中小製造業が知っておきたい!ChatGPTの使い方と業務活用方法

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、中小製造業におけるChatGPTの活用方法をテーマに取り上げます。注目度の高いChatGPTですが、具体的にどんなことができるのか、企業においてどんな使い方があるのかを、具体例も交えてお話しします。

ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発した人工知能(AI)チャットボットで、人との自然な対話が可能です。OpenAIはAI開発研究所で、2015年にサム・アルトマンとTeslaのCEOであるイーロン・マスクが共同設立しました。

ChatGPTは、Transformerと呼ばれる学習モデルを使用した深層強化学習型のAIで、生成系AIとも呼ばれます。人間がAIの回答を評価し、それを元にAIが強化学習を行います。囲碁で人間に勝ったAlphaGoも深層強化学習で有名です。

ChatGPTは、発表されてからわずか40日で1,000万人以上の使用者を獲得し、公開からわずか2か月(2023年2月2日)で月間活動ユーザー数(MAU)1億人を突破しました。これは、インターネットが登場して以来、最も急速に成長したMAUの増加率です。

ChatGPTでできること・できないこと

ChatGPTは、自然言語処理を行うAIで、多言語の文章生成や翻訳などさまざまなことができます。ただし、ChatGPTには得意な分野と苦手な分野があります。ここでは、ChatGPTでできることとできないことを整理しておきます。

できること

以下は、ChatGPTが得意とする分野です。

  • 文章生成と翻訳:ChatGPTは、多言語で文章を生成できます。また、機械翻訳のレベルではありますが、自然な表現で翻訳可能です。
  • 質問応答:ChatGPTは、ユーザーのフリーな質問に対して、対話形式で回答できます。自然言語処理により、より自然な質疑応答が可能です。
  • 文章要約:ChatGPTは、長い文章を要約できます。また、文法的な誤りを修正することや、表現を言い換えることもできます。
  • 校正:ChatGPTは、文章の文法的な誤りを修正できます。
  • 表現の言い換え:ChatGPTは、対象にあわせた言い換えを提供できます。例えば、小学生にもわかる言葉などに言い換えることができます。
  • テキスト分類:ChatGPTは、文章をカテゴリやトピックに分類できます。大量のテキストデータを扱う場合に役立ちます。
  • プログラミング:ChatGPTは、プログラムに関する質問に答えることができます。コードのアイデアや、デバッグのヒントを出すことが可能です。
  • アプリケーションとの統合:ChatGPTはAPIとして利用可能で、他のアプリケーションと組み合わせて使うことができます。 

できないこと

以下は、ChatGPTが苦手な分野です。

  • 経験や感情の理解:ChatGPTは表層的な情報しか処理できないため、人間の感情や経験に対する適切な返答を提供できません。
  • 専門知識:ChatGPTは汎用的な自然言語処理モデルであり、特定分野の高度な専門知識を持ちません。
  • 画像/音声処理:ChatGPTはテキストベースの自然言語処理モデルであり、画像や音声などの非テキストデータを処理することはできません。
  • クリエイティブ性:ChatGPTは自然言語生成を行うAIですが、創造性や感性的な判断は持ちません。
  • 正確性:ChatGPTは訓練データに基づく自然言語処理モデルであるため、回答を誤ることがあります。特にあまり有名でない事実に関しては、誤った情報が提供される可能性があります。
  • 完璧な翻訳:ChatGPTは多言語の文章生成や翻訳ができますが、完全に正確な翻訳を保証することはできません。

ChatGPTの使い方とコツ

ここでは、製造業の現場で担当者が使えるChatGPTの使い方をご紹介します。

製品開発

ChatGPTは製品のアイデア出しや整理を行う際、補助ツールとして活用できます。製品の設計や素材選定にも応用可能です。例えば、ChatGPTに製品の特徴や性能、使用目的を教えることで、より効率的な設計や素材選定を行えます。

マーケティング

ChatGPTは、自社の製品やサービスの広告宣伝活動にも役立ちます。例えば商品サービスの宣伝をしたい場合、宣伝の目的やゴールを伝えることで、宣伝方法や媒体に関するヒントを教えてくれます。

また、ブログ記事やSNSの投稿文、営業資料を生成可能です。SEO対策やアンケートの分析にも活用できます。

カスタマーサポート

自社製品やサービスに関するカスタマーサポートへの応用展開も可能です。チャットボットなどの自動応答で、お客様からの質問に対して回答できます。お客様向けのFAQのネタ出しにも使えます。

ChatGPTは定性データの整理・分類も得意なので、お客様の声の分析にも活用可能です。

生産管理/品質管理

ChatGPTは工場の生産データの解析にも使えます。製品の欠陥率や不良品の原因などをデータ分析し、生産プロセスの改善に役立てられます。生産データの解析にあたっては、センサーで得られた温度や振動データなど、工場内の情報をChatGPT側にインプットする必要があります。データ収集を効率化するために、収集データを自動取得するマクロを組むこともできます。なお、有償版のChatGPTであれば画像データも扱えます。

ChatGPTは文章の自動生成が可能なので、各種マニュアルや手順書などを作る際にも役立ちます。

使い方のコツ

このように、ChatGPTは製造業の各種業務をサポートする便利な機能が揃っていますが、使い方によってはあまり多くの示唆を得られないこともあり、うまく使いこなすにはコツが必要です。

具体的には、質問の仕方を工夫する必要があります。ChatGPTでは、抽象度の高い質問をした場合、回答も一般的なものしか得られません。より具体的な答えを引き出すには、質問の目的や対象、コンセプトなど、前提条件を詳しくインプットする必要があります。

また、ChatGPTから出てきた答えを受け、さらに質問を重ねることで期待する答えに近づけることが可能です。

なお、ChatGPTの回答は間違っていることもあるため、回答をそのまま使うことはおすすめできません。ユーザー自身が回答の正誤を判断できる知識が必要になります。

ChatGPTの活用例

ここでは、業務に応用できるChatGPT活用例を紹介します。実際に質問した内容の回答とChatGPTの回答をスクリーンショットで画像化していますので、ChatGPTを活用する際の参考にしていただければと思います。

【製品開発の活用例】製品開発の素材ネタ出し

製品開発の素材選定を行うにあたり、ChatGPTでそのアイデア出しを行うことができます。そこで、人気商品の開発事例として公開されていた「コクのあるマヨネーズ開発(*1)」のお題にもあった、調味料の素材について、ChatGPTに答えを求めたらどうなるかを試してみました。

*1:https://j-net21.smrj.go.jp/special/popularfoods/2014032601.html

実際の開発現場にどの程度役に立つかは判断が難しいですが、アイデアが浮かばなくて困っている場合の壁打ちとしては使えるのではないでしょうか。

【マーケティング活用例】SEO対策記事

これは、本記事の企画の参考として試しにChatGPTに質問してみたもので、「製造業をターゲットにしたChatGPTの記事のテーマと記事タイトルを書いてもらう」というものです。

ChatGPTに複数候補を挙げてもらい、そこから最適なものをChatGPTに選んでもらうという使い方をしています。また、なぜそれを選んだかの理由もChatGPTに回答してもらいました。

【カスタマーサポートの活用例】不具合対応のFAQネタ出し

不具合対応の想定問答として、マウスを例にChatGPTにネタ出ししてもらったものです。今回の例は簡易的な質問を投げているだけなので、実際にはもう少し情報をインプットして行う必要があります。

逆に、このレベルの質問だと、この程度しか答えが得られないことがわかるので、そのあたりも参考にしてください。

まとめ

今回は中小製造業においてChatGPTを活用する方法について、どのような使い方ができそうか、ChatGPTでできることをご紹介しました。製品の開発からマーケティング、品質管理に至るまで、応用範囲は広いようです。

ただし、具体的な示唆を得るためには、質問の仕方を工夫する必要があります。業務にChatGPTを活用する場合、目的や答えを引き出すために必要な事前情報を整理することが求められます。また、正しい答えが得られるとは限らないため、利用者は正誤を判断できる知識も必要です。

活用の仕方によっては、複数の質問を繰り返し、答えをブラッシュアップさせる必要がある場合もあります。また、内容によっては人間が行う方が効率的な部分もあるため、どの部分にChatGPTを活用し、どこに人間の手を加えるかを探っておくことをおすすめします。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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製造業におけるオウンドメディアの活用法

こんにちは、テクノポートの渡部です。製造業においても、オウンドメディアの運営をしている企業が増えてきました。今や技術や自社の製品の情報をオウンドメディアで発信することが、営業活動の一環として一般的になってきたのです。

しかし、オウンドメディアの制作、運営は決して容易なものではありません。本記事では、製造業におけるオウンドメディアの付き合い方についてご紹介します。

オウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、自社のコーポレートサイトとは別にサイトを開設し、自社の製品やサービスに関する情報を発信するサイトのことです。企業の情報発信力を高め、顧客とのコミュニケーションを深めることができます。また、オウンドメディアは自社でコンテンツを制作・運営するため、外部の媒体に比べて自由度が高く、企業の個性や強みを発揮しやすいという特徴があります。さらに、SEOを意識したコンテンツ制作を行うことで、自社のウェブサイトへのアクセス数を増やすこともできます。

オウンドメディアを運営することのメリット

オウンドメディアを運営することで、様々なメリットを受けられます。

自社の情報発信力を高め、認知度の向上

自社の技術や製品についてコンテンツを発信することで、顧客や見込み客に対して自社の存在感をアピールすることができます。また、アクセスを集めることで、認知度の向上にもつながります。

SEO対策に特化できる

オウンドメディアでコンテンツを発信する際には、狙ったキーワードに特化したコンテンツを作ることができるため、コーポレートサイトとは違った細かいキーワードのSEO対策ができます。

製造業がオウンドメディアに取り組むべきメリット

オウンドメディアを運営することで受けられるメリットはたくさんあり、中小製造業こそオウンドメディアに取り組むべきだと思っています。自社技術という発信できるコンテンツがあり、そのコンテンツは製造業界に携わる人々にとって非常に有益な情報となるからです。

潜在顧客へのリーチができる

オウンドメディアのコンテンツの需要と供給をうまくマッチングさせることができれば、潜在顧客へリーチができ、のちのちの獲得につながる強力なコンテンツになります。

製品・技術の用途開発につながる

潜在顧客にアプローチすることができれば、将来の製品や技術の用途開発につながる可能性があります。また、潜在的な需要に対応することで、新たな市場を開拓することもできます。

ブランディングにつながる

自社の技術や製品情報を発信することで、業界での知名度を高められます。また、顧客に向けたコンテンツを提供することで、顧客のニーズに合わせた製品開発やサービス提供ができるようになり、これらの取り組みはブランディングにつながり、競合他社との差別化を図ることができます。

採用活動にプラスになる

社員インタビュー等によって開発秘話や仕事内容について説明するコンテンツを作成すれば、働いている実際の現場を見せることができるため、採用活動にもプラスに働きます。企業文化や働く環境もアピールでき、求職者採用活動に有利になります。さらに、自社の技術や製品を魅力的に紹介することで、新卒採用においても、熱心な志望者を惹きつけやすくなります。

オウンドメディアの制作と運営に必要なこと

では実際にオウンドメディアの制作と運営に必要なことは何かについて解説します。

目的は明確にして長い道のりであることを覚悟すること

オウンドメディアは長く運営していくことになるので、制作・運営をはじめ、最終目的を明確にしておくことが大切です。オウンドメディアを運営していく理由は様々ですが、代表的な目的には以下のようなものがあります。

  • 企業のブランディング
  • 新規リードの獲得
  • 自社技術の用途開発
  • 採用活動の支援

長く運営をしていると「あれもこれも」になってしまう可能性があるので、当初の目的を忘れずに、コツコツと長く付き合っていことを覚悟しましょう。

継続的にコンテンツを発信し続けること

オウンドメディアを運営することで、企業の情報や価値観を顧客や潜在顧客に伝えることができますが、それが一度きりで終わってしまっては意味がありません。ユーザーに必要とされる情報を継続的にコンテンツを発信することで、その信頼を獲得できます。また、定期的に新しい情報を提供することで、リピーターを獲得できます。このように、オウンドメディアを運営する上で継続的なコンテンツ発信は必要不可欠な要素です。

アクセスの解析から改善活動を続けていくこと

アクセス解析を通じて、読者の行動や興味、傾向などを把握できます。具体的には、どのコンテンツが読まれたのか、どのページで離脱したのか、どのような検索ワードで訪れたのかなどを把握し、改善点を見つけ出します。改善点をヒントにコンテンツの質を向上させることで、より多くのユーザーにリーチし、ビジネスにつながる成果を得ることができます。

オウンドメディアの事例

製造業が取り組んでいるオウンドメディアの事例をいくつか紹介します。

connect.nissha(NISSHA株式会社)

出典:connect.nissha

connect.nisshaはNISSHA株式会社が運営するオウンドメディアで、自社が提供している技術や製品のコンテンツを発信し、お客ユーザーの技術的な課題や、もっと大きく社会的課題の解決に貢献しようというサイトです。新規見込みリードの獲得や育成はもちろんのこと、技術情報の提供によって用途開発につなげる役割も持っています。

TechWeb(ローム株式会社)

TechWebはローム株式会社が運営する電子回路に関する情報を発信するオウンドメディアです。記事にはマンガ形式の記事もあり、これから電子回路を学ぶ人にとってもわかりやすい内容になっています。サイト内にはウェビナーへの誘導や、資料ダウンロードの項目があり、新規リードの獲得が目的になっています。

出典:ROHM TechWeb

CEMEDINE-Style(セメダイン株式会社)

CEMEDINE-Styleはセメダイン株式会社が運営する、ものづくり全般の情報を発信しているオウンドメディアです。セメダインは商品名にもなっているので、一般向け接着剤のメーカーというイメージがありますが、それ以外にも工業用、建築用の接着剤やその他の事業も展開しているため、そのことを周知する目的で運営されています。

出典:CEMEDINE-Style

テクノロジーイノベーションセンター特設サイト(ダイキン工業株式会社)

テクノロジーイノベーションセンター(TIC)特設サイトは、ダイキン工業株式会社が運営する自社の技術開発拠点とその活動をコンテンツ化しているオウンドメディアです。ダイキン工業といえば世界的な空調・エアコンメーカーですが、その裏にある技術的な内容をコンテンツにしており、自社の事業内容の周知をすることによって、採用活動に役立てる目的も持っています。

出典:テクノロジーイノベーションセンター特設サイト

表面処理ガイド.com(蒲田工業株式会社)

表面処理ガイド.comは、蒲田工業株式会社が運営する表面処理全般の知識を集約したオウンドメディアです。会社としてはクリーンルームの設計や製作、カプラーの設計・製作など多岐にわたりますが、その中の一つである表面処理のコンテンツだけを扱い、関連するリードの獲得を目的にしています。

出典:表面処理ガイド.com

まずは自社サイト内で1コーナー設けてみる

上記のようなオウンドメディアをいきなり立ち上げるのはハードルが高いという場合は、自社サイト内にオウンドメディアの卵となるコーナーをブログシステムなどを活用して設けてみるのも一つの手法です。いくつか取り組んでいる例を紹介します。

株式会社アコースティック・アドバンス

株式会社アコースティックアドバンスは、様々な吸音材を扱う企業です。吸音・防音・遮音のメカニズムを紹介するコラムを自社サイト内に設置することで、音に関する課題をもつ潜在顧客の集客に成功しています。

出典:株式会社アコースティック・アドバンス

荒川技研株式会社

荒川技研株式会社は樹脂の試作を専門とした試作加工会社です。自社の技術情報の他に、樹脂素材の一般的な解説や、樹脂の加工方法に関する一般的な解説、またそれらに関する課題の解決方法などをコラムでコンテンツ化。コンテンツ化の際にSEO対策を行い、広くいろんな人に情報をリーチさせることで集客を成功させています。

出典:荒川技研株式会社

まとめ

オウンドメディアというと、コンテンツを持続して発信しないといけないので、確かに大掛かりなプロジェクトにはなります。しかし、目的を持って根気よく続ければ、少しずつではありますが確実に効果は出てきます。いきなりサイトを立ち上げるのが難しい場合は、まずコーポレートサイト内でコラム等を発信するところから始めてみてはいかがでしょうか?

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AI・IoT事業者のためのWebマーケティング戦略

テクノポートの徳山です。当社は製造業専門のWebマーケティング会社ですが、製造業のことをよく理解しているという理由から、製造業向けのAIやIoTサービスを提供している事業者のマーケティング支援にも携わることがあります。

そこで今回はAIやIoT事業者がWebマーケティングを推進する際の成功ポイントを解説していきます。

AI・IoT事業者のWebマーケティングの特徴

製造業と同じように、AIやIoTにおいてもWebマーケティングを推進するうえで欠かすことのできない特徴があります。まずはその特徴について解説していきます。

見込顧客の購買フローが比較的長い

AIやIoTサービスは高額かつ初めて導入する場合が多いため、顧客はしっかりと情報収集したうえで導入するサービスの選定を行う傾向があります。その影響で、情報収集〜購買に至るまでのプロセスが多く長いのが特徴です。

そのため、ターゲット顧客のカスタマージャーニーを描いたうえで、Webマーケティング施策を講じていく必要性があります。

サービス提供者と見込顧客との知識差が大きい

前述したとおり、AIやIoTは最近広まったサービスということもあり、初めて導入する場合が多いです。導入経験に乏しく専門知識を有していないことも影響し、問い合わせを行うのに慎重になるケースが多いでしょう。

そのため、サービス事業者としては知識差を埋めるための努力を行う必要があります。ターゲット顧客の心理的ハードルを下げるために、Webサイトに掲載するコンテンツなども工夫する必要があります。

用途開発につながることが大きなメリット

AI・IoTの分野においてはローンチされたばかりのサービスも多く、中にはテストマーケティング段階の場合も多いのではないでしょうか。そのようなサービスにおいては、明確にターゲットが決まっていないことも多いですが、Webマーケティングによってさまざまな分野の顧客から問い合わせを獲得することで、自社サービスの用途開発につながることがあります。

Webマーケティング成功のポイント

次に、AI・IoT事業者がWebマーケティングに取り組む際の成功ポイントについて解説していきます。

購買フロー後半のユーザーを狙う

短期間で成果を出したい場合は、購買フロー後半に属するユーザーを狙うのが成功の近道です。これを実施するためには、まずターゲット顧客のカスタマージャーニーを描く必要があります。

カスタマージャーニーとは、顧客が製品・サービスを認知してから購入/利用するまでの一連のプロセスのことです。これを描くことにより、顧客の状態にあった最適なアプローチができるようになります。

AI・IoT事業者のカスタマージャーニー例

AI・IoT事業者のカスタマージャーニー例

カスタマージャーニーに関しては以下の記事をご覧ください。

AIやIoT事業者がターゲットとする顧客の多くは購買フローが長いため、購買フロー前半の情報収集段階ユーザーへばかりリーチしていても、リード獲得につながりません。仮にリード獲得できたとしても、購買まで育成する期間が長く、短期的な成果には結びつきづらいです。

そのため、短期間で成果を出すためには購買フロー後半のユーザーを中心にリーチすることが重要です。購買フロー後半のユーザーと接点を持つための最適なタッチメディアは何か、どのような検索キーワードで情報収集を行うか、といったことを突き詰めていきましょう。

知識差を埋めるためのWebコンテンツを準備する

AIやIoTのサービスの導入経験がない顧客は、その分野における専門的な知識を有していない場合が多いため、サービス提供者はその知識差を埋める努力を行う必要があります。

知識差を埋めるためには、Webサイト上で専門分野における知識を分かりやすく提供するとともに、初めての導入でも安心感を与えられるよう導入事例を多く掲載するとよいでしょう。また、これは問い合わせ後の営業対応の話となりますが、営業担当は見込顧客への親切丁寧なコミュニケーションを心がける必要があります。

効果的な導入事例の作り方について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

あらかじめ用途仮説を立てたうえで情報発信する

AIやIoT事業者などの技術系企業にとってWebマーケティングにより用途開発を実現することは大きなメリットとなります。特に提供中のサービスがテストマーケティング段階であれば、将来主要なターゲットとなる分野を見つけ出すことにつながるかもしれません。

用途開発を実現していくためには、MFTフレームワークなどのフレームワークを使い用途仮説を立てるとよいでしょう。用途仮説で設定したうえでターゲットが使いそうな検索キーワードを中心にSEO対策やリスティング広告を実施することで、仮説立案したターゲットからの問い合わせを引き寄せることができます。

MFTフレームワークの活用方法については以下の記事をご覧ください。

AI・IoT事業者のWebマーケティングの活用事例

最後に、弊社で支援しWebマーケティングにより大きな成果を挙げた事例をいくつかご紹介します。

【コンテンツマーケティング】
対策キーワードの種類を方向転換し多くのリード獲得に結びつける

IoTで製造業や物流業の生産性向上サービスを提供するA社は、もともとコンテンツマーケティングに注力しており、オウンドメディアから多くのお役立ち情報を発信していました。

しかし、アクセスキーワード分析を行った結果、流入獲得できているキーワードのほとんどが情報収集系のキーワードだったため、アクセス数の割に問い合わせが少ない状況でした。

そこで、過去の事例や用途仮説から対策キーワードを検討し、情報収集系のキーワードから「IoT バッテリー」「IoT モーター」といった用途系のキーワードや、「IoT 予知保全」「IoT 在庫管理」といった機能系のキーワードに方向転換した結果、多くのリード獲得に結びつくようになりました。

【リスティング広告+SEO対策】
集客施策を見直すことで顧客獲得単価が大きく減少

AI×ロボティクスのソリューションを提供するB社は、もともとリスティング広告に注力していました。しかし、競合企業が増え広告のクリック単価が上昇し、顧客獲得単価が右肩上がりに増えていってしまいました。

そこで、リスティング広告からSEO対策に徐々に方向転換し、少しずつ顧客獲得単価を減少させることに成功しました。SEO対策による流入が増えてきた時点で、リスティング広告に関しては購買フロー後半のユーザーが使いそうな検索キーワードに絞り込んで運用。こうすることでコンバージョンレート(問い合わせ率)が改善され、少ない広告費用で大きな成果を得られるようになりました。

【用途開発マーケティング】
Webマーケティングを契機に自社サービスの新たな可能性を切り拓く

異常検知AIを開発・提供しているC社は、自社サービスをローンチしたばかりだったため、まだどのような業界にニーズがあるのかが分からない状況からマーケティング活動をスタートさせました。ターゲットがはっきりとしない段階だったため、広告を打ってもなかなか効果が挙がりませんでした。

そこで、まずは仮説ベースでもよいのでターゲット顧客を設定すべく、MFTフレームワークを使い技術を棚卸しました。用途仮説とターゲット顧客を見定めたうえでWebマーケティングを再開したことにより、ターゲット顧客からの問い合わせ増に加え、想定していなかった分野からの問い合わせを多く獲得しました。

そこで獲得した見込顧客の情報から、その後のサービスの技術開発の方向性を見出したり、サービスのブラッシュアップにも役立て、今では特定の業界に根差したソリューションとしてサービスを展開するに至っています。

以上、AIやIoT事業者がWebマーケティングを推進する際の成功ポイントを解説しました。弊社では製造業だけでなく、製造業をターゲットとした商材のマーケティング支援も積極的に行っております。ぜひお気軽にご相談ください。

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脱!御用聞 | 製造業の営業×ブランディング3つのステップ

  • 「受注をとりたくて、また値引きしてしまった…」
  • 「納期が厳しいが受けるしかない…」
  • 「今回は苦しいけれど、きっと次につながるはず…」

このような営業結果が続いている場合は、「技術」と「価値」が結びついていない伝え方をしているのが、原因かもしれません。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

企業が抱える3つの課題

①御用聞き・下請け体制を続けている

長年続く大口顧客との契約。非常にありがたいものですが、もし、売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要です。気候変動や世界情勢による先行きの見えない時代で、ある日突然契約を打ち切られる可能性があります。このようなリスク回避のためにも、御用聞き・下請け体制から提案型の営業スタイルにシフトしていきましょう。

②商談が商品紹介で終わっている

やっと漕ぎ着けた商談でも、顧客に自社商品を魅力的に感じてもらわなければ意味がありません。しかし、商談で自社商品やサービスの紹介で終わっているケースがあります。「買って欲しい」というのはこちらの都合であり、顧客が価値を感じて購入決定するのとは別物です。商談で話している内容が商品紹介だけになっていないか、一度確認してみましょう。

③顧客の真のニーズに触れていない

顧客がほしいのは、「技術」そのものではなく「成果」です。
あくまでも「技術」は手段のひとつです。顧客の本当の目的は、高い技術自体でははく、自社の売上や効率アップだということを忘れてはいけません。 だからこそ、クライアントに本当に響くのは、ビジネスの成果につながる「成果」の提案です。単に製造を請け負う会社としてではなく、自社のブランドから顧客のビジネスを支援するという商談が、一歩進んだこれからの営業のあり方なのです。

営業×ブランディングで解決する3つのステップ

Step.01:既存顧客・休眠顧客へのアプローチ

新規顧客へのアプローチは、既存顧客・休眠顧客に対して5倍のコストがかかると言われています。コストというのは広告などの販促費だけでなく、時間などの人的コストなども含まれます。そこで、効果的なのが既存顧客・休眠顧客へのアプローチです。契約が途切れてしまった既存・休眠顧客に対して伝えていない情報はないでしょうか?まだ伝えていない自社の取り組みや新製品を持ってアポイントを取ることで、取引を再開するきっかけを作ります。

Step.02:事例の言語化・数値化

顧客にとって購入決定の材料となるのが、「事例」です。事例というのは過去に行ってきた案件の中で具体的に引き合いに出すことのできることです。ここでポイントなのが、「言語化」と「数値化」です。まず、技術系企業の場合、自社の技術を当たり前のものと捉えてしまい、端折ってしまいがちな工程もきちんと言語化する習慣をつけましょう。さらに工程において、数値化できるものは徹底的に数字に落とし込みます。そうすることで顧客は、事例からあなたの会社の商品やサービスの効果やメリットを理解しやすくなるのです。

Step.03:顧客のビフォー・アフター

購入決定への意欲をアップさせるために、もう一つできることがあります。それは、Step.02の事例の言語化・数値化と併せて、顧客のビフォー・アフターを伝えることです。顧客のそもそもの悩みは何であるか、またその悩みが解決された顧客はどうなったのか。あなたの会社の商品やサービスの効果やメリットと、顧客にもたらす変化を一連のストーリーとして伝えることができるで、顧客の期待感が増すのです。

裏取りされても慌てない ブランディングで対等な関係を構築する

最後になりますが、営業活動に出る前に、自社のブランドが整えておくこともポイントです。なぜなら営業活動ではアポイントが取れた直後に商談というケースは少ないものです。そのため、相手はアポイント獲得から商談までの間に、あなたの会社や事業の情報、お客様の声などの情報を事前に収集する、「裏取り」をしています。絶対に受注を取りたい商談の前でも、裏取りにも慌てないように日頃からブランディング施策を行うことで、営業活動も効果的に行うことができます。

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製造業におけるプロダクトマーケティング推進の手法

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はプロダクトマーケティングをテーマにお話しします。

プロダクトマーケティングは製造業のマーケティングの要となる存在であり、専門組織を置く企業も多いと思われます。一方、企業によってその役割や求められるものが微妙に異なることが多く、どう進めていけばよいか迷う方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、プロダクトマーケティングの業務担当者や管理者の方に向けて、プロダクトマーケティングで求められる役割や、進め方や準備すべきコンテンツなどについて解説します。

プロダクトマーケティングとは?

プロダクトマーケティングは、製品サービスを市場に浸透させる一連のマーケティング活動を指します。製品サービスのコンセプト企画や販売戦略の立案・推進を行い、発売後の顧客生涯価値であるLTV(Life Time Value)を最大化します。

プロダクトマーケティングの役割

プロダクトマーケティングは、業界や企業によって求められる役割が異なります。拡販活動を主軸に置く場合もあれば、企画開発から販売後までの全プロセスを見る場合もあります。また、さまざまな関係組織との連携が必要です。開発部門、営業部門、生産部門、品質管理部門など、製品に関わるあらゆる部門が対象になります。

プロダクトマーケティングのプロセスと推進方法

プロダクトマーケティングは、大きな流れとして、以下の7ステップがあります。

  1. アイデア検討
  2. 市場/競合分析
  3. 製品ポジショニング
  4. マーケティングミックス
  5. 実行計画
  6. 発売時の対応
  7. 顧客満足度向上(発売後)

ここでは、各プロセスの概要と推進方法についてお話しします。なお、プロダクトマーケティングでは、これらの業務を遂行する上で、関係する部門への情報伝達と意識合わせを行うことも求められます。

1.アイデア検討

まず行うのは、製品企画の種となるアイデアを創出することです。これは、次で説明する市場や競合分析と一緒に行うこともあります。

アイデアの創出は、既存プロダクトの延長の場合と、完全に新規で企画する場合とでやり方が異なります。既存プロダクトの延長製品の場合、営業やカスタマーサポートなど顧客と直接接点がある関係部署からニーズや課題をヒアリングしていきます。その上で、そのニーズ/課題に応えるアイデアを着想することになります。

全くの新規で企画する場合、プロダクトマーケティング担当者が顧客の声を収集することが有効です。営業などの顧客訪問に同行して、直接顧客と会話し、顧客自身の発言を拾っていくとよいでしょう。別の方法として、リサーチ会社など外部の知見を借りて、アンケートやインタビュー調査を実施するやり方もあります。外部の知見を借りることで、新たな着想を得ることが可能です。コストはかかりますが、他者視点を組み合わせるのは効果的です。

アイデアはひとつだけではなく、できるだけ多く創出しておきたいところです。その上でアイデアを整理していくことになります。

2.市場/競合分析

アイデアを整理したら、それをもとに対象となる市場や競合の分析をしていきます。

市場分析では、そのアイデアが活用できそうなポテンシャルのある領域について調査します。現時点でどのような用途があるのかだけでなく、将来的に応用できそうなものは何かというところまで考えていきます。

同時に、競合となり得る製品やサービスも調査します。類似の他社製品だけでなく、広義の意味で製品を置き換える可能性のあるものはすべて視野に入れて考察していきます。

市場と競合がしっかりと分析されていると、自社のアイデアの立ち位置や、攻めるべきターゲットをどこに置けばよいのかが見えてくるはずです。

3.製品ポジショニング

ポジショニングは、市場における立ち位置を明確にすることです。製品やサービスの属性(セグメント)を2つの軸で考え、顧客から自社がどう見えてほしいか立ち位置(ポジション)を考えていきます。

2軸となる属性には、製品の機能や価格、ユーザビリティ、拡張性などがあげられます。例えば以下のようなものです。

  • 価格(安い)
  • 操作性(使い易い)
  • 機能(高機能/多機能/シンプル)
  • 品質(安全/長持ち)

4.マーケティングミックス

ポジショニングを行ったら、これまで検討したコンセプトをもとにマーケティングの実行戦略を考えていきます。マーケティングの4Pといわれるフレームワークに当てはめて検討するとよいでしょう。ここでの「4P」とは、

  • どんな製品を(Product)
  • いくらで(Price)
  • どこで(Place)
  • どうやって売るか(Promotion)

のことです。その際、顧客にとっての製品価値やコスト、入手手段に関する現状・課題・ニーズなどを調べておくと検討しやすくなります。なお、扱う商材によっては、Person(対象)/Package(パッケージ)/Process(業務プロセス)の要素を考えていくこともあります。

5.実行計画

製品サービスの発売前には全体の進め方や販促計画、顧客対応をどうするかなどの計画を立てていきます。プロジェクト全体の進捗を管理し、発売に合わせ具体的にどうアプローチしていくか考えるとよいでしょう。

プロダクトローンチのような発売前の取り組みも行うこともあります。プロダクトローンチとは、発売前に見込み顧客を集め、部分的に情報提供を行い顧客の購買意欲を高める手法です。

6.発売時の対応

製品の発売と同時に、プロモーション、営業をスタートします。

製品を発売すると、その製品に関心がある顧客から製品の仕様や価格、入手手段などの問い合わせを受けることになります。そのため事前に、問い合わせに対するサポートをどうするかを検討しておきます。また、製品不具合、配送トラブルなど不慮の事態に備えた対応も必要です。

問い合わせは営業や販売店、CS、広報など、さまざまな関係部署から寄せられます。それらの情報は一元管理して、関係部署間で共有しておいた方がよいでしょう。今後、改善ポイントを洗い出しPDCAを回していくために必要となります。

7.顧客満足度向上

プロダクトマーケティングは販売して終わりではありません。発売後はカスタマーサクセスにつなげ、顧客エンゲージメントの向上を図っていきます。プロダクトライフサイクルを考え、製品が今どの位置にいるか見ながら、その都度、売上や価格、チャネルを見直す必要があります。

そうして顧客の生の声を吸い上げ、次の改良製品につなげていくのです。

プロダクトマーケティング推進に必要なコンテンツ

プロダクトマーケティングを進めるにあたって、製品サービスをターゲットに知ってもらい、興味喚起させる必要があります。そのために必要なのがコンテンツです。ここではプロダクトの広報や広告宣伝用に活用するコンテンツについて解説します。

どんなコンテンツが必要か

コンテンツは、オンラインとオフラインのものがあります。

用途は、通常の営業活動で使うほか、広報や広告宣伝、展示会・イベントなど幅広いです。各コンテンツは、媒体/用途に限らず統一感のあるものが望ましいです。また、コンセプトを正しく効果的に伝える共通のビジュアルとメッセージを用意します。

オンラインで用意するもの

オンラインで用意するコンテンツは、Webサイトやランディングページ(LP)、ブログ、WP(ホワイトペーパー)、動画などです。また、これらのコンテンツを広めるためのSNS投稿やメール配信用のコンテンツも必要になります。

Webサイトは、会社ホームページ上に掲載しますが、製品の重要度、販売方針によって製品用に特設サイトを作ることもあります。デジタル広告を打つ場合、商品ページとは別に専用LPを用意した方が効果的です。

ダウンロード用のコンテンツとして、製品が必要な背景・課題などをとりあげたレポートや     事例、カタログ情報なども用意するとよいでしょう。製品の利用シーンや製品デモなど、体験型のコンテンツは動画制作が効果的です。

紙媒体の配布物

紙媒体の主なコンテンツとしては、製品カタログ、チラシなどがありますが、コロナ禍以降、デジタル化が急速に進展し、紙媒体コンテンツの提供機会は減っています。WebサイトからのPDFダウンロードで同じ情報として届けられる一方、紙は印刷や郵送コストがかかるため、コスト削減対象に考える企業もあるでしょう。

一方、紙のコンテンツは今でもFtoFの営業やリアルイベントの際の強力な販促ツールであることは変わりありません。むしろ、多くの企業がデジタル化に注目している今、逆に目に留まりやすい側面もあります。日々、大量のデジタルコンテンツが流れ、デジタル疲れをおこしているユーザーも少なくありません。紙媒体は、こうしたターゲットに刺さるコンテンツになり得る可能性があります。

広報宣伝で用意するもの

新製品を発売する際には、プレスリリースや記者発表、メディアキャラバンなど各種広報活動を行います。そうした広報活動に必要なコンテンツも準備する必要があります。

製品サービスの位置づけ、重要性によって異なりますが、最低でもプレスリリースは用意した方がよいでしょう。プレスリリースは、やることが当たり前になっていて形骸化しがちですが、少額のコストで準備ができ、メディアの力を利用することで広く拡散できます。

ただし、メディアを相手にする場合、期待通りにコントロールすることは難しいです。媒体の方針や記者の考え方によっては、露出効果が限定的になってしまうこともあります。最近は、PR TIMESなど、自社主導で発信できるプレスリリース配信サービスも充実しているので、うまく活用することをおすすめします。

展示会・イベントで用意するもの

イベントでは、オンライン、オフライン含めたすべてのコンテンツが有効活用できます。また、イベント専用のコンテンツとして、製品デモや試用サンプル、説明パネルなどもあります。

展示会の場合、競合他社も出展し、横並びで比較されるため、たくさんの展示品に埋もれないよう見せ方の工夫が必要です。そのためだけにコンテンツを企画制作することもありますが、制作準備のコストやリソースがかかるのが難点です。出展する展示会が自社の目的にどの程度マッチしているのか、期待する効果が得られるものなのか、慎重に選ぶ必要があります。

プロダクトマーケティング業務上の注意点

ここでは、プロダクトマーケティングの業務を推進する上で、現場担当者として気を付けておきたいポイントをご紹介します。

関係部門との意識整合

プロダクトマーケティングは、開発、製造、宣伝、営業、カスタマーサポートなどいろいろな部署と連携することになります。これらの関係部門・担当者間で、情報共有と意見整合がしっかりなされていることが重要です。

企画アイデアのヒントとなる顧客の声や新技術の開発状況、最新の市場トレンドや他社の動きなど各々の担当部門で収集した情報が、担当者や組織を超えて共有されていれば、問題解決やフォローがスムーズになり、部署間の議論が進み、スピードアップを図れます。

逆に情報が共有されていないと、関係者間のコミュニケーションに齟齬が生じて、企画段階からなかなか先に進まず、他社に先を越されてしまったり、十分に仕様検討を煮詰められずに市場に出すことになってしまったりするかもしれません。

ツールなどを活用し、情報共有の仕組みを構築しておくとよいでしょう。

また、組織の体制によっては各関係者の役割分担が曖昧で、業務の境目にボールが落ちることもあります。企業によりますが、プロダクトマーケティングの担当者には、プロジェクトの全体最適化が求められることも多いです。自身の業務だけでなく、他部門も含め上空から鳥の目線で業務を見ることも大切になります。

アイデア企画

プロダクトマーケティングにおいて、企画アイデアや打ち手の検討は根幹となる重要な部分です。この部分をどう考えていくべきかについては、製品/サービスが、従来延長なのか全くの新規なのかで変わってきます。

従来延長の製品/サービスの場合、顧客の課題やニーズに対する声は、日ごろ接点が多い営業やカスタマーサポートが拾う機会が多いです。こうした顧客接点のある担当者間の情報連携を仕組化し、一元化して情報蓄積しておくことが重要になります。

一方、新規プロダクトの場合、そうした通常のコミュニケーションではなかなか顧客の声を拾うことはできません。特に潜在的なニーズや課題は、言語化された情報になりにくいです。インタビューやアンケートを通して、マーケティング担当者が自ら情報収集し、業界の動向や先進事例なども見ながら分析・考察をすることになります。

この際注意したいのは、アンケートなどの調査のやり方です。従来のアイデア企画では、対象となる多くのユーザーの声を集め、傾向を分析する傾向がありました。しかし、大多数の平均的な声に耳を傾けすぎると、誰もが考えるような尖らない企画になってしまいます。

今日では、むしろリーディング顧客の一人に焦点をあて、その人を深堀して隠れた潜在的なニーズを引き出すことが重要視されています。

業務の優先順位

プロダクトマーケティングの業務は多岐に渡ります。一人でいくつもの製品を担当する人も珍しくなく、業務量も多いです。

特にコンテンツの資料作成や、内部関係者整合に時間をとられがちになります。そのため、本来やりたいアイデア着想や売り方を検討する時間がとれないのが課題です。高度な技術知識が要求されるハイテク関係でその傾向が強いといわれています。

一番の対策は、組織的解決です。例えばハイテク関係の企業であれば、テクニカルマーケティングの組織と担当者を置き、技術領域は担当者に専任してもらうという手があります。技術領域は高度な知識と専門性が必要とされるため、これは単にプロダクトマーケティングの負荷を減らすだけでなく、専門家部隊を置くことで価値向上を図ることもできます。

担当者自身が解決できる対策としては、コンテンツの制作負荷を削減する工夫です。先に挙げたようにプロダクトマーケティングに必要なコンテンツは多岐に渡りますが、目的や用途に合わせてテンプレート化し、コンテンツの流用を図ることで省力化できます。

プロダクトマーケティングは、高い専門性とマネジメント力を要求される業務です。人材育成にも時間がかかるため、慢性的な人材不足に陥っている企業もあるでしょう。自社の努力だけでは限界がある場合、外部人材やパートナー企業の活用も視野にいれるとよいでしょう。

最近は、マーケティング領域でも外部人材を積極活用する企業も増えています。コンテンツの企画制作や、調査分析業務であれば外部にリサーチ人材も多いので、業務を切り出してみるのもよいのではないでしょうか。

まとめ

プロダクトマーケティングは、アイデア検討から市場分析、発売からその後までプロダクトライフサイクルの全工程を見る業務です。さまざまな関係組織との連携が必要で、関係部署との情報共有と意見整合が重要になります。担当者や組織の垣根を超えて最新の情報共有を図ることで、部署間の議論が進み、スピードアップを図れます。時代のニーズをとらえた製品を他社に先駆けて市場投入するには、情報共有の仕組み化が重要です。

製品/サービスを認知喚起し、ターゲットに購入を促すためには、さまざまなコンテンツが必要になります。コンテンツは通常の営業活動以外でも、広報や広告宣伝、展示会・イベントなど幅広い用途があります。一方、それらのコンテンツの制作にはかなりのリソース・工数が必要です。マーケティング担当者が資料作成に追われ、本来力をいれるべきアイデア着想や売り方を検討する時間がとれなくなっては本末転倒になります。

業務の最適化を図る方法として、組織体制の見直しやコンテンツの流用などがありますが、外部人材を活用するのもひとつの手です。テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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製造業のポジショニング戦略/差別化を超える3つのポイント

「顧客からもっと選ばれるように、会社の認知活動をしよう!」

と意気込み、WEBサイトの作成や、SNSの立ち上げ、WEB広告の運用などに、思いつくまま費用を投じてしまっていないでしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

こういった活動も効果がないわけではありませんが、実はこれらの認知活動を始める前にやるべき事があります。それは、自社の業界における「ポジション」を定める事です。

顧客は、原材料だけでなく人件費のなどあらゆるコストが高騰する現代において、企業成長を支えてくれるビジネスパートナーを求めています。だからこそ会社の規模に関わらず、自社だけのニッチな領域を見つけ出し、自分たちが最も得意とする市場でシェア1位を目指す、効果的なブランディング戦略を用いる必要があります。

ポジション戦略をするメリット

ポジション戦略をすることのメリットは、競合他社を無くなる事です。自社だけしかいないニッチトップになることで得られるメリットについて詳しく3つの観点からお話しします。

①競合他社との差異が明確になる

競合他社の商品・サービスに目を配ることなく、独自の領域に対してより専門性を深めていくことが可能です。

②購入意欲が高い顧客からの問い合わせ

自社の専門性や、得意領域を明確に提示できるようになると、「○○の△△ならここに聞けば違いない」という、事前に下調べを済ませた顧客から問い合わせが来るようになります。

③顧客満足度が高まる

顧客自身が求めていた商品・サービスが、相談から依頼・納品まで受け続けることができるので、自然と顧客満足度が高まります。

独自ポジショニングを確立する3つのポイント

ニッチな領域を見つけ出すということは、自社が最も役に立つ場所(ポジション)を定めるということです。やり方としては、自社が影響を及ぼす範囲を「どの業界の」→「どの工程の」→「誰にとっての」というように、どんどんとピントを絞っていくイメージです。その上で、やってはいけない3つのポイントをご紹介します。

1.価格だけで勝負しない

価格だけを打ち出すことは、確立しようとしているポジションに競合他社の参入を許す要因になります。

2.技術力だけで勝負しない

技術力だけを打ち出すことも、競合他社の参入を許す要因になります。せっかく築いたポジションも、競合他社が最新の機械装置を導入した事によって、1位をすり替えられてしまうケースもあります。

3.なんでもできますと言わない

差異を明確にすることは、自社でやらない領域を明確にすることでもあります。新しい知識や技術を習得することは長期的にはメリットがありますが、短期的な視点では作業を効率化できず、コストがかさんだり、競合他社に負けてしまうことも考えられます。

技術力×顧客サービスで創る独自ポジション

先にも述べたように、顧客は企業成長を支えてくれるビジネスパートナーを求めています。だからこそ、自分たちの技術に固執することなく、技術に裏付けされた知見を持ってできる顧客サービスが新たな価値を生み出します。ただ作るだけではなく、顧客のビジネスに対して先回りした商品・サービスは技術力一本で勝負してきた中小企業であっても、短期間で技術力だけでなく顧客サービスの比重を増やして、価値を高めていくことは不可能ではありません。自社を客観的に調査し、他者との差異を明確にしたポジショニングによって、自社の強みを最大限に生かすことができるか考えてみましょう。

広域的な広告活動をするよりも、自社のポジションを明確にしてからブランディングや認知活動を集中的に行うことで、短期間で効果を得やすくなります。自社だけのニッチトップ領域を創り、経営に効果的な認知活動を行いましょう。

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わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング

岩手缶詰株式会社と岩手県産株式会社によって製造されるオリジナルブランドの加工品「サヴァ缶」をご存知ですか?食感の良い鯖のオリーブ油づけが、目を惹くパッケージデザインで、わずか7ヶ月で10万缶売れた人気ブランドです。しかしこの人気のブランドというポジションは、技術力だけで勝負に出たのではなく、戦略的なブランドづくりの末に作り上げたものでした。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

技術力 ≠ ブランド力

「ものづくりは得意、でもブランドづくりは苦手」

これは多くの日本企業が共通して抱える悩み事です。質の高い商品やサービスを提供する「ものづくり」に対して自信や誇りを守る企業は多いですが、それを「価値」として広める「ブランドづくり」に対して苦手意識を持つ傾向があります。そのため、技術はあるのに思ったように売れない。という”誤解”が生まれてしまいます。

売れるブランドの正体とは?

ここで共有しておきたいのは技術があるから技術力と売れることは直結しないということです。

•良い商品・サービス ≠ 売れる
•高い技術力 ≠ 売れる

そもそもブランドとは、自社商品の目印に過ぎませんでした。しかし今では「このブランドの商品なら間違いない」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印となっています。同じ材料・同じ品質で仕上がった製品でもブランドの信用度によって価格は2倍にも3倍にも変化します。

このように売れるブランドの正体は、顧客からの信頼です。重要なことは高い技術力を保持することではなく、その技術力を持って顧客にとっての価値ある商品・サービスを提供できることなのです。

わずか7ヶ月で10万缶  Ça va?缶(サヴァ缶)のブランド力

2013年の発売以来、1000万缶を製造する人気ブランドとなった Ça va?缶(サヴァ缶)。海外ブランドのような目を惹とパッケージと、「サバのオリーブ油漬け」という組み合わせが話題を呼び、発売以来多くのファンに支持されるブランドとなっています。しかしこのブランドの開発のきっかけは、東日本大震災で被災した漁業者らを支援するべく、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことでした。

そこで「鯖を水揚げし、缶詰に加工する技術」を、より多くの顧客に支持されるためのブランド開発がされました。

当時、水煮やみそ煮が一般的だった日本のサバの缶詰の市場に対して、オリーブ油漬けという構想に始まり、鯖の缶詰に馴染みがない消費者への確かなニーズを掴むべく、パッケージデザイン・価格や味付けなどを、消費者を対象にした大規模なインタビュー調査が実施されました。このような顧客にとっての価値を生み出す”ブランド視点”を丁寧に追求して言った結果、発売当時、鯖の缶詰の市場平均が200円前後だったのに対して、360円(税抜)という高めの価格設定も払拭し、発売以来人気ブランドとなっている。

企業価値を高める ブランドの持つシナジー(相乗)効果

ブランド力を高めることは、直近の売上拡大への効果と、中・長期的に顧客から信頼を寄せられて支持され続けるという、企業経営における「攻め」と「守り」にシナジー効果をもたらします。

もちろん、商品・サービスを提供するにあたって、技術力は必要です。ですがそれ以上に重要なことは顧客が支持したいと思う価値ある商品やサービスを創り出すことです。

「価値を創り、ブランド力を高め、技術力でファンにする」

ブランディングにおいて優れたデザインやSNSはあくまで価値を伝えるためのツールのひとつです。目まぐるしく変わるこれからの時代において、企業は規模に関わらず、顧客からの信頼を構築していくアクションが求められています。顧客が求める物事の本質を捉えるか否かが、今後の経営の分かれ道です。

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製造業にも効果的な 採用ブランディング

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

「募集を出しているが、良い人材になかなか出会えない」と思いながらも、日々の業務が忙しく、なかなか採用活動を見直せない、という悩みを抱える企業の代表・採用担当者は少なくありません。今回は、自社の魅力を十分に伝え、採用したい人材を獲得するために重要な「採用ブランディング」の重要なポイント、またその手順やポイントについてお話ししていきます。

採用ブランディングとは

まず「採用ブランディング」とは、採用力を強化するために自社の“ブランド力”を高めることです。そして、ブランド力とは「相手から信用される力」です。高い技術や次世代の担い手への思いも発信することで初めて相手から理解されます。だからこそ自社の良い点を新卒者や中途採用希望者から信用される発信を意識的に行なっていく必要があるのです。

なぜ製造業にも採用ブランディングが必要なのか

採用ブランディングの最大の目的は「自社の事業戦略を共に進められる人材の採用」です。しかし、採用活動市場は、依然として求人数に対して民間企業就職希望者数のほうが少ない状況です。 少子高齢化による労働人口の減少、ライフワークバランスの見直しによる価値観は多様化が影響し、通年採用や転職が当たり前のこととなっています。

実際に2023年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の全国の民間企業の求人総数は、70.7万人であるのに対し、学生の民間企業就職希望者数は、44.9万。民間企業就職希望者数に対して、求人総数が25.8万人の超過需要であるという調査結果も出ています。

このような状況において、会社の規模は関係ありません。自社の事業戦略に必要な人材を獲得するために、企業は自社が就職希望者に対して“魅力的な働く場”であることを伝える必要があります。

そのために、「自社の理念や哲学」、「自社の製品やサービスが社会に与える影響」、「社内風土」「キャリアプラン」などを伝え、自社のブランド力を高めることが重要なのです。そしてこれらのメッセージが、自社の求める理想の人材に確実に届くよう、戦略的なタッチポイントを作ることが欠かせません。

製造業が採用ブランディングを行うメリット

製造業が採用ブランディングを行うのには大きく4つのメリットがあります。

  1. 企業規模に関係なく実施可能
  2. 自社が求める候補者を集めやすい
  3. 人材が定着しやすくなる
  4. 機会損失を防ぐ

採用ブランディングは企業の規模感は関係なく、最低限のコストで実施することができます。例えば自社の採用サイトとSNSを駆使するだけでも就職希望者に対するブランド力を高めることが可能です。また、採用活動がスムーズに進むことは、日々の業務に対する負担も減ります。他にも人的リソース管理がしやすくなるので、中期的な事業計画も立てやすくなるため、営業活動における機会損失を防ぐことにもつながります。

採用ブランディング実施方法

採用ブランディングで活用される代表的な発信手段として、採用サイトやSNSの活用が思い浮かぶかと思いますが、それらをスタートする前にやるべきことがあります。

STEP.01 現状の「タッチポイント」をチェック

まずは自社のブランド力の現状を理解するため、就職希望者が自社について調べられる接点「タッチポイント」を確認します。企業のホームページ、採用サイト、S N S、クチコミサイトなどから、現在の自社のイメージを確認します。

STEP.02 「誰に」「どんなメッセージを伝えるか」考える

採用ブランディングでは「自社の事業戦略を共に進められる人材の採用」にメッセージを届けることが重要です。そこで、自社にとってのペルソナ(理想的な人物の詳細)を設定し、その人物が企業で成したい感情的な欲求を言語化します。

【例】

  • 〇〇がしたい!
  • 〇〇と言われたい!
  • 〇〇を思われたい!
  • 〇〇に挑戦してみたい!

これらの感情的欲求を持つペルソナが、入社後活躍しているイメージが持てるかがペルソナ設定の重要なポイントです。

STEP.03 「採用サイト」「SNS」で情報発信

STEP.01.02ができたら、実際に採用サイトやSNSでメッセージを発信します。この際、採用サイトは豪華である必要はありませんが、デザインが企業のイメージに合っているか、就職希望者が見て自社に入社したいと思えるかを確認しましょう。

STEP.04 採用ブランディングについて自社の社員と情報をシェア

採用ブランディングを行うにあたって、自社の社員と情報を共有することも重要です。採用ブランディングでは自社の強み、これからの展望を明確にする作業でもあります。それらの情報を社員と共有することによって、企業風土の醸造にもつながります。

短期的・中期的な視点が重要

採用ブランディングで見落としてはいけないのが”スケジュール”です。採用活動は、今日発信したからといって早速明日から応募が来る、というものではありません。事業計画と照らし合わせて、短期的・中期的な視点で、発信の計画を立てることが重要です。しかし採用ブランディングは、多大なコストをかけなくても、正しい手順で実施することが可能です。ぜひ自社のブランド力を高める採用ブランディングを実践してみてください!

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製造業における自社の強みを考える方法

こんにちは、テクノポートの渡部です。Webマーケティングを進めていく上で、大切なことは、自社の強みを把握することです。ただ、自社の強みと言ってもどこが自社の強みなのかわからないという場合もあると思います。

今回はある有名マーケターの言葉を元に自社の強みをどのように見つけていけばいいのかについて考えたいと思います。

自社の強みが既にある程度分かっているという方は、企業のブランディングが有効ですので、こちらの記事を参考にして下さい。

製造業のための自社の強みを生かした企業ブランドの決め方

強みを知るには動詞で物事を考える

2021年9月末にあるツイートが2,000件以上のリツイート、15,000以上のいいねがつきました。そのツイートがこちらです。

これは日曜日の初耳学【公式】の動画の一部をキャプチャーで現代最強のマーケターと言われる森岡毅さんの言葉を一部引用したものです。

森岡毅とは?

森岡 毅は、日本のマーケター、実業家。株式会社刀代表取締役CEO。経営難に陥っていたユニバーサル・スタジオ・ジャパンや丸亀製麺、ネスタリゾート神戸を立て直した人物として知られ、「日本を代表するマーケター」とも称されている。

強みを考える必要性

強みを考えることよりも、自社のマーケティング戦略を考えることが重要視されがちですが、この考え方は自社内で新規事業を始めるときや、自社製品を開発するときにも使える手法なので、ぜひ参考にしてみてください。

強みを動詞で考える方法とは?

個人の強みを考える際に、まずは自分の好きなことについて考えてみます。ただ、好きなことの名詞を並べてみても、ありきたりな内容しか出てこない場合があります。そこでちょっと角度を変えて、「動詞で考える」という自己分析をしてみるのも一つの方法です。

例えば、

「サッカーが好き」

というのは名詞ですが、

「サッカーの作戦を考えるのが好き」

といったように、自分の好きな物事を名詞ではなく、動詞で考えることで、他の人にはない強みを見つけ出すことができます。

くわしくはこちら

製造業に置き換える

では、この考え方を製造業で強みを考える際にどのように応用すればいいのか、考えたいと思います。さすがに「好き」というだけでは、企業として強みを考える上では難しいといえます。企業としての強みを考える場合は、「好き」を「得意」や「関連の受注が多い」に置き換えるとうまくはまると思います。

ただ、あくまでも動詞で考えるという点は変わらないので、例としては下記のような形です。

  • 「板金加工が得意」(名詞)→「板金加工の中で精度を上げるのが得意」(動詞)
  • 「切削加工が得意」(名詞)→「切削加工の加工工程を考えるのが得意」(動詞)
  • 「プレス加工が得意」(名詞)→「プレス加工のVA提案をするのが得意」(動詞)
  • 「めっき加工が得意」(名詞)→「めっき加工の納期が短い受注が多い」(動詞)

このような自社の得意分野を一つ一つ箇条書きにしていきます。例に挙げているように単純な業務内容ではなく、

  • その業務内容のどんなところが得意なのか?
  • その仕事関連の中で受注量が多い分野はどこなのか?

という細かいところを動詞で考えて強みを洗い出します。

TCLではなくQCD+Sで考える

動画内では自分の強みを考える際に、Thinking(考える力)、Communication(コミュニケーション力)、Leadership(リーダーシップ)の3つに分けて、そこから自分の傾向を探っていくと解説されています。

ただ、製造業の場合、この3つで分けても自社の強みは見えてきにくいので、Qualiy(品質)、Cost(コスト)、Delivery(デリバリー)で分類したほうがうまくいくでしょう。とはいえ、昨今の製造業の場合、どれにも属さないものが出てくるかもしれません。これら3つに加えてService(サービス)を加えて分類していくとどれかには属するでしょう。この4つの中で最も多く挙げられたグループを中心に自社の強みを考えていくと、自社の強みがうまく見つけられると思います。

自社の強みを知ることがWebマーケティングの第一歩

「うちなんかどこにでもある町工場だから」ではなく、それは自社の強みを気づいていないだけです。Webマーケティングで情報発信をする上で、まずは自社の強みを知ることが、第一歩です。これを機に再度考えてみてはいかがでしょうか?

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Webマーケティングの種類|製造業の事例とともに解説

テクノポートの徳山です。WebマーケティングはSEO対策だけではなく、広告の掲載やSNSの活用などさまざまな施策があります。しかし、数多くあるマーケティング施策のどの種類から手を付けたらよいか分からず、お困りの方も多いと思います。今回の記事では、Webマーケティングの種類と、それぞれどのような顧客や課題に適しているかを解説します。

Webマーケティングの種類

Webマーケティングとは、リード(問い合わせ)の獲得を目的に、インターネットを使って技術や製品を周知させるためのマーケティング手法です。

下の図は製品や技術を導入するまでの、ユーザーの意識や行動の変遷を段階別に分けた購買フローを示しています。左から右に進むにつれて、技術的な情報収集から購入する製品のスペックが定まっていくまでのフローになっています。

購買フローに基づいた対策キーワード発掘の切り口

Webマーケティングは大きく分けると「オンライン広告」「SEO対策」「SNS活用(動画含む)」の3つの施策があります。それぞれの施策でアプローチできる購買フローのターゲットユーザーが変わってくるため、どの段階のユーザーをターゲットにするかを考えながら施策を実施すると効果的です。

では、それぞれの施策について詳しく説明していきます。

①オンライン広告

オンライン広告とはWebサイトやSNSに表示される広告のことで、次の種類に分けられます。

リスティング広告(運用型広告)

GoogleやYahooなどでキーワード検索した際に、検索結果の最上位に表示される広告のことです。検索結果に「広告」と書かれていれば、それがリスティング広告になります。SEOで検索上位を狙う代わりに料金を支払って上位に掲載されるようにするため、SEO対策にかける時間を省略したい場合に活用できます。検索結果に連動して表示するため、自社の製品やサービスに関心を持っているユーザーに効率良く広告を表示できる手法です。

純広告(バナー広告)

広告掲載先のWebメディアに料金を支払って、Webサイトに広告を表示してもらう方法です。自社製品やサービスに合ったWebサイトを選び、そこに料金を支払って広告の掲載を依頼します。純広告(バナー広告)にはテキストだけを表示するテキスト広告や、画像を表示するバナー広告、音声や動画を使ったリッチメディア広告などがあります。

ディスプレイ広告(運用型広告)

純広告が特定のサイトに掲示する広告であるのに対し、ディスプレイ広告は検索キーワードに応じて不特定のサイトに表示される広告です。GoogleやYahooが提供するアドネットワークを通して、自社のターゲットとなるユーザーに広告を配信します。

リターゲティング広告(運用型広告)

ディスプレイ広告ではWebサイトに訪問したユーザーに同じ内容の広告を表示させる機能があります。ある広告を見て「以前検索したものが表示されている」という経験はないでしょうか。これをリターゲティング広告と呼びます。ユーザーが商品購買の成約に至らなくても、再び同じ広告を露出することで、成約率の向上を狙います。

オンライン広告のメリット

  • 運用型広告の場合、ユーザーの検索するキーワードに合った広告を表示できるので、製品・サービスに対して関心の高い顧客に訴求しやすい
  • 純広告の場合、潜在ユーザーへリーチできる
  • 即効性がある

オンライン広告のデメリット

  • 運用型広告の場合、設定したキーワードで検索しないユーザーにはリーチしづらい
  • 広告料が発生する

それぞれの広告の役割(主にどの段階のユーザーにアプローチできるか)

リスティング広告はユーザーが選定するキーワードに合わせて広告を表示することができるので、購買フローのどの段階にもアプローチが可能です。純広告はサイトに訪れたユーザーのみ訴求できるので、購買活動に入る前の情報収集段階にいる潜在ユーザーの認知向上に役立ちます。

製造業での事例(オンライン広告)

三次元測定機を販売しているA社は、購買フローの後期段階のユーザーが使いそうな検索キーワードを中心にリスティング広告を活用しました。具体的には「三次元測定機」というキーワードを筆頭に、同社製品の強みである「小型 三次元測定機」「安価 三次元測定機」などのキーワードで広告を実施し短期間で多くのリード獲得に成功しました。

②SEO対策

SEOとは検索エンジン上で自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させるための施策のことです。SEO記事の対策については、当メディア内のSEOに関連する記事を参考にしてください。

SEO対策のメリット

  • 広告費をかけずにユーザーの目に留まる機会を増やすことができる
  • 広告よりもコンバージョン率(問い合わせにつながる確率)が高い
  • 資産性がある(一通り対策が済んだ後は長期間効果が継続する)

SEO対策のデメリット

  • 検索上位表示させるためのSEOの知識やスキルが必要
  • 専門性や独自性の高い記事を作成するために労力がかかる
  • 効果が出始めるまでに時間がかかる(特にドメインパワーが弱い場合)

SEO対策の役割

リスティング広告同様、対策するキーワードによってどの段階のユーザーへもアプローチが可能です。商談できるリードの獲得、用途開発など、目的に応じてキーワードを選定するのがポイントになります。

製造業の事例(SEO対策)

表面処理の技術を持つB社は、さまざまな切り口の検索キーワードでSEO対策を実施しました。SEO対策のキーワードは金属の表面にコーティングをする技術名(めっき、塗装、アルマイトなど)だけではなく、技術が持つ機能(防錆、防汚など)や用途(自動車、医療機器など)のキーワードに着目し、SEO対策を実施。その結果、当初ターゲットとしていた分野だけではなく、想定外の分野からの引き合いを獲得することに成功し、技術の用途開発を実現しました。

③SNS活用(動画含む)

SNS(Social Networking Service)とはSNSプラットフォームにアカウント登録して情報発信をしたり、他のユーザーと交流したりするツールです。ソーシャルメディアの利用者数が増えてきた背景から、SNSをWebマーケティングに使用する企業が増えてきました。

SNSでも広告料を払うことで、Webサイトのオンライン広告と同じように広告配信ができます。現時点でBtoB製造業が活用できるSNSマーケティングツールは以下になります。

  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • Linkedin
  • YouTube

SNSの活用については当メディア内のSNSマーケティングに関する記事を参考にしてください。

SNSのメリット

  • 良いコンテンツは拡散され、費用をかけずに潜在層のユーザーへリーチできる
  • 採用力強化やブランディングといった新規顧客獲得以外の効果が出る
  • 資産性がある

SNSのデメリット

  • 情報発信の内容によっては炎上するリスクがある
  • 運用にかかるリソースが非常に大きい
  • 効果が出始めるまでに時間がかかる

SNSの役割

SNSに自社のサイトのURLを貼ることで、サイトに誘導して製品やサービスを訴求することができます。フォローしてもらった段階で企業の魅力が伝わっていることが多く、SEOで流入したユーザーよりも企業に対する購買意識が高い可能性があります。まだ商品・サービスを探していないユーザーの認知を増やせることから、購買フロー初期段階のユーザーへのアプローチが可能です。

製造業での事例(SNS活用)

精密切削加工を行うC社は、Twitterを中心としたSNSマーケティングを始めました。町工場の日常のリアルな風景を日々ツイートすることで、製造業関係者だけでなく一般人も含めた多くのフォロワーを獲得。「町工場の現状を少しでも多くの人に知ってほしい」という動機で始めましたが、結果として仕事を受ける数が増え、良い人材の採用などに繋がるようになりました。

④ポータルサイト掲載

Webマーケティングの手法として、これまで説明した3つの手法の他に、ポータルサイトに掲載する方法があります。

ポータルサイトとはいろんな企業の製品・サービスをまとめたサイトです。製造業のポータルサイトには、ミスミやMonotaroなどの商品購入サイトやイプロスなどのカタログ、企業コラムを掲載したサイトがあります。

ポータルサイトにアクセスするユーザーは、自分が持っている課題の解決や欲しい製品・サービスがそのサイトにあると知っています。そのためポータルサイトに自社の情報を登録することで、ユーザーから認知してもらう機会が増えます。ポータルサイトでは購買フローの初期段階のユーザーから後期段階のユーザーまで幅広くターゲットにすることができます。

また、ポータルサイトにホワイトペーパーなどを掲載し、メールアドレスを登録してもらうことでメールマガジンの配信も可能になり、購買制約率の向上が見込めます。

製造業BtoBのポータルサイトとして代表的なものは以下のものが挙げられます。

メリット

  • 多くの人に認知されやすい
  • 手間がかからない

デメリット

  • 掲載料がかかる
  • 多くの製造業が集まっているためライバルの数も多い(比較検討されやすい)

【課題別】おすすめのWebマーケティング施策

ここからは、課題別にどのWebマーケティング施策がおすすめかを解説します。

とにかく短期的に売上を上げたい(新規顧客を獲得したい)

新規顧客から短期的に売上を上げたい場合は、購買フローの後期段階のユーザーを狙って適切な施策を講じましょう。実施する施策としては、リスティング広告やSEO対策が効果的です。

後期段階のユーザーが使用するキーワードを中心に対策をすることによって、比較的短い期間でのリードの獲得が見込めます。技術課題を解決するための製品を探し始めている後期段階では、主に製品名+機能、技術課題、用途などのキーワードで対策をしましょう。

SEO対策よりもリスティング広告のほうが検索上位に表示されるまでの期間が早く、短期的に売上を上げるための施策として効果的です。

新規顧客の獲得はもちろんだが、自社製品・技術の用途を開拓したい

自社製品や技術の用途を開拓する場合では、購買フローの前期から後期段階における広い範囲のユーザーを狙って、満遍なく施策を講じるのがよいでしょう。

知見を深めるための情報収集している購買フロー初期段階のユーザーは、すぐ製品を購入するわけではないので、広告はクリックされにくい傾向にあります。そこで、広告によって表示されるものではないSEO対策を中心に行うのが効果的です。

購買フローの幅広いユーザーを自社サイトへ誘導できるSNS広告では、各ユーザーの属性が知りたい情報に絞った内容を発信することで、効率良くリードの獲得ができるのでおすすめです。

Webマーケティングを通じて自社のブランディングを実現したい

Webマーケティングを通じた自社のブランディングとは、自社の商品やサービスを他社と差別化することにより「その企業しかない」と愛着を持ってもらえるような施策を指します。ブランディングは今すぐ商品の購入を考えていない、購買フローの前期段階のユーザーに効果があります。じっくり時間をかけて施策を講じていきましょう。

購買フローの前期段階のユーザーを狙うときは、情報収集系のキーワードでSEO対策を行い、ユーザーの目に露出する機会を増やしましょう。そうすると「〇〇といえば△△(貴社名)」というイメージを与え、ユーザーに第一想起してもらいやすくなり、ユーザーが購買活動に移る際に最初にお声がけいただける企業となることができます。また、SNS活用を中長期的に行うことで、SNSをよく利用する若年層を中心にブランドを確立することができるでしょう。

まとめ

Webマーケティングには、オンライン広告とSEO対策、SNSの施策があり、それぞれ購買フローのどのターゲットに活用できるかを紹介しました。早期の商談成立、または用途の開拓やブランディングの実現など、さまざまな課題に応じてWebマーケティングの施策を使い分けていきましょう。

テクノポートではそれぞれの施策に関するアドバイスを行っております。具体的なWebマーケティングの運用でお困りの際はご相談ください。

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BtoBマーケティングにおけるペルソナの作り方

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はコンテンツマーケティングを実践する上で重要なペルソナをテーマにお話しします。BtoBマーケティングにおいてペルソナを策定することはどれだけの意味があるのか、ペルソナを作るメリットや設定方法、設定時の心得について解説していきます。

ペルソナとは

ペルソナとは、自社が展開する製品・サービスを購入するユーザー像のことです。「誰に向けて」「どのように訴求するか」を明確にするために策定されます。コンテンツマーケティングにおいては、顧客の課題に対し、どんなネタでどうアプローチすれば成約に結び付くのかを考えていくことになりますが、その際の拠り所としてペルソナが使われます。

ペルソナの意味を混同しがちな用語として、ターゲットがあります。ターゲットとは、製品・サービスを売る対象となるセグメント(集団)のことです。ペルソナは、その集団の中の1人にフォーカスします。その集団を表す典型的な人物像がペルソナです。

BtoBとBtoCの違い

ペルソナはBtoBとBtoCでは考えるべき項目がかなり異なると言われています。もっとも大きな違いは、関わるユーザーの数です。BtoCの場合、製品・サービスを認知してから購入に至るまで基本ユーザーは1人になります。一方、BtoBでは、企業内の複数の人・組織を経て購買に至るケースが多いです。

また、検討に費やす期間も大きく異なります。BtoBでは     検討プロセスが複雑で、成約に至るまでの期間が非常に長いです。ときには1年がかりになることもあります。BtoCのような「衝動買い」というのはBtoBではまずありえません。

嗜好性に関しても両者は大きく違います。BtoBの場合、所属する組織の課題や事業状況の影響が強いです。個人の嗜好性ではなく、業務上の悩みや仕事スタイルに影響されます。また、決裁権があるかないかも大きな要素です。実務担当者がその製品を気に入ったとしても、事業の意思決定権をもつ決裁者の意向に沿わないと採用されません。

BtoB企業がペルソナを作成するメリット

ペルソナを作成するメリットとしてどんなものがあるのでしょうか? ここでは、BtoB企業に対するペルソナの必要性とメリットについて解説します。

BtoB企業にペルソナは不要なのか?

ペルソナ設定はBtoCには有効だが、BtoBではあまり意味がないとする議論があります。

よくある意見として、ペルソナは一個人のユーザー像になるので、企業組織にあてはめて設計する意味がないというものがあります。また、AIの発展で1対1のマーケティングに時代がシフトしているため、そもそも人間がペルソナを設定する時代ではなくなったとも言われています。人々の行動は複雑で移ろいやすく、ペルソナで捕捉しきれないというわけです。

実際、BtoB企業のマーケティングやセールスの現場ではペルソナの文化が育ちにくい環境です。BtoB企業では、関係構築型の営業スタイルが多く、担当営業制がしかれているため個々の営業との個別対応になりがちです。ユーザー像は担当営業の頭の中だけに存在していて、組織で共有しなくても業務が回ってしまいます。

BtoB企業がペルソナを作る3つのメリット

BtoB企業におけるペルソナ設定のメリットは主に以下の3つです。

  • 関係組織におけるメンバーのベクトル合わせができる
  • 施策の一貫性を担保できる
  • 組織全体で顧客理解が進み、顧客に寄り添った施策提案ができる

BtoBでは受注に至るまでに複数の人が関わります。そのため組織全体で共通認識をもてることはとても重要な要素です。確かに人々の行動や心理はどんどん細分化されています。ある局面で人の心がガラッと変わる瞬間があり、今のペルソナでは補足しきれないかもしれません。衝動買いが起こるBtoCの世界では、これは無視できない要素となるでしょう。しかし、組織的に動くBtoBでは、影響はまだ軽微であり、組織全体での共通認識や施策の一貫性を担保できる方がはるかにメリットは大きくなります。

もしペルソナがなかったら、対顧客へのアプローチが個人の力量に依存することになります。個々担当の思い込みが入ってしまい、訴求する対象や施策がバラバラになってしまうでしょう。相手が漠然としている状態となり、対象が定まらず無駄打ちが増えることになるのです。

ペルソナがあることで、解決策としてのコンテンツは何で、どんな手段・方法で見てもらうとよいかがイメージしやすくなります。各部署が一貫性のあるマーケティング施策が実施できるようになり、意思決定のスピードアップにもつながります。

BtoB企業のペルソナ策定の流れ

ここでは、BtoB企業がペルソナを作る際の一般的なやり方をご紹介します。各ステップにおいて、BtoBならではのポイントも説明します。

1.バリュープロポジションを決める

バリュープロポジションとは、競合他社にはない顧客への提供価値のことです。どんなニーズを持つ誰に何を提供するか、自社だけの価値はなにかを考えていきます。

バリュープロポジションは、サービス/製品を立ち上げる際、すでに設計されているならそれを活用すればよいです。ただし、それが形骸化されていて、関係者がすぐに想起できないケースもあります。コンテンツマーケティングを行うにあたって、改めて考え直してみてもよいでしょう。

2.対象となる顧客を決める

バリュープロポジションを設定したら、それに基づいて、対象にしたい顧客を決めましょう。

顧客は複数いて構いません。BtoBでは複数の人・組織を経て購買に至るので、購買プロセスのキーパーソンをイメージするのが望ましいです。どういう人がキーパーソンになりえるか、営業など顧客接点があるメンバーからヒアリングしておきましょう。

どういう顧客を対象にするべきかは、企業の方針をみながら、各部門の意見を聞いて決めていきます。既存顧客なのか新規顧客なのか、売上上位の重点顧客を狙うのか、あるいはロングテール顧客なのかは、自社の目的によって変わっていくはずです。

一般的には、顧客の生の声を聞きやすい既存顧客から取り上げる方がやりやすいといわれています。関係性の高い顧客の典型例となる一人にフォーカスするのがよいでしょう。実在する人物を割り当てるのもひとつの手です。

3.対象顧客の情報を収集する

次に、ターゲットとなる顧客に関する情報を収集します。

顧客の課題や悩みごとにフォーカスして情報収集をしていきましょう。仕事のスタイルや選定プロセスなども見ておくとよいです。具体的には、営業やカスタマーサポートなど顧客と直接接点がある担当者の意見を収集します。併せて、お客様アンケートやカスタマーサポートの情報をチェックしていきましょう。

このステップで重要なのは、顧客が抱える悩みや課題感を整理して関係者で共有することです。実際に顧客とのやりとりから得た「生の声」を集めていきましょう。担当者の主観が入ってしまうとミスリードになるため、注意が必要です。

4.情報を整理する

最後に、収集した情報をもとにペルソナを整理していきます。複数の対象がいる場合は、ひとくくりにせず、別々にペルソナを設定していきましょう。

ペルソナの項目は多岐にわたりますが、BtoBにおいて最低限整理したい項目は以下の5項目になります。

  • 「企業規模」
  • 「業種」
  • 「役割/役職」
  • 「課題/ニーズ」
  • 「実現したいこと」

自社の目的によっては追加すべき項目もありますが、できるだけ手がかからないよう簡素にすることをおすすめします。項目を整理したらパワーポイントやエクセルなどに落とし込んでいきましょう。

BtoBペルソナでやりがちな課題と対策

ここでは、カスタマージャーニーマップを実際に作る上で、BtoB製造業として注意しておきたい事項について説明します。

思い込みによる理想の顧客像になっている

ペルソナが自社にとっての理想像や、ある担当者の思い込みで作られていることがよくあります。ペルソナを設計する担当者はマーケティングや宣伝部門に属していて、実際の顧客とコミュニケーション経験がないケースが多々あります。

対策としては、営業やカスタマーサポートなど顧客と日頃接点をもつ担当者を巻き込むことです。単に会議の場などを設定するだけでなく、営業担当などに同行して直接ユーザーの意見を聞くなどしてみてください。顧客のSNSなどでの発信情報を閲覧し、傾向を読み解くこともおすすめします。

名前や写真を便宜上設定してしまう

ペルソナには、その対象をイメージしやすいよう名前や写真をつけるべきだと推奨されています。そのため、無理に考えようとしてしまうケースがありますが、実際のイメージとあわなかったり、人によっては別の印象をもってしまったりすることも多々あります。

統一のイメージを共有するために行っているのに、見る人によってバラバラの印象を与えることになってしまうのでは逆効果です。

こうした場合、目的を達成することが第一優先です。必ずしも人物にちなんでペルソナに名前を付ける必要はありません。ペルソナの特徴がわかるタイトルがあればそれでよいのです。また写真はなくても問題ありません。

細かく属性情報を設定してしまう

これは、過去の経験、趣味嗜好、組織の中での役割、ライフスタイルなど、こと細かくペルソナの属性情報を設定してしまうことです。

ペルソナには、対象となる人となりを示すさまざまな属性情報を設定することができます。BtoCではデモグラフィック情報や個人の趣味嗜好など設定項目が多く、その影響を受けている可能性もあるでしょう。また、BtoBの領域でも企業の業態や目的/ゴールによって必要な項目が異なってくるのでさまざまなバリエーションが存在するのも事実です。

しかし、自社の目的にこれらの要素がすべて必要かというとそうではありません。自社の目的に使う必要のある項目だけを設定すればよいでしょう。

BtoBでは「企業規模」「業種」「役職/役割」「課題/ニーズ」だけでも十分です。

過度に多くのペルソナを考えてしまう

ペルソナは複数あってもよいですが、あれもこれもとたくさん設定しすぎるのは望ましくありません。各々のペルソナの間の線引きがあいまいで混乱を招いてしまいます。どのペルソナに何をどう対応すべきかわからなってしまうのです。

これは、顧客を取りこぼすことに不安を感じる心理が働いています。全方位的なマーケティング活動を行う企業が陥りがちな問題です。

ペルソナは、まず1つ策定し、そこから広げていくようにしましょう。一度ペルソナとして検討したものでも、情報があまり収集できない場合、削除してもよいと思われます。

検討・策定する時間工数が非常にかかる

ペルソナ策定が一大業務になってしまうという問題もありがちな話です。情報収集や関係者の整合をしているだけでたくさんの工数がかかってしまい、時間だけが過ぎてしまうというケースです。

これは、初めから完璧なものを作ろうとしていることが要因です。ペルソナはまず簡易的なものを作り、関係者に確認・検証しながら追加修正を行っていくくらいでよいでしょう。

作って終わりになっている

一度策定したペルソナを、ブラッシュアップせずそのまま使い続けているという問題もあります。よくあるのが、MAツールなどに設定し、そのままになっているケースです。事実上活用されていないことが多い傾向にあります。先に示したペルソナづくりが大変な作業になるほど、この問題に陥りやすくなります。

顧客のニーズや課題は時間の経過とともに変化していくため、ペルソナは作った後でも定期的に見直すべきです。ビジネス状況によってあるべき頻度は異なりますが、見直す頻度としては、年に1-2回、期の節目で見直す形でよいでしょう。

ペルソナを変更したら、それに合わせてカスタマージャーニーやマーケティング施策も見直していきましょう。

ペルソナ設定のテンプレートと事例

ここでは、ペルソナを作成する際に役立つテンプレートや事例を紹介します。

BtoBテンプレート3選

株式会社イノーバ「BtoB 向けペルソナ作成ワークブック」

オウンドメディアのパッケージサービスなどを提供する株式会社イノーバがBtoB企業のマーケティング担当者向けに提供しています。パワーポイントの資料で基礎知識、作成方法や事例などがついています。

<詳細はこちら>
https://go.innova-jp.com/library/persona-template

株式会社ベーシック:「実践!BtoB向け・ペルソナ設定シート」

BtoBのマーケティングツール「Ferret One」などを手掛ける株式会社ベーシックが提供するペルソナ設定用のエクセルシートです。担当者個人と所属する組織の2種類の記入シートがあり、各々記入例がついています。

<詳細はこちら>
https://ferret-one.com/wp_personasheet

Marketo

米国の大手マーケティングオートメーション(MA)ツールベンダーのMarketoが提供するペルソナのテンプレートです。ペルソナとカスタマージャーニー策定のヒント、ペルソナ策定項目が掲載されています。英文の資料ですが、個人情報登録なしで資料ダウンロード可能です。

<詳細はこちら>
https://www.marketo.com/cheat-sheets/marketing-personas/

BtoB事例

ペルソナ策定例はネット上に多く存在しますが、実際の企業事例で公開されているものは少ないです。ここでは有名な事例としてMAツールベンダーであるHubSpot社が実際に自社で採用している事例を紹介します。

HubSpot社のペルソナ「Marketing Mary」

  • 企業:中規模企業(従業員25~200人)
  • 役割:マーケティングマネージャー(小チーム)
  • 業務:認知~リード獲得、セールスへの引き渡しをサポート
  • 課題:タスクが多すぎること、目標までの道筋があいまい

<詳細はこちら>
https://cdn2.hubspot.net/hub/53/file-2484846462-png/Marketing_Mary_Persona_Example.png

HubSpotでは、顧客層を従業員規模に基づいて分けています。「Marketing Mary」は中堅規模のセグメントに対するペルソナです。2000人以上の大企業向けには「Enterprise Erin」というペルソナを設定しています。

同社のペルソナはとてもシンプルで明確です。記述されている内容には、過度に多くの情報が含まれていないことが見て取れます。

HubSpotでは、無料でペルソナを策定できるツール「Make My Persona」も提供しています。英文ですが、7種類の質問に答えるだけで簡単に作成できます。ダウンロードしなければ登録も必要ありません。

https://www.hubspot.com/make-my-persona

まとめ

ペルソナは、自社のターゲットとなる製品・サービスを購入する典型的なユーザー像です。ユーザーが抱える課題に寄り添った解決策を、どういうアプローチで見てもらうとよいかイメージしやすくするために設定します。購買プロセスが複雑で複数の人・組織が関わるBtoB企業では、こうしたペルソナの設定が効果的です。

組織間で共通認識が持てるようになり、一貫性のある施策を実行でき、効率的なマーケティング活動が行えます。

ペルソナの策定は、バリュープロポジションの設定からはじまります。対象となる顧客と接点をもつ関係者を巻き込んで、顧客の生の声を情報収集していきましょう。ペルソナの設定項目は自社の目的にあった最小限のものを設定すれば十分です。

実際の策定にあたって、BtoB向けにMAツールを提供するベンダーからテンプレートや事例、策定ツールなどの便利ツールが無料で活用できます。質問に答えるだけで迷わなければ数分で完成してしまいます。初めから完璧なものを目指さず、まずは作ってみてください。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください

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BtoB製造業の「ブランディング」 優良顧客獲得には”技術×姿勢”でアピールを最適化

今回は、不安定な状況が続く現代で、企業が利益を確実に上げていく企業価値のアピール方法についてお話ししていきます。原油高が急速に進み、燃料・原材料価格の高騰が続く中で、企業は今まで以上に利益を確保することが求められています。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業にとって、原材料費価格変動は会社の業績に直結します。しかしこの変動のビッグウェーブはいつ訪れるか、もしくは立て続けに訪れる可能性もあります。

  1. コストカットして値上げをせずにやり過ごす。
  2. 原材料費の値上げについて先方に説明する。
  3. 自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる”優良顧客”と繋がる。

いかがでしょうか?もちろん1は現実的ではありません。2も1回目の説明はスムーズに進んでも2回目・3回目の値上げの際に関係が途絶えてしまう可能性もあります。そこで、私たちが今からできる対策として『3自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる”優良顧客”と繋がる。」という考え方があります。

BtoB企業に取っての「優良顧客」とは何か

まず先に「優良顧客」について、ここでの定義をしておきます。

【優良顧客の定義】

  1. 御社の技術を信用して仕事を依頼してくれる。
  2. 長く付き合いができる。
  3. 発注者、受注者が対等な関係と捉えている。
  4. 業界知識やリテラシーがある。

いかがでしょう?多くの人が考える良い会社の定義として、自社の事業だけを伸ばすのではなく、業界に対しての自社ができることを考えられる企業ではないでしょうか?そして、自社でもこういった顧客とつながることが多ければ、経営面でも精神面で安定を獲得できるイメージができますよね。

自社の技術を”15秒”で説明できますか?

「優良顧客」を含め、多くの人は一度に多くの情報を受け付けることができません。会社のアピールを最適化するために、伝える情報を「15秒に厳選する」という方法があります。
15秒というと、約60文字くらい喋ることができます。感覚として短いテレビCMと同じ長さ(番組提供枠のCMは30秒)だと覚えておくと良いでしょう。

製造業では市場ニーズから、技術の横展開をしていった結果「自社の核となる技術」の存在が薄れてしまったり、対応可能な技術の全てを伝えようとするケースがあります。しかし、人が一度に聞き取れる情報、さらには記憶しておける情報はとても少ないのです。伝えるべき情報を厳選し、繰り返し伝える方が、受け取る相手にとって印象に残りやすいのです。

自社の姿勢を”開示”していますか?

この記事を読んでいるあなたは、「価格」や「短納期」だけで自社を選んで欲しくはないと思っているのではないでしょうか?製造業の技術は一朝一夕で獲得できない、”価値あるもの”です。だからこそ「安く買う」を目的にした顧客から目をつけられてしまうことは危険です。

そういった危険な顧客から目をつけられず、「優良顧客」を惹きつけるためには、会社として開示しておかなければいけない情報があります。それは「自社の姿勢」です。

【例】

  • 精度に自信がある
  • 多品種小ロットに自信がある
  • 企画から相談に乗れる

同じ技術カテゴリーの競合他社でも、技術習得にはそれぞれ”背景”があります。そしてその背景は、創業時期・地域・社長の個性などから、1社1社全く違います。

実は、「優良顧客」にとって、同じ技術カテゴリーから自社のパートナーとなる企業を探すのは実は重労働なのです。そこで、あなたの会社が「どのような技術」×「どのような姿勢」であるかを意識的に開示することができれば、「優良顧客」の目に留まりやすい状況を作り出すことができるのです。

”技術×姿勢”でアピールを最適化

「優良顧客」も目まぐるしい時代の変化の中で、自社の成長を支えるパートナーを探しています。その上で、あなたの会社が持つ幅広い技術の中でも「核となる技術」と、その技術を裏付ける「自社の姿勢」を意識的に提示することは必須です。対面でもネット上でも漏れることなく、自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる優良顧客と繋がるアピールの最適化を行いましょう。

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中小製造業の自社商品マーケティング(販売編)

製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。前回の記事、中小企業の製造業におけるマーケティング(企画編)では、自社製品を開発する際のフレームワークや注意点、外部の考えを取り入れる方法などを解説しました。今回の記事では、自社商品をどのように販売するのかを解説します。

自社商品を販売する3つの方法

自社商品を販売する主な方法を3つ紹介します。

1.自社サイトのEC化

ECサイトとは、簡単にいうとネットショップです。また、eコマース(電子商取引)をおこなうWebサイトの総称でもあります。

Webサイトを利用するため、実店舗は必要ありません。パソコンさえあれば自社の商品を販売でき、低コストかつ低リスクでもある販売方法です。また、Amazonや楽天といった他社のプラットフォームではなく、自社でWebサイトを運用するため、商品訴求のサイト構成やデザインを自社好みに作成可能です。

一方で、SEOやコンテンツマーケティングといった集客の費用や労力が求められます。その他にも在庫管理から発送まで準備したり、システム障害への対応をしたりするなど、自社内での管理や問題解決が必須です。

2.オンラインショップのプラットフォーム

BASE、Amazon、Shopifyなど、有名なプラットフォームの利用も可能です。すでに誰もが認知しているため、集客力が高いという特徴があります。ブランド力がなくても、商品のマーケティングが可能です。また自社サイトでのECサイトと異なり、SEOやコンテンツマーケティングなども必要ありません。

一方で販売は「口コミ」に影響されます。良い口コミが少ないと売上が伸びにくくなるかもしれません。また、出品料をプラットフォームに支払うため、手数料が余分にかかります。

3.代理店販売

代理店販売とは、自社に変わり商売や取引を依頼する販売方法です。

代理店の販売網を利用でき、販路の拡大が見込まれます。自社だけではできない販売戦略も可能でしょう。また、代理店の営業により、自社商品の認知機会が増えます。

一方で数%程度の販売手数料がかかります。また、委託先の能力によっては売り上げが左右されます。

マーケティングも兼ね備えたクラウドファンディング

商品を売るためには、マーケティングが必須です。最近では、マーケティングをしながら商品開発ができるクラウドファンディングもあります。

Makuake

Makuakeは2013年にスタートした、日本のクラウドファンディングの代表的なもののひとつです。Sonyやダイキン、Canonなどの大手企業の利用実績もあります。

Makuakeの特徴は、マーケティングを実施しながら開発を進められる点です。企業が提案したプロジェクトに対してお客さま(賛同者)が意見を提示できます。そのため、顧客のニーズを把握しながらの開発が見込めるのです。

CAMPFIRE

CAMPFIREは、国内最大のクラウドファンディングのひとつです。これまでに6.4万件以上のプロジェクトがあり、企業だけではなく個人やNPO、大学などの活用実績もあります。

CAMPFIREはプロジェクト公開前の審査が必要なく、掲載費も発生しません。また、情報発信による認知度向上も期待できます。たとえば、プロジェクトの内容を企業も顧客もブログやSNSで発信可能です。

自社商品のマーケティングで気を付ける点

自社商品の販売はマーケティングにおいて気を付けるべき点を紹介します。

自社の商品の強みを把握する

見落としをなくさないためにも、思い付く強みを洗い出しましょう。強みの把握は他社との差別化にもつながります。自社の強みを把握できれば、他社との比較も容易です。お互いの強みの把握と比較により、自社だけのメリットがはっきりします。

第三者の意見を取り入れる

自社だけで行き詰る場合は、外部の意見の聞き取りも重要です。どうしても自社の製品を客観的に見れない場合もあるため、多角的な視点が求められます。たとえば、ダイレクトメールによるアンケートや、営業による調査、MakuakeやCAMPFIREなどのクラウドファンディングサイトなど、複数の視点を取り入れましょう。

販売ルートを考える

マーケティング、販売、発送と商品を考え販売し、お客さまに届くまでの一連の導線整備が大切です。どれかひとつでも欠けると、お客さまへのスムーズな商品提供が難しくなってしまいます。可能であれば、複数の販売ルートがあるといいでしょう。

まとめ

中小企業でもできる自社商品の販売手法を紹介しました。近年ではインターネットも活用され、販売経路は広くなっています。また、クラウドファンディングを利用した開発も盛んであり、マーケティングと開発の融合も起こっているのです。自社の商品販売でお悩みの方は、これまでの販売経路や考え方に加えて、インターネットも利用してみてください。

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製造業が自社ブランドを作るなら必ず知っておきたい3つの視点

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業が自社で開発するブランド、いわゆるD2Cブランドの存在は、市場のクラウドファンディングやSNSの持ち上がりよって一般的にも認知度が高まっています。製造業としては、様々な思いから、D2Cブランドの開発に対して何らかの着手をしている企業が多いのではないでしょうか?

例えば、

  • 会社として話題性を作るため
  • 新しい売上の柱を作るため
  • 社員のモチベーションを向上させるため
  • 自社の技術力を高めるため

このように企業によっては様々な理由があると思います。しかし、何となくD2Cブランドを立ち上げてしまうと、上層部の思いとは逆に、話題性を生むことができなかったり、社員のモチベーションを下げてしまう原因にもなります。なぜそのような悲しい結果が生まれてしまうのかというと、そこには製造業が「メーカーとしてのポジション」を築く上で重要な3つの視点が欠けているからです。

今回の記事では、製造業がメーカーとしてのポジションを築く上で重要な3つの視点について、今まで累計1,200点以上の商品を企画・開発してきたブランディングの経験からお話ししていきたいと思います。

1つ目の視点【技術シーズ】

シーズとは「種」を意味します。ビジネスにおいては、企業が新しく開発・提供する特別な技術や材料のことを指します。D2Cブランドをリリースすることは、自社の技術を今まで取引がなかった業界にもアピールする絶好の機会です。ここで重要なことは、業界・社会にとって自社は「〇〇の技術力に優れた企業」とアピールできるシーズに絞ることです。

  • 企業としての技術力

もし自社のアピールすべき技術ポイントが1つに絞れない、シンプルに言い表せないと悩んでしまう場合は、これから取引をしていきたいお客様が求めていて、なおかつ自社が実現可能な技術力について着目すると、D2Cブランドを通してアピールすべきポイントが明確になります。

2つ目の視点【顧客ウォンツ】

ウォンツとは、ある商品・サービスを「欲しい」と顧客が考えている状態を指します。ウォンツの視点において重要なことは、「〇〇できる△△が欲しい」に応えられる企画と規格を考えることです。

  • 目新しい企画
  • スペック
  • デザイン

D2Cブランドでよく起こる失敗ケースとして、技術シーズを伝えたい一心で、製品にあまりに多くの機能を持たせすぎてしまうということがあります。このようなオーバースペックはユーザーが求めるものではありません。企業はメーカーとして、顧客が求めているスペックに向けて技術シーズのチューニングを行いましょう。

また、機能面で顧客ウォンツを満たしていても、デザインという見た目の視点が抜けてしまうと、どんなに良い商品も売れなくなってしまいます。どんな商品であれ、日常使いしてもらえる商品を作るためには、使っていて気持ち良い、持っていて心が踊るような商品を機能・見た目の両方から目指すことが重要です。

3つ目の視点【顧客ニーズ】

ニーズとは、漠然とした「こうだったらいいのにな」という理想に対する感覚です。ニーズは、スペックなどの具体性のあるウォンツとは異なり、心身を伴う「体験」に大きく関わっています。

  • 商品との出会い方
  • 商品の作り手を知ること
  • 使うことで訪れる、自分や相手の幸せな生活
  • 安心できるアフターサービス
  • ファン同士の交流

ウォンツを商品のハード面だとしたら、ニーズは商品のソフト面といっても良いでしょう。そして、時としてニーズは無自覚なことが多いため、もし潜在的な感覚に届く体験を提供することができれば、「まさにこれが欲しかった!」と言われる商品を作ることができるのです。この顧客に対してニーズまでの戦略的な導線構築が、製造業がD2Cブランドの別れ道と言っても過言ではありません。

3つの視点が重なり合うD2Cブランド作りを

顧客が大手ブランドではなく、小さなメーカーのD2Cブランドを選ぶには、技術シーズ・顧客ウォンツ・顧客ニーズの3つの視点が重要です。すでに多くの技術力があるからこそ、ストーリーのある商品を作り続けられる道筋を戦略的に立てていきましょう。顧客が喜ぶ商品、そしてその商品との関係性を築く体験を生み出せるものは、規模が小さくてもブランド力が高いと言えます。

そして顧客が喜ぶ商品を作ることは、期待や信頼を獲得につながり、他業界からのオファーや社内でのポジティブな企業文化の醸造など様々な波及効果を生み出します。自社だけでできないことは、企業同士の技術コラボや、専門家から協力してもらうことで解決できます。ぜひ、3つの視点を取り入れて、顧客から「この商品を自分の生活の中に取り入れたい!」と思われるD2Cブランド商品作りを目指しましょう。

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中小製造業の自社商品マーケティング(企画編)

中小製造業の自社商品開発

製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。この記事では自社商品の企画に関するマーケティング手法を紹介します。自社商品の開発メリットや中小企業でもできる開発手法、オープンイノベーションの活用方法、開発時に気を付ける点を解説しています。自社商品の開発にお困りの方はぜひ参考にしてください。

自社商品開発のメリット

自社商品のメリットを3つの観点で紹介します。

他社との差別化ができる

自社の意思を反映させた商品開発ができます。他社との協業では、お互いの利益のために多少なりとも技術的な妥協が発生してしまうからです。一方で、自社開発は自社の独自技術を最大限に活用できます。そのため、他社には真似できないオンリーワンの商品の提供が可能です。

自社主導でマーケティングができる

自社の目線で顧客に向けたマーケティング戦略を立案できます。協業は他社との兼ね合いもあり、意図しないマーケティングになる可能性もあるからです。

一方で自社主導だと、自社の「こだわり」「理念」を反映させたマーケティングを実施できます。自社ブランドの確立にもつながり、商品だけではなく会社としての価値も向上するでしょう。

自社内の活動が活性化する

自社開発は、社員が少ないため、自社内のリソースを最大限に使わなければいけません。全社員一丸となっての製品開発となるため、企業活動も活性化します。

中小企業でもできる新商品開発の手法とは

代表的なフレームワークを紹介します。

4C分析

4C分析はフレームワークのひとつです。顧客目線のマーケティング戦略を立てるのに活用していきます。4Cとは英語の略であり、それぞれ次の意味を持ちます。

  • 「Customer Value(顧客価値)」は、顧客の商品に対する価値(ベネフィット)を示します。
  • 「Cost(顧客コスト)」は、サービスに対する費用です。顧客価値とも関連があり価値に対して、妥当な費用設定が求められます。
  • 「Convenience(利便性)」は、サービスの成約までのプロセスや決済までの利便性です。
  • 「Communication(コミュニケーション)」は、顧客と自社との間のコミュニケーションです。展示会やメルマガ、SNSなどを通じ良好な関係構築が求められます。

4C分析は顧客目線の分析をおこない、新製品への開発戦略を考える手法です。

SWOT分析

SWOT分析は経営戦略を立てるフレームワークのひとつです。外部環境(競合他社、法律、政治)と内部環境(自社の技術や製品など)を分析します。

SWOTはS:Strength(強み)、W:Weakness(弱み)、O:Opportunity(機会)、T:Threat(脅威)の頭文字です。4つの観点で社内外の環境を分析して新製品への戦略を考える手法です。

品質機能展開(QFD)

品質機能展開は、英語でQuality Function Deployment(QFD)ともよばれます。1960年代より赤尾洋二、水野滋の両氏が開発した新製品開発のための手法です。

顧客のニーズを満たす設計や品質を設定し、これを実現するための要素を部品、工程まで体系化したものです。たとえば、縦軸に顧客のニーズ、横軸に製品の機能をあてはめた表を作成し、これらを満たすように開発を進めていくフレームワークになります。顧客のニーズをベースとし、それを満たすための機能を部品・工程ごとに分析する手法です。

オープンイノベーションのプラットフォームを活用

自社だけで開発が行き詰まった際は、Wemakeなどのプラットフォームの活用も有効です。自社の悩みに対して外部の意見を取り入れられます。

利用方法は、最初にプロダクトのターゲットや提供価値などをプラットフォームに提案。次に提案に対する意見やアドバイスを外部から求めるものです。プラットフォームの費用は掛かるものの、外部の意見を取り入れられるため、開発の助けになります。

新商品開発時に気を付けること

新商品開発時に気を付けることを3点紹介します。

常に顧客の視点で考える

収益を上げるためには顧客のニーズに応えた商品提供が重要です。顧客のニーズがずれていれば、売り上げにつながりにくいからです。自社の視点のみで考えると、顧客とのニーズの不一致の可能性もあります。アンケートやヒアリングなどを通し、顧客のニーズの把握が大切です。

新商品のコンセプトをきちんと固めておく

経営陣、製造部門、販売部門の製品への認識を統一するためです。もし、コンセプトがあいまいだとそれぞれの部門の意見が混ざり合い、結果として失敗する恐れがあります。

コンセプトを定め会社としての意識を統一すると、ターゲットに向けた価値提供を伝えられます。

流通(販売)のことを考えておく

「ほしい時に簡単に製品が手に入る」販売経路の構築が必要です。お客様が求めるときに、すぐに販売できないと機会損失の可能性があるからです。たとえば、購入手続きの複雑さや在庫切れ、入荷待ちなどが挙げられます。

製品を製造・販売するだけにとらわれず、どのように商品を提供するかの意識も重要です。

まとめ

中小企業でもできる開発のフレームワークや開発時に気を付けること、外部の考えを取り入れるプラットフォーム活用方法などを解説しました。自社商品の開発手法のひとつとして参考にしてください。

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製造業や職人が大手企業にも勝てる!「D2C」に注目が集まる理由

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

「D2C」の市場への浸透が会社の二極化をつくる

D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、「製造者がダイレクトに消費者と取り引きをする」という意味の言葉です。2020年あたりからクラウドファンディングなどを中心に取り組みを始める企業が急激に増えてきました。

なぜこれほどまでにD2Cに注目が集まっているのかというと、思い立ったら小さくでも始められるという点に大きな魅力があります。販売も小売店や卸業者に依存することなく、流通・製造・販売・マーケティング・サービス・利益を自社でコントロールすることができます。このことから今後は、大衆的に好まれる大手企業の大きなブランド「マクロD2C」と、熱心なファンの指示を集める小規模企業による小さなブランド「マイクロD2C」の二極化が進むと言われています。

D2Cブランドを作るメリット

まず、D2Cの3つのメリットについて見ていきましょう。

①コスト削減

ECサイトを自社で構築・運営することで、Amazon・楽天・BASEといった有名ショッピングモールを使用する際に発生する手数料や利用料などが必要なくなります。その浮いた費用分の価格商品価格から引くこともでき、顧客が買いやすい価格帯の商品を作ることができます。

②コアファンの獲得

また、ネット検索をはじめとするSNSの普及により、誰でも気軽に発信者になれる時代になりました。特に発信者が一方的に語りかける今までのネット検索と違い、SNSでは発信者と受信者が相互に関係を構築できる「双方向性」というコミュニケーションの形が生まれました。そのため、自社ブランドにかける想いや技術の奥深さを受信者と共有し続けることで、コアファンを獲得していくことができます。

③BtoB顧客への再アプローチ

D2C商品のリリースはBtoB顧客への再アプローチにも有効です。プレスリリースなどを通して自社の新たな試みを休眠顧客に伝えることで、取引が再開するきっかけを作ることもできます。また、D2C商品をリリースすることによって、従来の取引先とは全く違う業界からのオファーにつながる可能性も秘めているのです。

D2Cブランドを作るデメリット

しかし、D2Cブランドを立ち上げ・運営するにはメリットだけでなくデメリットも伴います。

構築にかかるコストとリソース

D2CビジネスをスタートするにあたってECサイトの構築や試作制作、それに伴う人件費といった初期投資が必要になります。他にも顧客への決済や発送の管理・カスタマーサポートなど、従来なかった新たな業務フローを確立する必要もあります。

ブランド認知のための活動

新規ブランドを立ち上げる場合や、知名度が少ない場合、ブランドをどのようにして多くの顧客に認知してもらうかという点が大きな課題になります。特に、自社で製造から販売まで一貫して手掛けると決定した場合、小売店やモール型の大手ショッピングサイトの宣伝力や集客力に頼ることができないので、効果的に自社SNS・メルマガ・コミュニティ運営などの認知のためのブランディングを行う必要があります。

D2Cに重要なLTVという考え方

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、「LTV」とは、顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値を表す指標です。

顧客から見たD2Cのメリットは、「ブランドと直接コミュニケーションを取れること」です。つまり生産者の想いや顔がわかり、安心して愛着を持って製品を使い続けることができます。それはAがいいかBがいいかと毎回購入のたびに選択を迫られるストレスがなくなり、生活の快適さにもつながります。このようにD2Cにとって、長期にわたって顧客に支持されるLTVという考え方を前提にブランド構築をすることが重要です。

特にこれからはデジタル世代を中心に「意味のある消費」に価値を感じる層が拡大していきます。そこでD2Cブランドには自社が作りたいものを作る「プロダクトイン」という考え方以外に、ニーズを捉えた「マーケットイン」という考え方が求められます。社会貢献も含めて、企業のミッションやビジョンが問われる中で、D2Cは自社のシンボルにもなるでしょう。

【プロダクトインのものづくり】

  • 自社の想い
  • 自社の技術
  • 使用素材

【マーケットインのものづくり】

  • 顧客に求められるデザイン
  • 顧客に求められる過不足のない機能
  • 使用素材が選ばれる理由
  • ブランドのビジョン

そのために、自社が作りたいものを作るのではなく、自社の技術を活かして「顧客にとって嬉しいものを作る」というブランド視点に成功のカギが握られているのです。

まとめ

D2Cブランド立ち上げには、費用やリソースを策必要があります。しかし5年後、10年後の経営を想像した時に、D2Cブランドを起動に乗せることで「顧客からの支持」という、競合他社が一朝一夕で築くことのできない大きな会社の資産を築くことができます。今回の記事を参考に、D2Cブランドを経営戦略に組み込んでみてはいかがでしょうか。

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中小企業のリブランディング!自社の強みを売上につなげる3つの分析方法

みなさん、会社の売り上げを増やすためにどのような施策を行っていますか?これは、多くの社長が日々頭を捻っている事だと思います。それでも会社の売り上げを上げる戦略の基本はこの3つしかありません。

  1. 顧客「数」を増やす
  2. 顧客の「リピート」を増やす
  3. 顧客「単価」を上げる

これらは当たり前ではありますが、意識して行っている会社は意外と少ないのです。

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

おそらく多くの会社が、ホームページを新しくしたり、SNSを開設したりしているのではないでしょうか。他にも、助成金や補助金を活用して新しい機器を導入するなどのさまざまな施策を行っていると思います。もちろん、どれも間違ってはいません。

ただし、施策を行う前に「現状の自社の強み」を理解しておくことで、その効果を最大化することができます。簡単に言うと上記の3つを意識的に攻略していくことができれば、自社の売り上げが自然と上がりやすい環境を構築していくことができると言うことです。

新規顧客獲得のコストは5倍

上記の売り上げを上げる3つの施策から、どれをやりますか?と聞くと、ここで多くの社長は「新規顧客を増やす!」と答えます。しかし、新規顧客・既存顧客からそれぞれ同額の依頼を受けるまでには、新規顧客にかかるコストは5倍と言われています。このコストというのはお金だけでなく時間も含まれます。そのため、新規顧客獲得ばかりに目を向けていると、少ない人数で回している社員や社長がヘトヘトに疲弊してしまいます。

そこで重要なことは、自社の強みを客観視して既存顧客・休眠顧客へ再度アプローチをかけたり、ホームページやSNSなどのブランディングを行うことです。

私はこの方法を「会社を再パッケージする」と呼んでいます。

①沿革を文字に起こす

自社の強みを掘り起こすのに、沿革を一度文字に起こすことが必要です。ここで重要なのが、沿革で書き出されたそれぞれの変革に対して、なぜそれを行ったのかも言語化することです。

ものづくり会社あるあるで、よく自社の技術的な部分、いわゆる「ハード」については理解してスムーズに説明ができても、仕事に対する姿勢を指す「ソフト」を説明するのが苦手な方がいます。ものづくりの仕事は、良い機械があればできるわけではありませんよね。相手のために仕事に向き合い、切磋琢磨したその結果、今のあなたの会社の技術があります。つまり「ソフト」があってこその「ハード」です。沿革を書き出しながら、自社の「ソフト」と「ハード」両方の強みを明文化していきましょう。

②お客様の声を聞く

長く付き合いがあるお客様であればあるほど、「理由なんてないよね」と言い合う取引があります。しかし、長い間他の会社に乗り換えられないのには、必ず理由があります。お客様も気恥ずかしさや、言語化に慣れていないことから、理由を引き出すのは難しいかもしれません。

そういった場合は、先ほどの沿革から導き出した自社の「ソフト」「ハード」の強みをアンケートにまとめ、チェックをしてもらうのも一つの方法です。

ここではお客様から、自社がどのような役割とし必要とされているのかを客観的に知る情報を集めることに注力しましょう。

③SWOT分析

SWOT分析とは、

  1. Strength=強み
  2. Weakness=弱み
  3. Opportunity=機会
  4. Threat=脅威

上記の4つのカテゴリーを視点にして、経営戦略や事業計画の現状分析を行う経営戦略策定方法です。目にしたことがある方や、実践したことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、SWOT分析の難しいところは、自社だけで行う場合、客観視が不十分になり分析する材料が正しく揃えられないことです。

そこで、今回のSWOT分析で行って欲しいことは、先に述べた

  • 沿革から導き出すソフト・ハードの強み
  • お客様の声

という客観的な実績を組み込んだ分析の実施です。この客観的視点が加わることで、自社の存在意義を正しく理解して、既存顧客・休眠顧客・新規顧客に伝えることができるようになるのです。

取引先にとってのかけがえのないパートナー企業へ

こういった話をすると、「そうは言っても取引先が倒産したり、受注量を減らしてきてるんです」という声が上がります。目まぐるしく変化する業界市場の中では、今まで会社の主力としていた商品が一気に必要とされなくなるケースもあります。

そういった場合は、お互いにとって前向きな相談をしてみてはいかがでしょう?

「今後はどのような製品にシフトチェンジしていくのか?」「そのためにうちで協力できることはないか?」「市場の動き的にこういった方向に挑む価値がありそう」といった前向きな相談です。これは、直接あなたの会社の売り上げを爆発的に上げるものではないかもしれませんが、この相談がきっかけで、かけがえのないパートナー企業になれるかもしれません。

ものづくりは1社だけで完結することは不可能です。是非あなたの会社でも自社の強みが伝わるリブランディングを行い、取引先にとってのかけがえのないパートナー企業になっていきましょう。

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SNSマーケティングの費用相場と外注費

製造業勤務、機械系エンジニアライターの藤田です。製造業は自社製品の販売や採用マーケティングのためにSNSを活用できます。 これまでSNSマーケティングを活用してこなかった企業には、リーチできていなかったターゲットにも自社製品の情報を届けられるメリットがあります。しかしながら、初めてSNSマーケティングを実施する場合には、外注の費用がどの程度かかるのか事前に確認が必要です。今回の記事では、SNSマーケティングの外注費用相場と、運用する内容について解説します。

SNSマーケティングの費用相場

SNSマーケティングは、月額の運用費用がかかります。また、企業によっては、初期費用も必要です。

初期費用

SNSマーケティングの初期費用は20~30万円程度です。初期費用がかからない会社もあるので、事前に確認しましょう。

月額料金

価格帯に応じてサービス内容が異なります。主な価格帯と内容は以下の通りです。

  • 10万円以下
    定期的な記事の作成や投稿代行費用など、最低限の作業です。
  • 10~30万円
    定期的な記事作成や投稿に加えて、コメント返信、レポートなどが含まれます。
  • 50万円以上
    記事コンテンツの企画、記事作成、分析、レポート、定期ミーティング、SNS広告運用が含まれます。

SNSマーケティングはどんな作業に費用がかかる?

SNSマーケティングは各社さまざまな料金プランがあります。どのような内容が費用に含まれるかを詳しく紹介します。

初期費用に含まれる内容

  • アカウント開設
    Twitterの企業公式アカウントやFacebookのビジネスアカウントなどを開設します。
  • 利用規約、ポリシー作成
    SNSをどのように使うのか、禁止行為、個人情報の利用方法などを明記します。例えば、「LINEで商品の情報発信をする」など、使うSNSと発信する情報を記載します。
  • 方針決定
    記事のトンマナやターゲットのペルソナ、コンプライアンスなどを協議し、決定します。
  • 目標値設定
    KGI、KPI、ロードマップなどを決めます。例えば、「Twitterのインプレッション数を現状の50%向上させる」 などのように数値目標を決めます。
  • コンテンツ企画
    投稿する記事のコンテンツを企画します。
  • 想定コメント問答集、炎上時の対応方針
    コメントに返答するリストや炎上時の対応方針を決めます。
  • 広告運用方針
    SNS広告はTwitter、Facebook、LINE、Instagramのどれに出すのか、費用や期間などの方針を決めます。

月額料金に含まれる内容

  • 定期投稿、記事作成、定期ミーティングなど
    原稿案も外注先に任せるのか、自社で作成するのかで金額が変わってきます。また、月1回の定期ミーティングをして、インプレッション数やフォロワー数の分析結果などをレポートしてもらう場合は金額が上がるでしょう。他には定期的にコンテンツ企画会議などをする場合もあります。
  • 写真、動画投稿
    投稿記事に写真や動画を付けるかどうか、また写真の質によっても金額が変わります。
  • 他ユーザーへのアクション
    ペルソナに該当するユーザーをフォローしたり、フォロワーの投稿に「いいね」をしたりするサービスもあります。他の製造業の公式アカウントとコラボすることもあります。
  • KPI保証オプション
    目標フォロワー数やインプレッション数の達成を保証するオプションをつけることができます。

広告運用費用

SNS広告は、月額料金とは別に費用が必要になる場合があります。SNS広告とは、TwitterやFacebookのタイムラインや検索結果画面に出す広告です。定期投稿に加えてさらに多くのリード獲得を狙うときや、新製品発表のタイミングに合わせてプロモーションするときに広告を出します。

SNSマーケティングにいくらかけるか

SNSマーケティングにいくらかけるかは、どのように決めていけばいいのでしょうか。ポイントは以下の2点です。

目的を決める

まず、SNSマーケティングの目的を決めます。定期的な記事投稿は、長期的にコンテンツを閲覧していくことでファンになってもらえる可能性があります。その後、見込み顧客となり自社製品やサービスを購入してくれるかもしれません。一方、新製品リリースのタイミングで一気に集客したい、話題づくりがしたいなどであればSNS広告がおすすめです。

自社人材でできる範囲を決める

どのくらいの予算をかけるかについては、自社人材がどこまでできるかによっても変わってきます。企画案を出し、分析ができるならば、定期投稿、記事作成だけ依頼すればいいので安くできるでしょう。一方、分析やレポート、改善提案ミーティングなどをすべて任せるのであれば高くなってきます。まずは一番安いプランから始めてみて、途中で変更するのもいいでしょう。

まとめ

何を目的としてSNSマーケティングをするかによって運用内容は変わります。それに伴い、外注費用も変わってきます。定期投稿を依頼して、製品発売タイミングではSNS広告を出すなど、さまざまなやり方があるので事前に相談しましょう。目的と予算などを外注先と話し合い運用内容を決めることで、SNSマーケティングをより効果的に実行できるはずです。

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製造業のためのSWOT分析活用方法

はじめに

製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。コロナ禍や製造業のグローバル化により、製造業を取り巻く環境は目まぐるしく変わってきています。

そのため、製造業の経営や開発戦略の立案には、自社や自部門などの内部環境と世界や社会などの外部環境を一段と分析しなければなりません。この記事では代表的な経営手法の1つであるSWOT分析を紹介します。ぜひ、参考にして自社の環境の捉え方や整理方法を身に付けてください。

SWOT分析とは

SWOT分析とは経営環境や開発環境を整理するフレームワークのひとつです。社内外の環境を分析して戦略を立案するのに用いられます。SWOTとは強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字を並べたものです。これら4つの観点をもとに整理していきます。

一般的に内部環境は社内が当てはまり、自社の強みや弱みを分析します。一方で外部環境は社外環境や外部環境です。自社に対する機会やチャンスと脅威を分析します。このように、社内外の環境を4つの切り口でフレームワークし、戦略を立案する手法がSWOT分析です。

SWOT分析の4つの観点

SWOT分析では、4つの観点による分析が必要です。具体的に分析する内容を紹介します。

強み(Strength)

強みは同業他社に対して優れているスキルや技術、環境などです。たとえば、加工メーカーであれば、0.1μm以上の精度で加工ができる。部品メーカーであれば、独自の機能を有する半導体部品の製造しているなどです。その企業や開発部門だけがもつ独自の技術を洗い出しましょう。

弱み(Weakness)

弱みは同業他社と比較して劣っていることスキルや技術、環境です。

たとえば、マーケティングが劣っており開発のリサーチ力が足りない他社に比べて加工精度が低い、開発、実験環境が整っていないなどが該当します。社内における課題が多く当てはまるのです。

機会(Opportunity)

機会は市場や業界のチャンスです。

たとえば、コロナ禍であればテレワークで働く方が増えるため、在宅で活用するプリンターやノートPCの需要の増加、家での食事による冷凍食品の需要の増加などが当てはまります。市場や社会の変化が該当します。

脅威(Threat)

脅威も市場や社会の変化が当てはまります。

たとえば、環境問題意識の高まりによる製造手法の改善や開発内容の変更を余儀なくされたり、保有技術以上の高度な技術を要求されて対応に四苦八苦したりなどです。部品需要の増加により、製造部品が手に入らなくなるなどが該当します。脅威は、機会と同様に市場や社会の変化による自社への悪影響と捉えるとわかりやすいでしょう。

SWOT分析を基にした戦略

SWOT分析は4つの観点を吟味し、戦略にいかすためのフレームワークです。SWOT分析をいっそう活用するには、強みと機会を掛け合わせた組み合わせが大切です。

強み×機会による戦略

自社の強みをいかして市場のチャンスをつかみます。チャンスをつかむと、他社よりも有利に働く場合が多くなります。たとえば、大企業であれば、コア技術を生かした戦略や蓄積された技術を軸に戦略をたてるなどが該当。自社の強みを生かして市場の流れにのる戦略です。

強み×脅威による戦略

自社の強みをもとにして、将来の脅威を乗り越える戦略です。市場調査や社会動向を調査して、危機に対応します。

脅威は社会全体に影響を与える場合が多いのが特徴です。たとえば、最近の半導体不足問題を考えると、強固な販売網を駆使して在庫を潤沢にするなど、自社の強みで課題を解決するものになります。ピンチをチャンスに変えたり、ピンチを強みで乗り切る戦略です。

弱み×機会による戦略

自社の弱みを克服して機会を得ようとする戦略です。一般的には弱みを克服しても競合他社に勝てるまで育てるのには、時間やお金など多くのリソースが発生します。また、競合他社は市場で優位な地位を築いているため、余力が少ない場合は強みを伸ばす戦略が望ましいです。

弱み×脅威による戦略

自社の弱みや脅威を認識してリスクに備える戦略です。リスクを乗り越えるよりも、これから起こりうるリスクへ対処する予防策を練るとも捉えられます。自社や自部門だけで解決できない課題は、他社や他部門に協力を求めるなど将来起こりうる最悪な結果の発生を防ぐための戦略です。

まとめ

SWOT分析は経営や開発戦略の立案時に有効な考え方です。内部環境と外部環境を、強みや弱み、機会、脅威4つの観点で整理できるからです。4つの観点で整理した内容組み合わせることで、今後の戦略を立てられます。戦略立案に困っている方は一度SWOT分析を用いてみてはいかがでしょうか。

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コロナ禍で大きく変化したBtoBマーケティングの2021年最新トレンドを解説

製造業のエンジニアで、製造業系ライターとして活動している一之瀬です。

2020年以降、コロナ禍の影響によりBtoBマーケティングのトレンドは大きく変化しました。例えば、展示会などで直接コミュニケーションを取る機会が減少し、Webを用いたマーケティングに徐々にシフトしています。そして、その流れは2021年も継続しており、新たなトレンドとして定着しつつあります。そこでこの記事では、コロナ禍で大きく変化したBtoBマーケティングの2021年最新トレンドについて解説します。

コロナ禍による営業方法の変化

コロナ禍では、営業方法が大きく変化しました。代表的な事例を2つ紹介します。

1、商談のオンライン化

コロナ禍では緊急事態宣言などの発令により、感染リスクを低減するために対面での営業活動自粛が進んでいます。代替手段としてリモートでの営業活動が中心になり、商談もWeb会議システムを活用してのオンライン化が進められています。商談のオンライン化により、従来は貴重な情報共有の機会となっていた商談前後の雑談はなくなり、場の雰囲気や空気感を感じにくくなりました。これまでに比べて顧客との関係性を築くのが難しくなったことをデメリットだと感じる方は多いでしょう。

一方で、打ち合わせを行う場所への出張など、移動時間を大幅に短縮でき、資料の共有もデータ送付や画面共有で簡単に行えるようになりました。商談前後の準備や移動の時間を削減できるため、その時間を顧客とのコミュニケーションに活用できます。会社ごとに方針は異なるかもしれませんが、仮にコロナ禍が終息したとしても、オンライン化された商談は一定の割合で残るでしょう。

2、ウェビナーの普及

「ウェビナー」とはWebとセミナーが組み合わされて作られた造語で、インターネット上で行うセミナーのことです。コロナ禍により、展示会への出展や企業を訪問しての説明会を開催しにくくなり、BtoBの企業でもウェビナーの活用が進んでいます。

ウェビナーは、会場まで移動する時間が必要なく、また準備する側としても会場の確保や設営が不要です。また、プロジェクターに投影された資料が見にくかったり、説明の声が聞こえにくかったりといった問題もありません。録画した映像を繰り返し用いれば、同じ内容のセミナーを効率的に実施できます。

一方で、展示会であれば、自社が目的でなかったとしても、近くの企業を訪問したついでに自社を見てもらえる可能性がありました。しかしウェビナーの場合には、目的を持って訪問してもらう必要があるため、新たな顧客とのビジネスの機会が減ってしまいます。

BtoBマーケティング 2021年のトレンド

ここからは、BtoBマーケティングの2021年のトレンドを5つ解説します。

1、コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、ユーザーに役立つ情報を提供することで、自社サイトへのアクセスを獲得するとともに、ユーザーの支持を得る手段の一つです。製品の拡販や自社のコア技術を広めることを目的としており、今まではリーチできなかった潜在顧客をWebサイトへ集客したり、ユーザーのニーズを育成したりすることで、問い合わせの獲得やファン化につなげます。

効果が出るまでに時間がかかり、その間は地道にコンテンツを発信し続ける努力が必要です。そこを乗り切れば、ブランディングの確立に加えて、コンテンツ自体が貴重な財産になるといったメリットがあります。

BtoB向けのコンテンツマーケティングについて、詳しくはこちらの記事をご確認ください。

2、動画

展示会などの中止により、実際に製品やサービスを目の前で見てもらう機会は大幅に減少しています。Webサイトの文章だけでは伝わりにくい製品の魅力を少しでも多く伝えるために、動画の活用が広がっています。5Gのサービスが徐々に広がり始めていることで、動画市場全体の拡大も期待されており、動画制作を行える人材の増加や撮影機材、編集ツールの高性能化なども進んでいます。

各社さまざまな工夫を凝らしており、単にサービスや製品の特長を紹介するだけでなく、導入企業のインタビュー動画や課題を訴求する動画、自社商品の製造工程の動画などが製作されています。魅力的な技術動画の事例は、こちらの記事をご確認ください。

3、MA(マーケティングオートメーション)

マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動を可視化し、業務を自動化することで効率化を高め、生産性を向上させる取り組みです。これまでの事業活動で集めたリード(見込み客)に対して、再度アプローチをする方法としてMAに取り組む企業が増えています。

自動化を行う部分としては、リード情報の管理に加え、顧客に対するコミュニケーションがあります。MAは主にツールを活用して行いますが、ツールごとに特徴が大きく異なるため、どれを採用するかという選定が重要です。MAについて必要性やおすすめのツールについて知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。

4、SNSマーケティング

BtoB企業の間でも、SNSを用いてブランディングを行う企業が増えてきています。SNSマーケティングはFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSを活用することで、自社の情報をいち早くユーザーに発信できるといった利点があります。BtoCに比べると、BtoBのSNSマーケティングは効果が見えにくいですが、目的やターゲットを明確にしたうえで適したSNSを選択することで、効果につなげやすくなります。

具体的な発信内容としては、自社の技術、製品、サービスなどのアピールしたいポイントが挙げられます。それに加えて日常の様子を発信し、フォロワーの方に身近に感じてもらうことが効果的です。BtoB製造業のSNS活用法については、こちらの記事をご確認ください。

5、オフライン広告

テレビCMやタクシー広告などのオフライン広告は、アプローチをする対象が不特定多数であり、効果測定がしにくいといった点でBtoBマーケティングではあまり活用されていませんでした。しかし、近年はビッグデータの活用や収集したデータをAIを用いて分析することで、ターゲットの絞り込みができるようになり、マーケティング効率や効果測定の精度が向上しています。

契約までのプロセスに複数の人物が関わるBtoBマーケティングの場合、ブランド認知や信頼を高めるという目的に対して、オフライン広告は有効な選択肢の一つです。

まとめ

BtoBマーケティングは、コロナ禍の影響により対面での活動からオンラインの活用に大きく変化しました。2021年もその傾向は継続、拡大しています。BtoBマーケティングにおける2021年のトレンドとして5つの手法を紹介しましたが、それぞれ万能な手法ではなく、自社の状況や目的に応じて、適切な手法を選択する必要があります。

マーケティング手法の相談や具体的な施策について困りごとがある場合には、ぜひお気軽にテクノポートにご相談ください。

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BtoB製造業のデジタルマーケティング【成功事例あり】

製造業勤務、機械系エンジニアライターの藤田です。デジタルマーケティングは、BtoB製造業が新たな顧客を獲得するために役立ちます。大小問わずさまざまなBtoB製造業が取り入れています。今回の記事では、デジタルマーケティングとは何か、メリットや手法、成功事例を紹介します。

デジタルマーケティングの基礎知識

定義

デジタルマーケティングとは、Webページ、スマホアプリ、メール、SNSなどのサービスから得られるデータを分析、活用してマーケティングを行う手法です。

Webマーケティングとの違い

WebマーケティングはWebサイトを中心としたマーケティングです。デジタルマーケティングは、Webサイトに加えてメール、SNSやアプリ、動画コンテンツ、製品のIoTデバイスなどからユーザー行動をデータとして取得し活用します。

BtoBとBtoCのデジタルマーケティングの違い

BtoBとBtoCのデジタルマーケティングについて、主な違いや特徴を紹介します。

ターゲット、商品

BtoBは企業をターゲットにしています。一方、BtoCは個人がターゲットです。BtoBの製品やサービスは、業務効率化のツールやアプリ、FA機器や工作機械など企業向けです。開発プロセスの途中で顧客と仕様を詰めていくケースもあり、顧客に合わせて柔軟に対応することもあります。

コンテンツ

BtoCにおいては、個人が購入を決定します。そのため、マーケティングとしては、流行や季節性、ブランド力などが重視されます。一方、BtoBの購入決定者は企業です。機能やスペックは、顧客が求めているものに合っているのか、またその根拠やロジックが問われます。技術解説やカスタマイズ情報などを提供し、顧客が正確に商品とサービスを理解できるほど購入に近づくでしょう。

デジタルマーケティングのメリット

デジタルマーケティングを実施する目的とそのメリットを説明します。

ユーザーのニーズを数値で分析する

商品ページの閲覧数、動画視聴数、SNSでの広告閲覧数などのデータから、ユーザーの興味関心を数値分析し、マーケティングに活かします。

ターゲットを明確化する

分析データの対象は主に性別、年齢、居住地などです。そのため、ターゲットを明確にできます。

素早い効果検証と改善

マーケティング施策の効果を素早く数値で検証できます。そして、検証データから次の施策を考えて改善できます。

デジタルマーケティングの手法と特徴

デジタルマーケティングはさまざまな手法があります。主な手法を紹介します。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のある情報を掲載して、リード獲得やWebサイトへ集客する手法です。自社製品、サービスの宣伝ではなく、ユーザーの課題解決をコンテンツとして掲載します。コンテンツマーケティングでユーザーに情報を届けるためにはSEOが重要です。検索エンジンで上位表示されるキーワードを入れ込み、コンテンツを制作します。コンテンツは、オウンドメディア、ホワイトペーパー、ブログ、技術解説記事などさまざまです。 すぐに効果がでなくても、徐々に効果が出て資産となっていきます。

オンラインセミナー、オンラインデモ

オンラインセミナーはウェビナー(Webinar)ともいわれます。オンラインで自社製品や技術を紹介するセミナーを開いたり、機械が動作している状況を見せるためにオンラインデモを実施したりします。 移動や出張をせずに顧客とコミュニケーションを取れるうえに、一度に多人数に対して説明会やデモを実施できるのが特徴です。

Web広告

  • リスティング広告
    リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果ページの上位部分に表示される広告です。
  • リターゲティング広告
    リターゲティング広告とは、一度サイトを訪れた人に対して、他のWebサイトでも再度広告を出す手法です。
  • SNS広告
    SNS広告とは、FacebookやInstagram、Twitter、LINEなどに載せる広告です。SNSのタイムラインに流れてきます。
  • 動画広告
    YouTubeなどの動画コンテンツに差し込まれる広告を動画広告といいます。

SNS、動画マーケティング

SNSや動画で自社の紹介や技術、製品の紹介をするマーケティング手法です。Web広告と似ていますが、広告を挟むわけではありません。例えば、SNSで自社の加工機で作った製品を載せてみたり、YouTubeに自社製品の使い方を載せたりします。SNSは拡散効果があり、さまざまな人に情報を届けられるので新たな顧客層のリード獲得につながります。

デジタルマーケティングの成功事例

デジタルマーケティングを導入して成功している企業を紹介します。

サイエナジー株式会社

サイエナジーは、軟X線技術を活用したX線検査装置のメーカーです。リード獲得のために「X線検査装置」のほか、「噛み込み」「液漏れ」などといったキーワードでSEO対策を行いました。 また、リスティング広告を運用してWebから多くのリードを獲得しています。

株式会社 丸福繊維

丸福繊維は、コンシューマー向けに暑さ対策の帽子や日焼け防止用のフェイスマスクなどを製造・販売しています。ターゲットが検索するキーワードを選定してコンテンツマーケティングを行っています。 SEO対策を実施し、もとのターゲットであった一般消費者だけでなく企業からのアクセスも獲得しています。

NISSHA株式会社

NISSHAは、産業資材、フィルムデバイス、メディカルテクノロジー、情報コミュニケーションの事業を展開しているグローバルカンパニーです。リスティング広告やコンテンツマーケティングを運用し、問い合わせを10倍にした実績があります。 ターゲットを技術者に絞って専門的な技術紹介記事を掲載しており、マーケティング施策がうまく成功しています。

まとめ

デジタルマーケティングの紹介と成功事例について解説しました。BtoB製造業にとって、デジタルマーケティングの導入は新しい顧客獲得につながります。テクノポートではBtoB製造業のデジタルマーケティング導入を支援しています。お気軽にお問い合わせください。

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スマホで簡単にできる動画の作り方【動画マーケティング入門】

製造業勤務、機械系エンジニアライターの藤田です。BtoB製造業では、マーケティングに動画を活用する企業が増えてきています。スマホで撮影や編集も簡単にできるので、未経験者が動画を作るのは決して難しくありません。これまでに経験がなくても、動画マーケティングを気軽にスタートできます。

今回の記事では、スマホを使った動画の作り方を解説します。

スマホで動画をつくるために必要なもの


スマホで動画を作るために必要なものを紹介します。必須なものと、あるとさらによいものを紹介します。

必須なもの

  • スマホ
    Android、iPhoneどちらでも問題ありません。カメラで動画を撮影するのと編集に使います。
  • 動画編集アプリ
    Android、iPhoneともに無料のアプリがいくつかあります。例えば「CapCut」や「VN」、「iMovie」などを使うとよいでしょう。アプリによって機能が少し異なっているので事前に確認しましょう。例えば、動画作成可能な長さやBGMの挿入ができるかどうか、文字を入れられるかどうかや文字の配置、書体などです。

あると便利なもの

  • 三脚
    スマホを固定する三脚があると手が疲れません。また、動画に手ブレがあると視聴者は気分が悪くなってしまう可能性があります。視聴者に少しでも快適に見てもらえるよう工夫して、離脱につながる要素を少しでも減らしましょう。
  • 照明
    照明があると全体的に明るくでき、動画で見せたいものをはっきりと映せます。
  • 無線ピンマイク
    工場や作業場などのように周辺の音が大きい場所では、説明者は大きな声で話さないといけません。しかし、無線ピンマイクがあると小さな声であってもしっかりと音声を取り込めます。また、大きな装置全体を撮影するためにスマホが説明者から離れて設置されていても、音声をきれいに取り込めます。

スマホで動画を作成する手順

スマホで動画を作成する手順を、大きく4つにわけて解説します。

構想

どのようなことを話すのか、何を撮影するのかなど大まかな構成を考えておくと撮影がスムーズに進みます。1分程度の短い動画であっても、構成を考えて、さらに台本を作っておくとよいでしょう。台本通りにゆっくり話す場合、かかる時間は300文字で1分くらいです。BtoB製造業の場合は、動画のコンテンツは簡単な会社紹介や、自社の技術、製品紹介、製品を使ううえでのTipsなどです。

例えば、製品を実際に動かし、部品を加工している様子を見せてもよいでしょう。視聴者にとっては、どのような製品なのか、どんな動作をするのかを理解しやすくなります。

撮影

実際に顔を出して話す場合は、台本を見ている感じ(ぎこちなさ)が出ないように工夫が必要です。例えば、台本を見ながら話さずに、内容を確認してから話すようにしましょう。このときに台本とスマホの目線を分けておくとよいです。台本を見ている場面がはっきりと分かるので、編集するときにカットしやすくなります。

長時間の撮影をする場合は三脚を活用して映像のブレを少なくしましょう。また、大きな装置の内部を撮影するときには暗い場合があるので、照明を使うとよいでしょう。

編集

スマホのアプリを使って編集します。さまざまなタイプの動画がありますが、ここでは基本的な編集手順を紹介します。

  • 動画取り込み
    アプリに動画を取り込みます。複数の動画を取り込んでそれぞれをつなげたり、順番を入れ替えたりできます。
  • カット編集
    不要な部分をカットします。
  • タイトル、テロップ挿入
    動画のタイトルやテロップを入れます。テロップがあると説明者が何を言っているのか分かりやすいです。
  • BGM挿入、アテレコ
    音楽を動画に入れます。また、アテレコを入れて動画の説明ができます。
  • 資料挿入
    説明の補助としてパワポのページや図などを挿入できます。スマホで編集する場合は位置の調整が手間なので、全画面で挿入するとよいでしょう。

投稿

投稿前に動画の最終確認をします。カット箇所が不自然でないか、テロップや資料に間違いがないかなどを確認しましょう。また、外部に流出してはいけない技術情報や試作品などが写っていないか注意しましょう。YouTubeであればスマホのアプリから投稿できます。動画のサイズによっては少し時間がかかるかもしれません。また、短い動画であれば、YouTubeの「ショート動画機能」を使って簡単に投稿できます。

まとめ

スマホで簡単に動画を作る方法を紹介しました。必須なものはスマホとアプリだけなので気軽に始められます。一度やってみて、徐々にマイクや三脚をそろえていくのもよいでしょう。自社紹介、製品、技術の解説など何をターゲットに伝えたいのか考えて動画を作り、マーケティングのツールとして活用していきましょう。

コロナ時代のオンライン展示会フォローを考察!失敗しないためにやるべきこととは?

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、コロナ禍をきっかけに様変わりする展示会について取り上げます。

コロナ禍の影響で、展示会出展が制限され、オンラインへの切り替え/併用の動きが進みつつあります。まだまだ戸惑う声は多いですが、この1年試行錯誤され、オンライン配信も徐々に慣れてきた方が多いようです。

オンライン開催により場所の制約が外れたことで、「従来よりも集客できている」という声もちらほら聞こえます。特に、遠方から気軽に参加者できるメリットは大きいです。「Afterコロナでもオンライン展示会を継続してほしい」という声は大きくなりつつあるようです。一方、「リストだけは増えたけど、どうフォローしていいのかわからない」と悩む企業も多いという話を聞きます。

そこで本記事では、改めて展示会のフォローの方法をふりかえり、課題と改善ポイントをまとめたいと思います。

展示会フォローの課題

ではなぜ、「リストが増えているのに」企業は悩んでいるのでしょうか?それには大きく2つの理由が考えられます。

ひとつは、オンライン展示会では、メールアドレスや企業名だけのデータばかりがたくさん集まってしまい、肝心のニーズが拾えないことです。リアルで出展する企業が減り、仮にブースを構えたとしてもパネル展示が多く、展示デモの機会が減っています。会場で実際に目で見る環境が失われたことで、製品サービスに対するリアルなニーズが獲得しにくくなっています。その結果、会話したこともない客のリストばかり集まってしまうのです。

もうひとつは、イベント後のフォロー体制が組織的に整備されていないことです。これは従来からの課題でしたが、顔の見えない相手が増えたことにより、問題がより大きくなったといえます。

展示会フォローでやるべきこと

ここでは、一般的な企業が実施している展示会フォローを紹介し、活用にあたって注意すべきポイントをお伝えします。

見積もり・問い合わせ対応

展示会では、ブースで興味をもった来場者からサンプルや見積書の依頼を受ける機会がたくさんあります。当然の話ですが、依頼されたサンプル・見積書の送付などは速やかに行うべきです。そして、これはどの企業でも行っていることですが、withコロナ時代ならではの注意点があります。

それは、対面コミュニケーションが制限されていることです。従来ならば、営業がサンプルを直接持参し、お客様からニーズをヒアリングし、関係構築を図ることができていました。しかし、今は直接訪問が難しくなっているため、顧客との接点がとりにくい状況です。

こういうとき、オンライン商談の活用を積極的に行いたいところです。ただ、サンプルを届けるという名目がたたないこともあり、展示会が終わって熱も冷めた状態でアポイントを取ってもうまくいかないかもしれません。

こういう場合は、できるだけ前もって組織的に準備しておくといいでしょう。そうすることで、例えば担当営業でなくても、対応者が依頼時にオンライン商談の予約を促すことも可能です。タイムリーなフォローにつながるでしょう。

お礼メールの送付

展示会終了後に、来場者へのお礼を実施している企業は多いです。対応の早い企業だと会期後翌日には送付されます。このメール送付の際、注意したいポイントが2つあります。それはタイミングとコンテンツです。

まず、タイミング。できるだけ早い方がよいのですが、問題はどうやって早くリスト化するかです。通常、外部業者に依頼すると時間がかかることが多いです。来場規模にもよりますが、会期中に社内で電子化する方法を考えておくことをおすすめします。今は、スマホで写真をとって管理できるツールも豊富にあります。無料でcsvにダウンロードし、ハウスリストにすぐ移植できるものもあるので便利です。

メールのコンテンツも重要です。情報を詰め込み過ぎず、シンプルに伝えるのがいいでしょう。単なる挨拶メールや売り込みだけの内容は避けた方がよいです。来場者の目的は情報収集なので、会場のナマの声を提供すると喜ばれます。とはいえスピード重視なので、制作に時間をかけられません。会期前に大枠の内容を決めておき、会場情報は部分的に使えばよいでしょう。

展示会特設サイト

出展内容の関連資料や動画をコンテンツにしてWEB上に特設サイトを設ける企業もここ最近増えています。カタログやリーフレットをダウンロードできるようにし、行動履歴をもとにフォローしている企業もあります。

このとき気を付けたいのは、来場者の流入経路です。流入経路は、オンラインとオフラインの2パターンあります。配布チラシなどの紙媒体は足跡が追いにくいため、QRコードやサイトのURL、検索キーワードを併記しておくといいでしょう。ただ、個人情報の獲得のために、過度に登録を促すと敬遠されるのでバランスには注意したいものです。

マイページなど会員サイトを活用して、顧客限定の情報を発信するのもよい方法です。マイページというと、コストがかかるイメージがありますが、現在はワードプレスのプラグインや、クラウドサービス活用で予算がなくても設置できます。コンテンツ制作リソースがなければ、顧客限定で見せている営業用の情報をデジタル化する手も有効です。

展示会フォローにおける注意点

従来のリアル会場での展示会の場合、来場者との接点は会話が中心でした。一方、オンライン展示会では、来場者のWEBサイト上の行動を閲覧履歴から追うことになります。

そのため、オンライン展示会を行う場合、従来以上に組織的行動とルール決めが重要になります。これは、リアルと併用する場合も同様。会場のリアルとネット上において、どういう行動をとる顧客を誰が・どうフォローするかを事前に決めておく必要があります。

そうすることで、担当営業でなくてもあらかじめ決めたルールをもとに、適確かつ迅速な営業フォローが可能になるのです。

一番重要なのは継続すること

展示会の目的は、「新規見込み客」を増やし、売上を拡大させることにあります。普段会えない見込み客にアプローチする場として、展示会はとても有効です。しかしながら、展示会の開催時期と顧客のニーズが発生する時期が一致するとは限りません。漠然とした興味はあったとしても、それが購買行動につながることはむしろ少ないといえるでしょう。

それにもかかわらず、一度話を聞いて、具体的なニーズが聞けないとその場で終わってしまう企業が多いようです。営業担当者からみると、いつ実需が期待できるのかわからない顧客をフォローするよりも、足元の需要が見えている顕在客に目が向いてしまうのは当然の話でしょう。しかしそこで接点が切れてしまうと、顧客のニーズが顕在化した際に気が付かず、せっかくの機会がムダになってしまいます。

だからこそ、一度つないだ接点を切らさずに、関係性を維持することが重要なのです。新製品の情報やお役立ち情報をデジタルの手段を使って発信し続けることで、ゆるく関係性を維持できます。できるだけ、顧客の関心テーマに沿ったパーソナライズコンテンツを発信しておくといいでしょう。そうすることで「顧客がその気になった」ときにタイムリーな提案ができるようになります。

まとめ

コロナ時代で展示会でもオンライン開催の動きが進んでいます。場所の制約が外れたことで利便性が増し、集客に寄与している一方、リアルなニーズの把握が難しい顔の見えない来場者が増えています。

こうした環境の変化を踏まえ、来場者へのフォローのやり方もデジタル接客をうまく活用することが求められます。フォローの手段としては、問い合わせ対応やお礼メール、フォロー用の特設サイトなどがあります。どれも基本的には従来のリアル展示会でも実施してきたことですが、従来に比べ、より組織的かつルール化されたフォロー施策が必要になっています。

展示会開催は手段であり、目的は営業活動の起点となる新しい接点の創出です。つながりを維持するための継続コミュニケーションがなにより重要になります。

テクノポートはこうしたデジタルコミュニケーション施策に関する様々なサポート活動を行っています。ぜひご相談ください。

金型製造業のためのWebマーケティング戦略

テクノポートの徳山です。金型業界は、高度経済成長期に日本のものづくりを発展させた立役者と言っても過言ではありません。金型製造には高い技術力を要します。最近では中国や韓国の企業も力を付けてきていますが、日本企業の技術力の優位性は保てており、現在でも日本のものづくりを支えています。

今回は、そんな金型製造業がWebマーケティングを実施する際の留意点や戦略についてご紹介します。

金型製造業がWebマーケティングに取り組む際の留意点

まずは金型製造業がWebマーケティングに取り組む際に、同じサプライヤーである切削加工業や板金加工業と比較して、どのような留意点があるのかを考えていきます。

インターネット上で取引される案件数が少ない

金型業界の市場規模は決して小さくありません。しかし、金型自体の単価が大きく、既存外注先からのスイッチも敬遠されることが多いため、同じ金属加工業の切削加工業や板金加工業と比べても、インターネット上で取引されている案件数が少ないのが特徴です。

よって、Webマーケティングに取り組むうえでは多くの問い合わせ数を獲得できることを過度に期待せず、一件一件の問い合わせを大切に営業していく姿勢が必要となります。

Webサイトに掲載できるコンテンツを確保しにくい

自社製品を持たないサプライヤー企業に共通して言えることですが、「Webサイトに掲載するコンテンツを確保しにくい」という課題があります。特に、Webコンテンツとして必ず掲載したい加工事例に関しては、メーカーからの掲載許可が下りることが少ないのが実情です。

特に金型専業メーカーの場合、加工品が手元に残らないため、掲載するものがほとんどないケースさえあります。同じ金属加工業でも、加工事例を比較的掲載しやすい切削加工業者は、加工名、材質名、部材名など、掲載する事例に応じてキーワード対策のバリエーションを増やしていくことができます。しかし金型製造業の場合はそれが難しく、継続的にアクセスを増やすことが困難となることが多いです。

これを乗り越えるためには、加工事例掲載用のサンプルを製作する、写真がダメならイラストやCADデータの状態で掲載するなど努力を惜しまないことが大切です。この課題を乗り越え、多くの問い合わせ獲得に成功した企業の事例については、他社メディアとなりますが、以下の記事をご覧ください。

製造業のSEO対策を基礎から解説、「加工事例」が超重要なワケとは(ビジネス+IT)

考慮すべき2つのターゲットと、準備しておきたいこと

Webマーケティングのターゲットを決めるうえで、必ず考慮しておきたい「2つのターゲット」について解説します。

ターゲット①:量産加工業者

金型製作の外注先を探している量産加工業者をターゲットにするケースです。この場合は売り型を提供するという形になります。

先述したとおり、既存外注先からのスイッチは敬遠される傾向にあります。そのため、新規で金型業者を探すことは少なく、新規外注先の探索ニーズが発生するのは取引先が廃業した場合くらいだと考えられ、案件数は少ないのが実情です。

ターゲット②:メーカー

メーカーが加工品を調達したいと考え、外注先を探すケースです。量産加工品を調達するためには金型が必要不可欠ですが、メーカーが欲しいものはあくまで金型ではなく加工品となるので、金型製造から量産加工まで一貫で対応してほしい、というニーズを持っています。

金型製造と量産加工を別々のサプライヤーに発注するケースも少なからずあるでしょう。しかし、両者をすり合わせて品質の高い加工品を調達するのは骨の折れる作業となるので、メーカーは1社完結できるサプライヤー企業を求めています。

引き合いを獲得するために準備しておきたいこと

ターゲット①だけを相手にしていても、十分な問い合わせ数を確保することは難しいと考えられるため、基本的にはターゲット②も狙うべきです。

ただしその場合、金型専業メーカーは自社だけでは量産加工まで対応することができないため、パートナーシップを組める量産加工業者の力を借りる必要があります。Webサイト上で一貫対応ができると謳っているからには、問い合わせが来た際にタッグを組んで対応してくれるパートナーが必要不可欠となります。

良きパートナーと組むことで、量産加工業者側から掲載可能なWebコンテンツを提供してもらい、先述したWebコンテンツが不足する課題にも対応できます。(その場合はもちろん自社で製作した金型で製作された加工品に限定する)。

型種に合ったWebマーケティング戦略を採用する

金型業界に限定したとしても、万能なWebマーケティング戦略はありません。金型業界の中でも、型種によってWeb上での競合企業(サイト)数が大きく異なるためです。大きく分けると「メジャーな型種」と「ニッチな型種」で分けて戦略を考えると良いでしょう。メジャーか、ニッチかの判断は以下の統計をご覧ください。

※経済産業省「機械統計」をもとに日刊工業新聞社が作成

メジャーな型種の場合

生産量の多いプレス金型やプラスチック金型といった型種を扱っている業者は、競合となる企業(サイト)も多く、主要キーワードで検索結果上位に食い込むのは難しい業種と言えます。
主要キーワードでの検索需要が多く魅力的な市場ではありますが、その分競合サイト数も多く、SEO対策で容易に上位表示できる分野とは言えません。

キーワード例 月間検索数(Google) 競合サイト数(Google)
プレス金型 1,000 76,200,000
プラスチック金型 390 58,400,000

この場合に採用すべき戦略は、
1. Webコンテンツを大量に掲載し主要キーワードでアクセスを勝ち取るか
2. ターゲットを絞り込んでアクセスを勝ち取るか
の2パターンが考えられます。

前者の場合、SEOで評価を得るために、Webサイトに大量のコンテンツを掲載する必要があります。弊社のお客様でいうと「長野サンコー様」がそれに当たり「プレス金型」といったキーワードで検索上位獲得に成功しています。Webサイトを見ていただくとわかるとおり、相当量のコンテンツを掲載しています。

後者の場合、いかに秀逸なターゲットの絞り込みができるかがポイントとなってきます。弊社のお客様では「昭和電器様」がこの戦略を採っています。「金属部品を樹脂化できる」という技術にターゲットを絞り込むことで、市場こそ狭くなりますが、確実に存在する需要をとらえ、問い合わせの獲得に成功しています。

ニッチな型種の場合

生産量の少ないダイカスト金型やゴム金型などを扱っている業者は、競合となる企業(サイト)が少なくなるため、主要キーワード対策による正面突破が比較的容易となります。

キーワード例 月間検索数(Google) 競合サイト数(Google)
試作金型 140 9,820,000
MIM金型 20 1,820,000
ゴム成形金型 50 3,900,000

上記のとおり、メジャーな型種の場合と比べ、競合サイト数が一桁少ないことが分かります。弊社のお客様でも、試作金型であれば「テクノマート様」、MIM金型であれば「葛飾製作所様」、ゴム成形金型であれば「石井精工様」が、比較的短期間で各キーワードでの検索上位対策を成功させています。

まとめ

金型製造業がWebマーケティングで成功するためのポイントは以下のとおりです。

  • 金型専業メーカーの場合、量産加工業者とのパートナーシップは必要不可欠
  • 掲載するWebコンテンツの不足は努力でカバーする
  • 型種に応じたWebマーケティング戦略を採用する

コロナ禍で十分な受注を確保できていない企業も多いかと思います。その状況を打破するために、今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。一社でも多くの技術力ある製造業が、技術マーケティングの力により生き残ることを祈っています。

AIをマーケティングに活用する4つの方法

製造業×AIをテーマとした連載の第2回は、「AIをマーケティングに活用する4つの方法」について書きました。

AIをマーケティングに活用する方法は、4つあります。

  1. AIというテーマで取り上げてもらって認知向上につなげる
  2. AIシステムにユニークな名前をつけて興味関心を高める
  3. AIシステムによってマーケティング業務を自動化する
  4. AIを組み込むことで製品価値を向上させる

1、AIというテーマで取り上げてもらって認知向上につなげる

AIをマーケティングに活かすために、メディアにAIというテーマで取り上げてもらうことで、認知向上につなげることができます。この方法は、AI活用の全てのケースで実現することができます。

AIをテーマとしたプレスリリースを発信することで、多くの方に会社や製品、技術を認知させることができます
自社HP内のニュースでは気づいてもらえる確率が低いため、PRTIMESなどのプレスリリース配信サービスを使用して広く拡散することで、多くの媒体への掲載が期待できます。この方法は、広告費用をほとんどかけずに認知度を向上させることができます

AIの場合、AIの活用事例として取り上げてくれることも期待できます。AIに関する事例紹介サイトにはLeadge.aiなどがありますが、これらに掲載されることで、瞬間的なメディア掲載だけでなく、長期でAIの活用事例として露出することができます。AIの活用は現在進行形で進んでおり、顧客は事例を求めています。そのため、事例を探しているメディアが複数存在しています。

プレスリリース配信サービスなどを活用して、積極的にAIに関するニュースを発信しましょう。

2、AIシステムにユニークな名前をつけて興味関心を高める

AIをマーケティングに活かすために、AIシステムにユニークな名前をつけることで、顧客の興味関心を高めることができます。この方法は、AI活用の全てのケースで実現することができます。

有名な事例として、日本マイクロソフトが開発した会話ボットの「女子高生AI りんな(現在は元女子高生AI りんな)」があります。一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

AIは人に変わって業務を自動化することができますが、あたかも人のように動作することから名前やアイコンで擬人化されることが多いです。

株式会社ALBERTが提供するAI・画像認識サービスのタクミノメは、キャッチ―で覚えやすいネーミングです。製造現場で働く匠の眼をもつ職人さんの技術がAI化されたとイメージ連想できます。

ちなみに、ネーミングにおいては、下記の要素が重要だとされています。(抜粋:ここからはじめる実践マーケティング入門 グロービス著)

  1. 短い
  2. 覚えやすい
  3. 言いやすい
  4. 悪い連想を起こさない
  5. 何を言おうとしているかが伝わる
  6. 商標登録できる
  7. 見た目も良い
  8. 戦略と整合性がとれている

上記の要素をクリアしつつ、ユニークな名前をAIシステムにつけて、興味関心を高めてみましょう。

3、AIシステムによってマーケティング業務を自動化する

AIをマーケティングに活かすために、AIシステムによってマーケティング業務を自動化し、業務を効率化することが可能です。マーケターの仕事の1つである、大量のデータから特徴を発見するような業務は、AIが得意な領域です。

テクノスデータサイエンス・エンジニアリング株式会社が提供するNetBaseは、ソーシャルデータを自然言語処理(NLP)で解析し、様々な角度で分析を行うことできます。人では到底処理できないような膨大なソーシャルメディアデータをリアルタイムで分析することで、自社の評判調査や市場調査、需要予測が可能となっています。

マーケターは対応しなければいけない業務の範囲とボリュームが大きいことが多いため、定期的に発生する業務を自動化するメリットは大きいです。

マーケティング業務をAIで自動化できないか、検討してみましょう。

4、AIを組み込むことで製品価値を向上させる

AIをマーケティングに活かすために、AIを組み込んで製品価値を向上させることができます。AIが搭載されることで、製品の差別化ができたり、勝負の土俵を変えるゲームチェンジャになることができます。製品はハードウェア、ソフトウェアどちらであってもAI導入が可能です。

例えば、アルム株式会社が開発するARMCODE1は、切削加工の業務を自動化するソフトウェアです。加工物の形状を解析して最適な工具を選定し、加工条件設定や材料・工具セットの指示表示を自動化するなど、これまで人が行っていた業務が、AIによって自動化されています。
アルム株式会社のARMCODE1を事例としたAIシステム開発のノウハウが、タクミセンパイの「事例で学ぶ中小企業のAIシステム開発」で紹介されています。

ARMCODE1はAIによって、その他の自動化ソリューションとの差別化を実現しています

自社の製品にAIを導入して差別化できないか、自社の業務をAIで自動化しつつサービスを外販できないか考えてみましょう。

まとめ

AIをマーケティングに活用する4つの方法を、事例をまじえて紹介いたしました。

紹介したAIをマーケティングに活用する4つの方法は、全て同時に実現することが可能です。全て同時に実現できている状態とは、自社のマーケティング業務を自動化し、そのサービスを外販し、サービスにユニークな名前をつけて、プレスリリースを発信することです。

全てを実現できているAIソリューションの事例を紹介します。大成建設株式会社は、AIを活用した設計支援システムに「AI設計部長」と命名し、設計技術データベースを適用することで従来の設計業務が大幅に効率化され、お客様に対して高付加価値な提案を迅速化かつ的確に実施することが可能としています。

AI活用を検討される場合は、4つの方法を全て同時に実現できるように取り組み、マーケティング効果を最大化しましょう。

「このビジネスオーナーですか?」Googleマイジビネスの登録の仕方とメリット

こんにちは、テクノポートの渡部です。Googleを使って検索した際に、下記のような検索結果とは違ったところに情報が表示されるのを見たことがある方も多いのではないでしょうか?

これは「Googleマイビジネス」というもので、Googleが提供しているローカルビジネス登録サービスです。本日はこの「Googleマイビジネス」のメリットと、登録の仕方についてご説明します。

Googleマイビジネスのメリット

登録をするとさまざまなメリットがあるGoogleマイビジネスですが、SEOの観点からのメリット以外にもありますので、詳しくご説明します。

SEO観点

  • 社名での指名検索時に、検索結果とは別にGoogleマイビジネスが表示される。

上記のキャプチャーのように通常の検索結果とは別に大きく表示されます。同一の会社名がある場合でも、効率的に自社のWebサイトへ集客が期待できます。

  • ローカル検索時の集客力アップする。(地名+業種などで引っかかる可能性が上がる)

住所とカテゴリの登録ができます。検索時の位置情報から近くの会社のマイジビネスが表示されるので、特にスマホなどでの検索対策に有利に働きます。

  • 検索結果の順位がなかなか上がらなくても、マイビジネスからの集客ができるようになる。

特に新規でWebサイトを作成した場合、社名検索でもなかなか検索結果に上がってこないことがあります。ただ、マイビジネスがすでに存在するということも考えられます。情報を登録しておくことで、マイビジネスからの集客が期待できます。

また、マイビジネスにはWebサイトのURLの登録が可能です。登録しておくと社名検索などの順位も比較的早く順位が上がってくる傾向にあります。

その他のメリット

  • 写真の変更ができるため、ロゴマークなどの登録が可能

自らアップロードした画像をマイビジネスに登録ができます。登録をしていないとマップのストリートビューの写真などしか表示されません。会社の様子やロゴマークなどの画像を登録しておくと、そのマイビジネスが自社のものと特徴づけることができます。

  • 口コミなどがある場合、口コミへ会社としての返信が可能

マイビジネスには口コミを登録できます。マイジビネスの登録をしておくと、返信時に「オーナーからの返信」と公式の返信をつけることができます。

  • 社名の変更、住所の移転があった際に検索結果に素早く反映

事務所や工場の移転があった後に、お客様が旧住所のほうに行ってしまったという経験はありませんか。Googleマップの情報はマイビジネスの情報に準じているので、マイジビネスの情報を最新にしておくとそういったトラブルを防ぐことができます。

登録の仕方

「このビジネスオーナーですか?」をクリック

すでにGoogleによってマイジビネスが存在しているケースが大半かもしれません。登録の確認をする場合、自社のマイジビネスを探して「ビジネスオーナーですか?」のテキストをクリックします。

Googleのアカウントにログインしていない場合、ログインを求められます。その後「管理を開始」をクリックするとユーザー認証に移ります。

ユーザー認証

ユーザー認証には電話や郵送、有効ドメインの管理者と思われるメールアドレスでの認証などがありますが、電話認証が最も簡単です。指定の電話番号にGoogleから電話がかかってきますので、指定のコードを入力すれば認証完了です。

情報の編集

あらかじめGoogleによって情報が登録されていますが、下記のような情報を追加で登録ができます。

  • 名前
  • カテゴリ
  • 場所(住所)
  • 営業時間
  • 連絡先
  • Webサイト
  • その他(開業日、写真など)

まとめ

登録してマイナスになることはなく、登録自体も5分程度で完了するような作業です。自社のマイジビネスの登録がお済みでない方は、ぜひGoogleマイビジネスに登録をしてみてください。

技術者がマーケティングに参加したほうが良い3つの理由

こんにちは、テクノポートの永井です。

製品開発をするための「市場調査段階でのマーケティング会議」に技術者が参加することはよくありますが、新規顧客を開拓していく「販売段階でのマーケティング会議」に技術者が参加するケースは少ないと思います。しかし、販売段階でのマーケティング会議において、製品の受託加工や共同開発のようなターゲットが他社の技術者となる場合、自社の技術者がマーケティングに参加することで大きな効果を得ることができます。

今回は、自社の技術者が販売段階でのマーケティング会議に参加するメリットについて紹介します。

技術者がマーケティングに消極的な理由

「技術を売るのであれば、技術者が販売段階でのマーケティング会議に参加するのは当たり前だ」との考えもありますが、実情は技術者が販売段階でのマーケティング会議に参加しているケースは少ないように思います。まずはその理由を技術者目線とマーケティング担当の目線で説明します。

技術者が販売段階でのマーケティング会議に消極的な理由

そもそも技術者の多くはマーケティングにあまり興味がありません。「我々の仕事は技術開発/製品開発で、仕事を取ってくるのは営業の仕事」という考えを持っている技術者も少なくないからです。

技術者に限ったことではありませんが、自分の仕事を限定し、それ以外は関わらない人も多くいます。そのため、販売段階でのマーケティング会議に参加してもらう場合はお願いベースではなく、仕事として依頼する必要があります。また、理系学部でマーケティングを積極的に教えている大学は少なく、あったとしても選択科目です。つまり、技術者はマーケティングの目的や方法など、マーケティングについての知識はあまりありません。さらに、お客様との窓口は営業が担当する事が多いため、技術者は必然的にターゲットとの接点が少なく、ターゲットが何を求めているのか深く把握できていません。

つまり、技術者が販売段階でのマーケティング会議に消極的な大きな理由は、

  • 自分の仕事ではない
  • 自分の得意分野ではない

と感じているからなのです。

そのため、技術者を販売段階でのマーケティング会議に参加させたい場合は

  • 仕事としてマーケティングをさせる。
  • マーケティングの基礎とメリットを理解してもらう。

が必要になります。

マーケティングを技術者に頼りたがらない理由

技術者が販売段階でのマーケティング会議に積極的に参加したがらないことの他にもう一つ、マーケティング担当が技術者を頼りたがらない風潮も少なからずあります。

技術情報を発信しようとした場合、技術者に意見を聞くことは大切です。ただ、技術者に説明を求めるとコア技術の説明はできるのですが、「その技術を使って何ができますか?」という質問には答えられない場合が多いです。そのため、「販売段階でのマーケティングに必要な技術情報」と「技術者から提供される技術情報」に差異が出てしまい、マーケティング担当者が技術者に相談しても意味がないと考えてしまいます。しかも、技術の事となると技術者が上から目線になるということもあります。マーケティング担当は技術を知らないから、教えてあげよう。」という考えの人とは、うまく意見交換ができないのは何となく想像がつくと思います。

また、技術情報の説明が専門的すぎる傾向もあります。普段から基礎知識を持った人と接している技術者は素人に説明する機会が少なく、マーケティング担当が説明に対して理解しきれないことも、技術者に相談したくない理由です。これらの問題は技術者を教育することで解決可能です。そのためには大きな改革が必要になりますが、技術者が販売段階でのマーケティング会議に参加するメリットは大きいのでその理由について説明します。

技術者が販売段階でのマーケティング会議に参加したほうが良い3つの理由

新規顧客のターゲットを技術者とした場合、「技術を知っている自社の技術者」と「お客様の気持ちを知っているマーケティング担当」が協力し合うことで、相乗効果が生まれます。今回はその中でも3つに絞って説明します。

技術者目線で技術情報を発信できる

技術者と意見交換する大きなメリットは「技術者目線の情報」を得られること「社内の技術情報」を把握できることです。技術者が知りたい情報は技術者が一番よく知っています。そのため、自社の技術を他社と差別化するためのポイントや見せ方など、技術者が知りたい情報については技術者に聞いたほうが的確です。

ただし、技術者の説明は細部にわたりがちで、そのまま資料を作成すると同業の技術者にしか伝わらない可能性があります。販売段階でのマーケティングの目的が「自社の技術を幅広い分野で使ってもらうこと」の場合は、マーケティング担当が技術を噛み砕いて、他業種の技術者にもわかるような資料を作る必要があります。

用途開発の提案力が広がる

用途開発は多くの技術系企業の課題です。用途開発は大雑把に言うと

  1. 自社の技術を知る
  2. 技術を活かせる製品を見つけること

が必要になります。詳しくはこちら:「自社の技術を使った用途開発の方法

自社の技術情報は技術者が提供し、技術を活かせる製品の調査はマーケティング担当がすることで新しい用途開発の発想が出やすくなります。例として、表情の変わる富士山の様なグラスを開発した株式会社日翔工業を紹介します。

株式会社日翔工業は半導体やタッチパネルメーカー向けにスパッタリング加工技術を提供しているのですが、日常使う製品にこの技術を使いたいとずっと考えていました。そんなとき営業部長がお客様から一言がきかっかけで、スパッタリング加工でグラスにチタンをコーティングすることで「色の反射で表情が変わるグラス」の開発を始めることになりました。

このとき、指揮をとったのは営業部長です。営業部長は市場調査をし、この製品が世に出れば絶対に売れるという自信を持っていました。技術部は営業部長を信じて3年も間ずっと研究開発を続け、やっとの思いで製品を完成させました。いまではそのグラスは世界中の人々に使われています。詳しくはこちら:「毎日表情の変わる富士山の様なグラスで素敵なひと時を~株式会社日翔工業/SunFly~

このようにマーケティング担当(ここでは営業部長)と技術部が力を合わせることで、新しい発想が生まれてきます。

顧客目線を持った技術者の育成ができる

最後に、技術者がマーケティングに参加することで、顧客目線を持った技術者を育成でき、将来的に企業の技術開発力が向上することについて紹介します。「技術 = 顧客価値・収益」です。どれだけ優れた技術を持っていたとしても、それを人々が求める製品に使用できなければ収益は上がりません。

製品開発の場合は常に技術的な課題が出てくるため、技術者はその課題だけに向き合いがちですが、実際は「顧客目線をもった技術開発」が必要になります。そのため、技術者を販売段階でのマーケティング会議に参加させることで、市場が何を求めているのかを考える機会を与えることができるようになります。

技術者が販売段階でのマーケティング会議に参加することで、技術のみ固着した技術者でなく、顧客価値を考えられる技術者が増え、結果として技術開発の幅が広がり、企業として強くなるという流れができます。詳しくは谷地氏の「技術者のためのマーケティング」をご覧ください。

まとめ

技術者が販売段階でのマーケティング会議に参加することで、技術情報の発信力は格段に高まるだけではなく、企業として価値の高い技術開発ができるようになります。また、最近ではダイソンやパナソニックなどの家電製品、化粧品などでも化学式を使った具体的な根拠を説明したりするなど、BtoCの世界でも技術的な情報を掲載する広告も増えてきましたことから、技術者のマーケティングへの参加は今後も求められてくると思います。

実際に技術者に販売段階でのマーケティング会議に参加してもらうためには、数々のハードルがあると思いますが、是非挑戦してみてください。

中小製造業の営業力強化に関するお役立ち情報を掲載

テクノポートの井上です。これから何回かに分けて、製造業の営業力強化についての記事掲載していきます。今回は初回ということで、テーマ設定の経緯や、今後掲載するテーマの概要を紹介いたします。

テーマ設定の経緯

なぜ営業力強化というテーマ設定をしたかというと、弊社でホームページの制作・運営支援をさせて頂く中で、新規の引き合いが増えたというお客様が多くいらっしゃいます。ただその後の受注につながっているかというと、受注率は会社によってまちまちです。ホームページにとどまらない領域で問題・課題が見えてくるケースがあります。打ち合わせの中で、受注・失注理由の精査を進めると、広義の意味での営業力(対応力)の差で失注になってしまうケースが多いように感じています。

少しでも多くの受注に繋げれられるような役立つ情報があればと考えテーマ設定をしました。記事については、弊社グループ会社のCOSMO ALPHA株式会社、代表の野崎氏にインタビュー、実際の現場での意見を中心に紹介していきます。同社の事業内容はものづくり商社兼ものづくりコンサルタントです。加工現場経験もあり、営業経験も豊富なため、様々な新規取引先開拓の実績があります。

営業力強化の定義

今回テーマに掲げる営業力強化は、属人的な営業スキルではなく、会社全体として売上を伸ばすための仕組みをどう作っていくか?というマーケティングの領域に近いものと定義しています。それは、営業をしなくても自然と受注ができるような仕組みをつくることが理想と考えているからです。会社全体としてどのような体制で顧客対応をすれば良いかを考察し、紹介していきます。

テーマ一覧

1.問い合わせを頂いてからの対応で取り逃している??
(問い合わせを頂いた後の対応フローについて)

ホームページからの新規の問い合わせが入った際の対応がしっかり確立されている会社もあれば、担当があいまいだったり、その後の経緯を追っていなかったりする会社もあります。そこには受注率を上げるためのポイントや、中・長期での見込み顧客獲得のチャンスがあります。どのような対応が会社にとって、また、顧客にとって望ましいかを考察します。

2.既存顧客のニーズを正確にキャッチできているか?
(既存顧客からの取引拡大方法)

流れてくる図面だけをそのまま作っていると、それがどこで使われているのか?どのように使われているのか?など考える機会が減っていきます。既存のお客様との接点を増やしたり、そこからの取引拡大したりするためにはどうすれば良いかを考察します。

3.取引拡大のために!!
(より良い協力工場を増やすための選定ポイント)

受注の幅を広げるために協力工場をどう増やすか?自社の必要とする協力工場をどのように定義し、どのように増やせばよいかを考察します。

4.トラブル時の対応が大変なので外注できない!
(協力工場を利用する際の品質管理、トラブル対応について)

協力工場は増やしたいけど、増やせないという話をよく聞きます。トラブル時の対応を結局自社でやらなければいけないからです。どうすれば、良い関係性を作ってうまく回すことができるか、その方法を考察します。

5.モノマドをやってみてわかったこと
(個別のニーズを掴む)

協力工場探しの「モノマド」を運営してみて、発注側からの依頼をそのまま流すだけでは、なかなか決まらないことを痛感しています。どこまで、発注側のニーズを理解し、その依頼の背景にまで踏み込んでいけるかが重要だと考えています。発注側へのヒアリングから、ニーズをキャッチする方法について考察します。(モノマドとは

上記のようなテーマを紹介していきます。途中、取材の関係で順番の変更や、タイトル変更があるかもしれませんが、ご了承ください。少しでも受注率向上に寄与できるような情報が提供できればと考えています。

技術系企業におけるデジタルマーケティング実施の注意点

令和になってから初投稿のテクノポート徳山です。以前のブログでも書いたとおり、デジタルマーケティングは徐々に世の中で活用を求める声が多くなってきました。BtoBの分野でもメーカーを中心に多くの企業が取り組んでいるデジタルマーケティングですが、製品販売を行うメーカーと比べ、要素技術などを扱う技術系企業ではデジタルマーケティングの取り組み方が変わってくるのではないかと考えています。

今回は技術系企業にフォーカスを当てて、デジタルマーケティングに取り組む際の注意点について書いていきます。

デジタルマーケティングで行うこと

そもそもデジタルマーケティングとは具体的に何を行うことなのか?改めて解説していきたいと思います。

リード(見込み顧客)の獲得

デジタルマーケティングはリードを獲得するところから始まります。BtoB企業の場合は、自社のWebサイト(SEO対策やリスティング広告を活用)からリードを獲得したり、展示会での名刺交換によりリードを獲得することがほとんどです。

リードの育成(リードナーチャリング)

獲得したリードに対し、定期的なEメール配信、コンテンツマーケティングによる情報提供などを行うことにより、関係性を深めていきます。関係性が深まることにより将来顧客化する可能性が高まるので「リードを育成する」という表現を使います。ここでは、カスタマージャーニーを作成するなどして、リードの育成フェーズを考えた上で、フェーズごとにどのようなコンテンツを提供すべきか考えると良いでしょう。

※カスタマージャーニーとは「顧客が購入に至るプロセス」を道筋に例え、顧客の行動や心理を時系列的に可視化したものです。詳しくは別の機会にご紹介したいと思います。

リードの顧客化

Webサイトに「技術相談窓口」や「サンプルテスト」といったクロージングコンテンツを設けたり、セミナーを開催するなどして顧客とリアルの接点をつくり、顧客化していきます。育成が十分になされたリードであれば、接点を作ることができる可能性が高くなります。

顧客とのエンゲージメント強化(リピート受注の獲得)

定期的なEメール配信、顧客専用サイトによる交流、SNSの活用などを行うことにより、営業担当者の属人的なコミュニケーションに頼らず、顧客とエンゲージメントを強化しリピート受注へ発展させていきます。

技術系企業がデジタルマーケティングに取り組む際の注意点

次に本題である技術系企業がデジタルマーケティングに取り組む際の注意点について考えていきます。

ブランディングの確立が重要

技術系企業がデジタルマーケティングを行うことで達成したい最終的な目的は何でしょうか?私は「お客様の社内で技術的な課題が持ち上がった時に、まず最初に頭に浮かぶ会社になること」だと考えています。数ある企業の中から最初に相談を受けることは、発注企業の選定において強いアドバンテージとなるからです。

そのためにはリードに対し、デジタルマーケティングにおける各施策を行う中で、その分野におけるスペシャリストであることや、定期的にコンテンツを受け取っている馴染のある企業であること、といったイメージを定着させることなどが重要となってきます。

発信するコンテンツが重要

技術系企業がデジタルマーケティングに取り組む上で最も難しいことは何でしょうか?私はユーザにとって役立つコンテンツを、継続的に発信し続けることだと思います。

デジタルマーケティングではやみくもにコンテンツを発信するのではなく、リードの育成状況に応じたコンテンツを提供し続ける必要があり、そのようなコンテンツが発信し続けられるのか、といった点が大きな課題となります。技術系企業が発信すべきコンテンツの種類としては大きく分けて下記のものが挙げられます。

①用途開発に繋がるコンテンツ

顧客が技術の活用法を見出さないと顧客化に繋がらないので、用途開発に繋がるような技術の用途例や、顧客事例などのコンテンツを発信します。

②教育(知識)コンテンツ

リードに定期的に自身の業務に役立つような知識コンテンツに触れてもらうことで「◯◯の分野において最も専門性が高く頼れる企業」というイメージを持ってもらい、ブランディングを確立するのに役立てます。

③技術に関する一般的な情報

自身が関わる分野において、様々なお役立ち情報を提供してくれる会社であることをアピールできます。新規性の高い技術の場合は、そもそもの技術を布教する目的も含みます。

マーケティングオートメーションといった仕組みは必要?

デジタルマーケティングを推進する上で役立つマーケティングオートメーションですが、技術系企業の場合は必要でないケースが多いと思われます。

※マーケティングオートメーションとは、デジタルマーケティングと共に普及したツールです。マーケティングオートメーションを使うことで「見込顧客との接点から顧客化するまでの活動を、自動化・効率化すること」ができるようになります。

マーケティングオートメーションが必要な状況としては下記のようなものが考えられます。

①リード情報が様々な部署に散乱してしまっている

マーケティング部門、営業部門、技術開発部門などがそれぞれ個別にリードの管理を行っており、営業の機会損失が発生しているケースです。技術系企業の場合、ずっと既存顧客相手に営業活動を行っており、リード獲得の活動を積極的に始めたばかりといった企業も少なくないので、そもそも散乱するほどのリードが社内に存在しない場合も多いのではないでしょうか。

②スコアリングの基準が明確である

マーケティングオートメーションの最大の特徴として、リードに独自のスコアを付けて、スコアの高いリードから順に営業をかけていくことで効率化を図ることができる、といったものがあります。このスコアの付け方によって営業効率が良くも悪くもなってしまうため、リードの育成ノウハウが不十分な会社だと適切なスコアリング基準を設けるのが難しいと考えられます。

技術系企業のデジタルマーケティングは仕組みよりコンテンツが重要

技術系企業がデジタルマーケティングに取り組む際は、仕組みを整備する以前に、そもそも発信できるコンテンツが十分に準備できるのか、といった点をクリアしていることが最重要ではないでしょうか。製品販売のマーケティングを行うメーカーなどと違って、技術系企業の場合、機密や知的財産の関係で発信できる情報が制限されてしまうことも多くあります。

デジタルマーケティングはリードを獲得・育成するために魅力的なコンテンツを発信し続けることが必要不可欠となります。デジタルマーケティングに取り組む際は、コンテンツを生み出し続けるためにコンテンツマーケティングを同時に行うことなど、コンテンツを確保するための仕組みを社内で構築する必要があるのではないでしょうか。

中小製造業が抑えるべきデジタルマーケティングの活用手法

ものづくり経革広場の徳山です。今回は最近よく耳にするようになった「デジタルマーケティング」を題材に取り上げます。「Webマーケティングと何が違うのか?」と質問を受けることの多いデジタルマーケティングですが、両者の違いと中小製造業が取組む際の心得を解説させていただきます。

「デジタルマーケティング」と「Webマーケティング」の違い

デジタルマーケティングとは、その名の通りマーケティング活動の一つで、Webマーケティングよりも広い概念です。

Webマーケティングが自社のWebサイトを用いて新規顧客との接点を作ることを目的としたマーケティング活動であるのに対し、デジタルマーケティングはWebサイトも含めたあらゆるデジタルツールを使って顧客と接点を持ち、持続的な関係を築いていく活動です。

Webマーケティングですること

Webマーケティングですることは、Webサイトの戦略を設計する→Webサイトを制作する→アクセス流入を設計する(SEO、リスティング広告、他メディア掲載など)→アクセス分析をし、改善する、といった一連の活動を通じ、新規顧客を獲得することが中心的な活動となります。

デジタルマーケティングですること

上述したWebマーケティングでするような施策に加え、SNSマーケティング、メールマーケティング、展示会や商談会といったリアルマーケティングなども含まれ、デジタル領域とリアル領域ともに顧客と接点を持つための方法が増え、様々な情報を取得することができます。それらの顧客情報をまとめて活用していきましょう、という考えから生まれた概念がデジタルマーケティングです。また、初期段階の接点だけを重要視するのでなく、ITツールを使って持続的な関係を築いていく、ということも重要視しています。両者の違いを図にすると下記のようなイメージになるかと思います。

マーケティングオートメーションとは

デジタルマーケティングと共に普及した言葉として「マーケティングオートメーション」という言葉があります。マーケティングオートメーションの目的は「見込顧客との接点から顧客化するまでの活動を、顧客管理システムなどのツールを使うことで自動化・効率化すること」です。

マーケティングオートメーションは、興味・関心や行動が異なる個別な顧客との個別なコミュニケーションを行うデジタルマーケティングにおいて、その煩雑な業務を自動化するために開発されたツールや仕組みを指しています。

大手企業の場合、リード(見込顧客の情報)を獲得するのはマーケティング部門、獲得した見込顧客を育成するのはインサイドセールス部門、クロージングを行うのは営業部門といった感じで、部門の役割が細かく別れていることがあります。そうすると、情報の共有化や部門間の連携が課題になることが多く、それら煩雑な業務を自動化する手段としてマーケティングオートメーションツールが注目されています。

中小企業にとってみれば、リードの獲得からクロージングまで一部門で担っていることが多いので、言葉の意味だけ抑えていただければ十分かと思います。

BtoB製造業におけるデジタルマーケティングの実情と活用方法

デジタルマーケティングという言葉の概念が先行していますが、実際に各社が取組んでいる内容を見てみるとWebマーケティングの領域に含まれるものがほとんどのようです。

そんな中で、中小製造業が取組めそうな内容としてどのようなものが考えられるのか、いくつかピックアップしてみました。

活用法① コンテンツマーケティング

Webマーケティングの領域内で語られることの多い「コンテンツマーケティング」ですが、顧客獲得だけを目的としないWebサイトの運用法として敢えてこちらでご紹介したいと思います。アクセス分析や利害関係のないユーザとのコミュニケーションを行うことで、顧客の潜在ニーズの調査・把握を目的に実施します。Webマーケティングでは獲得が難しい潜在顧客と初期段階から関係性を結ぶことで中長期的な顧客へ育てることを目的とします。

活用法② 展示会でのリード獲得からのメールマーケティング

展示会で獲得した名刺に対し、会期後に御礼メールを送って終わってしまっている企業が多いのではないでしょうか。展示会で獲得する名刺のほとんどが見込レベルの低い顧客がほとんどなので、営業マンとしては優先順位がどうしても下がってしまいがちです。見込みレベルの低い顧客でも、会期後に定期的なコミュニケーションを取ることで中長期的に顧客化することが可能です。そのためにメルマガを定期的に送るなど関係性を繋いでおく活動が大切となります。

活用法③ 顧客管理システムの導入

②を実施しようとして営業マンに任せたところで属人的な活動となってしまい、営業マンごとに成果がばらついてしまうのが実情かと思います。②の活動を効率化させていくには顧客管理システムなどのツールを導入し、いかに自動化していくかが重要となります。マーケティングオートメーションという言葉を思い出し、いかに効率化させるかを考えることが活動を永続させるためにも必要かと思います。

個人的にオススメのシステムは、弊社でも利用している 「kintone(キントーン)」です。安価な料金なので中小企業でも導入しやすいですし、簡単な操作設計なので素人でもすぐに使い始めることができます。

デジタルマーケティングには、その他にも色々な施策が含まれます。上記活用法①〜③も含め、中小製造業で取り組めそうな施策を下図にまとめてみましたので、参考にしてみてください。

こうしてみると、まだまだ充分に取り組めていない企業は多いのではないでしょうか。展示会やリスティング広告などを活用していてリードを多く獲得できている企業はいち早く取り組まれたほうが良いと思います。

まとめ

今後IoTの普及とともに、Web以外で顧客接点を持つことができる手段が増えていき、同時にデジタルマーケティング活用の領域も広がっていくと考えられます。また取得できるデータの量や質も変化していき、それらをどう活用するかが企業の競争力に直結するでしょう。

「デジタルマーケティング」が流行り言葉から一般的な言葉になりつつあるのは、今後ますますその重要性が増していくからだと思います。言葉の意味を正確に捉え、今後のマーケティング活動に役立てていきましょう。

弊社ではデジタルマーケティング導入の支援も積極的に行っておりますので、興味のある方は気軽にご相談いただければ幸いです。

ホームページを使って試作品加工の問い合わせを増やす方法

ものを作る上で「試作」は欠かせない工程になります。大手企業でも、中小企業でも必ず試作品を作り、製品の性能を確認した後に量産工程に移ります。試作品は量産品とは違い、作り直しが何回も発生します。設計者と製造者の意思疎通や製造までのレスポンスが要求されるため、海外ではなく国内で生産されるケースが数多くあり、量産品と比較すると受注しやすい傾向にあります。

今回はそのような「試作品」をwebから受注するための方法についてまとめました。これがすべてではありませんが、参考になれば幸いです。

(量産品の記事はこちら:https://keikakuhiroba-mfi.com/archives/17974

1.発注者が製造先を探す理由は何か?

まずは、発注者がどのような理由で製造先を探しているのかについて知る必要があります。 メーカーは既存の製造先を持っているため、新たに試作品の製造先を探す場合は何かしらの理由(ニーズ)が必ずあります。

試作品の場合は

  1. 短納期:開発が遅れて、至急製品を準備する必要があるときに、他を探すケースはあります。
  2. 技術力:設計したはいいけども、ものが作れないときは外注先を探します。
  3. 精度:設計者が狙っている寸法にどれだけ近づけられるかが問われます。

の3つが主な理由になります。試作の場合はコストを考慮しないわけではありませんが、コスト以上に上記の3項目を重要視します。ホームページではこれら3つの項目に特化させることで、試作品の依頼を呼びやすくなります。

2.短納期、技術力、精度が出せる理由を明記する

単に「短納期ができる」、「技術力がある」、「高精度が出せる」だけでは、説得力がなく、お客様が不安になります。メーカーは「図面通りの製品」で性能試験をしたいのであって、試作品で不良品は許されません。そのため、短納期、技術力、高精度ができる理由を明記することで、自社がきちんと対応できる企業であることをアピールする必要があります。

例えば、

短納期

「短納期に対応するため、稼働率を70%以上上げない方針である」、「機械の自動化が進んでいるため、夜でも加工できます」。

技術力

「過去○○の実績があります」、「最新のマシニングを入れている」。

高精度

「研磨機を持っている」、「加工しながら測定して、コンマ○○の精度がだせる」。

などになります。特に精度は重要で、設計者が公差の上限、下限のテストを想定したときに、その精度を出せる企業を探します。

また、レスポンスを求める場合は、メーカーの近くに加工場所を持っていることも強みになりますので、ホームページのタイトルに「○○市」などを入れることも効果的です。

3.測定装置の寸法誤差などを明記する

メーカー側が欲しいのは「図面通りの製品」です。そして、その製品が図面通りにできているかを判断するものが「測定」になります。ノギス、マイクロメーター以外にもの、幾何公差なども測定できると信頼度が上がります。メーカー側は測定機を持っているので、メーカー側でも測定は可能ですが、製造側に測定してもらったほうが楽なので、企業を選定するときに測定機を持っていることが条件に入るケースが多いです。

信頼性の高い測定機メーカーとして

  • 東京精密
  • ミツトヨ
  • キーエンス

などがあります。こだわるところですと、自社の測定機と同じ測定機を入れている企業を探すところもあります。先程の3社は費用も高額になりますが、最近ではマイクロビューのように低価格の3次元測定機もありますので、試作品をとっていきたいというところはぜひ導入を検討してみてください。

まとめ

試作品は量産品よりも受注しやすい傾向になります。メーカー側が気にする納期、技術力、精度、品質がきちんとできている理由と「試作品が得意です」と明記するだけでも問い合わせの量、質は変わってきます。 テクノポートでは企業の技術をマーケティングしています。

新規顧客開拓に力を入れるあれば、一度ご相談ください。

【製造業】ブランド力が売上に直結する理由

今回はUSJを復活させたマーケター(森岡氏)の著書である「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」を参考しにして、製造業のブランド力向上について考えてみました。BtoBもBtoCも根本的な考えは同じだと思いますので、参考にしてみてください。

1.製造業がブランド力を上げる最大のメリット

ブランド力を上げる最大のメリットは「利益」の増加にあります。ブランド力を上げていくことで、

  1. ほしい仕事の問い合わせが来るようになる。
  2. 問い合わせが増加し、利益率の良い仕事を選べるようになる。
  3. 結果として、利益が増加する。

という流れができてくるようになります。これは感覚的な話ではなく、統計的に算出することがほぼ可能であると森岡氏は断言しています。森岡氏曰く、企業の利益はの3つのパラメーター、

  1. 認知率:どれだけ知られているか
  2. 配荷率:どれだけ手に入れやすいか
  3. プレファレンス:ブランド価値、製品パフォーマンス、価格の3つで決まるブランドに対する相対的な好意度

で支配されています。

特に大切なパラメーター「プレファレンス」であり、プレファレンスこそがブランド力になります。ちなみに、ブランド価値はブランドがすでに持っている価値であり、ブランド力を構成する一つの要素になります。

プレファレンスを伸ばすことで消費者から選ばれる確率が高まり、利益が向上します。

2.プレファレンスが重要な理由は?

消費者は商品を購入の際に、頭の中にある購入候補の中から商品を選択する傾向が強くなります。この候補のことをマーケティング用語で「エボークト・セット」といいます。つまり、購入されるためには消費者のエボークト・セットに入る必要があるのです。エボークト・セットは3〜5個あり、その中でも好みの差により、選ばれる確率が変わってきます。

その確率を決める大要素が「プレファレンス」になります。

プレファレンスを上げることで、エボークト・セットに入ることができ、さらにその中でも上位の位置を獲得することで購入回数が増えます。これをBtoBに置き換えると、発注側が図面を見て、それ加工できる企業を何社か思い浮かべ、その中から発注先を決める流れになります。要は、プレファレンスを上げることに経営資源を注力していけば、自ずと問い合わせが増えていくというわけです。

3.プレファレンスを増加させるためできること

では、実際にプレファレンスを上げる方法についてです。プレファレンスは消費者のブランドに対する相対的な好意度で、簡単に言えば好きか嫌いかです。BtoCでは

  • ブランド価値
  • 製品パフォーマンス
  • 価格

で決まります。ただし、製造業のようなBtoBでは、発注側の指定した製品を作ることは当たり前ですので、プレファレンスは

  • ブランド価値
  • 企業パフォーマンス
  • 価格

に置き換えられます。では、それぞれについて確認していきます。

・ブランド価値

ブランド価値はプレファレンスを高める上で重要な指標ですが、そもそもブランド価値を持っている企業は少ないため、あまり気にする必要はありません。

・企業パフォーマンス

企業パフォーマンスはプレファレンスを上げるために、自社で努力できる内容として最も重要な要素になります。図面通りのものを作ることが当たり前の世界ですので、他社と差別化するためには企業パフォーマンスを高めるしかありません。例えば、短納期、安心できる品質管理、不具合発生時の迅速な対応などです。BtoBでも、結局は人対人になるため、人情味のある対応は発注者側の心に残るわけです。

・価格

価格を下げればプレファレンスは上がります。だた単に価格を下げると利益も減ってしまうため、価格を下げると同時に効率良く加工できる体制づくりが必要になります。価格を決めるのは発注側なので、価格を上げられるだけの企業パフォーマンスを実感してもらうことも大切です。

4.認知率と配荷率について

これまでプレファレンスの説明をしてきましたが、それ以外にも認知率、配荷率を上げることも大切です。認知は展示会、web広告、雑誌掲載、セミナー、FAX、メールなど、費用をかけることで制御可能です。配荷は送料、輸送時間などの問題もあり、自社のみで制御することは難しい要素になります。

まとめ

利益を上げるためには、プレファレンスを上げるための努力をすることが一番大切です。その中でも企業パフォーマンスを上げること、加工時間の短縮で価格を下げることが、利益を出すための近道です。さらに興味のある方はぜひ森岡氏の「確率思考の戦略論」を読んで見てください。

2018年、ものづくりコミュニティ・MAKERS LINKはこうなる!~その3~

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!桜も満開!春爛漫!ですね!って、ほんとはこの原稿を書いてる本日、雪は降るし、真冬のような寒さ…。実感がわいていません!(苦笑)

去年のことですが、目黒川沿いの洒落たカフェでお茶をしてたら、やっぱり突然の雪にびっくり!という経験をしました。そのときに、思い浮かんだのが、来年の桜の咲くころに、このお店を借りて、盛大なパーティーをしたいなってこと。まあ、その思惑通りにはいきませんでしたが、実は、この春、MAKERS LINKは大きな大きな一歩を踏み出すことになりました!詳しいことは、最後のほうに書きますので、順序良く読んでいってください!

では、いつものように告知から

4月15日(土)、埼玉は八潮にて「ワークショップ840」というイベントが開催されます。全国製造業Tシャツコンテスト、ものづくりワークショップ、町工場オリジナルグッズ販売などの企画が盛りだくさん!楽しい催しになりそうです!詳しくは…
https://sato316.wixsite.com/ws840

続いて、おなじみ、IRON CAFe(アイアンカフェ)さんのイベント情報です。4月5日(木)から、バネ製造会社「五光発條株式会社」とのコラボレーションイベント「Spring has come ~バネが来た~」を開催!しゃれか?って感じですが、春だからスプリングというわけですね!
https://www.ironcafe.jp/news
https://www.facebook.com/events/167132014067720/

ものづくりサポート

ということで、ここから本題です!前々回、前回に続き、MAKERS LINKが今年やっていこうと考えていることのお話、その締めくくり。

MAKERS LINKの三つの事業分野。

  1. コミュニティ運営
  2. ものづくりサポート
  3. イベント事業

このうち、3のイベント事業についてと、MAKERS LINKのメイン事業とも言える2のコミュニティ運営について、を2回に分けて詳しく書かせていただきました。よかったら、バックナンバーを探して読んでみてくださいね!

さて、最後に残った「ものづくりサポート」なんですが、具体的にどんなことを考えているのか、やろうとしているのか、まとめてみたいと思います。MAKERS LINKでは、これまでも、ものづくりについての相談事などに無料でお応えするような事業をやってきました。実際、いくつかの案件は、アイデアから商品化までいった事例もあります。

ただ、無料の範囲内では「こんなアイデアがあるんだけど、どうやって作ったらいいの?」というような方に、その道のプロをご紹介する、というくらいのところが限界なんですね。コミュニティには、1,200人を超えるメンバーがいて、それぞれが何かしら、ものづくりに関わりを持っているのですが、これを有効に繋げているかというと、少し、物足りないなという気がしています。

いまのところ、フェイスブックグループでのやり取りが中心なので、もっときちんとした仕組みを作って、本格的なものづくり支援ができるようになったらって思いが強くありました。

もちろん、ものづくりを事業として成り立たせるためには「資金」の話を抜きにはできません。お金がかからないコミュニティとして続けてきたMAKERS LINKが、このハードルを越えるべきかどうか、すごく悩んでのですが、いや、ほんとに考えて考えて、考え抜いて、結論を出しました。

MAKERS Bank構想

それが、MAKERS Bank構想なんです。(今までも、ちょいちょい話しているので、あ、あれね!て人もいるかも)

もう少し、具体的な言葉にすると、ものづくりの世界に映画の制作委員会方式を持ち込むってことになります。例えを映画ににすると分かりやすいんです。新しい映画を作る企画があったとします。映画製作には相当なお金と技術が必要になります。なので、言い出しっぺの熱意だけでは実現できないわけで、制作委員会なるものを組織します。映画製作会社、配給会社などのほか、テレビ局や商品販売の会社などがそのメンバーになります。

公開された映画がヒット作となれば、テレビ局は放映権を持てますし、グッズ販売やそのほかのタイアップの事業などでも大きな利益が出る可能性があるので、その利権を確保するために直接、映画に関係していないような会社も、そこに加わってくるわけです。ただし、映画は必ずしもヒットするとは限らず、失敗に終わることもあります。そのときに、制作会社だけでリスクを背負っていたらたいへんです。制作委員会方式なら、最悪、痛み分けで済むので、思い切って、いい映画を作るぞ!ってことに集中できます。

ものづくりにこの方式を持ち込むと…。

すごくいい製品アイデアを思いついたAさん。さっそく、ものづくりコミュニティ・MAKERS LINKに投げかけます。MAKERS LINKはプロデューサーとして、製造、販売、広報などを担当する企業を選定します。各企業は出資をすることで、この製品がヒットしたときに確実に利益を確保できるように利権を確保します。集まった資金を管理するのが、MAKERS Bankです。

いままで、新製品開発のアイデアが出てきたときに、資金の出所があいまいなケースが多くて、トラブルになったり、せっかくの案件が立ち消えになったり。世に出してみて、残念ながらあまり売れなかったというのなら、反省もできるし、場合によってはあきらめもつきますが、そこにまで到達できないのは悲しすぎますね。

製造業の立場で言えば、少なくともモノを作った対価はいただかなくては、生活が成り立ちません。売れなかったから、作った代金はお支払いできません、というのでは困ってしまいます。

なかなかうまく説明できないのですが、最低限、モノが出来上がる資金は確保して、作った人にはきちんと対価を払えて、宣伝や販売を仕事としてやった人も持ち出しはなく、世に打って出るところまでは、きちんとカタチにしたい。そのうえで、もちろんヒット商品になれば、みんな万歳ですが、残念ながら、失敗作に終わっても、出資したお金のその責任範囲で、それ以上のリスクは負わないような仕組みを作りたいんです。

そんなうまいこといくか!って声が聞こえてきそうですけど、MAKERS Bankが機能すれば…

そこで…、やっぱりこれだけのことをやろうとすると、実体のない任意団体では、無理だという結論に達しまして、すごく考えたんです。考え抜いて、よし!会社を作ろう!と。

4月13日、大安吉日、合同会社メイカーズリンク、設立の予定です!(あくまで予定です)

2018年のMAKERS LINKにご期待ください!

あ、最後にもうひとつ、お知らせしたいことが!MAKERS LINK Tシャツ、作ります!ロゴだけの超シンプルな、白Tシャツですが…


もし、欲しい人いたら、買ってください!
↓ここで(^-^;

https://cdq.shopselect.net/

シェアリングエコノミー時代の新たなマーケティング手法

シェアリングエコノミーの広がりと社会の変化

ものづくり経革広場の徳山です。最近「シェアリングエコノミー」という言葉をよく耳にするようになりました。個人の力を新たな経営リソースとして取り込んでいくことのできる新たな仕組みとして、弊社でも数年前から活用を始めています。

シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーの定義は下記のとおりです。

「物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み。自動車を個人や会社で共有するカーシェアリングをはじめ、ソーシャルメディアを活用して、個人間の貸し借りを仲介するさまざまなシェアリングサービスが登場している。(By コトバンク)」

ここに記載されている通り、ここ数年で本当に様々なサービスが登場しています。有名なところで言うと「Airbnb」や「Uber」が挙げられます。しかし、個人間での利用が大半であり、冒頭に記載した「企業が経営リソースとして活用する」といった取り組みはこれから本格化すると考えています。

なぜシェアリングエコノミーが広がっているのか

定義の中には「物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組み」とありますが、このような仕組みは昔から存在しました。物々交換やご近所さん同士の物の共有など、むしろ現代より一昔前の方が頻繁に行われていたのではないでしょうか。

しかし、最近言われているシェアリングエコノミーでは、インターネットを介して知らない人同士で不特定多数と繋がる仕組みとなっている点が大きな違いです。それでは、なぜ最近になってこの仕組みが広がり始めているのか?下記2つの要因によりシェアリングエコノミーが拡大する仕組みが整い、急速に広がり始めていると言われています。

  1. スマートフォンの普及
  2. ソーシャルメディアの普及

スマホの普及により、場所を問わずインターネットに繋がる環境ができたので双方感のコミュニケーションが格段に取りやすくなったのと、ソーシャルメディアが普及したため、知らない人と繋がるという心理的ハードルが大きく下がりました。

上記に加え、消費者のニーズの変化(所有欲の減少、シェアリングエコノミーを通じた人とのつながり)も大きなポイントかと思います。

シェアリングエコノミーが起こす様々な変化

シェアリングエコノミーが普及することによって、様々な社会的変化が予測されています。

  • 新たな資本主義の在り方

所有や消費ありきではない新しい生き方や、既存の社会システムからの脱却を目指す人が増えると言われています。エコロジーという観点からは良い変化だと言えるでしょう。従来の資本主義経済とは異なる点が多いので、様々な軋轢を生むことは必至かと思います。

  • マイクロアントレプレナーの増加

スマホと遊休資産さえあれば空き時間で稼げるようになります。中にはクラウドソーシングで1,000万円以上稼ぐ人も登場しているようです。特に仕事のない地方では地域活性化の手段として注目されています。人口が都心へ一極集中する中、地方へ人材を流動させる上で必要な仕組みと言えます。

  • 既存産業との対立

従来の資本主義と考え方が異なるがために、シェアリングエコノミーに関連するサービスは既存ビジネスの問題解決につながりますが、競合するモデルでもあります。そのため、シェアリングエコノミーにより生まれるサービスは、常に既存産業保護のための規制との戦いに発展します。

企業の新しいマーケティング手法としてシェアリングエコノミーを活用する

新たなマーケティング手法として、企業がシェアリングエコノミーを活用するケースが増え始めています。活用する上で抑えておきたい社会的変化とともに、具体的な活用法をご紹介します。

大きな社会構造の変化

シェアリングエコノミーの普及により、これからの時代は政府・企業が中心ではなく個人の時代へと変わっていきます。マーケティングの分野においても、今まではマーケティング活動を行うのに、行政や企業のサービスを活用する機会がほとんどでしたが、これからは個人の力を活用する方法も大きな一手とななってくるでしょう。

一例として、顧客開拓の手段として活用できる「リファラル営業」の仕組みをご紹介します。

最近浸透し始めた「リファラル営業」という言葉

「リファラル(referral)」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。「リファラル(referral)」とは英語では紹介・推薦という意味です。この言葉を使った新たなサービスが生まれ始めています。

この領域では一足早く「リファラル採用」という言葉が広まっています。「リファラル採用」とは、人材募集の際、社員を通して知人・友人の紹介・推薦を受け、採用選考を行う手法です。日本ではまだまだですが、欧米などではそれなりに普及している手法です。

さらに最近では「リファラル営業」という言葉をよく聞くようになりました。「リファラル営業」とは個人からの紹介・推薦により見込み顧客との接点を作り、顧客獲得を行うという新たな営業手法のことです。

個人の力を活用したマーケティング手法とは

「リファラル営業」を説明するためには具体的なサービスを紹介した方が早いでしょう。最近弊社でもよく使っているのが「SalesHub」というサービスです。このサービスには「商材を販売したいと考えている企業ユーザ」と「顧客とコネクションを持っている個人ユーザ」が登録しています。個人ユーザは自身のコネクションを活かし、企業へ顧客を紹介することで紹介料をもらうことができる、という仕組みです。

自身の人脈をお金に変えることを、知人を売っているようで気持ち悪いと感じる人もいるかも知れませんが、企業が効率よく顧客を開拓する手段として大きく注目されています。利用者も急増しており、マッチング数もかなり増えてきているようです。色々と課題はあると思いますが、皆さんも活用してみてはいかがでしょうか。

これから更に話題となっていくであろう「シェアリングエコノミー」についてご紹介させていただきました。企業としてどう活用していくか、引き続き皆さんと考えていければと思います。

サプライヤー確保がマーケティングの課題!?

以前、「協力工場を開拓するために」という記事を書きました。その中で新規で仕事を受けてもらうためには指値が重要というお話をしましたが、それだけでは仕事受けてもらうのが難しなくなってきている様です。

新しいサプライヤーに仕事を受けてもらうのが難しい時代

現在、既存顧客の仕事で目一杯になり、新規で問い合わせを頂いても断っているという会社も多いようです。先日、商社の営業の方にお話を聞いたのですが、「今まで付き合いのない会社にいきなり図面を送っても、見積もりをしてくれる会社は中々ない」と仰っていました。受け手の企業側としても「今は、既存顧客の依頼なら多少の無理も聞けるけど、新規顧客が案件持ってきても対応はできない」という会社も多いようです。関係性がしっかり構築されていないと、見積もりすらしてもらえないというケースが増えてきています。

サプライヤー確保にマーケティング

需要過多に加え、中小製造業の廃業による業者数の減少により、供給が不足しています。人気のあるサプライヤーは、常に仕事が満杯で、なかなか仕事を受けてもらうことができない状態です。当然、サプライヤーをしっかり確保しないことには、製品製造に支障が出てしまいます。現に最近の半導体業界の好景気により、部品供給が半導体に流れ、他業界の機械に使用する予定の部材が不足し、生産が遅れるという事態も出てきています。安定供給するために、サプライヤー確保に本腰を入れている会社が増えてきています。「マーケティング」というと売るための手法になりがちですが、需要過多の現状では、いかに効果的に供給ラインを確保できるかが課題になると思います。

そのサプライヤーを確保するために考えるポイントは大きく分けて二つだと考えています。

  • 既存サプライヤーの把握
  • 新規サプライヤーの開拓

まずは既存のサプライヤーはどのような会社があるのかをしっかり把握し、頼めるものは既存のサプライヤーに頼むことが第一かと思います。その上で足りないものを新規で探すという流れです。

既存のサプライヤーの把握

すでに行っている会社も多くあるとは思いますが、各個人が持っている情報を共有、見える化することが必要です。営業担当や部署ごとに外注情報を持っているため、全体での情報共有が出来ていない、ということをよく聞きます。「持っていたサプライヤー情報を、頭に入れたまま退職していった」みたいなことが起こっている可能性があります。サプライヤー側でも、「発注先の担当が辞めてしまったと同時に仕事が来なくなった」という話を聞くのはこのせいかと思います。これではせっかく関係が出来ていたサプライヤーをあっさり手放している危険性があります。まずは各サプライヤーの情報をリスト化し、共有できるようにすることが重要です。リストを作る目的は、情報共有だけでなく、どのサプライヤーを今後大事にすべきかを選定したり、先々訪れるであろうリスクを回避することにも役立ちます。また、定期的な情報収集、更新をすることで、新しい設備導入による対応領域の拡大や、稼働余力を見つけることができるようになります。情報整理する内容は以下のようなものが考えられます。

  • 業界(自動車、電機、通信機等)
  • 対応加工領域
  • 得意加工
  • 対応ロット数
  • 加工精度
  • 対応材質
  • 保有設備 (新規導入などの定期的なチェックが必要)
  • コストについて
  • 納期対応(今までの実績や納期対応の姿勢について)
  • 品質体制(今までの実績)
  • 後継者の有無(長期的なお付き合いができる会社かどうか?)
  • 加工相談(改善の提案などを積極的に行ってくれる会社か?)
  • 担当者情報
  • 発注担当
  • 今までの発注実績
  • 現状の稼働状況について

新規サプライヤーを開拓するために

上記の既存企業の情報から、新規企業に求めるものがどういう会社かを策定します。そして、アプローチの際に重要なことは、仕事を受けてもらうためには、出来る限りの状況を先方に伝えることです。「そもそも今まで頼んでいる会社があるだろうに新規で探すのはなぜか?」という疑問があるからです。そのため「この図面、この値段、この納期で出来る?」というようなアプローチだけでは、何社にも聞いて回ってるような印象があり、対応して頂くことが難しくなってきています。忙しいサプライヤーは「出来なくはないけど、よくわからない会社からいきなり来られても、そこまで積極的に受けようとは思わない」と考えています。

ちなみに、一番心象が良いと思った手法は直接訪問することです。本当に頼みたいと思っている会社でなければ訪問しないためです。その上で「なぜ新規で探しているか?」「特に何を求めているのか?」「今後の計画について」など状況を説明し、なぜその会社に頼みたいかまで説明することができれば、検討してくれる可能性は高まります。今ある図面だけでなく、サプライヤーを大事にする会社なのか、長期的にお付き合いができそうな会社なのかどうかを、先方は見ています。

まとめ

仕事を受けてもらうのにそこまでする必要あるの?と思う方もいるかも知れませんが、長く良い関係を作れる会社でないと「おたくの仕事はもう受けません」と言われることが無いとも言い切れません。仕事を受けてもらいたいと思うようなサプライヤーは、自社の稼働にも限りがあるため、仕事を選ばざるを得ない状況だからです。

弊社でもうまくつなぎ合わせができるようお手伝いしていますので、お気軽にご相談ください。

「協力工場探しはモノマド」