脱!御用聞 | 製造業の営業×ブランディング3つのステップ

  • 「受注をとりたくて、また値引きしてしまった…」
  • 「納期が厳しいが受けるしかない…」
  • 「今回は苦しいけれど、きっと次につながるはず…」

このような営業結果が続いている場合は、「技術」と「価値」が結びついていない伝え方をしているのが、原因かもしれません。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

企業が抱える3つの課題

①御用聞き・下請け体制を続けている

長年続く大口顧客との契約。非常にありがたいものですが、もし、売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要です。気候変動や世界情勢による先行きの見えない時代で、ある日突然契約を打ち切られる可能性があります。このようなリスク回避のためにも、御用聞き・下請け体制から提案型の営業スタイルにシフトしていきましょう。

②商談が商品紹介で終わっている

やっと漕ぎ着けた商談でも、顧客に自社商品を魅力的に感じてもらわなければ意味がありません。しかし、商談で自社商品やサービスの紹介で終わっているケースがあります。「買って欲しい」というのはこちらの都合であり、顧客が価値を感じて購入決定するのとは別物です。商談で話している内容が商品紹介だけになっていないか、一度確認してみましょう。

③顧客の真のニーズに触れていない

顧客がほしいのは、「技術」そのものではなく「成果」です。
あくまでも「技術」は手段のひとつです。顧客の本当の目的は、高い技術自体でははく、自社の売上や効率アップだということを忘れてはいけません。 だからこそ、クライアントに本当に響くのは、ビジネスの成果につながる「成果」の提案です。単に製造を請け負う会社としてではなく、自社のブランドから顧客のビジネスを支援するという商談が、一歩進んだこれからの営業のあり方なのです。

営業×ブランディングで解決する3つのステップ

Step.01:既存顧客・休眠顧客へのアプローチ

新規顧客へのアプローチは、既存顧客・休眠顧客に対して5倍のコストがかかると言われています。コストというのは広告などの販促費だけでなく、時間などの人的コストなども含まれます。そこで、効果的なのが既存顧客・休眠顧客へのアプローチです。契約が途切れてしまった既存・休眠顧客に対して伝えていない情報はないでしょうか?まだ伝えていない自社の取り組みや新製品を持ってアポイントを取ることで、取引を再開するきっかけを作ります。

Step.02:事例の言語化・数値化

顧客にとって購入決定の材料となるのが、「事例」です。事例というのは過去に行ってきた案件の中で具体的に引き合いに出すことのできることです。ここでポイントなのが、「言語化」と「数値化」です。まず、技術系企業の場合、自社の技術を当たり前のものと捉えてしまい、端折ってしまいがちな工程もきちんと言語化する習慣をつけましょう。さらに工程において、数値化できるものは徹底的に数字に落とし込みます。そうすることで顧客は、事例からあなたの会社の商品やサービスの効果やメリットを理解しやすくなるのです。

Step.03:顧客のビフォー・アフター

購入決定への意欲をアップさせるために、もう一つできることがあります。それは、Step.02の事例の言語化・数値化と併せて、顧客のビフォー・アフターを伝えることです。顧客のそもそもの悩みは何であるか、またその悩みが解決された顧客はどうなったのか。あなたの会社の商品やサービスの効果やメリットと、顧客にもたらす変化を一連のストーリーとして伝えることができるで、顧客の期待感が増すのです。

裏取りされても慌てない ブランディングで対等な関係を構築する

最後になりますが、営業活動に出る前に、自社のブランドが整えておくこともポイントです。なぜなら営業活動ではアポイントが取れた直後に商談というケースは少ないものです。そのため、相手はアポイント獲得から商談までの間に、あなたの会社や事業の情報、お客様の声などの情報を事前に収集する、「裏取り」をしています。絶対に受注を取りたい商談の前でも、裏取りにも慌てないように日頃からブランディング施策を行うことで、営業活動も効果的に行うことができます。

The post 脱!御用聞 | 製造業の営業×ブランディング3つのステップ first appeared on モノカク.

製造業におけるプロダクトマーケティング推進の手法

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はプロダクトマーケティングをテーマにお話しします。

プロダクトマーケティングは製造業のマーケティングの要となる存在であり、専門組織を置く企業も多いと思われます。一方、企業によってその役割や求められるものが微妙に異なることが多く、どう進めていけばよいか迷う方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、プロダクトマーケティングの業務担当者や管理者の方に向けて、プロダクトマーケティングで求められる役割や、進め方や準備すべきコンテンツなどについて解説します。

プロダクトマーケティングとは?

プロダクトマーケティングは、製品サービスを市場に浸透させる一連のマーケティング活動を指します。製品サービスのコンセプト企画や販売戦略の立案・推進を行い、発売後の顧客生涯価値であるLTV(Life Time Value)を最大化します。

プロダクトマーケティングの役割

プロダクトマーケティングは、業界や企業によって求められる役割が異なります。拡販活動を主軸に置く場合もあれば、企画開発から販売後までの全プロセスを見る場合もあります。また、さまざまな関係組織との連携が必要です。開発部門、営業部門、生産部門、品質管理部門など、製品に関わるあらゆる部門が対象になります。

プロダクトマーケティングのプロセスと推進方法

プロダクトマーケティングは、大きな流れとして、以下の7ステップがあります。

  1. アイデア検討
  2. 市場/競合分析
  3. 製品ポジショニング
  4. マーケティングミックス
  5. 実行計画
  6. 発売時の対応
  7. 顧客満足度向上(発売後)

ここでは、各プロセスの概要と推進方法についてお話しします。なお、プロダクトマーケティングでは、これらの業務を遂行する上で、関係する部門への情報伝達と意識合わせを行うことも求められます。

1.アイデア検討

まず行うのは、製品企画の種となるアイデアを創出することです。これは、次で説明する市場や競合分析と一緒に行うこともあります。

アイデアの創出は、既存プロダクトの延長の場合と、完全に新規で企画する場合とでやり方が異なります。既存プロダクトの延長製品の場合、営業やカスタマーサポートなど顧客と直接接点がある関係部署からニーズや課題をヒアリングしていきます。その上で、そのニーズ/課題に応えるアイデアを着想することになります。

全くの新規で企画する場合、プロダクトマーケティング担当者が顧客の声を収集することが有効です。営業などの顧客訪問に同行して、直接顧客と会話し、顧客自身の発言を拾っていくとよいでしょう。別の方法として、リサーチ会社など外部の知見を借りて、アンケートやインタビュー調査を実施するやり方もあります。外部の知見を借りることで、新たな着想を得ることが可能です。コストはかかりますが、他者視点を組み合わせるのは効果的です。

アイデアはひとつだけではなく、できるだけ多く創出しておきたいところです。その上でアイデアを整理していくことになります。

2.市場/競合分析

アイデアを整理したら、それをもとに対象となる市場や競合の分析をしていきます。

市場分析では、そのアイデアが活用できそうなポテンシャルのある領域について調査します。現時点でどのような用途があるのかだけでなく、将来的に応用できそうなものは何かというところまで考えていきます。

同時に、競合となり得る製品やサービスも調査します。類似の他社製品だけでなく、広義の意味で製品を置き換える可能性のあるものはすべて視野に入れて考察していきます。

市場と競合がしっかりと分析されていると、自社のアイデアの立ち位置や、攻めるべきターゲットをどこに置けばよいのかが見えてくるはずです。

3.製品ポジショニング

ポジショニングは、市場における立ち位置を明確にすることです。製品やサービスの属性(セグメント)を2つの軸で考え、顧客から自社がどう見えてほしいか立ち位置(ポジション)を考えていきます。

2軸となる属性には、製品の機能や価格、ユーザビリティ、拡張性などがあげられます。例えば以下のようなものです。

  • 価格(安い)
  • 操作性(使い易い)
  • 機能(高機能/多機能/シンプル)
  • 品質(安全/長持ち)

4.マーケティングミックス

ポジショニングを行ったら、これまで検討したコンセプトをもとにマーケティングの実行戦略を考えていきます。マーケティングの4Pといわれるフレームワークに当てはめて検討するとよいでしょう。ここでの「4P」とは、

  • どんな製品を(Product)
  • いくらで(Price)
  • どこで(Place)
  • どうやって売るか(Promotion)

のことです。その際、顧客にとっての製品価値やコスト、入手手段に関する現状・課題・ニーズなどを調べておくと検討しやすくなります。なお、扱う商材によっては、Person(対象)/Package(パッケージ)/Process(業務プロセス)の要素を考えていくこともあります。

5.実行計画

製品サービスの発売前には全体の進め方や販促計画、顧客対応をどうするかなどの計画を立てていきます。プロジェクト全体の進捗を管理し、発売に合わせ具体的にどうアプローチしていくか考えるとよいでしょう。

プロダクトローンチのような発売前の取り組みも行うこともあります。プロダクトローンチとは、発売前に見込み顧客を集め、部分的に情報提供を行い顧客の購買意欲を高める手法です。

6.発売時の対応

製品の発売と同時に、プロモーション、営業をスタートします。

製品を発売すると、その製品に関心がある顧客から製品の仕様や価格、入手手段などの問い合わせを受けることになります。そのため事前に、問い合わせに対するサポートをどうするかを検討しておきます。また、製品不具合、配送トラブルなど不慮の事態に備えた対応も必要です。

問い合わせは営業や販売店、CS、広報など、さまざまな関係部署から寄せられます。それらの情報は一元管理して、関係部署間で共有しておいた方がよいでしょう。今後、改善ポイントを洗い出しPDCAを回していくために必要となります。

7.顧客満足度向上

プロダクトマーケティングは販売して終わりではありません。発売後はカスタマーサクセスにつなげ、顧客エンゲージメントの向上を図っていきます。プロダクトライフサイクルを考え、製品が今どの位置にいるか見ながら、その都度、売上や価格、チャネルを見直す必要があります。

そうして顧客の生の声を吸い上げ、次の改良製品につなげていくのです。

プロダクトマーケティング推進に必要なコンテンツ

プロダクトマーケティングを進めるにあたって、製品サービスをターゲットに知ってもらい、興味喚起させる必要があります。そのために必要なのがコンテンツです。ここではプロダクトの広報や広告宣伝用に活用するコンテンツについて解説します。

どんなコンテンツが必要か

コンテンツは、オンラインとオフラインのものがあります。

用途は、通常の営業活動で使うほか、広報や広告宣伝、展示会・イベントなど幅広いです。各コンテンツは、媒体/用途に限らず統一感のあるものが望ましいです。また、コンセプトを正しく効果的に伝える共通のビジュアルとメッセージを用意します。

オンラインで用意するもの

オンラインで用意するコンテンツは、Webサイトやランディングページ(LP)、ブログ、WP(ホワイトペーパー)、動画などです。また、これらのコンテンツを広めるためのSNS投稿やメール配信用のコンテンツも必要になります。

Webサイトは、会社ホームページ上に掲載しますが、製品の重要度、販売方針によって製品用に特設サイトを作ることもあります。デジタル広告を打つ場合、商品ページとは別に専用LPを用意した方が効果的です。

ダウンロード用のコンテンツとして、製品が必要な背景・課題などをとりあげたレポートや     事例、カタログ情報なども用意するとよいでしょう。製品の利用シーンや製品デモなど、体験型のコンテンツは動画制作が効果的です。

紙媒体の配布物

紙媒体の主なコンテンツとしては、製品カタログ、チラシなどがありますが、コロナ禍以降、デジタル化が急速に進展し、紙媒体コンテンツの提供機会は減っています。WebサイトからのPDFダウンロードで同じ情報として届けられる一方、紙は印刷や郵送コストがかかるため、コスト削減対象に考える企業もあるでしょう。

一方、紙のコンテンツは今でもFtoFの営業やリアルイベントの際の強力な販促ツールであることは変わりありません。むしろ、多くの企業がデジタル化に注目している今、逆に目に留まりやすい側面もあります。日々、大量のデジタルコンテンツが流れ、デジタル疲れをおこしているユーザーも少なくありません。紙媒体は、こうしたターゲットに刺さるコンテンツになり得る可能性があります。

広報宣伝で用意するもの

新製品を発売する際には、プレスリリースや記者発表、メディアキャラバンなど各種広報活動を行います。そうした広報活動に必要なコンテンツも準備する必要があります。

製品サービスの位置づけ、重要性によって異なりますが、最低でもプレスリリースは用意した方がよいでしょう。プレスリリースは、やることが当たり前になっていて形骸化しがちですが、少額のコストで準備ができ、メディアの力を利用することで広く拡散できます。

ただし、メディアを相手にする場合、期待通りにコントロールすることは難しいです。媒体の方針や記者の考え方によっては、露出効果が限定的になってしまうこともあります。最近は、PR TIMESなど、自社主導で発信できるプレスリリース配信サービスも充実しているので、うまく活用することをおすすめします。

展示会・イベントで用意するもの

イベントでは、オンライン、オフライン含めたすべてのコンテンツが有効活用できます。また、イベント専用のコンテンツとして、製品デモや試用サンプル、説明パネルなどもあります。

展示会の場合、競合他社も出展し、横並びで比較されるため、たくさんの展示品に埋もれないよう見せ方の工夫が必要です。そのためだけにコンテンツを企画制作することもありますが、制作準備のコストやリソースがかかるのが難点です。出展する展示会が自社の目的にどの程度マッチしているのか、期待する効果が得られるものなのか、慎重に選ぶ必要があります。

プロダクトマーケティング業務上の注意点

ここでは、プロダクトマーケティングの業務を推進する上で、現場担当者として気を付けておきたいポイントをご紹介します。

関係部門との意識整合

プロダクトマーケティングは、開発、製造、宣伝、営業、カスタマーサポートなどいろいろな部署と連携することになります。これらの関係部門・担当者間で、情報共有と意見整合がしっかりなされていることが重要です。

企画アイデアのヒントとなる顧客の声や新技術の開発状況、最新の市場トレンドや他社の動きなど各々の担当部門で収集した情報が、担当者や組織を超えて共有されていれば、問題解決やフォローがスムーズになり、部署間の議論が進み、スピードアップを図れます。

逆に情報が共有されていないと、関係者間のコミュニケーションに齟齬が生じて、企画段階からなかなか先に進まず、他社に先を越されてしまったり、十分に仕様検討を煮詰められずに市場に出すことになってしまったりするかもしれません。

ツールなどを活用し、情報共有の仕組みを構築しておくとよいでしょう。

また、組織の体制によっては各関係者の役割分担が曖昧で、業務の境目にボールが落ちることもあります。企業によりますが、プロダクトマーケティングの担当者には、プロジェクトの全体最適化が求められることも多いです。自身の業務だけでなく、他部門も含め上空から鳥の目線で業務を見ることも大切になります。

アイデア企画

プロダクトマーケティングにおいて、企画アイデアや打ち手の検討は根幹となる重要な部分です。この部分をどう考えていくべきかについては、製品/サービスが、従来延長なのか全くの新規なのかで変わってきます。

従来延長の製品/サービスの場合、顧客の課題やニーズに対する声は、日ごろ接点が多い営業やカスタマーサポートが拾う機会が多いです。こうした顧客接点のある担当者間の情報連携を仕組化し、一元化して情報蓄積しておくことが重要になります。

一方、新規プロダクトの場合、そうした通常のコミュニケーションではなかなか顧客の声を拾うことはできません。特に潜在的なニーズや課題は、言語化された情報になりにくいです。インタビューやアンケートを通して、マーケティング担当者が自ら情報収集し、業界の動向や先進事例なども見ながら分析・考察をすることになります。

この際注意したいのは、アンケートなどの調査のやり方です。従来のアイデア企画では、対象となる多くのユーザーの声を集め、傾向を分析する傾向がありました。しかし、大多数の平均的な声に耳を傾けすぎると、誰もが考えるような尖らない企画になってしまいます。

今日では、むしろリーディング顧客の一人に焦点をあて、その人を深堀して隠れた潜在的なニーズを引き出すことが重要視されています。

業務の優先順位

プロダクトマーケティングの業務は多岐に渡ります。一人でいくつもの製品を担当する人も珍しくなく、業務量も多いです。

特にコンテンツの資料作成や、内部関係者整合に時間をとられがちになります。そのため、本来やりたいアイデア着想や売り方を検討する時間がとれないのが課題です。高度な技術知識が要求されるハイテク関係でその傾向が強いといわれています。

一番の対策は、組織的解決です。例えばハイテク関係の企業であれば、テクニカルマーケティングの組織と担当者を置き、技術領域は担当者に専任してもらうという手があります。技術領域は高度な知識と専門性が必要とされるため、これは単にプロダクトマーケティングの負荷を減らすだけでなく、専門家部隊を置くことで価値向上を図ることもできます。

担当者自身が解決できる対策としては、コンテンツの制作負荷を削減する工夫です。先に挙げたようにプロダクトマーケティングに必要なコンテンツは多岐に渡りますが、目的や用途に合わせてテンプレート化し、コンテンツの流用を図ることで省力化できます。

プロダクトマーケティングは、高い専門性とマネジメント力を要求される業務です。人材育成にも時間がかかるため、慢性的な人材不足に陥っている企業もあるでしょう。自社の努力だけでは限界がある場合、外部人材やパートナー企業の活用も視野にいれるとよいでしょう。

最近は、マーケティング領域でも外部人材を積極活用する企業も増えています。コンテンツの企画制作や、調査分析業務であれば外部にリサーチ人材も多いので、業務を切り出してみるのもよいのではないでしょうか。

まとめ

プロダクトマーケティングは、アイデア検討から市場分析、発売からその後までプロダクトライフサイクルの全工程を見る業務です。さまざまな関係組織との連携が必要で、関係部署との情報共有と意見整合が重要になります。担当者や組織の垣根を超えて最新の情報共有を図ることで、部署間の議論が進み、スピードアップを図れます。時代のニーズをとらえた製品を他社に先駆けて市場投入するには、情報共有の仕組み化が重要です。

製品/サービスを認知喚起し、ターゲットに購入を促すためには、さまざまなコンテンツが必要になります。コンテンツは通常の営業活動以外でも、広報や広告宣伝、展示会・イベントなど幅広い用途があります。一方、それらのコンテンツの制作にはかなりのリソース・工数が必要です。マーケティング担当者が資料作成に追われ、本来力をいれるべきアイデア着想や売り方を検討する時間がとれなくなっては本末転倒になります。

業務の最適化を図る方法として、組織体制の見直しやコンテンツの流用などがありますが、外部人材を活用するのもひとつの手です。テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

The post 製造業におけるプロダクトマーケティング推進の手法 first appeared on モノカク.

わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング

岩手缶詰株式会社と岩手県産株式会社によって製造されるオリジナルブランドの加工品「サヴァ缶」をご存知ですか?食感の良い鯖のオリーブ油づけが、目を惹くパッケージデザインで、わずか7ヶ月で10万缶売れた人気ブランドです。しかしこの人気のブランドというポジションは、技術力だけで勝負に出たのではなく、戦略的なブランドづくりの末に作り上げたものでした。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

技術力 ≠ ブランド力

「ものづくりは得意、でもブランドづくりは苦手」

これは多くの日本企業が共通して抱える悩み事です。質の高い商品やサービスを提供する「ものづくり」に対して自信や誇りを守る企業は多いですが、それを「価値」として広める「ブランドづくり」に対して苦手意識を持つ傾向があります。そのため、技術はあるのに思ったように売れない。という”誤解”が生まれてしまいます。

売れるブランドの正体とは?

ここで共有しておきたいのは技術があるから技術力と売れることは直結しないということです。

•良い商品・サービス ≠ 売れる
•高い技術力 ≠ 売れる

そもそもブランドとは、自社商品の目印に過ぎませんでした。しかし今では「このブランドの商品なら間違いない」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印となっています。同じ材料・同じ品質で仕上がった製品でもブランドの信用度によって価格は2倍にも3倍にも変化します。

このように売れるブランドの正体は、顧客からの信頼です。重要なことは高い技術力を保持することではなく、その技術力を持って顧客にとっての価値ある商品・サービスを提供できることなのです。

わずか7ヶ月で10万缶  Ça va?缶(サヴァ缶)のブランド力

2013年の発売以来、1000万缶を製造する人気ブランドとなった Ça va?缶(サヴァ缶)。海外ブランドのような目を惹とパッケージと、「サバのオリーブ油漬け」という組み合わせが話題を呼び、発売以来多くのファンに支持されるブランドとなっています。しかしこのブランドの開発のきっかけは、東日本大震災で被災した漁業者らを支援するべく、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことでした。

そこで「鯖を水揚げし、缶詰に加工する技術」を、より多くの顧客に支持されるためのブランド開発がされました。

当時、水煮やみそ煮が一般的だった日本のサバの缶詰の市場に対して、オリーブ油漬けという構想に始まり、鯖の缶詰に馴染みがない消費者への確かなニーズを掴むべく、パッケージデザイン・価格や味付けなどを、消費者を対象にした大規模なインタビュー調査が実施されました。このような顧客にとっての価値を生み出す”ブランド視点”を丁寧に追求して言った結果、発売当時、鯖の缶詰の市場平均が200円前後だったのに対して、360円(税抜)という高めの価格設定も払拭し、発売以来人気ブランドとなっている。

企業価値を高める ブランドの持つシナジー(相乗)効果

ブランド力を高めることは、直近の売上拡大への効果と、中・長期的に顧客から信頼を寄せられて支持され続けるという、企業経営における「攻め」と「守り」にシナジー効果をもたらします。

もちろん、商品・サービスを提供するにあたって、技術力は必要です。ですがそれ以上に重要なことは顧客が支持したいと思う価値ある商品やサービスを創り出すことです。

「価値を創り、ブランド力を高め、技術力でファンにする」

ブランディングにおいて優れたデザインやSNSはあくまで価値を伝えるためのツールのひとつです。目まぐるしく変わるこれからの時代において、企業は規模に関わらず、顧客からの信頼を構築していくアクションが求められています。顧客が求める物事の本質を捉えるか否かが、今後の経営の分かれ道です。

The post わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング first appeared on モノカク.

BtoB営業に効果のあるD2Cブランド 相乗効果が上がる”仕組み”とは?

DtoCブランドの立ち上げは、BtoB営業に効果が出てこそ初めて本当の真価を発揮します。今回はBtoBに効果のあるD2Cブランドの考え方についてお話ししていきます。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

2018年以降、「AIが人の仕事を奪う」という旨のセンセーショナルなメッセージが各業界に大きな波紋を呼んでいます。製造業もその業界の1つです。社員の生活を守るためにも、安定した売上を確保に向けて、各社で新しい設備の導入や、商社的機能の強化などを行なっています。他にもDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める企業も多く目にするようになってきました。

そんな中で、各社の経営課題として議題に上がるのが、『新規顧客開拓』です。確かに新設備や商社的機能の充実は、取引先にとってのメリットであり、企業を選ぶ際の魅力の一つになります。しかし、上記のような事業改革は、費用の面や人材育成などの面で、企業に大きな負荷を与える可能性があります。しかし、従来の営業活動を続けていくだけでは、『新規顧客開拓』を達成までに時間がかかります。

そこで注目したいのが、「顧客が選択したくなる企業価値」とは何か?というポイントです。

これからの時代は、「何を」買うかではなく、「誰から」買うかが問われます。そのため企業は「なぜ我々から買うべきか」と言う明確なメッセージを提示する必要があり、企業が生き残る上での重要な経営課題とも言えるのです。

DtoC単体で稼ぐのではなく、BtoBとのシナジー効果

「顧客が選択したくなる企業価値」を発信する方法としてDtoCブランドの立ち上げという方法があります。なぜならBtoB向けの事業ではビジネスでは発注者・受注者という無言のパワーバランスが発生してしまいますが、DtoCブランドをリリースする上では、インターネットや独自の媒体を利用して、

  • 自社技術の美味しいところ
  • 商品をリリースするに至ったメッセージ

自社の魅力(企業価値)をストレートに、しかも2つ同時に表現することができるからです。

しかしDtoCブランド開発のご相談を受ける中で圧倒的に多いのが、「売れるためのブランティングはどうしたら良いのですか?」または「売れるようにSNSを頑張りたいのですが、どうしたら良いですか?」と言った”見た目”に関することです。良いDtoCブランド商品というのは、顧客の生活にデザイン性や直感的な楽しさを与えるエンターテイメントの側面だけではなく、その機能性を裏付けるBtoB事業で培ってきた”技術力”とのバランスが取れていることです。

DtoCブランドリリースによる社会的信用確立

また、DtoCブランドのリリースは、直近の企業のブランド力を上げるためのものだけではありません。近年、世界各国で掲げられた「SDGs (持続可能な開発目標)」や、環境保全や地球への環境負荷に配慮した「エシカル」というキーワードを目にする機会が多くなったと思います。そこで、私たちはオープンな情報環境において、DtoCブランドというものづくりを通して「新しい価値」をメッセージとして発信していくことができます。それらのメッセージは企業の社会的信用を確立することにもつながります。

「DtoC一般顧客×BtoBビジネス顧客」効果を掛け合わせて提供価値を構築する

しかし、全ての企業で「早速DtoCブランドを立ち上げましょう!」ということではありません。なぜなら、自社のBtoB事業に相乗家効果を与えるものでなくては意味がないからです。だからこそ、DtoCブランドの立ち上げは、リスクを減らした『スモールスタート』で始めましょう。決してプロモーション主体で行うのではなく、本来のBtoB事業やDtoCブランドの開発に関わる人たちが情熱を超えた物づくりに取り組むことによって、より大きな相乗効果を生むことにつながります。

The post BtoB営業に効果のあるD2Cブランド 相乗効果が上がる”仕組み”とは? first appeared on モノカク.

製造業のための失敗しないD2C入門。D2Cにも種類があるのを知っていますか?

D2Cブランドには大きく分けて2つの型があります。これから話す2つの型の違いは、「顧客が得たい体験」です。この2つの正体を把握しておくことで、D2Cブランド立ち上げの失敗を未然に防ぐことができます。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

D2Cブランドは立ち上げだけでなく運営にも、時間・お金・マンパワーがかかります。だからこそ自社のブランドを長く愛されるブランド育てるための戦略を、始める前に理解しておくことが重要です。

【使い切る】デイリーブランド型D2C

ここで話すデイリーブランドとは、食品や日用品などの使って消えるような、いわゆる「消耗品」を指します。このデイリーブランド型のD2Cビジネスは、商品が顧客の生活の一部となって一人ひとりに何度も購入されることで成立します。

そして、顧客がデイリーブランド型のブランドに求めることは「快適な日常」です。そのため、サブスクリプションしやすい商品設計・商品訴求が重要です。

【デイリーブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 買い続けられる価格設定
  2. 使い続けることで快適な生活を維持できる機能
  3. 買い続けることに面倒がない仕組み

【形が残る】スペシャリティブランド型D2C

ここで話すスペシャリティブランドとは、使用し続けても専門的な形や性能が残るものを指します。多くの製造業が挑戦しているのはこの型です。上記のデイリーブランドとは異なり、使い続けても無くならない性質があります。このカテゴリーでは機能性や耐久性に優れ、一般より高価格な商品が展開されています。

しかし機能性・耐久性に優れて長く使えるということは、言い換えるとなかなか買い換えないということでもあります。つまり、顧客が一度購入したら、次の商品の買い替えまで長く時間がかかるので、回転率が悪いため、ビジネスモデルとして考えたときに、一時的に大きな売り上げを上げられても、継続的な収益があげづらいことから、ブランド立ち上げに苦戦するケースが多いのです。顧客にとっても「特別な買い物をしたい」という願いがあります。そのため、スペシャリティな商品には、長く使ううちに“人に自慢したくなる仕掛け“が必要なのです。

【スペシャリティブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 高価格でも買いたくなるブランドの世界観
  2. 思わず人に話したくなるスペックやデザイン
  3. 顧客との中長期的コミュニケーション

製造業のためのD2Cビジネスブランディング

1人の顧客が連続して購入するデイリーブランド型のサブスクビジネスと異なり、スペシャリティブランド型は1人のコアなファンが次のコアファンを呼び寄せるブランディングが重要です。イメージしやすいのは、あなた自身しよしているお気に入りの品物にまつわる、出会いと現在に至るエピソードです。少し高いかな?と思いながらもワクワクしながら購入した時の気持ち。そして今も気に入って使い続けているシーン。また、その様子を見た友人が「それいいね。」と声をかけてくれたことなどです。

スペシャリティブランド型は、まるで波紋のようにコアな商品をコアなファンが愛用し、コアな仲間が集まってくる仕組みづくりによって、買い替え需要が少ないスペシャリティブランドでも、上記の図のように、常に顧客が途絶えない導線設計をすることが可能になるのです。

まとめ

デイリーブランド型は、継続して購入される価格設定と機能、私して継続して購入したくなる発信時期と内容が重要です。一方スペシャリティブランド型は、使い続けられるスペックとアフターフォローの仕組み、そして長く使い続けたくなる特別感・ブランドの世界観の発信を心がけることが欠かせません。自社商品が、どちらのタイプかを見極めて、顧客に愛される商品設計・商品訴求を考えましょう。

The post 製造業のための失敗しないD2C入門。D2Cにも種類があるのを知っていますか? first appeared on モノカク.

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由

デザイン性の高いホームページは、新規顧客獲得・休眠顧客との関係復活・採用活動における優秀な人材獲得など、企業にとってさまざまな効果をもたらします。しかし「技術が売り」である製造業にとって、ホームページのデザイン性はどの程度必要なのでしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業のホームページリニュアルの話をすると

  • 「あそこの社長は若いから、見た目にこだわりがあるのだろう」
  • 「うちは、デザインなんて言うのは柄じゃないから必要ないよ」

と言って、デザイン性を高めることに対して敬遠されるケースが多々あります。

しかし本当は、技術がある製造業こそホームページのデザイン性にこだわることが重要です。なぜなら多くのお客さんは心理的にデザイン性の高いページを熱心に閲覧する傾向があります。そこで今回は、ブランディングの視点からホームページのデザイン性と営業力の関係について話をしたいと思います。

なぜホームページにデザイン性が必要なの?

まずこの記事でお話しする「デザイン性が高い」ことに対して3つの定義をお話しします。

  1. 視覚的に好感がもてる
  2. 事業内容とビジュアルに一貫性がある
  3. 事業内容がわかりやすく掲載されている

いかがでしょう?テキストだけで並べると想像が湧かないかもしれませんので、この3つの定義を、営業担当を想像してみましょう。

  • 清潔感のあり、好感の持てる服装や髪型をしている。
  • 商品やサービスに対して過小評価や過大評価をせず、誠実に話してくれる。
  • 自社技術や業界知識についてわかりやすく説明してくれる。

この営業担当にだったら仕事を頼んでみたいと思うのではないでしょうか?製造業のホームページも同じように「話を聞いてみたい」「仕事を依頼したい」と思われる視覚的要素やわかりやすいコンテンツの設計が欠かせないのです。

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由は下記の通りです。

  1. 良いビジュアルの一般化
  2. 細部へのこだわり
  3. お客さんの負担を軽減

詳しい内容を一つずつ解説していきます。

1.良いビジュアルの一般化

日本におけるデザインの進化は年々早まっています。私たちは日常的に「かっこいいホームページ」「美しいホームページ」を見慣れています。つまり、皆さんのお客さんにとっても良いデザインは「普通」のものになってきていると言うことです。

飲食店でも、10年ほど前にはたくさんあった少し汚い、言い換えると味のある定食屋や焼き鳥屋なども、ずいぶん減ってきましたよね。現代では綺麗なお店には美味しい料理があると言う考えが一般化してきたのです。企業のホームページでも同じように、良いデザインの会社は良い仕事をしてくれると言う印象を持たれやすいのです。

2.細部へのこだわり

ホームページというのは、日常の業務で表すと大抵が最後のステップになることが多いものです。日々の生産、営業活動、事務作業、人事管理と業務を進めてやっと手をつけられると言う方も多いのではないでしょうか?だからこそホームページのデザイン性は、仕事の最後、細部まで手を抜いていないかと言う判断基準に関わるのです。忙しくてつい後回しにしていることは、いつか大きな歪みを生む可能性があります。日々の生産におけるこだわりを、お客様の目に届くホームページでも同じように表現することが重要です。

3.お客さんの負担を軽減

お客さまは数ある競合他社から、より良い取引先を見つけたいと思っています。しかし、お客さんが口コミや紹介以外で取引先を探す際、「1番手前にある情報」から取引先を精査しなければいけません。その1番手前にある情報とは現代ではホームページなのです。

ホームページのデザイン性によって、皆さんの会社がお客さんの選考から外れてしまうことは、自社にとってもお客さんにとっても機会損失になってしまいます。だからこそ事前にホームページのデザイン性を高めておく必要があるのです。

まとめ

先の話でホームページを営業担当で例えた通り、現代においてホームページは、お客さんが最初に目に入れるあなたの会社の営業担当なのです。

自社のこだわりの技術や、製造に対する思いがお客様の目に留まり、話を聞きたいを思われるデザイン性の高いホームページ制作を心がけましょう。

The post 製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由 first appeared on モノカク.

【D2Cブランド】立ち上げに成功するための「ファンづくり戦略」とは

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

売上拡大、自社の認知度アップなど、さまざまな効果が期待できるD2Cブランドですが、良い商品を作れば必ず成功するわけではありません。D2Cブランドを成功させるために最も重要なことは、高性能なハイスペック機器でもなく、奇抜でおしゃれなデザインではないのです。それは「いかにファンを作るか」ということです。

今回の記事では売上拡大の大きな要因でありながら、中小企業が苦手分野と感じる「ファンづくり」について詳しく解説していきます。

D2Cのビジネスモデルとは

まずD2Cのビジネスモデルについておさらいしておきましょう。D2CとはDirect to Consumerの略で、メーカーが自社で企画・製造した商品を、小売店や代理店、またネットモールといった仲介業者を介さずに、自社ECサイトなどを通して消費者とダイレクトに取引する販売方法を指します。従来の仲介業者を介する場合に比べると、自社のブランディングやコスト削減、さらに継続的な顧客との関係構築などの効果が期待できるため、ここ数年で多くの企業が採用しているビジネスモデルです。

D2Cブランドで成功するためのファンづくり戦略


D2Cブランドでは、小売店やネットモールが行っているお客さんが集まる仕組み、つまり「ファンづくり」の工程も自社で行う必要があります。そのために必要なことは、「顧客視点の段階的誘導」です。

D2Cブランドの立ち上げは、全く無名のブラントを多くの人に知ってもらうことからスタートします。ブランドが認知され、理解され、手に入れたいと思われるためには、顧客の視点を段階的にあげていく接点づくりをします。

①発信時期の設定

D2Cブランドの立ち上げで重要なことは、いかに顧客に認知してもらうことです。「顧客視点の段階的誘導」では、ブランドの認知活動を効果的に行うための「期待感が盛り上がる発信のタイミング」を掴むことが重要です。これのタイミングを有効に使えるか否かは、ブランドの成長を大きく左右します。

  • タイミング1.開発時
  • タイミング2.リリース前
  • タイミング3.リリース後

タイミング1の開発時の発信では、試行錯誤やブランドコンセプトなど「なんだか面白そうなことをやっている」という、様子を覗ける発信が重要です。これは顧客の立場に例えると、行ってみたいお店を窓からチラチラと覗くような感覚に近いでしょう。

そしてタイミング2のブランドリリース前では、開会宣言を行います。タイミング1で興味を示してくれた顧客に対して「これからお祭りが始まります。皆さんで一緒に盛り上がりましょう!」とお店の中に呼び込んでいくイメージです。

タイミング3のリリース後では、顧客への感謝を伝えます。購入した顧客にとって「おかげさまで、たくさんの支持をいただいています」といった内容のメッセージは、自身の選択した物事への安心感や期待感、そしてブランドとの一体感を感じることができます。また、このリリース後の発信はまだ購入していない顧客候補者たちに対しても「自分もその輪に入りたい」という更なる期待感を集めることにつながります。

②顧客像(ペルソナ)の設定

D2Cブランドの成功には、不特定多数のフォロワー獲得以上に熱狂的なファンの育成が重要です。①発信時期の設定を効果的に行うためには顧客像(ペルソナ)の設定が欠かせません。

しかし、こういった顧客像を想定するとき、多くの企業では「ターゲット」を設定することが多いかもしれません。ターゲット設定は、30代男性会社員、40代女性の主婦のように性別や年齢などの属性でセグメンテーションする方法です。

しかしD2Cブランドを成功させるためには、それでは十分ではありません。ニーズをより深くセグメンテーションすることが必要です。そのために行うことは、たった1人のユーザーを設定し、その人物が叶えたいことを徹底的に考えることです。

顧客像を明確することは、より心に響くメッセージや商品開発など、マーケテイング施策が可能になり、自社ブランドの熱狂的なファンを育成することができるのです。

③媒体の設定

顧客像が明確になったら、次にすることはその顧客とつながるための発信活動です。発信活動でのポイントは、ペルソナの読みやすい媒体を選ぶことです。よくSNSをとにかく頑張ればファンが作れると思ってアカウントを開設する企業があります。しかしD2Cブランドを成功させたいなら、自社ブランドのペルソナにとってどの媒体が一番読みやすいのかを考えることが重要です。Twitter、Instagram、ブログなどのSNSだけでなく、紙媒体であるパンフレット、お手紙などさまざまな媒体があります。その中から、ペルソナが自社ブランドを心地よく知れるシーンをイメージしながら選定しましょう。

また、SNSなどのWEB媒体を使用する場合は、投稿時間も重要です。帰りの電車の中で読むのか、休日に読むのかなど、ペルソナの生活シーンを徹底的に想定して発信することでより熱狂的なファン作りにつながります。

④発信の継続

最後にファン作りには継続した発信が重要です。D2Cブランドの成長には、長くブランドを好いてくれるファンの存在が欠かせません。購入するときだけの関係ではなく、リリース前、リリース後、そしてその後の展開を長く発信し続けることで、企業が自社ブランド立ち上げによって望む「売上拡大」「自社の認知度アップ」といった効果を上げるブランディングができるのです。

SNSを始める前の注意点


会社としての発信とブランドとしての発信を1つのアカウントに混同させることはお勧めしません。いわゆる「混ぜるな危険」です。なぜなら会社としての発信とブランドとしての発信を読みたい読者が違います。そのため、1つのアカウントに対してどのペルソナにメッセージを受け取ってもらうのかを設計してから、SNSアカウント立ち上げることが重要です。

D2Cブランドのファンづくりは「会社の信用貯金」

D2Cならではのファン作りを続けることで、自社D2Cブランドの信用を貯金のように増やしていきましょう。この信用貯金は採用活動・新規顧客開拓・地域からの指示・業界へのインパクトなど、企業の価値を向上させるさまざまな効果をもたらします。もちろんD2Cブランドの立ち上げは容易なものではありません。しかし、個人から支持による信用は、これからの社会において重要な会社の資産となります。この記事をお読みのあなたの会社でも会社の資産となる、長く愛されるD2Cブランドを構築していきましょう。

The post 【D2Cブランド】立ち上げに成功するための「ファンづくり戦略」とは first appeared on モノカク.

製造業が自社ブランドを作るなら必ず知っておきたい3つの視点

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業が自社で開発するブランド、いわゆるD2Cブランドの存在は、市場のクラウドファンディングやSNSの持ち上がりよって一般的にも認知度が高まっています。製造業としては、様々な思いから、D2Cブランドの開発に対して何らかの着手をしている企業が多いのではないでしょうか?

例えば、

  • 会社として話題性を作るため
  • 新しい売上の柱を作るため
  • 社員のモチベーションを向上させるため
  • 自社の技術力を高めるため

このように企業によっては様々な理由があると思います。しかし、何となくD2Cブランドを立ち上げてしまうと、上層部の思いとは逆に、話題性を生むことができなかったり、社員のモチベーションを下げてしまう原因にもなります。なぜそのような悲しい結果が生まれてしまうのかというと、そこには製造業が「メーカーとしてのポジション」を築く上で重要な3つの視点が欠けているからです。

今回の記事では、製造業がメーカーとしてのポジションを築く上で重要な3つの視点について、今まで累計1,200点以上の商品を企画・開発してきたブランディングの経験からお話ししていきたいと思います。

1つ目の視点【技術シーズ】

シーズとは「種」を意味します。ビジネスにおいては、企業が新しく開発・提供する特別な技術や材料のことを指します。D2Cブランドをリリースすることは、自社の技術を今まで取引がなかった業界にもアピールする絶好の機会です。ここで重要なことは、業界・社会にとって自社は「〇〇の技術力に優れた企業」とアピールできるシーズに絞ることです。

  • 企業としての技術力

もし自社のアピールすべき技術ポイントが1つに絞れない、シンプルに言い表せないと悩んでしまう場合は、これから取引をしていきたいお客様が求めていて、なおかつ自社が実現可能な技術力について着目すると、D2Cブランドを通してアピールすべきポイントが明確になります。

2つ目の視点【顧客ウォンツ】

ウォンツとは、ある商品・サービスを「欲しい」と顧客が考えている状態を指します。ウォンツの視点において重要なことは、「〇〇できる△△が欲しい」に応えられる企画と規格を考えることです。

  • 目新しい企画
  • スペック
  • デザイン

D2Cブランドでよく起こる失敗ケースとして、技術シーズを伝えたい一心で、製品にあまりに多くの機能を持たせすぎてしまうということがあります。このようなオーバースペックはユーザーが求めるものではありません。企業はメーカーとして、顧客が求めているスペックに向けて技術シーズのチューニングを行いましょう。

また、機能面で顧客ウォンツを満たしていても、デザインという見た目の視点が抜けてしまうと、どんなに良い商品も売れなくなってしまいます。どんな商品であれ、日常使いしてもらえる商品を作るためには、使っていて気持ち良い、持っていて心が踊るような商品を機能・見た目の両方から目指すことが重要です。

3つ目の視点【顧客ニーズ】

ニーズとは、漠然とした「こうだったらいいのにな」という理想に対する感覚です。ニーズは、スペックなどの具体性のあるウォンツとは異なり、心身を伴う「体験」に大きく関わっています。

  • 商品との出会い方
  • 商品の作り手を知ること
  • 使うことで訪れる、自分や相手の幸せな生活
  • 安心できるアフターサービス
  • ファン同士の交流

ウォンツを商品のハード面だとしたら、ニーズは商品のソフト面といっても良いでしょう。そして、時としてニーズは無自覚なことが多いため、もし潜在的な感覚に届く体験を提供することができれば、「まさにこれが欲しかった!」と言われる商品を作ることができるのです。この顧客に対してニーズまでの戦略的な導線構築が、製造業がD2Cブランドの別れ道と言っても過言ではありません。

3つの視点が重なり合うD2Cブランド作りを

顧客が大手ブランドではなく、小さなメーカーのD2Cブランドを選ぶには、技術シーズ・顧客ウォンツ・顧客ニーズの3つの視点が重要です。すでに多くの技術力があるからこそ、ストーリーのある商品を作り続けられる道筋を戦略的に立てていきましょう。顧客が喜ぶ商品、そしてその商品との関係性を築く体験を生み出せるものは、規模が小さくてもブランド力が高いと言えます。

そして顧客が喜ぶ商品を作ることは、期待や信頼を獲得につながり、他業界からのオファーや社内でのポジティブな企業文化の醸造など様々な波及効果を生み出します。自社だけでできないことは、企業同士の技術コラボや、専門家から協力してもらうことで解決できます。ぜひ、3つの視点を取り入れて、顧客から「この商品を自分の生活の中に取り入れたい!」と思われるD2Cブランド商品作りを目指しましょう。

The post 製造業が自社ブランドを作るなら必ず知っておきたい3つの視点 first appeared on モノカク.

社長の想いの伝え方 社員と”チーム”になる会社づくり

こんにちは。

企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

今回は経営者が会社のブランド力を高めたい時に必ず行うべき、社長の思いの伝え方についてお話ししたいと思います。

経営のシフトチェンジ

ポストコロナの大きな時代の変革を迎えた今、社長にとって取引先の見直しや新規事業への取り組みなどの経営のシフトチェンジが急務となっています。従来の一社依存ではなく、収益源の多様化に向けて社内外へのアクションが目前の課題と言えるでしょう。

実際にものづくり企業の社長からは、自分の会社を自分で守るための施策として下記のような悩みを多く聞きます。

  • 新しい取引先を見つけたい
  • 新しい事業にチャレンジしたい
  • BtoBだけでなくBtoCにもチャレンジしたい
  • 会社のブランド力を上げたい

多くの経営者が企業の従来の強みを生かし、新しいビジネスモデルを構築するイノベーションが必要であることを身をもって感じています。しかしその反面、イノベーションを起こすにあたって、実務を行う社員たちへこのような悩みを抱えています。

  • 社員のモチベーションを保ちたい
  • 社員に自主的に動いてほしい
  • 社員に嫌われたくない
  • 社員に会社を好きになってほしい

このように多くの経営者が現場社員から「社長がなんか言ってら」と言われてしまうことが頭をよぎってしまい、社員との距離が生まれてしまう状況になることを恐れてシフトチェンジが起こせずにいます。ではどうすればイノベーションを起こしやすい社内環境を、ブランディングできるかお話しします。

自分たちの強みを共有する

今までの自社の仕事を客観的に数値化して、強みを明文化していますか?日々仕事をしていると、自分たちの知識や技術が”当たり前”のものとして認識してしまいがちです。そのせいで自らの仕事に新しさを見出すことができずにモチベーションが上げる音ができない組織が多く存在します。同じ業務でも社員一人一人が自分たちの実績を理解した上で行うことで仕事がただの作業ではなく、自分たちだからこそできる自らモチベーションを持つことができるようになります。

自分たちの顧客を共有する

経営者がこれから取引をしたいと思っている企業のタイプを明確にして社員に共有することです。業種・企業規模・企業ビジョンを明文化し、営業担当だけではなく現場の製造社員にも同じく共有します。それによって自分たちがどのような顧客に対してどのようなレベルの仕事をするべきかを自ら考える文化を築くことができます。

自分たちの仕事がどんな影響を与えているか共有する

自分たちの顧客を共有しその顧客のための仕事レベルを自ら改善する企業文化を作るができたなら、次はその顧客の事業や生活に自分たちの仕事がどのような影響を与えているかを想像する企業文化を作りましょう。社員がそれぞれ自分たちの仕事が社会に対してどのような影響を与えているのかを想像することができれば、自社そして自分たちの存在価値と使命を考えることができるようになります。

社長がビジョンを明確に伝えることで企業はブランド化する

これからの経営者が社員とともに成長する企業文化を作るためには、ポストコロナ時代に自社が向かう方向性を指し示し、従来の”トップダウン経営”から”ビジョン×ボトムアップ経営”にいこうしていくことです。

企業のブランド化は一朝一夕でできるものではありません。上記で挙げた共有すべき3つの項目は、経営者が企業のこれからの方向性を示す企業の”ビジョン”として、会社全体の行動指針の元となります。企業の文化として考え方から実際の商品づくりまで技術と想いを浸透させていくことで、社内・社外への企業のブランド力を同時に高めていくことができるのです。

企業の技術と想いを伝えるブランディング C-OILING 大後 裕子

売れる製品を企画するなら品質表を使おう

ものづくりドットコムの熊坂です。

ものづくりドットコムの累計利用者数が先週3百万人を超えました。正確には7年前に公開した当時のサービス名称が「ものづくり革新ナビ」でしたから、4年前の名称変更を挟んで通算での実績になります。あっという間のようにも思うし、長かったような気もします。これを通過点として、ますますものづくり関係者に役立つ情報と機能を提供していきますから、バシバシ活用して下さいね。

さてものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は「QFD」と「品質表」についてお話します。

QFDと品質表ってなんだ?

終戦後の日本製品の品質が最低レベルだったことは以前にも書きました。その後米国から統計的品質管理(SQC)が日本に導入されて、急速に製造品質が向上したわけですが、その次のステップとして設計で品質を保証する仕組みとして1960年代から70年代にかけて、当時山梨大学教授だった赤尾洋二氏らによって考案されたのが品質機能展開(QFD: Quality Function Deployment)です。

我々技術者が製品を企画すると、ついつい技術やスペック先行で考えてしまいます。「最近開発したこの技術を使おう」、「従来にない機能を追加したら売れるに違いない」といった具合です。でもそれって、本当にユーザーが欲しい製品でしょうか?

QFDはお客様の要求を丹念に整理し、製品品質を保証する仕組みであり、その第1工程としてユーザーの要求(VOC:Voice of Customer)から製品仕様の導出に使われる二元表が「品質表」です。ということで品質表はQFDの一部を切り出したものですが、これだけ作成してQFDと呼ぶ人も多数います。分かっていながら、私も敢えてそう呼ぶ場合もあります。

言葉で説明するより、下図の品質表実施例を見ると、構造と機能が大よそ理解できると思います。

図1.品質表の1例(物置)

品質表の作成手順

  1. 初めに左側の「要求品質展開表」(A)部分を作ります。まず思いつくまま製品に対する要望を一つずつ付箋紙に記入したのちにKJ法で整理し、その後で図のようなテンプレートに記入した方が良いでしょう。図では2次までに統合していますが、要求が複雑な商品の場合は3次まで構造化することもあります。
  2. 次に製品の特性や機能を「品質要素」(B)として上部に整理します。まずは思いつくまま挙げて、こちらも2次あるいは3次までに構造化します。典型的にはカタログの「仕様」に相当するものですが、カタログに載っていない品質要素もたくさんあります。
  3. ここまでできたら、左の要求品質項目と上の品質要素の交点となるセルに、両者の関連性を示す記号を記入します(C)。ここでは強い関係性がある場合に◎、中程度の関係性に〇、弱い関係性に△を使っています。左の要求品質項目毎に関連する品質要素が最低でも1つは必要です。横一列すべて空欄の行があるようなら、その要求品質に対応する何らかの品質要素を追加します。
  4. 次に要求品質ごとの「重要度」(D)を設定します。重みづけと言い換えても良いでしょう。本来であれば、ユーザーが評価し、一対比較法で数値化すると精度が高まりますが、かなり煩雑になるため、ここで停滞するくらいであれば、企画担当者がエイヤっと書き込んでも構いません。ただし5段階評価程度では実態に合わないため、最大/最小が20倍以上になるまで差をつけましょう。
  5. さらに競合製品との比較から「企画品質」(E)を検討し、販売時にアピールしたい項目を「セールスポイント」(F)で強調し、これらを掛け合わせて「絶対ウェイト」を計算します。このままでも良いのですが、全ウェイト中の割合を知りたい場合は、各絶対ウェイトを合計ウェイトで割って、「要求品質ウェイト」(G)を計算します。
  6. 次に◎=5、〇=3、△=1として、品質要素列ごとに記号のついたセルとそれに対応する要求品質ウェイトの積を加算してゆくことで、要求品質の重要度(H)を算出します。品質要素ごとに全体との割合を知りたい場合は、各重要度を合計重要度で割って、「品質要素ウェイト」を計算します。

以上の一連作業によって、要求品質の重要度を品質要素重要度に変換し、重要度の高い品質要素を優先して設計する品質(I)を決定することで、ユーザーの要求に合った製品を企画することが可能となります。

品質表の効果

品質表を使うことにより、次のような効果が期待できます。

  • 顧客要求と製品コンセプトと技術特性の関連が明確になる
  • 仕様の決定過程が明確になる
  • 製品仕様に対する関係者の認識が統一される

特に3番目は大切で、会議で決めたはずの仕様が実は納得していないメンバーがいたり、時間経過であやふやとなり、クレームや思い付き、鶴の一声で突然変更されるといった問題を未然に防ぎます。

初回の作業は相当に手間取るものですが、2回目以降は前回との変更点を修正・追加するだけですから圧倒的に時間/労力が減り、状況(要求)変化への素早い対応が可能となります。是非試してみて下さい。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムの登録専門家では、國枝麿さんがこの分野がお得意です。不明の点やご相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

解禁?「川口アート&ファクトリー」構想!

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

2月も残すところあとわずか、春はもうそこまで来ているはずですよね?いやあ、それにしても寒い寒い(この原稿書いている2/11、関東地方でも雪がちらつく天気です)。巷ではインフルエンザが大流行。わが社でも感染者が出て、社員がなかなか全員揃わないという事態になっています。皆さんのところではいかがですか?

さてさて、そんな中ではありますが、2019年、私、栗原、いきなりのスタートダッシュをかましていますよ!

まずは、展示会出展ご報告から

1月30、31日と、さいたまスーパーアリーナで開催された「彩の国ビジネスアリーナ」。ここに、川口市の「i-mono、i-wazaブランド」認定企業の一員として、川口商工会議所ブースの一角に出展をさせていただきました。この展示会、埼玉県の地元企業を中心に約600社が集まる大イベントです。ただ、やっぱり、地域の結びつきが強いってこともあり、全体の雰囲気は、とてもフレンドリーで、ビジネスの最前線というよりは、お祭り色のほうが勝っている?そのぶん、出展していて楽しかったですね。

続いて、その翌週、2月6〜8日は、東京ビッグサイトで開催の「機械要素技術展」でした。この展示会、機械系製造業の専門展示会としては、日本最大級を謳っていまして、例年ですと6月に開催されています。私たちもMAKERS LINKとしてブースを出していたわけですが、今回は、この「ものづくり経革広場」を運営するテクノポートさんのブースにテーブルをお借りしました。

実は、テクノポートさんとは、このブログの連載だけじゃなくて、とっても深い間柄にありまして。ものづくりコミュニティ・MAKERS LINKと、テクノポートさんの工場紹介サービス「モノマド」との間で連携をしていこうと、いま、サイト構築の真っ最中なんです!

その共同事業については、まだ、詳しくお伝え出来ませんが、私のところのような製造業者と、大手メーカーさんから製品づくりされている個人の方まで、ものづくりの工場を必要とされている方々とを確実にスピーディーに結ぶサービスになる予定です。今回は、その事業のスタートに向け、とても意味深い出展となりました。

新しいプロジェクト

で、ここからは、また別の、これから新しく展開しようとしているプロジェクトについて、ちょっとだけ紹介します。

プロジェクトの名前、まだ仮称ではありますが、「川口アート&ファクトリー」と言います。ことの発端は、懸谷直弓(かけやなゆ)さんという女性アーティストの野望なんですが、あ、懸谷さんのことは、昨年9月の記事で紹介させてもらっていますので、ぜひこちらご覧ください。

記事中にもある懸谷さんの作品製作にあたって、川口の町工場が全面的に協力をしたという縁で、芸術家、アーティストあるいは、デザイナー、クリエイターといった人たちと、ものづくり、製造業、町工場をダイレクトに結んで、川口を美術と技術の融合の街にしてしまおう!というプロジェクトなんです。

現在、これに参画している企業は、川口市に拠点を置くものづくり4社。

まずは、お互いの技術を知るための相互工場見学会を敢行。同じ地域で長年ものづくりに携わってきたものの、あらためて、それぞれの技術の奥深さや可能性に触れて、気持ちも新たになりました。

これから、プロジェクトは、具体的にどんな活動を行っていくのか、地域の公的機関として川口商工会議所にも加わってもらい、計画を立てていきます。川口へ行けば、想いはカタチになる!川口は若い才能を開花させる街。新しい感性に触れることで、工場も人も元気に明るくなって、街も活気に満ちる!壮大な夢かもしれないけど、取り組む価値は十分にあると思います。

具体的なイベント企画などが決まったら、順次お知らせしていきますので、ぜひ、ご注目ください!もちろん、川口以外の地域からの参加も大歓迎です!

最後に、懸谷さんからの熱いメッセージを!

私は美術家として活動しており、縁があって川口の工場の方と繋がることができました。現在は、工場の中のアトリエで仕事をしながら作品制作を進めています。 工場の方と関わっていく中で、ものづくりの現場で若者が働きたがらなったり、技術が海外へどんどん流出していく問題を知りました。このままだと「メイドインジャパン」の国際的な良い認識が薄れて無くなってしまう事に、私は切実な危機を感じました。

そこで、アーティストである私だからこそ出来ることがあるのではないか、と考えて生まれたのが「川口アート&ファクトリー」です。 元々ものづくりに深く関心があるアーティストやデザイナーが、製作の現場とリンクしやくすなれば、働きながらスキルも向上し、アイデアを直接活かすことができます。 工場の既成の商品や技術に対しても新しい発展性を見出すきっかけとなり、工場や技術自体に魅力を感じればそのまま継承者ともなり得ます。

日本は小さな島国ですから、ものづくりのプロフェッショナルが強く結びついて、商品としても美術品としてもクオリティーの高いものをつくる、欲張った質を追求できると考えています。 アートと商業は両端のものであるという考え方もありますが、だからこそ、引き合わせることに大きな価値とインパクトと魅力があります。

「川口アート&ファクトリー」が、他の地域でも応用できる日本文化のモデルケースとなり、海外からも注目され、世界中の人がクオリティーの高いものを求めて集まるようにしていきます。そのためには、あらゆるエネルギーを集中させる必要があります。この活動に少しでも興味を持っていただけたなら、どの様なご意見も伝えてほしいです。そして是非、私たちと繋がってください!

■ものづくりコミュニティ・MAKERS LINK → ホームページFacebookグループ

【特別編】クリスマスの想い出

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

え?もう、2018年終わっちゃうんですか?あっという間に12月ですよ!自分、今年は、孫が生まれて初めてのクリスマスを迎えます。ずいぶん久しぶりに、デパートのおもちゃ売り場に出かけてみたり、なんだか、ちょっと浮足立っています(笑)

そうそう、クリスマスといえば、30数年前のあの日のことを思い出します。バブル景気はまだ訪れていませんでしたが、イブの夜、若いカップルが、高級レストランを競って予約する、なんてことが定着し始めていました、そんなころの話です。

ここから、ちょっと、ショートストーリーを…

1985年12月24日。

朝、出勤の身支度に時間をかけた。悩んだ末に決めた服装は、コムサデモードの肩幅の広いジャケット。小さな襟のドレスシャツに、紺の無地の細いネクタイ。髪は短く刈り上げて、もみあげも極端に短い。そのくせ、前髪だけは長く額に流している。チェッカーズのフミヤに似ていると言われて、その気になっていたのだ。

仕事はいつもより捗った。定時。デスクで煙草を吸う課長に頭を下げると、一目散でロッカールームへ。作業着から朝と同じ格好に戻ると、足首に届きそうな長さのトレンチコートを羽織り、肩にはソックスと色を合わせた赤いセーターをマフラー代わりに乗せる。会社の玄関を出て、待ち合わせ場所に急いだ。遅刻は許されない。やっとの思いで予約を入れた赤坂のフレンチレストラン。二部制のため、決められた時間に食事を終えなくてはならないシステムらしい。

待ち合わせの相手とは、翌年の秋の結婚が決まっている。独身最後のクリスマスイブは、ちょっと背伸びをしてでも、ビシッと決めなくてはならない、そんな気になっていた。

彼女のヘアスタイルは、自分好みのソバージュ。羽織ったコートは、いかにも銀行勤めらしい地味なものだったが、その下は、細かい花柄のスカート丈が長いワンピース。前回のデートで、なじみのデザイナーズブランドの店に出向いて買ったものだ。予約の時間にはなんとか間に合った。彼女をエスコートし、店の入り口でコートを預けると、JUNですね!と店員が微笑む。

電子内視鏡の開発競争

自分は、医療用内視鏡の専門メーカー、株式会社町田製作所に勤める駆け出しの技術者だった。当時はまだ、内視鏡はファイバースコープと呼ばれており、その名の通り、ガラス繊維を束ねた光学式が主流だったが、超小型CCDカメラを先端部に仕込んだ電子内視鏡の開発を、各メーカーが挙ってスタートさせていた時期である。

町田製作所は、従業員100名ほどの中小企業。業界ライバルには、オリンパスをはじめとする、名だたる光学メーカーが名を連ねており、会社の規模では大きく水をあけられ、自社の力だけでは開発競争に勝ち残るのは難しい状況にあったはずだ。そこに触手を伸ばしてきたのは、他の医療機器の分野では巨大メーカーである東芝。町田製作所には、以前に超音波内視鏡の開発に技術協力をした経緯もあり、白羽の矢を立て、電子機器メーカーとしての優位性を武器に、内視鏡分野でもトップシェアを狙うべく本格的な参入を決めたのだ。

東芝は、医療機器の製造拠点、那須工場に精鋭の技術者を集め、開発チームを作った。総勢は、町田製作所の全社員数とほぼ同じという規模。一方の町田製作所。社長は、技術提供ではなく、あくまで共同開発であり、内視鏡の老舗メーカーとして、町田ブランド製品を世に送り出すのだと、全社員を前に胸を張った。しかし、その実務に当たる製造部開発課は、課長の宮城と自分という、たった二人の体制である。

開発が始まってからこの半年間、まさに不眠不休で、開けても暮れても設計、試作テスト、また図面描きと、徹夜続きの日々が続いた。上司と部下という間柄ではあったが、宮城とはウマが合う。図面描きの作業中は、斜めに立ち上がる製図板越しに目を合わせずとも、他愛もない話をしながら、ひたすら、製図ペンを走らせ続けていた。

実は、彼女との出会いも、宮城課長が飲み会に何人かの地元の後輩を呼んだのがきっかけだった。仕事中にも、おい、その後どうした?などとにやけ顔で聞いてきたりした。そんなことだったので、忙しい最中にも、クリスマスデートのために、今日だけは早く帰らせてほしいと切り出すのに、それほどの抵抗はなかった。

ディナーの後は

急かされるようにしてディナーは終わり、思わず動悸が激しくなるような金額の支払いを済ませ、店を出たところで、彼女にごめんと告げた。怒った顔の彼女をその場に残して、会社へ戻る。駒込駅から少し歩けば、静かな街並みに入り込む。六義園のレンガ塀沿いの小道に入ると、自然と小走りに。高級マンションに挟まれた小さな建物の前で、2階の窓に明かりがあることを確かめる。

宮城は、戻ってきた自分を見ても驚きもせず、いつものように、どうだった?楽しんできたか?と、にやけ顔で聞く。自分は、ワインのテイスティングでドキドキしたとか、メインのステーキの肉は、柔らかくて美味かったけど、ずいぶん小さかったとか、と照れ笑いで返す。いつの間にか、いつもの位置について、いつも通りの作業をし始め、そのまま朝を迎えた。

その後、東芝製の電子内視鏡は、華々しくデビューを果たす。しかし、町田製作所の名がその冠につくことはなかった。共同開発を謳ったプロジェクトだったが、一年近くの間、夜を徹して書き上げた大量の図面は、1枚いくらという計算のもと、東芝へ売られたのだ。そして、一気に競争が激化した内視鏡業界ではあったが、結果としては、どのメーカーもオリンパスの牙城を崩すには至らず、威信をかけたはずの東芝は、撤退を余儀なくされる。

数年ののち、町田製作所は、独自の技術力で特殊仕様の医療機器開発で盛り返す。宮城はその分野でも手腕を発揮したが、自分はすでに退職し、家業を継ぐ道を選んでいた。

ずいぶん昔の記憶に頼って、散文を書いてみました。事実と違う部分もあるかもしれません。数少ない、自分の関わった、ものづくりの歴史のほんの端くれの話です。おかしなところがあっても、失笑に伏していただければ幸いです。

それでは、皆さん、良いお年をお迎えください。

新商品リリース時における「落とし穴」

弁理士の亀山夏樹です。今回は、中小企業200社以上の相談実績を通し、新商品リリース時における「ありがちな落とし穴」についてお話したいと思います。

1.ある日の特許相談

相談者は、とあるアイデアを思いついた中小企業の社長。このアイデアをベースにした新商品の工具を試作してみたところ、社内の反応では、どうやら売れそうだとの感触を得ました。そこで、新商品について特許をとれるかどうか、弊所へ相談に来られました。

2.特許取得も大事ですけども・・・

かめやま:なるほど、この工具のグリップが三角形になっているところがポイントなんですね。

お客様:そうなんです。特許は取れそうでしょうか?

かめやま:類似品は他社から販売されてないのですか?

お客様:どこからも販売されていません。もちろん、ウチもまだ販売していないですよ。特許を出してから販売ですよね?

かめやま:公開前・販売前の特許出願、良い習慣ですね。しかし、製品が出ていなくとも、特許出願だけ出されているケースもありますし・・・そこは特許文献の調査をしてみましょう。

お客様:お願いします。

かめやま:ところで、この商品は、どのように販売するのですか?自社販売ですか?それとも、営業代行会社を使いますか?それとも、Amazonのようなネットショップでの販売になりますか?

お客様:HP(ホームページ)を使った販売になりますが、自社でやろうか、他社に頼むかは検討中です。

かめやま HP上の販売なのですね。ところで、商品名はどうされますか?

お客様:この「三角形」をイメージした「おにぎり君」でいいかな?と思っています。

3.たかが商品名。されど商品名

かめやま:「おにぎり君」、可愛い名前ですね。ところで、この「おにぎり君」は、商品名として使えるのですか?

お客様:え?どういう意味です?

かめやま:工具の商品名「おにぎり君」について他人の商標権が存在した場合、お客様は、工具について、商品名「おにぎり君」を使えなくなります。正確に言うと、工具の商品名「おにぎり君」を使用することによって、その他人の商標権侵害となってしまいます。

お客様:商標権侵害になるとどうなるのですか?

かめやま名称使用の差し止め(名称の使用停止)と、損害賠償請求の対象になります。また、悪質な行為は、刑事罰にもなります。

お客様:犯罪にもなるんですね。

かめやま:そうです。現実的によく発生するペナルティは、名称使用の差し止め(名称の使用停止)、そして、これに伴う副作用です。

お客様:副作用というと?

かめやま:まず、商品の出荷停止・在庫処分が余儀なくされます。次に、HPの変更作業が発生します。そして、古い商品名のパッケージの廃棄と、新しい商品名のパッケージの制作も必要になります。そして、新しい商品名でのPRのやりなおし・・・このように、金銭的な損失だけでなく、時間的なロス(機会損失)にもつながります。

お客様:たかが名前なのに、そんなに重いのですか?

かめやま:たかが名前・・・ではないですよ。特に、ネット販売の場合、調べ物をするとき、キーワード検索をしますよね。調べものと同じように、話題となっている商品名や、気になる商品名もまた、キーワード検索をする人が多いと思います。キーワード検索するためには、どんな名前が良いでしょう?

お客様:えぇ。どんな名前???

かめやま:覚えやすい名前です。覚えてもらわなければ、検索してもらえませんよね。

お客様:確かにそうですね。

かめやま:さらに、検索結果では、自社が先頭(少なくとも1ページ目)に出てこないとなりません。したがって、ネット販売する場合の商品名としては、「記憶しやすい名前」、「検索のしやすい名前」、「検索結果で一番前に出てくる名前」がよいですね。

お客様:なるほど。「検索結果で一番前に出てくる名前」というのは、SEOみたいなことをするのですか?

かめやま:それもありますが、それだけではありません。自社商品と同じ同じ商品名を、多数の同業他社が使用していたら、お客様は、同業他社のHPに流れてしまう。

お客様:それは困りますね。自社商品と同じ同じ商品名を、多数の同業他社に使用させては・・・あ!ここで商標権を使うのですね。そうすると、ウチの商品名(登録商標)を同業他社が使用できなくなる。その結果、商品名を記憶したお客様を確実に自社HPへ集まることとなる。

かめやま:PRを一生懸命し、お客様に商品名を記憶してもらっても、同業他社に流れてしまう。これでは、穴の開いたバケツみたいなものですよね。そうならないためにも、自社の商品名を覚えてくださったお客様を、自社HPへ確実に誘導する仕組みをつくる。この仕組みづくりのために、商標権を利用するケースも多いです。特に、ネット販売系では、そのような目的で商標権を取得される企業様は多いです。しかも、キーワード検索によって商標権侵害を見つけやすい。

お客様:使用する側から見れば、商標権者から侵害行為が見つかりやすい。

かめやま:なので、他人の商標権の侵害行為となるような名称使用は避けたほうが良いです。

お客様:そして、集めた見込み客を漏らさず自社HPへ誘導するためにも、自社の商標登録は確保したほうがよい、というですね。

かめやま:そうです。しかし、まずは、他人の商標権に抵触するか否かの調査を行い、その後に、商標登録の手続きを進めることが良いと思います。

お客様:特許だけではなく、登録商標(商品名)の活用も大切なんですね。

4.まとめ

(1)商品名は、大切な集客ツール

(2)良い商品名

  • A 記憶しやすさ
  • B 検索のしやすさ
  • C 合法的に使用できる名前(他人の商標権侵害にならない名前)
  • D 合法的に独占できる名前(商標登録のしやすい名前)

何かの参考になれば幸いです。

コスパのよい特許出願 その1

弁理士の亀山夏樹です。小職は、中小企業200社以上の相談実績があります。今回はコストパフォーマンスのよい特許出願について、これまでのお客様の相談内容を振り返りながら考えていきたいと思います。

1.とある日の特許相談

先日お会いしたお客様。数年前に特許を出し、それから10か月が経過したころ。

優先権の利用を確認すべく、発明品に関する事業の現状を伺うも、「諸々の事情により、事業化は難しく・・・今回の発明は、権利化を見送ろうかなぁ」とのことでした。

2.相談から1年後

ひょんな出会いをきっかけに、その発明品についての商談が入る。しかも、スポットではなく、それなりの規模のようでした。

かめやま:お~!それは、良かったじゃないですか!

お客様 :そうなんですよー。発明品を見たいといわれたのですが、まだまだ改良も必要だし。

かめやま:そうであれば、○○○(発明のポイントその1)に対する周りの関心について探ったほうがよいですよね

お客様 :なるほど。しかし、その流れで、こちらが非公開情報までしゃべってしまいそうで・・・

かめやま:◇◇な観点で切り分けて、こっちならしゃべってOK。そうでなければお口チャック、とすればよいのでは?

お客様 :・・・うーん

かめやま:どうされました?

お客様 :やっぱり。かめちゃん、一緒に来てくれない?

かめやま:・・・ その商談にですか?

お客様 :一人だと、余計なことまでしゃべってしまいそうで・・・

かめやま:わかりました。

3.特許出願の後のすべきこと

出願から3年間は、無条件で”出願中”を維持できる。出願中にすべきことは、出願した発明品の内容を公表して営業活動。その営業活動により

  • 市場が反応するか否か
  • 商談が舞い込むか否か

リターンの見込みがあれば

  • 本当に権利取得したい形が見えてくる
  • 経済的価値のある部分が見えてくる

これが一つの権利化のタイミング・・・

もし、出願した内容が、市場の反応がずれていた場合は、

  1. ずれを補充するような別の特許出願を行う・・・(補強の発明については、お口チャックで)
  2. 特許出願が難しければ、意匠・契約など別の観点で、自社のポジションを守る手立てを行う。
  3. 諦めて別の事業を検討する

このように動かないと、権利化のための無駄なコスト・手間が生まれてしまいます。結果、特許出願のコストパフォーマンスは、中々向上しません。

特許出願は投資活動。事業の進捗と連動させなければ、コストパフォーマンスは悪くなるばかりです。言い換えれば、事業の進捗と連動させることができれば、コストパフォーマンスを向上させることができます。

本当は市場の反応を見てから出願したいところ・・・・。ところが、特許(実用新案登録・意匠登録も同じ)の世界では権利化のために新規性が要求されます。このため、発表前の出願が原則。もちろん、救済措置として、新規性喪失の例外がありますが、そこも完全な救済ではないため、場合によっては、使えない場合も。ということで、どうしても、不確実性が残ってしまう。

この不確実性をどう担保するかといったマネジメントが肝なのですが・・・。このマネジメントが甘いと、結果として、使えない箱モノをドンドンつくっちゃう某自治体のようになってしまいます。

※もちろん、出願してすぐに権利化に動くこともありますが、条件が揃わないと見切り発車の要素が大きくなり・・・

4.まとめ

特許出願の後にすべきこと

  1. 出願が活きている間(通常は3年間)に出願内容について営業活動を通し、その経済的価値を判定する
  2. 出願した内容に経済的価値が見込めれば、権利化へ。そうでなければ、補強を考える。
  3. 補強策の関係で、1.においては済ました特許出願に書いていない非公開情報(補強策に関係あること)はお口チャック

特許出願は投資活動。リターンが見込めそうな領域の権利化が望ましく・・・。リターンが見込めない特許権なんて不要ですよね。

何かの参考になれば幸いです。

MAKERS LINK的、ものづくり製作委員会方式のすすめ その1

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!どんなに暑い夏でも終わりが来るんですね。すっかり秋めいてきた今日この頃…。さあ、仕事もプライベートもなにかと忙しくなりそうな季節です。気合い入れていくぞ!(笑)

ということで、今回は、まず告知を…

前回もお知らせしましたが、10月11日、大阪産業創造館(サンソウカン)さんの「ものづくりビジネスセミナー」に登壇させていただくことになりました。MAKERS LINKの活動についてお話をさせてもらいます。皆さん、よかったら、遊びに来てください!詳しくは、下記の産創館さんのサイトをご覧ください。

【ものづくりビジネスセミナー】
「つながり」でものづくりの可能性を大きく拡大!メイカーズリンクの革命に学ぶ

続いて、報告を…

9月4日から4日間にわたり、東京ビッグサイトで開催された「ギフトショー」に、川口商工会議所の一員として出展をしてきました。いつもの、製造業、ものづくりの世界とは、ぜんぜん違う雰囲気のなか、若干の戸惑いはありましたが、製品、商品を企画販売をされる立場のお客さんがたくさんいらっしゃって、いろいろとお話をさせてもらいました。観点、視点が異なると、同じものを見ても、その価値がまったく違ってくるんだってこと、あらためて認識しました。今後の活動に活かせそうです!

そのギフトショーでは、たくさんの出会いがありましたが、もっともびっくりな人は、実は、同じブース内に立ってた女性だったんです。新光ステンレス研磨さんが手掛ける、アルミ板を使ったタイル「AL-tile(アルタイル)」のデザインを担当された懸谷直弓さん。3年間のOL生活を経ての芸大卒!上野公園に卒業制作の巨大カーソルなるものが展示されているというアーティストなんです!彼女自身が、MAKERS LINKのグループページに自己紹介記事を投稿してますので、ぜひぜひ、チェックしてみてください!

https://www.facebook.com/groups/makerslink/

「AL-tile」は、新しい研磨技術の特長を最大限生かした、美しいタイルです。金属製タイルという新しい分野を開拓していこうという意気込みも素晴らしい!

やっと、本題に…

私、栗原がFacebookで投稿したのを見た方もいらっしゃるかもしれませんが…

「あちこちで言ったり、書いたりしてるので、あ、あれねって思う人も、ちょっとはいるかもですが…。ものづくり製作委員会方式と、MAKERS BANK構想をやる!宣言!いちおう、2年計画で、カタチにしたいって考えています。巻き込まれたい人、歓迎します(^◇^;)」

こちらのブログにも、この構想については書かせてもらってるので、よかったら、下記のバックナンバーを見てみてください。→https://keikakuhiroba-mfi.com/archives/17342

映画のづくりの世界では、主人公を演じる俳優の技量がヒット作になるかどうかの大きなカギになりますね。もちろん、わきを固める役者の存在感も。ものづくりの世界ではどうかな?例えば、製品の良しあしを左右する大きなファクターが、技術力という場合もありますよね。主役の俳優は、メインのパーツを製造する加工屋かもしれない。

素晴らしい原作があって、一流の監督がメガホンをとる、さて、配役は…。この映画のイメージにぴったりな、しかも演技力に申し分のない、そんな俳優を見つけ出さなくては!

今まで世になかった新しい製品のアイデアがあり、才能あふれるデザイナーが商品化を手掛けることに。さて、しかし、コンセプト通りの製品をつくるためには、かなりの技術力を持った加工工場に依頼をしなくては!

ちょっと無理やりかもしれませんが、工程としては同じかな、と。

写真は、悪役紹介の俳優さんたち?いや、どんな難しい役柄でもこなして見せるベテラン俳優のごとく、切削加工の腕に長けた町工場の経営者たち、COOL MILLINGSの面々です。

MAKERS LINKには、たくさんのメンバーがいて、中には、相当の腕を持った加工屋もいたりします。さらに、その中でも気心知れて、地域的にも近いところにいる仲間に絞り込んでグループを組んだのが、チームCOOL MILLINGSです。映画で言うなら、個性派俳優だけを集めた芸能プロダクション?アイドルのような華やかさはありませんが、見た人の心にしみる名作となるべき作品には、欠かせない名優ぞろいです。

つまり…

ものづくりの世界でも、新しいものを生み出していく仕組みとして、映画製作のような方法が有効なんじゃないかと…。どうも、やっぱり、自分の文章の拙さを感じてしまう…。いくつかの実績を積んでいけば、ああ、そういうことだったのね、栗原の言いたいことは…。と伝わる日が来るかと、そのための、2年間と考えて、じわじわとやっていこうと思ってます。ふう…

あ、そうだ、最後にもう一つ、告知。

チームCOOL MILLINGSとして、なんと、渋谷ヒカリエで開催される、ファッション業界の展示会「PLAG IN」に出展します!
合言葉は、

  • GO FASHION!
  • GO COOL MILLINGS!
  • GO METAL PROSECCING!

ギフトショーでも、あれだけの異次元空間だったのに、渋谷?ヒカリエ?ファッション業界?いったいどんな化学反応が起こるのか?予想もつきませんが、まあ、とにかく、アピールしてきますよ!金属の、削り出しの、カッコよさ!

実は、我々の信頼するディレクター役「マナブデザイン」が大きな役割を持った展示会なんです。詳しいことは公式サイトで情報収集してみてください!

http://www.senken-ex.com/plugin/

ものづくり製作委員会方式の記事は、おいおい、書いていこうと思っています。次に原稿書くときは、もうちょっと、頭ン中の整理がついていると思います(汗)

特許出願の際に検討したい3つのこと ~差別化戦略の実行のために~

弊所は、中小企業200社以上の相談実績があります。これまでのお客様の相談内容を振り返りながら、特許出願の際に検討したいことについて述べたいと思います。

1.ある日の特許相談

先日の特許相談。

特許出願を検討されているお客様。特許出願を検討している背景として

  1. 研究成果による差別化
  2. 差別化の維持

があり、「差別化要素を保護するために特許を取りたいです!」とのことでした。

ここまでは、いつもの特許相談とほぼ同じなのですが、どこかスッキリしいない違和感を覚えていました。翌々考えてみると「なぜ、お客様が守りたいと言っている部分は、本当にお客様のビジネスにとって大切なものなのか?」という疑問が払拭できずにいたためです。そこを深堀りすべく、相談時間をいつもより長くとり、いろいろな質問を投げかけました。

すると、でてきました!

特許取得の背景の3番目(事情により非公開です)

その背景は、お客様の業界構造の特性等によるものです。条件が揃えば、こういう特許の使い方もあるのだと、感心します。

2.特許出願の目的は何?

特許出願を検討されている背景として

  1. 研究成果による差別化
  2. 差別化の維持

が相場です。

その背景には、事業における特許の活用が特許出願の前提であるのです。そうであるならば、単なる特許取得ではなく、

  1. その企業にとって事業基盤を保護できる特許
  2. その企業にとって事業に活用できる特許

が重要です。

そのために特許事務所としては「技術内容の把握」はもちろんなのですが、それだけでは足りません。どちらかというと、お客様の業界構造やビジネスモデルを把握した上で、「他社から守るべきはどこ?」を検討する必要があります。

しかし、そこは特許事務所だけが検討することはできず、弁理士とお客様が一緒になって検討することが重要なのだろう、と再認識しました。

3.特許活用のために、検討すべきこと

つまり、事業における特許の活用のためには

  1. 事業環境とビジネスモデル
  2. 保護すべき技術
  3. 法律

の検討が必要です。しかしながら、実際のところ、特許相談に来られるお客様のほとんどは、

  1. 保護すべき技術 を説明し、
  2. 法律 の見解を求める

といったケースが多いです。

しかし、特許の活用を考えると、

  1. 保護すべき技術

も当然ですが、

  1. 事業環境とビジネスモデル

も伺った上で、

  1. 法律の活用

についてコメントしなければ、折角取得した特許も、ビジネス上の実効性が乏しい特許に、つまり、活用しにくい特許になってしまう・・・

これでは、お客様と弁理士との双方にとって、アンハッピーな結果になってしまいます。折角の特許なのですから、自社の利益に結び付くような活用をしたいですよね。

4.まとめ ~特許出願の際に考えたい3つのこと~

1.事業環境とビジネスモデル

  • どのようなビジネスモデルを考えていますか?
  • なぜそのようなビジネスモデルを検討しているのでしょうか?

このプロセスを経て初めて、活用できる特許の道が開けます。冒頭のお客様のように、特有の事業環境が鍵を握っている場合もあります。

2.弱みとなる部分の検討

  • このビジネスモデルの強みはどこにありますか?
  • その強みは、模倣されやすいでしょうか?

模倣されやすい強みは、弱みになりやすいためです。

3.法律の活用

模倣による弱みを補うために法律を活用します。弱みの種類によっては特許でカバーできない場合もあります。そのため、当初の相談は、特許の内容であっても、意匠登録、商標登録や契約で対応することも珍しくありません。

皆様のご商売の参考になれば幸いです。

自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する

テクノポートの徳山です。ここ数年、比較的規模の大きいメーカーさんから「自社技術の用途をもっと多方面へ展開していきたいのだがWebマーケティングの力で何かできないか」といったご相談をいただくようになりました。

多くの分野で市場が飽和し、長年使われてきた技術も今までとは違う活用法を見出して行かなければ更なる成長が見込めなくなってきているようです。今回はWebマーケティングの活用によって自社技術の用途開発を行う際の考え方について解説します。

新しいマーケットを切り拓く手段となる「自社技術の用途開発」

用途開発に対する要望が高まっている背景としては、主力としている市場が成熟化し、競合企業が溢れかえるようになったことで、利益の稼ぎにくい市場になってしまっている、ということが挙げられます。

メーカーの戦略としては、既存のマーケット向けに新技術を開発し競合企業との差別化を図る方法もありますが、新技術の開発にコストがかかったり、そもそもマーケット自体が縮小している場合、顧客サイドのニーズがコストダウンに偏ってしまっている場合などもあり、マーケット自体の将来性に見切りをつけることが必要な場合もあります。

そこで自社の技術を別業界(分野)へ積極的に展開し別の用途として使ってもらう「用途開発」を行うことで、新しいマーケットを切り拓いていくことが必要になってきています。

%e3%82%a2%e3%83%b3%e3%82%bd%e3%82%99%e3%83%95

そして、その「用途開発」を行う手法としてWebマーケティングが大いに活用できるのです。

技術の用途開発とオープンイノベーション

「オープンイノベーション」という言葉をよく耳にするようになりましたが、技術の用途開発を行うための手段の一つとして考えていただいて良いかと思います。今までは技術の用途開発を行う場合は、自社技術だけでは不足してしまう一欠片の技術を外部から調達するといった「インバウンド型」が中心で、その活動は情報をオープンにせず、自社もしくは技術仲介業者などを使って水面下で行われることがほとんどでした。

インバウンド型の場合、課題と解決手段が明確な場合が多く、製品開発に必要な技術を見つけるという目的を達成できる可能性が高いものの、大きなイノベーションには繋がらないことが多いのが特徴でした。しかし、アウトバウンド型の場合は、不特定多数に問いかけることで思いもよらぬ分野の人や企業からの提案を集めることができ、結果として大きなイノベーションに繋がる可能性を秘めているのが特徴です。

Webマーケティングで用途開発を行うということは、不特定多数に自社技術の新たな使い道を問う方法であり、アウトバウンド型となります。よって、Webマーケティングによる技術の用途開発はオープンイノベーションの一手法といっても過言ではないかと思います。

Webマーケティングで用途開発するために考えるべきポイント

Webマーケティングで用途開発を行う場合、ターゲットが不明確な場合が多いので、戦略的に進めないと情報を外部へ公開しただけで何の結果をもたらさない、という最悪な状況を招く場合があります。そうならないために下記のポイントを考慮しながら進める必要があります。

どのような情報を掲載すれば相手に見つけてもらえるか

Webサイトなので当然まずは見てもらえないと何の意味もありません。見てもらうためには検索エンジンでどのようなキーワードで検索した時にWebサイトが上位表示されるかを考えなければなりません。技術に詳しい人、詳しくない人関らず様々な技術者に技術を知ってもらうためには、その技術を様々な切り口から検索されるようにする必要があります。

技術に詳しい人であれば具体的な技術名や、その技術が使われている業界や製品(部材)名でキーワード検索するでしょうし、技術に詳しくない人であれば自身が抱えている技術課題や解決するための機能といったキーワードで検索するでしょう。

自社の技術を様々な分野の技術者に見つけてもらうためにはどのようなキーワードが考えられるのか、社内でブレストしてキーワード候補を広げてみてください。

どのような情報を与えればユーザに思いついてもらえるか

Webサイトを見てもらってもユーザに技術の内容を理解してもらえなかったり、理解したとしてもユーザに活用法を見出してもらえないと意味がありません。

よく小学生にも分かるように説明できているコンテンツが優れている、と言われますが、理解するのが難しい技術を説明する場合は、尚更分かりやすく伝わるようにすることを意識する必要があるでしょう。

ここでは噛み砕いて技術を分かりやすく伝える、という特別なスキルが必要になります。テキストだけでなく動画やイラストなどを使うことも一手です。

どのような方法で用途開発アイディアを取得するか

最後のポイントとしては、どのような方法で用途開発アイディアを得るのかです。具体的な活用法を見出したユーザからの問合せを待っても良いのですが、それには少し時間がかかる場合もあるので、ここではWebの特色を活かすことが必要です。

アクセスデータを分析することで用途仮説を導き出したり、技術資料のダウンロード時に簡易的なアンケートを取得するなど、情報を取得するためのハードルを下げる工夫が必要となります。

Webマーケティングで用途開発を実現するための手順

最後に、用途開発をWebマーケティングという手段で進めるためには何をすればよいか手順をご説明します。

1、技術の棚卸しを行う

自社が持つ技術を棚卸し、どの業界で使われているか、機能はどのようなものか、どのような技術課題を解決できるかといったことを洗い出します。

2、技術を翻訳(分かりやすいコンテンツに変える)する

その技術がどのように呼ばれているか(業界によって違う場合があるので)、どのような機能を持ち、どのような技術課題を解決できるのかを分かりやすく文章、イラスト、動画などのコンテンツを活用し解説します。

3、Webサイトにて情報発信する

2で作成したものを含め、下記のようなコンテンツとしてWebサイト上に公開します。

  • 技術説明資料(公開しづらい情報はダウンロード資料にする)
  • 活用事例
  • 技術コラム
  • 技術用語解説

4、効果検証する

アクセスデータ、問合せの内容、アンケートなどから用途仮説を立て技術を用途展開します。

  • 問い合わせフォームの設置
  • アクセスデータの分析
  • 資料ダウンロードをネタにアンケートを取得

以上、技術の用途開発にお困りの方に少しでも役に立つ情報が提供できていれば幸いです。ぜひWebマーケティングの活用によって貴社技術の可能性を拡げてみてください。

品質を設計から作り込む方法タグチメソッド(その3)

ものづくりドットコムの熊坂です。

年が変わったと思ったらもう半月過ぎてしまいました。油断も隙もありませんね(^^) 今年はどんな年にしますか?何をすれば良いかはだいたい皆分かっているもので、誰かではなく自分でブレーキを踏んでいるだけなんですよね。「それ」を実行すれば、新たな道が拓けますよ。

想いを新たに、挑戦していきましょう!

さてものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は前回に引き続き「タグチメソッド」ですが、そこで使われる直交表についてお話します。

いっぺんにたくさんの因子を評価する

前回までにタグチメソッド独特の「技術評価方法」である「SN比」について説明しました。これを大きくすれば安定した≒トラブルの起きにくい技術になるのですが、そのためには設計者が自由に決められる因子=パラメータを変化させて実験することになります。

ほとんどの人は一つあるいは二つの因子を少しずつ変化させて最適値で固定し、次に他の因子を変化させて、少しずつ良い因子水準を探していきます。これを逐次実験と呼びますが、次のような問題点があります。

  1. 交互作用があると、実験の順番によって結果が変わる場合がある。
  2. 良い結果が得られても、最適組み合わせの保証がない。
  3. いつ目標に達するか分からない。非常に多数回の実験が必要な時がある。

ならばたくさんの因子のすべての水準組み合わせを実験すれば、このような問題は解決するわけですが、2水準で3因子:組み合わせ数23=8サンプルまでならまあ何とかなるものの、4因子24=16、5因子25=32サンプルあたりになると、現実的ではなくなってきます。

そこでタグチメソッドで採用するのが直交表という道具です。これは言ってみれば統計的な手抜き実験法です。例えば7因子を2水準で全組み合わせは27=128サンプル必要となりますが、下図1のL8(27)という直交表を使うと、たった8通りの組み合わせで7因子の各種効果を評価することが可能となります。 

図1.L8直交表

 

直交表の仕組み

上の図1を良く観察しましょう。7つの因子列のどの2列を取り出しても、因子水準の組み合わせ(1,1)(1,2)(2,1)(2,2)という4種類が必ず2回ずつ現れます。それによってある因子の効果を評価する時に、第1水準4個と第2水準4個のそれぞれの実験結果の平均を比べることで、他の因子効果が相殺されて結果に影響を与えないことになり、簡単な計算で7因子の主効果が、繰り返し数4で分かってしまうのです。

ただし因子間の交互作用が大きい場合は、この理屈が正確には成り立ちません。128通りの組み合わせ中のたった8通りを実験するだけですから仕方がありません。大きな交互作用がいくつもあると、直交表を使った評価は不正確になっていきますが、もし直交表を使わず適当に実験していると、多くのサンプルを使いながらも不正確ということすら分からず、いつまでも右往左往することになります。

前節ではL8直交表を例示しましたが、他にも下表1のように3水準や多数の因子を扱えるものなどたくさんの種類があり、実験目的や内容、許される費用や期間などに応じて使い分けることになります。

表1.主な直交表の種類

実際の利用にあたっては、4水準以上の変数の扱いや、水準間隔の考え方など多くのノウハウがあります。

パラメータ設計

前回説明した基本機能評価に、上記の直交表を組み合わせて制御因子の最適水準組み合わせを探索するのがパラメータ設計です。その構造を下図2にまとめます。

図2.技術システムとパラメータ設計の関係

その効用をまとめると次のようになります。

  1. 実験で意図的に特性をばらつかせる因子を加えることで、技術の良しあしを安定性によって評価し、
  2. 入力変化に対する出力の応答性を見ることで、技術の汎用性を確保するとともに、評価の感度を向上し、
  3. 直交表を使うことで多くの設計因子を一度に評価するとともに、設計因子どうしの交互作用についてもある程度の緩衝効果を発揮する。

前々回紹介したように、多くの企業がこの方法を使って高いレベルすなわち低コストで良い特性が安定的に続く技術を短期間に開発、設計するようになっています。ちょっと手強い手法ではありますがそれだけに、品質問題で窮地に追い込まれる前に習得しておきたいものです。導入にあたっては、さらに詳細な情報を入手するか、経験者の指導のもとで進めるのが早道でしょう

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、村島繁延さんがこの分野の専門家です。不明の点やご相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。