120kg運送可能、IoTでネットに接続。ハードもソフトも進化する自転車事情

元メカエンジニアの工業製造業系ライターの馬場です。製造業に関連する気になるニュース、製品、技術などを取り上げていきます。

今回は進化する最近の自転車事情についてです。

120kgの荷物が運べて小回りも効く電動アシストサイクル

佐川急便が、3輪電動アシスト自転車の開発製造販売を行う豊田TRIKEと、業務用電動アシスト自転車「TRIKE CARGO」を共同開発しました。

豊田TRIKEと佐川急便が共同で業務用電動アシスト自転車「TRIKE CARGO」を開発

TRIKE CARGOは荷台を牽引する構造になっていて、最大で従来の4倍となる120kgまで荷物を搭載することが可能です。2つの前輪が傾きに合わせて上下に連動して動く「シンクロシステム」は、11か国で特許取得済み。このシステムにより、段差や傾斜でも車体が垂直に保たれ、安定した走行ができます。ペダルは電動アシスト式で、サドルよりもペダルがやや前方に取り付けられたセミリカンベント型。快適な走行が可能です。荷台部分に荷物を載せた台車を直接積載し、ワンタッチでロックおよび解除が可能で積み替え作業の軽減もされているそうです。

2006年の道交法改正で、民間委託による駐車違反取り締まりが開始されて以降、一時駐車する宅配業者の車両の取り締まりが厳しくなりました。そのころから、リヤカーを付けた自転車で荷物を運ぶ宅配業者をよく見かけるようになった気がします。初めてリヤカー付き自転車で配送しているのを見たときは、電動アシストではない自転車で配送していたと思います。荷物も相当重いだろうし、配達員の人はかなりの脚力と持久力のある人じゃないと務まらないなと見ていた記憶があります。近年では業務用のリヤカー付電動アシスト自転車が各種販売されています。2017年には荷物運搬用のリヤカーをつけた専用の三輪電動アシスト自転車は、補助比率が通常の電動アシスト自転車より大きくすることが可能になり、いわゆる物流のラストマイルといわれる部分は自転車の比率が上がってくると予想されています。

豊田TRIKEのホームページを見ると、荷物の運搬や配送に限らず、病院や介護施設の送迎用車両として、ゴルフ場のカート、観光地でのサイクリング、災害時の物資の運搬など様々な利用シーンを想定しています。

豊田TRIKE

最近、高齢者の運転する自動車による事故が問題となっていますが、生活インフラとして自動車がなくてはならない地域もあり、簡単には解決できないところがあります。それほど遠くない未来には自動運転が実用化され、問題が解決されるかもしれません。しかし、それまでの間は、こういった自転車が、多少なりとも問題解決の助けになると思います。電動アシストで坂の上り下りも楽。三輪なので乗り降りの際も安定しています。かなりの量の荷物の運搬もできるので、短い距離での買い物や移動手段としては最適ではないでしょうか。あとは、屋根がついているとありがたい。傘を持って片手で自転車に乗ってはいけないし、雨合羽は暑がりの私にはサウナスーツ着ているようなもの。着ていても着ていなくても服がビショビショになります。暑がりは、自転車に乗ったら風を感じたい生き物なのです。

自転車もIoT、シェアの時代

自転車は電動アシストや車輪の運動機構などの機械的な性能向上だけでなく、デジタル技術を活用したソフト面での発展も進んでいます。パナソニックでは、スマートロックを搭載したIoT電動アシスト自転車を開発しています。

IoT電動アシスト自転車を開発、実証実験開始

開発された自転車は、通信機能を備え、インターネットに接続することでスマートフォンから電子錠を開錠したり、利用料の決済ができます。GPSにより距離やルートなどの走行データを取得。追尾もできるので防犯性も高まります。電池残量などの自転車のメンテナンスにかかわる情報も取得可能です。

最近は、都内だとコンビニ前や駐車場、ちょっとした空きスペースにシェア自転車置き場があって、スマホで簡単に利用できます。中国ではシェアサイクル事業が爆発的に普及し、放置や廃棄された自転車が問題になっているなんてニュースが少し前に出ていました。日本もようやくシェア自転車が普及してきた感じがします。都内で利用している人を見かけることも多くなりました。観光地でレンタルサイクル屋があれば利用するので、都内だけでなく全国的に普及してくれるとありがたいです。

ところで、自転車の性能向上の話とは違うのですが、自転車というと、同じく都内でUber Eatsの配達をしている人を見かける機会が増えました。蛍光の緑や黒い四角い専用のザックを背負って自転車で走っています。配達先までのルートはスマホで確認できるので、道に不慣れな人でも配達員ができます。

1999年に公開された草彅剛、飯島直子などが出演する「メッセンジャー」という映画の中で、こんなシーンがありました。草彅剛が演じる鈴木宏法が経営する自転車便の会社が、色々あって今までにない大量の配達を請け負うことになります。社員総動員で何度も行き来して配達を行うが手が回らない。そこで、加山雄三が演じる元警察官の島野真が司令塔となり、無線で各自の現在位置を確認しながら最適ルートや、仕事の配分を指示。最高の業績を叩き出します。20年の時を経て、それがスマホとAIで誰でも簡単に利用できるようになりました。便利な時代になったものです。

シェアリングエコノミーが自動車業界に与える影響

シェアリングエコノミーの影響を大きく受ける自動車業界

シェアリングエコノミーの普及により、最も大きな影響を受けるのが自動車業界と言われています。このブログを読んでいる方の中で自動車業界の仕事に携わっている方も多くいらっしゃると思います。

そこで、今回のブログでは自動車業界におけるシェアリングエコノミーの一般知識から、現状どのような動きが起こっていて、将来的にどのような変化が起こり得るのかについて書いていきます。

自動車業界におけるシェアリングエコノミーの一般知識

自動車業界のシェアリングサービスと言えば、Uberなどの相乗りサービスや、タイムズなどの車を借りることのできるサービスが代表的かと思います。これらのサービスは総称してモビリティサービスと呼ばれ、カーシェアとライドシェアの2種類に分けられます。

市場がどれくらい成長しているかというと、カーシェアで言えば2010年に1万人強だった会員数は2017年に初めて100万人を突破(公益財団法人交通エコロジーモビリティ財団)するなど、成長性は非常に高いです。

※公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団調べ

具体的にどのようなサービスがあるか

タイムズカーシェア

法人対個人におけるカーシェアの分野ではタイムズカーシェアがダントツで利用者数が高いサービスです。法人版サービスでは運転者の利用状況だけでなく従業員の運転傾向なども分かりとても便利です。弊社でも数年前に社有車をすべて売却し、カーシェアに切替えたことで大きなコストダウンを図ることができました。

Anyca

個人対個人におけるカーシェアの分野ではDeNAが運営するAnycaが、特に都心部で伸びています。弊社社員もオーナー側で利用していますが、外車でMT車という特殊な車種にもかかわらず、月の駐車場代ぐらいはペイできるそうです。

Uber

ライドシェアは世界的にはUberが有名ですが、日本での利用者は少ない状況です。日本では、自家用車を用いるライドシェアは「白タク行為」として禁止されており、交通不便な過疎地域等でしか認められていません。海外では都心部での利用が中心となるため、この規制が緩和されない限り日本での利用促進はないでしょう。しかし、日本の都心部では流しのタクシーがそこらじゅうを走っていますから、規制が緩和されても利用者は海外ほど伸びないのでは、とも言われています。

自動車メーカーの取組み

このような流れに最も影響を受ける自動車メーカー各社も黙っているわけではありません。国内外のメーカーの動向、更には新規参入企業がどのような動きを行っているかを紹介していきます。

国内外メーカー カーシェア事業の取組み

日本や欧米の自動車メーカー各社もカーシェアおよびライドシェアの分野へ参入を行っています。下記のように欧米のメーカーは積極的に取り組んでおり、関連サービスも手掛けている企業が少なくありません。

※出典:三井住友銀行レポート「自動車シェアリングの動向」

日本では、トヨタ、ホンダ、日産がカーシェア事業に取り組んでいますが、市場のほとんどはレンタカー事業を行っていたタイムズやオリックスといった会社に席巻されている状況です。

ライドシェアは新規参入企業が増加

ライドシェアに関しては自動車メーカーだけでなくIT企業を中心に様々な企業が出資や参入を行っています。ライドシェアの分野では、サービス事業者が自動車を保有する必要がありませんから参入障壁が低く、激戦市場になることが考えられます。既に自動車メーカーだけでなく、下記のような様々な企業が参入しています。

※出典:三井住友銀行レポート「自動車シェアリングの動向」

自動車業界への影響

上述したようにシェアリングサービスの成長率は高く、徐々に自動車業界に与える影響は大きくなると考えられます。具体的に自動車業界にどのような影響があるのかを考えます。

普及のポイントは「乗り捨て」が出来るようになるか

日本ではまだレンタカーと同じように、借りる場所と返す場所が同じ「ラウンドトリップ方式」が主流ですが、乗り捨て(ワンウェイ方式と呼びます)が出来るようになれば爆発的普及となるのではないかと考えています。

ワンウェイ方式が可能になれば、通勤や営業時の移動などでちょい乗りする、という需要を拾えるようになりますし、帰省時に使えるようになったりと、利用用途が一気に広がります。

GMが乗捨サービスを開始(Maven(メイブン))

GMが運営しているカーシェアサービス「Maven」は、世界でも珍しい乗り捨ても可能なサービスです。
参考:スマホで解錠・返却可能なGMのスマートカーシェアリングサービス「Maven」が目指す未来とは?(by Gigazine)

Times Car PLUS × Ha:mo

日本では都内でワンウェイ方式のカーシェアができないか、カーシェア業界最大手のタイムズが実験的にスタートしています。ワンウェイ方式では通勤や営業時の移動などが中心となるため、「Ha:mo(ハーモ)」という一人乗りの自動車を開発し普及を目指しているようです。

自動車業界にどのような影響があるのか

カーシェアの利用者が増えると、自動車の生産台数が減るのではないかと思われるかもしれませんが、地方での自動車保有者は減らないと予想されるのと、都心部でも自動車未保有者の自動車利用率が向上することから全体の生産台数は減らないのではないかと言われています。

ただ、自動車業界にとって新規参入業者が増え業界全体の再編が行われることは避けられないと思われ、下記のような変化が起こるのではないかと思います。

  • 自動車メーカーの中心顧客が個人ではなくカーシェア事業者へ変化
  • 乗り捨て専用の自動車、電気小型自動車が多く登場する
  • 自動車を製造するのが自動車メーカーだけとは限らない(IT業者の参入)
  • 電気自動車(=家電に近い)製造における異業種サプライヤーとの競争
  • 異業種からの新規参入者に対しては、自動車製造のノウハウを持っているサプライヤー側が主導権を握れる可能性が高まる

変化に対する準備と心構え

ものづくり経革広場の読者の中には自動車業界に携わるサプライヤー企業の方が多くいらっしゃると思います。サプライヤー企業はこの変化に対し、どのような準備を行い、どのような心構えを持つべきなのでしょうか。

個人的な考えとしては、様々なプレイヤーが参入し業界のルールが大きく崩れる中で大きな強みとなるのが「スピード」だと思います。変化の激しい業界の中で常に勝者となるのはスピードの早い企業です。そういった企業との取引にいかについていけるかが鍵になるのではないでしょうか。

日本のサプライヤー企業は中国に比べスピード感に劣ると言われています。しかし、これからの時代でそれは命取りになるかも知れません。下記は以前にもご紹介した4コマ漫画ですが、これが笑い事にならない時代になるかも知れませんので、今から心して準備する必要があるかも知れません。

※出典:カデーニャファクトリー

製造業×シェアリングエコノミーの可能性

製造業におけるシェアリングエコノミー普及の可能性

UberやAirbnbなど、シェアリングサービスが爆発的に普及しています。現状では消費者間をマッチングするサービスがほとんどですが、今後は会社間のマッチングを支援するプラットフォームが増えていきそうです。これまでの動向を見ていると、資産価値が高く使用頻度が少ないものがシェアリングエコノミーに巻き込まれる傾向が見受けられます。その傾向から考えると、今後は製造業の設備なども当てはまるかも知れません。

今回のブログでは、今後の製造業におけるシェアリングエコノミーの可能性について探っていきます。

可能性① 製造業でもエンドユーザ同士が結びつく

1つ目の可能性は、製造業でもUberやAirbnbのようにエンドユーザ同士が結びつくサービスが普及する可能性です。具体的には自社の設備や人員を会社間でシェアできるようになる、といったイメージです。

しかし、普及における大きな課題として、各工場が抱える機密情報により工場内に外部の人間が入ることが許されない場合が多いことが挙げられます。シェア用に設備スペースを設けるなどすればよいかも知れませんが、そこまで設備投資を行うほど市場が出来上がっていないのでリスクが大きいのが実情かと思います。

この分野に関しては、新サービスが少しずつ増えていますで後ほどご紹介いたします。

可能性② 工作機械メーカーがシェアリングサービスを始める

カーシェアの分野では、Anycaのようにエンドユーザ同士のカーシェアを支援するプラットフォームもあれば、タイムズのように事業者が所有する車をエンドユーザにシェアする形のサービスもあります。

可能性①で記載した普及のための課題をクリアできない場合、タイムズのように事業者がエンドユーザへサービスを提供する形のほうが製造業では普及しやすいのかも知れません。例えば、工作機械メーカーがシェアリングサービスを始め、各地にシェア工場を開設し時間貸しで機械を利用できるようにする、といった感じです。

これは工作機械メーカーのビジネスモデルが大きく変わるので、業績が堅調なうちは動きがないかも知れません。しかし、あらゆる産業におけるビジネスがストックモデルを目指し始めている背景からも、工作機械メーカーや新規参入者が当サービスを始める可能性は十分に考えられます。

可能性③ オンライン完結でものづくりができるサービス

3Dプリントの分野に特化し、世界各地の工場設備の生産力をシェアしてもらえるサービスを提供しているカブクといった企業がいます。ものづくりを仲介するという意味では従来の商社とやっていることは似ていますが、オンラインでものづくりの発注業務を完結できるように仕組化していることが全く違うところです。

オンライン化により受注業務に人が介在しないことで圧倒的に安くできます。また、オンラインで工場をつなぐことで、空いている工場を探す時間が不要になり圧倒的に早くサービスを提供することが可能になります。IoTやロボティクスが普及する中で、空いている工場の生産力をまとめ(シェアしてもらい)、生産工程の一部をオンライン化することで付加価値を見出すようなサービスは今後増えていきそうです。

製造業向けシェアリングサービスが増え始めている

ここ最近、最もハードルが高いと考えられている可能性①の分野において新規参入業者が増え始めています。どのプラットフォームもまだ参加ユーザは少ないですが、今後の動向に注視していきたいものばかりです。

シェアリングファクトリー(日本特殊陶業株式会社)

工場間で加工設備などをシェアリングできるサービスです。四輪・二輪車向けエンジン点火プラグと排ガスセンサーを扱う日本特殊陶業が新規事業として始めました。

ものづくり補助金などで設備投資を行う機会は増えたが、高機能すぎて使う機会がなかったり、操作できる人員がいなかったり、稼働率がなかなか上がらないという悩みはよく聞くので、そういった悩みを抱える企業の参加者が増えるかも知れません。

エクイップ(Anyble株式会社)

計測器・測定器に特化したシェアリングサービスです。計測器・測定器などを地方自治体が運営する施設でレンタルすることは多いと思いますが、そのような貸し借りを誰でも活用できるようにするプラットフォームです。

製造業では普及に時間がかかる?

様々な可能性について言及してきましたが、製造業のシェアリングエコノミー普及については、各工場が抱える機密情報がクリアできるかどうかが最大の課題となり、数年での普及は難しいと考えられます。

エンドユーザ同士が直接取引できるプラットフォームができたとしても、課題がクリアできない場合は、メルカリのように設備の売買をエンドユーザ同士で直接行うサービスが限界なのかも知れません。

いずれにせよ、製造業においてこの分野は大きな変化をもたらす可能性は非常に高いので、引き続き動向を追っていきたいと思います。

シェアリングエコノミー時代の新たなマーケティング手法

シェアリングエコノミーの広がりと社会の変化

ものづくり経革広場の徳山です。最近「シェアリングエコノミー」という言葉をよく耳にするようになりました。個人の力を新たな経営リソースとして取り込んでいくことのできる新たな仕組みとして、弊社でも数年前から活用を始めています。

シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーの定義は下記のとおりです。

「物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み。自動車を個人や会社で共有するカーシェアリングをはじめ、ソーシャルメディアを活用して、個人間の貸し借りを仲介するさまざまなシェアリングサービスが登場している。(By コトバンク)」

ここに記載されている通り、ここ数年で本当に様々なサービスが登場しています。有名なところで言うと「Airbnb」や「Uber」が挙げられます。しかし、個人間での利用が大半であり、冒頭に記載した「企業が経営リソースとして活用する」といった取り組みはこれから本格化すると考えています。

なぜシェアリングエコノミーが広がっているのか

定義の中には「物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み」とありますが、このような仕組みは昔から存在しました。物々交換やご近所さん同士の物の共有など、むしろ現代より一昔前の方が頻繁に行われていたのではないでしょうか。

しかし、最近言われているシェアリングエコノミーでは、インターネットを介して知らない人同士で不特定多数と繋がる仕組みとなっている点が大きな違いです。それでは、なぜ最近になってこの仕組みが広がり始めているのか?下記2つの要因によりシェアリングエコノミーが拡大する仕組みが整い、急速に広がり始めていると言われています。

  1. スマートフォンの普及
  2. ソーシャルメディアの普及

スマホの普及により、場所を問わずインターネットに繋がる環境ができたので双方感のコミュニケーションが格段に取りやすくなったのと、ソーシャルメディアが普及したため、知らない人と繋がるという心理的ハードルが大きく下がりました。

上記に加え、消費者のニーズの変化(所有欲の減少、シェアリングエコノミーを通じた人とのつながり)も大きなポイントかと思います。

シェアリングエコノミーが起こす様々な変化

シェアリングエコノミーが普及することによって、様々な社会的変化が予測されています。

  • 新たな資本主義の在り方

所有や消費ありきではない新しい生き方や、既存の社会システムからの脱却を目指す人が増えると言われています。エコロジーという観点からは良い変化だと言えるでしょう。従来の資本主義経済とは異なる点が多いので、様々な軋轢を生むことは必至かと思います。

  • マイクロアントレプレナーの増加

スマホと遊休資産さえあれば空き時間で稼げるようになります。中にはクラウドソーシングで1,000万円以上稼ぐ人も登場しているようです。特に仕事のない地方では地域活性化の手段として注目されています。人口が都心へ一極集中する中、地方へ人材を流動させる上で必要な仕組みと言えます。

  • 既存産業との対立

従来の資本主義と考え方が異なるがために、シェアリングエコノミーに関連するサービスは既存ビジネスの問題解決につながりますが、競合するモデルでもあります。そのため、シェアリングエコノミーにより生まれるサービスは、常に既存産業保護のための規制との戦いに発展します。

企業の新しいマーケティング手法としてシェアリングエコノミーを活用する

新たなマーケティング手法として、企業がシェアリングエコノミーを活用するケースが増え始めています。活用する上で抑えておきたい社会的変化とともに、具体的な活用法をご紹介します。

大きな社会構造の変化

シェアリングエコノミーの普及により、これからの時代は政府・企業が中心ではなく個人の時代へと変わっていきます。マーケティングの分野においても、今まではマーケティング活動を行うのに、行政や企業のサービスを活用する機会がほとんどでしたが、これからは個人の力を活用する方法も大きな一手とななってくるでしょう。

一例として、顧客開拓の手段として活用できる「リファラル営業」の仕組みをご紹介します。

最近浸透し始めた「リファラル営業」という言葉

「リファラル(referral)」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。「リファラル(referral)」とは英語では紹介・推薦という意味です。この言葉を使った新たなサービスが生まれ始めています。

この領域では一足早く「リファラル採用」という言葉が広まっています。「リファラル採用」とは、人材募集の際、社員を通して知人・友人の紹介・推薦を受け、採用選考を行う手法です。日本ではまだまだですが、欧米などではそれなりに普及している手法です。

さらに最近では「リファラル営業」という言葉をよく聞くようになりました。「リファラル営業」とは個人からの紹介・推薦により見込み顧客との接点を作り、顧客獲得を行うという新たな営業手法のことです。

個人の力を活用したマーケティング手法とは

「リファラル営業」を説明するためには具体的なサービスを紹介した方が早いでしょう。最近弊社でもよく使っているのが「SalesHub」というサービスです。このサービスには「商材を販売したいと考えている企業ユーザ」と「顧客とコネクションを持っている個人ユーザ」が登録しています。個人ユーザは自身のコネクションを活かし、企業へ顧客を紹介することで紹介料をもらうことができる、という仕組みです。

自身の人脈をお金に変えることを、知人を売っているようで気持ち悪いと感じる人もいるかも知れませんが、企業が効率よく顧客を開拓する手段として大きく注目されています。利用者も急増しており、マッチング数もかなり増えてきているようです。色々と課題はあると思いますが、皆さんも活用してみてはいかがでしょうか。

これから更に話題となっていくであろう「シェアリングエコノミー」についてご紹介させていただきました。企業としてどう活用していくか、引き続き皆さんと考えていければと思います。