家族が「もう手放せない」と語った「食洗機」設置の手間とお金はどのくらい? 導入までの一部始終をレポート!

「最近、洗い物をすると爪がボロボロになるのよね……」。

 

きっかけは、そんな妻の一言でした。妻にはもう何年も前に食器洗い乾燥機(以下食洗機)を購入することを提案していたのですが、当時は「工事費込みで10万円近くするのにもったいない。私が毎回洗えばすむこと」と、自ら拒否していました。私は仕事柄、食洗機の便利さや、実は手洗いより節約になることなどのメリットは熟知していたので食洗機の導入には前向き。しかし、家事を機械任せにすることが「家事をサボっていることになる」と、どこか古い考えを持っている妻にとって、食洗機は必要のないものだったのです。

↑5人ぶん相当の食器を洗う際の使用水量の目安。手洗いの場合は約75L(左)、パナソニックの食器洗い乾燥機 NP-TH1の場合は約11L(右)で、この場合の使用水量は約1/6になります(出典:パナソニック公式サイト)

 

洗い物の手荒れに苦しむ妻を救いたい!

しかし齢50を超え、体のほうが悲鳴を上げ始めました。毎日の炊事で皮膚も荒れ、洗い物のあとすぐにお風呂に入ると手が痛くなるらしく、いつも妻がお風呂に入るのは時間を空けた深夜。そんなつらい家事は機械任せにしましょう! と再度、妻に食洗機の購入を打診したのです。こうして、「ひとつ、妻にラクをさせてやろうか」という、軽い気持ちで購入を決断したのですが、まさかあんな大事になるとは……。その時は知るよしもありませんでした。

 

なお、今回はワケあってオール電化への切り替えも同時に検討しており、キッチンのコンロをガスからIHに変更する流れがあり、食洗機もビルトインタイプを導入できるかどうかも検討することにしました。さかのぼること13年前、新築で一戸建てを購入する際、汚れ落ちがイマイチ、性能が良い外国製は価格が高い、などの理由から、ビルドイン食洗機の導入はしませんでした。

 

しかし現在、私は家電関係の取材・執筆を通して、いまの食洗機がかなり進化したことは理解しています。というわけで、まずは「据え置きか? ビルトインか?」という命題に答えを出すべく、家電量販店にレッツラゴー!(※)

※レッツラゴー…レッツゴー (Let’s go)の意味。1971年から1974年にかけて週刊少年サンデーで連載されていた漫画「レッツラゴン」が語源

 

据え置きタイプだとパナソニック一択

まずは据え置き型をチェック。現在、据え置き型の食洗機を作っているメーカーはパナソニック1社となっており、選択肢はあまりありません。4人家族用は2モデルしかないので、約80℃の高温除菌ができて、自動節電機能「エコナビ」搭載のフラグシップモデル「NP-TH1」をチョイスしました。発売から半年以上が経過しているため価格がだいぶ下がっており、本体は税抜7万円にポイント10%、工事費5000円とのこと。このほかに、自宅の蛇口に合わせた分岐水栓(ぶんきすいせん)が必要になります(実費)。分岐水洗は、蛇口のタイプによって価格が5000円~1万2000円とピンキリ。これは実際に自宅の蛇口を見てみないとわからないということで、事前調査をすすめられました。いったん保留して、次はビルドインのチェックに向かいます。

↑パナソニックの据え置き型食器洗い乾燥機 NP-TH1

 

ビルトインを検討するも、価格を考慮して据え置きに決定

ビルトインは、家電量販店ではリンナイとパナソニックのモデルを取り扱っており、本体価格は5万円から16万円とピンキリ。ただ、価格の違いは高圧水噴射ノズルの数や高温洗浄ができるか否かなど本質の部分にかかわってくるので、やはり高性能なモデルを買わないと後悔することになりかねません。というわけで、今回は実売価格14万円のモデルにターゲットを絞りました。そしてビルドインの場合は、新規設置ならば電源設置工事と、シンク下のひき出しの取り外し/食洗機設置のために天板にカッターを入れて再度接着する作業などがあるため、合計4万3000円の工事費がかかります。加えて、食洗機下の空間を有効利用するための専用の収納キャビネットが3万5000円。合計で軽く20万円を超えます。

↑スペースを取るけど価格の安い据え置きタイプか、価格は高いけれどキッチンがスッキリするビルドインにするか(写真)悩むところです(画像出典:パナソニック公式サイト)

 

収納を犠牲にしても、広々としたキッチンを維持するために高価なビルトインにするか、それとも、価格は安いけどシンクにデンと居座ってキッチンの作業スペースを狭めてしまう据え置き型にするか…かなり悩みました。しかし、同時にオール電化工事で70万円がふっとぶこともあり、スペースを犠牲にしても費用が安くすむ据え置き型のパナソニック NP-TH1に決定しました。

 

蛇口がカルキで固まり、取り外しができない?

こうして購入する機種は決定したわけですが、実はここからが大変でした。1週間後、家電量販店から派遣されてきた作業員がわが家の蛇口(キッチン水栓)を一目見てこう言い切りました。「これはダメです」。…え? なにが?

 

「蛇口から漏れる水に含まれるカルキですっかり固まっています。分岐水栓は蛇口をいったん外して、蛇口とハンドルの間に挟んで取り付けるのですが、ここまで固まっていると、蛇口を取り外す際、内部のパッキンを壊してしまうでしょう。最悪、蛇口本体も破損してしまうかもしれません」。

 

うわあ…どうすればよいのでしょう……? 「蛇口自体を新品のものに交換する必要があります。私は工事専門なので、水道店にお問い合わせください」とのこと。

↑13年間蓄積された水道水のカルキで根元からガッチリ固まっています

 

シンプルな混合栓なら、部品代と工事費込みで3万円から

幸い、町内会で仲良くしている水道工事店の友人がいるので、その日のうちに見積もりに来てもらいました。「蛇口くらい、せいぜい2~3万円で済むだろう」と甘く見積もっていたのですが、その友人いわく「最初から分岐水栓が搭載されているモデルは1種類しかない。元々ついている蛇口は、引き出せてしかもシャワー機能付きのシングルレバー混合栓という最高級タイプ。これに分岐水栓がついたものはかなり高価」。後日届いた見積もりが、商品代・設置工事費・撤去処分費込みで8万8000円(!)でした……。つまり、食洗機本体と合わせて17万円(税込)もかかる計算です。

 

↑後付け分岐水栓の設置例(画像出典:パナソニック公式サイト)

 

ここでも悩みました。総費用がビルドインとそう変わらなくなってしまい、「安くつく」という最初に決めた理由が意味をなさなくなるからです。ただ、ビルトインはシンク下収納が犠牲になること、電気製品なので7~10年で買い替えとなり、その際にまた高額な製品を購入する必要があること、さらに、すでに据え置きモデルの購入代金を払っていることも考え、結局、据え置きタイプでそのまま続行することにしました。「蛇口も良いものを買えば20年は持つ」という友人の言葉も後押しになりました。10年後に食洗機を買い替えるときに蛇口はそのまま使い続けられそうです。

 

なお、筆者の場合、利便性や後々のことを考えて、高価な高機能マルチ水栓を新調しましたが、わが家はあくまでも特殊な例。シャワー機能や蛇口の引き出し機能のないシンプルな混合栓なら、水栓代・分岐水栓の部品代と工事費込みで3万円からの料金で取り替えてくれる業者も存在します。また、今ついている水栓の固着を剥がす工事もあるそうで、その場合は分岐水栓の部品代と工事費で2万3000円くらいからとのこと。状況によっては、リーズナブルに工事できますので、まずは見積もりを取ることをおすすめします。

 

分岐水栓の後付け作業は自分で行うこともできる

なお、GetNavi web編集長、山田がパナソニックの食洗機を導入した際は、自分で家庭の蛇口に分岐水栓の後付け作業を行ったそう。その際に購入した分岐水栓は6000円台で、作業自体は30分程度で終わったとのことです。蛇口に合う分岐水栓を探すには、ご自宅の水栓の裏側などにある品番を調べて、パナソニックのサイト内「分岐水栓ガイド」で品番を入力すれば、購入すべき分岐水栓がわかります。

↑パナソニック食洗機のサイト内にある「分岐水栓ガイド」に、お使いの水栓の品番を入力(下画像へ)

 

↑すると、適合する分岐水栓の品番(CB-SXF6など)が表示されます。同ページには「取り付け方法をダウンロード」もあるので、自分で作業する場合はこちらを参考にします

 

結局、遅かれ早かれ蛇口は交換すべき状態だった

後日、蛇口交換工事のために、元気のいい若い作業員が来てくれました。この日、3時間後に食洗機が届いて設置工事が始まるので、蛇口に交換はどのくらいかかるかと聞いたら、「30分もあれば終わります」とのことでひと安心。

 

ところが…です。固い、とにかく固い。通常ならば、蛇口の根元の裏にあるボタンを押し込めば簡単に蛇口とハンドル部分が外れるとのことですが、まったく外れません。結局、根元の部分を壊して外してみると、カルキが固まっているだけでなく、腐食によって部品同士がくっついていました。つまり、どうあっても現在の蛇口は再使用できるものではなかったのです。

↑根元の外枠を無理矢理壊してロックを外すと、上部の蛇口がようやく抜けました。その後、蛇口を外す際に力を入れて回すと、内部の部品が壊れる事態に。カルキと腐食により、本体もパッキンもボロボロです

ホースがぶつかってトビラがフルオープンできない!

ここからはサクサク工事が進み、新しい蛇口の取り付けはものの10分程度で終わりました。やっと一安心できる…と思ったら、またもや問題発生。

 

食洗機は蛇口の左側に置く予定なのですが、食洗機へのホースの接続口が左を向いており、これだと食洗機の扉を開けたときにホースがぶつかってフルオープンできないのです。ということで、接続口を反対の右側に変更。すると、今度はお湯が通っている左側のパイプに接続できず、食洗機にお湯を取り込むことができない事態に! 食洗機は80℃の高温のお湯で食器を洗うことで油汚れもすっきり落とすのですが、水から80℃まで温度を上げるのでは電気代が余分にかかってしまいます。わが家では同時期にエコキュート(※)を導入しており、家の外のタンクには80℃以上のお湯がたくさんあるのですから、これを使わないのはもったいない。

 

…悩んだ結果、シンク下でお湯と水の配管を逆につなぎ、無理やりお湯のパイプを右側に持ってくることに。その結果、通常は蛇口レバーを左にスライドさせるとお湯、右にスライドさせると水が出るところ、これが正反対になる形に……。とはいえ、なんとかこの問題をクリアできました。

※エコキュート…省エネ給湯機の一種。空気の熱を集め、少ない電力で大きな熱エネルギーを得るヒートポンプという技術を使っています

↑本来は左側にホース接続口を向けるところですが、トビラが接触するため、接続口を右側に移動

 

↑シンク下で、水栓から伸びる水用ホースをお湯用パイプにつなぐことで、分岐水栓からはお湯が出るようしました。ただし、蛇口についている水/湯のマークが実際とは逆の状態に。娘が持っていたマスキングテープを貼って応急処置

 

本体の向きを微調整してなんとかフルオープンを実現!

さて、ここまでお膳立てができていると、食洗機設置工事はほとんど必要ありません。分岐水栓にホースをつなぎ、事前にリビングの壁から伸ばしていた電源タップにコンセントを差すだけ。工事費用として、事前に5000円を払ってしまいましたが、これなら自分でも取り付けできたでしょう。

 

しかし、ここでまた問題が発生しました。わが家の蛇口はシンクの左に寄っているのですが、その左側に食洗機を設置しても、ギリギリでドアは開けられると考えていました。ところが、実際に設置してみると食洗機の扉が蛇口の胴体にぶつかり、フルオープンすることができません。このままでも使えないことはないのですが、食洗機の中の食器かごをスムーズに引き出すことができず、食器を入れるたびにストレスがたまりそうです。また、食洗機の扉を何度もぶつけているうちに双方が傷みそう……。

↑ふう、ようやく設置完了…と思ったら、最後にワナが。食洗機の扉が水栓の頭に当たって完全に開きません!

 

この問題は、食洗機の向きを微妙に変える(食洗機のトビラ側を少し手前に振る)ことで解決しました。ただ、こうすることでシンクの端の少し盛り上がっている部分に食洗機が乗り上げるため、本体がガタガタしてしまいます。そこで、ホームセンターで薄いゴムシートを買ってきて高さを微調整。こうして、涙ぐましいまでの努力を経て、ようやく設置完了です!

↑本体を斜めにすることで水栓を避けられ、扉をフルオープンすることができました

 

↑シンクの端の3mmほど高い箇所に足を乗せたため、他の3隅もゴムシートで高さを調整。これによりガタツキもなく安定して設置できました

 

設置に苦労はしたが、食洗機の導入は大正解だった

こうして、結構な苦労を乗り越えて食洗機を設置したわけですが、あくまでもわが家は課題が重なったレアケース。一般の家庭なら、もっとラクに安く設置できるはずです。そして何より、お伝えしたいのが設置後の食洗機の絶大なメリット。なにせ、いままで30分以上かかっていた食器洗いが、たった5分程度の作業で終わってしまうわけですから……。妻の手荒れも改善し、妻や娘はもう「食洗機なしでは生活できない」と言っています。これから家を建てる人、マンションの購入を考えている人にはビルトインがオススメですが、そうでない家庭なら、一刻も早く据え置き型を導入すべきです! なお、食洗機導入後の詳細な使用レポートは、近日中に公開予定。そちらもお楽しみに!