地震に台風…危機管理アドバイザーが教える、女性のための防災講座

防災と聞くと、「災害時のために食品の備蓄をしておく」とイメージする人もいるかもしれません。しかし実は食料のことだけでなく、他にもさまざまな準備が必要です。命を守れるよう準備することはもちろん、実際は命の危険がなくなったあとも、多くの困難が待ち受けることを想定しておく必要があります。

 

特に女性は、避難所での性犯罪被害など二次被害を受けるケースが後を絶たず、災害のたびにニュースで報じられています。また、衛生面が保たれない状態で過ごす日が続くなど、精神的な苦痛も。命の危険に比べたらそのくらい、と思えるかもしれませんが、何週間、何ヶ月と続いたり、終わりが見えなかったりしたらどうでしょうか。備えは万全にしておきたいものです。

 

今回は、女性の防災に詳しい危機管理教育研究所代表の国崎信江さんに、女性がすべき防災準備について教えていただきました。

 

災害が起こる前に考えておきたい4つのこと

災害が起こったとき、冷静な判断をするのはなかなか難しいものです。そこで、ゆとりのある日常を過ごしているときに、自宅や通勤路などに目をやり、災害時のことを想像してみましょう。ここでは日頃から意識しておきたいことを紹介します。

 

1.持って行きたい荷物をリストアップ

非常食をはじめ避難生活で必要となるアイテムが入った非常持ち出し袋を備えている人はいても、衣類や洗面用具、さらにどうしても持って行きたい大切なものまで用意している人は少ないでしょう。災害時は当然、そこまで気がまわりません。そこで、普段から数日分の宿泊セットと、どうしても持って行きたい大切なものを、旅行鞄に詰めて置いておくか、リストアップしておくと慌てずにすみます。

 

「服や下着などは2〜3日分の準備をしておきましょう。動きやすく、そのままでも眠りやすいものがよいと思いますが、どうしても失いたくない大切な服を詰めるのがよいでしょう。お金を出せば買えるものは諦めて、代わりのきかないものを持って行きます。また、契約書などの重要書類はいつもひとまとめにして置いておき、何かあったらすぐ持ち出せるよう準備しておいてください。荷物は、地震で扉が開かなくなってしまう可能性がある場所ではなく、ベッドの下などすぐに取り出せる場所に置いておきましょう」(国崎さん、以下同)

 

2. 自宅や会社の地盤や耐震性は?

自宅や会社など、よくいる場所の地盤や耐震性を確認しておくことも重要です。同じ程度の耐震性のある物件でも、どんな土地に建っているかで被害状況は違いますし、地盤や耐震性を知ることで、会社にいるより自宅の方が安全、あるいはその逆、といったことが判断できるようになります。

 

海や川などに近い土地では、その場所が海抜何メートルなのか、川が氾濫した場合の避難場所なども調べておきます。最近は台風被害も多いので、浸水しやすい場所も知っておきましょう。

 

「土地の安全性や地盤については調べるとすぐにわかりますし、建物の耐震性は、賃貸であれば不動産業者やオーナーに電話一本で確認することができます。自分のいる場所がどのくらい危険なのか、どこに行けば安全なのかは常に周りを見渡して確認しておきましょう」

 

3.外で被災したときに避難できる場所は?

外にいると、家にいる家族やペットのこと、自宅のことが気にかかって、何時間歩いてでも自宅に帰ろうとするものです。しかし、徒歩で帰宅することで命の危険にさらされる場合もあるのです。

 

「歩いている最中に火災や地割れなどに遭遇したり、ガラスが降ってきたり、混乱した人混みの中では怪我や事故が起こる心配もあります。夜な夜な暗くなった道を歩き続けるのも不安です。無理に帰ろうとせずに、近くのホテルやデパートなど、寝食やトイレに困らなさそうな場所に飛び込んで避難させてもらい、事態が落ち着いてから行動しましょう。和室がある公民館や、個室がありプライバシーが守られる漫画喫茶などでも構わないので、日頃から避難できそうな場所をいくつも考えておいてください」

 

4.被災地から出る「震災疎開」の方法は?

災害が起こると、ライフラインに影響が出るのはもちろんのこと、地震の場合はいつまで続くのかわからない余震や、減っていく食料への不安など、精神的な苦痛がたくさんあります。被災したらまず避難所、ではなく、代替輸送機関を利用する手段も考えながら交通機関が麻痺しないうちに、その場を離れるのもひとつの手。

 

「被災地に留まっていると、不安を感じたまま日々を過ごさなくてはなりませんし、東京など大都市では避難所に人が入りきらない可能性があるとも言われています。仕事のことなど、考えなくてはならないことがいろいろあるとは思いますが、まずは自分の命を守ること、精神的ストレスがなるべくなく過ごせることを第一に、『震災疎開』という考え方をしてみましょう。疎開先にできる親戚や友人の家など、すぐに身を寄せられる場所をリストアップしてみてください。安く泊まれるカプセルホテルやウィークリーマンションなどもありますから、動けるならば早いうちに、通常の生活を送れる土地に疎開しましょう」

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日常的にできる、命の危険がない部屋づくり

災害が起こったとき、考えるべきことは「プライバシーの守られた場所で、いつも通りの生活ができるかどうか」だと国崎さんは言います。

 

「女性は避難所に行くよりも、できれば慣れた自宅で過ごせるよう、日常的に被害の少ない部屋づくりを心がけましょう。ガラスや陶器、重い木でできた家具などは、どんなものも凶器となりますから、日頃から防災に意識を向けて、ものを選ぶときはなるべく“割れないもの”“軽いもの”“柔らかいもの”を意識して購入します。たとえば我が家では、壁掛け時計も紙製のものを使用したり、食器類も割れないセラミックやアルミ製のものを揃えたりしています」

【すぐにできる防災準備】

・食器や部屋の装飾品はガラスや陶器のものを避けて、割れないものにする
・壁に飾る絵は落ちたり飛んできたりするので、ウォールシールにする
・花瓶や雑貨などを飾るときは、滑り止めシートを使う
・食器棚には必ず滑り止めシートを使い、ロックを忘れない
・本棚の本は、地震のとき落ちてこないよう、隙間なくびっしり詰める
・本棚の本は、手前だけに滑り止めシートを貼る(全面に貼ると本が取り出せなくなってしまう)
・大きな家具はすべて固定する
・キャスターつきの家具は、動きにくいよう対角線上にロックをしておく
・トイレや風呂場など閉じ込められやすい場所には、笛やペットボトル飲料を常備しておく
・入浴中の被災に備えて、風呂場にはワンピースなど、すぐに着られる服を備えておく
・生理用品を常に3枚ほどハンドバッグに入れておく
・普段から缶詰の食品やレトルトのものを買い置きし、保存食も2日分くらい準備しておく

横浜岡田屋のおいしく食べられる保存食「HOZONHOZON」

かわいいパッケージとおいしい非常食として人気のあるHOZONHOZONは、鯛めしやトマトごはんなど、種類も豊富。「非常食は、残念ながらおいしいものがとても少ないなと感じます。ストレスフルな環境のときこそ、おいしい食事に救われますし、賞味期限が近くなってきたら食べることを考えると、なおさら、非常食を買うときは味についても吟味したいものです」

 

避難所に行ったら早く仲間をつくり協力体制を

学校の体育館や役所などを開放した避難所は、多くの被災者を受け入れてくれる大切な場所です。しかし一方で、停電した広い体育館で、見ず知らずの大勢の人と隣り合わせでずっと過ごさなくてはならない環境は、女性にとって過酷でつらいもの。

 

「女性の場合は特に、真っ暗闇で誰に何をされるか不安でたまらない時間が続くと思ってください。レイプ被害などの他にも、眠っているとき毛布の中に手が入ってきたとか触られた、ということも大変多く聞きます。そのような状況下では、眠れないばかりか正気を保っていられなくなるので、まずは同じような境遇の方に声をかけ、協力し合える関係をつくりましょう。男性と一緒にいる方が性被害に遭いにくいとも言われていますので、数名の女性が集まったところで、信頼できそうな男性にサポートをお願いすると安心です」

 

ここまで、災害への備え、また災害時に気をつけるべきことをまとめましたが、続いて、外出先でも対応できるよう、いつもバッグに入れておきたい「防災7つ道具」をご紹介します。

バッグにいつも入れておきたい7つ道具

外出先で被災したとき、ちょっとの備えがあるとその場をしのげるものです。いつもバッグに携帯しておきたいものを、国崎さんに伺いました。

 

1.止血パッド
「外出先で怪我をしたとき、『助けて』と周囲に言っても聞いてもらえる余裕はありません。ガラスなどでざっくり切ってしまうことを考えて、持っておくと安心です」


昭和技研「止血パッド」/危機管理教育研究所
8000円(小サイズ・10枚)

 

2.携帯トイレ
「被災すると、トイレはどこも長蛇の列だと思ってください。ハンドバッグにも入るサイズの携帯トイレを持っていれば慌てず我慢しなくてすむでしょう」(国崎信江さん)


マイレット「マイレットmini-1」
170円

 

3.携帯電話の充電器
「ソーラーパネルつきのモバイルバッテリーがオススメです。また、万が一閉じ込められたときにSOSを発信できるアプリをスマホに入れておくと役立ちます」

 

4.マスク
「できれば粉塵用のマスクがいいですが、普通のものでも構いません。ビルの倒壊などで粉塵を吸い込む可能性もあるのでマスクは必須でしょう」

 

5.ウェット手袋
「手袋の形をしたウエットタオルで、頭皮を揉むように洗うことができます。泡も出ませんし拭き取りも不要なのにすっきりと落ちるのでおすすめです」


四国紙販売「水のいらない泡なしシャンプー「ウェット手袋」
3000円(10枚)

 

6.水電池
「水を入れるだけで発電する道具で、飲料用水だけでなく、雨水や尿でも発電できる優れものです。懐中電灯や携帯電話などの充電ができるよう常備しておきましょう」


ナカバヤシ「NOPOPO」
648円

 

7.レインポンチョ
「雨天だけでなく寒さ対策や粉塵から身を守るなどのときにも使えるので、小さく折りたためるものを持っておくとよいでしょう」(国崎信江さん)

 

今年6月18日には大阪府北部を中心に最大震度6弱の地震が発生しました。そして9月6日には、最大震度7を観測し41名の犠牲者を出した北海道地震が発生。この北海道地震では、一時道内全世帯に停電が及びました。また、南海トラフ地震が起こる確率を政府や研究機関は「30年以内に80%」と発表しており、来るべき震災のための備えが急がれています。

 

災害時、女性は特に二次被害に遭わないためにも、プライバシーが守れる環境を手に入れることが大切です。少しでも安心して過ごせるように日頃から周囲の環境をよく知り、安全を確保することが命を守ることにつながります。

 

【プロフィール】


危機管理アドバイザー / 国崎信江

危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。地震調査研究推進本部政策委員会などの国や自治体の防災関連の委員を務める。
http://www.kunizakinobue.com/

 

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誰でも目にしたことがある避難器具「オリロー」で実際に降りてみた

本日9月1日は「防災の日」。様々なメディアで防災グッズが紹介されていますが、GetNavi webでは少し視点を変えて身近なあるものに注目してみました。それがマンション、ビル、ホテルなどでよく設置されている避難器具メーカー、「オリロー」。わかりやすくかわいい名前と、徹底した安全機能で、避難器具全体での国内シェアはなんと6割オーバーだそうです。

 

誰でも一度は目にしたことがあるこのオリローですが、しかし、実際にこの避難器具を使って降りたことがある人は少ないはず。

 

今回は、そのオリローの知られざる歴史と真実を、同社・家崎典久さん、山越 貢さんにお聞きしながら、実際に避難器具を体験させてもらいました。

 

 

↑オリロー株式会社広報部・家崎典久さん(左)、営業部・山越 貢さん(右)。同社の避難器具、安全基準を熟知されたお2人

 

 

オリローの名のルーツには、箱根駅伝と関係があった!

――マンション、ビル、ホテルなどでオリローの避難器具をよく目にします。ただ、「災害の当事者になっていない」ということで言えば幸いですが、実際にどういった歴史、避難器具の種類があるのかはあまり知りませんでした。

 

家崎典久さん(以下:家崎) もともと弊社は松本製作所という、消火器や農業衛生噴霧器を作る会社が始まりです。やがて松本機工という会社になり、そこから避難器具を作るようになり、今日に至っています。

 

ちょうど、最初の松本製作所から今年で90周年になのですが、これを機に“オリロー株式会社”と、社名変更をしました。

 

――それまで“オリロー”は避難器具の商品名で、企業名ではなかったんですね。

 

山越貢さん(以下:山越) そうです。最初は避難器具以外も作っていましたが、避難器具が会社の主流になっていきました。そこで社名も商品名と同じ“オリロー”にしたんですね。

 

おかげさまで現在では避難器具全体での国内シェアは6割以上となりました。

 

――この名前は「降りる」が語源ですよね?

 

家崎 はい。ただ、これには裏話があります。弊社の松本という顧問が昔、立教大学の応援団をしていたのですが、学生時代、箱根駅伝を応援しに行ったところ、雪が降ってしまい、乗っていたバスが雪で滑ってしまい立ち往生したことがあったそうです。

 

その際、松本顧問が応援団の後輩に「バスを降りろ! 降りてバスを押せ! 降りろ! 降りろ!」と叱咤したらしいのですが、この「降りろ!」を、商品名「オリロー」とし、採用したようです。

 

 

一口に“避難器具”と言えど、8種類ものカテゴリが

――そんなオリローですが、一口に避難器具と言っても、様々な種類がありますね。

 

家崎 国家検定に準じると、8種類あり、避難はしご、固定はしご、救助袋、緩降機、滑り台、滑り棒、避難ロープ、避難橋です。

 

――ということは、あらかじめ国が定めた基準に応じて開発をしていくということですね。

 

山越 そうです。国が提示する厳しい基準を受けて、開発をし、検定を受けるという流れです。

 

――そうなると、奇想天外な避難器具、斬新な避難器具は開発しにくそうですね。

 

家崎 そうです。ただ、その基準内であっても、より使いやすく安全性の高い避難器具を日々研究しています。設置する建物自体もどんどん変わっていっていますから、当然避難器具も日々進化させないといけないわけです。

 

■折りたたみ式スライドはしご

↑緊急時、降下地点に万一障害物があっても避難可能な工夫がなされています

 

■固定はしご

↑どの階からも避難が可能。さらに沿岸地域などでは津波対策として上階へと避難することもできます

 

■救助袋

↑袋本体にらせん状に降下する滑降布を縫着。安全に地上へと避難することが可能

 

■緩降機

↑使用者が他人の力を借りずに自重により自動的に連続交互に降下することができる機構を有するもの

 

■滑り台

↑病院、学校、幼稚園、老人ホームなどで採用されている。馴染みのあるカタチなので、誰でも簡単に避難することが可能

 

■避難ロープ

↑その名もオリロープという器具で、取り付けが簡単で軽くて使いやすいもの

 

■避難ハッチ

↑チャイルドロックを付け、日常での安全性を高めながら、万一の際には簡単に開けられます

 

■滑り棒

映画「ゴーストバスターズ」でも登場した、垂直固定の棒をつたって避難します。

 

半年に一度はメンテ会社が避難器具を点検しなければいけない

――国の基準をクリアし、日々進化も続けるオリローですが、ただ、器具自体を実際に使ったことがある人は少なそうです。

 

家崎 たとえばマンションなどでオリローの設置登録をしていれば半年に一度、必ずメンテナンス会社、運営会社が点検し、一定期間内に消防署へ報告するという義務があります。

 

本来、こういった点検の際に合わせて、住民の方や、万一の際に使うであろう方々の避難訓練もやっていただきたいですね。万一の際、せっかくの避難器具の使い方がわからない……となったら意味がありませんので。

 

――ということで、今回はその体験をさせてください。

 

家崎 もちろんです。本当は高さ50メートルの緩降機をはじめ、すべての避難器具を体験していただきたいですが、今回は救助袋型の避難ハッチをやってみましょう。

 

↑これが救助袋型の避難ハッチ。実際の体験動画はさらに下をご参照!

オリローで実際に降りてみた

――ハッチを開けた瞬間、袋がありますね。

 

家崎 この袋の中に入って避難します。まず、ハッチのフチに腰掛けていただき、膝から足を先に入れます。そしてハッチのフチの両脇を掴み、腕力で体を支え、態勢を整えた後、上のベルトに手を移します。その後、手を離し、一気に体を救助袋の中に入れていく……という流れです。

 

――救助袋に入った後、そのまま体が下へストンと落ちていきそうで、すごく恐いんですけど。

 

家崎 大丈夫です。この救助袋はらせん状の構造で、下にそのまま落ちるわけではなく、袋の中で体を緩やかに回しながら、地面に着地し、逃げられる構造になっています。

 

――では恐いですが、実際に手を離してみますね。

 

↑一連の流れを家崎さんに解説していただきながら、筆者も体験。袋の中に身体を入れた後、最後のベルトから手を離すのが恐いですが、見ての通り、体は緩やかに下降していきます。

 

――恐かったですが、確かに救助袋の中で安全に着地することが出来ました。

 

家崎 これは実際に体験したことがあるとないとでは、万一の避難時に大きく影響しますから、本当はもっと多くの人に体験していただきたいんです。

 

――他の避難器具ももちろんそうですね。火災などの際、そうでなくても頭がパニックになっていると思いますから、こういった機会はもっと多くあったほうが良さそうです。

 

山越 ただ、個人的に勝手に使うのはダメです。必ず保安会社の方、メンテナンス会社をされる方など、有資格者や識者と一緒に避難訓練をしてください。そういった避難訓練の場で、避難器具に触れ、構造を知っていただくだけで、万一の避難時のスピードが大きく変わると思いますから、これはぜひお願いしたいです。

 

↑避難はしごの開閉も体験しました。片手で簡単に開閉が行えます

 

↑はしご型の避難ハッチも体験しました。ご覧の通り、短時間で気持ち良いほどにはしごが伸びます

 

 

オリローの実例データは!?

――実際に、なんらかの災害の際、オリローが活躍したという事例はありますか?

 

家崎 この話はよく聞かれますし、実際どこかで必ず役立っているはずなのですが、こういったデータは国が発表しないので、わからないんです。

 

――しかし、6割以上のシェアということですから、やはり現場レベルでは、なんらかの口コミがありそうですが。

 

家崎 例えば、口コミレベルの話で「オリローが設置されているビルで火災が起き、全員避難出来て無事だった」と聞いても「オリローで避難出来たから」と言い切れません。だから、こういったデータは全く持っていないのが現状ですね。

 

――そうであっても、他社製品よりもオリローが優れていて、多くの支持を受けている理由は何だと思いますか?

 

山越 やはり、常に開発を繰り返し、安全性を高めているところだと自負しています。

 

家崎 本当は火災が絶対に起きないような世の中になれば良いと思います。でも、それは難しいでしょうから、常にそれまでよりも使いやすい器具を開発し、より安心して避難していただける器具をご提供できるよう、これからも研究、開発を重ねていきたいと思っています。

 

 

↑避難器具の素人にもわかりやすく解説してくださった家崎さんと山越さん。どうもありがとうございました!

 

オリローのストイックで実直な避難器具開発は、家崎さん、山越さんのお話からも随所に感じられました。お話の通り、実際に避難器具に触れたことがあるかないかでは、万一の際に大きく変わります。避難訓練などで、器具に触れられることがあれば、ぜひあなたもご参加されてください!

 

「防災の日」を前にプロに聞いた「防災グッズ」の選び方&地震への正しい備え方

9月1日は防災の日。東日本大震災以降、世間的に防災意識は高まっています。その一方で、何も対策していないという人もまだまだ多いでしょう。ここでは防災のプロに、地震への正しい備え方や、ホムセンでの防災グッズの選び方を教えてもらいました。

 

【教えてくれた人】

防災のプロ・国崎信江さん

危機管理教育研究所代表。危機管理アドバイザー。国や自治体の防災関連の委員を務めるか、被災地での支援活動も行っています。

 

持ち出し品よりも在宅避難を想定した備えのほうが重要

日本は近い将来、南海トラフ地震などの巨大地震に見舞われるといいます。これを受け、各自治体などでは防災意識を高める取り組みがなされていますが、ホームセンターでも近年防災用品が充実しています。そこで、防災に詳しい危機管理教育研究所の国崎さんに、防災用品購入時のポイントを聞きました。

 

「これまで地震対策といえば、すぐに避難するための非常持ち出し袋の用意が通説でした。しかしいまは違います。特に都心部では避難所は人で溢れるし、帰宅困難者を助長させる。建物の耐震化も進んでいるため、在宅避難となる場合が多いでしょう。つまり、被災時に必要なのは“自宅で不便なく過ごすための準備”です。そこでオススメなのが“おうちDEキャンプ(本稿2ページ目を参照)”。簡単に言うと、被災生活の疑似体験です。この体験で、家にあって利用できるもの、必要なのに家にないものが明確になるので、足りないものを無駄なく揃えられます」(国崎さん)

 

ところで地震のような非常事態では、命の危険があるなかで物理的にも心理的にも大きな荷物を背負って避難するのは困難。まずは本当に持ち出す価値があるか、を考えるべきだと国崎さんは言います。

 

「皆さんの家に“2万円の非常持ち出し袋”と“普段使いのカバン”があって、ひとつしか持っていけないとしたらどちらがいいですか? この質問に、8割以上の方は普段使いのカバンと答えます。それは携帯電話、現金、免許証、社員証など、日ごろ自分にとって必要なものが入っているから。であれば、普段から愛用しているカバンに必要最小限の応急手当用品や携帯トイレなどを入れておくのも一案ですね」(国崎さん)

 

いざというときに困らないために!意外と大事な防災グッズ

食料や水は誰もが気にしますが、もし「ケガをしたら」「寒さが厳しかったら」どうするか。様々な状況を想定して備えましょう。

 

[栄養補給飲料]

「トイレが不便になる非常時は、利尿作用の低いゼリー飲料がオススメです。また栄養が不足しがちなので、水以外にも野菜ジュースや果物ジュースなども用意しておきましょう」(国崎さん)

カインズ

ドリンクゼリー エネルギー補給

180g×30個

2880円

疲労を感じたときなどにエネルギー補給ができるマスカット味のゼリー飲料。11種類のマルチビタミンを配合したグレープフルーツ味もあります。セット販売がおトクです。

 

 

[防寒グッズ]

「雨や寒さ対策として、軽くてコンパクトな羽織りものが1枚あると良いでしょう。テーマパークで水濡れ防止のために配られる、ビニール製のミニポンチョなども便利です」(国崎さん)

 

カインズ

オカザキ 金銀2wayレスキューシート(左)/レスキューシート(右)

198円(左)/148円(右)

気温の変化や雨風から守る保温断熱シート。折りたたんでコンパクトに収納でき、レジャー用品としても活用できます。金銀2wayレスキューシートは寒冷時にも炎天下にも対応。

 

 

[応急手当用品]

「震災時は転倒などでケガをするかもしれません。出血や骨折に備え、応急手当用品はなにより大事ですね。子どもや高齢者なら簡単に使える止血パッドやエアギブスが良いでしょう」(国崎さん)

 

カインズ

玉川衛材 救急セット BOXタイプ

980円

消毒液、衛生ウェットナップ、絆創膏、傷あてパット、綿棒、ホームガーゼ、ホームコットンがまとまったボックス。コンパクトな軽量タイプで持ち運びにも便利です。

 

 

[衛生用品]

「水を使って歯を磨けないときは洗口液が役立ちます。歯のほかにもトイレやお風呂などの衛生用品は、非常時用のアイテムを揃えておくと身体の不快感を軽減できるでしょう」(国崎さん)

 

DCMホールディングス

マウスウォッシュF フレッシュミント 1000㎖

429円

口腔内を清潔に保つマウスウォッシュ。爽やかなフレッシュミント味でスッキリ感が得られる。歯にやさしい天然甘味料・キシリトールを配合し、口臭予防にも役立ちます。

 

【震災時の状況を疑似体験!】

“おうちDEキャンプ”でわかる本当に必要なモノ

人それぞれ、年齢や住む環境などにより「ないと不便なもの」は異なります。それを明確にするために国崎さんが推奨するのが“おうちDEキャンプ”です。

 

“おうちDEキャンプ”とは?

自宅で非常時に近い環境を再現すること。「9〜17時までの間、電気・ガス・水道を止める」など、ライフラインが途絶えたことを想定して過ごしてみる。これにより以下のようなことに気づき、何を購入すれば良いかがわかるという。ホムセンに行く前に行うのがオススメ!

 

【POINT】

  • 食事や飲料の消費量、あると便利な調理器具
  • 排泄処理の手間やニオイ問題
  • ふとんで寝られないときの対処法
  • 灯はハンズフリーで使えるものが必要
  • スマホの充電ができない  etc…….

 

【手を使わず灯を照らしたいときに!】

これひとつで部屋全体を照らせる!電池不要でいざというときも安心

DCMホールディングス

ソーラーライト ミニランタン G-SL10

1077円

コンパクトなソーラー式ランタン。日中、ソーラーパネルに太陽光が当たると内蔵電池に蓄電します。緊急時にも電池切れの心配がなく、手を使わずに部屋全体を照らすことができます。

 

 

【寒さが厳しいときに!】

優れた保温性とクッション性! 1枚あると便利

コーナン

アルミロールマットL

シルバー STI23-5479

950円

アルミマットは保温性に優れ、冷気や湿気をシャットアウトする。クッション性もあるので、身体の負担を軽減して就寝時なども快適に。バンドが付属し、普段は丸めて保管できます。

 

 

【入浴できないときに!】

ノンアルコールで肌に優しいウェットティッシュ

カインズ

大人用からだふき/大人用おしりふき

各98円

入浴できないときに役立つ、身体やお尻の汚れ拭き専用ウェットティッシュ。ふんわりソフトな肌触りのノンアルコールタイプなので、肌にやさしく安心して使えます。

 

 

【こんな便利アイテムも!】

回転式で的確に照射!ハンズフリーで使える

DCMホールディングス

LEDハンディライト PRO ブラック

1077円

クリップ、磁石、ストラップが付いた、明るさ300Lmのライト。約16㎝とコンパクトなサイズですが、本体は約180度回転し、明るくしたい場所を的確に照らします。

 

 

【こんな便利アイテムも!】

ガスや電気がなくてもOK!水を注ぐだけでお湯が沸く

カインズ

フジ 簡易スチーム

GOODスチーム

1780円

火気や電気を使わず、水だけでお湯を沸かせるセット。付属の発熱剤とともに加熱したい食品を加熱袋に入れ、水を入れて20分待てば完成。1袋で6回分使えます。

 

 

ケガを防ぐために!避難時の服装CHECK

地震直後は余震などにも注意が必要。自宅以外の場所に避難する際は、極力肌の露出を避け、頭や手をしっかり守って外出しましょう。

 

【頭を守る】

携帯性を考慮した折りたたみ式ヘルメット

カインズ

CAINZ PRO DIC IZANO オレンジ KP IZANOAA13OKP

4968円

ワンタッチで装着可能な折りたたみ式のヘルメット。厚生労働省の保護帽の規格「飛来・落下物用・墜落時保護用」にも認められています。

 

 

【手を守る】

手の切創防止に役立つ超高強度素材の手袋

DCMホールディングス

耐切創 手袋 HI06-T14M

861円

カッターの刃でも切れにくい超高強度ポリエチレン糸を使った耐切創用手袋。摩擦や切る・裂くに強い耐久性により、手のケガを防げます。

 

 

自宅でのケガを防ぐ! 「安全グッズ」にも注目

地震が起こったときに注意しなければならないのが、ガラスの飛散や落下物によるケガです。自宅を安全な“避難所”にするため、事前の対策を心がけましょう。

 

ガラスの飛散防止に!傷がつきにくいシート

カインズ

防災フィルム 46×185㎝ CZHO

780円

傷がつきにくい、ガラス用の透明保護フィルム。窓ガラスやドアガラスなどに貼っておけば、災害時のガラスの飛散防止に役立ちます。屋内貼り用。

 

 

食器棚や本棚からの物の飛び出しを防ぐ!

カインズ

滑り止めシート 30㎝×5m

SS-30500

298円

食器棚や本棚の棚板に敷くシート。災害時にケガの元となる、食器や書籍の飛び出しを防ぎます。敷く場所の長さに合わせ、カットして使用できます。

 

 

※本記事の内容は、2018年3月時点のものです。商品や価格は予告なく変更されたり、店舗によってはお取り扱いがなかったりする場合があります。

 

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【備えの1冊】防災バッグの中に何を入れる? 命を守る5点セットとは――『りすの四季だより』

これまで幾度となく言われてきているが、日本は災害大国である。今や、日本中どこに居ても安全は確保できない。最近では北大阪地震、西日本豪雨。竜巻だって起こる。いまこの瞬間に被災するかもしれない。

 

だからこそ、日頃から備えておくことが大切だ。

 

「そんなこと、何百回何万回と言われてるから、わかってるって!」というそこのあなた。では、いざというときに持って逃げるためのバッグに何を入れたらいいか、ご存知だろうか?

 

 

 

命を守るために、バッグに入れておきたい5アイテム

コラムの冒頭だが、いきなり答えを言ってしまおう。

 

1.スマホや携帯電話

緊急地震速報や情報収集のための必須アイテム。手動タイプの充電器があると、なお良し。

 

2.ホイッスル

軽く吹いても大きな音が出せて、中に玉が入っていない、壊れにくいものがベスト。子どもたちにも、防犯ブザーより電池要らずのホイッスルを持たせたい。

 

3.LEDライト

イマドキ電球タイプの懐中電灯はナンセンス。LEDタイプの、できればヘッドライトが◎。

 

4.ピンセットや小型ナイフなどがついたマルチツール

日常生活の中でも役立つものが多いので、ぜひ携帯を。ただし、銃刀法に触れない刃渡り5.5cm未満のものでも、正当な理由なくしては持ち歩けない。「子どもの爪を切るため」「今からキャンプで使う」などはOKだが、「防災・防犯のため」は正当事由にならないのでご注意を。

 

まずは、この4点。すでにお手元にあるだろうか。

 

実は先日、アウトドア防災ガイド・あんどうりすさんの防災講座に参加したのだが、内容が本当に目からウロコというか、「お~!!!!」と感動することしきりだったため、すぐにりすさんの著書を購入。いまご紹介した4アイテムは、『りすの四季だより』(あんどうりす・著/新建新聞社・刊)からピックアップした。

 

もちろん、自宅に非常用の持ち出し袋を用意、水やレトルト食品などを常備しておくことは大前提だが、それらすべてをバッグに入れたため荷物が重すぎて逃げられないなんて、本末転倒で悲しすぎる。

 

着の身着のまま逃げるとき、また外出先で被災した場合のために、普段から持ち歩ける防災用のバッグも用意しておきたい。

 

アウトドア用の軽いリュックを普段使いしてもいいし、スーツに合わないのであれば、ビジネスバッグの中に折りたたんで入れておいてもいい。毎日の外出時から、軽いバッグと上記4点を入れて持ち歩くことがおすすめだ。

 

 

何より大切なのが「知恵のある自分自身」!

さて、では最後の1アイテムは何だろうか。答えは5.知恵のある自分自身

 

今回りすさんの講座を受け、著書を読み、もっとも大きな気づきだったのが、「マニュアルに頼りすぎていること」を自覚したことだ。

 

たとえば、東日本大震災以降、スーパーのレジ袋でおむつを作る方法が広まった。私も子育て講座で教えてもらったことがある。レジ袋の左右の端を切って広げ、中に布などをあてるというものだ。けれど、自分の子どもたちが大きくなり、おむつが必要なくなったので、この知識はもう自分には不要だと思っていた。頭の片隅に追いやっていた。

 

だが、このおむつの知識から得られることは、スーパーのレジ袋がなければ作れない! ではなく、赤ちゃんがいないから関係ない! でもなく、防水素材と吸収素材の組み合わせが非常時に役立つということだ。

 

おむつの外側はポリエチレンなどの防水素材を探せばいい。それさえ知っておけば、レジ袋だろうがラップやポケットティッシュの外袋だろうが、撥水のガムテープだろうが、すべてOKなのだ。

 

その防水素材の内側に、吸水できる素材のものをあてればいい。この組み合わせは、赤ちゃんのおむつに限らず、生理用品にだって、非常時のトイレにだって活用できる。

 

「○○と○○を使って△△を作る」というマニュアルだけを頭に入れるのではなく、仕組みを理解することで、いくらでも自分で活用していけるというわけなのだ。

 

以前「ツナ缶でろうそくができる」という災害時のアイデアが話題になったが、「ツナ缶とこより」とだけ丸暗記していると、水煮のツナ缶を用意してしまうという事態が起こりうる。「油をティッシュなどのこよりに染み込ませて燃やす」という仕組みを理解していれば、ツナ缶でなくても、オイルサーディンでもいいと気づけるのである。

 

仕組みを知れば、臨機応変に行動できる。今後、様々な防災のアイデアを目にしたときは、ぜひその「仕組み」に着目することをおすすめしたい

 

「防災用」をあえて揃えるのではなく、日常でも使えるものをチョイスしよう

もうひとつ、りすさんの教えで気づいたことは、「防災は日常生活の延長線上にあってこそ、役立つ」ということ。

 

たとえば雨を伴う非常事態の場合、レインウエアがあるとかなり助かる。だが、100均のものでは心もとない。

 

おすすめは、透湿防水素材でできているアウトドア用レインウエア。普段使いにも便利で、そのまま災害用としても使えるからだ。お手入れすれば10年はもつので、確かに初期投資は必要だが、結果的には良いものを長く使うことの方がお得なのではないだろうか。

 

さて、ここで迷うのが、子ども用だ。すぐにサイズアウトしてしまうことを考えると、上下セットで6000円は高すぎないだろうか?と悩む人も多いだろう。

 

そこで、りすさんはこうひらめいた。

 

アウトドア用レインウエアは、世界中どのメーカーでもYKKのファスナーが使われていることが多い。そのため、製造番号が同じであれば、大人用と子ども用をジョイントできるのだ。

 

赤ちゃんを前で抱っこするときは、ママと子どものコートをジョイントして、ママコートに。歩けるようになったら、上だけ着せてレインコートに。もっと背が伸びたら、上下で着せる、といったように、120cmサイズの子ども用レインウエアを0~6歳まで使い倒したとのこと! このアイデアならば、1000円程度のすぐに濡れてしまうようなものを成長にあわせて買い換えるよりも、ずっと経済的だ。

 

災害用をあえて用意するのではなく、普段使いできる自分のお気に入りを揃えておくこと、そしていろいろなアイデアを持って活用することが、何より大切なのである。

 

 

「やらなきゃいけない」が「やってみたい」に。楽しみながら防災対策をしよう

『りすの四季だより』には、子どもでも大人を助け出せる古武道を使った救出術や、川遊びに必須の滑りにくい靴の作り方、寒さ暑さに対応する着こなし術、災害直後のトイレ問題、部屋の中の耐震化と家具固定法などなど、ぜひ家族で一度読んでおいてほしい内容が満載である。実際、私も実家の両親に1冊送ったほどだ。

 

ポイントは、いつ起こるかわからない災害に恐れるが故に「防災対策は嫌なこと」とネガティブに捉えるのではなく、「ちょっと試してみたい、普段から楽しみながら挑戦できるポジティブな防災アイデア」ばかりだということ。

 

もちろん、この本さえ読んでいれば必ず助かる!のではなく、りすさんから学んだ知識を応用できる知恵を身につけることが最大の目標だ。

 

備えあれば憂いなし。楽しみながら備えて防災を日常にし、心にゆとりを持って毎日を送りたい。

 

 

【書籍紹介】

りすの四季だより 家族の笑顔を守る暮らしの知恵

著者:あんどうりす
発行:新建新聞社

「やらなければ」が「やってみたい」に変わる! 口コミで年間100回以上の講演依頼がある伝説の防災講座、初の本格書籍化! 本書では、防災をマニュアル化するのではなく、アウトドアの知恵と技術を使って「読者と生き延びるための『知恵』を分かち合う」ことを目指しています。

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安全! 美味い! 防災にも! 良いことづくめのウォーターサーバーを選ぶには?

季節を問わず、おいしく安全な水が飲めるウォーターサーバー。普段の水分補給にはもちろん、料理に使ったり洗顔したりするほか、ボトリングされた状態で常備しておくことができるため、防災対策にも役立ちます。かつては病院や企業などに置かれていましたが、美容や健康に関心のある人を中心に流行した上、東日本大震災など災害時の教訓もあいまって、今では自宅に設置している人も多くなりました。

 

一方で、ウォーターサーバーを扱っている企業は多く、その水質やサービスの内容にもさまざまあり、どのように選べばよいのかわからない、という人は少なくないでしょう。そこで、日本におけるウォーターサーバーの実情を知る一般社団法人日本宅配水&サーバー協会の芹澤卓道さんに、ウォーターサーバーに関する基本知識や選び方、おすすめブランドについて聞きました。

 

「天然水」と「RO水」の2種類がある

ウォーターサーバーのボトルに入っている水には、ふたつの種類があります。ひとつは「天然水」といって、天然の成分が含まれた水のこと。南アルプスや阿蘇など、特定の水源から採取した原水を濾過などし、化学処理を行わずにボトリングしたものです。もうひとつは「RO水」といい、逆浸透膜を通して水道水や地下水を濾過した水のことで、徹底的に不純物を除去しています。

 

「一般的に、天然水は宅配便を使用して全国展開している企業が多いです。たいていは使い捨てのボトルに入っていて、飲み終えたら捨てられるワンウェイ方式をとっています。反対に、RO水は製造工場を中心に従業員が配達している場合が多く、回収して再利用するリターナブルなボトルを使用しています。完全に不純物を除去しているのがRO水で、蒸留などの加工をしていない自然のままの水が天然水ですが、水の味や特徴はさまざまです」(芹澤さん)

 

日本人に合うのは軟水

水には「硬度」といって、その硬さを示す数値があります。水質を表す基準のひとつで、水に含まれているカルシウムとマグネシウムの量によって硬度が決まり、用途によって適している硬度があります。

 

たとえば、まだ胃腸の発達が未熟な乳児期は、カルシウムやマグネシウムが消化できないため、赤ちゃんのミルクづくりには軟水が適しています。一方、ヨーロッパでは飲料水が硬水のため、西洋料理には硬水が向いています。肉の煮込み料理に使うとアクがしっかりとれたり、肉を柔らかくしてくれたりする効果があるほか、ハードパンを焼くときの仕込み水を硬水にすると、パリッとした食感のパンが焼けるのです。

 

「日本の水はほとんどが軟水で、日本人の体や口に合うと言われていますから、国内では現在、硬水のウォーターサーバーの取り扱いはありません。ただ、同じ軟水でも硬度の差はあるので、口にしやすい味のものを選ぶといいと思いますよ」(芹澤さん)

 

生活スタイルで選ぶ、ウォーターサーバーの<方式>

ウォーターサーバーを選ぶときに重視すべきことのひとつが、水のボトルが回収式なのかワンウェイ方式なのか、でしょう。回収式は、野菜などの定期宅配と同じように、不在でも玄関口に置いておいてもらえるメリットがありますが、回収の日まで空になったボトルを保管しておく必要があります。一方ワンウェイ方式では、宅配便での受け取りなので、不在のときの受け取りに手間がかかる場合がありますが、飲み終わったらボトルを小さく潰しゴミとして捨てられます。

 

「転居時や妊娠、出産、ご結婚など生活に変化があったとき、新規に加入される方が目立ちます。お酒を割るときやコーヒーを淹れるときなど、熱いお湯をすぐ使いたい方や、飲料用に水を購入していらっしゃる方には、ウォーターサーバーをお使いいただくと便利だと思います」(芹澤さん)

 

特徴から選ぶ、ウォーターサーバーの<種類>

ウォーターサーバーがあると、日々の料理やお茶などの味に満足できるだけでなく、水をマグボトルに入れて持ち歩くこともできます。

 

「小さなお子さまがいらっしゃるご家庭では、ペットボトルのジュースやお茶の代わりに、おいしいお水で水分補給してほしいと考えられている方が多いようです。出かけた先で喉が渇いたとペットボトル飲料をいちい購入するより、ご家庭のサーバー水を水筒に入れて持って行くことで、経済的にも健康的にも大きなメリットがあると思います」(芹澤さん)

 

それでは具体的に、宅配の方法や水質の違うウォーターサーバーの種類を見ていきましょう。

 

1.安曇野の上流から来た天然水

「信濃湧水」(ワンウェイ方式)
https://shinanoyusui.jp/

自然豊かな長野県大町の工場で詰められた、標高1220mの北アルプスでとれた「信濃湧水」。水源は、わさび栽培で有名な安曇野の上流に位置しています。険しい山の中なので関係者以外入ることができず、自然環境が荒らされる心配がありません。ボトルは使い捨てタイプで、関東圏内に限り配送スタッフが配達してくれます。

 

「硬度が16と超軟水で、雄大な北アルプスが育んだ天然水の味が楽しめます。スタンダードタイプのサーバーはレンタル料が無料で、お水代のみでご利用できるので、安心してお使いいただけると思います」(信濃湧水販売店/トーエル)

 

2.ホタルのいる群馬県榛名山の天然水


「スイークレイ」(回収方式)
http://www.032014.com/

四季を通して15℃程度と水温が安定していて、ホタルが生息するために必要な酵素がたっぷり含まれた湧き水を採水した100%天然水。ミネラルや風味を損なわないよう加熱殺菌せず、高性能フィルターで無菌化しているので安心です。回収タイプのボトルは定期宅配なので、水が足りないと毎回注文する手間がかかりません。

 

「サーバーやボトル回収・宅配などはすべて無料で、水が足りない場合は追加することができ、余っていたら次回の配達で調節していただくことができます。温水と冷水の出るサーバーのほかに、常温のみで使っていただける木製サーバーがあり、お子さまが触ってしまう心配のあるご家庭に人気があります」(スイークレイ販売店/いずみや・平野さん)

 

3.ハワイ採取の天然水を徹底濾過したRO水


「ピュアハワイアン」(ワンウェイ方式)
https://www.hawaiiwater.co.jp/

ハワイの大自然で生まれた天然水の不純物を極小フィルターで濾過したピュアウォーター。ハワイはどの大陸からも数千キロ離れていて、各国が天文観測所を設置するほど空気が澄んでいると言われています。また、ウミガメやハイビスカスをあしらったボトルは、インテリアにも映えそうです。

 

「サーバーには温水と冷水の機能があり、温水のほうはチャイルドロックを二重にかけられるようになっていますので、お子さまのいたずらややけどなどを防ぎます。また、温水を循環させて自動で内部をクリーニングすることもでき、いつも清潔なまま使っていただけます」(ピュアハワイアン販売店/トーエル)

 

4.北アルプスの天然水を磨き上げたRO水

「アルピナウォーター」(回収方式・ワンウェイ方式)
https://www.alpina-water.co.jp/

北アルプスの天然水をRO浸透膜で濾過し、不純物を99.9%除去したピュアウォーターです。徹底的に磨き上げたことで、だれでも安心して飲める水に仕上がっています。また、ボトルは回収式と使い捨てのワンウェイ、どちらでも選べるようになっているのがおすすめのポイントです。

 

「回収式のボトルのほうは量が多く、業界最安価格というお得な価格でお求めいただけます。使い捨てタイプは8Lの小さなボトルで設置しやすいため、ひとり暮らしの方や外出の多い方、重たいボトルを持ち上げるのが大変な方などにおすすめです」(アルピナウォーター製造元/トーエル)

 

インテリアに合わせて選ぶ<デザインとサイズ>

一般的なウォーターサーバーは、直に床に置いて使う床置きタイプのものが多いのですが、限られたキッチンのスペースに幅をとるものを置けない、という方には、卓上タイプのものがおすすめです。また最近では、インテリアの邪魔にならないデザイン性に富んだサーバーもありますから、好みのものを探してみましょう。

 

1.床置き型と卓上型を選べる

「フレシャス」
https://www.frecious.jp/

シンプルなサーバーで人気のブランド「フレシャス」では、富士、朝霧高原、木曽の3種類の天然水を用意しているので、サーバーによって好みの採水地を選ぶことができます。水は使い捨てのボトルのほかに軽量のパック詰めされたものがあり、力のない方にもセットしやすいのがポイントです。

 

「床置きタイプはリビングに置いていただくとご家族で使いやすく、卓上型はスペースを取らないので、キッチンのシンクやカウンターなどに置いていただくのに適しています。ウォーターパックは、飲み終わったら小さく畳んで捨てることができるので場所をとりません。デザイン面では、シンプルでスタイリッシュなサーバーとしてグッドデザイン賞を受賞しています。世界的に有名なプロダクトデザイナーの安積伸氏にデザインしていただきました」(富士山の銘水・横山さん)

↑「床置きタイプdewo」は、インテリアと馴染みやすいデザインが人気。電気の節約モードで、従来のサーバーと比べて70%以上の電気代をカットできます

 

↑「卓上型dewo mini」は、小さいながらも4.7Lのウォーターパックが入ります。コンパクトで場所をとりません

 

2.デザイン家電ブランドとのコラボレーション


「プレミアムウォーター」
https://premium-water.net/

富士吉田、南阿蘇、金城の3カ所から採水し、非加熱処理を行った天然水。国際味覚審査機構(iTQi)やモンドセレクションを受賞するなど、そのおいしさは世界的に認められています。

 

「非加熱で処理することで、お水のおいしさに関わる溶存酸素量が減少しにくく、自然本来のおいしさを味わっていただけます。サーバーは、デザイン家電で大変人気のあるamadanaによるものや、性能やデザインが人気の家電ブランドcadoとのコラボレーションで製作した『cado×PREMIUM WATERウォーターサーバー』など、さまざまなご用意をしています」(プレミアムウォーター・與風さん)

↑「amadanaデザインサーバー」は、日本ならではの美意識を大切にしたエレクトロニクスブランド、amadanaがデザイン。木製の置き台で、北欧系インテリアにも和室にも合うよう考えられています
↑「cado×PREMIUM WATERデザインサーバー」は、大手メーカー出身者が立ち上げた家電ブランド、cadoとのコラボレーションで誕生。省エネや安全ロックなどを備えながらもスタイリッシュです

 

汗をかくことが多くなるこれからの季節、水分補給が欠かせなくなります。水質やデザインなど、生活スタイルや好みに合わせて選ぶことのできるウォーターサーバーで、おいしい水を取り入れてみませんか?

 

【プロフィール】
一般社団法人 日本宅配水&サーバー協会/芹澤卓道

80社もの宅配水企業等が加盟する団体で、通称「JDSA」。宅配水業界の発展を目指して、宅配水に関する消費者からの相談窓口の役割を果たすほか、製造工場内の除菌・殺菌のマニュアルなど、業界内のガイドラインを策定している。
http://www.jdsa-net.org

 

取材・文/吉川愛歩 構成/Neem Tree 写真提供=トーエル

 

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