中小企業のWebマーケティングがなかなか進まない理由

テクノポートの小林です。近年、コロナ禍以降はとくに、中小製造業の中にもWebマーケティングを導入する企業が増えてきています。

中小企業の経営者の後継者や営業担当者がWebマーケティングの有用性を感じ「うちの会社にも導入したい!」と思っても、社内からの理解が得られず導入を進められないケースも多く見受けられます。今回は、Webマーケティングの遂行を妨げる要因と、それを乗り越えるための対処法について紹介します。

Webマーケティングの遂行を妨げる要因

中小企業のWebマーケティングを遂行を妨げる要因はなんでしょうか?その要因をしっかり理解することができれば、対策の糸口は見つかるはずです。

デジタルマーケティングへの理解の不足

中小企業の経営者層がデジタルマーケティングに関する知識や理解を持っていない場合、Webマーケティングを効果的に活用することは難しいです。「よくわからないものは取り入れない」、「業界で話題になっていたとしても、うちは独自にやっている」という考えを持っているのかもしれません。

伝統的なマーケティングへの執着

一部の中小企業は、伝統的なマーケティング手法に依存していることがあります。昔ながらの足を使った営業活動に固執し、新しいデジタルマーケティングの重要性に気づいてないのです。もちろん対面での営業も重要な営業手法ですが、他の可能性を否定してしまうことはもったいないことです。

また、「うちの業界は特殊だから」という理由で可能性にフタをしてしまう会社も多く存在します。

予算の制約

中小企業は、大企業に比べてマーケティング予算が限られています。Webマーケティングには広告費や専門的な支援を必要とする場合があり、予算の制約が進展を妨げる要因となることがあります。今まで営業をせずとも仕事を受注できていたため、営業に費用をかけることに消極的な傾向があります。また、見えないWebに関して費用をかけるのにはさらに消極的になる場合があります。「展示会には費用をかけて積極的に出展しているけれど、Webはぜんぜん」というケースも少なくありません。

リソース不足(運用体制)評価体制に問題

Webマーケティングは継続的な取り組みを必要とします。中小企業は従業員数や業務量が限られていることが多く、Webマーケティングに必要なリソースや時間を割く余裕がない場合があります。専属の人間を置くことはできず、どうしても片手間になりがちです。

評価体制に問題

実施者の人事評価も重要な問題です。せっかく成果を出しても実行者への適切な評価が得られず、モチベーションの低下、予算削減などにより思うように進まなくなることがあります。

成果測定の不足

効果測定は、実施したマーケティング活動の成果や効果を測定し、改善策を立てるために重要な要素です。やったことに対する成果を見える化させる仕組みがなければ、社内での評価や賛同を得ることができません。

Webマーケティングを遂行するための4つのポイント

上記の要因を踏まえた上で、遂行するためのポイントを紹介します。

経営者層にWebマーケティングの重要性の理解をいかに得るか?

何よりも大事なことは、ユーザーがどのように新規の会社を探しているかを経営者層に理解してもらうことです。ユーザーの行動心理を理解し、その上で自社がどうあるべきかを考えることで、自然とWebの重要性が理解してもらえるはずです。

そのためには、やはり数字や生の声を利用し、根拠に基づいた説明が効果的です。担当者の気持ちや意見ではなく、客観的な意見と根拠で説明します。例えば下記のようなアンケート調査を利用すると効果的です。

新規開拓

引用元:イントリックス株式会社

情報収集段階の手段として、Webを使うユーザーが圧倒的に多いことが証明されています。

ユーザーの行動心理に合わせ、自然と自社を認知してもらい引き合いを呼び込むことは、ユーザーにストレスを感じさせないユーザーファーストな営業と言えます。

Webマーケティングの効果的な実行手段の構築

重要性を理解してもらったところで次は、「じゃあどうやってやるの?」が経営者層の興味内容です。効果的な手段が提示できなければ、せっかく有用性を理解してもらえても賛同が得られません。

限られた予算の中で、いかに高い効果をあげられるかが課題となります。まずテコ入れすべきはWebサイトです。WebサイトはWebマーケティングの中核です。ユーザーフレンドリーなデザイン、SEO対策、モバイル対応など、Webサイトの最適化を行い、集客力の高いサイト構築が必要となります。

Webマーケティングに知見のある人材が社内にいるケースは少ないため、信頼できるWebマーケティング会社と一緒に進めることをおすすめします。事例などを踏まえて効果が期待できるようなイメージをいかに持たせるかが重要です。

実施効果の見える化:Webマーケティングの運用、評価体制の構築

実施効果をどうやって計測するかが次に知りたいポイントです。やりっぱなしが一番の問題です。以下のポイントを考慮して、適切な運用・評価体制を構築しましょう。

①データ収集と分析:

Web解析ツールやデータ収集手段を活用し、マーケティング活動の成果を定量的に評価します。Webサイトのトラフィック、コンバージョン率、離脱率などの指標を分析し、課題や改善点を洞察します。

②目標とKPIの設定:

マーケティングの目標を明確に設定し、それに基づいたキーパフォーマンスインディケーター(KPI)を定めます。KPIは成果を評価する指標であり、マーケティング活動の進捗状況を把握するための基準となります。

③定期的な評価と改善:

マーケティング活動の評価を定期的に行い、データに基づいた改善策を立てます。効果のある施策を継続し、効果の低い施策を見直すことで、効率的なマーケティング活動を実現します。

④成果の評価だけでなく、実行者への評価や運用体制について:

組織としてWebマーケティングをどう運用するかを議論しておくことも重要です。誰がどのように管理し、時間をどれぐらい費やすべきか、また、その成果に対して仕事としてどのように評価すべきかまでを考えておかなければ、「頑張って成果が出たのに、人事評価とは関係なかった」となると、社員のモチベーションの低下にもつながります。

④だけは担当者としての業務遂行のしやすさや立場を守るためにも重要です。会社組織全体としてWebマーケティングに取り組むことの理解を得ましょう。

Webマーケティング遂行にかかる費用に対しての理解

最後はかかる費用に対しての合意です。費用に関しての捉え方は会社によってまちまちのため、Webマーケティングに関する費用を安いと捉える会社もあれば、高いと捉える会社もあります。一般的な説明の道筋は下記の通りです。

  1. 新規開拓の重要性の理解
  2. そのために何をするか?新規開拓の手法の提示
  3. その中でWebがコストパフォーマンスに優れている点

ただ、それだけだと初めてWebマーケティングに取り組む方の腰は重いかもしれません。価値をどうやって理解してもらうかの話ですので、たとえ話をしてみるのもよいでしょう。

例えば、この業界は単発の新規取引ばかりでは手間ばかりで利益が出ない業態の会社が多いです。そのため、単発取引をいくつか受ける中で、1年間に1社でも継続取引ができる顧客がもしできるとすれば、どれぐらいの費用をかける価値がありますか?

会社や組織を巻き込むためには、論理的な話だけでなく、可能性や期待、ワクワク、情熱も最終的には必要になります。

Webマーケティングの遂行を妨げる要因と、それを乗り越えるための対処法について紹介しました。参考にしていただけましたら幸いです。

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中小製造業における新規営業の難しさを考える

テクノポートの小林です。今回は中小製造業の新規営業の難しさについて、業界の構造、技術営業の特徴を踏まえ紹介します。現状を理解することで、自社が行うべき施策の参考になれば幸いです。

中小製造業の新規開拓の必要性について

いまさら説明の必要性はないかもしれませんが、中小規模の製造業の新規開拓の必要性について、念のため説明します。

原価低減協力による利益率低下のリスク軽減

既存顧客との取引においては、原価低減協力により、利益率が低下することがあります。新規顧客の獲得により、顧客数を増やしてリスクを分散することで、原価低減協力のリスクを軽減できます。

現場の思考力向上

決まった仕事を続けると作業化してしまい、現場の思考力が低下することがあります。新しい顧客からの依頼に対応することで、現場のスキル向上や知識の習得が促進されます。また、新しいプロジェクトに取り組むことで、現場のアイデアや創造性の向上が期待できます。

仕事の波の緩和

製造業は仕事の波が激しく、需要の変動に対応する必要があります。新しい顧客を獲得することで、需要の変動リスクを軽減し、収益を安定化させることができます。

イノベーションの創出

新しい市場には、既存のビジネスモデルでは対応できないニーズが存在するため、より効率的かつ柔軟性のあるビジネスモデルが求められます。新規顧客との取引を通じて、新しいビジネスモデルのアイデアを得ることができ、それがイノベーションの創出につながります。

中小製造業の技術営業の難しさ

顧客:下請け構造による問題

顧客との関係性で受託加工という性質上の問題が考えられます。

①立場上、足元を見られやすい

案件を獲得しようとこちらからアプローチをかけても、そもそもメーカー側ではすでに頼んでいる加工業者が存在します。切り替えにはリスクが伴うため、何かしらのメリットでもない限り、新たな加工業者に依頼することはありません。そのため「大幅に安くなるなら考えるよ」程度で終わってしまいやすい現状があります。

②発注のタイミングが捉えづらい

既存業者で加工不可、キャパオーバー、不具合が起こった場合など、新規の加工業者を探すタイミングがイレギュラーで発生します。そのタイミングは密な連絡をとっていない限り、外部から知ることはできません。そのため、付き合いのない会社がそのタイミングを知ることはハードルが非常に高いと言えるでしょう。

③口コミ紹介で広がりづらい

すごく良いサービスを受けたり、良い製品を購入したりした際に、人は誰かに伝えたくなります。特に個人ではその性質が強いと言えます。しかし、ものづくりの業界では、「できれば自社の仕事を優先的に受けてもらいたい」という考えがあります。なぜなら設備的なキャパの限界があり、他の仕事を受けて、自社の仕事を受けてもらえなくなる恐れがあるためです。そのため、一般的な口コミ紹介は広がりにくく、大企業では同じ会社の他部署でさえ情報が共有されていないこともあります。

競合:技術の特性的な問題

自社製品販売と比べ技術は伝えづらい

製品というものは、なにかしらの用途で利用するために設計されています。そのため、利用上のメリット・デメリット、価格など説明する内容を顧客の利用シーンに合わせ提案できます。一方で、技術は用途が限定されず、同じ案件というものはほとんど存在せず、図面ごと、数量、納期によって提供できる価格が異なります。そのため、顧客が求めるものを探りながら、それに合わせたメリットの提供・提案をする必要があります。

他社技術との差別化がしづらい

加工業者の保有する設備は自社オリジナル加工機というものはほとんどなく、汎用性の高い工作機械を使って加工を行っています。そのため、保有する設備は最新式のもの、海外製のハイスペックマシンなどの特徴の機械はあるものの、ほとんど同じような加工機で多くの会社が競い合っています。

また、使い方も、工具や治具、加工条件などにノウハウはあるものの、ユーザーに競争優位性を説明できるような数字で提示することは非常に難しいと言えます。

自社:自社の保有するリソースの問題

技術知識と営業スキルを兼ね備えた営業人材が少ない

欲を言うなら、やはり工場の経験を積んだ営業人材が欲しいところです。単なる御用聞きではなく、図面を理解した上での提案や、やり取りがスムーズになるためです。ただ、そのような人材を新たに雇うことは非常にハードルが高く、社内で工場から営業へ転属させても、営業の向き不向きの問題もあります。

自社の保有する設備以上の案件は受けられない

どんなに良い案件があっても、自社の稼働が目いっぱいでは仕事を受けることはできません。需要があればあるだけ作れば良いというような製品販売側とは違った稼働力という制限があります。

もちろん協力工場との連携でカバーする手段もありますが、協力工場との良好な関係作り、協力工場の稼働状況なども把握する必要があります。

営業と工場とのコミュニケーションに障害が起きやすい

営業側が頑張って案件を獲得しても、工場側では稼働力の問題や、新しい案件への抵抗などから非協力的というケースはありがちなお話です。営業側と工場側の密な協力体制が案件受注率のアップには必要となります。

大手と比べ人手と費用に限りがある

こちらは言わずもがなです。

上記を理解した上で考える営業の成功要因

まず最初に取り組まなければならない課題は、下記の2つにあると考えます。

  • 相手のタイミングをいかに効率よくつかむか
  • 技術を必要とするユーザーにいかに自社を認知させるか

理由として、まずは案件がなければできるかどうか、どのようなメリットが出せるかなど、具体的な検討をすることができないからです。案件を獲得するには営業が必要というお話もありますが、今の時代はWebでも案件の相談を呼び込むことができます。

下記はWebを活用した情報収集から企業選定をしているアンケート事例です。Webを活用した情報収集は、製造業でも例外ではありません。

新規開拓出典:イントリックス社 製品選定時にWebサイトを利用する人が営業・展示会を超えて多数

また、Web活用が受託加工業と相性が良い点があります。主には下記の3点です。

①ユーザーの発注形態に合っている(発注側のタイミングをつかむことができる)

②相手から具体的な相談が来る(立場上の問題を解決)

③低コストで人のリソースに左右されず常に営業(PR)できる

中小製造業の営業活動の難しさについて紹介しました。自社の置かれている状況を理解した上で、自社なりの施策が立てられるよう参考にしていただければ幸いです。

弊社では製造業専門にWebを活用した新規開拓支援をしております。新規開拓についてお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。

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サプライヤー(金属・樹脂加工業など)がホームページ制作する際の戦略の立て方

ホームページ制作において、戦略は非常に重要だと認識されている方は多いでしょう。しかし、「戦略の重要性はわかっても、具体的にどのように戦略を立て、それをホームページに反映させればよいかわからない」というお話をよく伺います。今回は、サプライヤー企業(金属加工や樹脂加工業など)のホームページ制作の際の戦略の立て方について説明します。

戦略策定のための事前準備

今後の戦略を立てるために、まずは自社が置かれている現状の分析が必要です。汎用性の高い3C分析がおすすめです。

3C分析(3C analysis)は、経営戦略やマーケティング戦略の立案において利用されるツールの一つです。3Cは、顧客(Customer)、競合他社(Competitor)、自社(Company)の頭文字を取ったものです。

具体的な活用事例については、下記にて説明しています。

戦略策定のためのおすすめフレームワーク

現状の分析を行った上で自社のとるべき戦略を考えます。その際に活用できるフレームワークとして「アンゾフのマトリクス」があります。

アンゾフのマトリクスとは

アンゾフの事業拡大マトリクスは、市場と製品(サービス)を縦軸と横軸に配置した4つの象限から成るフレームワークです。縦軸は市場を「既存」と「新規」に、横軸は製品(サービス)を「既存」と「新規」に分けています。このマトリクスは、企業の成長戦略を多角的に考えるためのツールであり、経営戦略の検討に広く用いられています。

アンゾフのマトリクス

市場浸透戦略(Market Penetration):既存の市場で既存の製品を提供することに焦点を当てます。市場シェアの拡大や顧客の獲得を通じて、既存の製品の売り上げを増やします。

市場開拓戦略(Market Development):既存の製品を新しい市場に展開します。新しい顧客セグメントや地理的領域に進出し、既存の製品を新たな市場で販売します。

製品開発戦略(Product Development):既存の市場向けに新しい製品やサービスを開発します。既存の顧客に対して新しい選択肢を提供することで、市場の拡大と顧客満足度の向上を図ります。

多角化戦略(Diversification):新しい市場に新しい製品やサービスを導入します。これは最もリスクの高い戦略であり、企業は新しい市場や製品に関する知識や能力を獲得する必要があります。

それぞれの成長戦略は独自のリスクと機会を伴い、企業の状況や目標に応じて適切な戦略を選択することが重要です。

このツールを用い、加工業向けにどのような戦略があるかを説明します。

既存市場×既存サービス

既存の市場でどのように顧客を獲得するかについて組み立てる戦略です。Webマーケティングでは二つの戦略が考えられます。

市場浸透

既存市場に対し自社の認知度を向上させ、さらなる顧客獲得を目指す取り組みです。例えば、ロストワックス鋳造の会社が市場で自社を認知させるために「ロストワックス」というキーワードでSEO対策を打つようなやり方です。Webマーケティングは企業の規模の大きい小さいにかかわらず取り組むことができ、リスクが少なく済みます。

事例:株式会社武杉製作所

差別化集中

既存市場において、特定の狭い市場(特定のターゲット)を対象にし、製品やサービスの差別化によって競争優位性を構築する戦略です。ターゲットや自社の強み、特徴、競争優位性が明確になったときに採用されるべき戦略です。ユーザーに対しての訴求力も高く、付加価値の高い仕事を獲得できる可能性があります。ただし、ターゲット市場が極端に狭すぎると売上に貢献できない場合もあります。

事例:有限会社ユニバーサル

新規市場×既存サービス

保有する資源を活かし、新しい市場を開拓する手法です。

海外市場開拓

国内市場が縮小しているため、多くの企業が海外市場に注目しています。海外進出にはリスクが伴うため、Webマーケティングを活用して海外でPRし、海外の顧客を獲得する手法です。ただし、国内でのWebマーケティングがまだ十分に実施されていない場合、海外へのPRは成果を上げにくい可能性があります。ユーザーの視点に立ち、なぜ海外に仕事を依頼する必要があるのかを明確にすることが重要です。まずは自社の得意分野を見極め、それを確立することが重要です。

一般消費者やデザイン設計事務所などの製造業界以外の開拓

ターゲットを製造業以外に設定し、ユーザーの求めるニーズを定義しサービス提供をする戦略です。行っている事業は同じですが、市場を変えることで新たな需要を取り込むことができます。反面、ものづくりの一般知識がないユーザーとのやり取りは、従来の仕事よりも労力がかかります。その対応力や提供価値を新たに作る必要があります。

例:株式会社富士産業

他工法からの切り替え

自社の加工方法は、既存市場で受託する加工以外に、他の加工方法からの代替の手段になる可能性があります。切り替えの可能性のある製品や課題となる点を見つけ出し、顧客を獲得します。金属から樹脂への切り替えや、切削からプレスへの切り替えなどさまざまです。

既存市場×新サービス

既存市場に対して新しいサービスを提供する戦略です。しかし、受託加工を行っている会社が新サービス、といってもピンとこないかも知れません。例として、製品が出来上がるまでの価値連鎖を作り、自社のサービス提供領域を把握し、その前後や横に広げる余地がないかを考えることで、新たな価値提供ができます。

例えば、射出成形の会社が成形の案件を獲得する際に、量産段階では仕様変更もできないため、価格競争になりやすくなります。そのため、協力工場を活用し、試作段階からの案件を獲得できる仕組みを作ることで、試作から量産へのスムーズな移行ができる価値提供と、早い段階からの案件獲得による競争優位性を築くことができます。

また、試作切削の会社が設計開発部門をターゲットにする際には、切削だけでは最適な加工方法の提案ができません。そのため、協力会社を活用し、サービス提供範囲を広げ、試作の際に光造形や真空注型などの他工法も含めた検討を行うことで、顧客のニーズに応える手法も考えられます。

例:荒川技研株式会社

新規市場×新サービス

こちらの戦略でわかりやすいのは、自社製品を作って、一般消費者向けに販売する手法です。ただし、顧客も従来とは異なり、従来の営業とは異なる販売ノウハウが必要となるため、ハードルが高い戦略です。自社の成長として多角化は重要なテーマであり、意義のある取り組みです。しかし、弊社でもその成功パターンを研究していますが、Web上での効果的な手法はまだ確立できていません。

最後に

Webの利点は、一つの戦略に絞る必要がなく、複数の戦略を同時に進行できることです。継続的かつ多角的に自社をPRすることで、自社の価値を見つけ、適切な顧客を獲得できます。以上の情報が参考になれば幸いです。

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ターゲットを明確に絞ることで、確度の高い問合せを呼び込むことに成功【株式会社モリセ精工】

セラミック材質を中心とした精密加工業を行っている株式会社モリセ精工様のWebマーケティング事例をご紹介します。

会社情報

会社名 株式会社モリセ精工
担当者名 代表取締役 森瀬様
事業内容 精密部品加工
サイトURL http://www.morise.co.jp/
導入サービス Webサイト制作、Webコンサルティング

モリセ精工

出典:株式会社モリセ精工

抱えていた課題

新規顧客は増やしたいと考えていましたが、窓口を叩いての営業が苦手意識をお持ちでした。求められていない会社へ訪問しても、すでに依頼している外注先がいるわけで、結局価格勝負になってしまうからです。

秘匿性の高い部門がお客様なので、なおさらハードルは高いです。また、製品のようなありものを売る商売ではないため、プッシュでの営業は合わないとお考えでした。

実施施策

同社は、精密研磨、研削を得意とする精密部品加工業者です。ホームページを制作にあたり、加工技術、加工設備をPRすることももちろん重要ですが、ターゲットが「研究開発部門」と明確に決まっていたため、ターゲットが求めるものを軸にサイト企画することが重要と捉えました。

例えば、ファーストビューでは、加工内容や技術ではなく、だれがお客様かが伝わるキャッチコピーを作成。キーワード対策、サイト構成は「試作、テスト、試験片、難削材」など、研究開発者が抱える課題に合わせて制作しました。

「研磨加工」「切削加工」「5軸加工」など、保有する設備・技術からキーワードを設定し訴求することもできましたが、ターゲットがぼやけてしまうため、「自社のアピールポイント」よりも、「誰に届けるか」を優先して企画しました。

切削・研磨の領域であれば、より多くの会社がお客様になる可能性がありますが、競合も多く差別化が難しくなります。ターゲットを明確に絞り、それに合わせ、付加価値の高い複合的なサービス提供をしているのが同社の強みであり、ホームページでも打ち出すべきポイントでもありました。

導入効果

  • 問い合わせ増
  • 受注率アップ
  • 狙ったターゲットからの受注獲得

全く来なかったホームページからの問い合わせが、リニューアル後は週2~3件ほどのペースで来ているそうです。受注率は3割程度と以前に比べ大幅に上がり、狙っていた秘匿性の高い大手研究開発部門からの問い合わせも来ており、リニューアルした手応えを強く感じていただいています。

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製造業の営業活動の課題解決|手法から事例まで徹底解説|モノカク

テクノポートの井上です。製造業にとって新規営業、顧客の開拓は不可欠なものですが、営業が得意な会社は少ないものです。本記事では、製造業における営業活動の課題を解決するための情報を網羅的に解説します。

製造業における新規営業の必要性

原価低減協力による利益率低下のリスク軽減

既存顧客との取引においては、原価低減協力により、利益率が低下することがあります。新規顧客の獲得により、顧客数を増やし、リスクを分散することで、原価低減協力のリスクを軽減することができます。

現場の思考力向上

決まった仕事を続けると作業化してしまい、現場の思考力が低下することがあります。新しい顧客からの依頼に対応することで、現場のスキル向上や知識の習得が促進されます。また、新しいプロジェクトに取り組むことで、現場のアイデアや創造性が向上することが期待できます。

仕事の波の緩和

製造業では、仕事の波が激しく、需要の変動に対応する必要があります。新しい顧客を獲得することで、需要の変動リスクを軽減し、収益を安定化させることができます。

イノベーションの創出

新しい市場では、既存のビジネスモデルでは対応できないニーズが存在するため、より効率的かつ柔軟性のあるビジネスモデルが求められます。新規顧客との取引を通じて、新しいビジネスモデルのアイデアを得ることができ、それがイノベーションの創出につながります。

受託製造業の営業活動が難しい理由

受託加工という業態の特性(タイミング)

受託製造業は、他社の要望に応じて生産を行うため、需要があって初めて仕事を請け負えます。そのため、需要が不安定であることが多く、需要予測が困難であり、生産ラインの調整やスタッフの配置にも影響を与えます。このような業態の特性から、新規顧客開拓に時間がかかることがあります。

自社製品と比べてPRしづらい

受託製造業では、自社が製造する製品よりも、製品の完成品の外観や品質が注目されるため、その製品の良し悪しは、受託先の企業に左右されます。そのため、製品の良し悪しを訴求することが難しく、他社との差別化が困難な場合があります。

営業+技術ができる人が少ない

受託製造業では、製品の外観や品質に加え、製造プロセスに関する技術力が求められます。また、営業と技術を併せ持った人材が少ないことも、営業活動を難しくしています。そのため、受託製造業では、技術力と営業力を併せ持った人材を確保し、トレーニングすることが重要です。

設備稼働力という限界値がある

受託製造業では、製造ラインの稼働率を最大限に保ちながら、生産効率を高めることが求められます。しかし、需要が不安定であることが多く、生産効率を常に最大化することができない場合があります。また、いくら受注案件が多くても、設備の稼働が100%を超えることはないように、稼働力には限界があり、それに合わせ受注案件をコントロール必要があります。

製造業の営業とマーケティングの違いって?

営業と関係性の高いマーケティングというお話も出てくるかと思います。その違いについて少しだけ触れます。

営業は企業と顧客の直接的な関係を築き、技術・製品・サービスを販売することに焦点を置いています。一方で、マーケティングは、市場全体に対して技術・製品・サービスを提供するための企画・戦略を考えることに重点が置かれています。

少しかみ砕いた説明にすると、営業は個別の顧客にどう買ってもらうかの短期的な話で、マーケティングは技術や製品を買ってもらいやすくするには、という仕組みを作る長期的な話です。

両方の役割が重要であり、営業とマーケティングが協力し合いながら、企業のビジネスを成功に導いていくことが求められます。

製造業の営業戦略の立案から実施まで

新規営業を行うためには、戦略の立案が必要になります。主な流れは以下の通りです。

目標設定

まず、企業が達成したい営業目標を明確に設定します。目標は、売上高、利益率、新規顧客獲得数、既存顧客の売上拡大など、企業にとって重要な指標に基づいて設定されます。

市場調査

次に、ターゲット市場に対する調査を行います。市場規模、競合情報、ニーズやトレンドなどを分析し、企業の製品やサービスが市場においてどのように受け入れられるかを把握します。

ターゲット設定:市場調査を元に、企業が取り組むべきターゲットを設定します。ターゲットは、地域、業界、顧客セグメントなど、企業のビジネスモデルや戦略に応じて定められます。

提供価値

ターゲットに対してどのようなメッセージを伝えるかを考えます。企業の製品やサービスがどのような価値を提供するかを明確にし、競合優位性をアピールするためのメッセージを構築します。

営業プラン

営業プランを作成します。プランには、顧客接触数、新規顧客獲得数、売上目標、費用目標、営業活動予算、営業スケジュールなどが含まれます。

実施

営業プランを実施します。新規顧客獲得のためのセールスプロモーション、既存顧客のリレーションシップの維持や拡大のためのアフターサービスなど、各種の営業活動を実施します。

モニタリング・評価

営業プランの成果をモニタリングし、評価します。プランの実施状況を把握し、営業成果が目標に達しているかを検証し、必要に応じてプランの修正や改善を行います。

製造業の新規開拓手法紹介

具体的な営業手段として、現在ではWebや対面を含め様々な手法が存在しています。絶対的な一つの手法はなく、様々なアプローチ手法を組み合わせ、顧客に自社の情報を届けることが必要です。

下記の記事で具体的な営業の種類について紹介しています。

製造業における営業人材の育成

製造業にとって、営業人材の育成は大きなテーマの一つと言えます。どうしても属人的になりがちな業務をいかに組織として取り込んでいくかです。営業人材の育成における課題は以下の通りです。

技術力と営業力のバランスの取れた人材育成

製造業においては、技術力が高く、製品の品質や納期を確保することが重要です。しかし、同時に、営業力も必要不可欠です。製品を提供するだけではなく、顧客とのコミュニケーションやニーズの把握、提案力などが求められます。このため、技術力と営業力のバランスを取った人材の育成が必要です。

営業ノウハウの共有

営業職の中には、年齢や経験に応じて営業ノウハウを持ったベテラン社員がいます。しかし、そのノウハウが個人に独占されてしまうと、他の営業職員に共有されず、組織全体での営業力向上につながらないことがあります。このため、営業ノウハウを共有する仕組みを整える必要があります。

新しい営業手法への対応

デジタル化やSNSなどの発展により、営業手法も大きく変化しています。これに対応するため、従来の営業手法にとらわれず、新しい営業手法を取り入れることが必要です。また、従来の顧客との面談や電話での営業活動から、Web会議などのオンライン化にも対応する必要があります。

組織全体でのマーケティング力の向上

製造業においても、顧客ニーズの変化や市場の変化に対応するためには、マーケティング力が必要です。このため、営業職だけではなく、製造技術や品質管理、製品企画など、組織全体でマーケティング力を向上させることが求められます。組織全体のマーケティング力向上のためには、組織文化の変革や、マーケティングに関する教育研修の充実が必要です。

Webをどう営業に取り入れられるかは非常に重要なテーマ

以下は製造業のユーザーが製品探索をする際に、どのような媒体を利用するかのアンケートデータです。「既存の接点のある企業」や「展示会」を抜いて、Webを利用した情報収集が1位2位となっています。ユーザーがWebで探しているのであれば、受注側もWebでどうアプローチをするかを考えることが営業として重要と言えます。

製造業 製品探索

引用:イントリックス社 製品選定時にWebサイトを利用する人が営業・展示会を超えて多数

営業成功事例紹介

以下の記事では受託加工業者がWebをうまく活用することで顧客を開拓した事例を紹介しています。

製造業における営業の今後の課題

最後に製造業における営業の今後の課題について紹介します。

グローバル市場での競争

グローバル市場での競争が激化し、価格競争が激しくなっているため、顧客からのニーズを正確に把握して、付加価値の高い製品を提供する必要がある。

デジタル技術の活用

インターネットやAIなどのデジタル技術の進化により、製造業における営業のあり方が変化している。これまでのような営業手法だけではなく、デジタル技術を活用した新しい営業手法を取り入れる必要がある。

グローバル化に対応する人材育成

グローバル市場に進出するためには、現地の文化や商習慣に精通した人材が必要である。企業は、グローバル化に対応した人材育成に力を入れる必要がある。

スピード感の重視

顧客からのニーズが急速に変化しているため、スピード感を持った営業活動が求められている。営業活動においては、スピーディな情報収集や対応が必要となる。

顧客との関係構築

製品の提供だけではなく、顧客との信頼関係を築くことが重要である。顧客のニーズに合わせたアフターサービスやフォローアップを行い、長期的な関係を構築することが求められている。

以上のように製造業の営業活動には課題が多くあり、これらの課題に対応するためには、営業戦略の見直しや新しい技術の活用、人材育成などが必要になると言えるでしょう。

参考にしていただけたら幸いです。

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試作~小・中ロットの多種多様な歯車製造で受注拡大【株式会社サイトウ工機】

小・中ロットの歯車製造を得意とする株式会社サイトウ工機のWebマーケティング事例をご紹介します。

会社情報

会社名 株式会社 サイトウ工機
担当者名 代表取締役 齋藤様
事業内容 ホブ盤による特殊歯車製造業
サイトURL http://saitoukouki.com/
導入サービス Webサイト制作、Webコンサルティング

Webマーケティング事例_製造業

出典:株式会社サイトウ工機

抱えていた課題

株式会社はサイトウ工機はホブ盤を使った試作~小中ロットの歯車製造が得意です。今まで営業をほとんど行っておらず、販路を広げるにも飛び込み営業や紹介頂くのにも限界を感じており、ちょうどなにかしようとしていたタイミングでした。

実施施策

コンセプト作り

営業の窓口を担当する齋藤様は歯車に関する豊富な知見と、また大田区中心に幅広い加工ネットワークを持っています。歯車の相談であれば社内外問わず幅広い加工の手法から最適な提案が可能です。また、同社はホブ盤がメインで、小ロットからの製作に強みを発揮するため、「試作〜小ロットからでも対応可能な小回りのきく会社」というコンセプトを設定しました。試作や小ロットの案件には、歯車の知識がない方もユーザーには含まれるため、知らないひとにも伝わるコンテンツ制作を心掛けました。

SEO対策

多種多様な形状や名称を持つ歯車を、名称ごとに切り分けてキーワード対策を行いました。頼む側の探し方を考察した際に、○○歯車という製品キーワードまでは決まっていて、そこから対応会社を検索するケースが多いためです。また、他社では敬遠するような、歯車の交換修理にも対応可能な点も訴求とキーワード対策を行いました。

導入効果

ホームページからの新規の問い合わせがほとんど無い状態から、月5~10件ぐらいの新規案件をコンスタントに呼び込むことに成功し、待っていても仕事の相談が入ってくる営業スタイルが出来上がりました。

また、ここであれば相談に乗ってくれるのでは?という期待感から、歯車だけでない問い合わせも相談が入ってくるようになったそうです。そのため、外注先さんにお願いする案件が増え、大田区の仕事仲間の方も喜んでいただいているそうです。

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新規事業(製作金物)で新市場開拓に成功【株式会社富士産業】

鋼材卸売会社の新事業(製作金物)での事例を紹介します。

会社情報

会社名 株式会社富士産業
担当者名 杉本社長
事業内容 非鉄金属卸売・加工事業
製作金物事業
サイトURL https://www.fujisanngyo.co.jp/
導入サービス Webサイト制作、Webコンサルティング

富士産業

出典:株式会社富士産業

抱えていた課題

株式会社富士産業は非鉄金属の鋼材販売を主とし、切断、曲げ等の2次加工により付加価値をつけた製品提供を行っている会社です。新規で顧客開拓をしようとしても、決まった材料を販売するだけでは差別化が出来ず、ただの価格勝負になってしまい、運送コストも考えると受注できる商圏は限られてしまいます。鋼材販売会が既存の市場で加工に手を伸ばすと既存のお客様と競合してしまいます。

そこで考えたのが製作金物事業です。既存の製造業向けではなく、製造業に関わりの少ない、建築設計事務所、デザイナー、個人の方向けのサービスです。通常の加工業者は図面が無いものや、小ロットで手直しも多いような案件は受けたがらないですが、自社であればそのような要望にも応えられるため、他社との差別化ができ、この事業を伸ばすためにWebマーケティングに力を入れたいと考えていました。

実施施策

コンセプトは「一般の人からの問合わせのハードルを出来る限り下げたホームページ」です。ものづくりに知識が無い人が製造業に問い合わせを入れると、会社によっては相手にしてもらえなかったり、対応が悪かったりすることが多々あります。そのため、製造業に対してあまり良い印象を持ってもらえておらず、問い合わせの敷居が高いと感じている人が多いのが現状です。そこにビジネスチャンスがあると考え、「ここだったらなんとかしてくれるのでは?」という期待感を持たせるホームページ制作を心がけました。

制作の過程で印象的だったのが、TOPページのメインビジュアルを何パターンかデザインした際に、かっこ良いデザインと、人を全面に出した親しみやすいデザインのどちらかを選ぶシーンがありました。1時間以上、社長と常務と話し合い、最終的に親しみやすいデザインを選びました。どうしてもかっこよいデザインに流れてしまいがちですが、コンセプトとずれるということでかっこよさは捨てました。それが今のホームページのキャッチ画像になっています。ファーストビューでは親しみやすさを全面に出し、デザイン性の高いものはインスタを活用しています。

また、キーワード対策については、リニューアル前は「シャーリング加工」などの加工キーワードがメインで対策を打っていましたが、競合の加工業者と差別化ができないため、製作金物系のキーワードを調査し、競合と需要から最適なものをピックアップし対策を行いました。

導入効果

公開2ヶ月間の受注で制作にかかった費用はペイ。狙っていた設計事務所やデザイン会社からの引合いが入ってくるようになりました。月数件ぐらいの問合わせだったのが、今では月に数十件と来ています。

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技術転用/技術展開とは?問題点・解決手法・事例

テクノポートの井上です。製造業社が成長するために、自社の持つ技術を他の市場へ展開することは非常に大きなテーマだと言えます。その理由は、新しい技術を開発するよりも、既存技術を活かし新市場を開拓するほうがリスクが少なく取り組めるからです。ただ、そうは言ってもなかなかうまくいかない企業が多いのが現状です。今回は自社の保有する技術の転用や展開について、Webを活用することの有用性について紹介します。

技術転用・技術展開・用途開発とは

言葉の定義が曖昧なため、はじめに言葉の定義をします。

技術転用とは

技術転用とは、技術を保有する企業が、その技術を別の産業や分野に転用することを指します。これにより、新たな産業や製品の開発や改善が促進され、経済的な効果をもたらす可能性があります。

用途開発とは

技術の用途開発とは、技術を保有する企業が、その技術を活用して新たな用途を開発することを指します。新たな用途の開発により、社会にとって有益な製品やサービスが生まれることもあります。

技術展開とは

技術展開とは、技術を保有する企業が、その技術を他の企業や研究者に提供することを指します。これにより、技術を持っている側が収益を得ることができ、技術を受け入れる側は本来であれば開発しなければならなかった技術を簡単に入手することができます。技術展開により、技術の進化が促進され、経済的なメリットが生まれることが期待されます。

以上のように若干のニュアンスの違いはありますが、ほぼほぼの同義と捉えてよいと言えます。

そのため、これ以降は「技術転用」という言葉に統一し説明をします。

技術転用を成功させるためには?

技術転用を成功させるためには、技術シーズと市場ニーズをどう合致させるかが議論の中心になります。

技術シーズと顧客ニーズ

しかし、実際はなかなかうまくいっていない企業がほとんどです。ではなぜうまくいかないのでしょうか?主に以下のような原因が考えられます。

  • ターゲットの特定に時間がかかる
  • 市場調査に時間とコストがかかる
  • 特定したターゲットの有用性評価に時間がかかる
  • ユーザーヒアリングや試作に時間とコストがかかる

この原因をわかりやすく言うと、「自社で用途を見つけることに注力している」と言えます。ユーザーの用途を想定し、提供価値、他社との差別化を行うことが用途開発で、そのための戦略策定に時間をかけすぎている状態です。

用途展開、技術転用の課題

もちろん、差別化集中の戦略は勝つためには重要な戦略ですが、実行までに時間がかかり過ぎたり、集中したポイントが間違っていた場合に補正がしづらかったりといった難点があります。

どんなに優れた研究者や製品開発者でも、自社で考えるのには限界があるということを認識しましょう。オープンイノベーションなどを活用する時代の流れも、スピード、効率化だけでなく、自社では思いつかないイノベーションの期待もあり、トレンドになっているはずです。

それができる土壌が、簡単に膨大な情報が手に入るWebという手段により実現されているのだと考えます。

これからの時代は「自社以外に発見してもらう」ことが重要な時代と言えます。技術は知ってもらわなければ価値が生まれません。ユーザーを特定せず、機能軸を訴求することで、幅広くユーザーに認知させる戦略を同時進行で行う必要があります。

これからの技途展開、技術転用

技術転用をWebで行うメリットと従来との比較

自社以外に発見してもらう戦略としては、Web活用がおすすめです。従来の技術転用との比較は下記の通りです。

従来の技術転用手法の問題点

  • 用途開発とマーケティングが切り分けられている
  • ニーズの発掘に時間とコストがかかる
  • 自社で見つけられる範囲は顕在化したニーズがほとんどで、想像を超える用途の発見にはつながりにくい
  • 明確化させたターゲットが誤りだった場合の軌道修正が難しい
  • 細かな需要をスピーディにとらえられない
  • 顧客ニーズの多様化/複雑化
  • 製品ライフサイクルの短命化

Webによる技術転用マーケティングのメリット

  • ニーズの発掘と顧客獲得が同時進行ができる
  • スモールスタートできる
  • 自社で定義できない用途が呼び込める
  • ターゲットを特定しないのでリスクは最小限
  • 細かなニーズをスピーディにとらえられる

特に筆者が伝えたいことは、技術転用の用途定義と顧客開拓がWebであれば、同時進行できる点が良いということです。従来だと、用途定義を行いターゲットを明確化した後に、どう売り込むかが次のステップでした。その点、Webでマーケティングを行えば「このような用途で使えますか」という相談を呼び込み、実現可能であればそのまま商談につなげることができます。可能性を多く呼び込む中で、需要のある領域をカテゴリ化して差別化集中のコンテンツを新たに作ることもできます。

Webによる技術転用マーケティングのデメリット

主に考えられるデメリットは二つです。

1.技術流出の危険性は?

目的はMFTのF(機能性、提供価値)をユーザーに理解してもらうことです。どのように求める機能を実現しているかについては、そこまで細かに掲載する必要はありません。

webマーケティングのデメリットは

2.競合が同じようにWebマーケティングを仕掛ける可能性は?

Webマーケティングでは先行者メリットが大きいと言えます。以下の3つの理由があります。

  1. SEO対策(グーグル検索での上位対策)において先行者のほうが有利
  2. その領域での実績やノウハウを先に蓄積できる
    (実績があるところにユーザーは頼みたい)
  3. 先行者の方が先にブランディングができる(○○といえば△△製作所)

今回は、技術転用をWebで行う有用性について紹介しました。実際にWebを活用した事例や手法については、別記事にて紹介しています。参考にしていただけたら幸いです。

事例参考記事

手法参考記事

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製造業が効果的な営業活動を行うためにできること(事例付き)

テクノポートの井上です。今回は製造業者が営業活動を効果的に行うためにできることを紹介します。営業活動とHPは、今では切っても切れない関係となっており、HPをどう営業に活用するかがメインのお話となります。もちろんHP以外にも多くの営業手段はあるので、HPでなければいけないということではありません。ただ、HPは製造業にとって「非常に効率が良い営業手段」であるため、掘り下げて紹介しています。

HPを活用した営業活動の成功事例を紹介

最初にいくつかHPを活用した営業活動の事例を紹介します。

有限会社ユニバーサル(制作日:2021/6)

目的が明確な問い合わせが増加。契約までの話が早く、お互い無駄な時間やエネルギーを使わずに済み、名刺代わりだったWebサイトが強力な営業ツールに急変。

営業 成功事例 ユニバーサル

(参照:有限会社ユニバーサル

株式会社モリセ精工(制作日:2018/12)

全く来なかったHPからの問い合わせが、リニューアル後は週2~3件ほどのペース。受注率は3割程度と以前に比べ大幅に上がり、狙っていた秘匿性の高い大手研究開発部門からの問い合わせも呼び込むことに成功。

営業成功事例 製造業 モリセ精工

(参照:株式会社モリセ精工

株式会社サイトウ工機(制作日:2016/11)

HPからの新規の問い合わせがほとんどない状態から、月5~10件ぐらいの新規案件をコンスタントに呼び込むことに成功。待っていても仕事の相談が入ってくる営業スタイルが完成。

営業成功事例 製造業 サイトウ工機

(参照:株式会社サイトウ工機

共通して言えることは、そこでしかできない特殊な技術を持っている会社はないということです。どのようなユーザーをターゲットにし、何を得意領域とし付加価値を提供するかを定義した結果、新規の問い合わせを呼び込むことに成功しています。

HPを使った営業が製造業と相性が良い理由

製造業とHPの相性が良いと言える根拠を説明します。

仕事が忙しいときにも営業ができる

「忙しいときにこそ種まきを」と言われるように、忙しいときでもHPは営業PRをしてくれます。

呼び込む型の営業スタイルが業界に合っている

自社製品を持たない受注生産がメインの場合、プッシュ型の営業は不向きです。既に頼んでいる業者がいるため、また、タイミングがとりづらいためです。HPならニーズのあるタイミングで向こうから問い合わせをしてくれるため、営業のハードルが格段に下がります。

異業種からの問い合わせも期待できる

HPを活用し、技術をPRすることで、自社の想定しなかった業界や用途で仕事が決まることもあります。

HPを営業として有効活用するための質問集

具体的にHPをどのように活用すればいいか、現状がわからない方も多いかと思います。

これからいくつかのHPに関する、いくつかのYES・NOの質問を投げかけます。NOとなった部分の理由を追及することで、自社のHPをよりよくするための糸口が見つかるはずです。

HPに関する質問

  • HPはありますか?
  • 自社の現在の事業内容に合っていますか?
  • HPからの問い合わせはありますか?
  • 検索キーワードで見られるように対策をしていますか?
  • アクセス状況を閲覧することはできますか?
  • どのようなキーワードで見られているか知ることはできますか?
  • 想定したキーワードの順位は10位以内にきていますか?
  • 他に想定していなかった期待できるキーワードがそこには含まれていますか?
  • 想定したキーワードで10位以内の場合、そこから問い合わせにつながっていますか?
  • 該当するページのコンテンツはユーザーの求める内容に応えられていますか?
  • 問い合わせがどのページから来ているかわかりますか?

問い合わせ対応に関する質問

  • 問い合わせの内容は自社が呼び込みたいこととマッチしていますか?
  • 問い合わせに対し、いつまでに、だれが対応するか決まっていますか?
  • 見積もり提出の前に受信した旨、製作対応可否や、見積もりをいつまでに提出することの連絡ができていますか?
  • 問い合わせ内容の顧客情報、問い合わせ内容の情報の管理はできていますか?
  • 見積もり回答した案件について、可否を最後まで追えていますか?
  • 見積もりNGだった場合にその理由までヒアリングできていますか?
  • 顧客情報を蓄積し、再度アプローチできる仕組みは作れていますか?

いかがでしたでしょうか?できていない部分を知ることができれば、なぜできていないかを考え、次に進めることができます。参考にしていただければ幸いです。どうすればいいかわからない場合には、弊社テクノポートにご相談いただければ、状況に合わせた助言ができます。

これ以降は製造業における現状と営業の必要性についてまとめております。ご存じの方も多い内容かと思いますので、その場合は読み飛ばしてください。

製造業の置かれている現状

  • 新型コロナウイルスの影響による業績低迷
  • 少子高齢化による人手不足による人件費の高騰
  • 加速するデジタルシフト
  • 安い労働力を求めたアジアへの生産拠点シフト
  • 世界情勢の不安定化によるサプライチェーンの寸断

何を機会、脅威と捉えるかは会社次第ではありますが、全体として日本の製造業の置かれている状況にはさまざまな課題があると言えます。

製造業の営業活動の必要性

受託加工という業態の特性(タイミング)

製造業界では、従来から依頼している発注先が存在します。より安価な発注先を探す場合もありますが、通常は特別な理由がない限り、新しい発注先を検討することはありません。新しい発注先を検討するタイミングや理由としては、従来の加工業者が遅れている場合や品質に問題がある場合、ボリュームを対応できない場合、後継者不足、発注リスクの分散などがあります。現在の発注先との関係が常に良好であるわけではないため、そのようなタイミングを見極めることは非常に難しいです。ほとんどの場合、「機会があれば」新しい発注先を検討することになります。

自社製品と比べてPRしづらい

自社製品の場合は、製品の特徴、メリット、デメリット、価格、他社製品との比較など、さまざまな情報を提示することができます。一方でサプライヤーの場合は、お客様から提供された図面に対して、製作可否、納期、コストを提示することが求められます。サプライヤー側から、それらが他社と比較して優位であるかどうかを判断することはできません。そのため、通常の製品販売営業よりも営業活動は困難です。

営業+技術ができる人が少ない

中小製造業の営業活動においては、営業力だけでなく、自社技術の理解も求められます。お客様から提供された図面などを見て、内容や状況を理解し、ある程度の可否判断を下せることは営業のスキルの一つであり、商談時にお客様の信頼を得るうえで重要です。

中小製造業では、こうした技術的な営業は経営者が担当することが多いため、営業という仕事に就いてもすぐに即戦力になることはまずないでしょう。時間をかけて、営業と技術の両方ができる人材を育てる必要がありますが、それには相応の労力とコストがかかります。

設備稼働力というキャパがある

製造業の場合は、保有する設備によって、稼働できる限界があります。そのため、需要があっても必ずしも受注できない場合があります。繁忙期に営業を行い、案件を獲得しても、そもそも製造ができない場合も少なくありません。営業側は、売上や顧客からの信頼などを考慮して、できる限り多くの案件を獲得したいと思っていますが、現場がそうした案件を受け入れない場合もあります。

閑散期に営業を行っても案件を獲得できない場合もある製造業は、仕事の波をコントロールすることが非常に難しい業界です。

営業活動の目的って?

営業活動の目的は、もちろん売上や利益の増加です。しかし、これは短期的な目的であり、あくまで数値化された目標と言えます。会社としての目的はその先にあり、例えば以下のようなことが挙げられます。

リスクの分散

取引がこの先も長く続く保証はないため、業界問わず取引先を増やし、取引先のバラつきを減らすことが重要です。

仕事の波の低減

繁忙期、閑散期に左右されず営業活動ができる仕組みをつくり、仕事の波を抑えることが欠かせません。

利益率の向上

顧客候補を増やし、不当なコスト協力を回避すれば、利益率の高い仕事を追求することができるようになります。

新しいビジネスのきっかけをつかむ

積極的に新しい案件に取り組み、自社事業の可能性を常に模索し、新しいビジネスのきっかけをつくることが重要です。

以上、製造業が営業活動を効果的に行うためにできることについて紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

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Fタームの活用方法を紹介(技術の用途開発に役立てる)

テクノポートの井上です。今回は、技術の用途開発を行う際に役立つ、特許情報プラットフォームのFタームについて紹介します。

自社の技術の活用用途を見出す際に技術、機能、市場用途を体系化するMFTフレームワークという手法があります。ただ、手法はわかっても、そこに記述すべきアイデアが思い浮かばないという方は多いのではないでしょうか?今回は、そのアイデア出しのヒントとなるFタームの使い方について紹介します。

特許情報プラットフォームとは

特許情報プラットフォームは、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営する特許、実用新案、意匠及び商標等の産業財産権関連の工業所有権公報等を無料で検索・照会可能なデータベースです。言わば知の集合体で、この情報をうまく活用することで、様々な情報を得ることができます。しかし、問題なのは情報量が膨大かつ、記載内容が難解であることです。うまく活用するためには、使い方の工夫が必要になります。

自社の用途開発に役立つヒントを得ることが今回の目的です。自社の技術に近い一つひとつの論文を見ればより詳細な分析はできますが、時間がかかるため、もう少し手軽な方法としてFタームを活用します。

Fタームとは

Fターム(File Forming Term)とは、特許審査のための先行技術調査をスピーディーに行う目的で開発された特許分類です。具体的には、FIを所定の技術分野ごとにあらゆる技術観点(目的や用途、構造など)から細区分したものとなっています。

FIで規定されるすべての技術分野は、一定の技術範囲ごとに区分されており、区分ごとに複数のFタームが設定されています。この区分されている技術範囲は「テーマ」と呼ばれています。

引用元:https://www.tokkyo.ai/wiki/fiftermipc/

このFタームをうまく活用することで、機能性・市場要求・用途などのヒントが得られます。

Fタームの活用手順

ここからは実際の使い方について説明します。例として塗装に関する用途開発をしたい場合の探し方を紹介します。

①テーマコード一覧情報で自社の技術の該当しそうなFタームを探す

下記のサイトでFタームの一覧が掲載されています。

Fターム一覧

引用元:https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/bunrui/fi/themecode.html

PDFがたくさん並んでいますが、一つずつ見るのは大変です。少し下の部分に全テーマ文のテーマコード表がエクセルで取得できるリンクがあるので、そこからエクセルをダウンロードして、テキスト検索をします。

「金属に対する塗装」という区分があり、「4D075」に統合となっているため、「4D075」を確認することで、自社の技術は「4D075」「流動性材料の適用方法、塗布方法」が該当しそうだとわかります。

②特許・実用新案分類照会(PMGS)にてFターム検索

利用サイト
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

引用元:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

次に、Fタームをクリック、Fタームリストにて分類に先程の「4D075」を入力して照会ボタンをクリックします。

③照会された分類を確認

「照会」をクリックすると、下に照合された内容が表示されます。

用途開発照合Fターム

引用元:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

Fタームは多様な技術観点(目的、用途、構造、材料、製法、処理操作方法、制御手段等)から細区分しています。

この一つひとつを確認することで、不足していた部分や用途などを考察することが可能になります。

詳しく項目を見たい場合は右側の「開く」をクリックすると、詳細が確認できます。例えば「用途」をクリックすると、用途が一覧で表示されます。ここに入っている内容は特許登録されている情報に紐づけされてできていますので、これが用途のすべてではありませんが、ヒントを得るという目的としては大いに利用が可能です。

用途展開

引用元:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

技術と市場用途を紐づけるためには、機能性を定義して考察することが重要です。その機能性の分類を知るためのヒントが記載されています。

参考にしていただければ幸いです。

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製造業のクラウドファンディング活用事例15選

製造業とクラウドファンディングは非常に相性が良く、受注生産や下請けに頼ってきた中小製造業においても、自社開発の新製品に挑戦する動きが活発化しています。

今回は、資金調達やプロモーションなど、様々なメリットが期待できる製造業のクラウドファンディングについて、活用事例を15選ご紹介します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、Crowd(群衆)とFunding(資金調達)を組み合わせた造語で、インターネット上で個人や法人が製品・サービスなどのプロジェクトを公開し、不特定多数の支援者から資金を調達することです。

クラウドファンディングは資金調達以外にも新製品の市場調査やプロモーションなど様々な目的で利用される手法であり、その市場は年々拡大しています。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの形式としては、支援者に対してモノや体験といったリターンをお返しする「購入型」がよく知られますが、他にもいくつかの種類が存在します。

購入型

法人・個人を問わずにすべての人が支援可能であり、リターンとして商品やサービスなどが贈られます。起案者が提供するリターンを購入する感覚で支援することが可能であり、最もポピュラーなクラウドファンディングの形式といえます。

寄付型

プロジェクトに対して支援者が資金を寄付する仕組みで、基本的にリターンは発生しません。環境保全や被災地支援など、社会貢献性の高いプロジェクトが多く、支援者は寄付金控除などの税制優遇が受けられます。

融資型

融資型は金融機関からの借入と同様に、複数の支援者から集めた資金を起案者に対して融資する仕組みです。購入型や寄付型と違い、支援者は金利という形で金銭によるリターンを受け取ります。

株式投資型

個人ではなく、株式会社が資金調達の一環として行う手法。支援者は資金を投資する見返りとして、起案企業の非公開株式を得ることができます。投資における金額制限があり、借り手企業側は年間1億円未満、支援者側は1社につき50万円までとなっています。

クラウドファンディングを行うメリット

企業がクラウドファンディングを利用するメリットは、資金調達だけではなく、製品に関する市場調査とプロモーションを同時に行うことができる点です。ここでは、それぞれについて簡単に解説します。

市場調査

社内でどんなに期待された製品であっても、市場ではまったく販売が伸びないケースもあります。中小製造業のように販売規模が小さい中で市場ニーズを正確に把握することは難しく、限られたノウハウ・リソースでヒット商品を創り出すのは至難の業です。

しかし、クラウドファンディングでは、開発段階のプロジェクトに対して、支援者から様々な意見が得られるため、直ちに製品開発に反映していくことができます。従って、事業としての方針変更を常に視野に入れつつ、リスクを抑えた製品開発を行うことが可能です。

プロモーション

プロジェクト進行中は、クラウドファンディング事業者が積極的にプロモーション活動を行うため、企業(起案者)もSNSなどを通じて製品情報を発信することで大きく認知を広げることができます。

また、このようなプロモーションを開発段階から継続的に行うことで、製品リリース時に多くの顧客(支援者)を獲得できている点もクラウドファンディングの大きなメリットです。

中小製造業とクラウドファンディングは相性が良い

クラウドファンディングと中小製造業は相性が良いと言えます。なぜなら、クラウドファンディングは共感を呼ぶことが重要な成功要因だからです。「町工場が作る、匠の技の〇〇製品」「メイドインジャパンの品質にこだわった〇〇製品」など、「町工場」や「メイドインジャパン」などのキーワードは好かれやすいキーワードです。

クラウドファンディング取り組み事例15選

ここからは、実際に成果をあげた製造業のクラウドファンディング取り組み事例15選をご紹介します。

1.株式会社シマワ

東京都千代田区にて機械部品の加工・製造を行っているシマワでは、ジュラルミン削り出しによるスマートフォン用スピーカー「oto」をクラウドファンディングにて販売しました。

ジュラルミンは軽量で丈夫、腐食しにくいといった優れた性質を持ち、航空機部品に使用されている素材です。削り出しによる洗練されたデザインと美しいフォルムが特徴で、自宅はもちろん、キャンプ・アウトドアシーンなどに最適な1台です。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/oto/

企業公式サイト

https://shimawa.co.jp

2.株式会社石井精工

東京都墨田区、葛飾区でゴム用金型の設計・製造を行っている石井精工では、アルミニウム削り出しのボタン型ピンズ「ALMA(アルーマ)」をクラウドファンディングにてリリースしました。

熟練工の手作業により、細部に至るまで一つ一つをアルミニウムの塊から削り出しており、ピンズに香りを付加するという新たなアプローチにも挑戦しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/alma/

企業公式サイト

http://ishiiseikou.com

3.株式会社小沢製作所

東京都青梅市にて高精度な組立て板金加工を行っている小沢製作所では、ステンレス鋼焚き火台「MOSS(燃す)」を販売しました。

パズルのように変形可能な本製品は、独自のスリット穴設計や設置柔軟性など、どんなアウトドアシーンにも対応可能。ピラミッド型やフラワー型といった形状を採用することで、足元まで美しい炎を演出しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/moss/

企業公式サイト

http://www.kk-ozawa.co.jp

4.株式会社武杉製作所

横浜市鶴見区にて精密鋳造をはじめとする各種金属加工を行っている武杉製作所では、チタン製タンブラーをクラウドファンディングにて開発・販売しました。

軽い、強い、錆びにくい、人体に優しいといった特徴を持つチタンは、真空二層構造によって高い保温性も実現。また、チタン表面の酸化被膜をナノレベルに調整することで鮮やかな色彩を表現しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/takesugi-titantumbler/

企業公式サイト

https://www.takesugi.co.jp

5.Knot

カスタマイズウォッチのパイオニアとして知られるKnotでは、時計の修理製造技術の専門学校「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」と共同で文字盤意匠コンテストを開催し、優秀作品をクラウドファンディング限定商品としてリリースしました。

本プロジェクトでは、関わる運営費や開発費、製造原価、手数料などを差し引いた支援額の全額を、日本の未来の時計製造業への投資として寄付しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/knot03/

企業公式サイト

https://knot-designs.com

6.株式会社ニットー

ニットーは、横浜市金沢区にてプレス金型を中心とした下請け製品の製作を行っている会社です。同社では、新たな試みとしてヌンチャク系 iPhoneケース「iPhone Trick Cover」を自社開発しクラウドファンディングにて販売しました。

下請けに頼る経営方針からの脱却という、中小製造業全体の課題に対して、町工場が新たな一歩を踏み出した事例です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/309

企業公式サイト

http://nitto-i.com

7.株式会社田中金属製作所

田中金属製作所は真鍮部品加工に特化しながらも、オリジナル商品の自社開発を積極的に行っており、キャンプやアウトドアシーンに最適な真鍮削り出し火吹き棒「火樂〜KAGURA〜」をクラウドファンディングにてリリースしました。

高精度・高強度な真鍮削り出しや、熱気の逆流を防ぎ周囲の空気を引き込むことで燃焼を促進する画期的な構造など、金属加工業ならではの卓越した技術が詰まっています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/bonfire_stick_kagura/

企業公式サイト

https://www.tanakakinzoku.com

8.KOTOBUKI Medical株式会社

KOTOBUKI Medicalは町工場から生まれた医療系ベンチャー企業で、医療スキル向上に貢献する手術トレーニング用模擬臓器「VTT(Versatile Training Tissue)」をクラウドファンディングにてリリースしました。

食品を原材料とすることで、衛生面や倫理面、コスト面など様々な課題をクリアできる新素材として注目が集まっています。

クラウドファンディングページ

https://fundinno.com/projects/70

企業公式サイト

https://kotobukimedical.com

9.株式会社日翔工業

日翔工業はメッキ加工で知られる静岡県島田市の町工場です。近年ではブランド「PROGRESS」を立ち上げ、グラス内面にナノレベルのチタンメッキを施したジュエリーグラスなど、独創的な自社製品をリリースしています。

クラウドファンディングではブランド直営店に挑戦するためのオープン資金を募集、270%の達成率を記録しており、支援金額に応じて限定のジュエリーグラスなど様々なリターンが用意されています。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/238603/activities/217908

企業公式サイト

http://nissho-kogyo.jp/wordpress/

10.株式会社エムアイモルデ

エムアイモルデは静岡県富士市にある金型設計・製造メーカーで、3Dデジタルデータや3Dプリンタを活用したホビー業界への参入にも注力しています。

同社は、オリジナル作品をプラキットとして商品化する新ブランド「cavico」を立ち上げ、完全オリジナルのインジェクションプラキットを製品化するプロジェクトをクラウドファンディングにて公開しました。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/52915/activities/54087

企業公式サイト

https://mimolde.mystrikingly.com

11.株式会社キャステム

キャステムは広島県福山市にて医療機器や航空産業、宇宙産業など、あらゆる分野に使用される精密金属部品の製造・販売を行っています。

金属加工をはじめとした精密技術を新たな商品展開に活かすべく発足した新事業部「アイアンファクトリー」では、クラウドファンディングにて「アタッシュケース型コインケース」を公開・販売しました。

アルミにシルバーのアルマイトを施し、軽量で洗練されたデザインが特徴の本製品は、映画やドラマのアタッシュケースのイメージそのままに、ミニチュア化したポケットサイズを実現しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/castem-01/

企業公式サイト

https://www.castem.co.jp

12.株式会社山崎製作所

静岡県清水市にて精密板金加工全般を営む山崎製作所では、ファミリーキャンプブランド「shiromani」が手がけるステンレス製のオリジナルドリップバッグスタンド「ポタリス」の製造を担当しました。

クラウドファンディングにて目標達成率760%という驚異的な数字を記録している本製品は、ステンレス製のため丈夫で軽量、さらに一瞬で厚さ7mmに折り畳むことができるため、気軽に持ち運べてアウトドアシーンにも最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/535293

企業公式サイト

https://www.yamazaki-metal.co.jp/

13.株式会社極東窒化研究所

神奈川県秦野市にて金属表面硬化・熱処理を行う極東窒化研究所では、クラウドファンディングにて一生使える焼き網「chicca mesh(チッカ メッシュ)」を公開・販売しました。

スチール製の焼き網に「窒化処理」といわれる表面処理を施すことで、錆びや歪みといった弱点を解消し、手入れも非常に容易です。キャンプやバーベキューはもちろん、自宅のオーブントースターや魚焼きグリルで使用することもできます。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/chikka_mesh/

企業公式サイト

https://kyokutou-tikka.com

14.株式会社タシロ

神奈川県平塚市にて精密板金加工、精密機械加工を行うタシロでは、ピザ窯、燻製機、焚火台と3つの機能が備わった「3WAYコンパクトピザ窯」をクラウドファンディングにて公開しました。

創業50年を超える金属加工技術が凝縮された本製品は、組み立てや手入れも容易であり、自宅での使用はもちろん、キャンプやアウトドアなどあらゆるレジャーシーンに最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/447026

企業公式サイト

http://www.tasiro.co.jp

15.株式会社増田

東京都台東区にてハンドバッグなど革製品の製造・販売を行う増田では、2022年よりアウトドア部門を設立し、革製品とアウトドアの融合を追求しています。

クラウドファンディングでは、ハイクオリティな牛革を贅沢に使用した究極のレザーチェアーを販売し、大きな注目を集めています。創業100年を誇る職人の技術によって丁寧に縫い上げられたレザーチェアーは、あらゆるアウトドアシーンに最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/591686

企業公式サイト

https://www.masuda-c.co.jp

以上、製造業のクラウドファンディングについて事例を紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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製造業のクラウドファンディング活用事例15選

製造業とクラウドファンディングは非常に相性が良く、受注生産や下請けに頼ってきた中小製造業においても、自社開発の新製品に挑戦する動きが活発化しています。

今回は、資金調達やプロモーションなど、様々なメリットが期待できる製造業のクラウドファンディングについて、活用事例を15選ご紹介します。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、Crowd(群衆)とFunding(資金調達)を組み合わせた造語で、インターネット上で個人や法人が製品・サービスなどのプロジェクトを公開し、不特定多数の支援者から資金を調達することです。

クラウドファンディングは資金調達以外にも新製品の市場調査やプロモーションなど様々な目的で利用される手法であり、その市場は年々拡大しています。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの形式としては、支援者に対してモノや体験といったリターンをお返しする「購入型」がよく知られますが、他にもいくつかの種類が存在します。

購入型

法人・個人を問わずにすべての人が支援可能であり、リターンとして商品やサービスなどが贈られます。起案者が提供するリターンを購入する感覚で支援することが可能であり、最もポピュラーなクラウドファンディングの形式といえます。

寄付型

プロジェクトに対して支援者が資金を寄付する仕組みで、基本的にリターンは発生しません。環境保全や被災地支援など、社会貢献性の高いプロジェクトが多く、支援者は寄付金控除などの税制優遇が受けられます。

融資型

融資型は金融機関からの借入と同様に、複数の支援者から集めた資金を起案者に対して融資する仕組みです。購入型や寄付型と違い、支援者は金利という形で金銭によるリターンを受け取ります。

株式投資型

個人ではなく、株式会社が資金調達の一環として行う手法。支援者は資金を投資する見返りとして、起案企業の非公開株式を得ることができます。投資における金額制限があり、借り手企業側は年間1億円未満、支援者側は1社につき50万円までとなっています。

クラウドファンディングを行うメリット

企業がクラウドファンディングを利用するメリットは、資金調達だけではなく、製品に関する市場調査とプロモーションを同時に行うことができる点です。ここでは、それぞれについて簡単に解説します。

市場調査

社内でどんなに期待された製品であっても、市場ではまったく販売が伸びないケースもあります。中小製造業のように販売規模が小さい中で市場ニーズを正確に把握することは難しく、限られたノウハウ・リソースでヒット商品を創り出すのは至難の業です。

しかし、クラウドファンディングでは、開発段階のプロジェクトに対して、支援者から様々な意見が得られるため、直ちに製品開発に反映していくことができます。従って、事業としての方針変更を常に視野に入れつつ、リスクを抑えた製品開発を行うことが可能です。

プロモーション

プロジェクト進行中は、クラウドファンディング事業者が積極的にプロモーション活動を行うため、企業(起案者)もSNSなどを通じて製品情報を発信することで大きく認知を広げることができます。

また、このようなプロモーションを開発段階から継続的に行うことで、製品リリース時に多くの顧客(支援者)を獲得できている点もクラウドファンディングの大きなメリットです。

中小製造業とクラウドファンディングは相性が良い

クラウドファンディングと中小製造業は相性が良いと言えます。なぜなら、クラウドファンディングは共感を呼ぶことが重要な成功要因だからです。「町工場が作る、匠の技の〇〇製品」「メイドインジャパンの品質にこだわった〇〇製品」など、「町工場」や「メイドインジャパン」などのキーワードは好かれやすいキーワードです。

クラウドファンディング取り組み事例15選

ここからは、実際に成果をあげた製造業のクラウドファンディング取り組み事例15選をご紹介します。

1.株式会社シマワ

東京都千代田区にて機械部品の加工・製造を行っているシマワでは、ジュラルミン削り出しによるスマートフォン用スピーカー「oto」をクラウドファンディングにて販売しました。

ジュラルミンは軽量で丈夫、腐食しにくいといった優れた性質を持ち、航空機部品に使用されている素材です。削り出しによる洗練されたデザインと美しいフォルムが特徴で、自宅はもちろん、キャンプ・アウトドアシーンなどに最適な1台です。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/oto/

企業公式サイト

https://shimawa.co.jp

2.株式会社石井精工

東京都墨田区、葛飾区でゴム用金型の設計・製造を行っている石井精工では、アルミニウム削り出しのボタン型ピンズ「ALMA(アルーマ)」をクラウドファンディングにてリリースしました。

熟練工の手作業により、細部に至るまで一つ一つをアルミニウムの塊から削り出しており、ピンズに香りを付加するという新たなアプローチにも挑戦しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/alma/

企業公式サイト

http://ishiiseikou.com

3.株式会社小沢製作所

東京都青梅市にて高精度な組立て板金加工を行っている小沢製作所では、ステンレス鋼焚き火台「MOSS(燃す)」を販売しました。

パズルのように変形可能な本製品は、独自のスリット穴設計や設置柔軟性など、どんなアウトドアシーンにも対応可能。ピラミッド型やフラワー型といった形状を採用することで、足元まで美しい炎を演出しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/moss/

企業公式サイト

http://www.kk-ozawa.co.jp

4.株式会社武杉製作所

横浜市鶴見区にて精密鋳造をはじめとする各種金属加工を行っている武杉製作所では、チタン製タンブラーをクラウドファンディングにて開発・販売しました。

軽い、強い、錆びにくい、人体に優しいといった特徴を持つチタンは、真空二層構造によって高い保温性も実現。また、チタン表面の酸化被膜をナノレベルに調整することで鮮やかな色彩を表現しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/takesugi-titantumbler/

企業公式サイト

https://www.takesugi.co.jp

5.Knot

カスタマイズウォッチのパイオニアとして知られるKnotでは、時計の修理製造技術の専門学校「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」と共同で文字盤意匠コンテストを開催し、優秀作品をクラウドファンディング限定商品としてリリースしました。

本プロジェクトでは、関わる運営費や開発費、製造原価、手数料などを差し引いた支援額の全額を、日本の未来の時計製造業への投資として寄付しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/knot03/

企業公式サイト

https://knot-designs.com

6.株式会社ニットー

ニットーは、横浜市金沢区にてプレス金型を中心とした下請け製品の製作を行っている会社です。同社では、新たな試みとしてヌンチャク系 iPhoneケース「iPhone Trick Cover」を自社開発しクラウドファンディングにて販売しました。

下請けに頼る経営方針からの脱却という、中小製造業全体の課題に対して、町工場が新たな一歩を踏み出した事例です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/309

企業公式サイト

http://nitto-i.com

7.株式会社田中金属製作所

田中金属製作所は真鍮部品加工に特化しながらも、オリジナル商品の自社開発を積極的に行っており、キャンプやアウトドアシーンに最適な真鍮削り出し火吹き棒「火樂〜KAGURA〜」をクラウドファンディングにてリリースしました。

高精度・高強度な真鍮削り出しや、熱気の逆流を防ぎ周囲の空気を引き込むことで燃焼を促進する画期的な構造など、金属加工業ならではの卓越した技術が詰まっています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/bonfire_stick_kagura/

企業公式サイト

https://www.tanakakinzoku.com

8.KOTOBUKI Medical株式会社

KOTOBUKI Medicalは町工場から生まれた医療系ベンチャー企業で、医療スキル向上に貢献する手術トレーニング用模擬臓器「VTT(Versatile Training Tissue)」をクラウドファンディングにてリリースしました。

食品を原材料とすることで、衛生面や倫理面、コスト面など様々な課題をクリアできる新素材として注目が集まっています。

クラウドファンディングページ

https://fundinno.com/projects/70

企業公式サイト

https://kotobukimedical.com

9.株式会社日翔工業

日翔工業はメッキ加工で知られる静岡県島田市の町工場です。近年ではブランド「PROGRESS」を立ち上げ、グラス内面にナノレベルのチタンメッキを施したジュエリーグラスなど、独創的な自社製品をリリースしています。

クラウドファンディングではブランド直営店に挑戦するためのオープン資金を募集、270%の達成率を記録しており、支援金額に応じて限定のジュエリーグラスなど様々なリターンが用意されています。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/238603/activities/217908

企業公式サイト

http://nissho-kogyo.jp/wordpress/

10.株式会社エムアイモルデ

エムアイモルデは静岡県富士市にある金型設計・製造メーカーで、3Dデジタルデータや3Dプリンタを活用したホビー業界への参入にも注力しています。

同社は、オリジナル作品をプラキットとして商品化する新ブランド「cavico」を立ち上げ、完全オリジナルのインジェクションプラキットを製品化するプロジェクトをクラウドファンディングにて公開しました。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/52915/activities/54087

企業公式サイト

https://mimolde.mystrikingly.com

11.株式会社キャステム

キャステムは広島県福山市にて医療機器や航空産業、宇宙産業など、あらゆる分野に使用される精密金属部品の製造・販売を行っています。

金属加工をはじめとした精密技術を新たな商品展開に活かすべく発足した新事業部「アイアンファクトリー」では、クラウドファンディングにて「アタッシュケース型コインケース」を公開・販売しました。

アルミにシルバーのアルマイトを施し、軽量で洗練されたデザインが特徴の本製品は、映画やドラマのアタッシュケースのイメージそのままに、ミニチュア化したポケットサイズを実現しています。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/castem-01/

企業公式サイト

https://www.castem.co.jp

12.株式会社山崎製作所

静岡県清水市にて精密板金加工全般を営む山崎製作所では、ファミリーキャンプブランド「shiromani」が手がけるステンレス製のオリジナルドリップバッグスタンド「ポタリス」の製造を担当しました。

クラウドファンディングにて目標達成率760%という驚異的な数字を記録している本製品は、ステンレス製のため丈夫で軽量、さらに一瞬で厚さ7mmに折り畳むことができるため、気軽に持ち運べてアウトドアシーンにも最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/535293

企業公式サイト

https://www.yamazaki-metal.co.jp/

13.株式会社極東窒化研究所

神奈川県秦野市にて金属表面硬化・熱処理を行う極東窒化研究所では、クラウドファンディングにて一生使える焼き網「chicca mesh(チッカ メッシュ)」を公開・販売しました。

スチール製の焼き網に「窒化処理」といわれる表面処理を施すことで、錆びや歪みといった弱点を解消し、手入れも非常に容易です。キャンプやバーベキューはもちろん、自宅のオーブントースターや魚焼きグリルで使用することもできます。

クラウドファンディングページ

https://www.makuake.com/project/chikka_mesh/

企業公式サイト

https://kyokutou-tikka.com

14.株式会社タシロ

神奈川県平塚市にて精密板金加工、精密機械加工を行うタシロでは、ピザ窯、燻製機、焚火台と3つの機能が備わった「3WAYコンパクトピザ窯」をクラウドファンディングにて公開しました。

創業50年を超える金属加工技術が凝縮された本製品は、組み立てや手入れも容易であり、自宅での使用はもちろん、キャンプやアウトドアなどあらゆるレジャーシーンに最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/447026

企業公式サイト

http://www.tasiro.co.jp

15.株式会社増田

東京都台東区にてハンドバッグなど革製品の製造・販売を行う増田では、2022年よりアウトドア部門を設立し、革製品とアウトドアの融合を追求しています。

クラウドファンディングでは、ハイクオリティな牛革を贅沢に使用した究極のレザーチェアーを販売し、大きな注目を集めています。創業100年を誇る職人の技術によって丁寧に縫い上げられたレザーチェアーは、あらゆるアウトドアシーンに最適です。

クラウドファンディングページ

https://camp-fire.jp/projects/view/591686

企業公式サイト

https://www.masuda-c.co.jp

以上、製造業のクラウドファンディングについて事例を紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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製造業の営業手法9選(中小製造業の新規開拓)

コロナ禍を機に、製造業の営業活動はさらに多様化しており、企業の立ち位置や目的によって様々な手法が用いられています。中でも中小製造業(サプライヤー)における営業活動には多くの課題があり、状況に応じて適切な営業手法を選択する必要があります。本記事では、中小製造業の営業活動について、新規開拓を中心にご紹介します。

営業活動・新規開拓・製造業

中小製造業の営業活動が難しい理由

中小製造業における営業活動は、自社製品を持つ企業が行う営業活動に比べて難しいと言われています。その理由は大きく分けると以下の4つが挙げられます。

受託加工という業態の特性(タイミング)

製造業界では、従来から依頼している発注先が存在します。より安価で依頼できる発注先を探すケースはありますが、基本的になにか特別な理由がない限りは、新規発注先を検討することはありません。新規発注先を検討するタイミングや理由としては、従来の加工業者側の納期遅れや品質不備、ボリューム対応不可、後継者不足、発注リスクの分散などが挙げられます。常にコンタクトをとっている訳ではないため、そういったタイミングを見極めて営業することは非常に難しく、ほとんどの場合「機会があれば」で終わってしまいます。

自社製品と比べてPRしづらい

自社製品であれば、製品の特徴やメリットデメリット、価格、他社製品との比較など、様々な提示が可能です。しかし、サプライヤーの場合は基本的にお客様側で用意した図面に対して、製作可否、納期、コストを提示することだけが求められます。それが他社と比較して優位性があるかどうかを、サプライヤー側で判断することはできないため、通常の製品販売営業よりも、営業活動は困難と言えます。

営業+技術ができる人が少ない

中小製造業の営業活動においては、営業力だけではなく、自社技術をある程度理解していなければ商談を進めることはできません。もちろん、最終的な詳細は現場に確認する必要があります。しかし、図面を見て内容や状況を理解し、ある程度の可否判断を下すことは営業にも求められるスキルであり、商談時にお客様の信頼を得るうえで重要なポイントです。

中小製造業では、そういった技術的営業は経営者が担当する場合が多く、営業を採用してもすぐに即戦力にはならないケースがほとんどです。時間をかけて営業+技術ができる人材を育てる必要があり、相応の労力とコストがかかります。

設備稼働力というキャパがある

他の業界のように、需要があればいくらでも販売できるという訳ではなく、製造業の場合は保有設備によって稼働できる限界があります。繁忙期に営業をかけて案件を獲得しても、そもそも製造できないというケースも少なくありません。売上や顧客からの信頼など、受注できる案件はいくらでも獲得したいのが営業側の意向ですが、それを良しとしない現場との問答はよくある話です。

また、閑散時に営業をかけてもなかなか案件を獲得できないこともあり、仕事の波をコントロールすることが非常に難しい業界と言えます。

営業活動の目的って?

営業の目的

営業活動の目的は、もちろん売上や利益を伸ばすことです。しかし、それは短期的な目的であり、あくまで数値化された目標と言えます。会社としての目的はその先にあり、具体的には以下のようなものが挙げられます。

リスクの分散

取引がこの先も常に続く保証はないため、業界問わず取引先を増やしていく必要があります。業界ごとの波を緩和させる仕組みづくりが不可欠です。

仕事の波の低減

仕事の波を抑えるためには、繁忙期、閑散期に左右されず営業活動ができる仕組みづくりが必要です。特に、閑散期に営業をかけても受注のタイミングを逃してしまっている場合が多く、協力企業と連携しキャパシティをコントロールすることが重要です。

利益率向上

顧客候補を増やすことで、自社として関係を持ちたい会社を選択できるようになります。その結果、不当なコスト協力を回避し、利益率の高い仕事を追求することが可能です。また前述同様に、協力企業をうまく活用することで、それぞれの得意分野で付加価値の高い仕事ができるため、利益率向上にもつながります。

あらたなビジネスのきっかけをつかむ

これまでやってきた事業が、形を変えずにこの先何十年も続いていくと思っている経営者はほとんどいません。また、いつか業務は平準化され、さらに自動化されるものも多いでしょう。積極的に新しい案件に取り組むことで、自社事業の可能性を常に模索し、新たな事業のきっかけをつくる取り組みが求められています。

新規営業手法紹介

営業手法

ここからは新規開拓を中心とした営業手法について、以下の9選をご紹介します。

紹介営業

紹介営業は製造業に限らず、どんな業種においても古くから行われてきた営業手法です。ある程度の関係構築があり、自社業務を理解してもらっている場合が多いため、受注から製造、納品にいたるうえで非常に話が早いことがメリットです。一方で、紹介営業は長年にわたり各企業が行ってきた手法のため、昨今ではなかなか広がりを持つことが難しくなっています。また、業種に偏りが生じてしまうこともデメリットと言えます。

飛び込み営業、テレアポなど

飛び込み営業やテレアポは、発注者側の話を直接聞くことができるため、タイミングさえ合えばスピード感を持った受注獲得が可能です。しかし、タイミングを捉えることは非常に難しく、人員や時間といった労力が相当かかるうえ、足元を見られたり冷遇されたりすることも多い手法です。

専門雑誌・新聞などへの広告宣伝

広告宣伝はコストがそれなりにかかりますが、業種をある程度絞ることで、より明確なターゲット層へアプローチできます。また、専門雑誌や新聞といった媒体は、ユーザーからの信頼性も高く、無料で手に入るインターネット情報と比較しても発注にいたる可能性が高い手法です。

展示会出展

展示会出展は、飛び込み営業やテレアポと同様に、発注者の話が直接聞けるため、具体的な商談へと発展する可能性が高い手法です。また、自社が扱うテーマやカテゴリーに興味関心を持つ「見込み顧客」の情報を大量に収集できます。

しかし、出展にはそれなりにコストがかかるうえ、多くの人員・労力が必要になります。また、明確な効果測定をするのが難しいこともデメリットと言えます。

オンライン展示会・商談会

オンラインでの展示会や商談会は、コロナ禍を機に大きく需要を伸ばしています。通常の出展に比べて費用を抑えられることや、顧客情報を収集できること、また距離や天候などの影響がないことなど様々なメリットがあります。

一方で、出展のためのサイト構築など手間と人員がかかるうえに、PR手法としてはまだ確立できていないため、その効果は不明瞭です。

Web広告

Web広告は低コストで始められるうえに、短期間で成果を得やすいという特徴があります。また、ニーズのある企業にピンポイントで配信・リーチできることも大きなメリットです。しかし、長期間成果を挙げ続けるためには継続的な投資や、日々の改善が不可欠です。

HP活用(SEO対策など)

HPを活用した営業は、ニーズのある企業を含め幅広い層に認知してもらえる他、施策が軌道に乗れば継続的なアクセス、問い合わせを獲得できるメリットがあります。また、SEO対策によるアクセスアップは広告と違い、蓄積され続けるため、会社の財産となる点が非常に良いポイントです。他の媒体を見た後にHPを確認するなど、他の施策と組み合わせることで相乗効果が期待できます。

しかし、昨今ではコロナ禍の影響もありWebにおける競合も増加傾向にあるため、より適切な対策、運用ノウハウが求められます。

SNSマーケティング

SNSマーケティングとはその名のとおり、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを活用した営業活動のことです。

SNSマーケティングは情報の伝達、拡散が速いため、つながりのない人にも広く知ってもらうことができます。また、SNS自体は無料で始められるため、低コストでの運用が可能であり、導入に対するハードルが低いことも大きなメリットです。

一方で、業界的に口コミが広がりづらいことや、運用のための情報、人員を確保することが難しいこと、拡散による炎上リスクが伴うことなど、デメリットも存在します。

メールマーケティング

メールマーケティングとは、メールを活用したマーケティング活動のことです。メールマガジンと混同されがちなメールマーケティングですが、メールマガジンとは違い、顧客に対して商品、サービスの利用など明確な行動を起こさせることを目的としており、いわゆる「リードナーチャリング」要素がより強い手法です。

メールマーケティングは低コストで運用可能であり、継続的な顧客接点ができるため、認知度向上に非常に効果があります。また顧客ひとりひとりに合わせた情報配信を行うことで、特別感を演出したアプローチが可能です。しかし、継続して運用していくための情報、人員といったリソースが不足することも多く、顧客動向や情勢など様々な変化に常に対応し続けなくてはいけません。

以上、中小製造業の営業活動について紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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製造業Webマーケティング事例8選(事例から学ぶ成功要因)

テクノポートの井上です。今回はBtoB製造業のWebマーケティング成功事例を、メーカーとサプライヤーに分類し8つ紹介します。また、そこから共通する成功要因について説明します。

サプライヤー成功事例

①株式会社富士産業

富士産業 成功事例

地域:東京都
事業内容:非鉄金属鋼材販売
従業員:10名
サイトURL:https://www.fujisanngyo.co.jp/

目的:新事業の製作金物事業での顧客開拓
マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

  • 製作金物事業が大きな売上の柱となる
  • 月30件前後の問い合わせ

成功のポイント

  • ターゲットの明確化:既存のお客様と競合しないようにデザイナーや建築事務所をターゲットに訴求。
  • ニーズと課題の明確化:図面無しからの製作に対応。
  • 提供価値の明確化:ヒアリング内容~簡単な図面作成、見積もり提案という流れで手間はかかるがニーズに応える。製造業者への問い合わせのハードルを下げる。かっこよいデザインではなく親しみやすいデザインを選定。ここなら相談できるかもという期待感を持たせる。

対策キーワード

製作金物2位、真鍮加工1位 など

②荒川技研株式会社

荒川技研 成功事例

地域:埼玉県
事業内容:樹脂試作
従業員:10名
サイトURL: https://a-giken.co.jp

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

  • 問い合わせ数、大幅アップ
  • 異業種からの引き合い獲得
  • 取引社数が大幅増加

成功のポイント

  • ターゲットの領域特化戦略:樹脂試作に特化、試作に関連するキーワード、材質などの切り口で幅広く訴求ポイントを作りコンテンツ化事業領域を切削だけでなく、試作に必要な他工程も含めPRを行う(光造形、真空注型、アルミ鋳物など)

対策キーワード

「樹脂試作」1位、「真空注型」6位など

③有限会社ユニバーサル

ユニバーサル 成功事例

事業内容:試作切削加工
サイトURL:https://universal-tech.jp/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

  • 狙い通りのターゲットユーザーからの問い合わせ獲得
  • 契約につながる問い合わせが急増。名刺代わりだったWebサイトが強力な営業ツールに急変

成功のポイント

  • 差別化集中戦略:研究開発部門にターゲットユーザーを絞り、ユーザーの必要とする情報をコンテンツ化。自社の強みとなるポイントを明確化することで訴求力を向上させる。特に難削材の加工に注力し、他社には真似することが難しい得意領域を確立。

対策キーワード

「ハステロイ加工」2位 「マグネシウム加工」3位

④株式会社共栄精機

共栄精機 成功事例

地域:東京都
事業内容:精密板金加工
従業員:15名

サイトURL:http://www.kyoeiseiki.co.jp/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル

Webマーケティングの成果

Webからの問い合わせが売上の8割

成功のポイント

  • 地域特化戦略:関東近辺に領域を絞ったキーワード対策を行う。
  • 利便性:東京近辺という打ち合わせのしやすさ。
  • レスポンス:最短5分で見積もり返答。
    (外注の表面処理などの費用も概算で組み込む)
  • まるごと加工:板金・切削・溶接・塗装・組み立て

対策キーワード

「東京+精密板金」2位 など

メーカー成功事例

①株式会社スペック・ジャパン(ドイツメーカーの日本法人)

スペック・ジャパン 成功事例

地域:大阪・東京
業種:マグネットポンプメーカー

サイトURL: https://speckjapan.com/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

  • 問い合わせ数、大幅アップ
  • 製品の仕様が決まる前段階からの相談が増加
  • 日本国内での認知度向上

成功のポイント

  • 市場浸透戦略:自社製品にこだわらない業界内でのお役立ち情報の作成。用途は決まっているが仕様が固まっていないような人向けに、役立つコンテンツを提供。
  • 差別化集中戦略:具体的なポンプの名称を調査。その中で検索需要が高いものと自社の得意な領域をすり合わせ、対策すべきキーワードをピックアップし、製品ごとに訴求。

対策キーワード

「水封式真空ポンプ」1位、「マグネットポンプとは」2位、「マグネットポンプ」5位など

②西山工業株式会社

西山工業 成功事例

事業内容:冷熱機器及びその応用製品の開発・製造、プレス板金加工及び金型の設計、基板の設計開発・組立加工

サイトURL:https://www.nishi.co.jp/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

狙いとする製品の開発案件の問い合わせの増加

成功のポイント

冷水機に関するコンテンツを整理して見やすくするとともに、冷水機とは何かという説明や種類に関する説明を追加。主力製品である「冷水機」、「ウォータークーラー」の順位を確固たるものに。

主力製品の販売だけでなく、自社におけるODM関連の商品開発案件を呼び込むため、自社のODMの事例をカテゴリ毎に分けて掲載。ロングテールの対策を行い、「製品名 ODM」などのキーワードで検索順位上位を獲得できるようにページを作成。

対策キーワード

冷水機 2位、ウォータークーラー 5位

③ダイキョーオータ株式会社

ダイキョーオータ 成功事例

事業内容:帽子の製造・販売

サイトURL:http://www.pointskyward.com/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

狙いとする「イベント市場」、「OEM市場」、「ワーク市場」の3つのBtoB市場で問い合わせを呼び込むことに成功

成功のポイント

市場を「イベント市場」、「OEM市場」、「ワーク市場」の3つに分類し、各市場の顧客ニーズの掘り下げ、競合サイト分析を行いWebサイト戦略を固めコンテンツを用意。

④水野鉄工株式会社

水野鉄工 成功事例

地域:大阪・東京
業種:工場自動化用ロボットの製造販売

サイトURL:https://mizuno-tk.jp/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

自社の得意な領域の「大物自動搬送」系のお問い合わせをつかむ

成功のポイント

自社の強みとなる「大物ワーク」「ガントリーローダー」「頑丈」を軸にユーザーの持つ課題と解決を紐づけコンテンツとして訴求。

対策キーワード

「大物 自動搬送」1位、「ガントリーローダー」2位

事例から学ぶ成功要因

上記の事例から考察できることについて3つ紹介します。

1、製造業とWebマーケティングは非常に相性が良い

新規案件獲得の難しさは、ユーザーの発注検討のタイミングをつかむことです。どんなにニーズがマッチしていてもタイミングを捕らえられなければ受注にはなりません。

プッシュ型営業のタイミングが取りづらいという課題を、Webマーケティングであれば効率よく捕らえることが可能です。ニーズが発生したタイミングで相手から相談がくるからです。

2、他社との差別化を作り出すことは難しい、まずはできることを明示

特殊な特許技術や真似できない技術を持っている会社はほんの一握りです。ここでご紹介した事例では特殊技術を持つ会社がWebマーケティングに成功しているわけではありません。当たり前の技術を、ターゲットに対する技術の組み合わせや、訴求内容を絞ることで違いを作り成果を上げています

他社と同じ技術や製品を持っていたとしても、しっかりWeb上でPRできている会社が少なければ勝負は十分に可能です。うまくPRしている会社はBtoCの市場に比べ少ないと言えます。

3、戦略と実行手段(Webページ)の紐づけを意識してページ作成

立てた戦略を実行手段(Webページ)にきちんと落とし込むことが重要です。ターゲットや訴求内容、選定するキーワードなどをマッチさせ、どのページから流入させるか、流入から問い合わせまでの導線をイメージする必要があります。

以上、BtoB製造業の成功事例から、考察できる成功要因について紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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マーケティングとWebマーケティングの違いについて

テクノポートの井上です。今回はマーケティングとWebマーケティングの違いについて説明します。

マーケティングとは

マーケティングとは一言で説明すると、売れる仕組みを作ることです。「売り込みをしなくても自然に売れる状態を作ること」が目的です。マーケティングを実践するためには、ターゲットの選定、ターゲットのベネフィットを想定し、競争優位性のある自社の提供価値が何かを定義することが必要になります。

Webマーケティングとは

マーケティングとWebマーケティングの違い

Webマーケティングはマーケティング活動の一部です。「Webマーケティング」は、Webサイトを用いたマーケティング活動のことで、サイトを作成して、コンテンツを増やし、SEO・広告などを考え、商品の購入や問い合わせへとつなげていく施策です。

Webマーケティング戦略という言葉があるように「戦略」ですが、Webという実行手段をどう活用するかという戦術的な意味合いも含んでいます。

よく似たような言葉としてデジタルマーケティングがあります。WebマーケティングがWebに限定しているのに対し、デジタルマーケティングはWebにとどまらず、アプリやIoT、MAなど、さまざまなデジタルテクノロジーが対象となる手法です。Webもリアルも含めさまざまなデータを統合し、売れる仕組みを作ることを「デジタルマーケティング」と言います。

Webマーケティングの手法としては、主に下記が挙げられます。

  • SEO(検索エンジン最適化)
  • 広告
    リスティング広告
    バナー広告
    アドネットワーク広告
    アフィリエイト広告
    リターゲティング広告
    SNS広告
  • メールマガジン
  • SNS

Webマーケティングの重要性が年々高まっている

企業のマーケティング活動の中で、Webマーケティングの重要性が年々高まっています。その理由として、インターネットの普及による社会環境変化があります。インターネットの普及により、ECサイトやネットショッピングが一般的になり、Webマーケティングも急速に拡大しました。ユーザーが情報を集めるための手段は紙媒体などからWebが主流になり、販売側もそれに合わせ、自社をPRする場所はリアルからWebに移りつつあります。

昔は毎年の一大イベントだったモーターショーですが、最近は参加メーカーの減少や規模の縮小が見られるようになりました。その原因は、インターネットやSNSの影響と言われています。わざわざそこに行かなくても、情報が簡単に入手できてしまうためです。

Webマーケティングのメリット

Webマーケティングのメリットは以下の通りです。

高い効果が見込める

ユーザーの探索フィールドがWebのため、そのフィールドでPRすることは、必然的に結びつく可能性が高くなると言えます。

他の手法に比べコストが安い

展示会、直接の営業、雑誌広告などと比べ、圧倒的に低コストですぐに始めることができます。

戦略が立てやすい

キーワード調査を使った需要調査、他社Webサイト分析による競合調査など、リアルで行うと非常に時間とコストがかかる部分が、Webでは数値として簡単に分析可能です。そのため3C分析からの戦略が立てやすくなります。

効果測定がしやすい

問い合わせにつながったかどうかだけではなく、問い合わせにつながる前のユーザーの行動の分析も容易にでき、さまざまな数値で効果測定が可能です。

Webマーケティングを行う上での注意点

前述の通りWebマーケティングはマーケティングの一部です。ECサイトとは違いBtoBの場合、Webだけで営業活動が完結することはなく、マーケティング活動との連動が重要です。

Webマーケティングでは顧客接点を多く設け、商談のきっかけを多く作ることはできます。しかし、実際にそれが受注に結びついたか?事業に合った問い合わせか?など、営業体制や、訴求内容と会社の提供価値がマッチしているかなど、Webだけでは分析できません。最後のクロージングまで分析し、それをもとに再度Web上に施策として反映させていく必要があります。また、場合によってはその分析結果をもとに、マーケティング戦略自体を見直す必要もあります。

最近では扱うためのデータが年々多くなっているため、効率よく、リアルのマーケティングとWebマーケティングを連動させるためにデジタルマーケティングが注目されています。

Webマーケティングで成果が出た次のステップでは、多く獲得できた顧客接点をその時だけで終わらせないための仕組みが必要となります。それがデジタルマーケティングです。

マーケティングとデジタルマーケティング、Webマーケティングの違いについて説明しました。参考にしていただけたら幸いです。

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中小製造業、3つのWebマーケティング戦略2022

テクノポートの井上です。今回は受託加工を主とした中小製造業が、Webマーケティングを行う際の戦略について紹介します。

Webにおけるマーケティング戦略とは

マーケティングとは顧客を獲得するための仕組みを作ることです。「だれに」「何を」「どのように」訴求をするか?を決めることができれば大枠の戦略を立てることができます。戦略は対象とするユーザーに対し訴求力を高めることができ、Webサイトの構成や掲載内容にブレない軸を作るためにも重要です。Web上で考える際には、従来の戦略とは異なるポイントもありますので、それも含め説明します。

3つのWebマーケティング戦略

弊社では製造業界で数千社に及ぶ会社のWebマーケティング施策を立ててきました。施策には共通項が出てきますので、そこから導き出された3つの代表的な戦略を紹介します。

中小製造業Webマーケティング戦略2022

領域特化戦略

既存市場の得意領域に特化する戦略です。

一般的な戦略は市場調査を行い、市場を細分化し、攻める市場を特定、顧客のニーズを想定し、他社との差別化と競争優位性を確立させる戦略をとります。

ただ、受託加工の場合、自社でできる加工であれば市場を特定しないケースが多く、そこまでの独自性を持った技術を持つ会社は稀です。そのため、まずは自社の加工領域を細分化して、訴求ポイントを探し、できることを明確化させる戦略を弊社では推奨しています。

加工製品・材質・加工サイズ・加工方法・加工技術などさまざまな切り口で分析を行い、得意領域のキーワードで対策し問い合わせを呼び込む手法です。顧客にその加工ができることを認知させられるかが、顧客獲得の大きな分かれ目になるためです。

市場の細分化から組み立てる手法は下記にて詳しく説明しています。

「サプライヤー企業の実践的なWebマーケティング手法」

市場拡大戦略

他の加工方法の市場から需要を生み出す戦略です。

自社の所属する加工市場では、コスト競争になりやすく、市場も限られていることから、加工自体の魅力を他市場にも広め、自社の置かれている市場自体の拡大、及び他市場からの顧客獲得を狙います。

ユーザーが必要とする部品を検討する際には数量、精度、コストなど多くの要素から、最適な工法を選択しています。例えば、金属の切削加工で行っていたものが、本当はプレスや鋳造+2次加工で行ったほうが低コストでできる場合があります。

つまり、従来の工法と他の工法を比較することで、自社の加工領域の優位性をより深く知ってもらうことができます。ものづくり業界に所属している顧客であっても、加工技術一つひとつを正確に理解している方は意外にも少ないです。特に認知度の低い加工方法(加工方法の特徴や優位性が理解されていない)場合に有効な手法です。

コンテンツ 候補例

  • ◯◯加工とは?
  • ◯◯加工のメリット・デメリット
  • ◯◯の利用用途
  • ◯◯の△△と比較した際の違い  など

ここでのポイントは自社を売り込むのではなく、加工自体の魅力やメリット・デメリットを公平な立場で情報提供することです。なんでも自社の持つ加工が優位なように見える内容は、かえって顧客に疑われやすくなるため、公平な立場での情報提供を心がける必要があります。また、その提供する情報が一般的な加工情報なのか?自社独自が持つ特徴なのかも切り分けます。

市場浸透戦略

自社の行っている加工領域にて自社の認知度を上げ、「◯◯加工と言えば△△会社」という認識を顧客に持たせ、早い段階で相談を呼び込む戦略です。

全方位戦略に近いため、大企業がとる作戦ではと思われるかもしれません。しかし、Web上では、「会社が大きいから」「上場している」という理由で上位表示されるわけではありません。検索キーワードに対して適切な答えを用意できれば、どんな会社でも上位に表示される可能性があります。また、検索する側のユーザーは検索ページを何ページも開いて探すことはなく、対応できそうな会社を数社選定し、連絡を入れます。つまり早い段階で自社HPが認知されれば、問い合わせを呼び込むチャンスを格段に増やすことができます。

その方法として、自社の所属する加工領域のビッグキーワードを狙う作戦です。

キーワード 候補例

切削加工/マシニング加工/旋盤加工/プレス加工/板金加工 など

ただ、この作戦の難点は競合も多いため検索上位に上げづらいこと、また、上位に上がっても自社の差別化はできていないため、相見積もりが多くなる可能性があることです。

まとめ

中小製造業が実行できる、3つのWebマーケティング戦略について紹介しました。ちなみにどの戦略を選べば良いかというと、答えは全部です。なぜなら、Webサイトのページやコンテンツづくりに制限はないため、戦略ごとにページを作成し訴求できます。

手当たり次第にコンテンツを用意するのではなく、何のために何を用意するのかを明確にすることが重要です。その上で優先順位をつけ、コンテンツが用意できるところから、順次進めていくのがよいでしょう。もちろん資金やかける労力が必要になりますが、Webの良いところは、低コストですぐに実行でき、大きな成果が期待できることです。

Webサイト企画の参考にしていただければ幸いです。

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中小製造業の生き残り戦略を小規模企業が考える際のポイント2022

テクノポートの井上です。中小製造業の今後の事業戦略として、3つの戦略がよく取り上げられています。「海外展開」「R&Dへのシフト」「自社製品開発」の3つです。時代の流れとして理解はできます。ただ、中堅規模中心の事業戦略に見えてしまい、数名〜数十名規模の会社が取り組むにはハードルが高いと感じている方は多いのではないでしょうか?

今回は小規模企業(数名〜数十名)が考える、3つの事業戦略のポイントについて紹介いたします。

中小製造業生き残り戦略

中小製造業の3つの事業戦略

海外展開

人口減少により消費の拡大が期待しづらい国内市場を考えると、今後、製造業の海外進出はますます増えていくと予想されます。一方で、円安の急激な進行や海外の人件費の上昇により、家電・自動車メーカーの一部で、国内生産へ回帰する兆しも一部あります。

ここで考えるポイントは2つです。

  1. 「市場としての海外」をどう取り入れるか?
  2. 「競合としての海外」とどう競うのか?

1.「市場としての海外」をどう取り入れるか?

メーカーの進出する国に共に海外進出し現地調達できる体制を整える方法があります。ただ、相当な労力と費用がかかること、メーカーが他の国へ移動や、撤退するなどの相当なリスクがあります。他にも、海外市場とのかかわり方は複数ありますので、下記記事を参照ください。

【製造業】海外進出する5つの方法・進出方法の選び方(メリット・デメリットも解説)

最初のステップとしてのおすすめは、進出はせず、Webマーケティングにて海外市場へのテストマーケティングを行うことです。理由は、リスクが少なく、市場調査ができるからです。その中で本当に取引拡大したい市場や国が出てくれば、次のステップへ進む流れが良いと考えます。

2.「競合としての海外」とどう競うのか?

日本を除くアジア諸国のコスト競争力は非常に高く、「量産になったとたんに海外へ持っていかれた」というお話しもよく聞きます。もちろん、自社で海外工場を保有すれば良いのですが、なによりも初期投資コストが高いです。また、人件費の高騰、人材の定着化、加工ノウハウの共有など中長期的な運営には課題が多く存在し、中小製造業にはリスクが高いように思えます。

最初のステップとしてのおすすめは、信頼できる海外の協力工場を作り、海外生産にも対応できる体制を作ることです。国内の需要の中には、「コストを抑えたい、けれども海外に直接頼むのはやりとりやトラブル対応が大変」と考える会社が存在します。量産でのコスト競争力を確保しつつ、品質の担保を国内で行うことで付加価値をつけることができます。

R&Dへのシフト(ファブレス化)

「開発」「設計」「研究」といった生産の前工程を重視する傾向や、企業が国内拠点にR&D(研究開発)や高付加価値品の生産といった、より高度な機能を持たせようとする流れがあります。ファブレスメーカーと呼ばれるような工場を持たないメーカーや、商社的な機能で工場を持たないサプライヤー企業のような会社も増えてきています。

たしかに合理的な流れですが、中小製造業が国内で生き残りを考える際に、経営者がこの流れをそのまま受け入れるのはかなり難しいのではないでしょうか?

「ファブレスにすることで会社は生き残った。売上は好調。しかし、国内工場はなくなり、国内雇用は減少」

という結果を良しとせず、会社としての成長・存続と同時に国内での雇用創出を責務とする経営者も多いでしょう。他にも「やっぱり現場が好き」という方や、「設備がもったいない」という方もいると思います。また、数十名規模の会社で研究開発部門を持っている会社はなかなかいないのが現状です。

そのため、研究開発やファブレスを考えるというよりも、このテーマで中小製造業が考えるべきポイントは2つです。

  1. 製品開発の上流でいかに案件を獲得できるようにするか
  2. 社内外問わず上流からの受注体制を構築し、それを含めたPRができるか

1.製品開発の上流でいかに案件を獲得できるようにするか

自社で研究開発・製品開発ができなくても、その分野に携わることはできます。製品開発の上流段階に食い込むことで売上を確保することが必要になってきていると考えます。例えば、量産メインの会社が仕事を獲得するためには、量産を検討しているユーザーの案件を獲得するのではなく、量産になる前段階からの案件をいかに早く獲得できるかです。

なぜなら、製品開発の早い段階から入り、必要に応じてVA・VE提案をしつつ量産まで持っていくことができれば、量産検討段階でノウハウの共有ができており競争優位性を持つことができ、他社へ流れづらい良い案件となるからです。

逆に、量産段階の案件は「いかにコストを抑え安定品質で作るか」がテーマです。コストが大きなウェイトを占めるため、必然的に海外工場も視野に入ってきます。その段階から案件を獲得しようとしても良い案件にはなりません。

半導体ではファブレスメーカーとファウンドリーメーカーが存在するように、分業制をとったファウンドリーメーカーは今後も需要があるはずです。製品の機能性や仕様はファブレスが考え、それを作るノウハウや設備をファウンドリーが持ちます。作るノウハウとは、機構、量産のしやすさ、コスト低減方法など製品を効率よく実現させるためのノウハウです。

「製品開発の早い段階からメーカー側と量産ノウハウを共有し、ものづくりを進めよう」という作戦です。

2.社内外問わず上流からの受注体制を構築し、それを含めたPRができるか

量産の会社が今まで行っていなかった試作加工、設計、デザインを始めるのは、必要とするノウハウや設備が異なるためハードルが高いです。そのため、まずはレスポンスの良い会社で信頼できる協力会社が必要になります。

また、製品開発の上流段階からの相談対応が可能なことをアピールする必要があります。協力会社に事前に相談しPR材料の用意の協力をしていただくとよいでしょう。案件獲得できれば協力会社に依頼ができるので、先方としても悪い話ではないはずです。

自社製品開発

自社製品開発というと、一般消費者向けの製品を考える会社が多いと思いますが、中長期的な売上に繋がるまでにはハードルが高いと言えます。なぜなら、今まで行ってきていない商品に関する販売網や、マーケティングが必要で、それは受託加工がメインだった製造業とは真逆の領域だからです。昨今は商品のライフサイクルも非常に短くなっているため、ヒット商品を生み続ける必要もあります。

ただ、もちろん今後必要となるノウハウのため、少しずつその力を蓄えることは必須です。他にも波及して本業につながる良い効果が生まれたケースもあります。

もう少し、現在行っている仕事につなげやすい形を考えると、セミオーダーのユニットやパッケージ化が考えられます。いくつか例を紹介します。

事例紹介

表面処理会社

板金加工屋さんから仕事を受注していた表面処理会社がセミオーダー筐体設計製作販売
板金加工屋さんへ加工は依頼する(商流を変化)

金属の押出成形の会社

製品としてよく作っていたヒートシンクの特注品製造販売
押出成形以外の加工方法は協力会社へ依頼(商流を変化)

自動機設計製作の会社

注文の多い自動機を規格化し自社製品として販売

ネジ追加工の会社

特注ネジの販売
ネジ製造は今まで仕事を頂いていたネジ製造会社へ依頼(商流を変化)

以上3つの戦略を小規模企業(数名〜数十名)が考える際のポイントについて紹介しました。参考にしていただけたら幸いです。

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動画をWebサイトに活用し訴求力UP!動画活用のメリットや手法を紹介

テクノポートの井上です。最近、企業で動画をWebサイトにも活用したいという相談を多くいただきます。以前と比べ、インターネットの通信速度も格段に早くなり、スマホでも動画がストレス無く見られるようになったこと、また、簡易的に動画を作れるようになったなど、さまざまな要因で企業の動画活用が加速しています。

動画活用 Webサイト

今回はその動画をWebサイトに活用するメリットや手法について紹介します。

​​Webサイトに動画を使用するメリットとは?

Webサイトに動画を活用することのメリットは大きく3つ挙げられます。

文字で伝えるより短時間で多くの情報が伝わる

Forrester ResearchのJames McQuivey博士によると、1分間の動画は一般的なWebページの3600ページ分の情報量と言われています。とてつもない数字です。

視覚に訴えかけられるため印象に残りやすい

メラビアンの法則というものがあります。1971年にアメリカの心理学者、アルバート・メラビアンが提唱した法則です。「人がコミュニケーションをとる時に、どんな情報に基づいて印象が決定されるのか」を検証し、その割合を示しています。

  • 視覚情報 55%
  • 聴覚情報 38%
  • 言語情報 7%

視覚と聴覚で93%を占めており、印象決定に大きく影響していると言われています。

滞在時間が増えSEO的にもプラスと言われている

動画自体をWebサイトに埋め込むことはプラス要因にはなりません。しかし、動画をWebサイトに埋め込むことで、ユーザーの滞在時間が延びます。直帰率が改善されれば、Googleから「有益なコンテンツを提供しているページ」と評価される可能性は十分にあります。

Webサイトで動画を使用するデメリットとは?

デメリットは以下の内容が主に挙げられます。

使い方によってはサイト表示スピードを落とす

動画は容量が多くそのまま掲載して自動再生をすると、Webサイトの表示スピードが大きく落ちます。表示スピードが遅くなることはSEO的にも悪影響です。

質の良い動画作成には時間やコストがかかる

質の良い動画を作ろうと思うと外注せざるを得ず、その場合内容によりけりですが数十万から数百万と費用がかかり、企画構成には時間を要します。

飛ばし読みができない

本のように目次があって、部分的に情報収集することができません。見出しなどを作ることはできますが、文章と比べると使いづらさがあります。

動画のホームページ上での使い方

動画をWebサイトで使う上で必ず考えたほうが良い点は、何のために使うかです。単純にWebサイトに掲載されている内容を動画に変えただけでは意味がありません。ユーザーにとって動画のほうが良い理由を見つけ活用します。

下記にいくつか例を挙げます。製品紹介や使い方動画に関しては手法や特徴を伝えることを目的としているため、伝わりやすさが上がります。自動再生で動的なサイトに変化させ会社を印象付けるための活用方法もあります。

製品紹介動画

例:株式会社アドレック https://www.adrec-jp.com/

使い方動画

例:アルビテクノロジー株式会社  https://www.albitech.co.jp/youtube/

TOPページの背景動画として活用

例:有限会社鳴滝工業 http://naru-taki.com/

ページの動的なコンテンツとして利用

例:株式会社xtia https://xtia.co.jp/applications

効果的な尺の長さってどれくらい?

大手マーケティング企業の「HubSpot社」の調査によると、最適な動画の尺について以下のように記載しています。

  • Twitter:45秒
  • Facebook:45秒~1分
  • Instagram:30秒
  • Youtube:2~3分

Webサイトの場合、サービスや商材をより深く理解したいという目的から長尺の動画でも見られる傾向があります。そうは言っても、単純に長いだけの動画では飽きられてしまうため、ユーザーの目的に合わせた有益な情報を用意する必要があります。

動画の挿入方法について

ホームページ制作で動画を追加する方法は2つあります。

  • Youtubeなどの外部プラットフォームからタグを持ってきて貼り付ける
  • <video>タグを用いて直接サーバー内の動画を貼り付ける

Youtubeなどの外部からの閲覧も期待できるため、製品説明や使い方動画はYoutubeからのタグがおすすめです。背景動画や自動再生などはサーバーに直接アップするほうが良いかと思います。その際にはデータ容量などの調整も必要です。

Webサイトでの動画の活用方法について紹介しました。Webサイト作りの参考にしていただければ幸いです。

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検索意図をコンテンツ制作に役立てる方法(サプライヤー企業)

テクノポートの井上です。Webサイトを作る際に「ターゲットユーザーを意識したコンテンツ作りが重要」というお話はよく聞くと思います。ではどうすればターゲットユーザーに合わせたコンテンツが用意できるのでしょうか?今回はGoogleで検索するユーザーの検索意図とコンテンツへの活用方法について紹介します。

検索意図とは?

検索意図とは、Google、Yahooなどの検索エンジンでユーザーがキーワード(検索クエリ)で「検索をした目的」のことです。目的と言っても一言で表せないくらいさまざまですが、ユーザーの考え、欲求、悩みなどの行動心理を含めて検索意図と呼びます。

検索意図の重要性

Webマーケティングにおいて、検索意図がなぜ重要なのでしょうか?Google検索は、ユーザーに対して最適な情報をいち早く探せるようにアルゴリズムが日々進化しています。すごくシンプルな考え方ですが、SEO対策をする上で非常に重要な要素です。

すなわち検索する際の検索意図を読み取ることができれば、必要な情報を的確に提供することができ、検索上位に表示されやすくなります。そのため、キーワード対策のためには、コンテンツボリュームをむやみに増やすのではなく、検索意図に合ったコンテンツを一つずつ用意することが重要です。

検索意図の4つの分類

検索意図は大きく下記の4つの分類に分けられます。

  • 「〇〇を知りたい(KNOW)」
  • 「〇〇に行きたい(GO)」
  • 「〇〇したい(DO)」
  • 「〇〇を買いたい(BUY)」

このユーザーのカテゴリごとの検索意図を満たすコンテンツ作りをすることで、問い合わせにつなげやすくなると言われています。

さて、BtoB製造業の場合はどうでしょう?製造業のキーワードを上記の分類で分けた際に、一部を除き、ほとんどが「〇〇を知りたい(KNOW)」に属すると言えます。例外は一般的な製品を取り扱うメーカーの製品名です。例えばボルトやナットなどです。

そのため、サプライヤー企業の場合は「〇〇を知りたい(KNOW)」に属すると考えてよいでしょう。実際にはより細分化して検索意図を読み取る必要があります。

検索意図の簡単な調べ方

検索意図を理解するために、検索意図の簡単な調べ方について3つ紹介します。

1.サジェストキーワード

サジェストキーワードとは、グーグル検索窓にキーワードを入れたときに表示される「候補キーワード」のことです。基本的には、ユーザーの“検索頻度”や“起点キーワードとの関連度合い”に応じて表示されています。

サジェストキーワード

2.関連キーワード

関連キーワードとは、検索エンジンで検索したキーワードに関連する、もしくは連想されるキーワードのことを指します。Googleでキーワード検索した際に、ページの下部に10個程表示されます。 入力した検索キーワードの同義語や類義語まで含むため、キーワードの検索ニーズを知る際の手がかりとなるでしょう。

関連キーワード

3.上位表示されているサイトから予測

キーワードを検索した際に表示されるサイトを調べることでも検索意図は読み取れます。Googleがユーザーの検索意図に応じて上位に表示させるということは、逆に返せば上位に表示されているサイトは検索意図に応えたサイトだからです。

検索意図をまとめて探せるおすすめツール

検索意図をより詳しく調べるために「ラッコキーワード」というツールを紹介します。

ラッコキーワードは無料で関連キーワードを一括で調べてくれるツールです。サジェスト・関連キーワードだけでなく、共起語を調べたり、「Yahoo!知恵袋・教えて!goo」の投稿されているQ&Aを調べることもできます。ユーザーの検索意図を探したいときには非常に便利です。(BtoCよりのQ&Aの方が多いですが。)

ロストワックス

検索意図をコンテンツ作りにどう活かすか?

キーワードの調査方法までわかったところで、次にコンテンツ作りに反映させる方法を紹介します。今回は「ロストワックス」という加工キーワードで簡易的に調査し、その後の流れを説明します。下記は「ロストワックス」にてキーワードを整理した表です。

検索意図表

ユーザーの整理

キーワード抽出したものに対して、ターゲットとするユーザーが調べるワードかを精査します。今回の場合では、法人の設計開発者をメインターゲットとして見ていきます。 表から推測できる内容として、「指輪」「個人」などは除外してよいキーワードとなります。

ユーザーの意図の整理

ターゲットユーザーの検索意図の整理を行います。ユーザーの検索意図は主に3つあると想定しています。

1.情報収集段階

その加工方法自体がどんなものなのか?特徴や原理を理解し製品に使える加工方法か大枠を理解したい。

2.加工方法の比較

さまざまな加工方法がある中で適切な加工方法かどうかを知りたい。(コストメリット、精度、数量、材質など)

3.外注先の選定

その加工方法ができる会社を探したい。

ユーザーの意図に合わせた適切な答えを用意

ターゲットユーザーの検索意図を整理したら、それに該当する答えが必要となるコンテンツです。意図に合った答えをコンテンツとして用意します。

検索意図からユーザーの欲しい情報を考えコンテンツ化する方法について紹介しました。コンテンツ作りの参考にしていただければ幸いです。

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Webサイトのページ表示速度の高速化を実現(ビフォー・アフター事例付き)

テクノポートの井上です。Webサイト制作を行う中で内容が膨らみ、より凝った動きを加えていった結果、ページ表示速度が遅くなってしまったということはありませんか?今回、弊社のお客様にモニターのご協力をいただき、ページ表示速度の改善を行いました。どれくらいの改善ができたか、どのように行ったかを紹介いたします。

結果からお伝えすると、下記のように大幅なページ表示速度の改善ができました。(もともとが遅すぎたというお話もありますが)
ご協力いただいた企業 荒川技研株式会社(https://a-giken.co.jp/

ページ表示速度ビフォー・アフター

ページ表示速度の重要性

ページ表示速度がなぜ重要か、主に「ユーザー視点」と「検索順位」の2つの理由が挙げられます。

サイトの離脱率に影響

2017年と2018年のGoogleの調査によると、ページ表示速度が1秒から3秒になると直帰率が32%増加、6秒になると106%増加、10秒まで遅くなると123%増加すると報告されています。 また、表示に3秒以上かかるモバイルページからは53%のユーザーが離脱するそうです。

SEO評価に影響

Googleは、2018年にモバイルページの検索順位の評価付け(速度が遅いとマイナスの評価を付ける)として、ページ表示速度を評価項目に取り込むと発表しました。ページ表示速度が遅く、ユーザーがストレスを感じるサイトは順位が下がる可能性があります。

ページ表示速度の確認方法

ページ表示速度について数値で表すことができれば、改善できたかどうかも計測できます。ページ表示速度を調べるにはいくつかありますが、一番メジャーなものはGoogleの「Page Speed Insight」です。

調べたいサイトのURLを入れるだけで、簡単に表示スピードを調べることができます。さらに調査結果に対して、改善点や改善方法をアドバイスしてくれます。

ページ表示速度を決定する3つの要因

では、ページ表示速度はどのように決まっているのでしょうか?ページ表示速度の決定要因を理解することで、改善の糸口が見えてきます。ページ表示速度は主に以下の3つの要因で決まります。

1.ネットワーク処理

通信量や通信回数によって表示スピードに影響を与える処理のことです。

2.レンタリング処理

サーバーから送られてきたデータを画面に表示させる処理のことです。HTMLデータやCSS、JavaScript処理、画像データも含まれます。

3.サーバー処理

プログラムやDB(データベース)からWebページの材料となるデータを生成するサーバー側の処理のことです。改善にはプログラム言語やDBの知識が必要となりますが、 レンタルサーバーの場合は編集不可能な場合がほとんどです。レンタルサーバーを使用する場合は、もともと高速なサーバーを選ぶことが大切になります。

「WP(WordPress)におすすめのレンタルサーバー」などで検索すると、いろいろ紹介されています。ちなみに弊社では、自社でも利用しているエックスサーバーをおすすめしています。他にも「ConoHa WING」がおすすめされているケースが多いようです。

具体的な改善手段

ページ表示速度の決定要因がわかったところで、ではどうすれば改善できるのでしょうか?具体的な改善手段をいくつか紹介します。

プラグインを見直す(不要なプラグインの削除)

基本的にプラグインは少ないほうがよいです。利用していないプラグインは積極的に削除しましょう。

PHPのバージョンを最新にする

簡単にできて、大幅な改善が見込めるPHPのバージョンアップ。サーバーの管理画面から切り替えが可能です。バージョンアップする際には事前にバックアップをとることをおすすめします。

画像の読み込みを遅延させる

画像の読み込みを後回しにすることでページ表示速度を上げます。WordPress5.5以降は設定の必要がなく有効になったようですが、imgタグにwidthとheightの入力が必須です。

画像の容量を適切なサイズにリサイズする

サイズの大きい画像をそのままページに入れてしまうと、表示が遅くなります。必要最低限のサイズにリサイズした上でメディアにアップするようにしましょう。今までアップした画像のサイズをリサイズできるプラグインもあります。

WordPressキャッシュ化プラグインを導入する

代表的なキャッシュ化プラグインとして「WP Super Cache」があります。

記事を開くたびにHTMLファイルを動的に読み込むのではなく、静的なHTMLファイルを自動生成し、それを表示することによりサイトの表示速度を改善できます。

サーバーを見直す

WordPressの表示速度が速いとされるサーバーに切り替える方法です。移行は手間がかかりますが、大きく改善できる可能性があります。国内最速と評判が良いのは「ConoHa WING」のようです。

荒川技研株式会社の改善内容

今回行った修正内容は以下の通りです。

  • 画像圧縮(必要に応じたサイズ変更・圧縮後効果確認含む)
  • 画像遅延読み込み処理(JavaScript不使用 画像サイズ調査含む)
  • 動画遅延読み込み処理(JavaScript不使用 動画サイズ調査含む)
  • 画像、動画preload処理
  • JavaScriptファイルの遅延読み込み処理
  • キャッシュ・ファイル圧縮関連プラグイン最適化
  • ブラウザキャッシュポリシーの最適化

自社で取り組める内容もあれば、エンジニアにお願いしないとできないものもあります。まずは自社でできるものを試し、それでもうまく改善しない場合には制作会社に相談するとよいかと思います。

今回のケースでは、表示速度は大きく改善されましたが、それに伴い直帰率や離脱率の数値改善ができればという狙いがありました。しかし、数値を見る限り大きな変化は見られませんでした。

ECサイトはユーザビリティに関して非常に高いレベルを求められるが、BtoBのサイトの場合、そこまでの水準は求められないのではと考えています。ショッピングではなくビジネスとして、自社の要望にあった技術や加工を提供できる会社なのか、ユーザビリティよりも、コンテンツの中身をよく見ているのではと思います。

もちろんページ表示速度が速いに越したことはないので、あまりにも遅い場合は改善を検討してみてはいかがでしょうか?ページ表示速度の改善手法について紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

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製造業デジタルマーケティングのアンケート調査から見えてきた課題

テクノポートの井上です。先日弊社で製造業のお客様向けに「デジタルマーケティングにおける取り組みに関する実態調査」という名目でアンケート調査を行いました。

今回はデジタルマーケティングにおいて、最も多くの方が課題と感じている「戦略の立案」について、原因の考察と解決の手段についてご紹介いたします。

戦略の立案に課題を抱える企業が多い結果に

製造業デジタルマーケティングアンケート

デジタルマーケティングというテーマから、WebやITスキルについての課題が多いかというと、そういうわけではなく、戦略の立案に関する課題が一番多い結果となりました。理由として考えられることは、戦略の企画立案は、受託加工が主の中小製造業では不得意な領域である場合が多いということです。また、外部に協力要請するにしても一般的なWeb制作会社では製造業に知見のある会社は少なく、その結果、戦略の企画立案段階で業務が滞るようになることが考えられます。

Web制作会社との公開後の打ち合わせでは、「コンテンツボリュームをたくさん増やしましょう、そのためには事例をたくさん増やしましょう」というアドバイスのみで、そこまで多くの事例が載せられない製造業者の場合、それ以上の進展がなく終わってしまっているケースも多いと聞きます。

まず、戦略的な話を外部を交えて行うのか、自社で考えるのかが決まっていないことが原因だと考えられます。Webマーケティングを円滑に遂行するためには、自社に何が不足しているのか、外部に委託する際にはどの範囲をフォローしてほしいかを明確にする必要があります。そのためにすべきことは、Webマーケティングの流れと必要となる知識やスキルを理解し、それに対し自社でできる範囲を知ることです。それができれば、後は誰がどのようにやるかを決めていくだけですので、やることの明確化ができるようになります。

Webマーケティングの主な流れ

ここでは、Webマーケティングのおおまかな流れと、必要となるスキル・知識について紹介します。ただ、Webマーケティングというと領域が広くなるので、今回はわかりやすくするためにWebサイト制作の流れに合わせて説明します。

企画立案

Webサイトに問い合わせを呼び込むための戦略を立てます。どのようなターゲットにどのような価値を提供するかを企画し、その後、戦略を成功させるためにWebサイトにどのような形で落とし込んでいくかを決めます。

サイト制作

上記で決定した内容に沿ってサイト制作を行います。

分析

制作・公開したサイトが戦略のもとでうまく機能しているかどうか、アクセスやキーワード、お問い合わせ状況の分析を行います。

更新、改善

分析した内容をもとにどのように改善すればいいかを考え、次の更新につなげていきます。

Webマーケティングに必要な知識・スキル

Webマーケティングにはどのような知識やスキルが必要になるのかも見ていきましょう。

マーケティング知識と企画力

戦略の立案、改善策の考案をするのに必要となるスキルです。よりよい企画を作るためには、所属する業界の知識も必要となります。

SEO知識・広告知識

どのように見てもらうか・知ってもらうかを考えるための集客に関する知識が必要になります。

コンテンツ作成スキル

ページを作るためのコンテンツを作り出すスキルです。最近では執筆代行にて外部に委託することも増えてきているように、コンテンツの作り方にもノウハウがあります。

Web制作スキル

決められた事項にもとづいて、忠実にWebに反映させるITスキルです。

情報分析スキル

Web解析士という資格があるように、Googleアナリティクスなどのアクセスデータをどのように分析し評価をするかという部分にはスキルが必要になります。アクセスデータは見ることはできるけれど、どのように解釈すればよいかわからないという方は多いです。

企画遂行能力

決められたものを期日通りに進めていく、スケジュール管理を含む企画遂行力が必要となります。

コミュニケーション能力、調整力

Webマーケティングは、ほとんどの場合一人ですべてを遂行することはできないため、社内や外部とのやりとりを円滑に行い、周りを巻き込んでいく必要があります。

実行者を決定し、やってみる

「Webマーケティングの主な流れ」を理解した上で、知識・スキルを保有する者を選定し、実行に移します。一人ですべてを受け持つことは難しいため、以下のような役割分担が必要です。

  • マーケティング、SEO知識、情報分析(マーケティングディレクター)
  • コンテンツ作成(製造技術者)
  • Web制作スキル(Webエンジニア)

外部委託する際の注意点

自社では対応が難しく、外部委託する際には、どこまでを求めるかを明確化することをおすすめします。冒頭にあったように、「戦略の立案がボトルネックとなり停滞するケースが多い」というアンケート結果があります。

マーケティング企画立案からの協力が必要な場合に、コンサルティング会社に依頼するケースが最近では増えてきているようです。ただ、コンサルティング会社に依頼する場合、費用もそれなりにかかります。

  • 一般的なWeb制作会社の運営サポート費(数万円)
  • 一般的なコンサルの月額費用(数十万円)

そのような理由で、手前味噌になってしまいますが、製造業専門で業界の知識を保有し、マーケティングが得意な会社ということで、弊社テクノポートにご依頼いただくケースが非常に増えています。以上、デジタルマーケティングにおける、戦略立案に関する課題の原因と解決手法について紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

製造業のデジタルマーケティング実態調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000055603.html

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問い合わせにつなげるためのSEOキーワードの選び方

テクノポートの井上です。今回は、お問い合わせをより増やすために、SEO対策の際の最適なキーワード選定について紹介いたします。

SEOキーワードの選定の意義

SEO対策の目的は、より多くのユーザーに自社を見て知ってもらい、仕事につながる問い合わせを獲得することです。SEO対策における最適なキーワード選定を行うことで、需要が多く競合が少ないキーワードを狙えたり、アクセスは少ないけれど問い合わせにつながりやすいキーワードを狙ったりできるようになります。

逆にキーワード選定を間違えると、必死にSEO対策をしても問い合わせにつながらないケースもあります。そのため、SEO対策においてキーワード選定は非常に重要です。

最適なキーワードの選定で解決できる可能性のある課題

キーワード選定をしっかり行うことで、現状のさまざまな問題を解決できる可能性があります。ただ、下記に挙げる問題をすべて解決できるわけではなく、キーワード選定ミスは問題の要因の一つと言えます。

SEOキーワード選定

キーワード選定の前に覚えておきたいこと

キーワード選定をする前に必ず覚えていただきたいことがあります。それは「1ページ、1キーワードの原則」です。

SEO対策というと、関連するキーワードをできるだけたくさん盛り込む方が、いろいろなキーワードで見られアクセスを稼げると考えられがちですが、実際にはそうではありません。検索上位に表示されるためには、1ページにつき1つのキーワードを設定するのがSEO対策のセオリーとなっています。理由として、現在のGoogleは、単語のつながりや前後の文脈などからページの内容を理解して評価する傾向が強いためです。

例えばタイトルでは、キーワードがたくさん詰め込まれたものよりも、キーワードを絞り文脈のあるタイトルの方がGoogleに理解され評価が高くなります。そのため、幅広いキーワードでとりあえず検索上位を狙う方法よりも、1ページ1キーワードに絞った方がアクセス数が伸びる結果につながります。そのため、いくつもキーワード対策を行いたいと考えるならば、それに合わせたページをそれぞれ用意する必要があります。

各ページとキーワードの紐付け

各ページとキーワードの紐付け

 

キーワード候補の選出方法

ではまず、キーワード候補を選出していきます。選出の手法は主に、自社・競合・市場分析から抽出します。

自社分析①:事業細分化

事業細分化キーワード抽出

自社分析②:MFTフレームワーク

MFTフレームワーク

キーワードの需要調査

競合分析

競合サイトを分析しキーワードを収集していきます。

  1. 競合と考えられる会社HPを確認
  2. 掲載されている文章から使われているキーワードを抽出
  3. 自社で用意したキーワードと比べ不足分を補う
  4. 自社では使っていない言い回しや表現方法を確認する

市場分析①:キーワードプランナーの活用

「キーワードプランナー」とは、Webサイト作成や広告に役立つキーワードを見つけたり、キーワードごとの月間検索数を確認したりできるツールです。検索ボリュームの多い、関連するキーワードをまとめて調べることができます。

市場分析②:サジェストキーワードの活用

「サジェストキーワード」とは、検索エンジンがユーザーに対して提案するキーワードのことです。検索窓で文字を入力した際に、予測として自動で出てきます。おすすめのツールとして、「ラッコキーワード」があります。無料で利用できるキーワードリサーチツールで、関連キーワードの収集に便利です。

キーワードの需要・競合調査

次に抽出したキーワードのWeb上での需要競合調査を行います。抽出したキーワードは分類分けを行い、エクセルなどにまとめておくと整理がしやすくなります。

キーワードの需要調査

主要キーワードの選定基準

次に抽出したキーワード候補から主要キーワードを選定していきます。主要キーワードの選定の基本は「需要が多く、競合が少ないキーワードを探すこと」です。キーワードの需要は多いほど良いですが、多すぎると競合も増えるため、ほどほどを狙うのが良いと考えられます。

キーワード選定の際のおおよそ目安

  • 検索需要:100~1,000程度
    (1,000を超える検索需要は競合も多いケースがほとんど)
  • 競合サイト数:10,000,000未満

他にも選定する際に見た方が良い基準を3つ紹介します。

①想定するユーザーが探す可能性のあるキーワードか?

検索ボリュームがあっても、ターゲットとするユーザーが利用しないキーワードでは意味がありません。ユーザー像をしっかり想定し、ユーザーの立場で考える必要があります。

②自社の事業との関連性は高いか?

検索のボリュームがあったとしても、自社の事業と関連性が低いと問い合わせにつながりません。検索するユーザーの意図と自社の事業との関連性を確認しましょう。

例:切削加工業者
キーワード 半導体装置 ↔ 半導体装置部品 ↔ 半導体装置部品加工

③サイト検索での競合コンテンツボリュームの確認

検索した際に表示される競合サイトのコンテンツボリュームも確認が必要です。(特にECサイトが多く出てくるキーワードは、ECサイトのボリュームに太刀打ちできるコンテンツボリュームを確保することはできないため、注意が必要)

キーワード選定のコツ:さまざまな角度でキーワードを分析する

キーワード一つを選ぶ際には、さまざまな角度で分析します。

  • ①同義・類義関係:意味が似ている言葉や同じ言葉
    機械加工=切削加工
  • ②包含関係(上位・下位・部位語)
    金属加工>切削加工>旋盤加工
  • ③共起関係:複合ワードなど
    「切削加工 精密」「切削加工 東京」

キーワード選定のコツ:ロングテールSEO

主要キーワード以外に細かな需要のあるキーワードを集めることも重要です。

  • ビッグキーワード:検索需要が多いキーワード
  • ロングテールキーワード:複合キーワードなどの検索需要の少ないキーワード

ロングテールSEO2ロングテールSEO1

ロングテールとビックキーワードの比較

比較してみると、「ロングテールキーワード」はアクセスは少なくとも、具体的なキーワードの方が問い合わせにつながる確率は高いです。そのため、細かなキーワードからの流入も同時並行で集められるように、意識してキーワード対策をすることをがおすすめします。

以上、問い合わせにつなげるためのSEOキーワードの選び方について紹介しました。参考にしていただ頂けたら幸いです。

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サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(表面処理編)

テクノポートの井上です。製造業と一口に言っても、業態によってWebマーケティング手法は大きく異なります。今回は表面処理業者のWebマーケティングについて紹介します。

Webマーケティングの基本的な考え方

サプライヤー企業にとってのWebマーケティングとは「Webを活用し、新規の引き合いを継続的に獲得する仕組みを作ること」です。

戦略立案でブレない軸を作る

Webマーケティングを企画するにあたり、言うまでもなく非常に重要なのは戦略です。戦略を立てることによって、ターゲットとする顧客に対して何を訴求すればよいか、そのために必要な要素を決めることができます。

例えば、Webサイトの制作途中で社内の意見が割れたときでも、戦略に立ち戻ることで目的を共有でき、ブレない軸で制作を遂行できます。

  • ターゲット
  • ターゲットのニーズ
  • 提供技術
  • 提供価値
  • 競合優位性
  • 想定検索キーワード(戦術)

戦略立案のための3C分析について

戦略を立てるためには、Webの要素も取り入れた3C分析を行います。市場(顧客)、競合、自社を分析することで、ターゲットとする市場、顧客の設定、自社の強みや競合に勝ち得る優位性を見出します。

表面処理業者のWebマーケティング例

具体的な表面処理業者の例を挙げ、Webマーケティング企画の流れを紹介します。

会社名:テクノポートめっき(仮想の会社です)
従業員数:30名
業種:電気めっき及び無電解めっき

めっきマーケティング

主な流れ

ユーザーの想定 ①金属加工業者

ユーザーのニーズ

  • 自社で加工した製品の表面処理をお願いしたい
  • できれば近場でお願いしたい
  • 短納期対応や、場合によっては持込みによる当日対応をしてほしい
  • 依頼先の稼働状況などで納期が変わるため、できれば依頼先を複数社確保したい
  • 新しい表面処理技術というよりも一般的な表面処理を求めている

新規依頼の背景

  • 表面処理をお願いする会社は決まっている
  • 表面処理業者の稼働状況や品質コストによって対応可能な会社を数社使い分けている
  • 新規依頼に関するハードルは低め
  • 図面があり表面処理の仕様は決まっているため、決まった会社でなければいけないということは少ない(製品の仕上がりや対応に多少の差はある)

結論

近場で対応力のある会社を探しているケースが非常に多い。

ユーザーの想定 ②メーカー

ユーザーのニーズ

  • 現状の表面処理手法の代替、もしくは新規で新しい表面処理方法を探している
  • 良いものであれば積極的に試作テストしたい
  • 地域は問わない

背景

  • 機能性、短納期化、低コスト化、高品質化などの観点で常に新しい手法を模索
  • 表面処理にとらわれず、幅広い視点で要望を満たす手法を探している
  • 機能面に関する技術的なアドバイスが欲しい

結論

少しでも良くなるものであれば積極的に技術を取り入れたい。

進むべき方向性の模索

上記の2つのユーザーを想定した際に、自社がどちらに向けてPRをしたいか、自社に合っているかを考え、それに対しての施作を立てます。どちらもということであれば、それぞれコンテンツページを分けるのが得策です。

1.地域を絞り、利便性を訴求

ターゲット:金属加工業者(切削加工・板金加工業者など)
ニーズ:近場の利便性
提供価値:特急対応、当日対応も可能な利便性
提供技術:主に一般的なめっき各種
競合優位性:地域
想定検索キーワード:各種めっきワード+地域(県など)

2.試作・研究開発にターゲットを絞り、機能性や用途を訴求

ターゲット:研究開発部門
ニーズ:機能性の課題解決
提供価値:機能性めっき技術の提供/めっきに関する専門知識/機能性に関する専門知識
提供技術:機能性めっき
競合優位性:機能性性めっきの独自性
想定検索キーワード:「機能性+めっき」「材質+めっき」「製品+めっき」など

自社の事業の細分化

表面処理業者の事業はとても多くの細分化の切り口があります。

表面処理マーケティング

Web上での市場調査、競合分析

前段階で出てきた「強み」関連するキーワードで、キーワードプランナー、Google検索を利用し、競合、需要調査を行います。

具体的な利用方法については下記ブログにて紹介していますので、あわせて読んでみてください。

モノカク記事「サプライヤー企業のWebマーケティングにおける顧客ターゲットの絞り方」

Webサイト戦略の策定

ここでは例として研究開発者をターゲットとした際の施策を3つ紹介します。

①めっき業界での認知度の向上(ブランディング)

主要めっきキーワードで対策を行い業界内での認知度を向上、ニーズが顕在化しているユーザーへアプローチ
(亜鉛メッキ、クロームメッキ、金メッキ、アルマイトなど)

②得意×需要のある領域での集客

数多く存在する特徴すべてをPRするのは難しいため、優先度を決め、優先度の高いもので訴求力を高める
選定基準:優位性が出せそうな領域、他社があまり行っていない領域、成長しそうな市場など

③めっきという手段決定前の段階のユーザーへ訴求

潜在的な顧客となり得る「めっき」という手段を選定する前のユーザーへアプローチ
(例)防錆したいユーザーへの訴求
めっきは手法の一つで、ユーザーはさまざまな手法から決定している。自社の領域だけでなく、他の業界も含めたフラットな情報提供を行うことで、防錆に関する知見がある会社という印象づけを行う。

  • 防錆をする際にめっき以外の表面処理手法にどんなものがあるのか?
    (塗装、有機ライニング、めっき、溶射、スパッタ・真空蒸着、化成処理 など)
  • そもそも防錆にはどのような手段があるのか?
    (被覆防食・耐食材料・環境制御 など)

まとめ

表面処理業者の場合、ユーザー分析からターゲットを絞り、戦略を立てる流れがおすすめです。

  • 地域特化戦略
  • 機能性特化戦略

機能性をウリにする場合の主な施策

1.網羅的なめっき技術
2.個別用途での技術
3.機能性でくくった幅広い情報提供

以上、サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(表面処理業者編)について紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(板金加工編)

テクノポートの井上です。製造業と一口に言っても、業態によってWebマーケティング手法は大きく異なります。今回は板金加工業者のWebマーケティングについて紹介します。

Webマーケティングの基本的な考え方

サプライヤー企業にとってのWebマーケティングとは「Webを活用し、新規の引き合いを継続的に獲得する仕組みを作ること」です。

ブレない軸を作る戦略の重要性

Webマーケティングを企画するにあたり、言うまでもなく非常に重要なのは戦略です。戦略を立てることによって、ターゲットとする顧客に対して何を訴求すればよいか、そのために必要な要素を決めることができます。

例えば、Webサイトの制作途中で社内の意見が割れたときでも、戦略に立ち戻ることで目的を共有でき、ブレない軸で制作を遂行できます。

  • ターゲット
  • ターゲットのニーズ
  • 提供技術
  • 提供価値
  • 競合優位性
  • 想定検索キーワード(戦術)

戦略立案のための3C分析について

戦略を立てるためには、Webの要素も取り入れた3C分析を行います。市場(顧客)、競合、自社を分析することで、ターゲットとする市場、顧客の設定、自社の強みや競合に勝ち得る優位性を見出します。

板金加工業者のWebマーケティング例

具体的な板金加工業者の例を挙げ、Webマーケティング企画の流れを紹介します。

会社名:テクノポート製作所(仮想の会社です)
従業員数:10名
業種:精密板金加工、薄~中厚板がメインの小・中量生産

板金加工

市場や商流の理解:板金加工業界

市場や商流をある程度理解した上で、どのように分析を始めていくかを決めます。

  • 小・中ロットの生産がメイン
    量産の場合は金型によるプレス加工となるため、精密板金は試作〜中量生産がメイン
  • 市場が広い:
    弱電、自動車、医療、建築、半導体、食品機械、産業機械など、幅広い業種で利用されている
  • 競合が多い:
    板金業界というくくりでは数多くの競合が存在する
  • 主な材質:
    鉄・ステンレス・アルミニウム・銅・真鍮などが主流
    切削と比べると加工する材質はそれほど多くない
  • 市場により要求内容が異なる
    外観部品:傷のない製品
    製作金物:図面なしからの製作
    箱物製品:気密性  など
  • 差別化しづらい
    「自社でなければできない」という加工技術を持っている会社は稀少
    他社でもできる可能性があるものがほとんどで、非常に差別化しづらい業界
  • 業界にこだわりは少ない
    この業界の仕事しか受けないというこだわりは少ない
    自社の設備や技術でできるものであれば対応するという会社が多い

【結論】さまざまな市場がありターゲットを絞ることが難しいため、まずは自社を分析し、得意分野を模索した上で市場・顧客分析をする流れの方が、戦略を決めやすいと考えられます。

戦略策定までの主な流れは下記の通りです。

自社の事業内容を細分化する

整理した内容をもとに市場や競合と照らし合わすことで、初めて自社の強みが見えてきます。まずは「うちの会社ってこんな会社だよね」という現状を理解することが最初のステップです。

ポイントとしては、いきなり自社の強みが何かを考えないことです。「強み」というものは、「誰に対して」や「誰と比べて」などの視点も含めて初めて見えてくるものであるため、この段階では考える必要はありません。

細分化の項目の一例を下記に掲載します。

板金細分化1

板金細分化2

自社の特徴(得意・特異)を見つける

自社の事業を細分化したら、次は特徴をピックアップします。ここでは2つの視点で自社を分析します。

1.得意

自社でよく作っている製品や、加工などです。自社で得意な仕事(ノウハウがあり上手な仕事)は何かという視点です。

2.特異

他社と比べた際に、他であまり行っていない仕事はないか?という視点です。

特異は社内で議論しても比較するための競合他社の情報が少なく、他社との違いを見出だすことはなかなか難しいです。お客様や他業界などの第3者の視点から意見を参考にするほうが、多くの気付きを得ることができおすすめです。

自社の特徴を整理

では細分化した項目から特徴を整理していきます。

特徴整理
  • 加工設備、技術での差別化は難しい
  • 対応サイズに特徴があったとしても、それが利用(重宝)されるシーンが想定しづらい
  • 材質による特徴は出しづらい
  • 加工製品には得意、不得意があるため、特徴になりそう
  • 少量での試作から対応可能で、図面なし対応も可能であれば、あまり板金に詳しくないユーザーからのニーズにも応えられそう

特徴となるものをピックアップし、強みになるのでは?という仮定で次のステップへ進みます。

Web上での市場調査、競合分析

前段階で出てきた「強み」関連するキーワードで、キーワードプランナー、Google検索を利用し、競合、需要調査を行います。

具体的な利用方法については下記ブログにて紹介していますので、あわせて読んでみてください。

モノカク記事「サプライヤー企業のWebマーケティングにおける顧客ターゲットの絞り方」

戦略の策定

市場調査、競合分析により、ある程度勝負できそうだという推測ができた段階で、冒頭に挙げた項目の設定を行います。

  • ターゲット  
    イベント・建築デザイン事務所
  • ターゲットのニーズ
    完成品での金物の製作
    手書きのポンチ図からの製作に対応できる会社を探している
  • 提供技術
    板金加工・表面処理・組み立て
  • 提供価値
    図面なしからの製作対応
    設計段階〜組み立てまでの完成品の納品
  • 競合優位性
    図面なしからの製作は手間がかかるため、対応できる会社が少ない
    また、そのような依頼を断っている板金加工業者もある
  • 想定検索キーワード(戦術)
    製作金物・モニュメント製作・什器 製作・イベント什器

戦略を決定したら、具体的な実行の方法を立てます。Webサイト制作であれば、戦略をもとに、サイトマップ構築、キーワード対策(どのページで対策を行うか)、掲載コンテンツ検討(どのようなコンテンツを掲載するか)などを決定していきます。

以上、サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(板金加工編)について紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(切削加工編)

テクノポートの井上です。製造業といっても業態によってWebマーケティング手法は大きく異なります。今回は切削加工業者のWebマーケティングについて紹介します。

Webマーケティングの基本的な考え方

サプライヤー企業にとってのWebマーケティングとは「Webを活用し、新規の引き合いを継続的に獲得する仕組みを作ること」です。

ブレない軸を作る戦略の重要性

Webマーケティングを企画するにあたり、言うまでもなく戦略が非常に重要です。戦略を立てることによってターゲットとする顧客に対して何を訴求すればよいか、そのために必要な要素を決めることができます。

例えば、Webサイトの制作途中で社内の意見が割れた時でも、戦略に立ち戻ることで目的を共有することができ、ブレない軸で制作を遂行できます。戦略の主な設定項目は下記の通りです。

  • ターゲット
  • ターゲットのニーズ
  • 提供技術
  • 提供価値
  • 競合優位性
  • 想定検索キーワード(戦術)

戦略立案のための3C分析について

戦略を立てるためにはWebの要素も取り入れた3C分析を行います。市場(顧客)、競合、自社を分析することで、ターゲットする市場、顧客の設定、自社の強みや競合に勝ちうる優位性を見出します。

切削加工業者のWebマーケティング例

具体的な切削加工業者の例を挙げ、Webマーケティング企画の流れを紹介します。

会社名:テクノポート製作所(仮想の会社です)
従業員数:10名
業種:切削加工
精密部品加工の小〜中ロット対応

市場や商流の理解:切削加工業界

市場や商流をある程度理解した上で、どのように分析を始めていくかを決めます。

  • 競合が多い:部品加工業界というくくりでは数多くの競合が存在する
  • 市場が広い:切削加工部品は幅広い業界の製品や機械部品として利用されている
  • 差別化しづらい:自社でなければできないという加工技術を持っている会社は稀で、他社でもできる可能性があるものがほとんど
  • 業界にこだわりは少ない:この業界の仕事しかうけないというこだわりはなく、自社の設備や技術でできるものであれば対応するという会社が多い

【結論】さまざまな市場がありターゲットを絞ることは困難です。まずは自社を分析し、得意分野を模索した上で市場・顧客分析をする流れのほうが戦略を決めやすいと言えます。

戦略策定までの主な流れは下記の通りです。

自社の事業内容を細分化する

自社が持っている経営資源の整理を行います。整理した内容をもとに市場や競合と照らし合わせることで、初めて自社の強みが見えてきます。まずは「うちの会社ってこんな会社だよね」という現状を理解することが最初のステップです。

ポイントとしては、いきなり自社の強みが何かを考えないことです。「強み」というものは、「誰に対して」や「だれと比べて」などの視点も含めて初めて「強み」というフレーズが使われるため、この段階では考える必要はありません。

細分化の項目の一例を下記に掲載します。

自社の特徴(得意・特異)を見つける

自社の事業を細分化したら、次は特徴をピックアップします。ここでは2つの視点で自社を分析します。

1.得意

自社でよく作っている製品や、加工などです。自社で得意な仕事(ノウハウがあり上手な仕事)は何かという視点です。

2.特異

他社と比べた際に、他であまり行っていない仕事はないか?という視点です。

特異は社内で議論しても比較するための競合他社の情報が少なく、他社との違いを見出だすことはなかなか難しいです。お客様や他業界などの第3者の視点から意見を参考にするほうが、多くの気付きを得ることができおすすめです。

自社の特徴を整理

では細分化した項目から特徴を整理していきます。

  • 切削と溶接をどちらも行っている会社は少ない(特異)
  • 鋳物の追加工に対応している会社は少ない(機械が傷んだり、寸法がまばらなものの加工がしづらいなどの理由)(特異)
  • フランジやバルブなどの油圧部品はよくやっている(得意)

特徴となるものをピックアップし、強みになるのでは?という仮定で次のステップへ進みます。

Web上での市場調査、競合分析

前段階で出てきた「強み」関連するキーワードで、キーワードプランナー、Google検索を利用し、競合、需要調査を行います。

具体的な利用方法については下記ブログにて紹介していますので、あわせて読んでみてください。

モノカク記事「サプライヤー企業のWebマーケティングにおける顧客ターゲットの絞り方」

戦略の策定

市場調査、競合分析により、ある程度勝負できそうだという推測ができた段階で、冒頭に挙げた項目の設定を行います。

・ターゲット
油圧製品を主としたメーカー

・ターゲットのニーズ
鋳物の切削に対応できる会社が見当たらない
切削と溶接の複合製品の加工に対応できる会社が見当たらない

・提供技術
鋳物切削加工・溶接を含む複合機械加工

・提供価値
鋳物切削加工技術・複合加工技術

・競合優位性
鋳物、複合加工どちらも、対応可能会社が少ない
鋳物切削のノウハウ、溶接とのすり合わせ技術

・想定検索キーワード(戦術)
鋳物切削・バルブ加工・フランジ加工・フランジ溶接

戦略を決定したら、具体的な実行の方法を立てます。Webサイト制作であれば、戦略をもとに、サイトマップ構築、キーワード対策(どのページで対策を行うか)掲載コンテンツ検討(どのようなコンテンツを掲載するか)などを決定していきます。

以上、サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(切削加工編)について紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

メーカーが新規取引先を探す理由とサプライヤー側の取るべき対応

テクノポートの井上です。Webマーケティングの仕事をしていると、「お問い合わせは増えたけれど、受注になかなか繋がらない」とご相談をいただくことがあります。的はずれな問い合わせであったり、内容は良いけれど受注に至らないなど、受注に繋がらない理由はさまざまです。

今回は、メーカー側の新規発注を探す理由から、サプライヤー側の取るべき対応について紹介いたします。

紹介する内容は、先日オンラインセミナーにてご登壇いただいた、ものづくり商社COSMO ALPHA株式会社の野崎社長のお話をもとにしています。

新規発注先を探す理由

当たり前のことですが、メーカー側の通常の発注形態は決まっており、決まった会社に依頼しています。そのため、こちらからアプローチをかけても「頼んでいるところがあるから、そこよりもコストが安くて品質も良いなら考えるよ」程度で、なかなか検討の土俵にのることはありません。

発注先の切り替えには労力がかかり、そこにはトラブルがつきものです。そのため、何かしらの理由がなければ新規サプライヤーを探すことはありません。ではどのような理由で新規の発注先を探すのか、考えられる理由をいくつか紹介します。

  • コスト削減
  • 高技術・異分野の技術
  • 高品質・安定品質
  • 安定供給
  • 複数購買によるリスク低減
  • 中長期的な継続取引
  • トラブル対応

1、コスト削減

新規で発注先を探す理由として、まず思いつくのはこれではないでしょうか?購買・調達部ではコスト削減目標を掲げています。課員の査定項目のひとつに「コスト削減目標の達成率」も含まれている会社もあるため、既存の発注先に削減を求めるだけでなく、今より安い発注先を常に探しています。

2、高技術・異分野の技術

既存の発注先では対応できない場合に、新規で対応できる発注先を探します。技術的に難しい場合や、新製品開発で今まで利用したことのない材質や加工方法が必要になった場合などが考えられます。

3、高品質・安定品質

高い品質を求められる製品において、既存の発注先でその基準がクリアできない場合も、新たに発注先を探す理由になります。また、従来の製品において何か品質に問題があった際に、その問題が頻繁に起こるような場合も新規で発注先を探すことを検討します。

4、安定供給

納期遅れが頻発する場合に、他社への切り替えを検討します。また、今後の増産に備え既存の発注先だけでは難しい場合も新規発注先を探すことがあります。

5、複数購買によるリスク低減

2社購買にすることで、非常時のリスクを低減させます。2社購買は適正価格による仕入れ目的の印象が強いですが、実際に日本の東と西に購買地域を分けているメーカーもあります。

6、中長期的な継続取引

後継者不足の問題から今まで頼めていた仕事が急に頼めなくなるケースです。長く付き合える発注先を探すことが今後は増えてくると思います。新規の発注先選定の基準として長期安定性という視点が出てきています。

7、トラブル対応

「対応が良くない」「対応が遅い」などの理由で新規の発注先を探すケースをよく聞きます。特にトラブル時の対応によって関係性は大きく変わり、それにより新規を検討することがあるようです。

サプライヤー側が取るべき対応は?

メーカー側の心理がわかったところで、実際にそのような会社から新規で問い合わせがあった場合にどうすればよいか、具体的な手法について紹介します。

依頼の背景を知る

新規取引対応

上記のように、技術的に難しい、納期がない、価格が厳しい、既存の会社がキャパオーバーなど、お客様からの新規依頼にはさまざまな理由が考えられます。その背景をしっかり理解した上で検討・見積もりをしなければ、お客様の要望に合った提案はできません。「既存の取引先には頼めないのでしょうか?」という質問から、なぜ頼めないのかをヒアリングしていきます。

求められるのはスピードではなく対応力

新規問い合わせに求められるのはスピード対応とも言われることがありますが、「見積もりをいかに早く提出するか」を目標にしてしまうと、そこには思わぬ落とし穴があります。

例えば、下記の2つのようなケースを見ると、実は見積もりを早く行うよりも、初期対応をしっかり行う方が受注率が高く、信頼関係を築きやすい傾向があるのです。

相手の求めている情報を必要な場面で的確に提供することこそが「対応力」です。問い合わせをする側の求めるものを読み取り、それに合わせた的確な情報提供をすることで安心を与え、良好な関係を構築していきます。

後追いも大切

お客様にはいつごろ結果を聞かせていただけるかを伺い、期日に結果確認の連絡をします。見積もりを提出するだけして、後追いしていない会社も多いようですが、しっかり返事をもらうことで、情報収集ができます。また、次に繋がる可能性もあるため、後追いは非常に重要です。

お客様の求める要望を満たすことができたかどうか、場合によっては自社ではない方が良い可能性もあります。お客様の課題解決を第一とするならば、自社内の加工技術で解決しようとせず、協力会社も含めた幅広い提案をすることも必要です。他社を紹介し、直接やりとりしていただいた方が良い場合もあります。その一つの案件で終わりということではなく、今後また案件が発生した際に記憶に残れば良いのです。「あの会社なら最善な提案をしてくれるから、相談してみよう」となれば、継続的な関係の構築に繋がるでしょう。

以上、メーカーが新規取引先を探す理由とサプライヤー側の取るべき対応について紹介しました。新規取引の際の参考にしていただければ幸いです。

自社分析のための事業細分化方法(サプライヤー企業向け)

テクノポートの井上です。コロナ禍の影響により、製造業界の営業手法として、Webサイトの活用に注力する企業が非常に増えてきました。しかし、サプライヤー企業の中には、今まで営業に力を入れておらず、いざWebマーケティングに取り組もうとしても自社の強みや打ち出し方がわからないというお話しもよく聞きます。

今回は、自社の特徴を理解し、対策キーワードの選定にも役立つ事業内容の細分化方法について切削加工業者を例に紹介します。

自社の事業内容を細分化する

自社分析を行うためには、いきなり強みや弱みがどこなのかを探すのではなく、自社が持っている経営資源の整理が必要です。整理した内容をもとに、市場や競合と照らし合わせて初めて自社の強みが見えてきます。

まずは「うちの会社ってこんな会社だよね」という現状を理解することが最初のステップです。そのために事業を細分化していきます。下記で考察すべき項目を紹介します。

自社分析 加工業者

加工方法

フライス・旋盤・ワイヤーカット・研削など自社で対応している加工方法を記載します。具体的に、5軸加工機、複合旋盤などをより詳細な情報を記載したほうがよいです。

対応サイズ

マシニングの最大テーブルサイズや高さ、旋盤の最大径・長さなどを挙げます。径によって長さも変わるため、いくつか例をあげるとよいです。

微細加工が得意な会社もありますので、最小径、微細穴寸法などもここに含まれます。例えば、微細穴は細さと深さの比率が重要なので、アスペクト比がどれぐらいかもわかるとよいでしょう。

加工材質

加工材質はとても重要です。探し手が「材質名+加工」というキーワードでよく検索されています。

そのため、対応できる材質を列挙し、特殊な材質での実績がないかも確認するとよいでしょう。普段削っている材質が他社ではあまり取り扱っていないということも稀にあります。

加工製品

完成品を作っているわけではないので、部材名を挙げていきます。例えば、シャフト、フランジ、チャンバー、マニホールドブロックなどの切削で作っているであろうものです。

何に使われているかわからなくても、図面などを見れば部品名は確認できます。自社がどのような製品をよく作っているのかも記載するとよいでしょう。

業界

どのような業界に携わっているかを掲載します。携わっている業界によっても、作る加工製品の傾向や会社の特徴があります。

生産体制

小ロットや試作が得意なのか、それとも量産なのか、量産ならば定義がどれぐらいなのかも記載します。コストメリットが出しやすいボリュームがどれぐらいなのかも具体的にわかるのが望ましいです。

他にも、一貫体制などの切削+表面処理+組み立て等のユニット対応や、切削+溶接などの複合提供などの可否を記載します。

Q・C・D

意外と比較しづらく、PRがしにくいのがQ・C・Dです。高品質・低コスト・短納期対応を掲げている会社は非常に多く、言葉が当たり前になってしまっています。

数値で表すことも難しく、キーワードの選定候補として使いづらいです。ただ、特徴を考えることは大事なので、「高品質」「低コスト」「短納期」の3つで優先順位をつけてもよいでしょう。

地域

取引商圏としてどこを見ているかを記載します。例えば、重量物の場合、近場での取引がメインとなるため、地域を絞ることがあります。

細分化した表をもとに特徴を見出す

事業細分化

以上のような項目で表を作成したら、この表は、自社にどのような特徴があるのかを見つけていきます。

特徴を見出すということは、事業内容を他と比較して違いを見つけることです。そのためには、ユーザーからの視点で意見をもらうことがおすすめです。社内で議論しても比較するための競合他社の情報が少なく、他社との違いを見出だすことはなかなか難しいでしょう。その細かな違いの組み合わせがどのような市場に対して強みとなるか、第3者に意見をもらいながら、PRする方向性を模索する必要があります。

表を見せることによって、「A社さんはこういう加工得意だよね」「この設備持ってる所少ないから助かってるよ」など意見がもらえたり、中には「A社さんこの加工やってたんだ」と気付いてもらえることもあります。

また、弊社のようなものづくり専門でWebマーケティングを行っている会社も、何千社と製造業者を見てきたため、違いを見つけ出すことが得意です。

Web上での市場調査、競合分析

ある程度自社の特徴がわかってきたら、次はWeb上でのキーワード調査から市場分析、競合分析を行い、戦略を組み立て、対策キーワードの選定を行います。

その方法についてこちらで詳しく説明しています。

「製造業WebサイトのSEO 〜対策キーワード選定3つのポイント〜」

サプライヤー企業がWebマーケティングで最初にするべき取り組みについて紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

受注率向上のために、Webサイトだけでなく営業体制を変革【富士産業】

テクノポートの井上です。Webサイトからの問い合わせは増えたが、受注にはなかなかつながらないことはありませんか?「自社のサービスや商品にマッチしているか」「得意とする仕事か」など、Web上での改善で受注率を上げることができます。

しかし、それだけでは解決できない問題もあり、営業体制自体を見直すケースもあるでしょう。今回は、自社で営業体制の変革を行い、Webサイトの問い合わせから受注につなげることに成功した事例を紹介します。

  • 会社名:株式会社富士産業
  • 担当者名:杉本常務
  • 事業内容:各種非鉄金属材料および加工品の販売
  • サイトURL:https://www.fujisanngyo.co.jp/

営業変革

富士産業 杉本常務

Webサイトでの取り組みを開始

富士産業Webサイト

鋼材販売を行っている富士産業。営業担当の杉本常務は、現状の事業だけでは売上が減少の一途を辿ってしまうことを懸念し、金属加工業に進出することを決めました。

しかし、鋼材を購入する顧客と事業領域がバッティングしてしまうため、他の市場を狙えないかと杉本常務は考えます。その中で目を付けたのが、一般消費者や、建築・設計事務所、デザイナーからの仕事です。

Webサイトの運営やSNSの活用など、積極的にWebマーケティングに取り組むことで、ターゲット顧客を開拓していきました。

Webサイトのリニューアルで直面した問題

Webサイトのリニューアルを行い、狙ったユーザーからの問い合わせは急増しました。しかし、従来のように図面が届いて見積もり、すぐに受注という流れにはなりませんでした。

つまり、問い合わせは増えたものの、必ずしも受注につながるわけではななかったのです。Webサイトの理リニューアルで直面した問題は主に2つ考えられます。

顧客が求める内容の多様化

製造業に精通していない人がターゲットということもあり、依頼される内容は多種多様でした。

「図面がないので写真やポンチ絵から作って欲しい」「金属と皮革を組み合わせた商品を作りたい」など、自社の加工範囲外の依頼や、形や仕様が決まっていない内容の問い合わせが増加。従来のように、決まったものを決まった通りに作るという仕事とはまったく異なりました。

訪問打ち合わせの時間的限界

案件数が急激に増えたため、都度先方にお伺いし打ち合わせをするというスタイルでは時間的に限界がありました。また、仕事にならないような案件もあり、その都度の打ち合わせ対応にはかなりの労力がかかりました。

営業の変革「3つの施策」

Webサイトからの問い合わせを受注につなげるために、営業体制自体も変革せねばと考え、下記3つの施策を立てて行動に移します。

  • 協力会社の開拓
  • イメージ図のスケッチ強化
  • 訪問ではなく来社するスタイルに変更

営業体制で変革した内容を下記で詳しく解説します。

協力会社の開拓

協力工場

ユーザーが求めるものは部品ではなく、完成品が多い傾向にありました。そのため、自社の加工技術だけにこだわらず、異業種を中心とした協力工場ネットワークを構築し、つなぎ合わせのまとめ役になる必要があると考えました。

Webサイトを持っていなくても仕事が来ているような良い技術を持つ会社は、ネットだけでは探せません。工場を探す際は、タウンページと地図を広げ、近くの工場をリストアップし、足を使って探しました。より連携が取りやすいよう、近場の工場に絞りました。

地道な活動により、ガラス、皮革、樹脂など幅広い業種の協力工場を70社ほど開拓するのに成功します。複合素材の製作案件は、同業他社では断ることがほとんどです。今回の体制変革にて、富士産業ではすべて取りまとめての提供が可能となり大きな強みとなりました。

スケッチ力の強化

スケッチ力

案件の中には、作りたい製品が定まっていないケースが多くありました。そのため、イメージ図を作り、お客様が求めるものがどのようなものかを固める必要があると考えました。

求めるものをヒアリングした上で、すばやくスケッチすることを心がけました。「お客様の作りたいものはこういうものですね」と言うようなイメージです。スケッチをお客様と共有することで、作りたいもののイメージが伝わっているという安心感にもつながります。

「少し高かったけど富士産業なら間違いなさそうだからお願いしたいと思った」というように信頼から受注に至ることも増えました。不慣れなスケッチも、改善と数を重ねることで上達しました。

来社での打ち合わせへの切り替え

工場見学

体制変更前までは、企業や工場に訪問して打ち合わせをするのがほとんどでした。体制変更に伴い、打ち合わせを希望する方は来社して頂くように切り替えました。工場を見たいという方も多いので、見学して頂くことが安心感にもつながっています。

実際に欲しい製品に近いサンプルを用意し、手にとって見て頂くことで、より具体的な提案や企画も可能です。さらに、来社のきっかけになる施策として、Webサイトでマンガ紹介を導入しました。サービスや商品紹介を活字で読むのは面倒だが、マンガならとっつきやすいようで、弊社を知って頂くのに役立っています。

Webマーケティングをより効果的なものに

売上向上のためにはWebマーケティングだけでは解決できない問題があります。上記で紹介した株式会社富士産業様のように、営業体制を変えることも受注率を上げる施策として効果的でしょう。マーケティング活動としてWebだけでなく、広い視点で改善を進めることも重要です。

弊社では、実際の営業活動や、営業方針などもの状況もヒアリングさせて頂きながら、お客様とともにWebマーケティングの支援・推進をさせて頂いています。

Webサイト制作ーTOPページの役割と構成について

テクノポートの井上です。最近はページ数が多いWebサイトも増えています。制作していくうちに全体の構成が崩れ、まとまりの無いサイトになってしまったというお話も聞きます。それぞれのページの役割をしっかり認識した上で企画構成することが大切です。今回はTOPページの役割と構成について紹介します。

TOPページ3つの役割

TOPページはWebサイト全体の「表紙」であり「目次」のような役割を果たしています。その役割を分解すると下記の3つの役割が挙げられます。

1.何をしている会社かひと目で伝わるようにする

一般的にはTOPページ上部のキャッチ画像部分が該当し、表紙の役割となります。お客様が訪れた際に最初に目に飛び込んでくる画面のため非常に重要な要素です。

マーケティングを目的としたWebサイトの場合、企業のブランドイメージ訴求よりも、製品や技術の訴求がメインです。そのため、訪れるユーザーに伝えるべきものは以下の内容になります。

  • 「何の会社か?」
  • 「どのような特徴があるか?」
  • 「どのようなメリットを顧客に提供できるか?」
  • 「どのようなベネフィットを顧客にもたらすか?」

BtoCの場合にはベネフィットの訴求が良いと言われますが、BtoBの製造業の場合、ベネフィットの訴求というのは抽象的になりがちなので、メリットを訴求することが良いと思います。

表現、記述の仕方は抽象的なものよりも、より具体性なものが好まれます。例えば「交差何μmの精度を実現」「5面加工機にて5m×5m×3mの大物サイズに対応」など、微細や超大物という表現だけでなく、数値を入れることが重要です。

多くの会社が高精度、短納期、高品質をうたう中で、具体性がないWebサイトも多くあります。もちろん全部の製品にその精度やサイズが当てはまるわけではないので、製品サンプルとともに紹介すると良いでしょう。このサンプルの場合にはこれぐらいの精度、というように製品サンプルに添えてPRしたい数値を表すとよりイメージか付きやすくなります。

2.ユーザーの必要とする情報があるページへ、ストレス無く誘導する

目次という役割を考えると、「大見出し・中見出し・小見出し」のように見出しがあり、そこに何が書かれているかがわかる必要があります。Webサイトでも同様に、どのようなページがあり、何が書かれているのか?全体が把握できるようにすることが必要です。

また、ユーザーが欲しいであろう情報、会社として見せたい情報をすり合わせ、求める情報の優先順位によってコンテンツを配置させます。

特にBtoB(製造業)の場合、発注者の知りたい情報は、頼みたい図面の基準に合致している会社がどうかです。そのため、BtoCのようなWebサイトの印象やデザインはそこまで重要な要素ではなく、保有技術、設備、加工サンプル、実績、品質管理体制等の情報を探しています。

該当するような情報を素早く提供(見つけてもらえるように)することが大事です。また、納期までの期間が短く急いでいるユーザーも多いため、問い合わせまでの導線がストレスなくひかれていることも重要です。

3.新着情報やブログなどユーザーにとって新しい情報を提供する

本来なら、できるだけページの上の方に配置します。製造業の場合、展示会、お休みのお知らせ、設備導入などが挙げられますがそこまで新着の情報が無いというケースが多いです。更新がまったくされていないものがTOPページの目立つ所にあるとお客様の評価を下げる可能性があります。更新の頻度により、配置場所を調整します。

TOPページの構成

次にTOPページの構成についてです。構成は色々ありますが、一番オーソドックスな構成を紹介いたします。

ヘッダー

Webサイト全体の共通部分となり、ロゴ、社名、電話番号、お問い合わせバナーなどを配置します。お問い合わせは常に目にはいつ位置に置き、スクロール時にもバナーが追従する形がとれると良いでしょう。最近ではリードを増やすこと目的とし、お問い合わせ前段階のリードも取れるよう資料ダウンロードを配置するケースも増えてきました。

ナビゲーションメニュー

Webサイト全体の共通部分となり、各ページへのリンクが網羅できるものを配置します。スマホの普及により、調整のしやすい上部にナビゲーションを置くタイプが増えています。

ユーザーにとって項目が多くありすぎると見づらくなるため、多くても5~7項目ほどに抑え、項目にマウスオーバーさせることで下の階層が見れるように設計します。

漏れなく、ダブり無くリンクを設け、ユーザーの必要なものがどこにあるかすぐにわかるようにすることが非常に重要です。

メインビジュアル

前述の通り表紙の役目を果たす非常に重要な要素です。伝えたい内容が複数あったり、事業部が複数ある場合など、何枚かをスライドさせたり、動画で伝えるなどの手法もあります。

コンテンツ

ヘッダーやフッターなどのWebサイト全体で共通な要素ではなく、ページによって変わる部分です。誘導したいページへのコンテンツなどを配置します。新着ニュースなどのお知らせもここに配置します。

コンテンツに優先順位をつけ、基本的には上から順に並べていきます。幅広い加工技術があったとしても、ただ並列させるのではなく、強弱をつけることも大事です。ピックアップ技術などで一部抜粋して上部に配置するのも良いです。

フッター

Webサイトの下部に配置するナビゲーションや著作権表示、基本情報(ロゴ・社名・住所・電話・FAX)などを記載することが一般的です。Webサイト全体で共通する要素となります。

いかがでしたでしょうか?今回はWebサイト制作時のTOPページの役割についてご紹介しました。制作関係者全員で共通の認識を持つことが円滑なWebサイト制作の進行に繋がります。ぜひ参考にして頂けたら幸いです。

リーンスタートアップから考える、中小製造業の製品開発

テクノポートの井上です。最近は受託加工を主とする製造業の会社が製品開発を行い、自社製品を販売することも増えてきました。製品開発はしたいけどなかなか良いアイディアが浮かばない、アイディアはあるけどどう製品開発を進めればよいかわからない等、途中で止まってしまうケースも多いのではないでしょうか。今回は製品開発の手法として「リーンスタートアップ」について、製造業の具体的な製品開発の方向性も踏まえ紹介いたします。

リーンスタートアップとは

リーンスタートアップとは、コストをかけずに最低限のサービス・機能を持った試作品を短期間で作成し、顧客の反応を製品開発の中に取り入れ、顧客がより満足できる製品・サービスを開発していくマネジメント手法です。リーンスタートアップは、通常の仮説検証型やPDCAサイクルと同じように見えますが、他との違いは、顧客の声を早い段階で製品開発に反映させることで「顧客不在」のリスクを防ぐことに重視しているという点です。必要最低限のものでまずは市場に投入し、その反応から正確な顧客のニーズを確認、そこから製品開発につなげるという考え方です。じっくり時間をかけて市場調査を行い、満を持してローンチをするよりも、短期間で検証することでコストと顧客不在のリスクを抑えた、スタートアップ向けの手法と言えます。

おおまかな流れは以下のとおりです。

構築

顧客が欲しいものの仮説を立て、製品やサービスのアイデアを形にします。「MVP(minimum viable product)」と呼ばれる必要最低限の機能やデザインを備えた試作品を作成します。

計測

開発した試作品を実際のユーザー、特に新たな製品やサービスを早い段階で受け入れ、他の消費層へ影響を与える「アーリーアダプター」と呼ばれる層へ提供します。

計測ポイント

  • 「ユーザーの抱える課題を解決できているか」
  • 「提供すべき機能が実現できているのか」
  • 「本当にほしいと思える製品か」
  • 「いくらなら欲しいと思うか」

などを検証していきます。

学習

計測されたデータやユーザーの反応から、

  • 「改良すべき点は何か?」
  • 「このまま開発を続けるべきか?」
  • 「方向転換を行うべきか?」

を見極め、顧客に受け入れられるものにしていきます。

この3つを短期間で繰り返し、ユーザーに受け入れられる製品・サービスへと展開させていきます。

リーンスタートアップのメリット

  • MVPにより、余分なコストを削減できる
  • リリースまでの期間を短縮できる
  • フィードバックを早く次に繋げられる(需要次第で市場の変更や撤退も含め検討できる)

リーンスタートアップのデメリット

情報拡散のスピードが近年圧倒的に早まっていることがデメリットになりえます。

例えば、一般消費者の関心が強い商品やサービスの場合、初期段階で消費者の評判が一気に拡散してしまい、その不評を引き継いだままのイメージが確立され、その後の改良した製品においても悪いイメージを払拭できない場合があります。

リーンスタートアップをもとに製品開発の相性を考える

リーンスタートアップは製品開発のプロセスの中に顧客のニーズを組み込むことで、早い段階で需要を見定め生かすことに重きを置いています。昨今では、SNSの台頭や、クラウドファンディングなど、より早くユーザーのニーズをキャッチできる世の中になりました。ものづくり企業が積極的にユーザーの声を聞き、迅速に製品開発を行うチャンスがあるのではと考えています。製品開発ができそうないくつかの可能性について紹介します。

規格製品からのカスタムオーダー化(ニーズの多様化に応えるサービス化)

市場のニーズが多様化する中で、そのニーズを正確に捉えることは困難な時代です。そのため大量生産された既製品では、満足できないケースが増加、セミオーダーでの自分に合った化粧品製作や、テーラーメイド医療と呼ばれるような個人個人に合わせた医療も間近と言われています。オーダーメイドと言っても「金属の金物をオーダーでなんでも作ります」ではなく、より具体的な製品まで照準を絞った形でのオーダー対応が考えられます。

  1. 自分の手の形状に完全に合ったボールペン。
    (金型保管により、何個でも追加オーダー可能なサービス)
  2. 無くしても大丈夫。結婚指輪の型取り保管サービス など

産業用分野のオーダー製品からの規格化(自分がユーザー系1)

製造業では工場の生産効率を上げるために、自動機、専用機、治具等を、内製もしくは外注にて製造することが多いと思います。最終ユーザーが、自社やそれに近い業種のため、ユーザーのニーズを汲み取りやすい領域と言えます。需要の増えそうなものや、良く出る系統を分析し、ニーズの高いものを規格化することで製品化へつなげられる可能性があると考えられます。需要は少ないかも知れませんが、他の業種から参入されるケースは少ないため、競合が少ないのも良い点です。わざわざ大手が入るほどではない市場が眠っているかも知れません。

趣味業界での製品化(自分がユーザー系2)

趣味はオススメです。欲しい人はいくら高くても欲しい、強烈なニーズがあります。個人的な意見ですが、出来れば避けたいのは生活必需品、日用品系です。競合が非常に多く、製品化しても売れる製品はすぐに類似品が出てきます。皆さん使うので、アイディアは集まりますが、製品化となると厳しいのではと思います。

製品開発のきっかけについてですが、社員の皆さんに趣味を深堀りするのはいかがでしょうか?趣味への愛情の深い人がいれば、その人が抱えている困り事やあったらいいなに耳を傾けてみると良いと思います。ユーザーの意見を反映させやすくなります。

  1. 間接キスは過去のモノ!だれが吹いても安心のチタン製抗菌ホイッスル
  2. 金属アレルギーを克服!金管楽器のチタンマウスピース

いかがでしたか?今回はリーンスタートアップと、その考えをもとに製品開発ができそうな方向性について紹介しました。この業界に携わっている人なら一度は自社製品を作りたいと考えている人は多いはずです。参考になれば幸いです。

試作から量産へ!量産移行時に考慮すべき4つのポイント(スタートアップ向け)

テクノポートの井上です。前回に続き、スタートアップ、ベンチャー、個人の方など、ものづくり未経験者の方に読んで頂きたい記事となります。最近、新製品のアイディアをもとに試作モデルを作り、量産化の資金集めにクラウドファンディングの利用を検討している人が増えてきました。今回は、試作から量産へ移行する段階でよく起こる問題と注意点について紹介します。

試作から量産段階に入る際の問題

製品の試作モデルができれば、製品開発の一つのヤマは超えたのかも知れません。しかし、量産工程に進む段階で新たな試練が待っています。この段階では下記のような様々な問題で頓挫する可能性があります。

  • 市場に出したい価格と原価が合わなかった
  • 部品点数が多く、金型の費用が予想より高かった
  • 量産ができない形状だった

量産段階で問題が起きる原因は?

問題を大きく分けると、コストと加工の実現可能性に分けられます。

コストの実現可能性ついて

皆さんが日頃目にする市場に出回っている製品は、非常に安価な原価で作られているものがほとんどです。規模の経済により、安くたくさん作る仕組みがあるためです。100円均一ショップを製造業の方が見ると、「よくこの値段で、この部品点数の製品を作れるな」と驚愕する製品がたくさんあります。

数を多く作れば、製品単体の原価が占めるイニシャルコストの割合は低く済み、また、仕入れる材料費自体も安くなります。そのため、市場に出回っている安価な製品と比較しても価格では勝てないことがほとんどです。スタートアップではユーザーを特定し、ある程度の高単価製品として売り出さなければ、市場で勝負することは難しいと言えます。

加工の実現可能性について

ほとんどの場合で、試作と量産で加工方法が違うということを認識する必要があります。量産の場合、同じものを安く安定して作るために金型を利用した加工方法に切り替わります。

その場合に試作では加工できていても、量産では加工できなかったり、仕様変更が生じる可能性があります。できる限り問題が起きないよう、試作から量産に移行する際の考えるべきポイントをまとめました。

試作から量産に移行する際に考える4つのポイント

1.そもそも量産の必要があるのか?

規模の経済について少しお話しましたが、もちろんたくさん作れば原価は安くなります。ただ、原価は高くなってしまっても価格競争に巻き込まれない、高付加価値製品を少量作るということも選択肢としてはあるはずです。

しかし、リスクもあります。その優位性を継続できるかが問題となります。模倣されて、規模の経済で安い類似品が市場に出回り、製品が負けてしまうようであれば意味がありません。

また、当たり前のことですが、最も利益が出るのは原価を抑えて、高単価かつ大量に売れているときです。新製品投入した初期段階では、新規性と競合の少なさから付加価値が高まり、高単価で売れる可能性があります。しかし、大量に販売するためには、ある程度のイニシャルコストをかけて量産体制を作るというリスクを取る必要がでてきます。リスクをできる限り小さくするためには、生産数と原価の関係性も理解し、本当に量産が必要かどうかを十分検討することが大切になります。

2.生産数と原価の関係性を理解する

では、金型を作るメリットが生まれる最小のボリュームはどれぐらいからでしょうか?作る工法、金型の種類によっても異なりますが、基本的には数千個以上と想定しておくと良いと思います。

まだ、市場で売れるかわからないものを数千個作るというのはリスクが高いため、数百単位で生産を検討するケースがあります。ただ、それではイニシャルとして金型費を償却しようとすると原価が大幅に上がってしまい、販売価格と合わなくなってしまいます。そのため、初回生産ロットが少なくても、金型に関してはそれ以降の量産計画を踏まえた減価償却を考える必要があります。

また、製造業者側の事情もあります。金型を維持管理することを想定すると、初回ロットだけではあまり仕事としての旨味がありません。販売年数を想定しての生産予定数を提示したほうが協力的になって頂けます。

3.最適な加工方法の選定する

製品を量産するための工法は一つではありません。どのような加工方法が量産に適しているか、そのボリューム、形状、材質によっても異なります。広い視点で工法を模索する必要があります。

また、量産の場合は、金型、プレス、射出成形、切削、表面仕上げ、組み立てなど、検討項目がかなり増えて複雑になるため、設計者だけでは検討できないことがほとんどです。製品開発の全体を把握し、コントロールするプロダクトマネジメントと呼ばれる仕事領域が必要になります。

4.量産試作を早い段階で作る

量産段階においても試作が必要となり、初期の試作モデルとの違いは下記の通りです。

試作モデル(デザイン、機能性モデル)
→作りたい製品がまずは形になるかを検討するためのモデル

量産モデル
→原価低減、品質の安定化を目的とし量産を検討するためのモデル

加工方法が異なることが多いため、現状の形状で量産が可能なのか?より量産しやすい形状に変更可能か?量産しやすくするための補助具(治具等)は必要か?など、量産に関しての実現可能性及びそれにかかる費用をじっくり検討する必要があります。

この検討はクラウドファンディングなど資金調達をする前に必ず必要となります。かっこ良いデザインの試作ができたからといって、量産の実現可能性が無ければ資金を集めても失敗となってしまいます。

いかがでしたでしょうか?今回は試作から量産へ移行する段階で、よく起こる問題と注意点について紹介しました。製品開発の際の参考にして頂けたら幸いです。

また、弊社では製品開発支援のための無料工場探索・紹介窓口「モノマド」を運営しています。製品開発でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

工場探索

ものづくり未経験者から製造業者へ、製品開発の相談をする際の心得

テクノポートの井上です。今回はいつもと趣旨を変えて、スタートアップ、ベンチャー、個人の方など、ものづくり未経験者の方向けに読んで頂きたい記事となります。

「製品のアイディアを思いつき、製品化を考えているけれど、製造業者に問い合わせてもなかなか取り合ってくれない」そのような声を聞くことがあります。相談を受ける製造業者側がどのような考えを持っているのか?また、商談をスムーズに進めるために気をつけるポイントについて紹介します。

製造業者の対応・反応が悪い6つの理由

新製品開発の相談をしても、相談を受ける製造業者側の反応がイマイチな場合が多いのはなぜでしょうか?様々な製造業者にお話を伺い、実際にどのようなことを思っているのかを紹介します。

金額の折り合いがつかないことが多い

試作や金型にかかる費用を知らず、費用の高さに驚いて終了してしまうことがあります。費用の認識の違いから取引に結びつかないことが多いようです。(試作や金型については後ほど詳しく説明します。)

内容がまとまっておらず手間で面倒

図面が無い状態から打ち合わせをし、図面を描き、すり合わせを行うという作業は時間と労力がかかります。いくら相談や打ち合わせは無料と言っても、見えない費用が製造業者側にはかかります。製造業者が通常受けているような図面ありきの案件であれば、見積もり回答を行い、発注書が届けば即スタートとなるため、どちらが仕事しやすいかは一目瞭然かと思います。

製品開発案件に対応していない

会社によっては製品開発案件を受けていない会社もあります。例えば、主に量産向けの設備を保有している会社では、量産用の金型ありきの仕事が主のため、試作開発案件を受けたことが無かったり、対応していない場合があります。

既存の取引企業と比べて信用力が低い

新規で取引をする際には、仕事内容だけでなく相手先の信用力を評価し、取引を行います。個人やスタートアップ企業の場合、ホームページが無い場合も多くどのような相手か知ることができません。そのため、素性の知れない依頼先との取引に消極的になる会社があります。

ビジネスの実現性が低い

取引をするからには、その仕事が将来的に良い仕事になるかどうか実現可能性を見ています。ここで言うビジネスの実現可能性というのは製品が発売され、それが一定期間コンスタントに売れる状態です。依頼者としても、ある程度のボリュームが売れなければ成功とは言えず、作り手としても量産がスタートしてもすぐに生産停止してしまっては意味がありません。

製品開発において、途中で依頼者側が断念するケースも多くあり、また製品化されたとしても、それが売れるかどうかは別問題です。もちろん、製造業者は試作、設計等でも費用を頂きながら行いますが、量産にならなければ利益を確保できないというのが本音です。(※ただし、試作を専門とする会社であれば、試作のみでもビジネスとして成り立ちます)

取引開始まで時間がかかる

図面がある状態と比べると、最初の発注までにかなりの時間を要します。既存のお客様で忙しい場合に、そこにかける時間を避けたいと思っている会社もあります。上記のように、依頼側と製造業者側には温度差があります。仕事を頼もうとしているのになぜ?と思うかも知れませんが、どちらが悪いというわけではなく、お互いの認識のズレの問題です。

相手の事情や考えを把握した上で、どうすればスムーズに商談が進められるか?次に具体的な解決策について紹介します。

相談内容の準備

まずは何を相談したいか?相談する内容についてです。相談する内容によって相手の対応も異なりますので、協力して頂きやすいように出来る限りわかりやすく内容をまとめます。

図面・イラストの準備

モノを作る側としては、文章だけではイメージしづらいものです。手書きでも良いので概要が把握できるものを準備してください。

  • サイズ感
  • 形状
  • 材質

など

製品開発の背景、企画書の準備

「このような製品を作りたい」よりも「このような背景から製品開発を思い立ち、このようなニーズに応える製品を作りたい、将来的にはこのようなことをしたい、どれぐらいの数を作りたい」というように、製作背景や想いが伝わる内容が入っている方が、信用や共感を得られ、製造業者に協力して頂きやすくなります。会社やご自身がどのような人物かも、ある程度わかる説明があるとなお良いです。

依頼、相談したい段階を提示

具体的にどの段階から相談したいのかを提示します。仕様設計、材料選定、加工方法の選定、図面作成など、自分でできないところや、何を相談したいかを提示することが大切です。相談を受ける側として、どう返答してよいか、何をすれば良いかわからない相談もよくあります。

適切な製造業者を探す

相談する内容が決まったら、個人やスタートアップ企業の製品開発案件に対応している、適切な製造業者を探す必要があります。設備、技術的に対応できそうか?開発案件を受ける体制があるか?この2つの視点で探します。流れとしては以下のとおりです。

  1. 自分の頼みたいと考える領域(材質、加工方法など)を決める
  2. 上記の加工領域のキーワードに加え、下記のようなフレーズを加え、複合キーワードにてネットで検索
    試作・1個から・図面無し対応・設計開発・製品開発 など
    検索例:板金加工 図面なし対応
  3. 該当ホームページの内容を確認
    設備紹介を見てもわからないと思うので、製品サンプルや、取り組み事例、強み紹介などを見て、自分の頼みたいものが実現できそうか確認

商談にのぞむ際に覚えておくこと

次に、製造業者と商談をする段階で、事前に認識して頂きたいことが2点あります。

それは試作と金型費用についてです。この2点の認識の違いで、商談が進まなくなることが頻繁に起こります。この2点がどのようなものか、事前に理解した上で商談に望むことが重要です。

試作の重要性について

よくある話が、単価をこれぐらいに抑えたこのような製品をある程度の量、作りたいという要望があります。しかし、どのような製品でも、いきなり量産できるというわけではなく、まずは試作品を作成し、製造上の課題をすべて洗い直した上で、改良を加え、量産工程になります。そのため、概算の価格なら想定はできますが、値段ありきでこのコストに収めて開発、進めるということは出来ません。

試作を作り、量産時の加工方法を決め、初めて量産時の初期費用と1個あたりの製造単価を割り出すことができるからです。また、製品の実現可能性を判断するためにも試作が必要です。量産に入ってしまっては後戻りができないため、試作段階であらゆるリスクへの対応を検討し、量産に踏み切るか否かも検討します。そのため、製品開発において試作がとても重要だということ、そして、そこに十分な費用と時間をかける必要があるということを認識する必要があります。例えば、量産時に@1,000円という話でも、試作1個作るには数十万かかるということもあります。また、様々な段階で試作が必要になります。下記は試作の一例です。

  • 原理試作:既製品なども利用し、機能性面を検討
  • デザイン試作:形状、外観などのデザイン面を検討
  • 量産試作:製品としての仕様や要素を全て備えたモデルで製品同様の材質で製作。量産時の加工しやすさ、組み立てやすさ等を検討

金型費用について

量産段階になると加工方法によっては製造単価を下げるための金型を作る必要があります。金型を作ることによって同じ形の製品を安くたくさん作ることができるようになります。

しかし、金型は形状や、部品点数によって数十万〜数百万というイニシャルコストがかかります。この量産時の金型費用について認識をしておらず、「そんなにかかるとは思わなかった」と開発を断念するケースも多くあります。

いかがでしたでしょうか?

今回はものづくり未経験者から製造業者へ、製品開発の相談をする際の心得について紹介しました。良いビジネスパートナーとしての関係を作るためには相手を知ることが大切です。製品開発の際の参考にして頂けたら幸いです。

また、弊社では製品開発支援のための無料工場探索・紹介窓口「モノマド」を運営しています。製品開発でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

工場探索

既存顧客からの取引拡大のために実践すべき3つのこと

テクノポートの井上です。今回のテーマは既存顧客(メーカー)からの取引拡大方法です。

既存顧客は既に関係性が出来ているからといっても「何か仕事ありませんか?」だけでは獲得できる仕事に限界があります。明確な目的を持ち、顧客の求めるものに対して提案をするためにはどうすればよいか?前回に引き続き、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを行っている野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。

野崎社長の経歴は以前の記事をご参照ください。協力工場を増やす時の見極めポイントと良い関係の築き方

実際に野崎社長の行っているアプローチの手法をご紹介します。既存の顧客からの受注を増やすために、すべきことは大きく3つあります。

  • 自社と顧客を知り、ターゲットを選定
  • キーマンに会うためのアクションをおこす
  • 一度のキーマンとの面談で、出来る限り話を進める

自社と顧客を知り、ターゲットを選定

相手の会社について、一般公開されている情報を調べます。どのくらいの売上があり、今後どのような業種、業態に進もうとしているのか?また、それは先々伸びそうなものかどうかを考察します。そして、自社の受注状況を調べ、自社にとっての各顧客の重要度を考えます。

また、逆に顧客にとって、自社の重要度を考えます。主要取引先に入っているのか?サプライヤーは何社ぐらいあり、その中で自社はどう思われているのか?自社としては売上が多く重要な顧客だと思っていても、相手にとってのその売上はそれほどの金額ではなく、主要サプライヤーに入っていなかったというケースもよくあります。そのような関係性も考慮した上で、ターゲットの選定のために、その会社の売上規模、業種、業界の伸びしろや、その顧客に納めているサプライヤーが複数存在する場合は、シェア拡大の可能性を模索します。

また、顧客の要望に何で貢献できるか?顧客のやろうとしていることに対して、提案材料を一つ用意します。具体的な提案材料があれば良いですが、無くても、やろうとしていることに対しての、実績や加工技術の強みがあれば大丈夫です。ピンポイントで提案できるような材料はなかなか用意できるものではありません。あくまできっかけを作る目的です。

キーマンに会うためのアクションをおこす

現状の担当の窓口がどのような方なのかは重要です。提案したいものに対し、どこまで関係のある人なのか、あまりわからないということであれば、別のキーマンを紹介してもらう必要があります。窓口が購買の担当さんだけだと、事業の全容が見えてこないので、まずは設計者へのアプローチを図り、そこから事業責任者へアプローチをかけます。具体的な動きかたとしては、図面には設計者の名前が書かれているケースが多いため、「まずは設計者とお話させてもらっても良いですか?」と紹介していただきます。

設計者につないでもらった際には、次に、事業の全容のわかるプロジェクトの部長を紹介してもらっています。設計の方はけっこう垣根の無い方が多いので(あくまで経験上ですが)気軽に上司を紹介頂けるケースが多いです。

一度のキーマンとの面談で、出来る限り話を進める

部長クラスと面談した際には、自社が貢献できそうな内容を提示し、実際にそれに携わる人をその場で紹介してもらうこともあります。一度の面談で、可能であれば図面を頂く所まで進めるのが理想です。

何度も訪問し、関係を構築するということではありません。関係を作って情報を引き出すのではなく、話す材料、キーマンが揃っているのであればむやみに回数を増やさず、短い時間で成果を出すことがお互いにメリットとなります。

そもそも、それまでの顧客とのやりとりで、良好な関係性ができている上で紹介して頂いているわけですから、断られるとしたら、最初の窓口の段階で断られているはずです。ただ、最初の窓口でも新規でアプローチかけるよりは断られる確率はかなり低いと思います。

一番重要なことは踏み込むこと

以上のような流れでアプローチしていますが、一番重要なことは、まずはアクションを起こすことです。顧客をしっかり調べた上でアプローチを行い、相手の反応から、自社との関係性を知り、そこからまた動きを決めます。紹介して提案できるようであればそれは良いですし、かたくなに拒否されるようであれば、そのような現状だということを知る必要があると思います。その場合は、相手が何を求めているのか?何が自社に足りないのかを考えれば良いと思います。

まずは目的をもってアプローチをかけ、断られることを恐れないことが重要だと思います。簡単なことのようですが、実際にそこまで行っている会社は非常に少ないです。

 

以上が野崎社長の実際に行っているアプローチ方法でした。

今後も野崎社長へのインタビューを連載予定です。少しでも売上向上のお役立ちができれば幸いです。

協力工場を増やす時の見極めポイントと良い関係の築き方

テクノポートの井上です。今回は、自社の売上を伸ばすために、連携の取れる協力工場をどう増やすかについて紹介します。

協力工場の必要性について

製造業で受注拡大を考える際に、設備の稼働率に限りがあるため、物販小売のようにたくさん売れれば良しというわけにはいきません。受注生産のため、受注には波があり、すべての設備を稼働率100%にキープすることは至難の業です。高い稼働率をキープするために、時には協力工場を利用し、受注の波をコントロールできるようにする必要があります。

また、人手不足の影響でしょうか?発注者側がそれぞれの会社に手配をかける手間を省きたいために、装置や部品一式をまとめて発注したいというニーズも増えています。その場合に、受注側としては、協力工場と連携した一貫生産対応が求められています。

しかし、やみくもに協力工場を増やしても、連携がうまくとれなかったり、品質等のトラブルが起こった際の対応が後手にまわったりと、お客様の信用を落としてしまう可能性があります。そのリスクを懸念して協力工場を積極的に活用していないというお話をよく伺います。信頼できるパートナーとしての協力工場をどう開拓するかが課題となっています。

協力工場の活用を熟知した専門家にインタビュー

円滑に業務を遂行できるかは、その会社の対応力、管理体制、関係性によって大きく異なります。数ある会社の中からパートナーとすべき会社を見つけ出し関係性をどう構築していくか?ものづくり商社兼ものづくりコンサルタントの野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。

同社は自社工場を持たないため、協力工場と密な連携をとり、お客様からのニーズにいかに迅速に対応するかを突き詰めている会社です。実際に実践している協力工場を見る際のポイントや、関係性の構築方法について詳しくお伺いしました。

野崎社長の紹介

直近10数年で3社の金属部品加工会社に在籍し、加工現場から調達、品質管理、既存取引先への営業活動、新規開拓営業まで一通りの業務を経験。
在籍した会社では、卓越したコミュニケーションスキル、関係構築スキルを生かし、既存取引先からの受注拡大、新規顧客開拓に大きく貢献する。その経験を活かし独立、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを業務とするコスモアルファ株式会社を立ち上げる。

主な実績
精密部品加工会社A 2007年2月~2014年1月
・社内で取り込めない案件等を協力会社で賄うべく、新規開拓、育成を行い、大手メーカーとの直接取引でリーマンショック後の赤字会社を売上2倍にして黒字化までもっていく。
精密部品加工会社B 2014年2月~2015年3月
・在職中新規取引先5社契約、トータル1700万円受注(約10ヶ月で)
精密部品加工会社C 2015年5月~2019年8月
・新規取引先を6社開拓
・入社時に倒産しそうだった状態から3年で売上2倍にして黒字転換させる。

どのような基準で協力工場を見ていますか?

大きくは2つです。

  • レスポンスの良い会社か?
  • 品質、検査体制が整っているか?

レスポンスの遅い会社はお客様を待たせることになるため取引は難しいです。品質、検査体制に関しては、例えば10個の完成品があった際に全数検査しているのか?検査票は普段から添付している会社なのか?検査していることの証明ができるか?などを見ています。検査表は言われなくても出すのが一般的ですが、中には出さない会社もあります。「俺が寸法に入っているといえば入っている」という会社も時にはありました(笑)。

何を使って検査するかも大事です。ノギスだけで良しとするのか、マイクロも使うのか。他に測定具は何を持っていて、普段何を使って測っているかも見ています。3次元測定機も持ってはいるけど使っていない会社も多いですしね。また、改善していく姿勢があるかどうか?も大事ですね。自分の会社はこうだという基準が固まってしまって、柔軟に対応して頂けなさそうな会社もあります。

つなぎとめたい会社への対応は?

見積もりだけで終わるパターンもありますが、つなぎとめておきたい会社さんはあります。そのためにどうするかですが、基本的にはコンタクトを取り続けます。ただ電話するだけでは限界がありますので、そこの会社がやっている業界以外の情報を提供したり、そこに合った仕事を直接紹介したりしています。加工業者同士の仕事は間に入らず直接やってもらってます。そして、どんどん会社と会社を繋げていきます。自分の管轄外であれば、直接やってもらうことも多いです。協力工場も、お客様にも同じスタンスで情報提供や取引を繋いだりしています。

間に入らなくても会社を繋げて継続的な取引になっていくと、質の良い協力会社を持っている会社、という付加価値が弊社にでき、色々な仕事の相談を受けるようになります。そのため、目先にある仕事を取ろうとせず、先を見越して良い会社に良い情報提供をして信用をもらいます。そのように情報提供や、取引をつないだりすることで、協力工場との関係性も仕事が始まる前から作れるようになります。

余談ですが、間に入ることに別の付加価値がつく時もあります。間に入って取りまとめないと仕事が進まないような協力工場がそれにあたります。依頼者側が電話しても現場に入っていて、電話になかなかでなかったり、メール返信が無かったりする場合などです。間に入って、その会社に合ったコンタクト手段で窓口となり仕事を進めます。そうすると依頼者側だけでなく、協力工場側からも喜ばれます。

依頼等の際に協力工場へ配慮していることは?

依頼する際に気をつけていることは、サイズや精度など設備的に合う加工内容かどうかです。逆にそこで依頼者として信頼できるかどうかを見られていると思います。頼む側がわかってる人かどうかは仕事をするにあたり大事なポイントです。そのため、的外れだけは避けるようにしています。

問い合わせメールを送った後、すぐ電話して、見積もりしてもらう前に設備的に合う加工内容かどうかを確認しています。ある程度電話で話を聞いた上で直接見に行くことも多いです。直接見に行ってみないと何が得意かわからないので。

また、やってみないとわからないものもたくさんあります。そんな時は途中でギブアップしてもらいたくないので、形になるまで出来る限りやってもらいます。やり方も教えます。こういうやり方で、こういう精度を出しているというようなところまで踏み込みます。そのため大失敗し大きく損失出したこともありますが(笑)リスクを負いすぎた時もあります。ただ、やりきること、完了させることが大切だと思います。良かったときも、だめだった時でも進捗は報告します。

見積もり出して高かったなら、何をもって高いとしているのかを聞きます。他社でいくらだったという決定価格も聞いて伝えています。

まとめ

以上、野崎社長へのインタビューでした。間に入ることの付加価値を持ち、継続的な取引をするためには、発注側だけでなく、受注側への配慮も非常に重要と感じました。協力工場に依頼するといっても仕事を出してやるというスタンスでは長続きしないということがよくわかります。協力工場への理解を深め、パートナーとして共に仕事を行っているというスタンスが重要と感じました。今後も野崎社長へのインタビューを連載予定です。少しでも売上向上のお役立ちになれば幸いです。

工場見学って意味あるの?工場見学を行うものづくり企業側の意義

近年、周辺地域の住民、地域の小中学校など向けに自社を知ってもらったり、地域貢献の為に行う工場見学を開催するものづくり企業が非常に増えています。しかし、「時間も手間もかかり、仕事に結びつく訳でもないのになぜ行うのか?」と思うのが大半の人の率直な意見ではないでしょうか?そんな私も懐疑的な思いを持っていました。なぜ開催する企業が増えているのでしょうか?その要因について考察しました。

工場見学を開く意義とは

ものづくり企業側の意図とはなんでしょうか?メリットやデメリットを踏まえ開催しているはずですので、考えられるものを挙げてみます。

工場見学を行うメリット

地域交流、関係性の向上

住宅と工場が混在する地域もあり、騒音問題等のトラブルを避けるためにも、住民の方の理解を得ることが重要になってきています。

社員のプレゼン力向上

工場見学者に対しての説明をするということは、加工の知識が無い子供でもわかる説明が必要です。「見ればわかるだろ!」というような教え方では通じません。新人教育をする際の先輩社員の教え方、伝え方を練習する場としても最適かも知れません。

社員のモチベーションアップ

社員のご家族を連れてくる方もいるので、なかなか見せられないお父さんの仕事がどんなものかを知ってもらえます。また、工場見学者は普段見たことの無いものを見るため、キラキラした目で、素直に感動してくれる人も多いです。いつも行っている仕事に目新しさがなくなってきている方も多いかも知れませんが、自分の仕事に自信ややりがいを再認識するきっかけにもなるはずです。

長い目で見れば人材採用につながる

地域住民の理解が得られ、関係性を築くことによって、パート・アルバイト、その先には社員の採用につながる可能性があります。様々な働き方や選ぶ基準がある中で、近場である程度時間の融通が効き、昔から知っている会社ということであれば、候補の一つになる可能性もあるはずです。また、小さい時から「ものづくり」という仕事があることを知ってもらうということも重要です。私は、大学を卒業し社会人になるまで、この業界のことを知らず、こういう仕事に就きたいという候補に挙がることすらありませんでした。

新たな顧客の創出・製品開発の可能性

様々な人に知ってもらい、多種多様な相談を受けることで、仕事や自社の製品開発につながる可能性があります。今まではどちらかというと工場は閉鎖的で、いかに技術を流出させないためにクローズするか、という考え方だったと思います。しかし、今ではより多くの人に自社の技術を知ってもらい、アイディアや相談を呼び込む方が、大きなメリットを生む時代なのだと思います。

工場見学を行うデメリット

安全性の確保のための準備

来場者がどのような行動をし、どこに危険が潜んでいるかわかりません。ある程度の行動の導線を用意し、その中で想定される危険を出来る限り排除し、万全の体制で望む必要があります。

開催時間と説明人員の確保

一番のネックはここではないでしょうか?土日開催するとなると、人員確保が大変ですし、平日だと通常業務との兼ね合いがありますし、見学者が集まりにくいというデメリットもあります。

情報流出

情報流出ももちろん気をつけねばならない点です。どこまでを見せて、どこからが見せてはいけないかを社内で決めた上でオープンにする必要があります。

メリット・デメリットを踏まえて考察

以上のようにデメリットを中心に見ると手間はかかるとは思います。しかし、それよりも繋がりを作ることで得られるメリットが以前よりも大きくなってきているのではないでしょうか?自社だけでどこの手助けも借りずに売上を上げ、独走し続けるというのは難しい時代です。地域の方の理解や周りの企業との連携を得ながら、社会に貢献し、利益を上げ、それを地域に還元するような共存するスタイルの会社が好まれるのではないでしょうか?そのような会社には人も集まります。工場見学は、積極的に交流を広げ、自社の認知度や理解を深めてもらうことで、上記のような様々な恩恵をもたらすものです。その一つの結果として口コミ、紹介等が広がり中長期的には仕事も集まりやすくなるのだと思います。

開催方法の種類

では工場見学を自社もやってみようと思った際に、単独開催というのはハードルが高いです。というのも、見学の受け皿を用意してもそこに人が集まらなければ意味がありません。告知、集客までを単独企業で行うのには限界があります。そんな時は、地域のイベントにまずは参加してみるのも良いでしょう。最近では地域で共同イベントが積極的に開催されていますので、近くでも定期的に開催しているかも知れません。

事例紹介

地域イベント例

東京都内の工場見学可能な会社紹介

自社も単独開催したいということであれば、既に単独で開催している工場を覗いてみてはいかがでしょうか?

Garage Sumida(株式会社浜野製作所)(墨田区)

言わずと知れた浜野製作所さんです。3Dプリンターやレーザーカッター、CNC加工機といった最新のデジタル工作機器を見ることができます。

富士精器株式会社(目黒区)

15年ほど前からは、区内の小学校から工場見学の受け入れを行っている工場見学の先駆け的な会社です。金属の切削加工について見学することができます。

株式会社富士産業(葛飾区)

真鍮・銅といったデザイン心をくすぐる素材を1個から仕上げるアトリエを持っています。行くだけでワクワクするものが見られます。(まだ正式には見学ツアーは無いですが、個別には対応してくれると思います。)

【講演会レポート】浜野製作所が取り組む「お客様」「地域」「スタッフ」への関わり方

2019年2月20日(水)に弊社主催のセミナー「TECHNO-PORT TALK NIGHT」の第4回を行いました。

今回は株式会社浜野製作所の浜野社長に、書籍まで出され活躍されるようになった「新しい仕事を生み出し続ける町工場の秘密」について講演して頂きました。講演会に参加できなかった方にも浜野氏の考え方を知っていただくため、講演内容をまとめました。

1.浜野製作所の紹介

浜野製作所は東京都墨田区に本社を構え、板金・プレスを中心とした金属加工業を営み、区内外に幅広い製造ネットワークを築き、製品開発支援まで手がける会社です。

当初はプレス加工による量産品で、先代より引き継いだ浜野製作所は2000年に隣の家の火事から工場が全焼しています。工作機械もすべて失ったため、蹴っ飛ばしプレス2台を購入し近くの工場を借り、焼けた工場から金型を回収し磨き、加工を再スタートしたそうです。当時、社長と従業員1名の計2名から再スタートし、今では従業員約40名、優れた町工場として天皇陛下がご視察にいらっしゃるほどの企業に成長しました。

これほどの成長の要因は??

成功させるためには経営戦略がすごいのでは?と思っていたのですが、今回のお話はそうではありませんでした。もちろん儲かる仕組みを考えビジネスモデルを構築することも重要で、その仕組みを作ってらっしゃるのですが、それ以前のマインドの部分に成功の秘訣があるように感じました。どのような良い仕組みや戦略を作ってもそれを実行するのは人です。どんな姿勢で仕事に取り組んでいるか?その方向性と本気度に人を引きつける魅力を感じました。

浜野製作所の経営理念

引用元 https://hamano-products.co.jp/company/vision/

浜野製作所の力の源はこの経営理念に現れています。2000年以降様々な苦労の中で、地域の皆様、お客様、スタッフから受けた恩とその感謝の念を忘れずに絶対に還元できる会社になる!!という決意表明が経営理念となっています。お客様に対しては決して裏切らない姿勢、地域の方々に協力したいと思っていただける姿勢、スタッフを大事にするという姿勢が込められた素敵な経営理念だと思います。その理念を掲げ、自らが先陣となり行動に移し、その理念に共感した従業員が集い同じ思いで行動する。そのため、浜野製作所には高学歴の人も多く在籍しています。前回のHILLTOPの山本副社長の講演の際にお聞きした「楽しくなければ仕事じゃない」という行動指針もそうでしたが、共感できる何かがあると大手も中小も関係なく人は集まるものだと感じました。

今回の講演で「普通の板金屋さんと浜野製作所の違い」は何かを考えると、ここが一番違うのではと思うポイントでした。掲げた理念を曲げずに社員一丸となって本気に取り組めるかどうかです。

その基盤を作りながら、何に対してどのように取り組むか?も重要です。取り組みについては数が多すぎて全てご紹介は難しいので良ければ浜野製作所HPをご覧ください  ⇒浜野製作所HPはこちら

Garage Sumida(ガレージスミダ)

Garage Sumidaは、創業から40年以上にわたり墨田区で板金・プレスを中心とした金属加工業を営み、区内外に幅広い製造ネットワークを築き上げてきた株式会社浜野製作所が運営するものづくりの総合支援施設です。

電気自動車HOKUSAI

東京スカイツリーの開業に合わせ、墨田区、早稲田大学、弊社をはじめとする墨田区の中小企業の産学官連携より観光型都市の環境に配慮した次世代モビリティの開発を目指し、電気自動車プロジェクトがスタート。地元ゆかりの浮世絵師、葛飾北斎にちなんで「HOKUSAI」と命名されています。

深海探査艇 江戸っ子1号

町工場の夢を乗せる「江戸っ子1号」は、厳しい状況に置かれた中小企業の「下請け体質からの脱却」や「町工場に眠る技術の継承」を大きな目的としています。

アウトオブキッザニア

日本のモノづくりを支えてきた町・すみだの下町文化と伝統の技を体感する職人体験プログラムとして、墨田区版のキッザニアがスタートしました。

配財プロジェクト

地域産業の「廃材」を「配財」にかえ新たなビジネスモデルを創造するプロジェクトです。

最後に

今回のセミナーではすべての取り組みをご説明頂くには時間が足りず触りの部分のみでした。気になる方は書籍も出されているのでぜひそちらもご購読頂けたらと思います。

ちなみにAmazonでよく一緒に購入されている商品を見てみたら弊社が最近セミナーを開催した「HILLTOP様」と「吉原精工様」3点セットで購入されているようです(笑)3点セットで読み比べてみてはいかがでしょうか?

表現の幅を広げる技術動画事例5選

ものづくり経革広場の井上です。最近では動画を利用したPRをお考えの方が増えているようです。そこで今回は、会社PRやリクルート目的ではなく、製造業ならではの技術動画についてどのような活用方法があるのか紹介したいと思います。

特徴のある技術動画事例

あっと驚かせる仕掛け動画 株式会社武田金型製作所


なんの変哲もない金属のプレートから文字が浮かび上がります。原理的にはワイヤーカットで抜いた文字の部品と、文字を抜かれた母体を用意し、合体させて押し出しているだけですが、継ぎ目の見えない状態にはめ込むためには高い技術が必要です。技術自体をPRするのは難しいですが、こういう見せ方で注目を集め、それを実現するためには高い技術だったというストーリーであれば見る側の注目度も高くなりますね。

鋼鉄で作るジグソーパズル 有限会社オクギ製作所


こちらも高精度なワイヤーカットで金属板を加工したものです。継ぎ目が無いように見えますが、パズルになっています。ちなみにこのパズル、絵がついていないので相当難しいそうです。

様々な用途を連想させるキレイな動画 有限会社岸本工業


きれいな動画ですね。アクリルと写真は相性がよく、写真映えします。この動画は用途開発を目的としたものです。特殊な技術を開発したもののどのような用途で活用すればよいか思いつかず、この動画を見た人が新しい用途を見つけて相談して欲しいという考えで制作しています。

あまり認知されていない技術自体を伝える動画 株式会社佐藤製作所


世間一般であまり認知されていない「ロウ付け」という技術動画です。自社をPRするというよりも、この技術自体が珍しいため、どのような技術なのかを説明するための動画となっています。技術自体の認知度が高まれば、自然とその技術を保有する自社の認知度も上がるという思惑があります。

品質に拘っていることが伝わる動画  大鉄精工株式会社


品質の高さを動画で表現するというのは珍しいと思いますが、実際の計測方法や、どれぐらいのこだわりを持って加工しているかが伝わってきます。動画だけでなくそれを補う説明文は必須です。一般の人が見たらまったくわからない領域ですね。

動画の編集方法

MacユーザーならiMovie


iMovieは、Macに標準搭載されているフリー動画編集ソフトです。アップル公式のiMovieはMacユーザーにとってすぐに使えて機能豊富な、とても心強い存在です。

Windowsユーザーなら


WindowsユーザーならWindowsムービーメーカーだと思っていたのですが、サポートが終了してしまっているようです。代わりに使えると思ったのは、Youtubeの動画エディタです。これも去年の9月で廃止されたみたいな話があったのですが、現状でも動画の編集は利用できます。インストールの必要がなく、直接ブラウザ上で編集できます。

動画アップ方法

自社で利用しているサーバーにアップする方法もありますが、基本的にはYoutubeにアップして、それをHPなどに埋め込む方法が最近では多いです。動画を用意し、Youtubeのアカウントを取得したら、下の写真のように①の+ボタンをクリック⇒②ファイルをアップロードで完了します。

HP等に利用したい場合は、動画の下にある共有ボタンをクリック、埋め込みコードをコピーしてhtmlの貼り付けたい部分にペーストするだけです。

昔に比べネット回線速度も早くなり、スマホでも動画を見られる時代になってきたことにより、文字、画像、動画と表現できる幅が広がってきています。目的に合わせたユーザーへの最適な表現方法を考える必要が出てきているのだと思います。

デザインから入ってはダメ!利用用途から企画するパンフレット

ものづくり経革広場の井上です。今回はHPと同様、販促ツールとして重要なパンフレットの作成手順についてです。展示会では必須のアイテムで、その出来栄えによって会社に対する印象が大きく変わります。そのパンフレットについて、どのような手順で作り込んでいけばよいか?その手順を紹介いたします。

デザインやページ数から入ってはダメ

最初にいきなりデザインやページ数を決める方が多くいらっしゃいますが、それでは目的がずれてしまいます。デザインや、ページ数を先に決めてしまうと、どうしてもそれに合わせた内容や、中身のボリュームを考えなければならず、「この枠にこれは入れられない」「ここにはこれを入れたらキレイだ」など見栄えが中心となってしまい、中身が伝わらない可能性があります。それよりもパンフレットを使って何をしたいかを考えることが先決です。

具体的な作成手順

①用途・目的を考える

リクルート用、営業用など、利用用途によって内容は大きく異なります。営業用であれば、ターゲットを絞ったものなのか、会社の事業内容全体を網羅したものが良いかなど、利用方法によっても載せる内容、見せ方は変わってきます。まずはどのような利用シーン・用途で、主に誰に見てもらうためのものかを考えることからスタートします。

②必要なコンテンツを決める

例えば営業用であれば、お客様先へ訪問した際や、展示会での説明の利用シーンが想定できます。自分が営業で説明する時に、どのようなものが必要かを考え、項目をリストアップします。

③コンテンツを載せる順序を考える

営業では、お客様の興味を持っていただく順番は何かを考え、それに沿った順番で説明するかと思います。パンフレットでも同じ順番で掲載することで、営業が説明せずともパンフレットを順番に見ていただくことで、ある程度の内容を把握していただくことができるようになります。

④コンテンツごとの詳細を決める

載せるコンテンツ・順序が決まってしまえば、あとはコンテンツの中身となる写真・イラスト・文章を考えます。事業内容を載せるだけでなく、特に伝えたいものは何かを考えます。

⑤デザイン・ページ数を決める

上記の流れで考えると、全体のコンテンツボリュームが自然に決まりますので、それを加味してどれぐらいのページ数が必要となるかが決まります。そして、最後がデザインです。もちろん、会社全体としてのテーマカラーや与えたい印象等があると思いますので、それを踏まえデザインコンセプトを決めます。 ここまでがパンフレットの構成部分です。

⑥デザイン制作〜印刷まで

その後のデザイン制作〜印刷までの流れですが、制作会社に構成をもとにデザイン依頼をするか、もしくは自社でデザインをしてネット印刷をすることが可能です。ただ、自社で制作するといっても画像編集ソフト(イラストレーター等)を利用しないと難しいです。そして印刷は失敗してもHPと違い修正ができないため、不安な方は専門業者にお願いしたほうが無難です。

最後に

HPにしっかり情報を載せていればパンフレットはいらないと思う方がいらっしゃるかも知れません。ですが、例えば他部署への回覧でパンフレットが回ったり、他のヒトへ紹介する際にパンフレットを手渡しすることもあります。そのパンフレットを見た後にHPを見る方もいらっしゃいます。そのように手に取れるモノとして残ったほうがきっかけを生み出すこともあるため、HPだけでなく複合的な販促体制をつくることが重要です。また、最近では印刷料金がだいぶ安くなってきていますので、印刷部数を少ない単位で発注し、定期的に中身を編集して再印刷することも低コストで可能となっています。ぜひ、HPだけでなく、パンフレットの見直しも定期的に行ってみてはいかがでしょうか?