製造業のためのSEO対策・完全ガイド

Webサイトのアクセスを増やすための手段として当たり前となったSEO対策ですが、対策に力を入れれば入れるほどWebサイト運用の本来の目的であった「新規顧客の獲得」ではなく「検索上位表示」が目的化してしまっているケースが多いように感じます。

目的を見誤ってしまうと、 Webサイトは手間ばかりかかって売上を稼げない「ダメ営業マン」のようになってしまいます。

弊社が今までに支援させていただいた製造業のお客様のWebサイトの中にも、月間のアクセスが2,000~3,000件あっても数万円しか売上をあげることのできない効率の悪いWebサイトもあれば、月間アクセス300~400件であっても毎月数百万円を稼ぎ出す高効率なWebサイトもあります。

両者の違いはなんでしょうか?後者を目指すための「どのようにSEO対策を進めていけばよいか」について解説します。

SEOトレンドを掴む

SEO対策の具体的な進め方に入る前に、前提知識としてSEOトレンドを理解しておきましょう。SEO対策は、一昔前のように「対策したいキーワードを多く記載する」「被リンク数をとにかく増やす」といったテクニックだけでは通用しなくなっています。検索ユーザの満足度を第一に考えたWebコンテンツ制作を行うことが求められています。こちらの年表とともにSEOトレンドを追っていきましょう。

1996年〜2010年ごろ

キーワード出現率とWebページのタイトルやMETAタグ(説明文やキーワード)へキーワードを入れることが重要視されていた時期です。

2010年〜2012年ごろ

被リンク数が多いことが重要視されていた時期です。この時期に多くのリンクファーム業者が現れ、その後Googleのアルゴリズムに「不自然な被リンクはペナルティの対象とする」ことが加えられ、淘汰されることとなりました。
※リンクファーム業者とは、発リンクを行うための架空のWebサイトを量産し、被リンクとしてSEO対策を望む顧客へ販売していた業者のことです。

2012年〜現在

現在では「ユーザの検索意図にあった良質なコンテンツ」を発信することが最も重要視されています。ユーザの検索意図を掴む方法などは後述しますが、ユーザにとって本当に役立つ情報が上位表示される傾向になっていることは、検索ユーザファーストの素晴らしい対応だと思います。

その他、モバイルフレンドリー、Webサイトの表示速度の高速化、Webコンテンツ執筆者の信頼性など、コンテンツそのものだけでなくユーザの検索体験を最適化するための施策も重要となっています。

SEO対策の進め方

SEO対策を進める上での大前提として、前述した「ユーザの検索意図にあった良質なコンテンツ」をつくることを目指します。ユーザの検索意図とは「ユーザが求めている(知りたい)情報」のことです。下記の手順でそれを探りながらWebページの制作を進めていきます。

STEP1 SEOキーワードの選定

まずはどのようなキーワードでSEO対策を行うかを弊社が採用している3つの選定基準をもとに検討します。

STEP2 掲載コンテンツの検討

STEP1で選定したキーワードで検索上位表示させるために、Webページにどのようなコンテンツを掲載すべきかを検討します。

STEP3 Webページの作成

STEP2で検討したページ掲載コンテンツをもとにWebページを制作していきます。

STEP4 効果検証

STEP3で作成したページを一定期間運用した上で、効果検証を行い、さらに改善していきます。

STEP1 SEOキーワードの選定

まずはSEO対策を行い上位表示を目指すキーワードの選定を行います。キーワードは下記3つの評価方法により選定していきます。

  1. アクセスが稼げるか
    そのキーワードで検索している回数が多く、競合サイト数が少ない方がアクセスを稼ぎやすいです。両者を調べることでアクセスの稼ぎやすいキーワードを選定します。
  2. コンバージョンする(問い合わせに繋がる)か
    候補として挙げたキーワードによりWebサイトへアクセスするユーザが最終的に問合せを行うのかを考えます。抽象的すぎるキーワードや情報収集だけで終わってしまう傾向のキーワードなどは外した方が良い場合があるので、普段顧客と接している営業担当者などの意見も聞きながら定性的に判断します。
  3. 自社の強みと合致するか
    候補キーワードで検索したユーザが自社と他社を比較検討した場合に、自社に優位性があるかどうかを判断します。実際にそのキーワードで検索した時の検索結果で競合する会社と自社を見比べます。

キーワード選定基準① アクセスを稼げるか

当たり前の話ですが、アクセスを稼ぐには検索エンジンで上位表示されなければなりません。特に中小製造業者が狙うような、検索需要が少ないニッチキーワードで対策を行う場合、検索結果の1ページ目に表示されることが絶対条件になります。

なぜなら、1ページ目と2ページ目とでは圧倒的に見られる確率が違ってくるからです。ある調査データでは2ページ目に表示されたホームページがクリックされる確率は1%を下回ってきます。冒頭にアクセスが少なくても売上を稼ぐホームページの例をお話しましたが、当然最低限のアクセスは確保しなければなりません。

検索需要を調べる

Googleが提供しているキーワードプランナーというツールがあります。こちらのツールを使って各キーワードの検索需要(月間に何回そのキーワードで検索が行われているか)を調べます。そもそも検索している人がいないキーワードで上位表示されても意味がないので、検索回数が表示されるキーワードを候補にしましょう。

※キーワードプランナーの利用には、Googleアカウントへ登録し、Google広告の設定まで行わないと使えなくなっているのでご注意ください。実際に支払いまではする必要はありませんが、店舗の設定や、支払い情報の入力まで必要になっています。

競合サイト数を調べる

検索エンジン(Googleを使ってください)で各キーワードを検索した際に、検索HITするWebサイトの件数が何件あるかを調べます。

両者を見比べ評価する

検索需要と競合サイト数を見比べて評価します。中小企業のWebサイトであれば、1キーワードに対して検索需要が100件以上あれば十分だと考えてください。なお、競合サイト数は100万件以下がおススメです。競合サイト数が多すぎると、検索需要が多いキーワードでも上位表示されるまで時間がかかり、その期間はほとんどアクセスを稼ぐことができません。短期間である程度の成果を挙げたい方は競合サイト数も重視してください。中長期的に大きな成果が挙がればいいのでじっくり対策していきたい、という方は検索需要の多いキーワードを狙ってみてください。

キーワード選定基準② コンバージョンする(問い合わせに繋がる)か

2つ目のポイントは「本当にそのキーワードでアクセスが増えたら問合せが増えるのか」という点です。弊社のお客様にも「アクセスが多いのに問合せが全然来ない」という悩みを抱えている方がたまにいらっしゃいます。なぜ、アクセスしてきているのに問合せをしないのか?考えられる原因は二つあります。

①抽象度の高いキーワード

例えば「金型」というキーワードは抽象度が高いと言えます。なぜなら「金型」と検索してくるユーザが「プレス加工用の金型」を調べているのか、「樹脂成形用の金型」を調べているのか分からないので、アクセスされたとしても問合せに至りにくい、もしくは問合せが入ったとしても的外れとなってしまいやすいからです。

②情報収集に使われるキーワード

検索ユーザは「仕事を依頼する取引先を探すため」に検索エンジンを使うだけではなく、単に「業界の情報収集を行うため」であったり「加工知識の勉強をしたい」など、様々な用途で検索エンジンを使います。ニッチキーワードを見つけることはとても重要ですが、専門的な用語になりすぎると「その言葉の意味」を調べているケースも多くなります。

キーワード選定基準③ 自社の強みと合致するか

3つ目のポイントは「自社の強みと合致するか」です。これを調べるためには、対策したいキーワードで検索した時に1ページ目に表示される競合ホームページ(会社) を何社かピックアップします。

ここでピックアップした会社は、実際にユーザがアクセスしてきた際に比較検討を行う可能性が高い会社となります。これらの会社と自社とを比較した際に優位性が発揮できるかどうかが評価軸となります。

気をつけて頂きたいのは、顧客のニーズはどのようなものかを理解した上で自社と他社を比較することです。顧客が求めていないもので争っても何の意味もありません。3C分析を行うなどして、顧客ニーズも考慮しましょう。

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選定基準をもとに対策するキーワードを決定する

ご紹介した3つの選定基準をもとに対策するキーワードを決めていきます。選定するキーワードの個数がどれぐらいかが適正なのかについては、作成しようとしているWebサイトの規模(ページ数)によります。

対策するキーワードの個数は多いほうが良いのですが、キーワードの個数が多ければそれを対策するためのWebページを作成しなければなりません。

詳細は後述しますが、コンテンツの少ないWebページでは検索順位を上げることができませんので、対策できるキーワードの個数とWebサイトに掲載するコンテンツ量は比例して増えていく関係だと考えてください。

STEP2 掲載コンテンツの検討

対策キーワードでSEO対策するためのページ構成を考えていきます。どのようなコンテンツを掲載すれば検索上位表示されるのか?その際に参考とする情報を収集する手段として、ご紹介する3つの方法を検討してみてください。

検討方法① 対策キーワードで上位表示している他社サイトを調べる

検索エンジンで検索上位するための基準(検索アルゴリズム)は公表されていないため、まずは現在上位表示されているWebサイトを正解と考え、どのようなコンテンツを掲載しているか参考にしてください。この際に留意するポイントは下記となります。

  • 情報をコピペするなど、他社サイトのコンテンツを盗むようなことは絶対にしない
  • 上位表示しているWebページの特性(タイプ)を掴む(※1)
  • どのぐらいのコンテンツ量(テキストの文字数)を掲載しているのかを把握する

注意点として、広告スペースに表示されているWebサイトはSEOとは無関係なので、自然検索スペースに表示されているWebサイトの内容を参考にしてください。1ページ目に表示されているWebサイトには一通り目を通すと良いでしょう。

※1)Webページの特性(タイプ)には、キーワードを解説する情報が多く載っている「知識系ページ」、キーワードに関する専門家が解説している「権威系ページ」、キーワードに関わりの深い業者などを紹介する「まとめ系ページ」など、キーワードによりどのタイプのWebページが上位表示されやすいかが異なります。

検討方法② キーワードプランナーの関連キーワード

前ページで紹介した「キーワードプランナー」には、キーワードの検索需要に加え、該当キーワードと関連性の高いキーワード(キーフレーズ)を紹介してくれます。これらのキーワード(キーフレーズ)に関わるコンテンツをWebページに掲載することで、該当キーワードの検索順位も上がりやすくなります。

キーワードプランナー

検討方法③ 検索結果に表示されるサジェストキーワード

Googleでキーワード検索すると最下部に「〇〇に関連する検索キーワード」というものが表示されます。これはいわゆる「サジェストキーワード」というもので、検索キーワード+どのようなキーワードで他のユーザは検索する傾向がある、ということを検索エンジンが教えてくれるものです。サジェストキーワードにはユーザの検索意図(何を知りたいのか)が表れるので、どのようなコンテンツを掲載すべきかの良い材料となります。

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STEP3 Webページの作成

掲載コンテンツが準備できたら、具体的にどのような点に気を付けてWebページを制作すればよいのか、について考えます。なお、初心者の方でもご自身でWebページの制作・改修が行えるよう、WordPressを使うことを前提に、その編集画面やおすすめプラグインと共に解説していきます。WordPressなどがなくてもご自身でWebページを編集できる方は編集画面は無視して進めてください。

SEOに強いWebページを作成するためのポイント

  1. サイトマップを作成し、対策するキーワードとWebページを整理する
  2. タイトルの付け方に注意する
  3. Hタグを使用し検索エンジンに好まれる構造で文章を書く
  4. 画像にALT(代替テキスト)を入力する

ポイント1 サイトマップを作成し、対策するキーワードとWebページを整理する

STEP1〜2でピックアップした対策キーワードをどのWebページでSEO対策していくかを検討するために、サイトマップを作成し整理します。サイトマップを作る上での注意点としては、Webページにそれぞれ役割を担当させるようなイメージで作成することです。具体的には、下記の3つの役割があります。

  1. アクセスを稼ぐページ・・・検索した際に狙っているキーワードでHITするためにSEO対策するページ
  2. 強みを訴求するページ・・・アクセスしてきたユーザに自社の強みを伝えるページ
  3. 問合せを獲得するページ・・・ユーザの背中を押し問合せを獲得するページ

1のアクセスを稼ぐページに関しては、1ページ1キーワードを心がけてページ制作を行ってください。

対策キーワードの一覧
対策キーワード一覧

サイトマップ
サイトマップ

ポイント2 タイトルの付け方に注意する

タイトルを付ける際に気をつけたいのは、

  • 検索エンジンに上位表示してもらえること
  • 検索ユーザにクリックしてもらえること

の2点が重要となります。

検索エンジンに上位表示するために気をつけるポイントは、

  • タイトル内(のなるべく前半)にキーワードを含める

検索ユーザにクリックしてもらうために気をつけるポイントは、

  • 30文字以内に収める
  • そのページの内容を要約したものにする

となります。

なお、後者はタイトルだけでなく説明文の内容もクリック率に大きく影響しますので、100文字ぐらいにまとめてしっかり入力しておきましょう。検索結果のタイトル下に表示されている文章が説明文となります。WordPressでサイトを制作する方は「All in SEO Pack」を使えば簡単に設定ができるのでおすすめです。

ポイント3 Hタグを使用し検索エンジンに好まれる構造で文章を書く

HタグのHとはHeadingの略で、見出しを意味します。検索エンジンは構造化された文章を好んで評価しますので、Hタグを見出しに使用した文章を作成しましょう。

また、見出し内にキーワードを含めることで、そのキーワードが上位表示されやすくなりますので、なるべくキーワードを含んだ見出しを作成すると良いでしょう。

HタグはそれぞれH1〜H6まで設定することが可能ですが、H1はページ内に1つ使用すると良いと言われているので、タイトルと同じものを設定するようにし、H2を大見出し、H3を中見出し、H4を小見出し、といった感じで使用してください。

ポイント4 画像にALT(代替テキスト)を入力する

ALT(代替テキスト)は、Webページ内に掲載している画像の説明文となります。ここに対策したいキーワードを含めるとより良いです。ALTを入力することで、SEO対策になるだけでなく、画像検索された際に検索HITされやすくなります。分野によりますが、最近では画像検索からのアクセスも増えています。

図はWordPressでの編集画面ですが、入力するのは「代替テキスト」だけで大丈夫です。WordPressを使用される方は下記関連記事もご参照ください。

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STEP4 効果検証

Webサイトを制作・公開した後は一定期間をおいて効果検証を行ってみましょう。効果検証を行うためのツールとして、Google AnalyticsとSearch Consoleを使用しますので、Webサイトを公開する前に準備しておきましょう。

SEO対策がうまくいっているかを検証するためにチェックする数値として、検索順位、クリック率、アクセス数、直帰率があります。それらの数値を見ることで下記の症状が出ていないかをチェックしていきます。

  1. 検索順位が上がっていない
  2. 検索順位は上がっているがクリックされていない
  3. アクセスはあるが直帰率が高い

どの症状が出ているかに応じた対策を行っていくことが大事です。

症状1) 検索順位が上がっていない

検証方法:Search Consoleの検索パフォーマンス「検索クエリ」をチェック。そこで順位が確認できない場合はランキングチェッカーなど、検索順位調査ツールを使用。

処方箋:再度自社Webサイトよりも上位表示されているWebサイトを分析し、どのようなコンテンツを掲載しているかをチェックしてください。コツコツとコンテンツを更新(増やしていく)すれば、少しずつ順位が上がってくるはずです。

症状2) 検索順位は上がっているがクリックされていない

検証方法:Search ConsoleのCTR(クリック数÷表示回数)をチェック。検索順位に対しCTRが低い場合は対策を行いましょう。

処方箋:原因は下記2点が考えられます。

  • タイトルと説明文が悪い
  • キーワードとWebページとの相性が悪い

前者であればタイトルと説明文の見直し、後者であればWebページの内容そのものの見直し、もしくは他キーワードで対策することを検討しましょう。

症状3) アクセスはあるが直帰率が高い

検証方法:Google Analyticsのメニュー「行動」をチェックし、該当キーワードからアクセス流入しているページの直帰率をチェックします。

直帰率はページのタイプによって様々なので、一概には言えませんが、製品・技術紹介などのページであれば、50%以下、読み物(コラム)系ページであれば80%を目標にしていきましょう。

処方箋:原因は下記2点が考えられます。

  • キーワードとWebページとの相性が悪い
  • 他ページへ誘導する動線がない

前者であればWebページの内容そのものの見直し、もしくは他キーワードで対策することを検討、後者であれば対象ページ内に他ページへ誘導するバナーの設置などを行いましょう。

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ユーザが求めるコンテンツを生み出す努力をし続ける

冒頭のSEOトレンドでもご紹介しましたが、SEO対策はテクニックだけでは何ともならない状況になっています。Googleのアルゴリズムはユーザがより良い情報にたどり着くために更に改良されていくことでしょう。なので、皆様は将来の顧客になり得る検索ユーザが求める、読んで満足していただけるような良質なコンテンツを生み出す努力を惜しまず行ってください。そのコンテンツ自体はもちろん、良質なコンテンツを生み出し続けられるシステムは貴社の大きな財産になると思います。くれぐれもWeb担当者(業者)の孤軍奮闘にならないよう気をつけてください。

また、SEO対策疲れすることないよう、アクセスを稼ぐことではなく新規顧客を獲得することを目的に定め、成果をしっかりと挙げながらWebサイトの運営を行っていきましょう。

皆様のWebサイトから大きなビジネス成果が挙がることを陰ながら祈願いたします。

Webサイト企画に役立つヒアリングシートの使い方

こんにちは、テクノポートの渡部です。

自社のWebサイトの制作を企画する際に、いきなりサイト制作を進めても中々進まないものです。そこで、現状の自社や市場の情報わかりやすく整理すると、どのようなコンテンツを用意すればいいのかが見えてきます。 本日は弊社でも使用している情報を整理するヒアリングシートとその使い方を紹介します。

このヒアリングシートを埋めれば、自社の強みは何なのか?競合に勝てるポイントはどこなのか?狙うターゲットに自社の強みは刺さるのかどうが見えてきます。

3C分析

今回紹介するヒアリングシートは、マーケティングを進める際の枠組みの1つである「3C分析」を元に設計しています。3C分析とは、顧客=Customer、競合=Competitor、自社=Companyのそれぞれの頭文字である3つのCを分析することにより、自社の立ち位置を把握し、マーケティングに生かす手法です。3C分析について詳しくは下記の記事を参照してください。

製造業のホームページ企画に欠かせない3C分析で戦略を練る

自社(=Company)から始める場合

 

自社の強みがよくわからない、といった場合はこのシートを活用して下さい。情報を整理すると意外な自社の強みが見えてきます。

1、自社の事業内容

ここは大枠で構いません。例えば「板金」「機械加工」などです。

2、各事業内容の詳細

1であげた事業内容を細かく分類します。「板金」であれば、大きさ、板厚、加工内容(レーザー加工、ベンダー加工など)を細かく記載し、まずは自社のできることを整理します。

3、各事業内容の強み

2で整理した詳細の中で、これは自社の強みと思えるものをピックアップします。技術そのものの場合もありますし、付属するもののこともあります。技術そのものの例としては「長さ4mの大型の板を曲げられる」などです。付属するものの例としては「短納期で提供できる」「量産が可能である」などです。

ポイントとしては自社の一押しという観点で考えるのではなく、注文を頂いているお客様の視点に立ち、ここがあるから注文を頂けているだろうという観点から考えることです。

4、強みの根拠となる経営資源

自社の強みが見えてきたら、その強みの根拠となる経営資源を洗い出します。持っている設備の能力や詳細、加工実績、強みに対しての自社の体制などです。

 

市場と競合(=Competitor)から始める場合

モデルとなる競合他社がいる場合、このシートを活用して下さい。実はこんな会社が競合だったということもあります。

1、自社が属する市場

まずは自社の市場全体を見渡してみます。この際、「業界」と「仕事領域」を分けて考えるとわかりやすいです。例えば業界は「自動車部品試作」、仕事領域は「試作板金」といった感じです。もし異業種に打って出たいとお考えの場合は予想のでも構いません。

2、代表的な競合の会社

業界と仕事領域が定まったら、それぞれの代表的な競合の会社を探してみます。同じ会社でも構いません。探し方としては実際に探索する気持ちになって、ネットで検索してみるのが良いです。

3、競合会社の分析

競合会社を定めたら、ホームページを見て具体的に分析します。細かいところまでは分析しなくても構いませんので、検索する側の気持ちになって、特徴や強みを考えてみます。

4、差別化ポイント

競合の分析をすると、自動的に自社の強みが見えてきます。ホームページを分析する中で、競合に勝てるポイントを整理すると、それが自社の強みとなります。

ターゲット(=customer)から始める場合

 

 

具体的に狙っているターゲットが決まっている場合は、このシートを活用して下さい。ターゲットは出来るだけ具体的に設定しておいた方が戦略を立てやすくなります。

1、ペルソナの業界、職種

ターゲットの人物像を具体的にしたものを「ペルソナ」と言います。業界や、業種などで具体的なペルソナを想定します。例えば、「大手自動車メーカーの試作担当、設計担当」などです。業界は同じ「大手自動車メーカー」でも「試作担当」と「購買担当」では次の求めている情報が変わってきます。

2、求めている情報

実際にペルソナの気持ちになって、その人が求めているものを考えます。それが、「4m以上のベンダー加工」といった加工そのものの場合や、「短納期対応」や「品質管理体制」付属する技術の場合もあります。

3、自社の強み

これまでの流れの中で提供するコンテンツが決まったら、関連する自社の強みを洗い出します。自社の強みが活きる内容の場合は、製品事例だけでなく、具体的な強みコンテンツとして別途ページを作成するといいでしょう。

4、提供するコンテンツ

自社の強みに対して根拠となるコンテンツを用意します。上記の「4m以上のベンダー加工」であれば、4m以上の板をベンダーで曲げた製品事例や設備詳細などです。具体的な製品事例で見せるのが難しい場合は、前回の記事を参照にストーリーを作ってみてください。

 

いかがだったでしょうか?どのシートでも大切なことは「顧客目線」でシートを埋めていくことです。ホームページのコンテンツは自社からの情報発信と思われがちですが、顧客が必要とする情報でなければ、あまり価値はありません。

このシートを活用が価値あるコンテンツ作りのお力になれれば幸いです。

顧客に刺さるキャッチコピーとストーリーの作り方

こんにちは、少し前になりますが、先日BtoBマーケティングに関してのセミナーに参加してきましたので、その中でも特に参考になったキャッチコピーとストーリーの作り方について、皆様にシェアしたいと思います。

キャッチコピーとストーリー

BtoBのサイトを設計する際にキャッチコピーとストーリーは非常に重要な要素になります。キャッチコピーは顧客の心をつかむもの、ストーリーは自社の強みを効果的にわかりやすく伝えるものです。キャッチコピーはサイトに大きく載せることも多く、作成に頭を悩ませている方も多いかと思いますが、ストーリーを考えたことはないかもしれませんので、今回是非考えてみてください。

キャッチコピーの作り方

まずキャッチコピーについてですが、弊社としても以前に紹介をしているので、こちらも参考にして頂き、重要なポイントを2つだけ紹介させて頂きます。

×抽象的、〇具体的

心に残るフレーズでオシャレなものをと考えがちですが、BtoBのマーケティングの場合はできるだけ具体的な文言を使った方がわかりやすいです。

  • 抽象的な例:精密な機械加工
  • 具体的な例:複雑形状鋳物の機械加工

×機能訴求、〇課題解決

また、キャッチコピーに押し出したい機能のフレーズを使いたくなりますが、それよりも顧客目線に立った課題解決型のキャッチコピーの方が心に刺さります。

  • 機能訴求の例:設計から加工、表面処理まで一貫生産
  • 課題解決の例:別々に発注する必要がなく、窓口一つですべて対応

上記の2つが満たされていればオシャレな文言でなくても顧客の心に残るキャッチコピーになります。

ストーリーの作り方

製造業のホームページには「自社の強み」といったページが構成されていることがあります。いわゆるこれがストーリーと呼ばれるものになりますが、下記の流れで構成されているものです。

  1. 問題提起
  2. 結果
  3. 実証
  4. 信頼
  5. 安心

の順番です。

「自社の強み」ページにこの中の実証の部分だけが書かれているページを見かけますが、それでは見た人に「だから何なの?」と思われてしまうことがあります。しっかりとした納得のいくストーリーをこちらから提示する必要があります。具体的に見ていきましょう。

1、問題提起

いきなりですが、最重要ポイントです。自社の強みが最大限生きるような状況を洗い出し、問題提起を考えてみてください。ここでは例として、自社の強みを「単品、小ロット対応とする会社」を想定してみます。その場合、下記の様な文面です。

  • 1個から対応してくれる会社が見つからない。
  • テストのために小ロットで数種類製作しなければならない。
  • ロットが少なすぎて金型を起こすにはコストが合わない。

といった文面です。ここでのチェックポイントは、実際に依頼する側の気持ちに立って、その人が実際に直面してそうな内容にすることです。あくまでの顧客目線で考えてください。

2、結果

上記の問題提起に対して、自社が解決できる内容を端的に表現します。上記の例で言えば、

  • 「試作専門の体制だから、1個、小ロット大歓迎でお受けします。」

といった感じです。自社を選んでもらった際に顧客にもたらすメリットをダイレクトに伝えるような文面で、別途作成したキャッチコピーとも内容が相違しないように気をつけてください。

3、実証

実証の部分は、上記の結果を出すための理由です。具体的な数字などを用いて最初の問題提起に対しての回答をする感じです。

  • 弊社の受注の約80%のロットが1個単位
  • 試作専門20年以上のノウハウで種類違いの製作にも難なく対応
  • 自社独自の金型レス化技術により、小ロットでも対応可能

といった形です。「自社の強み」のページでここを大々的にアピールしている会社がありますが、それが顧客の問題を解決できなければ顧客には刺さりません。

4、信頼

ここまでくれば、あとは自社の技術の実績を知ってもらうだけです。製造業のサイトの場合は実際の加工実績がこの役割を果たします。今回の例の様に単品・小ロットを打ち出すのであれば加工実績の詳細に、ロット数を入れることも考えてみてください。これは量産を打ち出す時にも使える手法です。

5、安心

BtoBのマーケティングの場合、一般的にはホームページを見て初めてその会社を知ったということも珍しくありません。会社情報にはしっかりとした情報を掲載するとともに、取引先に大手の名前があるとより安心感を与えることができます。会社情報のページの内容に関してはこちらでも紹介していますので参考にしてください。

ストーリーを作っておくことのメリット

ストーリーを作っておくと下記様なメリットがあります。

分かりにくい自社の技術をわかりやすく伝えることができる。

価格や、わかりやすい機能などで勝負できないBtoBの場合は、このストーリーを作っておくことで、自社の強みをわかりやすく顧客に伝えることができます。また場合によっては、競合他社との比較検討にもならずに、自社に仕事の依頼が来ることもあります。

ストーリーだけで営業になる。

BtoBの場合は、営業担当がいないところで協議されることも多いので、ストーリーをしっかり作っておけば、それだけで自社を理解してもらえることになります。

一貫性のあるマーケティングができる。

あれもこれも、と事業範囲全体をアピールしようとしがちですが、このストーリーを作っておくことで、自社の強みを最大限活かせるようになります。また、パンフレット、展示会出展などにも反映させることで一貫性のあるマーケティングができます。

 

いかがだったでしょうか?キャッチコピーについてはサイト制作時に作る方も多いと思いますが、ストーリーに関しては、作ったことがない方も多いのではないでしょうか?これまでにストーリーを作ったことがない方は、自社のサイトに掲載するかしないかは別として、一度作成してみる事をお勧めします。

集客力の高いWebサイトをページの役割分担を考慮し企画する

テクノポートの徳山です。集客力の高い製造業のWebサイトを制作するためには、どのようなところに注意して企画を立てたら良いのでしょうか。

今回は「Webサイトの各ページの役割分担」を考慮したWebサイト企画の立て方について解説します。Webサイトを企画する際に行き詰まってしまった方、Webサイトを立ち上げたものの今ひとつ効果が挙がっていない方にご参照いただければ幸いです。

Webサイトの各ページにおける役割とは

Webサイトを企画する時に、各ページの役割に着目したことはありますでしょうか?各ページの役割を意識して企画することで、新規顧客獲得に繋がる集客力の強いWebサイトを作成することができます。

それでは、製造業のWebサイトにとって各ページにおける役割とはどのようなものがあるのでしょうか?順にご説明していきます。

アクセスを獲得するページ(ランディングページ)

まず初めにご説明するのは「アクセスを獲得するためのページ」です。このページは、ユーザが検索エンジンを使いWebサイトを探す際に、最初に辿り着くページとなります。

アクセスを獲得するためには、検索結果の上位に表示される必要があり、SEO対策を施す必要があります。そのため、キーワード調査を行った上でどのようなキーワードでSEO対策するか、検索上位表示させるためにはどのようなページ構成にするか、といった点を考えていく必要があります。対策するキーワードの選定方法に関しては下記記事をご参照ください。

製造業ホームページのSEO 〜対策キーワード選定3つのポイント〜

製造業のWebサイトで言うと、製品紹介、加工事例、技術説明、加工材料紹介などのページがその役割を果たすことが多いです。

ユーザを口説くページ(訴求ページ)

次にご説明するのは「ユーザを口説くためのページ」です。検索エンジンを使いアクセスしたユーザがランディングページに辿り着きますが、ユーザに対し自社の魅力を存分に伝えるために、このページへ誘導する必要があります。

他社のWebサイトと比較検討された際に、口説き文句となるコンテンツを掲載することで、ユーザからの問合せを獲得するのに大きく貢献します。

製造業のWebサイトで言うと、品質の高さ、短納期対応、ソリューション(課題解決)事例、他技術との比較などのページをその役割を果たします。

問合せを獲得するためのページ(クロージングページ)

最後に「問い合わせを獲得するためのページ」です。問合せページを設けることは当たり前のことですが、ユーザが問合せしやすく(問合せしたく)なるよう工夫を施しているWebサイトは意外と少ないものです。

どのようなクロージングページを設けるかで問い合わせするか否かの判断が分かれる場合がありますので、手を抜かないようにしましょう。

製造業のWebサイトで言うと、一般的な問合せページ以外にも、技術相談窓口、資料ダウンロードページ、サンプルテスト依頼ページなどのページがその役割を果たします。また、BtoBの場合は必ず問合せ前に会社紹介ページが見られるので、ここも手を抜かないように注意してください。

各ページが役割を果たせているか効果測定する方法

役割ごとにページを設けた後は、各ページがそれぞれの役割を予定通り果たすことができているのか、効果測定を行う必要があります。ここでは、具体的にどのような効果測定を行っていけば良いのかを解説します。

検索表示回数をチェック

検索表示回数は「Search Console」でチェックします。

Search Consoleで検索表示回数をチェック

検索表示回数が少ないということは、そもそも検索エンジンで自社サイトが表示されていないことを表します。数値が少ない場合は、対策しているキーワードの検索需要が少なすぎることが原因であることが多いので、対策するキーワードの見直しをおすすめします。

ページ別の閲覧開始数をチェック

閲覧開始数は「Google Analytics」でチェックします。

Google Analyticsで閲覧回数をチェック

閲覧開始数が増えないページは、そのページで対策しようと考えていたキーワードでの検索順位が上がっていない可能性が高いです。対策しようと考えていたキーワードの順位と、どのページがランディングページとなっているのかを調べた上で、順位が低いのであればSEO対策を見直す必要があります。SEO対策の方法に関しては下記の記事をご参照ください。

製造業ホームページのためのSEO対策を意識したコンテンツの作り方

直帰率をチェック

直帰率も「Google Analytics」でチェックします(見るページは先ほどと同じです)。

Google Analyticsで直帰率をチェック

直帰率の高いページは、ユーザの期待に応えるコンテンツが不足している可能性があります。また、知識を提供しているぺージの場合は、そのページの情報を見て満足してしまっている可能性があります。この場合は、訴求ページやクロージングページへの導線を見直す必要があるでしょう。

直帰率を下げるためには、ユーザが求めているであろう情報を見直し、コンテンツを増強したり、訴求ページへ誘導しやすいようリンクを設置し直すなど、構成そのものを見直す必要があります。

離脱率をチェック

離脱率もGoogle Analyticsでチェックします。

Google Analyticsで離脱率をチェック

離脱率が高いページは、他社と比較して見劣りするコンテンツがあったり、他社と比較する際に必要不可欠な情報の欠如がある可能性があります。

また、クロージングページである問合せフォームのページの離脱率が高い場合は、問合せフォームの項目自体や、項目の必須・任意設定を見直す必要があります。

ページの役割分担を見直すことで改善活動も行いやすくなる

上述したように、予めページの役割分担を考慮した上でサイト構成を考えていくことで、集客力の高いWebサイトを作成できる可能性が高まるとともに、効果が出ない時にどこをテコ入れすべきかの改善活動が効果的になります。

ぜひ自社のWebサイトを新規制作・リニューアルする際の参考にしていただければと思います。既に自社のWebサイトをお持ちの方は、現在作成しているページがどの役割をはたしているのか、ページの追加を考える時にはどの役割の目的で作るのかの参考にして頂ければと思います。

情緒的価値を考慮しホームページのブランド価値を向上させる

ものづくり経革広場の徳山です。自社ブランドを構成する上で重要な要素となる「情緒的価値」という言葉をご存知でしょうか。論理的ではなく感覚的に感じる価値のことを情緒的価値といいます。BtoC企業と違い、BtoB企業のホームページを構築する際に「機能的価値」は重要視されても「情緒的価値」について考慮されないケースが多々あるように感じます。BtoB企業のホームページにとって「情緒的価値」はどれほど必要なものなのでしょうか?そこで今回は「情緒的価値」を考慮することで得られるメリットや、実際の活用事例についてご紹介いたします。

情緒的価値を考慮するメリット

まずは情緒的価値を考慮することで得られるメリットについて考えていきます。

ブランドを構成する一つである「情緒的価値」

冒頭に申し上げたとおり、ブランドを構成する要素は「機能的価値」「情緒的価値」の2つがあります。機能的価値とは、「生産能力〇〇ケ/月」「精度±0.01mm保証」「ご注文より納期10日以内」といったように数値で説明でき、論理的に伝えられる価値のことをいいます。

それに対し、情緒的価値とは「かっこいい仕事の取り組み方をしている」とか「親身で人情味のある会社」など、その会社や製品から感じる「共感性」「安心感」「期待値」など、定量的に表現しにくい価値のことをいいます。BtoB企業の場合、意思決定を論理的思考をもとに行われることが多いため、ホームページを作る際に情緒的価値を軽視する傾向がありました。確かに担当者がホームページのデザインが自分の好みだったから、という理由で発注先を選定することはなかなか無いかも知れません。

しかし、最近では情緒的価値を重視したブランディングを行っているBtoB企業が増えてきています。その潮流に対し、私は下記のような理由があるのではないかと考えています。

  • 担当者が論理的な思考だけで取引する会社を選定している訳ではない
  • ほとんどのホームページが機能的価値にフォーカスしているため、実は情緒的価値の方が差別化しやすい

実際に社長の理念という情緒的な価値に共感したからという理由で発注先を選定した人が知り合いにいるので、会社によっては論理的ではない意思決定を行っている会社も少なくないのかも知れません。

情緒的価値を考慮するとどのような効果が期待できるか

ブランドを構成する上で機能的価値と情緒的価値は両方とも重要なものですが、ホームページにおける新規顧客開拓の話でいうと、私はそれぞれ役割が違うのではないかと考えています。

上図のように、論理的に伝わる価値(=機能的価値)はもともと想定しているターゲットの開拓には向いており、感覚的に伝わる価値(情緒的価値)は考えてもみなかった潜在顧客の開拓に向いています。論理思考よりもデザイン思考の方がイノベーションを生み出しやすいとよく言われますが、それと同様に想定外の顧客を獲得するには顧客側で自社技術を活用する方法を閃いてもらわないといけません。この閃きを起こすには機能的価値よりも情緒的価値の方が適していると考えられるからです。多くの企業が課題として抱えている技術・製品の用途開発を実現するためには、情緒的価値にフォーカスしたブランドを構築する必要があるのではないでしょうか。

情緒的価値について考える際の注意点

クリエイティブな思考になるための環境をつくる

情緒的思考を考慮したブランドを考えるために社内で意見交換を行う場合ですが、普段論理的な仕事ばかりしている会社だとなかなか情緒的価値を考えるためのクリエイティブな思考に切り替わらない場合があります。そんな時は、会社を飛び出しいつもとは違う場所でアイディア出しをする、社外の人にも加わってもらい雰囲気を変える、など工夫することが必要です。

理想と現実のギャップに注意

ホームページ上で打ち出している情緒的価値と実情とに乖離があると、コミュニケーションがはじまった後に悪いギャップをユーザへ与えてしまうことになるので注意が必要です。機能的価値と違い、情緒的価値はどのような表現でも出来てしまうので、理想と現実とのギャップがない表現を心がけましょう。問合せを獲得できたとしても受注できなければ意味がありませんので。

情緒的価値を自社のホームページへ取り入れる具体的な方法

次に、情緒的価値を活用したホームページにより成果を挙げた事例をいくつかご紹介します。

感情面にも訴求するキャッチコピーの作成

ホームページに掲載するキャッチコピーなどを考える際に、機能的価値だけでなく情緒的価値にフォーカスすることでユーザの感情面に訴えかけられるコピーになります。これを考える時は、機能的価値以外で顧客から褒められたエピソードを挙げてみると良いと思います。

製品から伝わる情緒的な価値であれば「梱包の仕方が丁寧で人柄の良さが伝わってくると言われたことがある」とか、「いつも納期より少し早めに仕上げてくれるので安心感がある」といったエピソードはないでしょうか。

人から伝わる情緒的な価値であれば「いつも笑顔で丁寧な対応だから付き合っていて気持ちがいい」とか、「社員全員から職人魂を感じプロ意識高く尊敬する」などと言われたことはありませんか。そういったエピソードをもとにコピーを考えていくとまとめやすいのでオススメです。

事例:イースタン電子工業さま
マイクロ・ビュー社(米国)の三次元測定機を代理店販売している同社ですが、日本での知名度の低さを弱点としていました。そこで機能面だけではなく「世界で多く使われている安心感」という情緒的価値を押し出したキャッチコピーに変更すると共に、今まで見たことのないものへの期待感を演出するためのサイトデザインへ変更し、多くの顧客獲得へとつなげています。

製品の見せ方を工夫する

少し工夫して製品をいつもと違う見せ方にするだけで、ユーザの感情面に訴えかけられるようになると共に、既成概念を取り払うことにつながり、想定外の潜在顧客のニーズを引き出すことができるようになります。こちらは言葉で説明するよりも事例をご紹介した方が分かりやすいと思いますので、こちらをご覧ください。

事例:愛宕精工さま
日常とは違う場所で自社の加工品を撮影することで、ユーザの感情面へ訴求するといった取組みを行いました。普段は航空宇宙関連の部品加工を行っている同社ですが、会社を飛び出しオシャレなカフェを貸し切り、そこに加工品を並べて写真撮影を行いました。その結果、既存の分野に限らない様々な分野の顧客からの問合せ獲得につなげることができました。

事例:旭スプリングさま
メインビジュアルにカラフルなバネの画像を掲載していますが、普段はこのようなバネの製造は行っていません。バネにカラーバリエーションをつけた写真を掲載することでユーザの感情面を刺激しよう、というアイディアを実行したのです。「下町のバネ屋さん」というコピーもユーザの安心感に繋がり、多くの問合せ獲得に成功しています。

メインビジュアルで情緒的価値を訴求する

情緒的価値を伝えるための常套手段であるデザインの力を活用する方法です。言葉を使わずにユーザの感情面へ訴求するにはデザインの力を活用しない訳にはいきません。こちらも具体的な事例がありますのでご覧ください。

事例:東将精工さま
「社員の笑顔」と「すぐに会える」というキャッチコピーを全面に押し出し、親しみやすさを伝えるメインビジュアルを制作しました。顔を合わせて仕事を進めたいという理由で近場でサプライヤーを探しているユーザの心を捉え、多くの問合せ獲得へ繋げることができました。

BtoB企業こそ情緒的価値に考慮したホームページを

いかがでしょうか。自社でも情緒的価値について少し考え直してみようと思うきっかけになれば嬉しいです。製造業でもほとんどの企業が自社ホームページを所有していますが、多くの企業が機能的価値についてはホームページ上で効果的に表現できるようになってきていると思います。しかし、情緒的価値についてはまだまだ考慮している企業が少ないように感じます。競合ホームページと効率的に差別化を図るために、今一度自社の情緒的価値について見直してみてはいかがでしょうか。