中小製造業が技術レベルを一段上げるために取り組めること

製造業のエンジニアで、製造業系ライターとして活動している一之瀬です。

新製品の開発や従来と異なる業界・技術領域への進出など、新しい取り組みをする場合には、社内の技術レベルを上げる必要があります。ただ、技術レベルを高めるといっても、「どの領域をどれまで強化すればいいのか」や「どのような方法で強化すればいいのか」を明確にするのは簡単ではありません。

特に中小企業の場合には、限られた人材で多岐にわたる仕事を回していることが多く、新しいことに取り組む時間を確保するのは困難です。この記事では、今よりも技術レベルを一段上げるための取り組みについて紹介します。

技術レベルを上げるための目標設定

技術レベルを上げるためには、目標を設定する必要があります。目指すべき場所が明確になっていないと、どのように取り組めばいいか決められません。

自社の技術レベルを把握する

目標を設定するためにまず行うのは、自社の技術レベルを把握することです。現状を把握することで、後ほど設定する目標とのギャップ、目標までの距離と方向性が明確になり、具体的な対策を決めやすくなります。自社の技術レベルを把握する際には、同じ業界内の他社と比較するのがおすすめです。他社に対して優位性を持っている部分、劣っている部分などを明確にすれば、自社の強みと弱みが明確になります。

また、お客様からの期待に対する自社の技術レベルを把握することも重要です。過去にお客様からいただいた相談の中で、自社で対応できたもの・できなかったものを整理すると、期待に対して自社の技術レベルがどの程度なのか把握できるでしょう。

目標を設定する

今の技術レベルを明確にできたら、次は目標を設定します。目標を明確に定め、一緒に働く仲間に共有することで、一緒に働く社員とも協力して取り組める体制を構築できます。目標を決める際には、最初に確認した他社との比較やお客様からの期待の中で、自社の強みをさらに高めたり、弱みを補強したりすることが考えられます。

限られたリソースの中で効果を出すためには、強みをさらに磨き、お客様の要望に応えられるようにするといいでしょう。例えば、加工精度や製品品質の向上、保有している技術との相乗効果が期待できる新材料の加工技術習得などが考えられます。

技術レベルを高める取り組み(社内)

ここからは、実際に技術レベルを高めていく際の取り組みについて、まずは社内での取り組みから紹介します。

PDCAサイクルを回す

現状と目標のギャップが明確になっているので、そのギャップを埋められるように具体的な取り組みに落とし込んでいきます。具体的には、自社の技術レベルが目標に対して不足している要因を解析し、どうしたらうまくいくのか検討します。その結果を元に、取り組み計画を立てましょう。

このように日常業務の中で、短期的にではなく中長期的にPDCAサイクルを回すことで、徐々に知見を蓄積し、技術レベルを向上させていきます。

情報を発信する

情報を社内から社外に発信することで、技術レベル向上につながる可能性があります。発信するためには、受け手が有益に感じるコンテンツが必要であり、それを生み出すために新たなチャレンジに取り組む習慣ができます。

また、発信した情報を受け取った方からのフィードバックを受けられれば、そこから始まる交流を通して新たな知見を得られることもあるでしょう。

技術レベルを高める取り組み(社外)

次に、最初から社外と関わることで技術レベルを高める取り組みについて紹介します。

技術を持っている企業に直接聞く

自社内での取り組みだけでは目標とする技術レベルへの到達が難しい場合、既に技術レベルが高い企業に直接聞くのも、有効な方法です。同業の企業で競争相手しかいない可能性もありますが、コミュニケーションを取る中でお互いの得意な分野で技術交流をすることで、新たな可能性が広がります。

また、お互いに切磋琢磨できるような有益な関係を築ければ、自社の技術レベル向上だけでなく、業界の発展につなげられる可能性もあるでしょう。

お客様の力を借りる

社内だけでは求められている技術レベルの明確化が十分にできなかったり、方向性に迷ったりする場合には、付き合いのあるお客様に協力していただくのも有効です。「今扱っている製品は他にどのような使われ方があり、どの程度の品質や精度が求められるのか?」や「今後はどういう材料が加工できると強みになるのか?」など、率直に相談してみるといいでしょう。

自社の技術レベルが上がり、対応できる範囲が広がることは、お客様にとっても有益です。遠慮せずにコミュニケーションを取ることで、関係性を深められる可能性もあります。

技術レベルを高める取り組み(個人)

個人の取り組みで、組織としての技術レベルを高められます。レベルの高い組織は、所属する個人のレベルも総じて高いことが多いです。例えば、異業種の製品に自社の技術を活用できないか考えたり、自分が得意な技術を突き詰めていったりすることで、新たな領域が切り開ける可能性があります。

まとめ

会社として新たな領域にチャレンジするためには、今よりも高い技術レベルが必要になる場合が多いです。そこで、自社の現状を分析し、目標を明確にすることで、どのようなアクションを取ればいいかが明確にできます。社内でPDCAを回したり、社外の技術を持っている企業やお客様との交流を通して、技術レベルを高められるでしょう。また、個人としての取り組みも非常に重要です。

自社の技術レベルを高めることで、お客様の要望に応えたり、今までにはできなかった提案をできるようになったりするため、自社の可能性を大きく広げられるでしょう。

技術を蓄積するマニュアル作成2.使われ続けるマニュアル作り

現役エンジニアで製造業系ライターをしている一之瀬です。『技術は人に伝えられる形にして初めて技術と呼べる』をモットーにエンジニアの業務では、先行開発から量産開発まで幅広く関わりながらその技術を残す活動をしています。

この連載では、どうすれば使われ続けるマニュアルや作業手順書を効率的に作れるのかを、私の経験を元に紹介していきます。今回は「マニュアルが使われない理由とその対策」について実例を元に紹介します。

マニュアルが使われない理由と対策

せっかく時間をかけてマニュアルを作成しても、使ってもらえなければ作った意味がありません。マニュアルが使われなくなる理由としては、次のような点が挙げられます。

  • マニュアルの情報が古い
  • 記載されている手順がやりにくい
  • マニュアルが行方不明

これらの課題に対して、私が自分の仕事を通して試した施策の中で効果的だったものを紹介します。

マニュアルの情報が古い

定期的にマニュアルが更新されていない場合、マニュアルに記載されている情報が古い場合があります。「最初はマニュアルを使っていたとしても、マニュアル通りにやっているはずなのに上手くいかないことがあり、原因を調べてみるとマニュアルが古かった」このような経験がある人も多いでしょう。

マニュアルに書いてあることは改めて確認し直さないため、マニュアル自体がミスを生み出すことになり、使われなくなっていきます。対策としては、マニュアルを更新する担当者と更新の時期を明確にすることが有効です。担当が明確になっていれば、マニュアルに関する修正情報が集約され、決められたタイミングで最新化されます。

随時更新でも良いですが、忙しくて更新されない場合もあるでしょう。マニュアルの内容によってタイミングは調整が必要ですが、更新が必要なタイミングを四半期ごと、半期ごとで設定しマニュアルを更新しましょう。

記載されている手順がやりにくい

同じ仕事であっても、人によってやり方が違うことがあります。マニュアルがあり、最初はマニュアルを見ながらやっていたはずなのに、自己流になってしまうのはなぜでしょうか?

マニュアルに記載されている手順通りにやった結果、手順を面倒に感じたり、簡単にこなせる方法を思いついたりすると、自己流のやり方で業務を進めます。

最初に作成する際にマニュアルのみでレビューするのではなく、マニュアルを見ながら実際に問題なくできるか作業をしてもらうのがおすすめです。実際に作業をする中で出た課題を作成中のマニュアルに反映しておけば、業務に支障が出るレベルで使いにくいことはないでしょう。さらにレベルアップするためには、担当者の元に情報が集まるようにマニュアル改善リストを作っておくことをおすすめします。

  • マニュアルの修正ポイント
  • 誰が記載したか(内容の詳細を確認するため)
  • マニュアルに反映したかどうか

最低限、これらの項目が管理できれば十分なため書くのが面倒にならないように、簡単なフォーマットにするのがポイントです。

マニュアルが行方不明

特に、頻度が高くない業務を行うときのために作ったマニュアルで多い課題が、マニュアルを作ったはずなのに行方不明になってしまうことです。久々にこなす業務をマニュアル無しで、時間をかけて進めることになります。対策はシンプルで、すべてのマニュアルの置く場所を決めておくことです。できれば管理No.を付けて検索性をよくしたり、業務分野別にフォルダ分けをしておくと分かりやすいでしょう。

シンプルな施策ですが、確認する頻度が高いマニュアルと同じ置き場にあれば、マニュアルを探す際にまずそこを確認する癖がつきますのでおすすめです。

すべての対策を実践するのが難しい場合

ここまでマニュアルが使われ続けるための対策を紹介しました。実際には仕事が忙しく、すぐにすべての施策を取り入れることはできないかもしれません。

優先順位をつけて取り組む必要がある場合には、最初に「マニュアル改善リスト」を作成するのがおすすめです。すべてのマニュアルに関する改善要望を集約することで、個々のマニュアルとそのリストを確認すればすべて完結します。

後の施策は時間に余裕ができたときに取り組んでいけばよいでしょう。

使い続けられるマニュアルは更新されている

マニュアルが使われなくなる理由と、その対策について紹介しました。置き場がわかって情報が更新されていれば、マニュアルは使われ続けます。マニュアル改善リストは、マニュアル自体をきれいに直すものではありませんが、現状のマニュアルに対する改善点を確認できるので、セットで使えば更新されたマニュアルと同等の効果を発揮できます。

業務を効率よく進め、時間を生み出し、レベルアップしていくためのマニュアルが逆効果にならないように取り組んでいきましょう。

次回はマニュアルのテンプレート・フォーマットについて紹介します。

技術を蓄積するマニュアル作成2.使われ続けるマニュアル作り

現役エンジニアで製造業系ライターをしている一之瀬です。『技術は人に伝えられる形にして初めて技術と呼べる』をモットーにエンジニアの業務では、先行開発から量産開発まで幅広く関わりながらその技術を残す活動をしています。

この連載では、どうすれば使われ続けるマニュアルや作業手順書を効率的に作れるのかを、私の経験を元に紹介していきます。今回は「マニュアルが使われない理由とその対策」について実例を元に紹介します。

マニュアルが使われない理由と対策

せっかく時間をかけてマニュアルを作成しても、使ってもらえなければ作った意味がありません。マニュアルが使われなくなる理由としては、次のような点が挙げられます。

  • マニュアルの情報が古い
  • 記載されている手順がやりにくい
  • マニュアルが行方不明

これらの課題に対して、私が自分の仕事を通して試した施策の中で効果的だったものを紹介します。

マニュアルの情報が古い

定期的にマニュアルが更新されていない場合、マニュアルに記載されている情報が古い場合があります。「最初はマニュアルを使っていたとしても、マニュアル通りにやっているはずなのに上手くいかないことがあり、原因を調べてみるとマニュアルが古かった」このような経験がある人も多いでしょう。

マニュアルに書いてあることは改めて確認し直さないため、マニュアル自体がミスを生み出すことになり、使われなくなっていきます。対策としては、マニュアルを更新する担当者と更新の時期を明確にすることが有効です。担当が明確になっていれば、マニュアルに関する修正情報が集約され、決められたタイミングで最新化されます。

随時更新でも良いですが、忙しくて更新されない場合もあるでしょう。マニュアルの内容によってタイミングは調整が必要ですが、更新が必要なタイミングを四半期ごと、半期ごとで設定しマニュアルを更新しましょう。

記載されている手順がやりにくい

同じ仕事であっても、人によってやり方が違うことがあります。マニュアルがあり、最初はマニュアルを見ながらやっていたはずなのに、自己流になってしまうのはなぜでしょうか?

マニュアルに記載されている手順通りにやった結果、手順を面倒に感じたり、簡単にこなせる方法を思いついたりすると、自己流のやり方で業務を進めます。

最初に作成する際にマニュアルのみでレビューするのではなく、マニュアルを見ながら実際に問題なくできるか作業をしてもらうのがおすすめです。実際に作業をする中で出た課題を作成中のマニュアルに反映しておけば、業務に支障が出るレベルで使いにくいことはないでしょう。さらにレベルアップするためには、担当者の元に情報が集まるようにマニュアル改善リストを作っておくことをおすすめします。

  • マニュアルの修正ポイント
  • 誰が記載したか(内容の詳細を確認するため)
  • マニュアルに反映したかどうか

最低限、これらの項目が管理できれば十分なため書くのが面倒にならないように、簡単なフォーマットにするのがポイントです。

マニュアルが行方不明

特に、頻度が高くない業務を行うときのために作ったマニュアルで多い課題が、マニュアルを作ったはずなのに行方不明になってしまうことです。久々にこなす業務をマニュアル無しで、時間をかけて進めることになります。対策はシンプルで、すべてのマニュアルの置く場所を決めておくことです。できれば管理No.を付けて検索性をよくしたり、業務分野別にフォルダ分けをしておくと分かりやすいでしょう。

シンプルな施策ですが、確認する頻度が高いマニュアルと同じ置き場にあれば、マニュアルを探す際にまずそこを確認する癖がつきますのでおすすめです。

すべての対策を実践するのが難しい場合

ここまでマニュアルが使われ続けるための対策を紹介しました。実際には仕事が忙しく、すぐにすべての施策を取り入れることはできないかもしれません。

優先順位をつけて取り組む必要がある場合には、最初に「マニュアル改善リスト」を作成するのがおすすめです。すべてのマニュアルに関する改善要望を集約することで、個々のマニュアルとそのリストを確認すればすべて完結します。

後の施策は時間に余裕ができたときに取り組んでいけばよいでしょう。

使い続けられるマニュアルは更新されている

マニュアルが使われなくなる理由と、その対策について紹介しました。置き場がわかって情報が更新されていれば、マニュアルは使われ続けます。マニュアル改善リストは、マニュアル自体をきれいに直すものではありませんが、現状のマニュアルに対する改善点を確認できるので、セットで使えば更新されたマニュアルと同等の効果を発揮できます。

業務を効率よく進め、時間を生み出し、レベルアップしていくためのマニュアルが逆効果にならないように取り組んでいきましょう。

次回はマニュアルのテンプレート・フォーマットについて紹介します。

技術を蓄積するマニュアル作成1.マニュアル作成のための時間確保

現役エンジニアで製造業系ライターをしている一之瀬です。『技術は人に伝えられる形にして初めて技術と呼べる』をモットーに、エンジニアの業務では先行開発から量産開発まで幅広く関わりながらその技術を残す活動をしています。

技術を扱う企業が成長していくためには、生み出された技術が引き継がれていく必要があり、マニュアルや作業手順書は技術を伝達する手段として有効です。一方で、マニュアルを作る時間がなかったり、使われるマニュアルの作り方が分からなかったりで、多くの企業で口頭のみで伝わっている技術があるでしょう。この連載では、どうすれば使われ続けるマニュアルや作業手順書を効率的に作れるのかを、私の経験を元に紹介していきます。

マニュアル作成の時間を確保する

マニュアル作成において大きな課題になるのが、マニュアルを作成するための時間を確保することです。

  • 同じ作業をこなせる人材を増やすため
  • 作業者によるばらつきをなくし、品質を高めるため
  • 作業を見える化し改善するため

マニュアルが必要な理由は十分に理解していても、マニュアルを作成する時間が確保できずにそのままの状態で仕事をしてしまっている人は多いでしょう。マニュアルを作成する時間を確保するために、次の2点を試してみてはいかがでしょうか?

  1. マニュアル作成によるうれしさを数値化する
  2. マニュアルの作成を教わる側に任せる

それぞれ解説します。

マニュアル作成のうれしさを数値化

担当者はマニュアルの必要性を理解していても上司が理解しておらず、マニュアル作成の時間を確保できない場合があります。そのような場合には、マニュアル作成による効果を数値化する必要があります。私が働く会社では各部に対して、業務効率をどれだけ改善できたか数値で示す必要があります。マニュアルを作成することで業務効率を改善できる場合には数値で示すことで、マニュアル作成のための時間や予算を確保できます。

数値化をする際には、例えば次のように「時間」もしくは「金額」で表現するのがポイントです。

  • 10時間で作成できるマニュアルで、教育時間が1人当たり5時間、10人で50時間削減できる。
  • 20時間(時間単価をかけると約10万円)で作成する作業手順書で、不良発生率が10%下がり年間で200万円程度費用を抑えられる。

このように数値化すれば、そのマニュアルが有効であることは明らかです。大体作成に何時間(何円)かかり、それを作ると何時間(何円)削減できるのかを明確に表現すると良いでしょう。

マニュアル作成を教わる側に任せる

マニュアル作成のうれしさを数値化できたとしても、仕事が忙しすぎてどうしても時間を確保できない場合があります。その場合には、マニュアルを作成する人は、教えられる人に限定する必要はありません。

私の職場では、特定の人に対して専門性の高い業務が集中する傾向があり、他の人がその仕事をできるようになる必要があります。しかし、集中している業務をこなすのに忙しく、マニュアルを作成する時間がありません。このような場合には、マニュアルを作成できる知識や経験がある人が業務を引き継ぐ人に一度教え、その人が教育の一環として作るのも良いでしょう。マニュアル作成を通して引き継ぐ人の理解も深まり、教える人の時間をそれほどかけずにマニュアルを完成させられます。

集中していた負荷を分散させることに加え、他の人の目が入ることでより効率の良い業務の進め方をマニュアルにできる可能性もあります。

マニュアル作成の第一歩は時間確保

作業を効率化したり、負荷分散をしたりするためにマニュアルを作成しようとしても、そもそも時間を確保できないという課題があります。その解決方法として、今回は次の2点を紹介しました。

  1. マニュアル作成によるうれしさを数値化する
  2. マニュアルの作成を教わる側に任せる

次回は、せっかく作ったマニュアルが使い続けられるように、常に最新版にアップデートされるような仕組みづくりについて紹介します。

技術を蓄積するマニュアル作成1.マニュアル作成のための時間確保

現役エンジニアで製造業系ライターをしている一之瀬です。『技術は人に伝えられる形にして初めて技術と呼べる』をモットーに、エンジニアの業務では先行開発から量産開発まで幅広く関わりながらその技術を残す活動をしています。

技術を扱う企業が成長していくためには、生み出された技術が引き継がれていく必要があり、マニュアルや作業手順書は技術を伝達する手段として有効です。一方で、マニュアルを作る時間がなかったり、使われるマニュアルの作り方が分からなかったりで、多くの企業で口頭のみで伝わっている技術があるでしょう。この連載では、どうすれば使われ続けるマニュアルや作業手順書を効率的に作れるのかを、私の経験を元に紹介していきます。

マニュアル作成の時間を確保する

マニュアル作成において大きな課題になるのが、マニュアルを作成するための時間を確保することです。

  • 同じ作業をこなせる人材を増やすため
  • 作業者によるばらつきをなくし、品質を高めるため
  • 作業を見える化し改善するため

マニュアルが必要な理由は十分に理解していても、マニュアルを作成する時間が確保できずにそのままの状態で仕事をしてしまっている人は多いでしょう。マニュアルを作成する時間を確保するために、次の2点を試してみてはいかがでしょうか?

  1. マニュアル作成によるうれしさを数値化する
  2. マニュアルの作成を教わる側に任せる

それぞれ解説します。

マニュアル作成のうれしさを数値化

担当者はマニュアルの必要性を理解していても上司が理解しておらず、マニュアル作成の時間を確保できない場合があります。そのような場合には、マニュアル作成による効果を数値化する必要があります。私が働く会社では各部に対して、業務効率をどれだけ改善できたか数値で示す必要があります。マニュアルを作成することで業務効率を改善できる場合には数値で示すことで、マニュアル作成のための時間や予算を確保できます。

数値化をする際には、例えば次のように「時間」もしくは「金額」で表現するのがポイントです。

  • 10時間で作成できるマニュアルで、教育時間が1人当たり5時間、10人で50時間削減できる。
  • 20時間(時間単価をかけると約10万円)で作成する作業手順書で、不良発生率が10%下がり年間で200万円程度費用を抑えられる。

このように数値化すれば、そのマニュアルが有効であることは明らかです。大体作成に何時間(何円)かかり、それを作ると何時間(何円)削減できるのかを明確に表現すると良いでしょう。

マニュアル作成を教わる側に任せる

マニュアル作成のうれしさを数値化できたとしても、仕事が忙しすぎてどうしても時間を確保できない場合があります。その場合には、マニュアルを作成する人は、教えられる人に限定する必要はありません。

私の職場では、特定の人に対して専門性の高い業務が集中する傾向があり、他の人がその仕事をできるようになる必要があります。しかし、集中している業務をこなすのに忙しく、マニュアルを作成する時間がありません。このような場合には、マニュアルを作成できる知識や経験がある人が業務を引き継ぐ人に一度教え、その人が教育の一環として作るのも良いでしょう。マニュアル作成を通して引き継ぐ人の理解も深まり、教える人の時間をそれほどかけずにマニュアルを完成させられます。

集中していた負荷を分散させることに加え、他の人の目が入ることでより効率の良い業務の進め方をマニュアルにできる可能性もあります。

マニュアル作成の第一歩は時間確保

作業を効率化したり、負荷分散をしたりするためにマニュアルを作成しようとしても、そもそも時間を確保できないという課題があります。その解決方法として、今回は次の2点を紹介しました。

  1. マニュアル作成によるうれしさを数値化する
  2. マニュアルの作成を教わる側に任せる

次回は、せっかく作ったマニュアルが使い続けられるように、常に最新版にアップデートされるような仕組みづくりについて紹介します。