パナソニックはBtoB事業へ大きく舵取り

年始からパナソニックがBtoB向けのCMを放送していました。最近BtoB向けが増えてきていますね。DMG森精機のCMなど業界のCMが見れて個人的には嬉しいですが、一般の人から見たらクエスチョンが多いかも知れません。パナソニックが年初から始めたCMは社外への意思表示だけではなく、社内向けにもパナソニックがソリューション企業に大きく舵をきる方向性を示す狙いもあるようです。

白物家電の売上比率は3分の1程度

パナソニックは白物家電などのエレクトロニクス分野をはじめ、住宅分野や車載分野など幅広く手がけています。一般消費者の認識は大手家電メーカーですが、本質は以前から家電メーカーではなくBtoBを軸としたソリューションカンパニーでした。実際にBtoBの事業が占める売上の方が大きく上回っています。2018年に関して言えばアプライアンス事業(白物家電テレビなど)が33%ほどになると言われていますので、事業の中では一番の稼ぎ頭になるようです。下記は2016年度の売上構成比率です。アライアンス事業が白物やテレビを取り扱う事業です。

2017年 アニュアルレポート 財務報告を参照

https://www.panasonic.com/jp/corporate/ir/pdf/anuual/83j.pdf

ちなみに事業のセグメントは以下の5つです。

  1. アプライアンス
    エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、美・理容器具、電子レンジ、オーディオ機器、ビデオ機器、掃除機、炊飯器、自転車、ショーケースなど
  2. エコソリューションズ
    照明器具、ランプ、配線器具、太陽光発電システム、空気清浄機、介護関連など
  3. AVCネットワークス
    航空機内AVシステム、パソコン・タブレット、プロジェクター、デジタルカメラ、監視・防犯カメラ、固定電話、携帯電話など
  4. オートモーティブ&インダストリアルシステムズ
    車載マルチメディア関連機器、電装品、リチウムイオン電池、乾電池、電子部品、半導体、電子材料、液晶パネル、モーターなど
  5. その他
    戸建住宅、集合住宅、分譲用住宅、リフォームなど。パナホームで展開。

なぜBtoBへ転換

価格競争に陥りやすい消費者向け(BtoC)事業から、長期にわたり安定した取引が見込める企業向け(BtoB)事業に注力するのが狙いだと言われています。そうは言っても白物家電も今は好調な様子です。プレミアム商品の提案を通じて限界利益を向上させることに成功しているのが大きな要因だと思います。どうやら日本で成功している理由は、競合不振、技術、コスト競争力だけでなくマーケティング力によるものが大きいようです。その国内BtoCでの「勝ちパターン」を海外、そしてBtoBに展開することが狙いのようです。

今後の取組みについて

実際にBtoBへの転換ということで、テレビCMは始まりに過ぎず、見込み客を獲得するためのデジタルマーケティングにも力を入れるそうです。そのために新たに構築するウェブサイトでは、導入事例を中心としたコンテンツを充実させることで、訪問者を具体的な検討へとつなげていくそうです。
こちらのサイトのことでしょうか?

イメージ重視の大手家電メーカーのサイトとは異なり、具体的な事例が社名付きで掲載されています。この辺は大企業だからこそですね。中小企業の場合、事例に社名を載せることがなかなかできないと仰る方がほとんどです。
ページ数を数えようとしましたが、多すぎて数えられませんでした。恐らく100ページ以上はあると思います。この規模でデジタルマーケティングを行うには相当な労力がかかると思いますが、収集できる情報も膨大なため、うまく活用すればそれ以上の成果が見込めるサイトになると思います。

去年はBtoBソリューション事業強化に向け組織再編

パナソニックはグループ全体のBtoBソリューション事業成長の中核を担う顧客密着型事業体制の構築を狙いとして、組織再編を行い、2017年4月1日付で新しい社内分社「コネクティッドソリューションズ社」を設立しています。
そう言えば、去年はパナソニック ベンチャーズ合同会社も立ち上げていましたね。既存の事業領域にとらわれない、非連続の成長につながる可能性を秘めた事業の目利きが目的です。

まとめ

どちらにも総じて言えることは自社製品にこだわらない自前主義からの脱却を掲げ、外部企業との連携を強化していくことが今後の成長のカギになる考えているのだと思います。旧来のモノづくりを中心にした提案は難しくなってきたため、1社でなんでも揃えるのではなく、様々な会社の製品を組み合わせながら、ソリューションで利益をあげることにシフトしていくようです。

松下幸之助氏の「衆知を集める経営」の「衆知を集める」は、社内だけでなく社外も含めて言えることと考えられます。自前に固執することなく衆知を集め、それをうまく組み合わせることで価値を提供することは、パナソニックの原点回帰にもつながるのではないでしょうか?
これからのパナソニックの動向に注目したいと思います。