丸くなるな、トガっていけ! 大人も満足させる最高の鉛筆削りはオブジェ用途も満たす

【ド腐れ文具野郎・古川 耕の文房具でモテるための100の方法】

No.076

カール事務器「アイン」
3456円(税込)

精度と耐久性に優れた日本製の刃を搭載した卓上鉛筆削り。芯の露出幅が長い弓なり形状に削り上げる。大型で丸みを帯びたボディは、子どもの手にもしっかりフィット。ガタつかず安定して削ることができる。色は2色。

 

ミッドセンチュリー風の新しい鉛筆削りでスタイリッシュにモテる

久しぶりのひと目ぼれでした。鉛筆削りの名品「エンゼル 5」を世に出したカール事務器が新たに発売した鉛筆削り「アイン」。その強烈なチャームに抗えず、普段はまるで鉛筆を使わないのに、すぐさま取り寄せてしまいました。それくらい好き。

 

余計なパーツを廃した大胆なフォルムと配色はどこかレトロで人懐っこく、まるでミッドセンチュリー風家電のようにモダンであたたかみがあります。実物は意外と大ぶりで、プラスチックの材質とも相まって、手で押さえたときの安定感も充分。もちろん削り機構の性能と使い勝手は安心のカール製なので問題なし。見た目と実用性を兼ね備えた、いままでありそうでなかったユニバーサル鉛筆削りと言えるでしょう。

 

もちろん、それまでの鉛筆削りに不満なんてありませんでした。いや、そもそも鉛筆削りを買うつもりなんてなかったのです。ところが、優れた道具はニーズを後付けで呼び覚まし、それどころか既製品を相対化するような新たな視点を与えてくれます。こうした「モノ先行型」の発見が筆者は大好きです。そこにはニーズによって生み出された道具にはない、大きな「ジャンプ」があるから。その跳躍が道具のみならずユーザーをも進化させ、選択肢の自由をもたらしてくれるのです。

 

学童用鉛筆削りの最先端はコレ!

ソニック「トガリターン」
1944円(税込)

学童用の文房具メーカー・ソニックが昨年発売した鉛筆削り。ハンドルを回し続けているだけで、削り終わった鉛筆が自動で輩出される機能を備えている。

 

【プロフィール】
古川 耕
放送作家/ライター。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」「ジェーン・スー 生活は踊る」などを担当。

 

雑誌「GetNavi」で連載中!

 

「道具としての完成度は国産時計を支え続ける技術力がゆえ」TRUMEの魅力を解き明かす––ディテール編

国産マニュファクチュールとしてセイコーエプソンが培った技術の粋を結集したTRUMEという腕時計があります。このブランドに込められた先進機能やこだわりの外装。その魅力の所存を、最新作となる「M Collection」から解き明かしていきます。今回は、細部のこだわり編です。

 

 

 

最先端技術を備えながら「時計らしさ」を表現する

 

「TRUME」に宿るのは、1976年の時計製造の歴史を持ち、多くのムーブメントや先進技術を生んだウオッチメーカーとしてのエプソンの矜持です。

 

高度、気圧、方位、現在地からあらかじめ登録した地点に戻る「ウェイポイント機能」など、身に着ける人の瞬間を計り尽くす最先端の機能などは1stモデルから継承。さらに「時計らしさ」を意識したデザインに仕上げられているのが、今回の「M Collection」といえます。

 

アクティビティを標榜するモデルならば視認性は高める必要があると、文字盤やベゼルに刻まれたアラビア数字にはオリジナルの「T2フォント」を採用。これは古くから使われてきた機械彫刻用の文字を、このモデルのためにリデザインしたものです。

 

ポリッシュの具合がケースと好相性なベゼルはセラミックにレーザー刻印で目盛りを刻み、風防には傷に強いサファイアガラスを採用。これに光の反射を抑えるASRオーティング処理も施されています。

 

 

TRUMEを楽しむための3つのポイント

TRUMEは外装やデザインにも伝統の職人技が生きています。仕上げはもちろん、数字のフォント作りにまでこだわった粋な時計なのです。

 

POINT1/ケースの経年変化を楽しめる無骨なヘアライン仕上げ

 

ケースやブレスに用いた純チタンは無骨なヘアライン仕上げが素材感を強調。キズが目立つポリッシュ仕上げと異なり、静かに蓄積した使用キズを“味”として楽しめる出来栄えで、ユーザーとともに経年変化=エイジングする楽しさを享受できます。チタンの採用でアクティビティをより活発にする軽量性も獲得しています。

 

POINT2/古き良き時計作りの技を復古! こだわりのフォント作り

モード針は特殊な形状を採用。この針は国際信号旗を想起させる色使いで、細部にわたってヨットモチーフにこだわった

 

1人の時計師が1本ずつ腕時計を作っていた古来、文字盤に記される数字はすべて職人の手書きでした。TRUMEはその精神を現代に甦らせ、インダイアルやベゼルに配される数字に自社でゼロから生み出した「T2フォント」を採用。カメラのライカにも用いられているテイストで、質実剛健ながら色気のある印象となっています。

 

POINT3/腕時計ストラップで初めてホーウイーン社製レザーを採用

左は2か月使用したもの。右の新品と比べ明らかに味が出ている

 

 

ホーウイーン社製クロムエクセルレザーは一般の革と異なる個性を持っています。キズがついてもブラシで手入れすれば消えるようになじむ一方、革は表面のみを染めているため退色し経年変化による独特の風合いを醸し出していきます。着用時の体温によって革の柔らかさも変化するので、寄り添うようにフィットする点も特徴です。

 

CHECK!/バネ棒までこだわりのチタン製

 

 

本機は、バネ棒やそれを覆うパイプまでチタンにこだわっています。ここまで手をかけるにはコストとの戦いが想像されますが、これこそ細部にわたって道具としての強度を追求した結果なのです。

 

TRUME「M Collection」(右から)25万9200円/Ref.TR-MB7003
27万円/Ref.TR-MB7004
25万9200円/Ref.TR-MB7005(ナイロンバンド付属)

 

 

ケースなどの金属パーツはすべてチタンが使われていますが、バネ棒までチタンを使うこだわりようは圧巻。あらゆる分野とディテールを磨き上げた技術力が、本機を唯一無二のものにしているのです。

 

TRUME https://www.epson.jp/products/trume/

TRUMEお客様相談室 TEL : 050-3155-8285

 

 

 

デザインコンシャスな「プレゼント家電」

毎日の生活に欠かせない家電製品。特に最近のキッチン家電やインテリア家電は、おしゃれなカラーやデザインのものが増えていて、買い替えを検討している人も多いのでは? プレゼントシーズンでもある今、その中でも大切な人や友人、家族に贈りたくなるような、デザインコンシャスな家電に注目。暮らしを豊かにする家電製品を、“うふふ家電”と名付け提案している、家電+ライフスタイルプロデューサー・神原サリーさんに、今おすすめの最新家電をご紹介いただきます。もちろんお気に入りを見つけたら、自分へのプレゼントにしてもいいですね。

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もう迷わない! たくさんある家電からお気に入りを見つけるコツ

素敵な家電を見つけた! と思っても、なかなか購入にまで踏み切れないことはありませんか? 口コミでの評判はどうだろうとか、他のメーカーの機種とも比べたほうがよさそうだな、とか。そうこう悩んでいるうちに、結局購入から遠ざかってしまうというのも、ありがちな話です。

 

というわけでプレゼントにおすすめの家電についてうかがう前に、サリーさんにそもそもの家電選びのコツを教えてもらいます。

 

「最近の家電は、機能面はどれもほぼ整っています。だからこそ今は『自分の感性にあったもの』を選ぶのが、一番おすすめの選び方。やはり他でどんなに高評価を得ているものでも、自分と共鳴しないものは使わなくなってしまいますからね。

 

私の場合は、見た目はもちろんですが、触り心地やボタンを押す時の感触なども重視しているポイントです。日々使うものですから、触れた時の感覚がうれしいと、使うたびに幸せな気持ちになれると感じています」(サリーさん・以下同)

 

なんとも家電選びが楽しくなるアドバイス! 特にすでにある物の買い替えではなく、プラスαで新たな機能の家電を採用する場合は、購入後の「わくわくする暮らしが想像できるものを選んで」とサリーさん。

新しい家電を手に入れることで、暮らしそのものが変わる。今、家電にはそんな可能性もあるんですね。

 

 

プレゼント選びは、贈る相手の暮らしを思い描いて選ぶこと

では、いざ贈り物としての家電を探す場合は、どんなことに気をつけたらいいでしょうか?

 

「プレゼント用の家電も、基本的にはご自分が“うふふ”となるものから選んでよいと思います。だってそういうものって、誰かにあげたくなりますよね。その中から、贈りたい方の暮らしのスタイルや、ご自宅のインテリアに溶け込んでいる様子を想像できる物を選ぶのがよいと思います。もしくはそういったことも含めて、“おすすめ”という形で家電を選んで贈るのも素敵ですよね!」

 

毎朝コーヒーを飲むあの人には、よくホームパーティを主催してくれるあの人には……。そういうふうに想像を巡らせていくと、プレゼント家電を選ぶのがますます楽しくなりそうです。

 

なお、どこに行けば素敵なデザインの家電に出会えるか迷っている人には、「最近は家電量販店だけではなく、百貨店やインテリアショップにも素敵なデザインの家電が置いてあるので、そういうお店にも探しにいってみては」と、アドバイスもいただきました。
 

置くだけで絵になるデザインコンシャスなリビング家電

使っていないときでさえ、部屋にあるのがうれしくなる。それがデザインコンシャスなリビング家電の条件です。そんな基準で神原さんに選んでいただいた4点をご紹介します。

 

日本の美にインスパイアされた限定カラーが登場
B&O PLAY「Beoplay A1」

 

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B&O PLAY「Beoplay A1」実売価格:2万9900円、通信方式:Bluetooth Ver.4.2、連続再生時間:最大24時間
http://kanjitsu-boplay.jp/speakers/a1.html

 

北欧のオーディオブランド、B&O PLAYのBluetoothスピーカー。男性なら手のひらにおさまるコンパクトなサイズで、重さはわずか600g。マットな質感がインテリアにさりげなく溶け込むのはもちろん、旅先にも連れて行けるという、アクティブかつ、エレガントな一品。限定カラーはバイオレットとアンバー。
「毎シーズン、世界各国の都市をテーマにした新色を発表しているのですが、今年は日本が選ばれて、2色の限定カラーが発表されています。まさにプレゼントとして選ぶのに最高のタイミング。九十九里の浜辺に暮れなずむ夕闇のあめ色を切り取ったという『アンバー』は、とても美しいですよ」

 
美しいシェープに目を奪われる
「Bottled」

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ambienTec「ボトルド BL001-02S」実売価格:3万1320円、光源:LED、最長点灯時間:LOW100時間/MID24時間/HIGH8時間/EX-HIGH4時間
http://www.ambientec.co.jp/products/bottled/

 

灯りをそのままワインボトルに閉じ込めたようなデザインの「Bottled(ボトルド)」。コードレスのLEDランプだから、部屋から部屋へ持ち運べ、置く場所にやわらかな光と、ドラマティックなムードを創り出してくれます。低発熱LEDなのでベッドやソファなどに、無造作に置いておいても大丈夫。自宅でくつろいだ時間を過ごすのがお好きな方にぜひ。
「私のおすすめはアウトドアに持って行く使い方。この美しい姿とやさしい光は、キャンプなどアウトドアで過ごす夜をより上質なものにしてくれると思います。心も癒されるし、充電の持ち時間も長いので安心です」

 
アクセサリーのような輝きを放つ
DENSO「ワインセーバー」

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DENSO「ワインセーバー」実売価格:1万800円、電源方式:単三充電式ニッケル水素電池または、アルカリ乾電池2本(別売)
https://www.denso.com/jp/ja/products-and-services/consumer-products/winesaver/

 

ボトルに残ったワインを真空保存できるワインセーバーは、ワイン好きの人なら絶対に喜んでくれそうなプレゼント。真空状態でワインの酸化を抑制し、フレッシュな香りや果実味をキープしてくれます。
「付属の栓を差し込んで本体をかぶせれば、自動で真空化がスタート。ライトが点滅した後、真空化が終わると自動で止まるので、機能性も抜群です。とにかくデザインが美しいので、贈り物としてもおすすめです」

 
ふわふわあったかで癒される
ルルド「ホットネックマッサージピロー」

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ルルド「ホットネックマッサージピロー」実売価格:8424円、ヒーター温度特性:60℃以下、タイマー:10分自動OFF、電源コード:2m
http://www.atex-net.co.jp/products/health/hxl191/hxl191.html

 

三日月型で体のどこにでもぴったりフィットする、ルルドのホットネックマッサージピローから、2017年秋冬限定、エコファー素材のグレーとピンクの2色が登場。ヒーターとマッサージ機能がついているので、寒い夜も癒されること間違いなし。
「触り心地が気持ちよく、通電していなくても癒されるクッションです。枕代わりに使うのもおすすめ。特に秋冬モデルはエコファーの素材はもちろん、しっぽ付きのデザインも魅力的。こういう遊び心も、贈り物には必要ですよね!」

 

 

食卓を彩り豊かにするデザインコンシャスなキッチン家電

デザインやカラーのバリエーションが近年特に増えているキッチン家電。台所に閉じ込めておくのがもったいなくなるような、デザインコンシャスなものもたくさんあります。その中でもサリーさんがイチ押しする3点をおすすめいただきます。

 

料理がアートに!
プリンセス「テーブルグリルストーン」

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プリンセス「テーブルグリルストーン」実売価格:2万1600円、本体サイズ:W614mm×H70mm×D222mm(台座含む)、温度調節:250℃までの無段階調整
http://princess-jp.com/product/detail?id=1268

 

今までにないおしゃれなデザインのホットプレートとして世界中で人気を博している、オランダの家電ブランド、プリンセスの「テーブルグリルピュア」から、日本先行モデルのストーン調デザインが登場。カラーはホワイト、グレー、ブラック。少ない油で250℃という高温調理が可能なため、素材の味を最大限に引き出してくれます。家族での団らんを大事にする友人に、もしくはホームパーティー好きな自分へのプレゼントに、どちらにするか迷ってしまいそう。
「これ自体がインテリアになるデザインで、使っていないときには果物などを飾っておいても素敵です。また食材が映えるので、焼くときの並べ方にこだわったりと、今までにない楽しみ方ができるのもうれしいですね。幅が狭く、テーブルに置いても他の食器を置くスペースがちゃんととれるのも、じつはおすすめポイントのひとつ。ただフチがないので小さなお子さんのいる方に贈るのは、避けたほうがよいかもしれません」

 
シックなネイビーカラーが珍しい!
レコルト「ホームバーベキュー」

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レコルト「ホームバーベキュー」実売価格/9720円セット内容:本体、バーベキュープレート、フラットプレート、フタ、水トレイ、ヒーターセット、フタスタンド、専用レシピブック
http://recolte-jp.com/products/home-bbq/

 

食卓でBBQが楽しめるテーブルクッキングプレートの中でも、サリーさんがおすすめするのがこのレコルト「ホームバーベキュー」。分厚いステーキも美味しく焼けるほどの火力と、高温度の設定が可能です。ヒーターが取り外せて、本体を丸洗いできるという使い勝手も魅力のひとつ。カラーはレッドとネイビーの2色。ポップなカラーが増えているキッチン家電の中で、ネイビーは男性にも贈りやすいスタイリッシュさを兼ね備えています。
「自宅でも高頻度で活躍してくれているホームバーベキュー。温度復旧が早いのでどんどん焼き上がって、焼き待ちの時間がないほどです。うれしいのは下に水を入れて使う仕組みのため、煙が出ないこと。またオプションでたこ焼きプレートや蒸しプレートなどもあるので、ちょっとずつ買い足していく楽しさも贈れるのではないでしょうか。付属でついてくる専用のレシピブックがとても素敵。こちらもぜひ見ていただきたいです!」

 
コンパクトで、贈りものにぴったり
ネスプレッソ「エッセンサミニ C30/D30」

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ネスプレッソ「エッセンサミニ C30/D30」実売価格:各1万1880円、水タンク容量:約0.6L、抽出タイプ:カプセルタイプ、ポンプ最大圧力:19気圧
https://www.nespresso.com/jp/ja/essenza-mini-coffee-machine

 

ネスプレッソ史上、最小・最軽量の、カプセル式コーヒーメーカー。ミニマルなデザインながら優れた品質は変わらないまま。40mlと110mlの2つのカップサイズを選べ、フォームミルクと合わせればカプチーノなどのメニューも楽しめます。
「『C30』はスリムな長方形で、インテリアの邪魔をしないデザイン。『D30』は丸みのある台形型でポップなカラーバリエーション。インテリアのアクセントになってくれます。どちらもすでにインテリアが整っている家にも、すっとなじむコンパクトさとデザインなので、気兼ねく贈ることができると思います」
読みながら贈りたい人が思い浮かんだり、自宅で使っている様子が想像できたりしたでしょうか?「家電は使った先に、本当の幸せがある」とはサリーさんの言葉。自分用の家電を買うときも、贈り物用に買うときも、心にとめておきたい言葉です。デザインコンシャスな家電とは、暮らしまでもデザインコンシャスにしてくれる家電のことなのかもしれませんね!

 

 

※価格は2017年12月20日時点の参考価格(税込)です。

 

 

Profile

 

家電+ライフスタイルプロデューサー / 神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、家電+ライフスタイルプロデューサーとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、家電分野を中心に執筆や商品企画、コンサルティング等幅広く活躍。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞等のメディアへの出演・掲載も多数。

 

 

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

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Braun、そしてAppleの風化しないデザイン…両者の関係は単なるコピーではない ライフスタイル

ロンドンは、博物館・美術館が大変充実しています。テレンス・コンランが設立したロンドンのデザイン・ミュージアムはケンジントン地区に移転し、2016年にリニューアル・オープンしました。様々なカテゴリーのデザイン展示がされていますが、その中でも目を引くのが、家電~エレクトロニクス分野でのデザインに関する展示です。Braun、Sony、Appleがこのカテゴリーでのデザインにおける重要ブランドとして選ばれています。

デザイン・ミュージアム・ロンドンデザイン・ミュージアム・ロンドン

 

私自身はデザイナーではありませんが、プロダクトをリサーチしていく上で、(カテゴリーによって差はありますが)デザインは顧客にとってブランドの価値を決める重要な要因となります。デザインがブランド価値に貢献した模範となるのが、現在世界で最も高い企業価値を誇るAppleです。Appleのデザインを理解する上で、その源流とも言えるデザイン・フィロソフィーを作り上げたのは、ドイツのBraunです。例えば、こちらの動画にある50年代末から70年代までのBraunとAppleのデザイン比較を見れば、その相似性に驚きます。

 

■ディーター・ラムスが作り上げたBraunのデザイン・フィロソフィー

Braunデザインの基盤を作り上げたのが、1955年にBraun社に入社し、1961年から1995年までBraunのCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)として500以上の製品に関わってきたディーター・ラムスです。彼は「より少なく、しかしより良く(Less But Better)」という信条をもとに、10ヶ条からなるGOOD DESIGNであるためのデザイン・フィロソフィーを提唱しました。

 

革新的である(is innovative)

製品を便利にする(makes a product useful)

美しい(is aesthetic)

製品を分かりやすくする(makes a product understandable)

慎み深い(is unobtrusive)

正直だ(is honest)

恒久的だ(is long-lasting)

首尾一貫している(is thorough down to the last detail)

環境に配慮する(is environmentally friendly)

可能な限りデザインをしない(is as little design as possible)

(Wikipediaより引用)

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デザインに絶対的正解はないと考えますが、Braun、そしてAppleの風化しないデザインを生み出した源は、ラムスの原則にあると言えるでしょう。2009年に府中博物館で「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代 ー機能主義デザイン再考」 というタイトルで、ディーター・ラムス展が開催されました。この時のインタビューで、ラムスはAppleのCDO、ジョナサン・アイブを評価しており、こう答えています。

 

「アップルのデザインは私のデザインのコピーなどではなく、私の過去の仕事に敬意を表してくれていると思っている」

「ドイツの巨匠 ディーター・ラムスに学ぶ、真のデザイン」より

 

■Braunの歴史を紐解く博物館「BraunSammlung」

ここでBraun社の歴史を紐解いてみましょう。

 

Braunは、1921年にマックス・ブラウンによってフランクフルトの近くクロンベルクに設立されました。現在は電動シェーバーが代表的な製品となりますが、ラジオの部品から始まり、ラジオ本体、そして50年代にはオーディオ分野へと発展して行きました。ラジオが出発点という意味ではSonyに近いです。

 

また、50年代には現在のBraun事業の核となる電動シェーバーの生産販売が始まりました。1967年に、剃刀で知られるGillette社が出資を始め、1984年にはGillette社の完全子会社となりました。Gillette社としては、髭剃り市場がウェットシェービング(剃刀)、ドライシェービング(電動シェーバー)のどちらに行っても成長できる両面構えの戦略です。2005年にはP&G社がGillette社を買収したことで、Braun社はP&Gの子会社となり、現在に至っています。また、シェーバー関連以外の製品に関しては、De’Longhi社などが販売しています。

 

私はP&Gにいた時代に、仕事でクロンベルクのBraun社を訪れたことがあります。Braun社には「BraunSammlung(Braun Collection)」と呼ばれるBraunの歴代の商品展示がされたBraun博物館があります。90年以上の歴史を振り返る約300点の展示がされています。もともとBraunのデザインに憧れていた私としては、特にラムス時代のBraunデザインは見る価値がありました。フランクフルトまで来られた方には是非、この博物館まで足を延ばすことをお勧めします。

 

BraunSammlung(火~日:11時~17時)

 

■電動シェーバーのシェア争い

電動シェーバーの金額シェアは、日本ではPanasonicがトップで、Braun、Philipsと続きますが、世界市場では、Philipsが1位、Braunは2位となります。BraunとPanasonicは往復式(Foil)、Philipsは回転式(Rotary)の電気シェーバーを主力とし、往復式ではBraunは世界トップとなります。2016年に京都芸術劇場で行われた日独デザインシンポジウム「デザイン、何処にか行き給う―ディーター・ラムス、日本のデザイナーや学生と語る」で、ラムス氏の講演を聴く機会がありました。彼の発言から、現在のBraunは彼が作り上げたデザイン・フィロソフィーが十分活かしきれていないとの思いが読み取れました。

 

電動シェーバーとしてBraunは性能的には評価が高いブランドですが、ディーター・ラムスのデザイン・フィロソフィーを重要な資産として活用していく事で、Braunのブランド価値はさらに上がる可能性があると私見ながら考えます。個人的には、ウェットシェーバー(剃刀)派なので、Braunデザインのパワー剃刀ホルダーなんてあれば、是非欲しいです。

 

【著者プロフィール】

プロダクト・リサーチャー・四方宏明

1959年京都生まれ。神戸大学卒業後、1981年にP&Gに入社。以降、SK-II、パンパースなど、様々な消費財の商品開発に33年間携わる。2014年より、conconcomコンサルタント、WATER DESIGN顧問として、商品、サービス、教育にわたる幅広い業種において開発コンサルティングに従事する。パラレルキャリアとして、2001年よりAll Aboutにてテクノポップ・ガイドとしてライター活動を始め、2016年には、音楽発掘家として世界に類書がない旧共産圏の電子音楽・テクノポップ・ニューウェイヴを網羅する『共産テクノ ソ連編』を出版。モットーは「“なんとなく当たり前”を疑ってみる」。

四方宏明の“音楽世界旅行”:http://music.sherpablog.jp/

とんでもない快挙だ! 世界的なデザインコンペで新潟の地酒が1位を獲得

新潟県の麒麟山酒造(東蒲原郡阿賀町)による日本酒が、世界的なパッケージデザインコンペティション「ペントアワード 2017」において、飲料部門・最高位のプラチナ賞を受賞しました。「ペントアワード」は2007年1月の創設された、世界で最も権威があるとされるパッケージデザインのコンペティションです。

 

毎年、世界中から応募作品が寄せられ、著名なデザイナーや大手企業のパッケージデザインディレクターからなる12名の国際審査員によって審査されます。 審査は55種類以上のカテゴリーで行われ、そのなかから飲料、食品、ボディ、ラグジュアリー、その他の主要5部門それぞれにプラチナ、金、銀、銅の各賞を授与。さらに全体の最優秀作品としてダイヤモンド賞1点が選ばれます。

 

シンプルなデザインが評価され飲料部門の1位を獲得

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今回受賞したのは、麒麟山酒造が製造する長期熟成吟醸原酒「紅葉 金(もみじ きん)」。パッケージデザインでは、シリーズが持つ味と背景を直感的に伝えるため、木々が色づくように旨みが増すイメージを表現。ふだん日本酒を飲まない層にもアピールすべく、紅葉を一枚配しただけのシンプルなデザインとしたところ、「ペントアワード」の国際審査員にも高く評価されました。デザインを担当したのは新潟市のデザイン事務所・フレームの代表取締役、石川竜太氏。

 

受賞した「紅葉 金」は、歴代の杜氏が3代にわたって守り続けた熟成酒で、2016年11月に1000本限定で特別販売されたもの。その酒質は、二十年以上の長い熟成を経て淡い琥珀色となり、蜜のような芳醇さとまろやかな酸味を併せ持つ、奥深い味わいだといいます。ぜひ味わってみたいところですが、本品は特別蔵出し商品のため2017年は販売しないとのこと。販売する際は、そのつどアナウンスするといいます。

20171110-s2 (3)↑ペンドアワードのプラチナ賞を受賞した「紅葉 金」

 

なお、麒麟山酒造は、使用する9割以上の米を地元・阿賀町産の米でまかない、酒の劣化を防ぐために述床面積2000㎡の貯蔵棟を建設するなど、先進的な取り組みで注目を集めている蔵。新潟の淡麗辛口(※)の魅力を広く伝えことにも注力しており、受賞はその活動の一部が実を結んだ形です。今後、より注目を集めるのは間違いなく、全国の蔵元の良いモデルケースになるという意味でも、日本酒界全体への好影響が期待できそうです。

※淡麗辛口…甘味と酸味が少なく、さっぱりしている日本酒の味を表す言葉

20170919-s3-1-1↑麒麟山のレギュラー酒のラインナップ。こちらも受賞酒と同じく石川氏によるデザイン

 

麒麟山酒造では常浪川の伏流水を仕込み水として使用し↑麒麟山酒造がその伏流水を仕込み水として使用する常浪川の風景