製造業の調達分野にイノベーションを起こすキャディ株式会社

ものづくり経革広場の徳山です。先日、製造業の調達分野においてイノベーションを起こそうとしている「キャディ株式会社」という会社様とお話をする機会がありました。

AIやIoTの活用によって、製造業のバリューチェーンの様々な分野でイノベーションが起こっています。しかし、調達という分野においては昔ながらの商習慣が根強く、発注者と加工業者の中継ぎを商社が行っているケースが多いことなど、非効率な状況が続いています。商社が間に入ることで調達業務の負担減に繋がるという利点はありますが、発注者にとっては調達コストが高くなりすぎたり、相見積もりが習慣化することで加工業者は受注できるかどうか分からない仕事に対する見積もり業務が増大したり、という弊害が生じてしまっています。

※同社Webサイトより引用

その効率化することができていない調達分野にAIの技術を持ち込むことによりイノベーションを起こそうとしているキャディ株式会社。今回はそんな興味深い取組みを行っている同社のサービス「CADDi(キャディ)」をご紹介します。

発注者と加工会社を自動見積のテクロノジーでつなげる「CADDi」

「CADDi」は、製作したい製品の3DCADデータさえあれば、人手を介さずWeb上で見積額を算出できる画期的なシステムです。現状は板金加工に特化していますが、2019年以降は機械加工品などにも対応していく予定だそうです。

特注板金加工品の3DCADデータを「CADDi」にアップロードすると、瞬時に見積・納期が表示され、そのまま発注することが可能です。

実際に製品を加工するのは、同社が独自に開拓した板金加工業者ネットワークの中から選び出された最適な一社(もしくは複数社)です。従来の商習慣を変えてしまう取組に対し保守的な会社が多い中で、このような先進的なサービスに賛同してもらえる多くの板金加工業者の協力を得ることができているのも、当サービスの大きな強みと言えるのではないでしょうか。

なお、3DCADデータがない場合でも、2D図面データ(dxf、dwg、pdfなど)があれば、同社スタッフがアナログ対応していただけるそうです。外注先をお探しの方は利用してみてください。

※データのアップロード画面(サービスサイトより引用)

加工業者にとって「CADDi」が一つの選択肢になるように

どうしても発注者側の力が強くなってしまう当業界において、同社は加工業者への配慮も忘れていません。「CADDi」では1社当たりに発注する仕事量を会社全体の売上の最大30%程度に抑えるよう調整しているそうです。もちろん一社当たりの仕事量を増やせば、加工業者への影響力が増大し仕事のコントロールがしやすくなりますが、それは発注者側の論理です。加工業者側にとってキャディの仕事へ依存してしまってはリスクが高いし、力関係が対等でなくなってしまうため、敢えて一社当たりの仕事量の調整を行っているそうです。

発注者だけでなく、加工業者の繁栄も考慮しなくてはビジネスモデルが成り立たなくなる、同社のビジネスモデルは絶妙なバランス感覚が求められるのだと感じました。

見積もり業務から開放され本業に専念できる

加工業者にとって「CADDi」を利用する一番のメリットは、煩雑な見積もり業務から開放されることです。山積みになった図面の見積もりを夜遅くまで行ったことのある社長(営業担当の方)はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。当システムが普及すれば加工業者は見積もり業務から開放され本業に専念できるようになるかも知れません。

現状多くの発注者が「CADDi」を利用し発注量は右肩で上がっていて、協力してくれる加工会社を積極的に探しているそうです。工場のキャパにまだ余裕がある板金加工を行っている方は一度コンタクトを取ってみてはいかがでしょうか(弊社にご連絡いただければ担当者の方をご紹介することも可能です^ ^)。

取材先企業情報

社名:キャディ株式会社
代表者:代表取締役 加藤 勇志郎
資本金:7,500万円(資本準備金含む)
従業員:20名

大阪の皆さんの前で、MAKERS LINKのお話を

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!いま、ほんとにいい季節ですね!味覚の秋、読書の秋、仕事の秋?(苦笑)自分にとっては、そうですね、10月、11月は、イベント目白押しの秋って感じでしょうか!この原稿を書いてる今週も、スケジュールは満杯です。

というわけで、まずは、告知から。

前回もお知らせしましたが、10月24日から26日の3日間は、チームCOOL MILLINGSとして、渋谷ヒカリエで開催される、ファッション業界の展示会「PLAG IN/異業種20社によるコ・クリエイション企画展」に出展します!はたしてどんな結果になるか…。

詳しい情報を下記から入手して、ぜひ、お越しくださいませ。→PLUG IN公式ページ
異業種20社によるコ・クリエイション企画展 Link to Creative

続いて、川口市産品フェア出展のお知らせ。栗原の地元、埼玉県川口市で、10月26日から28日まで開催されます。こちらは、市民の皆さんに川口の産業について広く知ってもらおうという主旨のイベントですが、土日にはたくさんの楽しい催しも企画されていますし、飲食のお店もたくさん出展します。うち(栗原精機)は、i-waza(いいわざ)ブランド認定を受けた企業として、出展。ブースは、特設大型テント内になります。切削加工のアクセサリーやレーザーカッターで作った切り絵栞などを販売しますので、ぜひ、遊びに来てください。もちろん、市外の方も大歓迎です!

川口市産品フェア2018

最近の活動

最近、自分の記事は、告知やお知らせがやたら多くて、ちょっと恐縮なんですが。それも、MAKERS LINKの活動について、話を聞きたいということで、いろいろな方、いろいろなところからお声掛けいただけているという証なのかな?とも思っていまして、ほんとうにありがたいことです。先日も、大阪の大阪産業創造館(サンソウカン)さんの「ものづくりビジネスセミナー」に登壇させていただきましたので、今回の記事はそのときのレポートとしてお届けしたいと思います。

新幹線で大阪へ出向いたのは、10月11日(木曜日)、まったく土地勘のないところで、若干の不安を抱えつつ、新大阪から地下鉄に乗り栄筋本町へ。地上に出てみると、高層ビルが立ち並ぶオフィス街、ん?東京とぜんぜん変わらいない。スマホのマップを頼りに歩き始めると、ほどなく目的地に到着。

会場に着くと、お招きいただいた産創館の志岐さんが待っていてくれました。実は志岐さんとはこの日が初対面。お声掛けいただいてからFacebookでつながったりして、すでにお友達感覚で違和感なくお土産交換など(笑)

しかし、パソコンの準備など整え、参加者の皆さんが集まりだすと、うまく話せるか不安になってきました。何しろ、場所は大阪です!どこかにお笑いのネタとか仕込んでおかないと…、なんて余計なことまで考えてしまうのですが、むしろ、すべった時の反応のほうが怖いか、とか、なんか妙な緊張感が高まって、たぶん顔に出ていたと思います。お話しさせてもらったのは「つながりで、ものづくりの可能性を大きく拡大!メイカーズリンクの革命に学ぶ」というテーマでした。

まずは、自己紹介で自社で加工している製品の紹介と、これまでの変遷を。それに絡めて、最初の切り口として「日本のものづくりを取り巻く現状」についてお話しさせてもらいました。とはいっても、自分自身は経済のことやら景気の動向について専門知識があるわけではないので、自身が体験してきた「景気の波にのまれる様」を包み隠さず披露しました。

実際、自分の周りでも、リーマンショックのころには、同業の町工場は廃業が相次いで、ずいぶんと淘汰されてしまった印象があります。その後、生き残ったところも、中国をはじめとする海外勢の台頭に苦しめられたり、IT、IoT、AIなどの発達に取り残されて脱落していったりと、なかなか厳しい現実と日々向き合っている状況があります。

話の中では、金属加工の職人として50年、3年前に他界した自分の父親のエピソードもはさんでみました。会社の経営には頓着せずに、ずっと機械に向かい続けた父親でしたが、やっぱり、仕事が好きだったろうし、それが生き甲斐でもあったと思います。

二代目社長となった自分も、その血を間違いなく継いでいて、ものづくりにかける情熱は負けていないと自負していますが、さて、父親ほどに、その仕事に没頭して生き甲斐と感じられる域に達しているかというと、違うんですね、どこか。

それは、お客様、得意先との関係性であったり、技術が進歩するにつれて、逆に腕を発揮する機会が減っていたり、どこか、面白みに欠ける?達成感が薄い?工場の中の空気もなんとなくぎくしゃくした雰囲気が漂っているような。うーん…

「ものづくりは、本来、もっと楽しい仕事じゃなかったのか?」

これが、キーワードです。次に、MAKERS LINK発足の経緯についてお話ししました。実は、ここのブログ記事を初めて書かせていただいたときの内容がまさしくそれなので、よかったら、こちらをご参考までに。きっかけは、2012年の年末に出会った「MAKERS」という本。製造業、ものづくりの世界に革命がおこる、おこっていると書いてあり、悶々とした自分の思いは、もしかしたら、この革命で晴れる日が来るのかもしれない。いてもたってもいられずに行動に移した結果が、MAKERS LINKだってことなんですけどね。

工場の現場で、失われつつある、大事な要素、つまり、楽しいはずの仕事。それが、不思議なもので、ネットやSNSの世界に改めて築かれていく。MAKERS LINKもその一翼を、もしかしたら、担えるのかもって、そんな考えを持つようになったんですね。MAKERS LINKから発信していく情報やアイデアがつながりを生んで、そのつながりが、またさらに新しいものづくりのかたちを生み出していく。これこそが、ものづくりのだいご味だし、面白さだし、やりがいだと思います。

ものづくりの世界に、わくわく、楽しい、夢を取り戻したい!

まだまだ未熟者の自分ですけど、人さまの前で、こうやってお話しする機会をいただくことで、これまでやってきたことの振り返りとこれから目指していく先を明確にすることができて、ほんとうにありがたいです。

おおむね、こんな内容で約1時間半、しゃべらせていただいたんですが、セミナーおわりで、進行役の志岐さんが、参加にみなさんにアンケートのお願いをする際に、きょうはちょっと笑いが少なかったという意見が多そうですが…、と言われた言葉が胸に突き刺さったまま、産創館をあとにすることになりました。余談ですが、その日の夜、MAKER LINK仲間に「これぞ!大阪」を満喫させていただいて、大満足しましたよ~!

大阪、ちょっと怖かったけど、大好きになりました(笑)

MAKERS LINKは今年も機械要素技術展に出てます!

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!梅雨時は憂鬱な気分になりがちですけど、こんなときこそ、あえて、ちょっとお出かけなんていかがです?東京ビッグサイトまで行ったら、いいことあるかも(笑)

【MAKERS LINK的推薦図書】

今日はまず、おなじみ、enmono三木康司さんの最新刊「True Innovation」が届きましたので、紹介させていただきますね!副題は「禅的対話で社員の意識を変えた」です。まずページをめくると、プロローグには「イノベーションという言葉にウンザリの人へ」と、ここにも、ちょっと気になるタイトルがつけられています。

「イノベーション…。うちの会社にもイノベーション推進事業部が設置されたっけ。あれ、ちゃんと結果出してんのかな?そもそも、イノベーションってなんだよ?いまさら聞けないか。カタカナのビジネスワードって意識高くって、正直よくわからないし。」ん?で、トゥルー・イノベーションって?え?なになに?「禅的」対話で意識を変えるって?

なかなかビジネス書ではお目にかからないような単語に、若干の戸惑いを感じながらも、読み進めていくと、氏が企業したenmono社が掲げる「ワクワクするモノづくりで世界が元気になる」へと、自然に理解が進んでいく…。

三木さんとは、幾度となくお目にかかっていて、あ、そのときはいつも傍らに、技術担当取締役をされている宇都宮茂さんがいらっしゃいますけど…。お二人の風貌からなのか、醸し出される雰囲気が、こう、なんというか、どこか、ふわーっと穏やかに包み込まれる感じで…。ガツガツとしたビジネスとしてのものづくりの世界とは、一線を画した世界にいつの間にか引き込まれていきます。

実際、ものづくりをワクワクするって表現しちゃうところなんかは、自分も堅苦しいことが苦手なたちだってこともあって、この感じ、勝手ながら、すごーく共感しちゃうんですよね。

というわけで、ものづくりで元気になりたい人に、栗原から、おすすめの一冊です!

展示会出展情報

さて…。今日(6月20日)は、この本を片手に電車に揺られ、東京ビッグサイトの展示会場にやってきました。はい!そうなんです!本日より3日間(6/20~22)は、第22回機械要素技術展にMAKERS LINKとしてブースを構えて、出展なんです!

展示会の詳細情報はこちらで!http://www.mtech-tokyo.jp/

機械要素技術展は言わずと知れた、製造業の国内最大級の展示会で、会場はビッグサイト全館にわたります。そんな大きな展示会ですので、我々も埋没しないように、シャレたデザインのブースで個性を発揮していますよ!イメージ図、見てください!

MAKERS LINKとしての合同出展も今回で3回目となります。今年はさらに規模も大きく、ものづくりに関連する様々な技術やサービスも有する11社+1グループの仲間たちが参加し、皆様のお越しをお待ちしております。

ではここで、今回出展する仲間たちを紹介します!

埼玉県八潮市、レーザー彫刻、株式会社 ティアンドエス ラボラトリ http://www.t-lab.co.jp/
埼玉県川口市、金属切削、株式会社 栗原精機 http://www.kurihara-seiki.co.jp/
埼玉県草加市、樹脂切削、第一ガスケット工業株式会社 http://www.daiichi-gk.co.jp/
神奈川県横浜市、IoT導入・機械商社、株式会社 イータクス http://www.e-tacs.net/
東京都江東区、無料で協力工場探し、テクノポート株式会社 http://www.techport.co.jp/
東京都中央区、プロダクトデザイン、マナブデザイン株式会社 http://mnbd.co.jp/
千葉県茂原市、耐摩耗表面処理、株式会社 日本クロス圧延 http://www.atuen.com/
静岡県湖西市、工業デザイン・機械設計、株式会社 応用技術研究所 http://www.digitalcreation-s.com/
東京都目黒区、銀ロウ付け、株式会社 佐藤製作所 http://sato-ss.co.jp/
栃木県鹿沼市、切削加工・プレス加工、有限会社 小林製作所 http://www.ksx.jp/
茨城県境町、ばね製造、株式会社 モリモト http://bane-morimoto.jp/
埼玉県川口市、草加市、吉川市、さいたま市、切削加工グループ・COOL MILLINGS

今年もほんとに個性的で素敵なメンバーがそろいました。お越しの際には、ぜひ、すべての出展社をご覧ください。きっと新しい発見や出会いが待っています!もちろん、栗原にも会いに来てくださいね!

では、最後に、告知を一つ。

こちらももうおなじみですね、IRONCAFe(アイアンカフェ)さんの週替わりイベント。6/20からは、いよいよChuzo weekになります!詳しいことは、Facebookのイベントページから、ぜひ!

町工場ぶっちゃけ対談 vol.7

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

まずは、大事なお知らせから。前回のブログでも告知しましたが…。平成30年4月13日、大安吉日、合同会社メイカーズリンクを設立いたしました!コミュニティ運営・ものづくりサポート・イベント事業を三本柱に、事業展開していくことになります。どうぞ、皆様、よろしくお願いいたします!

さて、今回は久しぶりに人気シリーズ(?)「町工場ぶっちゃけ対談」をお送りいたします。今回も進行役をダイレクトメールサービス「たより」の後藤天美さんにお願いしました。

町工場といえば、もうおなじみのあの方

ゲストは、町工場といえば、もうおなじみのあの方…、満を持しての登場です!ではでは、お楽しみください!

(ここから、聞き手・執筆は後藤天美さん)

2018年最初の対談を華やかに飾ってくれたのは、声優、司会、歌手としても幅広く活躍されている羽田詩織さん。町工場親善大使としての顔も持つ、今や町工場の社長さんのアイドル的存在!キラキラ笑顔に、おばちゃんだって思わず顔もニヤけちゃいますよねぇ。

対談場所は、前回に引き続き「ものづくりの街」2k540にある、IRONCAFe。鋳造プロダクトに囲まれたギャラリーカフェは、変わらず雰囲気が素敵です。

まずは、詩織さんに栞のプレゼント...おやじギャグか(笑)。ご存知、栗原productsレザーカッターを駆使したあの「和紙の切り絵」の栞デス。女性に人気のこの栞で、詩織さんのココロをつかむなんて、栗原さんやる~~~(*^_^*)

というわけで、毎度のことながら、なんとなくの雑談から対談がスタート!

羽田:この切り絵の栞、以前買ったことがあります。たしか、池袋サンシャインで展示会があったとき!

栗原:あ、そうでした、思い出した。としまものづくりメッセです。2014年の春頃だったかなぁ。あの展示会、物販もできるってことで、一度だけ出展したんですよね。

天美:じゃあ、お二人の出会いは、そこなんですね?

羽田:そうだと思うなぁ。そのころ、ちょうど町工場さんが大好きになり始めたところで、展示会に行けば、きっと素敵なものに出逢えるって思って出かけたんです。そこで初めてお目にかかりましたよね??

栗原:だんだん思い出してきたけど(笑)、たしか、落合さん(※1)からファクショナリーの製品も預かっていて...羽田さん、落合さんに会いに来たんだよね?そういえば(笑)

羽田:はい!金属の削り出しの定規を見て、感激しましたーー!

天美:羽田さん、でもそもそも、声優さんなのに、なんでそんなに町工場が好きになってしまったんですか?

栗原:製造業の家庭に育ったわけでもないんだよね?

羽田:きっかけは『全日本製造業コマ大戦』でしたね。埼玉でキャラクターグッズの打ち合わせの際に、革製品をつくっていらっしゃる、八潮の中村さん(通称:Jさん)(※2)とお会いしまして

天美:Jさん??

栗原:へーーー。意外な人の名前がココで出てきたなぁ

羽田:天美さん、中村さんご存知なんですか??びっくり(笑)その中村さんのお誘いで同友会(中小企業家同友会)っていうところの集まりに出かけて。そこで、緑川さん(通称:おかしら)(※3)とも出会ったんです。

天美:おかしらーーーーー

羽田:緑川さんもご存じなんですか?お二人とも有名人なんですねぇ。

栗原:まぁ、同友会つながりなんだよね(笑)。あぁ、それでコマ大戦につながっていったわけなんだね。

羽田:日本橋三越劇場で発足式のイベントがあるから、司会をやってって、お誘いいただきました。これがきかっけで、ものづくり界の皆さんと、たくさん知り合うことができたんです。

栗原:偶然っていう面もあるけれど、羽田さんの行動力が生んだ必然って思えるね。検索してみると、このイベントは2013年4月に行われてるんだよね。自分がMAKERS LINKを立ち上げたのもほぼ同時期だから、ちょっと運命的なモノを感じてしまいます(笑)

声優という仕事と製造業という仕事

天美:出会いもタイミングも、すべてが必然なんですねー。いいなぁ、そういう出会い。。あ、でも、羽田さんは本業は声優ですよね。いつ頃から、声優の仕事をしたいって思ってたんですか?

羽田:子供のころから憧れていましたー!

天美:あーー、うちの娘も言ってた時期あるなぁ。

羽田:ふふ。そういうの聞くとうれしいですね。私は両親との約束で、大学は行って。在学中にアルバイトしながら養成所に行ってました。大学卒業時に事務所に所属できてなかったので、そのまま就職してOLもやりながら、養成所に通ってましたね。とりあえずお金稼ごうと思って(笑)。

栗原:そうなんだ、どうもアイドルや声優になっているコたちって、どこか危ういカンジを受けるんだけど(^_^;)。羽田さんはちゃんと経験を積んだ大人ってわけだ!

羽田:単純に保険かけてただけですよ(笑)専門学校を卒業しただけで、事務所に所属しただけで『はい、私声優です』って言っても、実際には仕事は来ません。基礎的な技術は当たり前として、そこからは個人の力。セルフプロデュースをして、自分でアピールできないと。待っててもお仕事の方から来てくれない。

天美:うわーーー。大変な世界なんだねぇ。。。

栗原:なんか、製造業も同じだなぁ。自分には技術(技能)があるってだけで満足しちゃって、本当にそれを活かした仕事(社会に貢献できているって意味でだけど)が、できているんだろうかって、思うことあるな。

羽田:う~ん。町工場の皆さんは、まだまだ何かを誰かに伝えるってことが、苦手なのかな?と感じることが多いです。

栗原:BtoBの世界に甘んじているケース大ですね。

羽田:どんな世界だって、最後のお客様はC(個人)ですからね!

天美:伝えるって、本当に難しいですよね。どうやって自分から情報を発信したらよいかも、実はよくわかっていないというか(笑)。伝えてるつもりで、伝わってない、みたいな。

栗原:そういうことも含めてね。やっぱり、自ら発信する力が必要だって思うわけですよ。自分はSNSを使ってコミュニティをつくって、それを実践しているつもりなんだけど。コマ大戦の緑川さんや、隅田の浜野さん(※4)や、下町ボブスレーの皆さんや、他にも各地にたくさんの人がいて、いろんな活動がされていますよね。

羽田:私が初めて工場に足を踏み入れたのは、メタルDIY(※5)という、工場の屋根裏に空いている機械を置いて、一般人向けに金属加工ができるスペースを設けた、横浜の関東精密さんでした。もう、常識をぶち壊されましたーーー!知らないことだらけ!ビッグショック!いつも身近にある、あれもこれも、こんなふうにつくられていたんだ!すごい!!って。

栗原:いわゆる普通の人と、我々のようなものづくりを生業にしてる者って、ずいぶん違うんですよね。本当はすごくつながりがあるのに。

羽田:私には、製造業の言語を翻訳して、一般の方々に伝えることができるのかなって思ってます。町工場さんに行って知った感動を、もっともっと、たくさんの人に伝えたいなって。もう使命なのかもしれない(笑)

えんにち!

栗原:それで羽田さん自身も動き出すわけだ。えんにち!

天美:えんにち!って、お祭りみたいですね。なんか楽しそう。

羽田:そうなんです(*^_^*)。町工場さんを身近に感じてもらうには?、すごさを伝える為には?と考え抜いて、えんにち!のスタイルになりました。製造業は一社で完結しません。その製造過程を疑似体験して欲しくて、他ブースの作品や素材の持ち込みをOKにしています!そして、金属も樹脂も、法人も個人も関係なく出展できて、交流が生まれる。地域の活性化も目指せるでしょうし、逆に地域も関係なく、ボーダーレスなモノづくりを体験できる!「町工場たいけん!」を目指してます!ここでも会場をご提供くださっているニットーの藤澤さんほか、もう名前を挙げきれないほどの町工場の皆さんにご協力いただいていて。本当に感謝しています。

栗原:えんにち!にも参加させていただきましたけど。すごーく楽しかったし、いい経験ができました。一般の人、お子さんやそのご家族と、自分のつくったモノを通して会話が弾んだり、直接製品を買ってもらったり。

町工場やものづくりの話になると、ますます瞳がキラキラして、たくさんの想いをたくさんの笑顔で語ってくれた羽田さん。アイドル、ではなく、一人の「人」としての魅力を存分にうかがい知ることができ、もう私も、すっかりファンになってしまいました。

羽田:何も知らない向こう岸の人を、こっちの製造業の世界へ連れてくる。こんなに面白いんだよ!見てみて!って。私がお話しする「声」を通して、その架け橋になれたら良いなと思ってます。えんにち!には、そのチャレンジの1つ。少しずつでも、ふつうの人と町工場の皆さんとの距離を縮めていけたらうれしいです!

あ、しまった、色紙がない。。とっても失礼ですが、ノートにサインを、なんてお願いも、キラキラ笑顔で応えてくれました。

羽田さんの今後の声優としてのご活躍、また、ものづくり親善大使として、町工場の皆さんの想いがたくさん響くよう、応援してます!!

栗原さんも、羽田さんとのツーショット写真、いつもよりも、表情がとっても柔らかいようにしみじみと思いつつ。。。にやけてるワケではないですよね(笑)次の対談、どこかな、誰かな。お楽しみにしてくださいね!

というわけで、異色対談(?)、いかがでしたか?いつも明るく元気な町工場親善大使、羽田詩織さん!実は、じっくりとお話しするのはこれが初めてでした。ここには書けない裏話もたくさんしてくれましたよ。ほんと楽しい時間でした。

※1 落合孝明さん プロダクトブランド ファクショナリー
※2 中村忠裕さん ジェイクラフトマン
※3 緑川賢司さん 全日本製造業コマ対戦
※4 浜野慶一さん 株式会社浜野製作所
※5 杉田 勇さん メタルDIY

対談の中でも話題となっていた「えんにち!」ですが、次回は、4月28日(土)、横浜市の(株)ニットーの駐車場にて​開催されます。羽田詩織さんに会いに、皆さん、ぜひ、お出かけください!詳しくは、えんにち!ホームページで。

さらに告知は続きます。

今回の対談にも使わせていただいたIRONCAFeでは、今年4月からイベントが目白押しです!

現在開催中の「Spring has come ~バネが来た~」に続き、5/10から「Iron Week “Press”」、5/17から「Iron Week “Sessaku”」、5/24から「NEJI week」など、金属加工をテーマとした展示やグッズ販売、さらにトークショーなどが行われます。

ちなみに、”SESSAKU(切削)”は、私、栗原がメインパーソナリティーを務めさせていただきます。よかったら、足を運んでみてください!詳しくは、IRONCAFe(アイアンカフェ)のFacebookをご覧ください。

ものづくりベンチャーと町工場の連携が進まない理由

ものづくり経革広場の徳山です。先日「経済産業省がものづくりベンチャー支援するネットワーク作りに乗り出す」というニュースを見つけました(以下、毎日新聞の引用)。

経済産業省が、「ものづくり」を手がけるベンチャー企業の製品試作を支援するネットワーク作りに乗り出す。製品のアイデアを持つベンチャー企業と、既存の町工場のものづくり技術を結びつける拠点「スタートアップファクトリー」を民間施設の中から選定し、2018年度から設備導入補助や人材育成支援を実施する。ベンチャー企業が、市販レベルの製品を試作する段階で事業に行き詰まる「量産化の壁」を解消するのが狙い。

以前から同様の取り組みは各地で行われていましたが、経済産業省が本格的に乗り出す、ということで大きなニュースになっていました。そもそも何故ものづくりベンチャーと町工場がうまくマッチングせず製品開発がうまく進行しないのでしょうか?両者との接点が多い弊社なりの理由をいくつか考えてみました。

①町工場がものづくりベンチャーとの取引を嫌がる

多くの町工場がメーカーからの下請け仕事に慣れてしまっていて、図面がないと物を作りたがりません。ものづくりベンチャーの仕事は面倒な割に利益にならないのでどうしても積極的に引き受けようとは思わないようです。また、金型製造など大きな資金を要する製造案件の場合、資金回収のリスクが発生するため取引に至らない要因にもなっています。更に加えると年齢差(ジェネレーションギャップ)から生まれるコミュニケーションロスも大きく、取引を敬遠される要因になっていると思われます。

②ものづくりベンチャー側の知識不足

次に指摘するのが、ものづくりベンチャーの多くが初めて製品開発に挑戦するため、製品を製造するのにどれぐらいのコストがかかるか分かっていないということです。3Dプリンタなどの機器が流行した影響でものづくりのハードルが下がったように感じていますが、それは試作の話で量産に関してのハードルは全く変わっておらず、そのギャップを理解できていないことが多いようです。

③製品製造における横断的な知識を両者が持っていない

町工場は製造におけるプロだと見られるが、多くの会社がニッチで部分的な仕事しかしておらず、自社の設備でできることを前提に考えてしまうと最適な製造法を提案できる訳ではありません。なので、どのような素材・加工法が最適で、どのような協力工場が必要かをコーディネートできる存在にはなりにくいです。最適なコストでスピーディに製品を製造しようとした時に、全ての部品を一から作るのではなく、既製品などの活用も視野に入れて設計することも必要で、その辺りの知識も必要となります。

ゆえに、上記のような問題点を払拭できるような民間施設と連携しないと当取組はうまくいかないのではないかと考えています。具体的には、積極的に協力してくれる町工場のネットワークを築くこと(日頃の人間関係から多少無理も聞いてくれるような)、ものづくりベンチャー側の製造に関する教育を行うこと、両者の間に立ちコーディネートできる人材の確保、などが必要になるのではないでしょうか。

また、ものづくりベンチャー側が初期投資におけるリスクを全面的に背負わなければならない現状も製品開発における大きな阻害要因になっていると思われます。クラウドファンディングなどの解決手段もありますが、寄付者へのリターンなどのコストも考えると十分な資金源にはならないことが多いです。もっとリスクを分散する仕組みが求められます。

資金調達に関しては、今後ものづくりベンチャー向けのベンチャーキャピタルなどが増えてくると思われるので、リスクを全面に背負うケースも減っていきそうです。しかし、ベンチャーキャピタルに今後求められる支援として、資金やマーケティング面の支援だけでなく、上記のような製品製造におけるコーディネータ的な役割を担うことも必要となるのではないでしょうか。

記事の最後の方に「事業化を目指す会員に深センの企業から支援の声がかかっている。このままでは事業アイデアが海外に流出してしまう」とありますが、この脅威はとても大きいと思います。こういう話を聞くと「コストが安いから中国企業」と思われがちですが、深センなどの企業と取引する会社はコスト以外のメリットを感じています。それが分かりやすく表現されている四コマ漫画がありますので最後にご紹介します。これを見ると町工場側の変革も求められそうですね。。