製造業のクラウドファンディング活用事例15選

製造業とクラウドファンディングは非常に相性が良く、受注生産や下請けに頼ってきた中小製造業においても、自社開発の新製品に挑戦する動きが活発化しています。

今回は、資金調達やプロモーションなど、様々なメリットが期待できる製造業のクラウドファンディングについて、活用事例を15選ご紹介します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、Crowd(群衆)とFunding(資金調達)を組み合わせた造語で、インターネット上で個人や法人が製品・サービスなどのプロジェクトを公開し、不特定多数の支援者から資金を調達することです。

クラウドファンディングは資金調達以外にも新製品の市場調査やプロモーションなど様々な目的で利用される手法であり、その市場は年々拡大しています。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの形式としては、支援者に対してモノや体験といったリターンをお返しする「購入型」がよく知られますが、他にもいくつかの種類が存在します。

購入型

法人・個人を問わずにすべての人が支援可能であり、リターンとして商品やサービスなどが贈られます。起案者が提供するリターンを購入する感覚で支援することが可能であり、最もポピュラーなクラウドファンディングの形式といえます。

寄付型

プロジェクトに対して支援者が資金を寄付する仕組みで、基本的にリターンは発生しません。環境保全や被災地支援など、社会貢献性の高いプロジェクトが多く、支援者は寄付金控除などの税制優遇が受けられます。

融資型

融資型は金融機関からの借入と同様に、複数の支援者から集めた資金を起案者に対して融資する仕組みです。購入型や寄付型と違い、支援者は金利という形で金銭によるリターンを受け取ります。

株式投資型

個人ではなく、株式会社が資金調達の一環として行う手法。支援者は資金を投資する見返りとして、起案企業の非公開株式を得ることができます。投資における金額制限があり、借り手企業側は年間1億円未満、支援者側は1社につき50万円までとなっています。

クラウドファンディングを行うメリット

企業がクラウドファンディングを利用するメリットは、資金調達だけではなく、製品に関する市場調査とプロモーションを同時に行うことができる点です。ここでは、それぞれについて簡単に解説します。

市場調査

社内でどんなに期待された製品であっても、市場ではまったく販売が伸びないケースもあります。中小製造業のように販売規模が小さい中で市場ニーズを正確に把握することは難しく、限られたノウハウ・リソースでヒット商品を創り出すのは至難の業です。

しかし、クラウドファンディングでは、開発段階のプロジェクトに対して、支援者から様々な意見が得られるため、直ちに製品開発に反映していくことができます。従って、事業としての方針変更を常に視野に入れつつ、リスクを抑えた製品開発を行うことが可能です。

プロモーション

プロジェクト進行中は、クラウドファンディング事業者が積極的にプロモーション活動を行うため、企業(起案者)もSNSなどを通じて製品情報を発信することで大きく認知を広げることができます。

また、このようなプロモーションを開発段階から継続的に行うことで、製品リリース時に多くの顧客(支援者)を獲得できている点もクラウドファンディングの大きなメリットです。

中小製造業とクラウドファンディングは相性が良い

クラウドファンディングと中小製造業は相性が良いと言えます。なぜなら、クラウドファンディングは共感を呼ぶことが重要な成功要因だからです。「町工場が作る、匠の技の〇〇製品」「メイドインジャパンの品質にこだわった〇〇製品」など、「町工場」や「メイドインジャパン」などのキーワードは好かれやすいキーワードです。

クラウドファンディング取り組み事例15選

ここからは、実際に成果をあげた製造業のクラウドファンディング取り組み事例15選をご紹介します。

1.株式会社シマワ

東京都千代田区にて機械部品の加工・製造を行っているシマワでは、ジュラルミン削り出しによるスマートフォン用スピーカー「oto」をクラウドファンディングにて販売しました。

ジュラルミンは軽量で丈夫、腐食しにくいといった優れた性質を持ち、航空機部品に使用されている素材です。削り出しによる洗練されたデザインと美しいフォルムが特徴で、自宅はもちろん、キャンプ・アウトドアシーンなどに最適な1台です。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/oto/

企業公式サイト

https://shimawa.co.jp

2.株式会社石井精工

東京都墨田区、葛飾区でゴム用金型の設計・製造を行っている石井精工では、アルミニウム削り出しのボタン型ピンズ「ALMA(アルーマ)」をクラウドファンディングにてリリースしました。

熟練工の手作業により、細部に至るまで一つ一つをアルミニウムの塊から削り出しており、ピンズに香りを付加するという新たなアプローチにも挑戦しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/alma/

企業公式サイト

http://ishiiseikou.com

3.株式会社小沢製作所

東京都青梅市にて高精度な組立て板金加工を行っている小沢製作所では、ステンレス鋼焚き火台「MOSS(燃す)」を販売しました。

パズルのように変形可能な本製品は、独自のスリット穴設計や設置柔軟性など、どんなアウトドアシーンにも対応可能。ピラミッド型やフラワー型といった形状を採用することで、足元まで美しい炎を演出しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/moss/

企業公式サイト

http://www.kk-ozawa.co.jp

4.株式会社武杉製作所

横浜市鶴見区にて精密鋳造をはじめとする各種金属加工を行っている武杉製作所では、チタン製タンブラーをクラウドファンディングにて開発・販売しました。

軽い、強い、錆びにくい、人体に優しいといった特徴を持つチタンは、真空二層構造によって高い保温性も実現。また、チタン表面の酸化被膜をナノレベルに調整することで鮮やかな色彩を表現しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/takesugi-titantumbler/

企業公式サイト

https://www.takesugi.co.jp

5.Knot

カスタマイズウォッチのパイオニアとして知られるKnotでは、時計の修理製造技術の専門学校「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」と共同で文字盤意匠コンテストを開催し、優秀作品をクラウドファンディング限定商品としてリリースしました。

本プロジェクトでは、関わる運営費や開発費、製造原価、手数料などを差し引いた支援額の全額を、日本の未来の時計製造業への投資として寄付しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/knot03/

企業公式サイト

https://knot-designs.com

6.株式会社ニットー

ニットーは、横浜市金沢区にてプレス金型を中心とした下請け製品の製作を行っている会社です。同社では、新たな試みとしてヌンチャク系 iPhoneケース「iPhone Trick Cover」を自社開発しクラウドファンディングにて販売しました。

下請けに頼る経営方針からの脱却という、中小製造業全体の課題に対して、町工場が新たな一歩を踏み出した事例です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/309

企業公式サイト

http://nitto-i.com

7.株式会社田中金属製作所

田中金属製作所は真鍮部品加工に特化しながらも、オリジナル商品の自社開発を積極的に行っており、キャンプやアウトドアシーンに最適な真鍮削り出し火吹き棒「火樂〜KAGURA〜」をクラウドファンディングにてリリースしました。

高精度・高強度な真鍮削り出しや、熱気の逆流を防ぎ周囲の空気を引き込むことで燃焼を促進する画期的な構造など、金属加工業ならではの卓越した技術が詰まっています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/bonfire_stick_kagura/

企業公式サイト

https://www.tanakakinzoku.com

8.KOTOBUKI Medical株式会社

KOTOBUKI Medicalは町工場から生まれた医療系ベンチャー企業で、医療スキル向上に貢献する手術トレーニング用模擬臓器「VTT(Versatile Training Tissue)」をクラウドファンディングにてリリースしました。

食品を原材料とすることで、衛生面や倫理面、コスト面など様々な課題をクリアできる新素材として注目が集まっています。

クラウドファンディングページ

https://fundinno.com/projects/70

企業公式サイト

https://kotobukimedical.com

9.株式会社日翔工業

日翔工業はメッキ加工で知られる静岡県島田市の町工場です。近年ではブランド「PROGRESS」を立ち上げ、グラス内面にナノレベルのチタンメッキを施したジュエリーグラスなど、独創的な自社製品をリリースしています。

クラウドファンディングではブランド直営店に挑戦するためのオープン資金を募集、270%の達成率を記録しており、支援金額に応じて限定のジュエリーグラスなど様々なリターンが用意されています。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/238603/activities/217908

企業公式サイト

http://nissho-kogyo.jp/wordpress/

10.株式会社エムアイモルデ

エムアイモルデは静岡県富士市にある金型設計・製造メーカーで、3Dデジタルデータや3Dプリンタを活用したホビー業界への参入にも注力しています。

同社は、オリジナル作品をプラキットとして商品化する新ブランド「cavico」を立ち上げ、完全オリジナルのインジェクションプラキットを製品化するプロジェクトをクラウドファンディングにて公開しました。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/52915/activities/54087

企業公式サイト

https://mimolde.mystrikingly.com

11.株式会社キャステム

キャステムは広島県福山市にて医療機器や航空産業、宇宙産業など、あらゆる分野に使用される精密金属部品の製造・販売を行っています。

金属加工をはじめとした精密技術を新たな商品展開に活かすべく発足した新事業部「アイアンファクトリー」では、クラウドファンディングにて「アタッシュケース型コインケース」を公開・販売しました。

アルミにシルバーのアルマイトを施し、軽量で洗練されたデザインが特徴の本製品は、映画やドラマのアタッシュケースのイメージそのままに、ミニチュア化したポケットサイズを実現しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/castem-01/

企業公式サイト

https://www.castem.co.jp

12.株式会社山崎製作所

静岡県清水市にて精密板金加工全般を営む山崎製作所では、ファミリーキャンプブランド「shiromani」が手がけるステンレス製のオリジナルドリップバッグスタンド「ポタリス」の製造を担当しました。

クラウドファンディングにて目標達成率760%という驚異的な数字を記録している本製品は、ステンレス製のため丈夫で軽量、さらに一瞬で厚さ7mmに折り畳むことができるため、気軽に持ち運べてアウトドアシーンにも最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/535293

企業公式サイト

https://www.yamazaki-metal.co.jp/

13.株式会社極東窒化研究所

神奈川県秦野市にて金属表面硬化・熱処理を行う極東窒化研究所では、クラウドファンディングにて一生使える焼き網「chicca mesh(チッカ メッシュ)」を公開・販売しました。

スチール製の焼き網に「窒化処理」といわれる表面処理を施すことで、錆びや歪みといった弱点を解消し、手入れも非常に容易です。キャンプやバーベキューはもちろん、自宅のオーブントースターや魚焼きグリルで使用することもできます。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/chikka_mesh/

企業公式サイト

https://kyokutou-tikka.com

14.株式会社タシロ

神奈川県平塚市にて精密板金加工、精密機械加工を行うタシロでは、ピザ窯、燻製機、焚火台と3つの機能が備わった「3WAYコンパクトピザ窯」をクラウドファンディングにて公開しました。

創業50年を超える金属加工技術が凝縮された本製品は、組み立てや手入れも容易であり、自宅での使用はもちろん、キャンプやアウトドアなどあらゆるレジャーシーンに最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/447026

企業公式サイト

http://www.tasiro.co.jp

15.株式会社増田

東京都台東区にてハンドバッグなど革製品の製造・販売を行う増田では、2022年よりアウトドア部門を設立し、革製品とアウトドアの融合を追求しています。

クラウドファンディングでは、ハイクオリティな牛革を贅沢に使用した究極のレザーチェアーを販売し、大きな注目を集めています。創業100年を誇る職人の技術によって丁寧に縫い上げられたレザーチェアーは、あらゆるアウトドアシーンに最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/591686

企業公式サイト

https://www.masuda-c.co.jp

以上、製造業のクラウドファンディングについて事例を紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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製造業のクラウドファンディング活用事例15選

製造業とクラウドファンディングは非常に相性が良く、受注生産や下請けに頼ってきた中小製造業においても、自社開発の新製品に挑戦する動きが活発化しています。

今回は、資金調達やプロモーションなど、様々なメリットが期待できる製造業のクラウドファンディングについて、活用事例を15選ご紹介します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、Crowd(群衆)とFunding(資金調達)を組み合わせた造語で、インターネット上で個人や法人が製品・サービスなどのプロジェクトを公開し、不特定多数の支援者から資金を調達することです。

クラウドファンディングは資金調達以外にも新製品の市場調査やプロモーションなど様々な目的で利用される手法であり、その市場は年々拡大しています。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの形式としては、支援者に対してモノや体験といったリターンをお返しする「購入型」がよく知られますが、他にもいくつかの種類が存在します。

購入型

法人・個人を問わずにすべての人が支援可能であり、リターンとして商品やサービスなどが贈られます。起案者が提供するリターンを購入する感覚で支援することが可能であり、最もポピュラーなクラウドファンディングの形式といえます。

寄付型

プロジェクトに対して支援者が資金を寄付する仕組みで、基本的にリターンは発生しません。環境保全や被災地支援など、社会貢献性の高いプロジェクトが多く、支援者は寄付金控除などの税制優遇が受けられます。

融資型

融資型は金融機関からの借入と同様に、複数の支援者から集めた資金を起案者に対して融資する仕組みです。購入型や寄付型と違い、支援者は金利という形で金銭によるリターンを受け取ります。

株式投資型

個人ではなく、株式会社が資金調達の一環として行う手法。支援者は資金を投資する見返りとして、起案企業の非公開株式を得ることができます。投資における金額制限があり、借り手企業側は年間1億円未満、支援者側は1社につき50万円までとなっています。

クラウドファンディングを行うメリット

企業がクラウドファンディングを利用するメリットは、資金調達だけではなく、製品に関する市場調査とプロモーションを同時に行うことができる点です。ここでは、それぞれについて簡単に解説します。

市場調査

社内でどんなに期待された製品であっても、市場ではまったく販売が伸びないケースもあります。中小製造業のように販売規模が小さい中で市場ニーズを正確に把握することは難しく、限られたノウハウ・リソースでヒット商品を創り出すのは至難の業です。

しかし、クラウドファンディングでは、開発段階のプロジェクトに対して、支援者から様々な意見が得られるため、直ちに製品開発に反映していくことができます。従って、事業としての方針変更を常に視野に入れつつ、リスクを抑えた製品開発を行うことが可能です。

プロモーション

プロジェクト進行中は、クラウドファンディング事業者が積極的にプロモーション活動を行うため、企業(起案者)もSNSなどを通じて製品情報を発信することで大きく認知を広げることができます。

また、このようなプロモーションを開発段階から継続的に行うことで、製品リリース時に多くの顧客(支援者)を獲得できている点もクラウドファンディングの大きなメリットです。

中小製造業とクラウドファンディングは相性が良い

クラウドファンディングと中小製造業は相性が良いと言えます。なぜなら、クラウドファンディングは共感を呼ぶことが重要な成功要因だからです。「町工場が作る、匠の技の〇〇製品」「メイドインジャパンの品質にこだわった〇〇製品」など、「町工場」や「メイドインジャパン」などのキーワードは好かれやすいキーワードです。

クラウドファンディング取り組み事例15選

ここからは、実際に成果をあげた製造業のクラウドファンディング取り組み事例15選をご紹介します。

1.株式会社シマワ

東京都千代田区にて機械部品の加工・製造を行っているシマワでは、ジュラルミン削り出しによるスマートフォン用スピーカー「oto」をクラウドファンディングにて販売しました。

ジュラルミンは軽量で丈夫、腐食しにくいといった優れた性質を持ち、航空機部品に使用されている素材です。削り出しによる洗練されたデザインと美しいフォルムが特徴で、自宅はもちろん、キャンプ・アウトドアシーンなどに最適な1台です。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/oto/

企業公式サイト

https://shimawa.co.jp

2.株式会社石井精工

東京都墨田区、葛飾区でゴム用金型の設計・製造を行っている石井精工では、アルミニウム削り出しのボタン型ピンズ「ALMA(アルーマ)」をクラウドファンディングにてリリースしました。

熟練工の手作業により、細部に至るまで一つ一つをアルミニウムの塊から削り出しており、ピンズに香りを付加するという新たなアプローチにも挑戦しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/alma/

企業公式サイト

http://ishiiseikou.com

3.株式会社小沢製作所

東京都青梅市にて高精度な組立て板金加工を行っている小沢製作所では、ステンレス鋼焚き火台「MOSS(燃す)」を販売しました。

パズルのように変形可能な本製品は、独自のスリット穴設計や設置柔軟性など、どんなアウトドアシーンにも対応可能。ピラミッド型やフラワー型といった形状を採用することで、足元まで美しい炎を演出しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/moss/

企業公式サイト

http://www.kk-ozawa.co.jp

4.株式会社武杉製作所

横浜市鶴見区にて精密鋳造をはじめとする各種金属加工を行っている武杉製作所では、チタン製タンブラーをクラウドファンディングにて開発・販売しました。

軽い、強い、錆びにくい、人体に優しいといった特徴を持つチタンは、真空二層構造によって高い保温性も実現。また、チタン表面の酸化被膜をナノレベルに調整することで鮮やかな色彩を表現しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/takesugi-titantumbler/

企業公式サイト

https://www.takesugi.co.jp

5.Knot

カスタマイズウォッチのパイオニアとして知られるKnotでは、時計の修理製造技術の専門学校「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」と共同で文字盤意匠コンテストを開催し、優秀作品をクラウドファンディング限定商品としてリリースしました。

本プロジェクトでは、関わる運営費や開発費、製造原価、手数料などを差し引いた支援額の全額を、日本の未来の時計製造業への投資として寄付しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/knot03/

企業公式サイト

https://knot-designs.com

6.株式会社ニットー

ニットーは、横浜市金沢区にてプレス金型を中心とした下請け製品の製作を行っている会社です。同社では、新たな試みとしてヌンチャク系 iPhoneケース「iPhone Trick Cover」を自社開発しクラウドファンディングにて販売しました。

下請けに頼る経営方針からの脱却という、中小製造業全体の課題に対して、町工場が新たな一歩を踏み出した事例です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/309

企業公式サイト

http://nitto-i.com

7.株式会社田中金属製作所

田中金属製作所は真鍮部品加工に特化しながらも、オリジナル商品の自社開発を積極的に行っており、キャンプやアウトドアシーンに最適な真鍮削り出し火吹き棒「火樂〜KAGURA〜」をクラウドファンディングにてリリースしました。

高精度・高強度な真鍮削り出しや、熱気の逆流を防ぎ周囲の空気を引き込むことで燃焼を促進する画期的な構造など、金属加工業ならではの卓越した技術が詰まっています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/bonfire_stick_kagura/

企業公式サイト

https://www.tanakakinzoku.com

8.KOTOBUKI Medical株式会社

KOTOBUKI Medicalは町工場から生まれた医療系ベンチャー企業で、医療スキル向上に貢献する手術トレーニング用模擬臓器「VTT(Versatile Training Tissue)」をクラウドファンディングにてリリースしました。

食品を原材料とすることで、衛生面や倫理面、コスト面など様々な課題をクリアできる新素材として注目が集まっています。

クラウドファンディングページ

https://fundinno.com/projects/70

企業公式サイト

https://kotobukimedical.com

9.株式会社日翔工業

日翔工業はメッキ加工で知られる静岡県島田市の町工場です。近年ではブランド「PROGRESS」を立ち上げ、グラス内面にナノレベルのチタンメッキを施したジュエリーグラスなど、独創的な自社製品をリリースしています。

クラウドファンディングではブランド直営店に挑戦するためのオープン資金を募集、270%の達成率を記録しており、支援金額に応じて限定のジュエリーグラスなど様々なリターンが用意されています。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/238603/activities/217908

企業公式サイト

http://nissho-kogyo.jp/wordpress/

10.株式会社エムアイモルデ

エムアイモルデは静岡県富士市にある金型設計・製造メーカーで、3Dデジタルデータや3Dプリンタを活用したホビー業界への参入にも注力しています。

同社は、オリジナル作品をプラキットとして商品化する新ブランド「cavico」を立ち上げ、完全オリジナルのインジェクションプラキットを製品化するプロジェクトをクラウドファンディングにて公開しました。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/52915/activities/54087

企業公式サイト

https://mimolde.mystrikingly.com

11.株式会社キャステム

キャステムは広島県福山市にて医療機器や航空産業、宇宙産業など、あらゆる分野に使用される精密金属部品の製造・販売を行っています。

金属加工をはじめとした精密技術を新たな商品展開に活かすべく発足した新事業部「アイアンファクトリー」では、クラウドファンディングにて「アタッシュケース型コインケース」を公開・販売しました。

アルミにシルバーのアルマイトを施し、軽量で洗練されたデザインが特徴の本製品は、映画やドラマのアタッシュケースのイメージそのままに、ミニチュア化したポケットサイズを実現しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/castem-01/

企業公式サイト

https://www.castem.co.jp

12.株式会社山崎製作所

静岡県清水市にて精密板金加工全般を営む山崎製作所では、ファミリーキャンプブランド「shiromani」が手がけるステンレス製のオリジナルドリップバッグスタンド「ポタリス」の製造を担当しました。

クラウドファンディングにて目標達成率760%という驚異的な数字を記録している本製品は、ステンレス製のため丈夫で軽量、さらに一瞬で厚さ7mmに折り畳むことができるため、気軽に持ち運べてアウトドアシーンにも最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/535293

企業公式サイト

https://www.yamazaki-metal.co.jp/

13.株式会社極東窒化研究所

神奈川県秦野市にて金属表面硬化・熱処理を行う極東窒化研究所では、クラウドファンディングにて一生使える焼き網「chicca mesh(チッカ メッシュ)」を公開・販売しました。

スチール製の焼き網に「窒化処理」といわれる表面処理を施すことで、錆びや歪みといった弱点を解消し、手入れも非常に容易です。キャンプやバーベキューはもちろん、自宅のオーブントースターや魚焼きグリルで使用することもできます。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/chikka_mesh/

企業公式サイト

https://kyokutou-tikka.com

14.株式会社タシロ

神奈川県平塚市にて精密板金加工、精密機械加工を行うタシロでは、ピザ窯、燻製機、焚火台と3つの機能が備わった「3WAYコンパクトピザ窯」をクラウドファンディングにて公開しました。

創業50年を超える金属加工技術が凝縮された本製品は、組み立てや手入れも容易であり、自宅での使用はもちろん、キャンプやアウトドアなどあらゆるレジャーシーンに最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/447026

企業公式サイト

http://www.tasiro.co.jp

15.株式会社増田

東京都台東区にてハンドバッグなど革製品の製造・販売を行う増田では、2022年よりアウトドア部門を設立し、革製品とアウトドアの融合を追求しています。

クラウドファンディングでは、ハイクオリティな牛革を贅沢に使用した究極のレザーチェアーを販売し、大きな注目を集めています。創業100年を誇る職人の技術によって丁寧に縫い上げられたレザーチェアーは、あらゆるアウトドアシーンに最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/591686

企業公式サイト

https://www.masuda-c.co.jp

以上、製造業のクラウドファンディングについて事例を紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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中小製造業が自社製品を作るにあたっての心構えと社内への影響

こんにちは、テクノポートの渡部です。本日は先日行われたオンラインセミナー

自社商品開発先駆者インタビュー「クラウドファンディング成功の秘訣」

について、内容を一部要約して紹介したいと思います。前編についてはこちらに公開されていますので、お時間のある方は是非ご覧ください。

セミナータイトル

自社商品開発先駆者インタビュー「クラウドファンディング成功の秘訣」

セミナー概要

日時:2021年7月21日(水)13:00-14:00
場所:Web会議ツール「Zoom」でのオンライン開催

セミナー内容

  • 自社商品開発のメリット、デメリット
  • クラウドファンディングのメリット、デメリット
  • 自社商品のマーケティングはどうすればいいのか?

インタビュアー

株式会社石井精工 石井 洋平 様 株式会社シマワ 島口 棟伍 様

自社商品開発をやろうと思ったきっかけとどのような道のりだったでしょうか?

石井様:仕事の中に面白みを持たせたいということと、前々から自社ブランドを持ちたいという思いはあったので、自分なりの良いタイミングだなと思ったところで始めました。候補となる協業できるような会社とコンタクトを重ねていく中で、相手にされない期間も長かったですが、地道に活動の途中でセメントプロデュースデザインと繋がることができました。自社にはない商品開発のノウハウを追っている会社だったので、そこから一気に販売前プロジェクトを進めることができました。

金型屋の仕事の場合、注文を受けてから加工をするというのが通常であるため、注文を受けない中で商品を作るということには社内からの反発もありましたが、形になっていく過程で社内の理解も得られ、実際に販売が形になっていくころには認めてもらえたという感覚がありました。

島口様:製造業の仕事だけでは景気の波に左右されることがあり、経営の多角化をしないといけないなとは以前から考えてはいました。たまたまコロナ禍で手が空いたこと、町工場の展示会の繋がりから自社商品開発を支援してくれるデザイナーと繋がれたことなどが重なり、一気に自社商品開発を進めることができました。

弊社の場合は、製品がスピーカーということもあり、面白がって背中を教えてくれたので、スムーズに進めることができました。

クラウドファンディングとの付き合い方について

石井様:私が挑戦したのは2016年でデザイナーからの提案で始めました。当時は返礼品としての意味合いの方が強いと感じていたんですが、マーケティング活動の一環として取り組もうという説明を頂き、確かにそれならテストマーケティングとしても使えるなと思って取り組みました。資金がそんなに捻出できない中で小さく始めるという観点から言うと、クラウドファンディングは中小製造業が自社商品の開発・販売を始めるのにすごく良いツールだと思います。

島口様:私が取り組んだのは最近で、もうクラウドファンディングというよりはマーケティング、メディアの一つとして活用するというのが一般的になっていました。資金を集めるという考え方よりは、活動の中で自社の商品の強みは何かという見つめ直しや、どの層に刺さるのかといったテストマーケティングの情報収集ができるという考え方の方が重要で、その情報はその後のマーケティング活動にすごく役立っています。

自社商品開発をしてよかった事

石井様:自社商品開発をで変わったことは品質管理の考え方ですね。これまでに自社が作っていた金型の場合、多少の傷がついていても、成型品が問題なければいいという考えがありましたが、今回製品ではなく商品の製作をしたことで、過剰品質まではいかなくても、社内の品質管理の意識はぐっと変わったと感じています。

島口様:今回の自社商品開発を進める中で同業他社の2代目、3代目の方々との人脈が広がったのはよかった事だと思います。今後、自社商品の機能拡張パーツを作りたいと名乗り出てくれた会社もあり、波及効果はいろんなところに出てきています。あとこれまではサプライヤーの要望に応えるという仕事に比べると、「楽しい」ということが大きいですね。

 

いかがでしたでしょうか?今回はインタビューさせて頂いた中の一部について要約をお伝えさせて頂きましたが、前編はYoutubeにてアーカイブを公開しておりますので、そちらをご覧いただけたらと思います。

引き続きオンラインセミナーは開催をしていく予定ですので、今後ともよろしくお願いします。

DtoCの立ち上げ期に必要なお金をかけない5つの施策

最近よく耳にするDtoCブランドですが、自社の技術を多くの人に知ってもらいながら、年間、数百万から数千万円の売り上げを上げている企業も少なくありません。

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

DtoCの持つ3つの役割

DtoCには大きく分けて3つの役割があります。

  1. 新しい売り上げの柱の構築
  2. 新規顧客への認知度向上
  3. 休眠顧客へのアプローチ

DtoCは新規の一般顧客の獲得に加え、商品リリースのニュースをきっかけに新規顧客への宣伝効果を産むことが可能です。さらにそのニュースを休眠顧客へのアプローチとしても活用することができるのです。このように会社にとって多角的に大きな効果を挙げられる可能性を秘めています。だからこそDtoCを成功に導くためには、まず小さくても確実にスタートを切れることが重要です。そのためには多額のお金をかけずに費用対効果の高い施策を知っていることは成功への確率を大きく左右するのです。

それでは早速、DtoCの立ち上げ期を後押しする お金をかけないでDtoCのスタートを切りやすくする5つの施策についてお話ししていきたいと思います。

①クラウドファンディングを行う

DtoCブランドを立ち上げる際にぜひ活用して欲しい施策の1つはクラウドファウンディングです。最近ではかなり認知度が高くなってきたこのシステムですが、通常のネット通販やECサイトでの買い物とは大きく違う点があります。それは応援購入という点です。顧客はその消費が持つ、ビジョンやバックグラウンドに共感をし、応援の気持ちをこめて購入しています。どんなに高機能でも、どんなにデザインが良くても想いに共感できない商品は購入につながりません。またクラウドファンディングは、製造業にとって今まで行ってこなかった「一般顧客のファンを作る」という流れを経験することもできます。

②SNSを運用する

DtoCブランドの認知度を上げる施策としてSNSの運用は欠かせません。その理由として、企業間であればホームページだけでよかったかもしれません。しかし、購買層である一般顧客が閲覧しやすい媒体に常に新しい情報をリリースする必要があるからです。また常時更新するSNSを自社のホームページとリンクさせることによってWEB上での検索されやすい環境を作ることにもつながります。

③読みもの系コンテンツを制作する

読みもの系コンテンツを制作することは、一般顧客が継続的なファンになっていく効果があります。手段としては自社のホームページ内でブログのように更新することもできますが、もっと気軽に無料のnoteやTwitterなどの媒体を利用することもオススメです。

バックグラウンドやこだわりの裏話などを知ることで、読み手とブランドとの関係をより深いものにすることができるからです。またWEB広告などを検討中の場合も、こういったコンテンツがあることによって、興味本位の検索からファンになる流れを増やすこともできます。

④プレスリリースを打つ

プレスリリースを発行することは、社会的大きな意味を持ちます。先にも述べたようにブランドにはバックグラウンドやビジョンが必要です。その要素を会社としてリリースすることで大きな信頼感を生み出すことができるのです。

新規法人顧客の獲得、休眠既存顧客へのアプローチとしても十分に活用することが可能です。

⑤アンバサダー制度を企画する

DtoCブランドタジ上げ時期は、自社の発信力だけでは拡散できる数に限りがあります。そこで活用して欲しいのはインスタグラムなどに一定のフォロワー数を有するアカウントを持つ人物のアンバサダー制度です。アンバサダー制度はブランドカテゴリーに興味のあるフォロワーたちへ一気に情報を届けることができます。またアンバサダーと一緒にブランドを育てていく過程を、フォロワーたちが追いかけていけることも、ブランドの長期的なファンづくりにおいて魅力的なのです。

DtoCはお金をかけずに売り上げを作る

今回ご紹介した5つの施策は、どれも大きなお金をかけずにできるものばかりだったと思います。

これらの施策は、DtoCブランドの立ち上げを必ず後押しするものになります。ブランドの立ち上げ時には多くのマンパワーを必要です。だからこそ、少ない費用で最大の費用対効果を上げていきましょう。

クラウドファンディングを行う際に気を付けてほしいこと

中小企業専門の弁理士の亀山です。開業して約300社の中小企業様・個人事業主様のご相談を受けてまいりました。今回は、クラウドファンディングを行う際、気を付けて欲しい点についてお話したいと思います。

とある特許相談にて

お客様:今回の便利グッズ「財布」は、特許が取れるでしょうか?

かめやま:便利グッズ「財布」のポイントは、こことここですね。まずは、この2点について、先行技術調査とクリアランス調査を済ませておきましょう。

お客様:ああ、そういえば、前回の発明品のときもやりましたね。今回も調査をお願いします。

かめやま:かしこまりました。調査の結果が出るまでしばらくお待ちください。

かめやま:ところで、前回の発明品「万能キッチンハサミ」の販売計画はどうなっていますか?特許出願を済ませて半年くらい経つと思うのですが・・・

お客様:あれですね! まずは、クラウドファンディングをやろうと思っています!

かめやま:なるほど。今回のアイデアは消費者向け商品。クラウドファンディングは、マーケティングリサーチの側面もあるので良い方法ですね。ところで、いつ頃申し込むのですか?

お客様:もう申し込みは完了しています!!1か月後には掲載される予定ですので、現在、ページのデザイン制作をしているところなんですよ~

かめやま:あらら・・・

お客様:え?? 何かまずかったですか?前回の発明は、調査を済ませているので、他人の特許権は問題なかったはずですよね?

かめやま:それはそうなのですが・・・クラウドファンディングをする際には、特許権以外にもチェックポイントがあるんです。

特許権以外にチェックすべき点(1) 商品名

お客様:特許権以外に何をチェックする必要があるのですか?

かめやま:まずは、クラウドファンディングの規約を見せてください。ほら、ここに「第三者の商標権、著作権、特許権などの知的財産権等を侵害する行為をおこなってならないこと」と書いてありますよね?

お客様:本当だ。特許権の他に、商標権や著作権もあるのですね。

かめやま:まずは、商標権ですね。現在の原稿をみると、この商品名は○○ですね。この商品名○○は、もう確定ですか?

お客様:はい。クラウドファンディングの運営にも届けています。

かめやま:おぉぅ・・・万が一、届け出た商品名を変更するとどうなります?

お客様:うぅ。変更届を出さないとマズいですね。最悪、一から原稿を作り直しになるので。掲載が1か月遅れてしまいます。

かめやま:確かに1か月の遅れは痛いです。しかし、この商品名の使用が、他人の商標権を侵害していたら、この商品名を使用できなくなるので、それこそ問題です。まずは、この商品名を使用してよいかの調査をしましょう。万が一、侵害している場合は、名称変更、そして、掲載が1か月遅れることを覚悟してください。

お客様:それでは困ります!ここまで準備していたのが水の泡になってしまいます!

かめやま:しかし、仮に、権利者がこちらのサイトを見つけたらどうしますか?商標権侵害による差し止め請求によって、この商品名が使用停止となってしまいますから、どのみち、やり直しになると思います。今、商標調査を先送りして、日に日に大きくなる「やり直しの爆弾」を抱えて進むくらいなら、やり直しの範囲を「本日まで」としておいたほうが良いのではないでしょうか?

お客様:それもそうですね。あれ?ということは、クラウドファンディングを申し込む前に、商品名の相談も先生に済ませておいた方が良かったのですか?

かめやま:それがベストでした。私も、前回の発明品「万能キッチンハサミ」の先行技術調査のご依頼のときに、販売計画のところまで確認しておけばよかったですね。

お客様:いえいえ。あのときは、まだクラウドファンディングのアイデアもなかったときなので・・・まずは、商品名の調査を進めて下さい。

特許権以外にチェックすべき点(2) イラストや写真等

お客様:商標権のチェックはOKとして、著作権はどうすればよいのですか?

かめやま:現在の原稿をみると、ここのイラストや写真は、貴社のオリジナルですか?それとも誰かに制作依頼をしたものですか?

お客様:このイラストはA社のフリー素材です。こっちの写真はB社のフリー素材です。

かめやま:A社の利用規約をみると、クラウドファンディングにおける使用はOKそうですね。B社の方は、・・・くわしく書いていないですね。ちょっと怖いので、B社に問い合わせするか、A社の素材に差し替えた方が良いかもしれません。

お客様:この写真は、結構、気に入っているんですよね。こだわって選び抜いたものですし・・・

かめやま:お気持ちはわかります。しかし、著作権侵害となった場合には、商標権同様、結局やり直しになることを覚悟しないとなりません。後々のリスクを負ってまでその写真を使いたいですか?

お客様:わかりました。B社に問い合わせして、許可をもらいます。もしも、NGの場合には、A社のものに差し替えます。

クラウドファンディングを行う際に気を付けてほしいこと

その商品名は合法的に使用できますか?

商品名は、ほぼ間違いなく商標権の対象となります。そして、あなたが使用しようとしている商品名も、見知らぬ他人が商標権を持っている場合もあります。商標権侵害の場合には、権利者側のブランドイメージの棄損につながるため、ライセンスを許可する場合は少ないです。したがって、名称変更をせざるを得ない場合がほとんどです。そして、このような名称変更によるリスクを減らすためには、クラウドファンディングを申し込む前に、専門家に相談した方が良いでしょう。

その著作物は合法的に使用できますか?

イラストや写真も、ほぼ間違いなく著作権の対象となります。あなたが使用しようとしているイラストや写真にも、第三者の著作権の効力が及ぶ場合があります。著作権侵害の場合、差し替えとなる場合も多いですが、権利者の意向によっては、相当のライセンス料の支払い等の条件を前提に使用を許可してくれる場合もあります。このような著作権侵害のリスクを小さくするためには、デザイン制作会社へ依頼した場合には、業務委託契約書の中で著作権の処理が必要になりますし、フリー素材を使用する場合には、フリー素材の利用規約をよく読み、用途に合ったものを選ぶようにしましょう。

出品する商品の技術的アイデアやプロダクトデザインは合法的に使用できますか?

出品する商品の技術的アイデアやプロダクトデザインは、特許権や意匠権の対象となります。そして、特許権侵害や意匠権侵害の場合には、著作権侵害同様、クラウドファンディングの出品の中止、または、相当のライセンス料の支払い等の条件に出品を許可してくれる場合もあります。上述の「万能キッチンハサミ」のケースのように、事前にクリアランス調査を済ませていた場合はよいですが、クリアランス調査が未実施の場合には、他社の特許権侵害のリスクを把握する意味でも事前に進めた方が良いです。また、万が一、特許権侵害のリスクが高い場合には、特許権侵害のリスクが低くなるよう「どのような設計変更が望ましいか」を専門家と検討したほうがよいでしょう。

クラウドファンディングの規約を守っていますか?

どのクラウドファンディングでも利用規約があります。そして、その規約の中に、第三者の知的財産権を侵害しない旨を規定しています。かりに、あなたの商品や商品名等が他社の侵害品であることが判明すると、規約違反により、ページの削除などの対応を迫られる場合もあります。もちろん、クラウドファンディングの利用規約には、知的財産権以外についても触れられています。このため、クラウドファンディングを行う際には、後から規約違反といわれないように、申し込み時に利用規約をしっかりと理解しておきましょう。利用規約を読み込むのが大変な場合には、お近くの専門家に問い合わせして下さい。

専門家にはいつ相談すればよいのですか?

他社の商標権や著作権等の存在によって、商品名変更、設計変更やイラストの差し替えが発生するかもしれません。また、他社の特許権等によって商品の設計変更が必要になるかもしれません。名称変更や設計変更等によるやり直しを防ぐためには、クラウドファンディングに申し込む前に、お近くの専門家にご相談ください。万が一、申し込んでしまった場合には、できるだけ早く、お近くの専門家にご相談ください。

まとめ

クラウドファンディングを行う際に気を付けてほしいこと

  1. 商品名は合法的に使用できますか?(商標権侵害のチェック)
  2. ページに利用されるイラストや写真は合法的に使用できますか?(著作権侵害のチェック)
  3. その技術的アイデアやプロダクトデザインは合法的に使用できますか?(特許権侵害や意匠権侵害のチェック)
  4. クラウドファンディングの利用規約のチェック(利用規約違反とならないため)
  5. ご相談タイミングは、クラウドファンディングの申し込み前が望ましい(やり直し量を最小限に抑えるため)