BtoB製造業のブランドポジショニングで差別化を図る方法と成功の秘訣

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業において競争が激化する現代では、ブランドポジショニングは企業の差別化と成功に欠かせない要素となっています。本記事では、BtoB製造業がブランドポジショニングを活用して差別化を図り、成功を収めるための方法と秘訣について解説します。競合他社との差別化を図りたい方や自社の価値を明確に伝えたいと考えている方は、ぜひお読みください。

ブランドポジショニングとは

ブランドポジショニングとは、市場における自社(ブランド)のポジション(立ち位置)を明確にすることです。たとえば「ハーゲンダッツといえば高級なご褒美アイス」「ガリガリくんといえば安くてガツンと冷たいアイス」というように、ブランド名からイメージや印象が思い浮かびます。このブランドポジショニングは、BtoCの商品やサービスに限らず、BtoB企業単位でもポジショニングを設定することが可能です。市場の中で自社がどのような立場でどのような価値を提供しているかを、顧客に明確に認識してもらうことで、他社との差異化をはかることができるのです。

自社独自の顧客層の明確化

まずは、BtoB製造業のターゲット市場を明確化することが重要です。最も自社の製品やサービスが需要の高い市場、つまり自社の提供する製品やサービスに対して最も価値を高く感じてくれる顧客層は誰(どんな企業)かを特定します。そして、その顧客層のニーズや悩みを理解します。合わせて、市場の特性や競合状況を分析し、自社の強みを最大限に生かせるポイントを切り口に、ポジショニングを構築しましょう。

ブランドアイデンティティの明確化

BtoB製造業のブランドアイデンティティを明確にすることも重要です。自社の理念に始まり、ビジョン、ミッション、バリューなどの世界観を明確に定義し、それを顧客に伝えるブランドストーリーを作り上げましょう。製品やサービスだけでなく、企業の存在意義や提供する価値を強調することで、顧客との共感や信頼を築くことができます。特に近年では、SDGsやサステナブル経営、ウェルビーイングなど企業の在り方を問われる時代の変革期とも言われ、企業の方針を示すことは取引先から選ばれる上でも重要な工程です。

独自性の追求

BtoB製造業市場では競合他社との差異を明確に提示し続けるため、独自性を追求することが必要です。例えば、品質の高さ、技術力の優位性、スピーディな納期対応といったメリットをはじめ、他社と異なる着眼点や、そこから生まれるプロ意識の高いサービスを提供しましょう。自社のアイデンティティを発揮し、顧客にとって魅力的な要素を持つ独自の商品・サービスで他社との差異化を図ることができます。

ブランドコミュニケーションの強化

差異化を図るためには、適切なブランドコミュニケーションを展開することが必要です。自社のブランドメッセージを一貫して伝えるために、広告、宣伝、PRなどの手法を活用しましょう。コーポレートサイトを作っておくだけでなく、今まで以上に顧客との関係を築くために、SNSやブログでの発信などを通したオンラインプレゼンスも重要です。顧客との対話やフィードバックを通じて、ブランドへの関与を高めることができます。

持続的なブランドマネジメント

最後に、ブランドポジショニングが明確になったら、この成功を維持するという考えが欠かせません。そのためには、持続的な”ブランドマネジメント”が必要です。市場の変化や顧客のニーズの変動を定点観測し、ブランド戦略を柔軟に見直すことが重要です。定期的なブランド評価や競合分析を行い、改善の余地や新たなチャンスを見つけ出すことが、BtoB製造業が市場で揺るぎないポジションを確立するのに重要なのです。

まとめ

BtoB製造業のブランドポジショニングは、変化の激しい市場において他社との差異化を明確にし、企業成長のための重要な要素です。自社独自の顧客層の明確化、ブランドアイデンティティの明確化、独自性の追求、ブランドコミュニケーションの強化、持続的なブランドマネジメントが成功の鍵となります。適切なブランドポジショニング戦略を構築し、顧客との関係を深めることで、自社の認知度を高めていきましょう。

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ブランディングに欠かせない3つの条件とは?製造業・中小企業の小さく始める企業ブランディング(コーポレートブランディング)

新規顧客獲得!採用活動の充実!など、昨今企業ブランディングの重要性が今まで以上に高まっています。その理由は、新たな顧客からの受注や、優秀な人材の獲得に向けて、ターゲットから選ばれる企業になるためです。そのために各企業はさまざまな施策を展開しています。では、大手企業のように潤沢な資金や、余剰のあるマンパワーを持たない中小企業は、どのような施策を打つべきでしょう。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

ブランディングで得るべきものは「企業に対する信頼」です。この記事では、小さく始めて大きく信頼を得ていくための企業ブランディングについて、欠かせない3つの条件などを挙げながら解説していきます。

ブランディングに欠かせない3つの条件

企業ブランディングを行う上で、欠かせない3つの条件があります。

【1】経営者の揺るぎない思い
【2】良い商品・サービス
【2】伝達チーム

1つずつ解説していきましょう。

【1】トップの揺るぎない志

企業ブランディングのスタートとなるのは「志」です。ブランディングではその過程の中で、さまざまな情報の中かから自社のあるべき姿を判断していくことの連続です。その上でトップの揺るぎない志が中心にあることは損得勘定ではない、企業の本質的な価値を見出すことができるのです。

【2】良い商品・サービス

弊社にブランディングのご依頼をいただくときに困ることがあります。それは、これと言って特徴もなく、改善も行われていない商品・サービスです。ブランディングで誤解されがちなのが、見た目を良くする=売れるようになるということです。たとえデザインを良くしてもそれは見せかけです。初回は依頼されてもリピートされることはないでしょう。ターゲットが「これは良かった」と思って再度購入したり、人に紹介する。そうした信頼の連鎖こそブランディングでは重要になります。ブランディングの大前提として、良い商品・サービスしかブランドになり得ないのです。

【3】伝達チームを作る

ブランディングをするには「良い商品・サービス」があることが必須条件ですが、逆にいうと業界おいて技術No.1のでなくても、競合他社との差異化は可能です。私がこれまで面談させていただいたクライアントの皆さんは、「志」を持ち、良い商品・サービスのため日々研鑽されている方ばかりでした。しかしそんな「つくる」ことに長けたクライアントの皆様の「伝える」ために割くリソースはつくることの1/10程度でした。つくる力が10だとしても、伝える力が1ではターゲットにその価値を伝達することができないのです。

「つくる」と「伝える」の両輪体制を持つ必要性

景気の良かった時代は、「つくる」ことだけやっていれば良い時代もありました。社会全体の役割分担が自然に形成され、「つくる人」「売る人」「伝える人」がそれぞれ分業し、みんなで協力し合って日本経済を回していました。その名残で、今でも日本には「つくる事」にのみ特化した会社がとても多いのです。

かつてのように、経営資源を「つくる」ことだけに集中させていては、会社が良くなることは難しいのです。つまり、これからは自前の「伝達チーム」を持つことが、企業ブランディングの条件なのです。「つくる」と「伝える」の両輪体制を、自社でしっかりと持つことが、ブランディングの差異化要因をきちんと伝言することにつながっていくのです。

企業ブランドを強くする「フォーカス」

伝える力の強いメッセージには、フォーカス(焦点)が絞られているという共通点があります。ブランディングの導入期に失敗しがちなのが、アイディアをたくさん盛り込んだ「全部のせ企画」です。

例えば、営業部からは「自社サービスをわかりやすく、パッケージングしたキャンペーンを打ち出したい」というアイデア。開発部からは「新しく搭載された機能についてより詳しい情報を」といった実に様々なアイデアが出てきます。もちろんどの部署もブランドの為を思っての発言です。しかし、それらのアイデアを全て採用していった結果、伝える力の弱い「全部のせ企画」が誕生してしまいます。そして、この全部のせ企画の厄介な点が、社内誰からも異議が出ないと言うことです。社内メンバーからすれば自分たちの意見が盛り込まれた満足のいく内容かもしれません。しかし、本来伝えるべきであるターゲットにとって読み取りにくい難解なものになってしまいます。

もし企業ブランドを強くしたいと思っているのであれば、相手が最も受け取りやすい伝え方にフォーカスを絞ることが重要なのです。

「売りたい」という下心が、ブランディングを停滞させる

ブランディングを行うのは、商品やサービスの価値を高め購買意欲を高めることも一つの目的です。しかし「売りたい」「買って欲しい」という下心があることで、先に述べたようなフォーカスの定まらない「全部のせ企画」が生まれます。その結果は皆さんのご想像通り、NGブランディングの完成です。

ブランディングで得るものは「企業に対する信頼」です。信頼があるからこそ依頼され、継続的にビジネスパートナーとして選ばれることはビジネスの原理原則です。経営者は下心を捨て、フォーカスを絞ることを選ぶことが、ターゲットからの「信頼」を獲得する最短ルートなのです。

まとめ

「つくる」ことに長けた製造業だからこそ、「伝える」というもう一つの車輪を持つことで、経営を安定させ長く走らせていくことが可能になります。今回の記事を参考に、まずは現時点で自社がブランディングに欠かせない3つの条件を明確に持っているかをチェックしてみることから始めてみましょう。

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WEBサイト作りで考えるコーポレートブランディング | 生産効率を上げるシンプルな方法

会社のウェブサイトを作り直すタイミングは、会社の生産性を見直す最高のタイミングであることをご存知でしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

経営において、現場・自社がどんなブランディング手段で社員や取引先に伝えていくのかを精査するタイミングなのです。この記事では、ブランディング視点から、企業の生産性を上げるシンプルな方法から、現場・営業活動・採用活動における波及効果についてお伝えします。

生産効率を上げる最も簡単な方法

生産効率を上げる最も簡単な方法は、とてもシンプルです。それは、企業の『判断基準』を設けることです。「自社らしい判断」と言う指標を持つことで、どのような事態になっても、経営層・マネジメント層・現場社員といった職位を超えて、意思決定の迅速化、統制の向上を図ることができます。これらの自社らしさはブランド化され、競合他社との差別化にも大きな効果をもたらします。

現場への影響

企業の判断基準が明確になり、企業の内側がブランド化されていくと、現場ではこのような影響が現れます。

1.目標の明確化

明確な判断基準があると、組織や部署の目標が明確になります。目標が明確であれば、それに向かって取り組むことができるため、生産性や成果が向上する可能性があります。

2.意思決定の迅速化

判断基準が明確であると、意思決定が迅速になります。これは、判断基準に基づいて迅速な判断ができるためです。迅速な意思決定は、ビジネスの成長に不可欠です。

3.説明責任の明確化

明確な判断基準があると、組織や部署の説明責任が明確になります。誰が何を担当しているのか、どのような判断基準に基づいて行動しているのか、などが明確になるため、組織内での情報共有がスムーズになります。

4.統制の向上

判断基準が明確であれば、組織内のプロセスや規律が向上します。判断基準に基づいた行動を徹底することで、誰でも同じレベルで作業を行うことができます。

営業活動への波及

企業の判断基準が明確なことは、社内だけでなく社外にも大きな影響を生み出します。効率的かつ効果的な提案ができ、顧客との信頼関係を構築しやすくなるので、営業活動の生産性を向上することができます。

1.顧客ニーズに合った提案ができる

企業が自社のビジョンや目的を明確にしていると、それに基づいた顧客ニーズの把握がしやすくなります。営業担当者は、そのニーズに合った提案を行うことができるため、顧客満足度を高めることができます。

2.説得力のある営業ができる

企業が明確な基準に基づいて営業活動を行っていると、それに基づく説得力のある営業ができるようになります。営業担当者が自信を持って提案できることで、顧客との信頼関係を築くことができます。

3.質の高い提案ができる

企業が判断基準を明確にしていることで、営業担当者は、提案する商品やサービスの品質基準を把握しています。そのため、より質の高い提案ができるようになり、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。

4.販売促進の効果が高まる

企業が明確な基準に基づいた営業活動を行っていると、顧客が商品やサービスを選択する際の基準となるため、販売促進の効果が高まります。例えば、企業のブランディングが明確になっている場合は、商品やサービスの購買に対する顧客の意識が高まることが期待できます。

採用活動へ波及

採用の時点で自社の判断基準・行動指針を明確に提示することで、採用が決まった後に企業側・求職者側が「なんか違った」と言う不幸なミスマッチを防ぐことができます。その結果、情報公開の時点で、企業の方針にマッチした人材に呼びかけができるようになるので、採用前・採用活動中・採用後の生産効率が向上します。

1.候補者の選別が容易になる

企業の判断基準が明確になることで、採用担当者は求める人物像を明確に理解できます。これにより、求めるスキルや経験、人物像に適合する候補者を簡単に選別することができるようになります。

2.採用プロセスがスムーズに進む

判断基準が明確になることで、採用プロセスをスムーズに進めることができます。選考に必要な情報が整理され、採用担当者は候補者に必要な情報を適切なタイミングで提供することができます。

3.採用担当者の負担が軽減される

判断基準が明確になることで、採用担当者は面接や選考に必要な情報を整理しやすくなります。また、候補者に対して求めるものを明確にすることで、採用担当者が候補者に対する期待や評価を適切に伝えることができ、誤解や不信感を生じさせることがなくなります。

4.適切な人材が採用される

判断基準が明確になることで、企業は求める人材像に合致した候補者を選択することができます。適切な人材が採用されることで、企業は業務効率の向上や経営戦略の推進など、様々な面での成果を期待することができます。

まとめ

コーポレートサイトを作り直すときは、企業のブランディングを見直す絶好のタイミングです。
ただデザインを見直すだけではなく、企業の現場、採用活動、営業活動において生産性を高める企業の「判断基準」を明確に提示してみることで、企業の本質的な生産性の向上を目指しましょう。

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WEBサイト作りで考えるコーポレートブランディング | 生産効率を上げるシンプルな方法

会社のウェブサイトを作り直すタイミングは、会社の生産性を見直す最高のタイミングであることをご存知でしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

経営において、現場・自社がどんなブランディング手段で社員や取引先に伝えていくのかを精査するタイミングなのです。この記事では、ブランディング視点から、企業の生産性を上げるシンプルな方法から、現場・営業活動・採用活動における波及効果についてお伝えします。

生産効率を上げる最も簡単な方法

生産効率を上げる最も簡単な方法は、とてもシンプルです。それは、企業の『判断基準』を設けることです。「自社らしい判断」と言う指標を持つことで、どのような事態になっても、経営層・マネジメント層・現場社員といった職位を超えて、意思決定の迅速化、統制の向上を図ることができます。これらの自社らしさはブランド化され、競合他社との差別化にも大きな効果をもたらします。

現場への影響

企業の判断基準が明確になり、企業の内側がブランド化されていくと、現場ではこのような影響が現れます。

1.目標の明確化

明確な判断基準があると、組織や部署の目標が明確になります。目標が明確であれば、それに向かって取り組むことができるため、生産性や成果が向上する可能性があります。

2.意思決定の迅速化

判断基準が明確であると、意思決定が迅速になります。これは、判断基準に基づいて迅速な判断ができるためです。迅速な意思決定は、ビジネスの成長に不可欠です。

3.説明責任の明確化

明確な判断基準があると、組織や部署の説明責任が明確になります。誰が何を担当しているのか、どのような判断基準に基づいて行動しているのか、などが明確になるため、組織内での情報共有がスムーズになります。

4.統制の向上

判断基準が明確であれば、組織内のプロセスや規律が向上します。判断基準に基づいた行動を徹底することで、誰でも同じレベルで作業を行うことができます。

営業活動への波及

企業の判断基準が明確なことは、社内だけでなく社外にも大きな影響を生み出します。効率的かつ効果的な提案ができ、顧客との信頼関係を構築しやすくなるので、営業活動の生産性を向上することができます。

1.顧客ニーズに合った提案ができる

企業が自社のビジョンや目的を明確にしていると、それに基づいた顧客ニーズの把握がしやすくなります。営業担当者は、そのニーズに合った提案を行うことができるため、顧客満足度を高めることができます。

2.説得力のある営業ができる

企業が明確な基準に基づいて営業活動を行っていると、それに基づく説得力のある営業ができるようになります。営業担当者が自信を持って提案できることで、顧客との信頼関係を築くことができます。

3.質の高い提案ができる

企業が判断基準を明確にしていることで、営業担当者は、提案する商品やサービスの品質基準を把握しています。そのため、より質の高い提案ができるようになり、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。

4.販売促進の効果が高まる

企業が明確な基準に基づいた営業活動を行っていると、顧客が商品やサービスを選択する際の基準となるため、販売促進の効果が高まります。例えば、企業のブランディングが明確になっている場合は、商品やサービスの購買に対する顧客の意識が高まることが期待できます。

採用活動へ波及

採用の時点で自社の判断基準・行動指針を明確に提示することで、採用が決まった後に企業側・求職者側が「なんか違った」と言う不幸なミスマッチを防ぐことができます。その結果、情報公開の時点で、企業の方針にマッチした人材に呼びかけができるようになるので、採用前・採用活動中・採用後の生産効率が向上します。

1.候補者の選別が容易になる

企業の判断基準が明確になることで、採用担当者は求める人物像を明確に理解できます。これにより、求めるスキルや経験、人物像に適合する候補者を簡単に選別することができるようになります。

2.採用プロセスがスムーズに進む

判断基準が明確になることで、採用プロセスをスムーズに進めることができます。選考に必要な情報が整理され、採用担当者は候補者に必要な情報を適切なタイミングで提供することができます。

3.採用担当者の負担が軽減される

判断基準が明確になることで、採用担当者は面接や選考に必要な情報を整理しやすくなります。また、候補者に対して求めるものを明確にすることで、採用担当者が候補者に対する期待や評価を適切に伝えることができ、誤解や不信感を生じさせることがなくなります。

4.適切な人材が採用される

判断基準が明確になることで、企業は求める人材像に合致した候補者を選択することができます。適切な人材が採用されることで、企業は業務効率の向上や経営戦略の推進など、様々な面での成果を期待することができます。

まとめ

コーポレートサイトを作り直すときは、企業のブランディングを見直す絶好のタイミングです。
ただデザインを見直すだけではなく、企業の現場、採用活動、営業活動において生産性を高める企業の「判断基準」を明確に提示してみることで、企業の本質的な生産性の向上を目指しましょう。

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脱!御用聞 | 製造業の営業×ブランディング3つのステップ

  • 「受注をとりたくて、また値引きしてしまった…」
  • 「納期が厳しいが受けるしかない…」
  • 「今回は苦しいけれど、きっと次につながるはず…」

このような営業結果が続いている場合は、「技術」と「価値」が結びついていない伝え方をしているのが、原因かもしれません。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

企業が抱える3つの課題

①御用聞き・下請け体制を続けている

長年続く大口顧客との契約。非常にありがたいものですが、もし、売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要です。気候変動や世界情勢による先行きの見えない時代で、ある日突然契約を打ち切られる可能性があります。このようなリスク回避のためにも、御用聞き・下請け体制から提案型の営業スタイルにシフトしていきましょう。

②商談が商品紹介で終わっている

やっと漕ぎ着けた商談でも、顧客に自社商品を魅力的に感じてもらわなければ意味がありません。しかし、商談で自社商品やサービスの紹介で終わっているケースがあります。「買って欲しい」というのはこちらの都合であり、顧客が価値を感じて購入決定するのとは別物です。商談で話している内容が商品紹介だけになっていないか、一度確認してみましょう。

③顧客の真のニーズに触れていない

顧客がほしいのは、「技術」そのものではなく「成果」です。
あくまでも「技術」は手段のひとつです。顧客の本当の目的は、高い技術自体でははく、自社の売上や効率アップだということを忘れてはいけません。 だからこそ、クライアントに本当に響くのは、ビジネスの成果につながる「成果」の提案です。単に製造を請け負う会社としてではなく、自社のブランドから顧客のビジネスを支援するという商談が、一歩進んだこれからの営業のあり方なのです。

営業×ブランディングで解決する3つのステップ

Step.01:既存顧客・休眠顧客へのアプローチ

新規顧客へのアプローチは、既存顧客・休眠顧客に対して5倍のコストがかかると言われています。コストというのは広告などの販促費だけでなく、時間などの人的コストなども含まれます。そこで、効果的なのが既存顧客・休眠顧客へのアプローチです。契約が途切れてしまった既存・休眠顧客に対して伝えていない情報はないでしょうか?まだ伝えていない自社の取り組みや新製品を持ってアポイントを取ることで、取引を再開するきっかけを作ります。

Step.02:事例の言語化・数値化

顧客にとって購入決定の材料となるのが、「事例」です。事例というのは過去に行ってきた案件の中で具体的に引き合いに出すことのできることです。ここでポイントなのが、「言語化」と「数値化」です。まず、技術系企業の場合、自社の技術を当たり前のものと捉えてしまい、端折ってしまいがちな工程もきちんと言語化する習慣をつけましょう。さらに工程において、数値化できるものは徹底的に数字に落とし込みます。そうすることで顧客は、事例からあなたの会社の商品やサービスの効果やメリットを理解しやすくなるのです。

Step.03:顧客のビフォー・アフター

購入決定への意欲をアップさせるために、もう一つできることがあります。それは、Step.02の事例の言語化・数値化と併せて、顧客のビフォー・アフターを伝えることです。顧客のそもそもの悩みは何であるか、またその悩みが解決された顧客はどうなったのか。あなたの会社の商品やサービスの効果やメリットと、顧客にもたらす変化を一連のストーリーとして伝えることができるで、顧客の期待感が増すのです。

裏取りされても慌てない ブランディングで対等な関係を構築する

最後になりますが、営業活動に出る前に、自社のブランドが整えておくこともポイントです。なぜなら営業活動ではアポイントが取れた直後に商談というケースは少ないものです。そのため、相手はアポイント獲得から商談までの間に、あなたの会社や事業の情報、お客様の声などの情報を事前に収集する、「裏取り」をしています。絶対に受注を取りたい商談の前でも、裏取りにも慌てないように日頃からブランディング施策を行うことで、営業活動も効果的に行うことができます。

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製造業のポジショニング戦略/差別化を超える3つのポイント

「顧客からもっと選ばれるように、会社の認知活動をしよう!」

と意気込み、WEBサイトの作成や、SNSの立ち上げ、WEB広告の運用などに、思いつくまま費用を投じてしまっていないでしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

こういった活動も効果がないわけではありませんが、実はこれらの認知活動を始める前にやるべき事があります。それは、自社の業界における「ポジション」を定める事です。

顧客は、原材料だけでなく人件費のなどあらゆるコストが高騰する現代において、企業成長を支えてくれるビジネスパートナーを求めています。だからこそ会社の規模に関わらず、自社だけのニッチな領域を見つけ出し、自分たちが最も得意とする市場でシェア1位を目指す、効果的なブランディング戦略を用いる必要があります。

ポジション戦略をするメリット

ポジション戦略をすることのメリットは、競合他社を無くなる事です。自社だけしかいないニッチトップになることで得られるメリットについて詳しく3つの観点からお話しします。

①競合他社との差異が明確になる

競合他社の商品・サービスに目を配ることなく、独自の領域に対してより専門性を深めていくことが可能です。

②購入意欲が高い顧客からの問い合わせ

自社の専門性や、得意領域を明確に提示できるようになると、「○○の△△ならここに聞けば違いない」という、事前に下調べを済ませた顧客から問い合わせが来るようになります。

③顧客満足度が高まる

顧客自身が求めていた商品・サービスが、相談から依頼・納品まで受け続けることができるので、自然と顧客満足度が高まります。

独自ポジショニングを確立する3つのポイント

ニッチな領域を見つけ出すということは、自社が最も役に立つ場所(ポジション)を定めるということです。やり方としては、自社が影響を及ぼす範囲を「どの業界の」→「どの工程の」→「誰にとっての」というように、どんどんとピントを絞っていくイメージです。その上で、やってはいけない3つのポイントをご紹介します。

1.価格だけで勝負しない

価格だけを打ち出すことは、確立しようとしているポジションに競合他社の参入を許す要因になります。

2.技術力だけで勝負しない

技術力だけを打ち出すことも、競合他社の参入を許す要因になります。せっかく築いたポジションも、競合他社が最新の機械装置を導入した事によって、1位をすり替えられてしまうケースもあります。

3.なんでもできますと言わない

差異を明確にすることは、自社でやらない領域を明確にすることでもあります。新しい知識や技術を習得することは長期的にはメリットがありますが、短期的な視点では作業を効率化できず、コストがかさんだり、競合他社に負けてしまうことも考えられます。

技術力×顧客サービスで創る独自ポジション

先にも述べたように、顧客は企業成長を支えてくれるビジネスパートナーを求めています。だからこそ、自分たちの技術に固執することなく、技術に裏付けされた知見を持ってできる顧客サービスが新たな価値を生み出します。ただ作るだけではなく、顧客のビジネスに対して先回りした商品・サービスは技術力一本で勝負してきた中小企業であっても、短期間で技術力だけでなく顧客サービスの比重を増やして、価値を高めていくことは不可能ではありません。自社を客観的に調査し、他者との差異を明確にしたポジショニングによって、自社の強みを最大限に生かすことができるか考えてみましょう。

広域的な広告活動をするよりも、自社のポジションを明確にしてからブランディングや認知活動を集中的に行うことで、短期間で効果を得やすくなります。自社だけのニッチトップ領域を創り、経営に効果的な認知活動を行いましょう。

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わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング

岩手缶詰株式会社と岩手県産株式会社によって製造されるオリジナルブランドの加工品「サヴァ缶」をご存知ですか?食感の良い鯖のオリーブ油づけが、目を惹くパッケージデザインで、わずか7ヶ月で10万缶売れた人気ブランドです。しかしこの人気のブランドというポジションは、技術力だけで勝負に出たのではなく、戦略的なブランドづくりの末に作り上げたものでした。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

技術力 ≠ ブランド力

「ものづくりは得意、でもブランドづくりは苦手」

これは多くの日本企業が共通して抱える悩み事です。質の高い商品やサービスを提供する「ものづくり」に対して自信や誇りを守る企業は多いですが、それを「価値」として広める「ブランドづくり」に対して苦手意識を持つ傾向があります。そのため、技術はあるのに思ったように売れない。という”誤解”が生まれてしまいます。

売れるブランドの正体とは?

ここで共有しておきたいのは技術があるから技術力と売れることは直結しないということです。

•良い商品・サービス ≠ 売れる
•高い技術力 ≠ 売れる

そもそもブランドとは、自社商品の目印に過ぎませんでした。しかし今では「このブランドの商品なら間違いない」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印となっています。同じ材料・同じ品質で仕上がった製品でもブランドの信用度によって価格は2倍にも3倍にも変化します。

このように売れるブランドの正体は、顧客からの信頼です。重要なことは高い技術力を保持することではなく、その技術力を持って顧客にとっての価値ある商品・サービスを提供できることなのです。

わずか7ヶ月で10万缶  Ça va?缶(サヴァ缶)のブランド力

2013年の発売以来、1000万缶を製造する人気ブランドとなった Ça va?缶(サヴァ缶)。海外ブランドのような目を惹とパッケージと、「サバのオリーブ油漬け」という組み合わせが話題を呼び、発売以来多くのファンに支持されるブランドとなっています。しかしこのブランドの開発のきっかけは、東日本大震災で被災した漁業者らを支援するべく、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことでした。

そこで「鯖を水揚げし、缶詰に加工する技術」を、より多くの顧客に支持されるためのブランド開発がされました。

当時、水煮やみそ煮が一般的だった日本のサバの缶詰の市場に対して、オリーブ油漬けという構想に始まり、鯖の缶詰に馴染みがない消費者への確かなニーズを掴むべく、パッケージデザイン・価格や味付けなどを、消費者を対象にした大規模なインタビュー調査が実施されました。このような顧客にとっての価値を生み出す”ブランド視点”を丁寧に追求して言った結果、発売当時、鯖の缶詰の市場平均が200円前後だったのに対して、360円(税抜)という高めの価格設定も払拭し、発売以来人気ブランドとなっている。

企業価値を高める ブランドの持つシナジー(相乗)効果

ブランド力を高めることは、直近の売上拡大への効果と、中・長期的に顧客から信頼を寄せられて支持され続けるという、企業経営における「攻め」と「守り」にシナジー効果をもたらします。

もちろん、商品・サービスを提供するにあたって、技術力は必要です。ですがそれ以上に重要なことは顧客が支持したいと思う価値ある商品やサービスを創り出すことです。

「価値を創り、ブランド力を高め、技術力でファンにする」

ブランディングにおいて優れたデザインやSNSはあくまで価値を伝えるためのツールのひとつです。目まぐるしく変わるこれからの時代において、企業は規模に関わらず、顧客からの信頼を構築していくアクションが求められています。顧客が求める物事の本質を捉えるか否かが、今後の経営の分かれ道です。

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製造業にも効果的な 採用ブランディング

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

「募集を出しているが、良い人材になかなか出会えない」と思いながらも、日々の業務が忙しく、なかなか採用活動を見直せない、という悩みを抱える企業の代表・採用担当者は少なくありません。今回は、自社の魅力を十分に伝え、採用したい人材を獲得するために重要な「採用ブランディング」の重要なポイント、またその手順やポイントについてお話ししていきます。

採用ブランディングとは

まず「採用ブランディング」とは、採用力を強化するために自社の“ブランド力”を高めることです。そして、ブランド力とは「相手から信用される力」です。高い技術や次世代の担い手への思いも発信することで初めて相手から理解されます。だからこそ自社の良い点を新卒者や中途採用希望者から信用される発信を意識的に行なっていく必要があるのです。

なぜ製造業にも採用ブランディングが必要なのか

採用ブランディングの最大の目的は「自社の事業戦略を共に進められる人材の採用」です。しかし、採用活動市場は、依然として求人数に対して民間企業就職希望者数のほうが少ない状況です。 少子高齢化による労働人口の減少、ライフワークバランスの見直しによる価値観は多様化が影響し、通年採用や転職が当たり前のこととなっています。

実際に2023年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の全国の民間企業の求人総数は、70.7万人であるのに対し、学生の民間企業就職希望者数は、44.9万。民間企業就職希望者数に対して、求人総数が25.8万人の超過需要であるという調査結果も出ています。

このような状況において、会社の規模は関係ありません。自社の事業戦略に必要な人材を獲得するために、企業は自社が就職希望者に対して“魅力的な働く場”であることを伝える必要があります。

そのために、「自社の理念や哲学」、「自社の製品やサービスが社会に与える影響」、「社内風土」「キャリアプラン」などを伝え、自社のブランド力を高めることが重要なのです。そしてこれらのメッセージが、自社の求める理想の人材に確実に届くよう、戦略的なタッチポイントを作ることが欠かせません。

製造業が採用ブランディングを行うメリット

製造業が採用ブランディングを行うのには大きく4つのメリットがあります。

  1. 企業規模に関係なく実施可能
  2. 自社が求める候補者を集めやすい
  3. 人材が定着しやすくなる
  4. 機会損失を防ぐ

採用ブランディングは企業の規模感は関係なく、最低限のコストで実施することができます。例えば自社の採用サイトとSNSを駆使するだけでも就職希望者に対するブランド力を高めることが可能です。また、採用活動がスムーズに進むことは、日々の業務に対する負担も減ります。他にも人的リソース管理がしやすくなるので、中期的な事業計画も立てやすくなるため、営業活動における機会損失を防ぐことにもつながります。

採用ブランディング実施方法

採用ブランディングで活用される代表的な発信手段として、採用サイトやSNSの活用が思い浮かぶかと思いますが、それらをスタートする前にやるべきことがあります。

STEP.01 現状の「タッチポイント」をチェック

まずは自社のブランド力の現状を理解するため、就職希望者が自社について調べられる接点「タッチポイント」を確認します。企業のホームページ、採用サイト、S N S、クチコミサイトなどから、現在の自社のイメージを確認します。

STEP.02 「誰に」「どんなメッセージを伝えるか」考える

採用ブランディングでは「自社の事業戦略を共に進められる人材の採用」にメッセージを届けることが重要です。そこで、自社にとってのペルソナ(理想的な人物の詳細)を設定し、その人物が企業で成したい感情的な欲求を言語化します。

【例】

  • 〇〇がしたい!
  • 〇〇と言われたい!
  • 〇〇を思われたい!
  • 〇〇に挑戦してみたい!

これらの感情的欲求を持つペルソナが、入社後活躍しているイメージが持てるかがペルソナ設定の重要なポイントです。

STEP.03 「採用サイト」「SNS」で情報発信

STEP.01.02ができたら、実際に採用サイトやSNSでメッセージを発信します。この際、採用サイトは豪華である必要はありませんが、デザインが企業のイメージに合っているか、就職希望者が見て自社に入社したいと思えるかを確認しましょう。

STEP.04 採用ブランディングについて自社の社員と情報をシェア

採用ブランディングを行うにあたって、自社の社員と情報を共有することも重要です。採用ブランディングでは自社の強み、これからの展望を明確にする作業でもあります。それらの情報を社員と共有することによって、企業風土の醸造にもつながります。

短期的・中期的な視点が重要

採用ブランディングで見落としてはいけないのが”スケジュール”です。採用活動は、今日発信したからといって早速明日から応募が来る、というものではありません。事業計画と照らし合わせて、短期的・中期的な視点で、発信の計画を立てることが重要です。しかし採用ブランディングは、多大なコストをかけなくても、正しい手順で実施することが可能です。ぜひ自社のブランド力を高める採用ブランディングを実践してみてください!

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BtoB営業に効果のあるD2Cブランド 相乗効果が上がる”仕組み”とは?

DtoCブランドの立ち上げは、BtoB営業に効果が出てこそ初めて本当の真価を発揮します。今回はBtoBに効果のあるD2Cブランドの考え方についてお話ししていきます。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

2018年以降、「AIが人の仕事を奪う」という旨のセンセーショナルなメッセージが各業界に大きな波紋を呼んでいます。製造業もその業界の1つです。社員の生活を守るためにも、安定した売上を確保に向けて、各社で新しい設備の導入や、商社的機能の強化などを行なっています。他にもDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める企業も多く目にするようになってきました。

そんな中で、各社の経営課題として議題に上がるのが、『新規顧客開拓』です。確かに新設備や商社的機能の充実は、取引先にとってのメリットであり、企業を選ぶ際の魅力の一つになります。しかし、上記のような事業改革は、費用の面や人材育成などの面で、企業に大きな負荷を与える可能性があります。しかし、従来の営業活動を続けていくだけでは、『新規顧客開拓』を達成までに時間がかかります。

そこで注目したいのが、「顧客が選択したくなる企業価値」とは何か?というポイントです。

これからの時代は、「何を」買うかではなく、「誰から」買うかが問われます。そのため企業は「なぜ我々から買うべきか」と言う明確なメッセージを提示する必要があり、企業が生き残る上での重要な経営課題とも言えるのです。

DtoC単体で稼ぐのではなく、BtoBとのシナジー効果

「顧客が選択したくなる企業価値」を発信する方法としてDtoCブランドの立ち上げという方法があります。なぜならBtoB向けの事業ではビジネスでは発注者・受注者という無言のパワーバランスが発生してしまいますが、DtoCブランドをリリースする上では、インターネットや独自の媒体を利用して、

  • 自社技術の美味しいところ
  • 商品をリリースするに至ったメッセージ

自社の魅力(企業価値)をストレートに、しかも2つ同時に表現することができるからです。

しかしDtoCブランド開発のご相談を受ける中で圧倒的に多いのが、「売れるためのブランティングはどうしたら良いのですか?」または「売れるようにSNSを頑張りたいのですが、どうしたら良いですか?」と言った”見た目”に関することです。良いDtoCブランド商品というのは、顧客の生活にデザイン性や直感的な楽しさを与えるエンターテイメントの側面だけではなく、その機能性を裏付けるBtoB事業で培ってきた”技術力”とのバランスが取れていることです。

DtoCブランドリリースによる社会的信用確立

また、DtoCブランドのリリースは、直近の企業のブランド力を上げるためのものだけではありません。近年、世界各国で掲げられた「SDGs (持続可能な開発目標)」や、環境保全や地球への環境負荷に配慮した「エシカル」というキーワードを目にする機会が多くなったと思います。そこで、私たちはオープンな情報環境において、DtoCブランドというものづくりを通して「新しい価値」をメッセージとして発信していくことができます。それらのメッセージは企業の社会的信用を確立することにもつながります。

「DtoC一般顧客×BtoBビジネス顧客」効果を掛け合わせて提供価値を構築する

しかし、全ての企業で「早速DtoCブランドを立ち上げましょう!」ということではありません。なぜなら、自社のBtoB事業に相乗家効果を与えるものでなくては意味がないからです。だからこそ、DtoCブランドの立ち上げは、リスクを減らした『スモールスタート』で始めましょう。決してプロモーション主体で行うのではなく、本来のBtoB事業やDtoCブランドの開発に関わる人たちが情熱を超えた物づくりに取り組むことによって、より大きな相乗効果を生むことにつながります。

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BtoB製造業の「ブランディング」 優良顧客獲得には”技術×姿勢”でアピールを最適化

今回は、不安定な状況が続く現代で、企業が利益を確実に上げていく企業価値のアピール方法についてお話ししていきます。原油高が急速に進み、燃料・原材料価格の高騰が続く中で、企業は今まで以上に利益を確保することが求められています。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業にとって、原材料費価格変動は会社の業績に直結します。しかしこの変動のビッグウェーブはいつ訪れるか、もしくは立て続けに訪れる可能性もあります。

  1. コストカットして値上げをせずにやり過ごす。
  2. 原材料費の値上げについて先方に説明する。
  3. 自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる”優良顧客”と繋がる。

いかがでしょうか?もちろん1は現実的ではありません。2も1回目の説明はスムーズに進んでも2回目・3回目の値上げの際に関係が途絶えてしまう可能性もあります。そこで、私たちが今からできる対策として『3自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる”優良顧客”と繋がる。」という考え方があります。

BtoB企業に取っての「優良顧客」とは何か

まず先に「優良顧客」について、ここでの定義をしておきます。

【優良顧客の定義】

  1. 御社の技術を信用して仕事を依頼してくれる。
  2. 長く付き合いができる。
  3. 発注者、受注者が対等な関係と捉えている。
  4. 業界知識やリテラシーがある。

いかがでしょう?多くの人が考える良い会社の定義として、自社の事業だけを伸ばすのではなく、業界に対しての自社ができることを考えられる企業ではないでしょうか?そして、自社でもこういった顧客とつながることが多ければ、経営面でも精神面で安定を獲得できるイメージができますよね。

自社の技術を”15秒”で説明できますか?

「優良顧客」を含め、多くの人は一度に多くの情報を受け付けることができません。会社のアピールを最適化するために、伝える情報を「15秒に厳選する」という方法があります。
15秒というと、約60文字くらい喋ることができます。感覚として短いテレビCMと同じ長さ(番組提供枠のCMは30秒)だと覚えておくと良いでしょう。

製造業では市場ニーズから、技術の横展開をしていった結果「自社の核となる技術」の存在が薄れてしまったり、対応可能な技術の全てを伝えようとするケースがあります。しかし、人が一度に聞き取れる情報、さらには記憶しておける情報はとても少ないのです。伝えるべき情報を厳選し、繰り返し伝える方が、受け取る相手にとって印象に残りやすいのです。

自社の姿勢を”開示”していますか?

この記事を読んでいるあなたは、「価格」や「短納期」だけで自社を選んで欲しくはないと思っているのではないでしょうか?製造業の技術は一朝一夕で獲得できない、”価値あるもの”です。だからこそ「安く買う」を目的にした顧客から目をつけられてしまうことは危険です。

そういった危険な顧客から目をつけられず、「優良顧客」を惹きつけるためには、会社として開示しておかなければいけない情報があります。それは「自社の姿勢」です。

【例】

  • 精度に自信がある
  • 多品種小ロットに自信がある
  • 企画から相談に乗れる

同じ技術カテゴリーの競合他社でも、技術習得にはそれぞれ”背景”があります。そしてその背景は、創業時期・地域・社長の個性などから、1社1社全く違います。

実は、「優良顧客」にとって、同じ技術カテゴリーから自社のパートナーとなる企業を探すのは実は重労働なのです。そこで、あなたの会社が「どのような技術」×「どのような姿勢」であるかを意識的に開示することができれば、「優良顧客」の目に留まりやすい状況を作り出すことができるのです。

”技術×姿勢”でアピールを最適化

「優良顧客」も目まぐるしい時代の変化の中で、自社の成長を支えるパートナーを探しています。その上で、あなたの会社が持つ幅広い技術の中でも「核となる技術」と、その技術を裏付ける「自社の姿勢」を意識的に提示することは必須です。対面でもネット上でも漏れることなく、自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる優良顧客と繋がるアピールの最適化を行いましょう。

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製造業のための失敗しないD2C入門。D2Cにも種類があるのを知っていますか?

D2Cブランドには大きく分けて2つの型があります。これから話す2つの型の違いは、「顧客が得たい体験」です。この2つの正体を把握しておくことで、D2Cブランド立ち上げの失敗を未然に防ぐことができます。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

D2Cブランドは立ち上げだけでなく運営にも、時間・お金・マンパワーがかかります。だからこそ自社のブランドを長く愛されるブランド育てるための戦略を、始める前に理解しておくことが重要です。

【使い切る】デイリーブランド型D2C

ここで話すデイリーブランドとは、食品や日用品などの使って消えるような、いわゆる「消耗品」を指します。このデイリーブランド型のD2Cビジネスは、商品が顧客の生活の一部となって一人ひとりに何度も購入されることで成立します。

そして、顧客がデイリーブランド型のブランドに求めることは「快適な日常」です。そのため、サブスクリプションしやすい商品設計・商品訴求が重要です。

【デイリーブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 買い続けられる価格設定
  2. 使い続けることで快適な生活を維持できる機能
  3. 買い続けることに面倒がない仕組み

【形が残る】スペシャリティブランド型D2C

ここで話すスペシャリティブランドとは、使用し続けても専門的な形や性能が残るものを指します。多くの製造業が挑戦しているのはこの型です。上記のデイリーブランドとは異なり、使い続けても無くならない性質があります。このカテゴリーでは機能性や耐久性に優れ、一般より高価格な商品が展開されています。

しかし機能性・耐久性に優れて長く使えるということは、言い換えるとなかなか買い換えないということでもあります。つまり、顧客が一度購入したら、次の商品の買い替えまで長く時間がかかるので、回転率が悪いため、ビジネスモデルとして考えたときに、一時的に大きな売り上げを上げられても、継続的な収益があげづらいことから、ブランド立ち上げに苦戦するケースが多いのです。顧客にとっても「特別な買い物をしたい」という願いがあります。そのため、スペシャリティな商品には、長く使ううちに“人に自慢したくなる仕掛け“が必要なのです。

【スペシャリティブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 高価格でも買いたくなるブランドの世界観
  2. 思わず人に話したくなるスペックやデザイン
  3. 顧客との中長期的コミュニケーション

製造業のためのD2Cビジネスブランディング

1人の顧客が連続して購入するデイリーブランド型のサブスクビジネスと異なり、スペシャリティブランド型は1人のコアなファンが次のコアファンを呼び寄せるブランディングが重要です。イメージしやすいのは、あなた自身しよしているお気に入りの品物にまつわる、出会いと現在に至るエピソードです。少し高いかな?と思いながらもワクワクしながら購入した時の気持ち。そして今も気に入って使い続けているシーン。また、その様子を見た友人が「それいいね。」と声をかけてくれたことなどです。

スペシャリティブランド型は、まるで波紋のようにコアな商品をコアなファンが愛用し、コアな仲間が集まってくる仕組みづくりによって、買い替え需要が少ないスペシャリティブランドでも、上記の図のように、常に顧客が途絶えない導線設計をすることが可能になるのです。

まとめ

デイリーブランド型は、継続して購入される価格設定と機能、私して継続して購入したくなる発信時期と内容が重要です。一方スペシャリティブランド型は、使い続けられるスペックとアフターフォローの仕組み、そして長く使い続けたくなる特別感・ブランドの世界観の発信を心がけることが欠かせません。自社商品が、どちらのタイプかを見極めて、顧客に愛される商品設計・商品訴求を考えましょう。

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製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由

デザイン性の高いホームページは、新規顧客獲得・休眠顧客との関係復活・採用活動における優秀な人材獲得など、企業にとってさまざまな効果をもたらします。しかし「技術が売り」である製造業にとって、ホームページのデザイン性はどの程度必要なのでしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業のホームページリニュアルの話をすると

  • 「あそこの社長は若いから、見た目にこだわりがあるのだろう」
  • 「うちは、デザインなんて言うのは柄じゃないから必要ないよ」

と言って、デザイン性を高めることに対して敬遠されるケースが多々あります。

しかし本当は、技術がある製造業こそホームページのデザイン性にこだわることが重要です。なぜなら多くのお客さんは心理的にデザイン性の高いページを熱心に閲覧する傾向があります。そこで今回は、ブランディングの視点からホームページのデザイン性と営業力の関係について話をしたいと思います。

なぜホームページにデザイン性が必要なの?

まずこの記事でお話しする「デザイン性が高い」ことに対して3つの定義をお話しします。

  1. 視覚的に好感がもてる
  2. 事業内容とビジュアルに一貫性がある
  3. 事業内容がわかりやすく掲載されている

いかがでしょう?テキストだけで並べると想像が湧かないかもしれませんので、この3つの定義を、営業担当を想像してみましょう。

  • 清潔感のあり、好感の持てる服装や髪型をしている。
  • 商品やサービスに対して過小評価や過大評価をせず、誠実に話してくれる。
  • 自社技術や業界知識についてわかりやすく説明してくれる。

この営業担当にだったら仕事を頼んでみたいと思うのではないでしょうか?製造業のホームページも同じように「話を聞いてみたい」「仕事を依頼したい」と思われる視覚的要素やわかりやすいコンテンツの設計が欠かせないのです。

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由は下記の通りです。

  1. 良いビジュアルの一般化
  2. 細部へのこだわり
  3. お客さんの負担を軽減

詳しい内容を一つずつ解説していきます。

1.良いビジュアルの一般化

日本におけるデザインの進化は年々早まっています。私たちは日常的に「かっこいいホームページ」「美しいホームページ」を見慣れています。つまり、皆さんのお客さんにとっても良いデザインは「普通」のものになってきていると言うことです。

飲食店でも、10年ほど前にはたくさんあった少し汚い、言い換えると味のある定食屋や焼き鳥屋なども、ずいぶん減ってきましたよね。現代では綺麗なお店には美味しい料理があると言う考えが一般化してきたのです。企業のホームページでも同じように、良いデザインの会社は良い仕事をしてくれると言う印象を持たれやすいのです。

2.細部へのこだわり

ホームページというのは、日常の業務で表すと大抵が最後のステップになることが多いものです。日々の生産、営業活動、事務作業、人事管理と業務を進めてやっと手をつけられると言う方も多いのではないでしょうか?だからこそホームページのデザイン性は、仕事の最後、細部まで手を抜いていないかと言う判断基準に関わるのです。忙しくてつい後回しにしていることは、いつか大きな歪みを生む可能性があります。日々の生産におけるこだわりを、お客様の目に届くホームページでも同じように表現することが重要です。

3.お客さんの負担を軽減

お客さまは数ある競合他社から、より良い取引先を見つけたいと思っています。しかし、お客さんが口コミや紹介以外で取引先を探す際、「1番手前にある情報」から取引先を精査しなければいけません。その1番手前にある情報とは現代ではホームページなのです。

ホームページのデザイン性によって、皆さんの会社がお客さんの選考から外れてしまうことは、自社にとってもお客さんにとっても機会損失になってしまいます。だからこそ事前にホームページのデザイン性を高めておく必要があるのです。

まとめ

先の話でホームページを営業担当で例えた通り、現代においてホームページは、お客さんが最初に目に入れるあなたの会社の営業担当なのです。

自社のこだわりの技術や、製造に対する思いがお客様の目に留まり、話を聞きたいを思われるデザイン性の高いホームページ制作を心がけましょう。

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マーケティングとWebマーケティングの違いについて

テクノポートの井上です。今回はマーケティングとWebマーケティングの違いについて説明します。

マーケティングとは

マーケティングとは一言で説明すると、売れる仕組みを作ることです。「売り込みをしなくても自然に売れる状態を作ること」が目的です。マーケティングを実践するためには、ターゲットの選定、ターゲットのベネフィットを想定し、競争優位性のある自社の提供価値が何かを定義することが必要になります。

Webマーケティングとは

マーケティングとWebマーケティングの違い

Webマーケティングはマーケティング活動の一部です。「Webマーケティング」は、Webサイトを用いたマーケティング活動のことで、サイトを作成して、コンテンツを増やし、SEO・広告などを考え、商品の購入や問い合わせへとつなげていく施策です。

Webマーケティング戦略という言葉があるように「戦略」ですが、Webという実行手段をどう活用するかという戦術的な意味合いも含んでいます。

よく似たような言葉としてデジタルマーケティングがあります。WebマーケティングがWebに限定しているのに対し、デジタルマーケティングはWebにとどまらず、アプリやIoT、MAなど、さまざまなデジタルテクノロジーが対象となる手法です。Webもリアルも含めさまざまなデータを統合し、売れる仕組みを作ることを「デジタルマーケティング」と言います。

Webマーケティングの手法としては、主に下記が挙げられます。

  • SEO(検索エンジン最適化)
  • 広告
    リスティング広告
    バナー広告
    アドネットワーク広告
    アフィリエイト広告
    リターゲティング広告
    SNS広告
  • メールマガジン
  • SNS

Webマーケティングの重要性が年々高まっている

企業のマーケティング活動の中で、Webマーケティングの重要性が年々高まっています。その理由として、インターネットの普及による社会環境変化があります。インターネットの普及により、ECサイトやネットショッピングが一般的になり、Webマーケティングも急速に拡大しました。ユーザーが情報を集めるための手段は紙媒体などからWebが主流になり、販売側もそれに合わせ、自社をPRする場所はリアルからWebに移りつつあります。

昔は毎年の一大イベントだったモーターショーですが、最近は参加メーカーの減少や規模の縮小が見られるようになりました。その原因は、インターネットやSNSの影響と言われています。わざわざそこに行かなくても、情報が簡単に入手できてしまうためです。

Webマーケティングのメリット

Webマーケティングのメリットは以下の通りです。

高い効果が見込める

ユーザーの探索フィールドがWebのため、そのフィールドでPRすることは、必然的に結びつく可能性が高くなると言えます。

他の手法に比べコストが安い

展示会、直接の営業、雑誌広告などと比べ、圧倒的に低コストですぐに始めることができます。

戦略が立てやすい

キーワード調査を使った需要調査、他社Webサイト分析による競合調査など、リアルで行うと非常に時間とコストがかかる部分が、Webでは数値として簡単に分析可能です。そのため3C分析からの戦略が立てやすくなります。

効果測定がしやすい

問い合わせにつながったかどうかだけではなく、問い合わせにつながる前のユーザーの行動の分析も容易にでき、さまざまな数値で効果測定が可能です。

Webマーケティングを行う上での注意点

前述の通りWebマーケティングはマーケティングの一部です。ECサイトとは違いBtoBの場合、Webだけで営業活動が完結することはなく、マーケティング活動との連動が重要です。

Webマーケティングでは顧客接点を多く設け、商談のきっかけを多く作ることはできます。しかし、実際にそれが受注に結びついたか?事業に合った問い合わせか?など、営業体制や、訴求内容と会社の提供価値がマッチしているかなど、Webだけでは分析できません。最後のクロージングまで分析し、それをもとに再度Web上に施策として反映させていく必要があります。また、場合によってはその分析結果をもとに、マーケティング戦略自体を見直す必要もあります。

最近では扱うためのデータが年々多くなっているため、効率よく、リアルのマーケティングとWebマーケティングを連動させるためにデジタルマーケティングが注目されています。

Webマーケティングで成果が出た次のステップでは、多く獲得できた顧客接点をその時だけで終わらせないための仕組みが必要となります。それがデジタルマーケティングです。

マーケティングとデジタルマーケティング、Webマーケティングの違いについて説明しました。参考にしていただけたら幸いです。

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【D2Cブランド】立ち上げに成功するための「ファンづくり戦略」とは

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

売上拡大、自社の認知度アップなど、さまざまな効果が期待できるD2Cブランドですが、良い商品を作れば必ず成功するわけではありません。D2Cブランドを成功させるために最も重要なことは、高性能なハイスペック機器でもなく、奇抜でおしゃれなデザインではないのです。それは「いかにファンを作るか」ということです。

今回の記事では売上拡大の大きな要因でありながら、中小企業が苦手分野と感じる「ファンづくり」について詳しく解説していきます。

D2Cのビジネスモデルとは

まずD2Cのビジネスモデルについておさらいしておきましょう。D2CとはDirect to Consumerの略で、メーカーが自社で企画・製造した商品を、小売店や代理店、またネットモールといった仲介業者を介さずに、自社ECサイトなどを通して消費者とダイレクトに取引する販売方法を指します。従来の仲介業者を介する場合に比べると、自社のブランディングやコスト削減、さらに継続的な顧客との関係構築などの効果が期待できるため、ここ数年で多くの企業が採用しているビジネスモデルです。

D2Cブランドで成功するためのファンづくり戦略


D2Cブランドでは、小売店やネットモールが行っているお客さんが集まる仕組み、つまり「ファンづくり」の工程も自社で行う必要があります。そのために必要なことは、「顧客視点の段階的誘導」です。

D2Cブランドの立ち上げは、全く無名のブラントを多くの人に知ってもらうことからスタートします。ブランドが認知され、理解され、手に入れたいと思われるためには、顧客の視点を段階的にあげていく接点づくりをします。

①発信時期の設定

D2Cブランドの立ち上げで重要なことは、いかに顧客に認知してもらうことです。「顧客視点の段階的誘導」では、ブランドの認知活動を効果的に行うための「期待感が盛り上がる発信のタイミング」を掴むことが重要です。これのタイミングを有効に使えるか否かは、ブランドの成長を大きく左右します。

  • タイミング1.開発時
  • タイミング2.リリース前
  • タイミング3.リリース後

タイミング1の開発時の発信では、試行錯誤やブランドコンセプトなど「なんだか面白そうなことをやっている」という、様子を覗ける発信が重要です。これは顧客の立場に例えると、行ってみたいお店を窓からチラチラと覗くような感覚に近いでしょう。

そしてタイミング2のブランドリリース前では、開会宣言を行います。タイミング1で興味を示してくれた顧客に対して「これからお祭りが始まります。皆さんで一緒に盛り上がりましょう!」とお店の中に呼び込んでいくイメージです。

タイミング3のリリース後では、顧客への感謝を伝えます。購入した顧客にとって「おかげさまで、たくさんの支持をいただいています」といった内容のメッセージは、自身の選択した物事への安心感や期待感、そしてブランドとの一体感を感じることができます。また、このリリース後の発信はまだ購入していない顧客候補者たちに対しても「自分もその輪に入りたい」という更なる期待感を集めることにつながります。

②顧客像(ペルソナ)の設定

D2Cブランドの成功には、不特定多数のフォロワー獲得以上に熱狂的なファンの育成が重要です。①発信時期の設定を効果的に行うためには顧客像(ペルソナ)の設定が欠かせません。

しかし、こういった顧客像を想定するとき、多くの企業では「ターゲット」を設定することが多いかもしれません。ターゲット設定は、30代男性会社員、40代女性の主婦のように性別や年齢などの属性でセグメンテーションする方法です。

しかしD2Cブランドを成功させるためには、それでは十分ではありません。ニーズをより深くセグメンテーションすることが必要です。そのために行うことは、たった1人のユーザーを設定し、その人物が叶えたいことを徹底的に考えることです。

顧客像を明確することは、より心に響くメッセージや商品開発など、マーケテイング施策が可能になり、自社ブランドの熱狂的なファンを育成することができるのです。

③媒体の設定

顧客像が明確になったら、次にすることはその顧客とつながるための発信活動です。発信活動でのポイントは、ペルソナの読みやすい媒体を選ぶことです。よくSNSをとにかく頑張ればファンが作れると思ってアカウントを開設する企業があります。しかしD2Cブランドを成功させたいなら、自社ブランドのペルソナにとってどの媒体が一番読みやすいのかを考えることが重要です。Twitter、Instagram、ブログなどのSNSだけでなく、紙媒体であるパンフレット、お手紙などさまざまな媒体があります。その中から、ペルソナが自社ブランドを心地よく知れるシーンをイメージしながら選定しましょう。

また、SNSなどのWEB媒体を使用する場合は、投稿時間も重要です。帰りの電車の中で読むのか、休日に読むのかなど、ペルソナの生活シーンを徹底的に想定して発信することでより熱狂的なファン作りにつながります。

④発信の継続

最後にファン作りには継続した発信が重要です。D2Cブランドの成長には、長くブランドを好いてくれるファンの存在が欠かせません。購入するときだけの関係ではなく、リリース前、リリース後、そしてその後の展開を長く発信し続けることで、企業が自社ブランド立ち上げによって望む「売上拡大」「自社の認知度アップ」といった効果を上げるブランディングができるのです。

SNSを始める前の注意点


会社としての発信とブランドとしての発信を1つのアカウントに混同させることはお勧めしません。いわゆる「混ぜるな危険」です。なぜなら会社としての発信とブランドとしての発信を読みたい読者が違います。そのため、1つのアカウントに対してどのペルソナにメッセージを受け取ってもらうのかを設計してから、SNSアカウント立ち上げることが重要です。

D2Cブランドのファンづくりは「会社の信用貯金」

D2Cならではのファン作りを続けることで、自社D2Cブランドの信用を貯金のように増やしていきましょう。この信用貯金は採用活動・新規顧客開拓・地域からの指示・業界へのインパクトなど、企業の価値を向上させるさまざまな効果をもたらします。もちろんD2Cブランドの立ち上げは容易なものではありません。しかし、個人から支持による信用は、これからの社会において重要な会社の資産となります。この記事をお読みのあなたの会社でも会社の資産となる、長く愛されるD2Cブランドを構築していきましょう。

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中小製造業、3つのWebマーケティング戦略2022

テクノポートの井上です。今回は受託加工を主とした中小製造業が、Webマーケティングを行う際の戦略について紹介します。

Webにおけるマーケティング戦略とは

マーケティングとは顧客を獲得するための仕組みを作ることです。「だれに」「何を」「どのように」訴求をするか?を決めることができれば大枠の戦略を立てることができます。戦略は対象とするユーザーに対し訴求力を高めることができ、Webサイトの構成や掲載内容にブレない軸を作るためにも重要です。Web上で考える際には、従来の戦略とは異なるポイントもありますので、それも含め説明します。

3つのWebマーケティング戦略

弊社では製造業界で数千社に及ぶ会社のWebマーケティング施策を立ててきました。施策には共通項が出てきますので、そこから導き出された3つの代表的な戦略を紹介します。

中小製造業Webマーケティング戦略2022

領域特化戦略

既存市場の得意領域に特化する戦略です。

一般的な戦略は市場調査を行い、市場を細分化し、攻める市場を特定、顧客のニーズを想定し、他社との差別化と競争優位性を確立させる戦略をとります。

ただ、受託加工の場合、自社でできる加工であれば市場を特定しないケースが多く、そこまでの独自性を持った技術を持つ会社は稀です。そのため、まずは自社の加工領域を細分化して、訴求ポイントを探し、できることを明確化させる戦略を弊社では推奨しています。

加工製品・材質・加工サイズ・加工方法・加工技術などさまざまな切り口で分析を行い、得意領域のキーワードで対策し問い合わせを呼び込む手法です。顧客にその加工ができることを認知させられるかが、顧客獲得の大きな分かれ目になるためです。

市場の細分化から組み立てる手法は下記にて詳しく説明しています。

「サプライヤー企業の実践的なWebマーケティング手法」

市場拡大戦略

他の加工方法の市場から需要を生み出す戦略です。

自社の所属する加工市場では、コスト競争になりやすく、市場も限られていることから、加工自体の魅力を他市場にも広め、自社の置かれている市場自体の拡大、及び他市場からの顧客獲得を狙います。

ユーザーが必要とする部品を検討する際には数量、精度、コストなど多くの要素から、最適な工法を選択しています。例えば、金属の切削加工で行っていたものが、本当はプレスや鋳造+2次加工で行ったほうが低コストでできる場合があります。

つまり、従来の工法と他の工法を比較することで、自社の加工領域の優位性をより深く知ってもらうことができます。ものづくり業界に所属している顧客であっても、加工技術一つひとつを正確に理解している方は意外にも少ないです。特に認知度の低い加工方法(加工方法の特徴や優位性が理解されていない)場合に有効な手法です。

コンテンツ 候補例

  • ◯◯加工とは?
  • ◯◯加工のメリット・デメリット
  • ◯◯の利用用途
  • ◯◯の△△と比較した際の違い  など

ここでのポイントは自社を売り込むのではなく、加工自体の魅力やメリット・デメリットを公平な立場で情報提供することです。なんでも自社の持つ加工が優位なように見える内容は、かえって顧客に疑われやすくなるため、公平な立場での情報提供を心がける必要があります。また、その提供する情報が一般的な加工情報なのか?自社独自が持つ特徴なのかも切り分けます。

市場浸透戦略

自社の行っている加工領域にて自社の認知度を上げ、「◯◯加工と言えば△△会社」という認識を顧客に持たせ、早い段階で相談を呼び込む戦略です。

全方位戦略に近いため、大企業がとる作戦ではと思われるかもしれません。しかし、Web上では、「会社が大きいから」「上場している」という理由で上位表示されるわけではありません。検索キーワードに対して適切な答えを用意できれば、どんな会社でも上位に表示される可能性があります。また、検索する側のユーザーは検索ページを何ページも開いて探すことはなく、対応できそうな会社を数社選定し、連絡を入れます。つまり早い段階で自社HPが認知されれば、問い合わせを呼び込むチャンスを格段に増やすことができます。

その方法として、自社の所属する加工領域のビッグキーワードを狙う作戦です。

キーワード 候補例

切削加工/マシニング加工/旋盤加工/プレス加工/板金加工 など

ただ、この作戦の難点は競合も多いため検索上位に上げづらいこと、また、上位に上がっても自社の差別化はできていないため、相見積もりが多くなる可能性があることです。

まとめ

中小製造業が実行できる、3つのWebマーケティング戦略について紹介しました。ちなみにどの戦略を選べば良いかというと、答えは全部です。なぜなら、Webサイトのページやコンテンツづくりに制限はないため、戦略ごとにページを作成し訴求できます。

手当たり次第にコンテンツを用意するのではなく、何のために何を用意するのかを明確にすることが重要です。その上で優先順位をつけ、コンテンツが用意できるところから、順次進めていくのがよいでしょう。もちろん資金やかける労力が必要になりますが、Webの良いところは、低コストですぐに実行でき、大きな成果が期待できることです。

Webサイト企画の参考にしていただければ幸いです。

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製造業が自社ブランドを作るなら必ず知っておきたい3つの視点

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業が自社で開発するブランド、いわゆるD2Cブランドの存在は、市場のクラウドファンディングやSNSの持ち上がりよって一般的にも認知度が高まっています。製造業としては、様々な思いから、D2Cブランドの開発に対して何らかの着手をしている企業が多いのではないでしょうか?

例えば、

  • 会社として話題性を作るため
  • 新しい売上の柱を作るため
  • 社員のモチベーションを向上させるため
  • 自社の技術力を高めるため

このように企業によっては様々な理由があると思います。しかし、何となくD2Cブランドを立ち上げてしまうと、上層部の思いとは逆に、話題性を生むことができなかったり、社員のモチベーションを下げてしまう原因にもなります。なぜそのような悲しい結果が生まれてしまうのかというと、そこには製造業が「メーカーとしてのポジション」を築く上で重要な3つの視点が欠けているからです。

今回の記事では、製造業がメーカーとしてのポジションを築く上で重要な3つの視点について、今まで累計1,200点以上の商品を企画・開発してきたブランディングの経験からお話ししていきたいと思います。

1つ目の視点【技術シーズ】

シーズとは「種」を意味します。ビジネスにおいては、企業が新しく開発・提供する特別な技術や材料のことを指します。D2Cブランドをリリースすることは、自社の技術を今まで取引がなかった業界にもアピールする絶好の機会です。ここで重要なことは、業界・社会にとって自社は「〇〇の技術力に優れた企業」とアピールできるシーズに絞ることです。

  • 企業としての技術力

もし自社のアピールすべき技術ポイントが1つに絞れない、シンプルに言い表せないと悩んでしまう場合は、これから取引をしていきたいお客様が求めていて、なおかつ自社が実現可能な技術力について着目すると、D2Cブランドを通してアピールすべきポイントが明確になります。

2つ目の視点【顧客ウォンツ】

ウォンツとは、ある商品・サービスを「欲しい」と顧客が考えている状態を指します。ウォンツの視点において重要なことは、「〇〇できる△△が欲しい」に応えられる企画と規格を考えることです。

  • 目新しい企画
  • スペック
  • デザイン

D2Cブランドでよく起こる失敗ケースとして、技術シーズを伝えたい一心で、製品にあまりに多くの機能を持たせすぎてしまうということがあります。このようなオーバースペックはユーザーが求めるものではありません。企業はメーカーとして、顧客が求めているスペックに向けて技術シーズのチューニングを行いましょう。

また、機能面で顧客ウォンツを満たしていても、デザインという見た目の視点が抜けてしまうと、どんなに良い商品も売れなくなってしまいます。どんな商品であれ、日常使いしてもらえる商品を作るためには、使っていて気持ち良い、持っていて心が踊るような商品を機能・見た目の両方から目指すことが重要です。

3つ目の視点【顧客ニーズ】

ニーズとは、漠然とした「こうだったらいいのにな」という理想に対する感覚です。ニーズは、スペックなどの具体性のあるウォンツとは異なり、心身を伴う「体験」に大きく関わっています。

  • 商品との出会い方
  • 商品の作り手を知ること
  • 使うことで訪れる、自分や相手の幸せな生活
  • 安心できるアフターサービス
  • ファン同士の交流

ウォンツを商品のハード面だとしたら、ニーズは商品のソフト面といっても良いでしょう。そして、時としてニーズは無自覚なことが多いため、もし潜在的な感覚に届く体験を提供することができれば、「まさにこれが欲しかった!」と言われる商品を作ることができるのです。この顧客に対してニーズまでの戦略的な導線構築が、製造業がD2Cブランドの別れ道と言っても過言ではありません。

3つの視点が重なり合うD2Cブランド作りを

顧客が大手ブランドではなく、小さなメーカーのD2Cブランドを選ぶには、技術シーズ・顧客ウォンツ・顧客ニーズの3つの視点が重要です。すでに多くの技術力があるからこそ、ストーリーのある商品を作り続けられる道筋を戦略的に立てていきましょう。顧客が喜ぶ商品、そしてその商品との関係性を築く体験を生み出せるものは、規模が小さくてもブランド力が高いと言えます。

そして顧客が喜ぶ商品を作ることは、期待や信頼を獲得につながり、他業界からのオファーや社内でのポジティブな企業文化の醸造など様々な波及効果を生み出します。自社だけでできないことは、企業同士の技術コラボや、専門家から協力してもらうことで解決できます。ぜひ、3つの視点を取り入れて、顧客から「この商品を自分の生活の中に取り入れたい!」と思われるD2Cブランド商品作りを目指しましょう。

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中小製造業の生き残り戦略を小規模企業が考える際のポイント2022

テクノポートの井上です。中小製造業の今後の事業戦略として、3つの戦略がよく取り上げられています。「海外展開」「R&Dへのシフト」「自社製品開発」の3つです。時代の流れとして理解はできます。ただ、中堅規模中心の事業戦略に見えてしまい、数名〜数十名規模の会社が取り組むにはハードルが高いと感じている方は多いのではないでしょうか?

今回は小規模企業(数名〜数十名)が考える、3つの事業戦略のポイントについて紹介いたします。

中小製造業生き残り戦略

中小製造業の3つの事業戦略

海外展開

人口減少により消費の拡大が期待しづらい国内市場を考えると、今後、製造業の海外進出はますます増えていくと予想されます。一方で、円安の急激な進行や海外の人件費の上昇により、家電・自動車メーカーの一部で、国内生産へ回帰する兆しも一部あります。

ここで考えるポイントは2つです。

  1. 「市場としての海外」をどう取り入れるか?
  2. 「競合としての海外」とどう競うのか?

1.「市場としての海外」をどう取り入れるか?

メーカーの進出する国に共に海外進出し現地調達できる体制を整える方法があります。ただ、相当な労力と費用がかかること、メーカーが他の国へ移動や、撤退するなどの相当なリスクがあります。他にも、海外市場とのかかわり方は複数ありますので、下記記事を参照ください。

【製造業】海外進出する5つの方法・進出方法の選び方(メリット・デメリットも解説)

最初のステップとしてのおすすめは、進出はせず、Webマーケティングにて海外市場へのテストマーケティングを行うことです。理由は、リスクが少なく、市場調査ができるからです。その中で本当に取引拡大したい市場や国が出てくれば、次のステップへ進む流れが良いと考えます。

2.「競合としての海外」とどう競うのか?

日本を除くアジア諸国のコスト競争力は非常に高く、「量産になったとたんに海外へ持っていかれた」というお話しもよく聞きます。もちろん、自社で海外工場を保有すれば良いのですが、なによりも初期投資コストが高いです。また、人件費の高騰、人材の定着化、加工ノウハウの共有など中長期的な運営には課題が多く存在し、中小製造業にはリスクが高いように思えます。

最初のステップとしてのおすすめは、信頼できる海外の協力工場を作り、海外生産にも対応できる体制を作ることです。国内の需要の中には、「コストを抑えたい、けれども海外に直接頼むのはやりとりやトラブル対応が大変」と考える会社が存在します。量産でのコスト競争力を確保しつつ、品質の担保を国内で行うことで付加価値をつけることができます。

R&Dへのシフト(ファブレス化)

「開発」「設計」「研究」といった生産の前工程を重視する傾向や、企業が国内拠点にR&D(研究開発)や高付加価値品の生産といった、より高度な機能を持たせようとする流れがあります。ファブレスメーカーと呼ばれるような工場を持たないメーカーや、商社的な機能で工場を持たないサプライヤー企業のような会社も増えてきています。

たしかに合理的な流れですが、中小製造業が国内で生き残りを考える際に、経営者がこの流れをそのまま受け入れるのはかなり難しいのではないでしょうか?

「ファブレスにすることで会社は生き残った。売上は好調。しかし、国内工場はなくなり、国内雇用は減少」

という結果を良しとせず、会社としての成長・存続と同時に国内での雇用創出を責務とする経営者も多いでしょう。他にも「やっぱり現場が好き」という方や、「設備がもったいない」という方もいると思います。また、数十名規模の会社で研究開発部門を持っている会社はなかなかいないのが現状です。

そのため、研究開発やファブレスを考えるというよりも、このテーマで中小製造業が考えるべきポイントは2つです。

  1. 製品開発の上流でいかに案件を獲得できるようにするか
  2. 社内外問わず上流からの受注体制を構築し、それを含めたPRができるか

1.製品開発の上流でいかに案件を獲得できるようにするか

自社で研究開発・製品開発ができなくても、その分野に携わることはできます。製品開発の上流段階に食い込むことで売上を確保することが必要になってきていると考えます。例えば、量産メインの会社が仕事を獲得するためには、量産を検討しているユーザーの案件を獲得するのではなく、量産になる前段階からの案件をいかに早く獲得できるかです。

なぜなら、製品開発の早い段階から入り、必要に応じてVA・VE提案をしつつ量産まで持っていくことができれば、量産検討段階でノウハウの共有ができており競争優位性を持つことができ、他社へ流れづらい良い案件となるからです。

逆に、量産段階の案件は「いかにコストを抑え安定品質で作るか」がテーマです。コストが大きなウェイトを占めるため、必然的に海外工場も視野に入ってきます。その段階から案件を獲得しようとしても良い案件にはなりません。

半導体ではファブレスメーカーとファウンドリーメーカーが存在するように、分業制をとったファウンドリーメーカーは今後も需要があるはずです。製品の機能性や仕様はファブレスが考え、それを作るノウハウや設備をファウンドリーが持ちます。作るノウハウとは、機構、量産のしやすさ、コスト低減方法など製品を効率よく実現させるためのノウハウです。

「製品開発の早い段階からメーカー側と量産ノウハウを共有し、ものづくりを進めよう」という作戦です。

2.社内外問わず上流からの受注体制を構築し、それを含めたPRができるか

量産の会社が今まで行っていなかった試作加工、設計、デザインを始めるのは、必要とするノウハウや設備が異なるためハードルが高いです。そのため、まずはレスポンスの良い会社で信頼できる協力会社が必要になります。

また、製品開発の上流段階からの相談対応が可能なことをアピールする必要があります。協力会社に事前に相談しPR材料の用意の協力をしていただくとよいでしょう。案件獲得できれば協力会社に依頼ができるので、先方としても悪い話ではないはずです。

自社製品開発

自社製品開発というと、一般消費者向けの製品を考える会社が多いと思いますが、中長期的な売上に繋がるまでにはハードルが高いと言えます。なぜなら、今まで行ってきていない商品に関する販売網や、マーケティングが必要で、それは受託加工がメインだった製造業とは真逆の領域だからです。昨今は商品のライフサイクルも非常に短くなっているため、ヒット商品を生み続ける必要もあります。

ただ、もちろん今後必要となるノウハウのため、少しずつその力を蓄えることは必須です。他にも波及して本業につながる良い効果が生まれたケースもあります。

もう少し、現在行っている仕事につなげやすい形を考えると、セミオーダーのユニットやパッケージ化が考えられます。いくつか例を紹介します。

事例紹介

表面処理会社

板金加工屋さんから仕事を受注していた表面処理会社がセミオーダー筐体設計製作販売
板金加工屋さんへ加工は依頼する(商流を変化)

金属の押出成形の会社

製品としてよく作っていたヒートシンクの特注品製造販売
押出成形以外の加工方法は協力会社へ依頼(商流を変化)

自動機設計製作の会社

注文の多い自動機を規格化し自社製品として販売

ネジ追加工の会社

特注ネジの販売
ネジ製造は今まで仕事を頂いていたネジ製造会社へ依頼(商流を変化)

以上3つの戦略を小規模企業(数名〜数十名)が考える際のポイントについて紹介しました。参考にしていただけたら幸いです。

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中小企業のリブランディング!自社の強みを売上につなげる3つの分析方法

みなさん、会社の売り上げを増やすためにどのような施策を行っていますか?これは、多くの社長が日々頭を捻っている事だと思います。それでも会社の売り上げを上げる戦略の基本はこの3つしかありません。

  1. 顧客「数」を増やす
  2. 顧客の「リピート」を増やす
  3. 顧客「単価」を上げる

これらは当たり前ではありますが、意識して行っている会社は意外と少ないのです。

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

おそらく多くの会社が、ホームページを新しくしたり、SNSを開設したりしているのではないでしょうか。他にも、助成金や補助金を活用して新しい機器を導入するなどのさまざまな施策を行っていると思います。もちろん、どれも間違ってはいません。

ただし、施策を行う前に「現状の自社の強み」を理解しておくことで、その効果を最大化することができます。簡単に言うと上記の3つを意識的に攻略していくことができれば、自社の売り上げが自然と上がりやすい環境を構築していくことができると言うことです。

新規顧客獲得のコストは5倍

上記の売り上げを上げる3つの施策から、どれをやりますか?と聞くと、ここで多くの社長は「新規顧客を増やす!」と答えます。しかし、新規顧客・既存顧客からそれぞれ同額の依頼を受けるまでには、新規顧客にかかるコストは5倍と言われています。このコストというのはお金だけでなく時間も含まれます。そのため、新規顧客獲得ばかりに目を向けていると、少ない人数で回している社員や社長がヘトヘトに疲弊してしまいます。

そこで重要なことは、自社の強みを客観視して既存顧客・休眠顧客へ再度アプローチをかけたり、ホームページやSNSなどのブランディングを行うことです。

私はこの方法を「会社を再パッケージする」と呼んでいます。

①沿革を文字に起こす

自社の強みを掘り起こすのに、沿革を一度文字に起こすことが必要です。ここで重要なのが、沿革で書き出されたそれぞれの変革に対して、なぜそれを行ったのかも言語化することです。

ものづくり会社あるあるで、よく自社の技術的な部分、いわゆる「ハード」については理解してスムーズに説明ができても、仕事に対する姿勢を指す「ソフト」を説明するのが苦手な方がいます。ものづくりの仕事は、良い機械があればできるわけではありませんよね。相手のために仕事に向き合い、切磋琢磨したその結果、今のあなたの会社の技術があります。つまり「ソフト」があってこその「ハード」です。沿革を書き出しながら、自社の「ソフト」と「ハード」両方の強みを明文化していきましょう。

②お客様の声を聞く

長く付き合いがあるお客様であればあるほど、「理由なんてないよね」と言い合う取引があります。しかし、長い間他の会社に乗り換えられないのには、必ず理由があります。お客様も気恥ずかしさや、言語化に慣れていないことから、理由を引き出すのは難しいかもしれません。

そういった場合は、先ほどの沿革から導き出した自社の「ソフト」「ハード」の強みをアンケートにまとめ、チェックをしてもらうのも一つの方法です。

ここではお客様から、自社がどのような役割とし必要とされているのかを客観的に知る情報を集めることに注力しましょう。

③SWOT分析

SWOT分析とは、

  1. Strength=強み
  2. Weakness=弱み
  3. Opportunity=機会
  4. Threat=脅威

上記の4つのカテゴリーを視点にして、経営戦略や事業計画の現状分析を行う経営戦略策定方法です。目にしたことがある方や、実践したことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、SWOT分析の難しいところは、自社だけで行う場合、客観視が不十分になり分析する材料が正しく揃えられないことです。

そこで、今回のSWOT分析で行って欲しいことは、先に述べた

  • 沿革から導き出すソフト・ハードの強み
  • お客様の声

という客観的な実績を組み込んだ分析の実施です。この客観的視点が加わることで、自社の存在意義を正しく理解して、既存顧客・休眠顧客・新規顧客に伝えることができるようになるのです。

取引先にとってのかけがえのないパートナー企業へ

こういった話をすると、「そうは言っても取引先が倒産したり、受注量を減らしてきてるんです」という声が上がります。目まぐるしく変化する業界市場の中では、今まで会社の主力としていた商品が一気に必要とされなくなるケースもあります。

そういった場合は、お互いにとって前向きな相談をしてみてはいかがでしょう?

「今後はどのような製品にシフトチェンジしていくのか?」「そのためにうちで協力できることはないか?」「市場の動き的にこういった方向に挑む価値がありそう」といった前向きな相談です。これは、直接あなたの会社の売り上げを爆発的に上げるものではないかもしれませんが、この相談がきっかけで、かけがえのないパートナー企業になれるかもしれません。

ものづくりは1社だけで完結することは不可能です。是非あなたの会社でも自社の強みが伝わるリブランディングを行い、取引先にとってのかけがえのないパートナー企業になっていきましょう。

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【製造業】失敗しないWebサイト制作会社の選び方

こんにちは、テクノポートの永井です。

新型コロナウイルスの影響で対面営業を自粛せざるを得ない状況が続くなか、Webサイトに力を入れる企業が増えてきました。

これまで訪問営業や展示会に力を入れていた企業も、Webサイトからの問い合わせを増やし、商談につなげることで、対面営業を減らしながらも受注数を確保する流れに変わってきています。

このような営業目的のWebサイトを作るためには「Webサイトを制作してくれる企業」の選定が重要になってきます。Webサイト制作会社にもそれぞれ特徴があり、土木系や製造業など特定の分野に特化しているところから、オールジャンルを手掛けているところまで、Webサイト制作会社によって得意分野が変わってきます。

今回は製造業のWebサイト制作会社の選定基準を紹介します。

Webサイトで成果を出す方法には王道がある

Webサイトのメリットはターゲットの行動が予想しやすく、かつ対策が打てることにあります。そのため、問い合わせを増やす目的のWebサイトには王道が存在します。

ターゲットの行動は

  1. GoogleやYahooなどの検索エンジンにキーワードを入力して課題を解決できる企業を調査
  2. 複数の企業Webサイトの中から実際に課題を解決できそうな企業を選定
  3. 問い合わせ

になります。

これをWebサイト視点に変えると下図のような形になります。

  • アクセスを増やす:ターゲットが検索するキーワードでのSEO対策
  • 問い合わせ増やす:ターゲットが求めるコンテンツを作る
  • 問い合わせから受注につなげる:Webサイトではなく直接の営業力

つまりアクセスを増やし、適切なコンテンツを作ることができれば、必然的に問い合わせは増えます。Webサイト制作会社を選定する際は、この王道に対してどのようなことを行っているのかが判断基準になります。

Webサイト制作会社を選定する3つの基準

Webサイト制作会社を選定する際に気をつけるポイントは3つ。アクセスを増やす技術を持っているか。問い合わせにつながるコンテンツの提案をしてくれるか。そして、公開後のサポート体制が充実しているかです。もちろんデザイン性などの要素も大切ですが、この3点がしっかりしていれば、反響を出すことは難しくありません。

1、製造業独特のキーワード調査ができるか

Webサイトでアクセスを増やすためには、GoogleやYahoo!の検索結果の上位に表示されなければなりません。そのためには、ターゲットが検索するキーワードを想定して、そのキーワードで上位に表示させるようなSEO対策を行う必要があります。

このキーワードの選定がうまくできていないと、ターゲットに見られなくなり、たとえアクセスが増えたとしても問い合わせにはつながりません。

キーワードの月間検索数は、Googleのキーワードプランナーを使えば簡単に調査できますので、Webサイト制作会社も調査しています。

製造業などの技術系キーワードの場合、一般的な検索キーワードと比較すると検索キーワードが特殊になり、かつ月間の検索回数も少なくなるため、キーワードの選定が難しくなります。

例えば、BtoC向けの場合、10万回数/月以上のキーワードは普通にありますが、技術系になると500回数/月も珍しくなります。

キーワードの選定には経験やノウハウも関係してくるため、Webサイト制作会社がどのようなキーワードを選定するかによって、Webサイト制作会社の特徴を知ることができます。

例えば、Webサイト制作会社から提案されたときに

  • 想定しているキーワードはどのようなものですか?
  • 弊社のターゲットが検索しそうなキーワードはどのようなものが考えられますか?
  • キーワードのボリュームはどれくらいですか?

などの質問をして疑問をしっかり解決してくれるかどうかで、その企業が自社に合っているかどうか判断できます。

SEO対策の重要性については、SEO対策・完全ガイド(BtoB製造業・メーカー向け)で取り上げていますので、深く知りたい方はチェックしてみてください。

2、問い合わせにつなげるためのコンテンツを提案できるか

キーワードが決まったら、次に見極めるのは問い合わせにつながる訴求コンテンツの作り方です。訴求コンテンツは「ターゲットが求める情報」になるため、ターゲットが抱えている課題を解決できる情報を掲載しなければなりません。「自社のどの技術をどのような表現で伝えれば、ターゲットの目に止まるのか」を想像してコンテンツを作る必要があります。

社内だけでは自社の技術の良さに気づかないことも多いため、第三者からの指摘が大切になります。その第三者となれるのがWebサイト制作会社です。製造業のWebサイトを専門で制作している企業は、技術的な話を深堀りしていくなかで貴社の強みを見つけてくれます。

そのため、Webサイト制作会社を選ぶときは自社の強みや技術的優位性を指摘してくれる企業を選んだほうがよいでしょう。

例えば、Webサイト制作会社から提案されたときに

  • 他社と比べたときの弊社の強みはどんなところになりますか?
  • このような技術をもっているのですが、どういった需要がありそうでしょうか?

などの質問をしてきちんと回答してもらえるかどうかで、その企業が自社に合っているかどうか判断することができます。

技術の伝え方については別の記事でまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
ひと目でわかる技術・製品の紹介ページの作り方

3、公開後のサポート体制が整っているかどうか

Webサイトはこれまでの2点を押さえておけば、ある程度の反響は出せます。しかし、初めに検討したキーワードやコンテンツが十分でなかったり、時代とともにターゲットのニーズが変わってきたりするため、Webサイトの内容は定期的に見直す必要があります。

WebサイトはGoogleアナリティクスなどの解析ツールを使うことで、アクセス数や検索に強いページ、アクセスされたキーワードなど、さまざまな流入データを知ることができます。Webサイトの問い合わせ数を増やすためには、現状を知った上でどのような改善が最適かを検討しながら更新し続けることが大切です。

Webサイト制作会社を選定する際は、このようなサポート体制が整っているところを選んだほうがよいでしょう。

選び方としては

  • 定期的に打ち合わせをするようなサポートであること
  • 更新が定額であること(更新ごとに費用が発生すると依頼しづらくなるため)
  • 解析データをもとに提案してくれるようなサービスであること

が整っていることが理想です。

社内にWeb担当がいる場合、サポートは必要ないかと思われがちですが、外部に任せたほうが効率的です。Webサイトの更新は納期が決まっていないことが多く、本業が忙しくなるとついつい後回しになってしまいます。修正の効果が出てくるまで時間がかかるため、Webサイトは定期的に更新をしたほうがよく、更新が滞るようであれば外部に任せることをおすすめしています。

ホームページの更新の重要性については別の記事でまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
BtoB製造業のWebサイト運営(アクセス分析と改善)手法まとめ

まとめ

その他にもホームページ制作する場合に気をつけるポイントについてまとめていますので、下記の記事も確認してみてください。

製造業ホームページを制作依頼(外注)する際の業者選定における3つのポイント

ホームページを外注する場合にチェックするポイント

テクノポートは製造業に特化してWebマーケティングを行っています。今回お話させていただいた、キーワードの調査からコンテンツの提案、公開後のサポートまですべて対応可能です。製造業のWebサイトを検討中の方は、ぜひテクノポートにご相談ください。

社員の仕事の質が上がる 会社理解度が高まるウェブサイトの作り方

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

今回は、社員が読み返したくなるサイトは会社を強くするという話をさせていただきます。消費者のライフスタイルの変容が大きい今、受注の件数や内容に変化が続いています。この変化が続くことは中小企業にとって売上の増減が左右されるだけではなく、社員のモチベーションも同時に左右されます。営業スタイルのリアル対面からオンラインへの移行や、生産作業のクオリティやスピードの変革期に伴い、今がウェブサイトを作り直すタイミングなのでは?と感じているならば、まず売上が上げるウェブサイトを目指すのはもちろんです。しかし、その1回目の新規取引を契約すると同時に、継続的な取引をしたくなる会社へとステージアップしておくことが重要です。

ウェブサイト目的は直近の売上増加だけではない

会社のウェブサイトをリニューアルする際に「社外に向けてもっと発信するものにしたい」とおっしゃる経営者の方が多くいらっしゃいます。そんな時私は「どうせでしたら、社外だけでなく社内に対しても影響力のあるウェブサイトの方が良くありませんか?」とお話しをしています。この話をすると、大概の経営者の方は目からうろこが取れたような顔をされますが、実際に担当者と話をするのは社員です。営業担当や製品作業担当が質問を受けた時、目の前の製品についてだけではなく、会社について同じレベル感で語れるとお客様から会社への信頼は強固なものとなります。

社内に対して影響力のあるウェブサイトは、経営者が考える会社にとっての本当のお客様像、そしてそのお客様たちの抱える課題は何であるかを社員たちと共有できる、日々の業務に反映できる強力な財産になるのです。

社員は「本当のお客さん」を知っているか?

経営者の視点からすると、社員が自ら学習してスキルを上げることや、目の前の見積書や設計図だけではなく、1年後や3年後を見込んだ取引を考えるようになって欲しいと考えるものです。しかし、社員にとって自分のスキルが上がる事自体に楽しみを見出すことは、実はなかなか難しいものなのです。「自分が頑張って何になるのだろう?」「課題が増えるのは大変だから嫌だな。」社員にとっての仕事とは、目の前の業務をクリアしていくことになってしまいがちです。

しかし、この負のループから抜け出す有効な方法があります。それは社員が自分のお客さんを知ることです。自分の仕事の目的が明確な場合、その目的に対してスキルを高めることは楽しいことになります。ちょうど中学生が部活の県大会優勝という目的に向けて自主練習やチーム練習に自ら進んで取り組むのと同じです。自分のした仕事が誰のためになるかという目的に対して「やりがい」を感じながらスキルアップする成長のループ生まれます。自社のお客様像とその課題をクリアにしたウェブサイトは、社員育成の観点からも、自分たちの会社の目的を日々目にできるツールとして重要な役割を果たすことができるのです。

社員が読み返したくなるサイトは会社を強くする

この記事を読んでいるあなたが、経営者としてウェブサイトのリニューアルを考えているなら、まず目の前の課題である新規顧客を獲得ができる事は大前提として捉え、一度契約をしたら長く付き合える企業づくりができるウェブサイトを目指しましょう。それは社員が会社に対する理解度、お客様に対する理解度を高め、能動的にスキルアップやお客様との関係構築する力を育てます。ウェブサイト作りは社外への発信だけではなく、社員育成という視点も持つ事で継続的な売り上げの向上を見込める生きた財産となり、会社を強くするカギになる事を覚えておきましょう。

リーンスタートアップから考える、中小製造業の製品開発

テクノポートの井上です。最近は受託加工を主とする製造業の会社が製品開発を行い、自社製品を販売することも増えてきました。製品開発はしたいけどなかなか良いアイディアが浮かばない、アイディアはあるけどどう製品開発を進めればよいかわからない等、途中で止まってしまうケースも多いのではないでしょうか。今回は製品開発の手法として「リーンスタートアップ」について、製造業の具体的な製品開発の方向性も踏まえ紹介いたします。

リーンスタートアップとは

リーンスタートアップとは、コストをかけずに最低限のサービス・機能を持った試作品を短期間で作成し、顧客の反応を製品開発の中に取り入れ、顧客がより満足できる製品・サービスを開発していくマネジメント手法です。リーンスタートアップは、通常の仮説検証型やPDCAサイクルと同じように見えますが、他との違いは、顧客の声を早い段階で製品開発に反映させることで「顧客不在」のリスクを防ぐことに重視しているという点です。必要最低限のものでまずは市場に投入し、その反応から正確な顧客のニーズを確認、そこから製品開発につなげるという考え方です。じっくり時間をかけて市場調査を行い、満を持してローンチをするよりも、短期間で検証することでコストと顧客不在のリスクを抑えた、スタートアップ向けの手法と言えます。

おおまかな流れは以下のとおりです。

構築

顧客が欲しいものの仮説を立て、製品やサービスのアイデアを形にします。「MVP(minimum viable product)」と呼ばれる必要最低限の機能やデザインを備えた試作品を作成します。

計測

開発した試作品を実際のユーザー、特に新たな製品やサービスを早い段階で受け入れ、他の消費層へ影響を与える「アーリーアダプター」と呼ばれる層へ提供します。

計測ポイント

  • 「ユーザーの抱える課題を解決できているか」
  • 「提供すべき機能が実現できているのか」
  • 「本当にほしいと思える製品か」
  • 「いくらなら欲しいと思うか」

などを検証していきます。

学習

計測されたデータやユーザーの反応から、

  • 「改良すべき点は何か?」
  • 「このまま開発を続けるべきか?」
  • 「方向転換を行うべきか?」

を見極め、顧客に受け入れられるものにしていきます。

この3つを短期間で繰り返し、ユーザーに受け入れられる製品・サービスへと展開させていきます。

リーンスタートアップのメリット

  • MVPにより、余分なコストを削減できる
  • リリースまでの期間を短縮できる
  • フィードバックを早く次に繋げられる(需要次第で市場の変更や撤退も含め検討できる)

リーンスタートアップのデメリット

情報拡散のスピードが近年圧倒的に早まっていることがデメリットになりえます。

例えば、一般消費者の関心が強い商品やサービスの場合、初期段階で消費者の評判が一気に拡散してしまい、その不評を引き継いだままのイメージが確立され、その後の改良した製品においても悪いイメージを払拭できない場合があります。

リーンスタートアップをもとに製品開発の相性を考える

リーンスタートアップは製品開発のプロセスの中に顧客のニーズを組み込むことで、早い段階で需要を見定め生かすことに重きを置いています。昨今では、SNSの台頭や、クラウドファンディングなど、より早くユーザーのニーズをキャッチできる世の中になりました。ものづくり企業が積極的にユーザーの声を聞き、迅速に製品開発を行うチャンスがあるのではと考えています。製品開発ができそうないくつかの可能性について紹介します。

規格製品からのカスタムオーダー化(ニーズの多様化に応えるサービス化)

市場のニーズが多様化する中で、そのニーズを正確に捉えることは困難な時代です。そのため大量生産された既製品では、満足できないケースが増加、セミオーダーでの自分に合った化粧品製作や、テーラーメイド医療と呼ばれるような個人個人に合わせた医療も間近と言われています。オーダーメイドと言っても「金属の金物をオーダーでなんでも作ります」ではなく、より具体的な製品まで照準を絞った形でのオーダー対応が考えられます。

  1. 自分の手の形状に完全に合ったボールペン。
    (金型保管により、何個でも追加オーダー可能なサービス)
  2. 無くしても大丈夫。結婚指輪の型取り保管サービス など

産業用分野のオーダー製品からの規格化(自分がユーザー系1)

製造業では工場の生産効率を上げるために、自動機、専用機、治具等を、内製もしくは外注にて製造することが多いと思います。最終ユーザーが、自社やそれに近い業種のため、ユーザーのニーズを汲み取りやすい領域と言えます。需要の増えそうなものや、良く出る系統を分析し、ニーズの高いものを規格化することで製品化へつなげられる可能性があると考えられます。需要は少ないかも知れませんが、他の業種から参入されるケースは少ないため、競合が少ないのも良い点です。わざわざ大手が入るほどではない市場が眠っているかも知れません。

趣味業界での製品化(自分がユーザー系2)

趣味はオススメです。欲しい人はいくら高くても欲しい、強烈なニーズがあります。個人的な意見ですが、出来れば避けたいのは生活必需品、日用品系です。競合が非常に多く、製品化しても売れる製品はすぐに類似品が出てきます。皆さん使うので、アイディアは集まりますが、製品化となると厳しいのではと思います。

製品開発のきっかけについてですが、社員の皆さんに趣味を深堀りするのはいかがでしょうか?趣味への愛情の深い人がいれば、その人が抱えている困り事やあったらいいなに耳を傾けてみると良いと思います。ユーザーの意見を反映させやすくなります。

  1. 間接キスは過去のモノ!だれが吹いても安心のチタン製抗菌ホイッスル
  2. 金属アレルギーを克服!金管楽器のチタンマウスピース

いかがでしたか?今回はリーンスタートアップと、その考えをもとに製品開発ができそうな方向性について紹介しました。この業界に携わっている人なら一度は自社製品を作りたいと考えている人は多いはずです。参考になれば幸いです。

【人手不足?採用の前に小規模企業にできること】イベントレポート

テクノポートの菊地です。2020年6月4日に小規模企業向けのバックオフィス(経理、会計、総務、庶務など)業務の改善支援を行う「Reboot」が「人手不足?採用の前に小規模企業にできること」と題しオンラインイベントを開催しました。小規模企業特有の悩みや問題。これからの生き残りをかけた企業戦線の中でどのような経営選択が正しいのかという問題について、COSMO ALPHA株式会社 野崎綾二社長に伺いましたので、その中からいくつかのお話を抜粋してご紹介します。

【ゲスト】

COSMO ALPHA株式会社 代表取締役 野崎綾二
ものづくり業界で15年。サラリーマンとして営業技術や製造オペレーターを経験し、生産管理、品質管理とさまざまな業務を経て現在に至る。2019年8月にCOSMO ALPHA株式会社を設立し、加工業者の業務改善+受注拡大サポートを現在行う。

まずは経営者の業務を減らす

―これまで数多くの製造業を見てこられたと思いますが、その経験を踏まえて、町工場の人手不足について一緒にお話できればと思います。人手不足が叫ばれており、解決策として採用やクラウドソーシングによる業務の外出しなどが挙げられますが、製造業の特性なども踏まえた上で、何から始めていくのが良いと思いますか?

野崎社長:まずは経営者の業務を減らすことです。業務負担が軽減されれば、経営者自身が会社全体を把握することができるようになり、社内の問題点がどこにあるかをピンポイントで見つけることが可能になります。その結果、常に方向修正を行えるようになるので、会社にとって大きなメリットとなります。問題提起と数字を管理する時間を設けることで先を見越した質の高い経営に繋がっていきます。

町工場の経営者が仕事を抱えてしまう原因は、自分も職人であり、責任感から来るものが多いです。製造が中枢にある為、従業員に現場を任せるという他の業界では当たり前の業務分担ができていないことがしばしばあります。他社の成功事例や勉強会で知識があっても自分の会社に落とし込むことが難しく、問題解決には整理をする時間が必要です。その時間が設けられていない状態では、問題解決をするにも予定なしに工事を進めるようなものです。極論で言えば、社長がいない状態でも会社が運営できるシステムを構築すれば、利益が生まれる可能性が確実に向上するということです。

野崎社長の経験では、一見複雑に思える社内の課題も紐解いていけば、整理整頓、材料が納品された際、バラバラに置かれていた物を、誰が見てもわかるようにストックすることなどから始まったこともあるそうです。1人しか把握できていないストックを複数人で把握することでイレギュラーな対応も円滑に処理することが可能となります。

バックオフィス業務を縮小する前に

―ペーパーレス、書類の電子化も社会的にはどんどん推進されていますね。紙で管理するものを極力なくすことで、スペースの確保やデータ管理が円滑になります。

野崎社長:新しいシステムや仕組みを導入すると、馴染むまで不具合や不満が生じますが、数ヶ月後確実に変化を見ることができます。コストカットを考える時に人件費など大きな経費に目が向きがちですが、あまり考えずにただバックオフィスの人手を減らしてしまうと、かえって社内業務が回らなくなります。材料比率や、経費など細かな部分にも目を向け、社内実態を把握したうえで判断すること必要です。

社内の体制

―日本の製造業は優秀なイメージがありますが、先ほどのお話だと管理が苦手な印象を受けました。

野崎社長:管理部門などがなく原価管理、納期管理、生産工程管理、品質管理、梱包、受入れ出荷業務管理等が曖昧になっている企業は散見されます。小さな会社でありながら、社員の連携がとれていない場合も多く、個人商店のような集まりになってしまっているケースです。会社として大切なのはエラーを見つける体制を用意すること。技術面でのミスは必ず発生するので、ミスの回数や内容を把握し、同じミスが何回か発生する場合は対策を考えることも必要です。社内の経理を全てデータ化する、利益を上げるために在庫表を作成する、社員に賞与を出す等、明確な目標を立てると事業に取り組みやすくなります。

会社に働く魅力がない

―先ほど賞与についての話が少し出ましたが、人件費を上げる事に対しての問題はどうでしょうか?

野崎社長:収入と支出のバランスが重要です。売上げに目が向きますが、原価などと合わせて考えて、利益がしっかりと出ているのか見極める必要があります。収入を得る為には、支出は必須です。どこで赤字になっているのか、黒字になっているのかを部品1点ずつ把握したいところです。赤字になる場合は取引先に価格の交渉をすることも必要です。しかし、会社としての付加価値を知ることができず、価格競争の流れにのってしまう現実もあるので交渉力も問われます。

―人材育成・雇用に関しても、賃金によって縛られてしまうことは非常に悩ましいことだと思います。

野崎社長:会社の利益を把握できないことによって、十分な人件費を割くことが難しくなり、離職率の高さや、優秀な人材が集まりにくいことに繋がります。大学卒業者でも物づくりが好きな人も多いのですが、賃金がネックとなり違う道を選ぶという話も耳にします。適切な人件費を企業で確保することや、幅広いキャリア選択ができるように環境を整えることが働く魅力や、採用した人材の定着に直結するのではないでしょうか。時代や環境に応じて変化していくことができれば、会社、従業員共に新たなチャレンジにつながっていきます。また、古い考えで「いいものを作っていれば仕事が増える」という考えは大きな間違いです。情報発信をしなければ認知されない、つまりは仕事がこない時代になってきています。

長年続けた体制に新たな流れを作り出すには

―では最後に、企業改善をしていく中で、滞った状態ではなく、新たな流れを作り出す為には何が必要でしょうか?

野崎社長:固執化された企業に変化を加えることは大変です。そのような意味でも違う視点を持ったパートナーが今後、必ず必要になってきます。時代に沿った柔軟な考えを取り入れることや、業務改善に踏み切る為には社長の決断が必須です。今の状態で切り盛りしたり、多額な費用をかけたりする改善ではなく、企業規模や実態にあった細かな改善が求められます。その中でも、まずは業務の洗い出しや在庫管理など、1つひとつ丁寧に解決させることで企業は劇的に変化すると私は考えています。

ーありがとうございました。

レポートは以上です。

新しいシステムの導入よりも、今ある業務の円滑化を図り、社内でのコミュニケーションや管理業務の改善に注力する必要があります。そして、共に働いていく仲間に視線を向けることで互いの絆が強まり、この時代を強く生き抜いていけるのかもしれません。(詳細なレポートはReboot サービスサイトに掲載しています

テクノポートでは、小規模企業のための副業人材活用サービスRebootを始めました。経営者1人で着手するには大変な、業務の洗い出しや、バックオフィス業務の整理・改善を中心にサポートすることが可能です。本レポートを読んで企業内に思い当たることがありましたら、ぜひ気兼ねなくご相談ください。

町工場の魅力で経営課題を解決。 製造業の広報PRとは

テクノポートの菊地です。社内では、未経験ですが広報業務を担当しています。今後、モノカクの記事として、日々学びながら実践している広報活動にまつわるアレコレを共有していきたいと思います。

広報とは

そもそも「広報」とは何か。聞いたことはあるし、なんとなくイメージはあるけど正直よくわからないという方が多いのではないでしょうか。人や時代によって異なる用いられ方をすることもあり、一言では説明しがたく、正解はひとつではないと言えるのが正直なところです。

広報の定義

広報」という言葉が日本で使われるようになったのは、戦後GHQが日本へ民主主義を根付かせる目的で行政に「PR=Public Relations(企業や団体が社会や消費者とより良い関係を築くための活動全般のこと)」を伝えたことが始まりとされています。「広報PR」と表記されるのはこのためです。(ちなみにPRの発祥はアメリカの独立戦争と言われており、面白いのですが、今回は割愛します。)広報PRは、Promotion(販売促進)やPress Release(自社の新しい情報をメディアに届ける手段の一つのこと)ではなく、「組織や個人が社会とより良い関係を築いていくために、自らの事業についての活動や方針を広く伝え、共感・理解を得るための活動」と言えるでしょう。

具体的には、主に「社内外の情報収集」→「集めた情報をもとに企画・情報発信」→「企画や情報を活かした取材獲得」を行っていきます。(下表参照)

企業によってはWebサイトの運営やお客様対応なども広報担当者が受け持っていたり、情報の発信先によって部署が細分化していたり、インターネットの発達による変化も含め、その姿は日々多様化しています。また、社内のリソースによって対応できる業務の取捨選択も必要です。

広報の目的

書籍「戦略PR 著:本田哲也」によると、広報の究極の目的は「人々の行動を変えること」とされています。昨今の広報には、社会的な視点や文脈が強く求められるようになってきました。「その商品やサービス、事業は、社会にどんな効果を与えますか?」と。これを踏まえて、次の図をご覧ください。

上記の図は、「PRのピラミッド」と呼ばれるPRの目的構造を図式化したものです。

  1. パブリシティ:情報の露出→取材獲得、新聞や雑誌などメディアでの情報露出
  2. パーセプションチェンジ:認識の変化→パブリシティによるモノの見方・価値観の変化
  3. ビヘイビアチェンジ:行動の変化→認識の変化による行動の変化

例えば、製造業者が採用難の対策として広報活動を導入するとしましょう。この場合に考えられるパブリシティは、

  • 会社について(企業風土や福利厚生など他社と差別化が図れるネタ)
  • 人について(代表や名物社員、若手、女性など募集したい層に合わせたり、こんな人と働きたいと感じさせたりする切り口)
  • 権威について(受賞や官公庁、大手企業との連携など)

などが挙げられます。パブリシティによって、「この会社面白いな」「こんな会社があるのか」「思っていたより、製造業って面白そう」などと思うようになったら、それがパーセプションチェンジです。そして、実際に求人に対して応募されたり、業界での就職希望者が増加したりするとビヘイビアチェンジの達成です。その年に限らず、継続して効果が現れれば大成功と言えるでしょう。

PRのピラミッドの事例としては、サントリーのウイスキーの再興やP&Gがインドで行った「洗濯」への問題提議が有名です。興味のある方は検索していただけたらと思います。

広報と広告の違い

メディアを用いた企業の情報発信というと、広報に限らず広告が挙げられます。似て非なるものですが、混在されがちなので違いを比較しながら紹介します。

広報の特徴

低コストでありながら信頼性が高い反面、情報のコントロールができず(報道の自由・編集権)、必ずメディア露出ができるものではないので、中長期的な視点と時流に合わせた提案をする戦略が必要です。費用対効果の換算が難しいことへの理解も欠かせません。

広告の特徴

費用はかかるが、企業の意向のままの情報発信が確実に行えます。一方、広告やCMは読み飛ばしやスキップされる傾向も高くなっています。

広報で解決できる(かもしれない)製造業の経営課題

まだまだ中小規模の製造業では「広報活動」に取り組んでいる企業は少なく、平成25年の東京都産業労働局の調査ではわずか6.0%とのデータも出ています。(東京都産業労働局 中小企業の宣伝・広報活動に関する実態調査 プレスリリース活動の状況)広報活動でできることは、「選ばれる雰囲気を作る」ことだと思います。

どんな情報を使って目的を達成するかの道のりは、解決したい課題によってまちまちですが、考えられるものをPRのピラミッドの3段階ごとに考えていきましょう。

パブリシティ

→取材が取材を呼び、情報の露出が増えるほど幅広い層の目に触れる機会が増える。Google検索などで自社メディア以外にもヒットするようになるので、企業としての信頼性が高まりブランディングの効果や市場におけるマウントの獲得ができる。

パーセプションチェンジ

→自社を知らなかった人に認知されたり、製造業に興味を持ったりする人が増える。取材を通じて自社や業界の魅力を伝えてもらうことができる。

  • 自社のブランディング、製造業のイメージアップ、関心の向上

ビヘイビアチェンジ

→あの会社に頼もうと選ばれる:新規顧客の開拓 事業提携

  • ここで働きたいと選ばれる:人材難の解消
  • 製造業に関わる人が増えるなど:オープンイノベーション、業界の活性化、事業継承、地域の活性化

見出しで(かもしれない)としたのは、前述したとおり広報活動に確実性がないためです。ただ、町工場を舞台とした小説やドラマがヒットしているように、中小規模の製造業は社会の関心も高く、メディアの方の関心も非常に高いように感じています。私の体験としても、メディアの方に当社の説明をした際、「中小規模の製造業のWebマーケティング支援を…」と伝えても興味を持ってもらえませんでしたが「〇〇の町工場に行って、」と話したときは非常に興味を持って頂いたことが記憶に新しいです。

パブリシティの多い製造業

最後に、より具体的なイメージを持って貰えるように報道実績が多く、ホームページから内容が確認できる製造業の会社をいくつかご紹介します。

自社の技術についてや、代表取材、社員インタビューなど様々な記事が掲載されていますが、最新のパブリシティ情報だけでなく、掲載されている過去の古い記事から数年分も目を通していただくことをお勧めします。いきなりビジネス誌やテレビに出演しているわけでなく、専門誌や業界誌などから少しずつコツコツと露出が増えていると気づくのではないでしょうか。また、どんな内容や切り口で書かれているかを見ると、広報の切り口のヒントが見つかります。最近のメディアの関心や時流を紐解くには最近の記事の研究がおすすめです。

競合となる会社や、似ている会社のホームページにパブリシティ情報(メディア掲載、ニュースなど)があれば併せて研究するとより具体的な広報の切り口が見つかります。

今回は、広報の概要について説明をしました。次回以降は、より具体的に焦点を絞って製造業のための広報活動を伝えていく予定です。今後、実際に製造業の広報に取り組んでいる方からお話を伺う機会も設けたいと考えています。興味を持った方は、広報活動の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

製造業のためのWebマーケティング手法

テクノポートの徳山です。中小製造業専門のWebマーケティングという特殊な?仕事に就き始めて15年以上、同様の事業を行う会社を立ち上げて10年近くが経ち、お陰様で製造業という専門的な市場における知見とノウハウをかなり蓄積することができました。

お客様と話をする中で感じるのは、この特殊な分野におけるプロフェッショナルがとても少ないことです。日常生活では殆んど関わることのないBtoBが中心の製造業の商習慣や専門用語を充分に理解した上でWebマーケティングを支援できる会社は多くはありません。

モノカクでは、長年に渡りこれまで蓄積してきたノウハウを当ブログにて発信し続けて参りました。1社でも多くの製造業者様のWebマーケティングのお役に立てればという想いと、情報発信をすることで得られる皆様からのフィードバックにより更に強固なノウハウを構築していこうと考えたからです。

Webマーケティングに関わる記事数がかなり増えてきたので、下記のように分野別に記事を分けてみましたので、皆様のお困り事に応じて記事を閲覧いただければと思います。

製造業のためのWebマーケティングまとめ

Webサイト企画編




SEO対策編


コンテンツ制作編



アクセス分析編



リスティング広告編


事例紹介


番外編

■コンテンツマーケティング



■デジタルマーケティング


■海外Webマーケティング


上記記事を読んでも解決しないお悩みや、Webマーケティングを外注してしまいたい、という方は「技術をマーケティング」することを得意としている弊社(テクノポート株式会社)までお気軽にご相談ください。

ずっと働きたいと思える職場「8つの理由」

昨今の人手不足の影響で採用に力を入れている会社が多いですが、採用したは良いけれどなかなか定着しないという話もよく聞きます。その際に「定着させるためには?」「離職率を下げるには?」という話が出てきます。ただ、それを課題にすると、「辞めさせないためにはどうすればよいか」という考えになりがちです。雇用側の立場ではなく、働く側の立場で考えると何か見えてくるものがあるのではないでしょうか?働く側の心理を理解するために、「長く働きたいと思う職場は何か?」に対して、働く側の目線で課題設定し、実際にどのような会社が長く働きたいと思えるかを考えてみました。

ずっと働きたいと思う職場 8つの理由

①仕事にやりがいを感じる

だれかに感謝されたり、社会貢献性のある仕事だったり、ものづくり自体が好きだったり、やりがいというのは人それぞれだと思います。「それは自分が本当にやりたい仕事ですか?」と言われて「はい、そうです」と答えられる人は少ないと思います。ただ、与えられた環境の中で最大限のパフォーマンスを見せることでやりがいを感じる方も少なくないと思います。このやりがいを働く原動力としている人も多いはずです。

②給料が高い

単純な理由ですが、人が生活するためにはとても重要なことです。多いのに越したことはありません。そのため、「他社と比べて多くもらえているから」という理由だけでずっと働きたいと思う人もいらっしゃると思います。

③適正な評価制度と給与体系がある

皆さんご存知の通り、人には承認欲求があります。社長や上司に自分の仕事が適正に評価され、それに見合った給料を得られれば人は満足感を得られ、モチベーションの持続につながると思います。、しかし、その評価が社長や上司の感覚で評価され、給料が上がったりするような基準だったらどうでしょう?人が主観で行う評価というのは数値化できない感覚値が大きいため、基準がないのと同じです。好き嫌いが入ってしまう可能性もあります。また、働く側も上司が見ているところでは頑張って、見えないところではサボるかも知れません。適正な評価制度と給与体系を設け、両者でそれを共有することで常に公正な姿勢を見せることが必要だと思います。

④キャリアプランが明確に見える

③とも繋がりますが、自分が5年後、10年後にどうなっているか?どうなっていたいか?をイメージできるかどうかがとても大事だと思います。手に職をつけていきたいのか、それとも管理職として仕事の幅を広げていきたいのか?そのためには何をしなければいけないのか?ゴールまでのステップアップの道筋がイメージできるかどうかです。逆に、これがイメージできなければ、現状に満足していたとしても離職する原因になります。面談の際には、現状についてだけでなく、将来のキャリアアップについての設計を一緒に策定し共有することが重要です。

⑤会社の方針や方向性がはっきりとしていて、それに共感できる

自分たちがどこに向かっていて、そのために自分は何をやっているのかが分からなければ、会社としての連帯感は生まれず、自分が何のためにこの仕事をしているのかも見えなくなってきます。会社の方向性が分かり、それに共感できたならば、自然とそこには連帯感や責任感が生まれ、モチベーションを持続させる原動力になると思います。大手と比べ、中小製造業ではこの一体感を感じやすいのではないでしょうか?

⑥円滑なコミュニケーションが取れる

仕事をするにあたり、技術職でもなんでもコミュニケーションは必須です。それがうまくとれない職場では、次第に不協和が生まれ、仕事にも影響を及ぼすと思います。また、相談できる仲間や上司がいるかどうかも大事です。

⑦働きやすい労働環境

残業が無く基本定時できっちり帰れたり、フレキシブルな勤務形態が増えてきたりしている中、自分のライフスタイルに合った働き方を重視する人も増えてきています。

⑧福利厚生が充実している

最近では育児・介護・健康・自己啓発など様々な項目での福利厚生があります。長く働く理由の主がこれということはあまり無いと思いますが、一つの指標として考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?いろいろな項目がありましたが、中小製造業で今後重要になるのは、上記の③、④だと個人的に思います。なぜなら、その分野にあまり手をつけておらず、大手と比べ評価制度や給与体系、キャリアプランが不明瞭な会社が多いためです。人材についてそこまで困っていなかったため、必要無かったというのが理由かと思います。ただ、そこを整備していかないことには人を定着させ一緒にがんばる仲間を増やしていくことは難しくなってきています。給与、福利厚生、職場環境などで大手と競うことは難しいですが、この領域は改善できるが可能性が高いと思います。そうは言っても適正な評価制度を作るというのは簡単そうで非常に難しいので、まずは自社の評価基準、給与体系等がどうなのか?第3者に客観的な意見を聞いてみるのも良いかも知れません。

今後、中小企業に合った具体的な人事評価制度や事例がありましたらご紹介します。

工場見学って意味あるの?工場見学を行うものづくり企業側の意義

近年、周辺地域の住民、地域の小中学校など向けに自社を知ってもらったり、地域貢献の為に行う工場見学を開催するものづくり企業が非常に増えています。しかし、「時間も手間もかかり、仕事に結びつく訳でもないのになぜ行うのか?」と思うのが大半の人の率直な意見ではないでしょうか?そんな私も懐疑的な思いを持っていました。なぜ開催する企業が増えているのでしょうか?その要因について考察しました。

工場見学を開く意義とは

ものづくり企業側の意図とはなんでしょうか?メリットやデメリットを踏まえ開催しているはずですので、考えられるものを挙げてみます。

工場見学を行うメリット

地域交流、関係性の向上

住宅と工場が混在する地域もあり、騒音問題等のトラブルを避けるためにも、住民の方の理解を得ることが重要になってきています。

社員のプレゼン力向上

工場見学者に対しての説明をするということは、加工の知識が無い子供でもわかる説明が必要です。「見ればわかるだろ!」というような教え方では通じません。新人教育をする際の先輩社員の教え方、伝え方を練習する場としても最適かも知れません。

社員のモチベーションアップ

社員のご家族を連れてくる方もいるので、なかなか見せられないお父さんの仕事がどんなものかを知ってもらえます。また、工場見学者は普段見たことの無いものを見るため、キラキラした目で、素直に感動してくれる人も多いです。いつも行っている仕事に目新しさがなくなってきている方も多いかも知れませんが、自分の仕事に自信ややりがいを再認識するきっかけにもなるはずです。

長い目で見れば人材採用につながる

地域住民の理解が得られ、関係性を築くことによって、パート・アルバイト、その先には社員の採用につながる可能性があります。様々な働き方や選ぶ基準がある中で、近場である程度時間の融通が効き、昔から知っている会社ということであれば、候補の一つになる可能性もあるはずです。また、小さい時から「ものづくり」という仕事があることを知ってもらうということも重要です。私は、大学を卒業し社会人になるまで、この業界のことを知らず、こういう仕事に就きたいという候補に挙がることすらありませんでした。

新たな顧客の創出・製品開発の可能性

様々な人に知ってもらい、多種多様な相談を受けることで、仕事や自社の製品開発につながる可能性があります。今まではどちらかというと工場は閉鎖的で、いかに技術を流出させないためにクローズするか、という考え方だったと思います。しかし、今ではより多くの人に自社の技術を知ってもらい、アイディアや相談を呼び込む方が、大きなメリットを生む時代なのだと思います。

工場見学を行うデメリット

安全性の確保のための準備

来場者がどのような行動をし、どこに危険が潜んでいるかわかりません。ある程度の行動の導線を用意し、その中で想定される危険を出来る限り排除し、万全の体制で望む必要があります。

開催時間と説明人員の確保

一番のネックはここではないでしょうか?土日開催するとなると、人員確保が大変ですし、平日だと通常業務との兼ね合いがありますし、見学者が集まりにくいというデメリットもあります。

情報流出

情報流出ももちろん気をつけねばならない点です。どこまでを見せて、どこからが見せてはいけないかを社内で決めた上でオープンにする必要があります。

メリット・デメリットを踏まえて考察

以上のようにデメリットを中心に見ると手間はかかるとは思います。しかし、それよりも繋がりを作ることで得られるメリットが以前よりも大きくなってきているのではないでしょうか?自社だけでどこの手助けも借りずに売上を上げ、独走し続けるというのは難しい時代です。地域の方の理解や周りの企業との連携を得ながら、社会に貢献し、利益を上げ、それを地域に還元するような共存するスタイルの会社が好まれるのではないでしょうか?そのような会社には人も集まります。工場見学は、積極的に交流を広げ、自社の認知度や理解を深めてもらうことで、上記のような様々な恩恵をもたらすものです。その一つの結果として口コミ、紹介等が広がり中長期的には仕事も集まりやすくなるのだと思います。

開催方法の種類

では工場見学を自社もやってみようと思った際に、単独開催というのはハードルが高いです。というのも、見学の受け皿を用意してもそこに人が集まらなければ意味がありません。告知、集客までを単独企業で行うのには限界があります。そんな時は、地域のイベントにまずは参加してみるのも良いでしょう。最近では地域で共同イベントが積極的に開催されていますので、近くでも定期的に開催しているかも知れません。

事例紹介

地域イベント例

東京都内の工場見学可能な会社紹介

自社も単独開催したいということであれば、既に単独で開催している工場を覗いてみてはいかがでしょうか?

Garage Sumida(株式会社浜野製作所)(墨田区)

言わずと知れた浜野製作所さんです。3Dプリンターやレーザーカッター、CNC加工機といった最新のデジタル工作機器を見ることができます。

富士精器株式会社(目黒区)

15年ほど前からは、区内の小学校から工場見学の受け入れを行っている工場見学の先駆け的な会社です。金属の切削加工について見学することができます。

株式会社富士産業(葛飾区)

真鍮・銅といったデザイン心をくすぐる素材を1個から仕上げるアトリエを持っています。行くだけでワクワクするものが見られます。(まだ正式には見学ツアーは無いですが、個別には対応してくれると思います。)

月井精密のデジタル化への道【2】

こんにちは。名取磨一です。

前回のブログでは、デジタル化へまい進するため、NCのマシニングセンターを購入しようと銀行へ向かう事を決意したところまででした。銀行の反応は如何に。

事業計画書

それまで自分では借金の経験がなく、会社は借金などしなくとも、うまく回っていくものだと思っておりました。しかし、製造業においては定期的に大きな設備投資をする必要があり、数千万円もする機械を現金で一括購入することの方がリスクが大きいということを税理士や金融機関の方から教えてもらい、借金をするということに強い抵抗感を感じつつも、初めて銀行融資を申し込むことにしました。

その際にどのように事業計画書を作成したらよいのかもわからず、融資担当の方に経理の仕方、会計の仕分け方、管理会計、決算書の読み方など手取り足取り教えてもらい、なんとか事業計画書を完成させ、銀行に行くと意外にも温かい目で事業計画のプレゼンを聞き入れてくれました。融資を受け、弊社にとって初めての数値制御の工作機械であるマシニングセンターを設備することができました。

CAD/CAMとの出会い

しかし、どんなに生産性の高い工作機械を設備しても、ダウンタイムを減らし稼働率を上げなければ、売り上げにはつながりません。早急にマシニングセンターのプログラムを早く作る方法を教えてもらう必要がありました。

山梨県都留市でマシニングセンターの達人がいると聞き、知り合いから紹介してもらって1週間泊まり込みで修業させてもらいました。そこで生産効率を劇的に上げることのできるツール「CAD/CAM」に出会いました。

CAD/CAMはまさに僕の考える「デジタルものづくり」には欠かせないツールで、これを使いこなせばどんなメーカーの工作機械でも動かすことができると知り、今度はドイツ製の5軸マシニングセンターを導入し、ドイツのものづくりを学ぶために、シュトゥットガルトに修業に向かいました。

当時はまだ生産効率がとても低い状態でしたが、好景気の追い風もあり順調に設備投資を重ね、人員も増加し、受注量も伸びていきました。しかしこの時、売り上げは伸びているのに利益が思ったほど伸びない状況にあることに気が付きました。中小製造業によくある「忙しいのに儲からない現象」です。

原因は見積りに

当時は北京オリンピックと円安の影響で毎月のように材料代や工具代、燃料代が上がっていましたが、僕が行っていた見積り方法はまさに「どんぶり勘定」でした。そのため、経費が上がって利益を圧迫していることに気が付きませんでした。

そんな中、突然やってきたのがリーマンショックでした。新規案件はストップし、依頼される仕事のボリュームは半減し、次から次に値引きの価格交渉に応じなければなりませんでした。客先からは毎日のように「どこまで値下げできる?」と聞かれ、今まで受けていた仕事をどんどん値下げしていきました。

低価格対応と円高対策のため、タイのアユタヤにてローカル企業とジョイントベンチャーを組んでNatori High Precision Thailand CO.,LTD.を設立し海外生産を進めることで損益ギリギリの状況が続きました。

会社を維持するためには、どこまで値下げしたら赤字がどれくらいで納まるのかが正確に算出できるシステムがないと会社維持は不可能なのではないかと思いました。

その時初めて製造業には「技術力」と「見積力」が必要であるということに気が付きました。

このように、設備投資や人員の増加、リーマンショックや海外進出など中小製造業は会社の状況が刻々と変化する中、見積り金額自体も刻々と変化していかないと、きちんとした最終利益を確保できなくなるのではないか、との思いから助成金を活用し、大学と連携し合いながら「クラウド見積りネットワークサービスTerminalQ」を開発し、株式会社NVTを立ち上げました。

現在は「日本で試作・タイで量産」という製造の流れを確立し、「世界中で使えるクラウド見積りネットワークサービスTerminalQ」を使って国内2工場、海外1工場、協力企業約100社をつないで連携をとりながら「デジタルものづくり」を推進しております。

今後ともよろしくお願いいたします。

月井精密のデジタル化へ道【1】

こんにちは。名取磨一(なとり きよかず)と申します。

月井精密株式会社 http://www.tsinc.jp

Natori High Precision Thailand CO.,LTD. http://www.tsinc.jp/natori_high_precision-thai.html

株式会社NVT https://terminal-q.com

の代表取締役をしております。今後ともよろしくお願いいたします。

今回は自己紹介

僕は都立日野高等学校を卒業後、18歳で祖父の経営する月井精密株式会社に入社しました。進学したいという気持ちもありましたが、当時祖父は75歳。技術を教えてもらうには進学を待つ時間的余裕がありませんでした。同級生300名の中で卒業後一般企業に就職したのは僕一人だけでした。

月井精密には当時数名の社員がおりましたが、僕が入社した直後に全員辞めてしまい、僕と祖父の二人だけの職場が二年間続きました。休日は日曜日だけという過酷な会社でしたが、高校時代からバイク好きということもあり機械が大好きで、汎用旋盤・汎用フライス盤に没頭する毎日がとても楽しかったです。

職人気質の祖父は、ものづくりにおいて、「見る・聞く・嗅ぐ・感じる」ことが最も重要である。と教えてくれました。特にドリルの研ぎ方、エンドミルの研ぎ方、完成バイトの研ぎ方など、刃物の研ぎ方を教わるのがとても楽しかったです。

加工する材質の硬度に合わせて自分で研いだ刃物を汎用の工作機械に装着し、手動で機械を操作して金属を削る。その時に機械から出る音や振動や臭いを感じ取り、それが製品の仕上がりにどう影響するのかを仮説を立てて検証し推理し、改善していく。刃物というものの奥深さにどっぷり浸かった充実した毎日でした。

そんなある日

祖父が脳梗塞で倒れました。工場内で真っ青になって震えていた祖父を発見し、急いで救急車を呼んだため、一命はとりとめましたが、左半身が不随になってしまいました。一級技能士の職人にとっては翼をもがれるほどの致命的なダメージでした。その日から祖父は入院とリハビリの毎日で、工場には来られなくなってしまいました。

たった一人の職場で、誰とも会話することもなく朝から深夜まで仕事をする毎日。当時20歳の僕には過酷な日々でした。見積・加工・納品・経理・会計・給料計算、すべての業務を一人でこなさなければならない上に、誰も教えてくれない状況は正直辛かったです。

デジタル化への道

そこでまず取り組んだことは、インターネット回線を引くことでした。当時の工場は、なんとまだアナログ回線の黒電話でした。社員は僕一人という状況では困ったときのインターネット検索が生命線だと思い、生まれて初めてパソコンを購入しインターネットの環境を整備しました。

そこから一気にすべての業務がアナログからデジタル化されていきました。手書きの見積書・納品書・請求書は販売管理システムに、タイムカードや給料計算は勤怠管理ソフト、会計は会計ソフト、FAXはメール、買い物はアマゾンと大塚商会、月末の振り込みや入金チェックはネットバンキング、手書き設計はCADへ。

祖父がリハビリから戻ってきたとき、劇的に変化した工場環境と事務処理環境を見て、祖父は社長を退く決断をしたそうです。20歳で事業承継を受けた僕はアナログ技術の伝承の難しさに直面しました。若い社員を採用し、「技術は、見て・聞いて・感じるものだから、10年間本気で修行して、やっと身に着くものなんだ!」と言い聞かせたところで「よし!10年後に給料がもらえるようになるなら10年間修業しよう!」なんて言う若者はいるはずもなく、八王子市の主催する集団面接会に来た新卒者に、どんな会社で働きたいかを聞いて回りました。

すると、デジタルツールやIT機器を使いこなしている会社、情報の透明性の高い会社、修業期間の短い会社、などの意見が多かったので、月井精密の当面の第一目標は「IT機器を使いこなし、暗黙知を数値化し、情報の透明性を高め、修業期間を短くして、若い人材が早く自立できるような空間を提供すること」となりました。

まず、手動の工作機械では新人が技術の習得までに3年はかかってしまうので、数値制御の工作機械を導入し、数か月間の教育で自力で製品が作れるような社内体制にしようと考えました。マシニングセンターの見積をもらうと1400万円とあり、20歳の僕には見たこともない数字でしたが、とりあえずプレゼン資料を持って銀行に相談に行くことにしました。

つづく

ものづくりベンチャーと町工場の連携が進まない理由

ものづくり経革広場の徳山です。先日「経済産業省がものづくりベンチャー支援するネットワーク作りに乗り出す」というニュースを見つけました(以下、毎日新聞の引用)。

経済産業省が、「ものづくり」を手がけるベンチャー企業の製品試作を支援するネットワーク作りに乗り出す。製品のアイデアを持つベンチャー企業と、既存の町工場のものづくり技術を結びつける拠点「スタートアップファクトリー」を民間施設の中から選定し、2018年度から設備導入補助や人材育成支援を実施する。ベンチャー企業が、市販レベルの製品を試作する段階で事業に行き詰まる「量産化の壁」を解消するのが狙い。

以前から同様の取り組みは各地で行われていましたが、経済産業省が本格的に乗り出す、ということで大きなニュースになっていました。そもそも何故ものづくりベンチャーと町工場がうまくマッチングせず製品開発がうまく進行しないのでしょうか?両者との接点が多い弊社なりの理由をいくつか考えてみました。

①町工場がものづくりベンチャーとの取引を嫌がる

多くの町工場がメーカーからの下請け仕事に慣れてしまっていて、図面がないと物を作りたがりません。ものづくりベンチャーの仕事は面倒な割に利益にならないのでどうしても積極的に引き受けようとは思わないようです。また、金型製造など大きな資金を要する製造案件の場合、資金回収のリスクが発生するため取引に至らない要因にもなっています。更に加えると年齢差(ジェネレーションギャップ)から生まれるコミュニケーションロスも大きく、取引を敬遠される要因になっていると思われます。

②ものづくりベンチャー側の知識不足

次に指摘するのが、ものづくりベンチャーの多くが初めて製品開発に挑戦するため、製品を製造するのにどれぐらいのコストがかかるか分かっていないということです。3Dプリンタなどの機器が流行した影響でものづくりのハードルが下がったように感じていますが、それは試作の話で量産に関してのハードルは全く変わっておらず、そのギャップを理解できていないことが多いようです。

③製品製造における横断的な知識を両者が持っていない

町工場は製造におけるプロだと見られるが、多くの会社がニッチで部分的な仕事しかしておらず、自社の設備でできることを前提に考えてしまうと最適な製造法を提案できる訳ではありません。なので、どのような素材・加工法が最適で、どのような協力工場が必要かをコーディネートできる存在にはなりにくいです。最適なコストでスピーディに製品を製造しようとした時に、全ての部品を一から作るのではなく、既製品などの活用も視野に入れて設計することも必要で、その辺りの知識も必要となります。

ゆえに、上記のような問題点を払拭できるような民間施設と連携しないと当取組はうまくいかないのではないかと考えています。具体的には、積極的に協力してくれる町工場のネットワークを築くこと(日頃の人間関係から多少無理も聞いてくれるような)、ものづくりベンチャー側の製造に関する教育を行うこと、両者の間に立ちコーディネートできる人材の確保、などが必要になるのではないでしょうか。

また、ものづくりベンチャー側が初期投資におけるリスクを全面的に背負わなければならない現状も製品開発における大きな阻害要因になっていると思われます。クラウドファンディングなどの解決手段もありますが、寄付者へのリターンなどのコストも考えると十分な資金源にはならないことが多いです。もっとリスクを分散する仕組みが求められます。

資金調達に関しては、今後ものづくりベンチャー向けのベンチャーキャピタルなどが増えてくると思われるので、リスクを全面に背負うケースも減っていきそうです。しかし、ベンチャーキャピタルに今後求められる支援として、資金やマーケティング面の支援だけでなく、上記のような製品製造におけるコーディネータ的な役割を担うことも必要となるのではないでしょうか。

記事の最後の方に「事業化を目指す会員に深センの企業から支援の声がかかっている。このままでは事業アイデアが海外に流出してしまう」とありますが、この脅威はとても大きいと思います。こういう話を聞くと「コストが安いから中国企業」と思われがちですが、深センなどの企業と取引する会社はコスト以外のメリットを感じています。それが分かりやすく表現されている四コマ漫画がありますので最後にご紹介します。これを見ると町工場側の変革も求められそうですね。。