カーボンニュートラルと中小製造業

テクノポートの小林です。今回は、最近耳にすることが非常に多くなったカーボンニュートラルについて、中小製造業としてどうとらえるべきか、個人的な見解を含め紹介します。

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルは、炭素中立とも呼ばれ、環境と気候への影響を最小限に抑える目的で、炭素排出量と炭素吸収量を均衡させることを意味します。具体的には、ある組織や個人が生み出す炭素排出量(二酸化炭素や他の温室効果ガスの排出)を減少させ、同時に炭素吸収活動(例:森林の植林や二酸化炭素の吸収に貢献するプロジェクト)を通じて排出量を相殺し、最終的にプラスマイナスゼロの炭素排出状態にすることを指します。カーボンニュートラルを達成することは、気候変動への対処と持続可能な未来への貢献になるとして重要視されています。

カーボンニュートラル

引用元:環境省:脱炭素ポータル https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

よく耳にする言葉としてSDGsがありますが、カーボンニュートラルの概念と取り組みは、SDGsの一部としても位置づけられています。なぜならSDGsの達成には、環境への負荷を減少させ、気候変動を抑制する必要があるためです。

カーボンニュートラルを目指す背景と経緯

気候変動への懸念

20世紀から21世紀にかけて、科学的な研究が進み、地球温暖化と気候変動が深刻な問題であることが明らかになりました。温室効果ガスの排出(特に二酸化炭素)が増加し、気温上昇、極端な気象、海面上昇、生態系への影響などが顕著になりました。これらの現象は、環境、社会、経済への脅威として広く認識され、カーボンニュートラルを目指す必要性が強調されました。

国際的な合意 パリ協定

2015年に国際連合で採択されたパリ協定は、気候変動に対処するための国際的な合意であり、温室効果ガスの排出削減に関する具体的な目標を設定しました。多くの国が、自国の温室効果ガス排出を削減し、最終的にはカーボンニュートラルを達成することに合意しました。この実現に向けて、世界が取り組みを進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げているところです。

日本政府としての目標設定

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

各企業の流れ

これを受け、企業としても単に利益を追求するだけでなく、持続可能性を考慮し、社会的な責任を果たすことが重要という認識を強く持ち、積極的に取り組む企業が増えています。この方針は「企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility, CSR)」や「持続可能な経営(Sustainable Business)」などとして知られています。

この流れは大手企業を中心に進行しており、サプライチェーンの中に組み込まれている中小製造業にも協力要請が徐々に出始めています。

グリーン調達とは

グリーン調達とは、企業などが原材料や部品、資材、サービスなどをサプライヤから調達する際に環境負荷の小さいものを優先的に選ぶ取り組みのことです。このような環境に配慮した調達に積極的に取り組むことで、環境負荷を抑えた製品開発を促すことができ、環境問題の改善につながります。

サプライヤーにとってのグリーン調達

グリーン調達を行うことで、納入先企業の事業戦略や、環境に関する要求に沿った対応が可能になります。そのため、納入先企業から信頼を獲得し、安定的・長期的な事業機会の獲得やリスク回避につなげることができるため、必要な取り組みであるといえます。

さてここで、環境負荷の小さいものとはどのような評価をするのでしょうか?

  • 環境に配慮した原材料
  • リサイクル材
  • 環境負荷の低い生産方法
  • 廃棄物の少ない製法 など

素材の製造工程や、部品加工時の温室効果ガス排出の少ないもの、エネルギー効率の高い製造方法などが考えられます。素材に関する排出量は数値化できるかもしれませんが、部品加工時の数値を想定することは、中小製造業には今まで経験がないことです。サプライヤー企業として、カーボンニュートラルに寄与するためには、現状使っているカーボンの排出量を正しく計算することが必要になります。それができなければ、排出量削減やエネルギー効率向上などの目標を立てることができません。そこで、DX(デジタルトランスフォーメーション)が必須となるわけです。

DXによる現状把握と課題

DXを通じて、企業は現状を把握し、持続可能な戦略の策定と実行に向けて重要な情報を収集し、効率化を実現できます。しかし、そのためにはデータの正確性や信頼制、データ収集のコスト、第三者による透明性と認証などさまざまな問題が存在します。どの範囲をどの程度まで計測すればよいのか、手探りな企業も多いのが現状です。

このテーマを中小製造業としてどうとらえるのか?

このテーマには取り組むことのメリット・デメリットがあり、「今すぐ始めたほうがよい」と断言することはできません。ここではまず、取り組まないことのリスクについて説明します。

今後取り組まないことによるリスク

顧客ロスのリスク:

顧客やパートナー企業は、環境への貢献を重視し、持続可能な企業との取引を優先する傾向が強くなり、サプライチェーンの選定から外れる可能性が出てきます。

競争力の低下:

環境に配慮の低い製品やサービスを提供する企業は、ユーザーからの信頼を失うリスクがあります。環境に対する配慮を欠いた企業は、競争力の低下やブランド価値の減少につながる可能性があります。

エネルギーコストの増加:

カーボン排出を減少させない企業は、エネルギーコストが増加する可能性があります。多くの国や地域が化石燃料に対する税金や規制を導入しており、高炭素のプロセスは高コストにつながります。

人材採用と維持の困難:

カーボンニュートラルを目指さない企業は、環境に配慮のある若い世代の従業員を引き寄せるのが難しくなる恐れがあります。また、既存の従業員が環境に配慮の低いビジネスモデルに不満を抱く可能性も考えられます。

資金調達が難しくなる:

脱炭素化への取り組みを評価基準として重視する金融機関で、低金利融資や特別な融資メニューなどの優遇が受けられない可能性が出てきます。

上記の内容を裏返したものが主なチャンスと言え、取り組むメリットとなります。

先駆けて取り組むことで、企業の行動の指標となりやすく、ノウハウも蓄積できます。中小製造業の方が、大手に比べ取り組む領域が少ないため、スモールスタートができる環境です。その取り組みで蓄積したノウハウをもとに、カーボンニュートラルを企業に導入するための支援サービスなど、新たなビジネスを生み出せるかもしれません。プレス加工業の会社で先駆けて自社のIoTに取り組んだことでノウハウを蓄積し、新事業としてIoTの導入支援サービスを立ち上げた会社もあります。

取り組むデメリット

短期的な観点で見れば、利益を生み出す取り組みではないことが一番のデメリットと言えます。もちろんDXによる見える化やエネルギーコストの削減などで原価低減には寄与できるかもしれませんが、初期段階ではコストが先行します。また、その具体的な進め方も企業によって事情は異なり、明確な手法として確立できているとは言えません。

取り組んだほうがよいのはわかるけれども、「どうすればよいかわからない」もしくは「コストがかかるので明確な要望があるまでは待機」と考える企業は多いと思います。ただ、SDGsよりもより具体的な数値で示されるカーボンニュートラルの取り組みは、製造業にとって必須となる可能性が高いように見えます。この問題に関する準備を少しずつでも進め、リスクを回避し、チャンスとして取り込める組織が求められているのではないでしょうか?

カーボンニュートラルの取り組みを行う中小企業の事例

最後に実際にカーボンニュートラルに取り組む板金企業の事例を紹介します。カーボンニュートラルを一つのチャンスをとらえ実践している企業さまですので、ご参考になれば幸いです。

カーボンニュートラルに取り組む中小製造業参照:https://www.sheetmetal.amada.co.jp/column/challenge/sheetmetal08/

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BtoB自社製品開発:事例研究(板金屋さんが作ったバリ取り機)

テクノポートの小林です。先日、弊社企画のセミナーにて、BtoB自社製品事業を立ち上げ、大きな成果を上げている株式会社エステーリンクの齋藤社長にお話を伺いました。お話の内容をもとに、新規事業成功の秘訣はどこにあるのか、分析と考察を紹介します。

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動画URL:こちら現在準備中です。しばらくお待ちください。
【オンラインセミナー】成功の秘訣は現場にあり!自社製品開発に成功した板金屋が語る裏話

事業紹介

株式会社エステーリンクは、新潟県燕三条にて板金加工及び集塵機の製造を行う会社です。17年ほど前にバリ取り機械「メタルエステ」を開発し、累計台数1600台を販売、現在では会社売上の半分を占めるまでに新規事業として成長させています。同事業を戦略的な視点で成功の要因がどこにあるのかを分析しました。

SWOT分析

SWOT分析は、自社の事業の状況等を、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの項目で整理して、分析する一般的な手法です。

事例分析:SWOT分析

強み

  • 地元地域の強みとなる磨き技術
    スプーンやナイフを磨くような燕三条の磨き屋さんの意見をいただき、研磨効率を高めるための技術を取り入れる。
  • 集塵機で培った集塵技術
    バリ取りには集塵技術も重要で、部屋の中の空気を操る技術を、装置内の空気を操る技術につなげる。
  • フットワークの軽さとコミュニケーション能力
    話があれば全国どこでも飛んでいくフットワークの軽さとコミュニケーション能力
  • 改良のアドバイスをくれる既存顧客の存在
    同業者のネットワークから生まれる顧客と課題を共有し、共に製品開発・改良を続けるファンづくり。
  • バリ取りの課題を熟知している
    板金加工で困るバリ取り工程の課題は、自分たちの抱える課題でもあり、顧客の困っていることは言われずともわかっている。

弱み

  • 営業経験ゼロ
  • 装置を作る制御系の知識ゼロ
  • バリ取り装置メーカーとしての知名度ゼロ
    営業マンはおらず、営業経験もない、自分一人しかいない、設計のノウハウもなく、当然、メーカーとしての知名度もない状態。

機会

  • 自動化の流れ(製造業の人手不足)
    人の手から離れ自動化をさせる流れが増えてきているが、バリ取り工程に関してはまだそこまで普及していない。

脅威

  • 代替品としてのロボットメーカーの参入
    (開発当初の時期ではそこまで脅威とはなっていない)

クロスSWOT分析

事例分析:クロスSWOT分析

クロスSWOT分析は、SWOT分析で利用した4つの項目をそれぞれ掛け合わせることで、選択すべき戦略を明確にしていくことができる手法です。

非常に効果的な事業の仕組みができているように思えますが、この分析は現在の結果に対する分析のため、時系列が抜けています。最初から戦略的にすべてを組んだ上で事業を進めたのではなく、試行錯誤の中で少しずつ戦略を組み立てていったそうです。

提供価値と主な競争優位性については、以下のように想定できます。

提供価値

バリ取り装置によるバリ取り工程の自動化で省力化&コスト低減を実現
(金銭的なメリットもあるが、作業者の「バリ取りは大変」という作業者の負担を軽減もできる)(経営者にも現場作業者にも欲しいと思われる製品)

主な競争優位性

  1. 顧客以上にバリ取りの現場を熟知していること(確固たる自信)
  2. 大手の狙わない市場規模
  3. 地域の技術(燕三条の磨きの技術)を結集した独自の磨きノウハウを構築
  4. 自社の集塵技術をバリ取りに生かす

成功要因の考察

①自分が絶対欲しいと思えるものを作ったこと

一般消費者向けとは異なり、非常に限られた市場で勝負したこと。また、その中で本当に欲しい製品開発を行ったことが成功の秘訣だと考えます。同じ現場にいるユーザーからの賛同を得やすくなり、販売につながります。「そうそう、こういう製品があると助かるよね」という、その装置を導入することで「儲かる」より「助かる」製品開発が成功のヒントかもしれません。

また、齋藤社長のおっしゃっていた「我々はバリ取り現場でのかゆいところがわかる」という表現は、うまく言語化できないけど何となく困っている潜在的なニーズを解き明かし、解決する手段を製品に反映させているのだと感じました。そこまでわかるのは本業の板金事業があるからこそで、板金事業も続けていくとおっしゃっていました。

②必ず成し遂げるという熱意と行動力

熱意と行動力で、顧客を開拓し、協力してくれる仲間を増やし、周りを巻き込む

前述の通り、最初から戦略を立てて製品化をしたかというと、そうではなかったそうです。自社で困っているバリ取り工程を何とかしたい、そのため、売るための機械ではなく、「自社の困った」を解決するために開発した機械だったそうです。

ただ、同業者との話の中から、うちにも欲しいという声が何件か出てくる中で、「これはビジネスになるのでは?」というきっかけから製品化に踏み切ったそうです。

SWOT分析の「弱み」部分に記載しているように、何もノウハウがない状態からスタートした事業で、熱意と気合いでカバーしてきた面も多いとおっしゃっています。事業を走らせながら製品に改良を加え、知識やノウハウを吸収、仲間を増やし、成長させていったと言えます。

③自社の事業に合った展示会への出展

チャンスを逃さない、なんとしても事業を成功させるという覚悟

雑多な展示会に出展するのではなく、顧客が多く存在する展示会への出展が大きなターニングポイントになったとおっしゃっていました。同社の場合は、MF-TOKYO(プレス・板金・フォーミング・自動化・周辺機器)の国際展示会が製品が売れ始める大きなきっかけになったそうです。大きな展示会の出展にはそれなりの費用もかかるため、社長に直談判し、費用を捻出し取り組んだそうです。そのため、出展することで何かしらの成果を上げなければならない挑戦でした。
結果として、数多くの見込み顧客を獲得し、展示会終了後にはすぐに獲得した名刺のほとんどの会社に連絡をとり、訪問のアポを取り、全国どこでも訪問したそうです。

事業を成功させるためには、チャンスを生み出すきっかけと、事業を成功させるという覚悟が必要だと感じました。事業を成功させる自信があるかどうかよりも、「なんとしても成功させてやる」という覚悟と行動がチャンスをつかむのだと考えられます。

アナログな営業がすべてではなく、現在ではアナログとデジタルの両方を駆使し、さまざまな手法で非常に効率的なマーケティング手法を確立しています。

BtoBでの自社製品開発事業の事例分析を紹介しました。自社製品開発というと、一般消費者向けが多いですが、いま働いている現場にこそ、新しい事業の種が眠っているかも知れません。皆さんの新規事業開発の参考にしていただけましたら幸いです。

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ものづくり企業の成長戦略をバリューチェーンから考える

テクノポートの小林です。自社の成長戦略を考えるサプライヤー企業に向けて、バリューチェーン分析の価値を紹介します。

バリューチェーン分析の意義

バリューチェーンは、企業が商品やサービスを創造、開発、製造、販売する過程全体を、一連の活動としてとらえる枠組みです。このアプローチにより、企業は競争力を維持するために内部活動を最適化し、付加価値を創出する方法を理解できます。典型的な目標は、自社の各活動ごとのコストを明確にし、コスト削減戦略に活かすこと。もう一つの目標は、自社の強みと弱みを把握し、差別化戦略に結びつけることです。今回のアプローチは、これまでの手法とは異なります。顧客のバリューチェーンを分析することで、サプライヤー企業としてどのような価値提供が可能かを検討し、自社の成長戦略に組み込む手段です。

3つのアプローチでバリューチェーンを分析し、成長戦略を練る

①川上と川下を広げて提供価値を高める

バリューチェーンの上流や下流に進出し、提供価値を向上させる方法考えられます。

樹脂加工バリューチェーン

射出成形の会社の場合

試作段階からの案件獲得を目指す 量産段階で案件を獲得する場合、仕様変更や量産におけるコスト競争に巻き込まれることがあります。そのため、試作段階から案件を獲得することができれば、仕様の変更や量産へのスムーズな移行、顧客との信頼構築が可能です。また、価格競争にも立ち向かいやすい状態になります。試作系業者との連携を強化するか、試作に関連する設備の内製化に注力することで、この戦略を実行することができます。

試作加工業者の場合

製品の開発をトータルサポート 逆に、試作加工業者は量産を受けていない場合があります。この場合、試作段階で問題なく製品ができても、量産時に形状の不一致が発生することがあります。そのため、製品の開発をトータルでサポートし、付加価値を提供します。量産会社と提携し、試作から量産までのサポートを提供する戦略です。

②選択肢を広げる

現在、自社で行っている加工方法は何かの製品を作る際の手法の一つのはずです。ユーザーが必要な製品に対し、自社の加工方法が適切でない場合もあります。最適な手法を提案してこそ新しい価値提供が生まれるという考えのもと加工の選択肢を増やす戦略です。もちろん自社だけでは不足するものは協力工場のネットワーク構築が必要不可欠です。

樹脂試作切削業者の場合

多様な加工方法を提案 顧客が試作品を作成する場合、樹脂の切削は1つの手法ですが、他にも加工方法が存在します。ユーザーが適切な方法を選ぶ際、最適な加工方法が何かを検討します。そのため、自社での切削以外の加工方法にも知識を広げ、光造形や真空注型などさまざまな加工方法から最適な提案を行うことで、提供価値を高めることができます。ターゲットを製品開発者に設定した場合、自社の提供価値を「最高の切削加工品を提供することを突き詰める」だと、内部資源だけで決めてしまっては、顧客が本当に欲しいものが提供できない場合があります。

③ターゲットを変える

アプローチを切り替えてみましょう。まず、自社のターゲットを変更する方法です。バリューチェーンの中で自社の位置を見直し、顧客のニーズに合わせて適切な戦略を模索します。

材料問屋の場合

従来
材料問屋バリューチェーン
新規材料問屋バリューチェーン

顧客の対象を変える:加工業者→メーカー 通常、材料問屋は加工業者に材料を提供します。しかしこのアプローチでは付加価値の向上が難しく、価格競争に巻き込まれる可能性が高いです。そこで、加工業者が協力するメーカーにアプローチをかけ、材料販売に加えて加工の受託案件を獲得することで、加工業者と連携して付加価値を提供する流れを築くことができます。こうすることで、加工業者は自社の材料を購入し、同時に仕事を獲得するメリットが得られるようになります。ターゲットの変更により、他の材料問屋との差別化を図り、顧客に価値を届ける手法といえるでしょう。

プレス金型業者の場合

従来プレス金型バリューチェーン
新規プレス金型バリューチェーン

顧客の対象を変える:プレス加工業者→メーカー 売り型の金型業者にはプレス加工業者からの依頼が中心です。しかし、プレス加工業者が案件を持ってこない限り、新しい案件が得られません。そのため、メーカーに対して自社の金型でどのような製品を作れるかをPRすることで、メーカーから直接案件を獲得し、プレス加工業者に発注する流れを構築することで商機を広げることができます。この方法は一般的なビジネス拡大の方法とも言えます。

冷間鍛造の2次加工業者の場合

従来
鍛造業者バリューチェーン
新戦略鍛造業者バリューチェーン

顧客の対象を変える:鍛造業者→メーカー 前述した金型業者と同様に、発注元の鍛造業者に依存している状態です。メーカーが求める製品に焦点を当て、ネジやナットに特化したPRを行うことで、製品の上流工程での案件を獲得する戦略です。既存の事業ドメインでは難しいかもしれませんが、協力企業との協力で実現可能です。このケースでは、鍛造品の提供以上に、適切なネジやナットを試作段階から量産段階まで調整する価値があります。鍛造業者は自社の技術に固執することがあるため、他の加工手法を提案することが難しいことも考えられます。そのため、最適な加工手法を提案できることは大きな価値となります。

以上のように、自社の位置を明確にし、戦略の展開に有益な手法を検討することで、新たな価値を創出する可能性が広がります。ご参考にしていただければ幸いです。

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中小企業のWebマーケティングがなかなか進まない理由

テクノポートの小林です。近年、コロナ禍以降はとくに、中小製造業の中にもWebマーケティングを導入する企業が増えてきています。

中小企業の経営者の後継者や営業担当者がWebマーケティングの有用性を感じ「うちの会社にも導入したい!」と思っても、社内からの理解が得られず導入を進められないケースも多く見受けられます。今回は、Webマーケティングの遂行を妨げる要因と、それを乗り越えるための対処法について紹介します。

Webマーケティングの遂行を妨げる要因

中小企業のWebマーケティングを遂行を妨げる要因はなんでしょうか?その要因をしっかり理解することができれば、対策の糸口は見つかるはずです。

デジタルマーケティングへの理解の不足

中小企業の経営者層がデジタルマーケティングに関する知識や理解を持っていない場合、Webマーケティングを効果的に活用することは難しいです。「よくわからないものは取り入れない」、「業界で話題になっていたとしても、うちは独自にやっている」という考えを持っているのかもしれません。

伝統的なマーケティングへの執着

一部の中小企業は、伝統的なマーケティング手法に依存していることがあります。昔ながらの足を使った営業活動に固執し、新しいデジタルマーケティングの重要性に気づいてないのです。もちろん対面での営業も重要な営業手法ですが、他の可能性を否定してしまうことはもったいないことです。

また、「うちの業界は特殊だから」という理由で可能性にフタをしてしまう会社も多く存在します。

予算の制約

中小企業は、大企業に比べてマーケティング予算が限られています。Webマーケティングには広告費や専門的な支援を必要とする場合があり、予算の制約が進展を妨げる要因となることがあります。今まで営業をせずとも仕事を受注できていたため、営業に費用をかけることに消極的な傾向があります。また、見えないWebに関して費用をかけるのにはさらに消極的になる場合があります。「展示会には費用をかけて積極的に出展しているけれど、Webはぜんぜん」というケースも少なくありません。

リソース不足(運用体制)評価体制に問題

Webマーケティングは継続的な取り組みを必要とします。中小企業は従業員数や業務量が限られていることが多く、Webマーケティングに必要なリソースや時間を割く余裕がない場合があります。専属の人間を置くことはできず、どうしても片手間になりがちです。

評価体制に問題

実施者の人事評価も重要な問題です。せっかく成果を出しても実行者への適切な評価が得られず、モチベーションの低下、予算削減などにより思うように進まなくなることがあります。

成果測定の不足

効果測定は、実施したマーケティング活動の成果や効果を測定し、改善策を立てるために重要な要素です。やったことに対する成果を見える化させる仕組みがなければ、社内での評価や賛同を得ることができません。

Webマーケティングを遂行するための4つのポイント

上記の要因を踏まえた上で、遂行するためのポイントを紹介します。

経営者層にWebマーケティングの重要性の理解をいかに得るか?

何よりも大事なことは、ユーザーがどのように新規の会社を探しているかを経営者層に理解してもらうことです。ユーザーの行動心理を理解し、その上で自社がどうあるべきかを考えることで、自然とWebの重要性が理解してもらえるはずです。

そのためには、やはり数字や生の声を利用し、根拠に基づいた説明が効果的です。担当者の気持ちや意見ではなく、客観的な意見と根拠で説明します。例えば下記のようなアンケート調査を利用すると効果的です。

新規開拓

引用元:イントリックス株式会社

情報収集段階の手段として、Webを使うユーザーが圧倒的に多いことが証明されています。

ユーザーの行動心理に合わせ、自然と自社を認知してもらい引き合いを呼び込むことは、ユーザーにストレスを感じさせないユーザーファーストな営業と言えます。

Webマーケティングの効果的な実行手段の構築

重要性を理解してもらったところで次は、「じゃあどうやってやるの?」が経営者層の興味内容です。効果的な手段が提示できなければ、せっかく有用性を理解してもらえても賛同が得られません。

限られた予算の中で、いかに高い効果をあげられるかが課題となります。まずテコ入れすべきはWebサイトです。WebサイトはWebマーケティングの中核です。ユーザーフレンドリーなデザイン、SEO対策、モバイル対応など、Webサイトの最適化を行い、集客力の高いサイト構築が必要となります。

Webマーケティングに知見のある人材が社内にいるケースは少ないため、信頼できるWebマーケティング会社と一緒に進めることをおすすめします。事例などを踏まえて効果が期待できるようなイメージをいかに持たせるかが重要です。

実施効果の見える化:Webマーケティングの運用、評価体制の構築

実施効果をどうやって計測するかが次に知りたいポイントです。やりっぱなしが一番の問題です。以下のポイントを考慮して、適切な運用・評価体制を構築しましょう。

①データ収集と分析:

Web解析ツールやデータ収集手段を活用し、マーケティング活動の成果を定量的に評価します。Webサイトのトラフィック、コンバージョン率、離脱率などの指標を分析し、課題や改善点を洞察します。

②目標とKPIの設定:

マーケティングの目標を明確に設定し、それに基づいたキーパフォーマンスインディケーター(KPI)を定めます。KPIは成果を評価する指標であり、マーケティング活動の進捗状況を把握するための基準となります。

③定期的な評価と改善:

マーケティング活動の評価を定期的に行い、データに基づいた改善策を立てます。効果のある施策を継続し、効果の低い施策を見直すことで、効率的なマーケティング活動を実現します。

④成果の評価だけでなく、実行者への評価や運用体制について:

組織としてWebマーケティングをどう運用するかを議論しておくことも重要です。誰がどのように管理し、時間をどれぐらい費やすべきか、また、その成果に対して仕事としてどのように評価すべきかまでを考えておかなければ、「頑張って成果が出たのに、人事評価とは関係なかった」となると、社員のモチベーションの低下にもつながります。

④だけは担当者としての業務遂行のしやすさや立場を守るためにも重要です。会社組織全体としてWebマーケティングに取り組むことの理解を得ましょう。

Webマーケティング遂行にかかる費用に対しての理解

最後はかかる費用に対しての合意です。費用に関しての捉え方は会社によってまちまちのため、Webマーケティングに関する費用を安いと捉える会社もあれば、高いと捉える会社もあります。一般的な説明の道筋は下記の通りです。

  1. 新規開拓の重要性の理解
  2. そのために何をするか?新規開拓の手法の提示
  3. その中でWebがコストパフォーマンスに優れている点

ただ、それだけだと初めてWebマーケティングに取り組む方の腰は重いかもしれません。価値をどうやって理解してもらうかの話ですので、たとえ話をしてみるのもよいでしょう。

例えば、この業界は単発の新規取引ばかりでは手間ばかりで利益が出ない業態の会社が多いです。そのため、単発取引をいくつか受ける中で、1年間に1社でも継続取引ができる顧客がもしできるとすれば、どれぐらいの費用をかける価値がありますか?

会社や組織を巻き込むためには、論理的な話だけでなく、可能性や期待、ワクワク、情熱も最終的には必要になります。

Webマーケティングの遂行を妨げる要因と、それを乗り越えるための対処法について紹介しました。参考にしていただけましたら幸いです。

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中小製造業における新規営業の難しさを考える

テクノポートの小林です。今回は中小製造業の新規営業の難しさについて、業界の構造、技術営業の特徴を踏まえ紹介します。現状を理解することで、自社が行うべき施策の参考になれば幸いです。

中小製造業の新規開拓の必要性について

いまさら説明の必要性はないかもしれませんが、中小規模の製造業の新規開拓の必要性について、念のため説明します。

原価低減協力による利益率低下のリスク軽減

既存顧客との取引においては、原価低減協力により、利益率が低下することがあります。新規顧客の獲得により、顧客数を増やしてリスクを分散することで、原価低減協力のリスクを軽減できます。

現場の思考力向上

決まった仕事を続けると作業化してしまい、現場の思考力が低下することがあります。新しい顧客からの依頼に対応することで、現場のスキル向上や知識の習得が促進されます。また、新しいプロジェクトに取り組むことで、現場のアイデアや創造性の向上が期待できます。

仕事の波の緩和

製造業は仕事の波が激しく、需要の変動に対応する必要があります。新しい顧客を獲得することで、需要の変動リスクを軽減し、収益を安定化させることができます。

イノベーションの創出

新しい市場には、既存のビジネスモデルでは対応できないニーズが存在するため、より効率的かつ柔軟性のあるビジネスモデルが求められます。新規顧客との取引を通じて、新しいビジネスモデルのアイデアを得ることができ、それがイノベーションの創出につながります。

中小製造業の技術営業の難しさ

顧客:下請け構造による問題

顧客との関係性で受託加工という性質上の問題が考えられます。

①立場上、足元を見られやすい

案件を獲得しようとこちらからアプローチをかけても、そもそもメーカー側ではすでに頼んでいる加工業者が存在します。切り替えにはリスクが伴うため、何かしらのメリットでもない限り、新たな加工業者に依頼することはありません。そのため「大幅に安くなるなら考えるよ」程度で終わってしまいやすい現状があります。

②発注のタイミングが捉えづらい

既存業者で加工不可、キャパオーバー、不具合が起こった場合など、新規の加工業者を探すタイミングがイレギュラーで発生します。そのタイミングは密な連絡をとっていない限り、外部から知ることはできません。そのため、付き合いのない会社がそのタイミングを知ることはハードルが非常に高いと言えるでしょう。

③口コミ紹介で広がりづらい

すごく良いサービスを受けたり、良い製品を購入したりした際に、人は誰かに伝えたくなります。特に個人ではその性質が強いと言えます。しかし、ものづくりの業界では、「できれば自社の仕事を優先的に受けてもらいたい」という考えがあります。なぜなら設備的なキャパの限界があり、他の仕事を受けて、自社の仕事を受けてもらえなくなる恐れがあるためです。そのため、一般的な口コミ紹介は広がりにくく、大企業では同じ会社の他部署でさえ情報が共有されていないこともあります。

競合:技術の特性的な問題

自社製品販売と比べ技術は伝えづらい

製品というものは、なにかしらの用途で利用するために設計されています。そのため、利用上のメリット・デメリット、価格など説明する内容を顧客の利用シーンに合わせ提案できます。一方で、技術は用途が限定されず、同じ案件というものはほとんど存在せず、図面ごと、数量、納期によって提供できる価格が異なります。そのため、顧客が求めるものを探りながら、それに合わせたメリットの提供・提案をする必要があります。

他社技術との差別化がしづらい

加工業者の保有する設備は自社オリジナル加工機というものはほとんどなく、汎用性の高い工作機械を使って加工を行っています。そのため、保有する設備は最新式のもの、海外製のハイスペックマシンなどの特徴の機械はあるものの、ほとんど同じような加工機で多くの会社が競い合っています。

また、使い方も、工具や治具、加工条件などにノウハウはあるものの、ユーザーに競争優位性を説明できるような数字で提示することは非常に難しいと言えます。

自社:自社の保有するリソースの問題

技術知識と営業スキルを兼ね備えた営業人材が少ない

欲を言うなら、やはり工場の経験を積んだ営業人材が欲しいところです。単なる御用聞きではなく、図面を理解した上での提案や、やり取りがスムーズになるためです。ただ、そのような人材を新たに雇うことは非常にハードルが高く、社内で工場から営業へ転属させても、営業の向き不向きの問題もあります。

自社の保有する設備以上の案件は受けられない

どんなに良い案件があっても、自社の稼働が目いっぱいでは仕事を受けることはできません。需要があればあるだけ作れば良いというような製品販売側とは違った稼働力という制限があります。

もちろん協力工場との連携でカバーする手段もありますが、協力工場との良好な関係作り、協力工場の稼働状況なども把握する必要があります。

営業と工場とのコミュニケーションに障害が起きやすい

営業側が頑張って案件を獲得しても、工場側では稼働力の問題や、新しい案件への抵抗などから非協力的というケースはありがちなお話です。営業側と工場側の密な協力体制が案件受注率のアップには必要となります。

大手と比べ人手と費用に限りがある

こちらは言わずもがなです。

上記を理解した上で考える営業の成功要因

まず最初に取り組まなければならない課題は、下記の2つにあると考えます。

  • 相手のタイミングをいかに効率よくつかむか
  • 技術を必要とするユーザーにいかに自社を認知させるか

理由として、まずは案件がなければできるかどうか、どのようなメリットが出せるかなど、具体的な検討をすることができないからです。案件を獲得するには営業が必要というお話もありますが、今の時代はWebでも案件の相談を呼び込むことができます。

下記はWebを活用した情報収集から企業選定をしているアンケート事例です。Webを活用した情報収集は、製造業でも例外ではありません。

新規開拓出典:イントリックス社 製品選定時にWebサイトを利用する人が営業・展示会を超えて多数

また、Web活用が受託加工業と相性が良い点があります。主には下記の3点です。

①ユーザーの発注形態に合っている(発注側のタイミングをつかむことができる)

②相手から具体的な相談が来る(立場上の問題を解決)

③低コストで人のリソースに左右されず常に営業(PR)できる

中小製造業の営業活動の難しさについて紹介しました。自社の置かれている状況を理解した上で、自社なりの施策が立てられるよう参考にしていただければ幸いです。

弊社では製造業専門にWebを活用した新規開拓支援をしております。新規開拓についてお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。

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サプライヤー(金属・樹脂加工業など)がホームページ制作する際の戦略の立て方

ホームページ制作において、戦略は非常に重要だと認識されている方は多いでしょう。しかし、「戦略の重要性はわかっても、具体的にどのように戦略を立て、それをホームページに反映させればよいかわからない」というお話をよく伺います。今回は、サプライヤー企業(金属加工や樹脂加工業など)のホームページ制作の際の戦略の立て方について説明します。

戦略策定のための事前準備

今後の戦略を立てるために、まずは自社が置かれている現状の分析が必要です。汎用性の高い3C分析がおすすめです。

3C分析(3C analysis)は、経営戦略やマーケティング戦略の立案において利用されるツールの一つです。3Cは、顧客(Customer)、競合他社(Competitor)、自社(Company)の頭文字を取ったものです。

具体的な活用事例については、下記にて説明しています。

戦略策定のためのおすすめフレームワーク

現状の分析を行った上で自社のとるべき戦略を考えます。その際に活用できるフレームワークとして「アンゾフのマトリクス」があります。

アンゾフのマトリクスとは

アンゾフの事業拡大マトリクスは、市場と製品(サービス)を縦軸と横軸に配置した4つの象限から成るフレームワークです。縦軸は市場を「既存」と「新規」に、横軸は製品(サービス)を「既存」と「新規」に分けています。このマトリクスは、企業の成長戦略を多角的に考えるためのツールであり、経営戦略の検討に広く用いられています。

アンゾフのマトリクス

市場浸透戦略(Market Penetration):既存の市場で既存の製品を提供することに焦点を当てます。市場シェアの拡大や顧客の獲得を通じて、既存の製品の売り上げを増やします。

市場開拓戦略(Market Development):既存の製品を新しい市場に展開します。新しい顧客セグメントや地理的領域に進出し、既存の製品を新たな市場で販売します。

製品開発戦略(Product Development):既存の市場向けに新しい製品やサービスを開発します。既存の顧客に対して新しい選択肢を提供することで、市場の拡大と顧客満足度の向上を図ります。

多角化戦略(Diversification):新しい市場に新しい製品やサービスを導入します。これは最もリスクの高い戦略であり、企業は新しい市場や製品に関する知識や能力を獲得する必要があります。

それぞれの成長戦略は独自のリスクと機会を伴い、企業の状況や目標に応じて適切な戦略を選択することが重要です。

このツールを用い、加工業向けにどのような戦略があるかを説明します。

既存市場×既存サービス

既存の市場でどのように顧客を獲得するかについて組み立てる戦略です。Webマーケティングでは二つの戦略が考えられます。

市場浸透

既存市場に対し自社の認知度を向上させ、さらなる顧客獲得を目指す取り組みです。例えば、ロストワックス鋳造の会社が市場で自社を認知させるために「ロストワックス」というキーワードでSEO対策を打つようなやり方です。Webマーケティングは企業の規模の大きい小さいにかかわらず取り組むことができ、リスクが少なく済みます。

事例:株式会社武杉製作所

差別化集中

既存市場において、特定の狭い市場(特定のターゲット)を対象にし、製品やサービスの差別化によって競争優位性を構築する戦略です。ターゲットや自社の強み、特徴、競争優位性が明確になったときに採用されるべき戦略です。ユーザーに対しての訴求力も高く、付加価値の高い仕事を獲得できる可能性があります。ただし、ターゲット市場が極端に狭すぎると売上に貢献できない場合もあります。

事例:有限会社ユニバーサル

新規市場×既存サービス

保有する資源を活かし、新しい市場を開拓する手法です。

海外市場開拓

国内市場が縮小しているため、多くの企業が海外市場に注目しています。海外進出にはリスクが伴うため、Webマーケティングを活用して海外でPRし、海外の顧客を獲得する手法です。ただし、国内でのWebマーケティングがまだ十分に実施されていない場合、海外へのPRは成果を上げにくい可能性があります。ユーザーの視点に立ち、なぜ海外に仕事を依頼する必要があるのかを明確にすることが重要です。まずは自社の得意分野を見極め、それを確立することが重要です。

一般消費者やデザイン設計事務所などの製造業界以外の開拓

ターゲットを製造業以外に設定し、ユーザーの求めるニーズを定義しサービス提供をする戦略です。行っている事業は同じですが、市場を変えることで新たな需要を取り込むことができます。反面、ものづくりの一般知識がないユーザーとのやり取りは、従来の仕事よりも労力がかかります。その対応力や提供価値を新たに作る必要があります。

例:株式会社富士産業

他工法からの切り替え

自社の加工方法は、既存市場で受託する加工以外に、他の加工方法からの代替の手段になる可能性があります。切り替えの可能性のある製品や課題となる点を見つけ出し、顧客を獲得します。金属から樹脂への切り替えや、切削からプレスへの切り替えなどさまざまです。

既存市場×新サービス

既存市場に対して新しいサービスを提供する戦略です。しかし、受託加工を行っている会社が新サービス、といってもピンとこないかも知れません。例として、製品が出来上がるまでの価値連鎖を作り、自社のサービス提供領域を把握し、その前後や横に広げる余地がないかを考えることで、新たな価値提供ができます。

例えば、射出成形の会社が成形の案件を獲得する際に、量産段階では仕様変更もできないため、価格競争になりやすくなります。そのため、協力工場を活用し、試作段階からの案件を獲得できる仕組みを作ることで、試作から量産へのスムーズな移行ができる価値提供と、早い段階からの案件獲得による競争優位性を築くことができます。

また、試作切削の会社が設計開発部門をターゲットにする際には、切削だけでは最適な加工方法の提案ができません。そのため、協力会社を活用し、サービス提供範囲を広げ、試作の際に光造形や真空注型などの他工法も含めた検討を行うことで、顧客のニーズに応える手法も考えられます。

例:荒川技研株式会社

新規市場×新サービス

こちらの戦略でわかりやすいのは、自社製品を作って、一般消費者向けに販売する手法です。ただし、顧客も従来とは異なり、従来の営業とは異なる販売ノウハウが必要となるため、ハードルが高い戦略です。自社の成長として多角化は重要なテーマであり、意義のある取り組みです。しかし、弊社でもその成功パターンを研究していますが、Web上での効果的な手法はまだ確立できていません。

最後に

Webの利点は、一つの戦略に絞る必要がなく、複数の戦略を同時に進行できることです。継続的かつ多角的に自社をPRすることで、自社の価値を見つけ、適切な顧客を獲得できます。以上の情報が参考になれば幸いです。

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製造業の営業活動の課題解決|手法から事例まで徹底解説|モノカク

テクノポートの井上です。製造業にとって新規営業、顧客の開拓は不可欠なものですが、営業が得意な会社は少ないものです。本記事では、製造業における営業活動の課題を解決するための情報を網羅的に解説します。

製造業における新規営業の必要性

原価低減協力による利益率低下のリスク軽減

既存顧客との取引においては、原価低減協力により、利益率が低下することがあります。新規顧客の獲得により、顧客数を増やし、リスクを分散することで、原価低減協力のリスクを軽減することができます。

現場の思考力向上

決まった仕事を続けると作業化してしまい、現場の思考力が低下することがあります。新しい顧客からの依頼に対応することで、現場のスキル向上や知識の習得が促進されます。また、新しいプロジェクトに取り組むことで、現場のアイデアや創造性が向上することが期待できます。

仕事の波の緩和

製造業では、仕事の波が激しく、需要の変動に対応する必要があります。新しい顧客を獲得することで、需要の変動リスクを軽減し、収益を安定化させることができます。

イノベーションの創出

新しい市場では、既存のビジネスモデルでは対応できないニーズが存在するため、より効率的かつ柔軟性のあるビジネスモデルが求められます。新規顧客との取引を通じて、新しいビジネスモデルのアイデアを得ることができ、それがイノベーションの創出につながります。

受託製造業の営業活動が難しい理由

受託加工という業態の特性(タイミング)

受託製造業は、他社の要望に応じて生産を行うため、需要があって初めて仕事を請け負えます。そのため、需要が不安定であることが多く、需要予測が困難であり、生産ラインの調整やスタッフの配置にも影響を与えます。このような業態の特性から、新規顧客開拓に時間がかかることがあります。

自社製品と比べてPRしづらい

受託製造業では、自社が製造する製品よりも、製品の完成品の外観や品質が注目されるため、その製品の良し悪しは、受託先の企業に左右されます。そのため、製品の良し悪しを訴求することが難しく、他社との差別化が困難な場合があります。

営業+技術ができる人が少ない

受託製造業では、製品の外観や品質に加え、製造プロセスに関する技術力が求められます。また、営業と技術を併せ持った人材が少ないことも、営業活動を難しくしています。そのため、受託製造業では、技術力と営業力を併せ持った人材を確保し、トレーニングすることが重要です。

設備稼働力という限界値がある

受託製造業では、製造ラインの稼働率を最大限に保ちながら、生産効率を高めることが求められます。しかし、需要が不安定であることが多く、生産効率を常に最大化することができない場合があります。また、いくら受注案件が多くても、設備の稼働が100%を超えることはないように、稼働力には限界があり、それに合わせ受注案件をコントロール必要があります。

製造業の営業とマーケティングの違いって?

営業と関係性の高いマーケティングというお話も出てくるかと思います。その違いについて少しだけ触れます。

営業は企業と顧客の直接的な関係を築き、技術・製品・サービスを販売することに焦点を置いています。一方で、マーケティングは、市場全体に対して技術・製品・サービスを提供するための企画・戦略を考えることに重点が置かれています。

少しかみ砕いた説明にすると、営業は個別の顧客にどう買ってもらうかの短期的な話で、マーケティングは技術や製品を買ってもらいやすくするには、という仕組みを作る長期的な話です。

両方の役割が重要であり、営業とマーケティングが協力し合いながら、企業のビジネスを成功に導いていくことが求められます。

製造業の営業戦略の立案から実施まで

新規営業を行うためには、戦略の立案が必要になります。主な流れは以下の通りです。

目標設定

まず、企業が達成したい営業目標を明確に設定します。目標は、売上高、利益率、新規顧客獲得数、既存顧客の売上拡大など、企業にとって重要な指標に基づいて設定されます。

市場調査

次に、ターゲット市場に対する調査を行います。市場規模、競合情報、ニーズやトレンドなどを分析し、企業の製品やサービスが市場においてどのように受け入れられるかを把握します。

ターゲット設定:市場調査を元に、企業が取り組むべきターゲットを設定します。ターゲットは、地域、業界、顧客セグメントなど、企業のビジネスモデルや戦略に応じて定められます。

提供価値

ターゲットに対してどのようなメッセージを伝えるかを考えます。企業の製品やサービスがどのような価値を提供するかを明確にし、競合優位性をアピールするためのメッセージを構築します。

営業プラン

営業プランを作成します。プランには、顧客接触数、新規顧客獲得数、売上目標、費用目標、営業活動予算、営業スケジュールなどが含まれます。

実施

営業プランを実施します。新規顧客獲得のためのセールスプロモーション、既存顧客のリレーションシップの維持や拡大のためのアフターサービスなど、各種の営業活動を実施します。

モニタリング・評価

営業プランの成果をモニタリングし、評価します。プランの実施状況を把握し、営業成果が目標に達しているかを検証し、必要に応じてプランの修正や改善を行います。

製造業の新規開拓手法紹介

具体的な営業手段として、現在ではWebや対面を含め様々な手法が存在しています。絶対的な一つの手法はなく、様々なアプローチ手法を組み合わせ、顧客に自社の情報を届けることが必要です。

下記の記事で具体的な営業の種類について紹介しています。

製造業における営業人材の育成

製造業にとって、営業人材の育成は大きなテーマの一つと言えます。どうしても属人的になりがちな業務をいかに組織として取り込んでいくかです。営業人材の育成における課題は以下の通りです。

技術力と営業力のバランスの取れた人材育成

製造業においては、技術力が高く、製品の品質や納期を確保することが重要です。しかし、同時に、営業力も必要不可欠です。製品を提供するだけではなく、顧客とのコミュニケーションやニーズの把握、提案力などが求められます。このため、技術力と営業力のバランスを取った人材の育成が必要です。

営業ノウハウの共有

営業職の中には、年齢や経験に応じて営業ノウハウを持ったベテラン社員がいます。しかし、そのノウハウが個人に独占されてしまうと、他の営業職員に共有されず、組織全体での営業力向上につながらないことがあります。このため、営業ノウハウを共有する仕組みを整える必要があります。

新しい営業手法への対応

デジタル化やSNSなどの発展により、営業手法も大きく変化しています。これに対応するため、従来の営業手法にとらわれず、新しい営業手法を取り入れることが必要です。また、従来の顧客との面談や電話での営業活動から、Web会議などのオンライン化にも対応する必要があります。

組織全体でのマーケティング力の向上

製造業においても、顧客ニーズの変化や市場の変化に対応するためには、マーケティング力が必要です。このため、営業職だけではなく、製造技術や品質管理、製品企画など、組織全体でマーケティング力を向上させることが求められます。組織全体のマーケティング力向上のためには、組織文化の変革や、マーケティングに関する教育研修の充実が必要です。

Webをどう営業に取り入れられるかは非常に重要なテーマ

以下は製造業のユーザーが製品探索をする際に、どのような媒体を利用するかのアンケートデータです。「既存の接点のある企業」や「展示会」を抜いて、Webを利用した情報収集が1位2位となっています。ユーザーがWebで探しているのであれば、受注側もWebでどうアプローチをするかを考えることが営業として重要と言えます。

製造業 製品探索

引用:イントリックス社 製品選定時にWebサイトを利用する人が営業・展示会を超えて多数

営業成功事例紹介

以下の記事では受託加工業者がWebをうまく活用することで顧客を開拓した事例を紹介しています。

製造業における営業の今後の課題

最後に製造業における営業の今後の課題について紹介します。

グローバル市場での競争

グローバル市場での競争が激化し、価格競争が激しくなっているため、顧客からのニーズを正確に把握して、付加価値の高い製品を提供する必要がある。

デジタル技術の活用

インターネットやAIなどのデジタル技術の進化により、製造業における営業のあり方が変化している。これまでのような営業手法だけではなく、デジタル技術を活用した新しい営業手法を取り入れる必要がある。

グローバル化に対応する人材育成

グローバル市場に進出するためには、現地の文化や商習慣に精通した人材が必要である。企業は、グローバル化に対応した人材育成に力を入れる必要がある。

スピード感の重視

顧客からのニーズが急速に変化しているため、スピード感を持った営業活動が求められている。営業活動においては、スピーディな情報収集や対応が必要となる。

顧客との関係構築

製品の提供だけではなく、顧客との信頼関係を築くことが重要である。顧客のニーズに合わせたアフターサービスやフォローアップを行い、長期的な関係を構築することが求められている。

以上のように製造業の営業活動には課題が多くあり、これらの課題に対応するためには、営業戦略の見直しや新しい技術の活用、人材育成などが必要になると言えるでしょう。

参考にしていただけたら幸いです。

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製造業の営業手法9選(中小製造業の新規開拓)

コロナ禍を機に、製造業の営業活動はさらに多様化しており、企業の立ち位置や目的によって様々な手法が用いられています。中でも中小製造業(サプライヤー)における営業活動には多くの課題があり、状況に応じて適切な営業手法を選択する必要があります。本記事では、中小製造業の営業活動について、新規開拓を中心にご紹介します。

営業活動・新規開拓・製造業

中小製造業の営業活動が難しい理由

中小製造業における営業活動は、自社製品を持つ企業が行う営業活動に比べて難しいと言われています。その理由は大きく分けると以下の4つが挙げられます。

受託加工という業態の特性(タイミング)

製造業界では、従来から依頼している発注先が存在します。より安価で依頼できる発注先を探すケースはありますが、基本的になにか特別な理由がない限りは、新規発注先を検討することはありません。新規発注先を検討するタイミングや理由としては、従来の加工業者側の納期遅れや品質不備、ボリューム対応不可、後継者不足、発注リスクの分散などが挙げられます。常にコンタクトをとっている訳ではないため、そういったタイミングを見極めて営業することは非常に難しく、ほとんどの場合「機会があれば」で終わってしまいます。

自社製品と比べてPRしづらい

自社製品であれば、製品の特徴やメリットデメリット、価格、他社製品との比較など、様々な提示が可能です。しかし、サプライヤーの場合は基本的にお客様側で用意した図面に対して、製作可否、納期、コストを提示することだけが求められます。それが他社と比較して優位性があるかどうかを、サプライヤー側で判断することはできないため、通常の製品販売営業よりも、営業活動は困難と言えます。

営業+技術ができる人が少ない

中小製造業の営業活動においては、営業力だけではなく、自社技術をある程度理解していなければ商談を進めることはできません。もちろん、最終的な詳細は現場に確認する必要があります。しかし、図面を見て内容や状況を理解し、ある程度の可否判断を下すことは営業にも求められるスキルであり、商談時にお客様の信頼を得るうえで重要なポイントです。

中小製造業では、そういった技術的営業は経営者が担当する場合が多く、営業を採用してもすぐに即戦力にはならないケースがほとんどです。時間をかけて営業+技術ができる人材を育てる必要があり、相応の労力とコストがかかります。

設備稼働力というキャパがある

他の業界のように、需要があればいくらでも販売できるという訳ではなく、製造業の場合は保有設備によって稼働できる限界があります。繁忙期に営業をかけて案件を獲得しても、そもそも製造できないというケースも少なくありません。売上や顧客からの信頼など、受注できる案件はいくらでも獲得したいのが営業側の意向ですが、それを良しとしない現場との問答はよくある話です。

また、閑散時に営業をかけてもなかなか案件を獲得できないこともあり、仕事の波をコントロールすることが非常に難しい業界と言えます。

営業活動の目的って?

営業の目的

営業活動の目的は、もちろん売上や利益を伸ばすことです。しかし、それは短期的な目的であり、あくまで数値化された目標と言えます。会社としての目的はその先にあり、具体的には以下のようなものが挙げられます。

リスクの分散

取引がこの先も常に続く保証はないため、業界問わず取引先を増やしていく必要があります。業界ごとの波を緩和させる仕組みづくりが不可欠です。

仕事の波の低減

仕事の波を抑えるためには、繁忙期、閑散期に左右されず営業活動ができる仕組みづくりが必要です。特に、閑散期に営業をかけても受注のタイミングを逃してしまっている場合が多く、協力企業と連携しキャパシティをコントロールすることが重要です。

利益率向上

顧客候補を増やすことで、自社として関係を持ちたい会社を選択できるようになります。その結果、不当なコスト協力を回避し、利益率の高い仕事を追求することが可能です。また前述同様に、協力企業をうまく活用することで、それぞれの得意分野で付加価値の高い仕事ができるため、利益率向上にもつながります。

あらたなビジネスのきっかけをつかむ

これまでやってきた事業が、形を変えずにこの先何十年も続いていくと思っている経営者はほとんどいません。また、いつか業務は平準化され、さらに自動化されるものも多いでしょう。積極的に新しい案件に取り組むことで、自社事業の可能性を常に模索し、新たな事業のきっかけをつくる取り組みが求められています。

新規営業手法紹介

営業手法

ここからは新規開拓を中心とした営業手法について、以下の9選をご紹介します。

紹介営業

紹介営業は製造業に限らず、どんな業種においても古くから行われてきた営業手法です。ある程度の関係構築があり、自社業務を理解してもらっている場合が多いため、受注から製造、納品にいたるうえで非常に話が早いことがメリットです。一方で、紹介営業は長年にわたり各企業が行ってきた手法のため、昨今ではなかなか広がりを持つことが難しくなっています。また、業種に偏りが生じてしまうこともデメリットと言えます。

飛び込み営業、テレアポなど

飛び込み営業やテレアポは、発注者側の話を直接聞くことができるため、タイミングさえ合えばスピード感を持った受注獲得が可能です。しかし、タイミングを捉えることは非常に難しく、人員や時間といった労力が相当かかるうえ、足元を見られたり冷遇されたりすることも多い手法です。

専門雑誌・新聞などへの広告宣伝

広告宣伝はコストがそれなりにかかりますが、業種をある程度絞ることで、より明確なターゲット層へアプローチできます。また、専門雑誌や新聞といった媒体は、ユーザーからの信頼性も高く、無料で手に入るインターネット情報と比較しても発注にいたる可能性が高い手法です。

展示会出展

展示会出展は、飛び込み営業やテレアポと同様に、発注者の話が直接聞けるため、具体的な商談へと発展する可能性が高い手法です。また、自社が扱うテーマやカテゴリーに興味関心を持つ「見込み顧客」の情報を大量に収集できます。

しかし、出展にはそれなりにコストがかかるうえ、多くの人員・労力が必要になります。また、明確な効果測定をするのが難しいこともデメリットと言えます。

オンライン展示会・商談会

オンラインでの展示会や商談会は、コロナ禍を機に大きく需要を伸ばしています。通常の出展に比べて費用を抑えられることや、顧客情報を収集できること、また距離や天候などの影響がないことなど様々なメリットがあります。

一方で、出展のためのサイト構築など手間と人員がかかるうえに、PR手法としてはまだ確立できていないため、その効果は不明瞭です。

Web広告

Web広告は低コストで始められるうえに、短期間で成果を得やすいという特徴があります。また、ニーズのある企業にピンポイントで配信・リーチできることも大きなメリットです。しかし、長期間成果を挙げ続けるためには継続的な投資や、日々の改善が不可欠です。

HP活用(SEO対策など)

HPを活用した営業は、ニーズのある企業を含め幅広い層に認知してもらえる他、施策が軌道に乗れば継続的なアクセス、問い合わせを獲得できるメリットがあります。また、SEO対策によるアクセスアップは広告と違い、蓄積され続けるため、会社の財産となる点が非常に良いポイントです。他の媒体を見た後にHPを確認するなど、他の施策と組み合わせることで相乗効果が期待できます。

しかし、昨今ではコロナ禍の影響もありWebにおける競合も増加傾向にあるため、より適切な対策、運用ノウハウが求められます。

SNSマーケティング

SNSマーケティングとはその名のとおり、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを活用した営業活動のことです。

SNSマーケティングは情報の伝達、拡散が速いため、つながりのない人にも広く知ってもらうことができます。また、SNS自体は無料で始められるため、低コストでの運用が可能であり、導入に対するハードルが低いことも大きなメリットです。

一方で、業界的に口コミが広がりづらいことや、運用のための情報、人員を確保することが難しいこと、拡散による炎上リスクが伴うことなど、デメリットも存在します。

メールマーケティング

メールマーケティングとは、メールを活用したマーケティング活動のことです。メールマガジンと混同されがちなメールマーケティングですが、メールマガジンとは違い、顧客に対して商品、サービスの利用など明確な行動を起こさせることを目的としており、いわゆる「リードナーチャリング」要素がより強い手法です。

メールマーケティングは低コストで運用可能であり、継続的な顧客接点ができるため、認知度向上に非常に効果があります。また顧客ひとりひとりに合わせた情報配信を行うことで、特別感を演出したアプローチが可能です。しかし、継続して運用していくための情報、人員といったリソースが不足することも多く、顧客動向や情勢など様々な変化に常に対応し続けなくてはいけません。

以上、中小製造業の営業活動について紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(表面処理編)

テクノポートの井上です。製造業と一口に言っても、業態によってWebマーケティング手法は大きく異なります。今回は表面処理業者のWebマーケティングについて紹介します。

Webマーケティングの基本的な考え方

サプライヤー企業にとってのWebマーケティングとは「Webを活用し、新規の引き合いを継続的に獲得する仕組みを作ること」です。

戦略立案でブレない軸を作る

Webマーケティングを企画するにあたり、言うまでもなく非常に重要なのは戦略です。戦略を立てることによって、ターゲットとする顧客に対して何を訴求すればよいか、そのために必要な要素を決めることができます。

例えば、Webサイトの制作途中で社内の意見が割れたときでも、戦略に立ち戻ることで目的を共有でき、ブレない軸で制作を遂行できます。

  • ターゲット
  • ターゲットのニーズ
  • 提供技術
  • 提供価値
  • 競合優位性
  • 想定検索キーワード(戦術)

戦略立案のための3C分析について

戦略を立てるためには、Webの要素も取り入れた3C分析を行います。市場(顧客)、競合、自社を分析することで、ターゲットとする市場、顧客の設定、自社の強みや競合に勝ち得る優位性を見出します。

表面処理業者のWebマーケティング例

具体的な表面処理業者の例を挙げ、Webマーケティング企画の流れを紹介します。

会社名:テクノポートめっき(仮想の会社です)
従業員数:30名
業種:電気めっき及び無電解めっき

めっきマーケティング

主な流れ

ユーザーの想定 ①金属加工業者

ユーザーのニーズ

  • 自社で加工した製品の表面処理をお願いしたい
  • できれば近場でお願いしたい
  • 短納期対応や、場合によっては持込みによる当日対応をしてほしい
  • 依頼先の稼働状況などで納期が変わるため、できれば依頼先を複数社確保したい
  • 新しい表面処理技術というよりも一般的な表面処理を求めている

新規依頼の背景

  • 表面処理をお願いする会社は決まっている
  • 表面処理業者の稼働状況や品質コストによって対応可能な会社を数社使い分けている
  • 新規依頼に関するハードルは低め
  • 図面があり表面処理の仕様は決まっているため、決まった会社でなければいけないということは少ない(製品の仕上がりや対応に多少の差はある)

結論

近場で対応力のある会社を探しているケースが非常に多い。

ユーザーの想定 ②メーカー

ユーザーのニーズ

  • 現状の表面処理手法の代替、もしくは新規で新しい表面処理方法を探している
  • 良いものであれば積極的に試作テストしたい
  • 地域は問わない

背景

  • 機能性、短納期化、低コスト化、高品質化などの観点で常に新しい手法を模索
  • 表面処理にとらわれず、幅広い視点で要望を満たす手法を探している
  • 機能面に関する技術的なアドバイスが欲しい

結論

少しでも良くなるものであれば積極的に技術を取り入れたい。

進むべき方向性の模索

上記の2つのユーザーを想定した際に、自社がどちらに向けてPRをしたいか、自社に合っているかを考え、それに対しての施作を立てます。どちらもということであれば、それぞれコンテンツページを分けるのが得策です。

1.地域を絞り、利便性を訴求

ターゲット:金属加工業者(切削加工・板金加工業者など)
ニーズ:近場の利便性
提供価値:特急対応、当日対応も可能な利便性
提供技術:主に一般的なめっき各種
競合優位性:地域
想定検索キーワード:各種めっきワード+地域(県など)

2.試作・研究開発にターゲットを絞り、機能性や用途を訴求

ターゲット:研究開発部門
ニーズ:機能性の課題解決
提供価値:機能性めっき技術の提供/めっきに関する専門知識/機能性に関する専門知識
提供技術:機能性めっき
競合優位性:機能性性めっきの独自性
想定検索キーワード:「機能性+めっき」「材質+めっき」「製品+めっき」など

自社の事業の細分化

表面処理業者の事業はとても多くの細分化の切り口があります。

表面処理マーケティング

Web上での市場調査、競合分析

前段階で出てきた「強み」関連するキーワードで、キーワードプランナー、Google検索を利用し、競合、需要調査を行います。

具体的な利用方法については下記ブログにて紹介していますので、あわせて読んでみてください。

モノカク記事「サプライヤー企業のWebマーケティングにおける顧客ターゲットの絞り方」

Webサイト戦略の策定

ここでは例として研究開発者をターゲットとした際の施策を3つ紹介します。

①めっき業界での認知度の向上(ブランディング)

主要めっきキーワードで対策を行い業界内での認知度を向上、ニーズが顕在化しているユーザーへアプローチ
(亜鉛メッキ、クロームメッキ、金メッキ、アルマイトなど)

②得意×需要のある領域での集客

数多く存在する特徴すべてをPRするのは難しいため、優先度を決め、優先度の高いもので訴求力を高める
選定基準:優位性が出せそうな領域、他社があまり行っていない領域、成長しそうな市場など

③めっきという手段決定前の段階のユーザーへ訴求

潜在的な顧客となり得る「めっき」という手段を選定する前のユーザーへアプローチ
(例)防錆したいユーザーへの訴求
めっきは手法の一つで、ユーザーはさまざまな手法から決定している。自社の領域だけでなく、他の業界も含めたフラットな情報提供を行うことで、防錆に関する知見がある会社という印象づけを行う。

  • 防錆をする際にめっき以外の表面処理手法にどんなものがあるのか?
    (塗装、有機ライニング、めっき、溶射、スパッタ・真空蒸着、化成処理 など)
  • そもそも防錆にはどのような手段があるのか?
    (被覆防食・耐食材料・環境制御 など)

まとめ

表面処理業者の場合、ユーザー分析からターゲットを絞り、戦略を立てる流れがおすすめです。

  • 地域特化戦略
  • 機能性特化戦略

機能性をウリにする場合の主な施策

1.網羅的なめっき技術
2.個別用途での技術
3.機能性でくくった幅広い情報提供

以上、サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(表面処理業者編)について紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

受注率が高いのにはわけがある、Webサイトだけでない営業体制に強み【共栄精機】

テクノポートの井上です。最近、Webサイトからの受注率を高めるために、Webサイトだけでなく営業体制の見直しをする会社が多くなっています。今回はスピード対応に注力することで受注率が高く、リピートも多い会社の事例を紹介します。

会社名:株式会社共栄精機
担当者名:小山 仁社長
事業内容:精密板金を主とした金属加工業
サイトURL:http://www.kyoeiseiki.co.jp/

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

対応スピードは受注率に直結する

共栄精機は「金属加工のコンビニエンスストアを目指して」を合言葉に、精密板金加工や機械加工といった金属加工を行っている会社です。

同社の強みは「1時間以内にほとんどの見積もり回答ができること」です。金属加工業者へ見積もり依頼を行った場合、即日回答ができることは少なく、際立つ早さだといえます。特に、めっきなどの表面処理を含めた返答が1時間以内に返ってくることはこの業界の人にとっては驚きの速さです。

スピード見積もりを実現させることで、「明日、製品が欲しい」といった、普通の工場なら断るだろう問い合わせでも高確率で受注できるようになりました。そのような案件は大抵の工場は対応できないので、価格勝負にも全くならず、高単価で受注できます。また、無理難題に応えることで、良い信頼関係を構築でき、多くの顧客がリピートで依頼してくれるようになりました。

「時は金なり」と言うように、ビジネスにおいて時間ほど大事なものはありません。お客様の欲しいに迅速に応えることが信頼につながります。

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

スピード見積もり対応を実現するには

最速5分のスピード見積もり対応を可能にするには2つの秘訣があります。

  • 協力工場含めた値段提示
  • いつでもベストプライスの提示

協力工場含めた値段提示

多種多様な加工品の見積もり依頼が来る中で、どのようにして最速の見積もり回答を可能にできたのか。その理由は、外注先の値段も社内で計算できるようにしたことにあります。

同社の加工案件は、外注する比率が多いため、外注先の見積もり返答待ちの時間が見積もり回答の時間に大きく響いている場合が多々ありました。

この返答待ち時間を省くことが見積もり時間短縮の実現につながると小山社長は考え、外注先に了承を得たうえで、自社内で見積もりができる仕組みを考えて、実現しました。

いつでもベストプライスの提示

「このお客さんは利益もっと取れそう」とかよこしまな考えは持たずにベストの価格を提示しています。ベストな価格というのは値引きできないギリギリのラインです。

たまに、これは相見積もりですと言って来るお客様もいらっしゃいますが、他社がどうとかで値段を下げることはなく、いつもベストな価格提示を行っています。そのため、値引きの話があればお断りしています。

スピード対応というのは、見積もりスピードだけでなく、値段交渉の時間も短縮することがお客様のためであるという考えのもとです。

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

スピード対応実現のためのハードル

このスピード対応を自社で実現しようとする場合に、いくつかの条件をクリアする必要があります。

協力工場の仕事状況の把握

見積もり対応には納期回答も含まれるため、すぐにとりかかれるかどうかも判断しなければなりません。そのため協力工場の稼働状況を常に把握することや、協力工場との密なコミュニケーションが必要になります。また、リスク回避のためには、同じような加工ができる会社を複数社抱えておく必要もあります。

協力工場の加工見積もり対応

外注先の価格も含めた見積もりの提示をするためには、ある程度の協力工場の値ごろ感を把握し、自社で見積もりする必要があります。

例えば、表面処理なら今までの見積もり価格からある程度予測でき、機械加工なら加工方法とそれに要する時間がわかればある程度見積もり可能です。自社の加工以外の加工知識を広く知る必要もあります。

予測間違いによるリスクの許容

リスクを恐れ、高めの値段設定になると受注を逃す可能性がでてきます。適正価格を追い、ある程度の失敗を許容する必要があります。見積もり経験を積んでいくことで精度は上がっていくでしょう。

価格決定に上司の承認プロセス

せっかく早く見積もりできても承認に時間がかかっては意味がありません。共栄精機の場合は代表自ら見積もりを作成していますが、営業担当が行う場合を考えると、価格の最終決定権を営業担当に移譲しなければ、対応が遅れます。

まとめ

以上のように、スピード対応と一言で言っても、単純に早く動くということではありません。そこにはスピード対応するための仕組みがあり、ここまでできたら自社の強みと言えるようになります。受注率を高めるための取り組みとして参考にしていただけたら幸いです。

受注率向上のために、Webサイトだけでなく営業体制を変革【富士産業】

テクノポートの井上です。Webサイトからの問い合わせは増えたが、受注にはなかなかつながらないことはありませんか?「自社のサービスや商品にマッチしているか」「得意とする仕事か」など、Web上での改善で受注率を上げることができます。

しかし、それだけでは解決できない問題もあり、営業体制自体を見直すケースもあるでしょう。今回は、自社で営業体制の変革を行い、Webサイトの問い合わせから受注につなげることに成功した事例を紹介します。

  • 会社名:株式会社富士産業
  • 担当者名:杉本常務
  • 事業内容:各種非鉄金属材料および加工品の販売
  • サイトURL:https://www.fujisanngyo.co.jp/

営業変革

富士産業 杉本常務

Webサイトでの取り組みを開始

富士産業Webサイト

鋼材販売を行っている富士産業。営業担当の杉本常務は、現状の事業だけでは売上が減少の一途を辿ってしまうことを懸念し、金属加工業に進出することを決めました。

しかし、鋼材を購入する顧客と事業領域がバッティングしてしまうため、他の市場を狙えないかと杉本常務は考えます。その中で目を付けたのが、一般消費者や、建築・設計事務所、デザイナーからの仕事です。

Webサイトの運営やSNSの活用など、積極的にWebマーケティングに取り組むことで、ターゲット顧客を開拓していきました。

Webサイトのリニューアルで直面した問題

Webサイトのリニューアルを行い、狙ったユーザーからの問い合わせは急増しました。しかし、従来のように図面が届いて見積もり、すぐに受注という流れにはなりませんでした。

つまり、問い合わせは増えたものの、必ずしも受注につながるわけではななかったのです。Webサイトの理リニューアルで直面した問題は主に2つ考えられます。

顧客が求める内容の多様化

製造業に精通していない人がターゲットということもあり、依頼される内容は多種多様でした。

「図面がないので写真やポンチ絵から作って欲しい」「金属と皮革を組み合わせた商品を作りたい」など、自社の加工範囲外の依頼や、形や仕様が決まっていない内容の問い合わせが増加。従来のように、決まったものを決まった通りに作るという仕事とはまったく異なりました。

訪問打ち合わせの時間的限界

案件数が急激に増えたため、都度先方にお伺いし打ち合わせをするというスタイルでは時間的に限界がありました。また、仕事にならないような案件もあり、その都度の打ち合わせ対応にはかなりの労力がかかりました。

営業の変革「3つの施策」

Webサイトからの問い合わせを受注につなげるために、営業体制自体も変革せねばと考え、下記3つの施策を立てて行動に移します。

  • 協力会社の開拓
  • イメージ図のスケッチ強化
  • 訪問ではなく来社するスタイルに変更

営業体制で変革した内容を下記で詳しく解説します。

協力会社の開拓

協力工場

ユーザーが求めるものは部品ではなく、完成品が多い傾向にありました。そのため、自社の加工技術だけにこだわらず、異業種を中心とした協力工場ネットワークを構築し、つなぎ合わせのまとめ役になる必要があると考えました。

Webサイトを持っていなくても仕事が来ているような良い技術を持つ会社は、ネットだけでは探せません。工場を探す際は、タウンページと地図を広げ、近くの工場をリストアップし、足を使って探しました。より連携が取りやすいよう、近場の工場に絞りました。

地道な活動により、ガラス、皮革、樹脂など幅広い業種の協力工場を70社ほど開拓するのに成功します。複合素材の製作案件は、同業他社では断ることがほとんどです。今回の体制変革にて、富士産業ではすべて取りまとめての提供が可能となり大きな強みとなりました。

スケッチ力の強化

スケッチ力

案件の中には、作りたい製品が定まっていないケースが多くありました。そのため、イメージ図を作り、お客様が求めるものがどのようなものかを固める必要があると考えました。

求めるものをヒアリングした上で、すばやくスケッチすることを心がけました。「お客様の作りたいものはこういうものですね」と言うようなイメージです。スケッチをお客様と共有することで、作りたいもののイメージが伝わっているという安心感にもつながります。

「少し高かったけど富士産業なら間違いなさそうだからお願いしたいと思った」というように信頼から受注に至ることも増えました。不慣れなスケッチも、改善と数を重ねることで上達しました。

来社での打ち合わせへの切り替え

工場見学

体制変更前までは、企業や工場に訪問して打ち合わせをするのがほとんどでした。体制変更に伴い、打ち合わせを希望する方は来社して頂くように切り替えました。工場を見たいという方も多いので、見学して頂くことが安心感にもつながっています。

実際に欲しい製品に近いサンプルを用意し、手にとって見て頂くことで、より具体的な提案や企画も可能です。さらに、来社のきっかけになる施策として、Webサイトでマンガ紹介を導入しました。サービスや商品紹介を活字で読むのは面倒だが、マンガならとっつきやすいようで、弊社を知って頂くのに役立っています。

Webマーケティングをより効果的なものに

売上向上のためにはWebマーケティングだけでは解決できない問題があります。上記で紹介した株式会社富士産業様のように、営業体制を変えることも受注率を上げる施策として効果的でしょう。マーケティング活動としてWebだけでなく、広い視点で改善を進めることも重要です。

弊社では、実際の営業活動や、営業方針などもの状況もヒアリングさせて頂きながら、お客様とともにWebマーケティングの支援・推進をさせて頂いています。

アフターコロナの製造業(サプライヤー)の営業活動について

テクノポートの井上です。以前、製造業の営業活動について紹介しましたが、コロナ禍以降、営業活動は大きく変わろうとしています。今回は、コロナ禍以降、どのような営業活動が有効になるのかを考察し紹介します。

営業風景

製造業(サプライヤー)の営業の難しい点

自社製品を持つ企業と比べサプライヤー企業の営業は難しいと言われており、その理由は大きく3つ考えられます。

自社製品ではないため差別化が難しい

決まっている図面を正確に作るのがサプライヤーの役目です。

QCD(クオリティ・コスト・デリバリー)の中で、差別化を提案するケースが多くなります。安定した品質や期日内納品は差別化しづらいため、コストで既存の発注先を上回る魅力を出す提案になり、消耗戦ビジネスになりがちです。

もちろんVA・VE提案のように仕様変更の提案が理想ですが、製品の利用用途などの情報を得るには事前に関係構築が必要になります。

営業のタイミングが難しい

製造業界では基本的な発注先は決まっています。既存の発注先に不具合や不満がない限り、新たな発注先に切り替えることはなかなかありません。常により安く、早くて品質が良い発注先を探していますが、切り替え時にはさまざまなリスクもあるため慎重になります。

そのため、サプライヤー側が新規でアプローチをかけても、タイミングが合わず「機会があれば」で終わってしまうことが非常に多いでしょう。

口コミ・紹介で広めるのが難しい

他の業界と異なり、製造業界は口コミでの紹介が難しい傾向にあります。例えば美味しいラーメン屋さんがあって、そのラーメンの美味しさに感動したとします。みんなに知ってもらいたいと、知り合いに教えることも多いのではないでしょうか?

しかし、製造業の場合は同様にはいきません。旋盤加工で安くて技術の高い会社があったとして、多くの仕事がその会社に入ってしまうと、自社の仕事を受けてもらえなくなる可能性が出てきます。そのため、できれば情報は隠しておきたく、良い会社は自社で囲いこむ傾向があります。

営業手法の種類

現状、考えられる営業手法と特徴について紹介します。

営業手法 メリット デメリット
紹介営業
  • 自社の業務を理解してもらっているため話が早い
  • 長年行ってきた手法のため広がりが持てない
  • 業種が偏る
飛び込み営業、テレアポなど
  • 発注者の話が直接聞ける、タイミングが合えば話が早い
  • 労力が相当かかる(時間、人)
  • 発注のタイミングを捉えづらい
  • 足元を見られやすい
専門雑誌・新聞などへの広告宣伝
  • 業種を絞って見てもらうことができる
  • コストがそれなりにかかる
展示会出展
  • 発注者の話が直接聞ける
  • 具体的商談にもなりやすい
  • 顧客情報を収集できる
  • 費用がかかる
  • 人員の動員が必要
オンライン展示会・商談会
  • 通常の出展より低コスト
  • 顧客情報を収集できる
  • PR手法として確立できていないため効果が不明瞭
Web広告
  • ニーズのある企業にピンポイントで知ってもらえる
  • 効果を上げ続けるためには継続した投資が必要
Webサイト活用
(SEO対策)
  • ニーズのある企業も含め幅広く知ってもらえる
  • Webでの競合も増えてきたため、反響を出すためにはそれなりの対策が必要
SNSマーケティング
  • つながりのない人にも広く知ってもらえる
  • 低コスト
  • 業界的に口コミが広がりづらい
  • 継続した発信のできるリソース(人・情報)が不足しがち
メールマーケティング
  • 継続的な顧客接点ができる。認知度向上に効果的
  • 低コスト
  • 継続した発信ができるリソース(人・情報)が不足しがち

Webを活用した営業手法が以前と比べ増加傾向にあります。コロナ禍以降、直接の面談を避ける企業も増えており、従来の営業手法ができないと仰る会社も非常に多いのが現状です。そのため、非接触というキーワードでの営業手法に注力する企業が増えています。

製造業(サプライヤー)の営業活動のポイント

営業活動

サプライヤーの営業活動が難しいポイントを踏まえ考慮した上で、これからの営業活動に必要なことは、「いかにニーズの生まれるタイミングを正確に捉えられるか」と言えます。

営業活動はタイミングが最重要課題

どんなに良い提案ができていもタイミングを逃せば、失注や長期検討で忘れられる可能性が高まります。逆にタイミングさえきっちり押さえていれば、検討候補に入り受注に至るケースが高まります。新規で取引が決まった際に「なぜ弊社に?」という質問をしてみると、「タイミングが良かった」と聞くことは多いかと思います。当然ですが、存在するすべての企業を精査して発注先を決めるわけではありません。

それほどタイミングが重要となるわけですが、それが生じる場面は、既存の発注先での不具合、不満、技術的な対応不可、廃業、キャパオーバーなどさまざまです。

タイミングを掴むには

では、どうすればそのタイミングを掴むことができるのでしょう?タイミングとはニーズが顕在化するタイミングです。しかし、「欲しい」「必要とする」タイミングは今ではない企業がほとんどです。

潜在的ニーズのある企業の顕在化するタイミングを捉えることが課題となります。そのタイミングを捉えるために必要な流れは以下の通りです。

  1. 潜在的なニーズのある企業に対し、自社を知ってもらう
  2. 定期的なアプローチにより、ニーズの掘り起こし、自社の認知度向上を行う
  3. ニーズが顕在化したときに相談をもらう

顕在的なニーズのある企業だけを探そうとすると、すぐに営業先は枯渇してしまいます。さまざまな営業活動にて潜在的なお客様となり得る情報を収集し、その情報をうまく活用し、中長期的なお客様につなげることが重要です。

サプライヤーの場合、自社が欲しいと思うタイミングで都合よく仕事が生まれるわけではありません。お客様が欲しい思えるように想起させ、タイミングがきたときに声をかけてもらう仕組みを作ることがサプライヤーの形態にも合ったやり方と言えます。

デジタルマーケティングという手法

上記のタイミングを効率よく掴むための手法がデジタルマーケティングと言われるものです。デジタルマーケティングとは、わかりやすく言うと情報の蓄積と活用によって顧客を獲得する方法です。さまざまなチャネル(Webサイト、展示会、Eメール、SNSなど)を通して得られるデータを活用することで、売れる仕組みを作ります。デジタルマーケティングの具体的な進め方については別記事で紹介しています。「デジタルマーケティングの進め方」

デジタルマーケティング

名刺交換で終わった企業、単発のお仕事で終わった企業、値段が合わず失注となった企業など、さまざまな顧客接点が作れている中、一度で終わってしまっているケースが多くあります。その情報をどう活用するかで今後の売上は大きく変わってきます。営業として、もちろん目先の商談、受注は最優先です。しかし、同様に中長期的な観点での情報収集とその活用を視野に入れ、仕事を獲得できる仕組みを作ることも重要です。

様々な営業活動により獲得したリードとの関係性を深めることで顧客化していくデジタルマーケティング。「モノカク」を運営するテクノポート株式会社では、技術系企業専門の「デジタルマーケティング」を導入・定着化していくための支援を行っています。ぜひ、参考にしてみてください。