「ものづくり企業のメディア露出を叶えるには?製造業系Webメディアとの付き合い方」セミナーレポート

テクノポートの菊地です。先日、弊社技術ライティング事業主催「元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方」オンラインセミナーが開催されました。

当日の受講者は技術ライティングサロンの会員(ライター)が多かったのですが、企業の広報担当者にとっても為になる内容でしたので、「企業のメディア露出・取材を叶えるポイント」に絞ってセミナーレポートをお送りします。

元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方

講師紹介

Facet 小林由美様

【経歴】

町工場でのトレースや設計補助、メーカーでの設計製造現場での実務を経験した後、アイティメディア株式会社に入社。「MONOist」の立上げから参画し、月間100万PV以上の業界最大手サイトに成長させるべく尽力した。MONOistの編集記者として約12年間、技術解説記事の企画や執筆の他、広告企画および制作、イベント企画など、幅広く携わる。2019年には3D設計コンサル企業の株式会社プロノハーツにジョインし、広報・マーケティング担当として従事する傍らで、製造業に特化したライティング事業を展開する。2020年独立。

【主な執筆歴】

  • アイティメディア「MONOist」「TechFactory」「キーマンズネット」
  • 日経BP「日経ものづくり」「日経クロステック」
  • メイテック「fabcross」
  • 金森産業「PlaBase」「Chematels」※編集部運営支援

セミナー内容

  • 製造業系Webメディア紹介(特徴別に解説)
  • Webメディアのビジネスの課題
  • 編集の現場が置かれている状況(一般メディアとオウンドメディア)
  • 記事を企画し、公開されるまでのおおよその流れ

【取材をしてもらいたい企業向け】

  • メディアに取材をしてもらうためには?
  • こういうことはしてはいけない

【ライター向け】

  • 外部寄稿者に求められるスキルや資質
  • メディアとのコンタクト(営業)のしかた

製造業系Webメディアとは

工業系、製造業系の記事を取り扱っている大手(月間300万PV〜1000万PV程度の規模)Webメディアを運営元別にご紹介します。

新聞・出版社系メディア

日経クロステック(日経BP)

特徴:有料会員限定の記事が多い。ニュースが多く、旬な企業や最新の技術などを取り上げることが多い

ニュースイッチ(日刊工業新聞)

特徴:20〜40代がターゲット。工業系の業界ニュースを幅広く扱っている。読みやすさを意識して短めの記事が多い

広告系メディア

マイナビニュース(マイナビ)

特徴:ニュース系の記事が中心で時々解説記事。IT、半導体、エレクトロニクス系の記事が多い。

Web専業メディア

MONOist(ITmedia)

特徴:長編の読み物が多い。技術解析や取材記事も充実している。工程と業界でジャンルを作って記事分類している。

EE Times Japan(ITmedia)、EDN Japan(IT media)

特徴:技術的難易度が高め

この他にも、出版系企業以外が運営しているWebメディア(オウンドメディア)などが数多く存在します。各メディアのPV数や読者層はメディアガイド(媒体資料)に掲載されているので、気になるメディアについては「媒体名 メディアガイド」で検索をして調べてみましょう。

企業のメディア露出・取材を叶えるには

企業の広報担当なら誰しもが知りたいメディア露出や取材の獲得について、編集の現場にいた小林さんから、様々な方法が紹介されました。

記者・編集者が求めている情報作り

メディアの記者や編集者は、読者のために記事を作っています。なので、読者が興味を持ちそう、必要だと思ってもらえそうな製品やサービスなどの情報を求めています。製造業系WebメディアはBtoCではなくBtoBを中心としたメディアであるため、派手であることや有名であること、大規模であることなどは取り立てて求められないのだそうです。例えば、

  • 読者の関心を強く引きそうな自社の取り組み(開発体制、人材育成、今であればリモートワークやDXに関する取り組みなど)
  • トークイベントやワークショップのようなイベントの開催

またニュース性の高いメディアであれば、新しいことや未公開であることも取材されやすくなるポイントになります。

プレスリリースでの発表

過去のモノカクの記事でもプレスリリースについて紹介していますが、小林さんもプレスリリースによる情報配信をお勧めしています。また、プレスリリースの作成というとPR会社などに依頼をするイメージもあるようですが、自分たちで用意してもまったく問題ないと小林さんは話していました。有名企業のプレス向けページに掲載されているプレスリリースを参考にしてぜひ書いてみてください。

送り先は、過去の名刺などで記者個人の連絡先などがわかれば一番良いのですが、特定の担当者などがわからない場合はサイトに掲載されている「お問い合わせ」や「プレスリリース送付先」などのフォームまたはメールアドレスでも十分だそうです。特に大手メディアや編集部が機能しているメディアほど公開している窓口からの情報は必ずチェックをしているとのことでした。

発表会の開催

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、発表会はオンラインでの開催がおすすめされました。オンラインの場合は、会場費用もかからず拘束時間も30分程度などで済むため、企業側の負担も少ないため中小規模の製造業でも実施しやすく、拘束時間の短さや移動の必要がないことから記者の参加もしやすいと言われています。発表会を開き、記者を呼ぶことができれば、プレスリリースの配信だけの場合よりも記事化や掲載の可能性が格段と高くなります。

招待方法は2つ。

  1. 自社でSNSを行っている場合は、まず発表会の案内を投稿する。
  2. PR手帳記載の連絡先に連絡するか、各メディアの「情報提供」のメールやフォームからご案内を出す。

展示会での取材

小林さんは、「展示会に出展した時は、記事にしてもらえる&編集記者と知り合いになれるチャンス!取材してもらいやすい環境を積極的に作ろう」と話していました。取材しやすい環境づくりについて、展示会前の事前準備と当日の体制に分けて紹介します。記者、メディア関係者かどうかは「報道」の腕章で判断することができます。

事前準備

自社出展情報をSNS告知、メディアに対しても連絡をします。また展示品は記事に写真が掲載されてもよいものをなるべく用意し、ちょっと目立つ展示物やパネル置いてアイキャッチにします。

当日

突然訪れた記者に対して、しっかり質疑応答できる営業や広報の担当者、代表などを必ずブースに待機させましょう。離席する際も連絡がすぐ取れるようにして、チャンスが来たときにしっかりと対応をします。また、ブースの一歩前に出て取材しやすい空気を作ることも大切です。

せっかくの機会も、準備不足やコミュニケーションの悪さで逃してしまうケースも少なくないようです。広報担当者だけでなく、経営陣や営業担当者などとも取り組むと効果が得られやすいのではないでしょうか。

継続的なコンタクト

最後に心構えとして、記事化に至らなくても継続的なコンタクトの継続が広報活動の成果に繋がるので、腐らずにコツコツとメディアへの情報発信とコンタクトを繰り返すことが肝心です、と小林さん。1回の取材で記事にならなくても、名刺を入手することができれば継続的にコンタクトをとることが可能になります。

一部分ではありますが、今回は「元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方オンラインセミナー」について企業広報の視点からご紹介をしました。技術ライティング事業では今後も、企業のコンテンツ制作に役立つ知識・技術や、製造業の経験のある方のライターとしてのスキルアップ支援に関する内容を中心にオンラインセミナーを多数開催する予定です。当事業やセミナー開催については、Webページ並びにご登録いただければメールマガジンにて、随時お知らせ致します。

ご質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。

プレスリリースを使って、自社情報を広く届ける方法とは

テクノポートの菊地です。東京オリンピックの延期や新型コロナウィルス感染症の影響で開催の見通しが立たない展示会に替わる手段として、Webサイトの活用やオンラインセミナーなどが挙げられますが、一つの案として広報活動の一つである「プレスリリースの配信」を提案したいと思います。

そもそも広報って何?広告と何が違うの?という方はこちら

プレスリリースとは?

プレスリリースとは、企業からマスメディア(テレビ、新聞、Webメディアなど)への情報提供のことをいい、過去の情報ではなく新しい情報を公にする時に用います。マスメディアにニュースとして取り上げてもらいたいときに作成、送付を行うことが多いです。

特徴

自社の新しい情報と言う点では、Webサイトに掲載する新着情報と変わらないように感じるかもしれませんが、 “Webサイトの情報”にユーザーが辿り着くには「検索」が欠かせません。

一方、プレスリリースは自社での発信に留まらず、

  • メディアでの記事化
  • メディアへの転載
  • SNSでのシェア

などが可能です。情報の拡散性が高く、自社のことを知らない人に対しても情報を届けることができます。

メリット

  • 無料で情報発信ができる
  • 情報の拡散性が高く、自社を認知していない人にも情報を届けることができる
  • 配信サービスを使うことで一定の転載枠によるパブリシティが得られる

デメリット

  • 作成したからと言って確実にメディアに掲載されるわけではない
  • メディアの視点で情報が編集されるため、思い通りの記事になるわけではない

プレスリリースの内容

プレスリリースに書くことなんてない、と思ってしまうかもしれませんが、プレスリリースを読んだことはあるでしょうか。
代表的な内容としては下記のようなものが挙げられます。

  • 新しい情報
    新製品の発売、新サービスの開始、イベントの開催、新規事業立ち上げなど
  • 自社でとったデータの発表
    顧客アンケート、事例の公開
  • ○周年

最近、製造業からでは、フェイスシールドやパーテーション、マスクの製作・販売や、オンラインセミナーの開催などがプレスリリースとして配信されていました。

書き方

決まった形はないとも言われていますが、基本的な形をご紹介します。こちらは弊社が業務提携に際して配信したプレスリリースです。

構成

①冒頭

レターヘッドはほぼ定型なので下記の4点を入れます。

  • プレスリリース:報道資料であることを明示する
  • 報道各位:誰宛の文書化を明確にする
  • 発表日:配信日を記載
  • 社名:発信者を明示する

会社ロゴがあればヘッダーに差し込みます。

②見出し

目安としては30文字前後で、前半に読みたくなるような言葉や表現を使用するのがコツです。直接プレスリリースをメディア関係者に渡すような場合を除いては、数千枚のプレスリリースの中から読もうと思ってもらえるかどうかを決めるのが見出しに当たります。特に、配信代行を使ってメールなどで届く場合には見出しがメールの件名になるため、受信トレイで見切れない見出しの前半に重要な言葉をおきましょう。

③リード(前文)

プレスリリースの概要をまとめて記載します。5W1Hを押さえて、簡潔にわかりやすく表現しましょう。ここまでで、プレスリリースで配信する情報に価値があると感じさせられないと、ここから先は読んでもらえないと言っても過言ではありません。

リードの頭は、「製造業が抱えるあらゆる経営課題の解決に挑むテクノポート株式会社(本社:東京都江東区 代表取締役:徳山正康 、以下テクノポート)は、」のように、事業の概要、社名(本社:市区町村まで 代表者)で書き始めるのが一般的です。

④本文

本文には、

  • そのサービスや製品、企画に至った背景
  • サービスや製品の概要
  • 参考となるデータ、情報

などを書きます。項目立てて書いていくと読みやすくなります。

⑤会社概要

会社名、代表者、設立日、資本金 、所在地、Webサイトなどを記載します。その他、会社のビジョンやミッション、事業内容などを記載することもあります。

⑥連絡先

製品やサービスについての問い合わせ先、取材等のメディア関係者の問い合わせ先をそれぞれ記載します。(画像ではサービス問い合わせ先のみ)電話番号、メールアドレス、担当者を明記します。

コツ

簡潔且つ分かりやすく書く

せっかく見てもらえるなら、と1から100までありとあらゆる情報を詰め込みたくなりますが、すっきりと簡潔に書くように心がけます。全体の量としては長くてもA4用紙3枚までを目安にすると良いと思います。また、公に発表するという側面があるので、誰にでもわかるよう表現します。社内で通じる造語や略語も第三者には伝わりません。中学生が読んでもわかるようなイメージです。

ビジュアルで攻める

数多あるプレスリリースの山から、目を惹くプレスリリースを作るには画像が欠かせません。私自身、プレスリリースを作成するときに困るのは自社サービスを視覚的に表現することです。製造業は、ビジュアルで魅せることができる業種なので、ぜひ力を入れてみてください。製品の写真だけでなく、現場の写真や、加工をしている手元など魅力的な写真がたくさん撮れるはずです。

テーマは一つに絞る

複数のネタがある時に、せっかくだから…とまとめて詰め込んではいけません。何を伝えたいプレスリリースなのかがわからなくなってしまいます。

盛らない

アピールをしたいあまり、「業界No1」「業界初」「かつてない」など強調をした文章を使いたくなってしまいますが、根拠のないことを書くと信用を失います。主観ではなく、客観的にみて正確な事実であることが必要です。また、広告ではないので売り込むような表現も控えます。

真似る

色々書きましたが、いざ書いてみようと思うと筆が進まないという方が多いのではないかと思います。私自身、プレスリリースを書くたびにA4用紙をどう編集したら良いものか途方に暮れることも多いです。そんな時は、「プレスリリースの書き方」を調べてはいけません。プレスリリースを調べます。例えば、フェイスシールドの販売をはじめる場合、「プレスリリース フェイスシールド 販売」と検索をします。実際に配信されたプレスリリースが見られるので、具体的なイメージが掴めます。

ちなみにこの方法はネタ探しにも有効です。「板金 プレスリリース」と検索すれば板金に関連したプレスリリースがたくさん出てきます。

配信方法

直接送る

ファックスやメール、持ち込みなど、直接編集部や記者の方に届けます。過去に取材を受けたことがあれば、名刺を探して連絡をとって情報提供をすると良いでしょう。メディアによってプレスリリースなどの情報提供の受け方が異なり、Web上で検索して申込フォームから送る、あるいは電話をかけて確認する、FAX、郵送などがあります。会社宛や編集部宛よりも、担当の部署や担当者宛に送ると目に留まる確率が高くなります。代表電話で断られてしまうこともあるので、マスコミ電話帳などで直通の連絡先を入手するという手段もあります。

配信先は、そのプレスリリースの内容やどの媒体に掲載したいかによっても異なりますが、新聞であれば、経済紙(日本経済新聞や日刊工業新聞他)一般紙(産経新聞、朝日新聞、読売新聞他)、雑誌であれば、ビジネス誌(週刊東洋経済やPRESIDENT他)、業界誌(設備と管理、日経ものづくり他)その他業界新聞やWebメディアなど中心です。地元紙などは比較的掲載されやすいかと思います。

配信代行

配信代行サービスを利用して連絡先を知らないメディアにプレスリリースを配信してもらうこともできます。複数のメディアに一斉配信ができたり、配信代行サービスのSNSに掲載されてより拡散性が高まったりします。配信代行サービスのサイトで情報を探すメディアの方もいますが、一斉配信した情報であるため情報価値が低いと考える方もいるようです。

PRTIMES

1配信30000円〜

業界最大手。上場企業の約4割が利用しており、月間5200万PV。大手から業界紙、専門誌まで数多くのメディアと提携しており、配信先リストを自分で作成することができる。メディア関係者だけでなく、一般ユーザーの閲覧も増加してきている。

@press

1配信30000円〜

プレスリリースの添削や掲載メディアのレポートなども料金に含まれている。業界で唯一FAX送信も料金内に含まれている。
プレスリリースに合わせて配信先を選定してもらえる。

プレスリリースゼロ

無料提携メディアや配信先についての情報が明かされていないため、どのメディアにアプローチをしたのかがわからない。

プレスリリースを作成して、送ったからといって必ず記事化されたり取材されたりするわけではありません。とはいえ、今まで情報が届かなかった相手に対して、アプローチをかけられるというだけでもメリットが得られるのではないでしょうか。
とはいえ、せっかく取り組むのであれば成果を出したいと思いますよね。戦略的に取材を獲得するために欠かせないメディアのニーズの探し方や、媒体の研究についてはまた次回以降にご紹介します。

プレスリリースを検討する際に気を付けて欲しいこと

中小企業専門の弁理士の亀山です。お陰様で開業して6年目になります。開業して約300社の中小企業様・個人事業主様のご相談を受けてまいりました。今回は、プレスリリースを行う際、気を付けて欲しい点についてお話したいと思います。

あなたのプレスリリースを見る人

プレスリリースを見る人は、どのような人でしょうか?

  • 既存のお客様
  • まだ見ぬ新規のお客様
  • ・・・

これだけでしょうか?これ以外にもあります。

それは、あなたのライバル企業や、ライバル企業の取引先です。

ライバル企業がみていること

プレスリリースされた新しい商品やサービスについて、ライバル企業は何を見ているでしょうか?あなたの商材について、機能や品質の優劣や、価格の競争力も比較しています。さらに、以下のようなものを見ています。

それは、うちの知的財産権を侵害しているか?という点です。

知的財産権の侵害について

さて、知的財産権には、特許権・実用新案権(技術の権利)、意匠権(プロダクトデザインの権利)、著作権(大雑把にいうとアートの権利)や、商標権(商品名やサービス名の権利)等があります。ライバル企業からみれば、「せっかく知的財産権を取得したのだから、模倣犯がいれば取り締まりたい。」と思うでしょう。

このため、ライバル企業は、

  • プレスリリースされた商材の機能は、わが社の特許発明を使っていないかな?
  • プレスリリースされた商材のプロダクトデザイン、わが社の登録意匠を使っていないかな?
  • プレスリリースされた商材の名称は、わが社の登録商標に似ていないかな?
  • プレスリリースに掲載された写真は、自社サイトの写真を流用していないかな?

と、様々な角度から、目を皿のようにしてチェックしています。実際に、そのような侵害発見を依頼されるときもあります。そして、何かしらの権利を侵害している可能性が高い場合には、特許権侵害等を根拠とする警告書が、内容証明郵便にてあなたの会社へ郵送されてくることになります。

法的手段を取られたときのインパクト

警告書で要求される主なものは、差止請求と損害賠償請求の2つがあります。今回は、プレスリリースの場合ですので、差止請求についてのみ述べます。

さて、相手が要求が差止請求の内容に正当である場合、あなたの会社はどうなるでしょうか?

特許権侵害や意匠権侵害の場合

特許発明や登録意匠を使わないような設計変更をしなければなりません。すでに仕掛品や在庫を持っている場合には、廃棄せざるを得ない場合も多いでしょう。また、設計変更や仕掛品等の廃棄を受け入れられない場合には、相当のライセンス料を支払う必要が出てきます。

そして、これらを受け入れられなければ、新しい商材のリリースを中止せざるを得ません。

商標権侵害の場合

プレスリリースされた商材の名称は、継続して使用できません。特許権等のようなライセンスも可能ですが、商標権の場合には、権利者側のブランドイメージの棄損につながるため、ライセンスを許可する場合は少ないです。したがって、名称変更をせざるを得ない場合がほとんどです。結果としては、チラシ制作やパッケージ制作は0からやりなおしになります。また、プレスリリースや宣伝広告も0からやり直しになります。

このように、ライバル企業の知的財産権の侵害行為によって、新しい商材によるビジネスが困難になるばかりか、これまでに投じた時間やコストの回収ができなくなってしまいます。すなわち、他社の知的財産権の侵害行為は、あなたの会社の存続に直結します。

警告書を無視したらどうなる?

相手方の主張が正しいにも関わらず、警告書を無視して侵害行為を継続した場合には、刑事罰の対象となります。特許権、意匠権や商標権侵害の場合における刑事罰は、以下の通りです。

  • 個人の場合:10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(両方が科される場合もあります。)
  • 法人の場合:法人に対して3億円の罰金。代表者等には、個人と同じペナルティが課されます。

よって、専門家に相談せずに、警告書の無視することは、とてもお勧めできません。

ライバル企業の権利を侵害しないためにはどうすれば?

前項では、ライバル企業の知的財産権を侵害してしまうと、あなたの会社の存続が危うくなることについて述べました。それでは、ライバル企業の知的財産権を侵害しないためには、何をすればよいのでしょうか?

そのためには、ライバル企業の権利を調べる必要があります。この調査は、プレスリリースよりも前に行う必要があります。より詳しく言えば、他社の特許権や意匠権の調査の場合には、万が一の設計変更やデザイン変更を考慮して、試作のテストに目途がついた段階に行うことが望ましいでしょう。他社の商標権の調査の場合には、万が一の名称変更を考慮して、名称の案がある程度絞り込まれた段階で行うことが望ましいです。

このような特許権、意匠権、商標権の権利の調査(クリアランス調査といいます)は、専門的知識が必要です。調査の際には、お近くの専門家にご相談ください。

まとめ

  1. わが社のプレスリリースは、お客様だけでなく、ライバル企業も見ている。
  2. ライバル企業は「プレスリリースの商材が、自社の知的財産権を侵害しているか?」を見ている。
  3. ライバル企業が知的財産権の侵害を発見した場合には、差止請求により、プレスリリースの商材の販売は停止し、在庫処分となるため、経済的損失は大きい。
  4. このような経済的損失を回避するためには、「プレスリリースの商材が他社の知的財産権を侵害していないか」のチェックが必要。
  5. チェックのタイミングは、プレスリリースの前に行うこと。