テレビ画面や新聞誌面の投稿はNG!SNSでよく見るキケンな行為

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業に強いライターとして、さまざまなメーカーのコンテンツ作りに関わっています。近年では知名度アップやつながりを作るためにSNSを活用する企業も増えてきました。しかし楽しく手軽なSNSでも、守らなければならないルールがあります。

テレビ画面を写真に撮ってアップしない

自社がテレビに取り上げられたり、自社製品がドラマなどの小物として使用された場合、ついついそれを宣伝したくなりますね。実際にテレビで取り上げられた事実は、宣伝として高い効果を持ちます。しかし、テレビ画面を写真に撮ったり、キャプチャしたものをSNSにアップしてはいけません。テレビに流れる映像は著作物ですので、著作権法違反に該当します。

例外的に、引用という形でテレビなどの映像を使用する方法はあります。例えばテレビの1シーンについて、それを題材として持論を展開したり、製品を紹介する際などです。あくまでも自分の発信が主であり、テレビの画像はテーマに対する資料として扱われる場合には、引用の範囲であると認められる場合もあります。しかし特にTwitterなど、SNSでは論じる言葉の長さにも限界があります。ですから、引用という形にするのが難しい可能性もあります。テレビで紹介されるのは誇らしいことで、SNSなどに上げたくなる気持ちは分かるのですが、画面の写真や動画は基本的にはSNSにアップしないようにしましょう。一方、社員食堂の様子を映した写真に、偶然テレビが映り込む程度であれば、あまり問題はありません。

新聞や雑誌の誌面もSNSにアップしてはいけない

とくにFacebookではよく見るのですが、新聞や雑誌の誌面の写真もSNSに上げてはいけません。私的利用といって、自分自身の記念などとして写真に撮っておく分には構わないのですが、SNSなどに投稿するのは私的利用の範囲を超えてしまいます。そのため、基本的には許可されていません。しかし新聞の場合、テレビとは異なり、利用申請が可能です。自社のウェブサイトやブログなどに、メディア掲載実績として載せたい場合などは、掲載された新聞社に問い合わせ、利用申請を行うといいでしょう。

SNS上で流行るネタにも注意

とくにTwitterでは、マンガの1シーンの吹き出しに別の言葉を入れて面白さを競うような、いわゆるネタ遊びが流行ることがあります。他にも海外映画の歌唱シーンに合わせて、全く違う字幕をあてるネタや、アニメなどのワンシーンを切り取り、それにコメントを加える形で笑いを取りにいくネタも少なくありません。しかし残念なことに、その多くは著作権の侵害に当たるものです。いくつかのケースにおいては、流行状況を楽しんだ作者が特別に許可を出しているものもあります。しかし、丁寧なリサーチをしないと、それが本当に許可されたものか否かは分かりません。

人気のアカウントになるためには、日々の投稿だけでなく、その時々の話題にすかさず乗るスピード感や、ユーモアを感じる投稿、他のユーザーとの気楽なやりとりが欠かせません。近年ではTwitterの企業アカウントでも、そのような特徴を備え、多くのフォロワーを獲得しているケースも多く見られます。

しかし人気のネタだからといって、著作権を侵害した投稿を行えば、企業としてのモラルを疑われ、信頼を落としてしまいます。乗っていいネタと乗るべきではないネタを見極める選球眼を持ちましょう。

「モノカク」を運営するテクノポートでは、2020年4月28日にオンラインで行ったセミナーを皮切りに、オンライン、オフラインを問わない「技術ライティングセミナー」も展開しております。社内メンバーでWebサイトの運営を考えている、製造業向けに情報発信スキルアップの講座を開催したいなどございましたら、お気軽にお問合せください。

お役立ち系オウンドメディア立ち上げの心得

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業に強いライターとして、さまざまなメーカーのコンテンツ作りに関わってきました。その経験を元に、お役立ち系オウンドメディアを立ち上げる上で注意すべきことをお伝えします。

道のりは長い。目的は明確に

まず最初にお伝えしておきたいのは、お役立ち系オウンドメディアの立ち上げには非常に多くの労力が必要です。その理由を以下に説明します。

  • 記事の質が必要
  • 記事の量が必要
  • 記事の密度が必要

お役立ち系メディアで重要なのは、検索キーワードを含んでいることだけではありません。集客のためには読んでいて「ためになった、分かった」と思わせるだけの記事の質が必要です。上手い具合に検索からたどり着いてもらっても、読むに値しない記事では、集客につながるどころかマイナスの評価をつけられてしまいます。

また記事の量も必要です。どんなにいい記事を用意しても、その数が少なければ「企業のサイト」として信頼感を得られません。例えばお役立ち情報の仲間である料理レシピを集めたサイトをイメージしてください。どんなに美味しいレシピがあっても、レシピの数が1つや2つしかなければ、そのサイトを訪れる回数は増えません。ユーザーに「困ったときにはここを見ればいい」と思ってもらうためには、ある程度豊富なお役立ち情報記事が必要です。

また情報の密度も重要です。掲載されている記事の数が多くても、同じジャンルの記事が少なければ役に立ちません。先ほどの料理レシピサイトの例を用いるならば、料理の総数が多くてもジャンルが広がりすぎていて「卵レシピ」や「和食」と検索しても数本のレシピしか出てこない状況です。例えば不意に大量の卵が手に入ってしまったときのように、困りごとがあって検索する場合には、近しいジャンルの記事がある程度そろっていなければ「ためになった」とは思ってもらえないのです。

できるだけ短い時間で質、量、密度を確保するためには、目的を明確にし、突き進む必要があります。途中で目移りし、頻繁に方針を変えていたのでは、いつまでも目標を達成できないでしょう。

焦って他社と比較をしない

SEO対策をする上で、検索された数などを分析し、成果を確かめるのは重要です。しかしお役立ち系記事の場合、すぐには結果につながりません。

第一の理由として、前述の通り、お役立ち系記事は1記事、2記事を上げた程度では集客につながりません。長い目で見て、じっくりと実績を積み上げていかなければならないのです。またオウンドメディアの立ち上げはもう何年も前に着手し、すでに手引書レベルの情報を揃えている企業も少なくありません。数本の記事を上げた程度で、そういった企業と同様の成果を得ることはできません。記事の内容に独自性を出そうと考えるケースもありますが、基本的に知識は体系だっているものであり、正しいつながりや展開を無視するわけにはいきません。肉じゃかのレシピが多少の差はあれど、だいたい同じなのと同じように、知識を伝えようとする記事で独自性を求めるのは得策とはいえません。

継続は力なり。コツコツ続けましょう

お役立ち系オウンドメディアに限った話ではありませんが、情報発信を集客につなげる際に最も大切なのは、コツコツと続けることです。お役立ち情報系のオウンドメディアを立ち上げるのは、教科書を丸ごと一冊書き上げるくらいのエネルギーが必要になります。もしかしたら長い時間がかかってしまうかもしれません。それでも情報に厚みが増せば増すほど、強いメディアに成長するのも事実です。

お役立ち系オウンドメディアを立ち上げる際には、まず目的を明確にし、地道に記事を増やしていきましょう。

製造業向け「伝わる文章の書き方講座(4/4)」

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業に強いライターとして、社長挨拶の代筆から、技術紹介、助成金の申請書などなど、さまざまな文章を書いてきました。その経験を元に、製造業に特化した「伝わる文章の書き方」を全4回にわたってご紹介します。

第4回目は「目的別、文章の型の紹介 Part2」です。前回までは、文章を書くための準備や文章を書くテクニックをはじめ、紹介記事と活動報告、2つの目的に使える文章の型をお伝えしてきました。最終回の今回も、その他の目的に合わせた文章の型をご紹介します。

1.知識共有記事は最初にテーマを明らかにせよ(製品の選び方、技術の基礎知識)

企業が提供する製品やサービスの選び方、製品やその周辺技術の基礎知識を伝えたいときには、次の型が使えます。

  1. テーマ(何についての文章なのか)
  2. 理由、知識の詳細
  3. 結論
  4. 締めの一言

大切なのは、最初に「何について伝えたいか」を述べることです。この記事でも、冒頭で「文章の書き方」のなかでも「目的に合わせた文章の型」について伝えると述べています。近年では学校の授業でも、単元の目的を明らかにしてから授業を進めるところもあるようです。先に目的を述べておくことで、そのあとの文章が頭に入りやすい効果があるといわれています。

1つの文章にたくさんの知識を詰め込もうとすると文章が長く、分かりにくくなりますので、1つの文章には多くても3つの項目が入る程度にまとめましょう。3の結論までで終わっても大丈夫ですが「製品選びの際にはこの内容を参考にしてみてください」など、締めの一言があると、教科書的でない温かみが出てくるので、Web上の記事などではよく使われています。

2.主張から書く(ブログ・コラム等)

会社の情報を外に発信するためのブログやコラムに使える文章の型は次のようになります。

  1. 主張
  2. 理由
  3. 具体例の提示
  4. 結論(主張を再度繰り返す)

短めのコラムなどは1と2だけでも大丈夫です。一方でオウンドメディアなど、ある程度の文章量が必要な場合には4までを書くといいでしょう。ポイントは先に主張を述べることです。ブログやコラムは内容も自由度が高い分、書き方に迷うケースも多いかもしれません。しかし、この型を基本に自分に合った展開を見つけてしまえば、考えたことを文章に落とし込むフローが作りやすくなります。

オウンドメディアなどで固定の読者を獲得したい場合には、口調や締めの言葉、テーマの切り口などに特色を出してみるのも一つの手です。第2回でもお伝えした通り、不正解がない当たり障りのない表現に逃げず、一歩踏み込んだ表現をすることで、読み物としての質が格段に向上するでしょう。

3.結論と理由のみを端的に述べよ(申請書類等)

助成金や補助金などの申請書類で必要な文章の型はこれだけです。

  1. 結論
  2. 理由

申請書類で大切なのは、さらっと流し読みをしても内容が理解できることです。そのため、結論と理由のみのシンプルな構成にするといいでしょう。多くの場合、審査を行う人は短期間に大量の申請書を読む必要に迫られていますので、結論や理由が見えにくい文章は不利になります。文章として当たり前ではありますが、主語を明確にし、正しく伝わる文章を書きましょう。

また申請書類を書く際には、会社の沿革や同業他社との比較など、自社や組織の紹介も必要になるケースがあります。その際には、前回にお伝えした紹介記事の型を参考にしてみてください。

製造業向け、文章の書き方講座はこれで最後になります。文章が必要になる様々なシーンで、この講座を参考にしてみてください。

製造業向け「伝わる文章の書き方講座(3/4)」

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業に強いライターとして、社長挨拶の代筆から、技術紹介、助成金の申請書などなど、さまざまな文章を書いてきました。その経験を元に、製造業に特化した「伝わる文章の書き方」を全4回にわたってご紹介します。

目的別、文章の型の紹介

第3回目は「目的別、文章の型の紹介」です。前回までは文章を書くための準備や、ちょっとしたテクニックについてお伝えしてきました。その中で、文章には目的ごとに型があり、目的に合わせた型に沿って書くと文章が書きやすいことに触れました。そこで今回は、目的ごとの文章の型をご紹介します。

1、紹介記事は事実と特徴を手短に述べよ(ホワイトペーパー・製品紹介等)

ホワイトペーパーや製品紹介など、企業がもつ技術について伝えたい文章の型は次のようになります。

  1. それは何か(何の会社か)
  2. 何に使うのか(何ができる会社か)
  3. (他社や旧製品に比べて)どこが、どう素晴らしいのか
  4. 3によって何が可能になるのか

ポイントは事実を淡々と伝えることと、特徴を端的に伝えることです。このときに注意しなければならないのは「新たな価値観を創造する」や「最先端の技術が拓く未来」のような、カッコいいけれど実体のない言葉に逃げないこと。第2回でもお伝えしましたが、このような言葉からは何の事実も分かりません。

機密などの問題もあり、表現が難しい場合もあるとは思いますが、自社の良さを伝えるためにも、一歩踏み込んだ内容を盛り込みましょう。また、他社や旧製品との比較も大切です。よほど唯一無二のサービスであれば問題はありませんが、多くの企業では競合他社との競争に勝たなくてはなりません。類似サービスや製品、旧製品との比較を入れ、自社の優位性を伝えましょう。

またこのときに言葉に頼りすぎると、文章だけが長くなる可能性があります。図や表、写真も併用しながら、分かりやすく表現しましょう。

2、活動報告は5W1Hを意識せよ(導入事例や展示会レポート)

タブレット

技術や機械、システムの導入事例や、展示会への出展の様子を伝えるときには、次のような型が使えます。

  1. いつ、どこで、行ったか
  2. 何のために行ったか
  3. 何をやったのか
  4. どんな結果が出たのか

当たり前のように思えますが、どこかが抜けると伝わらなくなるのが活動報告の特徴です。伝え漏れが出ないよう、型にそって情報を整理しましょう。また意外と失念しがちなのが、1の、いつ、どこで行ったかを書くことです。特に実施した年(年号)は抜けがちです。

Web上の記事であっても、印刷される記事であっても、何かの拍子に数年前のものが見返される可能性は少なくありません。記事内で紹介されている活動報告が新しいものなのか、古いものなのか、すぐに判別できるようにするためにも、実施日の表記は年からスタートさせるといいでしょう。特に展示会の場合、同じ名前の展示会が数年おきに同じ都市で開催されるケースも多いですから、年号の表記は大切になります。

また実施された(する予定の)場所を伝える際には、必ず都道府県から記載しましょう。仮に県庁所在地であったとしても、市町村の場所は遠方の人には分からないものです。また「丸の内」のように、国内に複数の同じ名前の地名がある場合もあります。正確さを求めるためにも、都道府県を書き忘れないようにしましょう。

次回はライティング技術シリーズの最終回。製品の選び方やコラム、申請書などの文章の型をお伝えします。

製造業向け「伝わる文章の書き方講座(2/4)」

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業に強いライターとして、社長挨拶の代筆から、技術紹介、助成金の申請書などなど、さまざまな文章を書いてきました。その経験を元に、製造業に特化した「伝わる文章の書き方」を全4回にわたってご紹介します。

第2回目は「今すぐ使える、文章を書くためのテクニック」です。前回、文章を書くための準備についてでは、事前にターゲットを絞ることや、伝えたい情報を整理しておく必要性を述べました。準備が済んだらいよいよ文章を書くわけですが、今回は書く前に知っておくといい、ちょっとしたテクニックをお伝えします。

1、不正解がない言葉に逃げず、踏み込んで表現せよ

製造業でありがちな表現に「新たな価値観を創造する」や「最先端の技術が拓く未来」のようなものがあります。カッコイイですし、何かすごそうな気がします。しかしこれらの言葉から何が分かりますか?

正直に言いましょう、何も分かりません。

必要なのは「何をどうするか」が分かることです。この場合ならば、新たな価値観や最先端の技術が生み出す未来はどういうものなのか。例えば「車の長距離運転は疲れるという常識を、自動運転システムで打ち破る」とか「まるでその場にいるように、クリアな音声が聞こえるWeb会議」など、どんな技術で何ができるのか、具体的な例も交えて実のある情報を伝えましょう。

このような言葉が出てくる原因は、情報の削りすぎです。第1回でお伝えした情報の整理が不十分で、伝えたい内容が明確になっていないため、何となく耳ざわりがよく何も間違っていない表現に落ち着いてしまうのです。例えばテレビのCMのように、とにかく短時間で社名を印象づけたいときには有効かもしれませんが、Webサイトやパンフレットなど伝えるための時間が十分にある場所では、実情に踏み込んだ言葉で伝えましょう。

2、少しだけ見栄を張れ

文章を書くときに言葉が思い浮かばない原因は、思いつく言葉の数の少なさです。文章を書くためには語彙力を伸ばせといわれがちですが、普通に生活し、普通に仕事をしている大人であれば、一般的な語句はすでに習得しているはずです。古風な時代小説を書こうとしているわけではありませんから、無理に知っている単語を増やす必要はありません。しかし、外に向けた文章を書くときは日常会話に比べ、たくさんの単語や言葉を使う必要があります。つまり文字としてアウトプットする習慣がついてしまえば、言葉はいくらでも思い浮かぶようになるのです。

とはいえ今から訓練し、習慣をつける時間はありません。そこでおすすめなのが、少しだけ見栄を張る方法です。例えば「鍛造用加熱炉」よりは「大きな鍛造用加熱炉」の方が伝わりますし「1,000tを超える鋼の塊を加熱する鍛造用加熱炉」と書いたほうが迫力が伝わります。どれくらいすごいのか、どれくらい売れているのか、少しだけ見栄を張るつもりで書いてみると、様子を表す言葉が思いつきやすくなります。

3、1回で伝えるテーマは少なくせよ

文章が書けない悩みの1つが「伝えたいことが上手くまとまらない」です。これは1つの文章にいくつもテーマを盛り込もうとするから起こります。例えば「昨日の出来事」で文章を書こうとすると悩みますが「昨日の夕食のメニューの内容と感想」であれば書きやすいと感じませんか?昨日の出来事と考えると、食べたものの話や人と会った話など様々なテーマが出てきて、頭の中がまとまらなくなってしまうからです。テーマが絞れていればいるほど、文章は書きやすくなります。第1回でもお伝えした通りまずはきちんと情報を整理し、テーマがいくつもある場合には、段落や章、ページを分けるなど、1つの文章の中に無理に押し込まないようにしましょう。慣れないうちは1つの文章には1つのテーマだと考えていいでしょう。

今回は文章を書くテクニックについてお伝えしましたが、こうしてみると第1回でお伝えした文章を書く準備がいかに大切かが分かりやすいのではないでしょうか。テクニックや型はあれど、文章は準備が9割。しっかりとターゲットを分析し、情報を整理しましょう。

次回は目的ごとの型についてお伝えします。

製造業向け「伝わる文章の書き方講座(1/4)」

元エンジニア。工業系エンジニアライターの石川です。製造業に強いライターとして、社長挨拶の代筆から、技術紹介、助成金の申請書などなど、さまざまな文章を書いてきました。その経験を元に、製造業に特化した「伝わる文章の書き方」を全4回にわたってご紹介します。

第1回目:「文章を書くための準備」

何かを書こうと思って、いきなり冒頭からスラスラと書ける人はいません。プロのライターでも、多くの時間を事前準備に費やします。何の準備もなく書きはじめ、まるで話すように書き続けているとすれば、それは頭の中で十分に「ネタ」が練れているときです。準備を抜きに文章を書くのは、まず不可能と思っていいでしょう。「文章を書くための準備」は次の3つです。

1、ターゲットを絞り、分析せよ

以前のシリーズでもお伝えしましたが、まずターゲット、つまり読む人がどんな人かを絞らなければ文章は書けません。例えば同じ分野の専門家に向けた文章ならば「VF20の精密加工が可能」と書けば伝わります。しかし一般の人や、違う分野の人には伝わりません。「とても固い金属に非常に細かい加工をすることができます。」と書かなければ、何を言いたいのか分からないでしょう。しかし逆にその表現では、専門家にとっては、どれくらい硬いどんな素材を、どれくらいの精度で加工できるのかが伝わりません。ターゲットが変われば、表現の仕方も伝えたいことも変わります。誰に何のために何を伝えるのか、そしてそのターゲットにはどうすれば伝わるのかを考えましょう。

2.情報を整理せよ

ターゲットが絞れたら、次は情報の取捨選択です。次から次へと伝えたいことが出てきてしまう人もいれば、何を伝えたらいいか全く思いつかない人もいます。情報が多すぎる場合には削り、少なすぎる場合には増やさなければいけません。しかし考え方は同じです。それは「ターゲットにとって必要な情報」という目線です。

例えば、新製品の紹介でも、従来機種とは異なる新機能について知りたいのか、製品の使い方や用途が知りたいのかは、ターゲットによって変わります。新規購入希望の人に新機能ばかりアピールしても伝わりませんし、機種のアップグレードを望んでいる人に用途を説明してもあまり意味がないからです。書こうとしている文章で何を伝えたいのかをしっかりと整理すれば、文章の流れもおのずと決まってくるのではないでしょうか。

3.目的ごとの「型」を知ろう

学生時代の国語の学習では、文章の基本は起承転結だと教わります。起承転結というのは文章の「型」です。型に沿って文章を書くと、伝わりやすく読みやすい文章になるのです。とはいえ、すべての文章が起承転結で書かれている訳ではありません。実は文章の「型」にはたくさんの種類があるのです。製造業のホームページ活用などで多く出てくる文章には、下記のようなものがあります。

  • 紹介記事(ホワイトぺーパーや製品紹介)
  • 活動報告(導入事例や展示会レポート)
  • 知識伝授記事(製品の選び方や関連技術の基礎知識)
  • 一般向けPR(ブログやコラム)

また少し雰囲気は変わりますが

  • 申請書類(助成金や補助金などの会社PRや設備の説明)

も多いのではないでしょうか。

書こうとしている文章が、これらのうちどれに該当するかを考えてみましょう。もし合致する項目がなくても、おおよその方向性で決めてみてください。該当する、あるいは近い型に沿って書くことで、慣れない人でも簡単に伝わる文章が書けるようになります。

次回は今すぐ使える、文章を書くためのテクニックをお伝えします。