中小製造業が自社製品を作るにあたっての心構えと社内への影響

こんにちは、テクノポートの渡部です。本日は先日行われたオンラインセミナー

自社商品開発先駆者インタビュー「クラウドファンディング成功の秘訣」

について、内容を一部要約して紹介したいと思います。前編についてはこちらに公開されていますので、お時間のある方は是非ご覧ください。

セミナータイトル

自社商品開発先駆者インタビュー「クラウドファンディング成功の秘訣」

セミナー概要

日時:2021年7月21日(水)13:00-14:00
場所:Web会議ツール「Zoom」でのオンライン開催

セミナー内容

  • 自社商品開発のメリット、デメリット
  • クラウドファンディングのメリット、デメリット
  • 自社商品のマーケティングはどうすればいいのか?

インタビュアー

株式会社石井精工 石井 洋平 様 株式会社シマワ 島口 棟伍 様

自社商品開発をやろうと思ったきっかけとどのような道のりだったでしょうか?

石井様:仕事の中に面白みを持たせたいということと、前々から自社ブランドを持ちたいという思いはあったので、自分なりの良いタイミングだなと思ったところで始めました。候補となる協業できるような会社とコンタクトを重ねていく中で、相手にされない期間も長かったですが、地道に活動の途中でセメントプロデュースデザインと繋がることができました。自社にはない商品開発のノウハウを追っている会社だったので、そこから一気に販売前プロジェクトを進めることができました。

金型屋の仕事の場合、注文を受けてから加工をするというのが通常であるため、注文を受けない中で商品を作るということには社内からの反発もありましたが、形になっていく過程で社内の理解も得られ、実際に販売が形になっていくころには認めてもらえたという感覚がありました。

島口様:製造業の仕事だけでは景気の波に左右されることがあり、経営の多角化をしないといけないなとは以前から考えてはいました。たまたまコロナ禍で手が空いたこと、町工場の展示会の繋がりから自社商品開発を支援してくれるデザイナーと繋がれたことなどが重なり、一気に自社商品開発を進めることができました。

弊社の場合は、製品がスピーカーということもあり、面白がって背中を教えてくれたので、スムーズに進めることができました。

クラウドファンディングとの付き合い方について

石井様:私が挑戦したのは2016年でデザイナーからの提案で始めました。当時は返礼品としての意味合いの方が強いと感じていたんですが、マーケティング活動の一環として取り組もうという説明を頂き、確かにそれならテストマーケティングとしても使えるなと思って取り組みました。資金がそんなに捻出できない中で小さく始めるという観点から言うと、クラウドファンディングは中小製造業が自社商品の開発・販売を始めるのにすごく良いツールだと思います。

島口様:私が取り組んだのは最近で、もうクラウドファンディングというよりはマーケティング、メディアの一つとして活用するというのが一般的になっていました。資金を集めるという考え方よりは、活動の中で自社の商品の強みは何かという見つめ直しや、どの層に刺さるのかといったテストマーケティングの情報収集ができるという考え方の方が重要で、その情報はその後のマーケティング活動にすごく役立っています。

自社商品開発をしてよかった事

石井様:自社商品開発をで変わったことは品質管理の考え方ですね。これまでに自社が作っていた金型の場合、多少の傷がついていても、成型品が問題なければいいという考えがありましたが、今回製品ではなく商品の製作をしたことで、過剰品質まではいかなくても、社内の品質管理の意識はぐっと変わったと感じています。

島口様:今回の自社商品開発を進める中で同業他社の2代目、3代目の方々との人脈が広がったのはよかった事だと思います。今後、自社商品の機能拡張パーツを作りたいと名乗り出てくれた会社もあり、波及効果はいろんなところに出てきています。あとこれまではサプライヤーの要望に応えるという仕事に比べると、「楽しい」ということが大きいですね。

 

いかがでしたでしょうか?今回はインタビューさせて頂いた中の一部について要約をお伝えさせて頂きましたが、前編はYoutubeにてアーカイブを公開しておりますので、そちらをご覧いただけたらと思います。

引き続きオンラインセミナーは開催をしていく予定ですので、今後ともよろしくお願いします。

次回セミナー講演予定の株式会社由紀精密はどんな会社??

日経ものづくりにて株式会社由紀精密がデータサイエンティストの育成に注力している記事を拝見しました。IoTありきで現場改善をするのではなく、まずは自社でデジタル化に関して、何が必要で何が必要ではないのかしっかり判断できる体制を作ること。その結果、膨大なデータを処理する必要性が出てくれば、その際はIoTも検討の選択肢に入れるという考え方で、そのために必要な人材としてデータサイエンティストを育成するという内容でした。今後、中小の製造業でも必要となる人材なのだと感じました。

先日、同社の工場を見学させて頂いたのですが、とてもきれいに整理整頓されていましたが、最先端のIoTを取り入れた工場ではなく、アナログとデジタルをうまく融合させ、現場で使いやすいを一番に考えた工場という印象を受けました。多種少量を主とする加工業なので、がっつりIoTを取り入れるよりも、ある程度柔軟性のあるアナログを残しつつデジタル化を図ることの方が自社の強みを活かしやすいと仰っていました。

前置きが長くなってしまいましたが、次回セミナーで講演して頂く予定の由紀精密がどんな会社なのか簡単に紹介いたします。

株式会社由紀精密の事業内容と業績

会社名 株式会社由紀精密
代表取締役 会長 大坪 由男
社長 大坪 正人
資本金 3,500万円
設立 1961年7月
従業員数 47名(パートタイマー7名含む)
住所 本社 / 茅ヶ崎工場
神奈川県茅ヶ崎市円蔵 370
横浜ファクトリー
〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜3-18-5 アイズビル9階
東京オフィス
〒104-0031 東京都中央区京橋2-6-14 日立第六ビル6F
海外拠点
海外拠点 フランス 会社名:YUKI Précision SAS
Immeuble New Deal 2c 24 Rue Salomon Reinach 69007 Lyon FRANCE

※同社ホームページより

創業は1950年、当時は電機、電子関連のネジづくりを主に行っていた会社で、1991年の2億5千万の売上をピークに売上は減少の一途をたどっていたそうです。廃業間近というタイミングで2006年に現社長の大坪正人さんが常務として入社し、その後V字回復、急激に業績を伸ばし、当時の取引先とは全く分野の異なる航空宇宙業界、先端医療業界など技術力を求められる業界に飛び込み、実績と信頼を作り、2017年には天皇陛下も皇太子時代に視察されたという超優良企業です。当時の様子はこちら

売上高は年10%のペースで拡大し続け、2019年現在は2006年の4~5倍にまで売上を伸ばしています。

メディアに取り上げられた取り組みの一部

超精密コマ

※同社ホームページより引用

由紀精密は、2012年全日本製造業コマ大戦にて初代王者となりました。何種類もの試作を作ってたどりついた独楽は、3分間以上回り続ける高い技術力を世に知らしめ、注目を浴びました。まるで止まっているかのように見える独楽はアート作品とも呼べるでしょう。

製品紹介ページはこちら

超精密腕時計

※同社ホームページより引用

日本を代表する独立時計師である浅岡肇さんと、工具メーカーのOSGとの共同プロジェクトで生み出された製品でムーブメントからオリジナルで設計して作るというこだわりぶり。特に売れなくても技術を売る宣伝効果は充分あったそうです。

製品紹介ページはこちら

INDUSTRIAL JP

※同社ホームページより引用

INDUSTRIAL JPは日本の町工場をレーベル化するプロジェクトで、主役は、日本のテクノロジーを支える高い技術力を持った町工場です。緻密な製造工程の映像と音、音は気鋭のトラックメーカーがリミックスしています。動画で見て頂くとその世界観に吸い込まれる中毒性があります。映像なしの作業BGMとしてもオススメです。

動画を見たい方はこちら

世界最小ハンドスピナー

※同社ホームページより引用

ミネベアミツミ株式会社が開発した直径1.5mm世界最小のボールベアリングが使われている世界最小のハンドスピナーの製作に協力。遠心力の問題で強度が必要になり、強度を保てる大きさとの兼ね合いに苦労されたそうです。

製品紹介ページはこちら

次回のセミナーで知ってもらいたいこと

広報、ブランディングの重要性

特に注力して行っているのが広報です。中小製造業で広報というのは聞き慣れないですが、顧客開拓の必要性から考えても必要性が高い課題です。由紀精密では大坪社長の入社当時から、特にWebマーケティングに力を入れています。

人を活かす人材育成

由紀精密らしさを各社員が考え、自発的に取り組んでもらえるような育成に力を入れています。各方面で任せられるスペシャリストの育成に取り組んでいます。

ホールディングスの思想の根本

なぜ、ホールディングスを作ろうとしたの??そこにはそれぞれの会社の強みを引き立たせ、魅力ある中小製造業の集合体を実現させる理想と強い思いがあります。

次回セミナーのご案内

次回のセミナーは10月24日(木)を予定しています。ご興味を持っていただいた方は是非お気軽にご参加ください!!

【セミナー概要】
共同企画:テクノポート×メーカーズリンク×ものづくり学校
テーマ:技術磨き宇宙へ!! 由紀精密3代目の挑戦
講師:株式会社由紀精密
代表取締役社長 大坪正人
期日:10月24日(木)
時間:18:00~21:00(受付開始時間17:30~)
場所:世田谷ものづくり学校
1F:IID Gallery(101号室)
住所:東京都世田谷区池尻 2-4-5
参加費:4,000円

→お申し込みはこちらから

【セミナーレポート】キャステム 戸田社長の講演


(左:株式会社キャステム 戸田社長、右:株式会社浜野製作所 浜野社長)

こんにちは、テクノポートの永井です。2019年5月29日(水)に第5回 TECHNO-PORT TALK NIGHTを開催しました。今回の株式会社キャステムの戸田社長にご講演いただきました。
株式会社キャステム:http://www.castem.co.jp/

株式会社キャステムはロストワックスとメタルインジェクションを得意とし、グループの従業員1500名以上、アメリカを始めとして海外に4拠点から更に拡大をしている、日本でもっとも勢いのある製造業の1社です。戸田社長は日本紙ヒコーキ協会会長の肩書きも持っており、紙飛行機の室内滞空時間のギネス記録(29.2秒 )をお持ちのとんでもない人です。


(右がギネスをとった紙飛行機と同じモデルの紙飛行機)

今では大活躍中の戸田社長ですが、はじめのうちは苦労の連続だったそうです。今回のセミナーでは過去の経験、今の活動、そしてと戸田社長の考え方をお話いただきました。

1.めげずに何度も何度も来るやつは可愛い!

現在では株式会社キャステムの主力技術であるメタルインジェクション(MIM)ですが、導入する際は日本に技術を持っている企業は少なく、技術を使用するためにはアメリカに2億円のライセンスを支払わなければならない環境でした。しかし、そんな費用は払えません。そこで戸田社長はMIMを研究してる大学の教授に教えを求めにいきました。大学の教授は大手企業と共同研究をしているため、ノウハウを教えることはできないと、戸田社長を一蹴します。普通なら諦めるところですが、戸田社長は諦めません。

戸田社長:「教えてください。」
教授:「いえ、できません。」

戸田社長:「そこをなんとか教えてください。」
教授:「いえ、できません。」

戸田社長:「どうしても教えてほしいんです。会社が大変なんです。」
教授:「いえ、できません。」

戸田社長:「わかりました。なら、ヒント!ヒントを教えください。」
教授:「ヒントも教えられません」

戸田社長:「一つでいいんです。一つだけヒントを教えてください。一つだけ!」
教授:「・・・。わかりました。なら一つだけですよ。ヒント一つだけですよ!」

戸田社長:「ありがとうございます!」

そして、会社に帰って、もらったヒントを基に試行錯誤してみますが、MIMはうまくできませんでした。またもや戸田社長は教授に会いに行きます。

戸田社長:「頂いてヒントでやってみたのですが、できませんでした。」
教授:「そうですか。残念ですね。ではっ。」

戸田社長:「もう一つだけ!もう一つだけヒントをください!!」
教授:「いえ、この前教えたじゃないですか。」

戸田社長:「でもできなかったんで、もう一つヒントをください!」
教授:「わかりました。では、もう一つだけですよ!」

戸田社長:「ありがとうございます!」

そして、会社に帰って、もらったヒントを基に試行錯誤してみますが、MIMはうまくできませんでした。またもや戸田社長は教授に会いに行きます。ということを何度か繰り返し、技術を自分のものにしたそうです。三顧の礼ではありませんが、何度も何度もくじけずに挑んで来る人に人は弱いということを教えていただきました。そんな戸田社長自身も「めげずに何度も何度も来るやつは可愛い!」とおっしゃっていました。

2.インパクトを与え、記憶に残ってもらえることが大切

「1枚の名刺に20円以上掛けていることころは絶対に成功しない。」成功した経営者がそのように言っているのを聞いた戸田社長は「それならとことん費用を掛けてやる!」と1枚1000円の名刺を作ったそうです。名刺にミニチュア工具を付けて、さらに開いたら飛行機が飛び出るようなものを作りました。

  1. 大手企業の担当と名刺交換をする
  2. 担当が会社に帰って、みんなに自慢して見せる
  3. キーマンとなる上司がその名刺を欲しくなる
  4. でも、担当からはもらえない
  5. 名刺交換が目的でキーマンとなる上司と直接会うことができる

という流れで、多くの企業のキーマンと出会えたそうです。自社の技術力、アイディア力の詰まった名刺に、1000円というコストをかけてインパクトを与えることで、トップ営業につなげるセンスは真似のできるものではありません。

3.何事にも真剣に取り組む姿勢を社員に見せ続ける

戸田社長の強さは強靭なまでの本気度にあります。何かを攻めるときはすべての人脈を駆使しして、どうすればターゲットの人にうまく会えるのか、どうすればその人の心を動かせるのかということを本気で考え、本気で実行し、目的を達成する力があります。

あるブランドとの取引をするためにフランスに行ったときに、現地でたまたまそのブランドに詳しいおばちゃんと出会い、なんとその場で即採用。そしてそのままブランド本体との会議に出席させ、相手の心を掴んだそうです。(同行した社員には止められたそうですが笑)

また、飛行機のギネス記録に挑戦している最中は、新幹線の中でも飛行機を飛ばす訓練をし続けていたそうです。

そのように、何かを達成するために人の目を気にするのではなく、何が本質か、何が必要かを考えて、行動する。そして、その姿勢が「社員を変え、風土を変え、会社に力を与える」ということを教えていただきました。

まとめ

株式会社キャステムの戸田社長の情熱、発想力、行動力を目の当たりにしたセミナーでした。戸田社長は本業以外にも、子どもたちの教育のあり方やこれからの日本を良くするために日々挑戦し続けています。非常に魅力的な方で、社長の魅力に引き込まれました。皆様も戸田社長の講演をお聞きする機会があればぜひ聞いてみてください。

次回のTECHNO-PORT TALK NIGHTは8月に開催予定です。詳細が決まりましたら、このモノカクのサイトやFacebookなどで告知いたしますのでぜひご参加ください!

「令和」グッズ最速で製作、2,500個も受注した株式会社キャステムってどんな会社?

こんにちは、テクノポートの渡部です。

先日4月1日に発表された新元号「令和」。発表に合わせて様々なところで新元号に関するグッズが発表されました。中でも発表から2分27秒で「令和」の文字が刻印されたぐい飲みを発売し、発売から30秒で最初の注文が入ったのを皮切りに、予定していた50個はわずか5分で完売、夕方には予定をはるかに超える2,500個以上の注文を受けた会社があります。テレビでもニュースになって報道されていたのでご覧になった方も多いのではないでしょうか?

それは、株式会社キャステム。一体どんな会社なのでしょうか?

キャステムの会社概要

従業員数250名以上、グループ企業全体の従業員数は約1,500人。

製菓会社として創業し、工場の隅で鋳物づくりの技術を完成させ、他社には真似できないハイレベルなロストワックス精密鋳造技術を確立した、広島県福山市に本社を構える会社です。

株式会社キャステムのここがスゴイ!

1、ロストワックスの技術がスゴイ!

株式会社キャステムホームページより引用

引用元:http://www.castem.co.jp/technology/lostwax_product.html

これまで切削加工によってしかなしえなかった高精度のネジやギヤまで製造可能で、業界他社の追随を許さないハイレベルな品質を示しています。

2、会社の成長がスゴイ!

ホームページの会社概要を見ると

  • 2010年度 30億円
  • 2011年度 44億円
  • 2012年度 45億円
  • 2013年度 45億円
  • 2014年度 50億円
  • 2015年度 52億円
  • 2016年度 54億円
  • 2017年度 60億円

と2010年に30億円だった売上が、2017年には60億円の2倍にまで成長しています。倒産、廃業が続く鋳造業界の動向などどこ吹く風といった感じで、高度経済成長期並みの右肩上がりの成長を遂げています。

3、事業内容の範囲がスゴイ!

中心となる製造業としてのロストワックス、メタルインジェクションの他、CTスキャンや3Dプリント、試作品製作などの相談や依頼が可能なものづくりスペース「京都LiQビル」、「金属」をテーマにしたカフェで、個人のオーダーメイドサービスも受け付ける「IRONCAFe」のカフェ運営事業(2019年秋にサービスをリニューアルして「META MATE(メタマテ)」の名称で日本橋へ移転)、セールスプロモーション、各種販促イベントの企画、立案に加え、先日発表のあった農業事業への参入もあり、およそ製造業とは思えない事業範囲をカバーしています。

4、新しい取り組みがスゴイ!

先日の新元号に関するグッズを始め、ミニチュア工具セット、等身大のロビンマスク、元ボクシング世界チャンピオンの本人の手を型取りして製作した手型などなど、自社の技術を使って様々な新商品の企画にチャレンジしています。

その他の製品に関してはこちらを参照

また先日「みんなのロケットパートナーズ(略称:みんロケ)」が発足された際には設立時パートナーの1社として名を連ねており、広島のリアル下町ロケットの会社となりそうです。

5、社長がスゴイ!

そんな株式会社キャステムをまとめているのが代表取締役社長が戸田拓夫氏。自分がやりたいことを思いっきりできる会社にしようと、ご自身の理念で会社を大躍進させた手腕の持ち主です。

また、キャステム代表取締役社長という顔の他に、折り紙ヒコーキ協会の会長でもある戸田社長は、折り紙ヒコーキの滞空時間「29.2秒」のギネス世界記録保持者で、関連する書籍は30冊も出されている紙ヒコーキ界の第一人者。紙ヒコーキを飛ばそうとネパールの地では銃を突き付けられた経験や、数年前に安倍首相と共に南米への海外遠征に挑んだ際には、各国の大統領に紙ヒコーキを渡すミッションを見事完遂したという逸話もあります。

TEDでも登壇をしているので是非一度ご覧ください。動画内にはギネス世界記録になった折り紙ヒコーキを飛ばすの動画もあります。

そんな戸田社長の生の声を聴くチャンス

いろいろとスゴイ経歴の会社と社長ですが、来月5月29日(水)にその戸田社長をスピーカーにお迎えてして第5回 TECHNO-PORT TALK NIGHTを開催します。

夢をビジネスに変える力 〜倒産、廃業が続く鋳物業界で成長を続ける勝ち残り戦略とは~

【セミナー概要】
開催日時:2019年5月29日(水)18:00 〜 20:30
<17:30〜受付 18:00〜講演 19:30〜懇親会>
場所:Garage Sumida(ガレージスミダ)

場所は第4回と同じGarage Sumida。浜野製作所様のご厚意にあずかり、場所を提供していただけることになりました。前回参加頂いた方も、今回は浜野社長と戸田社長の対談も聞けるかもしれません。下記詳細を是非ご確認ください。

詳細はこちらかこのサイトのサイドバナーなどにリンクがありますので是非チェックしてみてください。

また今回のセミナ―に関して多大な協力を頂きました、株式会社メタマテの長瀬様、ありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。

皆様のご参加をお待ちしております。よろしくお願いします。

【講演会レポート】浜野製作所が取り組む「お客様」「地域」「スタッフ」への関わり方

2019年2月20日(水)に弊社主催のセミナー「TECHNO-PORT TALK NIGHT」の第4回を行いました。

今回は株式会社浜野製作所の浜野社長に、書籍まで出され活躍されるようになった「新しい仕事を生み出し続ける町工場の秘密」について講演して頂きました。講演会に参加できなかった方にも浜野氏の考え方を知っていただくため、講演内容をまとめました。

1.浜野製作所の紹介

浜野製作所は東京都墨田区に本社を構え、板金・プレスを中心とした金属加工業を営み、区内外に幅広い製造ネットワークを築き、製品開発支援まで手がける会社です。

当初はプレス加工による量産品で、先代より引き継いだ浜野製作所は2000年に隣の家の火事から工場が全焼しています。工作機械もすべて失ったため、蹴っ飛ばしプレス2台を購入し近くの工場を借り、焼けた工場から金型を回収し磨き、加工を再スタートしたそうです。当時、社長と従業員1名の計2名から再スタートし、今では従業員約40名、優れた町工場として天皇陛下がご視察にいらっしゃるほどの企業に成長しました。

これほどの成長の要因は??

成功させるためには経営戦略がすごいのでは?と思っていたのですが、今回のお話はそうではありませんでした。もちろん儲かる仕組みを考えビジネスモデルを構築することも重要で、その仕組みを作ってらっしゃるのですが、それ以前のマインドの部分に成功の秘訣があるように感じました。どのような良い仕組みや戦略を作ってもそれを実行するのは人です。どんな姿勢で仕事に取り組んでいるか?その方向性と本気度に人を引きつける魅力を感じました。

浜野製作所の経営理念

引用元 https://hamano-products.co.jp/company/vision/

浜野製作所の力の源はこの経営理念に現れています。2000年以降様々な苦労の中で、地域の皆様、お客様、スタッフから受けた恩とその感謝の念を忘れずに絶対に還元できる会社になる!!という決意表明が経営理念となっています。お客様に対しては決して裏切らない姿勢、地域の方々に協力したいと思っていただける姿勢、スタッフを大事にするという姿勢が込められた素敵な経営理念だと思います。その理念を掲げ、自らが先陣となり行動に移し、その理念に共感した従業員が集い同じ思いで行動する。そのため、浜野製作所には高学歴の人も多く在籍しています。前回のHILLTOPの山本副社長の講演の際にお聞きした「楽しくなければ仕事じゃない」という行動指針もそうでしたが、共感できる何かがあると大手も中小も関係なく人は集まるものだと感じました。

今回の講演で「普通の板金屋さんと浜野製作所の違い」は何かを考えると、ここが一番違うのではと思うポイントでした。掲げた理念を曲げずに社員一丸となって本気に取り組めるかどうかです。

その基盤を作りながら、何に対してどのように取り組むか?も重要です。取り組みについては数が多すぎて全てご紹介は難しいので良ければ浜野製作所HPをご覧ください  ⇒浜野製作所HPはこちら

Garage Sumida(ガレージスミダ)

Garage Sumidaは、創業から40年以上にわたり墨田区で板金・プレスを中心とした金属加工業を営み、区内外に幅広い製造ネットワークを築き上げてきた株式会社浜野製作所が運営するものづくりの総合支援施設です。

電気自動車HOKUSAI

東京スカイツリーの開業に合わせ、墨田区、早稲田大学、弊社をはじめとする墨田区の中小企業の産学官連携より観光型都市の環境に配慮した次世代モビリティの開発を目指し、電気自動車プロジェクトがスタート。地元ゆかりの浮世絵師、葛飾北斎にちなんで「HOKUSAI」と命名されています。

深海探査艇 江戸っ子1号

町工場の夢を乗せる「江戸っ子1号」は、厳しい状況に置かれた中小企業の「下請け体質からの脱却」や「町工場に眠る技術の継承」を大きな目的としています。

アウトオブキッザニア

日本のモノづくりを支えてきた町・すみだの下町文化と伝統の技を体感する職人体験プログラムとして、墨田区版のキッザニアがスタートしました。

配財プロジェクト

地域産業の「廃材」を「配財」にかえ新たなビジネスモデルを創造するプロジェクトです。

最後に

今回のセミナーではすべての取り組みをご説明頂くには時間が足りず触りの部分のみでした。気になる方は書籍も出されているのでぜひそちらもご購読頂けたらと思います。

ちなみにAmazonでよく一緒に購入されている商品を見てみたら弊社が最近セミナーを開催した「HILLTOP様」と「吉原精工様」3点セットで購入されているようです(笑)3点セットで読み比べてみてはいかがでしょうか?

【講演会レポート】HILLTOP株式会社が実践する人材の考え方

こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。

2018年11月22日(木)に弊社主催のセミナー「TECHNO-PORT TALK NIGHT」の第3回を行いました。

今回は京都からHILLTOP株式会社(以下、ヒルトップ)の副社長、山本氏をお招きし、ビジョンから人材の教育まで幅広い内容についてご講演いただきました。講演会に参加できなかった方にも山本氏の考え方を知っていただくため、講演内容をまとめます。

1 ヒルトップの紹介

ヒルトップは京都府宇治市に本社を構える、アルミの削り出し加工を得意とした試作屋さんです。多品種小ロットに特化することで、利益率20%超えという理想的な経営をしています。

ただ、初めから多品種小ロットの工場だった訳ではありません。創業時は自動車メーカーの下請けとして、量産メインの仕事をしていました。しかし、量産のものづくりは単純作業で、他分野への応用も難しく、利益も薄い。そして何より楽しくない。

「楽しくなければ、仕事じゃない!!!」

この考えを持った山本副社長が今のヒルトップを作り上げていきます。

ホームページURL:http://hilltop21.co.jp/

2 ヒルトップの仕事に対する考え方

楽しくなければ、仕事じゃない!

量産の仕事は頭を使わず、まるでロボットのように規則的な行動を繰り返します。それはロボットのようであり、人がする仕事とは思えませんでした。しかも、メーカーから毎年来るコスト削減要求に答える仕事は、全く楽しくありません。

  • 「ルーティーン作業はロボットがやればいい、もっと人間らしい仕事がしたい!」
  • 「このまま量産をやっていても、メーカーからのコスト削減要求に未来はない!」
  • 「人生の1/3は仕事だ。その仕事が面白くなかったら、人生がもったいない!」

と考えた山本氏は売上の8割を占めていた仕事をすべてやめ、下請けから脱却するために多品種小ロットに一気に舵を切りました。「量産というルーティーンではなく、頭を使った知的活動のほうが楽しい、そして知的体験こそが人を成長させる」というヒルトップの考え方が始まった瞬間です。

単純作業は機械にやらせる

頭を使う仕事をするために量産から試作屋になったはずでしたが、リピートの注文がくると結局同じ作業の繰り返しになります。しかも、前の作業を思い出しながら加工をするため、量産とのときとは比較にならないくらい効率が悪い。そのような問題を解決するため、ヒルトップでは技術の定量化を行っています。

職人の技術やノウハウをすべてデータ化し、単純作業は機械にさせ、人は知的労働に専念できる環境を作っています。技術をデータ化することで、多品種小ロット24時間無人加工できるようになり、スピード対応、品質の均一化、コスト削減を実現しています。

1社で3割は超えないようにする

ヒルトップは1社への依存率を最大でも30%にしています。30%を超えるとパートナーではなく、下請けとして扱われ、対等に話ができなくなります。すると、向こうの言われた通りの仕事をすることになり、頭を使わない仕事が増えてしまいます。仕事を楽しむためにも、一社の依存率は30%以下のほうが良いと思っています。

3 ヒルトップの人材に対する考え方

ヒルトップは人材をなによりも大切にしています。「理解と寛容を以て人を育てる」を理念に人材教育をし、元ヤンキーでも今は部長クラスになっています。そんなヒルトップの人材に対する考え方を聞きました。

利益よりもモチベーション

ヒルトップは利益よりも、生産性よりも、社員のモチベーションを優先しています。社員のモチベーションが上がれば、自動的に生産性も上がり、利益も上がるからです。そのためには、知的作業を確保していることが大切です。ルーティーン作業と自主的に取り組む知的作業では、後者のほうが喜びを感じます。

アメが8割、ムチが2割

人は褒めることで成功体験を感じ、次々と新しいことを考え始めます。だから、基本的には褒めています。結果が悪くても、過程を強化し、褒めてあげます。褒め続けると社員は有頂天になり、成長スピードが格段に上がります。ただし、そのまま放置すると天狗になるので、伸び切った段階で、新しいフィールドを与え、次の成長を促します。逆に、叱るときは1対1で、なぜ叱られてるのかを順序立てて説明するようにしています。そうすることで、モチベーションを下げずに次に切り替えてくれます。

ジョブローテーションは必須

ヒルトップは必ずジョブローテーションをしています。ジョブローテーションをすると短期的には効率が下がるため、経営者としては積極的に取りたくはないと思いますが、絶対にやったほうが良いと山本氏は言い切ります。どの企業でも営業、製造、設計の仲は悪いと思います。それは、お互いの気持ちがわからないことが原因です。ジョブローテーションをすることで、全員がすべての立場で物事を考えられるようになり、長期的には生産性を上げるものになります。

まとめ

ヒルトップは「楽しくなければ、仕事じゃない」という考えを軸にすべての仕事を回しています。社員が知的作業に時間を裂けるような仕組みを作り、社員を褒めて育てているヒルトップは今後の製造業のモデルになると感じました。京都の本社では、工場内の見学もさせていただけます。ぜひヒルトップを生で感じてみてください。

セミナーのアンケートには「明日からの行動が変わる」、「社員を褒めたくなった」、「ジョブローテーションをやってみようかな」などの意見をいただきました。

テクノポートでは今後も経営革新を起こせる情報を提供するため、引き続きセミナーを開催していく予定で、次回は、2018年10月に「大廃業時代の町工場生き残り戦略 〜浜野製作所奮闘記〜」を出版された株式会社浜野製作所の浜野社長に講演していただく予定です。

日程:2019年2月20日(水)

浜野製作所様のホームページ:http://hamano-products.co.jp/

詳細が決まりましたら、改めて報告したしますので、ご参加頂けたら幸いです。