
月別: 2020年2月
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技術をより多くの人に広めるコンテンツマーケティング
こんにちは、テクノポートの永井です。
今回は技術をより多くの人に知っていただくための手法の一つ「コンテンツマーケティング」のやり方についてお伝えします。
コンテンツマーケティングについては過去に弊社の徳山が「製造業でコンテンツマーケティングは可能なのか?3つの事例をもとに考える」という記事を書いていますので、そちらも参考にしてください。
コンテンツマーケティングは簡単にいうと「ターゲットが求めてる情報を発信することで、見つけてもらう確率や選んでもらう確率を向上させる手法」で、より具体的にいうと「ニーズが潜在化していないターゲットに対しても有益な情報を発信し、定期的に自社を見てもらうことで自社を記憶してもらい、必要になったときに問い合わせをしてもらうための手法」です。
つまり、短期的な視点ではなく、ターゲットを育てながら問い合わせにつなげるという中長期的な手法になります。このことから、コンテンツマーケティングはその業界での認知度向上を目標とし、最終的に利益に結びつけることを目的とするような考え方となります。コンテンツマーケティングはWebと相性がよく、認知を広める方法や記憶してもらう方法として有効と言われています。
──────────────────────────────
Webとコンテンツマーケティングが相性が良い理由
- 検索者が情報を探している
- 探している情報に対して、無制限にコンテンツを制作できる
- 動画、画像、イラストなどを情報をわかりやすく伝える手段が豊富にある
- 記事を多く書くことで、見つけてもらう確率が上がる
- 広告を使わずともたくさんのアクセスを稼ぐことができる
──────────────────────────────
そのため、コンテンツマーケティングを行う企業が増えてきていますが、BtoBかつ技術系のコンテンツマーケティングを行っている企業は意外と多くはありません。
その技術系コンテンツマーケティングが難しい理由として、
- 更新内容がなく、途中でストップしている。
- 技術系コンテンツを書ける人がいない(工数がない)
- 技術流出の可能性を懸念している
などがあります。しかし、それをクリアすることによって強いブランド力を作ることができますので、ぜひ挑戦してほしいです。今回は技術系コンテンツマーケティングを始めるときのポイントや注意点についてお伝えします。
技術系コンテンツマーケティングの始め方
1、目的を明確にする
コンテンツマーケティングにより良質な記事の数が増えてくると、広告を使わなくてもたくさんのアクセスを稼げるようになります。しかし、アクセスだけが増えても、全く問い合わせに繋がらなかったり、的外れな問い合わせが増えることがよくあります。そのため、本業の利益につながるようなストーリーを作ることが大切です。
ストーリーというと少し大げさですが「ターゲットからどのような企業に見られたいか」を考えれば大丈夫です。
例
- 業界トップの知識量がある企業
- 共同開発をしたくなるような企業
- 安心して依頼できそうな企業
※本記事の最後に事例となる企業を紹介しています
もし「業界トップの知識量がある企業」として見られたい場合は、加工方法や技術に対する一般知識から応用技術、研究段階の話や未来の話。または直接の担当者にしかわからないほどニッチだけどあったら嬉しい情報の発信などがあります。
このように目的が決まると発信する情報にストーリーを持たせやすくなり、利益につながる問い合わせに繋がります。
2.ターゲットの選定
設計、研究、開発、製造技術、品質保証、購買など立場によって求める情報が異なるためターゲットを決めることが大切です。ターゲットを選ぶ方法は大きく分けて2つ、どういう人から問い合わせがほしいか、もしくは自社の技術を使っていくる人は誰か。「問い合わせが欲しい人」はこちらの都合で決められるため選ぶのは簡単ですが、「自社の技術を使っていくる人」を見つけるのは少し難しくなります。
その場合は、
- 自社の技術の棚卸しをする
- 技術が役に立つ状況を想定する
- その状況に合致する立場の人を見つける
といった具合に、自社の技術の棚卸しから始めると見つけやすくなります。また、ターゲットを決めるだけではなく、ターゲットの置かれた状況も考慮すると、より刺さるコンテンツが発信できるようになります。
例えば、開発者をターゲットとた場合、研究フェーズなのか、開発フェーズなのか、それとも量産フェーズなのかによって求める情報が異なってきます。
- 研究フェーズはシーズからニーズを見つけるための研究であり、その技術がどこのどういった課題を解決できるかの情報
- 開発フェーズは製品化や機能改善、機能の付加に向けた開発であり、ものを作るための技術情報
- 量産フェーズは量産品の改善であり、品質の向上やコストダウンなど情報
このように状況によって求める情報が異なるため、ターゲットの状況まで考慮したほうが適切なコンテンツを作りやすくなります。ただ、コンテンツマーケティングはターゲットに合わせてコンテンツを複数制作すれば良いため、ターゲットを決める必要はありますが、ターゲットを絞る必要はありません。そのため、ターゲットが複数出てきても問題はありません。
3、カテゴリーマップの作成
コンテンツマーケティングは記事を複数制作するため、最終的な全体像を把握してから始めることをおすすめしています。全体像がわかると記事を作るときのテーマ選定や記事の方向性を決めるときに楽になるため、コンテンツマーケティンを継続させやすくなります。
先程のターゲット選定で「ターゲット+状況+自社の技術の紐付」をしていると思います。次はそれに合わせたカテゴリーとテーマの設定をします。このとき、自社の技術以外の情報についてもマップに書くことテーマの幅が広がります。
カテゴリーを作る際はマインドマップ作成ツールなど使うと簡単に作れます。マインドマップについてはこちらを参照ください。
4、コンテンツの制作
カテゴリーマップができたら、最後にコンテンツを制作します。コンテンツの制作を社内外の人に依頼する場合、使用する単語や言い回しがかわってくるため、それらをまとめる編集長を決めたほうがスムーズに進みます。ちなみに、モノカクの編集長は渡部です。
では、コンテンツを作る際の全体的な流れについてです、
まず、カテゴリーマップからテーマを選びます。
絶対に入れたほうが良いキーワードを調査して、そのキーワードを入れるようにします。※コンテンツマーケティングはニッチなキーワード対策をするときもあるので、キーワード設定については比較的ゆるくても大丈夫と思います。
記事をすぐに書くのではなく、記事の構成となる目次と概要を書き、編集長や記事をチェックしてくれる人の承認を取ります。ここで記事の方向性を決めるため、意外と重要な工程です。
記事を書き、記事を複数人でチェックします。そのときターゲットとなる人が社内にいれば、ぜひ確認してもらってください。記事の修正ができたら、体裁を整えて、サイトに公開します。
これを繰り返すことで、良質なコンテンツを大量に作っていきます。
技術系コンテンツマーケティングの注意点
1、社内の協力体制を作る
良質な記事を定期的作るためには、社内の協力、特に技術系の人の協力は必要不可欠になります。記事を書いてもらったり、チェックをしてもらったりと時間を割いてもらうことになりますので、社内の協力体制作りは必ず行ってください。
社内協力体制を得るためには、「なぜwebを使ったコンテンツマーケティングをするのか、なぜ他の人が協力する必要があるのか」を説明しなければなりません。
新規顧客を開拓するためにWebは有効な手段であり、その中でもコンテンツマーケティングは効果が得られそうな手法である。そして、技術系のターゲットに刺さるコンテンツを作るためには、どうしても社内の技術者を含めた協力体制が必要になるからお願いします。
といった具合に、他部署もを含めた協力体制を作ることが理想的です。技術的な記事の制作やチェックは一人ではできません。記事のクオリティをあげるためにもぜひ社内の協力体制は整えてください
2、チェック体制を整える
チェック体制を整える意味は2つ
- 記事そのものの確認
- 技術流出のリスク対策
です。
記事の構成や言い回し、使用する単語は人によって異なってくるため、それらを統一する必要があります。また、誰しもが文章を書くことが得意なわけではないので、複数人でチェックすることで読みやすい文章になります。また、特に技術系の場合は「技術流出」の可能性もあるため、最終的に今回の記事に書いてある技術を出して良いかどうかの判断する人は必要になります。
3、文字だけではなく、図や絵、グラフ、動画などを多用する
技術を伝えることは思っている以上に難しいため、文字だけではなく、図や絵、グラフ、動画などを多用して、わかり易く説明することを心がけてください。
特に技術者は文字をあまり読まず、図やグラフなど文字だけのWebサイトは、資料の無い展示会と同じでスルーされる傾向にあります。技術をわかりやすく相手に伝える方法については別の記事を書いていますので、参考にしてみてください。
4、後からでも探しやすいようにページを構築する
アクセスを稼ぐためのコンテンツを乱立するのではなく、ターゲットが後からでも探しやすいようにメニュー等を設計にすることが大切です。情報を整理することで、ターゲットが探していた情報以外の情報も見ていただくことができますし、こちらの目的も達成しやすくなります。探しやすくするためには、カテゴリーを分けたメニューを配置したり、サイト内検索を付けるなどの手法がありますので、制作する際はご検討ください。
5、社外に依頼する場合は技術を説明できる資料を作る
記事の制作を社外のライターに依頼する場合は、技術を説明できる資料を準備ください。
ほとんどのライターはその分野の専門家ではありません。内容を聞いた上で、噛み砕いてわかりやすい言葉で説明することはできますが、コアな技術を知っているわけではないので、ライターに依頼する場合は技術を説明する資料が必要になります。
技術系マーケティングの具体的な事例
1、業界トップの知識量がある企業の例
エレファンテック株式会社:https://www.elephantech.co.jp/
エレファンテック株式会社はフレキシブル基板の開発、製造を行っている企業です。当サイトのメニューを見ていただくとわかるように、フレキシブル基盤の情報については、初心者から研究者まで、幅広い情報を掲載しています。技術については写真やグラフ、表を多用し、ひと目でわかるように工夫されています。
「フレキシブル基盤」では、エレファンテック株式会社以上に詳しい情報を掲載している企業はいないため、「フレキシブル基盤」の情報を探している方は必ずといっていいほどエレファンテック株式会社のサイトを閲覧しているはずです。情報のまとめ方、掲載方法が本当に素晴らしいのでぜひ参考にしてみてください。
2、安心して依頼できそうな企業の例
東海バネ工業株式会社:https://www.tokaibane.com/
東海バネ工業株式会社はバネを製造している大阪の企業です。サイト内に「計算式」「設計時の注意点」といった、設計者が設計時に欲しい情報を掲載しています。しかも、圧縮バネや引張バネといった一般的なバネに限らず、ゼンマイや竹の子バネといった具合に幅広いバネの情報を掲載しています。
「設計を知り尽くしている企業が製造するバネ」というイメージのサイトであるため、設計者が設計に行き詰まったときなど、とりあえず東海バネ工業に相談してみようという依頼が多そうな企業です。
3、共同開発をしたくなるような企業
旭化成株式会社:https://www.asahi-kasei.co.jp/
旭化成株式会社は医療から工業、食品などあらゆる分野の技術を持った企業です。自社が持っている技術の説明はもちろん、これまでのイノベーションの事例を掲載することで、共同開発したくなるようなイメージを与えてくれます。
まとめ
技術系コンテンツマーケティングは難しいように思うかもしれませんが、きちんとした手順を踏むことでどの企業でも行うことができます。テクノポートは技術系コンテンツマーケティングの支援もしていますので、これから始めたいという方はぜひご相談ください。
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2020年の製造業「カンボジア」
テクノポートの稲垣です。前回の記事では東南アジア最後のフロンティアとして日本企業の注目を集める「ミャンマーの製造業」について紹介しました。今回はそのミャンマーと同じく縫製業が盛んで、2020年のGDP成長率がASEAN最上位と予想されるカンボジアの製造業ついて紹介します。
カンボジアの製造業の最大の特徴は何といっても縫製業(繊維・衣類・履物)です。調査によると製造業のGDP全体の60%以上を縫製業が占めています。今回はカンボジアの製造業を、実際に同国に事業展開を果たした日本企業の紹介を交えて、日本企業の視点から調査しました。
カンボジアの概要
- 正式名称:カンボジア王国(Kingdom of Cambodia)
- 首都:プノンペン(Phnom Penh)
- 首相:フン・セン(1998年11月から)
- 通貨:リエル(Riel)(1リエル=0.027円 ※2020年2月20日時点)
- 人口:約1630万人
- 面積:18万km2(参考:日本の面積38万km2)
- 公用語:クメール語(カンボジア語)
- 宗教:仏教(96.4%)イスラム教(2.1%)キリスト教(1.3%)その他(0.3%)
- 平均寿命:男 62.4歳、女 67.5歳(日本:男 81.2歳、女 87.3歳)
カンボジア経済の特徴
強み
- 縫製業:製造業全体の約60%を占める
- 炭化水素鉱床:カンボジア領海内に石油・天然ガスを所有(現在調査段階)
- 観光業:GDPの約16%を占め、年成長率7%で増加傾向
- 若年層人口:国民の50%以上が22歳以下
弱み
- インフラ整備不足:電気設備、交通ネットワーク基盤の未整備
- 熟練技術者不足:職業訓練不足、高い給与を求める転職などが原因
- 貧困:都市部と農村部での格差拡大、人口の35%は1日1ドル以下での生活
カンボジアの産業構造
カンボジアの産業構造を調査します。下の図は2017年のカンボジアのGDPにおけるサービス業(政府の活動、通信、輸送、財政、民間サービス業)、工業(鉱業、製造業、エネルギー産業、建設業)、農業(農業、 漁業、林業)における各部門の割合をしめしたグラフです。
データ引用元:Cambodia GDP – composition by sector | index mundi
グラフから以下のようなことが読み取れます。
- 産業(鉱業、製造業、エネルギー産業、建築業)の割合は32.8%で近年増加傾向
- 農業の割合が25.3%でASEANの中ではミャンマーに次いで大きい
▶現状
- 1998年から2018年までGDPの年成長率約8%の増加を続け、急速に成長している
- 主要産業として、縫製、軽工業、食料加工、不動産建設、観光業が成長を支えており、産業の多様化が課題
▶今後
- 2020年現在、低所得国に分類されているが政府は2030年までに中所得国、2050年までに高所得国を目指している
- インフラ不足や貧困問題による競争力不足に対処するために、IT産業に投資をシフトする見通し
カンボジア製造業全体
次に、カンボジアの製造業全体についてです。下の図は2018年のカンボジアの輸出品目の付加価値額を示したグラフです。
出典:IS CAMBODIA POISED TO BECOME A MAJOR MANUFACTURING HUB? | intouch
グラフから以下のような特徴が挙げられます。
▶現状
- 2018年のカンボジアの労働人口割合は84.3%でASEAN諸国で最も高く、製造業従事者の割合は20%(サービス関連業48.2%、農業54.9%)
- 製造業におけるテクノロジー導入が遅れており、生産効率の低さが原因で世界的な競争力は低い
▶今後
- アジア開発銀行によると、縫製業の規模は緩やかに縮小し、新興産業として電子部品、自動車部品、自転車、精米、ゴムなどの規模が増加する見通し
- カンボジア政府は税制優遇など、外資系の投資を積極的に受け入れており縫製業工場のほとんどは外資系企業(台湾28%、中国本土19%、香港17%、韓国13%)
日本企業の進出状況
ここからは、日本企業の視点からカンボジア製造業市場を調査結果です。下の図は1992年から2028年までのカンボジア日本人商工会登録企業数の遷移を示したグラフです。カンボジア日本人商工会(JBAC)とは、日本とカンボジア両国の商工業および経済全般の発展に寄与することで社会貢献を果たすことを目的に設立された組織です。
出典:カンボジア日本人商工会議所2018
グラフから以下のような特徴が挙げられます。
- 2018年の会員数は過去最多の261社, 3団体で発足当初の10社から20倍以上に成長
- 製造業部会の会員数は64社・団体でJBACの7つの業種別部会(製造業、建築不動産、貿易、運輸、金融保険、商業、サービス)の中で最多
▶現状
- カンボジア商工業会議所に登録されている日系企業の数も2010年から5年余りの間に10倍以上に増加
- JETROの調査によると、カンボジアに興味を示す日本企業のパターンは2つあり、1つは新規市場開拓や生産拠点としての検討、2つ目は既にタイ、ベトナム、ミャンマーなどに進出済み企業の2次投資
▶今後
- カンボジア政府は2025年までの産業開発政策で高度な産業を誘致し、産業構造の転換を図っている
- 近年は労働賃金の上昇により採算が合わなくなり、同国から撤退する企業も目立つ(2017年時点で20社)
カンボジアに進出した日本企業
次に、実際にカンボジアに進出した日本企業を3社紹介します。
マサカツ鋼材
▶基本情報
- 本社:大阪府枚方市
- 従業員数:50名
- 事業内容:鋼材販売、鋼材加工
▶概要
カンボジアの首都プノンペンにて2017年6月からカンボジア向上を本格稼働。すでにベトナムで実績を上げている鋼材加工をカンボジアでも開始。日本の高い加工技術によって付加価値を高め、競争力を上げるという日本企業の強みを活かした方法で事業を展開。材料の仕入れから製品までの仕事をすべて受けることで競合他社との差別化を実現。
株式会社 スワニー
▶基本情報
- 本社:香川県東かがわ市
- 従業員数:104名
- 事業内容:手袋・鞄の製造販売
▶概要
2012年にカンボジアの経済特区にてカジュアル手袋を生産する新工場を建設。進出の主な理由に、カンボジアは縫製業が盛んであるため、安価な労働力の確保が容易であることを挙げている。加えて近年、中国国内の人件費の高騰が進み人材確保が厳しくなってきたため分散生産を可能にするという狙いもある。
日光金属株式会社
▶基本情報
- 本社:栃木県矢板市
- 従業員数:110名
- 事業内容:自動車用耐熱・耐摩耗鋳造部品製造
▶概要
2013年5月に同社初の海外生産拠点としてカンボジアの首都プノンペンに工場を設立。主な目的は自動車メーカーの海外生産拡大への対応。カンボジアに進出を決めた理由は人件費の安さと首都の発展度合い、まじめで親日的なカンボジア国民の国民性などを挙げている。また、工業団地内は日系企業が多く情報交換ができる過ごしやすい環境が整備されていることなども理由の一つ。
まとめ
今回はカンボジアの製造業と産業構造を日本企業の視点から調査しました。個人的な見解としては、カンボジアでは縫製業をはじめとする労働集約型産業に頼っており、テクノロジーの導入による生産効率の向上には時間がかかると思われます。加えて、熟練技術者の不足が製造業の成長を鈍化させている原因の一つとして考えられます。
日本企業の視点から考えると、近年カンボジアの労働賃金水準は増加傾向にあり、労働賃金のみ削減を目的としたカンボジア進出は以前ほど魅力的ではなくなってきています。しかし、今回紹介した3社の様に明確な戦略と自社独自の強みを持った企業にとっては魅力的な市場であることに変わりわないと言えます。今回の内容がカンボジア進出に関心のある方の参考になれば幸いです。