海外のものづくりの現場で使われているリーンシックスシグマとは?

どのようにすれば早く、安く、確実に、楽に、そして質の高いものづくりができるのか。試行錯誤しているうちに、たどり着いた手法、それが「リーンシックスシグマ」でした。企業の大小を問わず世界の製造業では一般的なリーンシックスシグマですが、不思議なことに日本ではほとんど普及していません。

申し遅れました。私、津吉 政広と申します。リーンシックスシグマのマスターブラックベルトとして製品開発はもとより、製造プロセスやビジネス・プロセスの改善などに携わっています。日頃ものづくりに携わっておられる日本の製造業の皆様にもリーンシックスシグマを少しでも知ってもらいたいと思い、筆を執りました。

リーンシックスシグマってなに?

世界中のものづくりの現場では次から次へと現れる課題や問題と格闘しています。日々の課題を解決するために、日本が生み出したものづくりの知恵やアイデアは、日本だけではなく世界中の多くのものづくりの現場で使われています。実はその日本が生み出したものづくりの知恵やアイデアがたくさん詰まっているものが、リーンシックスシグマなのです。

リーンシックスシグマの誕生は今から30年ほど前のアメリカまで遡ります。当時のアメリカは製品の品質面などで日本に大きく後れをとっていました。そこで日本に追いつくために日本のものづくりを調べました。

しかし日本のものづくりの現場で普通に行われていたようなことが、文化や言葉の違いからか、当時のアメリカ人にはなかなか理解することができませんでした。そこでアメリカ人は日本のものづくりを徹底的に研究し、科学的思考と組み合わせながら誰でも理解できるような形で「ものづくりの手法(考え方や手順)」を体系化していきました。そこで誕生したものがリーンシックスシグマなのです。

国や文化にとらわれずに体系化されたものづくりの手法「リーンシックスシグマ」は、グローバル化の時代には品質や生産性を上げる手法として最適でした。そのためアメリカ企業が南米や中国、韓国、欧州、インドなどに進出するに伴い、リーンシックスシグマも世界中に広がっていきました。

本当に日本の知恵やアイデアが詰まっているの?

先日久しぶりにある製造業で働く友人と会って話をしたとき、友人に自分の仕事を説明しようと思って「リーンシックスシグマって、知っている?」と尋ねてみました。友人曰く「何それ?」。

そこで続けて「ブラックベルトとか、グリーンベルトとか、聞いたことない?」と尋ねてみると、友人曰く「武道の話をしているの?仕事の話をしているのかと思っていた」との返事。

さらに「それじゃ、QFD(品質機能展開)とか、狩野モデルとか、田口メソッドとか、特性要因図とか、5Sとか、知っている?」と尋ねると、友人は「ああ、それなら知っている。うちでも色々な部署が使っているよ」とのこと。

この友人のように、日本のものづくりの現場ではまるで空気のように知らず知らずのうちに偉大な先人達が残した知恵やアイデアを使っています。リーンシックスシグマはそのような日本で発明された馴染み深いツール類を利用しやすいようにまとめたものなので、日本のものづくりの現場でも自然と活かせるはずです。

リーンシックスシグマって外国の、しかも大企業のものでしょ。日本の中小企業には関係がないのでは?

私は町工場を扱ったテレビドラマや小説が好きです。特に「陸王」が大好きです。しかしハラハラドキドキする展開を楽しむ一方、「こはぜ屋さんがもしリーンシックスシグマを使っていれば、こんな苦労はしなくても済んだのに」と何度も思いました。実は日本の中小企業だからこそ日本の知恵やアイデアが活きているリーンシックスシグマを効果的に使う場面がたくさんあるのです。

ものづくりを行う中小企業がどのようにリーンシックスシグマを使って生産性や品質を高めていくのか、できれば「陸王」などの話を織り交ぜながら今後話をすることができたらと思っています。今後ともよろしくお願いします。