メールマガジンの作り方

製造業のエンジニアで、製造業系ライターとして活動している一之瀬です。Webマーケティング手法の一つとして、メールマーケティングがあります。今回は、メールマーケティングを代表する「メールマガジン」を作る目的や注意するポイントについて解説します。

メールマガジンとは?

メールマガジンとは、企業の担当者やWebサイトの運営者から、複数の購読希望者に対して一斉に配信されるメールです。メールマガジンの配信者は、自ら購読を希望して登録した読者にのみ配信できます。

マーケティングに用いる販促ツールとして、見込み客に対して積極的に働きかける「プッシュ型」のツールと興味を持ってくれた人を引き込む「プル型」のツールがあります。メールマガジンはプッシュ型のツールに該当します。

一般的にプッシュ型のツールは、プル型のツールに比べると1件当たりの経費が多くかかることが特徴です。しかし、メールマガジンの場合、プッシュ型でありながら1件当たりの費用を抑えられる点がメリットとして挙げられます。

メールマガジンの目的

メールマガジンの主な目的は、配信者が提供する製品の販売促進です。宣伝をするだけではなく、自社の製品に興味を持ってもらうために、読者への教育や啓蒙を行うことも目的の一つとしています。

メールマガジンを通して自社や業界に対する知識を身につけてもらい、自社のファンを増やしていくことで、売上の増加につなげられます。実際にメールマガジンを配信する場合には、配信方法や配信頻度、タイトル、メールマガジンに記載するコンテンツを入念に準備する必要があります。

メールマガジンに記載するといい内容

ここからは、メールマガジンの配信を始めるときに悩むことが多い、メールマガジンに記載する内容について紹介します。メールマガジンの内容としては、次の3点を書いていくといいでしょう。

1.新着情報

新製品の情報や業界動向の変化などは、読者のニーズが大きく、読んでもらえる可能性が高いです。

自社の新製品を紹介する場合には、製品の提供を開始するタイミングに合わせて、製品に関する基本的な情報をまとめるのがおすすめです。新製品に対する認知度を高められるでしょう。

2.技術的な解説

自社製品や業界に関する知識を深めてもらうためには、技術的な解説をコンテンツにするのが効果的です。

単に技術的な解説にとどまらず、その技術が読者にとってどのような影響、メリットがあるのかも、あわせて紹介できるといいでしょう。また、丁寧でわかりやすい解説を行うことで、読者からの信頼を得やすくなります。

3.編集後記

企業の公式メールマガジンというと、「真面目な内容を書くべき」と考えがちです。しかし、メルマガの読者の中には、メールマガジンを配信する担当者の人柄が伝わるような内容を楽しみにしている人もいます。

メールマガジンの最後に、編集後記として最近の出来事や新製品開発の裏話、会社の所在地近辺の情報などを発信してみるといいでしょう。こうすることで、読者とのつながりを継続しやすくなります。さらに、メールマガジンとして配信するコンテンツが、きれてしまうのを防げるといったメリットもあります。

メールマガジンを作る際の3つの注意点

メールマガジンを作る際には、次の3点に注意して作る必要があります。

1.魅力的なタイトルを設定する

配信するメールには、クリックしたくなるような魅力的なタイトルを設定する必要があります。いい内容のメールマガジンを作成したとしても、開封されずにゴミ箱行きになってしまっては意味がありません。

4U(Useful, Urgent, Ultra specific, Unique)の原則に当てはまるかどうか確認すると、読んでもらえるタイトルが作りやすくなるでしょう。4Uには、以下のような意味があります。

  • Useful(有益性):このメールを読むことで、読者が受けるメリットが伝わるか?
  • Urgent(緊急性):「今だけ」「期間限定」などの時間的な緊急性が表現されているか?
  • Ultra Specific(超具体性):数字などの具体的な要素が含まれているか?
  • Unique(独自性):ありきたりではなく、独自の表現になっているか?

このように、タイトルはメールマガジンを読んでもらうために重要な要素です。

2.製品を導入するメリットを伝える

製品の魅力を伝えたいとき、熱が入ってつい売り込みが多くなってしまいがちです。しかしメールマガジンの読者が知りたいのは、「製品を導入することでどのようなメリットがあるか」という点です。

製品の導入で、「読者のどのような課題をどう解決できるのか」を紹介するといいでしょう。

3.効果測定をしてPDCAを回す

メールマガジンの配信数が増えてくると、読者がどのようなアクションを取っているかのデータが集まります。開封率やクリック率、エラー率、配信直後のレスポンスなどを確認し、PDCAを回しましょう。

タイトルのつけ方や配信タイミング、リンク先ページのコンテンツなどを改善していくことで、効果的なメールマガジンが作成できるようになるはずです。

まとめ

メールマガジンは、マーケティングに用いる販促ツールの中でも、低コストで運用できるプッシュ型のツールです。

コンテンツとしては、新着の情報や技術的な解説に加えて、開発の裏話や最近の出来事など、担当者の人柄が伝わるような内容もおすすめです。配信したメールマガジンを読んでもらえるように、4Uに配慮したタイトルをつけ、製品の売り込みをしすぎないように注意しましょう。

テクノポートでは、効果的なメールマガジンの作り方やメールマーケティングに対する支援を行っています。メールマガジンを活用していきたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

リードナーチャリングのためのコンテンツ制作

テクノポートの徳山です。前回執筆した「リードナーチャリングの進め方」に続き、リードナーチャリングのコンテンツに関してご紹介します。

リードナーチャリングで具体的に行うことは、定期的にメールを送信したり、セミナーを開催するなど、様々なコミュニケーション手段によりリードと関係を繋ぐと共に、自社との関係性を深めていいくことです。

今回はナーチャリングを行う上で最も重要な「コンテンツ制作」に焦点を当て、事例なども含めて解説してます。

リードの育成具合に応じたコンテンツを企画する

リードが求めている情報は購買プロセスのフェーズによって異なります。購買フローの初期フェーズにいるリードは、自社の技術課題に対する解決策を模索している情報収集段階です。業界情報、技術課題に対する解決策としてどのような技術があるのか、といったように、リードが情報収集したいと考えている内容にフォーカスしてコンテンツを企画すると良いです。

その時に、より専門的な情報を発信することで、貴社がその分野のプロフェッショナルであり、頼ることができる存在、という印象を与えることができるとなお良いでしょう。

技術系企業の購買フロー

次からはリードナーチャリングのために使われるコンテンツ例と制作上の注意点などをご紹介します。

メールマガジン

メールマガジンは配信回数とコンテンツの質のバランスが重要

デジタルマーケティングという言葉が広まる前から、リードとの関係性をつなぐ手段としてメールマガジンは使われてきました。その分、取り組んでいる企業も多く、発信してもほとんど見られないとも言われています。また、メールマガジンというと必ず一定期間ごとに配信しなければならない、という呪縛に取り憑かれ、疲弊してしまうことがあることが多いです。

個人的には配信回数よりもコンテンツの質を重視すべきだと考えているので、コンテンツの質を担保できないのであれば配信回数を減らすことも検討すべきだと考えています。とは言え、配信が一向にないとリードが育たないし関係性が切れてしまう、というデメリットもありますので、配信回数とコンテンツの質のバランスを保つことを常に気をつけましょう。

配信回数とコンテンツの質がトレードオフの関係となるため、配信回数にこだわるあまり、内容がつまらないものになっては全く意味がないからです。

※ここでは自社で獲得した名刺情報などのリード情報を元に、定期的に一斉配信するメールの事をメールマガジンとします。

タイトルの付け方がとにかく重要

前述したように、多くの企業が取り組んでいる施策ですので、最近では開封される可能性すら低い、ということを前提に考えましょう。特にリードとの関係性が弱い段階だと「どこの企業から情報が届いたか」よりも「どのような役立つ情報が届いたか」の方が重要なため、タイトルの付け方一つでメールの開封率が大きく変わってきます。

タイトル付けの主な注意点

  • 購買フローの前半にいるリードをターゲットとして意識する(ボリュームゾーンなので)
  • リードに自分事だと感じてもらう
  • 文字数を30文字までに抑える

メールマガジンの内容(コンテンツ)をどのようなものにするか

自社の技術・製品をPRするための情報発信だけでなく、業界情報や動向、技術の解説、技術の活用事例なども情報発信することを検討しましょう。特に購買フェーズの前半にいるリードをナーチャリングしていく上で必要となります。

メールマガジンのコンテンツはWebサイト内に掲載する

メールマガジンのコンテンツをWebサイト内に掲載することでインデックス数が増えアクセス流入の増加が期待でき、新たなリード獲得につなげることができます。また、コンテンツを再構築すればSEOに強いWebページの制作にも繋がるでしょう。

技術資料(ホワイトペーパー)

技術資料(ホワイトペーパー)とはどのようなものか

リードナーチャリングで使う技術資料(ホワイトペーパー)は、メールマガジンと同様、自社の技術・製品をPRするための資料だけでなく、業界情報(動向)、技術の解説書、論文なども作成することを検討しましょう。特に購買フェーズの前半にいるリードをナーチャリングしていく上で必要となります。

ナーチャリングするユーザの状況を想定して制作する

購買フローのどのフェーズにいるリード向けの情報なのかを考慮した上で制作すると良いでしょう。そうすることで資料を閲覧してもらえる可能性が高まると共に、どの資料を閲覧したかによってどのフェーズにいるリードなのか、どのような課題を抱えているリードなのか、といった仮設を立てることもできます。

資料の内容が簡潔に伝わる情報を与える

ダウンロードを誘導するためのページ(メール)において、技術資料には分かりやすいタイトル、内容が簡潔に伝わる目次、全体のボリューム(ページ数)などを掲載することで、自分にとって必要な資料かの判断が付くようになり、ダウンロード数の増加=より多くのリードのナーチャリングに繋がります。

導入事例

BtoBマーケティングにおいて導入事例は最強のコンテンツ

購買単価が高く、購買決定者が複数人となる場合が多く、導入後の失敗に対するリスクが高いBtoBマーケティングにおいて、導入事例は信頼性の高いコンテンツとしてリードをナーチャリングするのに最適です。

BtoC商材とは違い、ネット上での口コミ情報が極端に少ないので、メディアに掲載されている情報が有効と言われていますが、メディアに掲載されるのはハードルが高いですし、自社で増産していけるコンテンツとして導入事例は最強のコンテンツと言えます。

著名な企業の権威と身近な企業の親密感

導入事例にどのような企業が掲載されているとよいか?一見、著名な企業に多く掲載してもらった方が良いように思えますが、そのような企業ばかりだと導入ハードルが高く思えてしまいます(そのような企業だけターゲットの商材なら別ですが)。

「あんな著名な企業の導入実績があるのか!」といった信頼感と、「自社に近い課題が解決されている!」といった親密感が必要です。

最強のコンテンツなので二次利用は積極的に

前述したとおり、最強のコンテンツである導入事例を一回のメール配信などで終わらせてしまってはもったいないです。自社サイト内でWebページ化することはもちろん、営業マンが持ち歩くセールス資料や、PDFにしてダウンロード用のコンテンツにするなど、積極的に二次利用を行っていきましょう。

FAQコンテンツ

FAQコンテンツとは、Webサイトに掲載する「よくある質問」に掲載するコンテンツのことを指します。よくある質問の中でもリードのニーズに沿った情報を配信することでナーチャリングコンテンツとして利用ができます。

全社で協力してコンテンツを集めることが大事

FAQコンテンツは、お客様と接する様々な部門に協力して集める必要があります。営業パーソンであれば、見込顧客から商談時やメールで聞かれる質問、お客様サポートであれば、既存顧客から寄せられる問合せ内容を収集することができます。

各部署の日報から自動的にFAQコンテンツを抽出するなど、コンテンツの作成をいかに自動化できるかがポイントとなります。

ニーズの高いコンテンツをナーチャリングに利用

全社で協力して集めたコンテンツをまずはWebサイトに掲載し、アクセスログで定期的にアクセス情報を計測していきます。その中でユーザのニーズの高い(アクセス数の高い)コンテンツや、問合せに至るユーザが読むことが多いコンテンツを中心にリードへ配信していくと良いです。

そのため、Webサイトに掲載するFAQコンテンツは一つの質問に付き1ページ作成するなど、後々にアクセス計測しやすいような工夫が必要となります。

リードナーチャリングを行う際はコンテンツの質が重要

本記事をご覧いただき、リードナーチャリングを行う上で最も重要なことは「コンテンツ制作」であるということが分かっていただけたと思います。

リードに定期的な情報伝達を行う際に届くコンテンツに魅力がないとせっかく捕まえたリードがメルマガ解除になってしまったり、そのような行動にまで至らないとしても「この企業からのメールはつまらないから今後はスルー」というレッテルをはられてしまったり、リードへ定期的な情報を届ける、といったことを優先し過ぎて、コンテンツの質が下がってしまうようであれば、一度立ち止まって考え直してみましょう。