成形自由度の高いFRP材を多用する。高剛性かつ軽量なボディ構造は、外装を取り外した状態でも走行が可能だった。一方、サイドシルが高くなることから、ドア形状には上ヒンジ式のガルウィングタイプを導入。ドアガラスは基本的に固定タイプで、チケットウィンドウと称する開閉式の小窓が組み込まれる。また、コクピット上部はグラスキャノピーで仕立て、ルーフ部には光の透過率を30%に抑えるセラミック処理を施した。ボディサイズは全長3295×全幅1395×全高1150mmに仕立てる。懸架機構にはアルト・ワークス用のフロントサス(ストラット/コイル)を専用チューニングで前後にセット。ホイールベースは2235mmに設定した。

2シーターのミッドシップレイアウトを採用。コクピット上部はグラスキャノピー仕立てで、ルーフ部には光の透過率を30%に抑えるセラミック処理を施した

 

ミッドシップ配置するエンジンは、アルト・ワークスから流用したF6A型657cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボで、パワー&トルクは64ps/6500rpm、8.7kg・m/4000rpmを発生する。トランスミッションには5速MTを採用。ラック&ピニオン式のステアリング機構はロック・トゥ・ロック2.2回転とクイックにセットし、44:56という前後重量配分(車両重量は720kg)と相まって俊敏なハンドリングと運動性能を実現していた。

 

少量生産を想定したために組み立てラインを協力会社のクラタ(当初からAZ-1の外板の生産を担当。現在は三浦工業と合併してキーレックスに移行)に設置し、量販を始めたAZ-1は、そのキャラクターから“軽自動車界のスーパーカー”“究極のハンドリングマシン”などと称され、市場から大きな注目を集める。デビュー翌年の1993年の1月からはスズキへのOEM供給も開始し、「キャラ(CARA)」の車名で販売された。

 

■販売はわずか3年強で終了

1994年5月に発売されたM2の限定車1015

 

平成ABCトリオのなかでもとりわけ異彩を放ったAZ-1は、そのマニアックな特性からユーザーは限定され、デビュー当初を除いて販売は低調に推移する。テコ入れ策としてマツダは、1993年1月に充実装備の特別仕様車となるTYPE L、1993年6月にエアロパーツを装備したマツダスピードバージョン、1994年5月にM2が企画した限定車の1015をリリースするが、成績の回復には至らなかった。そのうちにバブル景気の崩壊によるマツダ本体の経営逼迫が深刻化。結果的にAZ-1は車種整理の対象となり、1995年12月に販売を終了したのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【中年名車図鑑|スズキ・カプチーノ】ワゴンRのおかげで生き延びたスズキ初のリアルスポーツ

ホンダ・ビートの登場から5カ月ほどが経過した1991年10月、スズキ初のリアルスポーツ軽自動車が「カプチーノ」の名で市場デビューを果たす。開発陣が目指したのは、乗ることで心を解放してくれるオープンマインドの2シータースポーツだった――。

【Vol.80 スズキ・カプチーノ】

1990年1月に軽自動車の規格が改定されてエンジン排気量が660cc以内、ボディサイズが全長3300×全幅1400×全高2000mm以内になると、各メーカーはこぞって新規格に合わせた軽自動車をリリースする。当時はバブル景気真っ盛りのころ。豊富な開発資金を下支えに、まっさらなニューモデルが数多くデビューした。

 

軽自動車のトップメーカーであるスズキは、1989年10月開催の第28回東京モーターショーに出展した軽規格の試作スポーツカー「Cappuccino」を市販化する決定を下す。このころは軽自動車の高性能化が一気に加速した時代で、スズキのアルト・ワークス、ダイハツのミラ・ターボTR-XX、三菱自動車のミニカ・ダンガン、富士重工業のスバル・レックス・コンビ・スーパーチャージャーVXなどがハイパフォーマンス軽自動車の№1を目指して凌ぎを削っていた。ユーザー側にとっても安い価格と維持費で速いクルマを購入できるため、この流行を大いに支持する。軽自動車のピュアスポーツが造られる下地は、十分に熟成されていたのだ。

 

■軽FRスポーツカーのデビュー

ハードトップ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンという4通りのバリエーションが楽しめるオープン2シーター

 

スズキの開発陣が目指した軽スポーツカーは、乗ることで心を解放してくれるオープンマインドの2シーターだった。開発に携わったあるエンジニアは、「当時の開発スタッフは英国のライトウェイトスポーツのファンが多かった。スポーツカーを造るなら、やっぱりオープン2シーターにしたいという意見が強かった」と、当時を振り返る。しかしそのルーフは、単なるソフトトップではなかった。頂上部は着脱が可能な3分割式のアルミ材パネルを採用し、外したパネルはトランク内に収納できる。リアガラスを組み込んだピラー部は、そのままの形でボディ後部に押し込むことができた。その結果、ハードトップ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンという4通りもの走りが楽しめた。

駆動方式はFR。ロングノーズ&ショートデッキとスポーツカーの定石に則ったスタイルを持つ。前後重量配分は51対49と理想的

 

開発陣はメカニズムにもこだわった。エンジンはアルト・ワークス用のF6A型657cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボユニットを縦置きにして搭載し、後方に専用シャフトドライブを通してFR(フロントエンジン・リアドライブ)の駆動方式を構成する。パワー&トルクは64ps/6500rpm、8.7kg・m/4000rpmを発生。トランスミッションには専用セッティングの5速MTを組み合わせた。専用設計のプラットフォームおよびロングノーズ&ショートデッキのオープンモノコックボディ(全長3295×全幅1395×全高1185mm/ホイールベース2060mm)にフロントミッドシップ化したエンジン搭載位置は、前後重量配分51対49という好バランスを達成。エンジンフードや脱着式トップ、フロアトンネルカバーなどにはアルミ合金材を用い、車重は700kgと軽量に抑える。さらに、足回りには前後ダブルウィッシュボーンサスペンションと4輪ディスクブレーキ(フロントはベンチレーテッド式)、専用開発の165/65R14サイズのラジアルタイヤを奢った。

 

1991年10月、スズキ初のリアルスポーツ軽自動車が「カプチーノ」(EA11R型)の名で市場デビューを果たす。車名はイタリアのコーヒーの一種であるcappuccinoに由来。小さなカップに入ったちょっとクセのあるお洒落な飲物と小さなオープンカーのイメージを重ねて命名していた。車両価格は145万8000円~169万8000円と当時のリッターカー・クラスを上回る設定だったが、5カ月ほど前にデビューしたホンダ・ビートとともに、販売台数を大いに伸ばした。

 

■ライバルよりも長く生産された理由

ミッションは5MT(MC後に3ATが追加)。パワー&トルクは64ps/6500rpm、8.7kg・m/4000rpm

 

カプチーノは1995年5月にマイナーチェンジを受け(EA21R型)、オールアルミ製のK6A型658cc直列3気筒DOHC12Vインタークーラーターボエンジンに換装される。同時に5速MTに加えて3速ATを設定し、イージードライブを可能とした。

1998年まで7年あまり生産される。結果的にホンダ・ビート、マツダAZ-1に比べ長寿命となった

 

K6Aエンジンは、ヘッドカバーからロアケースまで本体部品すべてをアルミ合金材で仕立て、そのうえでシリンダーブロックのスカート部とロアケースを一体構造とする。また、シリンダーブロック自体には軽自動車用エンジン初の圧入セミウエットライナーを採用。さらに、ツインカム4バルブ(DOHC12V)のヘッド部には中空カムシャフトや直打式バルブ、ダイレクトチェーンドライブ・カムシャフト駆動を組み込み、メカニカルロスの低減や軽量化を図った。ほかにも、高回転までシャープに吹き上がるショートストローク設計(ボア68.0×ストローク60.4mm)や新タイプの複合センサーにより制御の精度を高めたEPIなどを採用する。もう1点、新オールアルミエンジンではトータルでのコンピュータ制御も試みられた。SHICと呼ぶこの制御機構では、コンピュータに当時最新の16ビットを採用。従来比で約5倍の処理速度を実現し、緻密で最適な燃料噴射&点火タイミングやターボ過給圧などを実現した。パワー&トルクは64ps/6500rpm、10.5kg・m/3500rpmを発生し、690kgあまりの車重を俊敏に加速させる。ユーザーからは「ノーズが軽くなったうえに、加速性能とレスポンスも向上した」と好評を博した。

 

カプチーノはその後、大きな変更を受けることもなく、1998年10月をもって販売を終了する。しかし、ライバルのホンダ・ビートやマツダ(オートザム)AZ-1と比べると生産期間は長かった。AT仕様を設定していた、ハードトップ時はトランクルームが使えた、ボディが丈夫だったなどのメリットもあったが、それよりも重要なのは、「ほかの大ヒット作が生まれたから」という事実だった。そのクルマとは、1993年9月にデビューしたワゴンRだ。バブル景気の崩壊で日本の自動車メーカーの多くは四苦八苦し、車種ラインアップの縮小を余儀なくされたが、スズキはワゴンRが大ヒットしたために車種の整理が少なくて済んだ。もちろん、同社独自の低コスト開発戦略なども効果をあげていた。スズキ渾身の軽リアルスポーツは、身内のクルマの助けを得ながら7年あまりの長寿を全うしたのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

【超保存版】清水草一が「最新スーパーカー&パフォーマンスカー」28台をひらすら解説。フェラーリ、ランボから国産勢まで

 

 

【解説する人】

モータージャーナリスト

清水草一さん

「サーキットの狼」作者の池沢早人師先生から直接薫陶を受けた唯一の自動車評論家。これまで11台のフェラーリを乗り継いでいます。GetNaviの連載「クルマの神は細部に宿る」をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売。

 

【ブランド01:フェラーリ】

レース参戦のために存続する世界でただひとつのメーカー

創始者のエンツォ・フェラーリはレーシングチームを経営し、生涯をレース活動に捧げました。その資金稼ぎのために、レーシングカーを乗りやすく改良して販売したのが、同社の市販車部門の始まり。1988年のエンツォが亡くなって以降もF1参戦は継続し、世界中のクルマ好きの憧れとなっています。

 

【モデル01】フェラーリの長い歴史のなかで最もパワフルなV型12気筒エンジン

フェラーリ 

812スーパーファスト

3910万円

名の「812」は「800馬力の12気筒」を表し、FRのロードカーとしてはフェラーリ史上最強と称されるほどのハイパフォーマンスを誇ります。電子制御デバイスが多数盛り込まれ、超弩級の能力を危なげなく体感させてくれます。

SPEC●全長×全幅×全高: 4657×1971×1276㎜●パワーユニット: 6.5ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 800PS(588kW)/8500rpm●最大トルク: 73.2㎏-m(718Nm)/7000rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー】

F1をイメージさせるスポーティなインテリア

非日常性を感じさせるF1のようなコックピット。カラーも自由に選択できる。F1システムと呼ばれる独自のトランスミッション形式は、パドルシフト式セミATの先駆的存在です。

 

最新技術が盛り込まれた大柄ながら美しいボディ

ボディは先代のF12ベルリネッタとほぼ同サイズで、前後ともに20インチの大径ホイールが装着されます。ボディ下部にはディフューザーを採用し、高速走行時の空気の流れを調節。

 

最高馬力のエンジンは印象的な赤塗装が特徴

V型12気筒エンジンのヘッド部には赤い結晶塗装が施されています。6.5ℓの大排気量で、フェラーリの自然吸気式エンジンを積む市販車では史上最高となる800馬力を発揮します。

 

旗艦モデルのエンジンは12気筒でなくてはならない

フェラーリは、誰もが認める自動車の頂点、太陽神的存在。その立脚点は、F1グランプリにおける輝かしい戦績にあります。日本でフェラーリといえば市販のスーパーカーですが、海外では第一にレーシングチーム。その栄光を市販車に投影しているという文脈が、他社とは決定的に異なります。

 

すなわち、フェラーリにおけるスーパーカーの出発点は、レーシングカーをちょっと乗りやすくして一般販売したところ。そのため、同社が何よりも重視しているのは、常にエンジン。フェラーリのフラッグシップモデルは、最もパワフルで、最もエレガントな12気筒エンジンを積んでいなければなりません。現在のフラッグシップである812スーパーファストは、その12気筒エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動するFR方式。一般的にスーパーカーと言えば、エンジンをキャビン後方に置くミッドシップがイメージされます。しかし、フェラーリは元々FRからスタートしており、812スーパーファストは原点に回帰したモデルといえます。

 

フェラーリの名声はあまりにも高く、もはや性能は二の次と見る向きもあります。しかし、フェラーリの魂は常にエンジンであり、続いて重視されるのが美しさ。そのプライオリティは不変なのです。

 

【清水草一の目】

ほかでは味わえない官能的なV12エンジン

スーパーカーとしては車高が高く、FRなのでパワーを路面に伝えきれない面がありますが、V12の官能フィールは唯一無二。地上最高のブランド力を満喫できます!

 

【モデル02】ツーリングにも最適なハードトップオープン

ポルトフィーノ

2530万円

車体に収納できるリトラクタブルハードトップを備えたオープンモデルで、優雅な佇まいと優れた多用途性や快適性が特徴。スーパーカーの快楽を満喫できるうえに、日常使いでのストレスが皆無というのは大きな魅力です。

SPEC●全長×全幅×全高:4586×1938×1318㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:600PS(441kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

【モデル03】コンパクトなボディにターボエンジンを搭載

488GTB/488スパイダー

3070万円〜3450万円

458イタリアの後継モデルとして登場し、2015年に日本へ導入されました。V8エンジンの排気量はそれまでの4.5ℓから3.9ℓへとダウンサイズされていますが、ターボの採用によって出力、トルクともに大幅な向上が図られています。

SPEC【488GTB】●全長×全幅×全高:4568×1952×1213㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:670PS(492kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

【ブランド02:ランボルギーニ】

トラクターなどの製造や販売を手がけていたイタリアの富豪、フェルッチオ・ランボルギーニが、スーパーカー好きが高じて1963年に設立。ミウラやカウンタックなどの名車を生み出しました。99年にアウディ傘下となり、より高品質を追求する現代的メーカーとなっています。

 

伝統のポップアップドアを受け継ぐのは旗艦モデルのみ

巨大なエンジンをキャビン後方に置くミッドシップレイアウト、上方に跳ね上がるように開くポップアップドア……ランボルギーニならではのスタイルは、世界中の人々を虜にし続けています。

 

ポップアップドアは、スーパーカー史上最高のアイドル、カウンタック以来、ランボルギーニの伝統。ただし、それが採用されるのは、フラッグシップモデルのみで、現在はアヴェンタドールに受け継がれています。ドアを開けただけで周囲の空気を一変させてしまう“魔力”は凄まじいです。

 

かつては、クルマのとしての品質に問題があるとも言われていましたが、アウディ傘下となってからは劇的に改善。販売台数でも、フェラーリを猛追しています。

 

 

【モデル04】伝統の跳ね上げドアを受け継いだ“猛牛”

ランボルギーニ

アヴェンタドール

4490万4433円~4996万9107円

カウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴと続く往年のモデルに通じる風格と性能を持つランボルギーニの旗艦であり、ブランドアイコン的一台。クーペボディのほか、オープントップ仕様のロードスターもラインナップされています。

SPEC【Sクーペ】●全長×全幅×全高: 4797×2030×1136㎜●パワーユニット: 6.5ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 740PS(544kW)/8400rpm●最大トルク: 70.4㎏-m(690Nm)/5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

オープンモデルもポップアップドア

カーボン製の脱着式ハードトップを備えたSロードスターも発売間近。ドアは当然跳ね上げ式です。

 

最新機能も備えた伝統のV型12気筒

「S」モデルで最高出力が40馬力向上したV型12気筒エンジン。シリンダー休止機構も採用しています。

 

赤いフタを開ける「いかにも」な演出

センターコンソールにフタ付きのエンジンスタートボタンを配置。いかにもスーパーカーらしいです。

 

【清水草一の目】

周囲の注目を集める跳ね上げ式のドア

スーパーカーの象徴的一台。高い性能もさることながら、伝統の跳ね上げドアの威嚇力は無敵で、どこへ行っても子どもたちが集まる!

 

【モデル05】v10エンジンの最新モデル

ウラカン

2535840円〜38462614

クーペやスパイダー、後輪駆動仕様、ハイスペックなペルフォルマンテなど、バリエーションが多彩。いずれのモデルも圧巻の走りを楽しめます。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高:4459×1924×1165㎜●パワーユニット:5.2ℓV型10気筒エンジン●最高出力/最大トルク:610PS(449kW)/57. 1㎏- m(560Nm)

 

 

【ブランド03:マセラティ】

「三叉の銛」で知られる高級スポーツカーブランド

トライデント(三叉の銛)のエンブレムで知られる、イタリアのラグジュアリースポーツブランド。一時期の経営難から、イタリア最大のメーカーであるフィアットの傘下となり、現在はエンジンなどをフェラーリと共有しています。4ドアGTのクアトロポルテも有名。

 

【モデル06】速さと同時に快適を味わえるGTスポーツ

マセラティ

グラントゥーリズモ

1890万円〜2216万円

タイトなドレスを纏った女性の曲線美を思わせる、エレガントで気品に溢れたフォルムが目を引くクーペモデル。スポーツ性に特化しすぎず、日常的な場面での扱いやすさや利便性、さらに快適性にも配慮したイタリアンGTです。

SPEC【スポーツ】●全長×全幅×全高: 4910×1915×1380㎜●パワーユニット: 4.7ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 460PS(338kW)/7000rpm●最大トルク: 53.0㎏-m(520Nm)/4750rpm●トランスミッション: 6速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

ハイブランドの哲学を味わえる内装

内装はアダルトかつ優美な印象。最新のインフォテインメントシステムを搭載するのも特徴です。

 

フェラーリと共同で開発したV8エンジン

昨年の改良以降、エンジンはフェラーリと共同開発したノンターボ式の4.7ℓV8のみとなっています。

 

センター2本出しでスポーティな印象

名匠・ピニンファリーナがベースデザインを手がけました。マフラーはセンター2本出しでスポーティ。

 

フェラーリ製エンジンを美しいクーペボディに搭載

戦前からの長い伝統を誇るマセラティは、これまで何度も厳しい経営危機に直面。その結果、フェラーリ製エンジンを搭載することになり、いまやそれが最大のウリです。

 

グラントゥーリズモのエンジンは、フェラーリF430用のV8を、ややジェントルにチューンしたもの。それをエレガンスの極致ともいえる美しいクーペボディに積むことで、圧倒的に優美な仕上がりになっています。ボディが重いため速さはそれほどでもありませんが、フェラーリさながらの“陶酔サウンド”を奏でつつ疾走します。

 

トランクを備えた4人乗りのため、フェラーリよりはるかに実用性が高いのもポイント。普段乗りに使えるスーパーカーとして、世界中の富裕層から支持されています。

 

【清水草一の目】

官能的エンジンのフィールは最高

フェラーリ製V8エンジン搭載のスーパースポーツクーペ。エンジンのフィール&サウンドをたっぷり堪能できる、超官能マシンです!

 

【モデル07】上品な佇まいでも走りは◎

グランカブリオ

2000万円〜2175万円

躍動感と優雅さを兼ね備えた4人乗りコンバーチブル。上品な佇まいが特徴ですが、自然吸気式の大排気量エンジンならではの、気持ち良い走りを実現します。

SPEC●全長×全幅×全高:4920×1915×1380㎜●パワーユニット:4.7ℓV型8気筒エンジン●最高出力/最大トルク:460PS(338kW)/53.0㎏-m(520Nm)

 

【ブランド04:アストンマーティン】

ボンドカー”で知られる英国のスポーツカーブランド

英国発祥のスポーツカーブランド。高性能であることはもちろん、高い質感を持つクルマ作りが伝統です。巷でよく知られたアストンマーティンのイメージといえば、映画「007」シリーズでのジェームズ・ボンドの愛車、いわゆる“ボンドカー”として活躍する姿です。

 

【モデル08】エンジンのフィーリングはジェントルにして大迫力

アストンマーティン

ヴァンキッシュ S

3457万9982円〜3691万1983

DBSの後継として2012年に登場したアストンマーティンの旗艦モデル。アルミとカーボンで構成されたスペースフレームに、フルカーボンのボディを組み合わせました。パワーユニットは588馬力を発揮するV12エンジンを搭載しています。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高: 4730×1910×1295㎜●パワーユニット: 5.9ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 588PS(433kW)/7000rpm●最大トルク: 64.2㎏-m(630Nm)/5500rpm●トランスミッション: 8速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

圧倒的な存在感を放つエアロパーツ

走りを究極にまで高めたモデルでありながら、モダンなエアロを装着したスタイリングも高レベルです。

 

軽量なカーボンはスポーティな印象

ドアミラーのほか、外装パーツの様々な箇所に軽量なカーボンを使用。スポーティな印象を与えます。

 

室内はレザーを惜しまずに使用

室内空間は至るところにレザー素材を使用。キルティングレザーが用いられたシートも質感が高いです。

 

まるで英国紳士のように優雅な佇まいがシブすぎる

アストンマーティンといえば“ボンドカー”であり、英国を代表するスポーツカーメーカー。長い低迷時代を乗り越えて、現在は経営も絶好調。手作りの工芸品のようなクルマ作りに定評があります。

 

フラッグシップモデルであるヴァンキッシュは、同社オリジナルの5.9ℓV12エンジンをフロントに搭載。そのフィーリングは、ジェントルでいて獰猛です。

 

しかしながら、人々が目を奪われるのはその速さだけでなく、英国紳士然とした優雅なクーペボディの佇まい。このクルマが似合うのはジェームズ・ボンドをおいてほかにいないのでは——? そう思えるほどのシブすぎるカッコ良さが、アストンマーティンの本質ともいえます。

 

【清水草一の目】

クルマから高貴なオーラがにじみ出る

自然吸気式V12エンジンによる加速力は、いまや飛び抜けたものではありません。しかし、クルマ全体からにじみ出る気品はあまりにも高貴!

 

 

【モデル09】ラグジュアリーなスポーツGT

DB11/DB11ヴォランテ

2278万1177円〜2524万3177

5.2ℓV12ツインターボに、昨年4.0 ℓV8エンジン車が追加。クーペ(上)、オープントップのヴォランテ(下)ともに美しいプロポーションを誇ります。

SPEC【V8】●全長×全幅×全高:4750×1950×1290㎜●パワーユニット:4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:510PS(375kW)/68.8㎏-m(675Nm)

 

【モデル10】獰猛なデザインに刷新

ヴァンテージ

価格未定(2018年発売予定)

AMG製のV8ツインターボをはじめ、最先端技術が数多く搭載されたライトモデルの新型。“獰猛さ”を謳う大胆で斬新なニューデザインも特徴です。

SPEC●全長×全幅×全高:4465×1942×1273㎜●パワーユニット:4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:510PS(375kW)/69.9㎏-m(685Nm)

 

 

【ブランド05:マクラーレン】

メーカーの歴史は浅いが印象的なモデルを輩出

F1チーム「マクラーレン」の市販車部門として2009年に設立。ライバルと比べるとメーカーとしての歴史は浅いですが、印象的なスーパーカーを生み出してきました。なかでも、F1デザイナーが設計したマクラーレンF1は、センターシートを採用した、伝説に残るモデルでした。

 

【モデル11】扱いきれないほどの想像を絶する速さ

マクラーレン

720S

3338万3000円

世界最先端といわれるサスペンションシステムを採用。ワインディングやサーキットなど、高度なドライビングスキルが必要とされるシーンでも、驚異的な操作性を発揮する。限界領域でのコントロール性は群を抜いています。

●SPEC●全長×全幅×全高: 4543×1930×1196㎜●パワーユニット: 4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力: 720PS(537kW)/7500rpm●最大トルク: 78.5㎏-m(770Nm)/5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: MR

 

加速性や操縦性を追求した硬派なクルマ作りを貫く

F1の名門チームがスーパーカー製造に乗り出したという経緯は、かつてのフェラーリを彷彿とさせます。しかも、マクラーレンのクルマ作りの哲学はレーシングカーそのもの。つまりゴージャス感よりも、加速性や操縦性など、絶対的な速さを何よりも重視する“超硬派”メーカーです。世界的トレンドであるSUV市場にも参入しないことを宣言しています。

 

エンジンは全モデルでほぼ同一のV8ターボをベースとし、チューンナップの違いでパワーが異なります。720Sはその名の通り720馬力を誇り、超軽量のカーボン製ボディと相まって想像を絶する速さを見せつけます。速すぎて、公道ではどうにも扱いきれません。さすがはレーシングカーです。

 

 

【清水草一の目】

ついに完成した芸術的フォルム

速さを追うあまり芸術性に欠けていたマクラーレンだが、720Sでついに完成形に。MRスーパーカーとして、究極の美しいフォルムを得た!

 

【ココがスーパー!】

スポーツカーらしい跳ね上げ式ドア

スーパースポーツMP4-12Cから受け継いだ、跳ね上げ式のドア。低目の車高は上げることもできます。

 

スピードに応じて姿を変えるウイング

停車時は格納されているリアウイング。走行速度が上がるにつれて立ち上がる設計となっています。

 

未来的な雰囲気の異形ヘッドライト

エアインテーク(空気取入口)と一体でデザインされたフロントライト。車高の低さが強調される。

 

【モデル12】エントリーでも走りは一流

540C

2242万円

エントリーモデルという位置付けながら、0〜100㎞/h加速が3.5秒、最高速は320㎞/h。上級モデルと比べても遜色のないパフォーマンスを誇ります。

SPEC●全長×全幅×全高:4530×2095×1202㎜●パワーユニット:3.8リッターV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:540PS(397kW)/55.1㎏-m(540Nm)

 

【モデル13】GTは快適さも重視した設計

570GT

2752万7000円

同社のスポーツシリーズ。GTはSよりソフトに味付けされたサスペンションや横開き式テールゲートなどを備えるのが特徴。快適性を重視しています。

SPEC【GT】●全長×全幅×全高:4530×2095×1201㎜●パワーユニット:3.8ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:570PS(419kW)/600Nm(61.2㎏m)

 

 

【モデル14】基幹車もハイパフォーマンス

570S

2617万5000円〜2898万8000円

2016年、ベーシックライン「スポーツシリーズ」のなかで先陣を切ってデビュー。昨年にオープンモデルの570 Sスパイダーが追加されました。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高:4530×2095×1202㎜●パワーユニット:3.8ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:570PS(61.2kW)/61.2kg-m(600Nm)

 

【ブランド06:ロータス】

ロータスは英国人のコーリン・チャップマンが設立したレーシングチームで、後にF1の名門にまで成長。ヨーロッパは、マンガ「サーキットの狼」で主人公の愛車として知られています。市販車の開発も行っており、エランなどのライトウェイトモデルで人気を博しました。

 

【モデル15】汎用エンジンにチューンを施したスペシャルモデル

ロータス

エヴォーラ

1258万2000円〜1519万5600

ストイックに走りを極めたモデル。乗員の後方にエンジンを積むMR駆動方式を採用しながら後席シートが設置され、普段使いにも適した懐の深さを持ちます。フラッグシップとはいえ小型で扱いやすく、日本の交通環境でも持て余しません。

SPEC【400】●全長×全幅×全高: 4390×1850×1240㎜●パワーユニット: 3.5ℓV型6気筒スーパーチャージャーエンジン●最高出力: 406PS(298kW)/7000rpm●最大トルク: 41.8㎏-m(410Nm)/3000〜7000rpm●トランスミッション: 6速MT/6速AT●駆動方式: MR

 

【ココがスーパー!】

ロータス史上最もパワフル

エヴォーラは多彩なラインナップも特徴。昨年限定販売されたGT430(写真)は最もパワフルです。

 

V型6気筒エンジンはエスティマと共通!

ベースは何とトヨタ製V6エンジン。独自のチューニングを施すことでスポーティに仕立てています。

 

簡素なインテリアに高級感も漂う

必要なもの以外を省いたインテリアがロータス車の特徴。エヴォーラでは高級感が演出されています。

 

トヨタ製V6エンジンがレース的なフィーリングに

小さなエンジンを小型・超軽量のボディに乗せて、大パワーのスーパーカーを食う。ロータスは、そんな独自のスタンスを持つメーカーです。スーパーカーブームを象徴する一台であるヨーロッパはその典型。同社の哲学は、現行のエリーゼやエキシージに生きています。

 

フラッグシップモデルのエヴォーラは、それらよりもやや大きなボディを持ちます。エンジンは、なんとトヨタ製の3.5ℓV6を採用しています。ただし、そのエンジンフィールはトヨタ製とは到底思えないほどスポーティで、さすがはロータスチューンと唸らされる。同社としては大きめのボディのため、快適性も高いです。乗ればヒラリヒラリと、フィギュアスケーターのように路上を舞ってくれます。

 

【清水草一の目】

妥協を感じないコーナリング性能
ロータス車としてはやや大きく重いですが、公道走行ではこのあたりがベスト。同社の命であるコーナリング性能には妥協が感じられない!

 

【モデル16】爽快な走りの軽量モデル

エキシージ

880万円〜1366万2000

エントリー車のエリーゼをベースとした軽量スポーツモデル。クルマと一体になって走れる爽快感は、スーパーカーのなかでもすば抜けて高いです。

SPEC【スポーツ380】●全長×全幅×全高:4080×1800×1130㎜●パワーユニット:3.5ℓV型6気筒スーパーチャージャーエンジン●最高出力/最大トルク:380PS(280kW)/41.8㎏-m(410Nm)

 

【ブランド07:シボレー】

パワフルなスーパーカーが世界を魅了し続ける

シボレーは、アメリカ「BIG3」のひとつゼネラルモーターズの主要ブランドのひとつ。同ブランドのスーパーカーといえば、1954年にデビューしたコルベットです。パワフルな大排気量エンジンやマッチョなスタイリングで、北米だけでなく世界を魅了し続けています。

 

【モデル17】マッチョなアメ車の象徴が現代的でスタイリッシュに

シボレー

コルベット

1120万2500円〜1545万4800円

初代登場から約65年の歴史を持つ、アメリカンスーパーカーの代名詞モデル。多気筒、大排気量というアメ車の定石に則った作りが魅力です。欧州系スーパースポーツとも互角に渡り合える個性とパフォーマンスを持ち合わせています。

SPEC【グランスポーツ クーペ】●全長×全幅×全高: 4515×1970×1230㎜●パワーユニット: 6.2ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 466PS(343kW)/6000rpm●最大トルク: 64.2㎏-m(630Nm)/4600rpm●トランスミッション: 7速MT/8速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

大迫力の排気音が気持ちを高ぶらせる

4本のマフラーがリアバンパー下部中央に並びます。その排気音も大迫力で、気分を高めてくれます。

 

大ボンネット内のフロントエンジン

フロントの長大なボンネット内に収められた6.2ℓV8エンジン。次期型はミッドシップという噂も。

 

オープン仕様のコンバーチブル

オープン仕様のコンバーチブルも人気が高い。アメリカの西海岸を走る姿をイメージできます。

 

ワイドな車体に強力エンジンを搭載

グランスポーツが昨年に追加されました。さらにワイド化された車体に強力なエンジンを搭載しています。

 

アメ車らしいパワフルさと緻密なテクノロジーが融合

コルベットは、アメリカ唯一のスーパーカー。アメ車というと、大排気量のパワーだけで押す直線番長というイメージが一般的ですが、コルベットは違います。なかでも、Z06やZR1といったスペシャルモデルは、600馬力を超える大パワーを、レーシングテクノロジーを生かして見事に路面に伝えます。その緻密な設計には、「これがアメ車か?」と感嘆させられます。

 

ただし、いたずらにハイテクを追ってはいません。コルベットのエンジンは、古めかしいOHV(オーバーヘッドバルブ)方式を採用。バイクでいうハーレー・ダビッドソンのような、独特のアメリカンなフィーリングをしっかり感じられます。伝統を守ることもまた、スーパーカーの命なのです。

 

【清水草一の目】

十分な性能だがもっとマッチョに!

性能は文句なくアメ車の味わいも十分ですが、スタイルに「フェラーリコンプレックス」が色濃い。個人的にはさらなるマッチョ感を望む!

 

 

【ブランド08:ポルシェ】

超有名ブランドにしてスポーツカーの象徴でもある

フォルクスワーゲンの開発者だったフェルディナント・ポルシェ博士とその息子が創業した超有名ブランド・ポルシェは、マニア垂涎のスポーツカーメーカーだ。すでに50年以上販売され続けているフラッグシップモデル911の歴史は、スポーツカーの歴史です。

【モデル18】スポーツカーのベンチマーク的存在

ポルシェ

911

1244万円〜3656万円

長きにわたってRRの駆動方式を中心に採用している、スポーツカーのベンチマーク的存在。走行性能の高さはもちろん、カレラシリーズをはじめとするターボ系やGT3といった、多彩なバリエーションを揃えていることも人気の要因です。

SPEC【カレラ4 GTS】

●全長×全幅×全高: 4528×1852×1291㎜●パワーユニット: 3.0ℓ水平対向6気筒ターボエンジン●最高出力: 450PS(331kW)/6500rpm●最大トルク: 56.1㎏-m(550Nm)/2150〜5000rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

簡素ながらもスポーティな内装

内装はシンプルかつスポーティ。MT車もラインナップしますが、現在では販売のほとんどがATです。

 

伝統のRR駆動を継続して採用

911では、ボディ後方に水平対向エンジンを搭載し、後輪で駆動するRRが継続して採用されてきました。

 

レーシングカーと同等のエンジン

今年のジュネーブショーでデビューしたGT3 RS。歴代最高性能のノンターボエンジンを搭載します。

 

 

【清水草一の目】

スタンダードほど快適性が高い

グレード構成が幅広く、性能も大差がありますが、スタンダードクラスほど快適性が高いのが特徴。トップエンドはまるでレーシングカーです。

 

操縦性や快適性も備えた無敵のスポーツカー

ポルシェは以前より、4人乗りで前部にトランクを備える、“最低限の実用性”を持つスポーツカーとして支持されてきました。そのため、「ポルシェはスーパーカーではない」と見る向きもあります。ですが、少なくともトップエンドモデルでは、あらゆる性能が「スーパー」。GT3やターボSがそれです。

 

かつては「バババババ」と回る空冷エンジンがポルシェの代名詞でしたが、効率化のため水冷になってすでに20余年。快適性も大幅に向上し、“楽チンにブッ飛ばせる”無敵マシンとなっています。RRレイアウト車では、お尻が重すぎて操縦性がシビアだったのも昔の話。課題をすべて解決した現代のポルシェは、何ひとつ犠牲にしないオールマイティなスーパーカーです。

 

【モデル19】時代の声に応えるミッドシップコンパクト

718ケイマン

673万〜999万円

車名に「718」が追加されたコンパクトスポーツは、エンジンをダウンサイズするなど大幅改良。燃費性能もなおざりにせず、時代に合わせた進化を遂げています。

SPEC【GTS】●全長×全幅×全高:4393×1801×1286㎜●パワーユニット:2.5ℓ水平対向4気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:365PS(269kW)/43.8㎏-m(430Nm)

 

【モデル20】開放感きわまるミッドシップオープンスポーツ

718ボクスター

712万〜1038万円

水平対向エンジンをミッドシップ搭載するオープンスポーツ。1996年に登場し、現行型で3代目となります。クーペ仕様のケイマンは、同車の2代目から派生しました。

SPEC【GTS】●全長×全幅×全高:4379×1801×1272㎜●パワーユニット:2.5ℓ水平対向4気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:365PS(269kW)/42.8㎏-m(420Nm)

 

【ブランド09:メルセデス・ベンツ】

【モデル21】レーシング魂を感じられるスーパースポーツクーペ

メルセデス・ベンツ

AMG GT

1709万円〜2325万円

同社のスポーツブランドであるAMGのレーシングスピリットとテクノロジーが投入されたスーパークーペ。往年のレーシングカー300SLを彷彿させる「AMGパナメリカーナグリル」を採用した外観が、独特のキャラクターを構築します。

SPEC【R】●全長×全幅×全高: 4550×1995×1285㎜●パワーユニット: 4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力: 585PS(430kW)/6250rpm●最大トルク: 71.4㎏-m(700Nm)/1900〜5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

強大なパワーを誇る4.0ℓエンジン

4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジンに、7速のAMGスピードシフトDCTを組み合わせました。強力なパワーを後輪に伝えます。

 

軽量トップで高い静粛性を実現

オープンのロードスターは、マグネシウム、スチール、アルミを組み合わせたソフトトップを採用。軽量ながら静粛性も高いです。

 

存在感を主張するスタイリング

ワイドなボディ幅に超ロングノーズを備えた迫力のスタイリング。同ブランドの最高峰モデルであることをアピールしています。

 

ブランドの名に恥じない高級感

室内は適度にタイトで、同社らしく様々な高級素材が採用されているのが特徴。上質感にあふれた雰囲気が演出されています。

 

 

メルセデスらしからぬ危険な香りがプンプン漂う

AMGのコンセプトは、「ベンツの快適さはそのままに、戦車のごとく力強く、ミサイルのごとく速く移動するマシン」だ。しかし、AMG GTは少し異なります。何しろ、同車は専用設計のスーパーカー。FRレイアウトのため、あり余るパワーを路面に伝えきれず、簡単にホイールスピンをかます。雨の日に乗ろうものなら、メルセデスらしからぬ危険な香りがプンプンと漂うことでしょう。

 

しかし、さすがはメルセデス、実用性のことは忘れていませんでした。同車にはまもなく4ドアクーペが追加されます。そちらは4WDのみで、ハイブリッド車も用意されます。ハイパワー版は最高315㎞/hで、もちろんAMGらしく力強い走りも楽しめるはずです。

 

【清水草一の目】

伝統から脱却したキモカッコ良さ

目を引くのは、深海生物的なぬめっとしたフォルム。スーパーカーの伝統的なカッコよさとは一線を画した、キモカッコ良さがあるぞ!

 

 

【ブランド10:BMW】

「スーパーPHEV」で世界に衝撃を与えた

BMWは、M1やZ8など歴史に残るスーパーカーを発売してきました。同社ではZ8(2003年に販売終了)以来となるスーパーカーのi8は、なんとプラグインハイブリッド仕様。スーパーカーのイメージとは相反する高い環境性能を備えた同車の登場は、世界に衝撃を与えました。

 

【モデル22】BMWが歩む道を示す近未来スーパークーペ

 

BMW

i8

2093万円〜2231万円

エコカーとして注目されているプラグインハイブリッドカーを、スポーティなクーペスタイルで実現した次世代スーパーカー。コンパクトカーに匹敵する燃費性能と、他のスーパーカーに劣らない走行パフォーマンスを両立します。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高: 4690×1940×1300㎜●パワーユニット: 1.5ℓ直列3気筒ターボエンジン+モーター●エンジン最高出力: 231PS(170kW)/5800rpm●エンジン最大トルク: 32.6㎏-m(320Nm)/3700rpm●トランスミッション: 6速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

約15秒で開閉するオープン車が追加

最新の改良ではオープンモデルが追加されたのが目玉。スイッチを押せば約15秒で開閉できます。

 

上方へと開くバタフライドア

低くワイドなスタイリングはいかにもスーパーカー。上方開きのバタフライドアがそれを強調します。

 

出力がアップした電動パワートレイン

デビュー5年目にして改良されたパワートレインは出力が大幅に向上。バッテリー容量も拡大されました。

 

近未来デザインのインパネ回り

大画面を備えたインパネ回りは近未来的。「スポーツ」モードでモーターの機能が最大に発揮されます。

 

どんなスーパーカーより未来的なルックスと構造

走りの性能という点だけ見れば、i8をスーパーカーと呼ぶことに抵抗を感じる人もいるでしょう。しかし、そのルックスや構造は、どんなスーパーカーよりも未来的です。

 

アルミとカーボンの組み合わせによる超軽量ボディに積まれるのは、たった1.5ℓの3気筒エンジン+電気モーターのハイブリッドシステム。システム最高出力は374馬力と、600馬力が当たり前のスーパーカー界においては見劣りする。とはいえ、プラグインゆえにモーターのみで50㎞ほど走行することも可能で、新世代のサステナブルなスーパーカーとしてその地位を確立しつつあります。最新のマイナーチェンジでオープンモデルも登場。スーパーカーとしての価値をさらに高めています。

 

 

【清水草一の目】

スーパーカーの新境地を開いた

絶対的な速さを捨て、未来のデザインと抜群の環境性能で存在感を示しています。従来モデルにはないスーパーカーの新境地を開いた意欲作です!

 

【ブランド11:アウディ】

レース技術を満載するR8が初のスーパーカーとして成功

アウディはこれまでに数多くのスポーツモデルを手がけてきましたが、スーパーカーとして開発されたのは、2006年に登場したクーペ型のR8が初めて。レースで磨かれたテクノロジーを満載する同車の販売は成功し、16年には2代目へとモデルチェンジを果たしました。

 

【モデル23】インテリジェンス溢れるプレミアムスポーツ

アウディ

R8

2456万円〜2906万円

同車史上最高性能を誇るV10ユニットをミッドシップ搭載し、最高出力540PS/最大トルク540Nmを発揮。圧倒的なポテンシャルを持ちながらも日常的な場面で気難しさは皆無で、扱いやすいスーパーカーに仕上げられています。

SPEC【スパイダー】●全長×全幅×全高: 4425×1940×1240㎜●パワーユニット: 5.2ℓV型10気筒エンジン●最高出力: 540PS(397kW)/7800rpm●最大トルク: 55.1㎏-m(540Nm)/6500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

日常的に使いやすいスマートな加速性能

デュアルクラッチトランスミッションの7速Sトロニックを搭載。加速はスマートでスムーズです。

 

コックピット風のスポーティな運転席

戦闘機のコックピットを思わせるスポーティな運転席。正面に大型ディスプレイも備えるのも特徴です。

 

最先端技術を用いて設計されたボディ

ボディ素材にはアルミやカーボンを採用。下面は空力性能に配慮してフラットな設計になっています。

 

クールで高級感のあるスタイリング

プレミアムブランドらしい上質感に満ちたデザイン。プラスグレード(左)のスポイラーは固定式です。

 

理知的でジェントル、それでいて官能的

アウディは1999年からランボルギーニの親会社となったことで、スーパーカー作りのノウハウを吸い上げてきました。そして、アウディならではのスーパーカーとして誕生したのがR8です。

 

現行型の2代目R8は、V10エンジンなどをランボルギーニ ウラカンと共有しますが、乗り味はまったく異なります。ひたすら獰猛なウラカンに比べると、R8は理知的でジェントル、それでいて官能的。アウディらしい、安心できるスーパーカーに仕上がっています。駆動方式はもちろん、アウディ伝統のクワトロ(フルタイム4WD)です。

 

ルックスでは、他のアウディ車と同様に、シングルフレームグリルを備えるのが特徴。“一族”であることをアピールしています。

 

 

【清水草一の目】

効率を求めずに官能性を追求

いたずらに効率性を追うことなく、あえて自然吸気式のV10エンジンを温存したのがポイント。官能性を追求しているのが素晴らしい!

 

 

【ブランド12:レクサス】

真の実力が垣間見れるトヨタの高級ブランド

レクサスはトヨタの高級ラインという位置づけ。2010年に500台限定のスーパーカーLFAを発売するなど、ブランドのスペシャルなイメージを構築してきました。昨年には、カタログモデルの大型クーペとしてLCが登場。LFA以来のレクサススーパーカー復活となりました。

 

【モデル24】ラグジュアリーなルックスに意欲的なメカニズムを搭載

レクサス

LC

1300万円〜1525万円

これ見よがしに主張するスーパーカーとは一線を画し、プレミアムブランドにふさわしい快適性を備えた、懐の深さを信条とするラグジュアリークーペ。大パワーを生かした攻めの走りというよりは、優雅にクルージングする姿が似合います。

SPEC【LC500 Sパッケージ】●全長×全幅×全高: 4770×1920×1345㎜●パワーユニット: 5.0ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 477PS(351kW)/7100rpm●最大トルク: 55.1㎏-m(540Nm)/4800rpm●トランスミッション: 10速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

2種類の最新パワートレインを用意

パワートレインは、加速感に趣のある5.0ℓV8エンジンと、環境性能に配慮したハイブリッドを設定。

 

スポーツ走行をサポートする機能

後輪自動操舵システムやギア比可変ステアリングなどの機能を搭載。最新テクノロジーを駆使します。

 

触感まで追求したプレミアムな内装

内装の素材や形状は、触れるところのフィット感まで計算し尽くされています。高級車らしさが光ります。

 

高出力エンジンの快音はまさにスーパーカーのそれ

一見するとラグジュアリークーペのLCだが、なにしろ5ℓのV8自然吸気エンジンを積んでいるのですから、スーパーカーと呼んでさしつかえはないでしょう。

 

実際に走ってみると、ボディは約2tあるため加速はそれほどでもありませんが、その快音はまさにスーパーカー。V6エンジン+電気モーターのハイブリッドモデルをラインナップしているところに、トヨタらしい気遣いが感じられます。

 

【清水草一の目】

実用性を含めて高い完成度を誇る

性格的には高級クーペですが、その完成度は驚くほど高く、メルセデス・ベンツ SLなどに対抗できます。スタイリッシュで快適性もピカイチ!

 

 

【モデル25】従順な操作感で安心・安全

RC F

982万4000円〜1059万4000

LCよりひとクラス小さいクーペ車のRCに設定されたハイパフォーマンスモデル。操作感は従順で、安全かつ安心して大パワーを堪能できます。

SPEC●全長×全幅×全高:4705×1850×1390㎜●パワーユニット:5.0ℓV型8気筒エンジン●最高出力/最大トルク:477PS(351kW)/54.0㎏-m(530Nm)

 

【ブランド13:ホンダ】

日本を代表するスーパーモデルが2016年に復活!

ミッドシップレイアウトやアルミモノコックボディなど、先進のスタイルとメカニズムで1990年に登場した初代NSXは、日本初のスーパーカー。一時生産中止となっていましたが、2016年に復活し、世界中のファンを歓喜させました。

 

【モデル26】高性能でモダンな現代的ハイパースポーツ

ホンダ

NSX

2370万円

パワーユニットは、V6ツインターボエンジンと3基のモーターによって構成される「SPORT HYBRID SH-AWD」を搭載。モーターとエンジンの協調によるパワフルな加速を実現しつつ、優れた環境性も発揮します。

SPEC●全長×全幅×全高:4490×1940×1215㎜●パワーユニット:3.5ℓV型6気筒ツインターボエンジン+モーター●エンジン最高出力:507PS(373kW)/6500〜7500rpm●最大トルク:56.1㎏-m(550Nm)/2000〜6000rpm●トランスミッション:9速AT●駆動方式:4WD

 

【ココがスーパー!】

4WDで洗練された走行フィーリング

モーターを用いた4WDが極めてスムーズな加速を実現。コーナリング中の挙動変化も抑えられます。

 

ターボが加えられた現代的なエンジン

3.5ℓV6エンジンにはターボが加えられました。独立制御される3基のモーターもスポーツ性能を高めます。

 

10年を経て登場した2代目は圧倒的な走りが健在!

日本初のスーパーカー・NSXの2代目は、初代が生産中止になってから10年を経てようやく登場しました。システム最高出力は581馬力を誇り、十分過ぎるほどに速いです。

 

しかもフロントのモーターのトルクを変化させることで、恐ろしいほど鋭く曲がります。スーパーカー日本代表の名に恥じない、卓越した走りを実現しています。

 

 

【清水草一の目】

最高クラスの走りを電子制御で実現

世界最高レベルの加速とコーナリングは、すべて緻密な電子制御の賜物です。一方で、スタイリングが凡庸で、何の特色もないのは残念。

 

 

【ブランド14:日産】

毎年のように改良されて性能がブラッシュアップ

2007年にデビューした日産初のスーパーカー・GT-Rは、同社がグローバル展開を視野に入れて開発した現代的なスーパースポーツ。ほぼ毎年のように改良モデルが登場し、走りを中心に性能がブラッシュアップされています。

 

【モデル27】走りが研ぎ澄まされた世界基準のジャパンスポーツ

日産 GT-R

1023万840円〜1870万200

スカイラインGT-Rの発展後継車で、圧倒的なパフォーマンスを誇る国産屈指のスーパースポーツカー。基本性能の高さはもちろんのこと、ハイテク装備による車両制御が実現する、異次元の操縦安定性は特筆ものです。

SPEC【NISMO】●全長×全幅×全高:4690×1895×1370㎜●パワーユニット:3.8ℓV型6気筒ツインターボエンジン●最高出力:600PS(441kW)/6800rpm●最大トルク:66.5㎏-m(652Nm)/3600〜5600rpm●トランスミッション:6速AT●駆動方式:4WD

 

ハイコスパな一台に世界中のファンが熱狂

初代GT-Rの登場から10年以上が経っているが、たゆまぬ進化により、いまでは実質的な世界最速車として認められています。その圧倒的な走行性能を考えれば、価格はかなりリーズナブルです。

 

海外に熱狂的なファンが多くいるのも同車の特徴。陸上100メートル世界記録保持者のウサイン・ボルトもそのひとりです。

 

【ココがスーパー!】

必要な情報を取捨選択して表示

インパネ中央にディスプレイを搭載。運転に必要な各種情報を任意で選んでデジタル表示できます。

 

ファンの郷愁を誘うテールランプ形状

丸目4灯式のテールランプは、唯一残されたスカイラインらしさ。ノスタルジーを感じさせます。

 

【清水草一の目】

チューニングで超パワーアップ

スペックを見るとそれほどでもありませんが、実際の速さは世界一。チューニングで1000馬力にすることもできるなど、ある意味で別格の存在です!

 

 

【連載をまとめたムックが好評発売中】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

 

20年ぶりにモデルチェンジしたジムニーの魅力とは?

スズキの軽自動車・ジムニーが、この度20年ぶりにフルモデルチェンジを行いました。ここでは、本格的なオフロード車として高い人気を誇るジムニーの新型の魅力に迫ります。

 

コンパクトな軽ながらプロも納得のオフロード性能を備える4WD

スズキ

ジムニー

145万8000円〜184万1400円

約20年ぶりのフルモデルチェンジとなった4代目。新開発ラダーフレームや、FRエンジンレイアウト、独自方式のサスペンションなどにより、高い悪路走破性を実現しています。

SPEC【XC・4AT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725㎜●車体重量:1040㎏●パワーユニット:658cc直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:64PS(47kW)/6000rpm●最大トルク:9.8㎏-m(96Nm)/3500rpm●WLTCモード燃費:13.2㎞/ℓ

 

↑同車伝統のラダーフレーム構造が進化。ねじり剛性を従来の約1.5倍に高めつつ、上下方向に柔らかくすることで乗り心地の良さも追求しました

 

↑シートは幅広のためオフロード走行でも乗り心地は良好。シート表皮には撥水ファブリックを採用するため、少々の水濡れなら問題ありません

 

↑リアシートを倒せば荷室容量は352ℓに。フロアは完全なフラットとなり、スクエアな室内空間と相まってスペースをムダなく使えます

 

本格オフローダーらしいスクエアなフォルムに回帰

ジムニーは軽自動車初の4WDとして1970年に登場。小型ボディならではの取り回しの良さと、それに見合わない悪路走破性の高さで人気となり、世界累計約285万台を販売するロングセラーです。

 

約20年ぶりとなる今回のフルモデルチェンジでは、スクエア型に回帰したボディに注目したいところ。近年のトレンドであるクロスオーバーSUV的な丸みを帯びたデザインとは一線を画し、メルセデス・ベンツ Gクラスのような本格オフローダーとしての風格をたたえています。新開発のラダーフレームなどを採用し、そのスタイリングに悖らない走行性能を備えるのも好印象。

 

衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」をはじめ、安全装備も最新機能を搭載。レジャー用途から山間部や積雪地などの交通手段に至るまで、あらゆるシーンで誰もが快適に使えるクルマに仕上げられています。

 

 

<LINE-UP>

1.5ℓエンジンで動力性能を高めた

ジムニーシエラ

176万400円〜201万9600円

ジムニーのデザインや使い勝手を踏襲しつつ、新開発の1.5ℓ「K15Bエンジン」を採用して動力性能を高めました。ジムニーと同じく、予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を搭載しています。

ロシアは「カーナビの進化」も独自! とあるナビアプリが自由すぎる

日本では車内設置型のカーナビもよく見かけますが、ここロシアでは、車内に残すと盗まれる可能性が高いので、スマートフォンやタブレット内のカーナビアプリを使うのが一般的です。そんなロシアでとってもユニークな、大人気カーナビアプリが存在。遊び心溢れるサービスで、ロシア人の心をわし掴みしたカーナビアプリを紹介します。

 

戦車や戦闘機でドライブ

ユニークなアプリを提供しているのは、世界4位の検索件数を誇るロシアの大手検索エンジン・ポータルサイト「ヤンデックス」。そのヤンデックスが出している、「Яндекс.Навигатор(ヤンデックス・ナビゲーション)」というアプリが好評を博しているのです。

 

基本設定では、現在地を表すカーソルは矢印になっていますが、矢印をスポーツカーや戦車、戦闘機の表示に変更することが可能。自分のクルマが戦車となって、ナビ上を動く様子は運転しながらもワクワクしてしまいます。

 

有名人とドライブしているかのようなナビシステム

ヤンデックスナビはロシアで誰もが知る有名人の声をナビゲーターに起用し、まるでセレブと一緒にドライブしているかのように楽しくドライブをすることが可能。声の出演者は、日本でいう徳光さん的存在のワシリーをはじめ、ラッパーのバスタ(日本でいうZEEBRAさん)、ガーリク(くりぃむしちゅー上田さん)、ナギエフ(明石家さんまさん)、映画監督のフョードル(宮藤官九郎さん)、人気映画トランスフォーマーのコンボイの声、さらに、大手インターネット会社「ヤンデックス」の営業部長でキャリアウーマンの憧れアクサナです。

 

一人ひとりの話し方や誘導がとても特徴的で、どれを選んでもドライブが楽しくなること間違いなし! なかでも人気はコメディアンのガーリク。行き先を設定した途端「俺はいま飲んできちゃったから、お前が運転な!」と、なんだかガーリクを助手席に乗せたような気分にさせてくれます。曲がり角を間違えると「もー、ちゃんと見ろよなー」と愚痴をこぼされることも。コメディアンの彼らしく、ナビには至る所にユーモアが散りばめられています。

 

また、ロシア映画賞など複数の映画賞を受賞したフョードル監督では、行き先を設定すると、「さぁ、いまから俺が監督として導く! 一緒に新しいストーリーを創り出そう!」と言ってナビがスタート。フョードルは運転手を俳優に見立て、監督が指示するように目的地までナビしてくれます。

 

また「変わりネタ」として人気なのは、唯一女性として収録されているヤンデックスの敏腕営業部長アクサナです。ロシアメディアでも強気なキャラクターとして有名なのですが、ナビではそんな彼女にガンガン指示されます。「速度制限よ。私が言うのだから、必ず守りなさい」と、実際に彼女の部下になったような指示が。目的地に到着した暁には「あら、あなたでも到着できたじゃないの」と、お褒めの言葉をもらうことができます。

スターウォーズにオンラインゲーム! アップデートしたくなる仕掛け

本製品は2017年末にスターウォーズとのコラボレーションを発表。なんとヨーダかダース・ベイダーに道案内してもらえるのです。また、現在地を表す矢印もXウイングなどの宇宙船に変更が可能。

 

ひとつひとつの表現も期待通り、ユニークに仕上がっています。「ヨーダバージョン」では行き先を入れると「わしについてこい。若き者よ!」、オービスの前では「気をつけろ、帝国にスピードを見張られているぞ!」、道路工事については「シスたちが道を掘っているようだ」と言ってくれます。一方、ダース・ベイダーでは行き先を登録すると「ダース・ベイダーはお前を待っていたぞ」、「スーパースターデストロイヤーは軌道に乗った」という声が聞こえてきます。スターウォーズのファンにとってはたまらないでしょう。

最新のアップデートでは、戦車を扱った参加型オンラインゲーム「World of Tanks(ワールドオブタンクス)」とコラボレーション。現在地を表す矢印のカーソルの代わりにТ-34-85など、ゲーム上で人気の戦車5台が表示されます。道路工事に差しかかると「対戦車障害物を避けろ」オービスが近づくと「スナイパーに狙われているぞ! 気を付けろ!」など、ナビ上で「World of Tanks」の世界を楽しむことができます。

有名人やコメディアンの声を起用することだけでもユニークですが、それだけではなく、ひとつひとつの表現までもそのキャラクターや作品に合わせる徹底ぶりがユーザーを楽しませています。遊び心溢れるシステムアップデートもユーザーを飽きさせることはありません。オリジナリティ満載のアイデアで、ダウンロード数を着々と伸ばしています。

寺岡呼人×横山剣が語る「クルマと音楽」――横浜の産業道路を走ると思い出す「SUMMERBREEZE」

 

ドライブ中、ふと昔なじみの道を通ることがあります。そんなとき、当時聴いていた曲が無意識に頭の中で再生されることってないですか? バイトへ行くときやドライブデートのときにヘビーローテしていた曲が、「そういえばここで聴いていたなぁ」と思い出とともに蘇ること、ありますよね。

 

シンガーソングライター兼音楽プロデューサーの寺岡呼人さんがナビゲートする「クルマと音楽」、今回はクレイジーケンバンドを率いる横山剣さんをお迎えしました。誰しもが各々に抱いている特別な思い出の曲――横山剣さんの場合は「SUMMERBREEZE」、それもアイズレー・ブラザーズがカバーしたバージョンとのことです。いまでもクルマで横浜の産業道路を走ると思い出すそうですが、いったいどんな思い出があったのでしょう。

 

【横山剣】

クレイジーケンバンドのリーダー、そしてダブルジョイレコーズの代表取締役も務める。中学時代からバンド活動に勤しみ、1981年にクールスのローディーからメンバーへと抜擢。1983年に脱退してからは数多くのバンドを経て、1997年にクレイジーケンバンドを結成。また数多のアーティストに楽曲を提供している、作曲家・プロデューサーとしての姿もみせる。

クレイジーケンバンド オフィシャルサイト:http://www.crazykenband.com/

 

「GOING TO A GO-GO」 

クレイジーケンバンド

2018年8月1日発売

クレイジーケンバンドのデビュー20周年を記念した約3年ぶりのニューアルバムがリリース決定! アルバムのテーマは「支離滅裂」。「だって作曲中毒の僕が3年もオリジナル・アルバム出すの我慢してたんだから!」と横山剣さんが語るように、ソウル、ファンク、ジャ ズ、ボッサ、レゲエ、ガレーヂ、和モノ、亜モノ、モンド、あらゆる音楽が爆発しています!

 

【寺岡呼人】

シンガーソングライター兼音楽プロデューサー。1988年、JUN SKY WALKER(S)に加入。1993年にソロデビューし、1997年にはゆずのプロデュースを手がけるようになる。ライブイベントGoldenCircleを主催し、FMCOCOLOの番組「CIRCLEOFMUSIC」で、さまざまな音楽とアーティストをナビゲートしている。筋金入りのオーディオマニアであり、カーマニアでもある。

寺岡呼人オフィシャルサイト:http://www.yohito.com/

 

家からスタジオまで、クルマで移動し始めた瞬間からトップギア!

寺岡 今日のテーマはクルマと音楽なんですけど、まずは音楽のお話から聞かせてください。僕は1988年にデビューして、今年30周年になったんですが、剣さんは1981年でしたっけ。

 

横山 そうです20歳の時です。

 

寺岡 僕も20歳でした、一緒なんですね! クレイジーケンバンドは昨年で20周年を迎えられたそうですが、実際のプロミュージシャン活動としては。

 

横山 37年なりますね。

 

寺岡 先日の渋谷クラブクアトロで行われた「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」を見てから、クレイジーケンバンドのファーストアルバム「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」を改めて聴いたら、僕がいうのもあれなんですけどその進化っぷりがすごいなぁと思いまして。現在は、どのように曲を作られているのか不思議なんです。

 

横山 まずはデモテープ作りですね。自宅には録音設備がないので、スタジオで全部作業しています。スタジオまで、クルマで移動している間にアイデアが出てきたりするものでして。

 

寺岡 その前までは真っ白なんですか?

 

横山 真っ白です。頭のなかに、おぼろげなメロディがあったりはするんですけど。

 

クルマに乗り、スタジオに移動する時間からトップギアに入れるという横山さん。その間に脳内で煮詰めた最新のフレーズを持って、スタジオという現場に乗り込むのですね。

 

寺岡 クレイジーケンバンドのサイクルとしては、夏のツアーがあって、その前にレコーディングがあると思うのですが、その間の製作期間って、僕の想像だとかなり短いのではないかと。

 

横山 2月くらいからスタジオに入ってますね。とはいっても、ずっとスタジオに入れるわけではないんですが。

 

寺岡 曲そのものは、どのような作り方をしていますか?

 

横山 歌メロよりも先にベースラインから思いついてしまうことも多いですね。ベースラインから考えてそれにコードをつけていきます。それをメンバーに聴いてもらって直したりとか。

 

寺岡 じゃあ最初は剣さんお一人で!

 

横山 はい。鍵盤でなんですけど、それでベースを弾いています。で、僕が好きなタイプのベーシストの感じで「弾いてくれる?」とシンヤくん(クレイジーケンバンドのベーシスト洞口信也さん)に頼んだりして。ドラムはドラムループの音源を使ったりするんですが、何もないときは自分で叩いていますね。最後までは叩けないので、それでループを作ったりしています。

 

寺岡 そうやってイメージを固めていくのですね。

 

 

「みんなのうた」の「山鳩ワルツ」は構想50年!

寺岡 もっと不思議なのは歌詞なんですよね。何でこのトラックでこの歌詞なんだろうと思うことがあって(笑)。剣さんの頭の中はどうなっているのかと不思議で不思議で仕方がないんです。いま、かっこいいトラックって高校生でも作れるかもしれないけど、プロというか、音楽で個性を出すって最終的には歌詞かなと思うんです。「山鳩ワルツ」とかすごいじゃないですか。なんで山鳩が出てくるんだろうと。

 

横山 あれはですね、構想50年以上の曲なんですよ。

 

寺岡 本当ですか! 歌詞の通り、本当に親戚のおじさんとの思い出からですか!

 

横山 本当です。山鳩の鳴き声って、「クークー、ポーポー、」と三拍子で鳴っているという思い込みがずっとありまして。これは何だろうなと気になりながらツチャッチャチャー、ツチャッチャチャーとTAKE5っぽいリズムが思い浮かんだりして。「山鳩ワルツ」はNHKの「みんなのうた」が決まったときになにか良い題材がないかと考えて、そうだ山鳩だ! と。それまでタイトルと「クークー、ポーポー、」だけはずっとあったんだけど、そこから先に進んだことはなかった。今回初めてそこから進んだんですよね。だから構想50年以上です(笑)

 

情緒たっぷりの歌詞にジャジーなワルツが魅力の「山鳩ワルツ」に、そんなバックグラウンドがあっただなんて、びっくりですね。

 

横山 あと、踏切が開くのを待っているときに退屈だったから、「カーンカーンカーンカーン」の音に合わせてリズムを作ったりして、いつか曲にしようとか。電車の「ガタンゴトン」から曲にしてやろうとか。

 

寺岡 じゃあ「そうるとれいん」も、そういう鉄道のイメージがあったんですね。

 

横山 今回の「GOING TO A GO-GO」もそうです。生活音や擬音か何かから生まれたメロディやリズムが入っています。

 

クレイジーケンバンド20周年を象徴する「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」

寺岡 「GOING TO A GO-GO」といえば過去アルバムで一度はボツになったという「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」が入っていましたよね。あれも当時のデモテープみたいのがストックしてあったんですか。それとも頭の中にあったのでしょうか。

 

横山 あれは、当時「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」のアルバムのためにレコーディングをしていたんですよ。だからドラム、ベースギター、ボーカルは、20年以上前の当時のまんまの音です。

 

寺岡 あ、だから声がお若い! なるほど!

 

横山 デッドストックです。そのサウンドにいまの音をトッピングして、20年かかって完成した曲なんですよ。

 

寺岡 じゃあ当時のマルチトラックのマスターがあって、それをコンバートしたんですね。でも、もう機器がないですよね。

 

当時、ヨンパチこと48トラックの録音ができるPCM-3348でレコーディングをしていた横山さん。このマルチレコーダーは現在メンテナンスサービスが終了しており、実働状態のものが少なくなってきているそうです。

 

横山 ダメ元でやってみたんだけどちゃんと再生できて、「よしっ!」って感じでしたね。クレイジーケンバンドにはその当時サックス一本しかなかったんです。でも「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」はホーンセクションがないとダメだよなと思ってて。いやあ、あの時出さなくてよかった、いまこの編成でこそやってよかったですね。

 

寺岡 全部やり直そうとは思わなかった?

 

横山 やっぱり20周年を記念するアルバムなので、それを象徴するようなものってないのかなと考えたんですよ。ゼロから作るよりもその当時のデッドストックから仕上げるというのも一つの手だなと。

 

寺岡 あと今回は全体の音が柔らかくも研ぎ澄まされてる感じがしました。すごく音が良くて抜けていて、「ここに来てこういう音を出すんですか!」と落ち込むぐらいでした。

 

横山 結構好みの音ですね。ちょっとやりすぎちゃったかなという気もするけど。マスタリングはBernieGrundman Mastering Tokyoの前田さんにお願いしています。デジタルすぎると角が立って音が痛いと思ったから、アナログの機材でマスタリングするところじゃないとダメだと考えまして。

 

寺岡 そうなんです。アナログで録ったみたいな音ですよね。ある意味、剣さんがやってこられたことの集大成的なすごく良い音で本当によかったです。ところで、クレイジーケンバンドのライブって何度見てもまったく飽きないというのが不思議なんですよね。例えば同じオチがありますけど、あれもどっかで待っている感じがあるし。

 

横山 チャックベリーのダックウォークとかJBのマントショーとか。わかっているのに待っているところがありますよね。

 

寺岡 そういうときにクレイジーケンバンドのような大編成だからこそいい意味での「ドリフ感」があるというか、何回か見ると年齢を問わず病みつきになっちゃう要素がありますよね。

 

 

小学生時代は一人で東京モーターショー見学に行っていたほどのカーマニア

寺岡 クレイジーケンバンドにはクルマの曲も多いし、ファンの人たちにとってクルマと剣さんって切っても切れない関係だと思うんですけど、そもそもクルマに興味を持ったきっかけは何だったんですか?

 

横山 5歳のとき、幼稚園の同級生のお父さんがベレット1600GTに乗っていたんです。その子の家に遊びに行くとお父さんとクルマ話をするわけですよ。「これツインキャブですか」とか言うとエンジンかけてくれたり、「かっこいい!」と言うとその友だちをほっておいてクルマに乗せてくれたりして。同様に、友だちのお父さんが乗っている日野コンテッサとかプリンススカイライン54Bとか、そういったクルマに興味を持っていましたね。

そして6歳のとき、父親に「より特化したものを見せてやる」と言われて、三船敏郎さんが出てる「グラン・プリ」という映画を観に連れて行ってもらったんですよ。これはF1をテーマにした作品なんですけど、ここからモータースポーツに入りましたね。

 

「路面電車」「ベレット1600GT-CKB仕様」「アメ車と夜と本牧と」などなど、クルマがモチーフとなった曲が多いクレイジーケンバンド。横山さんご自身もクルマが好きだとは聞いていましたが、まさか5歳のときからハマっていたとは!

 

寺岡 日本だと18歳からしかクルマの免許は取れないじゃないですか。5歳からの18歳までの13年間はどうだったんでしょう。

 

横山 晴海の見本市会場でやっていた東京モーターショーに行っていました。友だちにもカーマニアはいたけど、一緒に行くと集中できないので一人で行ってました。

 

寺岡 小学生で! 会場には当時の新車が並んでいたんですか?

 

横山 あとコンセプトカーですね。東京モーターショーにコンセプトカーが出ると、翌年にその市販版が発売されるという時代でした。確か1970年のモーターショーでセリカとカリーナがデビューしたんですが、もうほんとにセンセーショナルでしたね。

 

気がつかずに買ってしまったアメ車は7500cc!

寺岡 ご自分で一番最初に乗ったクルマは?

 

横山 18歳のときに買ったサニー1200GXです。ただそれはレース用なので公道は走れなかったんですよ。あとオールズモビルのカトラスも買いました。これ7500ccでした。

 

寺岡 ななせんごひゃくしーしー!

 

横山 35万円くらいで売っていて、「これは俺、買える!」と思って買ったんですが、まさかそんなに排気量があるとは知らなくて、車検証を見て「え!? 7500cc!?」と。知らないで買っちゃったんですよ。そして1年経つと13万円弱の自動車税が(笑)

 

寺岡 だから人気がなく安かったのか…。ではその2台から始まってたくさん乗り換えてきたんですよね。

 

そうして教えていただいたクルマ遍歴のすごいこと、すごいこと。スカイライン2000GT、アルファロメオ1750GT、ベレットGTは3種類乗り継いだし、オールズモビルのカトラスも多数乗り換えてきています。

 

横山 急に気分が変わってアコードのエアロデッキとか、ワーゲンのタイプ3をフラット4に改造してもらってすごく速くしたり。

 

寺岡 目黒通り沿いのワーゲン専門店ですよね。

 

横山 そうです。「これちょっと速くしてほしいんですけど」って(笑)

 

寺岡 じゃあクルマの乗り換えは、10年とか3年毎といった周期的ではなかったと。

 

横山 もう次から次へでしたね。

 

寺岡 「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」には、曲名にキャデラックの名前が使われていますけど、キャデラックも乗っていたんですか。

 

横山 最初に乗ったのはフリートウッドブロアムです。ローライダーにしようと思って買ったんですけど、フルノーマル状態で見たらこれはカスタムしたらもったいなと思いましたね。その次はコンコース。その次はCTS。いわゆる現代車ですね。今月にATS-Vという小さめのクルマが来ます。

 

 

ヨコハマの女子ウケがよかった曲はアイズレー・ブラザーズの「SUMMERBREEZE」

寺岡 クレイジーケンバンドの「中古車」という曲の、「カーステレオのなかに得体の知れないカセットテープが入っていた」っていう歌詞が面白いですよね。

 

日本の自動車メーカーの名前を羅列していますが、曲調はエスニックな雰囲気が濃厚の「中古車」。前のオーナーが残していったテープを聴いたら、得体が知れないけど懐かしくも美しいビートが流れる…という歌詞なのです。

 

横山 当時の横浜の港は、パキスタン人の車業者が多かったんですよ。その人たちはパキスタンの音楽が入ったカセットテープを聴いていたのですが、あるときその業者が扱う中古車を試乗したら、パキスタンの音楽が流れ出したんです。カセットテープを抜き忘れてていたと。で、「なんだこの曲は!」と、業者の方にカセットテープを譲ってもらいまして。

 

寺岡 ではあの歌も実話なんですね。クルマで聴く音楽って、最初はカセットテープだったと思うんですけど、こだわりの選曲をした思い出ってありますか。

 

横山 ありましたね。特にデートのときは気合い入れましたね。でもカセットテープはCDと違って、そのタイミングでその曲が来てくれるか、わからないじゃないですか。だから夕暮れ時にムーディな曲をかけたいと思って、気づかれないように巻き戻したりするんだけど、女の子はお喋りに夢中で、そのシチュエーションになっても曲に気づいてくれなかったりとか(笑)。いまでもデートコースだった場所を通ると、頭の中で鳴るんですよね、昔聞いた曲が。

 

寺岡 ありますあります!

 

横山 当時は毎年夏になると本牧市民プールにラジカセのでかいのを持って行ってたんです。そのときかけていた曲のなかでも、特に女の子が反応する曲があったんですよ。それがアイズレー・ブラザーズの「SUMMERBREEZE」。これかけてると結構釣れるといいますか(笑)

 

寺岡 じゃあ「タオル」の歌詞はまさに!

 

横山 その思い出を曲にしました。いまだに産業道路をクルマで走っていて、本牧市民プールの看板をみると、「サマーブリーズ~」と鳴るんですよ。

 

寺岡 そういう音楽との出会い方っていうのもいいですよね。音楽との接し方が変わってきている現在ですが、色々な音楽の聴き方をしてほしいなと思いますね。

 

ちょい聴きだったらオンラインサービス。本気で欲しくなったらパッケージ

寺岡 ところでクルマの中ではどのように音楽を慣らしていますか?

 

横山 いまのクルマにはCDプレーヤーがないので、iPodからBluetoothで飛ばして聴いています。でもCDの方が音がいいので、次に来るキャデラックにはCDプレーヤーをつけましたね。

 

寺岡 お、iPodですか。

 

横山 電話がガラケーなんで、音楽はiPodに任せてます。

 

寺岡 ご自宅で聴くときはどうでしょう。

 

横山 自宅はCDとアナログと、パソコンに保存した曲を聴くことが多いのですが…ボリューム上げるとうるさいと言われてしまう(笑)

 

寺岡 よくわかります(笑)。ところで、いわゆる音楽配信サービスについてはどう捉えていますか?

 

横山 娘はそれで聴いてます。僕はやり方が分からないので娘に教えてもらって。ちょい聴きしたいものにはいいですよね。その曲が気に入れば、CDやアナログのパッケージが欲しくなってきます。

 

寺岡 ほどよく利用しているわけですね!

 

横山 そういうことになります(笑)

 

↑実は音楽ストリーミングサービス大好きという寺岡さんは、愛車に装着したパイオニア・サイバーナビの「ミュージッククルーズチャンネル」をよく聴いています。音質もハイクオリティなサイバーナビだから、作成中の音源チェックを車内で行うこともしばしば

 

撮影/横山勝彦

 

サッカー日本代表・吉田麻也選手がランドローバーの新アンバサダーに就任!! その理由は?

日本が2大会ぶりにベスト16に進んだサッカーワールドカップ。その興奮の余韻が残るなか、東京・銀座の「JAGUAR LAND ROVER STUDIO」に日本代表のセンターバック、吉田麻也選手が現れた。ランドローバーの新アンバサダー就任式典に出席するための登場だ。サッカー解説者の北澤 豪氏とのトークセッションも行われ、ワールドカップの裏話なども含め、式典は大いに盛り上がった。

↑ランドローバーの新ブランド・アンバサダーに就任したプロサッカー選手の吉田麻也氏。右は2018年に入って新たにラインナップされた「ヴェラール」

 

↑ランドローバーの歴代アンバサダーに加わり、パネルにサインをした吉田選手

 

イギリスと日本の架け橋に

式典の冒頭、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマグナス・ハンソン社長が登壇し、吉田選手をアンバサダーに起用した背景について説明した。

 

「吉田選手はイギリスのプレミアムリーグで7年目となり、日本人として初めて100試合以上のゲームに出場している。ランドローバーと同じように、イギリスと日本の架け橋になるべく就任していただいた。吉田選手は際限なく完璧を目指して頑張っており、それは“Above & Beyond”というランドローバーのフィロソフィーと同じ。ランドローバーに乗ってもらうことで、吉田選手が次なるチャレンジに邁進する助けができると思っている」(マグナス・ハンソン社長)

 

その後、ハンソン社長が吉田選手を招き入れると、「Welcome to Land Rover Family!」と吉田選手に声をかけながらランドローバーのビッグキーを手渡した。今後、吉田選手は「ランドローバー」のクルマに乗りながら、アンバサダーとしてランドローバーの魅力を発信していくことになる。

↑吉田選手を笑顔で迎え入れるジャガー・ランドローバー・ジャパン 代表取締役社長のマグナス・ハンソン社長(右)

 

あの激闘の裏側を語る

続いて、サッカー解説者の北澤 豪氏のMCによるトークセッションが開かれた。ワールドカップから間もないとあって、取材陣はあの激闘の裏側に興味津々。吉田選手にワールドカップを戦った感想を北澤氏が根掘り葉掘り聞いた。

↑就任会見では北澤 豪氏(左)と吉田選手によるトークショーが開かれた

 

北澤氏:ワールドカップを終えて、いまの感想はでどうですか?

吉田選手:最低限の目標だった予選突破ができたという安心感はちょっとありますが、個人的な目標は“次のところ”(ベスト8)だったので、正直、悔しさのほうが大きいですね。成田空港で多くの方から祝福されたのは驚きましたが、自分にとっては大きなギャップがありました。多くの方から「ありがとう」「おめでとう」と言ってもらえたのはもちろんうれしいですが。でも、選手は何が必要なのかを考えながら次のワールドカップまでの4年間を突き進んでいきたいと思ってます。

 

帰国した日、最初に行ったのは選手とスタッフを交えての焼肉パーティ。そこでは大いに飲んで笑って涙も分かち合ったという。

 

吉田選手:強化試合のパラグアイ戦のあとぐらいからチームの状態はよくなってきました。監督が替わってゴタゴタしているなかで、試合がうまくいっていない。これはやるしかないと追い込まれた状態になって覚悟ができたんだと思います。何より、ワールドカップでのコロンビア戦で勝てたのが大きかったですね。日本の皆さんの期待値も変わったでしょうし、僕らも勢いに乗るきっかけになりました。

 

北澤氏:ベルギー戦で2-0になったときに「いけるぞ」って感じはあったのでしょうか?

吉田選手:そう思ってしまったのがよくなかったんじゃないかなと思っています。2-0のままでOKという感覚になった瞬間、裏でボールをもらう回数が減り、セーフティな選択をするようになって相手が前に出てくるきっかけを作ってしまった。横パスなんかのミスからシュートまでいかれるシーンも出てきましたからね。本来ならDFは集中すべきなのに(これで)バタついてしまった。アンラッキーなところから失点し、そこから修正できなかったというのはやはり経験値が足りないんだなと思いました。

 

北澤氏:逆にヤバイと思ったのはいつ頃なのでしょうか?

吉田選手:フェライニ選手が入ってきたところですかね。フェライニ選手とシャドリ選手が入ってきたところから相手のリズムをなかなかこっちのリズムに持っていけなくなって。センタリングを上げられたとき、ルカク選手をマークしていてフェライニ選手がフリーになっているのが一瞬見えたんですが、そこをカバーに行けなかったし、コーナーキックをキャッチされてGKをブロックできなかった。これもサッカーですし、ここから学んでレンジローバーと同じように走り続けていかなくてはいけないと思います。

↑アンバサダーとして早くもランドローバーの魅力について語る吉田選手

 

サッカーの話から無理やりレンジローバーに結び付ける発言には北澤氏も思わず苦笑。吉田選手は早くもアンバサダーとしての自覚を持っているようだ。ただ、吉田選手は以前からランドローバーに対して憧れを強くしていたという。

 

北澤氏:ランドローバーの新ブランド・アンバサダーに就任した気持ちはどうですか?

吉田選手:ランドローバーはずっと憧れのブランドでしたし、イギリスでは国産車ですがみんなが憧れるブランドです。プロに入ったばかりの頃、先輩が乗っているのを見て羨ましく思ってました。そんなブランドにこうしたお話をいただけたのは光栄ですし、うれしく思います。

 

北澤氏:プレミアリーグの選手たちはレンジローバーをどう見ているんでしょうね。

吉田選手:レンジローバー、ランドローバーは家族用に1台は持っていて、特にイギリス人にとってこのブランドへの憧れは強いと思いますね。試合のとき、駐車場を見ると必ず6~7台は駐まっていますからね。

 

北澤氏:ここにあるヴェラールにも乗ったとのことですが、感想はいかがでしたか?

吉田選手:いやー、ホントに乗り心地が良かったです。運転もスムーズでしたし、安定感もあります。後ろもいいですね。

 

北澤氏:お、運転手付き?

吉田選手:あ、この言い方はよくなかったですね(笑)。後ろに子どもを乗せたシチュエーションでも安定して乗れると思いますし、(SUVなんで)奥さんから「荷物が入らない」なんてことも言われなくて済みます。インテリアも品の良さも半端ないです。リビングでソファに座っているような感覚で座れるのは、ある意味部屋みたいなもの。身体が大きいのでレンジローバーのサイズはとてもありがたいですね。

 

長谷部選手や本田選手の代表引退があり、監督も替わって、これから日本代表は新チームになっていく。そのなかで吉田選手はリーダーシップをとって若手を引っ張っていかなければならない存在となる。ここで吉田選手がパネルに記したのは、「Best 8」というシンプルなキーワード。もちろんこれは2022年のワールドカップでの目標であり、吉田選手も「これ以外考えられない」とコメントした。最後に吉田選手からは「今回のワールドカップでの悔しさをバネに、さらに上へと邁進していく」ことが宣言された。

↑次なる目標について「Best8」を掲げた吉田選手

 

なお、JAGUAR LAND ROVER STUDIOでは、吉田選手のランドローバー・アンバサダー就任を記念し、7月26日~8月26日までに吉田選手直筆のサインボールや目標を記したパネルなどが展示される予定となっている。

↑7月26日~8月26日までの期間、JAGUAR LAND ROVER STUDIOでは吉田選手がロシアワールドカップで着用したユニフォームやシューズ、目標を記したパネルなどが展示される

寺岡呼人×ABEDONが語る「クルマと音楽」――バッハとトランス・ミュージックがロングドライブには最高!

 

彼女とのドライブなら、ムーディなトラックを。家族とのドライブなら子どもたちが喜ぶ音楽を。ドライブにマッチする曲は、シチュエーションによって変わります。では一人で長距離を淡々と走るシーンであればどうでしょうか? それも通勤のような、定期的に同じコースを走る場合だと。

 

シンガーソングライター兼音楽プロデューサーの寺岡呼人さんがナビゲートする「クルマと音楽」、今回はユニコーンのキーボーディストとしてだけではなく、音楽業界でマルチに活躍するABEDON(阿部義晴)さんをお迎えしました。プライベートでも親交の深いお二人の対談中、その答えの1つとなりそうなキーワードが出てきましたが、それがびっくり、なんとトランス・ミュージックだというじゃないですか。いったいどのような理由でロングドライブとトランス・ミュージックがマッチするのでしょうか。

 

【ABEDON

1966年7月30日生まれ。山形県出身。A型しし座ペガサス〜遊び心満載の自由人! 2014年に阿部義晴からABEDONに改名し、2009年より再始動した「ユニコーン」と「ABEDON」としてのソロ活動を並行して活動中。作詞・作曲、演奏はもちろんのこと、MIXやマスタリングの幅広い領域まで対応。ユニコーンの「D3P.UC」(2017年リリース)では映像総監督としての新たな分野へも進出した。

1998年に自身のレーベル“abedon the company”を設立し、「氣志團」「グループ魂」「私立恵比寿中学」などさまざまなアーティストへのプロデュース並びに楽曲提供、CMソングやドラマ主題歌、映画音楽を手がける。

ABEDON オフィシャルサイト:https://www.abedon.jp/

 

【寺岡呼人】

シンガーソングライター兼音楽プロデューサー。1988年、JUN SKY WALKER(S)に加入。1993年にソロデビューし、1997年にはゆずのプロデュースを手がけるようになる。ライブイベント Golden Circleを主催し、FM COCOLOの番組「CIRCLE OF MUSIC」で、さまざまな音楽とアーティストをナビゲートしている。筋金入りのオーディオマニアであり、カーマニアでもある。

寺岡呼人オフィシャルサイト:http://www.yohito.com/

 

いろいろなクルマを乗り継いできたABEDONさん

寺岡 ABEDONくんが自分で一番最初に買ったクルマは何だったの?

 

ABEDON クルマを運転できるようになってからは機材の関係でほとんどハイエースに乗ってたかな。自分で買ってというのは…ホンダのプレリュードだね。

 

寺岡 それは中古だったの?

 

ABEDON うん中古。知り合いからほぼタダで譲ってもらったみたいな。でも楽器が載らないので、知り合いのカメラマンからスカイラインのバンを譲ってもらってさ。その後はフィアット500。でもあまりに非力なのでアバルトに乗り換えた。そこからは異常なほどに乗り継いでいったね。

 

 

一時期、寺岡さんはABEDONさんの影響を受けてメルセデス・ベンツのSクラスに乗っていたとのこと。ABEDONさん、スペシャリティカーにライトバン、可愛らしいコンパクトカーにゴツい1台まで、本当にいろんなクルマに乗っていたんですね!

 

 

寺岡 例えば、新車でボルボの240を買ったんだけど、これは結局18万km ぐらい乗ったよ。

 

ABEDON 結構持つねぇ。

 

寺岡 そう考えるとクルマも好きだけど、どっちかっていうと運転するのが好きだったのかも。ABEDONくんはどうだった?

 

ABEDON 若いときはクルマに乗るのも、クルマそのものにも興味を持ってたな。スピード感があるし、サウンドもあるし。バンドをやって入ってきたお金はこういうところで使っていこう、みたいのがあったし。

 

シンプルな4つ打ちだからロングドライブに合うトランス・ミュージック

寺岡 車内での音楽環境はどうだった?

 

ABEDON カーオーディオはMから始まる青く光るレシーバーを入れてたよ。

 

寺岡 マッキントッシュね!  音は良かったの?

 

ABEDON というかカッコ良かった(笑)

 

寺岡 確かにあれは当時一番カッコ良かったな。車内で聴く音楽にこだわりはあった?

 

ABEDON クルマってさ、録音した音をチェックする場所という意識が自分の中にあったのね。スタジオとは違ってどう聴こえるんだろうというのを、クルマの中で確認する感じ。

 

寺岡 あるある。ミックスダウンのバランスを確認するのはクルマの中だよね。

 

ABEDON わざわざスタジオから駐車場まで降りていったりしてね。

 

寺岡 クルマの中で確認してから戻って、もうちょっとベース上げてくださいと言ったりとか。僕らの場合、音楽は家よりもクルマの中で聴く時間の方が長かったからついついやってたね。

 

ABEDON フェラーリに乗り始めるまではずっとやってたね。それまでは音楽がかかってないと嫌だったし。でもああいったスポーツカーだとすぐに調子が悪くなるから、運転中はいつもエンジンの音を聞いてなきゃいけないんだよね。

 

寺岡 それで一巡して、今はまた聴くようになったんだっけ。

 

ABEDON そう。移動時間が長くなっちゃって、さすがにスポーツカーだと疲れるから楽ちんなラグジュアリーなクルマにしたわけだ。そうすると、またね。移動時間のあいだに何を聴くかとなっちゃって。 最近のクルマは最初からわりと上等な音だからカーオーディオはそのままで。あとは何をかけるかってところで悩んでた。そしてたどり着いたのが、トランスなんだよね。

 

寺岡 へえええ!

 

ABEDON 四つ打ちでシンプルな小節を繰り返してるジャンルじゃない。だから長距離でも、長時間聴き続けていても持つのよ。これはいいわと、もうノリノリ。

 

いつも同じコースを長時間走るとなると、時には集中力が途切れがち。でもメロディラインが象徴的ではなく、ループ的なリズム・パターンを持つトランス・ミュージックだからこそ、ドライブ中のBGMにぴったり、と。運転に集中したまま走れるということですか!

 

 

SDカードにクルマの中で聴きたい曲をコピーしておくテクニック

寺岡 いま、クルマの中ではどんな音楽ソースを使っているの?

 

ABEDON それがSDカードなんだよね。

 

寺岡 えー、そうなの! 自分はスマートフォンからBluetoothで飛ばして聴いているんだけど、そうかSDカードか。

 

ABEDON スマートフォンだと電話かかってきたり色々ややこしいことが起きるから、クルマ専用ということにしたSDカードにクルマで聴きたい音楽を入れているんだよね。

 

寺岡 自分のクルマのカーオーディオにもSDカードスロットはあるけど、使ったことはなかったな。そういう風に使うんだね。

 

SDカードをカセットテープやCD-Rなどのように使っている、ということなのですね。これはカーオーディオ環境のライフハックといえるワザかもしれません。

 

ABEDON あれね、結構いいよ。そして曲なんだけど、実は、いまはバッハしか聴かなくなっちゃった(笑)

 

寺岡 トランスからバッハって(笑)。なんでバッハなの?

 

ABEDON 余計な情報がないというか。キース・ジャレットが好きなんだけど、彼が演奏しているバッハのインヴェンションにはすべての基礎が詰まっていてね。それをずーっと聴いてる。ハイブリッドのクルマにしたからというのもあるかな。 ハイブリッドって静かなんだよね。だから車内でクラシックも聴けちゃう。

寺岡 フェラーリだとバッハは聴けないよね。

 

ABEDON 全然聴けないね(笑)

 

寺岡 バンドを始める前はクラシックをやってたの?

 

ABEDON やってた。

 

寺岡 じゃあ先祖返りってわけじゃないけど、原点に戻ってきたのかな。

 

ABEDON そうなのかな。さらにいうと、普段聴く音楽はレゲエしかないんだよ。ポップスなりロックなりを聴くと、仕事モードになっちゃう。資料でもらったCDとかも、考えながら聴いちゃうし。

 

寺岡 そういう耳で聴いちゃうのってあるよね。

 

ABEDON クラシックだとそれがないんだよね。 仕事と関係ないから頭が切り替わって純粋に音楽を楽しめるし。レゲエも自分でやりたいとは思わないジャンルだから(笑)

 

寺岡 なるほど、BGMで聴けちゃうってことか。

 

またベッドルームではブライアン・イーノの曲を聴くことが多いそうです。曰く、「音楽を聴きたいわけじゃないけど音がないと嫌」というときに、彼のゆったりとしたアンビエント・ミュージックがマッチするということなのでしょう。

 

寺岡 家で聴くときのオーディオ機器はどんなのを使っているの?

 

ABEDON BOSE M3っていう小さいスピーカーのプロトタイプにPCをつなげているね。なぜかというとうちのスタジオにも同じスピーカーがあってさ。

 

寺岡 ABEDON君のお家に2、3度お邪魔したことがあって。そのときはスタジオができる前だったから、地下に小さいスタジオを作ってたよね。今もそこで作業はしているのかな。

 

ABEDON いや、完全にスタジオの方に移行してる。地下はもう使ってないね。

 

寺岡 じゃあアイデアが浮かんできたときとかは、スタジオに通うんだ。絶対そっちの方がいいよね。前に誰かのインタビューで読んだんだけど、家にスタジオがあるとパジャマのままでやっちゃうと。生活と地続きだから仕事モードになかなか切り替わらない。だから10mでも20mでもいいから自宅からは離れたほうがいいと書いてて。

 

ABEDON 家だと風呂にも入っちゃうし(笑)

 

 

マスタリングも自分でやるしかない!

寺岡 最近マスタリングエンジニアをやってると聞いたんだけど、そのきっかけはなんだったの?

 

ABEDON 自分のソロアルバムのマスタリングを、ニューヨークのテッド・ジェンセン(STERLING SOUND)にお願いすることになったのね。そのとき、インターネット経由で戻ってきた音の感じがあまりにも衝撃的で。音を録ったのは自分のスタジオだけど洋楽に聴こえてね。これはなんかアプローチが違うんだなと思ったの。日本のマスタリング事情を話してしまうと、エンジニアが高年齢化していて普遍的な音になることが多く、なかなかクリエイティブな感じにならないところがあるし。

 

俺はこれだけ長く作曲も作詞もやっているし、アレンジもレコーディングもやってるし、やることがなくなってきてるわけ。もう残すところはマスタリングしかない! となってね。

 

寺岡 普通はそうはならないよね(笑)

 

マスタリングとはCDや配信用の音楽ファイルを作る際の、最終的な音質・音量のバランスをとる作業のことです。様々なトーンの曲が入っているアルバムでも、優れたマスタリングを行うと一貫性のある作品に仕上がります。この分野においてテッド・ジェンセンは巨匠といわれる存在で、日本のアーティストのアルバムも数多く手がけています。

 

寺岡 実際はどんな環境でやっているの? 特別なシステムみたいのを使ってるの?

 

ABEDON ニューヨークに行ったときにテッドが色々教えてくれたの。で、彼が使ってるのと同じシステムを買っちゃった。

 

寺岡 マジで!

 

ABEDON ジミー・ペイジに憧れたらレスポールを持ちましょうというのと同じで、同じ機材、同じルーティンにしてしまえば、 違いは自分の実力しかないじゃない。そこから研究が始まるわけ。

 

寺岡 ハードは全部そろえたの? STERLING SOUNDのスピーカーはB&Wだったよね。

 

ABEDON 基本的なものだけかな。だって高っっっかいんだもん! ひとつひとつが! スピーカーだけでもすごく探したよ。 新品だとエイジングされていないのですぐには使えないから中古で探すしかなくてね。でも、見つけてもみんな小さな音でしか鳴らしてないのよ。ガンガン鳴らしてるスピーカーじゃないとスピーカーの音がふっくらしないから。反応が硬いんだよね。だから結局、輸入会社のデモ機みたいなものをつけてもらったのよ。

 

寺岡 自分もSTERLING SOUNDに行ったときに、B&Wってこんなにいい音がするんだと思ったよ。でも日本のオーディオショップで聞いたB&Wはもっとカチカチの音でさ。なんであんな音なんだろうと。これは手を出しちゃいけないなと思っていたんだけど、ABEDONくんは手を出しちゃった派なんだ(笑)

 

ABEDON ユニコーンのベスト、全部のリマスターをそこでやったんだけどすごい勉強になったよ。

 

寺岡 当時出たものと比べてどんな感じだった?

 

ABEDON 直に聴くと、いいところもあるし未熟なところもあるし。

 

寺岡 恥ずかしいところもあるし。そういうの1枚1枚聴きながらマスタリングをすると(笑)。なかなかシビレる作業だね。

 

ABEDON 1枚目2枚目はサウンド的にも楽器的にも未熟だったから音が痛いんだよね。それで1枚やったら耳をやられちゃうから、作業後は1日海で過ごしてさ。海の音は低音から高音までフラットだから、そこで耳を癒して、また次の日にやるとか。

 

寺岡 マスタリングしたものはメンバーに聴かせるわけだよね。

 

ABEDON 全然聴きやしないよ(笑)。でも、ああみえて、民生君はちゃんと聴いてるんだけどね。

 

寺岡 やっぱり。はい任せるみたいな(笑)。しかしベストアルバムをメンバーがマスタリングするというのは、 ABEDONくんだけだと思うだよね。

 

ABEDON ニューヨークのマスタリングエンジニアのアーティスティックなところを見ていると、アプローチがすごく音楽的でそこがすごくいいなと思って。でも俺らは自分たちが鳴らしたのはどんな音だったか、目指した音はどんなんだったかとか、ライブでいいと思ったときの感触をどうやって出すかとか研究していけるから、そこは分があると思ってる。そこを俺は、握らなきゃいけないなと思ったのよ。

 

 

音楽ストリーミングは時代の流れ。問題は知的財産の守り方

寺岡 音楽ストリーミングってあるじゃない。自分は結構利用してる派なんだけど、ABEDONくんはどう?

 

ABEDON ちょっと迷ったけどね。最初は業界全体の流れがNGみたいな雰囲気もあったでしょ。だからハイレゾに行きますみたいな感じだったけど、俺アナログは興味あるけど、ハイレゾには興味がなくて。

 

寺岡 えー、そうなんだ。

 

ABEDON 俺らの子どものころって家にでっかいステレオコンポがあったじゃない。でもいまそういう環境がある家は少ない。聴きたい曲はその場で手に入れたいしヘッドホンで聴くし。だからわざわざハイレゾに行くことには興味がなかったんだよね。ストリーミングに関してはまだ問題はあるだろうけど、この流れは止めることができないし、行くしかないんじゃないかなと。

 

寺岡 昔はクルマに乗ってレンタルCDショップまで行ってCDを借りて、何日か後に返しに行くというのが普通だったけど、今は、なぜわざわざ借りに行かなければいけないんだろうという価値観になってきたよね。

 

ABEDON 人間の順応性はすごいよね(笑)。音楽を発信する媒体が変わってきてるというだけの話で、そこに目くじらを立てる必要はないと思ってる。ただミュージシャンはお金がないと音楽活動ができないので、知的財産をどうやって守るかっていうところが大事だよね。

 

気軽に好きな曲を聴けるし、今まで知らなかった曲もレコメンドしてくれる音楽ストリーミングは便利。という共通の見解を持っているお二人。同時に、好きな曲はパッケージで買いたい、物質として欲しいという声もありました。

 

50代からの展望

寺岡 我々も、もう50歳を超えたわけだけど、この先の10年、野望というか展望というか目標はある?

 

ABEDON 俺ね、10年ごとに節を区切っているのね。20代のときはバンドをやっていて散々色々なものを見てきた。いいこともいろんなこともあったけど、30代は業界に貢献しようと思っていたの。だからプロデュースをやって、氣志團を見つけてヒットさせることに10年を費やしたの。40代は自分の周りのためにも動こうと思ったの。それで、一番すごいのは再結成じゃないかと。自分の周りにいるスタッフ、バンドメンバー、みんながハッピーになると思って、それでもう一回バンドをやり始めたの。

 

さあそれで50代に入りました。40代の目標は、ほぼやり終えた。次は下の子たちを育てなきゃいけないと思ってて。今の音楽ビジネスはミニマムなものが多く、大規模な現場を体験できる機会がないんだよね。

 

寺岡 ミュージシャンだけじゃなくて音楽業界全体の、これからの人たちを育てる…。わかった専門学校の校長だ!

 

ABEDON ああ! そういえば俺ら両親がさ。

 

寺岡 教師だから(笑)

 

ABEDON その血はあるはず! それを呼人くんとかもやってくれたら(笑)。呼人くんは人を引き寄せて引っ張っていく魅力というか力があると思ってるんだけど。

 

寺岡 自分ではまったくそうは思ってないんだけど、結果そういう役回りをやることが多いかも。

 

ABEDON 向いてると思うんだよね。俺は気まぐれだからさ。

 

寺岡 じゃあ俺、理事長で。ABEDONくんが副理事長で(笑)

 

↑愛車ではパイオニア・サイバーナビの「ミュージッククルーズチャンネル」をよく聴いており、音楽ストリーミングサービスも積極的に活用しているという寺岡さん。サイバーナビが対応しているメディア・接続機器はCD、Bluetooth、SDカードなど14種類も。最新モデルはハイエンドホームオーディオ級のパーツや素材がふんだんに使われており、車の中でもハイクオリティな音楽再生が可能で、オーディオに一家言ある寺岡さんも大満足とのこと

 

[ABEDON 公演情報]

ABEDONのソリスト公演「リストなきソリスト」が開催決定! キーボード、ボーカルはもちろん、ギターやベースもマルチにこなすABEDONが、ソリストとしてどのような舞台を繰り広げるのか、ミュージシャンシップと遊び心に満ちあふれたステージにご期待ください。

ABEDONソリスト公演「リストなきソリスト」

2018年7月19日(木) 宮城 仙台retroBackPage

2018年7月25日(水) 東京 Billboard Live TOKYO

2018年7月30日(月) 大阪 Billboard Live OSAKA

✳7/30(月)大阪公演は、ABEDONの誕生日当日、バースデーライブです!

 

ABEDONソリスト追加公演「リストなきソリスト」

2018年7月24日(火) 東京 Billboard Live TOKYO

2018年7月31日(火) 愛知 名古屋ブルーノート

 

詳細はABEDON オフィシャルサイト:https://www.abedon.jp/をご覧ください。

 

憧れの「マイ・ガレージ」を低価格で。モスクワっ子のDIY欲を満たしまくる「時間制ガレージ」が人気

約2人に1人がクルマを所有しているというモスクワ。クルマを所有するということは当然、車検や定期点検などが必要となってきますが、予約を取って順番待ちするディーラーより、自分で点検や簡単な部品交換をしたいという意見や、「自宅にガレージがないけれど自由にいじってみたい」という声が多くあります。そんなニーズから生まれたのが「時間制ガレージ」。現在、モスクワっ子の間で人気が高まっています。

 

人気の時間制ガレージとは?

ロシアの修理屋についての記事でも述べましたが、ロシアには、もともと物が少なかったソビエト連邦時代から「自分のものは自分で直す」という文化が根付いています。ソ連時代の名残で、自分でクルマをいじったり、いまだに自分で点検や修理をする人々が多いのですが、大都市モスクワではアパート住まいが一般的。クルマをいじる場所がないというのが問題です。

 

そんななかで時間制ガレージが需要を伸ばしています。電話やオンラインで予約をすれば、自分だけのガレージを24時間使用することが可能。価格は、店舗によってある程度の差はあるものの、1時間あたり400ルーブル(約800円)ほどです。広々としたガレージと専用の工具が使いたい放題ということで一躍大人気に。

 

時間制ガレージでは、クルマごとにガレージが独立している場合もあれば、1つの大きなスペースに何台か入れるようになっていることもあります。チェーン展開をしている店舗はまだないものの、一つひとつの店舗が工夫を凝らしたサービスを提供。

人気店の1つ「сбой гаражスボイガラーシュ」には、486個もの工具が揃っており、しかも、それらすべてはプロが使用するレベルのもの。自宅での修理にありがちな「修理を始めたはいいが、必要な工具がない」ということもありません。また高い専門的な工具を購入する費用も節約できます。ドライバーに始まり2トン以上を持ち上げられるクレーンまで、なんでも揃うガレージ内。USB充電ポートを増設するのに必要な端子類セットや電工ペンチ、検電テスター、よく使う端子やコネクターなど、細々したものもしっかり揃っています。クルマにバックカメラを装着することも可能。

 

使用者の口コミには、「自分のお粗末な工具より断然作業しやすかった。また、どこかの駐車場でいじるより快適に作業できた」と前向きなコメントが寄せられています。

 

ガレージの使い方は無限大?

また、修理に限らないユニークな使い方を提案している時間制ガレージもあります。例えば、4台同時に入れる大きなスペースを友だち同士で使って、お互いのクルマをいじるという「改造愛好家の遊び場」として利用することができます。

 

さらに、冬はマイナス40度にもなるモスクワでは、放っておくとクルマのバッテリーが凍ってしまうことも多々あります。そんな寒い日や夜中だけ、愛車をガレージに避難させるという「時間制パーキング」サービスもあります。

日本やアメリカにも広がるガレージサービス

日本にもレンタルピットというサービスがあります。クルマユーザーが、クルマの整備やカスタマイズ、ドレスアップに必要なプロの「作業場所」や「設備」、「工具」などを自動車工場からレンタルできるというもの。このサービスでは既存の工場内に場所を借りるということで「自分のガレージ感」がないものの、同じスペースに専門家がいるというのは心強いかもしれません。

 

また、アメリカでは「U DO IT(ユードゥーイット)」というサービスが広く知られています。こちらはロシアと同じくガレージになっているうえ、専門の修理工が常駐。ただし、常駐の修理工はあくまで手助けが必要な時の「ヘルプ」だそうです。

 

場所とお金を節約できる都会の愛車ライフ

ディーラーでの定期点検の相場は約2万ルーブル。時間制ガレージなら、2時間ほどかかるとしても800ルーブル(約1600円)と価格の差は歴然です。また、自分の家で修理するよりも、専門工具が揃っているうえに、終わった後の片付けや掃除の手間が省けるのもとても便利ですよね。

 

安くすませられて、時間の融通もきく時間制ガレージは、忙しいモスクワの人々のライフスタイルに合わせやすくなっていることも人気の理由の一つかもしれません。

清水草一が最新フェラーリの魅力を語る! 「美しさ」と「エンジン」、重視されるのはどちら?

誰もが知っているスーパーカーの代名詞、フェラーリ。しかし、その魅力や特徴を実は細かく知らなかったという人も多いのではないでしょうか。ここでは、モータージャーナリストの清水草一さんがフェラーリの魅力を徹底的に語り尽くします。

 

【解説&採点】

モータージャーナリスト 清水草一さん

「サーキットの狼」作者の池沢早人師先生から直接薫陶を受けた唯一の自動車評論家。これまで11台のフェラーリを乗り継いでいます。GetNaviの連載「クルマの神は細部に宿る」をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

【そもそもフェラーリとは?】

レース参戦のために存続する世界でただひとつのメーカー

創始者のエンツォ・フェラーリはレーシングチームを経営し、生涯をレース活動に捧げました。その資金稼ぎのために、レーシングカーを乗りやすく改良して販売したのが、同社の市販車部門の始まり。1988年のエンツォが亡くなって以降もF1参戦は継続し、世界中のクルマ好きの憧れとなっています。

 

フェラーリの長い歴史のなかで最もパワフルなV型12気筒エンジン

フェラーリ

812スーパーファスト

3910万円

名の「812」は「800馬力の12気筒」を表し、FRのロードカーとしてはフェラーリ史上最強と称されるほどのハイパフォーマンスを誇ります。電子制御デバイスが多数盛り込まれ、超弩級の能力を危なげなく体感させてくれます。

SPEC●全長×全幅×全高: 4657×1971×1276㎜●パワーユニット: 6.5ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 800PS(588kW)/8500rpm●最大トルク: 73.2㎏-m(718Nm)/7000rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー】

F1をイメージさせるスポーティなインテリア

非日常性を感じさせるF1のようなコックピット。カラーも自由に選択できる。F1システムと呼ばれる独自のトランスミッション形式は、パドルシフト式セミATの先駆的存在です。

 

最新技術が盛り込まれた大柄ながら美しいボディ

ボディは先代のF12ベルリネッタとほぼ同サイズで、前後ともに20インチの大径ホイールが装着されます。ボディ下部にはディフューザーを採用し、高速走行時の空気の流れを調節。

 

最高馬力のエンジンは印象的な赤塗装が特徴

V型12気筒エンジンのヘッド部には赤い結晶塗装が施されています。6.5ℓの大排気量で、フェラーリの自然吸気式エンジンを積む市販車では史上最高となる800馬力を発揮します。

 

旗艦モデルのエンジンは12気筒でなくてはならない

フェラーリは、誰もが認める自動車の頂点、太陽神的存在。その立脚点は、F1グランプリにおける輝かしい戦績にあります。日本でフェラーリといえば市販のスーパーカーですが、海外では第一にレーシングチーム。その栄光を市販車に投影しているという文脈が、他社とは決定的に異なります。

 

すなわち、フェラーリにおけるスーパーカーの出発点は、レーシングカーをちょっと乗りやすくして一般販売したところ。そのため、同社が何よりも重視しているのは、常にエンジン。フェラーリのフラッグシップモデルは、最もパワフルで、最もエレガントな12気筒エンジンを積んでいなければなりません。現在のフラッグシップである812スーパーファストは、その12気筒エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動するFR方式。一般的にスーパーカーと言えば、エンジンをキャビン後方に置くミッドシップがイメージされます。しかし、フェラーリは元々FRからスタートしており、812スーパーファストは原点に回帰したモデルといえます。

 

フェラーリの名声はあまりにも高く、もはや性能は二の次と見る向きもあります。しかし、フェラーリの魂は常にエンジンであり、続いて重視されるのが美しさ。そのプライオリティは不変なのです。

 

【清水草一の目】

ほかでは味わえない官能的なV12エンジン

スーパーカーとしては車高が高く、FRなのでパワーを路面に伝えきれない面がありますが、V12の官能フィールは唯一無二。地上最高のブランド力を満喫できます!

 

【OTHER SUPER CAR】

ツーリングにも最適なハードトップオープン

ポルトフィーノ

2530万円

車体に収納できるリトラクタブルハードトップを備えたオープンモデルで、優雅な佇まいと優れた多用途性や快適性が特徴。スーパーカーの快楽を満喫できるうえに、日常使いでのストレスが皆無というのは大きな魅力です。

SPEC●全長×全幅×全高:4586×1938×1318㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:600PS(441kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

 

コンパクトなボディにターボエンジンを搭載

488GTB/488スパイダー

3070万円〜3450万円

458イタリアの後継モデルとして登場し、2015年に日本へ導入されました。V8エンジンの排気量はそれまでの4.5ℓから3.9ℓへとダウンサイズされていますが、ターボの採用によって出力、トルクともに大幅な向上が図られています。

SPEC【488GTB】●全長×全幅×全高:4568×1952×1213㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:670PS(492kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

【連載をまとめたムックが好評発売中】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

人気のSUV、ハイエンドモデルを堪能する――『ル・ボラン 2018年7月号』

SUVというタイプの車。日本でも日常の風景の一部になったと感じるのは筆者だけではないはずだ。言葉そのものもすっかり定着し、国産車・輸入車問わずに人気の高いジャンルになっている。

 

ただ、SUVという言葉に関しては、厳密な形での定義は難しいのが事実のようだ。日本自動車販売協会連合会が行った統計上の区分では、「ジープ型の四輪駆動車で、ワゴンとバン、トラックを含む」とされている。実際にはどんな車種が挙げられるのだろうか。

 

 

SUVの3タイプ

外見的なわかりやすさを軸にして選ぶなら、国産車ならマツダCX-8、トヨタC-HR、そしてホンダ・ヴェゼルといったクルマが挙げられるだろう。外国車ならメルセデス・ベンツGLE、BMW X5、そしてポルシェ・マカン。そんな並びになるかもしれない。

 

SUVは定義が難しい上に、ジャンル内でさらに以下のような3つのタイプに分類される。

 

・クロスオーバータイプ

中身は乗用車だが、そこそこのオフロード性能がある。多少の悪路なら走ることができ、舗装道路を走っても乗り心地が悪くないタイプ。

 

・クロスカントリータイプ

中身がオフロード専用構造のタイプ。車体構造が乗用車ではなく、トラックと同じ構造なので、悪路走破性が高い。

 

・シティタイプ

中身が乗用車で、オフロード性能は有していないタイプ。SUVといっても悪路の走破性はほぼない。

 

 

 

数字にも表れるSUV人気

ちなみに、2017年度国内SUV販売台数ベスト3は以下のようなランキングになっている。

 

第1位:トヨタ C-HR

第2位:スズキ・ハスラー

第3位:ホンダ・ヴェゼル

 

アメリカで市場リサーチを行っているJ.D.パワーアジア・パシフィック社が調査した「日本新車購入意向車調査」によれば、2016年と比較すると、新車購入時にSUVを選ぶ割合が4%上昇し、31%となった。新車購入を考えている人たちの3割以上がSUVに興味を抱いているのだ。しかも2位のスズキ・ハスラーは軽自動車。軽自動車のSUVという新ジャンルまで生まれたことになる。

 

こうした傾向を取り込んだ『ル・ボラン2018年7月号』(ル・ボラン編集部・編/学研プラス・刊)の特集のキーワードは“ハイエンドSUV”。6月号の特集“最新SUVバイブル”から一歩踏み込んで、最高級SUVをピックアップして詳しく紹介する。登場するのは、さまざまなセールスポイントを持つ魅力的なクルマばかり。

 

 

風格のメルセデス

メルセデス・ベンツのGクラスを表現するのにふさわしいひと言は、風格だろう。その堂々たる体躯に底知れぬパワーを秘めた姿は、クロスカントリータイプSUVの最終進化形と呼んでも差し支えないかもしれない。

 

写真で見る限り、ボディはかなりゴツい。ただ、それでいて重さみたいなものはまったくといっていいほど感じられない。さらに、「メルセデスならではの」と言ったほうがいいのだろう。独特の風格が加わる。この風格を創り出すのは伝統、技術力、そして信頼。そういったものすべてだ。

 

ドリームカーというのは、曲線美をことさら強調した早く走れるクルマだけを意味する言葉ではないはずだ。ベンツのGクラスSUVのように、ほかを寄せつけない圧倒的な風格をまとったクルマもまた、そう呼ぶにふさわしい。

 

 

鮮烈のランボルギーニ

メルセデス・ベンツのGクラスを端的に表現する言葉が風格なら、この特集で2番目に紹介されているランボルギーニURUSに対するそれは、「鮮烈」ということになるだろうか。スーパーカーという言葉に独特のノスタルジーを感じる世代の人たちにとって、このクルマはまさに鮮烈に映るに違いない。

 

URUSは、誰の目にもカッコよく映るわかりやすいタイプのクルマだと思う。記事では黄色・黒・白と3種類のボディカラーが紹介されているが、どの色にも躍動感がある。この躍動感は子どもにも大人にも同じように伝わると思う。

 

内装はイタリア車らしいおしゃれなニュアンスに満ちているが、ステアリング周りは意外にコンパクトに見える。サイズ感では国産車と比べても大差はないんじゃないだろうか。

 

 

ハイエンドSUVは、見果てぬ夢ではない

正統と革新という二つの言葉をキーワードに、今最も気になる4車種を比較する企画も楽しめた。こちらで紹介されるのはTESLA MODEL X、レクサスLX、LAND ROVER RANGE ROVER、BENTLEY RENTAYGAの4車種。世界基準SUVのスタンダードであり続けたLAND ROVER。日本発プレステージSUVの代名詞となったレクサス。斬新さで他の追随を許さないTESLA。そしてSUVというステージでもあえて勝負する姿勢を見せる名門BENTLEY。それぞれの人気車種が“オトナの選択”として挙げられている。まさにハイエンド感満載。

 

これから日本市場に登場する注目SUVモデルとして、あのロールスロイスが生産するCULLINANという車種も紹介されている。超名門も超新星も、自動車メーカーにとってSUVは長く続くトレンドではなく、セダンやクーペと同じ並びの恒久的ジャンルとなったようだ。

 

もうひとつ言っておきたいことがある。実用的だと思ったのは、SUVの中古車市場に触れた記事。中古のメルセデスGクラスを軸にして展開されるQ&Aはぜひ押さえておきたい。ハイエンドSUVは、見果てぬ夢ではない。いずれはあのクルマに乗りたい。そんな男子ならではのモチベーションをいやが上にもかきたてる特集記事である。

 

 

【書籍紹介】

 

ル・ボラン 2018年7月号

著者:ル・ボラン編集部
発行:学研プラス

ドイツ車をはじめとする輸入車を軸に、クルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信する月刊自動車雑誌。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があるほか、欧州車を中心とする独自の現地取材企画は高い人気を誇る。

kindlleストアで詳しく見る
楽天Koboで詳しく見る
Bookbeyondで詳しく見る

 

清水草一がホンダ N-BOX を徹底解剖!「機能に徹したこの雰囲気がイイ」

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回はいま日本で一番売れているクルマを取り上げます。

 

【登場人物】

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今回のクルマ】ホンダ N-BOX

SPEC【G・L ホンダ センシング(FF)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1790㎜●車両重量:890㎏●パワーユニット:658㏄直列3気筒DOHCエンジン●最高出力:58PS(43kW)/7300rpm●最大トルク:6.6㎏-m(65Nm)/4800rpm●カタログ燃費:27.0㎞/ℓ●138万5640円〜227万4480円

 

機能に徹したこの雰囲気がイイ!

安ド「殿! この連載も今回でついに150回(※)です!」※本誌掲載時

清水「そうか」

安ド「月刊誌で150回ということはえーと、12年半です!」

清水「まだそんなものか」

安ド「えっ! 12年ってすごいじゃないですか!」

清水「いや、もっと長く続いているような気がしてな。私が少年のころから」

安ド「まさか。まだ免許すら持ってないじゃないですか!」

清水「そうだった」

安ド「ところで今回は、連載150回を記念して、日本一売れているクルマを借りてきました!」

清水「ホンダのN-BOXだな」

安ド「そのなかでも、いま最も売れているグレードだそうです!」

清水「意外にもカスタムではないのだな」

安ド「はい。この『G・L ホンダセンシング』が、僅差ながら一番売れているそうです!」

清水「ノーマルのN-BOXは、何だかホッとするな」

安ド「殿はカスタムがお嫌いですか?」

清水「うむ。あのギラギラしたヤンキーテイストがダメだ。しかしノーマルは枯れた感じでイイ。機能に徹したこの雰囲気、ほとんど商用だ」

安ド「それは良い意味ですか?」

清水「もちろんだ。例えればシトロエンのHトラックのような」

安ド「〝アラレちゃん〟に出てきたトラックですね。僕もノーマルのほうがオシャレだし、センスが良いと思います! この黄色と白のツートンカラーも良いですね。ツートンカラーは6〜8万円くらい高いそうですが」

清水「それだけで遊び心が感じられる。N-BOXを買う人は、意外とそういったオプションをバンバン付けて、総額200万円オーバーも普通だと聞く」

安ド「そうなんですか!?」

清水「これも車両本体価格が約150万円と決して安くはない。普通車コンパクトのパッソやヴィッツのエントリーグレードよりむしろ高いが、売れまくっておる」

安ド「どうしてでしょう?」

清水「一般ユーザーは、車両価格より維持費の安さを優先する傾向がある。軽ならとにかく維持費が安い。そして、なるべく長く乗りたいから装備はケチらない。結果、総額200万円のN-BOXが売れまくる。そういう流れなのだろう」

安ド「さすが殿、慧眼です!」

清水「まったくのあてずっぽうだ」

安ド「ガクー! でもN-BOXが販売台数1位になる前は、ずっとプリウスやアクアが1位だったわけですよね」

清水「その通り。N-BOXはどれだけオプションを付けても、プリウスやアクアよりはかなり安い」

安ド「つまり、“日本一売れるクルマ”が、前より安いクルマになったわけですね?」

清水「うーむ。そう考えると、まだまだデフレマインドは続いておるのかもしれぬな……」

 

【注目パーツ01】2トーンカラー

多彩なカラーから選択可能

4種類のおしゃれな2トーンカラーが設定されていて、さらに単色も12色用意しています。売れているクルマは他の人と同じになってしまって嫌という人も多いようですが、これならオリジナリティを出せることでしょう。

 

【注目パーツ02】エンジン

街中の通常走行で不満なし

キープコンセプトの二代目モデルながら、プラットフォーム(車体骨格)とエンジンは新開発されました。ターボとノンターボの2種類がありますが、こちらはノンターボ。といっても動力性能に不満はなく、十分キビキビ走ります。

 

【注目パーツ03】タイヤ角度モニター表示

車庫入れ時の心強い味方

車庫入れなどの際、メーターディスプレイの左側にタイヤの状態がデジタル表示されます。何度か切り返しをしていると、いまタイヤがどちらを向いているかわからなくなってしまう人も多いようですが、これならすぐわかりますね。

 

【注目パーツ04】テールゲート

独自設計で荷室の広さを確保

燃料タンクを後席下に置かない設計により、開口部の高さが先代モデルと比べて低くなりました。一方で、先代と同様に床が低くて天井は高いので、リアシートを前方へ倒すだけで、自転車を折りたたまずに積載することができます。

 

【注目パーツ05】助手席スーパースライドシート

ファミリー目線でうれしい超便利機能

最量販グレードには設定されていませんが、助手席のロングスライド機能が便利です。助手席を目一杯後方へ下げれば、後席の子どもの世話ができますし、後席と運転席との間の車内移動も可能となるのです。

 

【注目パーツ06】運転席アッパーボックス

小物を入れる場所が豊富

新型ではメーター搭載位置が上方へ移動されました。運転時の目線移動距離が少なくなることは安全運転につながります。そして、空いた場所には小物入れを搭載。収納はほかにもたくさんあり、小物の受け入れ体制は盤石です。

 

【注目パーツ07】ヘッドライト

ライトが眩しくないか自動判断

まるで目のようなリング状の可愛いLEDライトが全グレードで標準装備。また「ホンダ センシング」の機能のひとつ、オートハイビームが搭載されているので、前方の状況を考慮して自動でハイ/ロービームを切り替えます。

 

【注目パーツ08】ハンズフリースライドドア

手が離せないときでも開けられる

いまや同クラスの軽自動車では当たり前の電動スライドドア。さらに、N-BOXにはキーさえ携帯していればドアの下に足を踏み出すだけで自動開閉する機能がオプション設定されています。最初は上手くできませんが、慣れれば簡単です。

 

【注目パーツ09】Aピラー

視界をさらに広くする工夫

Aピラー(フロントウインドウとサイドウインドウ間の柱部分)が極細化されたことで、運転席からの視界が良くなりました。もちろん堅牢なボディ構造が採用されているので、衝突安全性能にはさほど影響ありません。

 

【これぞ感動の細部だ】ホンダ センシング

突入事故にも歯止めをかける

安全運転支援システム「ホンダ センシング」が、軽としては初めて、しかも全グレードに標準搭載されました。さらに衝突軽減ブレーキや車線維持支援といった従来の機能に加え、後方誤発進抑制機能を追加。これは真後ろに障害物がある状態でアクセルを踏み込んだ場合に、後方への急発進を抑制します。コンビニなどへの突入事故が減るかもしれませんね。

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

清水草一がボルボ XC40を徹底解剖! 「日本の軽自動車のような使い勝手のいいインテリア」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回はボルボの新世代プラットフォーム(骨格)と先進安全装備が採用されたSUVをチェックしました!

 

【登場人物】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

【今回のクルマ】ボルボ XC40

SPEC【T5 AWD Rデザイン】●全長×全幅×全高:4425×1875×1660㎜●車両重量:1690㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHCターボエンジン●最高出力:252PS(185kW)/5500rpm●最大トルク:35.7㎏-m(350Nm)/1800-4800rpm●カタログ燃費:12.4㎞/ℓ●389万〜549万円

 

「日本の軽自動車のような使い勝手のいいインテリア」

安ド「殿! 今回はボルボの最新コンパクトSUV、XC40です!」

清水「それにしても不思議だな」

安ド「なにがです?」

清水「ボルボはなぜこんな良いクルマが作れるのか」

安ド「と言うと?」

清水「ボルボは規模の小さいメーカーだ。グローバル販売台数は三菱自動車の約半分」

安ド「たった半分ですか!?」

清水「親会社は、中国の民族系自動車メーカー・吉利汽車」

安ド「そうでしたっけ!?」

清水「なのに、こんなに良いクルマを作っている。このクルマ、カッコ良いし乗っても実に良い」

安ド「確かに!」

清水「スタイルは凝縮感が高く、それでいて遊び心もある」

安ド「クールさとかわいさを両立していると思います!」

清水「逆スラントしたこのノーズなんて、いまどき特徴的でステキじゃないか」

安ド「力強いですね!」

清水「ボディはレンガのようにしっかりしていながら、乗り心地も快適だ」

安ド「SUVなので車高が高いのに、コーナーで不安定感がまったくなく、スイスイ曲がって気持ち良かったです!」

清水「エンジンもパワフルだな」

安ド「2ℓターボですが、アクセルを踏むと、モリモリ力が湧いてきますね!」

清水「そして私が何より感心したのは、インテリアだ」

安ド「さすが北欧のクルマですよね!」

清水「いや、私が感心したのは、北欧家具みたいだとかいうことよりも、日本の軽自動車みたいだったことだ」

安ド「は?」

清水「まず、小物入れが多い」

安ド「そう言えば」

清水「ボルボと言えば、フローティング・センタースタックなど、オシャレだけれど使いづらいインテリアで有名だったが、XC40は違う。その部分がドーンと大きな小物入れになっている」

安ド「ですね!」

清水「しかもセンターコンソールのヒジ置き内にはボックスティッシュが入り、その前にはゴミ箱も装備されている」

安ド「僕もティッシュが入るのにはビックリしました!」

清水「グローブボックスには、レジ袋掛けまであるから恐れ入った」

安ド「確かに日本の軽自動車みたいです!」

清水「それでいて生活臭はなくオシャレさん」

安ド「内装のフェルト生地なんかもステキでした!」

清水「ボルボがフォード傘下のときは、こんな良いクルマは作れていなかったぞ」

安ド「そう言えばそうですね……」

清水「なぜ中国資本傘下に入った途端、こんな良いクルマを作るようになったのだろう」

安ド「……人海戦術ですか?」

清水「んなわけないだろう」

 

 

【注目パーツ01】フロントフェイス

ブルドッグのような顔つき

2016年に発表された「40.1」というコンセプトカーほぼそのままという、エキセントリックなデザインです。特にグリルの上部がなんとなく前方に突き出ているブルドッグみたいな顔つきは、オリジナリティに溢れていてオシャレ!

 

【注目パーツ01】Cピラー

モダンさを感じさせるライン

車体側面のウエストラインが、サイドウインドウとリアウインドウ間のCピラー(柱)の部分で一気に上へ向かっています。このあたりは先行モデルのXC90やXC60とは印象が異なりますが、モダンで挑戦的なデザインに好感が持てます。

 

【注目パーツ03】グローブボックス・フック

まるで国産車のような親切装備

助手席前のグローブボックス中央には、袋などをぶら下げられるフックが付いています。国産の軽やコンパクトカーのような親切装備で、お買い物の際にとても便利です。フックは収納しておくこともできます。

 

【注目パーツ04】フェルト生地

素朴な雰囲気を醸し出す

オレンジ色の部分には、触るとふわふわのフェルト素材が採用されています。ちなみにフェルトの発祥は中央アジアらしく、ボルボの祖国・スウェーデンとはまったく関係ないようですが、素朴なオシャレ感が好印象です。

 

【注目パーツ05】カード挿し

懐かしくも新しい2つのカード用スリット

運転席右前にはカード保管用のスリットを備えています。ひと昔前にはカード挿しがあるクルマもよくあったものですが、最近はすっかり見なくなりました。一体何のカードを挿しておくべきか悩みますが、ひと回りして新しい感じがします。

 

【注目パーツ06】大容量ドアポケット

スピーカー移設でスペース確保

収納が多くて便利ですが、ドアポケットも前後に長く、タブレットも収納できます。なぜこんなに大きくできたかといえば、ドア前方下部にたいてい備わっているはずのスピーカーがダッシュボード奥に移設されているからです。

 

【注目パーツ07】デコレーションパネル

グレードごとに車内のイメージを演出

ダッシュボードにはグレードごとに見た目の異なるパネルが設定されています。写真はその名も「カッティングエッジ・アルミニウム」で、シャープな印象。ほかにもウッド調や地図柄などがあり、室内のイメージが変わってきます。

 

【注目パーツ08】ダストボックス

あると便利なゴミ箱を標準搭載

ゴミ箱っぽい収納があるクルマはあっても、こうやってわかりやすくフタ付きのゴミ箱が付いているクルマは珍しいですね。後方のヒジ置き内にはボックスティッシュも収納できます。外から見てわからないのが美点です。

 

【注目パーツ09】スマホワイヤレス充電器

これなら置き場に迷わない

センターディスプレイの下部には、一部の国産車で見られるスマートフォンの“置くだけ充電”機能が採用されています。同機能の対応機種でないとしても、スマホをしっかり固定しておける置き場として重宝します。

 

【これぞ感動の細部だ】ラゲッジスペース

便利で多彩なアレンジ

容量もそれなりですが、アレンジにアイデアが溢れていて便利です。後席の左右分割可倒はもちろん、床板を折り曲げれば便利なフックが使えます。さらにフタ部分のトノカバーは床下に収納することもできる設計になっています。両手がふさがっていてもバンパー下で足を動かすだけでゲートが開閉するハンズフリー機能も魅力です。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一がトヨタ「ヴェルファイア」を徹底解剖!「マイホームのような安らぎを覚える一台」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回はトヨタの“フラッグシップミニバンブラザーズ”の弟分、ヴェルファイアに試乗しました。「なぜか心が安らぐ」というこの車の真価とは?

 

【登場人物】

永福ランこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】トヨタ ヴェルファイア

SPEC【ハイブリッド・エグゼクティブ ラウンジZ】●全長×全幅×全高:4930×1850×1950㎜●車両重量:2220㎏●パワーユニット:2493㏄直列4気筒DOHCエンジン+2モーター●エンジン最高出力:152PS(112kW)/5700rpm●エンジン最大トルク:21.0㎏-m(206Nm)/4400〜4800rpm●カタログ燃費:18.4㎞/ℓ●335万4480円〜750万8160円

 

マイホームにいるような安らぎを覚える

安ド「殿! 今回はマイナーチェンジしたヴェルファイアです!」

清水「アルファードではないのか?」

安ド「弟分のヴェルファイアです!」

清水「アルファードのほうが好きなのだが」

安ド「な、なぜですか!?」

清水「それは、あの銀歯を剥き出したような顔が好きだからだ」

安ド「ええ〜〜〜〜っ! エレガントなフェラーリを愛する殿が、あんなイカツい顔が好きなんですかぁ!?」

清水「フェラーリはクルマ界の究極形だが、アルファードの顔もまた究極。何ごとも究極は尊い。一方、ヴェルファイアの顔は従来の延長線上にあり、斬新さはない」

安ド「すいません、取材車がヴェルファイアしか空いてなかったもので……」

清水「なら仕方ないな」

安ド「今回はヴェルファイアのなかでも、一番ゴージャスなグレードの“ハイブリッド・エグゼクティブ ラウンジZ”ですので、ご勘弁ください!」

清水「うむ。実にゴージャスな装備だった」

安ド「運転席での乗り心地が良くてビックリしましたが、2列目はさらに快適だったのでは?」

清水「いや、あまり快適ではなかった」

安ド「ええ〜〜〜っ!?」

清水「このクルマは重心が高すぎる。だから少しの段差を乗り越えるときでも、大きく揺れる。クルマは重心が高すぎると乗り心地が悪くなるのだ」

安ド「ま、そう言われれば」

清水「バカデカいスライドドアのせいで、ボディ剛性も低い。これも乗り心地に悪影響を及ぼす」

安ド「僕はメチャメチャ乗り心地が良いと思ったんですが……」

清水「平坦な道を走っているときは、フワフワ快適なのだが」

安ド「考えて見れば、このクルマ、フェラーリ好きの殿の好みに合うはずないですよね!」

清水「いや、2列目はともかく、運転するのはわりと楽しかった」

安ド「ええ〜〜〜っ! 2列目でふんぞり返るよりですか?」

清水「うむ。このクルマを運転していると、なぜか心が安らぐのだ」

安ド「デカすぎて、杉並区の狭い道では、あまり心が安らぎませんでしたが……」

清水「いや、ボディが四角いため見切りが良く、狭い道でも大きな問題はなかった。宅配便のトラックのような感覚だ」

安ド「見切りが良いから安らぐんですか?」

清水「言うなれば、このクルマはヤドカリなのだ。ヴェルファイアに乗っていると、家ごと移動しているような感覚があるだろう?」

安ド「確かに、部屋が動いているようです」

清水「どこか、マイホームにいるような安らぎを覚える。人気があるのもうなずけるな」

安ド「こんなゴージャスなマイホームが欲しいです……」

 

【注目パーツ01】ラゲッジ床下収納

床板をはがすと隠し収納が出現

 3列目シートの下には大容量(148ℓ)の床下収納が隠されています。これだけ広いと漬物でも貯蔵したくなりますね。スライドレールの下にあるので、収納を開けない時は3列目シートを後ろのほうまで下げることもできます。

 

【注目パーツ02】シルバー木目加飾

 新感覚のメタリックなウッドデザイン 

インテリアのパネルには3Dプリント技術によって立体の陰影を組み合わせたシルバーの木目加飾が施されています。樹木のような細かな紋様がありながら、光が当たると金属的な輝きをみせる見応えのあるデザインです。

 

【注目パーツ03】リアサスペンション

ラグジュアリーな乗り味を演出

 

高級セダンなどに採用される「ダブルウィッシュボーン」という形式のリアサスペンションが搭載されています。コストはかかりますが、優れた乗り心地と操縦安定性を実現します。新時代の高級ミニバンとして象徴的な装備ですね。

 

【注目パーツ04】LEDルーフカラーイルミネーション

 車内をムーディな雰囲気に

天井にはライン状のイルミネーションが搭載されており、夜の車内空間にムードのある雰囲気を生み出してくれます。カラーは16色から選ぶことができますが、あまり派手な色にしておくと周囲から怪しい人だと思われそうです。

 

【注目パーツ05】ヘッドランプ&グリル

 押し出し感をアピール

 

豪華さや重厚感を特徴としてきた歴代ヴェルファイアですが、最新型ではさらなるインパクトを生み出すべく、二段ヘッドライトの下にビローンと伸びた盾のようなパネルを採用しました。何かがぶつかってもはね返しそうです。

 

【注目パーツ06】アシストグリップ

 バリアフリー対応もバッチリ

2列目シートの乗降時に便利な“取っ手”が備えつけられています。先代よりグリップが大型化したそうで、子どもから高齢者までうれしい装備です。ちなみに乗降口のステップも低くなっていて、やはり乗り降りしやすくなっています。

 

【注目パーツ07】トヨタ・セーフティ・センス

ステアリング操作もアシストしてくれる

 

カメラやミリ波レーダーを用いた衝突回避支援システムで、自転車の運転者や夜間の歩行者回避にも対応します。車線逸脱を避けるためのステアリング操作アシスト機能も追加されており、超常現象のように自動でぐいぐいハンドルが動きます。

 

【注目パーツ08】ウェルカムパワースライドドア

 近づくだけで開く自動ドア

 

事前に設定しておけば、スマートキーを持ったまま車両に近づくだけで、スライドドアが自動開錠して開くという、まるで手品のような新機能が搭載されています。開くスピードはゆっくりですがリッチな気分が味わえます。

 

【注目パーツ09】サイド&リアウインドウ

 ボディサイズを感じさせないデザイン手法

 運転席&助手席後方のピラー(窓間の柱)より後方のピラーがすべてブラックアウトされているので、フロントウインドウ以外のすべてのウインドウがつながっているかのよう。重厚なボディをスマートに見せるアイデアです。

 

【これぞ感動の細部だ】エグゼクティブパワーシート

広く柔らかく乗り心地も最上級

 

上級グレードにのみ設定される、ラグジュアリー仕様のエグゼクティブなシートです。シート幅は通常のものより広く、クッション性も高いので座り心地は抜群です。そのうえ、電動式のオットマンや温熱機能、ベンチレーション機能、格納式テーブルまで備えています。車高の高さからくる揺れは気になりますが、くつろいで乗っていられます。

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

メリットや課題は? 「個人間カーシェアリングサービス」利用者の生の声を聞く

DeNAが提供している個人間カーシェアリングサービス「Anyca(エニカ)」の交流イベントが、2018年6月29日、「cafe 1886 at Bosch Cafe」(東京・渋谷)で開催された。このイベントは、クルマを貸し出すオーナーと、借りる利用者が定期的に交流する場としてAnycaを主宰するDeNAが企画しているもので、この日は約70人の利用者が集まって、交流を深め合った。

↑東京・渋谷にある「cafe 1886 at Bosch」で開催された個人間シェアリング「Anyca」の交流イベント

 

↑交流会には約70人が集まり、Anycaを主宰するDeNAやBoschのスタッフも紹介された

 

使わない時間を有効活用。愛車の貸し出しに抵抗はない?

自家用車を個人間で貸し借りするカーシェアリングサービスとするAnycaがスタートしたのは、2015年9月のこと。マイカーを所有者が実際に使う利用率は平均すると5%を下回ると言われるが、そのマイカーを使わない時間帯を第三者に有料で貸し出して有効活用しようというのがこのサービスの目的だ。ただ、見知らぬユーザー間でクルマの貸し借りをするのは不安も残る。そこで、交流会を通して互いの信頼関係を深めてもらうことが重要として、月に一度のペースでこのイベントは企画されているのだという。

 

個人間シェアリングで重要なことは、サービスはあくまで「個人間の共同使用契約であって、レンタカーのような営利を目的とするものではない」(DeNA)ということ。そのため、レンタカーよりも低料金で貸し出すことができ、同時にオーナーが持つ個性的なクルマを借りられるというレンタカーでは体験できないようなメリットがある。フェラーリなど“超”がつくような高級車は登録できないが、それでも高級スポーツカーから高級セダン、SUVなど約500種類が登録済み。普段ではまず乗れないようなクルマがリーズナブルな料金で借りられるのが最大の魅力と言えるだろう。

 

Anyca未体験者として気になるのは、愛車を貸し出すことに抵抗はないのだろうか、ということ。クルマ好きならなおさら愛車へのこだわりは強いはずだし、それを第三者へ貸し出すことなど個人的にはあり得ないとも思っていたからだ。

 

しかし、この日、参加したオーナー数人に話を聞いたところ、その抵抗はなかったという人ばかりだった。むしろ、「使っていないときに第三者が使うことでお小遣いが稼げる」ことへの期待感が強く、このサービスを知るきっかけも自らこのサービスを検索して探し当てたという人が多かったほどだ。

↑東京・神楽坂でAudi A3をオーナーとして貸し出している井口さん(仮名)。これまで大きなトラブルはなく、利用者との良い関係が築けていると話す

 

↑オーナーとして参加した豊川夫妻(左2人)、永田さん(中央)、半田さん(右)。豊川夫妻は4WDのトヨタ・プラドを所有し、この冬は毎日のように貸し出す日々が続いたという

 

↑上原さん(左)は交流会初参加。利用者として参加した金子さん(中央)、濱田さん(右)は利用者とオーナーの両体験を持つ

サービスの信頼性を高めるさまざまな工夫

その高い信頼性はどこにあるのか。

 

Anycaの利用方法は、まずクルマを借りる利用者と貸し出すオーナーそれぞれが、スマートフォンのAnycaアプリで会員登録を行うことから始まる。ここでオーナーはクルマの写真を掲載するほか、シェアする条件を細かく提示することができる。借りる側もオーナーも登録料は無料だ。登録を終えたら、次に利用者はアプリで貸出車両の検索や予約を行ってオーナーにリクエストを出し、リクエストが承認されればその時点で予約が確定する。

 

このサービスではアプリ内のチャット上で、貸出条件の設定や利用者との連絡が事前に行えるようになっている。貸出時には利用者とオーナーとが実際に会うことがほとんどで、これによって利用者側に「レンタカーではなく個人のクルマを借り受けるんだ」という意識が芽生えてくる。これがトラブル発生の抑止力となっているらしいのだ。

 

また、支払いの際、利用者とオーナー間で直接金銭を授受することはない。貸し出す料金はオーナーや車種によって異なるが、利用者はクレジットカード決済でDeNAに利用料金を支払い、DeNAは利用料金の10%を手数料として差し引き、翌月末にまとめてオーナーの銀行口座に振り込む。これは金銭上のトラブルを基本的に発生させないためだ。なお手数料はシェアが成立して初めて発生する仕組みとなっている。

 

このサービスは現状、登録台数の大半が東京23区に集中しているなど、主として都市部でのサービスとして成り立っている。これについてDeNAは「クルマの受け渡しをする利便性を踏まえるとやむを得ない面がある」とコメント。ただ、地域によっては、たとえば沖縄のような観光地ではすでに何台かの登録があり、旅行で那覇を訪れた人がAnycaのサービスを利用している例もあるという。この日の参加者のなかからも、実家のある群馬県で貸し出し、利用者はそこまで渋滞知らずの新幹線を利用し、軽井沢でのドライブを楽しんで帰るといった例も紹介されていた。

 

とはいえ、いくら気をつけてもクルマを走らせる以上、事故などのトラブルの発生はつきものだ。そこでAnycaでは、東京海上日動火災保険と提携し、専用の1日自動車保険を用意して利用者に保険の加入を義務付けている。さらにロードサービスが付帯されており、この日の交流会でもBoschによるクルマのトラブル相談会も開催された。Bosch側も、このサービスに対してどう参画していけばいいのかを模索中だという。こうしたサポートもサービスの下支えになっていくものと思われる。

↑この日の交流会はAnycaとBoschのコラボイベントとして開催。Boschとして今後どう参画していくか模索していくという

 

↑クルマのトラブルなどへの対応に関して、ボッシュのメカニックが相談に乗るコーナーも用意された

 

懸念材料はあるが、個人間カーシェアリングの動きは広がりそう

ただ、参加者の話を聞いていくなかで、懸念材料もいくつか見受けられた。

 

1つは十分な確認をしないままでクルマを受け渡し、オーナー側から傷の発生を指摘された例だ。互いに言い争いとなって最後には裁判へ発展するかもしれない事態となり、その時点でオーナー側が引き下がったのだという。

 

2つ目は、利用中に車両トラブルからエンジンの載せ替えを強いられた例。この事例ではオーナー側としては「計器上で警告が出ていたにもかかわらず走行を続けた」として利用者への責任を問い、利用者は「車両トラブルは考えもしないことで、きちんと整備していなかったのではないか」とオーナーを責める。結果としてオーナー側が自らの判断で修理を負担することになったという。

 

利用料金でも少なからず不安を覚えた。というのもオーナー側が稼働率を上げるために、周囲の相場より料金を下げて過当競争に陥りはしないかという懸念だ。さらに言えば、オーナーが貸すことを優先してしまい、オーナー自身がクルマの利用を制限してしまう事例もあるという。もちろん、これらはオーナー側の判断に委ねられるわけで、違反行為ではない。ただ、その話を聞いていると、Anyca本来の目的である「利用しない時間帯を有効活用する」ということから外れてしまってはいないだろうか、と思ったりもする。

 

とはいえ、日本は諸外国に比べてマイカーの維持費が桁違いに高い。そんな状況下で、車庫に眠っているマイカーを有効活用し、その負担を軽減していこうとする考え方が浸透していくのは時間の問題と思う。自動車メーカーもそうした動きには敏感になっており、ホンダは今年3月にAnycaを通して自社のクルマを知ってもらう目的で参画した。

 

こうした動きは、クルマ離れがささやかれる若者たちにとっては、関心のあるクルマに低価格で乗れる絶好のチャンスともなる。今後、サービスが全国規模へと広がっていくときに、信頼できるネットワークをどう構築できるかが、個人間カーシェアリングを定着させるカギとなっていくだろう。

↑交流会では、どうすれば利用率が上がるか、信頼性を獲得できるかなどの参考事例も数多く紹介された

 

 

清水草一がスズキ「スイフトスポーツ」を徹底解剖!「普通のスイフトとはまるで別モノだ!」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、スイフトのスポーツ仕様で、新たにターボエンジンを搭載したコンパクトスポーツをチェック!

 

PROFILE

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今回のクルマ】スズキ スイフトスポーツ

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スズキ

スイフトスポーツ

183万6000円〜190万6200円

SPEC【6速MT】 ●全長×全幅×全高:3890×1735×1500mm ●車両重量:970kg ●パワーユニット:1371cc直列4気筒DOHCターボエンジン ●最高出力:140PS(103kW)/5500rpm ●最大トルク:23.4kg-m(230Nm)/2500〜3500rpm ●カタログ燃費:16.4㎞/リットル

 

安ド「殿!新型のスイフトスポーツ、いかがでしたか!」

清水「スバラシイな!」

安ド「えっ!確か殿は、新型スイフトの通常モデルに関しては、あまり評価は高くなかったのでは?」

清水「その通り。ボディを軽量化しすぎた影響で、ペナペナ感があった」

安ド「なのにスイフトスポーツはスバラシイのですか?」

清水「スバラシイ!普通のスイフトとはまるで別モノだ!」

安ド「確かに、ボディもしっかり感じましたが……」

清水「実はスイフトスポーツは、普通のスイフトに比べると100kg以上重い。それはボディを強化したためだ」

安ド「そうだったんですね!」

清水「重くはなったが、エンジンは1.4リットルターボ。パワーがまるで違うので、加速も段違いだ!」

安ド「ビックリするくらい速く感じました!」

清水「理由は、本車がハイオク仕様である点にある!」

安ド「そうなんですか!?」

清水「このエンジンは、いわゆる直噴ダウンサイジングターボ。低い回転からのぶ厚いトルクと低燃費が特徴だが、レギュラー仕様だとガックリ元気が出なくなる」

安ド「な、なぜですか!?」

清水「ガソリンのオクタン価が低いと、ダウンサイジングターボはすぐノッキングしてしまうのだ」

安ド「へぇ〜……」

清水「しかしハイオク仕様なら、それを防止できる。欧州製のダウンサイジングターボも、すべてハイオク仕様だろう?」

安ド「ですね」

清水「しかし日本では、ハイオク仕様はゼイタク仕様。それこそが、国産車にダウンサイジングターボが普及しない壁なのだ。普通のスイフトにも、RStという1.0リットルターボモデルがあるが、レギュラー仕様のため、パワーもトルクも物足りなかった」

安ド「そうだったんですか〜」

清水「しかし、本車のようなスポーツモデルなら、ハイオク仕様でも買ってもらえる。この1.4リットルターボエンジンは、ハイオク仕様にすることで、ビックリするくらいパワフルで気持ち良い加速をしてくれる」

安ド「本当にビックリしました! 先代までのスイスポとは、普通のゴルフとゴルフGTIくらいの違いを感じます!」

清水「スイスポの走りはスバラシイ! しかも6速MT仕様がある。実用性も十分!」

安ド「このクルマなら、家族もクルマ好きも納得だと思います!」

清水「価格も、安全装備をフルに付けて約200万円。決して安くはないが、性能を考えれば納得だ」

安ド「デザインもいいですし、輸入車を買う必要がない感じです!」

清水「うむ。お前ももうイタリア車かぶれはやめて、次はコレを狙え。もちろん中古でな!」

安ド「そんな〜!」

 

カーボン調パーツ:戦闘力のありそうなルックス

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フロントグリルやバンパー、サイドアンダースポイラーなどにはカーボン調パーツが用いられています。ここが通常のスイフトとの外観上の大きな違いです。リアルカーボンかどうかは問題ではなく、断然見た目がスポーティになります。

 

17インチアルミホイール:大きくてデザインも特別感あり

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スイフトは16インチ&15インチサイズですが、スイフトスポーツでは17インチサイズの大きなタイヤ&ホイールが採用されています。アルミを削ったようなデザインだったり、一部ブラックに塗られていたり、ワイルドな印象です。

 

マフラー:太く、大きく、男らしく

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排気ガスは嫌われますから、エコカーではマフラーを目立たないようにするのがトレンド。スイフトもそうです。しかし、スイフトスポーツではこんなに太くてたくましいのが2本も、まるで大砲のように備わっています。

フロントサイドウインドウ:オールドポルシェを彷彿させる

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窓を開けたときに初めて気づくこと。窓枠は写真のように曲線なのですが、中のガラスは角が立っています。これ、実は古いポルシェの窓も同じようなつくりで、それだけでもクルママニアの心を奮い立たせてくれます。

 

リアドアハンドル&Cピラー:存在しないかのように配置

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リアドアの取っ手(ハンドル)部分をドア後方上部に配置して、2ドアクーペのように見せる手法は、近年のクルマでよく採用されています。スイフトスポーツではさらにリアピラーからリアウインドウまで同化させています。

 

6速MT:スポーツモデルはやっぱりMTが楽しい

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いまやATのほうがMTよりシフト操作が早いということで、F1でさえAT化されていますが、やっぱりMTは楽しい。歴代モデル同様、スイフトスポーツにはしっかりMT仕様が設定されていて、赤いステッチなど心憎い演出もあります。

 

先進安全技術:充実装備でスポーツモデルでも安心

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オプション装備扱いになりますが、「セーフティパッケージ」を付ければ、ブレーキサポートや車線逸脱抑制機能、誤発進抑制機能など先進安全装備が全搭載されます。コンパクトカーでもスポーティモデルでも、もう安全面で妥協する必要のない時代です。

 

260㎞/hメーター:180㎞/hより上まで刻まれた表示

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スイフトスポーツはヨーロッパでも販売されているグローバルモデルですから、スピードメーターはなんと260km/hまで記載されています。果たしてこんなにスピード出るのでしょうか!?日本ではサーキットじゃないと試せません。

 

グラデーション柄オーナメント:まるで高級スポーツカーのよう

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インパネ正面(エアコン吹出口下)やコンソール(運転席と助手席間の仕切り)、ドアのアームレストにも、赤から黒へと変化するグラデーション柄のオーナメントが付けられています。スポーティなのに高級感があります。

 

これぞ 感動の細部だ!

ブースタージェットエンジン:ターボエンジンらしからぬトルク性能

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現行型に搭載されるエンジンは1.4リットルターボになりました。人によっては従来のスイフトスポーツのようにNA(自然吸気)が良かったと言う人もいます。しかしこのエンジンは、ターボといっても昔のような急加速する“ドッカンターボ”ではなく、低い回転域でも十分なトルクを発揮するので、扱いやすく気持ち良い走りを味わえます。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一がBMW「X3」を徹底解剖!「ディーゼルエンジンの静かさに感服」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回は、高級クロスオーバーSUVの先駆けとして10年以上前に誕生したパイオニア的モデルの最新型をチェック。清水さんが注目した「ディーゼルエンジンの静かさ」とは?

 

【登場人物】

 永福ランプこと清水草一

 日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今回のクルマ】BMW X3

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SPEC【xDrive 20d M Sport】●全長×全幅×全高:4720×1890×1675㎜●車両重量:1860㎏●パワーユニット:1995㏄直列4気筒DOHCディーゼルエンジン●最高出力:190PS(140kW)/4000rpm●最大トルク:40.8㎏-m(400Nm)/1750〜2500rpm●カタログ燃費:17.0㎞/ℓ●639万〜710万円

 

「ディーゼルエンジンの静かさに感服!」

安ド「殿! 世界的なSUVブームですね!」

清水「うむ。よきにはからえ」

安ド「それはどうでもいいという意味で?」

清水「個人的にはな」

安ド「これまで47台もクルマを購入されてきた殿ですが、SUVは1台も買われていないとか」

清水「オフロード趣味がないのでな。が、もうひとつ理由がある」

安ド「スポーツカー好きの殿ですから、重心が高い、ですか?」

清水「いや、現代のSUVは重心の高さをまったく感じさせぬ。このX3も走りは抜群。実に安定していたぞ」

安ド「では何が?」

清水「SUVは背が高いぶん、重い。そして空気抵抗が大きい。よって燃費が悪くなる。節約を何よりも重視する私としては、SUVは選択外となる」

安ド「47台も買ってて、節約もないと思いますが」

清水「それを言うでない」

安ド「ははっ。言われてみれば確かにこのX3、2ℓディーゼル搭載モデルでしたが、今回の燃費は実質11㎞/ℓにとどまりました」

清水「であろう。何を隠そう現在の我が愛車は、同じく2ℓディーゼルを積むBMW 320D。そちらは平均で17㎞/ℓ走っておる」

安ド「それはロングドライブが多いからでは?」

清水「それを言うではない」

安ド「失礼しました。節約を優先するならセダンやステーションワゴンが有利ですよね。ただ私としましては、SUVのカッコ良さは捨てがたいです!」

清水「いや、この顔はブサイクである。あまりにもキドニーグリルがデカすぎる。これではまるでダッジラムだ」

安ド「そんなことはありません!新型は新鮮でイマっぽいです!」

清水「見解の相違であるな。ただ今回、この新型X3に心底感じ入ったことがある」

安ド「ジェスチャーコントロールのレスポンスが良くなった、とかですか?」

清水「そんなものは知らぬ。私が感服したのは、ディーゼルエンジンの静かさだ」

安ド「そう言えば、ガラガラ音がほとんど聞こえませんでした」

清水「私の320dは3年前の中古車。アイドリングでそれなりにガラガラ音が出るが、短期間でこれほど進化するとは驚きだ」

安ド「ディーゼルも進化してるんですね!」

清水「世の論調としては、ディーゼルはオワコンでこれからはEV一本だが、まだまだどうして。最新のディーゼルは、この重いSUVをわずか2ℓの排気量で軽々と加速させ、静かさもほとんどガソリン車と変わらず、燃費では大きくリードする。これがそう簡単に死ぬはずがない!」

安ド「なるほど!」

清水「私が新型X3で確信したもの。それはディーゼルの存続だ」

安ド「肝に銘じます!」

 

 

【注目パーツ01】コネクテッド・ドライブ

クルマが世界とつながるサービス

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ニュースや天気などの各種情報収集、より正確なナビゲーションなどが実現でき、スマホからエアコンの起動やロックの解除などもできるようになります。似たような機能は各社がやってますが、輸入車ではBMWが初でした。

 

【注目パーツ02】キドニーグリル

大型化で大きく表情を変えた

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BMWのフロントデザインを象徴するのが、2つのグリルを横並びにした“キドニーグリル”。新型では大型化されて、その存在感を高めています。ダイナミックで立体的にはなりましたが、個人的には繊細さがなくなりガッカリです。

 

【注目パーツ03】ラゲージ・アンダートレイ

自立したまま便利に使える

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荷室の床下にスペースがあるのは、スペアタイヤを必要としなくなった近年のSUVでは当たり前のこと。が、X3では床下のフタ部分にダンパーが付いていて勝手に下がってきません! 高級車のボンネットと同じです。金かかってます。

 

【注目パーツ04】ジェスチャー・コントロール

 空間上の手の動きを感知

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ディスプレイの前で指をクルクル回したり、手首を動かしたりといった所作をするだけで、電話やボリュームなどを画面に触れずに操作することができます。ちなみに手がディスプレイから30㎝くらい離れていても操作可能でした。

 

【注目パーツ05】ウェルカム・ライト

光が便利さと雰囲気を演出

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夜暗いなかでX3に乗ろうとすると、便利な照明が自動で2か所に灯ります。ひとつはドアハンドル(上)で、もうひとつは地面(下)。後者は「ウェルカム・ライト・カーペット」と呼ばれるもので、独特な模様で乗員を車内に導いてくれます。

 

【注目パーツ06】アンビエント・ライト

 室内の高級感を高める照明

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インテリアは、まるでおしゃれなバーのように間接照明で照らされます。ライトカラーは11パターンが設定されていて、気分に合わせて選択することができます。が、そのうち面倒になって変えなくなってしまうでしょう。

 

【注目パーツ07】ステアリング

 高級感と使用感を両立

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“ウォークナッパ”と呼ばれるレザーを表面に使った高級感あふれるステアリングです。このMスポーツだけは10時10分の位置に、親指を引っ掛ける出っぱり「サムレスト」が付いています。握ってみるとすごく太くてたくましいです。

 

【注目パーツ08】エア・ブリーザー

 SUVのアクティブ感を強調

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いかにもSUVらしいアクティブでワイルドな雰囲気を演出するのが、このフロントタイヤ後方に彫られたスリットです。よく見てみると穴は空いてなくてただのダミーのようですが、これでも空気抵抗を低減させる効果があるそうです。

 

【注目パーツ09】バックモニター

2画面2方向表示で車庫入れを簡単に

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車両後方を確認できるバックモニターや、真上から見た図が表示されるトップビューモニターなどは多くのクルマに付いていますが、X3は両者を同時に表示できます。ディスプレイが横に長いって便利ですね。

 

【これぞ感動の細部だ】ディーゼルエンジン

パワーアップしつつ、静かに

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新型X3は、ディーゼルとガソリン2種類のモデルが展開されています。今回テストしたのは先行販売されているディーゼル。ディーゼル自体の特徴でもある強大なトルクを発揮し、この大きく重いボディをものともせずグイグイ押し出すように走ります。実は私の愛車もBMWのディーゼルですが、やはり最新型は音も断然静かで、弱点がありません。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一が「シビック タイプR」を徹底解剖!「非日常のカタマリ。つまりフェラーリ的なのだ」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、カーマニア垂涎の傑作スポーツモデル! シビック タイプRをチェックしました。

 

【PROFILE】

永福ランプこと清水草一:日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖です。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド :元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今回のクルマ】ホンダ シビック タイプR

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SPEC ●全長×全幅×全高:4560×1875×1435㎜ ●車両重量:1390㎏ ●パワーユニット:1995㏄直列4気筒DOHCターボエンジン ●最高出力:320PS(235kW)/6500rpm ●最大トルク:40.8㎏-m(400Nm)/2500〜4500rpm ●カタログ燃費:12.8㎞/ℓ  ●価格:450万360円

 

安ド「殿! このクルマ、まるでロボットアニメのマシンですね!」

清水「うむ。かつてランサーエボリューションが〝ガンダム系”の代表だったが、そのランエボもいまはない。ところがこのシビックタイプRは、かつてのランエボ以上のガンダム系デザインと言ってよかろう!」

安ド「顔もガンダムっぽいですけど、ルーフ後端についてるフィンがものスゴいです!」

清水「ものスゴいな!」

安ド「殿はこんな子どもっぽいデザインのクルマ、お嫌いですよね?」

清水「……いや、このクルマに関しては、決して嫌いではない。正確には、好きになってしまいそうだ」

安ド「マジですか!」

清水「なんだかんだいって、我々カーマニアは中身を重視する。どんなに『クルマはカッコ』と思っていてもな……」

安ド「つまり、中身がいいってことですか?」

清水「うむ。コイツの走りは本当にものスゴい。まさに非日常のカタマリ。つまりフェラーリ的なのだ」

安ド「えっ!美の化身であるフェラーリに似てるんですか!?」

清水「見た目は似ても似つかないが、中身の方向性は同じ。どこまでも速く、そして過剰に過激なのだ」

安ド「なるほど!」

清水「ボディのしっかり感、シャシー性能もとてつもないが、私が特に感じ入ったのは、2リットルターボエンジンのフィーリングだ」

安ド「乾いたいい音がしますね!」

清水「音も悪くないが、回せば回すほどターボパワーが高まる過激な特性にホレた。いまどきのダウンサイジングターボにはない、古典的なレーシングターボ。たとえれば、フェラーリF40のような」

安ド「殿!そんな神車の名前を口にしていいんですか!」

清水「低速トルクはたっぷりあり、実用性満点でありながら、本領を発揮するのは4000回転から上。そのまま7000回転まで、天井知らずにパワーが盛り上がる。思わず『このまま死んでもいい』と思ってしまうほどだ」

安ド「ええっ!フェラーリに命を賭けた殿が、ホンダ車で死んでもいいんですか!」

清水「ホンダはやはりエンジンメーカーだ。つまり、魂はフェラーリと同じ。ミニバンや軽では影を潜めたその本質が、このタイプRに込められている」

安ド「なるほど!ところで殿。限定モデルだった先代のタイプRのエンジンとは、かなり違いますか?」

清水「スペック的にはわずか10馬力アップなのだが、フィーリングは、はるかに澄んでいてピュア。フェラーリ的に感じたぞ」

安ド「スペックではなくフィーリングなんですね!そういえば6速MTも、ストロークが短くてコクコク入るし、メカニカルな感覚が心地良かったです!」

清水「まるでレーシングカーだな」

安ド「そうなんです。速すぎてアクセル全開にできません!」

 

【注目パーツ01】6速トランスミッション

回転数自動同期システム付き

歴代のタイプR同様、アルミ製シフトノブを備えた6速マニュアルです。変速時に回転数を自動で合わせてくれるので、ダウンシフトをカッコよく決められます。下部には、シリアルナンバー入りアルミ製エンブレム付きです。

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【注目パーツ02】カーゴエリアカバー

珍しく横から引っ張るタイプ

“トノカバー”と呼ばれる荷室上部のフタが、このクルマでは珍しく横からビヨヨーンと伸びてきます。おかげでハッチバックに連動して開閉はできませんが、ラッピングフィルムみたいで、出し入れすると楽しい気分になります。

20171226-yamauchi_15のコピー

 

【注目パーツ03】3本出しマフラー&ディフューザー

見た目と実力を兼ね備えたリアまわり

高出力モデルというと左右2本出しマフラーが定番ですが、これは中央3本出し。フェラーリF40や458イタリアを髣髴とさせ、攻撃的で素敵です。両脇の黒いフィンは整流板で、車体の下を流れてきた空気を整えます。

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【注目パーツ04】スリット

空気の流れを整えるエアロパーツ

ボンネットの上に空気を取り入れるためのスリット(穴)があります。この空気でエンジンを冷やすのかと思いきや、どうもフロントタイヤ後方のスリットから抜ける構造のようです。空気の流れを大切にしているのですね。

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【注目パーツ05】20インチ30扁平タイヤ

大径サイズ化により高性能を発揮

ひと目見たときの違和感はなんだろうと思ってよく見ると、ものすごくタイヤが薄いです。「30扁平」というと、ひと昔前はスーパーカー用だった超扁平サイズ。見た目に違わずスーパーカー並みのパフォーマンスを実現してくれます。

20171226-yamauchi_3のコピー

 

【注目パーツ06】フロントフェイス

メカニカルな雰囲気のロボ顔

どちらかといえばさっぱり顔だった先代モデルと違い、今作は戦闘的で“ロボット感”溢れる雰囲気となりました。このロボ顔が嫌な人は先代型をおすすめしますが、先代型の中古車も人気が高く、価格はなかなか下がりません。

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【注目パーツ07】ドライブモードスイッチ

その日の気分でモードを変える

「タイプRでもたまには気を抜いて走りたい!」人向けにコンフォートモードを備えました。逆に、「もっと速く! 誰よりも速く!」と望む人には+Rモードもあります。ハンドリングや乗り心地などの味付けが変わります。

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【注目パーツ08】タイプRシート

高いホールド性を実現する形状

やはりタイプR伝統の赤いバケット型(体を包み込む形状の)シートを備えています。体の大きい人にとっては窮屈そうですが、体重80キロ超えのぽっちゃりな安ドでもすっぽり入りましたので、大丈夫だと思います。

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【注目パーツ09】大型リアスポイラー&ボルテックスジェネレータ

抵抗を抑えて空気の流れを整える

先代モデルもリアスポイラーは大型でしたが、このようなデコボコは付いていませんでした。このリアウインドウ上部についているデコボコが、走行時にルーフ上に流れる空気を整えて効果的にリアスポイラーに導くのです。

20171226-yamauchi_8のコピー

 

[これぞ感動の細部だ! VTECターボエンジン]

レーシングカーのようなレスポンス

回せば回すほどパワーが溢れてくる超高回転型の高出力エンジンで、非常に官能的です。まるでピュアレーシングカーのような走りを実現しながら低速トルクもしっかりあって乗りやすい、近年まれに見る傑作エンジンであります。ちなみに北米では、モータースポーツに参戦する顧客向けに、このエンジンを単体で販売するのだとか。スゴい!20171226-yamauchi_12

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一がプジョー3008を徹底解剖! 「殿、珍しく絶賛ですね!」

ベテラン自動車ライターのMJブロンディとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。SUVブームに先鞭をつけたプジョーの3008に試乗してみました!

 

[PROFILE]

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】プジョー 3008

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SPEC【GTライン】●全長×全幅×全高:4450×1840×1630 ㎜●車両重量:1500㎏●総排気量:1598㏄●パワーユニット:直列4気筒DOHCターボ●最高出力:165PS(121kW)/6000 rpm●最大トルク:24.5㎏-m(240Nm)/1400〜3500rpm●カタログ燃費:14.5㎞/ℓ 357万〜429万円

 

「俺ならそれでもディーゼルにする」

安ド「殿! やっぱりフランス車はオシャレでカッコいいですね!」

清水「うむ。プジョーのデザインは長らく低迷していたが、この3008でかなり復活した印象だ」

安ド「どのあたりがいいですか?」

清水「デカすぎる『口』などの過度な小細工を廃し、適度に攻撃的なイメージを、こじゃれた細部で引き立てている」

安ド「インテリアもいいですね! 従来のプジョー車って、クオリティの足りなさをデザインでごまかしてた印象があったのですが(笑)、これは車格なりか、それ以上に質感が高いと思いました!」

清水「まさにドイツ車的なクオリティに近づいています。それでいてオシャレ感も高い」

安ド「特にステアリングやシフトまわりなどがいいです!」

清水「個人的には、楕円形の小径ハンドルがスバラシイ。車幅のあるSUVをクイクイと曲げてくれる」

安ド「メーターはハンドルの上から見えますね」

清水「近年のプジョー車の定番だな。これに違和感を覚える人も少なくないようだが、なにせハンドルが小さいので、ハンドルの中にメーターを収めるのはムリ。私は好きだぞ」

安ド「殿、珍しく絶賛ですね! 走りはどうですか」

清水「SUVを感じさせない軽快さがあり、乗り味も適度にフンワリしている。フランス車らしく、もう一段フンワリでもいいと思うが」

安ド「ボディも剛性感があって、いかにも力強いSUVという感じで、頼もしかったです。ドイツ車みたいでした!」

清水「世界中のクルマがドイツ車化しているからな。昔のプジョーとは似ても似つかぬ頼もしさだ」

安ド「エンジンはどうですか? 今回は1.6Lのガソリンターボモデルです」

清水「このエンジンは、愛車だったシトロエンC5で堪能したが、可もなし不可もなしだ」

安ド「燃費は約11㎞/Lでした!」

清水「うむ。SUVでそれだけ走れば問題なかろう」

安ド「きっとディーゼルはもっと速いと思いますが、これはこれで十分と言えます」

清水「ディーゼルは2L。断然速いし、燃費もいい。ただ価格がかなり高い」

安ド「429万円です」

清水「ガソリン車より30〜60万円高い。俺ならそれでもディーゼルにするが」

安ド「それとこのクルマ、プジョー車としては初めて、ドイツ車並みの高性能な自動ブレーキを搭載したんですよね!」

清水「しかも標準装備です。BMWなどと同様の単眼カメラ&ミリ波レーダーの組み合わせで、歩行者も検知できるのだから、これまでのフランス車とはまるで違うぞ」

安ド「ひょっとしてこのクルマ、フランス車の革命では?(笑)」

清水「それでいてオシャレ。オススメできる!」

 

【注目パーツ01】小径レザーステアリング

スポーティな走りを実現するハンドル

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近年のプジョー車のトレンドですが、径を小さくすることで握りやすくし、ドライバーがスポーティに運転できるよう設計されています。また、上下面をフラットにして、視界と足元スペースが広く取れるようにしているのも特徴です。

 

【注目パーツ02】パノラミックサンルーフ

開ければ圧倒的開放感! ボタンひとつで電動開閉

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この電動開閉機能付きの大型サンルーフは、プジョー初搭載の機能なんです。爽快な風を感じさせてくれるサンルーフをいままで開けずにいたとはもったいないかぎりです。サイドウインドウの面積が小さいだけに貴重な装備です。

 

【注目パーツ03】1.6リットルターボエンジン

トレンドを踏襲した小排気量仕様

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世界のトレンドは小排気量ターボ。3008も、ボディサイズのわりに小さ過ぎるんじゃないかと思わせる小排気量ターボエンジンを搭載しています。もちろん、想像以上にパワフルで軽快な走りを実現してくれます!

 

【注目パーツ04】ウエストライン

ワイルドな風合いを 醸し出すサイドライン

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ボディサイドの窓の下のライン、いわゆるウエストラインは、車高が低いわりに高い位置にデザインされています。ドライバーの見切りは多少悪くなりますが、マッチョな感じが増して、SUVとしては成功しているのではないでしょうか。

 

【注目パーツ05】デジタルヘッドアップインストルメントパネル

デジタル表示で近未来感をアピール

20171117-yamauchi_34

全面デジタルディスプレイになっていることから、デザインの異なる4つのディスプレイモードを選べます。ちなみにそのメニュー表示は、なんと日本語に対応!  プジョーも親日的になったものです。

 

【注目パーツ06】ヘッドライト

明るく見やすくハイデザイン

20171117-yamauchi_38

ヘッドライトの中央部分が、見てのとおりものすごくえぐれています。このような複雑な形状にするとコストがかかると思うのですが、デザインへのこだわりと先進性を感じさせます。もちろんフルLEDを採用しています。

 

【注目パーツ07】ATシフト

まるで飛行機のようなシフトノブ

20171117-yamauchi_32

トランスミッションは高効率な6速ATが採用されていますが、それを操るシフトノブは飛行機の操縦桿のような形をしています。プジョーはこのインテリアを「i-Cockpit」と呼んでいるので、このような形状になったのでしょうか。

 

【注目パーツ07】大型フロントグリル

顔の中心でこだわりを見せつける

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プジョーは「大型グリル」と謳っておりますが、近年の大型グリルブームのなかでは比較的小型であります。特筆すべきはその独特な形状で、横から見るとえぐれており、このこだわりの造形がクルマファンを唸らせます。

 

【注目パーツ01】トグルスイッチ

ピアノの鍵盤のような美しさ

20171117-yamauchi_31

「トグルスイッチ」とはつまみ状のレバーを上下に倒す構造のものですが、プジョーのトグルスイッチは、このように近未来的な形状です。実用的でありながら、整然としていて工業製品ならではの美しさも備えています。

 

これぞ 感動の細部だ!安全運転支援システム

最新の運転支援デバイスを網羅

20171117-yamauchi_40

アクティブセーフティブレーキやレーンキープアシスト、アクティブブラインドスポットモニター、ドライバーアテンションアラート、アクティブクルーズコントロールなど、カメラ(写真左)とレーダー(写真右)をベースとした安全運転支援機能がてんこ盛り。もちろんその完成度は実用に値するレベルで、決して日本車やドイツ車にも負けてないです。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

清水草一がプジョー3008を徹底解剖! 「殿、珍しく絶賛ですね!」

ベテラン自動車ライターのMJブロンディとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。SUVブームに先鞭をつけたプジョーの3008に試乗してみました!

 

[PROFILE]

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今月のクルマ】プジョー 3008

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20171117-yamauchi_42

SPEC【GTライン】●全長×全幅×全高:4450×1840×1630 ㎜●車両重量:1500㎏●総排気量:1598㏄●パワーユニット:直列4気筒DOHCターボ●最高出力:165PS(121kW)/6000 rpm●最大トルク:24.5㎏-m(240Nm)/1400〜3500rpm●カタログ燃費:14.5㎞/ℓ 357万〜429万円

 

「俺ならそれでもディーゼルにする」

安ド「殿! やっぱりフランス車はオシャレでカッコいいですね!」

清水「うむ。プジョーのデザインは長らく低迷していたが、この3008でかなり復活した印象だ」

安ド「どのあたりがいいですか?」

清水「デカすぎる『口』などの過度な小細工を廃し、適度に攻撃的なイメージを、こじゃれた細部で引き立てている」

安ド「インテリアもいいですね! 従来のプジョー車って、クオリティの足りなさをデザインでごまかしてた印象があったのですが(笑)、これは車格なりか、それ以上に質感が高いと思いました!」

清水「まさにドイツ車的なクオリティに近づいています。それでいてオシャレ感も高い」

安ド「特にステアリングやシフトまわりなどがいいです!」

清水「個人的には、楕円形の小径ハンドルがスバラシイ。車幅のあるSUVをクイクイと曲げてくれる」

安ド「メーターはハンドルの上から見えますね」

清水「近年のプジョー車の定番だな。これに違和感を覚える人も少なくないようだが、なにせハンドルが小さいので、ハンドルの中にメーターを収めるのはムリ。私は好きだぞ」

安ド「殿、珍しく絶賛ですね! 走りはどうですか」

清水「SUVを感じさせない軽快さがあり、乗り味も適度にフンワリしている。フランス車らしく、もう一段フンワリでもいいと思うが」

安ド「ボディも剛性感があって、いかにも力強いSUVという感じで、頼もしかったです。ドイツ車みたいでした!」

清水「世界中のクルマがドイツ車化しているからな。昔のプジョーとは似ても似つかぬ頼もしさだ」

安ド「エンジンはどうですか? 今回は1.6Lのガソリンターボモデルです」

清水「このエンジンは、愛車だったシトロエンC5で堪能したが、可もなし不可もなしだ」

安ド「燃費は約11㎞/Lでした!」

清水「うむ。SUVでそれだけ走れば問題なかろう」

安ド「きっとディーゼルはもっと速いと思いますが、これはこれで十分と言えます」

清水「ディーゼルは2L。断然速いし、燃費もいい。ただ価格がかなり高い」

安ド「429万円です」

清水「ガソリン車より30〜60万円高い。俺ならそれでもディーゼルにするが」

安ド「それとこのクルマ、プジョー車としては初めて、ドイツ車並みの高性能な自動ブレーキを搭載したんですよね!」

清水「しかも標準装備です。BMWなどと同様の単眼カメラ&ミリ波レーダーの組み合わせで、歩行者も検知できるのだから、これまでのフランス車とはまるで違うぞ」

安ド「ひょっとしてこのクルマ、フランス車の革命では?(笑)」

清水「それでいてオシャレ。オススメできる!」

 

【注目パーツ01】小径レザーステアリング

スポーティな走りを実現するハンドル

20171117-yamauchi_33

近年のプジョー車のトレンドですが、径を小さくすることで握りやすくし、ドライバーがスポーティに運転できるよう設計されています。また、上下面をフラットにして、視界と足元スペースが広く取れるようにしているのも特徴です。

 

【注目パーツ02】パノラミックサンルーフ

開ければ圧倒的開放感! ボタンひとつで電動開閉

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この電動開閉機能付きの大型サンルーフは、プジョー初搭載の機能なんです。爽快な風を感じさせてくれるサンルーフをいままで開けずにいたとはもったいないかぎりです。サイドウインドウの面積が小さいだけに貴重な装備です。

 

【注目パーツ03】1.6リットルターボエンジン

トレンドを踏襲した小排気量仕様

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世界のトレンドは小排気量ターボ。3008も、ボディサイズのわりに小さ過ぎるんじゃないかと思わせる小排気量ターボエンジンを搭載しています。もちろん、想像以上にパワフルで軽快な走りを実現してくれます!

 

【注目パーツ04】ウエストライン

ワイルドな風合いを 醸し出すサイドライン

20171117-yamauchi_44

ボディサイドの窓の下のライン、いわゆるウエストラインは、車高が低いわりに高い位置にデザインされています。ドライバーの見切りは多少悪くなりますが、マッチョな感じが増して、SUVとしては成功しているのではないでしょうか。

 

【注目パーツ05】デジタルヘッドアップインストルメントパネル

デジタル表示で近未来感をアピール

20171117-yamauchi_34

全面デジタルディスプレイになっていることから、デザインの異なる4つのディスプレイモードを選べます。ちなみにそのメニュー表示は、なんと日本語に対応!  プジョーも親日的になったものです。

 

【注目パーツ06】ヘッドライト

明るく見やすくハイデザイン

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ヘッドライトの中央部分が、見てのとおりものすごくえぐれています。このような複雑な形状にするとコストがかかると思うのですが、デザインへのこだわりと先進性を感じさせます。もちろんフルLEDを採用しています。

 

【注目パーツ07】ATシフト

まるで飛行機のようなシフトノブ

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トランスミッションは高効率な6速ATが採用されていますが、それを操るシフトノブは飛行機の操縦桿のような形をしています。プジョーはこのインテリアを「i-Cockpit」と呼んでいるので、このような形状になったのでしょうか。

 

【注目パーツ07】大型フロントグリル

顔の中心でこだわりを見せつける

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プジョーは「大型グリル」と謳っておりますが、近年の大型グリルブームのなかでは比較的小型であります。特筆すべきはその独特な形状で、横から見るとえぐれており、このこだわりの造形がクルマファンを唸らせます。

 

【注目パーツ01】トグルスイッチ

ピアノの鍵盤のような美しさ

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「トグルスイッチ」とはつまみ状のレバーを上下に倒す構造のものですが、プジョーのトグルスイッチは、このように近未来的な形状です。実用的でありながら、整然としていて工業製品ならではの美しさも備えています。

 

これぞ 感動の細部だ!安全運転支援システム

最新の運転支援デバイスを網羅

20171117-yamauchi_40

アクティブセーフティブレーキやレーンキープアシスト、アクティブブラインドスポットモニター、ドライバーアテンションアラート、アクティブクルーズコントロールなど、カメラ(写真左)とレーダー(写真右)をベースとした安全運転支援機能がてんこ盛り。もちろんその完成度は実用に値するレベルで、決して日本車やドイツ車にも負けてないです。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

【1分解説】昨年カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「ボルボ XC40」に乗る

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は昨年カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したボルボ  XC40をピックアップします。

 

洗練された走りが魅力のコンパクトSUV

ボルボ

XC40(SUV)

SPEC【T5 AWD Rデザイン】●全長×全幅×全高:4425×1875×1660㎜●車両重量:1690㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:252PS/5500rpm●最大トルク:35.7㎏-m/1800〜4800rpm●カタログ燃費:12.4㎞/ℓ

プレミアムSUVといえる乗り心地の良さを堪能

結論から言うと、XC40は、昨年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーの名に恥じることのない秀作。外観は、SUCらしい押し出しの強さと、ボルボの伝統ともいえるゴツさが感じられ、それでいて洗練されています。内装は、カジュアルな風味のなかに上質感があり、使い勝手を高めるためのギミックも満載。SUVとしてはコンパクトなサイズですが、居住空間や荷室の広さにも申し分がありません。

 

それ以上に印象的だったのは、走りが極めて洗練されていたこと。今回試乗したのは、高性能な2ℓターボエンジンを搭載する上級クラスのT5。環境を問わず軽快な走りを実現する動力性能は、圧巻の出来栄えでした。乗り心地の良さもプレミアムSUVと呼べる水準にあり、日常使いでも良さを感じられるでしょう。ボルボといえば、タフで安全な銘柄という評価が定着していますが、本車はそれだけではありません。走りや乗り心地、使い勝手、デザインなど、あらゆる点において高い満足感が得られました。

【注目ポイント01走りは軽快かつ上質

 

252PSを発揮する2ℓターボ+4WDの動力性能は、スピーディかつ軽快な印象。加えてボルボらしいプレミアム感のあるドライビングが楽しめました。300台限定車の1stエディションは即完売したといいます。

 

 

【注目ポイント02荷物に応じて多彩にアレンジ可能

荷室容量は通常時が586ℓで、リアシートを完全に畳むと最大1336ℓに拡大する。フロアボードは、荷物に応じて多彩なアレンジが可能なつくりとなっています。

 

 

【注目ポイント03インテリアに細やかな配慮

大胆な色使いや最新のボルボらしい上質感が印象的な室内は、細やかな配慮も行き届いています。グローブボックスに折りたたみ式フックが備わり、軽い荷物が掛けられるなど機能性が高いです。

【1分解説】満を持して登場!「フォルクスワーゲン パサートTDI」ってどんなクルマ?

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は期待されながらも導入が遅れてしまい、ついに日本に上陸したフォルクスワーゲン ポロをピックアップします。

 

力強い走りで「汚名返上」の切り札に

フォルクスワーゲン

パサートTDI

(セダン/ワゴン)

SPEC【ヴァリアント ハイライン】●全長×全幅×全高:4775×1830×1510㎜●車両重量:1610㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:190PS/3500〜4000rpm●最大トルク:40.8㎏-m/1900〜3300rpm●カタログ燃費:20.6㎞/ℓ

長距離のドライブであるほど走りの性能を満喫できる

約3年前に発覚した「不正事件」により、フォルクスワーゲンのディーゼル車は著しく信頼を失ってしまいました。本来はもっと早いタイミングで日本へ導入されるはずだったパサートTDIは、最高水準の排ガス浄化システムを備えるユニットを搭載し、満を持して登場。強豪ひしめくディーゼル乗用車のなかで、色々な意味で注目度の高いモデルとなっています。

 

元々堅実な走りが魅力のパサートはディーゼルとの相性がピッタリで、トルク感や力強さは期待通りでした。試乗したのはワゴンタイプのヴァリアントでしたが、荷物を多く積んでの長距離ドライブほど同車の良さを満喫できるでしょう。「汚名返上」の切り札として、十分な説得力が感じられました。

 

【注目ポイント01ワゴンとセダンを用意

ワゴンボディのヴァリアント(写真)に加え、セダンも選択できます。その走りは実用域の扱いやすさと経済性の高さが持ち味。

 

【注目ポイント02内装もエンジンも快適

グレードはハイラインとエレガンスラインの2種。上級のハイラインはレザーシートを標準装備します(写真上)。2ℓディーゼルは快適な走りを実現(写真下)。

クルマは第2の自宅だ! 充実したカーライフが送れる便利グッズ4選

通勤など日常生活でクルマを使う人は多いはず。移動時間を充実させるためには、車内空間を快適なものにしたいですね。そこで今回は、ドリンクホルダーに収まる空気清浄機や後部座席用のタブレットホルダーなどをご紹介。遠方へのドライブや子どもを乗せての移動などで役立つアイテムをピックアップしたので、ぜひチェックしてみて下さい。

 

出典画像:シャープ 公式サイトより

 

[その1]

狭い車内に有効な空間を生み出す「ワンタっちゃブル」

出典画像:SFJ 公式サイトより

SFJ
ワンタっちゃブル
車内で食事をする時に役立つのが、SFJの「ワンタっちゃブル」です。トレーには特殊なくぼみが施され、ハンドルの下部に固定可能。表面は飲食の時にうれしいドリンクスペースつきで、裏面は書類作成などに便利なA4サイズのフラット仕様です。

 

<注目ポイント>
・たった1秒でハンドルがテーブルに早変わり
・両面とも使える仕様
・普通車・軽自動車に対応
シートの位置を調整すればノートパソコンの操作も快適にできる上、書類の整理や伝票の作成も楽にできます。ハンドルの形状によって正面位置での取りつけができない場合、半回転させれば問題ナシ。トレーのくぼみ部分をハンドルに引っかけるだけなので、取りつけや取り外しも1秒程度しかかかりません。

 

[その2]

関節をしっかりロックして強い安定感を生み出すタブレットホルダー

出典画像:サンワダイレクト 公式サイトより

サンワサプライ
iPad・タブレット車載ヘッドレストアーム(後部座席向け・7~11インチ対応)
運転席や助手席のヘッドレストに取りつけられる後部座席向けのタブレットホルダーです。3つの関節がついたアームタイプなので、縦方向や横方向への動きも自由自在。タブレットを見やすい位置に細かく調節できます。

 

<注目ポイント>
・位置の調整が自由自在
・しっかり固定できる3つの関節
・付属の六角レンチのみで取りつけ可能
関節部分は歯車でがっちり噛み合い、ツマミでしっかりとロックできます。またタブレットを挟むツメ部分に付属の保護シールを貼っておけば、機器を傷つける心配もありません。取りつけに工具を準備する必要もなく、付属の六角レンチのみで簡単に設置できるのもポイント。

 

[その3]

“高濃度プラズマクラスター25000”でお肌もツヤツヤになる空気清浄機

出典画像:シャープ 公式サイトより

シャープ
プラズマクラスターイオン発生機 IG-HC15
ドリンクホルダーにすっぽり収まるコンパクトサイズの空気清浄機「プラズマクラスターイオン発生機」。“高濃度プラズマクラスター25000”を搭載し、手軽でパワフルに車内を消臭してくれます。本体の花粉キャッチフィルターは花粉や細かいホコリを約80%捕集するので、空気の汚れやすい車内環境も改善されるはず。

 

<注目ポイント>
・“高濃度プラズマクラスター25000”を搭載
・ドリンクホルダーに収まるコンパクトサイズ
・花粉や細かいホコリを約80%捕集
静かな車内で使うことを考慮した静音設計なので、ハイブリッドカーなどで使用しても音が気になりません。ちなみに高濃度プラズマクラスターイオンは、お肌にツヤを与える効果も発揮。通勤などでクルマを使う人は、少しずつ美肌になっていくかも。

 

[その4]

Bluetooth 4.2を搭載したハイテクなFMトランスミッター

出典画像:ジャパン・アヴェニュー 公式サイトより

ジャパン・アヴェニュー
JAPAN AVE. FMトランスミッター
FMトランスミッターといえば、ラジオの周波数を合わせて外部機器の音声を車のスピーカーから流すアイテム。「JAPAN AVE. FMトランスミッター」ならBluetooth 4.2を搭載しているので、ケーブルで繋がなくてもスマートフォンなどから音楽を楽しめます。もちろん付属の「AUXケーブル」を使えば、Bluetooth非対応の機器にも使用可能。

 

<注目ポイント>
・Bluetooth 4.2搭載
・スマートフォン専用アプリと連動可能
・3つのUSBポート
専用アプリをスマートフォンにインストールしておくと、音楽の入ったUSBメモリの曲名などを表示してくれます。さらにノイズの入らない周波数への切り替えもスマートフォンの画面からできるようになり、音楽再生に面倒な手間がかかりません。USBポートが3つついているので、マルチに活躍すること間違いナシ。

 

【1分解説】スポーティなイメージの強いジャガーの「E-PACE」ってどんなクルマ?

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回はスポーティかつラグジュアリーなイメージの強いジャガーの「E-PACE」をピックアップします。

 

コンパクトSUVでもスポーティ&ラグジュアリー

ジャガー

E-PACE(SUV)

SPEC【RダイナミックSE P250】●全長×全幅×全高:4410×1900×1650㎜●車両重量:1890㎏●パワーユニット:1995㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:249PS/5500rpm●最大トルク:37.2㎏-m/1300〜4500rpm●カタログ燃費:11.2㎞/ℓ

 

走りはスポーティな見た目のイメージ通り

ジャガーといえば、スポーティでラグジュアリー。そのイメージは、コンパクトSUVのE-PACEにも継承されています。内外装のデザインはクーペにも通じる上質さで満たされ、引き締まった風情はいかにも走りを楽しめるクルマという印象。それでいて、荷室の使い勝手などはSUVとして満足できる水準を備えています。

 

試乗したのは、2種類を用意するガソリン車では低出力の250PSですが、それでも走りは十分にスポーティ。約1.9tの車両重量を考慮すれば動力性能は高く、ハンドリング性も抜群でした。SUVには、使い勝手の良さだけでなく、走りに適度な刺激を求めるという人にオススメしたいです。

 

【注目ポイント01まずまずの広さを誇る荷室

荷室容量は577〜1234ℓとまずまずの広さを誇ります。ガソリン車は250PSと350PSを用意するが、前者でも荷物を満載した状態で十分な動力性能を発揮できます。

 

【注目ポイント02多彩なグレードから選べる

標準版とスポーティ仕立てのRダイナミックの2ラインがあり、それぞれに4つのグレードを用意します。写真は後者の最上級となるHSEです。

明るすぎるLED看板から動画まで… 高速道路沿いの「看板」にはどんな規制がある?

高速道路を通過する車に向けて掲出される屋外広告物にはどのような規制があるのだろうか?最近増えてきた、LED看板の中にはかなり明るかったり、動画が表示されるものがあったりと、高速で運転中にちょっと気になるものもある。

■首都高速沿線では、掲示できる広告にはどんな規制がある?

東京都都市整備局都市づくり政策部緑地景観課が作製した「屋外広告物のしおり」には、都市高速道路(首都高速道路)の沿道における屋外広告物を以下のように規制している。

 

★都市高速道路沿道の規制~一般的な規制
道路境界線から両側 50m以内で、道路の路面高から高さ 15m以下の空間が禁止区域となっている(下図参照)。高速道路が上下線等で二段以上の場合は、各路面高から 15m以下の空間が禁止区域となるそうだ。

上記のような規制があるが、実際は以下の写真のように道路境界線から20-30m程度の距離でも数多くの広告物が掲出されている。これは、商業地域など許可区域に相当するエリアであれば50m以内でもOKということらしい。

上の写真を上記の図に照らし合わせると、桜十字、日立物流の看板がビルの屋上に設置されているので「B」、「患者優先の医療」を目指して~という看板がビルの途中に掲げられているので「A」となる。また、路面より15m以上のエリアということであれば、下の写真が分かりやすい。確かにどの広告看板も上の方に掲げられている。

ちなみに、首都高速の中でも、湾岸線に関しては湾岸線道路(本線)境界線から両側 100m以内が禁止区域となっている。

 

■低層住居専用地域の場合は?

首都高速沿線でも、広告が出せない場所がある。それは、沿道や第1種・第2種低層住居専用地域などに設定されているエリアだ。さらに、中高層住居専用地域、旧美観地区、風致地区等、第1種文教地区等の周辺 50mの区域(商業地域にかかる部分を除く。)では、路面高より上の空間がすべて禁止区域になるケースもある。広告看板を出すことで美観を損なうようなエリアでは首都高速沿線であっても掲示が禁止されている。しかし、例外もある。「自家用広告物」(自己の住所や事業所に店名や商標などを表示する)に関しては、光源を使用せず規定の面積以下に収まっていれば、申請なしで広告を出すことが可能となっている。

 

■2~3年前から増えてきた、デジタルLED看板に関する規制はある?

近年、LED光源を使ったデジタル看板を良く見かける。首都高速の沿線にも明るく巨大な看板が増えてきたように思う。中には、かなり明るい看板もあり、それにストレスを感じるドライバーもいるのではないだろうか?光量や明るさに関しての規制はあるのだろうか?前述した東京都の「屋外広告物のしおり」をざっと読んでみても、光源を使った看板については、

 

・赤や黄色の光はNG
・光源が点滅するものはNG

 

などの規制があるだけで、光量についての規制を見つけることができなかった。もしかして光量に対する規制はない?都内でLED看板を扱う会社に聞いてみたところ……

 

「屋外広告物条例には光量に関する規定はありませんが、当社が掲出しているLED看板につきましては、周りの明るさに応じて輝度を自動調整する輝度センサーがすべてについていますので、ドライバーの方に対して明るすぎないよう調整されています。ですが、中には日にちや時間などに合わせて一律に輝度が調整されるものもあります。天気や周囲の明るさには関係なく輝度が調整されるので、昼間でも雨や曇りの日などは明るすぎると感じることがあるかもしれませんね。」(LED看板を扱う会社)

 

ちなみに、以下の広告は首都高速3号線沿線に掲出されているLED看板である。筆者は同じ日の13時頃と21時頃にこの場所を通過し(助手席乗員が撮影)したのだが、実際に見て明るいなとは思っても、不快になるまぶしさは感じなかった。周囲の明るさに合わせて輝度調整されるタイプなのだろう。

しかし、同じ日の20時45分頃通過した首都高都心環状線沿いにあるLED看板は非常にまぶしく感じた。周囲に明るいビルや照明がない場所だったからか、幻惑するくらいの明るさだった。こちらは輝度の自動調整ができないタイプの看板だったのだろうか。思わず目をそむけたくなるほどのまぶしさだ。

 

「明るければ確かに目立ちますし、印象に残るかもしれませんが、その広告がまぶしすぎて不快と感じてしまうほどになると、広告のイメージも、広告を出す企業に対してもイメージが悪くなります。それはクライアント様にとっても良くないことです。首都高を走る車をターゲットとした広告であれば、運転に支障がないよう、不快感を与えないよう細心の注意を払ってLED看板を作ることが大切だと思っています」(同)

 

なお、同じ高速道路でも都市高速と東名高速などのいわゆる高速道路とではまた規制が異なってくる。

 

東京都内の中央高速道路を例に挙げると
「起点から調布市内まで→道路(本線)の中心線から両側 200m以内」
「調布市内から日野市内まで(用途地域指定のある地域)→道路(本線)の中心線から両側 300m以内」
「調布市内から日野市内まで(用途地域指定のない地域)→道路(本線)の中心線から両側 500m以内」
は屋外広告物の掲出は禁止されている。

 

広告物の設置場所については意外と細かく規定がある模様。今はまだ、規制のない「広告物の明るさ」についても、LED看板が増えてくれば何らかの規制が掛かってくる可能性も大きい。首都高を走行中、いやでも視界に飛び込んで来るLED看板がまぶしすぎるのは大変困るし、「目をそむけたくなる」看板なら広告としての効果も半減しそうだ。

 

【著者プロフィール】

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。

【中年名車図鑑|初代 トヨタ・エスティマ】世界に類を見ない斬新で未来的なミニバン

北米市場で巻き起こった“ミニバン”ブームに対し、トヨタ自動車はプラットフォームからパワートレイン、内外装デザインに至るまですべてを新しくした次世代ミニバンを企画し、1989年開催の東京モーターショーで参考出品車として披露する。そして、翌年に市販モデルのアメリカでのリリースを開始し、やや遅れて日本での販売をスタートさせた――。今回は“新世代マルチサルーン”のキャッチを掲げて1990年に登場した新世代の国産ミニバン、「エスティマ」の話題で一席。

【Vol.71 初代 トヨタ・エスティマ】

1980年代後半の北米市場では、クルマの新しいムーブメントが出現していた。多人数が乗車できて、シートをたためば大容量の荷物が積載できる多機能なクルマ――いわゆる“ミニバン”の流行である。クライスラー・グループのダッジ・キャラバン/プリマス・ボイジャーを火付け役に、GMやフォードなども多様なミニバンをリリースしていた。この状況に目をつけ、北米だけではなく日本市場でもミニバンを展開しようと画策したのが、市場の動向を最重要視するトヨタ自動車だった。同社の開発陣は80年代中盤からオリジナルミニバンの企画を立ち上げ、北米市場のモデルのほか、欧州のルノー・エスパスなどを研究しながら開発を進めていった。

北米でのミニバンブームを受けて開発、日本でも発売すべく企画された次世代ミニバン。レイアウトもさることながら、丸みを帯びたデザインはエスティマの大きな特徴となった

 

■平床化のためにエンジンを横に75度寝かせる

従来の1BOXバンのワゴン化ではなく、ミニバン専用のシャシーを新設計するにあたり、開発陣は「可能な限り広くて使いやすい居住空間を構築する」さらに「乗用車と同レベルの走る楽しさを確保する」ことを目標に掲げる。これらを成し遂げるために編み出した手法は、床下に、しかもセカンドシート下部付近にエンジンをレイアウトするアンダーフロア型ミッドシップの車両レイアウトだった。さらにエンジン自体も横に75度寝かせて配置し、室内の平床化を実現した。

 

世界に類を見ないミニバンレイアウトの斬新さは、内外装でも表現された。アメリカのデザインスタジオであるCALTYが主導した基本スタイルは、ボンネットからAピラー、そしてルーフラインにかけてなだらかな弧を描き、さらにフロントマスクやサイドパネルにも丸みを持たせる。内装は鳥が羽根を広げたようなインパネデザインに連続性を持たせたドアトリムを構築して、未来的な造形と優しい包まれ感を創出した。全身で新世代ミニバンのオリジナリティを表現する――そんな開発陣の意気込みが、開発過程で随所に発揮されたのである。

広くて使いやすい居住空間、乗用車レベルの走りの楽しさを実現するため、シート下部にエンジンを75度寝かせて配置

 

■ミニバンではなく“新世代マルチサルーン”

トヨタの新世代ミニバンは、1989年に開催された第28回東京モーターショーで初陣を飾る。「プレビア」の名で参考出品されたミニバンは、その斬新なレイアウトを観客に披露するために、動くカットモデルまでも用意された。

 

1990年に入ると、まずアメリカ市場でミニバンの販売を開始する。同年5月には、「エスティマ」の車名で日本でのリリースも始まった。ちなみに、エスティマ(ESTIMA)の車名は英語で「尊敬すべき」を意味するESTIMABLEに由来。また、キャッチフレーズは当時の日本でまだミニバンの呼称が浸透していなかったことから、“新世代マルチサルーン”を謳っていた。

コクピットデザインも個性的だった。インパネからドアトリムへとつながるラインはあたかも鳥が羽を広げたような、伸びやかなデザイン

 

デビュー当初のエスティマは、2列目に独立式シートを装着した7人乗りだけをラインアップする。搭載エンジンは2TZ-FE型2438cc直列4気筒DOHC16Vユニットで、パワー&トルクは135ps/21.0kg・mを発生。トランスミッションにはウォークスルー性を重視してコラム式の電子制御式4速ATを組み合わせる。駆動方式はMRとなる2WD(車両型式はTCR11W)とビスカスカップリング付きフルタイム4WD(同TCR21W)が選択できた。ボディサイズは全長4750×全幅1800×全高1780~1790mm/ホイールベース2860mmの3ナンバー規格。サスペンションは前マクファーソンストラット/後ダブルウィッシュボーンの4輪独立懸架で仕立てる。また、2分割式サンルーフの“ツインムーンルーフ”やオーバーヘッドデュアルオートエアコン、CDプレーヤー付9スピーカー・5アンプの“エスティマ・ライブサウンドシステム”といった装備アイテムも話題を呼んだ。

 

■5ナンバーサイズのルシーダ/エミーナ投入

斬新なコンセプトで登場した新世代ミニバンのエスティマ。しかし、販売成績はデビュー当初を除いて予想外に伸び悩んだ。当時は一般ユーザーの注目が高性能なスポーツカーやステーションワゴン、クロカン4WDに集中しており、ミニバンの利便性はあまり理解されなかったのだ。また、日本市場では大柄なボディが、北米市場では2.4Lエンジンの非力さがウィークポイントとして指摘された。

 

開発陣は早速、エスティマのテコ入れ策を実施する。1992年1月には日本向けに5ナンバーのボディサイズ(全長を60mm、全幅を110mm短縮)とした「エスティマ・ルシーダ/エミーナ」を発売。1993年2月になると、ユーザーからの要望が多かった8人乗り(セカンドシートはベンチ式)のXグレードを追加する。同時にXグレードはリアサスを4リンク化するなど機能装備の一部を簡略化し、車両価格を安めに設定した。1994年8月にはスーパーチャージャー付エンジン(2TZ-FZE型。160ps)搭載車をラインアップ。1996年8月になると安全装備の拡充とグレード体系の見直しを図る。そして、1998年1月にはマイナーチェンジを敢行。スタイリングの変更や新グレードのアエラスの設定などで魅力度を高め、また新キャッチフレーズに“TOYOTAの天才タマゴ”と掲げた。

アンダーフロア型ミッドシップという凝ったメカニズムを採用したエスティマは、2000年1月にフルモデルチェンジを実施し、カムリ用のFFシャシーをベースとした第2世代に移行する。しかし、FFになっても先進ミニバンの地位は崩さず、ハイブリッドシステムの搭載など新機構を積極的に導入した。初代モデルのコンセプトから始まったトヨタ自動車の「先進ミニバン=エスティマ」の図式は、以後も着実に継承されていったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

“電動カー祭り”だった北京モーターショー、その理由は? 欧州/日本/中国の動向を探る

年間販売台数は約2900万台と、9年連続で世界一の自動車市場となっている中国。それだけに中国で開催されるモーターショーは半端じゃない盛り上がりを見せる。なかでも1年ごとに交互開催される北京と上海で開かれるモーターショーは、世界中のブランドが集まることでも知られている。今年は北京での開催年。その北京モーターショーについてレポートする。

↑会場は北京国際空港にほど近い「北京中国国際展覧センター」。上海と違って多少老朽化は進んでいたが、会場はとにかく広い!

 

“電動車祭り”の背景にあるのは中国の新政策!?

北京モーターショー2018は、2年前の前回と同様、北京市郊外にある「北京中国国際展覧センター」で開催された。展示エリアは22万㎡で、これは2017年に開催された東京モーターショーの2.5倍以上の規模。出展企業は部品メーカーを含めると1800社にも及び、105台の世界初公開車を含む計1022台を展示した巨大イベントなのだ。

↑会場はどこへ行っても多くの来場者であふれ、取材も思うようにできないほど

 

世界中から大半の自動車ブランドが出展していると見られ、いまや世界の自動車業界で最も影響力のあるイベントと言っていいだろう。その中国でいま最も注目されているのが、電気自動車(EV)を中心とした電動車両の動向である。

↑EVコーナーは特に中国系メーカーに目立って多かった

 

中国では長い間、化石燃料を原因とするPM2.5に悩まされてきた。その切り札として打ち出された政策が、2019年からスタートする「NEV(新エネルギー車)規制」だ。これは各自動車メーカーに対して大量のEVの販売と生産を義務付けるもので、しかも、その車両はすべて中国製バッテリーを使うことを条件とする。

 

その背景には経済的な事情がある。EVといえどもクルマとしての性能を高めるには一朝一夕には行かないが、電動車両が増えればバッテリーの需要は増え、それが中国国内の産業にとってメリットが大きいというわけだ。

 

そんななかで行われた今年の北京モーターショー、会場はまさにEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、そして燃料電池車(FCV)など、“電動車祭り”といった状況だった。

 

中国で強い存在感を誇るドイツブランド各社の動向は?

中国で強い存在感を誇るドイツのブランドもその例外ではない。輸入車勢でもっともシェアが高いフォルクスワーゲンは、今年3月のスイス・ジュネーブショーで公開したEVの最上位モデル「I.D.VIZZION」を2022年までに中国で発売すると発表。プラットフォームはEV向けの「MEB」を採用し、最新の自動運転機能を搭載する。

↑フォルクスワーゲンのEVコンセプト「I.D.VIZZION」(写真上)。会場では、乗車した気分を写真で体験できる合成写真コーナーもあった(写真下)

 

BMWは初のピュアEV「コンセプトiX3」のワールドプレミアを行った。現行では「X5」にPHVの設定があるが、完全なEVパワートレインは今回が初。そのスペックは、最高出力200kW(約272ps)以上を生み出すというモーターを備え、400km以上の航続距離を誇る。

↑BMWは初のピュアEV「コンセプトiX3」のワールドプレミア

 

圧巻だったのは、メルセデスベンツがワールドプレミアしたマイバッハのEVコンセプト「アルティメット ラグジュアリー」だ。「SUVとサルーンのDNAを融合させた、3ボックスデザインの極めてモダンなSUV」とされ、最上級の贅沢が体感できるインテリアはクリスタルホワイトで統一されつつも、伝統の高い着座位置が確保されている。最高出力は550kW(748ps)で、1回の充電あたりの航続可能距離は欧州基準のNEDCモードで500km以上。5分間で走行100km分に相当する充電が可能という。

↑マイバッハのEVコンセプト「アルティメット ラグジュアリー」

 

また、中国の吉利汽車(ジーリー)の資本参加を受けるスウェーデンのボルボも電動化へ急速にシフトしている。北京モーターショー2018でボルボは2025年までに世界で販売する車両の半数をEVとすることを宣言。すでに昨年、同社は2019年以降に投入する新型車はすべて電動化(PHV含む)することを発表しており、ボルボの電動化戦略は着々と進んでいるようだ。会場では発売して間もない小型SUV「XC40 」にPHEV「T5ツイン・エンジン」を搭載したモデルを出展して注目を浴びた。このエンジンはジーリーと共同開発したもので、1.5ℓ3気筒エンジンにモーターが組み合わされる。

↑ボルボは、親会社ジーリーと共同開発したPHEV「T5ツイン・エンジン」をXC40に搭載した

日産、トヨタ、ホンダら日本勢の戦略は?

日本勢はどうか。

 

もっとも電動化に向けて力が入っていたのが日産だ。中国市場で日産がシルフィをベースにEV化した「シルフィ ゼロ・エミッション」を公開。2018年後半にも中国市場で販売する計画だ。根幹となっているのは日本でも販売されているEVである「リーフ」で、その技術やプラットフォームを流用。航続距離は338kmとした。

 

電池は中国製だが、モーターやインバーターは日本製となる。日産グループとしては、グループの「ヴェヌーシア」ブランドでコンパクトカーEVを投入済みだが、販売はいまひとつ。そこで最も売れているシルフィ(昨年の販売実績は約42万台)をEV化して実績をさらに伸ばしていきたい考えだ。

↑日本勢で大きな話題となったのが、日産の新型EV「シルフィ ゼロ・エミッション」。中国国内で2018年中に発売を予定する

 

↑中国初公開となる「ニッサンIMx KURO」。将来の「ニッサン インテリジェント モビリティ」を体現するクルマとして発表された

 

日産は今年2月、中国における日産の合弁会社「東風汽車」の中期計画を発表。それによると2022年までに年間販売台数を現在の150万台から100万台以上も上乗せするという、極めて野心的な計画だ。4月より東風汽車の総裁に就任した内田 誠氏は、「中国は変化がとにかく早い。そのニーズに合わせてタイミング良く出していく必要がある」とし、すべてのブランドに渡って20以上の電動化モデル(ゼロエミッションとe-Power※)投入を計画。2018年と2019年には日産、ヴェヌーシア、東風で6車種の電気自動車の投入する予定だ。※現時点でe-PowerはNEV規制対象外

↑「変化が早い中国にタイミング良く出していく」と話す東風汽車総裁の内田 誠氏

 

トヨタが北京モーターショーで投入したのは「C-HR」と、兄弟車の「IZOA」だ。新世代プラットフォーム「TNGA」を採用し、中国市場への投入は昨年11月に投入したカムリに続く2車種目となる。トヨタはこの2車種をベースとしたEVを2020年に投入すると宣言。さらに初のPHVとして「カローラ」と「レビン」も発表した。中国のNEV規制ではPHVは含むものの、トヨタが強みとするHVは含まれない。今後はモーターやインバータ、電池という電動車に必要な基幹部品の現地化を急ぎ、NEV規制に対応していく。

↑中国市場第2弾となるTNGAを採用した「C-HR」を投入。写真はその兄弟車「IZOA」

 

↑トヨタが中国で初めて発売するPHV「カローラ」。「レビン」はその兄弟車

 

ホンダは、中国専用EVのコンセプトカー「理念EVコンセプト」をワールドプレミア。中国の本田技研科技有限公司と広汽本田汽車有限公司(広汽ホンダ)との共同開発によるもので、詳細なスペックは不明だが、広汽ホンダの自主ブランド「理念」のラインナップとして2018年中の発売を予定する。そのほかホンダでは、中国国内で2018年後半に発売を予定している「アコード ハイブリッド」を広汽ホンダで、同じ時期に東風ホンダから発売を予定する新型セダンのコンセプトモデルとして「インスパイア コンセプト」を出展した。

↑ホンダがワールドプレミアした中国専用EVのコンセプトカー「理念EVコンセプト」

 

↑新型セダンのコンセプトモデルとして東風ホンダが発表した「インスパイア コンセプト」

 

中国メーカーのブースにも大勢の人だかり

最後に中国メーカーに話を移そう。最も際立つ存在だったのが、中国を代表する高級車メーカー「紅旗(ホンチー)」が発表した「E境GTコンセプト」である。フロントマスク両端の切り立ったエッジだけでなく、フロントグリルからボンネットに走る赤いラインは、明らかに紅旗の一族であることを誇示。これまでセダンを主にラインナップしてきた同社だが、このコンセプトモデルでは大胆なクーペデザインを採用している。輸入車が常識だった中国のラグジュアリークーペ市場に一石を投じるモデルとなったことは間違いない。

↑圧倒的存在感を放っていた紅旗のラグジュアリークーペ「E境GTコンセプト」

 

中国のEVメーカーの代表格といえば「BYD」だ。もともとはバッテリー製造メーカーであるが、現在では3年連続でNEVの量産メーカー世界一にまでなった。今年の主役はSUV「唐」のニューモデルだ。PHVは後輪をモーターで駆動する四輪駆動で、100kmを2リットル以内で走行できる。インフォテインメント「DiLink」は、縦横回転可能な14.6インチのスクリーンや、OTA(オンデマンド・アップデート)、緊急時通報機能など、多くの機能を備える。価格は約25万元(日本円換算:430万円)から。中国ではナンバーが取得しやすいNEVに含まれ、BYDブースは大変な人混みとなっていた。

↑BYDの人気SUV「唐」のニューモデル。PHV以外にガソリン車も用意された。ディスプレイは先進のインフォテイメント「DiLink」

 

中国では2025年時点での生産販売台数を3500万台と見込んでおり、そのうちの約20%をNEV規制対象車とする計画を立てている。これは単純計算で700万台に相当し、そのハードルは極めて高い。というのも、現状ではその占有率は2.4%、約12万台にとどまっているからだ。

 

しかし、自動車メーカーにとっては、たとえ数%のシェアしかなくても分母が大きい中国市場だけに、その方針に従っても十分旨味があるということだろう。折しも欧州を中心に電動化への動きが急展開している最中。今後も中国を軸として自動車の電動化は着時に、かつ急速に進んでいくことになるだろう。

 

 

紫外線が目に溜まるだって!? 運転中の瞳を守るサングラス活用法

仕事で車の運転をすると、目が疲れることが増えた気がする。若いころは、長時間運転をしてもそんなことは感じなかったんだけど……。もしかしてこれも老化のせい!?

そう言えば近くに、機能性レンズを作っている「ホプニック研究所」に勤める高見 斉さんが引っ越して来たんだった。高見さんなら目のことにも詳しそうだし、相談してみようかな!

 

参ったなぁ……と、いつも困っている「参田家(まいたけ)」の面々。きょうはお父さんが、なにやら困っているようです。
参田家の人々
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ちょっと気弱なお父さん、元気でしっかり者のお母さん、もうすぐ小学生の娘、甘えん坊の赤ちゃん、家族を見守るオスの柴犬の4人と1匹家族。年中困ったことが発生しては、宅配便で届いた便利グッズや、ご近所の専門家からの回覧板に書かれたハウツー、知り合いの著名なお客さんに頼って解決策を伝授してもらい、日々を乗り切っている。
https://maita-ke.com/about/

 

運転中に目が痛くなるのは、紫外線が原因!? 大切な目を守る方法とは?

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お父さん「車移動中に、太陽の光が眩しくて目がチカチカすることが増えたんですよ……。紫外線を浴びすぎると良くないとは聞きますが、目にも良くないんですか?」

 


高見さん「紫外線には波長によって『UVA』と『UVB』と『UVC』の3種類が存在するってご存知でしたか? UVCはオゾン層で遮断され地上には降りてこないので、私たちが浴びているのはUVAとUVBの2種類です。UVBは、肌や瞳が炎症を起こす原因となる紫外線ですが、もっとも厄介なのはUVAなんですよ」

 

comment-father
お父さん「紫外線が3種類もあったなんて知りませんでした……。UVAを浴び続けることで、目にはどんな影響が出るんですか?」

 


高見さん「UVAは目に蓄積する紫外線なんです。受けた紫外線は、瞳の角膜に吸収され、奥の水晶体に入り込みます。そして、瞳の中で化学反応を起こし、タンパク質となり白く濁るんです。これが、白内障の原因と言われています」

 

comment-father
お父さん「紫外線に対して、無防備でいるのは危険なことなんですね……。その紫外線を防ぐためには、やはりサングラスをかけるのが一番ですよね? でもサングラスって高いし、どれを選んだらいいのかよくわからないんですよ……」

 


高見さん「サングラスを選ぶときは、“紫外線透過率”をチェックするといいですよ。というのも、その数値が低ければ低いほど、紫外線を遮断する力は強くなるんです。ホプニック研究所で制作している『偏光レンズ』のサングラスは、紫外線透過率が低いことに加え、反射を抑える働きを持っているので運転中の使用にもおすすめです」

 

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お父さん「運転中はボンネットの照り返しも眩しいから、反射を抑えてくれるのは助かります! 最近は日中だけじゃなく、夜の運転中でも対向車のヘッドライトや街灯を見ると、目がチカチカするんですよね。でも、夜間の運転でサングラスをするのは視界が悪くなるし、変な人って思われそうで嫌なんです」

 


高見さん「それは、以前と比べて紫外線が瞳に溜まっているのかもしれません。瞳に蓄積した紫外線がタンパク質となり、白い濁りになるとお話しましたよね。人間の目は、黄色の光が最も感度が高いので、白い濁りがあると、瞳に届いた光が反射して黄色く見えるんです。なので、夜間の運転でも眩しく感じやすくなるんですよ 」

 

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お父さん「これからは、紫外線を瞳に蓄積させないように、日中の運転はサングラスをちゃんとかけて、瞳をケアしてみます。でも、夜の運転中に感じる眩しさはどうすればいいんでしょうか……」

 


高見さん「それなら、ホプニック研究所で製作している『ネオコントラスト』のレンズを使ったサングラスがいいかもしれませんね。このレンズは、黄色い光だけを遮断する働きを持つため、夜でもクリアな視界で運転することができるんです 」

 

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お父さん「夜用のサングラスもあるんですね! 用途を見極めながら、サングラスをセレクトしてみます」

 

サングラスは、時間帯に合わせて使い分けるべし!

さっそく高見さんの勤めている「ホプニック研究所」の通販サイトで、サングラスを購入。瞳の健康のために、日中は反射を防ぐ「偏光レンズ」のサングラス、夜は事故を防ぐために、黄色い光を遮断する「ネオコントラスト」のサングラスを使い分けてみることに。たしかに、目の疲れも軽減して快適に運転ができるようになってきたぞ……! これからは直接紫外線を目に受け続けないように、運転中は必ずサングラスをつけようっと。

 

教えてくれたのは……

ホプニック研究所 販売情報・品質保証室 室長/高見 斉さん
富山大学の工学部電気工学科を卒業後、電気メーカーに従事。半導体メーカーの設計から工場の歩留改善業務を行った後、2012年に株式会社ホプニック研究所へ入社。現在は、主にEC関連の業務に従事している。
http://www.hopnic.co.jp/

 

【商品情報】

ホプニック研究所「GARVY×ホプニック研究所 サングラス”GARVY FAN GLASS”」

ファッションフレーム
上:ブラウンフレーム 偏光ブラウンレンズ 1万6800円
中:レッドフレーム NeoContrastレンズ1万6800円
下:ブラックフレーム 偏光グレーレンズ1万6800円

 

スポーツフレーム
左:ブラックフレーム 調光NeoContrastレンズ2万1000円
右:ブラックフレーム 調光偏光グレーレンズ2万1000円

https://item.rakuten.co.jp/hopnic/garvy-s01/

 

5つのキーワードで選ぶ「愛されるクルマ」の基準とは?――『ル・ボラン 2018 6月号』

筆者が『ル・ボラン』を好きな理由。それは、バラエティに富んだ特集記事だ。今月号でも、展開的・階層的な構造の2本の特集記事が組まれている。アプリでたとえるならマインドマップやアウトラインプロセッサーに似ているかもしれない。どちらも読み応えがある。

 

Shutterstock.com

 

クルマに向けられる愛情の5つの相

今月号最初の特集は『愛されるクルマ』。クルマに向けられる愛情を中心に据え、5つの相に基づく5つのキーワードがマインドマップ状に配置されていくさまを想像していただきたい。キーワードとなるのは、以下の5つだ。

 

1. 家族
2. 彼女
3. エグゼクティブ
4. アウトドア派
5. 走り好き

 

こういうグループ分けだと、たとえば“家族”と“走り好き”のように一見背反しそうなものであっても、大きな構図の中で無理なく収まる。むしろバランスのよささえ感じられるのだ。

 

 

実用的で実際的な基準

第1特集の基準については、次のような文章が綴られている。

 

世間の評判やカタログからでは推し量れない魅力や楽しさを提供してくれ、「このクルマ最高!」といつでも乗りたくなってしまう。“いいヤツ―クルマ”はみんなから愛されるのだ。そんな愛しきクルマたちを、5つのシーンに合わせて厳選。愛されるクルマは、きっと人生を豊かにしてくれるはずだ。

『ル・ボラン 2018 6月号』より引用

 

たとえば、家族をキーワードにして選ぶならRENAULT KANGOO とMINI CROSSOVER。KANGOOは車高があって乗り降りがしやすい上に、スライドドアが最大の魅力だ。都市部でありがちな狭い駐車場に車を入れた時など、子どもがドアを開閉する際に隣の車にぶつけてしまう心配は要らない。

 

そして、家族でお出かけのワクワク感を最大限に演出してくれるだろう車がMINI CROSSOVERだ。特集で紹介されているSE CROSSOVER ALL4は、本国イギリスでもシリーズ随一の実用性を誇ることで知られているという。室内のスペースもゆったりしていて、後部座席に子どもを乗せてもゆとりがあり、お出かけの楽しさを奪ってしまいかねない乗り物酔いの心配もぐっと軽減されるだろう。その立場になってみなければ実感できない要素を軸にする姿勢は、まさに実用的。

 

 

愛情の対象をシェアする感覚

2番目のキーワードは“彼女から愛されるクルマ”。ここで紹介されるのは、LANDROVER RANGEROVER EVOQUE CONVERTIBLE とMERCEDES-BENZ E-CLASS CABRIOLET。カブリオレやコンバーチブルという名称からもわかるように、いずれもいわゆるオープンカーだ。

 

E-CLASS CABRIOLETのように、ベンツならコンバーチブルも想像しやすいだろう。ところが、そもそもSUVであるはずのEVOQUE CONVERTIBLEをもってきたことで、際立ったチョイスとなった。

 

実用性で読ませる部分は、「彼女がベンツを運転したら」的な展開だ。

「ちょっと運転してみる?」

「えっ? いいの?」

ちょっとした驚きを含んだ、車内でのそんなやりとりまで想像できる。同じ車を愛情の対象としてシェアする感覚は、間違いなく彼女受けするでしょう。

 

残りのシーンに関しては、ぜひ本誌をチェックしていただきたい。

最新SUVバイブル

第2特集は、筆者が大好きなSUV=スポーツ・ユーティリティ・ビークルに関するものだ。前項で紹介した通り、最近ではSUVであるのにコンバーチブルというなんとも欲張りなEVOQUE CONVERTIBLEのような車もある。

 

“いま日本で買えるSUVラインナップ”という見出しで紹介される車種は全部で83。国産車と輸入車という大きな分類から、輸入車に関してはスモール、コンパクト、ミドル、アッパーミドル、ラージという大きさによるクラス分けが行われている。まさに階層的な見せ方だ。

 

いかにもヨーロッパ車という気品が香り立つボルボXC40やジャガーE-SPACE、そして国産の雄MAZDA CX-8もとてもよいのだが、筆者が一番心惹かれたのはJEEP WRANGLERだ。ジープも分類上はSUVということになるのだろう。いや、そもそもジープこそがSUV的な特性を最も多く宿した車に違いない。

 

車体の抜群な安定性は、外観だけでも容易に想像がつく。車体後部に装着されたタイヤカバーのロゴがそのイメージに直結するのは、長い間積み重ねてきた実績がなせる業にほかならない。

 

こちらの特集も、サイズやスペックを軸にいくつもの車種を比較検討する上できわめて実用的。本気で購入を検討している人も、「もし買うなら」の感覚を楽しみたい人も、熱量はまったく同じはずだ。

 

 

展開的・階層的構造の二つの特集記事

展開的構成と階層的構成。『ル・ボラン 2018 6月号』の二つの特集記事は、それぞれの方向への広がりを見せてくれる楽しい読み物だ。冒頭で、特集記事が楽しみだから『ル・ボラン』が好きだと書いた。正確に言うなら、好きな理由はもうひとつある。それは、特集記事という枠組みの中に自分という存在を少なからず投影することができるからだ。

 

実は筆者、自覚しているよりクルマ好きなのかもしれない。あるいは、『ル・ボラン』の特集記事を読み込んでいるおかげで昔よりクルマが好きになったのだろうか。まあ、これだけ楽しめればどちらでもいいか。

 

【書籍紹介】

ル・ボラン 2018年6月号

著者:ル・ボラン編集部
発行:学研プラス

ドイツ車をはじめとする輸入車を軸に、クルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信する月刊自動車雑誌。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があるほか、欧州車を中心とする独自の現地取材企画は高い人気を誇る。

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話題のドラレコ、 使ってみたらこうだった!―― オウルテックOWL-DR06-BK

「あおり運転」による事故やトラブルが多発するなか、ドライブレコーダーのニーズがこれまでにないほど高まっている。リーズナブルな価格ながら高い性能を誇る、オウルテックの最新モデルを試してみた!

 

 

設置も操作もすこぶる簡単なので“ドラレコビギナー”にもってこい!

“ドラレコビギナー”がまず気になるのは、設置と操作のしやすさである。カーナビやスマホと連動するモデルも出ているが、正直使いこなす自信がない。その点、スタンドアローンで使える本機は安心だ。同梱する東芝製microSDカード(16GB)を本体に挿し込み、シガーソケットに接続して電源を入れるだけですぐ使える。エンジンのオン/オフと連動して記録開始/終了となるため、操作はほぼ不要だった。今回はお世話にならなかったが、事故発生時に役立つ同社独自の「プライバシーオート録音」にも注目だ。これは、内蔵するGセンサーが衝撃を検知して、自動で録音を開始する機能。突然の場面でも録り逃しを防げるのだ。

 

ひとしきりドライブを楽しんでから、記録した映像を取り出して再生。するとまず、画面左下に撮影時刻と位置(緯度・経度)が表示されていることに気づいた。GPS搭載のため、設定しなくても情報を自動で取得しているのだ。事故やトラブルが起こったときに、有効な証拠映像となるだろう。映像の解像度はスーパーHD(2304×1296)で、細かい文字でもしっかり描写でき、安心だ。

 

使ってみたら、スゴかった。
【使った人】

「GetNavi」本誌クルマ&AV担当・川内一史

実は今回ドライブレコーダーを初めて使用。あおり運転対策だけでなく、衝突事故や駐車場トラブルが発生した際などの記録用として、導入を検討していた。

 

 

死角になりがちなゾーンも高画質映像で記録できる

対角135°(水平113°/垂直60°)の超広角レンズにより、視認が難しい両サイドのゾーンもしっかりカバー。スーパーHD画質のため、ナンバープレートの数字も十分に読み取れる。LED信号機の表示も撮影できていた。

↑高画質かつ広視野角の映像。歩行者が横から飛び出して来た際などもしっかり記録できる

衝突事故時の映像は上書きされないよう保護

内蔵するG(加速度)センサーが、事故が起きた際などにクルマへかかった衝撃を検出。そのときに記録された映像は、上書き禁止ファイルとして保護される。万一の事態でも、証拠映像を残しておけるので安心だ。

↑フロント、サイド、リアどこでも衝撃を検出。ただし、軽くこすった程度では検出されないこともある

 

 

駐車時でも最大5日間は待機モードで監視できる

本体には130mAhのバッテリーを内蔵し、フル充電であれば電源オフの状態で最大5日間は待機モードとなる。センサーが振動を検知すると自動で録画をスタートするので、駐車時の車上荒らし対策としても有効だ。

↑-10℃~50℃の環境で動作確認済み。夏の駐車時などに車内温度が上がった場合でも問題なく使える

 

オウルテック
OWL-DR06-BK
実売価格1万5800円

フルHDを超える解像度(2304×1296)での録画に対応する、GPS搭載のハイエンドモデル。F1.8の明るいレンズを採用し、夜間でもノイズの少ない映像を記録可能だ。●サイズ/質量:W88×H48×D36㎜/74g

 

 

【結論!】

画質 ★★★★★
操作性 ★★★★★
機能性 ★★★★
コスパ ★★★★★

Wi-Fi接続やスマホ連携などには対応せず機能はシンプルだが、そのぶん使いやすさは抜群。価格を考えれば、かなりお買い得といえる性能だ。

 

オウルテック公式ホームページ:https://www.owltech.co.jp/

妄想が妄想をよぶ憧れの8ホイールライフ――『ル・ボラン 2018年5月号』

たとえば、日本上陸したばかりのグルメバーガーか老舗有名店の天丼か。PS4かニンテンドースイッチか。Apple WatchかG-SHOCKの上級モデルか。そして国産車か輸入車か。あるいはイタリア車かフランス車か。

 

お昼のメニューから車まで、人生は大小の選択の連続。迷って迷って、どうしようもない時にどうするか?  特に大きな買い物をする時は “どちらか”ではなく、“どちらも”というチョイスがあったら最高だ。

 

イケナイ妄想ほど楽しいことはない

ル・ボラン 2018年5月号』(ル・ボラン編集部・編/学研プラス・刊)で「いま、クルマ2台持ちならどんなペア!?」というなんとも贅沢なシミュレーションに関する特集記事が組まれている。車を2台持つという暮らし方はなかなか想像できない。でも、それをできるだけリアルに展開してしまおうというのが主旨。10人のクルマ好きによって、それぞれの“8ホイールライフ”が綴られる。

 

クルマってのは不思議なもので、たとえ夢に見た1台を手に入れたとしても、「もう1台買うなら……」とイケナイ妄想をしてしまう。そしてこの浮つきが、何より楽しいことをクルマ好きたちは心得ている。今回は10人の執筆陣が2台持ちを妄想。その超真剣な回答をご覧あれ。

『ル・ボラン 2018年5月号』より引用

 

専門誌の執筆陣が繰り広げる妄想は上質で、説得力があるに違いない。ざっと見ただけでもワクワクし、うなってしまう組み合わせばかり。

 

 

対極のスーパーカーライフ

まずは清水和夫さんのケース。ルノーTWINGO GTとマクラーレン720S。テーマは「対極のスーパーカーライフ 日常と非日常の絶妙な距離感」。その心は、「720Sはサーキットで全開走行、トゥインゴは日々の走りを堪能したい」ということになる。

 

この2台、外見からしてまったく違う。全身筋肉のような720Sと、いかにも接しやすそうなトゥインゴのカップリングは、完全にしっくりくる。トップを飾るだけあって、説得力十分だ。

 

ウィークデーは使い勝手のよいトゥインゴで通勤や買い物、そしてお迎えなんかをてきぱきこなし、ウィークエンドは720Sで遠出してドライブを楽しみ、かつサーキットで攻めの走りを極める。こういう8ホイールライフが楽しくないはずがない。

 

 

贅沢なツートップ

清水さんのテーマが対極なら、石井昌道さんのそれは並列。BMW M5とロータスELISEの組み合わせは、ドイツ・イギリス両国の往年の名フットボーラーでたとえるならクローゼとオーウェンという感じだろうか。

 

背が高くてヘディングが強く足元もうまいクローゼと、石井さんの表現をそのまま借りれば“万能な「羊の皮を被った狼」”であるM5。そして、点を取るために生まれてきたようなオーウェンと走るために作られたELISE。石井さんは語る。「M5を軸に据えておけば、もう1台はプリミティブなスポーツカーという選択肢がとれる」

 

車の原点である走りという機能を考えれば、これ以上贅沢で華麗なツートップはないだろう。

この組み合わせ、憧れちゃいます

特集全体を通して筆者が一番実現したい組み合わせは、島下泰久さんのトヨタALPHARD HYBRIDとホンダNSX。島下さんは語る。「私が思い描くのは10ホイールのオールハイブリッドカーライフ。避けられない電化の波、楽しんだもの勝ち?」

 

10ホイール?  ALPHARDのハイブリッド車に自転車まで積み込んでしまおうというアイデアだ。このクルマ、自転車を積み込めるほどのスペースがあるにも関わらず、走りが大幅に進化しているらしい。海に行って、そこで自転車を降ろし、風を受けながらビーチ沿いを走るなんていうこともできそうだ。

 

NSXに関して言えば、国産スポーツカーの中でもかなり多くのファンを持つことで知られている。純粋に走りを楽しむことが目的なら十分すぎるだろうし、何より車体のフォルムが美しい。子どもの頃に抱いたスーパーカーに対する憧れに近い感情がかき立てられる。

 

そして、どちらもハイブリッド車。電化の波を楽しむためにはまさに絶好の組み合わせとなるのだろう。自転車を車に乗せて運ぶというのも、抜群におしゃれ。

 

 

おしゃれ大賞はこのペアどうでしょう

おしゃれをキーワードにするなら、嶋田智之さんのCITROËN 2CVとASTON MARTIN VANQUISH Sという組み合わせに賛成。独特なフォルムで他の追随を許さない2CV。そして、ボンドカーとして超有名なASTON MARTIN。誰も着ていないようなユニークなデザインのフランス製コートと、英王室御用達テイラーのオーダーメイドのタキシード。そんな趣の組み合わせだろうか。

 

「両極端なクルマを所有できたら乗り換えのたびに新鮮に感じられ、究極に素敵な2台持ちになるだろう」というのが嶋田さんのコメント。こういう2台持ちは、モテるだろうなぁ。

 

という具合に、クルマの達人10人が繰り広げる妄想はどれも思い入れとうんちくに満ち満ちている。残りのペアリングに関しては、本誌でどうぞ。この特集、ひたすら楽しいです。

 

 

【書籍紹介】

ル・ボラン 2018年5月号

著者:ル・ボラン編集部(編)
発行:学研プラス

ドイツ車をはじめとする輸入車を軸に、クルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信する月刊自動車雑誌。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があるほか、欧州車を中心とする独自の現地取材企画は高い人気を誇る。

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『ル・ボラン 2018年4月号』――セールス好調の輸入車に対するアナタに疑問に答えます!

みなさん、今どんな車に乗っていますか? そして、欲しいと思っていてもお持ちではない方々は、どんな車に乗ってみたいですか? 国産車はもちろん魅力的ですが、輸入車購入の可能性も考えてみませんか?

 

この記事では『ル・ボラン 2018年4月号』(ル・ボラン編集部・編/学研プラス・刊)の特集記事「輸入車100のQ&A」の内容に沿って、筆者が気になった項目を見ていきたいと思う。

 

 

迷い、悩む時間を楽しむ方法

筆者のこれまでのクルマ遍歴は5台。どの1台をとっても思い出がある。車を買うときのクライマックスは間違いなく納車の瞬間だろう。でも、それと同じくらい楽しいのがカタログを見てあれこれ悩む時間だ。「買い物は即決」というタイプの人もいるだろうが、車となるとそうはいかない。

 

ディーラーに行って試乗する段になるとかなり気持ちが固まっている。だからこそ、まだ何も決まっていない状態でカタログを読み倒している時間こそが楽しい。実際に輸入車を買おうという気持ちを作ってみて、4月号を手に取る。

 

昨年の輸入車セールスは好調で、前年比3.7%増の30万5043台(JALA調べ)と初めての30万台を突破。セールスのピークは’96年だが、乗用車に限れば新記録だそう。輸入車ブーム再来! というわけだ。昨今は自動運転技術にSUVブーム、EVやディーゼル車の増加など、自動車の世界は目まぐるしく変化し、『?』と疑問に思うことも――。ならば解決いたしましょう。みんなが知りたい輸入車にまつわるQ&Aを!

『ル・ボラン』4月号より引用

 

じゃあ、始めよう。

 

 

なにはともあれベンツ

トップを飾るのは、輸入車の中でも大人気のドイツ車、そのナンバー1のメルセデス・ベンツに関する質問。関心の高さがうかがわれる。

 

Q01 新しいAクラスのハイライトはどこにあるんですか?

A  クラスを超えるハイテクとハイクオリティです。  

 

という具合に始まり、エクステリアの特長やエンジン、ラゲッジスペースなどに関する質問が続く。誰でも気になるはずの外観から荷物の積み込みの実用面、そしてメカに関する面まできっちりカバーしている。次も、ドイツ車に関する疑問。

 

 

ドイツ車驚きの1台

もちろん、ほかのドイツ車に対するQ&Aも多い。BMW、AUDI、フォルクスワーゲンと続くのだが、筆者が注目したのはVW UP! GTIだ。

 

Q10 VW最小モデルのGTIでもスポーツドライビングは味わえる?

A  小ささゆえのキビキビ感もプラスされ、十分味わえます!

 

VW UP! GTIは、エントリーモデルという位置づけで紹介されている。いわゆるビートルからジェッタやゴルフ、そしてシロッコと、フォルクスワーゲンにもさまざまなタイプがあるが、UP! GTIは日本市場を強く意識した作りになっているんじゃないだろうか。写真を見る限り、ドイツ車とは思えないサイズ。そうでありながらスポーツドライビングもキビキビこなすというなら、試乗してみたい気になる。フォルクスワーゲンという枠の中に限って言うなら、エンジン剥き出しの改造が多い「バハバグ」以来の衝撃を受けた。

普段使いの道具としての車

特集の立ち位置は、男目線ばかりではない。

 

Q77 奥さまにオススメするコンパクトカーのポイントは?

A  やはり普段使いの快適さでしょうか!

 

車というのは、趣味の対象であり、一緒になって楽しさを追求するものであると同時に、日常生活で使う身近な道具でもある。ならば、使い勝手に関する疑問も当然だろう。今回の特集では、上に示した通り、女性の目線から見た車選びに関する要素も網羅されている。ちなみに、普段使いの快適さを軸にリストアップされているのはMINI 5 DOOR、AUDI Q2、CITROËN C3、そしてFIAT 500X。第一印象、インテリア、アピールポイントといった軸で比較していく。

 

普段使いの快適さといえば、これも面白かった。

 

Q72 駐車支援システムは付いていると便利ですか?

A  シンプルなシステムの方が完成度は高いです(笑)。

 

片手でハンドルを握ったままもう一方の手を助手席にかけ、リアウィンドー越しに狙いを定める動作。かつては男子のモテ仕草のトップ3に入っていたはずだ。ところがこれは、駐車支援システムによってアピールポイントとしての価値を失ったようだ。「タイムトライアルで争うパーキングアシスト選手権」も必見。

 

 

こんな情報もいかがでしょう

こちらもQ&A仕立てで進む2018年の自動車シーンを占うコラム、そして2018年ニューモデルカレンダーは輸入車のトレンドを把握するのに役立つだろう。ボルボ・オーシャンレース(ヨットレース)やFORMULA E CHAMPIONSHIP(電気自動車のフォーミュラカーレース)についての項目も、ちょっとしたうんちくのネタになるはずだ。

 

輸入車購入をリアルに考えている人たちにとっては実用的であり、そうではない人たちにとっては、輸入車最新情報を仕入れるための絶好の一冊となるだろう。かゆいところにしっかり手が届いた特集。もう一度全項目をよく読んでみます。

 

【書籍紹介】

ル・ボラン 2018年4月号

著者:ル・ボラン編集部(編)
発行:学研プラス

ドイツ車をはじめとする輸入車を軸に、クルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信する月刊自動車雑誌。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があるほか、欧州車を中心とする独自の現地取材企画は高い人気を誇る。

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『ル・ボラン2018年3月号』――映画に似合うイタリア車とフランス車の魅力とは

車が大きな役割を果たす映画がある。いや、こう言おう。大道具にすぎないはずの車が、映画そのもののテイストを決めてしまうことがある。『007』シリーズや『ゴッドファーザー』ではイタリアのアルファロメオが圧倒的な存在感を放っていたし、『TAXi』ではフランスのプジョーが超ハイスペックのタクシーとして主役を務めた。

 

 

プラスアルファの“何か”

筆者も含め、ヨーロッパ車と言えばドイツ車を思い浮かべる人が多いと思う。2017年の輸入車のベスト4を占めたのはメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディという並びで、すべてドイツ車だ。

 

「安全で頼れる車」というドイツ車のイメージが揺らぐことはないだろう。ただ、スタイリッシュネスとなるとどうだろうか。そういう基準なら、筆者がまず思い浮かべるのはイタリア、そしてフランスの車だ。イタリア車にもフランス車にも、遊び心などという簡単な言葉では表現しきれないプラスアルファの何かが宿っているような気がしてならない。

 

 

スタイリッシュなだけじゃない

若い世代の読者の方々には古い話で申し訳ないのだが、こんな話もさせていただきたい。1962年生まれの筆者が中学生の頃、爆発的なスーパーカーブームが訪れた。少年ジャンプで連載されていた池沢さとし先生の『サーキットの狼』という漫画がきっかけになり、ものすごい勢いでイタリア車に関する情報が入ってきた。

 

この漫画の主人公、風吹裕矢の愛車がロータス・ヨーロッパだった。ライバルたちが駆るのはランボルギーニやフェラーリ、そしてマセラティといった名車の数々だ。この漫画によってイタリア車に惹かれるようになった少年たちは決して少なくなかったはずだ。

 

フランス車に関して言えば、シトロエンの2CV――ルパン三世の『カリオストロの城』に出てきたやつだ――のように、おしゃれなのはわかるけど、ちょっとクセがある感じが否めない車が多いと思い込んでいた。

 

でも最近は、純粋に車としての性能に魅力を感じる人たちが増えているようだ。たとえばシトロエン社のハイドロニューマチック・サスペンションというテクノロジーは、エアスプリングと油圧シリンダー、そして油圧ポンプを組み合わせたサスペンションで、モーグルスキー選手の膝の動きのように衝撃を吸収し、スムーズな走行感を実現する。

 

そんなイタリア車とフランス車の魅力をあますところなく伝えるのが、『ル・ボラン 2018年3月号』(ル・ボラン編集部・編/学研プラス・刊)の特集記事だ。

 

フランス車、イタリア車が感じさせるもの

『ル・ボラン2018年3月号』には、フランスとタリアの人気車種を集めた「これがフレンチ&イタリアンの最新レシピ』という特集記事が組まれている。開始ページの見開きにちりばめられた各社のロゴを見るだけでワクワクする。

 

プジョーのライオンもシトロエンのダブルシェブロンも、ランボルギーニの暴れ牛も、そしてマセラティのトライデントも、とても美しい。特集全体を貫くアイデアとして記された次のような文章が、ヨーロッパ車ファンの気持ちを代弁すると思う。

 

高品質で信頼性も高く、いかにも精密機械的なドイツ車は確かに魅力的だけど、走りがメチャクチャ楽しい! とか、デザインがサイコー! などなど、個性派ぞろいのイタリアン&フレンチモデルには、クルマ好きのハートを揺さぶる“何か”がある。

『ル・ボラン 2018年3月号』より引用

 

フロントグリル周りだけを見ても、フランス車とイタリア車はおしゃれで個性的な面がまえをしている。

 

 

フランス車、イタリア車の教科書

20近い車種のスペックやインテリア、そして足回りに関する詳細なレポートは読み応え十分。テイストとしては、教科書に近い感じがする。アルピーヌA110とアルファロメオ・ステルビオは海外試乗で走りの面から徹底分析。

 

筆者目線でそれぞれの国から1台ずつ選んでピックアップするなら、フランスのアルピーヌとイタリアのアバルトだ。

 

アルピーヌA110は、誕生秘話も含め8ページを割いて紹介されている。筆者は決して車に詳しいわけではない。でも、実際にシートに座ってステアリングを握っているような感覚に近いものを受け取った。助手席にわんこを乗せて、神宮外苑あたりを走ってみたい。使い方を具体的に思い浮かべることができるのだ。

 

ランボルギーニやフェラーリといったスーパーイタ車に対しては、正直ちょっとリアリティを感じにくい。でもアバルトは小型車の展開が多く、日本で購入したとしても、日常生活での“乗りこなせる感”を容易に想像できる。それに、ボディカラーも鮮やかで、ちっちゃくてかわいい。

 

オーナーなら愛車に対する思いがひときわ深まるだろうし、いつか手に入れたいと思っている人たちはいやがうえにも気持ちがかき立てられるだろう特集記事だ。イタリア車やフランス車がまとう、具体的な定義が難しい楽しさ。それを理解する助けになってくれると思う。

 

【書籍紹介】

ル・ボラン 2018年3月号

著者:ル・ボラン編集部
発行:学研プラス

輸入車を軸にクルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があり、欧州車を中心とする現地取材企画は高い人気を誇る。

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【中年名車図鑑】若者向け上級ハッチバックとして登場した“2BOXカローラ”

FRの駆動方式にこだわっていたトヨタ自動車工業は、80年代に入ると大衆車を次々とFFに変更していく。1983年5月には屋台骨を支えるカローラが、シリーズ史上で初めてFF方式を採用。その約1年5カ月後には、FFの特性を活かした2BOXのカローラが市場デビューを果たした――。今回はニューヨーク国際自動車ショー2018で新型のカローラハッチバックが発表されたのを記念して、“2BOX上級生”を謳って登場した初代「カローラFX」の話題で一席。

【Vol.62 初代トヨタ・カローラFX】

今でこそあらゆる面で臨機応変なクルマ造りを実践するトヨタ自動車だが、80年代初頭まではメカに関してかなり頑固な主張を持ったメーカーだった。その代表例がフロントエンジン・リアドライブ(FR)に対するこだわりだ。優れた走りを実現するためには操舵輪と駆動輪を同一にするべきではない、変速フィールが自然で自動変速機の組み込みも容易、メンテナンスがしやすい――そんなFRのメリットを最大限に重視していたのである。一方、FRには大きなデメリットがあった。フロントエンジン・フロントドライブ(FF)のレイアウトに比べて縦方向に長いエンジンルームを要し、さらにトランスミッションユニットと駆動シャフトがキャビン内に大きく侵入したのである。限られたボディ寸法のなかでキャビン空間をできるだけ広くするには、FFのほうが有利だった。

 

ライバルメーカーがパッケージ効率に優れるFF方式を続々と採用するなか、ついにトヨタも大衆車のカテゴリーにこの方式を導入する方針を打ち出す。まず1978年8月には同社初のFFモデルとなるAL10型系ターセル/コルサを発売。ただし、エンジンの搭載方式はメンテナンスや自動変速機の採用などを鑑みて縦置きとした。80年代に入ると、横置きエンジンのFF車の開発を急ピッチで進めるようになる。そして1983年5月、同社の屋台骨を支えるカローラ、さらに兄弟車のスプリンターがFFに一新された。ちなみにFF方式を採用したのはセダン系や5ドアハッチバック系などの実用モデルで、スポーツ系のカローラ・レビン/スプリンター・トレノはFR方式を継続した。

 

■ターセル/コルサの上を目指した2BOXカローラ

1984年10月に登場した「カローラFX」。Fは未来のフューチャー、Xは未知数の意。ボディサイズは全長3970×全幅1635×全高1385mm/ホイールベース2430mm

 

FF方式に移行して広い室内空間を確保した第5世代のカローラ。しかし開発陣は、これだけでは満足しなかった。せっかく横置きFF方式を新規に開発したのだから、その特性を存分に活かしたモデルも設定したい――。そこで注目したのが、BD型マツダ・ファミリア(1980年6月デビュー)やホンダ“ワンダー”シビック(1983年9月デビュー)などによって当時シェアを高めていた “2BOX車”カテゴリーだった。販売戦略上でも、スターレットやターセル/コルサの上をいく若者向けの上級ハッチバック車が望まれていた。

 

FFカローラのデビューから約1年5カ月後の1984年10月、3/5ドアハッチバックボディの2BOXカローラが市場デビューを果たす。車名は「カローラFX」。Fは未来のフューチャー、Xは未知数を意味していた。ボディサイズは全長3970×全幅1635×全高1385mm/ホイールベース2430mmに設定。プラットフォームはセダンなどと基本的に共通で、リアボディを切り詰めたディメンションとする。搭載エンジンは1.5Lと1.6Lを用意。4輪ストラットの足回りは、ボディのコンパクト化に合わせて専用セッティングを施した。

 

数あるグレードのなかでユーザーが最も注目したのは、3ドアハッチバックに設定された「GT」(AE82)だった。外観はエアロパーツ類で武装。内装も本革巻きステアリングや7ウェイバケットシートなどでスポーティに仕立てる。さらにエンジンは、AE86型カローラ・レビン/スプリター・トレノに採用する4A-GEUユニットを横置きFF用に設計し直した4A-GELU型1587cc直列4気筒DOHC16Vユニット(130ps/15.2kg・m)を搭載していた。

 

■日本での販売は苦戦したものの欧州市場では大好評

3ドアハッチバックに設定された「GT」。本革巻きステアリングや7ウェイバケットシートなどでスポーティな雰囲気を演出

 

FF車らしい2BOXスタイルで、しかもスポーツ仕様のホットハッチもラインアップする――万全の車種展開で勝負したカローラFXだったが、販売成績はデビュー当初を除いて今一歩だった。ライバルが多かった、カローラの名前が若者から敬遠された、スタイリングがやや地味だった、スポーツ仕様のGTのスペックがシビックSiに劣っていた……要因は色々と挙げられた。

 

テコ入れ策として、トヨタはGTのモータースポーツへの参戦や特別仕様車の設定などを実施してユーザーにアピールする。なかでも1986年開催の全日本ツーリングカー選手権Hi-land TOURING CAR 300km CHAMPIONSHIP RACE(仙台ハイランドスポーツウェイ)では、関谷正徳/鈴木利男選手組のミノルタα7000トムスFXが雨中の激戦を制して総合優勝を飾り、走り好きから喝采を浴びた。しかしそれでも販売自体は伸びず、結局同社の2BOXユーザーはスターレットやターセル/コルサ/カローラⅡ兄弟に流れたままだった。

 

一方、2BOXのカローラを大歓迎して受け入れた市場もあった。ハッチバック車の人気が高い欧州マーケットだ。トヨタとしても2BOXカローラは欧州がメイン市場になると予想し、その志向を捉えてクルマを開発していた。

 

結果的にカローラFXは、セダンなどの実用モデルの全面改良に合わせて1987年5月に2代目に移行する。日本での人気はいまひとつだったが、欧州では好評――上級ハッチバック車におけるこの市場動向は、その後のカローラの企画に大きく影響していく。そしてセダンやワゴンは日本メイン、ハッチバックは欧州メインという体制が整えられていったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

自動運転中の事故の責任はメーカーか、所有者か、それとも…?

3月18日、米国アリゾナ州でウーバー・テクノロジーズ社が公道で実験走行中の自動運転車が死亡事故を起こしたことは、日本でも多くのメディアが報じたが、筆者にとっては別の意味で衝撃的だった。同じ3月上旬、ペンシルバニア州ピッツバーグの公道で同社の自動運転車についてプレゼンテーションを受けたあと、2人のオペレーターが乗る車両の後席で体験したばかりだったからだ。

すでにウーバーは遺族との間で和解したというニュースも入ってきており、今後は本格的な事故原因の究明に興味が移る。そんな中、日本政府が自動運転中の事故について、原則として車両の所有者に賠償責任を負わせる方針を決めたという報道を目にした。

 

この文面を見て、これでは自動運転車は売れないのではないかと思った人がいるかもしれない。昨年、新型A8を市販車初の自動運転車という触れ込みで発表したアウディは、自動運転システムが正常に作動しているときに万一事故が起きたら、責任はアウディが負うと明言しているからだ。

 

どちらが正しいのか。多くのクルマ好きはドイツのアウディの主張が正論だと思うかもしれない。しかしじっくり考えると、この2つのメッセージは基本的に同じ内容であることが分かる。

 

記事を読み進めると、今回の内容は運転席に人間が乗った状態で、基本はシステムに運転を任せつつ、システムが要求した際には人間が運転を肩代わりする自動運転レベル3が対象とある。アウディA8と同じだ。運転席に人間が座らないレベル4以上は今後検討するとしている。

 

筆者は昨年「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」という書籍を執筆するにあたり、多くの自動運転関連情報を集め調べた結果、システムが正常でありながら事故を起こした際はメーカー(製造者)、システムが人間に運転を代わるよう要請したのに人間がそれに応えず事故を起こした場合はオーナー(所有者)に責任があると考えている。

 

つまりアウディの主張は前者だけ、今回の報道は後者だけを取り上げているのである。報道では後半に、メーカーの責任は車両のシステムに明確な欠陥がある場合のみとするという文言もあるけれど、ジャーナリストの立場から言えば、両方を並立して書くべきだろう。

 

記事のほうは「自動運転であっても責任はオーナー」という点だけを最初に取り上げることで、センセーショナルな話題作りを狙った感がある。一方アウディの場合は記事ではないが、オーナーのメリットをアピールするために、あえて片方しか言及しなかった可能性がある。

 

人間のミスかシステムのミスかを判別するには、飛行機のフライトレコーダーのような記録装置が必要となるはずで、レベル3以上の自動運転車には搭載が義務付けられるだろう。また記録装置の解析には時間が掛かるので、事故のもろもろが決着するには、現在よりもむしろ時間を要するかもしれない。

 

解析の結果、メーカーにもオーナーにも責任がない場合も出てくる。外部からのハッカーの侵入だ。筆者は今後の自動運転社会で、これをもっとも危惧している。今年1月の仮想通貨流出事件では、セキュリティ対策が十分でなかったことが原因に挙げられたが、自動運転車では最悪の場合、命を落とす危険性があるだけに、この部分はメーカー側に万全な対策を義務付け、違反した場合には責任を負わせることが必要だろう。

 

ちなみに先月のウーバーの死亡事故の場合は、同じレベル3ではあるが、アウディを含めた一般的な自家用車とは状況が少し異なる。運転席に座るのはオーナーではなく、ウーバーが用意したオペレーターであり、車両の所有者はウーバー自身だからだ。これに限らずシェアリングで自動運転を提供する場合は、運転席に座るオペレーターがオーナーではなく、運行管理者がオーナーとなる。当然ながら運行管理者に責任が及ぶ場合も出てくるだろう。

 

つまり事故当時の状況によって責任問題はいかようにも変わる。ウケ狙いの断定型記事に左右されず、冷静な判断が求められていると言えそうだ。

 

【著者プロフィール】

モビリティジャーナリスト・森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

【中年名車図鑑】スポーティ性は上々だがファッション性はちょっと…若干地味だった“白い稲妻”

小型スペシャルティカー市場におけるユーザー志向の多様化がより顕著になった1980年代の中盤、日産自動車は4代目となるシルビアを発売する。目指したのは“スポーティ性”と“ファッション性”が高次元で両立した次世代の本格的スペシャルティだった。今回は“白い稲妻”のキャッチを冠して登場したS12型シルビア(1983~1988年)の話題で一席。

【Vol.63 4代目・日産シルビア】

厳しい排出ガス規制と2度の石油危機を克服し、クルマの高性能化に力を入れるようになった1980年代初頭の日本の自動車業界。その最中で日産自動車は、小型スペシャルティカーのシルビア(と兄弟車のガゼール)の全面改良を鋭意、推し進めていた。

 

80年代中盤に向けたスペシャルティカーを企画するに当たり、開発陣は市場のユーザー志向を入念に調査する。そして、「スペシャルティカーを欲するユーザーは流行に敏感で、ライフスタイルもますます多様化している。新型は、そんなユーザー層にアピールできるスペシャルティカーに仕立てなければならない」という結論に達した。これを踏まえて開発陣は、“スポーティ性”のさらなる追求と“ファッション性”に磨きをかけることを目標に掲げる。具体的には、高性能エンジンや先進の足回りを組み込んだハイメカニズムによる“俊敏でスポーティな走り”と機能美を徹底追求した“精悍で斬新なスタイルとインテリア”を高度に調和させるという方針を打ち出した。

 

■ボディラインとともに装備でもスペシャルティ感を演出

2ドアクーペと3ドアハッチバックの2ボディを用意。どちらも走りの性能を重視したディメンションを採用した

 

スペシャルティカーの最大の特徴となるスタイルに関しては、強いウエッジと低いノーズライン、大胆に傾斜したフロントウィンドウ、さらにハイデッキによるシャープなシルエットでスポーティ感を演出する。ボディタイプは2ドアクーペと3ドアハッチバックを設定。2ボディともにフルリトラクタブルヘッドランプの採用と車体全般のフラッシュサーフェス化を実施し、空気抵抗係数はクラストップレベル(ハッチバックでCd値0.34)を実現した。一方、ボディサイズは全長と全幅を従来のS110型系より短縮したうえで、ホイールベースを25mm、トレッドを前35~45mm/後20~60mmほど拡大し、走りの性能を引き上げるディメンションに仕立てた。

 

キャビンスペースについては、上質感を創出したインパネやエキサイティングなイメージを醸し出すメータークラスター(メーターはデジタル表示とアナログ表示の2種類を設定)、ストレートアームを使いやすい高さに設定したステアリング配置、高弾性ウレタンを内蔵したシートなどでスペシャルティ性を強調する。また、上級グレードの前席には8つの部位を自由に調整できるマルチアジャスタブルタイプのバケットシートを装着した。

 

開発陣は内外装の装備面についてもこだわる。先進アイテムとしてはマイコン制御のオートエアコンやダイバシティFM受信システムを組み込んだオーディオ、再生効果を高めたスピーカーシステム、国産車初採用のキーレスエントリーシステム、目的地の方向を指示するドライブガイドシステムなどを装備。さらに、世界初採用となるリアパーセルボード共用タイプのパワーウーハーやワイパー付フルリトラクタブルヘッドランプクリーナー、国産車初のチルトアップ&スライド機能付き電動ガラスサンルーフを設定した。

 

パワートレインについては、旗艦エンジンのFJ20E型1990cc直列4気筒DOHC16V(150ps)と同エンジンのターボチャージャー付き(FJ20E-T型。190ps)を筆頭に、従来のZ型系ユニットに代わる小型・軽量・低燃費のCA18型系1809cc直列4気筒OHCエンジンの3機種(CA18S型100ps、CA18E型115ps、CA18E-T型135ps)を設定する。また、FJ20E型系エンジン搭載車にはギア径200mmのファイナルドライブとリミテッドスリップデフを、CA18E-T型エンジン搭載車には5速MTのほかにOD付き4速ロックアップオートマチックトランスミッションを採用した。

 

走行面の機構では新たにラック・アンド・ピニオン式ステアリングを装備したほか、リアサスペンションに新開発のセミトレーリングアーム式独立懸架(FJ20E型系/CA18E-T型エンジン搭載車。それ以外は4リンク式)を組み込む。さらに、FJ20E型系エンジン搭載車には偏平率60%の195/60R15 86Hのラジアルタイヤを標準装着(CA18E-T型エンジン搭載車にはオプション)した。

 

■キャッチフレーズは“白い稲妻”

スペシャルティカーとして装備にもこだわった。マイコン制御オートエアコン、キーレスエントリーなど先進アイテムを採用した

 

第4世代となるシルビアは、S12の型式と“白い稲妻”のキャッチフレーズを冠して1983年8月に発売される。車種展開はクーペとハッチバックを合わせて計22タイプのワイドバリエーションを誇った。

 

市場に放たれたS12型シルビアのなかで、ユーザーから最も注目を集めたのはFJ20E型系エンジンを搭載するRS-X系グレードだった。カムシャフトの駆動に2ステージのローラーチェーンを採用した赤ヘッドの4バルブエンジンは、1.2トンクラスのボディを力強く加速させる。とくにターボ付きのFJ20E-T型を積むRS-Xのパフォーマンスは強烈で、4000rpm付近を境にしたパワーの急激な盛り上がりや荒い鼓動などが、走り好きを大いに惹きつけた。一方、コーナリングの楽しさや走りのバランス性を重視するユーザーには、新開発のCA18E-T型エンジンを搭載したターボR-X系グレードが支持される。FJ20E型系エンジンよりも前輪荷重が軽く、しかも前軸後方に収まるレイアウトが、コーナリング性能を高める要因だった。

 

ファッション性を重視したマイナーチェンジ

スポーティ性とファッション性を高次元で融合させた本格的小型スペシャルティカーのS12型シルビア。しかし、ユーザーが興味を示したのはスポーティ性がメインで、スペシャルティカーならではの特徴であるファッション性に関しては、2代目ホンダ・プレリュードなどと比較されてあまり高い評価が得られなかった。さらに1985年8月に最大のライバルである4代目トヨタ“流面形”セリカが登場して以降は、ルックスの地味さが目立つようになった。

 

この状況を打破しようと、日産は1986年2月にシルビアのマイナーチェンジを実施する。キャッチフレーズは“きもちまでスペシャルティ”。内外装の細部はより洗練されたイメージに変更され、ボディ長やボディ幅も拡大される。エンジンは高コストのFJ20E型系を廃止すると同時に、CA18DE-T型のツインカムターボ仕様(145ps)をラインアップに加えた。またCA18DE-T型エンジン搭載車には、パワーエコノミー自動切替式の電子制御OD付き4速ロックアップオートマチックの新トランスミッションを設定する。ちなみにこの時、兄弟車のガゼールは車種整理のためにカタログから外された。シルビアにおけるファッション性の追求は、さらに続く。1987年2月にはクーペの「ツインカムターボ フルホワイトRS-X」をリリース。同年7月になると、やはりクーペの「R-Xホワイトセレクト」と「ターボ フルホワイトR-X」を発売した。

 

日本市場での人気ボディカラーの“白”戦略は一部ユーザーには受けたものの、シルビア全体の販売台数の底上げにはつながらなかった。そして1988年5月には、シルビアの全面改良が行われる。5代目となるS13型シルビアは、4代目での反省を生かし、ファッション性を最大限に重視するモデルに仕立てられたのである。

 

■2世代に渡って製作されたシルビアのスーパーシルエットフォーミュラ

最後にトピックをひとつ。シルビアはS110型とS12型の2世代に渡って、当時のモータースポーツの人気カテゴリーであるスーパーシルエットフォーミュラ(FIAのグループ5)の素材車として活用された。1981~1983年には日産のレース部隊が手がけたエアロパーツを纏うS110型風シルビア・ターボ(1981年仕様は市販車の大幅改造版。1982年以降の仕様はパイプフレームシャシーで、異例のサイドラジエター方式)が、星野一義選手のドライブによって大活躍。1981年と1982年開催の富士300キロスピードレースや1983年開催の富士グラン250kmレースなどで優勝する。広告展開でも“烈火の炎”というキャッチコピーとともに、S110型系シルビアと黄色い稲妻ストライプのスーパーシルエットフォーミュラ・シルビア・ターボ、そして“日本一速い男”星野選手が共演した。

 

スーパーシルエットフォーミュラ・シルビア・ターボは、1983年後半になるとS12型風のボディシェルに変更し、9月開催の富士インター200マイルでは2位に、10月開催のスーパーカップレースではSSクラス優勝を果たす。ちなみに、現在日産自動車が保管するゼッケン23のスーパーシルエットフォーミュラ・シルビア・ターボは、このS12型風のボディシェルで演出した1台である。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

『ル・ボラン 2018年2月号』――メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの威信をかけた三つ巴バトル

“若者の車離れ現象”が声高に唱えられるようになったのは、いつ頃からだろうか。四元正弘氏(株式会社電通電通総研研究主席)の『「若者のクルマ離れ」に関する現状分析と打開可能性』というレポートによれば、2001~2011年の10年間で、20代男子の「自動車に関心がある」割合は71パーセントから42パーセントに急減している。

 

 

オペルで始まり、ジェミニで実現させたドイツ車へのあこがれ

こうした傾向、1980年代初めに免許を取った筆者は、ただただ信じられない。大学1年の夏までの毎日は、とにかく自分の車を1日も早く手に入れることだけをひたすら考えながら過ごした。

 

車両価格58万円、頭金20万円で手に入れた初めての車はいすゞジェミニクーペLSGだった。この車を選んだことには理由がある。ドイツの自動車メーカー、オペル社のカデットというモデルを基にデザインされていたからだ。筆者はこのカデットのラリータイプの外観が大好きだった。本物を買うには時間がかかりすぎてしまう。だから、とてもよく似たジェミニLSGで我慢することにした。そして、ドイツ車に対する憧れは、はっきりと自覚していた。

 

 

輸入台数ベスト3はドイツ車が独占

ベンツ、ポルシェ、BMW、そしてフォルクスワーゲン。ドイツは名車の生産国として名高い。質実剛健さを第一印象に挙げる人は多いだろうが、決してそれだけではない。たとえばベンツのAMGやBMWi8は、圧倒的なパフォーマンスを誇るスポーツカーだ。

 

筆者を含め、日本のドイツ車ファンはかなり多いようだ。日本自動車輸入組合が今年の1月11日に発表した資料によれば、ブランド別輸入台数1位はメルセデス・ベンツ(7,166台)、2位はBMW(5,482台)、3位はフォルクスワーゲン(4,153台)という並びになっている。2017年1年間だけで、ドイツ産の新車が17,000台も日本に入ってきた。さらに言うなら、4位のアウディ(3,055台)は、前年比10.2パーセント増という数字を記録している。

 

 

日本人はドイツ車が好き

ドイツ車と聞いて、まっさきに思い浮かべるイメージはなんだろう? ネットで検索をかけると、最も多くヒットするキーワードは“安全性”だ。アウトバーン(速度無制限、通行料無料の高速道路)を走る機会が多いドイツ車には、高速運転時での走行安定性やブレーキ性能、そしてもちろんエンジンの頑丈さが求められる。

 

加えて言うなら、ドイツ車の衝突安全基準は世界最高レベルにある。事故に遭った場合でも、車体が丈夫なので、被害を最小限に留められる。頑丈で安全。道具としての車に求めるものとしては十分だろう。これに、ドイツ車ならではの実用的なラグジュアリー感が加わるとなれば、選ばれて当然かもしれない。

ドイツ車プレミアムブランド御三家

メルセデス・ベンツ、BMW、アウディはドイツ車プレミアムブランド御三家と呼ばれている。同じ年齢で同じ時代に活躍したマドンナとプリンス、そしてマイケルみたいな関係に例えたくなる。

 

『ル・ボラン 2018年2月号』(ル・ボラン編集部/学研プラス・刊)の目玉は、“Showdown 2018”というタイトルの下に展開される、ドイツ・プレミアムブランドの威信をかけた三つ巴バトルという主旨の40ページ以上にわたる特集記事だ。三つのメーカーの全80車種が登場する。さすがに、見た目だけでもかなりゴージャス。

 

タイプ別対決も読み応え十分だ。BMW M6カブリオレ、メルセデスAMG GTロードスター、アウディR8スパイダーのオープンカー対決。メルセデス・ベンツGLA、アウディQ2、BMW X1の“アイドルSUV選抜総選挙”。そして、おそらく最も需要が高いと思われるミドルセダン対決はアウディA4、メルセデス・ベンツCクラス、そしてBMW3シリーズで繰り広げられる。

 

 

ドリームカー

どの1台をとっても、筆者にとってはすぐに買えるレベルの車ではない。特集記事を読んでいて、ジャニス・ジョプリンの『Mercedes Benz』というア・カペラの曲を思い出した。神さまに呼びかけて、ベンツやカラーテレビを買ってほしいとひたすら訴える内容だ。一説によれば、ジョプリンがベンツに乗ってドライブしていた時に思い浮かべたことを歌詞にしたという。

 

ベンツもBMWもアウディも、筆者にとっては間違いなくドリームカーだ。手に入れられる日が来るという確証も確信もない。ただ、ジェミニLSGを買った時の純粋な熱量は確実に甦ってきた。わんこを湘南に連れて行ってビーチで思い切り走らせたいし、イケアに行ってちょっと大き目の家具も買いたい。コストコでまとめ買いもしてみたい。

 

とりあえずは、この特集記事をもう一回熟読しながら妄想を膨らませることから始めるか。もちろん、『Mercedes Benz』を聞きながら。

 

 

【書籍紹介】

ル・ボラン 2018年2月号

著者:ル・ボラン編集部
発行:学研プラス

輸入車を軸にクルマやクルマ用品、ニュースなどをタイムリーに発信。ダイナミックなビジュアルとわかりやすい記事には定評があり、欧州車を中心とする現地取材企画は高い人気を誇る。

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ズバリ、ポルシェ「ミッションE」市販型のデザインとパワートレインはこれで決まり!?

2019年秋のフランクフルトショーでのワールドプレミアが予想されている、ポルシェ初となるEVサルーン「ミッションE」のレンダリングCGが公開された。

 

 

「911」から継承したというスポーティなルーフラインはそのままに、ヘッドライトやフロントバンパーのデザインを大幅に軌道修正。EV専用「J1」プラットフォームの採用で居住空間にゆとりを持たせたほか、コンセプトモデルでは観音開きであったドアがノーマルタイプの4ドアとなるなど実用性の高さが期待できそうだ。

 

注目のパワートレインは、ベースモデルで最高出力402ps、ミドルレンジは536ps、そしてトップレンジには650psを発揮する3タイプが準備されるという。

 

1回の充電での航続可能距離は500km程度で、充電は15分で80%を完了するようだ。

 

発売開始は2020年で、シュトットガルト・本社キャンパスの新工場において年間2万台が生産される予定だ。

 

 

寺岡呼人×DJ OSSHYが語る「クルマと音楽」――ドライブにMIXテープが欠かせなかった青春時代

CDが売れない時代とは言われますが、音楽配信サービスの利用者は増えつづけていますし、レコードブームも再燃中。リスニングという趣味はメインカルチャーのなかでもど真ん中にあり続けています。

 

では、その音楽の担い手たるアーティストやDJといった立場の方は、プライベートでどのように音楽と接しているのでしょうか。シンガーソングライター兼音楽プロデューサーの寺岡呼人さんがゲストを向かえて「クルマと音楽」について語り合う同シリーズ、第2回は36年も最前線で音楽とかかわり続けてきたDJ OSSHYさんにお話をうかがいました。

 

【DJ OSSHY

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ディスコ・クラブDJおよびラジオDJ。1982年、渋谷のCandy Candyでデビューして以来、代官山PARADISE PARTY、横浜サーカス、六本木ヴェルファーレなど、各時代のディスコ・クラブブームを牽引するスペースで音を紡いできたレジェンド。現在はINTER FM「RADIO DISCO」、TOKYO FM「FAMILY DISCO」に出演するほか、東京スカイツリー展望フロアや、グランドハイアット東京、羽田空港などで開催されたディスコイベントにも参加。安全・安心な大人のディスコブームの仕掛け人としても活動。

 

【寺岡呼人】

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シンガーソングライター兼音楽プロデューサー。1988年、JUN SKY WALKER(S)に加入。1993年にソロデビューし、1997年にはゆずのプロデュースを手がけるようになる。ライブイベント Golden Circleを主催し、FM COCOLOの番組「CIRCLE OF MUSIC」で、さまざまな音楽とアーティストをナビゲートしている。筋金入りのオーディオマニアであり、カーマニアでもある。http://www.yohito.com/

 

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↑2月にリリースした最新アルバム「LOVE=UNLIMITED」 (ラヴアンリミテッド)。デビュー30周年、50歳の節目を迎えて紡ぐ等身大の音楽がここに

 

テクニックだけではない、DJには選曲の幅や知識が要求される

寺岡 ディスコ全盛のころって、僕はまだ中高生だったんですよ。だからディスコって憧れでしたね。DJ OSSHYさんは高校時代にDJとしてデビューしたそうですが、当時のお話からお聞きしたいなと。

 

DJ OSSHY 1981年の高校1年のとき、初めてディスコにいって衝撃を受けたんですよ。ノンストップで音楽が流れている環境にびっくりしまして。それから通うようになって、1982年から見習いをはじめました。当時はお店の専属DJというか、従業員がやってましたね。みんなの共有財産としてレコードがあって、それをみんながつかっていました。各店舗2~3人くらいしかいなくて、狭き門ですよね。

 

寺岡 DJを目指している人はたくさんいたんですか。

 

DJ OSSHY DJは花形的な見方はされていたかもしれませんが、本気でやろうという人はいなかったですね。人気があるのは黒服側でしたね。あとバーテンさん。

 

学校帰り、週4日はディスコに通うようになったDJ OSSHYさん。友達は女の子に夢中だったそうですが、DJ OSSHYさんはDJブースにかじりつきの日々を送っていたそうです。そして1か月ほど経ったとき、お店のDJに声をかけられました。そして、DJとしての人生がはじまりました。

 

寺岡 見習いのときって、どんなことをやっていたのでしょう。

 

DJ OSSHY 先輩のかけている曲の、プレイリストをノートに書いていましたね。あとは照明のコントロールとブース内の掃除。それを1年やっていました。もちろんギャラはないです。

 

寺岡 練習みたいなことはやっていたのですか。

 

DJ OSSHY ないです。

 

寺岡 DJ機材には触らせてもらえなかったと!

 

DJ OSSHY 先輩の仕草を見ていただけでしたね。そして週休1日で半年くらいたったころ。「そろそろ回してみろ」と言われて、お客さんのいない17時から18時までやらせてもらえるようになったのですが、ぜんぜんやり方わからないんですよ。ボロボロです。そこから少しずつ教えてもらえる感じでしたね。

 

怒られながらもDJのイロハを教えてもらいながら次第にスキルアップ。そして高校3年のとき、急遽お客さんの前で回すことになったそうです。

 

DJ OSSHY 1時間でしたがメインの時間帯に、代打としてやったんですね。とにかく盛り上がるメジャー曲をかけまくっていたら、あとからきた先輩にめちゃくちゃ怒られたんですよ。「お前、もうかける曲ないじゃないかよ!」と。DJはテクニックだけではなく、選曲の幅や知識が要求されるんだと思い知りましたね。

 

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↑バブル時代のディスコ話をぜひ聞きたい、と今回の対談を楽しみにしていた寺岡さん。当時の面白秘話連発に大いに盛り上がりました

 

合理主義なDJ OSSHYさんは仕事道具として軽ワンボックスに乗り続けていた

寺岡 DJ OSSHYさんにとって、クルマはどんな存在ですか。

 

DJ OSSHY ツール、ですね。軽自動車に16年乗っていました。

 

意外にも! スポーツカーをドライブしているイメージがありました。詳しくお聞きすると、本当にレコードを運ぶための働くクルマとしてワンボックス型の軽自動車を何台も乗り継いで使ってきたとか。

 

DJ OSSHY 路地裏の店も多かったので、コンパクトなモデルがいいだろうと。3年前に普通乗用車に乗り換えたんですが、燃費重視でハイブリット車を。合理主義なところがあるんですよね。

 

寺岡 ではクルマのなかで音楽を聴くというのは、あまりないのですか。

 

DJ OSSHY 一人で乗るときは音楽聴く派なのですが、誰か乗せているときはまったく音楽をかけないんですよ。会話重視ですね。かけたとしても、ボリュームはすごく小さくしていますね。

 

寺岡 お一人のときはどんな聴き方をしていますか。

 

DJ OSSHY CD製作中はラフミックスを車のなかでチェックしていますね。私はラジオDJもやっていますが、ラジオも私が作るCDも、主なターゲットはドライバーなんですよ。

 

寺岡 DJ OSSHYさんが昨年リリースされた「SHONAN AOR」、聴きました。あー、これを流しながら湘南をドライブしたいなー、と思いましたね。

 

AORは都会的なイメージ印象があるというDJ OSSHYさん。AORで湘南をあらわすために、サーファーや船乗り、地元のレストランの方とかに、「AORで好きな曲はなんですか」とリサーチ。その結果、ボズ・スキャッグス「Lowdown」とか、70’s寄りの曲が多かったとのこと。なお前作の「TOKYO AOR」はボズ・スキャッグス「Jojo」など、キラキラした音が入る80’sトラックが中心となったそうです。

 

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↑なんとなくクルマに凝りまくっているというイメージを勝手に抱いていましたが、実は合理的なクルマ選びをしてきたDJ OSSHYさん。若かりしころは硬派かつ体育会系なDJ生活だったとか

 

ドライブデートのためにMIXテープを作るのは万国共通

 DJとは違うのかもしれませんが、昔はドライブ用にMIXテープを作るムーブメントがありました。カセットテープは時間が決まっているので、どの曲をどんな順番で入れていくとピッタリおさまるかを考えつづけていた青春時代。DJ OSSHYさんも僕たちと同じようにMIXテープを作っていたそうです。

 

DJ OSSHY 当時好きだった子と海に行くときはこのテープ、みたいにシチュエーション別の選曲をやって仕込んでいましたね。

 

寺岡 ジャック・ニコルソンが出演している「恋愛小説家」という映画の1シーンで、「ドライブ用」と書かれたカセットテープが出てくるんですよ。ああ、こういうのって万国共通なんだなと。

 

DJ OSSHY 自分の愛情表現をカセットテープに託すみたいな。

 

寺岡 年代もあるのかもしれないですけど、カセットテープに曲を入れていたときはワクワク感がありましたよね。

 

 音楽ストリーミングサービスも積極的に

寺岡 ところで最近の音楽シーンの動向をどう見ていますか。海外だとダフト・パンクが盛り上がっていたりしますが。

 

DJ OSSHY 典型的なのはブルーノ・マーズの作風だと思っていまして。「Finesse (Remix)」という曲が出たばかりですが、あれ、ニュージャックスウィングですからね。びっくりしますよ。ニュージャックスウィングは1988年に誕生したと言われていて今年で30周年になるのですが、ブルーノ・マーズの世代があの時代の音楽に、相当影響されて、作ってきているなと思うんですよね。そういう部分に注目していますね。

 

寺岡 音楽ってリサイクルの文化だと思うのですが、数年前だったらダサいなと思われることが、いまだと「イケてんじゃん!」とかありますよね。

 

DJ OSSHY ありますね。ちょっと前にEDMが流行っていましたが、ヴァン・ヘイレン「Jump」とか80’sなニューウェイブ系の音作りを取り入れられてきていたんですよね。

 

寺岡 音源としてはいかがでしょうか。

 

DJ OSSHY 購入する音源はCDが多いですね。それをパソコンに取り込んでいます。以前はレコードをデジタル化していたのですが、3万5000枚もあるのでさすがに無理だなと。

 

寺岡 僕はApple Musicで聴くことが増えました。Today’s Hitsとか、毎日更新されるプレイリストを聴いてたりしますね。

 

DJ OSSHY 私は「AWA」のオフィシャルプレイリスターなんですよ。ドライブ向きとか、シチュエーション別にプレイリストを作って提供していますね!

 

 昔はカセットテープ、CD-RやMD。いまはスマホの音楽再生アプリのプレイリストや音楽配信サービス。時代は変わり、音源も変わっても、それぞれのシーンで積極的に音楽を楽しむスタイルはみんなが求めているってことですよね!

 

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↑音楽ストリーミングサービスも積極的に活用しているという寺岡さん。愛車ではパイオニア・サイバーナビの「ミュージッククルーズチャンネル」をよく聴いている

 

 

 

 

 

 

ルノーの新作SUV、カジャーが正式発売

ルノー・ジャポンは4月5日、新型SUVの「ルノー・ カジャー」を4月12日より発売すると発表した。「インテンス」の1グレード展開で、税込車両価格は347万円である。

 

 

カジャーは欧州Cセグメントに属するコンパクトSUV。街を離れ、自然の中でさまざまなアクティビティを楽しむフランス人のライフスタイルから生まれた、アクティブにバカンスを満喫するためのSUVとして誕生した。ボディサイズは全長4455×全幅1835×全高1610mm。ホイールベースは1645mm、最低地上高は200mmだ。

 

 

パワートレインは131ps/205Nmを発揮する1.2リッター直列4気筒ターボエンジンとデュアルクラッチの7速EDCの組み合わせで、前輪を駆動する。

 

 

スタイリングは、ダイナミックさや力強さに加え、情熱と洗練を感じさせるフレンチスタイルのデザインが大きな特徴。フロントにはデイタイムランプを組み合わせるCシェイプLEDヘッドライトや、フルLEDのリアランプが個性を際立たせている。タイヤサイズは225/45R19が標準だ。ボディカラーはルージュフラム・メタリックやブルーコスモス・メタリックを含む全4色が設定された。

 

 

上質で快適な空間が広がるインテリアでは、ナパレザーを用いたステアリングホイールやシフトノブ、前席にシートヒーターが備わるレザーシート、ダブルステッチのインナーハンドルが上質感を高めている。センターパネルには、マルチメディアや運転支援システム(ADAS)の設定を直感的に操作できる7インチマルチファンクションタッチスクリーンが備わる。

 

 

ラゲッジスペースの使い勝手の良さもカジャーの美点。後席は60:40の分割可倒式で、レバー操作によって荷室側からシートバックを簡単に倒すことができる。容量は通常時で527L確保され、最大時は1478Lに広がる。

 

 

ラゲッジには前後2枚のラゲッジボードが開口部と同じ高さに設置され、通常時はラゲッジが上下2分割されている(イージーフォールディング機能)。この状態でリアシートを倒すと、フルフラットのラゲッジスペースとなる(フラットモード)。

 

 

また、フルフラットの状態から、2枚のラゲッジボードをラゲッジ床面に設置すると、ラゲッジ容量はさらに拡大できる(最大積載モード)。さらにリアシートを起こした状態で、2枚のラゲッジボードのうち奥側1枚をラゲッジ床面に設置し、 手前の1枚をラゲッジ中央に垂直に設置すると、ラゲッジが前後に2分割され、スーパーマーケットの買い物袋などの転がりやすいものを収納するのに便利なスペースを作り出すことができる(垂直モード・2分割)。

 

 

寺岡呼人×KANが語る「クルマと音楽」――カーオーディオで聴く現地の音楽が最高!

ドライブに必要なものってなんでしょうか。きれいな景色、盛り上がる会話も大事ですが、音楽も欠かせないですよね。デートドライブ中の雰囲気を盛り上げてくれるアシストとして必須ですし、ソロドライブなら好きな曲だけを大ボリュームで流し続けての1人カラオケ状態も楽しいものです。昔なつかしの曲で青春時代に思いを馳せながらのドライブもいいですよね。

 

では、その音楽の担い手たるアーティストやプロデューサーは、プライベートではどのように音や音楽と接しているのでしょうか。また、クルマと音楽の相性についてどのように捉えているのでしょうか。オーディオマニアでもあるシンガーソングライター兼音楽プロデューサーの寺岡呼人さんがゲストを向かえて「クルマと音楽」について語り合う同シリーズ、初回は最前線で音を紡ぎ続けているKANさんをゲストにお届けします!

 

【KAN】

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1962年9月24日生。1987年にレコードデビュー。2002年春からフランス・パリに移住し、【Ecole Normale de Musique de Paris】に留学。2004年夏の帰国後は、バンド・弾き語り・弦楽四重奏やオーケストラとの共演など、様々なスタイルでの活動を展開中。好きな食べものは生牡蠣。www.kimuraKAN.com

<LIVE>

【弾き語りばったり #23 三歩進んで何故戻る?】

ピアノ1台だけの単身弾き語りツアー。2018年3月より全国23都道府県で30公演開催中。

 

<CD+DVD>

YAMA-KAN

【Take me Follow me/記憶にございません/手をつなぎたいんだ】

KAN×山崎まさよしによる書き下ろし3曲入りのCD+DVD。とっくにやってそうで実は一度もやってなかった初の共同制作楽曲。すべての楽器を二人でレコーディングしています。

2018年3月発売/2000円+税/TRJC-1080/発売元:TOWER RECORDS LABEL

<CD> Take me Follow me/記憶にございません/手をつなぎたいんだ

<DVD> YAMA-KAN Recording Documentary

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<LIVE DVD>

BAND LIVE TOUR 2016【ロックご自由に

東京・豊洲PITでの最終公演を全曲収録したものの、【芸能生活29周年記念 特別感謝活動年】で多忙を極めたため放置状態にあったライブ映像を、新たな気持で丁寧にEdit & Mixして、忘れたころに新発売! Audio Commentaryでは、副音声家・根本要氏とKANによる爆笑ライブ解説【KANと要のDame-Dashiナイト】をお楽しみいただけます。

DVD 2枚組、全21曲、約154分/2018年2月発売/6000円+税/製品番号:EPBE-5563~4/発売元:UP-FRONT WORKS inc. / zetima

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【寺岡呼人】

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シンガーソングライター兼音楽プロデューサー。1988年、JUN SKY WALKER(S)に加入。1993年にソロデビューし、1997年にはゆずのプロデュースを手がけるようになる。ライブイベント Golden Circleを主催し、FM COCOLOの番組「CIRCLE OF MUSIC」で、さまざまな音楽とアーティストをナビゲートしている。筋金入りのオーディオマニアであり、カーマニアでもある。http://www.yohito.com/

 

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↑2月にリリースした最新アルバム「LOVE=UNLIMITED」 (ラヴアンリミテッド)。デビュー30周年、50歳の節目を迎えて紡ぐ等身大の音楽がここに

 

カーオーディオで鳴らす音がひとつの基準に

寺岡 KANさんは1台のクルマ(ボルボ240)にずっと乗り続けているんですよね。今現在の走行距離ってどれくらいですか?

 

KAN 30万5000km台ですね。年数としては25年になります。

 

寺岡 すごいですよねぇ。僕も昔同じクルマに乗っていたのですが、17万kmまではいったけどガタがきちゃいまして。

 

KAN しょっちゅう修理に出しているし、すごくお金かかってますよ。去年なんてドアのヒンジが折れちゃったので、ドアごと交換したから。部品はもうないし中古で探すしかなくて。で、見つかったのはいいけど色が違った。僕としては問題なかったんだけど、ディーラーさんが「それはいくらなんでも!」てことで、塗られました。

 

寺岡 ずっと乗り続けているというのは、やはり愛着があるからですか?

 

KAN ですね。それまでクルマを持つという考えがなかったんだけど、92年頃に会社の勧めでクルマを買うことになって、どんなのがいいか街を走るクルマを見ていたんですが、いいなぁと思うものはどれも古いクルマだったんですよ。維持が大変だよと言われていまのクルマにしたんだけど、うちのクルマはいま、やっとクラシックカーになり始めましたね。だから、ここからです(笑)。本当にどうやっても乗れなくなるまで乗りますよ。

 

寺岡 クルマを買ってからドライブが好きになったとか、変化はありましたか?

 

KAN 基本的には生活の足なんです。ただ、音楽を聴くにはいい場所だよね。遠慮なく大きなボリュームで音楽を聴けるじゃない。

 

寺岡 われわれミュージシャンあるあるというか、レコーディング中はデモテープやミックスダウンのチェックをクルマの中で聴くことってありませんか?

 

KAN ありますね。ずっと25年、聴く環境が変わってない。ここを基準にしていますね。

 

つまり、KANさんにとってのリファレンスがカーオーディオというわけです。クルマではボリュームのレベルを一定にしてどう聴こえるかをチェックするそう特に大好きな中田ヤスタカさんの作品はダイナミックレンジが広く、大きな音に聴こえるトラックも多いとか。寺岡さんもクルマ内で聴くとバランスが確かめられるから、各楽器のボリュームの調整がしやすいといいます。

 

KAN 同じ曲でも、パソコンで聴くときとヘッドホンやイヤホンで聴くときは音のバランスって変わる。スタジオの大きなスピーカーで聴くときも変わっちゃう。だから製作中の曲がどう聴こえるかのチェックには、カーオーディオを使ってますね。信頼しています。

 

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↑対談は寺岡さんのプライベートスタジオで。旧知のお二人だけに終始なごやかな雰囲気

 

土地が育むグルーヴ

寺岡 プライベートではどんな曲を聴いていますか?

 

KAN

群馬県のライブ会場までひとりでクルマで行ったんですけど、道中何を聴こうかなと、ドナルド・フェイゲンとかのCDを持っていったんです。けど、結局きゃりーちゃん(きゃりーぱみゅぱみゅ)の「ピカピカふぁんたじん」ばっか聴いていました(笑)

 

寺岡 KANさんはよく海外にも行かれていますが、海外でのドライブ時に何か感じることってありますか?

 

KAN 例えばロサンゼルスに行ったとき――ラジオからウエストコースト・ロックが流れてくると「うおおおお!」って感じになるんですよね。それも昔から聴いていた曲だと。

 

寺岡 わかりますそれ! 音圧も違って聴こえますよね。

 

KAN なんかものすごくカッコイイな! と思いますね。知っている曲が、こんなにもカッコよく聴こえるというのはビックリしました。あれは現地の気候とか関係しているんだろうなぁ。

 

寺岡 その土地が育んだグルーヴってありますよね。ハワイでレンタカーを借りて乗っていたとき、ラジオからハワイアンがかかったときも、「あぁ~、やっぱり合う!」っていうことがありましたね。

 

 あの曲が作られた土地にいまいるんだ! という感動。KANさんいわく、「フランスのワインをフランスで飲んでも、普通に美味しいねと感じるだけなんだけど、音楽は違うんだよね」とのことです。そう考えると、思い出の曲を辿るドライブ旅も楽しそうですね!

 

音源は基本的にCD、それもお店で購入しますね(KAN)

寺岡 KANさんのなかで聴いていてベストなアルバムってありますか。リファレンスにしている1枚とか。

 

KAN それはいろいろありますよねー。ビートルズの初期のやつは無条件で楽しいし。でもいわゆるリファレンス的なものはないですね。例えばコンサートのとき、PAの方がセッティング時に必ず同じ曲をかける、ってあるじゃないですか。この曲、この歌が会場でどう聴こえるのかというチェックのためなんだけど、そういうのは僕にはないですね。

 

子どものころはレコードをカセットに落として、自分の部屋で聴いていたというKANさん。音質やオーディオに関してはあまり気にせず育ってきたそうです。好きな曲を、好きなように聴くという自由さがKANさん流なのでしょう。

 

寺岡 いまはCDもあれば、ハイレゾ音源、ストリーミングなどもありますが、よく聴く音源としてはCDが多いんですか?

 

KAN CDを、パッケージのやつを、お店で買います。どうしてもお店で手に入らないものはネットで買うこともあるけど。

 

寺岡 ハイレゾとかアナログとかに興味はありますか?

 

KAN 黙っていても時代は変わっていくだろうと考えているけど……。例えばビートルズのハイレゾリマスターが出たとして。いくら音質が良くなって、いままで聴き取れなかった音がわかるようになって、それはそれで面白いとは思うんだけど、ぼくは、当時彼らが作ったものが正しいと思いますね。まあファンとしてハイレゾも買うんだけれども。そういう考え方ですね。

 

寺岡 僕はハイレゾってけっこう好きで。わりとアナログに近い聴こえ方なんですよね。だからすごく受け入れてます。ところでストリーミングのサービスは使ったことないんですか?

 

KAN ラジオで、かけたい曲のCDがどうしても手に入らない時には使います、仕方なくね。

 

寺岡 僕はストリーミングの便利さに毒されているというか(笑)。新譜も含めてだいたい聴けちゃうんですよね。で、AmazonとかでCDを見ると「3000円って結構高いな」と感じちゃってきてるんです。近ごろはそういう価値観の人が増えてきているんでしょうけど、音楽を提供する側でありながらも、そう考えちゃうんですよね。

 

KAN 音楽に限らずだよね。それは時代の流れとして仕方ないよね。

 

寺岡 そのぶん、いままで聴いてこなかったジャンルの曲に接したりとか、誰かがオススメするプレイリストを流したらいいセンスだったりとか、驚きや発見もあるし、ライブラリー的な側面もあるし、そこは一長一短だなと思ってます。

 

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↑寺岡さんは愛車にパイオニア・サイバーナビのフラッグシップモデルを装着し、ハイレゾ音源を聴いたり、音楽ストリーミング機能「ミュージッククルーズチャンネル」を楽しんだり。クルマは音楽活動になくてはならない環境なのだとか

 

オーケストラを本格的にやりたい!(KAN)

寺岡 これからのKANさんのビジョンってありますか。

 

KAN 僕はいま55歳だけど、音楽家として、あと何年やれるかというのがありますね。肉体的に、あと10年やれているかどうかとか考えると……。ある日突然、大きい病気だと宣告されたらアウトじゃない。いまコンサートを3タイプやっていて。10年前だったら期間を空けてじっくり面白いものを作ろうという考え方だったけど、いまはただただ楽しいんだよね。だからコンサートを面白いを思っているうちにどんどんやっていかないと。それでやったことがないことにもどんどんチャレンジしていこうと。あとはフルオーケストラをちゃんとやりたいですよね。

 

寺岡 山本直純かKANさんか(笑)

 

KAN 過去に何度か、自分の曲をアレンジしてやらせてもらったこともあるんだけど、あの数の楽器で演奏しないとわからないものってあるんですよね。あとは……指揮者にもなりたい。あとはそうだな、オーケストラコントもやりたい(笑)

 

音楽ありコントありで楽しさいっぱいのKANさんのライブ。もしオーケストラの規模でKANさんが目指す“面白さ”を追求したとしたらどうなるのでしょうか。ぜひ見てみたいですね!

 

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↑55歳を迎え「あと何年音楽ができるだろうか」と考えることはあるものの、KANさんの音楽的探究心はまったく尽きることがありません!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイヤ整備不良率、2017年は増加傾向に

タイヤメーカーの団体である日本自動車タイヤ協会(JATMA)が2017年に行った路上タイヤ点検の結果をまとめた。高速道路会社や警察、運輸支局などの協力を得て12カ月間で36回の点検調査を行い、1600台の車両からデータを得ている。内訳は乗用車が1399台、貨物車が184台、特種車が17台で、点検場所別では高速道路405台、一般道1195台となっている。

その結果、1600台のうちタイヤ整備不良と判断されたのは314台となり、不良率は19.6%と2割に迫っている。’16年の調査では1669台のうち264台で不良率は15.4パーセントだったので、4パーセント以上も増えてしまったわけだ。

 

不良項目別では空気圧不足が233台(14.6パーセント)と最も多く、次いで偏摩耗が36台、溝不足が19台の順で、偏摩耗と溝不足は減少しているものの、空気圧不足が4パーセントほど増加しており、これが不良率悪化の要因となっている。空気圧チェックさえマメにやっていれば防げる空気圧不足だが、高速道路でも76台と少なくない。バーストや事故にもつながる空気圧不足だけに、その危険性をもっと知らせていく必要がありそうだ。

景気が悪いと溝不足が増えると言われるが、空気圧チェックも忙しかったりすると後回しになりがちだ。わずかな時間で済むことなので、危険な状況となる前にマメにチェックするように心がけたい。

最強のマセラティ・レヴァンテがデビュー!

マセラティは4月9日まで開催しているニューヨーク・ショーにおいて、レヴァンテのトップパフォーマンスモデルとなる「レヴァンテ・トロフェオ」を初公開した。

レヴァンテ・トロフェオには、590ps/730Nmを発揮するフェラーリ製の3.8リッターV8ツインターボエンジンを搭載。インテリジェント4WDシステム「Q4」によって全輪を駆動し、0-100km/h加速を3.9秒でこなす性能が与えられた。最高速は300km/hを超えるという。

走行モードは、標準のレヴァンテにも備わる「ノーマル」、「アイス」、「スポーツ」、「オフロード」に加えて、ローンチコントロール機能が備わる「コルサ」モードを設定。サーキットトラックなどにおいて、このハイスペックエンジンの魅力を引き出すことが可能となっている。

外観では前後バンパーやサイドスカートなどにカーボンを用いているほか、ボンネットにはエアアウトレットが設けられた。ホイールはマセラティ車で最大サイズとなる22インチの鍛造アルミを採用。マトリクスLEDライトの装備も特徴だ。

インテリアでもインパネを中心にカーボントリムを採用。メータークラスターやセンターパネルの時計、フロアマットなどはトロフェオ専用のアイテムとなる。

スバルの新型フォレスターが発表

スバルはニューヨーク・ショー2018で新型「フォレスター」を初公開した。米国仕様は2018年秋に販売がスタート、グローバル最量産車種として今後、各国に順次導入されていく予定だ。

スバルの新世代プラットフォーム「スバル・グローバル・プラットフォーム」を採用した新型のボディサイズは、全長4625×全幅1815×全高1730(ルーフレール込み)mmで、ホイールベースは2670mm。従来型の2リッターモデルと比べると15mm長く、20mm幅広くなった。ホイールベースは30mm拡大されたが、最小回転半径は従来型比+0.1mの5.4mにとどめている。

エクステリアはスバル共通のデザインフィロソフィーである「ダイナミック×ソリッド」に基づき、SUVらしい存在感や力強、機能性が表現された。インテリアは機能的かつ操作性に優れたレイアウトを実現し、インパネとコンソールを連続させることにより、SUVらしい力強さに加えてゆとりと開放感が表現された。

エンジンは182ps/239Nmを発揮する2.5リッター水平対向4気筒。従来の2.5リッターエンジンに対して約90%の部品を刷新するとともに直噴化を実施。力強く軽快なドライビングフィールを実現している。トランスミッションはリニアトロニックと呼ぶCVTで、駆動方式はスバル独自の4輪駆動システム「シンメトリカルAWD」だ。

滑りやすい路面などでエンジンやトランスミッション、ブレーキなどを最適に制御する「X-MODE」の搭載や、220mm確保された最低地上高、十分に確保されたアプローチ/ディパーチャーアングルなど、高い走破性が与えられている。

スバルで初採用されたのが「ドライバーモニタリングシステム」。これは乗員認識技術で、ドライバーの居眠りやわき見運転を検知する機能に加え、シートポジションやドアミラー角度、空調設定をドライバーごとに自動調整してくれる。全車に標準装備される運転支援システム「アイサイト」と合わせて、安全運転をサポートする。

ジャガーFペイスに最強バージョンが追加!

ジャガー・ランドローバーは3月27日、ジャガーFペイスのトップパフォーマンスモデルとなる「ジャガーFペイスSVR」を発表した。2018年夏に英国を皮切りに注文受付を開始する予定で、英国市場での価格は7万4835ポンド(約1118万円)となっている。

 

FタイプSVRクーペや同コンバーチブルなどと同様に、このモデルも同社のSVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)によって開発。エンジンは550ps/680Nmを引き出す5リッターV8スーパーチャージャーで、8速ATを介して4輪を駆動。リアには電子制御式のディファレンシャルを搭載している。0-100km/h加速は4.3秒、最高速は283km/hを実現した。

エクステリアはSVRエアロダイナミックパッケージが採用され、優れた走りのパフォーマンスが表現されている。ホイールサイズは21インチが標準で、22インチをオプション設定する。

インテリアではサイドサポートを強化したパフォーマンスフロントシートや、スポーツステリアングホイールなどが特別なモデルであることを主張。10インチタッチスクリーンと12.3インチのメーターを組み合わせるインフォテイメントシステム「Touch Pro」は標準装備される。

ついにアウディA5のスポーツバックにもRSが

アウディは4月9日まで開催中のニューヨーク・ショーにおいて、新型「アウディRS5スポーツバック」を初公開。2018年後半より、米国とカナダを皮切りに発売される予定だ。

 

 

 

 

A5スポーツバック・シリーズにRS仕様が設定されるのは初となるが、この最新のRSモデルには、444ps/600Nmを発揮する2.9リッターV6ツインターボエンジンが搭載。0-60マイル(約97km/h)を3.9秒でこなす加速性能が与えられた。最高速は174マイル(約280km/h)だ。

 

 

トランスミッションは8速AT(ティプトロニック)で、クワトロシステムを介して4輪を駆動。前後駆動力配分は40:60が基本で、最大時はフロントに85%、リアに70%まで配分される。

 

 

サスペンションはS5スポーツバック用より0.3インチ(約7.6mm)ローダウン。RSモデルならではのダイナミックステアリングを組み合わせたRSスポーツサスペンションが搭載され、高水準のパフォーマンスに寄与している。ちなみにブレーキはセラミック製が標準だ。

 

 

内外装はすでに日本でも発売されている新型RS5クーぺに準じており、トップパフォーマンスモデルを実感させるスポーティで洗練された仕立てが特徴。エクステリアでは前後のバンパーや拡幅されたフェンダー、インテリアではナッパレザーのシートやRSステアリングホイールなどが目を引く。RS5クーペと同様に、アウディバーチャルコックピットが標準のメーターには、タイヤの空気圧やトルク、重力加速度なども表示可能となっている。

 

 

A5スポーツバックと変わらない実用性を備えているのもこのモデルの美点だ。3名乗車が可能な後席に加え、トランク容量は通常時で480Lを確保。40:20:40の分割

 

 

ベントレー・ベンテイガが「戦場」に?

米国コロラド州で開催される「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」レースに参戦するベントレーは、このほど出場するベンテイガとそのドライバーを明らかにした。

 

 

 

6月24日に開催される今年のパイクスピーク。ベントレーがヒルクライムレースに参戦するのはこれが初めてだ。ベンテイガのステアリングを握るのは、2012年と2015年に同レースで2度の栄冠に輝き、「キング・オブ・ザ・マウンテン」の異名を持つリース・ミレン選手(45)だ。

 

 

ミレン選手は英国の本社クルー工場を訪れ、参戦するベンテイガと対面。ベントレーの車両製作技術のレベルの高さに驚きながら「ベンテイガでのレースを本当に楽しみにしています。(ベンテイガなら)うまくいけばSUVの新記録が出せるかもしれない」とコメントしている。

 

 

パイクスピークに持ち込まれるベンテイガは、ラジウム・サテンと呼ぶ独特のボディカラーをまとう。600ps/900Nmを発揮するW型12気筒ツインターボエンジンやサスペンション、そしてピレリ製のタイヤは、レース規定により手を加えていないが、キャビンはフルロールケージやレーシングシート、消火器といったレース用エクイップメントで武装されている。さらにエキゾーストシステムは「コンチネンタルGT3-R」のそれを手がけた実績を持つアクラボビッチによって専用にカスタマイズされている。

 

 

 

トヨタ、工場内に水素ステーションを開設

トヨタは、愛知県豊田市の元町工場に、豊田自動織機製の燃料電池フォークリフト(FCフォークリフト)を20台導入するとともに、元町工場内にFCフォークリフト専用の水素ステーションを新設した。

これで2017年1月31日に元町工場へトヨタとして初めて導入した2台のFCフォークリフトと合わせ、元町工場のFCフォークリフトは合計22台となる。

トヨタは、「トヨタ環境チャレンジ2050」の「工場CO2ゼロチャレンジ」の達成に向け低CO2生産技術の開発・導入や日常のカイゼン活動だけでなく工場での再生可能エネルギーや水素利用にも取り組んでいる。昨年からのFCフォークリフト導入は、その一環となるものだ。

トヨタでは今後も「工場CO2ゼロチャレンジ」の実現に向け、現在使用しているエンジン式フォークリフトをFCフォークリフトに置き換えていく予定。2020年頃までには、元町工場に170~180台のFCフォークリフトを導入する予定という。また、元町工場以外の工場においてもFCフォークリフトの導入・利用を推進する。

なお、今回追加導入したFCフォークリフト20台は、環境省・経済産業省連携事業である「水素社会実現に向けた産業車両の燃料電池化促進事業」を活用して導入したものとなる。

FCフォークリフトとは?

水素を燃料として発電して稼働するFCフォークリフトは、CO2や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能と、3分程度で燃料充填が完了する高い利便性を備えている。また、外部給電機能により災害時などの電源としても活用可能だ。

「あのクルマ」が蘇る? マクラーレンの「ハイパーGT」とは

マクラーレンは3月9日、ジュネーブ・ショー2018において2019年に市販する予定の次世代ハイパーカーの一部情報と車両のイラストを公開した。

このモデルはコードネーム「BP23」という名称で開発が進められているもの。マクラーレンでは今のところ「ハイパーGT」と呼んでいるが、市販時のネーミングは今後発表されることになっている。

このハイパーGTはマクラーレンP1やマクラーレン・セナと同様、同社のアルティメットシリーズに属するモデル。鬼才、ゴードン・マレーが開発を手掛け1990年代に生産された3人乗りのスーパースポーツ「マクラーレンF1」にインスピレーションを得て、ドライバーがボディ中央に座る3名乗車のキャビンが与えられる模様だ。

【中年名車図鑑】レガシィへとつながる「水平対向ターボ4WD・ツーリングワゴン」の歴史はここからはじまった

富士重工業(現SUBARU)ならではの高性能なクルマといえば、“ツーリングワゴン”“水平対向ターボエンジン”“4WD”というのが欠かせない要素だろう。これらの特徴を確立したのは、1979年にデビューして進化を遂げていった第2世代のレオーネだった。今回は歌手の岩崎宏美さんや野球選手の原辰徳さんをイメージキャラクターに据えて人気を博した「ザ・ニューレオーネ」の話で一席。

【Vol.60 2代目スバル・レオーネ】

段階的に厳しさを増していく排出ガス規制に対し、低公害技術のSEEC(Subaru Exhaust Emission Control)やSEEC-T(TはThermal&Thermodynamic systemの意)、さらにはEGRなどを組み込んで克服していった富士重工業は、1970年代終盤になると滞っていた新型車の開発を鋭意加速させる。屋台骨を支えるレオーネに関しては、多様化するユーザー志向を満足させるためのワイドバリエーション化を画策。同時に、車両デザインやメカニズムなどの面でもスバルならではの独自性を表現する方策に打って出た。

 

■80年代に向けた新世代レオーネのデビュー

80年代を見据えて登場した2代目レオーネ。デビュー当初は、写真の4ドアと2ドアハードトップの2ボディ構成

 

1979年6月、レオーネが約8年ぶりにフルモデルチェンジを実施し、2代目となる「ザ・ニューレオーネ」(AB型系)に移行する。搭載エンジンには新設定のEA81型1781cc水平対向4気筒OHV(100ps)と改良版のEA71型1595cc水平対向4気筒OHV(87ps)を用意。シャシーにはゼロスクラブ&フルフローティングの4輪独立懸架(前マクファーソンストラット/後セミトレーリングアーム)を採用する。

 

ボディは従来よりもひと回り大きくなり、そのうえで個性的な6ライトウィンドウを組み込む4ドアセダンとオペラウィンドウを取り入れた2ドアハードトップをラインアップした。注目の4WDシリーズ(FF⇔4WDのパートタイム式)は同年10月に発売。EA81エンジン車には高低2レンジを有したデュアルレンジ機構を内蔵する。また、リアボディを伸ばして広い荷室空間を創出したエステートバンとホイールベースを80mm短縮したうえでリアにハッチゲートを組み込んだスイングバックを追加。

 

さらに、ベーシックエンジンとしてEA65型1298cc水平対向4気筒OHVユニット(72ps)を設定した。ちなみに、スイングバックの北米仕様は1981年公開の『キャノンボール(The Cannonball Run)』に登場。乗員はジャッキー・チェンとマイケル・ホイが務めた。

セダンのインテリア。デビュー当初のセダン、ハードトップの2ボディタイプに加え、エステートバン、スイングバック、そしてツーリングワゴンを追加していく

 

後にスバル車のアイコンとなる“ツーリングワゴン”の登場

1981年6月になると、内外装の一部変更や装備の充実化などをメインメニューとしたマイナーチェンジが実施される。そして同年7月には、その後のスバル車の方向性を決定づける最初の“ツーリングワゴン”、レオーネ4WDツーリングワゴンがデビューした。エステートバンのBピラー付近からルーフを30mmほど高めた2段ルーフ(カタログなどではツーリングルーフと呼称)にフルトリムのカーゴスペース、2分割スプリットタイプのピロー付リアシート、専用セッティングの4輪独立懸架サス、カナリーイエローと称する鮮やかな黄色のボディカラーなどを採用してバンとの差異化を図ったツーリングワゴンは、アウトドア派ユーザーを中心に高い人気を獲得した。

81年のマイナーチェンジでツーリングワゴンが登場する。Bピラー付近から30ミリほど盛り上がる2段ルーフが特徴

 

同年11月には、国産車初の4WD+ATモデルがレオーネに設定される。パートタイム式4WD機構には新たに油圧多板クラッチが組み込まれ、走行中に、しかもボタン操作ひとつでFFと4WDの切り替えができる仕組みだった。

 

■4WDモデルで“TURBO”ブームに対応

矢継ぎ早に車種ラインアップの増強や中身の進化を果たしていったザ・ニューレオーネ。一方で1980年代初頭の自動車マーケットでは、ひとつの先進技術が脚光を浴びる。排気エネルギーを活用する“TURBO(ターボ)”機構だ。日本で先陣を切ったのは日産自動車で、1979年12月に430型系セドリック/グロリアのターボモデルを発売する。既存のエンジン排気量で、約1.5倍の排気量に匹敵するパワーが得られる――。こうしたターボの特性に、ユーザーは大いに惹かれる。メーカー側もターボ車を積極的にリリースし、やがて市場ではTURBOブームが巻き起こった。この流れに乗り遅れまいと、富士重工業の開発現場ではターボエンジンの企画を鋭意推し進める。そして、ターボ車の第1弾をレオーネに設定する旨を決定した。

 

1982年10月、スバル初のターボ車となるレオーネ4WDセダン/ツーリングワゴン ターボATが市場デビューを果たす。キャッチフレーズに“劇的な回答”を謳ったレオーネのターボモデルは、他社とはひと味違う凝ったメカニズムを採用していた。水平対向ターボエンジン+AT+4WDという独自の機構を組み込んでいたのだ。

 

まずエンジンについては、既存のEA81をベースに直径約50mmの小径タービンを組み込んだ小型軽量ターボチャージャーユニットをセット。同時に、燃料供給装置には同社初のEGI(電子制御燃料噴射装置)を採用する。

 

さらに、コンピュータが点火時期を自動的に制御するノックコントロールシステムやセルフコントロール機能のオンボード・ダイアグノーシスシステム、動弁系統のメンテナンスフリー化を図るハイドロリックバルブリフターといった先進機構を装備した。

 

圧縮比は自然吸気仕様より1.0低い7.7に設定。最高出力は120psを発生した。ターボエンジンに組み合わせるトランスミッションには、新開発のオールポジションロックアップ3速ATを導入する。最終減速比を自然吸気版用のATよりもハイギアードに設定し、燃費と高速性能を一段と向上させるとともに、低速域からロックアップの効いたレスポンスのいい走りが楽しめるようにセッティングした。

 

駆動機構は油圧多板クラッチを組み込んだ改良版のパートタイム式4WDを採用する。独自のパワートレインを支えるシャシーには、専用チューニングの4輪独立懸架サスをセット。フロントのマクファーソンストラットはスプリングレートの強化やスタビライザー径の拡大などを実施し、リアのセミトレーリングアームではダンパー減衰力のアップやスプリングの非線形化などを行った。また、制動機構には7インチの大径マスターバック付フロントディスクブレーキを採用。装備面では、過給圧が+50mmHg以上になると点灯するターボチャージインジケーターランプや全面ファブリック地のシート、ゴールド色のバンパー&サイドプロテクトモール、幅広ブラックのウィンドウモール、専用のボディストライプなどを盛り込んでいた。

ボディ後端に穿たれたオペラウィンドウが特徴的な2ドアハードトップ

 

一方、ターボATには未設定だったハードトップモデルでは、RXというスポーツバージョンが用意される。ツインキャブレターと組み合わせたEA81型エンジン(110ps)に専用セッティングの4速MTと副変速機付きの4WD、強化タイプのサスペンション、HRレンジのタイヤなどを装備したRXは、とくに走り好きからの熱い支持を集めた。

 

1983年10月になると、ターボATに油圧式車高調整機能を持たせたハイトコントロール車を設定する。これにより、ターボATの高速オールラウンドツアラーとしての実力がいっそう高まった。

 

“ツーリングワゴン”“水平対向ターボエンジン”“4WD”というオリジナリティあふれる機構を満載し、市場で独自のポジションを築いた2代目レオーネ。そのアイデンティティは、以後のレオーネ→レガシィにもしっかりと受け継がれていったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

アルピーヌA110が、最も美しいクルマに選ばれた!!

自動車専門誌でも試乗記が展開され、日本においてもますます注目度が高まってる感のある新生アルピーヌA110。日本への導入はおそらくこの2018年の後半、おそらく秋が深まるか冬かといったあたりという予想。待ち遠しいですね。

 

 

そのA110なのですが、生産がようやく立ち上がったばかりでまだ街をそれほど走り回ってるわけでもないのに、フランスで開催されたオンライン投票で“最も美しいクルマ”に選ばれました。先ごろパリ開催された第33回国際自動車フェスティバルにおいて、“Most Beautiful Car of 2017”を受賞したのです。一般からのオンライン投票の結果ですから、“民意”みたいなもの。まぁ実車はホントに美しいので当然っちゃ当然の結果ですけどね。

 

だけど、これにはルノー・グループを司るカルロス・ゴーン会長兼CEOも喜ばれたようで、「この賞の受賞は、過去5年間にわたって誠意と熱意を込めてこのクルマに関わってきた全てのメンバーにとっての素晴らしい御褒美です。フレンチ・スタイルのエレガンスをカタチにすることができて誇らしいです」とコメントしたほど。

 

 

そんなA110のスタートを記念した1955台の特別仕様“プルミエール・エディシオン”は完売し、今、ディエップの工場で次々と生産が進められています。正式なグレードとなる“ピュア”と“レジャンド”がスタートするのは、その後です。A110はしばらくの間は好調な受注が続くことでしょう。けれど、スポーツカーはそんなに販売台数が稼げる類のクルマじゃないし、基本、そう儲かるものでもありません。だからって簡単にはヤメたりしないでくださいね、ゴーンさん! とお願いしたい気分です。

 

 

 

“オチ”もお見事? シトロエンC4カクタスのCM

シトロエンはこのほど、新型「C4カクタス」の広告キャンペーンをスタートさせ、欧州を中心に30カ国で放映されるTVCMを公開した。

 

 

 

公開されたCMでは、新型C4カクタスに採用されたプログレッシブ・ハイドローリック・クッションというサスペンションの特徴がコミカルに表現されている。

 

 

ある朝、父親はC4カクタスで子供達を学校まで送り、その後、仕事場へと向かうのだが、彼はクルマに乗り込む前に、何かを忘れてしまい……。ストーリーは是非、動画でお確かめを。

 

 

 

年末年始の海外旅行で活用すべし! 今さら聞けない配車サービス「Uber」と「Lyft」の基本

この年末年始を海外で過ごすみなさんへ。海外へ渡航した際には、街中でのちょっとした移動にタクシーを使いたい、そんなシーンは多いもの。スマホで手軽に使える“配車サービス”を覚えておくと、何かと役に立ちます。登録から実際の利用手順まで、予め確認しておくと安心ですよ。

 

ニューヨークで、サービスの使い勝手を検証してみました。一般的な「Uber(ウーバー)」と「Lyft(リフト)」の2サービスを、iOSアプリで実際に使用し、比較。「●●の方が良い」なんて評判はよく耳にしますが、実際のところどうなのでしょうか。

 

配車サービスを使う大まかな流れを確認

「Uber」「Lyft」ともに、スマホのアプリで利用できる配車サービスです。まずは、利用の流れをざっと確認しておきましょう。どちらのサービスも大まかな手順は同じです。

 

最初にアプリをインストールします。初回利用時には、電話番号(SMS)を使った承認コードの認証が必要となる点に注意してください。認証が終了したら、支払い用にクレジットカードを登録しましょう。これで準備は完了です。

 

↑乗る場所、降りる場所、車のグレードを選ぶ↑乗る場所、降りる場所、車のグレードを選ぶ

 

使用する際には、地図上にピンを設置するなどして、乗る場所と降りる場所を指定します。また、車のグレードがいくつか用意されているので、好みのものを選択しましょう。すると、近くにいるドライバーへ連絡が届き、乗車できる車が指定したポイントにやってきます。この際、アプリの画面でドライバーの現在地が分かります。

↑車が到着したら、名前を告げて乗る↑車が到着したら、名前を告げて乗る

 

車が到着したら、ドライバーに声をかけ、自身の名前を告げて車内に乗りましょう。この際に目的地を告げる必要がないのが通常のタクシーと異なる点です。気さくなおじさんが来るか、それとも無口なお兄さんに当たるか。こればっかりは運次第!

 

目的地に到着したら、車を降ります。でも、この際に現金の支払い、チップの支払いは必要ありません。下車後、アプリに通知が来るので、ドライバーの評価とチップの支払いを済ませて完了となります。あまり低評価を付けるとドライバーさんがクビになってしまうので、とくに問題がなければ基本的には★5を付けてあげてください。

↑下車後、ドライバーを評価して、チップを支払う↑下車後、ドライバーを評価して、チップを支払う

 

それでは実際のアプリ画面で確認していきましょう。

 

「Lyft」はアメリカで使えるサービスなので英語表示となる

「Lyft」の手順について。まずはアプリをインストールして起動。支払い方法など、初期設定を済ませましょう。画面表示は英語です。

↑アプリを起動し、「Get Started」をタップ↑アプリを起動し、「Get Started」をタップ

 

↑「日本」を選択し、電話番号を入力して「Next」をタップ。090は+8190となる。入力した電話番号宛てにSMSで6桁の認証コードが送信されるので、続けてこれを入力しよう↑「日本」を選択し、電話番号を入力して「Next」をタップ。090は+8190となる。入力した電話番号宛てにSMSで6桁の認証コードが送信されるので、続けてこれを入力しよう

 

↑姓名とメールアドレスを入力。「Terms of Service」を確認し、問題なければチェックを付けて「Next」をタップ↑姓名とメールアドレスを入力。「Terms of Service」を確認し、問題なければチェックを付けて「Next」をタップ

 

↑地図の画面が起動したら、左上の人型アイコンをタップし、メニューを表示↑地図の画面が起動したら、左上の人型アイコンをタップし、メニューを表示

 

↑一覧から「Add Payment」を選択↑一覧から「Add Payment」を選択

 

↑支払いに使うクレジットカード情報を入力して「Save」をタップ。ちなみに「PayPal」を選択することもできる↑支払いに使うクレジットカード情報を入力して「Save」をタップ。ちなみに「PayPal」を選択することもできる

 

支払い情報の登録が完了したら、いよいよ車の手配へ。乗る場所、降りる場所、車の種類を選択します。地図情報は日本語で表示されるので、英語が苦手な人も安心ですね。

 

↑メニュー一覧で「Home」を選択すると地図の画面に戻る。車に乗りたい地点(Pickup location)をマップ上のピンで指定しよう。画面には近くにいるドライバーの位置が、ピンには待ち時間の目安がリアルタイムに表示されています。設定地点に問題なければ「Set pickup」をタップ↑メニュー一覧で「Home」を選択すると地図の画面に戻る。車に乗りたい地点(Pickup location)をマップ上のピンで指定しよう。画面には近くにいるドライバーの位置が、ピンには待ち時間の目安がリアルタイムに表示されています。設定地点に問題なければ「Set pickup」をタップ

 

ちなみに下部の住所欄をタップして、目的地の名前や住所を入力してもOKです。

 

↑同様の感覚で目的地をセット。ピンの位置を調整して「Set destination」をタップ↑同様の感覚で目的地をセット。ピンの位置を調整して「Set destination」をタップ

 

↑続いて車のグレードを選択して、「Request Lyft」をタップすると配車依頼が確定する。この段階で料金を確認しておこう。車の種類は、基本的には「Lyft(4 seats)」を選べばOK。「Line(1-2 seats, shared)」は安いが乗り合いになるため、同乗者をピックアップしに遠回りされることがあるので注意↑続いて車のグレードを選択して、「Request Lyft」をタップすると配車依頼が確定する。この段階で料金を確認しておこう。車の種類は、基本的には「Lyft(4 seats)」を選べばOK。「Line(1-2 seats, shared)」は安いが乗り合いになるため、同乗者をピックアップしに遠回りされることがあるので注意

 

↑ドライバーの現在地、あと何分で到着するか、どの経路でやってくるかが表示されるので、気長に待とう↑ドライバーの現在地、あと何分で到着するか、どの経路でやってくるかが表示されるので、気長に待とう

 

それっぽい車が到着したら、ドライバーに話しかけます。名前を確認されたら答えましょう。そのまま自分でドアを開けて車に乗ります。

 

↑移動中は現在地を確認できる↑移動中は現在地を確認できる

 

↑「どこからきたの?」など、ドライバーさんが世間話をしてくることもあるが、無口な人も多い↑「どこからきたの?」など、ドライバーさんが世間話をしてくることもあるが、無口な人も多い

 

目的地に到着したら下車するだけ。下車後にチップの支払いとドライバーの評価を忘れずに。

↑チップの値段を選択して、「Next」をタップ。10ドル前後の距離なら2ドルくらいのチップを支払っておけば問題ないだろう↑チップの値段を選択して、「Next」をタップ。10ドル前後の距離なら2ドルくらいのチップを支払っておけば問題ないだろう

 

↑最後にドライバーを評価する。星を選択して、「Submit」をタップすれば完了。もちろん、「Good Navigation」などの項目を付けてあげてもいい↑最後にドライバーを評価する。星を選択して、「Submit」をタップすれば完了。もちろん、「Good Navigation」などの項目を付けてあげてもいい

 

Uberは日本語表示で利用できるのがメリットか

続いて、「Uber」の手順について。こちらも利用方法は基本的に同様ですが、アプリ内のテキスト表記も日本語になっています。英語が苦手な人でも安心して使えるでしょう。また、アプリのデザインは全体的にブラックで統一されており、Lyftよりもシックな印象。

↑アプリをインストールし、起動。電話番号を入力する。続いてSMSで送られてくる4桁の認証コードを入力↑アプリをインストールし、起動。電話番号を入力する。続いてSMSで送られてくる4桁の認証コードを入力

 

↑続いて、「メールアドレス」「パスワード」「姓名」を入力↑続いて、「メールアドレス」「パスワード」「姓名」を入力

 

↑「クレジットカードまたはデビットカード」をタップし、支払い情報を入力して「保存する」をタップ↑「クレジットカードまたはデビットカード」をタップし、支払い情報を入力して「保存する」をタップ

 

これで支払い情報の登録が完了。これで車を手配できます。「Lyft」とは設定の順番が異なり、「行き先」→「車のグレード」→「乗車位置」の順となります。

↑「Uber」では先に行き先を問われる。「行き先は?」をタップ↑「Uber」では先に行き先を問われる。「行き先は?」をタップ

 

↑ピンを調整して目的地を設定し、「完了」をタップ。名前や住所を入力してもよい↑ピンを調整して目的地を設定し、「完了」をタップ。名前や住所を入力してもよい

 

↑目的の車種を選択し、下部の「●●を確認」をタップ。車のグレードは基本的には「uberX」を選んでおけばOKだ。この時点で料金が確認できる↑目的の車種を選択し、下部の「●●を確認」をタップ。車のグレードは基本的には「uberX」を選んでおけばOKだ。この時点で料金が確認できる

 

↑最後に乗車位置を設定。「配車を確定」をタップで手配が完了する↑最後に乗車位置を設定。「配車を確定」をタップで手配が完了する

 

↑ドライバーの現在地と待ち時間の目安が表示される↑ドライバーの現在地と待ち時間の目安が表示される

 

↑ドライバーが到着したら名前を告げて乗車しよう↑ドライバーが到着したら名前を告げて乗車しよう

 

↑目的地についたら下車し、その後ドライバーの評価とチップ額を指定して完了↑目的地についたら下車し、その後ドライバーの評価とチップ額を指定して完了

 

諸々の注意点について

どちらのサービスも、初回登録時にはSMSでの認証コードを受け取る必要があります。機内モードに設定して利用する場合(渡航時Wi-Fiルーターのみで通信する想定の人)や、渡航先で購入したプリペイドSIMで通信したい場合などには、注意が必要です。使用予定の端末で、出国前に予めアプリをインストールし、支払い情報まで登録し終えておくといいでしょう。

↑うっかり指定したポイントが進入禁止なんてことも↑うっかり指定したポイントが進入禁止なんてことも

 

また、今回の検証であったトラブルとしては、「Uberでうっかりピックアップポイントに指定した道路が通行止めで車が入れなかった」というケースがありました。この場合、運転手から「どうするのさ?」と電話が入ります。

 

今回は、相手が外国人ということで「面倒な案件」と判断されたのでしょうか、目的地などを聴かれたあと、ガチャっと冷たく電話を切られて、そのまま運転手側からのキャンセル通知が届きました。この場合には、再度手配が必要になります。また、不要な請求がされていないかも確認しておきましょう。強いメンタルも必要かもしれません。

 

結論:日本人にとってはUberの方がわかりやすそうだ!

いろいろと評価が分かれてきたUberとLyftですが、アップデートを繰り返した結果、サービス内容についてはほぼ同様になっている印象を受けました。同距離で価格を比較したところ、Lyftの方が数セント安い程度だったので、どちらを選んでも大差はなさそうです。

 

強いて言えば、日本語表記に対応しているUberの方が初心者にはわかりやすい印象。アメリカだけでなく、東京を含めた世界中の都市で利用できる点も大きなメリットだと言えます。

 

もちろん、マンハッタンなどの都市部ならともかく、地域によっては希望の安い車種がすぐに手配できるとは限りません。両アプリを使用可能にしておくことで、2つのサービスで配車可能な車種を確認できることに繋がります。アメリカ旅行をより快適にするために、両アプリをインストールしておいて損はないでしょう。

 

ちなみに今回は利用しませんでしたが、初回に利用できる招待コードを使えば、無料乗車のクーポンをゲットできるシステムもあります。知人に配車サービスのユーザーがいる場合には、是非活用してみてください。

 

※スマホの画面写真は、2017年8月27日時点でキャプチャしたものです。