受注率が高いのにはわけがある、Webサイトだけでない営業体制に強み【共栄精機】

テクノポートの井上です。最近、Webサイトからの受注率を高めるために、Webサイトだけでなく営業体制の見直しをする会社が多くなっています。今回はスピード対応に注力することで受注率が高く、リピートも多い会社の事例を紹介します。

会社名:株式会社共栄精機
担当者名:小山 仁社長
事業内容:精密板金を主とした金属加工業
サイトURL:http://www.kyoeiseiki.co.jp/

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

対応スピードは受注率に直結する

共栄精機は「金属加工のコンビニエンスストアを目指して」を合言葉に、精密板金加工や機械加工といった金属加工を行っている会社です。

同社の強みは「1時間以内にほとんどの見積もり回答ができること」です。金属加工業者へ見積もり依頼を行った場合、即日回答ができることは少なく、際立つ早さだといえます。特に、めっきなどの表面処理を含めた返答が1時間以内に返ってくることはこの業界の人にとっては驚きの速さです。

スピード見積もりを実現させることで、「明日、製品が欲しい」といった、普通の工場なら断るだろう問い合わせでも高確率で受注できるようになりました。そのような案件は大抵の工場は対応できないので、価格勝負にも全くならず、高単価で受注できます。また、無理難題に応えることで、良い信頼関係を構築でき、多くの顧客がリピートで依頼してくれるようになりました。

「時は金なり」と言うように、ビジネスにおいて時間ほど大事なものはありません。お客様の欲しいに迅速に応えることが信頼につながります。

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

スピード見積もり対応を実現するには

最速5分のスピード見積もり対応を可能にするには2つの秘訣があります。

  • 協力工場含めた値段提示
  • いつでもベストプライスの提示

協力工場含めた値段提示

多種多様な加工品の見積もり依頼が来る中で、どのようにして最速の見積もり回答を可能にできたのか。その理由は、外注先の値段も社内で計算できるようにしたことにあります。

同社の加工案件は、外注する比率が多いため、外注先の見積もり返答待ちの時間が見積もり回答の時間に大きく響いている場合が多々ありました。

この返答待ち時間を省くことが見積もり時間短縮の実現につながると小山社長は考え、外注先に了承を得たうえで、自社内で見積もりができる仕組みを考えて、実現しました。

いつでもベストプライスの提示

「このお客さんは利益もっと取れそう」とかよこしまな考えは持たずにベストの価格を提示しています。ベストな価格というのは値引きできないギリギリのラインです。

たまに、これは相見積もりですと言って来るお客様もいらっしゃいますが、他社がどうとかで値段を下げることはなく、いつもベストな価格提示を行っています。そのため、値引きの話があればお断りしています。

スピード対応というのは、見積もりスピードだけでなく、値段交渉の時間も短縮することがお客様のためであるという考えのもとです。

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

スピード対応実現のためのハードル

このスピード対応を自社で実現しようとする場合に、いくつかの条件をクリアする必要があります。

協力工場の仕事状況の把握

見積もり対応には納期回答も含まれるため、すぐにとりかかれるかどうかも判断しなければなりません。そのため協力工場の稼働状況を常に把握することや、協力工場との密なコミュニケーションが必要になります。また、リスク回避のためには、同じような加工ができる会社を複数社抱えておく必要もあります。

協力工場の加工見積もり対応

外注先の価格も含めた見積もりの提示をするためには、ある程度の協力工場の値ごろ感を把握し、自社で見積もりする必要があります。

例えば、表面処理なら今までの見積もり価格からある程度予測でき、機械加工なら加工方法とそれに要する時間がわかればある程度見積もり可能です。自社の加工以外の加工知識を広く知る必要もあります。

予測間違いによるリスクの許容

リスクを恐れ、高めの値段設定になると受注を逃す可能性がでてきます。適正価格を追い、ある程度の失敗を許容する必要があります。見積もり経験を積んでいくことで精度は上がっていくでしょう。

価格決定に上司の承認プロセス

せっかく早く見積もりできても承認に時間がかかっては意味がありません。共栄精機の場合は代表自ら見積もりを作成していますが、営業担当が行う場合を考えると、価格の最終決定権を営業担当に移譲しなければ、対応が遅れます。

まとめ

以上のように、スピード対応と一言で言っても、単純に早く動くということではありません。そこにはスピード対応するための仕組みがあり、ここまでできたら自社の強みと言えるようになります。受注率を高めるための取り組みとして参考にしていただけたら幸いです。

受注率向上のために、Webサイトだけでなく営業体制を変革【富士産業】

テクノポートの井上です。Webサイトからの問い合わせは増えたが、受注にはなかなかつながらないことはありませんか?「自社のサービスや商品にマッチしているか」「得意とする仕事か」など、Web上での改善で受注率を上げることができます。

しかし、それだけでは解決できない問題もあり、営業体制自体を見直すケースもあるでしょう。今回は、自社で営業体制の変革を行い、Webサイトの問い合わせから受注につなげることに成功した事例を紹介します。

  • 会社名:株式会社富士産業
  • 担当者名:杉本常務
  • 事業内容:各種非鉄金属材料および加工品の販売
  • サイトURL:https://www.fujisanngyo.co.jp/

営業変革

富士産業 杉本常務

Webサイトでの取り組みを開始

富士産業Webサイト

鋼材販売を行っている富士産業。営業担当の杉本常務は、現状の事業だけでは売上が減少の一途を辿ってしまうことを懸念し、金属加工業に進出することを決めました。

しかし、鋼材を購入する顧客と事業領域がバッティングしてしまうため、他の市場を狙えないかと杉本常務は考えます。その中で目を付けたのが、一般消費者や、建築・設計事務所、デザイナーからの仕事です。

Webサイトの運営やSNSの活用など、積極的にWebマーケティングに取り組むことで、ターゲット顧客を開拓していきました。

Webサイトのリニューアルで直面した問題

Webサイトのリニューアルを行い、狙ったユーザーからの問い合わせは急増しました。しかし、従来のように図面が届いて見積もり、すぐに受注という流れにはなりませんでした。

つまり、問い合わせは増えたものの、必ずしも受注につながるわけではななかったのです。Webサイトの理リニューアルで直面した問題は主に2つ考えられます。

顧客が求める内容の多様化

製造業に精通していない人がターゲットということもあり、依頼される内容は多種多様でした。

「図面がないので写真やポンチ絵から作って欲しい」「金属と皮革を組み合わせた商品を作りたい」など、自社の加工範囲外の依頼や、形や仕様が決まっていない内容の問い合わせが増加。従来のように、決まったものを決まった通りに作るという仕事とはまったく異なりました。

訪問打ち合わせの時間的限界

案件数が急激に増えたため、都度先方にお伺いし打ち合わせをするというスタイルでは時間的に限界がありました。また、仕事にならないような案件もあり、その都度の打ち合わせ対応にはかなりの労力がかかりました。

営業の変革「3つの施策」

Webサイトからの問い合わせを受注につなげるために、営業体制自体も変革せねばと考え、下記3つの施策を立てて行動に移します。

  • 協力会社の開拓
  • イメージ図のスケッチ強化
  • 訪問ではなく来社するスタイルに変更

営業体制で変革した内容を下記で詳しく解説します。

協力会社の開拓

協力工場

ユーザーが求めるものは部品ではなく、完成品が多い傾向にありました。そのため、自社の加工技術だけにこだわらず、異業種を中心とした協力工場ネットワークを構築し、つなぎ合わせのまとめ役になる必要があると考えました。

Webサイトを持っていなくても仕事が来ているような良い技術を持つ会社は、ネットだけでは探せません。工場を探す際は、タウンページと地図を広げ、近くの工場をリストアップし、足を使って探しました。より連携が取りやすいよう、近場の工場に絞りました。

地道な活動により、ガラス、皮革、樹脂など幅広い業種の協力工場を70社ほど開拓するのに成功します。複合素材の製作案件は、同業他社では断ることがほとんどです。今回の体制変革にて、富士産業ではすべて取りまとめての提供が可能となり大きな強みとなりました。

スケッチ力の強化

スケッチ力

案件の中には、作りたい製品が定まっていないケースが多くありました。そのため、イメージ図を作り、お客様が求めるものがどのようなものかを固める必要があると考えました。

求めるものをヒアリングした上で、すばやくスケッチすることを心がけました。「お客様の作りたいものはこういうものですね」と言うようなイメージです。スケッチをお客様と共有することで、作りたいもののイメージが伝わっているという安心感にもつながります。

「少し高かったけど富士産業なら間違いなさそうだからお願いしたいと思った」というように信頼から受注に至ることも増えました。不慣れなスケッチも、改善と数を重ねることで上達しました。

来社での打ち合わせへの切り替え

工場見学

体制変更前までは、企業や工場に訪問して打ち合わせをするのがほとんどでした。体制変更に伴い、打ち合わせを希望する方は来社して頂くように切り替えました。工場を見たいという方も多いので、見学して頂くことが安心感にもつながっています。

実際に欲しい製品に近いサンプルを用意し、手にとって見て頂くことで、より具体的な提案や企画も可能です。さらに、来社のきっかけになる施策として、Webサイトでマンガ紹介を導入しました。サービスや商品紹介を活字で読むのは面倒だが、マンガならとっつきやすいようで、弊社を知って頂くのに役立っています。

Webマーケティングをより効果的なものに

売上向上のためにはWebマーケティングだけでは解決できない問題があります。上記で紹介した株式会社富士産業様のように、営業体制を変えることも受注率を上げる施策として効果的でしょう。マーケティング活動としてWebだけでなく、広い視点で改善を進めることも重要です。

弊社では、実際の営業活動や、営業方針などもの状況もヒアリングさせて頂きながら、お客様とともにWebマーケティングの支援・推進をさせて頂いています。

アフターコロナの製造業(サプライヤー)の営業活動について

テクノポートの井上です。以前、製造業の営業活動について紹介しましたが、コロナ禍以降、営業活動は大きく変わろうとしています。今回は、コロナ禍以降、どのような営業活動が有効になるのかを考察し紹介します。

営業風景

製造業(サプライヤー)の営業の難しい点

自社製品を持つ企業と比べサプライヤー企業の営業は難しいと言われており、その理由は大きく3つ考えられます。

自社製品ではないため差別化が難しい

決まっている図面を正確に作るのがサプライヤーの役目です。

QCD(クオリティ・コスト・デリバリー)の中で、差別化を提案するケースが多くなります。安定した品質や期日内納品は差別化しづらいため、コストで既存の発注先を上回る魅力を出す提案になり、消耗戦ビジネスになりがちです。

もちろんVA・VE提案のように仕様変更の提案が理想ですが、製品の利用用途などの情報を得るには事前に関係構築が必要になります。

営業のタイミングが難しい

製造業界では基本的な発注先は決まっています。既存の発注先に不具合や不満がない限り、新たな発注先に切り替えることはなかなかありません。常により安く、早くて品質が良い発注先を探していますが、切り替え時にはさまざまなリスクもあるため慎重になります。

そのため、サプライヤー側が新規でアプローチをかけても、タイミングが合わず「機会があれば」で終わってしまうことが非常に多いでしょう。

口コミ・紹介で広めるのが難しい

他の業界と異なり、製造業界は口コミでの紹介が難しい傾向にあります。例えば美味しいラーメン屋さんがあって、そのラーメンの美味しさに感動したとします。みんなに知ってもらいたいと、知り合いに教えることも多いのではないでしょうか?

しかし、製造業の場合は同様にはいきません。旋盤加工で安くて技術の高い会社があったとして、多くの仕事がその会社に入ってしまうと、自社の仕事を受けてもらえなくなる可能性が出てきます。そのため、できれば情報は隠しておきたく、良い会社は自社で囲いこむ傾向があります。

営業手法の種類

現状、考えられる営業手法と特徴について紹介します。

営業手法 メリット デメリット
紹介営業
  • 自社の業務を理解してもらっているため話が早い
  • 長年行ってきた手法のため広がりが持てない
  • 業種が偏る
飛び込み営業、テレアポなど
  • 発注者の話が直接聞ける、タイミングが合えば話が早い
  • 労力が相当かかる(時間、人)
  • 発注のタイミングを捉えづらい
  • 足元を見られやすい
専門雑誌・新聞などへの広告宣伝
  • 業種を絞って見てもらうことができる
  • コストがそれなりにかかる
展示会出展
  • 発注者の話が直接聞ける
  • 具体的商談にもなりやすい
  • 顧客情報を収集できる
  • 費用がかかる
  • 人員の動員が必要
オンライン展示会・商談会
  • 通常の出展より低コスト
  • 顧客情報を収集できる
  • PR手法として確立できていないため効果が不明瞭
Web広告
  • ニーズのある企業にピンポイントで知ってもらえる
  • 効果を上げ続けるためには継続した投資が必要
Webサイト活用
(SEO対策)
  • ニーズのある企業も含め幅広く知ってもらえる
  • Webでの競合も増えてきたため、反響を出すためにはそれなりの対策が必要
SNSマーケティング
  • つながりのない人にも広く知ってもらえる
  • 低コスト
  • 業界的に口コミが広がりづらい
  • 継続した発信のできるリソース(人・情報)が不足しがち
メールマーケティング
  • 継続的な顧客接点ができる。認知度向上に効果的
  • 低コスト
  • 継続した発信ができるリソース(人・情報)が不足しがち

Webを活用した営業手法が以前と比べ増加傾向にあります。コロナ禍以降、直接の面談を避ける企業も増えており、従来の営業手法ができないと仰る会社も非常に多いのが現状です。そのため、非接触というキーワードでの営業手法に注力する企業が増えています。

製造業(サプライヤー)の営業活動のポイント

営業活動

サプライヤーの営業活動が難しいポイントを踏まえ考慮した上で、これからの営業活動に必要なことは、「いかにニーズの生まれるタイミングを正確に捉えられるか」と言えます。

営業活動はタイミングが最重要課題

どんなに良い提案ができていもタイミングを逃せば、失注や長期検討で忘れられる可能性が高まります。逆にタイミングさえきっちり押さえていれば、検討候補に入り受注に至るケースが高まります。新規で取引が決まった際に「なぜ弊社に?」という質問をしてみると、「タイミングが良かった」と聞くことは多いかと思います。当然ですが、存在するすべての企業を精査して発注先を決めるわけではありません。

それほどタイミングが重要となるわけですが、それが生じる場面は、既存の発注先での不具合、不満、技術的な対応不可、廃業、キャパオーバーなどさまざまです。

タイミングを掴むには

では、どうすればそのタイミングを掴むことができるのでしょう?タイミングとはニーズが顕在化するタイミングです。しかし、「欲しい」「必要とする」タイミングは今ではない企業がほとんどです。

潜在的ニーズのある企業の顕在化するタイミングを捉えることが課題となります。そのタイミングを捉えるために必要な流れは以下の通りです。

  1. 潜在的なニーズのある企業に対し、自社を知ってもらう
  2. 定期的なアプローチにより、ニーズの掘り起こし、自社の認知度向上を行う
  3. ニーズが顕在化したときに相談をもらう

顕在的なニーズのある企業だけを探そうとすると、すぐに営業先は枯渇してしまいます。さまざまな営業活動にて潜在的なお客様となり得る情報を収集し、その情報をうまく活用し、中長期的なお客様につなげることが重要です。

サプライヤーの場合、自社が欲しいと思うタイミングで都合よく仕事が生まれるわけではありません。お客様が欲しい思えるように想起させ、タイミングがきたときに声をかけてもらう仕組みを作ることがサプライヤーの形態にも合ったやり方と言えます。

デジタルマーケティングという手法

上記のタイミングを効率よく掴むための手法がデジタルマーケティングと言われるものです。デジタルマーケティングとは、わかりやすく言うと情報の蓄積と活用によって顧客を獲得する方法です。さまざまなチャネル(Webサイト、展示会、Eメール、SNSなど)を通して得られるデータを活用することで、売れる仕組みを作ります。デジタルマーケティングの具体的な進め方については別記事で紹介しています。「デジタルマーケティングの進め方」

デジタルマーケティング

名刺交換で終わった企業、単発のお仕事で終わった企業、値段が合わず失注となった企業など、さまざまな顧客接点が作れている中、一度で終わってしまっているケースが多くあります。その情報をどう活用するかで今後の売上は大きく変わってきます。営業として、もちろん目先の商談、受注は最優先です。しかし、同様に中長期的な観点での情報収集とその活用を視野に入れ、仕事を獲得できる仕組みを作ることも重要です。

様々な営業活動により獲得したリードとの関係性を深めることで顧客化していくデジタルマーケティング。「モノカク」を運営するテクノポート株式会社では、技術系企業専門の「デジタルマーケティング」を導入・定着化していくための支援を行っています。ぜひ、参考にしてみてください。