売れる製品を企画するなら品質表を使おう

ものづくりドットコムの熊坂です。

ものづくりドットコムの累計利用者数が先週3百万人を超えました。正確には7年前に公開した当時のサービス名称が「ものづくり革新ナビ」でしたから、4年前の名称変更を挟んで通算での実績になります。あっという間のようにも思うし、長かったような気もします。これを通過点として、ますますものづくり関係者に役立つ情報と機能を提供していきますから、バシバシ活用して下さいね。

さてものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は「QFD」と「品質表」についてお話します。

QFDと品質表ってなんだ?

終戦後の日本製品の品質が最低レベルだったことは以前にも書きました。その後米国から統計的品質管理(SQC)が日本に導入されて、急速に製造品質が向上したわけですが、その次のステップとして設計で品質を保証する仕組みとして1960年代から70年代にかけて、当時山梨大学教授だった赤尾洋二氏らによって考案されたのが品質機能展開(QFD: Quality Function Deployment)です。

我々技術者が製品を企画すると、ついつい技術やスペック先行で考えてしまいます。「最近開発したこの技術を使おう」、「従来にない機能を追加したら売れるに違いない」といった具合です。でもそれって、本当にユーザーが欲しい製品でしょうか?

QFDはお客様の要求を丹念に整理し、製品品質を保証する仕組みであり、その第1工程としてユーザーの要求(VOC:Voice of Customer)から製品仕様の導出に使われる二元表が「品質表」です。ということで品質表はQFDの一部を切り出したものですが、これだけ作成してQFDと呼ぶ人も多数います。分かっていながら、私も敢えてそう呼ぶ場合もあります。

言葉で説明するより、下図の品質表実施例を見ると、構造と機能が大よそ理解できると思います。

図1.品質表の1例(物置)

品質表の作成手順

  1. 初めに左側の「要求品質展開表」(A)部分を作ります。まず思いつくまま製品に対する要望を一つずつ付箋紙に記入したのちにKJ法で整理し、その後で図のようなテンプレートに記入した方が良いでしょう。図では2次までに統合していますが、要求が複雑な商品の場合は3次まで構造化することもあります。
  2. 次に製品の特性や機能を「品質要素」(B)として上部に整理します。まずは思いつくまま挙げて、こちらも2次あるいは3次までに構造化します。典型的にはカタログの「仕様」に相当するものですが、カタログに載っていない品質要素もたくさんあります。
  3. ここまでできたら、左の要求品質項目と上の品質要素の交点となるセルに、両者の関連性を示す記号を記入します(C)。ここでは強い関係性がある場合に◎、中程度の関係性に〇、弱い関係性に△を使っています。左の要求品質項目毎に関連する品質要素が最低でも1つは必要です。横一列すべて空欄の行があるようなら、その要求品質に対応する何らかの品質要素を追加します。
  4. 次に要求品質ごとの「重要度」(D)を設定します。重みづけと言い換えても良いでしょう。本来であれば、ユーザーが評価し、一対比較法で数値化すると精度が高まりますが、かなり煩雑になるため、ここで停滞するくらいであれば、企画担当者がエイヤっと書き込んでも構いません。ただし5段階評価程度では実態に合わないため、最大/最小が20倍以上になるまで差をつけましょう。
  5. さらに競合製品との比較から「企画品質」(E)を検討し、販売時にアピールしたい項目を「セールスポイント」(F)で強調し、これらを掛け合わせて「絶対ウェイト」を計算します。このままでも良いのですが、全ウェイト中の割合を知りたい場合は、各絶対ウェイトを合計ウェイトで割って、「要求品質ウェイト」(G)を計算します。
  6. 次に◎=5、〇=3、△=1として、品質要素列ごとに記号のついたセルとそれに対応する要求品質ウェイトの積を加算してゆくことで、要求品質の重要度(H)を算出します。品質要素ごとに全体との割合を知りたい場合は、各重要度を合計重要度で割って、「品質要素ウェイト」を計算します。

以上の一連作業によって、要求品質の重要度を品質要素重要度に変換し、重要度の高い品質要素を優先して設計する品質(I)を決定することで、ユーザーの要求に合った製品を企画することが可能となります。

品質表の効果

品質表を使うことにより、次のような効果が期待できます。

  • 顧客要求と製品コンセプトと技術特性の関連が明確になる
  • 仕様の決定過程が明確になる
  • 製品仕様に対する関係者の認識が統一される

特に3番目は大切で、会議で決めたはずの仕様が実は納得していないメンバーがいたり、時間経過であやふやとなり、クレームや思い付き、鶴の一声で突然変更されるといった問題を未然に防ぎます。

初回の作業は相当に手間取るものですが、2回目以降は前回との変更点を修正・追加するだけですから圧倒的に時間/労力が減り、状況(要求)変化への素早い対応が可能となります。是非試してみて下さい。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムの登録専門家では、國枝麿さんがこの分野がお得意です。不明の点やご相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

ものづくりにイノベーションは必要か?

ものづくりドットコムの熊坂です。

私は周囲から暇そうに見えるらしく、あちこちの学会、研究会、同窓会などの幹事や役員を頼まれているうちに、10個くらい引き受けてしまっています。先週大学同窓会の県支部役員会で、来年度の活動計画を議論したのですが、懇親会以外のアイデアがなかなか出ません。東京本部は年に数回豪華な講師を集めて講演会を開きますが、地方都市に来てもらうのは大変で、しかも集客に苦労するのが目に見えています。ふと、本部の講演会を地方支部にネット配信する案を思いつきました。全国の地方支部に呼びかければ一支部あたりの費用負担は少なく、数人しか集まらなくても講師に気遣いは不要です。何より、知的刺激機会の少ない地方に最先端の情報を持ち込めます。

山梨が全国の先駆けとなり、このトレンドを生むという妄想が膨らんでいます。

さてものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は「イノベーション」についてお話します。

イノベーションってなんだ?

私の会社「産業革新研究所」は英文表記がIndustrial Innovation Institute Inc.であり、Inが4つ並んでいい感じなのですが、イノベーションを含んでいるため、必然的に意識が高まります。イノベーションは「新しくする」を意味するラテン語のInnovareを語源とし、経済学者であるシュンペーターが約100年前に使い始めました。彼はイノベーションは何もないところから突然現れるのではなく、既存事項同士を新たに組み合わせることで生まれ、またこれこそが経済発展の原動力と考えました。

例えば近年自動運転技術が急速に進歩しています。それを構成する要素技術は、ミリ波レーダー、高解像度カメラと画像処理、高速CPUなど既存技術の組み合わせであり、全く新たな技術はありませんが、十分にイノベーティブと言って良いでしょう。旧来イノベーションの日本語訳とされる「技術革新」は、新たな技術が必要と誤解されやすいことから、その表現を見直す機運が高まっています。

イノベーションしなくても何とかなる?

今から60年前にドラッカーは、「マーケティングとイノベーションだけが企業の基本的機能」であり、「イノベーションによってより経済的な財やサービスを作る」ことができると主張しました。現状を変えることは億劫であり、今のままで明日、来月、来年突然立ち行かなくなることもないでしょう。そのままずっと何とかなれば楽チンなのですが、競争の現代で現状にとどまることは、進歩してゆく社会の中で相対的に後退していくこととなり、イノベーションしないことが最大のリスクとなるでしょう。

イノベーションは難しいのか?

地道な改善活動が簡単とは言いません。非常に重要ですが、イノベーション=革新活動にはさらに難しい問題があります。製品やプロセスを革新するには人、資金や時間などの資源投入が必要であり、革新的であるほど成功の可能性が低く、場合によっては実現しても成果が不確かである点です。革新的な商品、サービスは従来と大きく異なっているために、経営者や顧客、市場が簡単に受け入れるとは限りません。顧客からの要求を愚直に実現しようとするほど、破壊的なイノベーションを実現できないと、クリステンセン教授は多くの事例を挙げながら説明しています。有名な「イノベーションのジレンマ」です。

特に大企業では担当部門長が大きなリスクを取ってイノベーションに成功したとしてもその見返りは限定的であり、一方革新的であるほど事業化は高い確率で失敗すると想定され、その時はキャリアを大きく傷つけてしまいますから、それくらいなら、小さいながらも確実に成果が出る業務を担当したいでしょう。また、たとえ担当部門長が革新的事業を進めようとしても、優秀な経営者ほど信憑性のある調査データを要求し、不確実なテーマは排除されるため、成功のイメージが持ちやすい過去に成功した類似製品を手掛けてしまいます。

その点で言えば中小企業の方が、資金や人材の目途が付くならば、経営者のトップダウンで革新的なプロジェクトを迅速に進めやすいかもしれません。

こんなことに気を付けてみよう

ドラッカーは、次のような機会でイノベーションが起こると考えました。

  1. 想定外の出来事
  2. 現実と理想の不一致
  3. 改善のニーズ
  4. 産業や市場の構造変化
  5. 人口構造の変化
  6. ものの見方、感じ方、考え方の変化
  7. 新しい知識の出現

このような場に遭遇した時に、それを機会として認識できるように感度を高めておくことが重要です。またクリステンセン教授は、イノベーションを実現させるには「顧客に頼らない」ことと、「コストをかけずに素早く柔軟に進出して試行錯誤する」ことを提案しています。先に書いたように革新的であるほど顧客は理解できません。提案側が信念を持って開発するしかないのですが、その不明確なアイデアに大きな資源を一気に投入することは危険です。簡易なサンプル(MVP:Minimum Viable Product)を作って顧客の反応を確かめ、小規模な販売で売れ行きを確認し、事業化の確信を得たところで本格的な投資に移るべきでしょう。

米国の3MやGoogleのように、自分の好きなテーマに業務時間のある割合を使うと明文化したり、定期的にイノベーションを議論する委員会やワークショップを開催するなど、持続的で定型的な仕組みが効果的です。事業化にあたっては、既存の事業の一部ではなく小さく柔軟な独立組織の方が迅速に立ち上げられるでしょう。それでも大企業内で事業化まで育てるのは容易ではありません。大きなイノベーションは、ベンチャーや中小企業に開発を任せて、事業化が見えてきた段階で大企業と提携するプロセスも注目されています。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムの登録専門家では、中村大介さんがこの分野をお得意です。不明の点やご相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

品質問題を未然防止するタグチメソッドの適用事例

ものづくりドットコムの熊坂です。今年初回の投稿で、通算ではもう35回目になります。全く時の経過が早すぎて、ぼーっと生きてるんじゃねえとチコちゃんに怒られそうです。

個人的な話題で恐縮ですが、12月末に9年乗ったプリウスを、マツダのCX-8に乗り換えました。子供、孫たちが集まった時に1台でなるべくたくさん乗れることと、近年進化の目覚ましい安全機能の充実が目的です。

あまり喧伝していませんがマツダは、今回のテーマであるタグチメソッドに自動車メーカーで最も積極的な企業であり、スカイアクティブエンジンの開発にもふんだんに使っていると発表しています。それがすべてではないでしょうが、良い手法を使って開発に成功した好事例と言えるでしょう。

タグチメソッドはその仕組み以前にコンセプトが理解しにくい

以前3回にわたって「考え方」「機能性評価」「直交表」についてお話しました。タグチメソッドは広い技術分野に適用可能な強力ツールなのですが、上記の「考え方」が、一対比較に近い通常の方法と全く異なるために、この方法の入口で挫折して母屋に入れない技術者が多いのです。タグチメソッドのパラメータ設計はあらゆる技術テーマを下図1のフローで処理できるため、一旦使い慣れてしまえばどんな問題が起ころうと平然と効率的に対処できるのですが、そこに至るまでには相応の訓練が必要な点がネックです。

図1.パラメータ設計の標準フロー

そこで。今回は以前投稿した「タグチメソッド」の事例を1件紹介しますので、考え方理解の助けとしてください。

伊奈製陶のタイル焼成事例

これは1953年に当時の伊奈製陶、現在のリナックスがヨーロッパから輸入したタイル生産装置の不具合を解決した事例で、タグチメソッドの考えを形成する大きなきっかけになったと言われます。

この装置はタイルの材料をカートに載せて、80mのトンネルの中をゆっくり通過しながら焼成する連続炉で、生産性は高いものの使ってみると出来上がったタイルの100%がそり不良でした。炉内の温度が不均一であることと、ヒーターによる熱の受け方が表と裏で違うためで、カート上のタイル位置によってその反り具合もばらばらです。普通であれば、原因である温度分布を改善するために、送風ファンを追加する、ヒーター位置を移動する、出力を時間的に変化させるなどと装置側に改造を施して対策するところですが、膨大な実験時間と費用がかかってしまいます。

そこで田口はこの原因には手を打たず、図1の手順1として温度差があっても反らないタイル生産条件を見つけ出すこととしました。手順2の評価特性は寸法、反り、外観などです。今であれば、タテヨコナナメ厚みなどの寸法を取って、規格値との直線関係を評価するところですが、66年前(!)ですので、まだそのやり方は確立されていませんでした。

手順3の制御因子は27回の実験で3水準因子を13個評価できるL27という直交表に、材料組成7因子、焼成条件を2因子それぞれ3水準で割り付け、誤差因子としてはカートの上にタイル材料を載せる位置を7点設定しました。これによって、どの位置に置いても寸法や外観がばらつかない制御因子の組み合わせを見つけるという実験になるわけです。

手順4、5で実験を実施し、27回×7=189個のデータを手順6で解析します。当時はPCなどありませんので手計算です。四則演算+二乗だけですから、難しくはないのですが、思いっきり面倒です。エキスパートになろうとするのでなければ、巷に出回っているエクセルワークシートに特性値を入力して、出てきた要因効果図を判断に使いましょう。

手順7として、上記で手に入れた要因効果図から7つの材料組成のうち、ある添加物を入れることで、温度が変わっても寸法差が小さいことを見つけることができ、手順8として少量の量産試作を実施しました。

一連の実験によって、不良の原因だった高価な焼成炉に追加投資することなく、材料組成を変更するだけで、不良を大幅に減少させることができました。炉内温度のばらつきはヒーター位置だけでなく、電圧変動や外気温など様々な要因でも変化する可能性があります。温度に対して安定な生産条件は、あらゆる温度変化に対して有効ですから、ヒーターという不良原因を取り除くよりも良い対策なのです。

この事例には後日談があります。あまりにも特性が良くなり、従来低級品として安く販売していたグレードが不足してしまったのです。そこで伊奈製陶はカートの移動スピードを上げて、低級品が希望の比率で生産されるように寸法のばらつきを増やしたそうです。これによって時間当たりの生産性を上げることができました。品質をコストで換算するという田口のアイデアは、このあたりから芽生えていたようです。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムには、タグチメソッドの専門家である長谷部光雄さんも登録しています。不明の点やご相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

事業価値を創造する技術戦略

ものづくりドットコムの熊坂です。

先月の某イベントで元サムスン専務である吉川良三氏の講演「日本の産業に未来はあるのか」を聴講しました。興味深い内容がてんこ盛りで、充実した時間でしたが、最後のまとめは「適者生存、柔軟な考え方で潮目の変化に対応」でした。当たり前と言えばそれまでなのですが、この当たり前のことがなかなかできないものです。常にアンテナを高く掲げ、流れの変化に遅れないように(しかし早とちりせず)、適切に対処していきたいものです。

さて、ものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は「技術戦略」についてお話します。

中小製造業における技術戦略とは

以前企業理念のお話をした時に、企業の方針展開構造を図1で示しました。この中で技術戦略は下から2段目に位置する機能戦略のひとつと言えます。他の機能としては、生産、製品企画、人材育成、購買、知財管理、経理などがありますが、どんな技術を選び、磨くかという技術戦略は、どこでどう作るかという生産戦略と並んで、ものづくり企業における中核事項であることに疑う余地がありません。

図1.方針展開のピラミッド

戦略策定の方向として、競合との関係性を中心に考える競争戦略と、社内の人材やノウハウ、想い入れを中心に考える資源戦略の二つの視点があります。もちろん両方とも重要であり、配慮する必要はありますが、どちらに比重を置くかは、図1において戦略の上位にある「ビジョン」から判断することとなります。

技術戦略策定の手順

図2.戦略策定の手順

つい最近JETI(Japan Engineering & Technology Intelligence)誌11月号に投稿した記事で、戦略策定の手順を図2で示しました。中小規模の企業でここまでしっかり作業しきることは難しいかもしれませんが、これに準じた手順を踏むことで、手戻りのない戦略が獲得できます。

技術戦略策定にあたっては、この中で外部環境の分析特にPEST分析の「T=Technology」である技術動向の調査が重要とはいえ、先端技術ほど不確定要素が多く、また公開されないために、完璧な調査は極めて困難です。さらに他社、競合を分析しすぎると、身動きが取れなくなる危険性もあります。自分たちがやりたいこと、ありたい姿に向かって戦略を決めていく姿勢も時には必要でしょう。

中小企業の技術戦略成功事例

私が知っている高収益中小製造業の技術戦略事例をいくつか紹介します。これらは私が山梨学院大学で担当している「技術経営論」の講義中で、ケーススタディとして取り上げている企業です。

(1)エーワン精密

山梨県韮崎市に工場のある旋盤加工機用コレットチャックを主力製品とする製造業です。工場全体を「短納期」に最適化することで、全国の加工業から全幅の信頼を得て、直販体制を確立し、経常利益率30%以上という驚異的な業績を長期的に継続しています。

(2)東海ばね

大量生産に決別し、1個から20個程度の特殊ばねに特化して受注し、技術力と体制を整えた結果、全受注を自社の決定価格で成約し、高収益を継続しています。職人の働く環境にも細かく配慮しているため、従業員数100人以下でありながら、有名大学卒を含む多くの入社希望者が集まります。

(3)未来工業

スイッチボックスを主力製品とする岐阜県本社の製造業で、最終ユーザーである建設職人の隠れたニーズを次々に実現して、シェア80%を確保。短時間勤務、高報酬などで社員のモチベーションが高く、自律的な改善活動によって多品種にもかかわらず低価格、短納期で販売しています。

(4)池内タオル

大手発注元の倒産により連鎖倒産したことを機に、自社ブランド生産へ全面的に切り替え、オーガニックコットン+風力発電エネルギー+高度な排水処理設備という環境に配慮した製品を訴求し、高価格ながら環境意識の高い消費者の絶大な支持を受けています。

各社各様、いずれも独自のコアコンピタンスを持ち、それを磨いていることが分かります。参考にはなるものの、今から彼らの戦略を真似して成功するとは思えません。自分たちで図2の手順を踏んで真摯に考え抜くことで、簡単ではありませんが、なにかしらの戦略が見えてくるものです。

また、当初考えた戦略がズバリ当たって大成功ということは少なく、やってみることで新たな事実が判明し、それに基づいて戦略を修正しながら、少しずつ成果に近づいていくことがほとんどです。大企業と異なり、柔軟かつスピーディーな戦略設定、修正ができることが、小規模企業の持ち味でもあります。まずは一歩目を踏み出しましょう。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、川崎響子さんが技術戦略分野の専門家です。不明の点やご相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

数字ではない情報を整理するN7

ものづくりドットコムの熊坂です。

会社で仕事をしているうちに少しずつ守備範囲が変わっていくことはよくあります。自分の場合学部生の専攻は応用物理でしたが、50歳で技術士を取る時は経営工学(生産マネジメント)で受験し、53歳で社会人入学した大学院は技術経営専攻でした。ものづくりドットコムで扱うテーマも製造業全般ながら、経営工学/技術経営分野にやや偏っているのは、私の専門分野だからです。

そんな中、知人の編集者から声がかかり、ものづくり・産業技術専門誌である月刊JETIの10月号から1年間、「開発/設計者のための技術経営」というテーマで連載することとなりました。ここ、ものづくり経革広場の記事と重複するところもあり、できるだけ現場で役立つMOTを目指して、自分なりの視点を打ち出していきたいと思っています。

さて毎回ひとつずつ紹介しているものづくりキーワードですが、今回は「N7(新QC7つ道具)」を取り上げてみます。

N7?

N7とは”New QC 7 tools”つまり「新QC7つ道具」の略称で、QC7つ道具の略称Q7に対比してこう呼ばれます。しかしそもそも新QC7つ道具自体がQC7つ道具に比べて認知度が低く、その略称であるN7と聞いて即座に回答ボタンを押せる人は、品質管理関係者だけでしょう。

N7の起源ですが、まず製造業におけるQC活動の高まりとともに高度成長期の’60年代末頃から「QC7つ道具」が主に生産現場改善で数値統計に使われていました。それに加えて定性/言語情報の分析に対するニーズが高まったため、日科技連主導の元で’72年から新しいツールの検討が始まり、管理者・スタッフのために’77年に発表されたのがN7です。

その中身は、親和図法、連関図法、系統図法、マトリックス図法、アローダイアグラム、PDPC法、マトリックスデータ解析法の七つであり、主に品質改善、業務改善の計画用途で使用されます。以下簡単に説明します。

(1)親和図法

あいまいな事柄を理解するにあたり、複数のメンバーで意見、事実等をカードに記述し、集めた中から親和性の高いグループを探し、そこに新たな名前を付けていく事で、構造を明らかにし、事象を整理してゆく方法です。考案者の川喜多二郎氏のイニシャルからKJ法とも呼ばれます。

(2)連関図法

複雑な事象に関して「原因→結果」という矢印を付してゆく整理法です。事象が複雑に絡み合う問題では、多くの要因を検討する必要があります。全ての項目、要因を原因→結果の関係で整理する事で、真の原因に手を打ち、効果的に対処することが可能になるほか、作成する過程で気づかなかった要因を発見する契機ともなります。

(3)系統図法

ものごとを考える過程で、ある項目と因果関係のある複数の項目を順次ツリー状に結び付けてゆくことで系統的に整理する方法です。目的を実現する方策・手段を展開してゆく「方策展開型」と、組織図などのように業務や機能の構成要素を系統的に整理する「構成要素展開型」に大別でき、いずれも思考を構造化して整理する方法です。

(4)マトリックス図法

マトリックスとは縦横すなわち行と列からなる構造ですから、この図法は、ある事象を表現する2つの特性を縦横の表形式に配置することで問題点を多面的に把握し、その解決に役立てる方法です。2つの項目の関連度合いを◎○△などと記入してゆく事で、問題の分布状況や全体像が理解しやすくなります。 項目の選び方が重要ですので、連関図や系統図などを利用して重要項目を選択します。

(5)アローダイアグラム

プロジェクトの計画に際して、作業と作業を矢印(アロー)で結び、そこに所要時間を配置することで、最短時間やCP(クリティカルパス)を見つける方法です。タスクをバー状に表現するスケジュール管理のガントチャートに似ていますが、この場合タスク数が増えてしかも相互の関係性が複雑になると管理が難しくなるため、PERTの価値が出てきます。

(6)PDPC法

Process Decision Program Chart(過程決定計画図)の略称で、何らかの計画を策定する時に開始からの過程を、いろいろと予測される全ての事態に対してあらかじめ対策を準備して、矢線でつないだ図を作っておく方法です。もともと1968年の東大紛争の際に、当時教授だった近藤次郎氏が、予測困難な紛争の進展とその分岐ごとに異なる対応を計画したことから創り出したものであり、未確定、未知な事項に対して迅速に行動する必要がある場合に有効です。

(7)マトリックスデータ解析法

多数の数値を整理するにあたり、説明変数同士の相関をもとに、できるだけ少数の指標で記述し、それを平面上に表す手法で、多変量解析分野では主成分分析と呼ばれます。手順としては説明変数間の相関行列を作り、説明変数と同数の主成分を定義し、それぞれの寄与率を評価する事で、各主成分の意味を考えます。特徴的な2つの主成分軸で各サンプルを評価すると、当初の説明変数で比較するよりもそれぞれの特徴を一層際立たせることが可能になります。

QCサークルや問題対策会議などで、たくさんの意見が出た時に、そこから有効な考えを導きだすことが重要となります。ひとつの意見も無駄にせず、しかも明快な結論を出すことは容易でありません。ここで挙げた方法を試して、課題解決に役立ててください。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、浅田潔さんがN7の専門家です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

海外進出の成功は簡単ではないが不可能でもない

ものづくりドットコムの熊坂です。

企業成長に従業員の教育が重要である事に疑いを持つ人はいないでしょう。弊社が技術、生産系のセミナー紹介に力を入れるのはそのためで、常時1,200件ほどを案内しています。弊社が自主開催することはほとんどない代わりに、セミナーDVDを8タイトル販売しています。

先月発売開始した「TRIZを活用した革新的思考プロセス -利益と元気を出す道具の話-」は、ロシア起源の技術的アイデアの発想法「TRIZ」を解説した本邦初のDVDですので、技術的障壁に悩んでいる方は是非お試しください。

さて毎回ひとつずつ紹介しているものづくりキーワード、今回は「製造業の海外進出」を取り上げてみます。

経済グローバル化の本質

1989年ベルリンの壁崩壊以来、世界は自由貿易に向けて着実に動いていましたが、昨年就任したD.トランプ米大統領は保護主義に戻そうとしています。その成否は分からないものの、大勢としては「ワンワールド」に向かっていると考えて良いでしょう。その根拠は次の3つです。

(1)物理的距離の減少

100年前は船で1週間かかっていた距離が、今は航空機で8時間です。飛行機のスピード自体はここ30年ほど進歩がないといえ、新興国の大衆にとって以前は高値の花だった海外旅行が一般化して、物理的というか、費用的というか各国間の距離が近くなっています。

(2)情報技術の発展

100年前は文字、50年前はラジオ、30年前はテレビなどを通じた海外情報入手でしたが、いまやインターネットを通じて世界中のあらゆる地域の多くの情報が一瞬で手に入ります。物理的距離以上に情報の距離は短くなっているのです。

(3)文化的距離の減少

上記2項目の変化で、人的交流、情報交換が進んでも、長年の文化は簡単には変わりません。ただし、相互理解が徐々に進みます。特に事業の営利が関係すると、理解を進めようとするエネルギーが強まり、変化が加速されます。

これら3つの力によって世界的観点で産業を効率化しようとなると、各国が相互に得意なものを生産して、他国に輸出しようとするのは当然です。

国内において自働車の組み立ては愛知県周辺、メガネは石川県、タオルは愛媛県、ワインは山梨県で多く生産されます。その起源はともあれ、結果的に技術、人、材料などのインフラが整っている場所が効率よく生産できるわけで、世界でも同じことが進むと見て良いでしょう。その自然な動きを関税で阻止しても、消費者に不合理を強いることが長く続くわけがありません。いずれ最も合理的な場所で生産するようになるはずです。

それでは日本が得意な製品とはなんでしょう?

生産の国際分業

図1は工業品目別に国際的な日本シェアと市場規模をグラフにしたもので、点(丸)の大きさが市場サイズを表わしています。規模が小さいうち(グラフの下方)は全量を国内で作ることも可能ですが、市場が拡大し工場数が増えるにつれて(グラフの上方)生産地は世界各地に分散し、日本生産のシェアが低下する傾向が分かります。この右下から左上に分布する点群の中で、比較的右上に分布すれば日本が得意な品目と言えます。

図1.日本製品の分野毎世界シェア(出展:産業構造審議会産業技術分科会2006年資料)

図中で紫の点線で囲まれた領域がそれであり、かなり上方でひときわ大きなオレンジの丸が、世界最大の工業製品である「自動車」です。その右下やや小さなグレイの丸「電子部品」、右下方の青い小丸「複合プリンター」あたりがかなり日本に向いているようで、いずれもアナログなすり合わせ技術がキーとなる製品です。

一方左下にはPCや携帯電話などのデジタル製品や、巨額の投資が必要な医薬品が位置しており、技術的に不得意なわけではないものの、競争力を発揮しにくい分野といえるでしょう。短期での状況変化は難しいかもしれません。

中小製造業の海外進出成功事例

国内での事業維持が難しくなった時に、海外へ進出すれば成功するというほど簡単なものではありません。海外が専門ではない私なりに、知っている3件の成功事例を紹介します。

(1)日本人が一人もいない日系企業

写真1 深圳の金型メーカー

2011年当時MOT大学院に在籍していた私が、研修旅行で深圳の日系中堅金型メーカーを尋ねたところ、工場代表以下全従業員が中国人であり、ほどほどしっかり管理されていました。この代表は日本留学先の大学を卒業と同時に日本本社に就職し、数年の勤務後に海外進出と同時に派遣されたため、日本語、日本文化、企業文化を熟知しながら、当然中国語、中国文化も完全に理解しているため、費用のかかる日本人駐在が不要なのです。

駐在員が複数いる日系企業の現場よりはやや管理が緩い印象はありましたが、ほどほどの方が現地従業者は働き心地が良いかもしれません。受注は全量近辺の日系大手企業で、売り上げが急激に拡大し、従業員数とともに日本本社を大きく上回っているとのことでした。

(2)定着率が極めて高い日系企業

私が産学官連携コーディネーターで県内中小企業を巡回していた2年前に、たまたま訪問した50名ほどの部品加工企業です。古びた建屋で、正直あまり活気が感じられなかったのですが、聞いてみると何と上海と東莞の2工場で4000名の従業員が電子部品を生産しているそうです。

まだ現地生産が本格化していない1994年に進出し、当初は苦労したものの、従業員の家族の入院費用まで負担するなどで労使の信頼関係が高まり、今では低い離職率と高い勤労意欲で、日本の本社を遥かに上回る業績を上げています。

(3)現地での受注が多い日系企業

2013年3月にものづくりドットコム1周年記念大会で、当時の敬愛大学経済学部岸本太一准教授(現東京理科大技術経営専攻講師)が、アジアに進出した中小製造業を研究した結果として、成功するパターンを講演していただきました。それは日本でも十分利益を上げていた企業が、進出した海外でも現地でありえない日本流の気遣い、気配り対応をすることで抜群の評価を得て、高価ながらもそれなりの売り上げ、利益を上げているというものでした。

日本では気配り対応が当たり前で、なかなかそれが価格転嫁できないものですが、海外だからこそ明確な差別化要因となるようです。ということで、三者三様、唯一の成功法則はありませんが、大きな可能性を秘める海外生産です。検討してみる価値がありそうですね。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、根本さんが海外生産の専門家です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

製造業向け補助金などの整理と申請

ものづくりドットコムの熊坂です。

ものづくり助成金の採択結果が6月29日に発表されました。例年の採択率は4割程度で推移してきましたが今回は予算が潤沢だったことと、最大金額が1000万円で割り増しが少なかったことから、採択率55%と比較的緩やかな結果となりました。また近日中に今年度分の募集が始まるようですので、新製品、新技術の開発を予定している企業は、今のうちから準備しておくと良いでしょう。

さて毎回ひとつずつ紹介しているものづくりキーワード、今回はその「補助金」を取り上げてみます。

製造業が対象となる補助金

製造業は設備が必要であるため、情報産業に比べると参入障壁が高いと言えます。言葉を代えると、競争力を維持するためには一定の設備投資を継続する必要があります。平時の生産活動の中で投資資金を積み上げるのが本来ではありますが、場合によっては内部留保以上の投資が必要になる場合があります。

そんな時に補助金はありがたいものです。ものづくり補助金以外にも製造業が対象となる補助金は複数あり、所轄省庁がそれぞれ独自に実施するため、全貌を把握するのが容易ではありません。私が知る限り製造業が対象となりそうなものを表1にまとめてみました。

表1.補助金一覧

ものづくり補助金の特徴と活用

補助金は大企業向け、中小向け、研究寄り、現場寄り、採択率の高低や、応募の条件など様々ですから、自社の状況に照らし合わせて、詳細を調べた上で、応募に臨む必要があります。

表1の各種補助金の中で、ものづくり補助金には次のような特徴があります。

1.設備投資に適度な補助金額1,000万円

中小製造業が購入する設備は数百万円から2~3,000万円のものが多いようです。3分の2補助で1000万円の補助は、多くのプロジェクトに使いやすいでしょう。,

2.予算総額1,000億円、採択率約50%

約10,000社が採択されるということですから、補助金額と併せて考えると手間をかける意義があると考えられます。

3.単年度実施

年度内に設備を検収する必要がありますが、このところの生産設備、部品のひっ迫で納期が間に合わないことが懸念され、その場合は補助金が支払われないと言われています。

4.実施時の修正が煩わしい

不正を防ぐために仕方がないのですが、採択時に計画した設備を変更するのは大分手間取るようです。綿密に計画しましょう。

補助金申請書作成の留意点

折角申請するなら一発で採択されたいものです。条件さえ整えば必ずもらえる厚労省管轄の助成金と違い、各種補助金は申請者全てが採択されるわけではなく、予算によって採択数は決まっています。一方で申請する全社が採択されたいと思っており、どこかは不採用になりますから、申請全体の上位半分ほどに入る必要があり、そのためにはひとえに申請書に何をどう書くかにかかってきます。留意点をいくつか挙げてみます。

1.提出書類の完備

書類が1点でも不足すると審査してもらえません。書類不備という連絡すらない場合がほとんどです。くれぐれも全書類が揃っていることを確認して提出しましょう。

2.要件への適合

補助金は政府の方針を実現する為に実行されます。ということはその方針実現に役立つ申請が採択されると考えられます。たとえば先月採択が発表されたものづくり補助金の場合は「生産性向上に資する設備投資などを支援する」とあり、「3~5年で付加価値額年率3%および経常利益年率1%の向上を達成できる計画」であることが求められていますから、単なる設備更新ではなく、これらの実現が十分に期待できる内容にする必要があります。

3.加点への考慮

申請要綱にはこうすればポイントが加算されますよ、という項目が明示されています。前回のものづくり補助金でいえば以下の5点です。

  1. 先端設備等導入計画の認定企業
  2. 経営革新計画などの承認取得企業
  3. 総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業
  4. 小規模企業
  5. 九州北部豪雨の被災企業

4,5は努力のしようがありませんが、他の3件はやればできる内容です。2は申請中でも加点対象ですから、補助金申請と同時に申請しましょう。

4.必要かつ十分な情報量

審査員は1件当たり15分程度で点数を決めるといわれます。要件に合っていることを短時間に判断してもらうためには、その分野の素人である審査員が容易に分かる文章で、十分な情報を提供する必要があります。かといってページ数が多すぎては読み切れません。適度な内容と分量に心がける必要があります。

初回は事業計画やら書類の整備が大変ですが、不採用になった場合の再挑戦や、別の制度に応募する時は初回の書類が利用できるため、何度もやっていると楽になってきます。補助金如何に寄らず、事業計画は健全な経営活動に有効なので、こういった外力を利用して設計するのも良いかもしれません。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、秋元英郎さんが樹脂成形分野を中心に補助金申請支援がお得意です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

「企業理念」そりゃああった方がいいよ

ものづくりドットコムの熊坂です。

5月25日に名古屋で開催された日本経営工学会春季大会で、学会特別賞(経営工学実践賞)をいただきました。

一応学会員なのですが、さして華々しい活躍をしているわけでもないので大変驚きましたが、よくよく考えてみれば、ものづくりドットコムや経革広場などで、こうやって経営工学的な話題を発信することで、結果的に学会の認知を高めており、ありがたくいただくことにしました。

さて毎回ひとつずつ紹介しているものづくりキーワード、今回は「企業理念」を取り上げます。

企業理念の重要性

製造業に限定するわけではありませんが、組織が大きくなるに従い、社員の意思を統一することが難しくなってきます。単に生活の為に給料をもらえば良いという人、将来の夢に向かってキャリアを積もうとする人、企業内で実績を積んで組織を引っ張ろうとする人など、また企業に貢献するとしても、売り上げ重視、顧客重視、技術重視など、どれが間違いというわけでもありませんが、バラバラの考えでは、企業全体の能力は最大に発揮できません。

理想的には図1に示すように、企業理念が頂にあり、それを少し具体化(Visualize)したビジョンがあり、それを実行するために社員が取るべき行動指針があり、ビジョンを実現するための中期的な戦略があって、初めて日々の実務計画が設定されるべきです。

図1.方針展開のピラミッド

大きな企業であれば企業の中に複数の事業がありますから、事業ごとの戦略を設定したり、技術部、生産部、知財部といった機能毎の戦略を策定する場合もあるでしょう。

個人毎の考えに違いがあるにしても、こうやって設定された実行計画に沿って日々の仕事を遂行していれば、大枠では社員全員が同じ方向に進んでいくこととなり、大きな力を発揮することができるわけです。

企業理念の要件

J.コリンズの「ビジョナリーカンパニー」には、調査した長寿命優良企業は、設立当初からしっかりした理念があったという記述があります。企業理念に含まれるべき要件を図2に示します。

図2.企業理念の要件

第1は「自社の存在意義」です。会社を設立する時には、組織での活動内容をある程度イメージしているはずで、それを社会に対する視点で記述します。企業の維持、成長には外部と従業員の協力が不可欠です。社会に対する立場を明確にすることで、協力者が現れ、従業員の気持ちをまとめることができます。

第2は「自社の経営方針」です。第1項で宣言した意義を提供する方法とも言えます。大事にすべき考え、想いを端的に記述します。

第3は「社員の行動規範」です。日常の業務を遂行するにあたり、すべきこと、避けるべきこと、その考え方を規定します。

以上3つが必ず含まれるとは限りませんが、これらを意識して真に有効な理念を設定しましょう。

企業ミッションの設定

前項の「当社の存在意義」は。まさに企業価値の根幹です。これを考える3つの観点を図3に示します。

図3.企業ミッションの設定要件

一つ目はA:経営者と従業員が「情熱を持って取り組める」ものです。どんなに利益が得られようとも、嫌いな事業には限界があります。ましてや事業は想定外な障害の連続です。大きな困難が現れた時に、好きなことであれば頑張れますが、そうでなければ力が出ません。長く続けるには情熱が要るのです。

二つ目はB:「世界一になれる」ものです。事業には必ず競合がいます。いくら好きであっても、競合の方が自社より上手い場合は、なかなか思うような経営ができません。地域限定、製品のサブカテゴリ―など何でも良いので一番になれる領域で勝負することが重要です。

三つ目はC:「経済的原動力」になれるものです。いくらA好きでB得意であっても、それによって収益が得られなければ、それは趣味であって仕事とは言えません。事業費用に見合う収益を獲得できる目途が必要です。

事業を永続するためには、以上3つの条件を満たすところに企業価値を設定する必要がありますが、中でも重要なのはAではないでしょうか。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、自ら情熱を持って取り組めば、上達も早く、そうなれば協力者や、その価値にお金を払ってくれる人も現れるというものです。

企業理念は、会社を設立する時に必ず初めに用意すべきものでしょうか?それに越したことはないのですが、必ずしもそうはいかない場合もあるでしょう。また、運営しているうちに修正が必要になる場合もあるでしょう。頻繁に換えるのはいけませんが、時代の要請で本当に変更が必要な場合、数十年に一度変わることはあって良いように思います。是非これを機会に、皆さんの企業理念を再認識してみて下さい。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、平本靖夫さんが理念経営分野の専門家です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。  

ものづくり資格あれこれ

ものづくりドットコムの熊坂です。

昨年から次第に充実してきたものづくりドットコムのセミナー案内が、15社目との提携を開始し、いよいよ掲載件数が1,000件を超えるようになってきました。

https://seminars.monodukuri.com/

技術、生産系であればほとんどの分野を網羅していますので、知りたいことがある時は是非このページで検索してください。

さらに現在これらセミナーのネット配信プロジェクトを検討中で、運用試験の一環で私の大学講義を社会人向けにアレンジし、「生産工学概論」として配信することとしました。受講対象は、従業員100人程度の製造業経営者、後継者、工場長が最適ながら、製造業関係者であればそれぞれ気づきが得られると思いますので、是非申込んでください。

https://www.monodukuri.com/seminars/detail/4777

さて毎回ひとつずつ紹介しているものづくりキーワード、今回は「資格」を取り上げます。

製造業関連の資格

製造業は裾野が広いために、一口に関連資格と言っても、民間資格、国家資格それぞれ分野によって膨大な種類があります。「~士」という資格名称を使えるものもあれば、「~検定合格」というのも資格の一種として扱われます。私が今回ざっと調べた資格の一覧を下表1に示しますが、これがすべてでは全くありません。

表1.製造業に関連する資格/検定リスト

どれが良いとか悪いとかの話ではなく、必要なものは取らなくてはいけません。表1の「安全」で分類したものがそれにあたり、作業をする場合に必要あるいは職場内の誰かが資格を持っていなくてはなりません。弁理士もいわゆる業務独占資格といわれるもので、第三者の特許申請代行の際は必須です。

ところが同じ知財資格でも、社内の特許申請事務を進めるだけなら弁理士資格は不要です。知的財産管理技能士という資格はその業務能力を判定するものですが、検定に合格しなくても担当して問題ありません。品質管理検定も同様で、1,2級を持っているとちょっと自慢できますが、級を所持していないとできない品質管理業務はありません。

私は資格専門家ではないため、すべてを解説できません。表1で自分が持っている資格に*印をつけ、以下の二つだけ紹介します。

技術士

技術士はエンジニアが取得する最高峰の国家資格で、機械、電気電子などの19部門と、いずれかの合格者だけが受験できる総合技術監理部門のあわせて20部門からなります。取得までの手順は図1のようになり、2次試験受験のためには一定期間の実務経験を要求されるため、30歳を超えての受験が多く、口頭試験で業務実績を試されることもあり、今年3月に発表された合格者の平均年齢は42.9歳と他の資格と比較すると高めです。

図1.技術士資格取得の道のり

私は50歳で1次試験、51歳で経営工学部門、52歳で総監を取りました。これくらいの年代で、退職に備えて取得する人が結構います。日本技術士会に登録している技術士だけで1万8千人ほどいるのですが、その半数以上は公共事業入札に必要となる建設関連部門であり、他の部門は独占業務がないためか製造業従事者でも知らない人が多いくらいで、一般人には全くなじみがありません。

ビジネスキャリア検定

ビジネスキャリア検定は中央職業能力開発協会が平成5年から開始したもので、同協会で技能者を対象に実施する技能検定に対して、人事、経理、営業などの事務系を対象としています。もちろん製造企業にもこれらの事務はありますが、生産管理が一番製造業っぽい分野です。各分野で3級から1級があり、そのレベルは図2のようにイメージされているため、経験に応じて上の級を受験して行けば良いですね。

図2.ビジネスキャリア検定の等級イメージ

技術士にもまして認知度の低い資格ですが、力試しとしてもっと注目されて良いでしょう。私は企業時代に部門の自己研鑽目的で部下たちに社費で受験させ、自分は自費で受けました。そういえば技術士試験も学習費用、受験費用一切会社から出ませんでしたねえ。自前で払った方が身に付くような気がします。

資格取得の意義とメリット

業務独占ではない資格を取得する意義は、次のようなものが挙げられます。

  1. 受験勉強することによって専門事項に対する知識が深まり、現在や将来の業務に役立つ。
  2. 客観的な能力の証拠となり、社内外からの評価を高める。
  3. それによって社内の異動や転職の際に有利となる。
  4. 勉強する動機となり、また取得後も学習の習慣が継続する。
  5. 同じ資格を持つ者同士のコミュニティに加わることができる。

私が技術士を取った時もこれらすべてのメリットを感じた中で、特に(4)と(5)は本当に良かったと思います。人生100年、そして変化のスピードがますます大きくなる時代に向かって、資格取得を契機として常に新たな知識とスキルを習得していくことを勧めます。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、森谷仁さんが資格試験や技術文章の指導がお得意です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

経営工学と技術経営教育

ものづくりドットコムの熊坂です。

年が明けたと思っていたら、もう新学年です。私が山梨学院大学で講義を受け持つのも9年目に入りました。当初は「ものづくり経営論」で始め、6年目から「技術経営論」に講義名が変わりましたが、中身は8割方同じで(^_^;)、多分に経営工学要素の強い内容になっています。その理由は、自分が経営工学部門の技術士であり、得意な分野を教えているということに尽きます。シラバスが公開されていますので、関心のある方はご覧ください。

https://ygu-ibs.cc.ygu.ac.jp/syllabusgaku/Syllabus.asp?mode=2&cdky=2274&cdsl=1682

毎月のものづくり経革広場への投稿が「まるで大学の講義のようだ」と感じていた勘の良い方もいると思いますが、それもそのはず、ほとんどこの講義の資料から項目や図表を抜粋して執筆しているからです。

毎回ひとつずつ紹介しているものづくりキーワードですが、今回は新学期にちなみ「経営工学」と「技術経営」を取り上げます。

経営工学の歴史

経営工学は英語のIndustrial Engineeringを和訳したもので、本来なら産業工学あるいは工業工学とでも訳すべきでしょう。ゴロが悪かったのか、そう呼ばれるようになりました。一般的には20世紀初頭、F.Taylorが製造企業内で自ら実践しながら体系化した科学的管理法をその起点とされるものの、それ以前にも経験的な生産管理、品質管理の概念はあったと思われます。それ以降、科学的、論理的に製造を管理する多くの方法が提案、実施され、発展してきた結果、製品の品質向上、原価低減が進み、現代の豊かな社会が実現したと言って良いでしょう。

Taylor以降の経営工学項目の変遷を下図に示します。

こうやって見ると、人類が石器を作り始めた200万年前、土器を作り始めた2万年前、産業革命で動力を使い始めた200年前という悠長な変化に対し、わずか100年の間に急激な進化が起こっていることに驚かされます。

技術経営教育の導入

前記のように多種多様な方法論の進展もあって工業の生産性は向上していったものの、下図2のように1991年以降日本の工業生産額は全く成長しなくなりました。モノ余り、人口の減少、東西冷戦終了による低賃金労働国の出現などの社会的要因もさることながら、技術、生産だけに注力し、その能力を価値(お金)に転換する戦略の貧困さが指摘されるようになりました。

図2.世界主要国の製造業生産額推移

さらに日本製造業のROA(Return of Asset:資本利益率)は、欧米と比較すると下図のように半分程度であり、特に中小規模企業の低さが顕著です。欧米では競争力がなくなるとさっさと撤退して、独自の分野に特化する傾向があるのに対して、日本企業は苦難に耐え忍び、また業界内で協調して発展しようとする傾向からこのような違いになるように思います。

図3.製造業ROAの国際比較

そんな背景のもと、70年代に高度成長する日本に打ちのめされた米国がビジネススクール内に設置したMOT(Management of Technology:技術経営)クラスを日本でも創設する動きが、2001年文科省「第2期科学技術基本計画」を基点に始まりました。米国で80年代から90年代にかけて200大学以上が設置したMOTクラスを、30年遅れで日本でも導入しようというものです。

技術の市場化、価値化を進めるための考え方や、方法論を学ぶことで、経営の分かる技術者を育てようという試みであり、10年の間に30大学ほどが次々に開講して注目を浴びました。カリキュラムは大学によって、イノベーション、リスクマネジメント、産学連携、中小企業経営、知財、環境など力を入れる分野に特色があります。

技術経営教育の課題

21世紀に入って期待されたMOT教育でしたが、MBAとの差異化が難しく、本家の米国ではMBAの一部として組み込まれる傾向にあり、日本においても修了者が必ずしも技術経営分野で重用される機会を与えられないことから、志願数が減少傾向にあり、募集を停止する大学も出てきています。

修了生の一人として残念ではありますが、技術経営は単独の研究分野というよりは、技術者を目指すすべての人材が習得すべき基本的リテラシーではないかと最近考えています。単に製品設計や技術開発ができるだけでなく、そこから社会的価値を生み出し、企業に持続可能な利益をもたらすために、工学部の2年から3年にかけて、数コマの講義を必修にすべきと考えます。現在はMOTクラスごとに教える内容も雑多ですが、経営工学の方法論もうまく取り入れて次第に落ち着いていくのではないかと楽観しています。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、平木肇さんがR&Dにおける価値創造分野の専門家です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問して、実践してください。

「設計」の役割とフロントローディング

ものづくりドットコムの熊坂です。このところ一気に暖かくなり、お花見の話題も出てくるころですね。

早いもので、ものづくりドットコムはもうすぐ公開丸6年になります。それに感謝する意味で、また製造業関係者相互の情報と意見を交換するために、毎年この時期に交流会を開催してきました。前半は製造業向サービス提供者による13分ずつのプレゼン8件で最新情勢をインプットし、その後参加者と講師を交えての懇親会となります。

会場は昨年と同じ北とぴあカナリアホール@王子、4月19日(水)18:15開始です。もちろん私も会場にいますし、ものづくり経革広場主宰の徳山さんも来場予定ですから、生の執筆陣とお話したい方は是非ご参加ください。

https://www.monodukuri.com/information/detail/137

さてものづくりキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は「設計」を取り上げます。

設計の役割

ものづくりのおおまかなプロセスフローを下の図1に示します。お客様(市場)の要望に始まり、最終的に要望に沿った製品をお客様(市場)に届ける一連の流れです。図中で実践はものの流れ、点線は情報の流れを示しています。

  図1.ものづくりプロセスフロー図

最終製品メーカーは基本的にこれらすべての工程要素を多かれ少なかれ持っていますが、いわゆる下請け企業は、左上の企画から設計までを発注企業が実施し、真ん中と右側の「作る」部分だけを担当している場合があります。もちろんものづくりにおいて「作る」ことは不可欠かつ本質的なプロセスですが、頭脳労働に価値がシフトしつつある昨今では、下請け企業でも企画、研究、開発、設計といった上流プロセスに少しずつ対応していくことが、企業の存在価値を高めるうえで重要だと考えます。

さて「研究」「開発」「設計」はニュアンスの違いは分かるものの、明確に分離されないで使われることがあります。私なりに整理した比較表を下の表1に示します。研究は独創性が、設計は安定性が求められ、開発はその中間です。100%実現する研究テーマは革新的成果が期待できず、一方の設計は発売日程が決まっていますから「できませんでした」は基本的に許されません。

表1.研究/開発/設計の比較

悪魔のサイクルとフロントローディング

設計に当たっては、検討すべき項目をあらかじめWBS(Work Breakdown Structure)形式に整理し、もれのないように検討、作業を進め、図2のプロジェクトAのように製品リリース後は初期流動して、早々に次の製品に取り掛かりたいものです。ところが設計時の検討が不十分だと、できたと思った設計に不備があり、製品を販売して市場で使われて初めて不具合が見つかって、図2プロジェクトBのように対策に追われます。すると次の製品の設計が遅れ、もしくは十分な人と時間が掛けられず、結果的にまた検討不十分な設計で市場問題を起こす可能性が高くなります。これを悪魔のサイクルと呼び、リコール問題をイメージすれば分かりますが、市場問題の対策費用は設計時の検討費用より圧倒的に大きくなりますので、一旦このサイクルに入るとなかなか抜け出すことが難しくなります。

図2.悪魔のサイクル

プロジェクトAのように設計初期に負荷をかけて市場問題を防止することをフロントローディングと呼んで、日本語にすれば前に負荷をかけるという意味になり、これを実現するには次のような方策があると報告されています。[1][2]

(1)部門間の知識とルール共有/進捗の見える化

部門によって、人によって仕組みやルール、持っている知識や情報が違うと、受け渡しのたびに変換、翻訳が必要となり、効率が極めて低くなります。また企業間の合同プロジェクトでは、それらの違いが一層大きくなりがちです。大きな組織、プロジェクトほど、初めにこれらを統一しておくことが重要です。

(2)コンピュータ支援技術(CAD/CAE/3Dプリンタ)の活用

CADは製造業事業所の90%以上に普及しており、過去の設計資産活用、共用化に有効です。CAEについても広い分野で使われるようになり、実体試作の回数を減らす効果があります。そこへ3Dプリンタも併用して、試作における金型製作の期間、費用の低減が期待されています。

(3)分散型情報移転/オーバーラップ型問題解決

大きな組織では開発から設計、生産技術、製造技術へと工程間、組織間で直列的に情報移転する場合があります。(1)で見たような、部門間の認識/評価の違いがあると、手戻りが発生してしまいます。ひとつの工程が終わったら引き継ぐのではなく、作業中に前後の工程担当者が情報を共有し意見を出すことで、一見遅いように見えて、手戻り時間、損失を減らす効果があります。

(4)ロバスト設計の実施

設計開始前にFMEAで想定される不具合を想定し、未然防止の手を打っておいたり、ここでも何度か取り上げたタグチメソッドを設計プロセスに導入したりすることで、製造工程や市場での使用時の不具合を劇的に減らすことが可能で、これらはロバスト設計と呼ばれます。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、村上英樹さんが金型/部品加工分野の設計専門家です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問して、実践してください。

 

【参考文献】

[1] 藤本隆宏,「生産マネジメント入門Ⅱ」,日本経済新聞出版社,P.190-223(2001)

[2] 延岡健太郎,「MOT技術経営入門」,日本経済新聞出版社,P.207-227(2006)

商品企画の標準プロセス「商品企画七つ道具」

ものづくりドットコムの熊坂です。

2月1日に平成29年度の補正予算が国会で承認され、1000万円×1万件と言われるものづくり補助金交付が決定しましたね。補助金のために設備を買うのは本末転倒ですが、以前から導入したかったものの、資金不足で先延ばしにしていた設備やプロジェクトがあれば非常に良いチャンスです。

申請書の書き方によっても採択確率が変わってきますので、もし自社単独での申請に自信のない方はご相談ください。

さてものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は「商品企画7つ道具」を取り上げます。

生産から企画へ

戦後の高度成長期を支えたのは統計技術を使った品質管理でした。作れば売れた時代には、生産しながらデータを解析し不良を出さないことが重要だったのです。そこで重宝されたのがQC7つ道具(Q7)で、その後QCサークルで改善活動を進めるにあたって、数値ではない言語情報を整理する必要性が生まれ、考えられたのが新QC7つ道具(N7)でした。

さらに1990年バブルが崩壊してモノ余りの時代になり、高品質&低価格であってもモノが売れにくくなると、どう作るかではなく何を作るか、つまり商品企画の重要性が高まってきました。そんな背景から日科技連主導のプロジェクトで生まれたのが商品企画7つ道具(P7)なのです。

下図1は、1つのヒット商品を生まれるまでに、3,000個の初期アイデアが存在することを示しており、この絞り込みプロセスを効率的に進めることは極めて有益なことに思えます。7つ道具を使えば必ず大ヒットするほど世の中は甘くはありませんが、標準的なツールと手順を参考にすることで成功確率の向上が期待できます。 

図1.成功する新商品開発までの経緯

商品企画7つ道具

商品企画7つ道具の流れと関連を図2に示します。大きくは顧客、利用者の意識を調査し、コンセプトを発想、決定し、最終的に設計仕様としてまとめるというステップで進みます。

図2.商品企画7つ道具の関係性

以下各道具(ツール)を簡単に説明します。

(1)インタビュー調査

P7ではグループインタビューと評価グリッド法が使われます。前者は、テーマに関心の深いユーザーを5~8人程度一室に集め、司会者が気持ちを解きほぐしながら参席者同士の会話を弾ませる事で、案件に対する潜在的な意識と要求を掘り起こします。後者はインタビュアーとユーザーが1対1で面談し、商品サンプルを2つずつペアで提示して、好ましい方とその理由を尋ねることでやはり潜在ニーズを引き出す方法です。

(2)アンケート調査

ユーザーあるいはその候補者に対して予め設定された質問への回答を回収し、統計的な処理によって意識、要求の全体像を知る方法です。 実施形態は多種多様で、目的とする対象や期間、内容によって適切に使い分けます。

(3)ポジショニング分析

アンケートなどで判明した重要な要素を2項目選んで2次元空間を作成し、そこに競合他社や自社の製品、サービスを配置して、それらの兼ね合いで新製品の性格付けを決めます。

(4)アイデア発想法

商品コンセプトを実現するためにはアイデア発想が必要になります。世の中には実にたくさんの発想法があり、P7では「焦点発想法」や「アナロジー発想法」、「チェックリスト発想法」、「シーズ発想法」などを用います。

(5)アイデア選択法

前項で発案した多くのアイデアから、現実的な企画に適したものを絞り込む必要があり、P7では、「重み付け評価法」や「一対比較評価法」が使われます。

(6)コンジョイント分析

コンセプトが絞り込まれてきた時に、多くの組合せを試してみるのは非現実的なために、項目と水準を直交表に当てはめて一部の組合せを抜粋し、統計的にユーザーの反応を分析して、最終的な仕様組み合わせを決定してゆく方法です。

(7)品質表

ここまでに整理した顧客要求を顧客表現のままに整理し、別途整理した品質特性との関連性をマトリクスで明確にする事で、顧客要求の重要度を品質特性の重要度に転換して、顧客要求に応える機能、性能を設計することができる手法です。

日本発で商品企画のために発展してきた品質機能展開(QFD)のキーツールであり、また別項で詳細したいと思います。

商品企画7つ道具利用の実際

7つ道具の説明を見るとなんだか膨大で尻込みしてしまいますね。一遍に全部理解、実践しようとすると確かに手に余りますが、例えばQC7つ道具も毎回全部使わなければいけないわけではなく、必要に応じて効果的なツールを選んで使えば良いわけで、P7も同じです。

ニーズ探索がキモであれば、インタビューやアンケートに力を入れ、コンセプトが大事ならポジション分析をきっちり考え、最終的に品質表で整理すれば良いでしょう。何のツールもそうですが、使っているうちにだんだん習熟して、早くうまく使えるようになってくるものです。

字数の関係で各サブツールは概要しか説明していませんので、詳細は書籍やものづくりドットコムなどで学習してください。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、石川朋雄さんがこの分野の専門家です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問して、実践してください。

品質を設計から作り込む方法タグチメソッド(その3)

ものづくりドットコムの熊坂です。

年が変わったと思ったらもう半月過ぎてしまいました。油断も隙もありませんね(^^) 今年はどんな年にしますか?何をすれば良いかはだいたい皆分かっているもので、誰かではなく自分でブレーキを踏んでいるだけなんですよね。「それ」を実行すれば、新たな道が拓けますよ。

想いを新たに、挑戦していきましょう!

さてものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は前回に引き続き「タグチメソッド」ですが、そこで使われる直交表についてお話します。

いっぺんにたくさんの因子を評価する

前回までにタグチメソッド独特の「技術評価方法」である「SN比」について説明しました。これを大きくすれば安定した≒トラブルの起きにくい技術になるのですが、そのためには設計者が自由に決められる因子=パラメータを変化させて実験することになります。

ほとんどの人は一つあるいは二つの因子を少しずつ変化させて最適値で固定し、次に他の因子を変化させて、少しずつ良い因子水準を探していきます。これを逐次実験と呼びますが、次のような問題点があります。

  1. 交互作用があると、実験の順番によって結果が変わる場合がある。
  2. 良い結果が得られても、最適組み合わせの保証がない。
  3. いつ目標に達するか分からない。非常に多数回の実験が必要な時がある。

ならばたくさんの因子のすべての水準組み合わせを実験すれば、このような問題は解決するわけですが、2水準で3因子:組み合わせ数23=8サンプルまでならまあ何とかなるものの、4因子24=16、5因子25=32サンプルあたりになると、現実的ではなくなってきます。

そこでタグチメソッドで採用するのが直交表という道具です。これは言ってみれば統計的な手抜き実験法です。例えば7因子を2水準で全組み合わせは27=128サンプル必要となりますが、下図1のL8(27)という直交表を使うと、たった8通りの組み合わせで7因子の各種効果を評価することが可能となります。 

図1.L8直交表

 

直交表の仕組み

上の図1を良く観察しましょう。7つの因子列のどの2列を取り出しても、因子水準の組み合わせ(1,1)(1,2)(2,1)(2,2)という4種類が必ず2回ずつ現れます。それによってある因子の効果を評価する時に、第1水準4個と第2水準4個のそれぞれの実験結果の平均を比べることで、他の因子効果が相殺されて結果に影響を与えないことになり、簡単な計算で7因子の主効果が、繰り返し数4で分かってしまうのです。

ただし因子間の交互作用が大きい場合は、この理屈が正確には成り立ちません。128通りの組み合わせ中のたった8通りを実験するだけですから仕方がありません。大きな交互作用がいくつもあると、直交表を使った評価は不正確になっていきますが、もし直交表を使わず適当に実験していると、多くのサンプルを使いながらも不正確ということすら分からず、いつまでも右往左往することになります。

前節ではL8直交表を例示しましたが、他にも下表1のように3水準や多数の因子を扱えるものなどたくさんの種類があり、実験目的や内容、許される費用や期間などに応じて使い分けることになります。

表1.主な直交表の種類

実際の利用にあたっては、4水準以上の変数の扱いや、水準間隔の考え方など多くのノウハウがあります。

パラメータ設計

前回説明した基本機能評価に、上記の直交表を組み合わせて制御因子の最適水準組み合わせを探索するのがパラメータ設計です。その構造を下図2にまとめます。

図2.技術システムとパラメータ設計の関係

その効用をまとめると次のようになります。

  1. 実験で意図的に特性をばらつかせる因子を加えることで、技術の良しあしを安定性によって評価し、
  2. 入力変化に対する出力の応答性を見ることで、技術の汎用性を確保するとともに、評価の感度を向上し、
  3. 直交表を使うことで多くの設計因子を一度に評価するとともに、設計因子どうしの交互作用についてもある程度の緩衝効果を発揮する。

前々回紹介したように、多くの企業がこの方法を使って高いレベルすなわち低コストで良い特性が安定的に続く技術を短期間に開発、設計するようになっています。ちょっと手強い手法ではありますがそれだけに、品質問題で窮地に追い込まれる前に習得しておきたいものです。導入にあたっては、さらに詳細な情報を入手するか、経験者の指導のもとで進めるのが早道でしょう

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、村島繁延さんがこの分野の専門家です。不明の点やご相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

町工場ぶっちゃけ対談 vol.6

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

あっという間に、2017年もあとわずか!慌ただしい年の瀬ですが、みなさん、いかがお過ごしですか?私は例年のごとく、忘年会続きのこのひと月をなんとか風邪もひかずに乗り切れそうです。それにしてもいろいろと忙しくてくたびれました~(自分で忙しくしてるんだろって?うん、確かに…)

ということで、いろいろあった中から、こちらをご報告。

工場マルシェ

11月25、26日と、代官山T-siteGardenGalleryにて開催された「工場マルシェ」。これは、町工場が自分たちの技術を使って作り出したオリジナルの製品を展示、販売するというイベントです。しかし、集まった企業のレベルが半端ない!その中でもひときわ目を引く文房具ブランド「Factionery」の中に、実は弊社の作ったペンスタンドが置かれておりました!

おしゃれーな代官山の蔦屋さんで、自分が手掛けた商品をお客様が買ってくれた現場を目撃!いや~、うれしかったですねぇ~。自社製品開発熱に火が着きました!

えんにち!in 840

12月3日、日曜日。埼玉は八潮市の商業施設、フレスポ八潮で開催された「えんにち!in 840」に参加してきました!当日は八潮市に拠点を置く中小製造業者を中心に、遠くは横浜からの参戦も含め、各社の特色を活かした子ども向けのワークショップを展開しました。うちは、オリジナルノート作りをおよそ50人のお子ちゃまたちといっしょに楽しんじゃいました!全体ではなんと1500人の来場があったとか!


その様子はぜひ、こちらでご覧ください。https://www.facebook.com/enniti840/

町工場ぶっちゃけ対談スタート

さてさて、そろそろ本題に。今回も好評につき(?)、町工場ぶっちゃけ対談をお送りします!今回も進行役をダイレクトメールサービス「たより」の後藤天美さんにお願いしました。日本の町工場の未来を拓く(かもしれない)すんごい方との、ぶっちゃけトークをぜひお楽しみくださいね!

(ここから、聞き手・執筆は後藤さん)

2018年の足音もそこまで聞こえてきそうな師走に、行ってきました、聴いてきました(*^_^*)

対談場所は、「ものづくりの街」2K540にある、IRONCAFe。鋳造プロダクトに囲まれたギャラリーカフェで、お会いしたのは、株式会社A(エイス)代表取締役 山田歩氏。大学在学中にあの有名な「鳥人間コンテスト」に、製作スタッフとして参加。そのときに技術指導で出会った町工場の職人さんたちの職人技に感銘を受け、ものづくりに携わる事業で会社を設立。知る人ぞ知る、ものづくりの概念を変えちゃうかもしれない、めちゃくちゃ大きな可能性を秘めた、若き経営者です。

wemakeとは?

ー名刺に書いてある、wemake…って、なんですか??

山田:身内に町工場経営者がいるわけではないんですが、起業するにあたって、様々な町工場に訪問させていただいて感じたのは、町工場の持つ強みは大手企業の下請け以外のところにもあるのではないかということ。大手企業では生産できない、小ロットだけれども確かにその製品を強く欲する人がいるような市場でこそ、町工場の良さが活きるのではないか。そういう状況をずっとみていて、インターネット上でものづくりをマッチングしようと。それまで、開発したらまず売ってみないと商品が世に出るものかどうかわからない、という待ちのものづくりから、企業とエンドユーザーを巻き込んだ「共創による価値創造プロセス」を視点にいれた、メーカーとクリエイターを繋ぐプラットフォーム事業です。

栗原:実際、wemakeは、大手企業とのプロジェクトが成功事例として、あるんだよね。で、山田さんは、次にその事業で得たスキルを駆使して、中小企業製造業者を巻き込んだ新事業開発に着手してるの。それが、wemake labなんです。

山田:実際、第一弾が動いていまして。全国の1000社くらいの企業の中から、下請けではなく、商品開発に意欲的な町工場、リテラシーのしっかりされている会社を4社。時代を担う町工場の社長さん方にご協力いただきました。

栗原:メーカーと、クリエイターと商品開発をして、売り先とかは?販売先、それも自分たちで開発するの?

山田:商品開発のチームに、セレクトショップのバイヤーの方に入っていただいて、プロジェクトを進めています。そこが、国や行政の「マッチング事業」といわれるものとの、違いかな。あとは、成功報酬なので、1年以内に商品化をしないとお金にならない。スピード感が違いますよね。そこも大きな違いです。

改めてお二人の出会い

ーすみません、お話の途中で。これは、まず聞いておかないと(笑)恒例の質問、と言っちゃなんですが、お二人の出会いをお聞かせください。

栗原:まだ、メンバーが4、5人くらいだった頃の、メーカーズリンクのイベント(飲み会)だったよね?

山田:そうですね、まだ立ち上げられた頃じゃなかったかな。

栗原:顔見知り数人集めて始めたメイカーズリンクに、初めて山田さんが、知らないところから参加してくれたの(笑)会って話をしたら、メイカーズリンクで、できたらいいなぁ、ってこと、すでにやっちゃっててさ。あ、これはもう、彼らにお任せしようって、すぐさま思ったね。

山田:それまでも、町工場の社長さんたちとの交流はあったんですけど。その、メーカーズリンクに参加されてた方たちは、商品開発に対して積極的でしたよね 。いいご縁ができたなぁ、と。

栗原:みんな、ただただ、酔っ払ってたけどね(笑)

製造業のマーケティング

栗原:話はちょっと変わるけどね、映画製作のプロセスが、ものづくりの世界にトレースされればいいかな、と、思ったりするわけ。映画をつくる人×映画を売る人。製作委員会っていうのかな。この仕組みが、ものづくりにも重要だと思うんだよね。

山田:それ、わかります。日本の技術でできた商品って、もっともっと売れてもいいんじゃないかな。でも、世界的に有名なセレクトショップから引き受けがあっても、本業の売り上げに匹敵するほどではない、それが今のものづくりの現状なんです。

栗原:メーカー側で言えば、本事業と、商品開発の製品づくりのバランスもうまくないというか。スケジュール管理がなってないからね。

山田:中小企業の経営者の方々の視点は、ものすごく高い。けれど、社内、現場との温度差があったり、 ていうのも事実ですしね。開発が進まないというか・・・。

ーそれに、「マーケティングが苦手」って言われるじゃないですか。中小企業って。

山田:マーケティングって、自分の得意分野で勝負をする、その場所と方法をみつけること。絶対にやった方が良い結果につながりやすいと考えています。だから、次の第二弾のwemake labのプロジェクトでは、メーカー×クリエイター×バイヤーの関わり方を見直そうかと思ってます。

栗原:なるほどね、期限を決めるって、なかなか作り手側には難しいなぁ。時間があるときに、とか思っちゃうからね。大事だね、そこは。

山田:自分たちがつくりたいものをつくる!では、これだけモノがあふれている中では埋もれてしまうんですよ。下請けを脱却する=マーケティング目線での製品づくり。ここを意識していかないといけないのではないかと感じています。

栗原:メーカー側も『あそび』の範囲からでないとね。自社売り上げに匹敵する「自社製品」をつくろう!という意識が大事かな。

山田:マーケティングを理解している人が、製品づくりの指揮を執る。そんなケースもあってもいいと思っているんです。

栗原:営業しなくても、仕事はとれる。製造業は、そういう時代が長く続いていたからね。慣例というか。まぁ、ある時をさかいに、黙ってても仕事がくるって時代じゃなくなっちゃったんだよね。そこから、展示会もホームページも、その他もろもろ、考え方が変わってきたかなぁ。

山田:皆さんの努力が報われるよう、常に模索しています。

ーお二人って、頻繁にお会いされているんですか?なんか話が、めちゃくちゃ盛り上がってて。

栗原:wemake labが始まってから、山田さんにまた、ちょくちょく会うようになってきたかな。

山田:ハードウェアのスタートアップの人から、メーカーズリンクって注目されているんですよ。そういうニーズを求めて登録している人がいるってことを、メーカー側が認識していないのがもったいないかな、と。本当に、いろんな可能性を秘めているコミュニティなんですよ。

栗原:そこは、俺気づいてなかったかも(笑)そうなの??じゃあ、せっかくだから、リアルに会うイベント作った方がいいかな。

山田:中小企業の技術って、注目されているんですよ。そこに、当の本人の、中小企業の社長さんたちが気づいていない(笑)本当に、もったいない。

栗原:(苦笑)

山田:いろんなコミュニティがあるせいで、登録しただけで満足!という方も多いと思うんですよね。なんにしても、運営側のメッセージがこれからは重要にはなるでしょうね。

ー山田さんって、本当にものづくりがお好きなんですね。

栗原:そうなんだよね、ものづくりをする側に、いつも「尊敬の念」を持って接してくれるんだ。そこが、山田さんを信頼できる一番のことかな。

山田:技術や製品に「提案」する、それができるのが、日本の町工場の皆さんの凄さなんです。

栗原:でも、売れるものをつくれない(笑)売れるお墨付きって、どうすればできるのかな。

山田:売れるって、本当に小さなきっかけだったりするんですよね。つくってみてから、どう?ではなくて、「売れる領域」に売れるものを投入する。僕たちにものづくりのスキルはないけど、そこをサポートしていく力があるんです。

栗原:つくる能力、技術はあるのに、何をつくったらいいのかわからない、ってのも、現状かな。

山田:アイディアを、デザイナーに関わらず幅広く集めてみる。

栗原:いいねぇ、あとは、出資の仕方とか、資金繰りとか、山田君、なんかいい方法考えて、教えてよ(笑)

山田:全部ですか??なかなかハードですねぇ(笑)

これからの事

栗原:あとは、人と人をつなぐコミュニケーションが大事よね。

山田:そうですね、それから、製品に対して関わる人が「意気投合」する。基本ですけど。これ、大事です。

栗原:今後の展望は?

山田:プロジェクトチームに、プロデューサー、マーケッターをつけて、「売れる」ものづくりを目指していきたいですね。少ないマーケティングコストで、世界に発信できるものづくりチームをつくっていければなぁ、と。

栗原:1社ごと、1プロジェクトごとのマッチングをしてもらえるって、本当にありがたいよね

山田:あとは、メーカーさんのカウンセリングを徹底的に。「本当は、何がしたいの?」って

栗原:あ、それ、重要。すごくいいね。

ー山田さん、ものづくりの世界だけにいるのは、もったいない、というか、もっと世に出てもらいたいです。サービス業の、今までにはないプロデュース事業も、ぜひ展開してください!

山田:笑笑

 

山田社長の発想と感性、視点が、斬新なようで実は緻密だったり、ご自身の経験から得られている積み上げられたデータによるプロデュース事業であったり、若き才能に脱帽するばかりでした。何より、町工場愛、ものづくり愛がハンパない。愛がなくちゃ、大きくて楽しい仕事はできないよな、と。
第2弾のwemake lab、大大大注目ですね!

栗原社長、山田社長、ありがとうございました。栗原社長の「ものづくり対談旅」次は、いずこへ。。

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