町工場ぶっちゃけ対談 vol.12 ~中小製造業の海外展開サポート DIAgate~

こんにちは!この1ヵ月どこにも行ってない、どなたにもお会いしてない町工場社長、栗原です。緊急事態宣言の真っただ中にいて、皆さん、いかがお過ごしですか?

実は。。。私、宣言の出される前日に、39度の熱を出し布団にくるまって、いわゆる家庭内隔離状態となっておりました。幸い、徐々に平熱に戻りそのほかには、これといった症状もなく、もうしばらく自宅にこもってテレワークを続けていれば大丈夫かな?という感じです。

おそらくは単に風邪ひいただけとは思うのですが、こういう時期ですからね。不安を抱えてぶるぶる震えておりました。実際に症状が重くなってしまった感染者の方には、本当に心からお見舞い申し上げます。合わせて、大変なご苦労をされている医療関係者の皆様にも、この場を借りて、エールを送らせていただきます。本当にご苦労様です、感謝申し上げます。

久しぶり町工場ぶっちゃけ対談

さて、今回の記事は、久しぶりの町工場ぶっちゃけ対談としてお送りするのですが、お相手は、Web活用経営株式会社 代表取締役の小野晴世さんです。小野さんには、MAKERS LINKの創成期にホームページ立ち上げでお力をお借りしておりました。それが2016年の3月です。ちなみに今のホームページは、モノカクのテクノポートさんにお願いしてリニューアルしました。

中小製造業のホームページ活用をサポートする事業をされてきた小野さんですが、DIAgateという、日本企業の海外展開を支援する事業を始められました。私自身、少しだけ、海外に目が向いていた時期だけにお話お聞きしたいと思っていたこともあり、お声掛けさせてもらいました。ほんとは、お目にかかってじっくりお話を、と思っていましたが、今はやりのZoom会議にて。。。

 

対談の冒頭は、やはり、コロナウイルスの影響についてから。。。

栗原:本来ならお会いしてお話したかったところなんですが、こんな時期ですので、不慣れなテレビ会議とさせていただきました。今日はよろしくお願いします。

小野:こちらこそです。よろしくお願いします。実際、コロナの影響って、製造業の皆さんのところではいかがですか?

栗原:今のところ、会社によって差があるかと思いますが、今はまだ忙しいと言っているところでも、この先、受注ストップなど確実に広がるでしょうね。コロナ不景気は間違いなく襲ってきますけど、要因ははっきりしてるので、それが無くなれば回復するでしょう。いつか分からないというのが大きな不安ではありますが。

小野:そうですか、動き出せば回復は早いと。

栗原:まあ、コロナうんぬんの前から景気は下降してましたけどね。

小野:そうですね、貿易摩擦などの影響ですね。

栗原:その辺の景気を悪くしていた要因が、逆にコロナのせいですっ飛んでしまって、回復後はイケイケになるんじゃないかと。というのは、楽観的過ぎますかね?

小野:うんうん、そうかもしれませんね。たしかにそうおっしゃる方、いらっしゃいますよ。

栗原:どっちにしても、そうなるまで粘れなければ負けなんで、まずは、粘り切る方法を考えないと。

小野:そうですね。どんなお考えなんですか?

コロナを乗り切る方法

栗原:父親の代から50年、この仕事してきて、大きな波も何度か経験しているので、リーマン含め、その経験からすると、仕事が暇になった時間の有効な使い方ってことになると思います。暇なときにいい準備ができるかどうかにかかってると思います。

小野:暇なときにいい準備ができるかどうか、いい言葉ですね。うんうん。

栗原:リーマンのときも、たまたま、新しい仕事にとりかかろうと思っていた矢先だったので、一か八かの設備投資もしてしまったんで、新規分野に打って出るための準備研究に時間を使いましたね。

小野:リーマンの直前に設備したんですか?

栗原:真っ只中に、ですね。はっきり覚えてますが、2009年1月25日に新しい機械が納入されました。

小野:それは、衝撃的な!

栗原:それが、その後の10年間のうちの稼ぎ頭になってくれたんですよね。ありがたいことに。技術的なことだけじゃなく、新分野への営業方法なんかも勉強しました。お金の余裕はなくなってしまいましたが、時間はたくさんあったので。

小野:リーマンの期間て、ほぼ1年だったんですよね。その間の研究と準備がその後につながったということですよね?体験談を聞けて心強いです。

栗原:まあ、うちの話はともかく、今日は、モノカクの記事のために対談をお願いしたわけでして、そろそろ、小野さんの事業についてお話聞かけせて下さい。

小野:ありがとうございます。

DIAgate

栗原:個人的にもいろいろとお聞きしたいこともあって、ですね。とくに、最近始められた海外との架け橋になろうという、DIAgateという事業ですね。私自身もいつかは海外に事業展開という展望を持ってはいたんですが、なかなかハードル越えられず半ばあきらめかけていたところだったので。そもそも、小野さん自身が製造業というか中小企業の支援事業を始められたきっかけというのは?

(引用元:DIAgate)

小野:一言でいえばご縁なんですけどね。私、大学を中退してフリーランスになって起業してるんですね。創業するときに何もバックグラウンドがないので、結果で勝負、評価してもらうしかないと思って、最初はネットショップの運営からスタートしました。インターネットでモノを売るサポートですね。そもそも「商品」が好きだったんです。商品の開発ストーリーですとか。

栗原:ほう、なるほど。

小野:最初の頃は農産物のご相談が多かったんです。日本中いろいろなところに伺って、現場を見に行ったりしたり。まだ、農産物の直販というのが難しい頃ではあったんですが。

栗原:へえ、そうだったんですか。。。

小野:製造業と出会ったのは、10年くらい前ですかね。興味の持ち方は同じだったんです。一般的な消費者でいると野菜も果物も買うだけじゃないですか、実際はその裏側にあるストーリーがすごく面白くて、私にとっては。商品、モノといっても、生産者、社長さん、その人の考え方が反映されてますよね。

栗原:うーん、たしかに、モノ自体にね。

小野:大学も工学系にいたんですが、モノの仕組みとか、どうできるのかとかということが元々好きだったんですね。やっぱり工場を見るのが本当に面白くて。そういうのを伝えたいなと思うのが、私の原動力ですね。

栗原:具体的には、企業がwebサイトを立ち上げるためのサポートという仕事、ということですよね。まだ、10年前くらいだと、中小の町工場クラスでちゃんとしたホームページ持ってるところ、まだ少なかったですかね?

ホームページの立ち位置

小野:そうですね。私も製造業のホームページ、どう作っていったらいいか、最初は分からなかったですね。モノの写真はアップするんですが、お客さんの見ているところはモノじゃなくて、加工のノウハウだったりするじゃないですか。自分は必要としているものが実現できる会社なのかどうか、そこを翻訳することが面白いなと。技術屋さんは自身の技術を誰にどんな風に使ってもらうことができるのか、そこを伝えることが苦手で、私の中では、実は、宝探し的な面白さがありました。

栗原:なるほど、なるほど。私たちの側から見ると、我々がお客さんに伝えたいのは技術情報だけだったんですね。このような設備を持っていてこのような加工が得意です。10年前くらいから、実は、これだけじゃ足らなくなってきたんですね。技術情報を伝えただけでは、そこから何が作れるのかイメージできない、分からないというお客さんも増えてきたんです。

小野:ああ、すごくわかります。

栗原:新しい分野の顧客開拓しようとすると、機械設備の説明や加工サンプルをお見せしても、いまひとつ手応えのある反応が返って来ないことが多くて。なので、シンプルに分かりやすいモノを作って、うちはこれが作れるんですが、いかがですか?という売り込み方をしないといけない。その辺から試行錯誤が始まったという感じですね。

小野:あ、そういうことですね。そこってポイントですね。よく聞く話として、日本の技術力が落ちたとか、そういうことと関係していますか。

栗原:無関係じゃないとは思いますが、それは価値観が変わってきたってことじゃないかと思っているんですよ。同じものが作れるのであれば価格は安いほうが良い、単純比較でね。ある時期に、業界でもリストラとかが行われて、物知りな中間管理の優秀な方がいなくなってしまったというケースも多かったと思います。価格以外の価値は見てもらい辛くなりました。

小野:それはちょっと悲しいですね。それが10年前くらいなんですね。

栗原:我々のほうも準備がなかったから、新規分野に打って出るとか顧客開発しなくちゃって、そうなってからやっと動き出したんです。それが展示会の出展だったり、ホームページの立ち上げだったり。それと、それまであまりなかったのが、横の連携だったと思うんです。ちょうどSNSとかも出始めて、製造業の現場の側も変わるチャンスだったのかも。

小野:そこで、MAKERS LINKなんですね。だんだんとホームページとかで注文をどんどん取ったりする製造業さん、成功例が出始めていましたね。そんなころですね。

栗原:ホームページをお手伝いする仕事というのも、やっぱりリアルにお会いしないとなかなか進まないものですよね?

ホームページ

小野:そうですね、何もない状態の方のほうが多いですので。事業内容や自社の強みが整理されていたり、なかなかないので、見に行ってお話を聞いて、というところからになりますね。

インターネットって地域を超えるじゃないですか、技術を持っている人が存在して、それを探している人が存在して、そこをつなぐ、とってもシンプルな話で、国内向けにはホームページだけで良かったかもしれません。DIAgateに関しては、それを海外にも広めようっていうことなんですよね。英語で情報発信してみて、日本の中で起きている中小製造業のできごとが、世界の中でどう受け止められるかってわからないですね。手法としては、インタビューして記事にして、海外の興味のありそうな人にアプローチしてみて、コミュニケーションを作って、より興味を持ってもらえそうなネタを探していく場が欲しいと思いました。製造業の中で起こっているストーリーを海外のメディアに紹介してみようと思っています。そこから、メイドインジャパンに求められているもの。例えば、日本の中小製造業の横の連携について興味を持っている国とか。探してみようと思ってます。

栗原:我々のレベルの会社だとなかなか海外との取り引きというのはハードル高くて、なかには、中国や東南アジアに自社工場を出している人もたくさんいますが、海外市場にものを売るっていう意味では、まだまだまだと思うんですよね。

小野:私もいくつか検証したいことがあるんですけど、DIAgateを使って数が少ない試作の案件を日本に持ってきたい、もちろん高単価で。そのような仕事を受けられるんじゃないかと思っているんです。

栗原:アリだと思います。大量生産のコスト勝負っていう仕事はやりたくないので、我々としては小回りの利くお客さんの一番欲しいものをピンポイントで作る、ダイレクトに。役目としてはそれが一番向いてるかなって思いますね。

小野:メディア作った後は、海外展示会とか、そういったことに進めていけたらって思っています。MAKERS LINK さんと一緒にできたらって。

栗原:いいですね!事業計画に入れておきましょう!

人材確保

小野:海外の研修生など、人材確保という面ではどうですか?実際、積極的に外国人の採用をしている中小企業もありますが。

栗原:研修生の受け入れは是非したいのですが、今に制度の下では、せっかく育てた人材との縁が、一定の期間で切れてしまうので、うちに限って言えば、今の段階ではお断りしている状態です。まずは、事業として海外展開が構築されていて、受け入れた研修生のその後の活躍の場も確保できているという状態を作るのが先という考えです。

小野:おお、では、その構想に是非とも加わらせてください。息子さんもいらっしゃることですし、少しずつでも進めていきましょうよ!社長!

栗原:うちだけじゃなくて、MAKERS LINKにも同じように考えている人もいると思うので、そういう人たちのためにも良い事例を作れたらいいですね。

小野:是非、協力させてください。まだ始まったばかりで事例はないんですが、3年間で20か国のメディアとタイアップするというのを目指していて、私がやりたいのは、中小企業さんが、DIAgateで情報発信したら、現地のメディアの人たちがそれを展開してそれを広めてくれる、というプラットフォームなんです。

栗原:なるほど。

小野:日本で英語のホームページを作っても、海外からのアクセスってホントに少ないんですよ。海外で検索してもほとんど出てこないんですね。なので、インターネットを使いながらも、人と人とのパイプで、コミュニケーションを作って行きたいんです。いずれは海外の方からの依頼で、日本の中小製造業を取材させていただく、というところまでもっていきたい。

栗原:我々が、よし、販路を海外に広げるぞ!と思って、まあ、相談に行ったり、セミナーに行ったり、いろいろ調べても、はい、こういう事例があって、こんな会社がこんなに成功を収めていますよって教えられるだけ。夢が膨らむのはいいのですが、一番知りたいのは、最初の一歩はどうやって、どこに向けて踏み出せばいいの?ってことだと思うんです。

小野:いいアドバイスありがとうございます。最初の一歩を手を携えていっしょに踏み出すサービス、参考にさせていただきます。

栗原:今日はお忙しい中、ありがとうございました。移動中だったんですよね?

小野:はい、駐車中の車の中です。Zoomいいですね!これから活用できそうです!また、よろしくお願いします。

町工場ぶっちゃけ対談 vol.11 ~特別編・栗原親子対談~

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

春爛漫、皆様いかがお過ごしですか?うちの職場では3月の最後の土曜日にお花見を敢行!都内足立区の舎人公園は満開ちょっと手前ってところでしたが、気持ちよく桜の花を愛でて参りました。もちろん、宴会も盛り上がりました!

そんなちょっと浮かれ気味の株式会社栗原精機ですが、4月1日に新しいスタッフを迎え入れました。実は、私の長男なんです。大学卒業後は全くの畑違いの道に進んでいたのですが、本人の強い意志の元、家業を継ぐべく帰ってきました。

今回の町工場ぶっちゃけ対談は、特別編として、親子対談をお送りしたいと思います。なんだか、内輪話をおおやけに披露するみたいでお恥ずかしいのですが。昨今、後継者不足で廃業を余儀なくされる町工場が多いというこの状況での中で、うちの親子関係が、ひとつの実例として、少しは世の中のお役に立てれば。。。。

ではここからは、進行役をダイレクトメールサービス「たより」の後藤天美さんにお願いして、話を進めてまいりましょう。

ここから、聞き手・執筆は後藤天美さん

2019年、平成も残りわずか。桜が舞う中、発表された新元号は「令和」。行ってきました、聴いてきました!「会いに行ける町工場社長栗原さん」とのものづくり対談、第11弾。今回は、特別編?番外編?栗原精機重大ニュース発表の巻でございます。

対談場所は、ぎりぎり川口市、ほとんど草加市という場所に位置する(株)栗原精機。今回の対談のお相手は、栗原さんのご子息、栗原匠(たくみ)さん。町工場ぶっちゃけ対談初の親子対談。なんとなんと、この4月から栗原精機にご入社!ということは。。

前職の退職から栗原精機への入社まで

―たくみさんは、確かリーガルコーポレーションにお勤めだったのでは。イケメン若手社員として、雑誌でも特集されてましたよね。

匠:はい、この4月から正式入社になりました。前職はリーガルにいました。確かに、雑誌には掲載されました(笑)

―4月から栗原精機に!いろんなことを聞きたいですが、リーガルって、あの靴のリーガルですよね。超有名な。前職では、どんなお仕事をされていたんですか??

匠:ずっと、アパレルというか、ファッション業界にはとても興味があって。リーガルの靴も大好きだったので。アルバイトからそのままリーガルに入社しました。最初は販売、渋谷の店舗に異動してからは、販売の他に、商品の企画開発に携わったり、あとは広報活動もやっていましたね。

栗原:渋谷のショップは、リーガルのコンセプトブランドをカタチにしたというか、他の店舗とはちょっと趣が違うんだよね。

匠:まず、店舗で企画開発を行うこと自体なかったですからね。自分の声がカタチになったり、自分が動くことで売上を伸ばしていくことができたり、それはそれで、すごく楽しかったです。

―そんな、メインでご活躍をされていて(しかも渋谷のブランドショップで)『これから!!』という時期に、リーガルを退社されたってことですか??…栗原精機に入社をされたのも、事業継承を意識されてのこととか?

匠:実はですね、事業継承はずっと僕の頭の中にはあったんです。30歳を前に、リーガルの渋谷の店舗で、企画開発をして、売り上げを伸ばして、そんな自信と実感が、栗原精機へ行こう!!という決断に向けての背中を押したというか。

栗原:匠は、平成元年生まれで。4月に新元号が発表されて、5月から令和元年。なんとも、これも運命的というか。

―栗原さんは、匠さんから栗原精機に入社するって聞いた時、やっぱりガッツポーズでしたか??

栗原:ガッツポーズはしないけど(笑)。いや、匠が会社のことを考えてくれているんだなぁ、とは、ずっと感じていて。嬉しいのは嬉しいよ、そりゃ。でも実際は、いろんな葛藤の中で、4月を迎えました。会社も厳しい時期もあったし、これからだって、順風満帆とはいかないだろうし、本当にこれで良いのか??と、思うこともありますよ。

匠:先代が亡くなったということもあって、会社を継いでいこうという決意を固めましたね。実は、亡くなる前に、先代と二人で飲みに行って。『どんなカタチであっても、栗原精機を残したい』と、想いを託されていて。

栗原:え??飲み行ったの?親父と?二人で?どこにー??

匠:あそこ、ほら、近所の○○(お店の名前)

栗原:へっぇーーーー

―栗原さん、ご存じなかったんですか??

栗原:いや、後日談で、そんな話は聞いてたけど。お店の場所まで聞いてないし、俺は親父と二人で飲んだことないし(笑)

―なんと(笑)。お母様は?どんな反応されましたか?

匠:母には、リーガルに就職したときから、ずっと栗原精機の跡を継ぐから、とは、話していたんです。どんな形でも応援するから、とはずっと言われてました。

栗原:何かね、そっち(奥サマ)とは、俺より頻繁に話してたみたいよ。

―笑笑。でも、栗原さん、匠さんが後継者として帰ってきてくれて、もう万歳三唱ですね。

栗原:いやいやいや。勤め人では抱えることのない、社員、仕事、借金、諸々。リスクを背負わせてしまうことへの不安というか。さっきも話したように、これで本当に良いのか?と思っている自分と、心の奥底では嬉しい!のガッツポーズをとっている自分と、なんか不思議なカンジですよ。

―やっぱり、嬉しいんじゃないですか!素直じゃないなぁ。

栗原:そりゃ嬉しいって。でも、一番うれしかったのは、匠が後継者として栗原精機に帰ってくるよって、会社の幹部である専務と常務に伝えた時、二人がすごく喜んでくれた瞬間。と同時にホッとしたともいうか。幹部に反対されたらどうしよう、とか、実はドキドキしてたから(笑)

栗原精機のこれから

―匠さんという若い力が会社に帰ってくることで、会社の未来が見えてきたってカンジですかね?

栗原:そうだね、新しい命が吹き込まれるっていうか。そこから、社員さんや取引先、関係先の皆さんに、匠の話をお伝えして。みんな喜んでくれたよね。

匠:実は3月からちょうちょく会社には来ていました。有給をとって。。。今までいた世界とはまるっきり違うし、わからないことだらけです。専務や常務や、僕が子供のころから可愛がってもらっているので、なんだか照れるというか、違和感もあって(笑)

―4月になって、改めて正式に社員になって、後継者として皆さんの前に立たれたときは、どんなカンジでしたか?

匠:社員のみんなや、関係する方々と、今栗原精機として行っている一つ一つの作業をもっとより良くしていかなければならない、という実感が湧いてきました。

栗原:経営者としての勉強も積んで、一本立ちしてもらわないとね。いずれは一人でやっていかなくちゃならない。

―メイカーズリンクの運営者として、全国的にも有名な栗原さんですが。。。

栗原:メイカーズリンクの、ものづくり全体を盛り上げていこうって活動の必要性も含めて、理解してほしいとは思ってますよ。『ものづくり』が、この国からなくならないように!

―ものづくりへの心意気、ここがないと、人も集まらないですもんね。

栗原:人が集まる場づくりであったり、ものづくりをアピールしていくこと、心意気も大事だし、何より母体、土台となる栗原精機を任せられる存在ができたということは、今後の大きな力になりますよ。

―今のこの世の中で、この栗原精機のこれからの事業継承への道というのは、匠さんが考えているよりも影響は大きいと感じます。

栗原:事業継承、後継者に悩んでいる方たちに、栗原精機の姿をみてもらって、勇気を与えられるような会社にしていきたいよね。

―最後になりますが、匠さんがこれからの栗原精機の未来をどう考えているか、教えてください。

匠:自営から企業へ、会社としての仕組みや組織はとても大切だと思っています。商売をするからには、栗原精機で働いていて良かった!と思ってもらえる会社に成長させたい。僕が一企業の中にいたからこそわかること、それは、若い人が将来、未来に夢を持っていない、ということなんです。それじゃ、ダメだろう、社員さんの幸せこそが、会社の宝になるはずと強く感じています。そんな会社の未来をつくっていきたいですね。

栗原:この先、必ず苦しい時期もあるだろうと思うけど、今の志を忘れずにて欲しいねぇ。

―うーーん、素敵ですねぇ。。

栗原:でもまぁ、若い人に託す決断ができた!ということ。ここが何をおいても、一番の幸せなんだろうなぁ、と、今日話していて思いますね。

―前職での広報経験も、匠さんの強みですね!

匠:ブランドを広めるための活動、これが、今後栗原精機で生かせていけるんじゃないかと。任せてほしいです。

栗原:その経験は、この製造業界では思いもつかないようなアイディアが生み出せるはずだから、とっても期待してますよ。

番外編親子対談、いかがでしたか??事業継承に悩むすべての中小企業の経営者さんにとって、勇気をもらえる内容だったのではないでしょうか。「若い人に託す決断」私は、この言葉が一番心に残りました。町工場社長のものづくり対談、次はいずこへ??そしていつかな??(笑)

ここから再び文章は栗原

さて、いかがでしたか?事業継承の話になると、スポットは後継者がいるかいないかに当たりがちです。よく統計調査に現れる後継者のいない中小企業は6割とか7割とか。でも、ちょっと見方を変えたらどうでしょうか?後継者がいない、イコール、その会社の仕事が世の中に本当は必要ではない?かもしれない。ちょっと乱暴な言い方ですが、必要とされる仕事なら、事業として成り立つはずだし、事業として成り立つなら、社長の息子でなくたって、後を継ぐ人は必ず現れると思うんですよね。

ちょっと持論展開みたいになっちゃいますが、問題は、人材がいない云々以前の、仕事が、事業が継続されていく価値があるかどうか、だと。。。こう言っちゃうと、まるでうちにはその価値があるし、だから後継者もいるんだぞって自慢みたいですが、先代から50年、頑なに守ってきたものと柔軟に取り入れた新しいものと、まあ、それなりに苦労と紆余曲折を経て、今があるんだって自負はしてます。でもって、なお、「この国のものづくり」がもっと盛り上がるようにって、ほんとに微力ですけどね、あと、もうちょっと頑張ろうって、本当に全部を息子に引き継ぐまではって、そう思っています。

町工場ぶっちゃけ対談 vol.10

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!2019年、皆さん、どんなスタートを切りましたか?我が家では、普段は離れて暮らす子どもたちも元旦には集合して、にぎやかにのんびりと過ごしました。なにしろ、初めて孫のいる正月ですからね、笑顔の絶えない、かけがえのない時間でした。

会社のほうは、カレンダーのめぐり合わせもあり、7日が仕事初め、いきなりのフル稼働です。もっとも、工場は一部の機械を年末年始の休み中も停めることなく稼働させてはいたのですが…。いやいや、仕事があっての町工場ですから、ほんとに、ありがたいことです。

さて、今回は、そんな希望に満ちた新しい年のスタートにふさわしく、素敵な若手経営者の方とじっくりとお話する機会がありましたので、その模様を、ぶっちゃけ対談第10弾として、お届けします。対談のお相手をいただいたのは、株式会社RDS、代表取締役の杉原行里(すぎはらあんり)さん。高校からイギリスに留学、そのまま大学に進んでデザインを学ばれたという経歴の持ち主です。会社はお父様が創業されていたのですが、病に倒れた後をお母様が引き継いでおられました。行里さんは2008年に入社、昨年、36歳で代表取締役に就任されました。

同社は、カーボン成型の技術を基に、モータースポーツ、航空宇宙、医療福祉の分野で、デザインから設計、製作まで完結させる先行開発を主たる事業とされています。

2013年にグッドデザイン賞を受賞されたドライカーボン製松葉づえを初めて展示会で拝見した時は、正直、驚きました。奇をてらったところは一切なく、あくまで使う人のためにあるデザイン。ただ、カーボンという素材の持つ美しさなのでしょうか、見とれてしまったのを覚えています。

 

このデザインを手がけたという行里さんと、じっくりとお話してみたいという願いがかなったのが、この対談というわけなんです。また、杉原さんにはもう一つ、WEBメディア「HERO X」編集長という顔があります。障がい者、健常者という枠を超えた「世界で一番、ボーダーレスなメディア」を掲げたHERO Xは、メディカル、テクノロジー、スポーツという3つのキーワードで、積極的な情報発信を展開しています。

すこし、前置きが長くなりましたが、ここから対談のスタートです。対談部分の執筆は、フリーライターの長井杏奈さんにお願いしました。それでは、お楽しみください!

のどかな寄居の町の中に現れたのは、ログハウスのようなオフィス

みなさん初めまして、フリーライターの長井杏奈です。2016年夏にフリーになって以来、ライターと司会という二足の草鞋を履きながら活動しています。学生時代に埼玉県草加市に住んでいたことからご縁があり、栗原さんとも色々な活動でお世話になっています。今回は、「町工場ぶっちゃけ対談」にお邪魔します!

ホームタウン草加から車で一時間半、のどかな寄居の町の中に現れたのは、ログハウスのようなオフィス。まさかこんなおしゃれな建物が迎えてくれるとは思わず、うっかりお隣の工場の駐車場に車を停めそうになりながらも、対談スタート!まずはRDSさんの事業について伺いました。

多角的な事業を行う株式会社RDS

杉:RDSは、多角的な事業を行っています。もともとデザインは得意だから、デザイン事業は勿論のこと、それから機械設計や構造解析ですね。一般的なCADに入っているものだけではなくて、今流行っているトポロジー解析とか。あとは、空力解析。簡易のものですが、風洞実験機も入っています。そういうものをやりながら、様々なところから解析をしていこうと。

栗:なるほど。

杉:社会的に取り上げられやすいものや、必要としているものにフォーカスすると、義足とか。東大と一緒に開発しているものもあります。クレイモデルは、車一台を粘土で削っちゃったりして。次に3Dプリンター事業。粉末造形やFDMなど、様々な3Dプリンターが入っています。明日ちょうど入るのが、ワークサイズが1m×1m×1mという巨大なもの。

栗:明日とは、すごいタイミング。

杉:はい。(笑)次に、モーションキャプチャー事業。これは映画とかゲームでよく使われますが、僕たちは人間工学的にどういう風な人間の動きがされているのかというのを調べたくて使っています。

栗:うん、うん。

杉:RDSはもうモータースポーツ事業はやめたのと言われるけど、そんなことはなくて。高齢者の方が増えていく未来を迎える中で、モータースポーツ事業などで培っている技術をいかに応用するか考えていました。その一つがパラリンピックだったり、パーソナルモビリティだったり。これは完全なる自負というかうぬぼれかもしれないですが、僕らの技術は最先端にあると思っています。

栗:そうだね。

杉:だからこそ、その技術をどう応用するか。この応用という言葉がすごくひっかかるというか、日本語は難しいなと思うんですけど。イメージで行くと、アイロボット社に近いかなと。もともと地雷探査機の会社だったのが、地雷を見つける代わりに、ゴミを見つける機械を作った。機能を省いていって、できたものです。

栗:でも今ちょっとなるほどと思ったのは、「省いていく」というのはシンプルに良いものにたどり着く道筋かな。色んなものをくっつけていくと、逆にブレていく気がする。

杉:それから、ベアブリックとコラボしたとき、だいたいの社員は、「そんなの意味ない」と言いました。100万円のおもちゃなんて買わないと。それに対し、「いやいや、そんなことないよ」というところから始まって。次に、ドライカーボン松葉づえ。

栗:RDSさんといえばこれ、というもの。グッドデザイン金賞を獲った。

杉:結構もう時間が経っていますが。笑

栗:何年前ですか。

杉:もう6年前です。金賞を獲りました。そもそも僕らが福祉分野を始めるきっかけになったのは、2011年の寺崎さんという方からの一通のメールでした。その方はたくさん自分でお金を貯金されて、松葉杖を作ってくださいと連絡されてきて。ただ、ものを作ってデザイン設計から最後までやるとなると、試作が入って、この流れは100万では出来ない。

栗:もちろん。

杉:でも僕は、いつか医療福祉に携わりたいと思っていたので、モニター契約してもらいました。お金はいらないから、とことん付き合ってくれと。彼は「RDSの松葉杖を使ってから、隠そう隠そうとしていた人生から、見せよう見せようとする人生に変わった」と言ってくれました。これまでの一番の問題は、個人所有を目的としたプロダクトが少なかったことです。

栗:要は、かっこよくない。

杉:そういうデザインに、情緒を付与し選択肢の余白を広げようということで。そしてこれを見たパラリンピアの森井大輝選手が訪ねてきた。そこからパラリンピックへの取り組みが始まりました。2013年のことです。

栗:じゃあもう、松葉杖で。

杉:彼は松葉杖を使いませんが、あの技術と心意気みたいなもの感じてくれて。

栗:これが本当にきっかけになって発展したと。

杉:今、森選手にはシーティングや部品を、CFRPや3Dプリンターでギアを提供しています。埼玉出身で深谷出身の、5つのメダルを獲得した取った村岡桃佳選手のギアの多くはRDSで提供しています。夏目堅司選手に関しては、フレームからフルで作っています。

HEROXというメディアが伝えるもの

杉:パラリンピア選手のために研究を続けているうちに、選手たち自身が、使っている道具のサイズがあってないのを知らないと気づきました。これは今までの人たちが悪いのではなくて、技術が介入されていなかった。これって、栗原さんとか僕らとか、ものづくりをやっている人からすると、ちょっとギャップがありますよね。そのギャップをどう埋めようかということで、HEROXが生まれました。

http://hero-x.jp/

栗:めちゃくちゃかっこいいじゃないですか。

杉:ありがとうございます。(笑)ハンディキャップの話をするのではなく、そこに隠された技術やテクノロジーが、いかに自分事化していくかということを伝えられるかが大切だと思っています。色々な研究を一過性のものにしないためには、メディアをもって伝えた方が面白いんじゃないかというのが、HEROXを立ち上げた第一の理由です。

栗:いいね、メディアで伝える。

杉:眼鏡をしている人はハンディキャップ、という認識はないですよね。昔は眼鏡をかけているといじられませんでした?

栗:数が少なかったからね。

杉:そう、マイノリティ・マジョリティの関係性なんですよね。2019年には、伊達眼鏡している人すらいる。ファッションとしての選択肢が付与されたことによって、おしゃれなものになっていった。これは良い事例だなと思っています。そういうものもHEROXの中で自分事化したいんです。いつか、歩けなくなる日は必ず来る。そのときに、自分はどういうものが欲しいかを伝えきれていないといけないよねということで、HEROXを立ち上げました。

栗:やっていることが、昔自分が考えていたことと少し似ている。でも、全然レベルが違うから、最近ちょっとジェラシーを感じている(笑)。でもものづくりという共通項があるじゃない。スポーツもそうだし、メディアを使い始めたというのもそう。自分で作るというのはすごい。

杉:2020年を契機に、オリンピック・パラリンピックを通過点として、僕らはどんな未来を迎えたいのだろうと。そのときにこういうメディアがあっても面白いんじゃないかなと思ったのと同時に、そう思ってくれている人が結構多いんです。

栗:メディアをやることは絶対正解だと思う。レベルが違う話をするから恥ずかしいんだけど……。昔、地域で子供たちを集めてラグビーのチームを作りたいと思った。そのころちょうど、メールマガジンとかが出始めてきて。お金かけずに自分でもできるからやってみたら、少しずつ読んでいく人も増えて、「これメディアじゃん」と思った。当時、地域広報をやっているとか、紙媒体のメディアをやっている人に声をかけて、メルマガと紙のメディアをくっつけて地域の情報サービスをやりましょうと。こっちはラグビーチームを作りたい、でもまずはメディアを作って、そこに人が集まって来たら、小出しに、するという考えでやった。これがそこそこ上手くいった。

杉:今よくSNSに載せてらっしゃるのがチームですよね。

栗:そうそう。ラーメンブームが始まったころだから、好きでもないのに草加のラーメン屋さんに取材に行って勝手にランキングとかつけて配信したら、まあまあ人気になった。

杉:SNSとかYoutubeの先駆けかも。

オンリーワンって本当に価値あるもの?

栗:一時期オンリーワンというのが流行った。でもよくよく考えると、うちしかできないなんじゃなくて、うちしかやらないだけなんじゃないかと。要は、真似してこないということは、真似する価値がないくらいの。そんなに素晴らしい技術だったり、そういうことだったら、お金持ちだったり資本力があるところが必ずやるよねと。

杉:やるでしょう。(笑)

栗:真似されないのは、チヤホヤされているだけで、大した価値がないんじゃないか。あいつがやっておけばいいくらいのレベルというか。

杉:なんか、わかりますその気持ちは。

栗:ただ、おやじが生きているときはそんなことは言えなかった。みんなそうやって、匠の技とか言って、うちのおやじのことをすごく持ち上げてくれていて。それが実際に商売になっていたから。おやじが他界してから、本来だったら匠の技で仕事をしていたからつぶれないとおかしいんだけど、つぶれない。だから、大丈夫。70過ぎたおじいちゃんじゃないと作れないものなんて、そんなに世の中には求められてはいなくて、ちゃんと置き換えできる。

メーカーズバンクの立ち上げ

杉:よくブログで書かれているじゃないですか。メーカーズバンクとか。

栗:それをわかりやすく実践できる方法は何かないかと、会う人会う人にずっと投げているが、なかなか進まないというか。ただ考えとしては、クラウドファウンディングにイマイチピンと来てないところがあるから、もうちょっと直接投資にしたい。

杉:クラウドファウンディングを運営している友人が、クラウドファンディングは宣伝ツールだと。

栗:そうなっちゃってる。

杉:開発資金だけを集めるというのは、中々難しいですよね。資金がショートしますから。7割か8割まで出来て、残りを。

栗:むしろそこまでいってないと、クラウドファウンディングはできない。

杉:広告としてとらえて、多くの人に共感してもらうためのものが、クラウドファウンディングだったりすると思います。

栗:クラウドファウンディングって、あともうちょいのところまで行ってないとできない。とってもいい考えやアイディアがあるのに、資金が集まらないからスタートすらできないというのがもったいない。

杉:テーマを一個決めたらどうですか。

栗:何かいっこやればいいんだよな、とは思っている。

杉:同じテーマで5チームくらいあったら、いい意味で競争真理を煽る意味でも。

栗:実際に具体的な事例を作れる土俵を作ると、動くかなとは思っている。

杉:メーカーズバンク、楽しみです。

栗:なんとかやっていきたい。

杉:会社を立ち上げたんですよね。

栗:合同会社メイカーズリンクを立ち上げた。要は、もう一人の思いだけではきつくなってきたから。せっかくやり始めたことだし、自分自身も年齢を考える時期に来ているし。一年、二年の話ではないが、どうせやっていくならこっちの事業もちゃんとできるようにしたいなと。

杉原さん、栗原さん、それぞれのリーマンショック

栗:もともとお父さんが会社を経営されていたわけだけど、継ぐ気はなかったの?

杉:あったっちゃ、あったんでしょうね。向こうの芸大でプロダクトデザインをやっていましたし。ただ、反骨精神というか。

栗:わかります、わかります。

杉:承認欲求に近いけど、認めてもらうには同じ土俵で戦っても、と。必ず創業者の方がすごいじゃないですか。それは間違いないと思う。ちょっと、自分にもっと力をつけて箔をつけたうえで、勝負しに行こうかなと思っていた矢先に、父が亡くなって。僕が大学生の時です。

栗:まだ学生の時に。

杉:ちょうど大学四年の時。そこからあっちで仕事をして。僕が入ったのは、2008年。ちょうどリーマンショックの時。

栗:2008年だと、モロだね。うちはリーマンの前年までものすごく良くて、さあこれからという時に、ちょうど新しい機械を発注した。でも、状況が状況になって。キャンセルしようかと思ったけど、もうその時点で全然仕事がなかったのよ。だから、どうせつぶれるなら、最後に機械を買ってからにしようと思った。

杉:最新機械を。

栗:借金は、もういくらか増えても大して変わらないし。せっかく買いたくて楽しみにしてたから、やめるのをやーめたと。

杉:良い決断でしたね。僕のリーマンの経験は、ちょっと栗原さんと違っていて。リーマンの前を知らないんです。だから過去の売上を見ると、どうやってここまで上がるのか、意味が分からなかった。(笑)僕はどん底からのスタートだから、上るしかなかった。そこから一度も落ちたことがないという。それを経験して、また大きくなるのかなとは思います。

経営者として仕事を引き継ぐということ

栗:うちももうすぐ自分の息子に引き継ごうと思っていて。自分の経験は父親がやっている延長線上で色んなことを決めてきてしまった。途中反発もしたが。でもなんだろう、やっぱり自分の父親をそのままに超えることはできない。

杉:息子さんおめでとうございます。確かに親父との勝負は分が悪いですよね。(笑)尊敬しているから勝負になりにくいというか。ま、大変ですよね。

栗:大変だということが、どれだけ伝えられるか。

杉:僕の考えで、サラリーマンが良いとか悪いとかではなく、経営者の子供は、自分の生まれ育った環境が当たり前に感じる。他の人がすごく時間をかけて養っていくものを、僕らは生まれた時から見ているから、自然と持っているんじゃないかと思いますよ。そういう意味では大丈夫なんじゃないですか。

栗:言葉として大変だぞとか責任重大だぞと言っても、そんなことはわかっていると言うに決まっている。

杉:一番は人間関係じゃないですか?

栗:それも伝えている。父親として何が伝えられるんだと思ったら、仕事には直接関係してない人脈とか。あとはやっていることを見るしかない。実際自分は、父親から何も教わらなかった。

杉:仕事に関しては、直接僕も教わらなかったですね。人付き合いや生き方は教わりましたけど。

栗:うちに息子が来たからといって、機械の技術を教えても仕方ないと思う。

杉:それは僕も思います。栗原さんが現役なのに、二人で同じ方向行くよりは、体力ガンガン使って外に行って新しいものを吸収する方が良いですね。

栗:自分が若い経営者で駆け出しのころ、父親が教えてくれないから、外で会社の経営のことを教わった。周りに良い先輩がいて色んなことを教えてくれたが、だんだんいなくなってきた。自分がそういう立場になってきたけど、偉そうに言うのは性に合わないから、面白いと思う人に会いに行って、色んなことを聞いて。

杉:僕らも、本当に色んな人に助けてもらいながら。100年先の未来を作るのは難しいので、一歩先の未来を出せるように。何事もチャレンジ。あたかも経験したような脳内操作に負けないように。失敗したことないのにイメージがついたりとか、人からの話で。

栗:否定からはいる人もいる。

杉:常に肯定から入って、やってみなきゃわからないと思えば、何事も出来るようになる。

栗:やってみなきゃわからないなら、やらないという選択はないと思う。でもやらないという選択肢を選ぶ人が多い。

杉:勇気ある決断かもしれないが、とはいえ飲み会の席で愚痴ばかり言うのは好きじゃない。夢のある話の方が心がほっこりして翌日の活力になるというか。言霊として返ってくるから、前向きなことを心がけながら。

栗:今度はちょっと、お酒を飲みましょう。

杉:ぜひぜひ。

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対談を終えて

いかがでしたか?杉原さんとは親子ほどの年の差があるんですが、話がはずんで、とても楽しい時間を過ごすことができました。それは、思うに、杉原さんの好奇心旺盛なところによるところが大きかったのかも。私のMAKERS LINKでの活動のことや、やりたいこと、やろうとしてることを、ほんとよく知ってくれていて、それだけでも、めちゃくちゃうれしかったです!

最後に約束したこと、ぜひ、実現したい。お酒飲んで、ラグビーの話もミニ四駆の話も、時間気にせず語り合えたらって思います。実は、この対談の前後に、杉原さん、ラジオ番組にゲスト出演されていていたんですよね。電波通じて流れてくる話、あ、この前、じかに聞いたぞ!なんて、一人、興奮していました。深夜にもかかわらず(苦笑)

番組のホームページには、その様子がブログで紹介されていますので、ぜひ、こちらもチェックしてみてください。
文化百貨店 FM YOKOHAMA 84.7 CULTURE DEPARTMENT
https://seitaro-design.com/radio/

■株式会社RDS http://www.rds-design.jp/
■HERO X http://hero-x.jp/
■ものづくりのコミュニティ・MAKERS LINK http://maker-s.link/
■未来志向型若手経営者グループ 草加リンク https://www.facebook.com/soka.rinc/
長井安奈さんは、草加リンクのメンバーです!

町工場ぶっちゃけ対談 vol.9

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

季節は、もう、晩秋なんていう頃なんでしょうか?長い夜はしみじみと落ち着いて、愛読書のページをめくり…。なんて、優雅な生活とは程遠い栗原は、この秋、あちこちのイベント、展示会にと飛び回っております。(苦笑)

実は、今も、ビッグサイトの展示会(新価値創造展)のブースで、この原稿の仕上げをしてるところです(汗)

さてさて、そんなわけで今回は、同じように忙しい忙しいばかり言っている「同志」に声をかけて、特攻対談をしてきました!渋谷ヒカリエで開催されたアパレル業界の展示会「プラグイン」に新たな風を吹き込むべく企画された「Link to CREATIVE」をプロデュースしたデザイナー、高橋学氏!

今回も進行役をダイレクトメールサービス「たより」の後藤天美さんにお願いしました。いったいどんな話になったのかな?

(ここから、聞き手・執筆は後藤天美さん)

栗原さんとは、何やらムフフな間柄のマナブさん

ご無沙汰してます!お久しぶりです!(*^_^*)

ほぼ1年ぶり、、、の対談場所は、「茅場町」駅から徒歩3分。ノスタルジックな雰囲気なオフィスビルの、5階!(階段で(^_^;))オフィスのドアをくぐると、様々な企業とコラボした作品がお出迎え。マナブデザイン株式会社 代表取締役 高橋学氏。

我が栗原さんとは、何やらムフフな間柄のマナブさん。企業のプロダクトデザインを担当するサラリーマン時代を経て、独立。今やものづくりをする製造業の方たちにはなくてはならない存在で、企業もヒトもモノもつなげちゃう、プロデュースしちゃう、プロダクトデザイナーさんなのです。

ーまずはお決まりの質問から。栗原さんとの出会いはいつごろですか?

学:まだ勤め人だった頃、独立する前だと思います。6,7年前の機械要素展だったでしょうか??

栗:あー、機械要素技術展に栗原精機で単独出展したときだったかな。初めて出会ったのが。

学:会場をぐるぐるまわっていて、栗原精機の前を通り過ぎて、行きかけて、数歩そのまま下がって、立ち止まったんですよ(笑)。漫画のように。

栗:そうだったけ。その頃はまだデザイン事務所勤めだったけ?仕事の関係で来てたんだっけ。

学:そうですね、デザイン事務所に勤務してましたねぇ。デザイナー…っていっても、その頃はまだ、デザイナーがモノをつくる時代ではなかったので。ほんと、デザインワークが主流でしたけど。

栗:そうだったね、学くんが、栗原精機のブースに目をとめてくれたのは、ブースデザインだったって言われたっけ。あのとき、業者がつくる通り一遍のパッケージデザインじゃなくて、栗原精機のブランドカラーでオリジナルで作っちゃったんだよね。黒だったから、どうかな、とも思ったんだけど。

学:その暗さが目を引いたんです。黒い世界の中にミニ四駆やラジコンの金属部品が光ってて、他の出展社さんと印象が違ってました。

栗:デザイナーが目をとめるブースつくっちゃったんだ、俺(笑)。

ーその頃、メーカーズリンクってもうできてたんですか?

学:できてましたよー。僕ね、立ち上げのメンバーじゃないんですよ。一番最初にいなかったんです(笑)。僕が存在を知った頃には、もう4,50名集まってたような。

栗:最初いなかったんだっけー。そっか、別の川口つながりで再会して、川口の焼き鳥屋さんで深酒をして、それで二人の仲が深まったようだったような…。

学:ずいぶん深酒した記憶があります(笑)。先輩が町工場の方とモノづくりをされていて、どうしたらそんなことができるんだろう?と思っていた3か月後に、栗原さんとビッグサイトで再会しましたね。

ものづくりの世界に入ったきっかけ

ー学さんがものづくりの世界に入ったきっかけの出会いですか??

栗:町工場がデザイナーを起用する、ということがあまりない時代でね。デザイナーと知り合いたいなぁ、仲よくなりなたいなぁ、という、俺の欲求が引き合わせたのかも。

学:デザイナーホイホイに引っかかってしまいました(笑)。いつも仲良くしてくれるものつくりに関わる仲間のつながりは、元をただせば栗原さんとの出会いからはじまったんですね。

栗:話は戻るけど、メーカーズリンクの立ち上げにはいなかったんだね。意外だけど。

学:本格的に関わりはじめたのが、3年前のメーカーズリンクのブースデザインですよ。

栗:その頃は、メーカーズリンクが会社になるとは思わなかったよね。出展者を募ろうっていう事業は立ち上がっていたけど。

ー共同出展ですか??

栗:だいたいね、共同出展だとあんまりうまくいかないんだよなぁ。『展示会のパッケージ』って制約が多いからさ。

学:あのとき、みんなわちゃわちゃでしたよね。で、結果、お金がかかちゃって、大変なことになっちゃいましたもんね(笑)

栗:そうそう、展示会ブースのノウハウって大事…

学:以来、展示会ブースを任せてもらって。でも毎回、やりきれないこと、やりたかったことはたくさんあるんですよね。

大躍進の秘密

ー学さんのご活躍の話は、巷でたくさん聞くんですよ。大躍進の秘密って??

学:えー(笑)。去年くらいからすごく忙しくなりましたけど・・・

栗:うん、マナブデザイン、忙しいよねって、聞くようになった。短い期間でステップ踏んで、着実に成果だしてきたよね。

学:独立直後は住んでいたアパートの一室に、机がわりのミカン箱にとノートパソコンを置くことから始めましたからね(笑)

栗:で、今や茅場町のオフィスビル。

学:エレベーターはないですけど(笑)

栗:うん、それはいかんよね(笑)

学:いろんなプロダクトに関わってきて、自分の中にノウハウをつめてきたんですよね。失敗もたくさんありましたけど。

栗:まぁ、失敗も今となっては良い授業料だね。

学:『まずやってみよう!』という心構えは常に大事にしてます!

Link to CREATIVE

―渋谷のヒカリエで展示会やりましたよね?(※ファッション展示会『PLUG IN』の派生プロジェクト「Link to CREATIVE」)

栗:あれだけの出展社が集まったのも、マナブデザインのアクティブさがあったからだよね?

学:去年の年末に大阪で開催された250人もクリエイターを集めた大宴会に、主催の方から誘われて行ってきました。ものすごく楽しかったのに残念ながら今年(2018年)は開催しないと聞いて、それなら東京でやりたいな?って。たくさん人を集めて面白いことをやりたい、この想いが実を結んで生まれた展示会なんです。

―へーーー。

学:PLUG INは『つながる、つなげる、広がる』というコンセプトの展示会なんですけど、アパレルの業界にものづくりの人たちをつなげたらどんな化学反応が起きるだろ
う??なんていう発想から、企画をつくりました。

栗:普通に考えたら、ものづくりとアパレルなんて、つながらないけどね。

学:そうなんですよ。でも自分にはものづくりのプロが集まるメーカーズリンクというプラットフォームがそばにあったんですね。ものづくりとアパレル業界をどうつなげたら化学反応を起こせるかな、というトコロに頭を悩ませました。また身内のお祭りにはしたくない思いもありました。そこで思いついたのが『異業種コラボレーション』なんです。

栗:前からね、話としては少しずつでていたけど、この渋谷の展示会がきっかけで、いろんなモノが動いた感はあるよね。俺も知らないトコロで、あいつとあいつがつながってる、みないな(笑)

学:この半年間、振り返ろうと思っても時間が足りないくらい(笑)。これから何かを始めたいと思っている人を押し出そうと思ってたら、ネームバリューのある会社さんも名乗りをあげてくれて。いつかこの人と一緒にものづくりをしたい!と、思っている方たちとも一緒にできたことが大きいですよね。

栗:直感的に、おもしろいことが起きるって思ったよね。会社の中に抱えているものを出したいと思っている人たちとつながれたよね。

学:誰かがきっかけをつくらないと生まれない、新しいものづくりも誕生したと思います。マナブデザインがコネクターになってできたアイテムもたくさんあり、デザイナーの役割はデザインするだけではなく、コネクターの役割も担える実感を持てたことがうれしいです。

栗:メーカーズリンクは企業と企業の潤滑油の存在としてありたい。ずっとそういってきているけど、それも、まさしくそういうこと。ココから発注するモノが生まれてくるね。

学:頭の中にメーカーズリンクがいつも存在してるんです。だから今回の展示会もLink to CREATIVEにしたんですよ。

栗:うん、それはちょっとうれしかったよねー。はやり言葉じゃなく、LINKを使ってくれてることがね。

学:いろんな方の思いがや努力が重なってできあがったアイテムを販売やものづくりの展開につなげられればいいなと思います。ひとりではできないことを一緒に作り上げてくれた、たくさんの仲間の存在も財産だと思いました。今回出展・協賛・運営に携わっていただいたみなさんには、心から感謝しています。

栗:動き出す前の、あーじゃない、こーじゃない、を、なかなか乗り越えられないんだよね。今回は、そういうものを乗り越えてできたものでしょ。

学:商品をつくるためではなく、コラボして新しいものをつくりだす、この1点をぶれずに貫きました。

栗:作り手、ものづくり手側としては、本当に「カタチ」になるのかわからないと、動けないことも多いのよ。指示(図面化)されたものでないとつくれない世界。が、図面から抜け出してつくる世界へと動く機会にはなったと思う。

学:僕らが考えていたメリット以上の成果も上がっているんですね。今回関わってくれたすべての方に感謝してます。もう泣いちゃいたいくらい。

今後の野望

ー今後の展望というか、野望というか、聞かせてもらってもいいですか?

学:メーカーズリンクはものづくりのプラットフォーム。Link to CREATIVEも新しいプラットフォームになれるように、あらゆる業種全体と新しい連携をつくっていくことで、自分たちが知らなかったその先の世界を見つけにいけたらいいな、と。

栗:今回渋谷だったけど、大阪、北海道、九州、全国でやっていけたら面白いね。

学:そうなんですよ!そしてものづくりにこだわらず、販売も面白いかも。もう、メーカーズリンクにつながる企画が頭の中でもりだくさんで(笑)。

栗:ただの展示会、では、終わらせない。ここからだね。まぁ、7年前はこんなこと想像すらできなかったよね。小さいことでも、きちんと継続できてよかった。

学:あと、今回はじめて運営側に立ってみて、表からは見えない運営ならではの大変な世界を知ることができました。栗原さんのご苦労を垣間見た感じです。

栗:運営するとなると、底知れぬ苦労もあるからねーー。でも、今後がとても楽しみ。これだけのこと、まぁ、ふつう、なかなかやれないもんだよ。

学:自分の中では、まだまだなんですけど。

栗:マナブデザインは人と企業とものづくりとリンクをしていくことを目指しているわけだから。今、終わっちゃったら困るじゃない。これから、まだまだ、だよね。

学:がんばりますよーーー!

師弟関係のような、ライバルのような、旧知の仲のような、お二人の不思議で優しい関係性を感じた時間でした。メーカーズリンクが、業種業態、人を超えて、様々なカタチでつながるプラットフォームになるのも、もうすぐですね。私もまだ知らない未知の世界に繋げてもらおう!高橋さん、ありがとうございました。

それにしても、栗原さん、5階まで階段で上がるのって、キツかったですねー(笑)次回の、町工場社長栗原さんのものづくり対談、お楽しみに!次回があるのか??栗原社長の「ものづくり対談旅」次は、いずこへ。。

町工場ぶっちゃけ対談 vol.8 ~特別企画・ライブ版~

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

ごく一部の方にはご好評いただいている「町工場ぶっちゃけ対談」シリーズですが、なんと、公開の場でやっちゃいました!題して「町工場ぶっちゃけ対談~加工屋おやじ大集合・収拾不可能?言いたい放題トーク!」(笑)

もうおなじみのIRONCAFe(アイアンカフェ)さん主催のイベントで、切削加工を題材にしたトークショーに出演させていただくことになり、どうせなら、というノリで提案したところ、快諾していただき、実現に至りました。今回は、その様子をこちらの読者の方にもお伝えしたいと思います。

司会進行は、大学時代に落研でしゃべりを磨いたというIRONCAFeの戸田有紀さん。トークショーは乾杯からスタートです。

改めて自己紹介

戸田:では、さっそく栗原さん、自己紹介からお願いします。

栗原:皆さん、あらためまして、こんばんは!今日はしばらくの間、町工場おやじの「ぶっちゃけトーク」にお付き合いください。では、まず、自己紹介を簡単に…。会社は、株式会社栗原精機。父親が創業、旋盤、マシニングセンターなどを使って金属加工一筋、50年ほどやっております。一口に金属加工といっても様々ありますが、うちは、どちらかというと、サイズが小さくて、ちょっと複雑な形のものにを得意としてます。

戸田:それと、もう一つの顔もありますね。

栗原:はい、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、MAKERS LINKという、ものづくりをテーマとしたコミュニティをやっていまして、その運営管理のための新しい会社、合同会社メイカーズリンクを、一ヵ月ほど前に立ち上げました。こちらの代表も務めています。

戸田:ありがとうございます。それでは、きょうは、ぶっちゃけトークなんで、いろいろぶっちゃたお話、お願いします!

栗原:先代は、二年半ほど前に亡くなったのですが、まあ、この父親がいろいろとエピソード残してますんで、そのあたりから。写真を1分ほどの動画にまとめたので、見ていただけますか…

戸田:いかにも職人といった感じのお父様ですね。

栗原:仕事してるかお酒飲んでるか、たまにゴルフには行ってましたが。まあ、根っからの職人でした。後先考えずに仕事ばっかり。経営のことはそっちのけで、目の前の機械を動かして何か作ることに熱中してました。職人らしく(?)、いつも、たばこの煙は絶やさず、結果、肺がん患って…

戸田:仕事が好きだったんですよね?お父さんが会社を立ち上げるきっかけというのはあったんですか?

栗原:いわゆる戦後ですね、昭和20年代です。中学出て、千葉の田舎から就職のために東京で働き始めて、縁あって池袋の町工場に住み込みで。あ、ここが私の母親の実家なんですけどね…

戸田:あ、なるほど(笑)

栗原:のれん分けで独立して、田端の中古屋さんで機械一台買って、埼玉に買った小さな家の軒先で工場を始めたわけです。で、いくらか仕事が増えてきて、ある日、二間しかない家を半分、つぶして工場にしちゃった。その日から、一家四人が四畳半での生活ですよ。枕の先、ふすまの向こうで機械が動いている、そんな環境で育ちました。

戸田:後先考えず?

栗原:そう。でも時代がよかったんですかね。自分が小学校高学年の頃には引っ越しして、本格的な工場も建てて、高価な機械を買って…。また、工場建て直して、機械増やしてって、そのたびにお袋と衝突してましたよ。

戸田:見境なくとか、後先考えずって、今日のテーマになりそうですね。ぶっちゃけ話、ほかにもありますか?

栗原:まあ、結局、そんな好き勝手な人生、死ぬまで続けましたね。入院先の病院から、外出許可とってはうちに帰ってきては仕事をしてましたよ。亡くなった後、病室を片付けていたら引き出しから図面が出てきてびっくりしました。母親は、手紙の一つも出てくるかと思ってたのに、苦労かけたねの一言くらい書いた…

戸田:仕事、人生そのものですね。いい話じゃないですか?

栗原:いや、笑い話ですよ。おふくろ、まじで怒ってましたから(笑)

軽いノリで

戸田:で、今日は、加工屋おやじ大集合とタイトルにある通り、そんな見境ない方たちが集まっているというわけですよね?

栗原:はい、MAKERS LINKで活動する中で、親しくしている同じ埼玉の加工屋で、COOL MILLINGSっていうチームを結成したんで、今日はそのメンバーに来てもらっています。

戸田:では、栗原さんからさっそくご紹介いただけますか。

栗原:メンバーは、アキモトパーツの秋元さん、有木製作所の有木さん、きょうは所用で欠席ですが、メガワークスの永井さん、と私です。で、ここに、デザイナーの高橋さん(マナブデザイン)にも加わってもらいました。

戸田:COOL MILLINGSのコンセプトというか目的って?

栗原:コンセプトは、かっこいい加工屋を目指す!です。普段、我々、請け負っている仕事は機械の中に入って普通には目に触れないものばかりなんです。でもね、その仕事ぶりや加工して作った金属製品をカッコいいと言ってもらえることがあるんですよね。金属のカッコよさ、金属が好きっていう人が世の中には一定数いるみたいなんです。

戸田:え?どこにいるんですか?(笑)

栗原:世界中に!だってね、切削加工で作った部品を写真に撮ってSNSに載せると、たくさんいいね!がつくし。実際、今日このイベントのために作った製品を、わざわざ買いに来た方もいらっしゃいましたよ!

戸田:あ、でもトークは聞かずに帰られちゃったんですか?

栗原:製品には惹かれたんだけど、それを作っているおじさんには興味がなかったのかな?(笑)。でもさ、このお店(アイアンカフェ)だって、無機質な金属でかためて、すごいオシャレな雰囲気で人気じゃないですか!

戸田:もっと言ってください(笑)。さて、では、チーム作るぞって集められた、秋元さん、有木さんは、どんな思いで参加されたんですか?

秋元:いや、栗原さんから特に説明ないまま、居酒屋に集合かかって、行ってみたら、今日からチームだぞ、みたいな。

有木:自分も、やっぱり、飲み会のつもりで、軽いノリで(笑)

戸田:そんな?軽いノリで?でも、しっかりといっしょに商品開発とかやられているじゃないですか!そこはやっぱり、デザイナーとして、高橋さんがまとめ役?

高橋:いや、軽いノリで(笑)。いやいや、ノリだけじゃなくて、デザインしたものがカタチになる、これ、すごく重要なことで、それが実現できるっていうのはありがたいし素晴らしいです。

戸田:それにしても、メンツは個性的ですてきですね!

栗原:いや、メンツは厳選してますよ!腕もだけど、気が合うっていうのがすごく大事。

秋元:軽いノリで、すぐ集まれるし(笑)。

栗原:気が合う仲間が、それぞれの得意な技術を持ち寄って、付加価値の高い製品を世に出していこう。デザイナーの高橋さんがデザイン、みんなで分担して加工して製品化もやっていこう、それが、切削加工屋チーム、COOL MILLINGSなんです。俺たち、ちょっと表に出ていくぜ!ってね。

戸田:今日お持ちいただいた製品について、これは秋元さんの、ですね?

秋元:はい、チタンの削り出しのアクセサリーと爪楊枝です。チタンて加工がちょっと厄介なんで、これを得意にしているというのをアピールするのに作ってみました。

合同会社メイカーズリンク

戸田:みんなで一つの作品を作り上げていくっていう感じなんですかね?

栗原:いいこと言ってくれた!ちょっと映画製作の手法というか、映画って制作委員会をつくって、たとえば、制作会社のほかにテレビ局だったりグッズにかかわる会社とか、それぞれ関係する会社が出資しあって一本の作品を作り上げますよね。それに近い方法をものづくりでもできないかな?っていう発想はあります。

戸田:では、合同会社メイカーズリンクは芸能プロダクション?

栗原:近いね!町工場はそれぞれ個性派の役者で、デザイナーは演出家?言い出しっぺはプロデューサーになるんですけど。

戸田:軽いノリで始めた割には、すごい壮大ですね

栗原:かっちりとした事業として、たとえば、事業計画書をしっかり作ってからスタート、では、なかなか動き出せない。軽いノリで、まずはやってみようだと、案外スムーズに製品が出来上がるところまでいけるって面もありますよ。でも、仕事、ビジネスだから、お金の面はしっかりとやっていく必要があって、そのためには、会社が必要だってことですね。

海外支部(?)の方々

戸田:さて、先ほどから、画面にはフランスですか?外国のようですが?

栗原:はい、MAKERS LINKには海外でがんばってるメンバーもいます。フランスで加工屋さんをやっている石塚さんをまず紹介します。この人も、まあ、破天荒ですよね。神奈川・茅ケ崎で、やっぱりお父さんから引き継いだ工場を営んでいたんですけどね。茅ケ崎のグループでフランスの展示会に打って出たことをきっかけに、ついに、海を渡ってしまいました。

戸田:ご家族は反対しなかったんですかね?

栗原:いや、逆に、奥さんが、フランスだったら行きたいって言ったそうです。(笑)。

戸田:あと、ケニアにもメンバーがいるってお聞きしましたが…

栗原:そう、いるんですよ。しかも女性ですよ!ご両親に成り代わって、私も反対したんですけどね!実は、いま、ちょうど日本に一時帰国中で、きょうはここに来てもらったんで、紹介します。山口遥さんです。

戸田:栗原ブロックももろともせず、ケニアに行ってしまった山口さん!

山口:ケニアで美容オイルとスーパーフードを扱う事業をしている山口です。よろしくお願いします。

栗原:切削加工とは直接的には関係ないんですけど、山口さんが前職のときに、会社のホームページを立ち上げる仕事を担当してくれて。

山口:製造業の経営者の方にたくさんお会いしていくうちに、自分も起業したいって気持ちになりました。

戸田:それにしても、すごいな!で、日本にはいつ帰ってこられたんですか?

山口:今週の水曜日です。一ヵ月くらい滞在して、商品のパッケージなどを作り上げたいと思っています。

栗原:MAKERS LINKのネットワークをぜひ活用してください!

結局、1時間の予定のトークは、大いに盛り上がって、30分ほど延長。その後、ほとんどのお客さんがお店に残って、加工談議に花を咲かせていました。

いやはや、好き勝手にしゃべったことを、文字に起こす作業は大変です!だいぶ端折ったし、オブラートにも包みました。(苦笑)

さて、最後に告知を

5/30(水) 〜 6/1(金)に東京ビッグサイトで開催の「スマートファクトリー Japan 2018」で行われるパネルディスカッションに、パネリストとして登壇させていただくことになりました。テーマは、中堅中小製造業のスマートものづくりを取り巻く環境について、とのこと。末端町工場のおやじがスマート?大丈夫かな~

日時は、5月30日(水) 13:00〜14:30となっております。ご興味ある方はぜひ、お越しください。http://biz.nikkan.co.jp/eve/smart-factory/

同じく東京ビッグサイトでは、6月20日から3日間にわたり、機械要素技術展が開催となります。今年も、MAKERS LINKからは11社+1グループで共同出展いたします!こちらにもぜひ、足を運んでくださいね!

http://www.mtech-tokyo.jp/

町工場ぶっちゃけ対談 vol.6

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

あっという間に、2017年もあとわずか!慌ただしい年の瀬ですが、みなさん、いかがお過ごしですか?私は例年のごとく、忘年会続きのこのひと月をなんとか風邪もひかずに乗り切れそうです。それにしてもいろいろと忙しくてくたびれました~(自分で忙しくしてるんだろって?うん、確かに…)

ということで、いろいろあった中から、こちらをご報告。

工場マルシェ

11月25、26日と、代官山T-siteGardenGalleryにて開催された「工場マルシェ」。これは、町工場が自分たちの技術を使って作り出したオリジナルの製品を展示、販売するというイベントです。しかし、集まった企業のレベルが半端ない!その中でもひときわ目を引く文房具ブランド「Factionery」の中に、実は弊社の作ったペンスタンドが置かれておりました!

おしゃれーな代官山の蔦屋さんで、自分が手掛けた商品をお客様が買ってくれた現場を目撃!いや~、うれしかったですねぇ~。自社製品開発熱に火が着きました!

えんにち!in 840

12月3日、日曜日。埼玉は八潮市の商業施設、フレスポ八潮で開催された「えんにち!in 840」に参加してきました!当日は八潮市に拠点を置く中小製造業者を中心に、遠くは横浜からの参戦も含め、各社の特色を活かした子ども向けのワークショップを展開しました。うちは、オリジナルノート作りをおよそ50人のお子ちゃまたちといっしょに楽しんじゃいました!全体ではなんと1500人の来場があったとか!


その様子はぜひ、こちらでご覧ください。https://www.facebook.com/enniti840/

町工場ぶっちゃけ対談スタート

さてさて、そろそろ本題に。今回も好評につき(?)、町工場ぶっちゃけ対談をお送りします!今回も進行役をダイレクトメールサービス「たより」の後藤天美さんにお願いしました。日本の町工場の未来を拓く(かもしれない)すんごい方との、ぶっちゃけトークをぜひお楽しみくださいね!

(ここから、聞き手・執筆は後藤さん)

2018年の足音もそこまで聞こえてきそうな師走に、行ってきました、聴いてきました(*^_^*)

対談場所は、「ものづくりの街」2K540にある、IRONCAFe。鋳造プロダクトに囲まれたギャラリーカフェで、お会いしたのは、株式会社A(エイス)代表取締役 山田歩氏。大学在学中にあの有名な「鳥人間コンテスト」に、製作スタッフとして参加。そのときに技術指導で出会った町工場の職人さんたちの職人技に感銘を受け、ものづくりに携わる事業で会社を設立。知る人ぞ知る、ものづくりの概念を変えちゃうかもしれない、めちゃくちゃ大きな可能性を秘めた、若き経営者です。

wemakeとは?

ー名刺に書いてある、wemake…って、なんですか??

山田:身内に町工場経営者がいるわけではないんですが、起業するにあたって、様々な町工場に訪問させていただいて感じたのは、町工場の持つ強みは大手企業の下請け以外のところにもあるのではないかということ。大手企業では生産できない、小ロットだけれども確かにその製品を強く欲する人がいるような市場でこそ、町工場の良さが活きるのではないか。そういう状況をずっとみていて、インターネット上でものづくりをマッチングしようと。それまで、開発したらまず売ってみないと商品が世に出るものかどうかわからない、という待ちのものづくりから、企業とエンドユーザーを巻き込んだ「共創による価値創造プロセス」を視点にいれた、メーカーとクリエイターを繋ぐプラットフォーム事業です。

栗原:実際、wemakeは、大手企業とのプロジェクトが成功事例として、あるんだよね。で、山田さんは、次にその事業で得たスキルを駆使して、中小企業製造業者を巻き込んだ新事業開発に着手してるの。それが、wemake labなんです。

山田:実際、第一弾が動いていまして。全国の1000社くらいの企業の中から、下請けではなく、商品開発に意欲的な町工場、リテラシーのしっかりされている会社を4社。時代を担う町工場の社長さん方にご協力いただきました。

栗原:メーカーと、クリエイターと商品開発をして、売り先とかは?販売先、それも自分たちで開発するの?

山田:商品開発のチームに、セレクトショップのバイヤーの方に入っていただいて、プロジェクトを進めています。そこが、国や行政の「マッチング事業」といわれるものとの、違いかな。あとは、成功報酬なので、1年以内に商品化をしないとお金にならない。スピード感が違いますよね。そこも大きな違いです。

改めてお二人の出会い

ーすみません、お話の途中で。これは、まず聞いておかないと(笑)恒例の質問、と言っちゃなんですが、お二人の出会いをお聞かせください。

栗原:まだ、メンバーが4、5人くらいだった頃の、メーカーズリンクのイベント(飲み会)だったよね?

山田:そうですね、まだ立ち上げられた頃じゃなかったかな。

栗原:顔見知り数人集めて始めたメイカーズリンクに、初めて山田さんが、知らないところから参加してくれたの(笑)会って話をしたら、メイカーズリンクで、できたらいいなぁ、ってこと、すでにやっちゃっててさ。あ、これはもう、彼らにお任せしようって、すぐさま思ったね。

山田:それまでも、町工場の社長さんたちとの交流はあったんですけど。その、メーカーズリンクに参加されてた方たちは、商品開発に対して積極的でしたよね 。いいご縁ができたなぁ、と。

栗原:みんな、ただただ、酔っ払ってたけどね(笑)

製造業のマーケティング

栗原:話はちょっと変わるけどね、映画製作のプロセスが、ものづくりの世界にトレースされればいいかな、と、思ったりするわけ。映画をつくる人×映画を売る人。製作委員会っていうのかな。この仕組みが、ものづくりにも重要だと思うんだよね。

山田:それ、わかります。日本の技術でできた商品って、もっともっと売れてもいいんじゃないかな。でも、世界的に有名なセレクトショップから引き受けがあっても、本業の売り上げに匹敵するほどではない、それが今のものづくりの現状なんです。

栗原:メーカー側で言えば、本事業と、商品開発の製品づくりのバランスもうまくないというか。スケジュール管理がなってないからね。

山田:中小企業の経営者の方々の視点は、ものすごく高い。けれど、社内、現場との温度差があったり、 ていうのも事実ですしね。開発が進まないというか・・・。

ーそれに、「マーケティングが苦手」って言われるじゃないですか。中小企業って。

山田:マーケティングって、自分の得意分野で勝負をする、その場所と方法をみつけること。絶対にやった方が良い結果につながりやすいと考えています。だから、次の第二弾のwemake labのプロジェクトでは、メーカー×クリエイター×バイヤーの関わり方を見直そうかと思ってます。

栗原:なるほどね、期限を決めるって、なかなか作り手側には難しいなぁ。時間があるときに、とか思っちゃうからね。大事だね、そこは。

山田:自分たちがつくりたいものをつくる!では、これだけモノがあふれている中では埋もれてしまうんですよ。下請けを脱却する=マーケティング目線での製品づくり。ここを意識していかないといけないのではないかと感じています。

栗原:メーカー側も『あそび』の範囲からでないとね。自社売り上げに匹敵する「自社製品」をつくろう!という意識が大事かな。

山田:マーケティングを理解している人が、製品づくりの指揮を執る。そんなケースもあってもいいと思っているんです。

栗原:営業しなくても、仕事はとれる。製造業は、そういう時代が長く続いていたからね。慣例というか。まぁ、ある時をさかいに、黙ってても仕事がくるって時代じゃなくなっちゃったんだよね。そこから、展示会もホームページも、その他もろもろ、考え方が変わってきたかなぁ。

山田:皆さんの努力が報われるよう、常に模索しています。

ーお二人って、頻繁にお会いされているんですか?なんか話が、めちゃくちゃ盛り上がってて。

栗原:wemake labが始まってから、山田さんにまた、ちょくちょく会うようになってきたかな。

山田:ハードウェアのスタートアップの人から、メーカーズリンクって注目されているんですよ。そういうニーズを求めて登録している人がいるってことを、メーカー側が認識していないのがもったいないかな、と。本当に、いろんな可能性を秘めているコミュニティなんですよ。

栗原:そこは、俺気づいてなかったかも(笑)そうなの??じゃあ、せっかくだから、リアルに会うイベント作った方がいいかな。

山田:中小企業の技術って、注目されているんですよ。そこに、当の本人の、中小企業の社長さんたちが気づいていない(笑)本当に、もったいない。

栗原:(苦笑)

山田:いろんなコミュニティがあるせいで、登録しただけで満足!という方も多いと思うんですよね。なんにしても、運営側のメッセージがこれからは重要にはなるでしょうね。

ー山田さんって、本当にものづくりがお好きなんですね。

栗原:そうなんだよね、ものづくりをする側に、いつも「尊敬の念」を持って接してくれるんだ。そこが、山田さんを信頼できる一番のことかな。

山田:技術や製品に「提案」する、それができるのが、日本の町工場の皆さんの凄さなんです。

栗原:でも、売れるものをつくれない(笑)売れるお墨付きって、どうすればできるのかな。

山田:売れるって、本当に小さなきっかけだったりするんですよね。つくってみてから、どう?ではなくて、「売れる領域」に売れるものを投入する。僕たちにものづくりのスキルはないけど、そこをサポートしていく力があるんです。

栗原:つくる能力、技術はあるのに、何をつくったらいいのかわからない、ってのも、現状かな。

山田:アイディアを、デザイナーに関わらず幅広く集めてみる。

栗原:いいねぇ、あとは、出資の仕方とか、資金繰りとか、山田君、なんかいい方法考えて、教えてよ(笑)

山田:全部ですか??なかなかハードですねぇ(笑)

これからの事

栗原:あとは、人と人をつなぐコミュニケーションが大事よね。

山田:そうですね、それから、製品に対して関わる人が「意気投合」する。基本ですけど。これ、大事です。

栗原:今後の展望は?

山田:プロジェクトチームに、プロデューサー、マーケッターをつけて、「売れる」ものづくりを目指していきたいですね。少ないマーケティングコストで、世界に発信できるものづくりチームをつくっていければなぁ、と。

栗原:1社ごと、1プロジェクトごとのマッチングをしてもらえるって、本当にありがたいよね

山田:あとは、メーカーさんのカウンセリングを徹底的に。「本当は、何がしたいの?」って

栗原:あ、それ、重要。すごくいいね。

ー山田さん、ものづくりの世界だけにいるのは、もったいない、というか、もっと世に出てもらいたいです。サービス業の、今までにはないプロデュース事業も、ぜひ展開してください!

山田:笑笑

 

山田社長の発想と感性、視点が、斬新なようで実は緻密だったり、ご自身の経験から得られている積み上げられたデータによるプロデュース事業であったり、若き才能に脱帽するばかりでした。何より、町工場愛、ものづくり愛がハンパない。愛がなくちゃ、大きくて楽しい仕事はできないよな、と。
第2弾のwemake lab、大大大注目ですね!

栗原社長、山田社長、ありがとうございました。栗原社長の「ものづくり対談旅」次は、いずこへ。。

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