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IoT導入事例ファイル2: データ活用が工場や人、品質に効果をもたらした6社の事例
こんにちは、製造業のデジタル化を応援するライターの宮田文机です。
近年のデジタル化のキーワードの一つとして挙げられるのが「データ活用」。プロセス改善やトレーサビリティ(追跡可能性)の確保に生かすべく、ものづくりの現場におけるデータ活用推進は年々進められています。
IoT導入事例ファイル第二回では、データ活用を実地した企業6社の例をご紹介。
一口にデータ活用といってもその内容は生産性向上、品質向上、在庫状況の把握など多種多様です。
温度データを品質管理に活用する東京鋳造所
群馬県高崎市でアルミの金型鋳造に従事する30~40名規模の東京鋳造所。1929年創業と長い歴史を誇る同社は2020年の東京オリンピックを目標に工場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める「VISION2020」を掲げ、その一環としてデータ計測による品質管理を開始しました。
まずは鋳造に用いる金型に8本の熱電対を設置して温度をリアルタイムで測定。最も安定して高品質な製品を生産できる温度バランスを探ったそうです。そうして導き出したベストな管理データを活用することでロボットに自動で品質管理を行わせることが可能に。さらに、同社の海外進出の際、日本で得られたデータを共有することで、スムーズに同品質の製品を生み出せる環境が整ったといいます。
データを生産管理の効率化とコスト削減につなげた長島鋳物
長島鋳物は埼玉県川口市にてマンホール蓋枠製造に携わるものづくり企業です。近年特に多様化が進んでいるマンホール。必然的に多品種少量生産となり、管理コストが高まっていました。そこで同社が着手したのが鋳造工程のIoT化。
製品ごとに異なる材料の量や冷却に必要な時間、鋳造の進み具合などのデータを電気炉と注湯機に新設したセンサーから取得し、タブレットなどでリアルタイム把握できる環境を構築。さらに適切な炉内温度を測定することで10%の電気代削減にもつなげることができたそうです。
なお、同社工場のIoT化にかかったコストは一般社団法人環境共創イニシアチブが運営する「地域工場・中小企業等の省エネルギー設備導入補助金」によって賄われました。こうした公的補助は中小企業のIoT化の大きな味方です。
「人」のデータを生かして適材適所を実現する今橋製作所
茨城県日立市で発電機部品、自動車部品、医療機器部品、宇宙機器部品、半導体製造装置部品などの切削加工に取り組んでいる今橋製作所。緻密かつ高度な加工が求められる部品の製造を行うものづくり企業であり、その分工員の熟練や適性が重視されます。
そんな同社が実施しているのは“データ活用で従業員を適切に配置し活躍を後押しすること”。工員の思考力やストレス耐性、機器の使いこなしといった個人特性をコンサルティング会社と協力してデータ化。適切な配置やメンタルケア、離職防止に生かしています。
採用市場における人手不足は今後も続くことが予測されます。機器や設備だけでなく「人」のデータも生かすことで生産性向上や働き方改革といった大目標につなげられるでしょう。
クラウド経由で在庫データを把握する山田木管工業所
続いての先進企業は、岐阜県山県市の山田木管工業所。
手ぬぐい額などのオリジナル額縁やモダン神棚、四方框扉(しほうかまちとびら)といった木造りの温かみのある製品を生み出す企業です。同社では、在庫状況の把握をデータによって効率化しました。
具体的には、商品バーコードをスマホで読み取ることで、クラウドサービスを通して在庫数や最低在庫切れ、製造の優先順位などを把握できるシステムを構築。それまで完成品置き場まで移動して在庫状況を確認していた手間がなくなり、業務効率が非常に高まったといいます。
同社の取り組みは経済産業省が後押しする「スマートものづくり応援隊」の協力を受けて実施されました。
情報管理の手間を減らし短納期で他社に差をつける山口製作所
自動車関連部品やPCヒンジ関連部品のプレス加工・組立を行う新潟県小千谷市の山口製作所。同社は工場のIT化にいち早く取り組み、他社と比較して7~8割の短納期生産を可能にしています。そのスピードを支えているのはマイクロソフト社のAccessをベースに独自開発した生産管理システムと、中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」を利用して導入したデータ収集型機械制御システム。
製品データを一つのシステムに統合することで情報を呼び出す手間を削減でき、さらに工場の稼働状況を顧客に開示することでトレーサビリティにも寄与しました。同工場のデジタル化は生産性を約3倍向上させたというデータも出ているそうです。
データの共有で「人」をつなげる今野製作所
最後はIoTで設備と人をつないだ工場の事例をみてみましょう。東京都足立区に本社を構え、油圧機器・板金加工・エンジニアリング&サービス・福祉機器の4事業を展開する今野製作所です。
同社はリーマンショックによる業績低下を契機に、業務フローの改善に着手。引き合い・受注・生産・在庫状況にまつわるデータをほぼリアルタイムで全社的に共有できるシステムを構築し、従業員全員が一丸となって目標達成に取り組める環境を整えました。結果としてある製品の受注売り上げは約5倍になるといった成果が得られたそうです。
今野製作所はこの成功体験を生かし、自社内だけでなく他社との協業もIoTで実現することに取り組みました。西川精機製作所とエー・アイ・エスの2社と共同で運営する「東京町工場 ものづくりのワ」での情報共有やノウハウ蓄積にも同社が構築したシステムが生かされています。
まとめ
品質管理、コスト削減、人材配置、情報管理、トレーサビリティ確保、情報共有……、ものづくりに「データ活用」の考え方を取り入れることで生かされるポイントは枚挙にいとまがありません。
実際近年データ活用に対する意識は製造業全体で高まっており、2015年から2016年で「生産プロセスにおいて何らかのデータ収集を行っている」と経済産業省に回答した企業は大企業で20%、中小企業で26%増加しました。
多くの企業が次に進むべきは、データ収集からデータ活用のフェーズです。そのために本記事の事例をぜひ参考にしてください。