パンデミックと企業のブランディング

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に拡散するなかで、企業は1〜2日の営業縮小で止まることなく、緊急でテレワークへの切り替えや取引先との打ち合わせ延期、出張の自粛などの対策に慌ただしく対応している企業が多いことでしょう。自社社員の安全確保に加えて、サプライチェーンの見直しが必要となる等、企業の事業活動にも大きな影響を及ぼし始めています。

そんな中、買い占めや転売に始まり、海外渡航の規制など日々状況が変化しています。いつまで続くかわからない不安な情報が渦巻く中で、人や会社の「本質」が見えるような事象が多く起こっています。それは個人や企業が何を選択し、どう行動して、どんな言葉を発信していくのか世間のアンテナの感度が高くなっているからなのです。

そこで今回は、この非常事態だからこそ見直したい、企業のこれからの行動や印象を大きく左右するブランディングについて、社員・お客さま・サプライヤーに対象を分けて実施していくべき項目を、ポイントをまとめました。

社員とのリレーション

社員は最新の動向について当然のように心配し、経営層からの正確かつ信頼できる情報提供を期待しています。社員が、パンデミックへの意識向上を社内での通常業務内のコミュニケーションに組み込むことが重要です。お客様、サプライヤーの状況の共有をしながら自社としてどのようなスタンスで業務に当たっていくべきか、情報共有だけではなくマインドセットも合わせて行うことで、社員の不安の解消、モチベーション維持が可能になります。

当局から発表された情報や解説画像を共有し、講じるべき措置や注意すべき症状について出張者を指導し、さまざまな部門やチームによるパンデミック対策の取決めの見直しを促す役割を担っています。

お客様とのリレーション

自社の内部整理で慌ただしい今だからこそ、お客さまとのリレーションを止めてはいけません。お客様はパンデミックの中で、自分たちを安心させてくれる情報が欲しいと思っています。

たとえば野球のリーグ戦では無観客で試合が行われている2020年3月現在、埼玉西武ライオンズをはじめとする野球チームではファンのメッセージを球場の巨大スクリーンに映し出していくという試みををこなっています。Twitterで「共熱」というハッシュタグをつけてつぶやくことで、球場の選手を応援できるシステムを導入し、チームとファンの絆を強めていっています。この取り組みはパンデミックが終わった後、今まで以上に球場に足を運びたいと思うファンの感情を育てることができるのです。

サプライヤーとのリレーション

通常業務の遂行を滞りなく行うために、連絡が取りにくくなっているかもしれまん。しかしこのイレギュラーなタイミングだからこそ自社の重要サプライヤーのパンデミック対策を把握する連絡を必ず取り合いましょう。相互の考え方を共有し、現状をスムーズに進めるだけでなく今後この脅威がさらに重症化した場合には、どのように経済活動を行うか継続的な話し合いを推進しなければなりません。また、現時点でパンデミックを共に乗り越えることによって今後のビジネスもより円滑な関係を築くことができます。

ピンチこそブランディングを見直す時

ピンチの時にこそその企業の本質が見えてきます。だからこそ、今ブランディングを見直す時です。自社としてこのパンデミックに立ち向かうマインドと事業方向を、経営陣が改めて見直し、そして方向性をステークホルダーへ今まで以上に伝えていくことによって、より親密な関係性を築くことができ、今後のビジネスのさらなる発展していくことができます。