フランスの「モノ作り」に地殻変動。パリ13区に出現した広大な施設「Station F」とは?

「フランス国内から次世代のGoogleを生み出し、生き残っていくために全力を尽くす」

 

2013年11月、パリで新しいスタートアップ支援策の「フレンチテック(La French Tech)」が発表されました。フランスを“デジタル共和国”にするため、政府が主導するという形で誕生したこの国家プロジェクト。テクノロジー産業の次の巨人を作るというモットーのもと、目覚しいスピードで進行しています。

最初の1年間で国内のテクノロジーエコシステムを整備すると、15年にはギアを一段アップ。ヴァルス内閣で当時の経済・産業・デジタル相だった現エマニュエル・マクロン大統領が、フランスのスタートアップを世界各国の主要テクノロジーハブとつなぐ、新しい「エコシステム」の構築を発表しました。現在もフランスはスタートアップ企業と起業支援団体間のネットワーク形成に向け、精力的に取り組んでいますが、そんななか17年6月に誕生した「Station F」はフランスのスタートアップ支援事情を語るうえで欠かせない存在です。

 

Station Fは、パリ13区にかつて存在した3万4000平方メートルもの広大な旧鉄道車庫を利用してつくられた世界最大級のインキュベーション施設。仏インターネット通信大手グループ「Iliad」の創業者で著名な投資家でもあるグザヴィエ・ニール氏が出資し、厳正な審査を通過した1000社を超えるスタートアップ企業が利用しています。

施設の創業パートナーとして支援を行う企業にはFacebookやAmazonなどアメリカのIT大企業が名を連ね、共同のワークショップスペースには3Dプリンターやレーザーカッターも完備。ここでは開発製品などの試作ができ、施設は365日24時間利用可、シャワーやロッカールームまでもが用意されているという手厚さです。

海外企業や投資家も注目

Station Fの大きな特徴のひとつは、従来のインキュベーション施設の多くが大学の研究機関との提携、共同開発を行うプラットフォームであったことに対し、国内外の起業家に広く門扉を開いているところ

 

そのため、海外起業家からの注目度も高くStation Fでは英語が共通語なので、入居者はフランス語が話せる必要はありません。アメリカやイギリス、中国、インドからの申請者も多いと言われています。

 

JETROのレポートによると、ヨーロッパのスタートアップ支援先進国では、17年1~8月期における各国のベンチャーキャピタルからの資金調達総額がイギリスでは23億ユーロ(同2978億円)、ドイツが11億ユーロ(同1424億円)であるのに対して、フランスは27億ユーロ(約3496億円)に達しています。このことからもStation Fの注目度の高さが伺えるでしょう。

 

「世の中を変えることができるのは、政治家よりも起業家だ」と、地元紙のインタビューで語ったグザヴィエ・ニール氏。このStation Fの誕生により、保守的で歴史的に新興ビジネスが冷遇されていたフランス社会に風穴を開け、国際的なイメージを一新させたいという狙いがあったのです。

 

単なるインフラストラクチャーでは終わらない

Station Fにおける事例のひとつに格安航空券を10秒以内で検索できるサイトを構築したスタートアップ企業「ユリス・トラベル」があります。

 

現在はビジネスフライトや旅行代理店、ホテルの提供など、あらゆるB2Bに対応すべく取り組んでいる同社は、Station F内の「スペースグリーンプログラム」に参加。このプログラムでは、韓国のNaverとその子会社である日本のLineが、一般消費者向け製品を専門とするヨーロッパのスタートアップ企業を対象に80席ものワークステーションを提供しています。

 

このプログラムへの参加を機に「Station Fはインフラストラクチャーの役目を超え、多くのビジネスチャンスを我々に与えてくれます」と、ユリス・トラベルの創業者はさらなるステップアップに意欲を見せています。


クラウドファンディングも盛り上がる

国内でスタートアップ企業への支援が注目されている流れを受けてか、最近はフランスのクラウドファンディングにも勢いがあります。特に若い世代による革新的なプロジェクトには、自然と資金が集まりやすい傾向にあるといってもよいかもしれません。

 

フランス発のクラウドファンディングサイト「KissKiss BankBank」で、40日間で117%の支持を集めた「Rejig」も、若き起業家によるスタートアップ企業のひとつ。充電池付きリュックサックで太陽電池パネルが埋め込まれ、容量5000 mAhのリチウム電池のバッテリーとUSB接続プラグが付き、13インチのノート型PCが入るサイズになっています(販売価格は129ユーロ、約1万7000円)。

 

旅行中にスマホの充電切れで苦労した経験から思いついたという、非常にシンプルかつ共感されやすい発想から生まれたRejigのリュックサック。2人の創業者がこの鞄作りで目指したのは、小型化した電子部品を服やアクセサリーに組み込むというウェアラブルでした。

 

さらに、この2人はリュックサックをただデジタル製品にするだけではなく、クールなデザインにすることにも注力。この点は先述したフレンチテック発展の鍵でもあります。テクノロジーに外観の美しさ、つまりファッション性を融合させることが、フランスのものづくりにおいて欠かせないテーマなのかもしれません(そうだとすれば、どうやってアップルと競争していくのかにも注目ですね)。

 

クラウドファンディングからStation Fへ

Station Fの手厚い支援はパリを拠点にすることが条件になりますが、クラウドファンディングの場合は、世界中のどこにいても支援を受けることが可能です。実際に先のRejig創始者の1人はフランス地方都市(東部ナンシー)のビジネススクールから現在は上海のビジネススクールに留学中とのこと。

 

今後はクラウドファンディングでの支援を機に事業をスタートし、波に乗ったところでサポート体制の整ったインキュベーション施設(Station F)に移行するスタートアップ企業が恐らく増えてくるでしょう。フランスのスタートアップの動向が分かるフレンチテックは東京にもあります。テクノロジーやイノベーションに興味がある方は要注目です。

仏版「HEMS」が誕生! スタートアップが盛り上げるフランスの「環境プロダクト」

今年の夏は北半球の多くの国で猛暑を記録しました。この高温は気候変動(温暖化)の影響とされていますが、二酸化炭素の排出量の削減に向けて、フランスではスタートアップが様々なグリーンプロダクツを作っています。そこで本稿では、同国のクラウドファンディングで最近大きな注目を集めたテクノロジーをご紹介。フランス人の環境に対する意識や同国のエネルギー政策などの背景にも迫ります。

 

フランス人の環境意識

2017年にパリのマーケティングリサーチ会社オピニオンウェイが行った調査によると、72%の調査対象者が「大統領候補のエネルギー公約を投票時の考慮にする」と答えました。また「エネルギー問題を考慮しない」と回答したのは27%で、そのうち「まったく考慮しない」と答えたのは全体の6%だったとのことです。

 

エネルギー問題に関心を寄せる傾向は富裕層ほど高い傾向がありますが、フランスでは庶民層でも半数以上69%の回答者が、この問題について意識をしているということもわかっています。

 

また、関連して、毎年7月に開催されるツール・ド・フランスは、フランス人たちの環境に対する意識の高さ(と誇り)が表れていることが分かりました。フランス人は、レースだけでなく、自国の景観の美しさも大いに楽しんでいるのです(詳しくは「【ツール・ド・フランス】フランス人視聴者の半分はレースではなく、違うものも見ていた」)。

 

クラウドファンディングで目標金額の661%を集めたテクノロジー

そこで、いま注目を浴びている製品があります。その名も「エコジョコ」。これはフランス版「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」ともいうべきテクノロジーです。

 

エコジョコは、家庭の電気メーターに専用機器を取り付けるだけで、何にどれだけ電力を消費しているかを分析してくれます。これだけで25%の電力カットができると言われており、今後フランス人の生活に欠かせないアイテムとなるかもしれません。クラウドファンディングでは、10日足らずで600万円を超える支援を集めました(キャンペーンは目標金額の661%を獲得して終了)。

 

エコジョコの操作は非常に簡単。まず、家庭にあるブレーカーにセンサーを設置。この設置には特別な電気工事もいらず、購入者自身で簡単に取り付けられます。

 

そしてリビングなどに機器を置いておくと、消費電力量をワット数とユーロ(電気代)でリアルタイムに表示。このデータはスマホのアプリで細かく視覚化、各家庭における消費電力の改善点など、具体的なヒントもアドバイスしてくれます。このアドバイスをもとに、エネルギー消費の仕組みを理解し、節電への行動も可能になってくるのです。

フランスCNRS(国立科学センター)の研究によると、家庭の電力消費量は25%削減することが可能であるとのこと。 しかし、そのためにはエネルギー支出をリアルタイムで観察し、それに応じた節電行動を行わなくてはなりません。

 

25%削減すると、年間で約500ユーロ相当の電気代節約につながると言われています。この節電は10年や20年という長いスパンで考えると、壁の断熱やサーモスタット、または換気扇の取り付けなど、エネルギー対策工事から得られる結果と同じ。エコジョコなら簡単に始められて、そのうえ25%の節電も可能になります。

環境・エネルギー分野でイノベーションをリード?

エコジョコ誕生の大きな背景の1つは、フランスのエネルギー政策の変化。温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量を削減するために、同国は「Energy Transition(エネルギー供給体制の移行)」に取り組んでいます。かつて同国の電力は原子力に頼っていました。しかし、2011年の福島第一原子力発電所事故で原発を取り巻く環境が変わり、フランスも脱原子力にゆっくりシフト。原子力発電への依存を下げながら、風力や太陽、水力、地熱といった再生可能エネルギーの割合を増やそうと官民一体で取り組んでいます(最近では環境相が突然辞任し、温暖化政策への影響が懸念されますが)。2016年の電力の供給量割合は、原子力が72%、風力が4%と太陽光が2%ですが、フランス政府は2030年までに再生可能エネルギーの割合を30%にまで増やすことを目標に掲げています。

 

それと同時に、エネルギー業界ではデジタル革命も起きています。民間の大企業やスタートアップは、電気をよりスマートに使うことで節電するためのテクノロジーを次々に開発。政府も再生可能エネルギーに関するプロジェクトを積極的に生み出すために、クラウドファンディングを奨励したり、開発者に助成金を与えたり、R&Dに年間10億ユーロを投資したりするなどしています。このような背景のなかで、本製品も誕生したと言えるでしょう。

エコジョコ以外にも、フランスのスタートアップは様々な環境プロダクトを作っています。今年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、スタートアップ向けのエリアのEureka Parkでアメリカに次ぎ最も多くの企業が出展して注目を集めましたが(アメリカは280社でフランスは274社)、そのなかの一社である「Lancey Energy Storage」はスマートな電気ヒーターを開発してイノベーションアワードを受賞しています。エコジョコをはじめ、フランス製の環境プロダクトが日本だけでなく、世界に広まるかもしれません。

「350円バッグ」でお馴染みデカトロンの「350円マイクロファイバータオル」が使えるので紹介

吸水性が高くて速乾性のあるマイクロファイバー製のバスタオルは、スポーツシーンで活躍します。スポーツ製品ブランドと350円リュックでお馴染みのデカトロン社もマイクロファイバータオルを製造しており、いずれも手ごろな価格で購入できます。それらの実用性はどうなのか? 実際に購入して調べてみました。

 

薄くて驚きの吸水性、見事なまでの速乾タオル

コスパのよさと消費者ニーズに沿った着眼点で、次々とヒットを飛ばすデカトロン。ということで、このマイクロファイバー製タオルも要注目です。サイズは4種類を展開。80cm×130cmのLサイズ、他にSサイズ(42cm×55cm)、Mサイズ(65cm×90cm)、XLサイズ(110cm×175cm)があります。素材は85%がポリエステル、残りはポリアミド。

 

マイクロファイバーと聞くと、掃除用のふきんなどを思い浮かべる方も多いかもしれません。そのイメージはフランスでも同様で、洗剤いらずで掃除でき、使う水も少量に抑えられる「環境にやさしいエコロジーな布」としても知られています。

 

しかし、マイクロファイバーが活躍するのは掃除に限りません。一般的に1gで10km分の長さがあり、「髪の毛の1/10」程度の細さと言われる極細マイクロファイバー繊維は、吸水性も抜群。汗、プールや海で身体を拭く際にその威力を発揮してくれます。

通常のタオルと異なり、デカトロン製のタオルは速乾性に優れているので、1回の運動でも、何度も乾いたタオルの快適さが実感できます。またスポーツ後も、湿ったタオルの臭いがバッグのなかで充満する事態を遠ざけられるのです。

 

正しい使い方をすれば肌も痛めない

従来のタオルと比べて肌触りはどうでしょうか ? 正直そこは好みの問題になってきますが、綿などの質感に慣れていると、最初は「これで本当に身体を拭くの?」と戸惑うこともあるかもしれません。

 

しかし、慣れてくるとスウェードのような独特の質感も、心地よい肌触りに感じてくるから不思議。マイクロファイバー製のタオルは吸水性が優れているものの、乾燥したスポンジみたいに硬くはならず柔らかな質感のまま。洗濯時に柔軟剤を入れないよう、ただし書きがありますが、柔軟剤なしでもなめらかな肌触りを保ってくれます。

 

このタオルを使用する際の注意点は、決してゴシゴシとこすらず軽く叩くように水分を吸収させること。髪の毛もタオルで包み込むように、押さえながら水気を取るように推奨されています。強くこすると、肌や髪を痛めてしまう可能性もあるので注意が必要です。

かさばらないので旅行やキャンプにも最適

マイクロファイバーのタオルは他のメーカーからも出ていますが、デカトロン製品の大きなポイントは薄さと軽さです。全身をすっぽりと包める大きさのLサイズ(80cm×130cm)でも、薄くてコンパクトにたためるうえ、畳んだときの大きさは約17x12cmとなるのでバッグに入れてもかさばりません。

 

さらに、他社製品のLサイズでは300g前後の重さが多いのに対し、このLサイズは189g。従来のタオルなら10リットルのリュックサック(写真)の半分以上を陣取っていた大判タオルでも、本製品なら1/4程度。しかも軽いので旅行やキャンプにも最適です。

 

本製品は日本でも取り扱いがあり、価格はSサイズが350円(本国フランスでは2ユーロ)、Mサイズが650円(4ユーロ)、Lサイズが890円(6ユーロ)、XLサイズが1490円(10ユーロ)とマイクロファイバータオルにしてはお手ごろ。さすがと言ったところでしょう。2年の製品保証も付き、その強度もお墨付き。Lサイズは、写真のようなターコイズに黄色がアクセントになった組み合わせやマリンブルーにパステルグリーンで縁取りされたバージョンなど、ほかにもカラフルな色合いのものが揃っています。

「何を食べるかではない、誰と食べるかだ」フレンチの新巨匠・松嶋啓介シェフが説く大人の食育

本場に構えるフランス料理店のオーナーシェフが、その経験を生かして料理以外のテーマで本を出版。しかもそのテーマは、現代の日本人を取り巻くさまざまな問題に解決策を提示する、発想のヒントだという———

 

そんな新鮮なアプローチを試みたのは、以前、このアットリビングに登場し、「自由に開放的に、多彩に謳歌する」という「フランス流 ロゼワインの楽しみ方」を語ってくださった松嶋啓介シェフです。新著の内容もさることながら、自身も各界のキーパーソンたちを惹きつける、魅力的な存在。このサイトでおなじみの“ブックセラピスト”元木 忍さんが、松嶋シェフが伝えたいことをさまざまな角度から紐解きます。

 

本を“咀嚼”し“消化”する

元木 忍さん(以下、元木):この本は食の本質の本でもあり、経済学的な本でもありますね。とても奥の深い話でした。誰に読んでもらいたくて書籍を発売されたのですか?

 

松嶋啓介シェフ(以下、松嶋):誰に? 誰にでしょうね……うん、誰でもいいです(笑) たぶん誰が読んでも何か心にひっかかると思うから、そういう意味で“誰でもいい”です。老若男女、それぞれに“刺さる”章は用意してありますから。

 

元木:松嶋さんは元々、本はよくお読みになるんですか?

 

松嶋:読みますよ、読むぞって気分のときにガーッと読むんですけどね。面白くない本なんかは1カ月くらいかかっちゃったりもしますけど(笑) ただ、1冊を1時間くらいで読む人がいるじゃないですか、あれは絶対に無理ですね。

 

元木:気に入った本を、じっくりじっくり読むタイプなんですね?

 

松嶋:読んでるっていうか、“見ている”ことが多いと思うんです、そうやって早く読む人たちというのは。でもそれで、いったい何が頭に残ったの? って。

 

元木:私はこの本、もう二度も読みましたよ。

 

松嶋:ありがとうございます。でもこれ、三回読んでいただかないと(笑)

 

元木:そう、この中には、「本は三回読め」とも書いてありますね。

 

松嶋:はい。僕は、最初に読むときはじっくり時間をかけて読むんですけど、料理の本とかもね。それはいつも、「あそこの本にはこういうことが書いてあったよな」って、整理してるんですよ。段階的に把握して、自分の人生の中で何かが起きたときに、「ん? これっていつか読んだあの本の内容に近いな」とか、「あの本のあの部分を取り入れたら解決できるかな」って引き出しにしておくんです。

 

元木:私もよくやるんですけど、なんか覚えてますよね、こう開いてこのあたりに書いてあった、とか。地図のように文章を捉えているんですよね。

 

松嶋:そう。

 

元木:ここに「腑に落ちる」って書いてありますね。それって、読んだ時にはわからなかったけど、もう一回読んだときにやっと分かった、ということもあるということですね?

 

松嶋:よく咀嚼するから栄養素が吸収されるのであって、きちんと咀嚼しないと胃に残って消化不良になってしまう、ということです。

 

元木:でも、一度では消化しきれないこともありますよね?

 

松嶋:もちろんあります、いい本だと思っても。そういうときは、「ああ、まだ俺は経験が足りないから、時間が経ってから、いつかまた読もう」って。まあ、買ったりもらったりしても、読まないままの本もあるけれど、それって「いい本だけど、今の精神状態では楽しくないだろうな」って、見当をつけているんですよ。

「『食』から考える発想のヒント —やる気を引き出しチーム力を高める—」
1620円/実業之日本社

こちらが松嶋シェフの新著。フランスと日本で店を経営してきた中で得た、さまざまな“気づき”を基に、現代日本を取り巻く問題に対するソリューションにつながる“発想のヒント”をまとめている。

 

人の考えは移り変わるもの

元木:続いてこの本の中で気になったのが、「いまここ」っていうフレーズ。何度も出てきますね。どういう意図、意味で使っているんですか?

 

松嶋:これは、自分が例えば20歳のときに考えたことと、30歳になって考えたことというのは、同じような環境でも変わってくる、と。

 

元木:でも、“松嶋啓介”は変わらないじゃないですか、本質は。

 

松嶋:ええ。でも人って難しくてね。日本人なんかは特にその傾向が強いんですけど、よく「あなたはあの時こう言ったよね」って言うわけですよ。その人はそのイメージでずっとい続けるわけですよね。「あなたってこういう考えなんだね、こういう人なんだね」って決めつけてしまう。自分の中で納得させてバイアスかけて、人との付き合いで損している人が多いと思うんです。人の考えなんて変わるし、変わることが当たり前なのに。で、「いまここ」っていう表現というのは、今ここで自分はこう考えているけど、10年後は変わってしまうかもしれない、と。

 

元木:たしかに、ここには芸術の話も出てきますけど、ピカソも最初のころから画風がどんどん変わって行くじゃないですか、ゲルニカまで。そういう風に、人間も変わっていっていい、と思っているんですね? まあ、私自身も若い頃からはかなり変わってきましたし(笑)

 

松嶋:変わることが美しいのに、日本人は「あの人はああだ」って、固定観念をもちたがる。もったいないですよね。

 

元木:では「いまここ」というのは、今の俺は、ということ?

 

松嶋:今から振り返ったら、あのとき俺はあんなこと言ってたかもね、程度のことです(笑)

 

元木:なるほど、今の自分はこんなことを考えている、ってことですね。

 

 

“何を”食べるかより、“誰と”食べるか

元木:生き方だとか人との接し方だとか、料理に対する考え方だとか、ここにはいろいろ書かれていますけど、まずは松嶋さんの好きな食べ物から聞かせてください!

 

松嶋:食べ物ですか。何でも食べますよ、これだけが特に好き! というのはないですね。

 

元木:では好きな料理は? リピートして食べたいものとか。

 

松嶋:うーん、難しいですねえ……(しばし沈黙)……がめ煮、かな。

 

元木:がめ煮! 福岡の郷土料理ですね。なにか思い出があるんですか?

 

松嶋:昔、おばあちゃんが作ってくれて。懐かしいなあって思いながら、それを娘に作ってあげてます。僕が具合が悪くなったときに作ってもらいたいから、今から教え込んでいるんです(笑)

 

元木:今から刷り込んでいるんですね(笑) さて、いま食に関する話題になりましたから、それに関連して、食生活や食育について意見を聞かせてください。昨今、食の大事さが社会的にあらためて見直されていますが、松嶋さんはそれをどう捉えていますか? 食の職人さんですけれど!

 

松嶋:まあ、単純な話、食生活が乱れたらまず死にますよね。食べるもので人間はできていますから。ただその単純な話をみんな、ないがしろにしていますよね。自分の命を削って間違ったものを食べているよね、と。それと、食が家族を育むけれど、食事だといって実際は“エサ”を食べている人が多いよね、と。

 

元木:なるほど。私も、仕事ばっかりしていたことがあったんですよ、朝から晩まで。食事は5分くらいで済ませてしまうような生活。で少し体を壊しました。今そういう、食事を大切にしない人がいるじゃないですか。

 

松嶋:いや、そういう人の方が多いんじゃないですか? 病気になってから気づいても遅いですよ、家族が崩壊してからでは遅いですよ、と伝えたいですね。

 

元木:では食育に関しては、なにを教えていきたいですか?

 

松嶋:“食育”って、子どもに学ばせる前に大人が学ばないといけないですから。人間て、一生学び続けるから豊かになっていくものだと思いますしね。

 

元木:だからこのKEISUKE MATSUSHIMAでは、“大人の料理教室”みたいなものを開いているんですね。

 

松嶋:そうですね。

 

元木:男性にも教えていますよね。男性も、きちんと学ぼうとしていますか?

 

松嶋:男も、家でさみしい思いをしたくないですからね(笑) おいしいものを自分の手で作れるほうがいいよね、と。だから最初は包丁握れなくてもいいから、と言って来てもらうと、そのうち「愛は自分の手で作れるんですね!」って、みんなカッコいいこと言いますよ(笑)

 

元木:この本の中にも「食卓を大事にする」ことが書かれていますよね。

 

松嶋:そうです。何を食べるかより、誰と食べているかが大事なんですよ。

 

元木:「コミュニケーションこそ、最大の栄養素」、「人と楽しく食事をしたほうが、栄養はより身体へ吸収されやすくなる。それは科学的に証明されている真実」と。そのとおりだと思います。

 

 

料理におけるイノベーション

元木:続いて、食の奥深いお話をうかがいます。普段、松嶋さんの料理教室でも題材にされている「ラタトゥイユ」。本ではこのラタトゥイユを例にとった“料理のイノベーション”に関するくだりがとても面白かったです。最近のレストランで出されるラタトゥイユは、お肉とかいろいろな食材が入っていてバリエーションが豊富で驚かされますよね。でも、そもそもラタトゥイユって夏野菜を一緒くたに鍋に入れて煮込むだけのもの。それが松嶋さんのラタトゥイユは、シンプルな野菜に味付けは塩だけで、とても伝統的でありながら、野菜の切り方がちょっと変わっていて、すごくおいしいんですよね。

 

松嶋:つまり、伝統を守りながら、野菜の切り方でイノベーションを起こしているんです。

 

元木:そう、それが本当に面白いなって。

 

松嶋:未来に対して何かを伝えていくには、そのまま変えることなく伝え続けるのもいいんですけど、でもその時代の人々に親しんでもらわないと、そこで途切れてしまって次につながらないわけですよ。だから伝統をリノベーション(刷新)したりイノベーション(変革)したりすることで、時代に合ったコンテンポラリーなものにする必要があるんです。

 

元木:まったく変えずに伝えようとしたら?

 

松嶋:絶滅危惧種になる。そういうリスクがありますね。

 

元木:伝統をイノベートするのは、現代に伝統的なものを楽しむため?

 

松嶋:楽しむためでもありますけど、楽しむことを過去から学ぶためでもあると思います。

 

↑料理における「クリエーション・イノベーション・リノベーション」を説いた章。過去から現在、未来へと伝承する大事な方法論だと訴えている

 

食事とは愛情を育む場

元木:次は、“生き方”についてもこの本ではたくさん書かれていますよね。これからは“ふるいにかけられる時代”だって。私も最近、そう思うんです。日本の会社でいうと、今までは終身雇用が当たり前だったのが、最近ではそれが当たり前ではなくなってきてしまった。みんながふるいにかけられる状況というか、もっと自分の頭で考えなさいと言われているような。そういうことを松嶋さんが考えるようになったのって、いつなんですか?

 

松嶋:小学校のときからじゃないですかね。学校が嫌いで勉強が嫌いで、好きなことしかやりたくなかった。暗記するだけの勉強は嫌いで、型にはまった考え方をしていなかったから良かったのかもしれません。

 

元木:クラスには、ほかにそんな子はいなかったんじゃないですか? お兄さんも同じような?

 

松嶋:兄は、親の言うことをよく聞いて真面目にやる秀才でしたよ。でも僕は偏ってましたから(笑)

 

元木:サッカーの本田圭佑選手がイタリアに行ったとき、英語でコミュニケーションしていたらだめだと、アドバイスされたんですよね。それはなぜですか?

 

松嶋:海外で僕自身がそういう体験をしていたからです。言語が違うと、お互いに本心を話せないですから。相手の懐に入るために、相手の国の言語や習慣から身につけろ、と。

 

元木:そういった、松嶋さんなりの今の若いひとたちへのアドバイスはありませんか?

 

松嶋:そうですね……正解があるんだったら、誰もがそれをやると思うんですよ。でも、みんなと一緒で楽しいですか? って、問いたいですけどね。

 

元木:松嶋さんは、みんなと同じじゃ嫌なんですよね? でも片や、みんなと同じがいいっていう人たちもいますよね。

 

松嶋:いますね! でもそれじゃ、これから生きていけないですよ。もしどこかの国の奴隷のような国に日本がなるんだったら、そのままでいいと思いますけど……。

 

元木:じゃあ、本当はみんなと一緒がいいわけじゃなくて、松嶋さんみたいになりたいんだけどなれずにいる、っていう人は、何が足りないんでしょう?

 

松嶋:できない理由はいろいろあるかもしれないけど、その前に、できるかもしれないその可能性を探すことをしない。それではだめですね。

 

元木:自分ができることをまず探せ、と?

 

松嶋:はい。でもそういう人って、できない理由を探すのは早いんですよね……。“考えない”なんて、もったいないですよ。

 

元木:もったいない?

 

松嶋:なにも考えずに、いったい何のために生きているのか? そんな人生、何が楽しいのか? って思いますよ。

 

元木:社会貢献をすべきだ、という話もありましたよね。社会に属すだけじゃなく、社会の役に立とうということですか?

 

松嶋:そもそもの存在として、“会社の一員”なのか?“社会の一員”なのか? でも東京とか都会にいると、社会の一員だってことを忘れちゃうのかもしれませんね。

 

元木:東京にいると、どうしてそれがわからなくなってしまうんでしょう?

 

松嶋:近所付き合いがないからです。

 

元木:コミュニティーがない?

 

松嶋:SNSにはコミュニティーと呼ばれるものはありますけど、あれは違いますよね。同じ地域に住んでいる人と人とでコミュニティーを作らないと。地方にはありますよ、でも東京にはないんです。

 

元木:フランスには?

 

松嶋:ニースにはまだあるかもしれないけど、パリにはありません。それが最近、それではいけないということで、パリでは“隣人会”というのが始まったんですよ。同じ建物に住んでいる人たちが年に一回集まるという。

 

元木:じゃあ東京も、隣人会をやればいいのに。

 

松嶋:そうですね、だって隣に住んでいる人を知っているほうがハッピーでしょ。いざっていうときに助け合えるし、隣の人に街でばったり遭ったら挨拶する、それが自然ですよね。隣の人をごはんに呼んで一緒に食べたら、「音がうるさい!」なんてトラブルにはならないですよ。

 

元木:食には、そういう役割もありますね。

 

松嶋:食事は、人間関係や礼儀を学ぶところでもあるんです。礼儀作法という意味じゃなく、人間らしい礼儀というか。

 

元木:さきほどの話に少し戻りますけど、やっぱり食やお酒というのは、人をハッピーにしてくれますね。

 

松嶋:おいしいものを食べたら脳は快楽を得るし、やさしい味のご飯を食べたら腸が落ち着く、というのは実証されていますからね。

 

元木:そうでしたね。

 

松嶋:だから僕は、家族にお祝いごとがあったらごちそうを用意するし、落ち込んでいたら煮込みを作る。そうやって相手の状態に合わせて、食事を作ってあげたいですよね。それが愛だと思います。食事は愛情を育む場でもありますから。

 

元木:じゃあ最後に。愛ってなんですか?

 

松嶋:相手のことをわかってあげることですね。もらうものでも与えるものでも分かち合うものでもなくて、理解してあげること。許し、受け入れてあげることです。

 

元木:「愛」……深い! 受け入れる愛をみんながもてるようになるといいですね。いろいろなお話、ありがとうございました。

 

【プロフィール】


KEISUKE MATSUSHIMA オーナーシェフ/ 松嶋啓介さん(左)

1977年、福岡生まれ。フランス芸術文化勲章、農事功労章シュバリエ。高校卒業後、辻調理師専門学校で学びながら、酒井一之シェフ「ヴァンセーヌ」に勤務したのち、20歳で渡仏。フランス各地を巡り、郷土料理を会得した。2002年、25歳で南仏ニースに日本人初のオーナーレストラン「Kei’s passion」(現「KEISUKE MATSUSHIMA」)をオープン。外国人シェフ最年少の28歳でミシュランガイドの星を獲得した。2009年、東京・原宿にもレストランをオープン。
KEISUKE MATSUSHIMA http://keisukematsushima.tokyo/

 

ブックセラピスト/元木 忍さん(右)

ココロとカラダを整えることをコンセプトにした「brisa libreria」代表取締役。大学卒業後、学研ホールディングス、楽天ブックス、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とつねに出版に関わり、現在はブックセラピストとして活躍。「brisa libreria」は書店、エステサロン、ヘアサロンを複合した“癒し”の場所として注目されている。
brisa libreria http://brisa-plus.com/libreriaaoyama

 

撮影=泉山 美代子 取材・文=@Living編集部

 

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フレンチBBQはもう遅い! フランスでは「フレンチ鉄板焼」が台頭中

普通のBBQとは差別化し、日本でも「フレンチBBQ」という言葉ができるくらい、フランスではBBQは身近な存在。アメリカ人のように、フランス人も自宅は当然のことながら、公共のスペースでもBBQを行います。しかし、そんなフレンチBBQにも変化の兆しが――。本稿ではフランスBBQの最新事情や人気のBBQアイテム、フランス人のBBQ観をお伝えします 。

 

フレンチBBQの特徴

フランスのBBQは自宅や親・親戚宅の庭などで家族や友人たちと楽しむのが基本です。また、キャンプ場にBBQコーナーが設けられていたり、大規模な公園にBBQスペースがあったりします。

 

ただし公園などの場合は特に、衛生管理が行き届いていない状態で放置されていることも多く、地元の人たちはあまり利用しません。

 

一方で筆者が住むナント市では、毎年夏に”ナントへの旅”と題したアートの祭典が開催され、そのイベントの一環として市内の川辺に屋外BBQ場が約2か月間だけ登場します。

 

中央に複数のBBQ台が並び、周辺一体にテーブルとベンチが設置され、開始時間の夜7時を過ぎると、人々がそれぞれ焼きたい食材や飲み物を持って集まります。食材は各自で焼きますが、BBQ台で使う炭の管理は、係の人が2〜3人付いてお世話をしてくれるのです。さらにナント市による運営ですが、利用に際しての費用は一切かかりません。

 

フランス人にとってBBQというと、先述したように自宅などの庭で行うのが常でした。しかし家族の形も多様化し、集合住宅で庭がなかったり、複数の家族も集まれるほど自宅のスペースが広くなかったりする場合もあります。そのため大人数でやりたいときなどは、このような管理者がいる公共のバーベキュー場はとても便利で、アパルトマン在住時には友人たちと何度か利用しました。

 

筆者は、フランス人のBBQ好きを日頃から実感しています。というのも、春先から秋にかけ天気のよい日の夕方に住宅地を歩けば、必ずと言ってよいほどあちこちからBBQの匂いがするのです。

 

まるで「天気がよい日=BBQ日和」という公式があるかのように、週末になれば昼間から、平日でも夕方〜夜にかけて炭火をおこしています。この時期は、だれかを家に招待する際もBBQでもてなすことが多くなります。

「鉄板焼き」が人気上昇中

近年、炭焼きBBQと並んでフランスで支持を伸ばしつつあるのが、屋外用の鉄板焼きである「プランチャ」です。炭をおこす手間が省け煙も少なくて済むことや、使用後のお手入れが炭を使うBBQより、簡単であることが支持されている理由かもしれません。先日お呼ばれしたお宅でも、ホストがこのプランチャで「アンドゥイエット(フランスの代表的な腸詰料理)」などを焼いて振舞ってくれました。

 

上の写真のような卓上タイプは、80ユーロ(約1万400円)から。高いものになると1000ユーロ(約13万円)台と、様々なタイプの製品が揃っています。

 

プランチャの起源は、19世紀よりスペインにおけるキリスト教の宗教行事で大勢の人たちに料理をふるまうために使われ、その際、巡礼時にこの鉄板もフランスに持ち込まれたと伝えられています。プランチャ自体は古くから存在していたにも関わらず、なぜいま注目されているのでしょうか?

 

その理由の一つとして、プランチャが「食材を選ばず焼けること、適温調節をしながら食材の旨みを逃さず調理できること」が挙げられます。なかでも特に、従来の炭火焼BBQでは扱いにくいとされた魚などのシーフード類・脂身の少ない肉・野菜などの食材が美味しく焼けるため「ヘルシーBBQ」としての需要が高まっていることが注目のポイントでしょう。

 

この「食材の持つ旨みを逃さず」という点は、高熱の鉄板に水分を含んだ食材をのせることで水蒸気が生じるという「ライデンフロスト効果」の働きによるものです。これによって、鉄板の上で食材が水蒸気に包まれるために、旨みや水分が逃げにくくなるんですね。 ソーセージなど脂身の多い肉類が主流だった炭火焼BBQとは楽しみ方が違うものともいえるのかもしれません。

 

家電や調理器具販売店などで扱われているプランチャには電気式とガス式のものがあり、どちらも家庭で簡単に取り付けられる仕様になっています。

 

夏をとことん楽しむヨーロッパの流儀

その一方、従来型BBQのアイテムでもより簡単に楽しめているものが増えています。

 

下の動画で紹介しているような「BBQ用の切って洗える網」は最近よく出ているアイテムの一つ。これはBBQグリルのうえにのせて使う、目の細かい繊維状の網。グリルの大きさに合わせて網を切り、使用後に洗って再利用できるのが特徴です。

 

食材をこびりつかせず、炭の中に落とす心配もないと謳っている商品で確かに重宝しますが、実際に使用してみた感想は、案外もろいということ。使い方にもよるのでしょうが、筆者の場合は3~4回の使用で、中央に穴が開いてしまいました。こちらは10(約1300円)ユーロ前後で買うことができます。

 

フランス人にとってBBQは、家族や友人と、屋外で飲んで食べながらおしゃべりを楽しむこと。食べる内容そのものよりも「BBQをきっかけに皆で集まる」ことのほうが大事なのです。フランスに限らず、長く厳しい冬を過ごすヨーロッパの人たちにとって、屋外で食事ができること、そして、この短く限られた期間をとことん楽しむことが彼らの流儀。開放感のある屋外で太陽の光を浴び、外気に触れながら、気心知れた仲間たちと食事を楽しむことは、フランス人にとってこのうえない喜びでもあるのです。

 

消防士が公然とダンスパーティー!? パリ祭からフランス人の「消防士観」を読み説く

サッカーW杯を20年ぶりに優勝を果たしたフランス。街は最近までサッカー一色でしたが、実は別のイベントも大盛り上がりしていました。毎年7月14日は、フランス革命記念日(通称パリ祭)で祝日です。その革命記念日前夜の恒例行事となっているのが、消防士主催のダンスパーティー「バル・デ・ポンピエ」。国内の各都市村、各地域の消防署が一般開放され、朝方まで音楽とダンスで盛り上がります。日本の消防署ではあまり考えられないようなことですよね。「このイベントはどのようにして始まったのか ? フランス人にとって消防士とは一体どういう存在なのか? 本稿では、これらの疑問を読み解いていきます。

 

「バル・デ・ポンピエ」とフランスの消防士

日本で「パリ祭」として知られるフランス革命記念日の当日は、朝からパリのシャンゼリゼ通りで軍事パレードが行われ、夜はフランス各都市で花火が上がります。この革命記念日の前夜祭として知られるイベントが、フランス各都市の消防署主催で行われるダンスパーティー「バル・デ・ポンピエ(Bal des Pompiers)」。

 

基本的に「バル・デ・ポンピエ」は入場料を定めておらず、心づけを寄付するという形をとっていますが、なかには、ドリンク券が付いた有料チケットを販売しているところもあります。DJ、コンサート、消防士によるステージ上の出し物、一緒に記念撮影ができるサービスなど、内容は盛りだくさん。夜も更けたころから明け方まで宴は続きます。お祭り気分が味わえる簡単な飲食の屋台も出ますが、屋台でサービスをするのも消防士たちです。

現在、フランスには24万6800人の消防士がいます。しかし、全員の雇用形態は同じではありません。消防士は大きく3つのカテゴリに分けられます。まず、「フランス陸軍に属するパリの消防士」「海軍に属する南仏マルセイユの消防士」という軍人として従事する人たち(消防士全体の5%)。次にフランス各都市にいる職業消防士(同16%)。そして他の職業に就きながら、必要時に出動する「ボランティア消防士」(同79%)の人たち。実はこの「ボランティア消防士」の割合が全体の8割近くを占めているのです(カッコ内の数字はフランスの消防庁調べ)。

 

ただし、ボランティアと言っても無報酬ではなく、役職によって違うものの時給7.66〜11.52ユーロ(約1000円から1500円)までの報酬を得ています(2017年6月時点)。しかも、ボランティア消防士として活躍するためには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。

 

必要な条件に含まれるのは、16歳から60歳までの健康な男女であること、3年間に30日間の研修を受けなければならないこと、また一月平均6回は出動準備が整えられること。仕事は火災処理に限らず、人命救助なども行います。日本だと救急隊員や自衛隊が行うようなこともフランスでは消防隊員が請け負っているのです。

 

なぜ消防署でダンスパーティーが開催されるように?

バル・デ・ポンピエはサクレクール寺院で有名なパリ18区のモンマルトル地区で1937年に始まりました。7月14日の革命記念日に行われる軍事パレードには、軍に所属する消防隊員の行進も含まれています。当時、隊員たちがこのパレードを終えて消防署へ帰ってくる際に、少数のグループが「追っかけ」として署まで付いてくることがありました。これを見た消防隊員が、一般の人にも消防署を開放する日を設けるよう上司にかけ合ったことが「バル・デ・ポンピエ」の始まりとされています(フランス国防省のサイトより)。

 

歴史家の見解には、もう一説あります。革命記念日には町のいたるところでダンスパーティーが開催されますが、消防士はこの日のダンスパーティーに参加することが禁止されていました。これは、いざというときにいつでも出動できるよう体制を整えておくため。こうした規則のなかで、消防士たちはそれぞれのパートナーを署まで招待するようになり、徐々に自分たちでパーティーを主催する流れになったとも伝えられています。

消防士は子どもたちの憧れ、市民に頼りにされる存在

事故や災害が起これば即座に駆けつけ救助にあたる消防士は、子どもたちにとって正義の味方であり、憧れの的なのです。このことは、消防士全体の8割がボランティアであるという数字を見てもお分かりいただけるでしょう。小さいころからの夢を別の職業に就きながらボランティアという形で叶えている人たちがいるということなのです。

 

また、将来消防士になることを希望している中学・高校生を対象に水曜の午後や土曜日など、授業のない日を利用して行われる「若い消防士養成コース」もあり、優秀な消防士を若いうちから育成したいという国の意図も読み取れます。

フランスの一般市民にとって、消防士はとても身近な存在です。毎年、年末になると消防士は市民の自宅を訪問しカレンダー(上の写真)を売りに来ますが、このカレンダーには値段がなく、日頃の活動に感謝の気持ちを込めた心づけを渡すことになっています。心づけは5~10ユーロ(約650〜1300円)など、キリのいい金額を渡すのが一般的。

 

このように日本とは違うイメージを持つフランスの消防士ですが、バル・デ・ポンピエは消防士をより身近に感じられるお祭りであり、一般市民にとっては感謝を込めた意味合いも含まれているのかもしれません。

【ツール・ド・フランス】フランス人視聴者の半分はレースではなく、違うものも見ていた

フランスで夏の風物詩となっている自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」。第105回目を迎える2018年は、7月7日から29日までの日程で行われました。フランス西部から出発して大西洋沿いを走り、アルプス、ピレネーの過酷な山岳ステージを経て、ゴールの「パリ・シャンゼリゼ」まで全3329kmを競い合うこの競技。フランス人にとっては夏の風物詩として欠かせないイベントですが、なぜこのレースは多くの人たちを引き付けるのでしょうか ? 今回は少し変わった視点から「ツール・ド・フランス」の魅力を紹介します。

 

世界35億人の視聴者が見守るツール・ド・フランス

今年はワールドカップの影響で、開催日が例年より一週間遅れで始まったツール・ド・フランス。全世界190か国に中継、または配信され、その視聴者総数は約35億人にものぼると言われています。

 

7月になると、街頭のカフェや空港の待合室など人の集まる場所では、連日ツール・ド・フランスの映像がごく自然に、そして当たり前のように流れています。フィガロ紙によると、 2017年大会の全21ステージの平均視聴率は38,4%、フランス国内のテレビ視聴者数はおよそ380万人。また、 ラジオ局フランス・ブルーは沿道で応援する観客数は 1200万人にものぼったと述べています。

 

また、ニュースを専門に扱う別のラジオ局「フランスアンフォ」が伝えた調査結果によると、国内で同競技を観戦するテレビ視聴者の2人に1人は年齢が60歳以上、また72%が50歳以上というデータもあります。その一方、高校生や大学生などの若い世代は、すでに夏の大型バカンスに入っているため、視聴者全体の7%に過ぎません。

そんな視聴者たちがレースを観戦する理由には微妙なニュアンスが含まれています。パリのスポーツ専門マーケティング会社「Sportlab(スポーラブ)」の調査では、ツール・ド・フランスをテレビ観戦する理由で一番多かったのは、「テレビに映るフランスの美しい景色を眺めること」でした。なかでも、過酷でドラマティックな「山岳ステージ」に最も惹かれているという結果が出ています。また、ある統計会社が2016年に公開したデータでは、50%の視聴者がツール・ド・フランスで「まるで絵葉書を眺めるかのように映し出される美しい景色と歴史的建造物を楽しんでいる」ことが判明しました。

 

選手たちが繰り広げる人間ドラマは、この競技鑑賞のメインであることには間違いありませんが、このレースを一層盛り上げるもう一つの主役は、なんといっても周囲のダイナミックな景色だったのです。後述しますが、空撮される地方色豊かな自然やのどかな田園風景、そして訪れたことがある場所などが画面に映し出されると、夏の暑さや疲れを忘れ、つい画面に見入ってしまうというフランス人が多いのでしょう。

 

独特な鑑賞スタイルとフランスでの自転車人気

ツール・ド・フランスの鑑賞スタイルには、日本の箱根駅伝と通ずるものがあります。どちらの競技も何時間も前から現地入りし、選手たちの登場を待ち、その瞬間を見届けます。ツール・ド・フランスの場合は、バカンスを兼ねてキャンピングカーで乗り付けたり、何日も前からテントを張ってキャンプを楽しんでいたりする人たちもいます。自転車とマラソン、いずれも多くの人にとって比較的身近なスポーツであり、鑑賞者が選手たちの心理に感情移入しやすい点も似ているかもしれません。

 

上述のように、ツール・ド・フランスの視聴者の大半が50代以上で若い世代の視聴者が少ないのですが、BMXやマウンテンバイクなどの自転車競技は、フランスの若者にも人気があります。Statistaによると、マウンテンバイクを含む自転車の販売台数は、この20年近く300万台前後を維持。2017年度の売り上げ総額は9億6000万ユーロ(約1248億円)にのぼります。街中の自転車専用道路も整備され、シェア自転車サービスも普及しており、フランスはサイクリストにとって優しい環境に生まれ変わりました。

自国の豊かな風土や美しさが「再認識」できるイベント

フランス人がツール・ド・フランスに魅力を感じている理由のひとつとして、景観の美しさを楽しむことを挙げましたが、フランスは景観へのこだわりやその管理体制に徹底した姿勢を貫いてます。フランスの国道をドライブしながら国境を越えると、フランス人の美観への意識が突出していることは明らか。整備された道路や緑の多さ、植え込みや花壇など、景観を維持するために本当に細かいところまで、よく手入れが行き届いているということに気付かされるのです。

 

毎回大会前には、ツール・ド・フランスの主催者もコースとなっている各市町村の道路整備に予算を割き、受け入れ態勢を整えています。1985年以来、フランス人は総合優勝から遠ざかったいますが、ひょっとしたらフランス人はレース結果ではないところに誇りを感じているのかもしれません。

350円リュックよりもコスパ高かもっ! 仏・デカトロンが作った「トレッキング用携帯食」の味をチェック!

デカトロン社製品のコスパのよさは、以前にも350円リュックでお伝えしましたが、今回ご紹介するのは「フリーズドライの携帯用インスタント食」。近年、フランスではフリーズドライ食品市場が成長を続けています。本製品はトレッキング用に開発されているので、携帯性や利便性が抜群なうえ、エネルギー補給もしっかりできるのが特徴。しかし、実際にはどんな味がするのでしょうか?

 

「メイド・イン・フランス」を謳うデカトロンのフリーズドライ食

夏のバカンスシーズン到来で、スポーツウェア・用品専門店のデカトロン店内も、レジャー用品を買い求める人々で賑わいを見せています。日本の甥や姪にプレゼントしようと、リュックサックを買いに足を運んだのですが、そのとき、ふと目に入ったのが同社のフリーズドライ食品でした。

 

デカトロンのエネルギー食品シリーズにはシリアルバーやスナックなど、ひと通りの携帯用食品が揃っています。フリーズドライ食品には、今回試食した「レンズ豆とハム(の煮込み)」のほか、「鶏肉とショートパスタのカレーソース」、「ショートパスタの挽き肉ソース」、「牛挽き肉入りじゃがいものピュレ」など、エネルギー補給に良さそうなメニューが揃っています。

 

レンズ豆とハムの煮込みを食べてみた

試食に選んだのは、インスタント食品として味の想像がつかなかった「レンズ豆とハム(の煮込み)」。5ユーロ(約650円)です。トレッキングなどの山への携帯食には炭水化物が欠かせないと以前に読んだことがあったのですが、レンズ豆(植物性タンパク質)とハム(動物性タンパク質)の組み合わせで、そのあたりをどうクリアしているのかが気になったという理由もあります。

 

上の写真は、お湯を入れて袋の中を捉えたものです。目盛り6(約280ml)まで湯を注ぎ、チャック式の袋口を閉じて5分間待ちます。お湯が入って食材が水分を含んだ途端、あの軽かった袋(130g)がずっしりと重くなりました(水分を含むと410g)。食べ応えが十分ありそうな重量です。

お湯を入れて5分経ち、袋を開けてみました。乾燥状態の時に白っぽいフレーク状のものがたくさん見えていたのですが、これはじゃがいものフレークでした。つまり、このメニューもじゃがいもを使っているので、炭水化物の補給はしっかりクリアできているわけです。

 

味付けはやや濃い目ですが、ピュレ状になったじゃがいもが程よい食感を残したレンズ豆やにんじんなど、ほかの野菜とよく馴染み、おいしくいただけました。山で歩いた後などに、これを食べたら最高だろうなと思わせる味です。

 

最近は、フランスでもカップ入りインスタント食品などを頻繁に見かけるようになりましたが、このレンズ豆とハムはフランス家庭料理の定番メニューでもあり、フリーズドライとして登場したのは新鮮でした。日ごろからこのメニューを食べ慣れているフランス人にとっては、このフリーズドライ食のレンズ豆にはまだ改善点があると感じている人もいるようですが、たいていの人はこの製品に合格点をつけています(デカトロン公式サイトレビューより)。

近年伸び続けているフランスのフリーズドライ市場

仏フィガロ紙によると、「サバイバリズム(生存主義)」が台頭している近年、防災用の食糧ストックを意識する動きが世界中で起きているとのこと。同様の動きが2012年あたりから始まっているフランスでは、フリーズドライ食品の需要が順調に伸びており、同市場は毎年200~300%にも成長していると同紙は伝えています。元々トレッキングなどのアウトドアスポーツの人気が高く、フリーズドライ食品も携帯食品として愛用されていますが、その一方で、近年販売されたフリーズドライ食のうち約40%は、保存用の非常食として購入されている一面もあるのです。

 

フランスにおいて、フリーズドライ食の平均販売価格は一食に付き、4,5~6,5ユーロ(約600~850円)と、インスタント食品として考えると決して安いとは言えません。しかし、同国のフリーズドライ食品販売サイト・リオフィリズの代表によれば、「フランスのフリーズドライ技術は、10〜25年間保存できる食品が製造可能」になり、数年分をまとめ買いする人もいるのだとか。確かに、今回のようなお湯が必要な製品とお湯が要らないシリアルバーなどをストックしておくと、いざというときに役立ってくれるかもしれません。

 

 

一見、イロモノ製品と思いきや、違った。フランスのクラウドから生まれた「石畳のスピーカー」

フランスのクラウドファンディングプラットホーム 「KissKissBankBank」において32日間で159%を超える支持を得た、コンクリート・ファミリー社の「ル・パヴェ・パリジャン(Le Pavé Parisien)」。「パヴェ」には石畳に使われる”敷石”の意味がありますが、その名の通り、まるでパリの石畳から抜け出してきたかのようなキューブ状が特徴的なコンクリートでできたスピーカーです。このスピーカーが支持を得られた理由とは? その謎を解明していきます。

 

10cm角で1.3kg。小型ながらもハイスペックなスピーカー

ル・パヴェ・パリジャン(以下パヴェ・パリジャン)は、10cm角の大きさで、重量1.3kgの片手で持てるサイズのコンパクトスピーカー。小さいけど、その実力はなかなかのものです。

 

10cm角という大きさにもかかわらず、バランスの取れたパワフルで正確なサウンドを実現。これにはエンクロージャー(スピーカー周りの枠)として使われている、新世代の素材と呼ばれる「超高機能繊維コンクリート(以下UHPC)」に秘密があるようです。

 

UHPCは密で抵抗に強い素材で、オーディオスピーカーの素材には最適と言われています。エンクロージャーの材質が重ければ重いほど、また変形を最小限に抑えられることでインパルス応答に直接反映されるようになり、元の信号に近い音を返すことが可能になるのです。

音響以外の機能面も優れています。パヴェ・パリジャンは、スマートフォンとのペアリングが簡単にできるBluetoothや、エネルギー管理システム(EMS)を備えたリチウムイオンバッテリー(LiPo)を搭載。このバッテリーで6時間から8時間の再生ができるのです。

 

また、超高性能デジタルアンプ(20 WワットでRMS出力のD級アンプ)を搭載した同スピーカーは、スマホなどの充電器に搭載されているマイクロUSBの充電ケーブルを使用しています。このおかげで、世界中あらゆるところで充電可能。出入力用のミニジャックでステレオ機器と接続もできます。

 

スピーカーが劣化した場合は、エンクロージャーの枠から外して内側の部品を交換できます。修理サービスだけではなく拡張性もあり、外のコンクリート枠は残したまま、中のスピーカーをバージョンアップさせるなどのカスタマイズも可能となっています。

4兄弟によるスタートアップ企業「コンクリート・ファミリー」

パヴェ・パリジャンという製品名は、パリによくある石畳の敷石から着想を得たもの。日常的に目にするものにもっと注目してほしいとの思いから、パリ発のスタートアップ企業「コンクリート・ファミリー」創立者の4兄弟によって名付けられました。

 

「コンクリート・ファミリー」の「コンクリート」には、2つの意味があります。まずひとつは「素材」としてのコンクリート。もうひとつは、フランス人音響技師ピエール・シェフェールが提案した電子音楽のジャンルである「ミュージック・コンクレート(具体的な音楽)」へのオマージュでもあるのです。

 

ミュージック・コンクレートは、「音楽は音と時間の編成である」ことを考察した運動。通常の音楽が抽象的な構想を基に具体的な作品へと昇華することに対し、ミュージック・コンクレートは、日常的に聞いている音を抽象的な表現へと導くことを試みたもの。ミュージック・コンクレートの理念は、コンクリート・ファミリー社が持つ価値感のひとつでもあると言います。

ベルギーのモンスにある王立音楽アカデミーで電子音響学を研究しながら、コンクリートを使ったスピーカーに関する設計開発のアイデアを温めていたという創立者4兄弟の長兄であるピエール=アクセル。実の弟であり「コンクリート製カヌー」の研究をしていたエンジニアのスタニスラスとともに、実家の庭で製品開発を始めたのが同社創立のきっかけです。

 

最初の注文仕事はスイスの演劇カンパニーに依頼された、野外劇場に12個のオーディオスピーカーを設置するというもの。このスピーカーが機能的にも美観的にも屋外の劇場にマッチし、プロや専門家たちの厳しい要求へ見事に応えた形となりました。

 

クラウドファンディングを成功させた実績

クラウドファンディングでは、パヴェ・パリジャンの支援者先着100名に、希望販売価格350ユーロの40%オフ、つまり210ユーロで同製品を提供していました。260ユーロ以上の支援者には、ストリート・アーティストのペイントによるカスタマイズを頼むことができます。

 

支援は10ユーロから可能で、すべての支援者名は「コンクリート・ファミリー」社内の壁に名前が刻まれます。2018年4月に始まったクラウドファンディングでは先述した実績への評価も得られ、複数の企業から大口の寄付も集まり、約1か月間で目標金額の3万ユーロに達成。同年11月からの一般販売開始を目指しています。

 

音響学の世界において、コンクリートという素材は、ダイナミックなサウンドを正確に復元するのに適した材料として認識されています。1980年代には、重量が30kg以上もあるコンクリート製のスピーカーがすでに「LEEDH」というフランスのメーカーから開発されていました。同メーカーのファンでもあったコンクリート・ファミリー社の4兄弟は、コンクリートの特質を活かしながらもミニマルで軽量、高性能なスピーカーを仕立て上げたのです。

 

看板にほぼ偽りなし! フランス人のハートを捉えた万能家電「オートクック」を使ってみた

フランスに住む筆者が10数年来使用してきた超旧式の炊飯器が壊れてしまい、代わりになるものが欲しいと思っていた矢先、店頭で見かけたのがボッシュの「オートクック」でした。日本でも話題になっている自動調理鍋のヨーロッパ版といったところでしょうか。本稿では実際にオートクックを使ってみた感想をレポートします。

ボッシュのオートクックには16の調理法があり、調理プログラムが計48種類搭載されています。消費電力数が900ワット、大きさは横幅が30.5cm、奥行き38.5cm、高さは30.5cmで容量は5Lとなっています。 キャンペーン期間中の購入で、価格は78ユーロ(約1万円)でした。

 

同製品を購入すると、もれなく100種類を超えるレシピが掲載された冊子が付いてきます。料理に合わせたプログラムの選び方と使い方が明記されているので、折に触れて読むことになりそう。タイマー調理機能では、12時間前からの予約が可能です。

ほかの自動調理鍋と同様、オートクックはプログラムに調理をお任せできます。ただし、日本製品のように、機械が材料を混ぜてくれるような便利機能は付いていません。そのため、煮込む前に下ごしらえなどの作業が必要なレシピは、機械の蓋を開けたまま自分で行う必要があります。

 

「3D加熱システム」で素材本来の味と食感を引き出す

この点において、オートクックという製品名に反して、全自動調理とは言い切れない同製品。しかし、搭載されている「3D加熱システム」を使うと、従来の調理法では得られなかった食感や味わいを楽しむことができます。 ちなみに3D加熱システムというのは一定の温度でゆっくりと均等に火を通していく方法。このプログラムによって食材の水分を逃さずに、素材を最大限に活かした調理をすることが可能になります。

 

例えば、同機種で七面鳥や鶏の胸肉を使ったカレー煮込みや炒り鶏(筑前煮)を作りましたが、肉がパサパサにならず、ふっくらとした仕上がりに。根菜を含む野菜も蒸し焼きされた状態でホクホクと食感がよく、素材本来の味がしっかり味わえました。

さらに、レシピ本に載っていた、コンデンスミルクとレモンで作る「スペイン風ケーキ」(上の写真)も試してみました。こちらも3D加熱システムによって立体的に火が通り、食感がフワフワで、まるでカステラのよう。フランスにはあまりないタイプの新感覚ケーキに焼き上がり、家族や友人たちにも好評でした。使用後の手入れも簡単で、内窯や内蓋は食洗機に入れて洗うこともできます。

日本人には驚きのフランス式「炊飯方法」

ところで、同製品を炊飯目的で購入するという考えはフランス人にはありません。フランス人にとって、米はパスタと同じく「鍋で炊く(というより茹でる)もの」だからです。塩を加えた大量の水で米を茹で、火が通ったらお湯を捨て、まるで蕎麦かうどんを茹でるかのように、茹で上がった米を水で洗いぬめりを取る人までいるくらいです。

 

かくいう筆者も渡仏後5~6年くらいまでは、鍋でご飯を炊いていた時期があり、そのころは炊飯器を持つ必要性を感じていませんでした。しかし炊飯器があると、ガス台や調理コンロをふさがずに済むメリットがあり、バカンス先にさえ炊飯器を持参するほど米食の多い我が家にとっては、なくてはならない存在になりました。

オートクックには「米とシリアル」兼用のプログラムがあるので、炊飯器としての機能もしっかり果たしてくれます。付属の米料理のプログラムには「リゾット」があり、パエリアなどの炊き込みご飯もこのプログラムで作るように表示されます。

 

よい買い物をしたと満足している点が多いオートクックですが、欠点を挙げるとすれば持ち運びには、少し大き過ぎる点です。いままでのように炊飯器が必要だからと、バカンス先へ持参するのはちょっと難しいかなと考えてしまいます。

 

一台で何役も兼ねた万能家電

フランス人は基本的に調理家電が好きな人たちで、一時期は「自家製ヨーグルト製造機」が流行ったこともありました。オートクックは一台でヨーグルトも料理できる万能家電。キッチンが何台もの家電に支配されることなく、なるべく台所を汚したくない性分の国民性にもマッチしているのです。

 

下ごしらえさえ済ませれば、ほったらかしで煮込み作業が完了できるので、煮込み系の多いフランス家庭料理にとってオートクックは非常に重宝します。煮込む間の時間を有効活用でき、火の安全に気を遣う必要もありません。また、煮込み時間も鍋に比べて通常のおよそ60%くらいまで短縮できるので、時短料理としても最適なアイテムです。

 

ケーキ作りや炊飯器、ヨーグルト製造機も兼ねた「電気式圧力鍋」ともいえるオートクック。次は話題の真空調理にも挑戦してみたいです。

 

フランス都市部で飼育者増加中! でもなぜ「ニワトリ」なのか!?

わずかなスペースで飼えて、世話も比較的簡単――。昨年起きたEU内の輸入鶏卵の汚染騒ぎや、その過酷な飼育環境が度々クローズアップされ、自宅の庭やアパルトマンの共有スペースでニワトリ(雌鳥)の飼育を希望する人が増えています。事実、筆者も自宅で2羽ニワトリを飼っています。では、自宅でニワトリを飼育する利点は、どのようなものなのでしょうか? エコ面、政策面、安全面から紹介していきます。

 

「平飼い飼育」で鶏のストレス軽減

フランスに住む筆者は、近年この国で「平飼い飼育(平たい地面などで放し飼いにすること)」されているニワトリの卵や、オーガニック鶏卵を求める人が増加していることを庶民レベルで感じています。EUでは2012年以来、「バタリーケージ(動けない狭いケージ内で飼育されたニワトリ)」が禁止されていますが、規模が小さいところや繁殖農家などには適用されず、鶏卵の年間生産量がEUトップのフランスでは、「バタリーケージ卵」が生産数の半数以上を占めているのが現状です。

 

そのフランスでも、ついに2022年までに店頭に並ぶすべての鶏卵を「ケージフリー」の平飼いや放し飼いの卵にするとマクロン現大統領が発表したことを英タイムズ紙が伝えています。諸外国などの風潮や消費者ニーズを見れば、この流れはある意味当然のことなのかもしれません。

フランス国立卵プロモーション委員会によると、フランス国民の年間消費量は一人当たり平均220個。一人当たりの年間消費量が世界第3位の日本(329個)には及びませんが、世界全体の平均卵消費量は145個なので、多い部類であると言えます。具体的に見ると、84%の国民が少なくとも週に1回は食べると回答。「ほぼ毎日食べる」と回答した44%のうち6%は毎日食べる一方、38%が週に2~4回食べると回答しています。

平飼いや放し飼いのニワトリは、太陽の光を浴びながら地面をつつき、砂浴びをし、止まり木に上り休みます。産卵も、薄暗く静かな隠れた場所で行うのが本来の行動。鶏卵農家でこの環境を作るのは難しいことかもしれませんが、ニワトリ自身のストレスが軽減されることは筆者の経験から確かだと言えます。私は自宅で2羽飼っていますが、ニワトリたちが夕暮れどきにのんびり過ごす、のどかで牧歌的な雰囲気は、何とも穏やかな気持ちにしてくれます。

また、人間の食べ残しを餌にすることで、食品廃棄を減量できるというエコロジカルな面も注目すべき点。現地メディアの報道によれば、1羽につき、年間150~160kgの廃棄減量が期待できるそうです。こうした観点から購入に助成金を出す自治体まで登場し、この発表を受けて、ニワトリ飼育はますます注目を浴びる形となりました。

ほのぼのとした光景と教育的な利点

より安全な卵を求める消費者の動きは、2017年のオランダから輸入された「鶏卵汚染スキャンダル」が追い風にもなっています。食肉を始めとした相次ぐ食品スキャンダルに国民はウンザリ。また、昨今の健康ブームと相まり、「ベジタリアンメニュー」への関心も高まっていることから、良質なたんぱく源として高品質な卵を求める人も増えているのです。自宅におけるニワトリの飼育は必然的な流れであったのかもしれません。

 

また、ニワトリの飼育や卵の収穫などは子どもにも参加しやすく、食育や情操教育にもつながるでしょう。大人にとっても、ニワトリと日々接することは、都市に住みながら田園にいるかのような雰囲気が楽しめ、ほのぼのとリラックスした時間を過ごせるという利点もあると筆者は思います。

【フランス人の必須品】ドイツ版ドンキ「リドル」の「2600円電気グリル」レビュー

フランスで人気のドイツのスーパーマーケット「リドル」。そのオリジナルブランド「シルバークレスト」の電気グリル器は人気家電で、毎年マイナーチェンジをしながら、長期にわたって売れ続けています。先日発売されたモデルは、鉄板を交換するだけでクロックムッシュー(ハムやチーズを挟んだフランス定番のホットサンド)やワッフルが焼けるというもの。シンプルな操作で1台3役をこなす万能調理家電ですが、価格は19,99ユーロ(約2600円)と格安。今回は、実際に使用してみた感想をレポートします。

 

カフェメニューが自宅で簡単に作れる!

フランスのカフェの定番メニューでもあるクロックムッシューは、基本的にパンとチーズ、ハムがあれば簡単に作れるので、家庭でもよく食べられているホットサンドです(写真上)。フランス人が好きなこれらの食材を鉄板のうえに置き、挟むだけで調理が済むので、このグリル器は一般的なフランス人家庭に必ず一台はある、と言っても過言ではないほど人気なのです。

 

クロックムッシューはテイクアウトや学校給食にも出る一方、夜を軽めに済ませるときなどにサラダと一緒に食べる家庭も多いのです。フランス人は朝食で塩気のあるものをあまり摂りませんが、操作が手軽なので、晩ごはんだけでなく、朝食の際にも活躍しそうです。

その一方、ワッフルは、クレープのようにジャムやチョコスプレッドといった好みのトッピングをのせて楽しめるので、来客時やホームパーティーのおもてなしにもピッタリです。でき立てのワッフルをみんなで囲み、好きなトッピングをのせながら、ワイワイと盛り上がる。日本の手巻き寿司感覚のように、賑やかな食卓になることは間違いありません。

グリル機能も注目すべき点です。肉や魚、野菜を焼けば、こんがりと焼き目が付くうえ、余分な脂も落としてくれるので、ヘルシーで美味しい仕上がりに。グリル用鉄板のサイズは、フランスで人気の「イタリアンホットサンド」や、生ハム、モッツァレラチーズ、そしてトマトを挟んだ「パニーニ」作りにも適しており、工夫次第で幅広い用途に使えそうです。

この鉄板は付け外しも簡単。サイズもコンパクトなので、お手入れもラクにできます。台所が狭くても置き場所を選ばず、場所を取らないで済むところも、日常使いの家電としてはポイントが高いのではないでしょうか。

 

シンプルな操作性、コンパクトなデザイン、そしてリーズナブルな価格

このように、鉄板を取り替えるだけで1台3役をこなせるパフォーマンス性の高さや、食材を入れて挟むだけというシンプルな操作性、手入れしやすいコンパクトなサイズが、この電気グリル器の魅力です。

クロックムッシューやワッフルが焼ける調理機器には、15ユーロから100ユーロを超えるものまで幅広い種類があります。そのなかでもシルバークレストの製品は機能と価格のバランスと、手入れや置き場所を選ばないコンパクトさが抜群。多くの消費者から支持されているのも納得です。

破格値で3年保証付きも! DIY大国のフランスでドイツ発の「リドル」が重宝される理由

フランスが言わずと知れたDIY(フランス語でブリコラージュ)大国であることをご存知でしょうか? 古い家やアパルトマンが多く、休日には自ら工具を操り、家の修繕に勤しむ男性の姿は珍しくありません。そんなこの国で人気のドイツ系ディスカウントスーパー「リドル」には「パークサイド」というオリジナルの工具ブランドがあり、ホームセンターで販売されている価格の3分の1程度で道具を揃えられます。DIY初心者はもちろん、上級者からも重宝されているリドルの工具。その秘密は安さだけではないようです。一体どのような理由が隠されているのでしょうか?

 

破格な値段で3年保証付き! 「パークサイド」と「パワーフィクス」

リドルの「パークサイド」ではDIY用の電動工具がひと通り揃います。電動ドリルやサンダー、グラインダー、タッカーなどを含むハンディタイプの道具から、大型のエアコンプレッサーや備品、卓上式の電動丸ノコまで、家の内外装に必要なあらゆる道具を網羅しているのが特徴。

日本と同様に、フランスでもプロに愛用される電動工具メーカーといえば、ドイツの「ボッシュ」と日本が誇る「マキタ」が挙げられますが、いずれも価格はパークサイド製品の2倍以上。プロ並みの使用頻度でもなく、プロ並みの使用頻度やパワーを必要としないなら、パークサイドの電動工具で十分と考える人も多いようです。

 

 

このように言うと、パークサイドは「DIY初心者の低価格ブランドで、性能は二の次なのだろう」という印象を持たれるかもしれません。しかし、実際にはそんなことはなく、DIY上級者からも注目されているブランドなのです。その理由は、やはりその価格の安さ。上級者の場合は、すでに機材をある程度持ってることが多く、パークサイド製品はその「予備」として購入するケースがあるようです。

さらに、DIY上級者がリドルへ行くほかの理由として、電動工具などに取り付ける消耗備品が破格で売られていることが挙げられます。

 

手動ドライバーやネジ各種、消耗備品などは「パワーフィクス」という別のオリジナルブランドで展開されていて、その種類も実に豊富。例えば、ベルトサンダー用のペーパーが6枚セットで1,99ユーロ(265円)、4,0×30mmのビスが600本入って2,99ユーロ(398円)など、他店の約3分の1の価格となっており、かなりお得です。

 

また、電動工具のパークサイド製品には安心の3年保証が付いています。安いだけでなく、品質もしっかり保証されているというわけですね。

あの有名なドイツの電動工具メーカーのセカンドブランド?

あれもこれも必要になってくる DIY道具を揃えるにあたり、ほかのホームセンターで購入したら倍の価格はするであろう工具や備品が、格安で買えることはパークサイドの最大の強みです。「安かろう、悪かろう」では困りますが、上述のように、パークサイドの製品は3年間の保証付き。電動工具も消耗品の一部として捉え、使い倒すヘビーユーザーにとっては惜しくない価格に設定されているのではないでしょうか。

 

また、パークサイドは、ドイツ発のメーカーであることも有利に働いているかもしれません。ドイツといえば、高品質なDIY工具として世界的に評価が高い「ボッシュ」を生み出した国。なので、パークサイドも大丈夫だろうという論理で信頼されやすいところも大きいようです。双方の公式発表はないものの、実は「パークサイドはボッシュのセカンドブランド」という説も一部の人々の間でささやかれているんです。

確かに色の配色や形など、ボッシュにソックリで見間違えるほど。これだけ酷似していてボッシュから訴えられないのは、不思議といえば不思議な話ですよね。パークサイドがDIYメーカーとして確立できている裏には、名高きボッシュの「ブランド力」が少なからずや影響を与えていることも確かでしょう。

【フランス流働き方改革】「水曜休み」「週4日制」がもたらす効能とは?

日本で、今年の「春分の日」は水曜日だったことから、「週5日連続労働はキツイ」、「週休3日にしてほしい」と感じる人が多かったという記事を読み、フランスにおける水曜日について改めて考えました。

 

フランスの幼稚園及び義務教育機関は水曜休み、または水曜午後休みにしており、それに伴って、どちらかの親(大抵は母親)が正社員でも週4日制で水曜休みにしている場合があります。水曜を休みにすることで得られるメリットとは何か? その真相について迫ります。

 

フランスの水曜日は他の平日とちょっと違う

フランスでは、水曜日に公立の幼稚園や小・中学校が半日授業、私立においては1日休校になるため、週4日または4日半制になっています。元々はキリスト教学校修士会(別名ラ・サール会)が木曜を休みに定め、代わりに土曜に授業を行っていたところを(現在は土曜日に授業を行う学校は少数)、1972年に当時の教育大臣が水曜にずらして公立の学校にも適用させたという歴史があります。

 

以降半世紀近くにわたり、学校の水曜休み、または水曜半日休みが定着しました。特に子どもが小さいうちは子どもの休みに合わせ、水曜出勤をしない週4日勤務の社員が一定数いるフランス。全社員が出勤しない水曜には、重要な会議が組み込まれることもなく、社内には若干の余裕が生まれて、個々の仕事に集中できます。

 

このちょっとした余裕がとても重要。ゴールに向けひたすら前進するだけではなく、一歩下がって自分の仕事内容や作業ペースを見直す。そして呼吸を整え、週の後半に向けて新たな気持ちで取り組む。著者は20年間フランスで暮らしてきましたが、このような制度を非常に良いと考えるフランス人をたくさん見てきました。

そして、フルタイム社員にとっての効果は、水曜は早めに帰宅しやすい空気感が生まれることではないでしょうか。水曜の午後に習い事を入れている子どもは多く、普段よりも早く仕事を終えた父親が送迎する姿も珍しくありません。毎週は無理でも、ときに父親が家庭の用事に参加することで、夫婦仲も円満になります。また、普段過ごす子どもの様子を父親が把握できる、家族にとっても大切な時間となります。

「水曜は半日休み」を反映してか、フランスでは映画の公開初日、夏と冬のバーゲンセールの初日なども水曜に設定されています。娯楽やショッピングを楽しむ時間を週末にまとめず、分散させることで消費者が足を運べる選択肢を増やせる、という業者側の狙いがひとつ。また、消費者側にとっても仕事から離れ、気兼ねなく買い物や映画館へ足を運ぶきっかけとなる。そのような社会的風潮がこの国にはすでに存在し、人々の意識にも浸透していると筆者は感じています。

水曜日に休んで生産力をアップ!

週の半ばにワンブレイク挟んだり、社内がフル回転になっていないことで気持ちにメリハリがつき、自分の仕事を見直す、作業ペースを整える、などの余裕が持てる点は大きいと言えるでしょう。そして切り替えができたところで後半に向け、気合を入れ直し、仕事に邁進できるのです。OECD(経済協力開発機構)の最新調査によれば、2015年のフランスの生産性はG7(主要7か国)おいて第2位の高さ(日本は最下位)。水曜日休みと生産性は相関関係があるのかもしれません。

↑G7の生産性ランキング(出典:OECD)

 

また、家族と過ごしたり、娯楽を楽しんだりする時間を週末に集中させず、わずかでも平日に設けることで、仕事からプライベートへの切り替えのタイミングや、バランスが取りやすくなるという考え方もあります。最初はリズムが狂うと感じるかもしれませんが、一度このサイクルに慣れてしまえば、週末は家族サービスで自分の時間が持てないうえにゆっくり休めず、週が明けても疲れが溜まったままで仕事に集中できないなどの悩みからも解放されるかもしれません。筆者は実体験からデメリットはほぼないと感じています。

フランスの若者がこぞって飲む大人気のお酒! 「キューバニスト・モヒート」とは?

いまも昔もフランスの若者が飲み会の席で飲むのは、実は意外にもワインよりビール。なかでもビアカクテルは根強い人気を誇ります。そのフランスのビアカクテル市場で長らく王者として君臨していたのが、テキーラ入りビアカクテル「デスペラード」。 しかし最近になって、この絶対的な王者との世代交代が始まったと噂されているのが、2017年春に登場した「キューバニスト・モヒート」です。キューバニスト・モヒートとは何なのか、なぜ人気となったのか−−。その秘密に迫ります。

 

インパクトが大きいパッケージ

↑「キューバニスト・モヒート」33cl×3本入り 4.59ユーロ

 

パーティーの席でコーラやペリエは盛り上がりません。そして、フランス人にとって普通のビールを飲むより、ずっとおしゃれで特別感を持つのがビアカクテルなのです。

 

そのビアカクテル市場で長らく独走状態だったテキーラ入りの「デスペラード」(蘭ハイネケン社)とウォッカの入った「スコール」(仏クローネンブルグ社)が、つい最近までよく飲まれているビアカクテルの2大ブランドでした。ここにベルギー資本のビール醸造会社「AB InBev社」が手掛ける「キューバニスト」ブランドが参戦したのが約5年前。キューバニスト・モヒートの発売をきっかけに、ブランド全体が王者デスペラードに迫る勢いで着実にシェアを伸ばしてきたのです。キューバニスト・モヒートを手掛けるAB InBev社によると、2016年にはフランスでの売り上げが47%上昇。

 

キューバニスト・モヒートの特徴の1つはアルコール度数。せっかくのパーティーに強いお酒で酔いつぶれてしまってはもったいない。そんなときにピッタリなのがこの「キューバニスト・モヒート」です。アルコール度数は5.9%。通常のモヒートが20%前後なので、その3分の1以下に抑えられています。だから、このお酒は手軽に、ほどよく酔いたいときにちょうどよいアルコール飲料なのですね。また、他のビアカクテル同様、瓶の中に直接ライムを入れて飲むと、よりカクテル気分も味わえます。

そして、なんと言っても「キューバニスト・モヒート」のインパクトあるパッケージが目を引きます。フランスでは近年ラテンアメリカ文化のブームが続いており、このラベルは南米伝統の祭り「死者の日」を彷彿とさせるもの。「mnBevフランス」のディレクターによれば、パッケージや瓶に描かれている「骸骨マスク」は、キューバの伝統的な祭りにインスパイアされたものだそうです。キューバニストのコンセプトに「祭り」という概念を取り入れたく、南米の祭りを象徴する「骸骨」をモチーフにしたとのこと。

AB InBev社は、フランスのビール好きに人気な「レフ(Leffe)」や、日本でも定評ある「ヒューガルデン(Hoegaarden)」を携える企業。ビールの香りを楽しみ、味わうのが好きなフランス人の嗜好や購買動向を知り尽くしている会社でもあります。

モヒート人気に着目し、パーティー好きな若者をターゲットにしたことが功を奏する

キューバニスト・モヒートが、ビアカクテル市場でシェアを伸ばすことができたのはなぜでしょうか? まず、米調査会社ニールセン社によると、同ブランドが設立された2013年時点において「モヒート」はフランス人がバーで注文するカクテルの1位でした。もともとモヒートの人気は高かったのですね。

でも、それだけでは不十分なので、キューバニスト・モヒートはフランスやイギリスの若い人々をターゲットにしたプロモーションを展開。これが功を奏したのです。キューバニストのプロモーションの場は、主にパーティー会場です。学生主催の大規模な「ソワレ」のオフィシャルスポンサーや、毎回テーマや場所など趣向を凝らし、DJを呼んで盛り上げる「ハウス・オブ・マスク」パーティーの主催なども手掛けています。パリでは若者に人気の米テレビドラマ「ストレンジャー・シングス」を模した内装による、シークレット・パーティーへインフルエンサーを招待するなど、若い世代へのブランド浸透に力を入れてきたことが、今日の結果に繋がったと見てよいでしょう。キューバニスト・モヒートは満を持しての登場だったのです。

【10年保証で350円!】丈夫で超長持ちする「デカトロン」の小型リュックのスゴさ

2016年に日本に進出した、フランス生まれのスポーツブランド「デカトロン」。フランス全土に点在する各種スポーツ用品やウェアを揃える同社の大型ショップは、1976年の創立以来、そのリーズナブルな価格と品質の良さで、何世代にもわたりフランス人の生活に定着しているブランドです。今回はそのなかでも特におすすめしたい、日本でも購入可能な自社ブランド製小型リュック「Quechua(ケシュア)ハイキングバックパック Arpenaz 10L」の恐るべきコスパの高さについて、先代モデルより使用している経験を基に紹介します。

 

「ケシュア ハイキングバックパック Arpenaz 10L」のスゴさ


「ケシュア」シリーズはデカトロン自社製オリジナルウェアやバッグなど、小物を揃える同社の看板的存在です。スポーツ用に開発された素材や仕様で、街なかでも使用できるスマートさも併せ持ち、通勤や通学、週末の外出などの日常使いをしているケースが多いのも特徴。

 

筆者は「ケシュア ハイキングバックパックArpenaz 10L」を先代モデルも合わせ10年以上使い続けてきました。小ぶりサイズなので最初は子どもの幼稚園バッグとして購入したのですが、思った以上に容量が大きかったので自分用にもう1つ購入。一眼レフカメラや本などが入り、少々重くなってもリュックに負担がかかることもなく、安心して使うことができます。

先代モデル(写真右)と現モデル(写真左)を比べてみると、以前は奥行きのあるコロッとしたどこか愛らしい形態だったことに対し、現モデルは縦に伸びてスリムになっています。ただし容量は変わっておらず、より大人寄りのデザインになったというところでしょうか。実際、男性が使用している姿もよく見かけます。

容量は、スポーツタオル、スポーツ用のTシャツやショートパンツ、もしくはパーカーなど薄手の上着、水のボトル、財布と携帯電話がすべてリュックに収まる大きさです。写真は外ポケットに水のボトル(500ml)を入れていますが、外ポケットにもマチが付いていてかなり広くなっています。会社帰りなどのジム通いにも適したサイズと言えるでしょう。

税込350円(日本価格。ヨーロッパは一律2,99ユーロ)という驚きの値段でありながら、その丈夫さもユーザーからのお墨付きです。「持続性ある開発」をモットーにしているデカトロンの商品は安心の10年保証付き。万が一、リュックが壊れたり破れたりした場合には、交換や修繕をしてくれます。「デカトロン・フランス」サイト上の同製品レビューで、4つ星5つ星をつけた購入者数が918人に対し、1つまたは2つ星をつけた購入者が17人(2018年2月末現在)という結果から見ても、ユーザーがこのリュックにどれだけ満足しているかがお分かりいただけるでしょう。

 

さらに他モデルよりもカラーバリエーションが豊富(全7色)で、購入者に選ぶ楽しみを与えてくれるのが同製品の隠れたポイントでもあります。安いので用途別に数点揃えたり、家族で色違いを持ったりしてもよいかもしれません。「安かろう、悪かろう」という固定概念を根底から覆してくれる、優れもののリュックです。

 

スポーツ仕様の耐久性と日常使いに適したサイズ、スマートで街中でも違和感なし!

スポーツ仕様の耐久性を持ちながら、日常使いにも適したサイズとデザインを併せ持つのが、このリュックの強みでもあります。先代モデルよりも向上した点は、形状の変化による体へのフィット感とスタイリッシュ性がアップしたこと。底のマチが狭くなってスリムになった分縦に長くなり、なかのものが散乱しにくくなって取り出しやすくなっている点も挙げられます。

 

「フレデリカ、生まれてきてくれてありがとう!」人気キャラクターの出身地・フランス流の生活で人生を豊かに!

世間で注目を集めている商品が一目でわかるAmazon「人気度ランキング」。さまざまなカテゴリの注目商品がわかる同ランキングだが、商品数の多さゆえに動向を追いかけられていない人も少なくないだろう。そこで本稿では、そんなAmazon「人気度ランキング」の中から注目の1カテゴリを厳選。今回は「本」のランキング(集計日:2月15日、昼)を紹介していこう。

 

●1位『でんぱ組.incスクールカレンダー』(四方あゆみ・著/小学館・刊/2300円)

●2位『文豪たちの友情(立東舎)』(石井千湖・著/鈴木次郎、ミキワカコ・イラスト/リットーミュージック・刊/1620円)

●3位『LPGA公式 女子プロゴルフ選手名鑑2018:ぴあムック』(ぴあ・刊/1500円)

●4位『ASIAN POPS MAGAZINE 132号』(メディアパル・刊/504円)

●5位『美しいフィレンツェとトスカーナの小さな街へ(旅のヒントBOOK)』(奥村千穂・著/イカロス出版・刊/1728円)

●6位『ザクロとたい』(もりもとりえ・著/ぴあ・刊/1080円)

 

2月14日に盛り上がるのは恋する乙女だけではなかった!?

●7位『フランス流しまつで温かい暮らし フランス人は3皿でもてなす(講談社の実用BOOK)』(ペレ信子・著/講談社・刊/1512円)

出典画像:Amazonより出典画像:Amazonより

 

人生を気楽に送るためのヒントが詰められた1冊がランクイン。フランス人と結婚した著者は、夫の家族やフランスの友達から良いところを取り入れようと模索を続けているという。同書には、著者がフランス人の知人から吸収した「家族の絆が深まるコツ」や「お金をかけずに生活が豊かになる工夫」などためになる情報が満載。

 

フランスといえば、フランス出身の設定を持つキャラクターがネット上で話題に。大人気ゲーム「アイドルマスター」シリーズの登場人物・宮本フレデリカが2月14日に誕生日を迎えたようで、Twitter上では「#宮本フレデリカ生誕祭2018」というハッシュタグがつけられたツイートが続出している。

 

ファンたちは「フレちゃんお誕生日おめでとう!」「これからも応援していきます! Happy Birthday!」「フレデリカ、生まれてきてくれてありがとう!」というお祝いのメッセージとともにフレデリカのグッズや自作のイラストをアップ。なかにはバースデーケーキを用意した猛者もいて、大盛り上がりとなった。

 

●8位『心を操る寄生生物:感情から文化・社会まで』(キャスリン・マコーリフ・著/西田美緒子・翻訳/インターシフト・刊/2484円)

●9位『大国政治の悲劇 完全版』(ジョン・J・ミアシャイマー・著/奥山真司・翻訳/五月書房新社・刊/5400円)

 

サッカー選手のメモに刺激を受けたファン続出!

●10位『食(おいしい)は愛(うれしい)――添加物なし、厳選素材、徹底的に品質にこだわるスーパーがある』(岡田晴彦・著/ダイヤモンド社・刊/1620円)

出典画像:Amazonより出典画像:Amazonより

 

添加物など身体に悪影響な成分を排して、子どもに安心して食べさせられる食品を追求した同書が人気急上昇。食の観点から健康を見直すことができるので、購入者からは「日々の食事で食品添加物を取り込んでいる人類にとって、考えさせられる1冊でした」「販売されているハム・ソーセージ・おにぎりの添加物の多さに驚き!」といった声が上がっている。

 

またガイナーレ鳥取に所属するサッカー選手・松本翔のツイートに刺激を受け、食生活の改善を考え始めたファンもいるよう。松本は「若手、独身選手へ向けて。栄養士が届かない部分など、主観的考えですがぜひ読んでもらえたら」という呟きに、ビッシリとメモが書かれたノートの写真を添付。

 

ノートには「外食は特に味付けが濃かったり塩分も多いので、知らず知らずに水や甘いものを欲したり、調味料やドレッシング、ソース類が必須な食事になってしまいます」「僕も自炊未経験の一人暮らしスタートでした」「食事は一日一日の積み重ねなので、どこかで必ず自分に返ってくるときがあります」といったアドバイスが。ネット上には反響の声が相次ぎ、中には「松本選手のツイートを見て、管理栄養士としてアスリートを支援したいと思うようになりました!」と決意するファンも見られた。

 

日々の暮らしや食事を改善するための本に注目が集まった今回のランキング。果たして次回は、どんなジャンルの本が登場するのだろうか。