テクノポートの井上です。今回は製造業者が営業活動を効果的に行うためにできることを紹介します。営業活動とHPは、今では切っても切れない関係となっており、HPをどう営業に活用するかがメインのお話となります。もちろんHP以外にも多くの営業手段はあるので、HPでなければいけないということではありません。ただ、HPは製造業にとって「非常に効率が良い営業手段」であるため、掘り下げて紹介しています。
HPを活用した営業活動の成功事例を紹介
最初にいくつかHPを活用した営業活動の事例を紹介します。
有限会社ユニバーサル(制作日:2021/6)
目的が明確な問い合わせが増加。契約までの話が早く、お互い無駄な時間やエネルギーを使わずに済み、名刺代わりだったWebサイトが強力な営業ツールに急変。
(参照:有限会社ユニバーサル)
株式会社モリセ精工(制作日:2018/12)
全く来なかったHPからの問い合わせが、リニューアル後は週2~3件ほどのペース。受注率は3割程度と以前に比べ大幅に上がり、狙っていた秘匿性の高い大手研究開発部門からの問い合わせも呼び込むことに成功。
(参照:株式会社モリセ精工)
株式会社サイトウ工機(制作日:2016/11)
HPからの新規の問い合わせがほとんどない状態から、月5~10件ぐらいの新規案件をコンスタントに呼び込むことに成功。待っていても仕事の相談が入ってくる営業スタイルが完成。
(参照:株式会社サイトウ工機)
共通して言えることは、そこでしかできない特殊な技術を持っている会社はないということです。どのようなユーザーをターゲットにし、何を得意領域とし付加価値を提供するかを定義した結果、新規の問い合わせを呼び込むことに成功しています。
HPを使った営業が製造業と相性が良い理由
製造業とHPの相性が良いと言える根拠を説明します。
仕事が忙しいときにも営業ができる
「忙しいときにこそ種まきを」と言われるように、忙しいときでもHPは営業PRをしてくれます。
呼び込む型の営業スタイルが業界に合っている
自社製品を持たない受注生産がメインの場合、プッシュ型の営業は不向きです。既に頼んでいる業者がいるため、また、タイミングがとりづらいためです。HPならニーズのあるタイミングで向こうから問い合わせをしてくれるため、営業のハードルが格段に下がります。
異業種からの問い合わせも期待できる
HPを活用し、技術をPRすることで、自社の想定しなかった業界や用途で仕事が決まることもあります。
HPを営業として有効活用するための質問集
具体的にHPをどのように活用すればいいか、現状がわからない方も多いかと思います。
これからいくつかのHPに関する、いくつかのYES・NOの質問を投げかけます。NOとなった部分の理由を追及することで、自社のHPをよりよくするための糸口が見つかるはずです。
HPに関する質問
- HPはありますか?
- 自社の現在の事業内容に合っていますか?
- HPからの問い合わせはありますか?
- 検索キーワードで見られるように対策をしていますか?
- アクセス状況を閲覧することはできますか?
- どのようなキーワードで見られているか知ることはできますか?
- 想定したキーワードの順位は10位以内にきていますか?
- 他に想定していなかった期待できるキーワードがそこには含まれていますか?
- 想定したキーワードで10位以内の場合、そこから問い合わせにつながっていますか?
- 該当するページのコンテンツはユーザーの求める内容に応えられていますか?
- 問い合わせがどのページから来ているかわかりますか?
問い合わせ対応に関する質問
- 問い合わせの内容は自社が呼び込みたいこととマッチしていますか?
- 問い合わせに対し、いつまでに、だれが対応するか決まっていますか?
- 見積もり提出の前に受信した旨、製作対応可否や、見積もりをいつまでに提出することの連絡ができていますか?
- 問い合わせ内容の顧客情報、問い合わせ内容の情報の管理はできていますか?
- 見積もり回答した案件について、可否を最後まで追えていますか?
- 見積もりNGだった場合にその理由までヒアリングできていますか?
- 顧客情報を蓄積し、再度アプローチできる仕組みは作れていますか?
いかがでしたでしょうか?できていない部分を知ることができれば、なぜできていないかを考え、次に進めることができます。参考にしていただければ幸いです。どうすればいいかわからない場合には、弊社テクノポートにご相談いただければ、状況に合わせた助言ができます。
これ以降は製造業における現状と営業の必要性についてまとめております。ご存じの方も多い内容かと思いますので、その場合は読み飛ばしてください。
製造業の置かれている現状
- 新型コロナウイルスの影響による業績低迷
- 少子高齢化による人手不足による人件費の高騰
- 加速するデジタルシフト
- 安い労働力を求めたアジアへの生産拠点シフト
- 世界情勢の不安定化によるサプライチェーンの寸断
何を機会、脅威と捉えるかは会社次第ではありますが、全体として日本の製造業の置かれている状況にはさまざまな課題があると言えます。
製造業の営業活動の必要性
受託加工という業態の特性(タイミング)
製造業界では、従来から依頼している発注先が存在します。より安価な発注先を探す場合もありますが、通常は特別な理由がない限り、新しい発注先を検討することはありません。新しい発注先を検討するタイミングや理由としては、従来の加工業者が遅れている場合や品質に問題がある場合、ボリュームを対応できない場合、後継者不足、発注リスクの分散などがあります。現在の発注先との関係が常に良好であるわけではないため、そのようなタイミングを見極めることは非常に難しいです。ほとんどの場合、「機会があれば」新しい発注先を検討することになります。
自社製品と比べてPRしづらい
自社製品の場合は、製品の特徴、メリット、デメリット、価格、他社製品との比較など、さまざまな情報を提示することができます。一方でサプライヤーの場合は、お客様から提供された図面に対して、製作可否、納期、コストを提示することが求められます。サプライヤー側から、それらが他社と比較して優位であるかどうかを判断することはできません。そのため、通常の製品販売営業よりも営業活動は困難です。
営業+技術ができる人が少ない
中小製造業の営業活動においては、営業力だけでなく、自社技術の理解も求められます。お客様から提供された図面などを見て、内容や状況を理解し、ある程度の可否判断を下せることは営業のスキルの一つであり、商談時にお客様の信頼を得るうえで重要です。
中小製造業では、こうした技術的な営業は経営者が担当することが多いため、営業という仕事に就いてもすぐに即戦力になることはまずないでしょう。時間をかけて、営業と技術の両方ができる人材を育てる必要がありますが、それには相応の労力とコストがかかります。
設備稼働力というキャパがある
製造業の場合は、保有する設備によって、稼働できる限界があります。そのため、需要があっても必ずしも受注できない場合があります。繁忙期に営業を行い、案件を獲得しても、そもそも製造ができない場合も少なくありません。営業側は、売上や顧客からの信頼などを考慮して、できる限り多くの案件を獲得したいと思っていますが、現場がそうした案件を受け入れない場合もあります。
閑散期に営業を行っても案件を獲得できない場合もある製造業は、仕事の波をコントロールすることが非常に難しい業界です。
営業活動の目的って?
営業活動の目的は、もちろん売上や利益の増加です。しかし、これは短期的な目的であり、あくまで数値化された目標と言えます。会社としての目的はその先にあり、例えば以下のようなことが挙げられます。
リスクの分散
取引がこの先も長く続く保証はないため、業界問わず取引先を増やし、取引先のバラつきを減らすことが重要です。
仕事の波の低減
繁忙期、閑散期に左右されず営業活動ができる仕組みをつくり、仕事の波を抑えることが欠かせません。
利益率の向上
顧客候補を増やし、不当なコスト協力を回避すれば、利益率の高い仕事を追求することができるようになります。
新しいビジネスのきっかけをつかむ
積極的に新しい案件に取り組み、自社事業の可能性を常に模索し、新しいビジネスのきっかけをつくることが重要です。
以上、製造業が営業活動を効果的に行うためにできることについて紹介しました。参考にしていただければ幸いです。
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