ベルリンの壁と関係!? 旧東ベルリンの人気地区が「シリコンアレー」となったワケ

ベルリンの壁の崩壊以降、空洞化していたベルリン経済にミラクルを引き起こしたのが、実はスタートアップ企業たちでした。2017年のベルリンGDPは1366億ユーロと崩壊後の約3倍を記録し、ベルリンは「貧しい首都」のイメージを変えつつあります。そのスタートアップ企業の立地ですが、一体ベルリンのどこに位置しているのでしょうか? 本稿では「シリコンアレー」「ベルリンバレー」と呼ばれる、ベルリンのスタートアップ密集地を紹介し、ベルリンの壁との関係について考察してみます。

 

ベルリンの東側に集中するスタートアップ

ドイツ経済になくてはならない存在となったスタートアップ企業。約1800のスタートアップがベルリンで活動しているといわれます。ジョブプラットフォームを提供する「Honeypot」では、そのなかで成功している約10%を抽出して企業のロケーションを調査。その結果を見ると、多くはベルリンの東側に集中しています。

 

特に多いのが旧東ベルリンのプレンツラウアーベルク地区で、「Zalando」や「Wooga」など成功したスタートアップ企業もこの地域にあります。そのなかで最も集中しているのが、地下鉄駅「ローザ・ルクセンブルク・プラッツ(Rosa-Luxemburg-Platz)」の近くにある「トール通り(Tor Straße) 」沿い。ベルリンのシリコンバレー、通称「シリコンアレー」と呼ばれているのがこの通りです。

エコノミストのクリストファー・モラー氏は、トール通りが「シリコンアレー」になった理由として、クールなカフェやバー、映画館などが多く、ファウンダー(会社の創始者)がクリエィティブで都会的な雰囲気を好むためだと言います。また、周辺にファウンダーの居住地が多いことも理由に挙げています。

↑トール通りの位置。南に1.4キロ(or電車で6分)行くとベルリンの中心街になる。

 

ベルリン・コワーキングスペースの先駆けの1つとしてすっかり有名になった「ザンクト・オーバーホルツ(St.Oberholz)」もトール通り沿いに位置しています。

また、ベルリンの東側にあるものの、旧西ベルリンに属していたクロイツベルク地区にもスタートアップ企業が集まっています。この地域とプレンツラウアーベルク地区はかつて壁があった場所に近く、多くのカフェやレストラン、クラブがあるベルリン市民に人気のエリアです。

↑クロイツベルク地区の位置。北に約3.2キロ(or電車で約20分)行くとベルリンの中心街になる。

ベルリンの壁と関係があった? ベルリンの歴史的魅力

さて、そもそもなぜベルリンがスタートアップの聖地となったのでしょうか? まず、他国の大都市と比べて、当時はベルリンの家賃や生活費が安かったこと、カフェやレストラン、クラブ、映画館やコンサートホールなどの文化施設、そして魅力的なイベントが多いこと、英語が話せる人が多く、ドイツ語が必要ないことなどの理由が挙げられます。

 

しかし、ここでは、ベルリンの壁が与えた影響について考えてみたいと思います。ベルリンが辿ってきた特殊な歴史が起因する一種独特の自由な雰囲気は、スタートアップのロケーションにも影響を与えていると言えるでしょう。

壁の建設で、西ベルリンは四方を壁で取り囲まれた街――「東ドイツに浮かぶ孤島」――となりました。西ドイツの他都市に行くためには東ドイツを経由する必要があり、当時西ベルリンにあった企業は、地の利が悪いことから西ドイツの他の都市に移転。ベルリン経済は深刻な影響を受けました。

 

そこで政府は、西ベルリンを魅力的な都市にするために様々な特典を与えました。そのなかでも特に若者に魅力的だったのが、兵役の免除とカフェやクラブなどの閉店時間がないこと。壁で囲まれ孤立した西ベルリンは自由かつ一種変わった空間を提供していたようで、アナーキストや左翼のほか、海外からもデビッド・ボウイを始めとする多くのミュージシャンやアーティストたちが集まり、ナイトライフが盛んになっていました。

壁が崩壊すると、西ベルリンのバーやクラブはこぞって家賃の安い東ベルリンに移動。かつて壁があったエリアはしばらくアナーキーな無法地帯になりましたが、そこにある自由で前衛的な雰囲気からベルリン特有のテクノ文化やクラブが生まれました。

 

現在ファウンダーに人気のある場所はまさに、旧東ベルリンや元壁があった近くのカフェやクラブがあるエリア。いまはなき西ベルリンの文化や壁が崩壊した後のアナーキーな時代の名残を残す場所なのです。既存の企業に迎合せず、自分を信じ新しい生き方を作るスタートアップのファウンダーたちは、アナーキーな時代に「存在していた何か」に魅力を感じているのかもしれません。

「最先端センシングテクノロジーと『アナログ表示』が融合」TRUMEの魅力を解き明かす––インプレッション編

国産マニュファクチュールとしてセイコーエプソンが培った技術の粋を結集したTRUMEという腕時計があります。このブランドに込められた先進機能やこだわりの外装。その魅力の所存を、最新作となる「M Collection」から解き明かしていきます。今回は、機能のおさらい編とコレクション一覧です。

 

 

多彩な情報を針のみで行う革新の表示

TRUMEはGPSや気圧・高度センサー、方位センサーなど多くの最先端センシングテクノロジーを持っています。一方で、そのすべてを針のみのアナログ表示で行うという、こだわりのコンセプトに基づいて作られているのです。こうした革新の個性を改めて見ていきましょう。

 

 

洋上での頼りに! 方位や気圧を針のみで示す

 

 

 

TRUMEは、8つの針で情報をアナログ表示します。6時に配されるインジケーターでBAR(気圧)、COM(方位)など計測項目を示し、方位であれば中央の赤針が北の方角を指すという具合。針の動きも“アナログ感”があるのが特徴で、コンパスのようにゆらゆら揺れながら方位を示します。

 

もちろんGPS受信で時刻もワールドタイムもアナログで表示する

 

 

 

TRUMEはエプソンが自社開発した「サテライトリンク」システムを搭載。国産衛星「みちびき」に対応したGPSモジュールを内蔵し、屋外でデュアルリングアンテナが現地タイムゾーンの時刻を確実に受信します。

 

 

スタイルによって楽しめるTRUMEコレクション

M Collection

 

 

 

TRUMEが持つセンシング技術が役立つシーンを連想させる「ヨット」にインスピレーションの源を得たコレクション。独自の最先端機能はそのままに、より“時計らしさ”を意識したデザインに仕上げられています。サイズ : 縦57.2×横15.5mm

 

C Collection

 

 

 

現行で最も端正なフェイスを持つモダンなコレクションは、方位計を除き、より機能を厳選。インナーベゼルに世界の都市名が記されており、世界の街で活躍する人にふさわしい雰囲気となっています。サイズ:縦57.2×横45.9mm

 

L Collection

 

 

 

2017年7月発表の1stコレクションで、TRUMEのすべての機能を包括。エクスパンデッドセンサーの併用で歩数や消費カロリーまで計測可能。立体的かつ流麗なラインを描くアーマーオーナメントは象徴的なアイコンです。サイズ:縦60.2×横48.6mm

 

歩数や消費カロリーまで計測できる「エクスパンデッドセンサー」

 

 

 

時計本体とBluetooth接続により、さらに多くの情報を取得するセンサー。歩数や消費カロリー、気温にUVインデックスなど日々の活動まで計測可能になります(L Collectionのみ対応)

 

TRUME https://www.epson.jp/products/trume/

TRUMEお客様相談室 TEL : 050-3155-8285

 

 

 

あなたの運命はデータ次第!? 世界で実用化が進むAIを使った自殺予防と予防医学

アメリカでは、大統領選挙におけるFacebookでのフェイクニュース拡散の影響について、いまだによく語られています。炎上を扇動するような内容のコメントやツイート、動画がロシアから大量に投稿されていたことが判明し、それを目にしたFacebookユーザーは1億2600万人いたというニュースが連日話題に。

 

もはやただのSNSの規模を越えて社会的な責任を大きく問われるようになったFacebookですが、フェイクニュース防止への取り組みに加えて、他にも色々なプラットフォーム改善を図って社会に貢献していることをアピールしています。その1つが「コメントをAIで分析してユーザーの自殺願望を事前に検知・通知する」という取り組み。小規模でのテストは以前から行っていたようですが、この機能を大規模に拡大することが11月末に発表されました。

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どうやったらFacebookのコメントから自殺願望が分かるのかと疑問に思ってしまいますが、分析するのは本人の投稿だけではなく、そこについた友人たちからのコメントも分析されるようです。「大丈夫?」「何か助けになれる?」といった心配のコメントを検知するわけですね。危険性をAIが検知するとFacebookの自殺予防の専門家チームに通知が行くようになっています。人間の専門家が「これは助けを差し伸べる必要がある」と判断すれば、ユーザーのもとに「『あなたには今、特にサポートが必要なのではないか』と思った人から私たちのもとに連絡が来ました。私たちはあなたを助けたいと思っています」とメッセージが届き、サポートが開始されるようです。

 

もちろん、自殺をめぐる背景は非常に複雑なもの。Facebookによるアルゴリズムも常に改良が加えられていて複雑なものになっており、対象が人の命とプライバシーに大きく関わることから詳細は公開されていません。

 

AIが病気を検知。命を救うことも

もちろん、すべての自殺をこれで検知できるわけではないでしょう。そもそもSNSがうつ病を促進しているのではないかという指摘もあります。しかし、AIを使ったこういった取り組みは医療分野でどんどんと実用化されています。

 

Googleは検索サービスを自殺予防に役立てようとしています。自殺に関連した特定の言葉を検索すると自殺防止ホットラインの番号が表示されるようになりました。Microsoftは同社の検索サービスBingを使って、「検索ワードのログから膵臓ガンにかかっているかどうかを高確率で当てられる」という研究を発表しています。さらにこれをMicrosoftによる音声アシスタント「Cortana」と組み合わせることで広範囲のユーザーの病気予防へと貢献できる、という展望を論文で語っているのです。

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マシーンラーニングやビッグデータに関するテクノロジーとコンピューターの処理速度が向上している今日では、検索ログやSNS上の言動といったデータからユーザー自身のことが驚くほど多く分かるようになってきているのです。

 

フィットネストラッカー「Fitbit」に記録されていた心拍数データが緊急救命の大事な手がかりとなって人命を救うという事態も起きています。自分自身に関するデータをどう活用しているかが命を救う時代なのですね。

 

ちょっと探せば、この分野では驚くほどたくさんのプロジェクトが進行されていることが分かります。日本でも日立と慶應大学がパートナーシップを結んでAIを使った病気の検知を研究しています。障がい者雇用・就労移行支援を行っている団体LITALICOはビッグデータ解析事業UBICの人工知能エンジンKIBITを活用して精神障がい者の自殺予防対策に取り組んでいます。

 

スマート聴診器「Eko」は心音と専門家による診断のデータベースをもとに、マシーンラーニングによる高精度な診断に取り組んでいます。このデバイスを使えば誰でも世界一の診断が受けられるようになるかもしれません。

 

データを隠すのは良くない!

そうするとFacebookやMicrosoft、GoogleやApple、Amazonといった大手プラットフォームやプラットフォームがデータを活用した医療分野に取り組む意義がよく見えてきますね。GoogleホームやAmazonエコーといった音声アシスタントが日本にも進出してきましたが、日常のデバイス操作やデータ管理を1つのプラットフォームで行うということには大きなメリットがあります。

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ウェアラブル・デバイスを通じて睡眠データや運動のデータも集められ、食べ物、薬などの購入データもあり、インターネットで何を検索しているかもデータとして蓄積される。ビッグデータのお陰で自分が「病院に行かないと」と考える前にデジタル・アシスタントが「○○の可能性があるので専門家に見てもらってください」と促してくれるという世界もすぐに実現されるかもしれません。

 

もちろん、こういったデータ利用はプライバシーの問題と大きくつながり得ます。前述のFacebookによる自殺予防テクノロジーに関しても、専門家からは「詳細を公開して透明にしてほしい」という声があがっています。AIの研究をリードする米国の大手テクノロジー企業がデータや知識をどれくらい公開するのか。注目が集まっています。

米国で経済的に最も進んでいる州はどこ? シリコンバレーがあるカリフォルニアは意外にも1位ではなかった

Google、Facebook、Amazonとアメリカの大手テック企業が経済ニュースに登場しない日はないですよね。日本からもスマートニュースやメルカリといったスタートアップ企業がアメリカに進出していますし、アメリカのテック企業で働く日本人エンジニアを見かけることはニューヨークでも珍しくなくなってきました。これは西海岸でも同じようです。

 

日本で働いている人も実はアメリカ進出に興味がある方は多いはず。「あの同僚もLinkedInに英語のプロフィールを作ってる!」と驚いて触発された方もいるでしょう。

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じゃあ「アメリカのどこ?」と聞かれると、カリフォルニア州シリコンバレー以外になかなか評判が聞こえてこないのも事実です。でもアメリカのテクノロジー経済は東西南北に広がっているってご存知でしたか? それを如実に示している「ニュー・エコノミー指標 2017」を今日は紹介したいと思います。

 

世界有数の非営利シンクタンク・ITIF(インフォメーション・テクノロジー・アンド・イノベーティブ・ファンデーション)が約20年間にわたって調査している「ニュー・エコノミー指標」は、ITイノベーションによる経済成長がどの州で起きているのかをランキング形式で発表しています。

 

エリートな州が競うトップ5

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1位:マサチューセッツ(スコア96.6/100)

 

2位:カリフォルニア(84.7)

 

3位:ワシントン州(84.5)

 

4位:ヴァージニア(81.7)

 

5位:デラウェア(80.4)

 

ワースト5は、下から順番にミシシッピ(37.9)、アーカンソー(42.8)、ウェスト・ヴァージニア(44.1)、ワイオミング(47.1)、ルイジアナ(47.6)となっています。

 

西海岸と東海岸に偏っているかと思いきや、コロラド(7位)、ユタ(9位)、ミネソタ(12位)、テキサス(17位)、ジョージア(18位)と中西部や南部にもテクノロジー経済は点在しているようです。ニューヨークは11位となっています。

 

エンジニアだけじゃない、テック業界が欲しがる人材

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ニューヨークに住む私の周りでも、テック企業へ転職を希望している知人が増えています。エンジニアはもちろん、マーケティングや人事部の仕事をしている人でもGoogleやAmazonといった大手テック企業やスタートアップに移ろうと狙っている人は多くなっています。

 

その理由は、経済が大きく成長しているこの分野では人材確保の競争も激しく、企業も給料や勤務体系といった面で高待遇を提示しているところが多いから。この業界での経歴を身につけることでその後のキャリアも広がります。

 

Amazonは第2本社を建設する都市を選別中ということで、全米の都市が「ウチに来てください!」とラブコールを送っています。そんな中のこのニュー・エコノミー指標の発表を受けて、Amazonの本社があるシアトルの新聞シアトル・タイムズは「Amazon第2本社を誘致したい州はこのランキングの上位に入ってないとまずいだろう」と述べています。

 

「州の経済が栄えるかどうかは、究極的にはモノやサービスをグローバル市場へ輸出し、厳しい競争に勝ち残っている企業が存在しているかどうかによる」とITIFのプレジデントでレポートの共著者であるロバート・D・アトキンソン氏は述べています。

 

アメリカでは、テック企業によって地域の経済が成長し、そこから新しい世代のスタートアップも生まれるということが起きています。アメリカで働きたいなら、どこにするか? 選択肢は1つではありません。

 

評価基準

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ニュー・エコノミー指標は、評価項目が大きく5つに分かれています。1つ目は「知識ベースの仕事の割合」。マネージャーや技術者といった職業の割合、知識ベースの職業に就く海外からの労働者の流入などがこの項目では調査されています。各州にどれくらいテクノロジーやイノベーションのための労働力が存在しているかということですね。

 

2つ目はモノやサービスの輸出先がグローバルであるかどうかといった「グローバリゼーション」。3つ目の「経済的なダイナミズム」ではスタートアップがどれくらい生まれているか、急速に成長している企業はいくつ存在しているか、特許はいくつ取得されたかなどが評価されます。

 

面白いのは4つ目の「デジタル経済」。ここではブロードバンドの速度、州政府が情報を伝達するときにITをどれくらい活用できているか、医療分野ではどうか、そして農業においてインターネットとコンピューターがどれくらい活用されているかが評価されています。農業におけるデジタル技術の普及具合も見られるなんて驚きですよね。

 

最後は「イノベーション・キャパシティ」。電子機器製造やテレコミュニケーション、バイオ医療といったハイテク産業の仕事の数や研究開発に注がれる投資金額などが評価されています。

 

ただ単にイノベーション関連の仕事が集まっているだけではなく、デジタル環境が良い地域かどうか、州や国境を越えた労働力を受け入れる土壌があるかなども分かるわけですね。

 

1999年からずっと1位のマサチューセッツの場合、ソフトウェアやハードウェアにおける大企業が集まっているほか、MITやハーバード大学からの支援を受けるバイオテック企業も多く存在していることが理由として挙げられています。

 

逆に投資を集めているという点で飛び抜けているのは、やはりシリコンバレーを持つカリフォルニア。なんとアメリカのベンチャー・インベストメントの55%はカリフォルニアに注がれているとのことです。

 

参照:ITIF, “The 2017 State New Economy Index”