製造業のテレワーク導入事例5社

製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。コロナ禍になりテレワークの普及が求められているものの、製造業のテレワークの実施率が低い傾向にあります。その理由は、製造業はテレワークが難しいとの固定概念や、製造現場で働く人たちとの公平性でテレワークの実施を躊躇しているなどの問題があるからです。

しかしながら、製造業であっても工夫すればテレワークは可能であり、生産性の向上につながります。この記事では実際にテレワークで成果を上げている実例5社を紹介します。

製造業のテレワーク成功事例5選

では、製造業のテレワークの具体例やその施策を紹介します。

枚岡合金工具

「牧岡合金工具」は自動車部品の金型の設計・製造をしている会社です。「牧岡合金工具株式」の事例では82歳のご高齢の方でもテレワーク勤務を実現。営業や事務担当職員が主にテレワークを実施しています。

テレワークのデメリットとして、コミュニケーションの問題をあげているものの、それ以上にメリットがあることをあげています。例えば、仕事効率の向上です。職場でありがちな、雑談や雑用が減り非常にスムーズに仕事ができます。

仕事の面の他には生活のリズムの改善です。1.5時間かかっていた通勤時間が無くなり、散歩や早起きなどの体調に気を使えるようになったとのことです。

クリエイティブワークス

「クリエイティブワークス」は溶接をテレワークへの切り替えています。

特徴はIoT機器とクラウドシステムの活用です。具体的にはコロナ禍以前の取り組みを活かし、IoTベースの「溶接キット」とクラウドによる「情報管理」になります。

もともとは「溶接キット」を用いて溶接の指導をリモートでおこなっていました。ここで発想を転換させテレワークに活用したのです。これにより、自宅にいながら溶接業務を可能にしています。

また、溶接の様子を付属のカメラを通して見ることもでき、Web会議サービスを通して、作業の指示やアドバイスも実施しています。このように実作業とIoT機器の連携により、溶接であってもテレワークを実現させているのです。

株式会社かねよし

「株式会社かねよし」はCAD設計者へのテレワークを実施しています。その他にも受注入力業務、見積もりなど、場所を選ばない業務がテレワークの対象です。場所を選ばず、パソコン上にて作業ができるためです。

また、Web会議を使用しCAD図面をお互いのPCで共有しながら設計図面のレビューもおこなっています。

テレワークを実施して感じた点は、「オフィスにいなくては仕事ができないとの固定概念が外れたこと」。製造業であってもテレワークできることを実証している例です。

日都産業株式会社

「日都産業株式会社」は出産・育児による働き手不足の解消のために、テレワークを整備しました。当初は出産・育児の母親のための制度でしたが、不公平感を無くすため誰もが活用できるような制度化を進めています。

この会社の特徴はITツールの活用です。例えば、管理職はサテライトオフィスによるテレワークを実施しています。また、コミュニケーション不足解消のため、チャットツールやWeb会議など巧みにITツールを活用しています。

横引シャッター

「株式会社横引きシャッター」の事例では業務を明確化し、テレワークを実現しています。

実現できた理由は自宅でできる業務を切り出したことです。工場はテレワークの実現が難しい作業が多いものの、そこから実施可能な作業をあらためて洗い出した点に大きな特徴があります。

具体的には滑車への部品のはめ込みや、成型品のバリ取り、検品などの作業です。これらの作業はパソコンを必要としません。このようにIT機器を用いなくてもテレワークをするための工夫はあるのです。

まとめ

製造業や中小企業のテレワークの実例を紹介しました。テレワークは製造業では難しいと思われがちです。しかし、工夫や仕事の明確化によって、生産性の向上につながる事例も報告されています。もし、製造業だからテレワークは難しいとお考えの企業の方も、一度検討してみてはいかがでしょうか。

在宅・テレワークでもできるWebを使った新規営業方法

こんにちは、テクノポートの永井です。5月も下旬になり、新型コロナウイルスの影響による外出自粛制限もかなり落ち着いてきました。ただ、多くの人が集まる大規模なイベントなどについては継続して自粛する傾向にあります。

今回の緊急事態宣言により「人と会うこと」を避けなければならず、働き方にも大きな影響をもたらしました。在宅やテレワーク勤務が推奨されたことで、出勤する人が減りました。また、人との接触を避けるため、お客様先への訪問禁止、展示会の中止など、営業活動にも多大な影響を与えています。

既存の取引先に対しては、メールや電話、テレビ電話などを使うことでお客様との商談は可能ですが、それでも直接会うことと比較すると得られる情報は少なくなります。
参考記事:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200526/k10012444851000.html

既存の取引先でもそうなのですから、新規の取引先を開拓することは更に難しくなります。特に、展示会への出展を営業活動のメインとしてきた製造業にとって、多くの展示会が中止になったことで営業の機会も減ってしまいました。

今回は人と会えないことで営業方法がどう変化したのか、このような状況下でも活動が可能なWebを使った新規営業方法をご紹介します。

人と会えないことよる営業方法の変化

展示会の出展や訪問営業が難しくなった

新型コロナウイルスの影響で、人との接触を減らそうという風潮が出てきました。製造業の場合、展示会は自社の技術を伝えるための絶好の機会でしたが、今年に入ってからほとんどの展示会が中止、もしくは開催日未定の延期になってしまい客先への訪問も難しくなってしまいました。

今後イベントの開催ができるようになったとしても、展示会への来場者は減少傾向と予想されます。

【中止となった展示会(一部)】

  • 2月19日 江戸TOKYO 技とテクノの融合展2020
  • 4月8日  INDUSTRY‐FRONTIER
  • 4月15日 INTERMOLD2020/金型展2020/金属プレス加工技術展2020
  • 7月21日 光・レーザー関西2020/使えるセンサ技術展2020
  • 6月17日 西日本製造技術イノベーション 2020

そのため、展示会以外での営業方法も視野に入れて活動をしてくことが必須になります。

また、お客様先への訪問を控える必要があることから、これまで当たり前のように行っていた納品時のちょっとした会話も減りました。お客様と対面して会話することでお客様の課題を見つけて、提案していた企業にとっては営業手法の再検討が必要なってきます。

お客様が在宅やテレワーク業務に変わった

緊急事態宣言をきっかけに在宅勤務などのテレワークを拡充する企業が増えました。「お客様が会社にいない」ことが多くなったことで、会社の固定電話に連絡してもお客様と連絡が取れない状況が続くと予想されます。

そのため、これまで行っていた

  • 企業の固定電話への営業活動
  • FAXや郵送物での営業活動
  • 飛び込みでの営業活動

の効果が減ることになります。そのため、新規顧客を開拓するためにはお客様から問い合わせをいただけるような仕組みづくりと非対面での商談方法の導入が必要になります。

お客様が在宅、テレワークでも問題なく新規営業をする方法

お客様が会社にいないため電話や郵送物などでの営業は難しい、お客様に直接会えないため展示会や飛び込みも難しい。つまり、こちらからお客様に接点をもつ事が難しくなったため、お客様がこちらと接点を持ちたくなるような方法が必要となります。そして、それにもっとも向いているのがWeb(インターネット)を使った方法です。

ここではWebを使った有効性と利用方法についてご紹介します。

新規営業にはWebの活用が必須

すでにホームページを使って新規開拓をしている企業も多くありますが、今後さらに増えてくると予想されます。Webからのお問い合わせの大まかな流れは

  1. お客様に見てもらう(検索や広告)
  2. お客様に技術を理解してもらう
  3. お問い合わせしてもらう

になります。

お客様に見てもらうためにホームページを制作することはもちろんですが、検索したときに出てこなければ意味がありません。GoogleやYahooなどは「検索キーワードと関連性の高いページ」を上位に出すため、お客様の検索キーワードを想定して、ホームページを作ることが大切です。基本的には1キーワードに対して1ページ必要となるため、様々なキーワードで上位表示したい場合は、ページ数を増やしていくことになります。ページを増やすことで自社のホームページだけでは一貫性が保てなくなってきた場合は、オウンドメディアと呼ばれる独自のメディアを作ることもおすすめです。

※今見ていただいているモノカクは弊社テクノポートのオウンドメディアです。

次に、お客様に自社の技術を理解してもらうためには、言葉だけではなく、画像、イラスト、グラフ、表、動画などが必要になります。

例えば、イワタツール様は高速穴あけを他社ドリルを動画で比較することで、自社の技術をわかりやすく伝えています。

このように、ただ技術を伝えるのではなく、相手にわかる(できれば驚いてくれる)ような演出も大切です。

最後に、お問い合わせについてです。お問い合わせは電話とお問い合わせフォームを作れば問題ありませんが、お問い合わせフォームはできるだけシンプルにしたほうが良いと思います。会社名、氏名、電話番号、メール、お問い合わせ内容、添付ファイルを送れる機能があれば問題はないと思います。部署や住所、FAXなどコンタクトした後でも取れる情報は必須ではありません。逆に入力項目を多くすればするほど、お問い合わせが減ることもありますので、ご注意ください。

お客様の電話番号やメールアドレスを獲得できる仕組みを作る

製品の採用基準がスペックだけであれば、Webに詳細を掲載すればよいですが、こちらから「提案営業」をしたい場合は、お客様の声を聞く必要があります。

しかし、非対面での商談が主流になってくるため、商談する場合は電話かzoomなどのオンライン会議になります。

Webからお客様の電話番号やメールアドレスを獲得する仕組みとして

  1. お問い合わせフォーム
  2. 資料のダウンロードフォーム
  3. メルマガ登録

などがあります。製造業の場合はお問い合わせフォームだけでなく、資料ダウンロードフォームも活用して頂けたらと思います。例えば、こちらは弊社がWebに掲載している資料ダウンロードフォームです。

資料は会社のパンフレットではなく、お客様が求めている情報に合わせていくつか用意することをおすすめしています。製品をお持ちであれば各製品の仕様書、提案型であれば提案実績、加工技術がメインであれば図面など、お客様が知りたい情報であれば大丈夫です。メルマガは発信する内容によりますが、次回も楽しみになるようなものを配信し続けることが大切です。例えば、イワタツール様のような実験系の動画などを配信する試みは面白いと思います。

獲得したお客様情報(メールアドレスや電話番号)を使って、積極的に営業する

最後にWebから獲得したリード情報に対し、どのように営業活動を展開していけばよいかをご紹介します。リードとは、名前、所属、連絡先が明らかになっている、将来的に自社の顧客になり得る「人」の情報のことです。

リードを更に

  • ホットリード:一般に数カ月以内に商談に結びつきそうな潜在顧客
  • ウォームリード:一般に1年前後のうちに商談に結びつきそうな潜在顧客
  • コールドリード:時期は未定だが、将来商談に結びつきそうな潜在顧客

と分けることで、お客様へのアプローチ方法を変えることができます。

重要なことは「ホットリード」の数を増やしてくことです。リードの段階をあげることをリード育成(リードナーチャリング)といいます。こちらについて弊社の徳山が記事を書いていますので、詳細はそちらの記事で確認してください。

リード育成(リードナーチャリング)の進め方:https://keikakuhiroba-mfi.com/archives/20446

営業経費をWeb広告やコンテンツの品質向上に使ってみては?

Web広告による認知度の向上

ホームページやオウンドメディアを作っても見られなければ意味がありません。検索結果の上位表示されるまで待つことも大切ですが、Googleやyahooなどは広告が出せます。広告を出すことで、自社ホームページを閲覧してもらえる回数は増えるため、営業活動として広告を使うことも検討してみてはいかがでしょうか?

Googleやyahooで検索したときに表示されるリスティング広告

ニッチな検索キーワードを使う傾向のある技術系企業向けです。リスティング広告は検索結果のページの上下左右に表示される広告で、1クリックごとに料金がかかります。キーワードにもよりますが、だいたい50円〜300円くらいですが、中には1,000円を越えるキーワードもあります。

様々なサイトに画像広告が出るディスプレイ広告

インパクトの高い画像を掲載できる企業向けです。ディスプレイ広告は個人ブログからニュースサイトまで様々なところに掲載されます。掲載箇所はGoogleやyahooが持っているネットワークになり、こちらで選ぶことはできません。画像などを使うことでインパクトを出せることや、リターゲティングと言われる一度閲覧した人に向けて再度表示させることなどができることがメリットです。

動画を使ったyoutube広告

個人向けの製品を販売している企業向けです。自宅にいる時間が増えたたため、、youtubeの視聴時間が増えたと言われています。安いテレビCMのような感覚で利用してみていただければと思います。

Webサイト上の記事として書かれるネイティブ広告

営業っぽい雰囲気を出したくない企業向けです。ネイティブ広告はニュース記事のように自社の製品や技術を掲載するため、営業っぽさがなくなります。ただ、「実は○○」のようにインパクトのある記事や会社の雰囲気とは少し違った方向性で広告が出せます。

facebookなどを使ったSNS広告

自社でSNSを運用している企業向けです。SNSの広告は「クリックで営業専用ページに飛ばす」ことと「フォロワーを増やす」目的で使います。SNSを使って定期的に情報を発信しながら、途中で広告を使ってフォロワーを増やすというような長期的な運用を視野に入れた使い方が理想です。

などを使って認知度を上げてみましょう。どの広告も低額(月1万円程度)で始められるため、手軽に始められます。もちろん費用はかかりますが、展示会への出展と考えれば比較的安くできます。

プロに依頼してコンテンツの質を上げる

やはりプロに依頼することで、質は上がります。特に、見た目については一目瞭然です。写真撮影、提案資料、動画撮影などのクオリティは本当に上がります。

また、技術の伝え方についても、デザイナーやライターを入れることで相手に伝わりやすくなります。提案資料の見た目が良くなるだけで、成果につながる確率も上がっていくため、プロに依頼することも検討してみてください。弊社では製造業のコンテンツ制作支援として、技術ライティングサービスを提供しています。何かありましたらお気軽にご相談ください。

まとめ

新型コロナウイルスの影響は少し落ち着いてきましたが、第2波、第3波など今後も在宅やテレワーク勤務が中心の状況になることはあるかと思います。今回ご紹介したWebを使った営業方法はお客様が会社にいる場合でも有効になりますので、ぜひWebをご活用ください。もちろん弊社もWebマーケティングは得意としていますので、お気軽にご相談ください。