ウイルスを事前に予測して排除。ここまで進化している2018年仕様の「ウイルスバスタークラウド」

トレンドマイクロは今年で設立30周年を迎えるに当たり、セキュリティソフト「ウイルスバスタークラウド」を2018年版にアップデートしました。

 

発売日と価格は?

ウイルスバスタークラウドは、使用する期間に応じて料金を支払うサブスクリプション方式を採用しています。使用する期間は1年~3年から選択可能で、1アカウントにつき3台のデバイスで使用可能。

例えば、

●デスクトップPC+ノートPC+スマホ
●PC+スマホ+タブレット
●自分のPC+自分のスマホ+実家のPC

といった使い方が可能となっています。

 

また、製品のこと以外にもパソコンやネットワークについて、電話やLINEなどで質問ができるサービス「デジタルライフサポートプレミアム」が付属したバージョンも設定されています。ダウンロード版の発売日は9月6日で、価格は以下の通り。

 

ウイルスバスタークラウドには、もちろんパッケージ版も用意されているので、量販店での購入も可能。なお、パッケージ版の発売日は9月13日となっています。

 

また、既にウイルスバスタークラウドを利用中のユーザーは自動的に2018年版にアップデートされますが、手動でも行うことが可能。手動アップデートとバージョンの確認は以下の通り。

 

ウイルスバスタークラウドのメイン画面から、右上のアカウントアイコンをクリックし、「バージョン情報」をクリックします。

↑アイコンをクリックするとメニューが表示されるので「バージョン情報」をクリック

 

次の画面で、新しいバージョンが適用されていなければ、この画面で自動的にアップデートが行われます。アップデートが完了、もしくは既に適用済みの場合は画像のようなメッセージが表示されます

↑ということで、筆者が使用しているウイルスバスターも無事アップデートされました!

 

新しいウイルスバスタークラウドはスキャン性能が強化

ウイルスバスタークラウドは、2017年版から「XGen」と名付けられたAI搭載のセキュリティエンジンが搭載されました。2018年版では新たなサイバー攻撃に対する防御力を高めるために、怪しいファイルの特徴やふるまいを2重に学習するハイブリッドスキャンを新たに実装しています。

↑クロスジェネレーションから名付けられた「Xgen」

 

ウイルスバスタークラウドの大きな特徴として、全世界で日々発生する新しいウイルスや攻撃を検知した場合は、直ちにトレンドマイクロの拠点に送信され、同様の挙動や特徴を解析・学習します。その後、ウイルスバスタークラウドが動作する全てのデバイスにてAIによる予測検知に適用させるという仕組みになっています。

 

これまでのAIスキャンでは、怪しいファイルの特徴を予測してスキャンした後、実行中に挙動のスキャンを行っていましたが、今回搭載されたハイブリッドスキャンでは、ファイルの実行前に特徴と挙動を予測してスキャンすることで、より高精度なセキュリティを実現しました。

 

簡単にいうと、日々新種が発生するウイルスに感染した未知のファイルを実行前に予測して、警告及び排除。デバイスに致命的なダメージが加わる前に防ぐというものです。

 

ウイルスやサイバー攻撃はデバイスやネットワークとともに進化

トレンドマイクロは今年で設立30周年を迎え、その間にもセキュリティ事情は大きく変遷したと同社の大三川彰彦社長は語りました。

↑トレンドマイクロ株式会社 代表取締役社長 大三川 彰彦氏

 

ウイルスバスターが日本で発売が開始されたのが1991年。Windows 3.1が発売されたのが1992年であることを考えると、世の中はDOSの全盛期。インターネットは普及しておらず、ウイルスの侵入経路はフロッピーディスクが主でした。

 

その後、1995年にWindows 95が発売されるころには、日本でも爆発的にインターネットが普及し、脅威の侵入経路はネットに移行。悪意のあるサイトへのアクセスやファイルのダウンロードにより、ユーザーが気づかないうちにウイルスに感染するということが多発しました。

↑ウイルスバスターの歴史

 

筆者はこの時代からウイルスバスターを導入して、脅威に備えていました。ところが、あまりにもネットからの脅威が増えたせいなのか、ウイルスバスターの挙動が重く感じるようになり、他社製品へと乗り換えてしまいました。丁度、Windows XPの時代です。

 

ところが、ウイルスバスタークラウドになってからは「動作が軽くなった」とのことで、昨年版より使用していますが、他社製品に比べても遜色のない軽快性で日常の作業にはまったく影響しないレベル。現在進行形で愛用しているところです。職業柄、筆者はさまざまなファイルをダウンロードして試しているのですが、いまのところウイルスには感染していないところをみると、ウイルスバスタークラウドの防御力が垣間見える気がします。

 

また、筆者の周囲で最近よく耳にするのがFacebookのアカウントを乗っ取られた人が、友達を偽装してスパムページや動画などの不正なURLをメッセンジャーで送信してくるという攻撃です。トレンドマイクロによると、それらの攻撃も防げるとのことで、セキュリティソフトを未導入の方は一考の価値があるといえるでしょう。ウイルスバスターには30日間の無料体験版があるので、まずはそちらからお試しあれ!

 

防犯対策は万全? 家と我が身を守るポイント3点とオススメ防犯グッズ4選

自宅の防犯について、不安に思ったことはありませんか? 都市部では特に、近隣との付き合いが少なく、例えばエレベーターに乗り合わせた人が同じマンションの住人かどうか、わからないこともしばしば。集合住宅につけられた防犯カメラやオートロックが、きちんと機能しているのか知らない人もいるでしょう。

 

夏になると窓を開け放したままにする機会が多くなり、防犯への意識が低くなりがちです。物騒な事件があとをたたない中、家と我が身を守るにはどうしたらいいのか、日本防犯学校の桜井礼子さんに聞きました。

 

防犯意識を持つことがセキュリティの第一

「ホームセキュリティ」と聞くと、まず警備会社のセキュリティを思い浮かべる人が多いかもしれません。実際に賃貸物件でも、警備会社と契約し、インターフォンなどには施錠確認のセンサーがついていたり、火災感知器やボタンひとつで通報できるサービスが付帯していたりなど、安心して暮らせる機能が備わっている物件が増えてきています。ひとり暮らしの人や、子どもの留守番時間が長い家庭、高齢者がひとりでいる時間の多い家では、特にこのようなシステムがあると安心です。

 

「認知されている犯罪件数が大幅に増えているわけではありませんが、近年の傾向として、物を盗むだけの侵入窃盗が、暴行や脅迫をともなう侵入強盗に発展しているなど、犯罪の凶悪化が目立っています。何らかの防犯対策がなされているとわかると、侵入に時間がかかって入りにくさを感じるため、犯罪者のターゲットから外れる可能性が高まりますから、安心して暮らすためにも防犯対策することが重要です」(日本防犯学校・桜井さん、以下同)

 

しかし、セキュリティが施してある物件でも、注意すべき点はあるそうです。

「ここは大丈夫だからと、入居者自身の防犯意識が薄れてしまうことも。セキュリティシステムがあることはもちろん良いのですが、第一に大切なのは、防犯意識を持つことでしょう。たとえば、宅配業者や警察、警備会社などを装った押し込み強盗は、自ら鍵を開けて犯罪者を迎え入れてしまうことで発生します。ホームセキュリティが万全でも、防犯意識が薄いと犯罪被害にあう危険性が高まるのです」

 

安全な賃貸物件を選ぶための3つのポイント

物件を選ぶときにいちばんに気をつけなければならないのは、その物件がどれくらい安全か、でしょう。では、不安の少ない物件にはどのようなポイントがあるのでしょうか?

 

「街や自治体による、侵入犯罪者に狙われにくい住宅を推奨する『防犯優良住宅認定制度』という取り組みが始まってきています。いくつかの審査基準に達した物件が認定され、数年ごとに審査し直し更新されていくものです。このような物件を選ぶのもひとつの手だと思いますが、それ以外にも注意して見ていただきたいポイントが3つあります」

 

1.部屋までの通路は、見通しのよい場所を選ぶ

オートロックや管理人が常駐している集合住宅は、エントランスで人目につきやすいので比較的安全といえますが、そこから部屋にたどり着くまでの道のりに死角がないか、考えてみましょう。

 

「階段の場合、外から見える外階段ではなく、完全に室内になっている内階段がありますよね。内階段は道路などの人目があるところから完全に見えなくなるので、侵入者には好都合な場所と言えます。廊下についても同じことが言えるでしょう。また、集合住宅自体が高いブロック塀で囲まれている場合も、外からの見通しが悪くなるので注意が必要です」

 

2.施されている防犯対策が機能しているか確かめる

オートロック扉があるにもかかわらず、ゴミ集積場へのドアや裏口からは誰もが侵入できるようになっているなど、意味のある防犯対策になっているかどうかについては、確認が必要です。

 

「エレベーターやエントランスについているカメラがフェイクだったり、入口に警備会社のシールが貼ってあっても契約が終了していたり、防犯対策であるはずのものが見せかけだけだったという場合があります。それ自体が防犯になっていないと断言はできませんが、何か起きた場合には何の役にも立たないので、フェイクなのか稼働しているのか知っておくことが最低限必要です」

 

3.正面入口以外の侵入経路がないか確認する

集合住宅の正面が大通りに面していたり、人通りが多かったりして安全に見えても、別の侵入経路があると、犯罪者の目にとまりやすくなります。

 

「ベランダの横に雨どいがあったり、ベランダ越しに隣の部屋へ行ける構造だったり、また、屋上に簡単にあがれる物件は、犯罪者が侵入する経路になりますから、女性のひとり暮らしでは避けたほうが賢明でしょう。近隣の犯罪情勢をインターネットなどで調べて、犯罪が多発している地域は避けるなど、情報収集も必要です。また、玄関ドアに鍵がひとつしかないところ、窓のサッシのクレセント錠がダブルロックではない物件は、鍵つき補助錠をつけるなどの対策をしてください」

 

セキュリティシステムのある家に住むことだけでなく、自身で安心できる空間をつくることが大切です。次は、具体的におすすめの防犯グッズや防犯に対してできることをピックアップしていただきました。

 

自分でできるセキュリティ対策とは?

セキュリティについてできることは、セキュリティシステムのある家に住むことだけではありません。自分でできることを日々続けたり、備えつけられる防犯グッズなどを使ったりしながら、安心できる空間をつくることが大切です。ここでは具体的におすすめの防犯グッズや防犯に対してできることを、引き続き日本防犯学校の桜井礼子さんに聞きました。

 

1.玄関だけでなくポストも施錠する

玄関の鍵はもちろんのこと、外につながる出入り口はすべて施錠すること。

 

「玄関はドアチェーンもきちんとかけ、来訪者が来てもチェーンをかけたまま対応してください。荷物を受け取るときは、どこから何が届いたのかインターフォン越しに尋ねて、思い当たるときにだけ受け取るようにします。また、サッシや、ベランダの履き出し窓には、必ず補助錠をつけましょう」(日本防犯学校・桜井さん、以下同)

 

ポストについては2でも触れますが、ここも鍵は必ず施錠しましょう。ダイヤル式のポストは、数字を合わせたまま施錠せずにいる人も多く見受けられます。ポストには個人情報が詰まっていますから、どんな人物が何人で住んでいるのかなどの情報を犯罪者に与えないようにしましょう。

工具がなくても簡単に取りつけられるサッシ用の補助錠。振動があっても、内部の歯車が固定されているので、緩みません。「補助錠があると、開錠の時間が倍はかかると言われています。侵入というと玄関ドアのピッキングが思いつきますが、窓も入りやすい入口のひとつであることを忘れないようにしましょう」


ベッセル「まど番す(つまみ式)」
733円(編集部調べ)

 

付属の強力両面テープを使い、女性でも簡単に取り付けができる窓用補助錠。スライド式なのでロックをしながら窓を少し開けることも可能です。「鍵式なので、侵入者の手が届いたとしても、ロックを解除される心配がないタイプです」


日本ロックサービス「はいれーぬ 鍵つき」
2355円

 

2.個人情報が外部に漏れないよう注意する

個人情報がわかると、その家に住む人の生活パターンが見えやすくなり、犯罪者に侵入する機会を与えてしまうことがあります。

 

「ポストや玄関の表札は苗字だけにしましょう。女性のひとり暮らしなら、そうだと悟られないよう、玄関先に男物の靴や傘を置くのもおすすめです。玄関先のデコレーションや表札の文字などからも伝わってしまうものがありますし、ひとり暮らしであれば、女性らしい色のカーテンやレースものは避けるなど、外から見えるインテリアにも注意が必要です」

 

3. 近所の人との協力体制をつくる

集合住宅では、どんな人がどの部屋に住んでいるか知ることも大切な防犯対策です。

 

「マンション内で会う人の顔を覚えたり、積極的に挨拶したりすることが、犯罪者が侵入しにくい雰囲気づくりにつながります。町内会やマンションの自治会などがある場合はなるべく顔を出すのも良いでしょう。また、室内の様子がわかるようなホームネットワークシステムを導入しておくと、万が一侵入者があったとき、遭遇してしまう危険を回避することができておすすめです」

スマートフォンと連動して室内を見守るカメラ。会話もできるので、子どもとの会話やペットへの指示などにも使えます。「カメラに内蔵されたセンサーが温度や音を感知すると、スマートフォンに通知がいき、カメラの映像を見ることができます。カメラは最大4台つけられ、赤外線LEDで夜間でも映像を確認できて便利です」

パナソニック「ホームネットワーク システム KX-HJC200K-W」
2万8080円(編集部調べ)

 

4.外から見て留守であることがわからないようにする

出勤時間や帰宅時間などが外から見てわからないようにすることで、部屋への侵入をしにくくする可能性がありますから、留守のときでも人気があるよう装うことも大切です。

 

「外出時は、外から室内が見える部屋の照明をつけておくのも良いでしょう。リモコンつきで、照明の点灯時間がセットできるタイプのものもありますので、外が暗くなる時間に点灯するようセットするなどして使ってみてください」

普段はスイッチとして使用でき、留守のときは照明の留守番タイマーが設定できる仕掛けになっている防犯グッズ。「家にいないときに照明をつけておくと防犯にはなりますが、電気代が気になりますので、タイマー予約して生活パターンを悟られないようにするのが良いでしょう」

パナソニック「あけたらタイマ(2線式)」
7528円(税込)

防犯グッズは上で紹介したもの以外にも、お手軽なものから家全体を守れるようなハイスペックなものまで、さまざまな種類があるので、部屋のタイプに合わせて選んでみてください。

 

また、これから引っ越しを考えているならやはり、ホームセキュリティのある部屋や防犯優良住宅に認定された部屋をリクエストして物件探しをしてみるのは大事な対策です。例えばダイワハウスの賃貸物件「D-room」には、ホームセキュリティシステムを搭載した「防犯配慮型賃貸住宅」が用意されています。

↑センサーが異常を感知、あるいは非常ボタンを押すことでシステムが作動、ALSOKやSECOMといった契約する警備会社から警備員が駆けつけるので、外出時も在宅時も安心です

 

犯罪は、自宅にいるときでさえ、誰でも巻き込まれる可能性があります。常に防犯意識を持つことを心がけましょう。

 

【プロフィール】


防犯アナリスト / 桜井礼子

日本初の女性防犯アナリスト。一般社団法人日本防犯学校講師。防犯界の第一人者で予知防犯提唱者「梅さん」こと梅本正行氏に12年間師事し、事件現場の検証と取材に携わる。女性・母親・高齢者の親を持つ立場で、弱者を犯罪被害から守る予知防犯を提唱する活動を展開している。

 

取材・文=吉川愛歩 構成=Neem Tree

 

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時代を先取りし過ぎたか!? 持ち運びできるセキュリティシステム「nōmad」はクラウドファンディングで不調のワケ

玄関先のセキュリティカメラだけでなく、自宅内のカメラやモーションセンサーなど、セキュリティ面でのスマートホームもどんどんと進歩しています。GetNavi webでは自宅内を飛行して外出先から家の様子を確認できるドローン「Aire」も紹介しました。

 

こうした自宅用のセキュリティデバイスは普及してきていますが、これをポータブルにして持ち運べるプロダクトはまだ多くありません。そんななかいま海外メディアで話題を集めているのが「nōmad」。クラウドファンディングサイト「Crowd Supply」で資金募集中の「nōmad」はカメラ、モーション、サウンドセンサー、ライブ通知などが組み合わさった「ポータブルセキュリティガジェット」となっています。

 

本製品の紹介ビデオでは、「まるで自分専用の警備員が常にあなたを守ってくれるよう」と演出されています。確かにこんなふうに守られてみたいものです。

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「nōmad」の仕組みは簡単。メインとなるスティック型のデバイスに付属でついている小型のポッドを外出時に持っておき、ホテルの部屋やロッカーのなか、オフィスの自分のデスクやクルマのなかなど、自分以外が入らない場所やセキュリティ的に気になるスペースに小型ポッドを設置します。

 

それぞれの小型ポッドは音やモーション、振動や照明の変化、さらには煙も検知し、スマートフォンに通知を送ってくれるのです。最近はAirbnbなどの民泊も普及してきて、宿泊先も多様化してきましたが、オンラインでは大丈夫そうに見えた場所も、実際に着いてみると「ここ大丈夫かな……」と不安になることもあります。煙探知器がついていなかったりしても、nōmadのポッドがそれをカバーしてくれます。

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小型ポッドは複数使えるので、スーツケースのなかやナイトスタンドの上、洗面所と複数の場所をモニタリングすることも可能。

 

スティック型のデバイスにはカメラも付いているため、こちらも部屋やクルマのなかに設置しておけば、異変があったときにアプリを使ってリアルタイムで何が起きているかを確認することができます。

 

役に立つのはホテルや車から離れたときだけではありません。移動中は小型ポッドを手荷物やスーツケースのなかに入れておけば、一定の距離を離れたときに知らせてくれます。荷物の置き忘れや盗難の防止にも使えるわけです。

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nōmadにはLTE通信機能が内蔵されているので、外出先のホテルやオフィスなどのWi-Fiを使う必要がありません。ユーザーとの通信も完全に独立しているので、その面でのセキュリティも確保されているというわけ。海外メディアも「外部のWi-Fiや有線ネットワークに頼らなくてよいnōmadは独立性を非常に真剣にとらえている。これはとっても素晴らしい」「移動をしなくてはいけない、かつセキュリティに真剣なユーザーたちにアピールするはず」とセキュリティ面の強さを評価しています。

昨年末にキャンペーンを開始したばかりのnōmadですが、開発資金の獲得は芳しくありません。本稿執筆時点で残り20日間を切っていますが、目標金額(約1700万円)の2%しかお金が集まっていません。原因の1つは価格が少し高いからかもしれません。小型ポッドなしのメインのスティックデバイスだけで約2万8000円、小型ポッドが2つついたセットが約4万5000円となっています。

 

または、まだニーズがないからかもしれません。自宅用のセキュリティシステムはたくさん登場してきましたが、こうやって持ち運びができるデバイスはまだまだ珍しいのが現状。旅行や出張先でもセキュリティを確保してくれるデバイスへのニーズはこれから生み出されるのか――。まずはnōmadが目標金額を獲得できるかどうかに注目です。

【西田宗千佳連載】顔認証はセキュリティを超えて新しい産業を生み出す

「週刊GetNavi」Vol.61-4

↑Face ID↑Face ID

 

iPhone Xにおいて「Face ID」が導入され、顔の立体構造を使った顔認証が使われたことには大きな意味がある。一番の影響は、「立体構造を把握するセンサーの出荷量と、それを使うソフトの量が劇的に増える」ということだ。技術は使われるほど安くなり、磨かれる。タッチパネルやモーションセンサー、GPSがスマホのブレイクによって当たり前になったように、そして、指紋センサーがiPhoneでの採用以降当たり前になったように、顔認証を使う機器やソフトはどんどん増えていくだろう。

 

iPhoneのFace IDで採用された技術はアップル社の独自性が高く、他社がそのまま真似するのは簡単ではない。しかし、技術は魔法ではないので、アプローチを変えて同じような結果を再現することは十分可能である。開発に10か月程度はかかると想定しても、2018年末以降に登場する高級スマホには、iPhone Xと同じような「高度顔認証」を搭載するものが増えてくることだろう。

 

立体構造を把握する技術には、セキュリティ以外にも多くの展開が考えられる。iPhone Xの「アニ文字」という機能は、顔の表情を取り込んで、CGキャラクターに自分の表情をさせて、他人に送ることができる。これと同じような機能は、チャットソフトなどに続々と搭載されていくことだろう。今でも、Snapchatなどのアプリでは、自分の顔にヒゲやうさ耳を「盛る」ことができるが、そういったエフェクトを、より高度なレベルで施せるようになってくるのだ。現在、ビデオチャットを利用することに気が進まない人の多くは、自分の顔や表情に自信がないからではないだろうか。これは日本人には多く見られる傾向といわれる。だが、CGキャラクターを「アバター」としてコミュニケーションできるようになれば、事情は大きく変わってくるのではないだろうか。

 

スマホの使い方はだいたい決まってきた。そこに新しい変化をもたらすのは「カメラ」をセンサーとして使うことだと考えている。iPhone Xがやっているような「立体把握」は、カメラから取り込んだデータを生かすうえでは、より大きな可能性をもつものである。

 

これは別にスマホだけに限った話ではない。パーツが安くなれば、PCやテレビにも組み込むことが簡単になる。ビデオチャットをPCやテレビで使いやすくなるだろうし、同じ機構を使い、顔認識でなく「指認識」を行えば、リモコンなどの特別な機器を用意することなく、空間で指を動かして機器を操作する……といったことも十分に可能になる。

 

iPhoneという「ヒット商品」に使われることによる数のインパクトが、セキュリティだけでなく、様々な産業への変化を促すことになっていきそうだ。

 

●Vol.62-1は「ゲットナビ」2月号(12月22日発売)に掲載予定です。

 

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【西田宗千佳連載】セキュリティの担保には「二要素」が必要

「週刊GetNavi」Vol.61-3

↑Face ID↑顔認証システム「Face ID」

 

前回の記事で、「顔認証をはじめとした生体認証は、パスワードと同じ程度の強度しかない」と書いた。実際その通りで、セキュリティを担保するためには、まず「スマートフォンやPCを他人に渡さない」ことが最も重要である。他人の手に渡った時にも「守れる確率を高める」のがパスワードや生体認証の役割ではあるが、それも100%安全というものではない。

 

とはいえ、スマホやPCを他人に渡さないよう気を付けつつ、パスワードや生体認証で守れば、二重の努力で安全性が高まる。どちらかを怠るよりもはるかに安全であることは間違いない。

 

セキュリティの世界には「二要素認証」という考え方がある。これはすなわち、認証するために必要な情報を2つ用意する、というものだ。

 

例えば、ウェブサイトの認証に「IDとパスワード」だけを使うことは一要素認証だ。ID・パスワードが漏れると、自分以外でも簡単にサービスに入れてしまう。店などへの「顔パス」も一要素認証。「顔」という情報しか使っておらず、似た人が来たら通れてしまうかもしれない。

 

しかし、要素が2つになるとかなり難しくなる。実は二要素認証は、我々の生活においてもありふれたもので、決して特別なものではない。例えば、キャッシュカードで現金を引き出すのは二要素認証となる。「カードを持っている」ことと「キャッシュカードの暗証番号を知っている」ことの2つの要素が必要になるからだ。「写真入りの身分証明証を提示する」ことも二要素認証である。「身分証明書を持っている」ことと「本人を顔写真から確認できる」ことという2つの要素があるからである。

 

二要素認証とは、
・本人だけが知っていること
・本人だけが所有しているもの
・本人自身の特性
のうち、二つを同時に満たす必要があることを指すのだ。

 

前出の2つの例も、こうした原則に則っている。スマホやPCのロックも、同様にこれらのうち2つの条件を満たしていることに注目していただきたい。

 

現在、スマートフォンはどんどん「自分だけのもの」であることを前提にしはじめている。家族やパートナーであろうと、渡すこと・見ることはマナー違反になってきた。その理由は、セキュリティ上「自分しか持つことができない」ということが望ましいからだ。

 

いまやスマホは「自分のセキュリティ情報が集まる場所」であり、だからこそ紛失には十分な注意を払わなくてはならない。そして、万が一紛失した時のために、パスコード設定や生体認証の導入が必要なのだ。

 

では、iPhone Xの普及により、生体認証に求められる要素はどう変わっていくのだろうか? 次回のVol.61-4ではそのあたりを解説していこう。

 

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【西田宗千佳連載】「生体認証」のセキュリティは高くない!

「週刊GetNavi」Vol.61-2

↑Face ID↑顔認証システム「Face ID」

 

iPhone Xでは顔認証が採用された。その前からアップル製品では、指紋認証が基本だ。ほかのPCやスマホも同様で、ちょっと気が利いたものなら、指紋認証センサーが搭載されるようになっている。Windows PCに関しては、マイクロソフトが定めた「Windows Hello」という仕組みがあり、これに則ったセンサーやカメラを搭載することで、顔認証・指紋認証でWindowsにログインできるようになっている。筆者もWindows Hello対応の顔認証を日常的に使っているが、パスワードなどよりずっとすばやく簡単にログインできるので、非常に重宝している。

 

こうした、人間の顔や指紋、虹彩といった情報を使う認証方式のことを「生体認証」という。これらのものは、基本的に「自分の体についている」もので、「簡単にコピーできない」ことを前提としている。映画などでの印象から、「指紋や虹彩認証を使うのは、非常に安全性が高い、秘匿性の高いもの」という印象もあるだろう。

 

だが、それは間違いだ。

 

実際には、生体認証のセキュリティは高いものではなく、パスワードとまったく同じ強さしかない。スマホにしろPCにしろ、生体認証しか使えないシステムというものはなく、必ずパスワードなどが併用されている。生体認証は100%確実なものではないため、トラブルを回避するには、パスワードを併用せざるを得ない。結局のところ、生体認証ができなくても、パスワードを知っていればログインできてしまうのだ。

 

そもそも、生体認証も内部ではパスワードやパスコードのようなものに変換されて処理されている。簡単にいえば「システム内にパスワードが記録されており、生体認証が行われることで入力が代替される」ものだと考えたほうが良い。

 

だから開発している各社も、生体認証を「100%の精度を備えた、完全無欠のセキュリティを目指すもの」とは考えていない。メディアでは、指紋認証や顔認証を「こうやって突破した」というセキュリティ破りの記事が多数公開されているが、そのことは、あまり大きな問題ではない。写真を見せただけで認証できるような、ゆるすぎる顔認証システムはともかく、「本人以外は努力や準備をしないと突破できない認証」というレベルで十分なのだ。むしろ、「本人を確実に見間違わない」ことが大切で、アップルの顔認証であるFace IDも、そこに注力している。

 

では、本当に安全な認証とはなんなのだろう? 次回のVol.61-3以降ではそのあたりを解説していこう。

 

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【西田宗千佳連載】iPhone Xがもたらした「顔認証」新世代

「週刊GetNavi」Vol.61-1

20171205-i01(1)↑iPhone X

 

顔の立体構造の把握が認識精度と速度を両立

11月に発売されたiPhone Xは、「ホームボタン」を過去のものにした。それと同時に導入されたのが顔認証システム「Face ID」だ。発売前は「指紋認証のほうが使いやすいのでは」との懸念もあったが、それも杞憂に過ぎなかった。とにかく素早く正確なのだ。画面を見つめればすぐにロックが解除され、指紋認証よりも早い。iPhoneが自分を「顔パス」してくれるような感じで、認証があることを意識させない。過去のスマホ用顔認証とは、かなり趣の違うシステムである。

↑Face ID↑顔認証システム「Face ID」

 

多くの「顔認証システム」は、カメラでとらえた平面の画像で顔を識別する。その場合、帽子やメガネの有無、髪型の違い、ヒゲの濃さなど、いろいろな条件で「本人かどうか」の判定が難しくなる場合がある。そこで条件をゆるくすると誤認識が増え、厳しくすると使い勝手が落ちる。精度は認識速度に比例し、安全性を担保しようとするほど、動作が遅くなってしまう。

 

一方でFace IDは、赤外線センサーと画像センサーを組み合わせた「True Depthカメラ」を使い、「顔の立体構造」を把握し、それを元に認証する。だから、メガネや髪型、ヒゲの有無、化粧など、表面的な部分に多少違いがあっても、顔の形の特徴が変わっていなければ「本人」と認識する。立体情報なので分析に時間がかかりそうに思えるが、むしろ「本人を特定するための特徴的な手がかり」が増えるので、認識速度は上げやすい。だから、Face IDは指紋認証と同等以上の使い勝手を実現できたのだ。

 

顔を立体として認識するシステムは、これまでスマホには大規模に導入された例がなく、iPhone Xがもっとも先進的だ。だが、こうした取り組みはIT機器全体では初めてではない。業務用のものでは存在したし、マイクロソフトがWindows 10用の認証システムとして提供している「Windows Hello」の顔認証システムも、赤外線センサーを併用したカメラが使用されている。そのため、マイクロソフトの「Surfaceシリーズ」などのWindows Hello搭載PCは、素早くて快適な顔認証を実現している。

 

ただし、Windows HelloとFace IDにも違いはある。Windows Helloは認証に特化しており、顔を完全な立体データとしてまでは把握していない。認識データは変わらないため、長い間使わないうちに太ってしまったり、あまりに髪型が変わったりすると、再認識が必要になることもある。一方でFace IDは、顔をかなりの精度で立体データとして認識したうえで、認識のたびに学習を続け、常に「最新のその人の風貌」で認識率が高まるようにするという工夫がされている。

 

どちらにしろ、こうした「立体構造を使った顔認識」自体は望ましい技術であり、今後さらに普及していくだろう。

 

だが、顔認識の普及は「セキュリティの向上」を意味しているわけではない。むしろ顔認識とセキュリティの高さにはなんの関係もない、と考えるべきだ。それはなぜなのか? では、セキュリティ向上にはなにが重要なのか? 顔認証に今後どのような広がりがあるのか? そのあたりは次回のVol.61-2以降で解説する。

 

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