コスパで選ぶならコレ!! プロがオススメする「格安カメラ&レンズ」まとめ

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。今回のテーマはミラーレスカメラや一眼レフカメラ、交換レンズ、ストロボ、三脚といった格安カメラ用品です。

 

まだまだ発展途上のスマホカメラとは異なり、最近の一眼カメラはもはや安定期にあります。一世代前の旧製品でも、十分に納得できる画質と性能なのです。そんなおトクな格安モデルのなかから特にオススメの機種を紹介します。

 

【○×判定した人】

カメラマン・永山昌克さん

写真スタジオを経てフリーに。写真や動画撮影のほか、カメラ誌やWEB媒体での執筆も多数。

 

一世代前のモデルでも画質や操作性に不都合はない

エントリークラスのカメラは各社1〜2年ごとに新製品が登場しますが、モデルチェンジ後しばらくの間は旧製品も併売されます。この、いわゆる型落ち品が格安で、コストパフォーマンスが非常に高いです。

 

最近のモデルチェンジは、画質や操作性が大きく変わるわけではなく、新機能の追加がメインであることが多いです。その新機能が自分にとって重要でなければ、あえてひとつ前の製品を選ぶのも十分アリなのです。余った予算で交換レンズを1本追加したほうが、写真撮影の楽しみはいっそう広がります。

 

交換レンズに関しても、高価な新モデルだけが優れているわけではありません。発売が古い安価なレンズでも、描写性能に優れた製品はたくさんあります。ここで取り上げるのは、そんな掘り出し物の数々です。

 

【カメラ編】

その1

タッチ操作や4K動画に対応した薄型軽量モデル

パナソニック

LUMIX GF9

実売価格6万9800円(ダブルレンズキット)

【ミラーレス(EVF非搭載)】【1600万画素】【秒約5.8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約269g

薄型軽量ボディの入門機ながら、4Kフォトによる30コマ/秒の高速連写など、便利で実用的な機能が満載。液晶は自分撮りがしやすいチルト可動式で、タッチ操作にも対応。ボディに巻き付けられた合皮素材は、低価格を感じさせない高品位な雰囲気を生み出しています。

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト式(上方向のみ)、タッチ対応 ●EVF:非搭載 ●サイズ:約W106.5×H64.6×D33.3㎜

 

【check】

画質:〇

中級機に匹敵する描写力

ローパスレスの16M Live MOSセンサーを搭載し、中級機に匹敵する描写力。フォトスタイル機能によって細かく色をカスタマイズできる点も◎。

 

操作性:○

初心者でも安心して使いこなせる

操作部はシンプルにまとまっていて使いやすいです。薄型のキットレンズ装着時のボディバランスは良好で、切れ味の鋭いシャッター音も好印象。

 

機能:○

「4Kプリ連写」が動体撮影に好適

独自の「4Kプリ連写」では、シャッターボタンを押した前後の60コマを自動的に記録できます。撮るのが難しい動物や野鳥、子どもなどの撮影に好適。

 

 

その2

ワンランク上の撮影も楽しめる高機能モデル

パナソニック

LUMIX GX7 Mark 

実売価格6万9800円(標準ズームレンズキット)

ミドルクラスの高機能ミラーレス。高さを抑えた横長ボディに、視認性に優れた電子ビューファインダーと、アングルの自由度を高めるチルト可動液晶を搭載。撮影モードはオートからマニュアルまで完備。

【ミラーレス(EVF搭載)】【1600万画素】【秒約8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約426g】

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト式、タッチ対応 ●EVF:約276万ドット ●サイズ:約W122×H70.6×D43.9㎜

 

【check】

画質:〇

ハイアマも満足できる解像感

撮像素子は特に高画素ではありませんが、ローパスフィルターレス仕様であり、解像感は優秀なレベル。キットレンズの写りも悪くありません。

 

操作性:×

2ダイヤルは便利だがチルト液晶が惜しい

電子ダイヤルはグリップの前後に2つあって多機能をスムーズに設定可能。ただし、チルト液晶は自分撮りや縦位置撮影に非対応なのがイマイチ。

 

機能:〇

一段上の機能が薄型ボディに凝縮

強力なボディ内手ブレ補正や4Kフォトによる高速連写、本格モノクロモードなど、一段上の機能が満載。各ボタンの機能を柔軟にカスタムできるのも便利です。

 

 

その3

シンプルな操作性が魅力の小型軽量機

ニコン

D5300

実売価格6万4900円(AF-P 18-55 VRキット)

小型軽量ボディとシンプル操作が魅力の一眼レフ。使用頻度の高い項目にダイレクトアクセスが可能なiボタンを搭載。凝った効果を素早く適用できるスペシャルエフェクトなどのビギナー向け機能も充実しています。

【一眼レフ】【2416万画素】【秒約5コマ連写】【常用最高ISO12800】【約530g】

SPEC●レンズマウント:ニコンFマウント ●モニター:3.2型約104万ドット、バリアングル式、タッチ対応 ●OVF:約95%、約0.82倍 ●サイズ:約W125×H98×D76㎜

 

【check】

画質:〇

高精細な2416万画素

低価格の旧モデルながら、最新の中級機に匹敵する2416万画素の高精細を実現。遠景の細かい部分までシャープに描写できます。

 

操作性:×

ライブビュー時のAFの遅さが残念

一眼レフとしては小型軽量なボディであり、携帯性とホールド性を両立。しかし、ライブビュー使用時のAFの遅さとタイムラグが残念です。

 

機能:〇

39点位相差検出AFが使えるのが良い

AFには、最大39点の測距点を自動/手動で選べる位相差AFを採用。ペットや子どもといった動体にも、ストレスなく軽快に合焦します。

 

【交換レンズ編】

その1

高倍率ズームレンズ】低価格と高倍率、小型軽量を兼ね備える

タムロン

18-200mm F/3.5-6.3 Di Ⅱ VC (Model B018)

実売価格2万5650

高倍率ズームのパイオニアであるタムロンが、2015年に発売したAPS-C一眼レフ用レンズ。より倍率の高い製品と比べても、持ち運びに優れた小型軽量である点がうれしい。低価格ながら、適度な剛性感も備えています。

【キヤノンEFマウント用】【ニコン用】【ソニーAマウント用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:28〜310㎜ ●最短撮影距離:35㎜時0.77m、180㎜時0.49m ●フィルター径:62㎜ ●長さ:キヤノン用96.6㎜、ニコン用94.1㎜ ●質量:約400g

↑幅広い焦点距離をカバー。そのため、自由に動けない場所でも狙いに応じた厳密なフレーミングが可能です

 

【ここが〇】

手ブレ補正の効きが良好

ズームすると前玉部分が長くせり出しますが、鏡胴にガタつきはなく、安っぽさは感じません。手ブレ補正の効果も十分にあります。

 

【ここが×】

AFスピードが遅めでもたつく

AFの作動音はあまりうるさくありませんが、AFスピードは遅め。マウント部がプラスチック製である点も不満。

 

その2

【マクロレンズ】銘玉といわれる「タムキュー」の2008年モデル

タムロン

SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 (Model272E)

実売価格2万9140円

タムロンの90㎜マクロといえば、高画質と美しいボケに定評があり、1979年発売の初代モデル以来、モデルチェンジを繰り返しながら多くのユーザーに親しまれています。これは2008年発売モデル。AFはうるさいが画質は一級品です。

【キヤノンEFマウント用】【キヤノン用】【ニコン用(AFモーター内蔵:272EN Ⅱ)】【ソニーAマウント用】【ペンタックス用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:90㎜ ●最短撮影距離:0.29m ●フィルター径:55㎜ ●長さ:97㎜ ●質量:約400g

↑PC上で等倍表示すると、花粉の粒がはっきりわかるくらいシャープに解像。リアルで立体感のある描写が得られました

 

【ここが〇】

切れ味の鋭い描写力が魅力

フルサイズ対応ながら四隅まで高解像を実現。一方で、絞り開放値ではピントを合わせた前後に美しいボケが生じます。

 

【ここが×】

AF駆動音が少々大きめ

超音波モーター非搭載なのでAF駆動音は少々大きめ。AFからMFに切り替える際、ピント位置が動きやすい点も×。

 

 

その3

【望遠ズームレンズ】1万円台前半で超望遠域を味わう

タムロン

AF70-300㎜ F/4-5.6 Di LD MACRO 1:2 (Model A17)

実売価格1万2240円

フルサイズに対応した小型軽量の望遠ズーム。通常の最短撮影距離は1.5mですが、マクロモードを選ぶと0.95mまでの接写もできます。手ブレ補正は非搭載。ゴースト対策として前玉にはマルチコートが施されています。

【キヤノンEFマウント用】【ニコン用(AFモーター内蔵:A17N Ⅱ)】【ソニーAマウント用】【ペンタックス用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:70〜300㎜ ●最短撮影距離:通常1.5m、マクロモード時0.95m(180-300㎜域) ●フィルター径:62㎜ ●長さ:116.5㎜ ●質量:約458g

↑描写性能は色収差がやや目立ち、最上とはいえませんが、十分に実用的。小動物をアップで撮れるのは便利です

 

【ここが〇】

軽量で携帯性に優れている

フルサイズ対応ながら、質量458gという軽さが最大のメリット。300㎜側でF5.6というスペックやマクロ機能も◎。

 

【ここが×】

手ブレ補正が非搭載

300㎜の超望遠撮影ができるが手持ちではブレやすいので、手ブレ補正非搭載は残念。AFが遅めといった弱点もあります。

 

 

その4

【単焦点レンズ】単焦点レンズの入門用に打って付け

シグマ

30mm F2.8 DN

実売価格1万6360

わずか140gの軽さを実現したミラーレス用単焦点レンズ。両面非球面レンズの採用で諸収差を補正したほか、スーパーマルチレイヤーコートによってフレアやゴーストの発生も低減しました。AFは駆動音の静かなリニアAFモーター式です。

【マイクロフォーサーズ用】【ソニーEマウント用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:マイクロフォーサーズ60㎜、APS-C45㎜ ●最短撮影距離:0.3m ●フィルター径:46㎜ ●長さ:40.5㎜ ●質量:約140

↑スムーズなボケは単焦点ならでは。この写真では、絞り値F2.8に設定し、被写体に近寄ることで背景をぼかします

 

【ここが〇】

小型軽量で画質も優秀

キット付属の標準ズームに比べて小型軽量で、携帯性が高いです。画質もキットレンズより上で、美しいボケが得られます。

 

【ここが×】

外装に指紋がつきやすく目立つ

開放値F2.8は、キットレンズよりは明るいものの、F1.8クラスよりは暗く、中途半端な印象。外装も指紋がつきやすいです。

 

【撮影アイテム編】

その1

薄型軽量のクリップオンストロボ

GODOX

TT350デジタルカメラフラッシュ

実売価格1万4310

各社のTTLオート撮影に対応したクリップオンストロボ。単3形乾電池2本で駆動し、200gと軽量です。マルチ発光や高速シンクロ撮影に対応するほか、発光部を上下左右に動かすことで天井や壁を使ったバウンス撮影も行えます。

【ストロボ】【キヤノン用】【ニコン用】【ソニー用】【富士フイルム用】

SPEC●ガイドナンバー:36(105㎜、ISO100) ●フラッシュ範囲:24〜105㎜(14㎜ワイドパネル付) ●電源:単3形乾電池2本 ●サイズ/質量:W62×H140×D38㎜/200g

↑背面には、各種機能の設定状態がひと目でわかる液晶パネルを装備。その下のホイールを回して発光量を調整します

 

【ここが〇】

各社のTTL発光に対応

4つのメーカー用の製品が用意され、押すだけのフルオート撮影で使用できます。高速シンクロなどの機能も充実。

 

【ここが×】

チャージに時間がかかる

単3形乾電池2本で駆動するのは携帯性では有利ですが、4本使用の他社製品に比べてチャージに時間がかかります。光量もやや弱め。

 

 

その2

憧れのカーボン三脚がわずか1万円で購入可能

アマゾンベーシック

トラベル三脚 130cm  5小型

実売価格9980

軽量で剛性感の高いカーボン素材を採用したトラベル用三脚。脚を伸ばし、中央のエレベーター部分を動かすことで、高さは30.5〜135.5cmの範囲で調整可。ボールヘッドの自由雲台やクイックプレート、キャリングケースも付属します。

SPEC●耐荷重:3.6㎏ ●全高:135.5㎝(EVあり) ●最低高:30.5㎝ ●縮長:31㎝ ●質量:1.11㎏

 

↑持ち運ぶ際は、脚の部分を反転させることで小さくまとめることが可能。出っ張りが少ないナット式ロックも便利

 

【ここが〇】

カメラバッグに収納可能

縮長が31㎝と短いので、通常のカメラバッグに入れて持ち運ぶことも可能です。また、ローアングル撮影にも対応します。

 

【ここが×】

一眼レフ用には安定感が不足

全長135.5cmはやや物足りず、脚も5段でセッティングに時間がかかります。ミラーレス用で大きな一眼レフには不向き。

 

 

 

「ズーム全域F1.8」が与えた衝撃――シグマの革命的レンズ「18-35mm F1.8 DC HSM」再評価レビュー

吉森信哉のレンズ語り~~語り継ぎたい名作レンズたち~~ 第4回「シグマ ズーム全域F1.8の大口径ズーム」

 

現在、多くのカメラのレンズキット(カメラボディとレンズを組み合わせた商品)に選ばれているのはズームレンズである。ズーム操作によって写す範囲を即座に変えられる、その利便性やメリットは、あえて説明するまでもないだろう。

 

ただし、利便性の高いズームレンズにも、いくつかの泣き所はある。そのなかでも特に写りに影響を及ぼしてくるのが、同じ焦点距離(ズーム域に含まれる焦点距離)の単焦点レンズよりも“開放F値が暗い”という点である。たとえば、50mm相当(相当=35mm判フルサイズ換算。以降同様)の標準域は、単焦点レンズだとF1.4やF1.8と非常に明るい製品が一般的。一方、標準ズームだと明るい製品でも「ズーム全域F2.8」である。

 

だが、今回紹介するシグマの標準ズームは「ズーム全域F1.8」という驚きの開放F値を実現した製品である。単焦点レンズ並の明るさを持つズームレンズ。それによって、どんな表現やパフォーマンスが可能になるだろうか?

 

【今回ご紹介するレンズはコレ!】

蓄積したノウハウと最新技術で“全域F1.8ズーム”を実現

シグマ
18-35mm F1.8 DC HSM
実売価格7万8650円

デジタル一眼レフ用の交換レンズで、世界で初めて(※)「ズーム全域F1.8」の開放F値を実現した、APS-C用の大口径標準ズームレンズ。開放F値を明るくすると、通常は球面収差をはじめとする各収差(軸上色収差、非点収差、像面湾曲など)の収差補正が極めて困難になる。だが、これまで製品化してきた「12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM」や「8-16mm F4.5-5.6 DC HSM」などの超広角ズームで培った収差補正や機構的なノウハウなどをもとに、各収差を抑制しながら大口径化を実現。そして、長年シグマで蓄積されてきた設計ノウハウと最新の加工技術により、絞り開放から優れた描写性能を発揮する、驚異の“全域F1.8ズーム”を完成させた。2013年6月発売。

※デジタル一眼レフカメラ用交換レンズにおいて

●焦点距離:18-35mm ●レンズ構成:12群17枚 ●最短撮影距離:0.28m ●最大撮影倍率:約0.23倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●最小絞り:F16 ●フィルター径:72mm ●最大径×全長:78mm×121mm ●質量:810g ●その他:※数値はシグマ用。対応マウント:シグママウント/ソニーAマウント/ニコンマウント/ペンタックスマウント/キヤノンマウント(数値はいずれもシグマ用)

 

衝撃的な明るさの大口径ズームたち

近年のズームレンズを見返してみると、高性能で高価な製品は“高画質設計+大口径(※)”であることが多い。……とはいえ、大口径に関しては、ほとんどの製品が「ズーム全域F2.8」である(前述のとおり、標準域の単焦点レンズだと、F1.4やF1.8とさらに明るい製品が多く存在する)。

※大口径:開放F値の数値が小さくて明るいレンズのこと。明るいレンズのほうがより大きなボケを生かした写真が撮れるほか、光量の乏しい室内や夜間といったシーンでも、シャッター速度を速くできるというメリットがある。デメリットとしては、一般的に大きく重く、そして高価になりがちな点が挙げられる

 

だが、2008年に発売されたオリンパスの「ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2.0 SWD」は、標準ズームレンズとして極めて画期的な「ズーム全域F2.0」を実現。この大口径標準ズームの登場は、多くのカメラユーザー&ファンに強烈なインパクトを与えた。ちなみに望遠ズームとしては、同社から2005年に「ZUIKO DIGITAL ED 35-100mm F2.0」という、ズーム全域F2.0の大口径望遠ズームが登場している。

↑28-70mm相当をカバーする、フォーサーズ規格の大口径標準ズーム「ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2.0 SWD」。2008年発売

 

2013年には、今回紹介する「シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM」が世界初の「ズーム全域F1.8」として登場し、大きな驚きを与えた。2016年には、同じ明るさの大口径望遠ズーム「シグマ 50-100mm F1.8 DC HSM」も発売されている。

↑75-150mm相当をカバーする、APS-C用の大口径望遠ズームレンズ「シグマ 50-100mm F1.8 DC HSM」。2016年発売。実売価格は10万8070円

 

シグマ 18-35mm F1.8 DC HSMの「操作性」をチェック!

シグマ 18-35mm F1.8 DC HSMは、鏡筒の材質感(外観、触感)の上質さや、質量810gの重みによって、重厚で存在感のある大口径標準ズームに仕上がっている。もちろん、その“重厚さ”がデメリットになる場合もある。だが、キヤノン「EOS 7D Mark Ⅱ」やニコン「D500」といったAPS-Cサイズ機の上位モデルと組み合わせた際の“外観や重量のバランス”は良好。それゆえに、自然と気合いを入れて撮影したくなる(個人的な感想だが)。

↑質量800g以上の重めの標準ズームだが、前枠も含めて全体的にフラットな形状なので、個人的には外観的にさほど威圧感は感じない

 

↑付属の花形フード「LH780-06」を装着した状態。その堂々としたスタイルは、少し大柄なAPS-Cサイズの上位モデルにジャストフィットする

 

サイズや重量のほかに操作性のチェックポイントに挙げられるのが、ズームリングやフォーカスリングの動きだろう。そういった部分の良し悪しに、レンズのグレードや高級感が反映されてくる。本レンズはハイグレードな製品らしく、どちらのリングも動きが滑らかだ。特に、ズームリングの動きの滑らかさは素晴らしい。適度なトルクがありながら、動きのムラや擦れる感じは皆無! また、AF駆動には超音波モーター(HSM)を採用しているので、AF時の作動音もほとんどなく、快適なAF撮影を行うことができる。

↑前方がフォーカスリングで(その前には付属のフードを装着)、マウント部に近いのがズームリング。どちらのリングもゴム素材で指掛かりがいい。フォーカスモード切換えスイッチも、操作しやすい大きさ&形状だ

【実写チェック①】開放F1.8の大きなボケ効果を堪能

多くの標準ズームは、70mm~105mmくらいの中望遠域までカバーするが、本製品がカバーしているのは52.5mm相当の標準域まで。この点をどう捉えるかは人によって異なるだろうが、28mm相当や35mm相当あたりの広角域の使用頻度の高い人(広角派)ならば、望遠端が標準域でもさほど気にならないだろう。ちなみに、筆者も広角派。以前はフルサイズ対応の広角ズーム(16-35mm F2.8など)を、APS-Cサイズ機で標準ズーム代わりに常用していた。

 

35mm相当前後の広角域は、自然な広さや遠近感が得られる使いやすい画角。次の写真では、幹線道路沿いの公園の端から、公園のツツジの花を画面に入れながら、横切る自転車を意識してシャッターを切った。その先にある歩道橋の見え方(大きさや遠近感)も自然である。

↑自然な広さや遠近感が得られる広角域でスナップ/ニコン D500 シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM(23mmで撮影) 絞り優先オート F4 1/60秒 -0.7補正 WB:晴天 ISO160

 

続いて、52.5mm相当のズーム望遠端(標準域)で、開放F1.8と一般的な大口径ズームの開放F2.8を撮り比べてみた。F2.8でも適度にボケるが、1・1/3段明るいF1.8だと、さらに大きなボケ効果を得ることができる。上の写真がF1.8、下の写真がF2.8で撮ったものだが、背景の上半分(シルエット調の木の輪郭)などを見比べると、そのことががよくわかるだろう。

F1.8で撮影

 

F2.8で撮影。共通データ:ニコン D500 シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM(35mmで撮影) 絞り優先オート WB:晴天 ISO100

 

最短撮影距離はズーム全域0.28mで、最大撮影倍率は約0.23倍(35mm判換算だと約0.35倍)。この値は、多くの単焦点の標準レンズよりも高倍率である。その高めの撮影倍率と開放F1.8設定によって、ボケ効果を極めた印象的なクローズアップ撮影が堪能できる。ただし、ピント合わせには細心の注意が必要だ。

ニコン D500 シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM(35mmで撮影) 絞り優先オート F1.8 1/500秒 +0.7補正 WB:晴天 ISO100

 

【実写チェック②】“ボケ”と“シャープさ”、どちらも魅力

シグマ 18-35mm F1.8 DC HSMの最大の特徴が、ズーム全域F1.8による“大きなボケ効果”や“シャッターの高速化”なのは間違いない。だが、本レンズの特徴はそれだけではない。画面全域で高い解像性能や安定した描写が得られるのも、本製品の大きな魅力だ。

 

小型軽量設計の安価なズームレンズだと、画面の中央付近は絞り開放からシャープだが周辺部をチェックすると像の乱れ(流れやボケなど)が見られる……という弱点が露呈する製品も少なくない。しかし、高画質設計で高品位なズームレンズだと、そんな画質に対する不安が少ないのである。当然、シグマ 18-35mm F1.8 DC HSMも後者に属するレンズ。広角域で広い範囲を写し込んだり、ボケ効果とは無縁の遠景の撮影で画面全体をシャープに描写したりできる。つまり、F1.8による大きなボケ効果を生かした描写と、画面の隅々までシャープな描写、その両方が楽しめるのである。

↑広角域で絞って全体をシャープに/ニコン D500 シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM(20mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/30秒 -0.3補正 WB:オート ISO500

 

↑同じシーンで、望遠端で絞りを開けて(F値を小さくして)ポイントの前後をぼかしてみた/ニコン D500 シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM(35mmで撮影) 絞り優先オート F1.8 1/60秒 WB:オート ISO100

 

作例をいくつか見ていこう。

 

菅原道真公を祀った天満宮でお馴染みの「撫牛」。その牛の像に広角域で接近し、広い画角で周囲の様子も写し込む。だが、主役はあくまでも撫牛なので、開放F1.8のボケ効果によって周囲を大きくぼかした。

ニコン D500 シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM(18mmで撮影) 絞り優先オート F1.8 1/125秒 WB:晴天 ISO100

 

神社の本殿前の「鈴緒」が、夕日を浴びてとても美しく見えた。ここでも広角域で接近し、背後に見える本殿の建物部分を大きくぼかしている。

ニコン D500 シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM(18mmで撮影) 絞り優先オート F1.8 1/80秒 -1補正 WB:晴天 ISO100

 

撮影時の留意点としては、本レンズには手ブレ補正機構がないこと(ボディ内に手ブレ補正機構を搭載するカメラは別として)。そのため、あまり明るくない場所で絞りを絞って撮影(手持ち撮影)する際には、シャッターの低速化によるカメラブレに注意が必要だ。ISO感度を上げるなどして“1/焦点距離(35mm判換算)秒”以上のシャッター速度をキープしたい。

ニコン D500 シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM(18mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/60秒 -0.7補正 WB:晴天 ISO200

 

【まとめ】単焦点レンズ複数本分、と考えればむしろ軽快

ズーム域は、27mm相当の広角から52.5mm相当の標準までとあまり広くなく、大きさや重さも気になってくるかもしれない。それでも、広角から標準まで複数(2、3本)の単焦点レンズを持参することを考えると、この「シグマ 18-35mm F1.8 DC HSM」なら1本で軽快かつ快適に大口径レンズの撮影が楽しめる。ズームレンズの場合、明るい製品でも“全域F2.8止まり”。その従来製品の壁を打ち破った本製品なら、ワンランク上の描写や表現が期待できるだろう。

↑この「USB DOCK」(実売価格4220円)を介してレンズをパソコンと接続すると、パソコン画面上の操作によって、レンズ・ファームウェアのアップデートや、合焦位置などのカスタマイズが可能になる

 

↑本レンズは、最高の光学性能を目指して開発され、高水準の芸術的表現に応えうる圧倒的な描写性能を実現する、シグマの新しいプロダクト・ライン「Artライン」の製品。鏡筒横「A」のエンブレムは、その証である

 

【CP+2018/シグマ】Artラインの新製品3本を展示。新広角ズームとカミソリマクロをチェックせよ!

シグマは発表されたばかりのArtライン3本を引っさげてCP+2018に乗り込んできた。展示されている目玉製品は、超広角ズームの「14-24mm F2.8 DG HSM」と「70mm F2.8 DG MACRO」。そして残念ながらケース内展示のみだが、ポートレート向きの単焦点中望遠レンズ「105mm F1.4 DG HSM」だ(いずれも35mmフルサイズ用)。さらに、すでに発売されている単焦点レンズ7本が、ソニーEマウントに対応して発売されたこともあり、興味津々のαユーザーがタッチ&トライコーナーへ押しかけ、思い思いのレンズを手に試写を楽しんでいた。

 

20180303_y-koba3 (1)

今年のシグマブースで、まずチェックしたいのは同社をして「究極の大口径ズームレンズ」と言わしめた超広角ズームの「14-24mm F2.8 DG HSM」だろう。精度の高い80mm径クラスの大口径グラスモールド非球面レンズを使用。あえて広角側14mmという焦点距離にこだわって開発されたという。全域F2.8の明るさと、歪曲収差を最小限に抑えた高画質レンズは、ぜひとも実際にブースで確認してほしい。

 

20180303_y-koba3 (2)

Artラインの新製品は超広角ズームだけではない。使い勝手のいいArtラインのマクロレンズ「70mm F2.8 DG MACRO」も展示されている。インナーフォーカスを採用し、AFの高速化を図ったほか、コアレスDCモーター採用とアルゴリズムの最適化によって、AF作動も非常にスムーズ。Artラインクオリティのマクロレンズとして「カミソリマクロ」の異名を持つ高画質マクロとのこと。

 

20180303_y-koba3 (3)

ケース内展示となったが、シグマが2012年から開発・販売している開放F1.4の大口径単焦点シリーズでは最長焦点距離となる「105mm F1.4 DG HSM」にも注目だ。「BOKEH-MASTER」と銘打たれた解像力とボケ味を、早く実機で試してみたい。

 

ソニーαユーザーには嬉しい展示も。シグママウント、キヤノンEFマウント、ニコンFマウント対応で販売しているArtラインの単焦点レンズ7本が、ソニーEマウント対応として新たに発売されるのだ。対応したのは「135mm F1.8 DG HSM」「85mm F1.4 DG HSM」「50mm F1.4 DG HSM」「35mm F1.4 DG HSM」「24mm F1.4 DG HSM」「20mm F1.4 DG HSM」の7本(すべて35mmフルサイズ用)。タッチ&トライコーナーにはαユーザーが集結。思い思いのレンズを試写している姿が印象的だった。

 

20180303_y-koba3 (5)

ブースの奥ではシグマ一眼レフSDシリーズおよび「sd Quattro」シリーズの簡易センサークリーニングサービスを実施している。シグマカメラのユーザーは、ぜひ訪れてみていただきたい。

 

〈写真・文〉水澤 敬

 

シグマが、待望のミラーレス用大口径広角レンズ「SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary」を開発発表

シグマが、ミラーレスカメラ用大口径広角レンズ「SIGMA 16mm F1.4 DC DN | Contemporary」の開発を発表した。ソニーEマウントとマイクロフォーサーズマウントを用意し、ソニーEマウントのAPS-Cミラーレスカメラ用としては初めて、35mm判換算で24mm F1.4相当をカバー。マイクロフォーサーズマウントは、35mm判換算で32mm F1.4相当をカバーする。発売日、価格は未定。

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2016年に発売された標準レンズ「30mm F1.4 DC DN | Contemporary」に続いてシグマが放つ、開放F1.4のミラーレスカメラ用大口径レンズ第2弾。シグマでは、今後は望遠レンズも開発し、ミラーレスカメラ用レンズ・システムのラインナップ拡充を目指すとのこと。

フード装着時フード装着時

 

■光学性能

フルサイズ用の大口径レンズに匹敵する13群16枚のレンズ構成で、サジタルコマフレア*や諸収差を抑制。2枚採用しているグラスモールド非球面レンズは、表面を高精度に加工することで渦巻き状の輪線ボケを抑え、画面全体でクリアな描写をもたらす。カメラ内収差補正機能にも完全対応。

 

* 点光源の像が一点に集まらず、尾を引いたような形ににじむ収差。

 

周辺光量を多く取り入れ、画面周辺でも円形のボケを保つことが可能。コーティングは、フレアやゴーストを抑制するスーパーマルチレイヤーコートを施している。

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FLD(“F” Low Dispersion)ガラス3枚、SLD(Special Low Dispersion=特殊低分散)ガラス2枚、グラスモールド非球面レンズ2枚を採用した13群16枚のレンズ構成。

 

■AF性能

静粛性に優れたステッピングモーターの採用により、動画撮影時も快適なAFが可能。ソニーEマウントではファストハイブリッドAFにも対応し、高速性と追従性に優れたAFを実現する。

 

■その他の機能

マウント部にゴムのシーリングを施した簡易防塵防滴構造。精度と堅牢性に優れた真鍮製バヨネット・マウントを採用している。

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付属の花形フード「LH716-01」は、フード部分を持って撮影することに配慮し、滑り止めの溝やラバーを採用している。

 

■主な仕様

●マウント ソニーEマウント、マイクロフォーサーズマウント ●焦点距離 ソニーEマウント 24mm相当 / マイクロフォーサーズマウント 32mm相当(いずれも35mm判換算) ●レンズ構成 13群16枚 ●画角(DC) 83.2° ●絞り羽根枚数 9枚(円形絞り) ●開放絞り F1.4 ●最小絞り F16 ●最短撮影距離 25cm ●最大撮影倍率 1:9.9 ●フィルター径 φ67mm ●サイズ(最大径×長さ) φ72.2×92.3mm ●質量 405g ●付属品 花形フード LH716-01