【今週の大人センテンス】セリーナへの感謝を伝えた大坂なおみの圧倒的な強さ

巷には、今日も味わい深いセンテンスがあふれている。そんな中から、大人として着目したい「大人センテンス」をピックアップ。あの手この手で大人の教訓を読み取ってみよう。

写真:Panoramic/アフロ

第109回 世界が称賛したプレーとコメント

「セリーナと全米の決勝で対戦するのが夢でした。プレーしてくれてありがとう」by大坂なおみ

 

【センテンスの生い立ち】

9月8日にニューヨークで行なわれたテニスの全米オープン女子シングルス決勝で、大坂なおみ(日清食品)が元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズを破って初優勝した。試合は当初から大坂が優勢で、セリーナはイラ立ちをあらわにし、ラケットをコートに叩きつけたり審判に激しく抗議するなどして、1ゲームの剥奪を言い渡されてしまう。異例の事態に場内は主審への激しいブーイングに包まれたが、試合後のインタビューで大坂は、静かな口調で元女王への感謝の言葉を口にした。

 

【3つの大人ポイント】

●異様な雰囲気にのみ込まれずに実力を出し切った
●謙虚な態度で憧れの選手へのリスペクトを示した
●日本人だからではなく、大坂だから言えたセリフ

 

20歳の大坂なおみ選手が、とんでもない快挙を成し遂げました。9月8日に行なわれたテニスの全米オープン女子シングルス決勝で、元世界ランク1位のセリーナ・ウィリアムズをストレートで破って、見事に初優勝。4大大会(グランドスラム)で日本人選手がシングルスで優勝したのは、男女通じて初めてです。まだ若い大坂選手が、この先どんな活躍を見せてくれるのか、日本だけでなく世界中のテニスファンが注目していることでしょう。

 

この試合で大坂が世界に見せつけたのは、テニスの圧倒的な強さだけではありません。試合後のインタビューや記者会見で、大坂なおみというテニスプレーヤーの、そして大坂なおみという人間の「圧倒的な強さ」を見せてくれました。完全アウエーの状況で、しかも異様な雰囲気に包まれる中、試合直後にマイクを向けられた彼女は、こう述べています。

 

“みんなが彼女(セリーナ)を応援していたのは知っています。こんな終わり方ですみません。ただ、試合を見てくださってありがとうございます。(中略)セリーナと全米の決勝で対戦するのが夢でした。プレーしてくれてありがとう。”

 

子どものころから憧れていた女王を破った嬉しさは、いかばかりか。勝利の喜びを全身で爆発させてもいい場面で、落胆しているであろう観客を気遣い、お詫びの言葉を述べ、そしてセリーナへのリスペクトと感謝を伝える――。スポーツ史に残る素晴らしいコメントであり、その謙虚な態度から滲み出る強さが、女子テニス界の「新旧交代」をさらにクッキリと印象付けたと言えるでしょう。

 

ただ、セリーナだってきっとこのままでは終わりません。今後も厳しい攻防が続くはず。試合中の態度が批判されていますが、「テニスは格闘技だ」という言い方もあります。闘志が出すぎてしまうこともあるでしょう。試合後のインタビューでセリーナは「もうブーイングはやめて」と、審判に憤る観客を制し、準優勝のプレートを高々と掲げました。もうそれでいいんじゃないでしょうか。執拗なセリーナ批判は大坂にも失礼です。

 

試合後の記者会見での大坂の受け答えも、大人力にあふれていました。記者から「セリーナが審判に抗議したときに何を思ったか」と尋ねられて、「私は背を向けていたので、何も聞こえなかった」と答えます。真相は彼女にしかわかりません。さらに「なぜ、自らの快挙なのに表彰式で謝罪したのか?」という質問に対しては、こう述べました。

 

“だって彼女が24度目のグランドスラムを手にしたがっていることを知っていたから。試合のコートに入るとき、私は自分が自分とは別の人間であるかのように感じる。もうセリーナのファンではない、と。対戦相手のテニス選手に立ち向かう、もう一人のテニス選手になる。でも、(試合後)ネット越しに彼女と抱き合ったとき、ハグしたとき、(涙で声にならない)、彼女をハグしたとき、私はまた(セリーナがアイドルであった)子どもに戻ったのです。(9月9日「朝日新聞DIGTAL」より)”

 

テレビのこちら側から見ている私たちは、彼女と同じ経験をすることはできません。しかし、彼女のプレーを見て、彼女の言葉を聞いて、彼女が胸に抱いた深い感動や喜びを少しだけおすそ分けしてもらうことができます。それがスポーツのすごさでありありがたさ。応援といえば聞こえはいいですけど、いわば人様の偉業や努力に乗っかってたくさんのプラスの感情をもらっているわけですから、リスペクトと感謝は忘れたくないものです。

 

大坂のコメントを称える声があふれる中で、ちょっと残念だったのが「こういう謙虚なところがやっぱり日本人だ」「あのコメントは日本人にしか言えない」という声が混じっていること。彼女は日本人の母親とハイチ系アメリカ人の父親を持ち、大阪に生まれて3歳まで日本で育ちました。現在のところ法的にはアメリカと日本の二重国籍ですが、テニス選手としての国籍は日本を選んでくれています。しかし、彼女が感動的なコメントをしたのは、日本人だからではなく「大坂なおみ」という人間が素晴らしいからです。

 

彼女のコメントは、たしかに誰にでもできるものではありません。しかし、日本人にしかできないと思うのは、明らかに傲慢です。ほかの国の文化や民族に対する侮辱と言ってもいいでしょう。どこの国にも、素晴らしい人もいればそうでもない人もいるのが大前提。自国の文化に誇りを持つことは大事ですが、他国の文化も同じように尊重し敬意を払う気がないなら、それは誇りでも何でもなく寂しくて情けない虚勢に過ぎません。

 

もし「日本人以外には絶対に言えない」「○○人だったらあり得ない」と本気で思っている人がいるとしたら、あえてこの表現を使いますが「同じ日本人として最高に恥ずかしい」という言葉をお贈りいたします。ネット上だけかもしれませんが、昨今はそういうスタンスを取ることがいかに愚かで残念か、自覚していない人が増えました。断言しますが、そういう人は今後もし大坂が世間から批判されるようなコメントをしたら、手のひらを返して「やっぱり半分は日本人じゃないから」なんて恥知らずなことを言い出すでしょう。

 

そんな風潮に抵抗する意味でも、日本人としてではなく、あくまで大坂なおみというひとりの人間として、試合後の態度とコメントの素晴らしさを称えたいもの。とはいえ、大坂選手が4大大会に優勝して、プレーやコメントが世界から称賛されていることがこんなに嬉しいのは、彼女が日本人だからという要素が大きいのは確かなんですけどね。都合よく便乗させてもらってすいません。ともあれ、優勝おめでとうございます!

 

【今週の大人の教訓】

「日本や日本人だけが特別にすごい」と思いたいのは弱っている証拠

 

【著者プロフィール】

コラムニスト  石原壮一郎

1963年、三重県生まれ。コラムニスト。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。大人の新しい概念と可能性を知らしめ、以来、日本の大人シーンを牽引している。2004年に出版した『大人力検定』は、さまざまなメディアに取り上げられて、世に大人ブームを巻き起こした。近著に『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物である伊勢うどんを熱烈に応援し、2013年に世界初の「伊勢うどん大使」(三重県製麺協同組合&伊勢市麺類飲食業組合公認)に就任した。

 

FBページ「伊勢うどん友の会」:http://www.facebook.com/iseudontomonokai

 

大人力ブログ:http://blog.otonaryoku.jp/

またやった! 錦織出場のUSオープンでキリオスが唐突な「股抜きショット」

テニスの4大大会(グランドスラム)最終戦、USオープンが先日開幕した。

 

日本は“2トップ”といえる男子シングルスの錦織圭、女子シングルスの大坂なおみがともに2回戦を突破。3回戦ではそれぞれディエゴ・シュワルツマン、アリャクサンドラ・サスノビッチと対戦する。

さて、そんなUSオープンで魅せてくれたのがオーストラリア人のニック・キリオスだ。

 

変幻自在のショットで知られる23歳が1回戦のラドゥ・アルボット戦で、またやった!

鋭いサービスからペースを握ると、突然の股抜きショット!コースが甘かったため返されてしまったのだが、何事もなかったかのような冷静なカウンターでさらりと仕留めた。デュースでアドバンテージを持っていたとはいえ、そこでやる??

 

Switch 🔛🤫 #usopen #whatelseyougot

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こういった“ふてぶてしさ”も魅力のキリオス。こちらも順調に勝ち上がっており、次の3回戦では10年ぶり6度目のUSオープン制覇を狙うロジャー・フェデラーと対戦する。

ウィンブルドン、ジョコヴィッチ対ナダルのスーパーラリーが何度見てもスゴイ!

テニスの4大大会(グランドスラム)、ウィンブルドンは現地時間7月15日に最終日を迎えた。

 

男子シングルス決勝では、ノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア)がケヴィン・アンダーソン(南アフリカ)にセットカウント3-0で完勝。3年ぶり4回目の優勝を果たした。

1年以上ケガに苦しめられてきたジョコヴィッチだが、今大会はついに本領を発揮。準々決勝で錦織圭(日本)を破ると、「事実上の決勝戦」といわれたラファエル・ナダル(スペイン)との準決勝では、2日がかり5時間15分に及ぶ死闘を制した。

 

そのナダル戦、こんなスーパーラリーも話題に!

 

最後はナダルの見事なドロップショットで決したが、この試合はジョコヴィッチの安定感が光った。最終セットもお互い譲らず第18ゲームまでもつれ込み、ミスが目立ちはじめたナダルに、ジョコヴィッチが10-8で競り勝っている。以下は試合のハイライト。

 

世界ランキングも大会前の21位から10位へ浮上したジョコヴィッチ。ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダルに続く“No.1プレーヤー”の復活劇により、男子テニス界は再び活気を帯びている。

196cmの大男がまさか! テニスのマスターズで飛び出した「可愛すぎるリターン」を見よ

5月27日から開幕するテニスの4大大会(グランドスラム)、全仏オープン。この大会を前に、日本の錦織圭(ランキング24位)が調子を上げている。

錦織は4月のモンテカルロ・マスターズで準優勝。現在はローマで開催されているBNLイタリア国際に出場しており、順当に1回戦を突破。2回戦では第3シードのグリゴール・ディミトロフ(ランキング4位)と対戦する。

 

“赤土の王者”を決める全仏は、2015年と2017年に準々決勝へ進出。このまま勢いに乗って本番に臨みたいところだ。

 

その錦織も出場した先日のムチュア・マドリードOP(ATPマスターズ1000)は、大本命のラファエル・ナダル(ランキング2位 ※大会時は1位)が準々決勝で敗れる波乱があった大会。決勝はそのナダルを破ったドミニク・ティームとアレクサンダー・ズベレフの対決となり、ランキング3位のズベレフが大会初優勝を飾った。

 

そしてマドリードOPでは、こんなプレーも話題に。

ミロシュ・ラオニッチが2回戦のディミトロフ戦で見せた、珍しいリターン!

 

ラオニッチは196cmの長身プレーヤーで、いわゆるボディへの強烈なサーブに対して懸命に反応。その結果、どうにも可愛いらしいリターンになってしまったようだ。しかも良いところへ返しているのがスゴイ……。

 

試合のほうはといえば、ラオニッチがセットカウント2-1で勝利。この“ほっこりプレー”で流れを呼び込んだ?

錦織圭、復活! 準優勝したモンテカルロ・マスターズのスーパーショット9選

男子テニスで4大大会(グランドスラム)に次ぐ格付けのマスターズ。そのモンテカルロ大会が現地時間4月22日、シングルスの決勝を迎え、日本の錦織圭が世界ランキング1位のラファエル・ナダルに敗れたものの、準優勝に輝いた。

右手首の腱損傷により昨年8月以降欠場を余儀なくされていた錦織。リハビリが間に合わず今年の全豪オープンも出場を見送り、2月にようやくツアーへ復帰した。

 

長期離脱の影響で一時4位だった世界ランキングは30位台まで落ちたが、今大会では初戦でトマーシュ・ベルディハ(ランキング18位)を破ると、その後も快進撃。準々決勝でマリン・チリッチ(同3位)、準決勝でもアレクサンダー・ズベレフ(同4位)との激闘を制し、見事に決勝進出を果たした。

 

決勝の相手は、現在世界トップのナダル。錦織は果敢に挑んだものの決勝までの試合時間による疲労度の差もあってか3-6、2-6の完敗を喫し、4度目のマスターズ決勝で念願の初優勝を飾ることはできなかった。

 

ただ、今シーズン初のクレーで「復活」を強く印象付けたことは間違いない。『Tennis TV』がまとめた今大会のスーパーショット9選もそれを物語っている。

好調時を思わせる体とボールのキレ! 今回の結果によりランキングも22位まで上昇している。

錦織は今週、過去に2度(2014年、2015年)優勝しているバルセロナ・オープンに出場。順調にいけば3回戦で再び“赤土の王”ナダルと対戦する。

テニスツアー最終戦でソックが絶好調!フェデラー相手に“面白プレー”連発

2017年のATPツアーもいよいよ最終戦。上位選手によるATPファイナルズがイギリス・ロンドンで開催されている。

 

世界ランキング1位のラファエル・ナダル(スペイン)が初戦後に怪我で大会を棄権した一方、同2位のロジャー・フェデラー(スイス)は安定した強さを見せている。そしてなんといっても、現在絶好調なのがジャック・ソック(アメリカ)だ。

これまで主にダブルスで実績を残してきたソック。2011年全米オープン混合ダブルス優勝、2014年ウィンブルドン男子ダブルス優勝、さらには2016年のリオデジャネイロ五輪でも混合ダブルスの金メダルを獲得している。

 

そんな彼が、今大会直前、第16シードで出場したロレックス・パリ・マスターズでマスターズ1000初優勝。世界ランキングを9位まで上げたことにより、同7位のスタン・ワウリンカ(スイス)の負傷欠場で空いた出場枠に滑り込むと、同5位のマリン・チリッチ(クロアチア)、同3位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を下して見事準決勝進出を決めたのだ。

 

しかも、敗れた初戦のフェデラー戦でも、こんな面白プレーを見せていた。

フェデラーに与えてしまったチャンスボールに対し、お尻を向けるまさかの行為でミスを誘うと、第2セットにも流れの中から自然体の股抜きショット!こちらはフェデラーが鮮やかに対応したが、これだけを見ても圧倒的な調子の良さをうかがわせる。

 

準決勝の相手はまだ決まっていないが、チリッチ、ズベレフを破り“怖いものなし”の25歳がどこまで行けるのか楽しみだ。

世界ランク1位のナダルがやられた!唐突すぎる「股抜きショット」がおもしろい

グランドスラム(4大大会)がすでに終了した2017年のテニス界。ATPワールドツアーもいよいよ佳境を迎えており、11月12日から19日にかけてはランキング上位選手によるNitto ATPファイナル、同24日から26日には国別対抗戦のデビスカップ決勝が開催される。

デビスカップ、今年の決勝はフランス対ベルギー。初優勝を目指すベルギーはもちろん、フランスも9度目の優勝を果たした2001年以降、2002年、2010年、2014年と3度決勝で敗れており、地元での決戦に向けて燃えているに違いない。

 

さて、そんなATPワールドツアー、先日開催されたマスターズ1000のロレックス・パリ・マスターズにおいて、非常にユニークなプレーが見られた。男子シングルスの3回戦、ラファエル・ナダル(スペイン)対パブロ・クエバス(ウルグアイ)の試合でのことだ。

世界ランク1位ナダルがサーブから相手の短いショットで前へ。「どこへ打つ」と観客がクエバスの“次の一手”に注目した場面だが、「どうやって打つか」を気にかけたファンはほとんどいなかったに違いない。

 

ボールに対して正面で待ち構えたクエバスが繰り出したのは、まさかの股抜きショット!さすがのナダルもこれは想定外だったようで反応できず、ボールは見事なコースに決まりクエバスのポイントとなった。リプレイで映し出された男の子の表情がとっても印象的なスーパーショットだ。

 

なお、この試合をセットカウント2-1で制したナダルだったが、ひざの負傷により次の準々決勝は棄権。大会は第16シードから勝ち上がったジャック・ソック(アメリカ)が制している。