月別: 2020年10月
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技術の見せ方を工夫している中小製造業7選
こんにちは、テクノポートの永井です。今回は弊社が関わったことのある中小製造業の中で、技術の見せ方を工夫している企業を紹介します。
「技術」と一言でいっても、高精度な加工をする技術、短時間で大量に物を作る技術、品質を安定させる技術、納期を短くする技術など、分野は様々で、伝え方も異なってきます。例えば、高精度技術を伝える場合は測定値を出しますが、品質技術を伝える場合は統計的なデータを求められます。今回ご紹介する企業は数値以外の手法を使って、自社の技術をうまくPRしています。ぜひ技術を伝える際の参考にしてみてください。
1.大鉄精工株式会社|動画による高精度技術の紹介
埼玉県三郷市にある大鉄精工株式会社は、金属の切削加工を得意としています。加工精度を伝えるために、真円度(10μm以下)や同軸度(5μm以下)の計測データを掲載していることに加えて、測定の動画も掲載しています。実際に動画で測定器のフレを見ると加工精度の高さに驚きます。
例えば、下の動画は、SUS316 φ20~φ50mm 全長530mmの製品を両端と中央で測定しています。製品は5,000rpmで使用するため、誤差を最大でも20μm以下にする必要があるそうですが、見事にその範囲内に収まっていることがわかります。
同社のFacebookで実際に10,000rpmまで回転させた動画もあり、技術の高さがひと目でわかります。
大鉄精工株式会社はホームページの制作から運用までトータルでお手伝いしています。代表の木下社長は加工技術に非常に詳しく昔ながらの職人のような雰囲気はありすが、FacebookやYoutubeを取り入れた広報活動などにも挑戦され、この動画も木下社長のアイディアで生まれました。
ホームページ:https://www.daitetsuseikou.com/
2.株式会社イワタツール|製品を比較して、技術力をPR
愛知県名古屋市にある株式会社イワタツールは、小径ドリルの製造を得意としたツールメーカーです。製品の一つであるGPドリルを動画を使って効果的にPRしています。GPドリルのメリットは「超高速加工が可能なる」ことですが、言葉だけ見てもピンときませんし、他社も同じような広告を行っています。そのため、株式会社イワタツールは動画を使って他社製品と自社製品の違いを表現しています。
他社ドリルが10個程度穴をあけた時点で折れていたにも関わらず、イワタツール製ドリルは400個の穴をきれいにあけています。この動画を見ただけでイワタツール製ドリルの質の高さがわかります。
高速で加工するためには刃の切れ味はもちろん、ドリルの真円度、同軸度、円筒度などの精度も求められます。これらの精度が悪いとドリルが座屈していまし、動画中の他社ドリルのように使い物にならなくなってしまいます。この動画一つで、製品だけではなく、技術の高さも伝えることができています!素晴らしい見せ方ですね。
ホームページ:https://www.iwatatool.co.jp/
3.株式会社パルメソ|新技術をイラストを使ってわかりやすく説明
次にご紹介するのは、新潟県長岡市の株式会社パルメソが保有している材料表面の測定技術です。ビッカース、ブルネル、ロックウェルなど、材料の硬さを評価する方法はありましたが、表面から深さ方向への強度変化を数値で表す試験はありませんでした。それを解決したのが株式会社パルメソのMSE(Micro Slurry-jet Erosion)試験です。MSE試験を使うことで、めっきなど薄膜の硬さやセラミックやゴムなどこれまで測定が難しかった材料も測定することができるようになります。MSE試験は画期的な試験方法ですが、説明が難しく価値を理解されないという問題を抱えていました。
そこで利用したのが、イラストを使った試験方法の解説です。言葉だけではなく、装置全体がわかるイラストを使うことで、短時間で測定方法を理解してもらえるよう工夫しています。
人はあまり文章を読んでくれませんし、言葉だけでは個人によって想像する内容が異なる場合もあります。株式会社パルメソのようにイラストを使い情報を見える化することで、技術を正確に伝えることができます。
株式会社パルメソはホームページの制作と運用をサポートしています。お客様の声はこちら
ホームページ:https://palmeso.co.jp/mse/
4.株式会社リソー技研|超音はんだの接合力を動画を使ってPR
長野県諏訪郡の株式会社リソー技研は、産業用機器装置を設計から設置まで一貫して対応できる企業で、特に超音波はんだを得意としています。超音波はんだはセラミックス、難はんだ付け性金属(アルミニウム、モリブテン、 ステンレス等)にも、直接高品質なはんだ付けができる画期的な技術です。原理としては、超音波によりキャビテーションを発生させて、母材表面の酸化膜を除去・活性化させることで、母材表面とはんだが拡散結合されることを利用しています。
はんだに求められるのは「簡単に強く接合する」ことです。一般的なはんだは簡単に外れることが多いですが、超音波はんだの接合力はかなり強く、工業製品の接合として十分に使えるレベルにあります。ただ、接合力を数値化することはむずかしく、言葉だけでは伝わりません。そこで、株式会社リソー技研は動画を使用して接合力を伝えています。
動画では接合したアルミをねじり、アルミが接合したまま変形していることがわかります。この接合力は通常のはんだでは考えられないため、超音波はんだ技術のすごさを伝えるには十分なパフォーマンです。(私も見たとき驚きました!)
超音波はんだは試作だけではなく、量産設備に組み込むことも可能なので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
ホームページ:http://www.velbond.com/
5.株式会社外山製作所|お客様からの評価事例で品質の高さをPR
株式会社外山製作所は自動旋盤を使ったΦ30mm以下の量産を得意としている企業で、不良率の低さに定評があります。一般的に不良率はCpとppmで表すことが多く、Cpは公差T(上側規格値と下側規格値の差)を工程能力(標準偏差を6倍した値)で割った値です。数値は高い方がよく、1.33以上(1万個に7個の不良)で工程能力は十分と判断できます。
ppmはparts per millionの略で、100万個中に何個不良品が合ったかを表す値です。Cp値やppmを数値で伝えるのは簡単ですが、信憑性を伝えるは難しく、品質の良さはなかなか理解してもらえません。そこで株式会社外山製作所は数値以外に、お客様からの評価を掲載することで信憑性を高める工夫をしています。評価表の中には不良率(ppm)が書かれており、値は3ppm。この評価結果と実績で株式会社外山製作所の実力がわかります。
ホームページでは品質を高めるための具体的な方法についても紹介されています。ぜひご覧ください。
ホームページ:https://toyama-ss.co.jp/
6.有限会社三井刻印|拡大画像で微細工具の製造技術をPR
東京都東久留米市にある有限会社三井刻印は、先にご紹介した株式会社イワタツールと同じ工具メーカーです。特に、微細工具製造に特化した技術をお持ちで、お客様の加工に合わせたオリジナルの工具を製造販売しています。Φ1mm以下の工具の先端を肉眼で見るのは難しいため、倍率を上げた画像を掲載して、特殊な先端形状がはっきりと伝わるように工夫しています。
工具は細くなればなるほど、折れやすく、形状を整えるのは難しくなります。有限会社三井刻印は工具を拡大し目視で削ることで、機械ではできない加工を実現しています。例えば、下記は外径50μmのドリル画像です。外径50μmはおよそ人の髪の毛の太さなのですが、それをドリルとして加工しているところに微細加工技術のレベルの高さを感じます。
ホームページにはその他の製品も掲載されています。ぜひご覧ください。
ホームページ:http://www.kokuin.co.jp/
7.高木特殊工業株式会社|グラフを使ってめっき技術をPR
愛知県豊田市の高木特殊工業株式会社は、めっきを行っている企業です。実施しているめっきは4種類。無電解ニッケルめっき(カニゼンめっき)、セラミックめっき、クロムめっき、そしてPTFEめっき(テフロンめっき)になります。めっき液にこだわりを持ち、通常よりもグレードの高いめっきや特殊めっきを得意としています。
高木特殊工業株式会社が最も得意としているPTFEめっきはテフロンめっきとも言われて、滑りが良くなるめっきです。高速回転など潤滑油が吹き飛ぶような環境にも対応できる技術として注目されていますが、「摩擦係数が改善」「すべりが良くなる」という言葉だけでは技術者に伝わりません。そこで、めっき後の物性を数値化することで、技術を正確に伝える工夫をしました。グラフ中の
- Ni:ニッケルめっき
- Fe:めっきなしの鉄
- PTFE:PTFEめっき
をそれぞれ表していて、縦軸が摩擦係数になります。ニッケルめっき(Ni)は摩擦係数が0.2前後であり、かつ乱れも多いのに対して、PTFEめっきは摩擦係数0.1程度、かつ乱れはほとんどありません。このグラフの比較でPTFEめっきの実力をひと目で伝えることが可能になりました。
ホームページでは、他にも様々な評価結果を掲載しています。ぜひご覧ください!
ホームページ:https://takagitokusyu.com/
まとめ
いかがでしたでしょうか。ご紹介した企業は、技術力の高さを伝えるために、数値以外にも様々な方法を取り入れていました。
技術を相手に伝えるためには、相手に興味を持ってもらわなければなりません。そのためには、画像や動画、イラストを使ってインパクトを出したし、グラフを使ってわかりやすく比較することが大切です。
テクノポートは製造業に特化したマーケティングを得意としています。技術をわかりやすく伝えるための方法もアドバイスできますので、技術の見せ方でお困りでしたら、ぜひご相談ください。
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ネタがないなんて嘘。プレスリリースのネタ作りとは
テクノポートの菊地です。プレスリリースの書き方や媒体研究の方法をご紹介してきましたが、いざプレスリリースを書いてみよう!と思っても「ネタがない」という壁にぶつかってしまうという話をしばしば耳にします。
プレスリリースのネタがない
果たして本当にネタはないのでしょうか?
広報関係者やメディアの方とお客様の話をすると「それ面白い取り組みですね!」「そういう情報、メディアは探してますよ」と興味を持っていただくことも少なくありません。ネタがない、というよりも自社内の情報と世の中の関心を結びつけて捉えられていないために、情報の価値に気がついていないという印象があります。
自社の持つ情報をそのまま捉えるのではなく、社会にどう関連するのか、何を可能にするのかといった視点をもって社会的な価値を見出していきましょう。今回は社会の関心と自社情報のネタの繋げ方をご紹介します。
2020年秋、社会の関心とは
媒体研究についての記事でも書いたとおり、メディアが求めている情報は世の中の関心につながる情報です。世の中の関心を知るには媒体研究が必要なのですが…それではイタチごっこになってしまうので、「2020年秋の社会の関心」として今年だからこその時流のネタと毎年恒例の季節ネタに分けて説明します。
時流のネタ
今年の話題が何かといえば、ほとんどの方がまず「新型コロナウイルス感染症」を挙げるのではないでしょうか。プレスリリースの一斉配信サービス「PRTIMES」の2020年10月のプレスリリースキーワードランキングでも、1位が「コロナ」、9位が「新型コロナウイルス」です。
テレビや新聞でも、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための
- 製品(マスクやフェイスシールド、消毒液など)
- 取り組み(テレワークの導入、オンラインでの営業活動の強化)
などが3月頃から連日報道されていることからも社会の関心の高さがうかがえるのではないでしょうか。
4位の「テレワーク」、5位の「オンライン」、7位の「DX」も新型コロナウイルス感染症に付随して関心の高まっているキーワードです。
季節ネタ
また、毎年恒例の季節のイベントや祝日に合わせた打ち出し方も「旬」を感じさせることができます。いつかそのうちではなく、今報道する必要を季節に関連づけることで考えてもらうことが可能になります。
- 10月
スポーツの日(旧体育の日)
ハロウィン - 11月
文化の日
勤労感謝の日 - 〇〇の秋
スポーツの秋
芸術の秋
紅葉の秋
季節に関係するネタは、前年の同時期の媒体を見ると報道の傾向が掴みやすいのでおすすめです。報道されている媒体と、どんなプレスリリースが配信されていたかを照らし合わせて見てください。
中小製造業にもおすすめのプレスリリースネタ
自社製品の発表
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、下請けがメインだった加工業でも自社ブランド・製品の開発、販売が進みました。Webサイトの新着情報やSNSでの発信に加えて、ぜひプレスリリースでも情報発信をしてみてください。どんな背景があって企画されたのか、他の商品と比べてどんな良さや違いがあるのか、開発エピソードなどに前述した社会の関心や季節性を絡めて作成することで、「商品の宣伝」ではなく「社会課題や世の中の需要に対しての自社なりの提案」という形での発表になります。
山本製作所有限会社 マスクスタンド
コロナウイルス感染予防のため生活必需品になったと言っても過言ではないマスク。山本製作所は外出先で飲食などで外した時に置き場に困ってしまうという悩みを解消する、マスクスタンドを自社製品として開発しました。
プレスリリース
毎日新聞
オンライン活用
コロナ禍で非接触・非対面が推奨されるようになり、訪問営業ができないことでもどかしさを感じた方も多いのではないでしょうか。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が叫ばれるようになって久しいですが、今までになく急速に取り組みが進んだのが今年の特徴です。
反面、業界や業種によるIT化やデジタル化の格差がやっと表面化してきたとも言われています。コミュニケーションの手段を取っても、FAXが主流の企業や業界もあれば、メール、電話、チャットツールなどさまざまです。IT化の実情やなぜ導入が進まないのかは、メディアからも非常に関心の高いテーマです。
最新のツールを導入したなど大手企業のようなネタでなくても、コロナ禍を契機としたDXの第一歩として
- Webサイトの制作やリニューアル
- デジタルツールの導入
などに着手した中小製造業は多いのではないでしょうか。実施に至った背景や、今後の展望を含めることで「コロナに立ち向かう町工場」といった印象を抱かれるようになります。また、実施後の変化を数字で説明できるように記録をしておくと、メディアから問い合わせがあったときの情報として非常に有効です。
イベント・企画の開催、参加
イベントやセミナーを開催するときや、参加するときもプレスリリースを配信するのに適しています。特に、地域のメディアなどを呼びやすいのがイベント系です。
- 展示会(オンライン含む)への出展
- 工場見学の実施
- 地域イベントへの参加
- 企画への参加、協業
などが挙げられます。
弊社の事例ですが、一般社団法人スマートニッチ応援団との協業・サプライチェーンチャレンジへの参画についてプレスリリースを配信したところ、取材には至らなかったもののメディアからの問い合わせを頂いたり、別の企画のお誘いを頂いたりと反響を感じました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000055603.html
広報活動は広告・宣伝ではないので、自社の情報をダイレクトに届けることは難しいです。メディアの報道を通して情報発信をするためには、情報に社会的な価値や意義を付随させることが欠かせません。
どうしてこの企業や取り組みが報道されているのかという視点をもって、日々の新聞やニュースを見てみると広報視点が育まれます。季節や社会の関心を意識しながら、自社の情報や報道に目を向けていただけたら幸いです。
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せっかくの秘密保持契約(NDA)が水の泡となるケース
中小企業専門の弁理士の亀山です。2020年10月をもって、7年目になります。開業して約300社の中小企業様・個人事業主様のご相談を受けてまいりました。前回の記事(自社技術を提案する際に気を付けたいこと)では、自社の技術を提案する際、提案前の特許出願や秘密保持契約を検討して欲しい点についてお話しました。今回は、秘密保持契約書において、中小企業において「ありがちな失敗例」をご紹介したいと思います。
上場企業から問い合わせが来た!
技術部長:凄いことが起きました。上場企業I社からの問い合わせが入ったんです!まさか、うちのような企業が大企業から声がかかるだなんて・・・
かめやま:おお~!それはチャンスですね!問い合わせの内容はどのようなものですか?
技術部長:現在検討している新規プロジェクトで、とある問題が起きているらしく。で、うちのホームページを見たところ、オリジナル商品の素性から、うちの技術力が使えそうなので、相談したい!とのことです。
かめやま:なるほど。どの商品ですか?
技術部長:商品Eです。たぶん、この製造技術に関心があると思います。
かめやま:こちらは、構造について特許出願を済ませておりましたが、製造技術については、ブラックボックス化するために、特許出願を出さなかった案件ですね。
技術部長:はい。
かめやま:I社との打ち合わせはこれからですか?
技術部長:はい。
かめやま:では、次のようにして、打ち合わせを進めてください。
- アドバイス1:相手方の要求やその背景を把握する。
- アドバイス2:製造技術の開示は、いつごろ必要になるか?の目途を立てる。
- アドバイス3:(相手からどんなに急がれても)製造技術の開示の前に秘密保持契約を締結してほしい。
そして、その結果、K社の秘密保持契約書(ひな形)を使って、秘密保持契約を締結しました。
秘密保持契約の締結後
秘密保持契約の締結後、K社の技術部長より、うれしい報告を受けました。
技術部長:2回目のアポイントがとれました!1回目の打ち合わせでは、I社の部長の反応が良かったため、期待が持てそうです。
かめやま:それは、よかったですね。2回目の打ち合わせでは、サンプルや技術資料等を見せる予定ですか?
技術部長:はい! 現在の商品と、その製造方法に関する技術資料です。
かめやま:(技術資料等を見ながら)現在の商品はすでに販売しているので、秘密情報ではありませんね。しかし、この技術資料は、製造方法について少し触れている部分があるため秘密情報になりますよね。
技術部長:はい。
かめやま:この部分を削ることができますか?
技術部長:いいえ。ここを開示しないと、先方も理解できないと思います。
かめやま:そうなると、この技術資料は開示が必須となりますよね。
ここまでは良かったのですが・・・
かめやま:ところで、この技術資料に「社外秘」という表示が付いていないですが、このまま開示する予定ですか?
技術部長:ええ。問題ありますか?
かめやま:技術資料に、「社外秘」が表示されていないですよ。
技術部長:え? それって、何か意味あります?
かめやま:このままだと、先日締結した秘密保持契約による保護を受けられません。
技術部長:あれれ?おかしいな~。「製造技術=秘密情報」ではないのですか?
かめやま:では、秘密保持契約書を一緒に見てみませんか?
技術部長:はい。ええと「秘密情報は、開示した情報のうち、書面等の有体物に対し秘密情報と明示したものに限定される」と書いてあります。
かめやま:そうですよね。今回の秘密保持契約における「秘密情報」としては、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 条件1:K社が開示した情報
- 条件2:書面等の有体物として開示した情報
- 条件3:秘密情報として明示した情報
技術部長:あぁ。なるほど。このままだと、条件3を満足しないのですね。これだと、秘密情報として守ってもらえないし・・・だから、自由に利用されてしまう。
かめやま:そうです。
技術部長:危なかったです。事前に相談しておいてよかったです。
かめやま:ほかの資料やサンプルを開示する場合も、製造技術に関わるものは「社外秘」を付けるようにしてください。もちろん、開示する情報は、I社の採用検討に最低限の範囲でお願いします!もし、心配であれば、事前に見せてくださいね。
技術部長:そうします!
秘密保持契約でチェックしたい事項
今回、秘密保持契約において最低限チェックしたい事項は次の3点です。
- 文言「秘密情報の第三者開示を禁止する」が入っているか否か
- 文言「秘密情報の目的外使用を禁止する」が入っているか否か
- 契約書上の秘密情報について
それぞれについてみてきましょう。
文言「秘密情報の第三者開示を禁止する」が入っているか否か
「開示した情報を、第三者に無断開示することを禁止する」というものです。K社の技術情報を秘密情報として守ってほしいため、当然といえば当然ですね。
文言「秘密情報の目的外使用を禁止する」が入っているか否か
今回の秘密保持契約の目的は、「I社がK社保有の技術を採用するか否かの判断のために情報開示する」と書いてありますよね?。これにより、I社は、K社から開示された情報を「自社採用するか否かの判断材料として利用できる」ものの、「自社の課題解決のための利用することはできなくなります」。
※もちろん、I社に対し情報開示する範囲も、製造技術の「採用の判断」に必要なものに止めることが前提になります。
契約書上の秘密情報について
「秘密情報の第三者開示を禁止する」文言も入っているし、「秘密情報の目的外使用を禁止する」文言も入っている。これなら安心!といきたいところですが、もう1つ。大切なチェックポイントがあります。それが、秘密情報の定義です。
秘密情報の定義
通常、秘密保持契約書には、秘密情報の定義がされています。秘密情報の定義として、よくあるパターンは次の通りです。
- パターン1 開示した情報の全て
- パターン2 開示した情報のうち、秘密情報と明示したものに限る
- パターン3 開示した情報のうち、秘密情報として書面等の有体物に明示したものに限る
秘密情報の定義は、情報管理の実現可能性から検討する
秘密情報の定義として、いずれのパターンが良いかはケースバイケースです。例えば、情報を開示する側からすれば、「開示したものは全て守ってほしい」ということで、パターン1を選びたくなります。一方、情報を受領する側からすれば、「開示された全ての情報を秘密情報として管理することは、手間もかかるので、事実上不可能」ということで、パターン2や3のように、秘密情報の範囲を限定するケースが多いです。
このように、「情報を出す側と」「情報を受け取る側」の情報管理のリソースを考慮し、実現可能なレベルを設定する必要があります。
※決して、実現できないレベルで締結しないでください。
「秘密保持契約が水の泡」とならないようにするために気を付けたいこと
I社に情報開示の際、「I社との秘密保持契約にて定義された”秘密情報”ってどんなものだったけ?」と思いながら、心配な場合には、「秘密保持契約」を見ながら、開示する書類やサンプルの用意をしてください。
今回の秘密保持契約では、お互いに、秘密情報を受け渡しすることから、「秘密情報は、開示した情報のうち、書面等の有体物に対し秘密情報と明示したものに限定される」としました。この場合には、開示する書類やサンプル等について、3つの条件を満足しているか否かを1つひとつチェックする必要があります。
- 条件1:K社が開示した情報
- 条件2:書面等の有体物として開示した情報
- 条件3:秘密情報として明示した情報
そして、この3つの条件のうち、1つでも満足しないまま情報開示を行ってしまうと、冒頭で述べた事例のように、折角の秘密保持契約が水の泡となりかねません。
まとめ
(1)秘密保持契約でチェックすべき事項
- 「秘密情報の第三者開示を禁止」が入っているか
- 「秘密情報の目的外使用を禁止」が入っているか
- 「秘密情報」は、どのように定義されているか?
(2)ありがちな失敗例は、秘密保持契約書にて定義された「秘密情報」から外れてしまった情報の開示行為
例えば、「秘密情報は、開示した情報のうち、書面等の有体物に対し秘密情報と明示したものに限定される」にもかかわらず、
- 開示文書に秘密情報を明示していなかった(「秘密情報の明示」という条件を満足していなかった)。
- 口頭のみで秘密情報を明示してしまった(「書面等の有体物による開示」という条件を満足していなかった)。
といったことが良く起こります。
(3)情報開示する際、開示する情報の範囲は、契約の目的を考慮して必要最低限にとどめること。
(4)開示する情報を守るべく、秘密保持契約書上の”秘密情報”の定義を理解すること。
(5)開示する情報のうち「相手方に守ってほしい情報」については、秘密保持契約書上の”秘密情報”に該当するようチェックすること。
秘密情報は、相手方に一度開示してしまったあとでは取り返しがつきません。自社技術を提案する際には、事前に、お近くの専門家にご相談ください。