【セミナーレポート】キャステム 戸田社長の講演


(左:株式会社キャステム 戸田社長、右:株式会社浜野製作所 浜野社長)

こんにちは、テクノポートの永井です。2019年5月29日(水)に第5回 TECHNO-PORT TALK NIGHTを開催しました。今回の株式会社キャステムの戸田社長にご講演いただきました。
株式会社キャステム:http://www.castem.co.jp/

株式会社キャステムはロストワックスとメタルインジェクションを得意とし、グループの従業員1500名以上、アメリカを始めとして海外に4拠点から更に拡大をしている、日本でもっとも勢いのある製造業の1社です。戸田社長は日本紙ヒコーキ協会会長の肩書きも持っており、紙飛行機の室内滞空時間のギネス記録(29.2秒 )をお持ちのとんでもない人です。


(右がギネスをとった紙飛行機と同じモデルの紙飛行機)

今では大活躍中の戸田社長ですが、はじめのうちは苦労の連続だったそうです。今回のセミナーでは過去の経験、今の活動、そしてと戸田社長の考え方をお話いただきました。

1.めげずに何度も何度も来るやつは可愛い!

現在では株式会社キャステムの主力技術であるメタルインジェクション(MIM)ですが、導入する際は日本に技術を持っている企業は少なく、技術を使用するためにはアメリカに2億円のライセンスを支払わなければならない環境でした。しかし、そんな費用は払えません。そこで戸田社長はMIMを研究してる大学の教授に教えを求めにいきました。大学の教授は大手企業と共同研究をしているため、ノウハウを教えることはできないと、戸田社長を一蹴します。普通なら諦めるところですが、戸田社長は諦めません。

戸田社長:「教えてください。」
教授:「いえ、できません。」

戸田社長:「そこをなんとか教えてください。」
教授:「いえ、できません。」

戸田社長:「どうしても教えてほしいんです。会社が大変なんです。」
教授:「いえ、できません。」

戸田社長:「わかりました。なら、ヒント!ヒントを教えください。」
教授:「ヒントも教えられません」

戸田社長:「一つでいいんです。一つだけヒントを教えてください。一つだけ!」
教授:「・・・。わかりました。なら一つだけですよ。ヒント一つだけですよ!」

戸田社長:「ありがとうございます!」

そして、会社に帰って、もらったヒントを基に試行錯誤してみますが、MIMはうまくできませんでした。またもや戸田社長は教授に会いに行きます。

戸田社長:「頂いてヒントでやってみたのですが、できませんでした。」
教授:「そうですか。残念ですね。ではっ。」

戸田社長:「もう一つだけ!もう一つだけヒントをください!!」
教授:「いえ、この前教えたじゃないですか。」

戸田社長:「でもできなかったんで、もう一つヒントをください!」
教授:「わかりました。では、もう一つだけですよ!」

戸田社長:「ありがとうございます!」

そして、会社に帰って、もらったヒントを基に試行錯誤してみますが、MIMはうまくできませんでした。またもや戸田社長は教授に会いに行きます。ということを何度か繰り返し、技術を自分のものにしたそうです。三顧の礼ではありませんが、何度も何度もくじけずに挑んで来る人に人は弱いということを教えていただきました。そんな戸田社長自身も「めげずに何度も何度も来るやつは可愛い!」とおっしゃっていました。

2.インパクトを与え、記憶に残ってもらえることが大切

「1枚の名刺に20円以上掛けていることころは絶対に成功しない。」成功した経営者がそのように言っているのを聞いた戸田社長は「それならとことん費用を掛けてやる!」と1枚1000円の名刺を作ったそうです。名刺にミニチュア工具を付けて、さらに開いたら飛行機が飛び出るようなものを作りました。

  1. 大手企業の担当と名刺交換をする
  2. 担当が会社に帰って、みんなに自慢して見せる
  3. キーマンとなる上司がその名刺を欲しくなる
  4. でも、担当からはもらえない
  5. 名刺交換が目的でキーマンとなる上司と直接会うことができる

という流れで、多くの企業のキーマンと出会えたそうです。自社の技術力、アイディア力の詰まった名刺に、1000円というコストをかけてインパクトを与えることで、トップ営業につなげるセンスは真似のできるものではありません。

3.何事にも真剣に取り組む姿勢を社員に見せ続ける

戸田社長の強さは強靭なまでの本気度にあります。何かを攻めるときはすべての人脈を駆使しして、どうすればターゲットの人にうまく会えるのか、どうすればその人の心を動かせるのかということを本気で考え、本気で実行し、目的を達成する力があります。

あるブランドとの取引をするためにフランスに行ったときに、現地でたまたまそのブランドに詳しいおばちゃんと出会い、なんとその場で即採用。そしてそのままブランド本体との会議に出席させ、相手の心を掴んだそうです。(同行した社員には止められたそうですが笑)

また、飛行機のギネス記録に挑戦している最中は、新幹線の中でも飛行機を飛ばす訓練をし続けていたそうです。

そのように、何かを達成するために人の目を気にするのではなく、何が本質か、何が必要かを考えて、行動する。そして、その姿勢が「社員を変え、風土を変え、会社に力を与える」ということを教えていただきました。

まとめ

株式会社キャステムの戸田社長の情熱、発想力、行動力を目の当たりにしたセミナーでした。戸田社長は本業以外にも、子どもたちの教育のあり方やこれからの日本を良くするために日々挑戦し続けています。非常に魅力的な方で、社長の魅力に引き込まれました。皆様も戸田社長の講演をお聞きする機会があればぜひ聞いてみてください。

次回のTECHNO-PORT TALK NIGHTは8月に開催予定です。詳細が決まりましたら、このモノカクのサイトやFacebookなどで告知いたしますのでぜひご参加ください!

「令和」グッズ最速で製作、2,500個も受注した株式会社キャステムってどんな会社?

こんにちは、テクノポートの渡部です。

先日4月1日に発表された新元号「令和」。発表に合わせて様々なところで新元号に関するグッズが発表されました。中でも発表から2分27秒で「令和」の文字が刻印されたぐい飲みを発売し、発売から30秒で最初の注文が入ったのを皮切りに、予定していた50個はわずか5分で完売、夕方には予定をはるかに超える2,500個以上の注文を受けた会社があります。テレビでもニュースになって報道されていたのでご覧になった方も多いのではないでしょうか?

それは、株式会社キャステム。一体どんな会社なのでしょうか?

キャステムの会社概要

従業員数250名以上、グループ企業全体の従業員数は約1,500人。

製菓会社として創業し、工場の隅で鋳物づくりの技術を完成させ、他社には真似できないハイレベルなロストワックス精密鋳造技術を確立した、広島県福山市に本社を構える会社です。

株式会社キャステムのここがスゴイ!

1、ロストワックスの技術がスゴイ!

株式会社キャステムホームページより引用

引用元:http://www.castem.co.jp/technology/lostwax_product.html

これまで切削加工によってしかなしえなかった高精度のネジやギヤまで製造可能で、業界他社の追随を許さないハイレベルな品質を示しています。

2、会社の成長がスゴイ!

ホームページの会社概要を見ると

  • 2010年度 30億円
  • 2011年度 44億円
  • 2012年度 45億円
  • 2013年度 45億円
  • 2014年度 50億円
  • 2015年度 52億円
  • 2016年度 54億円
  • 2017年度 60億円

と2010年に30億円だった売上が、2017年には60億円の2倍にまで成長しています。倒産、廃業が続く鋳造業界の動向などどこ吹く風といった感じで、高度経済成長期並みの右肩上がりの成長を遂げています。

3、事業内容の範囲がスゴイ!

中心となる製造業としてのロストワックス、メタルインジェクションの他、CTスキャンや3Dプリント、試作品製作などの相談や依頼が可能なものづくりスペース「京都LiQビル」、「金属」をテーマにしたカフェで、個人のオーダーメイドサービスも受け付ける「IRONCAFe」のカフェ運営事業(2019年秋にサービスをリニューアルして「META MATE(メタマテ)」の名称で日本橋へ移転)、セールスプロモーション、各種販促イベントの企画、立案に加え、先日発表のあった農業事業への参入もあり、およそ製造業とは思えない事業範囲をカバーしています。

4、新しい取り組みがスゴイ!

先日の新元号に関するグッズを始め、ミニチュア工具セット、等身大のロビンマスク、元ボクシング世界チャンピオンの本人の手を型取りして製作した手型などなど、自社の技術を使って様々な新商品の企画にチャレンジしています。

その他の製品に関してはこちらを参照

また先日「みんなのロケットパートナーズ(略称:みんロケ)」が発足された際には設立時パートナーの1社として名を連ねており、広島のリアル下町ロケットの会社となりそうです。

5、社長がスゴイ!

そんな株式会社キャステムをまとめているのが代表取締役社長が戸田拓夫氏。自分がやりたいことを思いっきりできる会社にしようと、ご自身の理念で会社を大躍進させた手腕の持ち主です。

また、キャステム代表取締役社長という顔の他に、折り紙ヒコーキ協会の会長でもある戸田社長は、折り紙ヒコーキの滞空時間「29.2秒」のギネス世界記録保持者で、関連する書籍は30冊も出されている紙ヒコーキ界の第一人者。紙ヒコーキを飛ばそうとネパールの地では銃を突き付けられた経験や、数年前に安倍首相と共に南米への海外遠征に挑んだ際には、各国の大統領に紙ヒコーキを渡すミッションを見事完遂したという逸話もあります。

TEDでも登壇をしているので是非一度ご覧ください。動画内にはギネス世界記録になった折り紙ヒコーキを飛ばすの動画もあります。

そんな戸田社長の生の声を聴くチャンス

いろいろとスゴイ経歴の会社と社長ですが、来月5月29日(水)にその戸田社長をスピーカーにお迎えてして第5回 TECHNO-PORT TALK NIGHTを開催します。

夢をビジネスに変える力 〜倒産、廃業が続く鋳物業界で成長を続ける勝ち残り戦略とは~

【セミナー概要】
開催日時:2019年5月29日(水)18:00 〜 20:30
<17:30〜受付 18:00〜講演 19:30〜懇親会>
場所:Garage Sumida(ガレージスミダ)

場所は第4回と同じGarage Sumida。浜野製作所様のご厚意にあずかり、場所を提供していただけることになりました。前回参加頂いた方も、今回は浜野社長と戸田社長の対談も聞けるかもしれません。下記詳細を是非ご確認ください。

詳細はこちらかこのサイトのサイドバナーなどにリンクがありますので是非チェックしてみてください。

また今回のセミナ―に関して多大な協力を頂きました、株式会社メタマテの長瀬様、ありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。

皆様のご参加をお待ちしております。よろしくお願いします。