BtoB営業に効果のあるD2Cブランド 相乗効果が上がる”仕組み”とは?

DtoCブランドの立ち上げは、BtoB営業に効果が出てこそ初めて本当の真価を発揮します。今回はBtoBに効果のあるD2Cブランドの考え方についてお話ししていきます。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

2018年以降、「AIが人の仕事を奪う」という旨のセンセーショナルなメッセージが各業界に大きな波紋を呼んでいます。製造業もその業界の1つです。社員の生活を守るためにも、安定した売上を確保に向けて、各社で新しい設備の導入や、商社的機能の強化などを行なっています。他にもDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める企業も多く目にするようになってきました。

そんな中で、各社の経営課題として議題に上がるのが、『新規顧客開拓』です。確かに新設備や商社的機能の充実は、取引先にとってのメリットであり、企業を選ぶ際の魅力の一つになります。しかし、上記のような事業改革は、費用の面や人材育成などの面で、企業に大きな負荷を与える可能性があります。しかし、従来の営業活動を続けていくだけでは、『新規顧客開拓』を達成までに時間がかかります。

そこで注目したいのが、「顧客が選択したくなる企業価値」とは何か?というポイントです。

これからの時代は、「何を」買うかではなく、「誰から」買うかが問われます。そのため企業は「なぜ我々から買うべきか」と言う明確なメッセージを提示する必要があり、企業が生き残る上での重要な経営課題とも言えるのです。

DtoC単体で稼ぐのではなく、BtoBとのシナジー効果

「顧客が選択したくなる企業価値」を発信する方法としてDtoCブランドの立ち上げという方法があります。なぜならBtoB向けの事業ではビジネスでは発注者・受注者という無言のパワーバランスが発生してしまいますが、DtoCブランドをリリースする上では、インターネットや独自の媒体を利用して、

  • 自社技術の美味しいところ
  • 商品をリリースするに至ったメッセージ

自社の魅力(企業価値)をストレートに、しかも2つ同時に表現することができるからです。

しかしDtoCブランド開発のご相談を受ける中で圧倒的に多いのが、「売れるためのブランティングはどうしたら良いのですか?」または「売れるようにSNSを頑張りたいのですが、どうしたら良いですか?」と言った”見た目”に関することです。良いDtoCブランド商品というのは、顧客の生活にデザイン性や直感的な楽しさを与えるエンターテイメントの側面だけではなく、その機能性を裏付けるBtoB事業で培ってきた”技術力”とのバランスが取れていることです。

DtoCブランドリリースによる社会的信用確立

また、DtoCブランドのリリースは、直近の企業のブランド力を上げるためのものだけではありません。近年、世界各国で掲げられた「SDGs (持続可能な開発目標)」や、環境保全や地球への環境負荷に配慮した「エシカル」というキーワードを目にする機会が多くなったと思います。そこで、私たちはオープンな情報環境において、DtoCブランドというものづくりを通して「新しい価値」をメッセージとして発信していくことができます。それらのメッセージは企業の社会的信用を確立することにもつながります。

「DtoC一般顧客×BtoBビジネス顧客」効果を掛け合わせて提供価値を構築する

しかし、全ての企業で「早速DtoCブランドを立ち上げましょう!」ということではありません。なぜなら、自社のBtoB事業に相乗家効果を与えるものでなくては意味がないからです。だからこそ、DtoCブランドの立ち上げは、リスクを減らした『スモールスタート』で始めましょう。決してプロモーション主体で行うのではなく、本来のBtoB事業やDtoCブランドの開発に関わる人たちが情熱を超えた物づくりに取り組むことによって、より大きな相乗効果を生むことにつながります。

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知財を意識した技術マーケティングにより技術情報漏洩を防ぐ

テクノポートの徳山です。今回はWebを活用した技術マーケティングを行う中で気をつけたい「技術情報漏洩への対応策」をテーマに取り上げます。Webを活用した技術マーケティングとは、Webマーケティングにより積極的に情報発信を行うことで技術の新たな用途を発見し、有望な事業を見出していくための活動のことと定義します。

本記事では、技術マーケティングを進めていく際に常にリスクとして付きまとう「技術情報の漏洩」に対し、どのような対応を行っていけばよいのかについて解説します。

※本記事は、かめやま特許商標事務所の亀山弁理士に監修していただいております

Webで情報発信する際の注意点

Webサイトにて技術情報を発信していくことで、さまざまな技術者へ自社技術の存在を知ってもらえます。しかし、商品の問い合わせと称して顧客を装った競合他社によって、自社の技術情報が盗まれるリスクも考えられるでしょう。本項では、そのような技術情報の漏洩リスクを少しでも減らしていくために、Webで情報発信する際の注意点についてお伝えします。

技術の優位性を伝えつつ秘伝のタレのレシピは隠す

技術に対する詳細な情報を出せば出すほど、それが他の技術と比べてどう違うのか、どこが優れているのかが伝わりやすくなるため、技術探索者には刺さりやすい内容となります。このため、刺さる内容を多く盛り込むことが問い合わせ獲得につながると考え、惜しみもなく技術情報をWebコンテンツ化している企業も少なくありません。

例えば、「秘伝のたれ」についての問い合わせから始まったお客様に対して、様々な情報交換を行った結果、「秘伝のたれ」のレシピのように具体的な情報を出しすぎてしまうと、レシピが相手に理解され模倣されたり、そのヒントを教えることにつながったりしてしまい、ひいては自社の技術の優位性が失わるため、相手に対する自社の交渉力が下がります。このような事態にならないようにするためには、情報開示の範囲や開示方法について注意が必要です。

そのため、技術の詳細情報に関しては、技術探索者へ技術の優位性が伝わり、問い合わせを獲得できるギリギリのラインを攻めて表現する必要があります。これを実現するためには、技術者がどのような切り口で技術情報の探索を行っているのかを深く理解するのがポイントです。

技術をMFTフレームワークで分解して情報発信する

情報発信を行う際、MFTフレームワークを使って要素分解することが重要な鍵となります。なぜなら、詳細情報以外のWebコンテンツでユーザーを集客・訴求できるからです。MFTフレームワークについては以下の記事もご参照ください。

技術者が技術探索を行う際、使用する検索キーワードは技術名称だけではありません。現在抱えている技術課題や求める機能などといった検索キーワードも使用する傾向があります。どういった切り口の検索キーワードを使用するかは、技術者の属性や現在抱えている技術課題などにより大きく異なります。

そのため、必ずしも技術の詳細情報を出さなくても、技術が持つ機能やどのような市場で使われているか、といったWebコンテンツをうまく発信することで技術者に技術情報を届けることが可能です。

プロテクトする方法は「特許」と「契約」

自社の技術情報をプロテクトするには、ブラックボックスにしてしまうことが一番です。しかしながら、すべてをブラックボックスにしてしまうと、見込顧客へのアプローチができなくなってしまいます。

そこで、自社の技術情報のうち、「開示する技術情報」「開示しない技術情報」に分けます。「開示しない技術情報」はこのままでもプロテクトされますが、「開示する技術情報」をこのまま開示してしまうとプロテクトができません。

このため、「開示する技術情報」を守る手段として「特許」と「契約」の2つが良く利用されます。これらの手段は技術マーケティング戦略のもと、使い分けていく必要があります。この2つの手段をどのように使い分けていけばよいのかについてお伝えします。

「特許」により技術を守る

特許を取得することで、その技術の独占権を獲得でき、法的に技術を守ることができます。しかし、特許を取るためにはその技術に関する情報を開示する必要があるため、その技術自体は盗まれないとしても、類似した技術開発のヒントを与えることもあります。そのため、技術をどのように開示し、どの部分を守っていくのかは技術マーケティング全体の戦略の中で決めていく必要があります。

ちなみに特許情報を開示していたとしても、その情報まで入念に調査する人は意外と少ないのが実情です。Webマーケティングで情報発信する際に、特許情報として情報開示している情報だからと言って、Webコンテンツとしてどんどん情報発信していくことは控えたほうがよいでしょう。

なお、大企業の場合は、取得する特許と事業の数が多いため、どの特許をどの事業で使用するのかを類推しにくく、その背景を十分に知られないようにするための防衛策(特許群による防衛)があります。中小企業の場合、特許と事業を紐付けるのが容易なため、権利取得のための開示と技術情報漏洩のバランスは特に注意が必要です。バランスのとり方については、特許のみならず技術マーケティングの知識のある弁理士や弁護士などの専門家と相談しながら決めていった方が良いです。

「契約」により技術を守る

技術情報を漏洩させないために、敢えて特許を取得しないという選択肢を取る場合は、契約によって技術を守っていく必要があります(特許を取得している場合でも、もちろん契約は大切なのでご了承を)。具体的には、商談の段階に応じた契約を都度結んでいく方法を取ることが望ましいです。

フリーの話し合いには何の法的拘束力を持たないため、まず話し合いを行うための軽めの秘密保持契約(NDA)を結んだうえで商談を始めましょう。NDAでは、技術情報漏洩防止だけでなく、目的外使用禁止の2点を盛り込むのが必須です。軽めのNDAとは、スコープが広くて義務の重さが軽いイメージです。契約期間は半年〜1年程度とし、契約終了時の条件としてプラス2~5年とする形がよいでしょう。

技術情報を話さなければ、商談がこれ以上前に進まなくなるという段階で、スコープを狭めて、厳し目の条項を盛り込んだNDAを締結します。この段階では商談が途切れてしまう可能性も高いので、契約期間を長期(3年ぐらい)にしておいたほうがいいでしょう。

そして、商談が進み技術の提供方法が確定した段階で、共同開発契約、販売店契約契約、ライセンス契約、業務委託契約などのケースに応じた適切な契約を結びます。各契約の中において、NDAの条項が通常入ることが多いため、締結する契約に応じた内容を記載する必要があるでしょう。

なお、技術情報を盗む目的で近づいてくる企業は、軽めの秘密保持契約(NDA)などを嫌がることが多いため、そのような企業をあぶり出すフィルタ的な効果も期待できます。

また、情報漏洩の観点から言えば、秘密保持契約書やNDA条項が含まれる契約書については、自社のひな型を用意しておいたほうが良いでしょうし、契約書を(ざっとでもよいので)理解できる人材を育てることも同時に行いたいところです。そのような人材がいない場合には、外部の専門家に業務を委託したり、社員教育を依頼することもよいでしょう。

まとめ

Webでの技術情報発信を行う場合は、MFTフレームワークなどを活用し、MとFの情報を中心に情報発信を行いましょう。Tの情報は、技術探索者に刺さる内容を詳細に書きすぎることなく表現する必要があります。

常にリスクは存在することを前提に、技術情報をプロテクトする手段である「特許」と「契約」を使い分けることで、交渉力を維持しながら自社技術を守りましょう。使い分けは技術マーケティング戦略に基づき行っていくことを忘れないようにしてください。

また、短期的な利益に惑わされず、技術から得られる中長期的な利益にしっかりと目を向け、自社技術を守り抜く姿勢が最終的には重要です。特に知財部門がない中小企業の経営者は肝に命じていただければと思います。

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中小製造業が技術レベルを一段上げるために取り組めること

製造業のエンジニアで、製造業系ライターとして活動している一之瀬です。

新製品の開発や従来と異なる業界・技術領域への進出など、新しい取り組みをする場合には、社内の技術レベルを上げる必要があります。ただ、技術レベルを高めるといっても、「どの領域をどれまで強化すればいいのか」や「どのような方法で強化すればいいのか」を明確にするのは簡単ではありません。

特に中小企業の場合には、限られた人材で多岐にわたる仕事を回していることが多く、新しいことに取り組む時間を確保するのは困難です。この記事では、今よりも技術レベルを一段上げるための取り組みについて紹介します。

技術レベルを上げるための目標設定

技術レベルを上げるためには、目標を設定する必要があります。目指すべき場所が明確になっていないと、どのように取り組めばいいか決められません。

自社の技術レベルを把握する

目標を設定するためにまず行うのは、自社の技術レベルを把握することです。現状を把握することで、後ほど設定する目標とのギャップ、目標までの距離と方向性が明確になり、具体的な対策を決めやすくなります。自社の技術レベルを把握する際には、同じ業界内の他社と比較するのがおすすめです。他社に対して優位性を持っている部分、劣っている部分などを明確にすれば、自社の強みと弱みが明確になります。

また、お客様からの期待に対する自社の技術レベルを把握することも重要です。過去にお客様からいただいた相談の中で、自社で対応できたもの・できなかったものを整理すると、期待に対して自社の技術レベルがどの程度なのか把握できるでしょう。

目標を設定する

今の技術レベルを明確にできたら、次は目標を設定します。目標を明確に定め、一緒に働く仲間に共有することで、一緒に働く社員とも協力して取り組める体制を構築できます。目標を決める際には、最初に確認した他社との比較やお客様からの期待の中で、自社の強みをさらに高めたり、弱みを補強したりすることが考えられます。

限られたリソースの中で効果を出すためには、強みをさらに磨き、お客様の要望に応えられるようにするといいでしょう。例えば、加工精度や製品品質の向上、保有している技術との相乗効果が期待できる新材料の加工技術習得などが考えられます。

技術レベルを高める取り組み(社内)

ここからは、実際に技術レベルを高めていく際の取り組みについて、まずは社内での取り組みから紹介します。

PDCAサイクルを回す

現状と目標のギャップが明確になっているので、そのギャップを埋められるように具体的な取り組みに落とし込んでいきます。具体的には、自社の技術レベルが目標に対して不足している要因を解析し、どうしたらうまくいくのか検討します。その結果を元に、取り組み計画を立てましょう。

このように日常業務の中で、短期的にではなく中長期的にPDCAサイクルを回すことで、徐々に知見を蓄積し、技術レベルを向上させていきます。

情報を発信する

情報を社内から社外に発信することで、技術レベル向上につながる可能性があります。発信するためには、受け手が有益に感じるコンテンツが必要であり、それを生み出すために新たなチャレンジに取り組む習慣ができます。

また、発信した情報を受け取った方からのフィードバックを受けられれば、そこから始まる交流を通して新たな知見を得られることもあるでしょう。

技術レベルを高める取り組み(社外)

次に、最初から社外と関わることで技術レベルを高める取り組みについて紹介します。

技術を持っている企業に直接聞く

自社内での取り組みだけでは目標とする技術レベルへの到達が難しい場合、既に技術レベルが高い企業に直接聞くのも、有効な方法です。同業の企業で競争相手しかいない可能性もありますが、コミュニケーションを取る中でお互いの得意な分野で技術交流をすることで、新たな可能性が広がります。

また、お互いに切磋琢磨できるような有益な関係を築ければ、自社の技術レベル向上だけでなく、業界の発展につなげられる可能性もあるでしょう。

お客様の力を借りる

社内だけでは求められている技術レベルの明確化が十分にできなかったり、方向性に迷ったりする場合には、付き合いのあるお客様に協力していただくのも有効です。「今扱っている製品は他にどのような使われ方があり、どの程度の品質や精度が求められるのか?」や「今後はどういう材料が加工できると強みになるのか?」など、率直に相談してみるといいでしょう。

自社の技術レベルが上がり、対応できる範囲が広がることは、お客様にとっても有益です。遠慮せずにコミュニケーションを取ることで、関係性を深められる可能性もあります。

技術レベルを高める取り組み(個人)

個人の取り組みで、組織としての技術レベルを高められます。レベルの高い組織は、所属する個人のレベルも総じて高いことが多いです。例えば、異業種の製品に自社の技術を活用できないか考えたり、自分が得意な技術を突き詰めていったりすることで、新たな領域が切り開ける可能性があります。

まとめ

会社として新たな領域にチャレンジするためには、今よりも高い技術レベルが必要になる場合が多いです。そこで、自社の現状を分析し、目標を明確にすることで、どのようなアクションを取ればいいかが明確にできます。社内でPDCAを回したり、社外の技術を持っている企業やお客様との交流を通して、技術レベルを高められるでしょう。また、個人としての取り組みも非常に重要です。

自社の技術レベルを高めることで、お客様の要望に応えたり、今までにはできなかった提案をできるようになったりするため、自社の可能性を大きく広げられるでしょう。

【商標登録】取得も大切ですが、取得後の3年以降は「もっと大切」

中小企業専門の弁理士の亀山です。よくある相談事例の1つに、「自社が取得した商標登録が取消されてしまう」があります。どんな場合に、商標登録が取り消されてしまうのでしょうか?

商標登録が取り消されてしまう理由

商標登録が消滅してしまう理由として、主なものは以下の4つです。

  1. 異議申し立て
  2. 無効審判
  3. 取消審判
  4. 存続期間満了(更新手続き忘れ)

この中で、頻度が高いものが、3.取消審判の中の「不使用取消審判」です。弊所でも、年に1~2回は相談を受けます。

※その他の理由の詳細は、過去の記事「折角の商標登録が消滅してしまう場合」をお読みください。

不使用取消審判はなぜおこる?

不使用取消審判はどのような時に起こるのでしょうか?例えば、このような場合です。

ある会社が新商品のために商品名を考案します。登録商標をしようと思い、弁理士さんに先行調査を依頼したところ、「他社商標権の存在により、その商品名が登録商標を受けることができない」旨を弁理士さんから知らされます。

このようなケースでは、

  • 名称変更
  • 当該登録商標の取り消し

を検討しますが、ほとんどの場合には前者となります。

しかし、「どうしてもこの名前でなければ困る!」という場合には、後者を検討し、使用調査の結果「相手は商標を使用していなさそうだ(取り消しの可能性が高そうだ)」との結論が出た場合には、不使用取消審判を請求される場合が多いです。

どんなときに取り消されるの?

簡単に言うと、以下の1~3がすべて満たされた場合に、対象となる指定商品(指定役務)の範囲において取消となります。

  1.  商標権者やライセンシーが、登録商標を使用していない
  2.  登録商標を使用していない時期は、直近3年の間である
  3.  登録商標の使用は、指定商品(指定役務)についてのものではない

取消を受けないためには、どうすればよい?

不使用取消審判により登録商標の取り消しから免れるためには以下が必要です。

  1.  登録商標した商標と、実際に使用している商標との関係
  2.  指定商品・指定役務と、実際に使用している商品・役務との関係
  3.  上記1.~2.について使用した日付を立証できる記録

3.の記録の例としては、

  1. 商品・役務についてのチラシ・HP・カタログ
  2. i.が配布された日付

等の組み合わせが多いですが、過去の取り消し例を見てみると、「ii. i.が配布された日付」の証明で苦労されているケースが多いです。つまり、日頃からの取引書類の整理・日付の記録が必要となります。

さらに、不使用取消審判を請求されないためには、自社では、継続して、登録商標を使用しています!という事実をインターネット上で掲載しておくことが良いです。使用事実をインターネット上で掲載しておけば、不使用取消審判の前に行う使用調査において、不使用取消審判を請求しても認められる可能性は低いだろう、と相手側の弁理士さんが考えるためです。

まとめ

  1. 折角の商標登録も取り消される可能性がある。
  2. 商標の取消理由で多いのは不使用取消審判である。
  3. 不使用取消審判の対策(その1)自社の商標登録の使用は、インターネット上で公開しておく。
  4. 不使用取消審判の対策(その2)商標権の内容を把握したうえで普段の取引書類の整理・記録が必要。

事例で学ぶAIの技術分野

製造業×AIをテーマとした連載の第3回は、AIの技術を事例で学べる記事を書きました。

事例はできる限り製造業に関連性の高いものを選びました。AI技術の基礎を学ぶのに役立てばと思います。

AI OCR(光学文字認識)

AI OCRの「OCR」は、「Optical Character Recognition/Reader」の略で、「光学文字認識」と訳されます。

スキャナーで作成したPDFやスマホで撮影した画像から、文字を認識してテキストデータに変換します。印刷された文字(活字)だけでなく、紙に書かれた手書きの文字を読みとることも可能です。

元々OCRという技術は存在しており、AIが搭載されて読み取り精度が向上したものがAI OCRです。古い資料やFAXから出力されたノイズやかすれなどが多い資料であっても、AIによる前処理によって認識しやすい状態に変換して文字を読みとり、高い精度を実現しています。

AI OCRが盛んな領域は見積書や請求書などの受発注関連の書類に対応したサービスです。AI inside株式会社のDX Suiteが有名です。製造業においては、製品ラベル読み込みに特化したものなどもあります。

紙の資料の活用を検討されている方は、AI OCR技術が強い会社に相談するとよいでしょう。

NLP(自然言語処理)

「NLP」は「ONatural Language Processing」の略で、自然言語処理とも呼ばれます。

人が会話や文章で使用する日本語や英語などを自然言語といい、それを処理・分析するのがNLPです。NLPはディープラーニングによって、飛躍的に成長しました。NLPの活用領域として、問い合わせ対応のために利用されるチャットボットなどがあります。大量のテキストから情報を抽出したり、チャットボットを活用されたい方は、NLPR技術が強い会社に相談するとよいでしょう。

画像解析

画像認識はディープラーニングが最初に適用された技術分野で、第3次AIブームの火付け役といっても過言ではありません。

画像認識の用途としては、犬と猫の画像の分類や、自動運転に代表されるような物体検出などがあります。動画も瞬間を取り出せば画像なので、基本的には画像解析の領域です。製造業では画像検品サービスの開発が盛んで、株式会社ALBERTのタクミノメなどがあります。製造業以外では、医療の分野で病気の早期発見などで活用されています。

画像の活用を検討されている方は、画像認識技術が強い会社に相談するとよいでしょう。

音声解析

音声からテキストデータを生成する技術です。iPhoneのSiriや、Googleのスマートスピーカーなどに搭載され、身近な技術になりました。

音声認識の技術はあくまでテキストを生成するまでであり、その後の意味理解や情報の抽出にはNLP技術が使われています
そのため、音声認識はNLPと一緒に活用されることが多いです。雑音などのある環境で高い認識精度を出すなど、ディープラーニングの活用が進んでいます。製造業では、Hmcomm株式会社のFAST-Dなど、設備の異音検知などのサービスが増えてきています。

音声データの活用を検討されている方は、音声認識技術が強い会社に相談するとよいでしょう。

まとめ

AIの技術を事例で学ぶ記事、いかがでしたか。上記にはない技術としては、ビックデータを扱ったデータアナリティクス分野があります。例えば、機械の稼働と故障データから故障を予知したり、過去の販売実績から需要を予測するようなことが取り組まれています。

現在お持ちのデータがどのカテゴリに分類するかで、相談先が変わってきますので、技術ベースで探すことをオススメします。

積極的に休眠技術活用型のオープンイノベーションに取り組むメーカー紹介

製造業のエンジニアで、製造業系ライターとして活動している一之瀬です。

優れた技術や製品を持っていたとしても、自社だけでその技術を十分に活用することは簡単ではありません。ここ数年でオープンイノベーションに取り組むメーカーが増え、社外との取り組みにより、優れた技術が活用される機会が増えています。

オープンイノベーションとは、自社が持つリソースに外部の技術やアイディアを組み合わせることで、新たな製品やサービスを生み出す方法です。オープンイノベーションには、「不足技術補完型」と「休眠技術活用型が」あります。「積極的に不足技術補完型のオープンイノベーションに取り組むメーカー紹介」の記事では、不足技術補完型のオープンイノベーションについて解説しました。

この記事では、休眠技術活用型のオープンイノベーションに取り組むメーカーの事例に加えて、参考にすべき技術を紹介する際のポイントを解説します。

休眠技術活用型のオープンイノベーション

休眠技術活用型のオープンイノベーションとは、自社が持つ優れた技術や製品の活用法を社外から公募する方法です。社外のアイディアを取り入れたり、社外にある技術と組み合わせたりすることで、思いつかなかった自社技術の新たな活用法が見つかる可能性があります。今まで眠っていた技術を製品化できることもあるでしょう。

休眠技術活用型のオープンイノベーションを実行する場合、社外に対して自社技術をよく理解してもらうことが必要です。

休眠技術活用型に取り組むメーカー例

休眠技術活用型のオープンイノベーションに取り組むメーカーを、3社紹介します。

京セラ株式会社

京セラは、自社の独自技術を活用したイノベーションを起こすために、保有する特許技術のライセンス提供を行っています。具体的に次のような技術です。

  • においを感知する嗅覚センサー
  • スマホなどに手をかざして操作するエアジェスチャ
  • スマホで内臓脂肪を見える化するデイリースキャン®️

ライセンス提供を受けることで、社外の企業は京セラが保有する特許技術を活用した製品の開発や販売が可能です。

セイコーエプソン株式会社

エプソンは、持続可能でこころ豊かな生活を実現するイノベーションを起こすことを目的とした「Epson Innovation Platform」を開設しています。この中で、エプソンが保有する「省・小・精の技術」を活用し、人材交流や社外パートナーとの共創などに取り組んでいます。

具体的なテーマは、インクジェット技術の応用やDXイノベーション、光学エンジンモジュール、センシングデバイスなどです。

森永製菓株式会社

森永製菓は、創業120周年の取り組みとして、学生を対象にしたオープンイノベーション企画を開催しました。具体的には、森永製菓が持つ技術(特許)シーズを活用した商品を学生に提案してもらい、コンテストで上位に入賞した提案を商品化していくという企画です。

参加する学生にとっては、コンテスト入賞時の賞品や提案企画の商品化、森永製菓社員との交流がメリットとなります。技術シーズとしては、抗歯周病菌組成物や歯磨き用の研磨剤、凍結乾燥食品とその製造方法などが紹介されました。

参考にすべき技術紹介のポイント

3社の休眠技術活用型の事例から、参考にすべき技術紹介のポイントを3つ解説します。

自社製品・技術の活用方法を明確に示す

自社の製品や技術について、読み手が理解できるように紹介しなければなりません。例えば、社内でしか通用しない言葉ではなく、一般的な言葉で説明するという点は重要です。また、自社が想定している技術の活用方法について紹介することで、読み手が他の活用方法をイメージしやすくなります。

エプソンは、自社が持つPrecisionCoreテクノロジーの特徴だけでなく、想定される技術活用方法として、ディスプレイやエレクトロニクス領域を示しています。

技術に関する周辺情報を発信する

自社の持つ技術や特許そのものを紹介するだけでなく、周辺技術や技術に関連するニュースを発信すると効果的です。これらの発信から、自社の技術に興味を持ってくれることがあります。また、自社の技術が受賞した場合は積極的に発信することで、興味を持ってくれる企業が増える可能性があります。

例えば、京セラは知財ニュースという形で、低比重・低熱膨張コージェライト材料に関する特許技術が「令和2年度全国発明表彰 発明賞」を受賞したことを紹介しています。

消費者からアイディアをもらえる施策に取り組む

自社の顧客が消費者の場合には、イノベーションの相手を企業に限定せず消費者向けの情報発信や企画を行うことも選択肢の一つです。消費者のアイディアを取り入れたオープンイノベーションを行うことで、求められている商品を生み出せる可能性が高くなります。

森永製菓は、対象を大学生に絞ってメリットを掲示し、イベントを開催しました。この取り組みによって、実際に商品化につながるアイディアを得ています。上記のような消費者を巻き込んだ施策も効果的です。

まとめ

休眠技術活用型のオープンイノベーションに取り組むことで、社外のアイディアをうまく活かした商品化を実現できる可能性があります。積極的に休眠技術活用型のオープンイノベーションに取り組む企業の事例を見ると、自社の保有している技術や活用方法を社外にうまくアピールしています。

自社の技術をアピールするためには、製品や技術だけでなく周辺の情報も必要です。特に、顧客が消費者の場合には、企業向けのアピールだけでなく、消費者にも協力してもらえるような施策を取り入れましょう。テクノポートでは、自社の技術をわかりやすく伝え、アピールするために必要不可欠な技術マーケティングや技術ライティングのサポートを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

オープンイノベーションの成功事例5選

製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。オープンイノベーションの成功事例が知りたい、成功事例を自社のオープンイノベーションに活用したいなどの悩みをお持ちではありませんか。本記事では、オープンイノベーションの成功事例を5つ厳選してお伝えします。

オープンイノベーションとは

オープンイノベーションの目的は、他社や研究機関、ベンチャー企業など外部と協業し、新たな市場を切り開き、新しい商品を生み出すことです。

製品のライフサイクルの短期化や新興国の対等により競争が激化し、従来の自前主義によるイノベーションには限界が来ています。この激動の時代に対応するためにも、オープンイノベーションによる新規技術の開発や新規市場の開拓が求められています。

オープンイノベーションの成功事例

オープンイノベーションによって、新たな技術や製品を開発した事例を紹介していきます。

北陸テクノ株式会社

北陸テクノ株式会社は産学官連携(射水市、JAいみず野、富山県立大学と共同で開発)で新製品の開発に成功した企業です。

もみ殻を焼却しても環境負荷が少ない「もみ殻処理炉」の共同開発に成功し、灰を活かしたリサイクル製品の開発まで手がけています。その一例は、農業分野の肥料開発です。さらに、もみ殻灰の特性を活かしたコンクリート製品の試作に成功し、鳥取県の製造業者と製品化を目指しています。

ソニー株式会社

ソニーはスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラム「Sony Startup Acceleration Program(以下、SSAP)」を2014年にスタートしています。その成功例の一つがソニー、京セラ、ライオンの3社でのオープンイノベーション活動です。

3社はSSAPを通じて仕上げ磨き用の歯ブラシ「Possi」を開発し商品化に成功。3社が協力し、スピード感をもって商品を世の中に発売しています。対談の中で、オープンイノベーションの成功の鍵は「社会的意義の共有」と3社座談会で言及しています。

鶴岡市

山形県にある鶴岡市は鶴岡市×山形県×慶応義塾大学の産学官連携により、オープンイノベーションに成功しています。

先端的な教育と研究開発を軸としたまちづくりを推進し、研究開発型の地域産業の育成を目指したものです。世界最先端のメタボローム解析技術の開発や、Spider株式会社と人工合成クモ糸繊維の開発が成果の1例として挙げられます。また、ベンチャー企業の創出や若い人材の育成と製品の開発のみならず人材の育成にも成功しています。

この活動を通して、大学発バイオベンチャーであるヒューマン ・ メタボローム ・ テクノロジーズ社が10年を経て上場しました。 これは「鶴岡の奇蹟」 とも言われているオープンイノベーションの成功事例です。

大阪市

大阪府大阪市はうめきた地区の先行開発区域に「大阪イノベーションハブ」を開設しています。

具体的な支援内容はイノベーション拠点の立地立地促進助成や、IoT・ロボット分野のビジネス支援です。これらの支援により、スマホ連携のウェアラブルトイの一般販売の開始。IoT ・ ロボットビジネス実証実験支援プログラム受講者のうち3チームがサービスの提供を開始しています。

立地支援とビジネス支援のハードとソフト、両面にわたる取り組みにより、オープンイノベーションを成功に導いた事例です。

森永製菓株式会社

森永製菓株式会社は、食品メーカー初のアクセラレーションプログラム「Morinaga Accelerator」を開始しました。

目的は、自社と起業家やベンチャー企業お互いのリソース不足を相互補完し イノベーションを起こすことです。このプログラムにより、新たなWebサービス事業「おかしプリント」を実施。森永製菓株式会社のコア技術ではないWebサービスや、画像加工の技術はベンチャー企業と提携して開発し、お互いの強みを最大限に発揮した事例です。

成功の要因は社長の協力と理解。さらに、積極的なチャレンジの推奨や社内に向けた情報発信といわれています。

まとめ

オープンイノベーションに成功した事例を紹介しました。成功している企業は、大企業だけではありません。中小企業や市、行政との連携事例も多数あります。自社の技術を伸ばしたい、外部と協業して新しい事業を興したいと考えているならば、一度オープンイノベーションの実施を考えてみてはいかがでしょうか。

積極的に不足技術補完型のオープンイノベーションに取り組むメーカー紹介

製造業のエンジニアで、製造業系ライターとして活動している一之瀬です。

これまで、自社が持つ技術の売り込み先を見つけるのは簡単ではありませんでした。ここ数年で、オープンイノベーションに取り組むメーカーが増えています。自社の技術を売りたい企業にとって、そのようなメーカーにアプローチすることは、技術を売り込む有効な手段の一つになっています。特に、不足技術を探しているメーカーが技術を公募する取り組みを「不足技術補完型」のオープンイノベーションと言います。不足技術補完型のオープンイノベーションは、外部の技術を取り入れることで、新製品の開発を効率よく進めることを目的としています。

この記事では、不足技術補完型のオープンイノベーションに取り組むメーカーの事例に加えて、それらのメーカーをどのように見つければいいかを紹介します。

不足技術補完型のオープンイノベーション

「オープンイノベーション」を活用することで、多くのメーカーが従来とは異なる、新たな領域で活躍できるようになりました。オープンイノベーションは、外部の技術やアイディアを自社が持つリソースと掛け合わせることで、新たな製品やサービスを生み出す方法です。オープンイノベーションの手法は「不足技術補完型」と「休眠技術活用型」に分類できます。

不足技術補完型は、自社に不足している技術を外部から取り入れる方法です。今まで知見のない新しい技術の開発には、莫大なコストがかかります。外部から技術を供給してもらうことで、開発期間やコストを短縮することを目的としています。休眠技術活用型は、自社技術の新しい利用法を外部から公募する方法です。外部からのアイディアを取り入れることで、これまで眠っていた技術の新たな活用法が見つかり、製品化につなげられる可能性があります。

不足技術補完型に取り組むメーカー例

不足技術補完型のオープンイノベーションに取り組むメーカーを、3社紹介します。

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社

富士フイルムビジネスイノベーションは、複写機やレーザープリンターの製造販売で有名な企業です。

オープンイノベーションの取り組みとして、「四次元ポケットPROJECT」を展開しています。四次元ポケットPROJECTは、「ドラえもんのひみつ道具」作りに挑戦するプロジェクトで、2014年からスタートしています。

プロジェクトには複数の中堅・中小企業が関わるため、企業間の連携が重要になります。富士ゼロックスは自社のITソリューションを活用することで、企業間の技術連携を円滑にし、プロジェクトを成功に導きました。

これまで第一弾から第三弾まで行われ、「セルフ将棋」「望遠メガフォン」「室内飛行機」が開発されてます。

株式会社村田製作所

村田製作所は、自社のホームページ上に「MURATA OPEN INNOVATION」という特設ページを設置し、必要な技術を常に募集しています。

村田製作所が特に注力している領域として、自動車・ヘルスケア・環境、エネルギーが挙げられています。公式HPへ掲載されているものは一例であり、掲載されている分野以外でも村田製作所が注力している領域であれば、問い合わせを受け付けています。

株式会社フジクラ

フジクラは、光通信や配線、レーザ、超電導など幅広い技術を扱っている企業です。

自社サイトではなく、オープンイノベーションプラットフォームであるCrewwを活用して、技術公募を行っています。募集している技術やアイディアは、新しいコミュニケーションやエネルギーの仕組み、新たなモビリティに関係するものです。不足技術の公募は、自社のHPなどを活用した独自の形式で具体的な技術を募集するだけではありません。フジクラのようにプラットフォームを利用して間口を広げ、広くアイディアや技術を募集するメーカーも増えています。

不足技術の公募をしている企業の見つけ方

ここからは、自社が持つ技術を売り込んでいく先として有力な、不足技術を公募している企業の見つけ方について解説します。

技術公募は自社サイトや仲介サービスを利用して公開される

不足技術の公募は大きく分けると、自社サイトで公開される場合と、仲介サービスを利用して公開される場合があります。

仲介サービスには、クローズドの仲介業者とプラットフォームがあります。クローズドの仲介業者は、不足技術を伝えることで、欲しい技術を保有する企業とマッチングしてくれます。プラットフォームは、オープンイノベーションに取り組む企業を集め、情報を掲載しています。

自社サイトで公募している企業を見つける方法

自社のHPなどの自社サイトで技術公募をしている企業は、GoogleやYahooなどの検索エンジンを利用して見つけられます。

例えば「表面処理+オープンイノベーション」など、自社が保有している技術名やその用途、狙いたい技術名に「公募」や「オープンイノベーション」などを付け加えて検索します。すると、公募に取り組んでいる企業が表示される可能性があります。技術系のキーワードは、自社内で使われている言い方だけでなく、類似の表現や言い換えとなるキーワードで検索することも重要です。この方法であれば、自社の技術を売り込める企業をピンポイントで見つけられる可能性があります。しかし、探すには労力がかかり、社内で思いつかないキーワードについては見つけられないというデメリットがあります。

専用のプラットフォームを確認することも効果的

複数の公募案件を効率よく確認したい場合には、オープンイノベーションに取り組みたい企業が登録するプラットフォームを確認するといいでしょう。

オープンイノベーションのプラットフォームとしては、CrewwやAUBAが有名です。それぞれのサイトを確認すれば、短時間で複数の公募案件を確認できます。プラットフォームでは効率よく公募案件を確認できる反面、自社の技術をピンポイントで活かせるかわかりにくいことが多い点には、注意が必要です。

まとめ

不足技術補完型のオープンイノベーションに取り組むメーカーは、自社サイトを活用した形式と専用のプラットフォームを利用したプラットフォーム形式で公募をしています。

自社サイトで公募を行っている企業を見つける場合には、検索エンジンの活用が効果的です。また、プラットフォーム形式の企業は、プラットフォームとなっているサイトを確認することで効率よく確認できます。応募したい企業を見つけたら、提携先として選んでもらうために、「自社が持つ独自の技術を売り込み先の企業と提携することでどう活用できるのか」をアピールすることが重要です。

テクノポートでは、自社の技術をわかりやすく伝え、アピールするために必要不可欠な技術マーケティングや技術ライティングのサポートを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

オープンイノベーションを促進する仲介業者

製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。「オープンイノベーションって何?どうやって始めるの?」こんな悩みをお持ちではありませんか。本記事ではオープンイノベーションの概要やメリット・デメリット、そして仲介業者をお伝えします。

オープンイノベーションとは?

オープンイノベーションとは、イノベーションに関する概念の一つです。米国の研究者ヘンリー・チェスブロウによれば、次のように定義されています。

組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすこと

出典:NEDO『オープンイノベーション白書』

そもそもオープンイノベーションの目的は、イノベーションに必要な知識や技術を外部から取り入れることです。最近では、企業が研究開発における経営戦略の一つとしても注目されています。これにより、新しい形のビジネスモデルを早期に立ち上げて、新たな製品やサービスなど、新しい事業や市場を生み出すことにあります。

オープンイノベーションの3つのメリット

まず、オープンイノベーションのメリットを紹介します。

1、外部の技術や知見を導入できる

自前開発と異なり、他社や他の業界、研究機関などの知識を獲得できます。従来の自前主義では、新規開発はゼロベースでの開発が求められていました。そのため、アイデアの陳腐化や独自性の生まれにくさといった課題があります。しかし、技術やビジネスモデルを融合させると、革新的なアイデアの創出につながります。

2、多様な顧客ニーズに対応できる

外部のリソースやマーケティングを有効活用することで、相乗効果が生まれます。自社が保有する市場を超えて、戦略が練れるからです。さらに、自社で把握しきれなかったニーズやシーズにも気づけるでしょう。

3、開発スピードを上げられる

外部リソースを共有し、既存技術を生かして開発期間を短縮できます。自前技術だけだとゼロからの開発になり、開発期間も莫大にかかります。しかし、外部と連携してお互いの知見を共有すれば、研究→開発→販売サイクルの短縮につながるのです。

オープンイノベーションの3つのデメリット

メリットに続いて、デメリットも見ていきましょう。

1、機密情報の流出のリスク

関わる人間が増えるほど、情報は漏れやすくなります。自社の機密を共有するオープンイノベーションでは、第3者への漏洩リスクが懸念されます。そのため、オープンイノベーションに取り組む際には、公開範囲を決めるといった機密管理も大切です。

2 コミュニケーションコストの増加

外部組織と連携すると、打ち合わせや会議、外部とのやり取りルールなど、調整業務の増加が懸念されます。また会社が違えば、文化や仕事の進め方も異なり、仕事がやりにくくなるケースもあるでしょう。そのため、お互いの仕事の進め方を理解し合うことも必要になります。

3 自社の技術力の低下

オープンイノベーションでは、自前の技術(コアコンピタンス)の低下も懸念されます。他社との協業や外部の技術を利用するため、自社の研究開発力が衰退する恐れがあります。自前で開発する技術と協力する技術を分けるなど、自社の技術を高める工夫が求められるでしょう。

オープンイノベーションを仲介している業者など

ではここからは、オープンイノベーションの仲介業者を紹介していきます。

ナインシグマ

ナインシグマは「モノづくり企業を強くする」をコンセプトとし、技術のマッチングを提供している企業です。協業企業の探索や技術シーズの出口戦略のサポート、有望なスタートアップ企業の探索などを世界中から請け負っています。これにより、オープンイノベーションを考えている企業のニーズやシーズをサポートしています。

リンカーズ

リンカーズは、オープンイノベーションを考えている企業に革新的なマッチングを提案している企業です。業界に精通したコンサルタントによる調査とIT技術を駆使した探索システムを掛け合わせて、マッチングを提案。リンカーズのマッチングシステムは、企業の技術をWeb上に展示し、異業種からの問い合わせを得られるのが特徴です。お互いのニーズがマッチできる仕組みを駆使して、技術を基にした企業間の出会いを手助けしています。

川崎市

オープンイノベーションの仲介は企業以外に行政も行っています。川崎市では、川崎市産業振興財団コーディネータが中心となり、中小企業の支援施策の企画や仲介をしています。「川崎モデル」とも呼ばれ、知的財産交流会やマッチングの調整、契約交渉の代行支援により、中小企業と大企業を結び付ける役割を果たしています。

東北大学オープンイノベーション戦略機構

大学もオープンイノベーションの仲介、支援を行っています。東北大学のマッチング手法は、独自のネットワークを活用したB-U-B(Business-University-Business)型のシステムです。さらに、企業と大学の引き合わせのみならず、ビジネス目線でのプロジェクトマネジメントや、イノベーションリーダーの人材育成など、幅広く大学と企業をサポートしています。

まとめ

オープンイノベーションの概要や、その仲介業者を紹介しました。「オープンイノベーションは難しそう」と考えているあなたも、一度仲介業者に相談してみるのはいかがでしょうか。うまくオープンイノベーションを活用できれば、自社の技術をもう一段高められるはずです。

MFTフレームワーク活用による技術マーケティングの進め方

今回は製造業が技術マーケティングを行う上で役立つ「MFTフレームワーク」をご紹介します。このフレームワークは、どちらかというと装置や機械など最終製品を作っているメーカーの方が活用するケースが多いですが、技術の用途拡大を検討する際にも使えるフレームワークです。

MFTフレームワークとは

MFTとは、Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の略で、市場と技術の間にある機能に着目することで、技術の活用が可能な市場を幅広く検討できるフレームワークのことを示します。PRしたいと考えている技術をどの市場へ売り込もうかと考えるときに、いきなりターゲットとなりそうな市場を考えようとすると、どうしても視野が狭くなってしまいます。

そこで、技術と市場の間に「機能」を挟みます。これによって、技術の活用が可能な市場を幅広く検討できるようになります。このフレームワークを使うことで、ターゲットとする市場を幅広く効率的に見つけ出すことができるのです。

MFTフレームワークの使い方

例として、摩擦・せん断力の測定ができるセンサー技術で考えてみましょう。

まずは、摩擦・せん断力センサーが持つ機能や効能を考えていきます。当技術にはさまざまな機能がありますが、ここでは「摩擦分布の測定ができること」と「ワーク間の滑りを見える化できること」に焦点を当てます。

次に、洗い出した機能から想定される市場を考えていきます。例えば、摩擦分布の測定であれば、タイヤと地面の摩擦測定に使うことで「滑りにくい自動車タイヤの開発」につながるのではないか、という利用用途が思いつきます。

また、ワーク間の滑りを見える化する、という機能に着目すれば「ロボットハンドの把持制御」や「義足のフィッティング」に使えるのではないか、という仮説も生まれるでしょう。

MFTフレームワーク

MFTフレームワークの結果を技術マーケティングに活かす

次のSTEPとして、MFTフレームワークで整理した情報をどのように技術マーケティングに活かすかを解説します。

弊社では、技術マーケティングの目的を「保有技術を、既に使用されている領域ではなく、新しい領域へ用途展開することで、競合企業をリードし、技術探索者であるメーカーに技術を高く買ってもらうこと」だと考えています。

それを実現するためには、さまざまな分野の技術者に技術を知ってもらう必要があります。その手法として最適なのがWebマーケティングなのです。Webマーケティングであれば、売り込み先を探し出してアプローチする必要もありません。顧客のほうから技術の利用用途を見出し連絡をくれるため、非常に効率的だといえるでしょう。

具体的には、自社のWebサイト上に技術に関わるさまざまな情報を掲載し、SEO対策やWeb広告などを使って露出を高めていきます。ただし、技術情報が競合他社にも知られてしまうので、どの程度詳細な情報を出すかの加減には注意が必要です。

MFTフレームワークで整理した情報をWebコンテンツ化する

MFTフレームワークで整理した情報をそれぞれWebコンテンツ化することで、さまざまな分野の技術者がWebサイトを訪問してくれる可能性を高めることができます。

技術者がWebを使い技術探索する場合、どのようなキーワードを使って検索するのでしょうか。技術者の立場によって使用する検索キーワードは大きく変わり、MFTの観点からもさまざまな見解を持つことができます。

MFTフレームワーク

例えば、技術(Technology)視点で技術探索する技術者は、該当技術に詳しい技術者が探すケースが多い傾向があります。また、機能(Function)視点で技術探索する技術者は、製品開発の途中で発生した技術課題の解決に向けて情報収集しているケースが多いといえます。そして、市場(Market)視点で技術探索する技術者は、持っていない技術を自社で開発せず、開発済みの技術をそのまま取り入れようとするケースが多い傾向にあります。

以上のように、何で困っている技術者をターゲットにしたいかによって、MFTのどの情報を多く打ち出していけばよいかを考えられます。掲載するコンテンツとしては、MTFのどの視点で探索するかによって異なりますが、具体的には下記のようなコンテンツが考えられます。

  • M視点で技術探索している技術者向け:具体的にどのような用途に使える可能性があるのか、その用途の市場性はどの程度あるのか、といった情報をコラム形式で掲載する
  • F視点の技術者向け:どのような技術課題を解決できる技術なのか、他技術と比べどのような機能的優位性があるのか、といった点をまとめて掲載する
  • T視点の技術者向け:技術の製法に関するノウハウやスペック情報をなるべく多く掲載する

さまざまな部署を巻き込んで実施しよう

このフレームワークを使う際は、営業部や技術部など、さまざまな事業部を巻き込んでのブレーンストーミング形式で行うと良いでしょう。

営業部であればMarket(市場)寄りの情報を持っていますし、技術部であればTechnology(技術)寄りの情報を持っているものです。

特定の事業部だけで考えると、アイデア創出に限界が出てしまいます。情報がなるべく偏らないように各部署のメンバーに参加してもらい、全社の知恵を結集することで、多様性あるアイデア創出につながります。

 

以上、MFTフレームワークを使い、技術マーケティングを推進する手法について解説しました。技術マーケティングに取り組まれている方にとって役に立つ情報になれば幸いです。

また、Webマーケティングに関する手法をまとめた記事Webサイト制作時における企画手法をまとめた記事もございますので、こちらもご参照ください。

オープンイノベーションの潮流に乗り、技術をマーケティングする

テクノポートの徳山です。外部組織の技術を自社の製品開発に積極的に取り入れる「オープンイノベーション」に取り組むメーカーが増えています。自社の技術を異分野のメーカーに採用してもらい、新市場へ事業拡大したいと考えている技術系企業も多いのではないでしょうか。

それを実現するためには、自社の技術をオープンイノベーションに取り組むメーカーへうまく伝えていかなければなりません。自社の技術をうまく伝えるためには、技術マーケティングの理解が必要です。しかし、一般的なマーケティング手法とは進め方が大きく異なるために、実践できていない企業が多いのが実情ではないでしょうか。

今回は、技術系企業がオープンイノベーションの潮流に乗り、技術マーケティングをどのように進めていけばよいかを解説します。

オープンイノベーションとは

オープンイノベーション

オープンイノベーションとは、自社のリソースと外部組織が持つ技術、アイデア、サービス、ノウハウ、データ、知識などを組み合わせ、今まで取り組むことのできなかったビジネスモデルの開発、新しい技術や製品の開発、組織開発や活性化などにつなげるためのイノベーション手法です。

もともとは、製造業が外部の技術を取り入れ、自社の製品開発に活かすために広まった手法でした。しかし、現在では製造業だけでなくサービス業も含めたさまざまな業界で取り入れられている手法となっています。

最近では、新規事業のローンチや意思決定までの時間を要する大企業が、オープンイノベーションを積極的に活用するようになりました。ベンチャー企業からアイディアや人的リソースを活用し、スピーディに新規事業を立ち上げるシーンも多く見られるようになったでしょう。

ここ数年で、オープンイノベーションを目指す大企業とベンチャー企業のマッチングを目的としたプラットフォームや、オープンイノベーションを仲介する企業も急増しましました。

技術系企業におけるオープンイノベーション

前述したように、オープンイノベーションに取り組む企業が製造業に限らず、多岐に渡るようになりました。定義が広範になってしまっているので、製造業を中心とした技術系企業におけるオープンイノベーションの形態を整理します。メーカーが取り組むオープンイノベーションは、以下の2パターンです。

  1. 不足技術補完型・・・メーカーが自社製品の開発などを行うにあたり、足りない技術を自社で開発するのではなく、技術を保有する外部組織から取り入れること
  2. 休眠技術活用型・・・メーカーが過去に開発した技術や所有する特許のうち、自社内で活用が十分にされておらず休眠してしまっているものを積極的に活用してもらうために、活用手法を外部から公募し、事業化していくこと

2の休眠技術活用型は、オープンイノベーションがトレンドワードとなった数年前にメディアでも多く取り上げられていました。そのため、オープンイノベーションと聞くと休眠技術活用型を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際は、不足技術補完型の取り組みのほうが以前から盛んです。海外を中心に多くのマッチング事例があります。

不足技術補完型のオープンイノベーションが行われるようになった背景としては、市場環境が変化するスピードが早まり、製品のライフサイクルが短くなる中で、製品開発に伴う技術開発を全て自社だけで行うのが限界となったことが挙げられます。

そこでメーカーは、自社のコア技術を守りながら、急速に変化する市場に合わせた製品開発を行うようになりました。周辺技術を外部から調達することで、製品開発コストを抑えることも可能としています。そのような背景から、技術提供者としては外部から技術調達を行うメーカーと取引ができる機会が増えました。

オープンイノベーションの推進方法

ここからは、不足技術補完型のオープンイノベーションに取り組むメーカーに対して、技術系企業がどのように技術を伝えていけばよいのか、推進方法をいくつかご紹介します。

メーカーのWebサイトの公募案件に挑戦する

オープンイノベーションに積極的に取り組むメーカーの中には、自社Webサイト内で具体的に補完したいと考えている技術を明記した上で技術の公募を行っている場合があります。自社技術を売り込めそうな公募案件を見つけ出し、メーカーへ直接コンタクトを取りましょう。

村田製作所では、常時Webサイトに公募している技術情報を掲載しています。
https://solution.murata.com/ja-jp/collaboration/theme/

終了してしまっていますが、GEジャパンでは「技術公募2016」と題し、選考期間を設けて技術の公募を行っています。
https://www.ge.com/jp/about-us/jti/partnership2016

プラットフォームを活用する

オープンイノベーションに取り組みたいメーカーが登録するプラットフォームを活用する手法です。この分野では、CrewwやAUBAといったプラットフォームが有名です。オープンイノベーションプラットフォームについて、下記の記事で具体的にどのようなものがあるのか解説していますのでご参照ください。

日本の企業が進めるオープンイノベーションのプラットフォーム5選

仲介業者を利用する

メーカーから技術ニーズをヒアリングし、適切な企業とマッチングを図る仲介業者を利用する手法です。この分野では、リンカーズやナインシグマといった会社が有名です。

自社のWebサイトを使い技術情報を積極的に発信する

自社のWebサイトに技術情報を掲載し、技術探索を行っているメーカーからのアプローチを待つ手法です。具体的な進め方については以下の記事をご参照ください。

自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する

それぞれの推進方法のメリット・デメリット

推進方法について4つご紹介しましたが、それぞれの手法にはメリットとデメリットがあります。以下にメリットとデメリットをまとめましたので、自社が置かれている状況に合わせた推進方法を検討してみてください。

推進方法 メリット デメリット
公募案件への応募 ・情報を外部に漏らすことなく、技術マーケティングを推進できる ・情報を見つけ出すのに労力がかかる

・用途は自社内で思いつくものに限定されてしまう

プラットフォームや仲介業者の活用 ・情報が外部に漏れにくい

・仲介業者の目利きによって精度の高いマッチングが期待できる

・仲介業者に利用料金を払わなければならない場合がある

・同業他社との競争率が激しくなる傾向がある

自社Webサイトでの情報発信 ・自社技術の思いも寄らない用途開発につながることがある

・制作したコンテンツがデジタルマーケティングにも活用できる

・情報を競合他社にも知られてしまい、模倣されるリスクがある

・Webサイトに掲載するコンテンツの制作に労力がかかる

私は、技術マーケティングにおける成功の定義を「保有技術をすでに使用されている領域ではなく、新しい領域へ用途展開することで、競合企業を出し抜き、技術探索者であるメーカーに技術を高く買ってもらうこと」だと考えています。その観点から、どの手法が自社に適しているのかを見定めてみてはいかがでしょうか。

以上、オープンイノベーションの潮流に乗り、技術をマーケティングする手法についてご紹介させていただきました。Web検索すれば、マーケティングに関する情報は山のように出てきます。しかし、どれもBtoCやBtoBの中でもIT分野に情報が偏っており、技術マーケティングに関する情報を探し出すのは難しい状況です。モノカクでは、積極的に技術マーケティングに関する情報発信を行っていきますので、ぜひご期待ください。

日本の企業が進めるオープンイノベーションのプラットフォーム4選

こんにちは、テクノポートの渡部です。以前より大手企業を中心に取り組みが行われている、オープンイノベーションという活動があります。有名なところだとトヨタのオープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」や、KDDIの「KDDI LABO」などこれまで技術情報を外部に出したがらなかった大手企業も積極的に取り組む動きが広がっています。

そもそもオープンイノベーションとは?

モノカクでも以前に紹介したことがありますが、

簡単に言うと、自社の技術リソースだけに頼らず他社の技術や提案を取り入れることによって、新たな価値や製品を生み出そうとする取り組みのことです。自社だけで取り組むよりも外部から技術を調達した方が開発コストが安くなったり、全く新しい製品が生まれたりと、様々なメリットがあります。

オープンイノベーションのプラットフォーム

上記のように、オープンイノベーションは様々なメリットがあるので、現在ではその動きを促進するためのプラットフォームがいくつも運営されています。オープンイノベーションで自社の技術を売り込みたいと考えている企業は、最初はプラットフォームを活用していくことお勧めします。

プラットフォームの運営方針にはそれぞれ違いがあり、完全に情報をオープンにして募集する場合と、一部(もしくは全て)の情報をクローズドな状態で募集する場合があり、自社の技術情報をどれだけ開示できるかを考慮した上でプラットフォームを選んでください。

プラットフォームを活用するメリットとして、ある程度の提案があらかじめ見込めるので、確実に何等かの手ごたえを関ることができる点です。逆にデメリットとして、プラットフォームによっては料金がかかることと、関係のない海千山千の提案を精査する必要があります。ただし、全然別角度からの提案がオープンイノベーションに繋がることもあり得るので、これについては一長一短とも言えます。

情報をオープンにして募集するプラットフォーム

プラットフォームにおいて企業からの案件がオープンに公開されていて、案件に対して誰でも問い合わせや意見ができる環境になっているプラットフォームです。企業名もオープンにしている案件もあれば、「国内大手電機メーカー」の様にぼかしている案件もあります。

テクロス

ナインシグマ・ホールディングス株式会社が運営するプラットフォームで、同社はオープンイノベーションの草分け的存在です。大手メーカーと中小ものづくり企業をマッチングさせるというキャッチコピーで、主に国内のマッチングを促進しています。また、運営会社のホームページには国内だけでなく、グローバルに対応した案件もあります。

アウバ

アウバは、累計登録社数は15,000社、これまでにつながった企業は22,000社と国内最大級のオープンイノベーションプラットフォームです。募集中の案件には、知名度の高い一部上場の企業が数多く並んでおり、活発にオープンイノベーションを促進しています。

ある程度のクローズドな環境で募集するプラットフォーム

上記の様に、情報をオープンにして募集する場合、自社の技術をわかりやすく開示する必要があり、Web上にその情報を公開することになるので、自社の技術流出を懸念する方もいらっしゃるかもしれません。そのような企業の場合は、ある程度のクローズドな環境でのオープンイノベーションの形があります。

案件の内容はWeb上に公開されるわけではなく、プラットフォームを運営している会社のコーディネーターが、マッチングする可能性のある技術者にだけ情報を開示していく方法です。そのため、近しい技術のイノベーションは促進できますが、思いもよらないようなイノベーションは発生しづらいかもしれません。

リンカーズ

提携した全国のコーディネーターの知見によって、案件に最適な企業をマッチングしてくれるサービスです。大手が発注先を探すために発足したサービスですが、そのネットワークを活用して、オープンイノベーションも行っています。

ジェグテック

最後に政府機関が運営しているプラットフォームも紹介します。主に関東での活動になりますが、中小機構が中心に運営しているプラットフォームで、案件の発信元が省庁や県・市町村の事もあるのが他のプラットフォームと違うとことです。

自社ですべてをやろうとしない事

上記の様なプラットフォームを活用すると、自社の技術が他社から見るとどの様に写っているのかが見えてきます。政府機関もオープンイノベーションを推進していますので、自社の技術を売り込みたいと考えている企業は、一度挑戦してみてはいかがでしょうか?