日: 2020年9月17日
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世界の製造業⑩「イタリア」
テクノポートの稲垣です。今回は世界の製造業ヨーロッパ編の第三弾として「イタリアの製造業」を紹介します。
イタリア産業は新型コロナウイルスの影響により大きな打撃を受けました。しかし2020年5月以降、製造業のPMI(Purchasing Managers’ Index:購買担当者景気指数)は急速に回復しており、従来の数値を超えるほどにまで力を取り戻しています。今回は2020年9月現在、急速に回復しているイタリア製造業を日本企業の視点から掘り下げていきたいと思います。
イタリアの基本情報
- 正式名称:イタリア共和国(Repubblica Italiana)
- 首都:ローマ(Roma)
- 首相:ジュゼッペ・コンテ(2018年6月から)
- 通貨:ユーロ(1ユーロ=125.88円 ※2020年9月7日時点)
- 人口:約6,060万人
- 面積:約30万1328km2
- 公用語:イタリア語
- 宗教:カトリック(約80%)イスラム教、プロテスタント、ユダヤ教、仏教
- 平均寿命:男79.6歳、女85.1歳
イタリア経済の特徴
強み
- 製造業:自動車産業、医薬品産業、繊維産業が盛ん
- 輸出:製造業関連の輸出(高級車、自動車部品、金属)に加え、衣料品(服、靴)の輸出が盛ん
- 観光業:2018年の統計によると、イタリアには6,160万人の観光客が訪れた(世界第5位)
弱み
- 失業率:2014年に過去最高の失業率12.7%を記録、若者の失業率が高く頭脳流出(優秀な人材の流出)が深刻化
- 企業競争力:国内の90%以上の企業が従業員10人以下の小企業、競争力の低下が進む
- 地域格差:治安の良い北部地方(殺人発生率の低さOECD加盟国の中でトップ1%圏内)に対し、治安の悪い南部(殺人発生率の低さOECD加盟国の中で下位10%圏内)
イタリアの産業構造
まずはイタリアの産業構造の調査結果を紹介します。下の図は2017年のイタリアの国内総生産(GDP)における各経済部門の占める割合を示したグラフです。
データ引用元:Italy GDP – composition by sector – Economy – IndexMundi
グラフと関連データから以下のことが分かります。
- 製造業と農業の占める割合は全体の約1/4
- GDPの総額は約21.47億ドルで世界第9位(2019年)
現状
- GDPにおける製造業が占める割合は2013年に13.85%を記録して以来緩やかに上昇を続ける
- サービス関連業は増加傾向が続いていたが2014年以降、減少が続く
今後
・イタリアのGDP増加率が近年減少傾向(不安定な政治情勢、ユーロエリアでの不景気などの理由)
・新型コロナウイルスにより2020年のGDP増加率は-9.1%を記録する予想(2021年は4.8%の増加予想)
イタリアの製造業
次にイタリアの製造業の調査結果を紹介します。下の図はイタリアの製造業が国内総生産(GDP)に占める割合の遷移を示したグラフです。
データ引用元:Italy : Manufacturing value added| TheGolobalEconomy.com
グラフと関連データから以下のことが分かります。
- 製造業生み出す付加価値は2015年から上昇傾向
- 製造業が生み出す付加価値は世界5位(2019年)
現状
- 製造業のPMI(Purchasing Managers’ Index:購買担当者景気指数)は2020年5月に31.1を記録するも、翌月以降急速に回復し2020年8月に53.1を記録
- 製造業がGDPに占める割合は14.91%で世界41位(2019年)
今後
- イタリアの製造業は2019年から2023年までCAGR(年平均成長率)1.6%で成長する見通し
- イタリアの製造業がPLC(Programmable Logic Controller)市場で80%以上、低電圧ACモータードライブ市場で70%以上のシェアを獲得する見通し
日本企業の進出状況
ここからは日本企業の視点からイタリアの製造業市場を調査した結果です。下の図はイタリアに進出した日本企業数(拠点数)の遷移を示したグラフです。
データ引用元:海外在留邦人数調査統計|外務省
グラフと関連データから以下のことが分かります。
- 進出日本企業数は2015年をピークに減少傾向が続く
- 在イタリア日本商工業会議所の会員数は199社(内135社が普通会員、64社が賛助会員)
現状
- 電機、自動車部品、化学・素材、エネルギー分野の日本企業の進出が多い
- 近年、日本企業が現地イタリア企業を買収する形で進出するケースが増えている(毎年10~20件程度)
今後
- 2020年3月にイタリア政府はEUガイダンスを公表し外資規制を強化する姿勢を示した
- 新型コロナウイルスの影響により多くの企業が経営難に陥り、企業価値が下がっている中で自国の戦略的資産を保護する動きが散見される
イタリアに進出した日本企業
株式会社ダイドーリミテッド
▶基本情報
- 本社:東京都千代田区
- 従業員数:42人(単体)
- 事業内容:衣料品の製造・販売
▶概要
2016年イタリアのPontetorto S.p.a(ファッションウェア向け生地の製造・販売業者)を子会社化する形で欧州に進出。Pontetorto S.p.aが有する欧州での強固な販売基盤と婦人服向け衣料素材、スポーツ向け衣料素材を取り込むことで顧客の拡大を狙う。同社は中国にも製造拠点を有しており海外への事業展開に積極的。
石川ガスケット株式会社
▶基本情報
- 本社:東京都港区
- 従業員数:137人
- 事業内容:ガスケットの製造・販売
▶概要
自動車エンジン部品の一つであるガスケット(液体の漏れを防止するための部品)を自社独自の技術で製造・販売する企業。2000年にイタリアのトリノにヨーロッパ初の支店を設立。現在は現地企業SPESSO GASKETS, SRLに生産委託で業務提携をしており、欧州のみならずアジア、北米地域への販路開拓にも積極的に取り組んでいる。
滲透工業株式会社
▶基本情報
- 本社:長崎県西彼杵郡
- 従業員数:187人 ※国内グループ全体
- 事業内容:金属表面改質処理、ランスパイプの製造
▶概要
金属材料に所望の特性を付与させる金属表面改質技術を強みにする企業。1984年に同社初の海外子会社となるSHINTO ITALIA S.p.Aを設立。1996年に同子会社でISO9001(製品・サービスの品質マネジメントシステムの国際規格)を取得。現在は本社と同じ事業を扱っており、欧州の市場開拓の拠点として重要な役割を担う。
まとめ
今回はイタリアの製造業と産業構造を日本企業の視点から調査しました。調査の結果、前回紹介したフランスの製造業同様に欧州の製造業は急速な回復傾向を示していることが分かりました。
進出日本企業数は増加傾向とは言えないものの、イタリア製造業がGDPに占める割合は近年増加傾向にあるため、魅力的な市場であることに変わりはないと言えます。今回紹介したデータを含めて考えると、ヨーロッパの拠点としてイタリアも有力な候補になると思います。今回の内容がイタリア進出に関心のある方の参考になれば幸いです。