技術翻訳するときに気をつけなくてはいけない複数の意味を持つ単語

フリーランスで技術翻訳、論文チェックを行っている堀江です。今回は翻訳時にも気を付けなくてはいけない、複数の意味を持つ英単語についてです。

日本語では、“はし(橋)”と“はし(箸)”、“せいかく(性格)”と“せいかく(正確)”、“きかい(機械)”と“きかい(機会)“などが同音異義語としてあげられます。英語ではHomonymと言います。英語の文字はアルファベット表記しかないので、日本語と違い、漢字やカタカナ、ひらがなのように別の文字を使って同音異義語を表すことができません。そのため区別が難しいと思うこともあるかもしれません。以下何個か同音異義語の例とそれを使った文章例を挙げていきたいと思います。(例には多義語も含まれます。)

Address

すぐ思いつくのは “住所”という意味だと思いますが 、“… に取り組む”や、“…に対応する”として、使うこともよくあります。

(例1)当社の目標は、独自の技術を使用して気候変動の問題に取り組むことです。

Our company’s goal is to address the issue of climate change using our unique technology.

(例2)お客様は、来月から本番環境での使用を開始したいとのことで、当社の新しいソフトウェアに関する懸念事項に緊急に対応してほしいとのことでした。

The customer requires us to urgently address their concerns about our new software because they want to begin to use it in their production environment next month.

Current

“今の、現在”のという意味で使う人が多いと思いますが、理系の人では、“電流”という意味でも使っている人も多いかもしれません。

(例)電気部品を扱うときは、危険なレベルの電流にさらされないように、必ず絶縁用保護具を使用してください。

Be sure to use personal insulating protective equipment when working with electrical components so as to not expose yourself to dangerous levels of electric current.

Express

急行電車のことをExpress Trainと言ったりするので“速い”という意味で覚えている人も多いかもしれませんね。他には“表現する”という意味もあります。また生物の授業で遺伝子の勉強をした人はto express gene X(X遺伝子の”発現”)と習った人もいるかもしれませんね。

(例)自分の気持ちを内側に閉じ込めておくのではなく、自分の気持ちを表現するのが一番です。

It’s always best to express your feelings rather than keep them bottled up inside.

Break

“壊す”という意味でよく使われますが、“休憩”という意味でも使われます。

(例)仕事をするときは、定期的に休憩を取ることを忘れないようにしましょう。そうすれば、ストレスを軽減できるので、常にベストコンディションで仕事をすることができます。

When working, remember to periodically take a break. This way, you can reduce stress so you can always be working at peak condition.

いかがでしたでしょうか? 今後英語の技術翻訳や英語の文章を読むときの役に立てれば幸いです。

技術翻訳するときにまぎらわしい日本語

フリーランスで技術翻訳、論文チェックを行っている堀江です。今回は技術翻訳するときに、悩むことがある、まぎらわしい日本語について解説したいと思います。特に今回は、公的な文章によくでてくる言い回しをみていきたいと思います。

まずは、日常的に使われる簡単な文章から見てみましょう。

1)A、B又はC

(例)水道管に欠陥、損傷または腐食がみられる場合はX会社にすぐ連絡してください。

この場合 A=欠陥、B=損傷、C=腐食となります。“欠陥または損傷または腐食”と同じ意味なので、英訳すると

If the water pipes show defects, damage or corrosion, contact X company immediately.

この文章はA、B、Cが単語であるためわかりやすいですが、これらが文章である場合、文章全体が長くなり、わかりずらくなるときがあります。例えばA=欠陥により水漏れが起きている、B=損傷により周囲にカビが生えている、などです。

2)A、B及びC

古い水道管を検査したところ欠陥、損傷及び腐食がみられた。

“欠陥も損傷も腐食も“という意味です。英訳すると

The old water pipes were inspected and found to be defective, damaged and corroded.

次からは、少しややこしくなってきます。日常的に使われる文章では、思いつかないので公的文章を引用したいと思います。以下の訳はあくまでも個人的なもので、公の文章として記載されているわけではありません。

3)A、B及びC、並びにD = (A、B及びC)並びにD

法第五十七条の二第二項の国土交通省令で定める技術上の情報は、点検(法第四十七条の二及び第四十八条の規定によるものを除く。)の箇所、時期及び実施の方法並びに当該点検の結果必要となる整備の実施の方法とする。

*出典(自動車点検基準(昭和二十六年運輸省令第七十号))一部抜粋

ここでのA、B、C、Dは以下のようになります。

A=点検(法第四十七条の二及び第四十八条の規定によるものを除く。)の箇所

B=(点検の)時期

C=(点検の)実施の方法

D=当該点検の結果必要となる整備の実施の方法

“A、B及びC、並びにD“は、”(A、B及びC)並びにD“ と同じと考えられるので

英訳すると以下のようになります。

Technical information specified by Ordinances of the *MLIT set forth in Article 57-2, paragraph (2) of the Act shall be the points of inspection (excluding those under the provisions of Article 47-2 and Article 48 of the Act), the times and methods of inspection as well as how to perform the maintenance required as a result of the inspection.

*MLIT= Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

4)A又はB、かつ、C及びD

灯火装置及び方向指示器:    点灯又は点滅具合が不良でなく、かつ、汚れ及び損傷がないこと。

*出典(自動車点検基準(昭和二十六年運輸省令第七十号))一部抜粋

A=点灯(具合)

B=点滅具合

C=汚れ

D=損傷

1)又は、2)及び についてすでに上記の通り説明してあるので、後は、“かつ”を真ん中に入れて英訳すると以下のようになります。

Lighting equipment and direction indicators:    No defective lighting or flashing, and free of stains and damage.

あくまでも仮訳なので、別のきちんとした訳があるかもしれませんが、まぎらわしい文章が出てきた場合の参考になれば幸いです。

すでに技術翻訳されている日本語の企業ホームページの英語版の内容を検証してみた パート1

フリーランスで技術翻訳、論文チェックを行っている堀江です。今回はすでに掲載されている日本語版と英語版のホームページを比べてみて、英語版では何か改善点があるか検証してみました。

今回は東将精工株式会社様(https://www.toshoseiko.com/)にご協力いただきました。

日本語の会社紹介文

会社概要

当社では溶接管の内面ビード除去装置を設計から製造まで手掛けており、各お客様の造管機(パイプミル)のタイプやニーズに合わせたオリジナルの装置の製作を得意としております。

品質につきましては創業時より特殊ゲージ等の製造を手掛けており『確かな品質』のものをご提供できると自負しております。

数少ない内面ビード切削装置のメーカーのなかで弊社を選んでいただいているお客様と、長期的にお取引していただけるよう信頼と満足の製品をお届けすることを心がけております。

英語の会社紹介文

Company information

We provide customized Inner Bead Cutting Device for each customer’s needs.

We make Inner Bead Cutting (Pressing) device. We design and make customized IBC (IBP) device for each customer’s tube welding equipment’s, which pleases many customers. Please feel free to contact us if you have any trouble on your own equipment’s. We can make rough estimates, if you could fill in attached checklist.

英語版で変更したほうがよいと思われる点

日本語版と英語版では書いてある内容が多少異なるので、確定的なことは言えませんが、少し改善点を書かせていただきます。

1)We design and make customized IBC (IBP) device for each customer’s tube welding equipment’s, which pleases many customers.

“which pleases many customers“ という言い方は、日本語文の”満足の製品をお届けする“という意味で使っているのだと思われますが、英語として不自然な言い回しです。以下のような言い回しのほうがより自然に聞こえます。

We customize them tailored to each customer’s tube welding equipment, to their complete satisfaction.

2)“Please feel free to contact us if you have any trouble on your own equipment’s.

この文章だと、機械(製品)に問題があったときだけ連絡くださいという意味になり、もし製品に興味があった場合はどこに連絡すればいいのか、わかりません。もし問題が生じた場合のみに限らず、製品やサービスについて何か質問があれば(製品やサービスの値段の問い合わせを含む)お問い合わせくださいという意味であれば、以下の訳のほうが良いと思われます。

Please feel free to contact us or fill out the inquiry form if you have any questions about our products and services, or would like to receive rough price estimates.

3)“We can make rough estimates, if you could fill in attached checklist.”

“Attached checklist” と書いてあるとチェックリストが添付されているようなイメージがわきますが、実際のウエブサイトには添付するところは、なく日本語でのお問い合わせフォームと電話番号、FAXの記載があるのみです。

お問い合わせフォームは英語ではinquiry formとなります。

Please feel free to contact us or fill out the inquiry form if you have any questions about our products and services, or would like to receive rough price estimates.

訳し直し

もし私が今回の文章を訳し直すとしたらこのようになります。

We provide customized Inner Bead Cutting devices tailored to your needs

We design and produce Inner Bead Cutting (Pressing) devices. We customize them tailored to each customer’s tube welding equipment, to their complete satisfaction. Please feel free to contact us or fill out the inquiry form if you have any questions about our products and services, or would like to receive rough price estimates.

いかがでしょうか?

今後、英語版ウエブサイトを作成する際の参考になれば幸いです。

すでに技術翻訳されている日本語の企業ホームページの英語版の内容を検証してみた パート1

フリーランスで技術翻訳、論文チェックを行っている堀江です。今回はすでに掲載されている日本語版と英語版のホームページを比べてみて、英語版では何か改善点があるか検証してみました。

今回は東将精工株式会社様(https://www.toshoseiko.com/)にご協力いただきました。

日本語の会社紹介文

会社概要

当社では溶接管の内面ビード除去装置を設計から製造まで手掛けており、各お客様の造管機(パイプミル)のタイプやニーズに合わせたオリジナルの装置の製作を得意としております。

品質につきましては創業時より特殊ゲージ等の製造を手掛けており『確かな品質』のものをご提供できると自負しております。

数少ない内面ビード切削装置のメーカーのなかで弊社を選んでいただいているお客様と、長期的にお取引していただけるよう信頼と満足の製品をお届けすることを心がけております。

英語の会社紹介文

Company information

We provide customized Inner Bead Cutting Device for each customer’s needs.

We make Inner Bead Cutting (Pressing) device. We design and make customized IBC (IBP) device for each customer’s tube welding equipment’s, which pleases many customers. Please feel free to contact us if you have any trouble on your own equipment’s. We can make rough estimates, if you could fill in attached checklist.

英語版で変更したほうがよいと思われる点

日本語版と英語版では書いてある内容が多少異なるので、確定的なことは言えませんが、少し改善点を書かせていただきます。

1)We design and make customized IBC (IBP) device for each customer’s tube welding equipment’s, which pleases many customers.

“which pleases many customers“ という言い方は、日本語文の”満足の製品をお届けする“という意味で使っているのだと思われますが、英語として不自然な言い回しです。以下のような言い回しのほうがより自然に聞こえます。

We customize them tailored to each customer’s tube welding equipment, to their complete satisfaction.

2)“Please feel free to contact us if you have any trouble on your own equipment’s.

この文章だと、機械(製品)に問題があったときだけ連絡くださいという意味になり、もし製品に興味があった場合はどこに連絡すればいいのか、わかりません。もし問題が生じた場合のみに限らず、製品やサービスについて何か質問があれば(製品やサービスの値段の問い合わせを含む)お問い合わせくださいという意味であれば、以下の訳のほうが良いと思われます。

Please feel free to contact us or fill out the inquiry form if you have any questions about our products and services, or would like to receive rough price estimates.

3)“We can make rough estimates, if you could fill in attached checklist.”

“Attached checklist” と書いてあるとチェックリストが添付されているようなイメージがわきますが、実際のウエブサイトには添付するところは、なく日本語でのお問い合わせフォームと電話番号、FAXの記載があるのみです。

お問い合わせフォームは英語ではinquiry formとなります。

Please feel free to contact us or fill out the inquiry form if you have any questions about our products and services, or would like to receive rough price estimates.

訳し直し

もし私が今回の文章を訳し直すとしたらこのようになります。

We provide customized Inner Bead Cutting devices tailored to your needs

We design and produce Inner Bead Cutting (Pressing) devices. We customize them tailored to each customer’s tube welding equipment, to their complete satisfaction. Please feel free to contact us or fill out the inquiry form if you have any questions about our products and services, or would like to receive rough price estimates.

いかがでしょうか?

今後、英語版ウエブサイトを作成する際の参考になれば幸いです。

機械翻訳を使って技術翻訳をしてみた パート2

フリーランスで技術翻訳、論文チェックを行っている堀江です。前回の記事(機械翻訳を使って技術翻訳をしてみた パート1)では企業ホームページ内にある技術的文章をグーグル翻訳し、精度を検証しました。今回は企業のウエブサイトには欠かせない会社紹介の文章にグーグル翻訳を使った場合どのような訳がでるのか検証してみたいと思います。

今回も岸本工業様にご協力をいただきホームページの一部を翻訳させていただきました。原文、グーグル翻訳、修正案の順に記載します。

※岸本工業様のホームページは2020年11月にリニューアルされ、現在のホームページには下記の内容はありません。ご了承下さい。

品質理念

まず品質理念についてグーグル翻訳してみます。

原文

・品質理念

  1. 当社の品質活動の起点は、顧客第一主義とします。
  2. 当社は、顧客の要求事項を確実に履行いたします。
  3. 当社は、顧客の要求事項を確実に履行するための、調査と研鑽を行います。
  4. 当社は、品質マネジメントシステムを順次構築し、維持・改善を継続します。

Google 翻訳

・Quality philosophy

  1. The starting point of our quality activities is customer-first.
  2. We will ensure that our customers’ requirements are met.
  3. We carry out research and study to ensure that our customers’ requirements are fulfilled.
  4. We will build a quality management system one after another and continue to maintain and improve it.

修正案

・Our philosophy on quality

  1. Our quality management activities are based on a “customer-first” philosophy.
  2. We ensure that our customers’ requirements are met.
  3. In order to ensure that our customers’ requirements are met, we carry out research and study.
  4. We administer a quality management system that can be maintained and improved over time.

ポイント

(1)タイトルには“品質理念”と書いてあり、日本語文章には“当社”とは書いていませんが、英語にしたときには“Our”と入っていたほうがよいと思います。

(2)最初の文章ですがQuality activitiesという言い回しよりはQuality assurance activities, quality control activities など間に言葉を入れて使うほうが多いと思います。今回は仮訳としてquality management activitiesとしました(後の文章に品質マネジメントシステムと書いてあるので)が、場合より使い分けるとよいと思います。また“顧客第一主義”は理念なので“customer-first” だけではなく“customer-first” philosophy としました。

(3)2番目の文章ですがグーグル翻訳をそのまま使って問題ないと思います。一か所訂正するとしたら、これから履行(未来)ではなく、すでに履行されていると思うの“will”は、抜きました。4番目の文章もwillがグーグル翻訳に入っていますが、これもすでに構築されていると思いますので“will”は、抜きました(willを入れると今までやってこなかったような感じにもとれるので)。

環境理念

次に環境理念についてグーグル翻訳していきます。

原文

・環境理念

  1. 当社の生産・販売活動に関わる環境関連法規・規制・条例を遵守します。
  2. 当社の生産・販売活動中に必要なエネルギーの省力化を図ります。
  3. 「地球資源のロスなき消費」のスローガンのもと、発生する紙及び廃棄物の削減を図ります。
  4. 購入部材の必要調達量を配慮し、死蔵品の発生を抑制します。
  5. 上記項目は、経営責任者により一元管理されるとともに、全社員に周知させます。

Google 翻訳

・Environmental philosophy

  1. We will comply with environment-related laws, regulations and regulations related to our production and sales activities.
  2. We will work to save energy required during our production and sales activities.
  3. Under the slogan “Consumption without loss of global resources,” we will strive to reduce the amount of paper and waste generated.
  4. We will reduce the occurrence of dead goods by considering the required procurement amount of purchased materials.
  5. The above items will be centrally managed by the management and will be made known to all employees.

修正案

・Our philosophy on the environment

  1. We comply with environmental laws, regulations and ordinances related to our production and sales activities.
  2. We strive to reduce the energy required for our production and sales activities.
  3. Under the theme of “Sustainable resource consumption”, we strive to reduce the amount of paper and waste generated.
  4. We minimize the occurrence of dead stock by carefully considering the required amount of materials to be procured.
  5. The above items are centrally managed by the management team and are made known to all employees.

ポイント

(1)タイトルの“環境理念”ですが、こちらも“品質理念”のときと同じように、“Our”と入っていたほうがよいと思います。

(2)“地球資源のロスなき消費” の訳として“Sustainable resource consumption”としました。“Sustainable” や“Sustainability”と言う言葉は企業の環境問題に対する取り組みによく使われる単語です。

(3)“購入部材の必要調達量”の訳はグーグルでは“procurement amount of purchased materials”となっていますが“procurement“という言葉は調達(購買含む)という意味なので“purchased ” という言葉は修正案では抜きました。

いかがでしたでしょうか? 今回は会社紹介によく使われる文章をグーグル翻訳してみました。多少なりとも企業ホームページの英訳のヒントになれば幸いです。

機械翻訳を使って技術翻訳をしてみた パート2

フリーランスで技術翻訳、論文チェックを行っている堀江です。前回の記事(機械翻訳を使って技術翻訳をしてみた パート1)では企業ホームページ内にある技術的文章をグーグル翻訳し、精度を検証しました。今回は企業のウエブサイトには欠かせない会社紹介の文章にグーグル翻訳を使った場合どのような訳がでるのか検証してみたいと思います。

今回も岸本工業様にご協力をいただきホームページの一部を翻訳させていただきました。原文、グーグル翻訳、修正案の順に記載します。

※岸本工業様のホームページは2020年11月にリニューアルされ、現在のホームページには下記の内容はありません。ご了承下さい。

品質理念

まず品質理念についてグーグル翻訳してみます。

原文

・品質理念

  1. 当社の品質活動の起点は、顧客第一主義とします。
  2. 当社は、顧客の要求事項を確実に履行いたします。
  3. 当社は、顧客の要求事項を確実に履行するための、調査と研鑽を行います。
  4. 当社は、品質マネジメントシステムを順次構築し、維持・改善を継続します。

Google 翻訳

・Quality philosophy

  1. The starting point of our quality activities is customer-first.
  2. We will ensure that our customers’ requirements are met.
  3. We carry out research and study to ensure that our customers’ requirements are fulfilled.
  4. We will build a quality management system one after another and continue to maintain and improve it.

修正案

・Our philosophy on quality

  1. Our quality management activities are based on a “customer-first” philosophy.
  2. We ensure that our customers’ requirements are met.
  3. In order to ensure that our customers’ requirements are met, we carry out research and study.
  4. We administer a quality management system that can be maintained and improved over time.

ポイント

(1)タイトルには“品質理念”と書いてあり、日本語文章には“当社”とは書いていませんが、英語にしたときには“Our”と入っていたほうがよいと思います。

(2)最初の文章ですがQuality activitiesという言い回しよりはQuality assurance activities, quality control activities など間に言葉を入れて使うほうが多いと思います。今回は仮訳としてquality management activitiesとしました(後の文章に品質マネジメントシステムと書いてあるので)が、場合より使い分けるとよいと思います。また“顧客第一主義”は理念なので“customer-first” だけではなく“customer-first” philosophy としました。

(3)2番目の文章ですがグーグル翻訳をそのまま使って問題ないと思います。一か所訂正するとしたら、これから履行(未来)ではなく、すでに履行されていると思うの“will”は、抜きました。4番目の文章もwillがグーグル翻訳に入っていますが、これもすでに構築されていると思いますので“will”は、抜きました(willを入れると今までやってこなかったような感じにもとれるので)。

環境理念

次に環境理念についてグーグル翻訳していきます。

原文

・環境理念

  1. 当社の生産・販売活動に関わる環境関連法規・規制・条例を遵守します。
  2. 当社の生産・販売活動中に必要なエネルギーの省力化を図ります。
  3. 「地球資源のロスなき消費」のスローガンのもと、発生する紙及び廃棄物の削減を図ります。
  4. 購入部材の必要調達量を配慮し、死蔵品の発生を抑制します。
  5. 上記項目は、経営責任者により一元管理されるとともに、全社員に周知させます。

Google 翻訳

・Environmental philosophy

  1. We will comply with environment-related laws, regulations and regulations related to our production and sales activities.
  2. We will work to save energy required during our production and sales activities.
  3. Under the slogan “Consumption without loss of global resources,” we will strive to reduce the amount of paper and waste generated.
  4. We will reduce the occurrence of dead goods by considering the required procurement amount of purchased materials.
  5. The above items will be centrally managed by the management and will be made known to all employees.

修正案

・Our philosophy on the environment

  1. We comply with environmental laws, regulations and ordinances related to our production and sales activities.
  2. We strive to reduce the energy required for our production and sales activities.
  3. Under the theme of “Sustainable resource consumption”, we strive to reduce the amount of paper and waste generated.
  4. We minimize the occurrence of dead stock by carefully considering the required amount of materials to be procured.
  5. The above items are centrally managed by the management team and are made known to all employees.

ポイント

(1)タイトルの“環境理念”ですが、こちらも“品質理念”のときと同じように、“Our”と入っていたほうがよいと思います。

(2)“地球資源のロスなき消費” の訳として“Sustainable resource consumption”としました。“Sustainable” や“Sustainability”と言う言葉は企業の環境問題に対する取り組みによく使われる単語です。

(3)“購入部材の必要調達量”の訳はグーグルでは“procurement amount of purchased materials”となっていますが“procurement“という言葉は調達(購買含む)という意味なので“purchased ” という言葉は修正案では抜きました。

いかがでしたでしょうか? 今回は会社紹介によく使われる文章をグーグル翻訳してみました。多少なりとも企業ホームページの英訳のヒントになれば幸いです。

機械翻訳を使って技術翻訳をしてみた パート1

フリーランスで技術翻訳、論文チェックを行っている堀江です。

機械翻訳は近年各段に進歩し、翻訳家を目指されている方の中には機械翻訳に仕事を奪われるのではと冷や冷やしている方もいるのでは、ないでしょうか? 今回は技術的内容の文章にグーグル翻訳を使った場合どのような訳がでるのか検証してみたいと思います。岸本工業様にご協力をいただきホームページの一部を翻訳させていただきました。原文、グーグル翻訳、修正案の順に記載します。

原文

フルフラット加工

軽小短薄化により、金属にかわる素材としてプラスチックへの素材転換が進む中で、プラスチックは金属と比べ精度が安定しないことが加工現場の悩みの種となっていました。当社ではそのような声を受け、より高精度のプラスチック加工を追求した結果、プラスチックの板厚を±30ミクロン以内の寸法精度で安定的に加工する技術「フルフラット加工」を確立しました。

<特徴>

  1. 標準で±0.03㎜以内の板厚精度を実現
  2. 350㎜×1200㎜の高範囲での加工が可能
  3. 研磨レベルの表面粗さを実現

Google 翻訳

Full flat processing

With the progress of material conversion to plastic as a material that replaces metal due to lightness, smallness, shortness and thinness, the precision of plastic is not stable compared to metal.

In response to such a voice, we pursued higher precision plastic processing, and as a result, we have established “Full Flat Processing”, a technology that stably processes plastic plate thickness with dimensional accuracy within ±30 microns.

<Features>

  1. Achieves thickness accuracy within ±0.03 mm as standard
  2. Capable of processing in a high range of 350 mm x 1200 mm
  3. Achieves polishing level surface roughness

修正案

Full flat processing

In the progression of using plastic as a material that replaces metal due to being light and compact, there are worries by processors that plastic cannot be processed to the same precision as metal.

In response to those concerns, we pursued higher precision plastic processing, and as a result, we have established “Full Flat Processing”, a technology that can stably process plastic with a dimensional precision of ±30 microns.

<Features>

  1. Able to achieve precision of thickness within ±0.03 mm
  2. Capable of processing large areas of 350 mm x 1200 mm
  3. Polished level of surface finish

何点かポイントをピックアップしてみてみましょう

”軽小短薄”と言葉ですが、英語にそのまま該当する言葉はありません。google翻訳では軽=lightness, 小= smallness, 短=shortness, 薄=thinness となっていますが、そのまま英語にしてしまうと”プラスチックは金属より、軽くて、小さくて、短くて、薄い” となり、文章として長くなり、かつ、わかりにくくなってしまいます。私なら、light and compact(軽くて、コンパクト)と訳します。

”素材変換”という言葉ですが、google翻訳ではmaterial conversionとなっていますが、金属をプラスチックに変換するという意味にもとれるので、不自然です。私ならusing plastic as a material that replaces metalと訳します。

”当社ではそのような声を受け”のgoogle翻訳は” In response to such a voice”ですが、a voiceだと一人になってしまいますし、意味はわかりますが、不自然な言い回しです。そのため” In response to those concerns”と変更しました。

Google 翻訳で”1.標準で±0.03㎜以内の板厚精度を実現”の “標準”という言葉がas standardとなっていますが、もしマーケティング的に載せているのであれば standardという言葉はあえていれなくてもよいかもしれません。standardという言葉は例えば、宅配を頼んだ時 “Standard shipping time is 3 days.”というように使いますが、標準3日なのでもしかしたら、4日かかるかもしれないという印象を受けます。もし、このウェブサイトが “±0.03mm以内の板厚精度を実現”というのを強調したいのであれば、standardという言葉は、はずしてもいいかもしれません。(0.04mmの可能性もあると受け取られたくないので)

 

いかがでしたでしょうか?あくまで修正案なので、これより良い訳があるかもしれません。しかし、まだ機械翻訳に翻訳の仕事を完全に取られるまでには、まだ多少時間はあるように思います。

技術翻訳時に気を付けなくてはいけないカタカナ文字

フリーランスで技術翻訳、論文チェックを行っている堀江です。海外の顧客と取引をする際に自分の話している英語が通じているか、もしくはメールの内容が伝わっているか不安になることも多いと思います。カタカナ文字はそのまま英語として使っていいのかどうか迷うことも多いと思います。今回は翻訳の際にも注意が必要なカタカナ文字についてご紹介します。

現在、日常生活及びビジネスシーンにおいて様々なカタカナ文字が使われていますが、英語由来でないもの(パン、アンケート、アルバイトなど)、また日本独自の意味を持つ言葉(アイス、ジュース、マンションなど)、造語(NA、オートバイ、パソコンなど)など、そのまま英訳してはいけないものもたくさんあります。

最近は特にビジネスシーンでカタカナ言葉が使われることも多く、例えば

明日のミーティングのアジェンダを全員でディスカッションして決めましょう。その際コンセンサスをとりましょう。

なんて言われたりしたこともあるのではないでしょうか?今回は特にビジネスシーンや技術翻訳の際にそのまま使ってよいのか迷うカタカナ文字について検証したいと思います。

英語と日本語で全く使い方が異なるもの

(例)リフォーム、ピックアップ

リフォームという言葉はよく、日本では“家のリフォームをする”、“リフォームの費用、“リフォームのお見積り”などという意味で使われますが英語ではもっと固い表現として使われます。

(例)

“The official opposition party submitted a bill to introduce drug policy reform. They say that the money spent on attempting to enforce drug criminalization has not resulted in lower illegal drug production or consumption.”

(訳:野党は薬物政策改革法案を提出しました。彼らは、麻薬を取締るために費やされたお金は、違法な麻薬の生産や消費の減少にはつながらなかったと主張しています。)

“Our company policy regarding sick days was reformed due to Covid-19.”

(訳:コロナウイルスにより、当社の病欠に関する規則が変更されました。)

ピックアップは “ピックアップ製品” や “ニュースでピックアップされた話題”などという意味で使われますが、英語を母国語とする人に“pick up product”と言っても拾ってきた製品なのかなと思われてしまいます。

Pick upを使った英文の例としては、以下のようになります。

“I have to leave early today so I can pick up my wife from the airport.”

(訳:今日は妻を空港に迎えに行きたいので早退します。)

“Order online, Pick up in store”

(訳:ネットで注文し、お店で受け取れます。)

英語と日本語で使い方が同じもの

(例)ラインアップ、シェア、コストパフォーマンス

ラインアップは“製品ラインアップ” 、“車種ラインアップ”などとして使われています。どちらもそのまま英語にでき、“product line-up”, “Vehicle line-up”と言うことができます。またよくウエブサイトなどでは “check out our line-up”と書いてあったりします。シェアはよくビジネスではマーケットシェア(Market Share)として使われます。意味は同じです。コストパフォーマンス(cost performance)も英語と意味は同じです。英語ではビジネスシーンで使われることが多く日常生活ではあまり使用しません。

(例)

“Company A’s parts are more expensive than Company B’s parts, but they offer better cost performance in the long run for our use case, so we always buy from Company A.”

(訳:A社の部品はB社の部品よりも高価ですが、我々の使用条件下では長期的には優れたコストパフォーマンスを発揮するため、いつもA社から購入しています。)

英語と日本語で使い方は同じだが別の意味もあるもの

(例)スペック

スペック(Spec)はスペシフィケーション(specification)の略です。スペックという単語もそのまま使用できることが多く、“パソコンのスペック”はそのまま “PC specs” と使うことができます。(パソコンもカタカナ言葉で英語ではPCになるので注意が必要です) また“製品スペック”もそのまま”Product specs”として使うことができます。(注:英語ではスペックは普通複数形で使用されることが多いので最後に“s”を付けています。)

日本語ではハイスペックな人というように人にも使うことができますが、英語では人に使用することができませんので注意が必要です。

いかがでしたでしょうか? この記事を参考にカタカナ言葉をうまく技術翻訳やビジネスに活かせるよう役立てていただければ幸いです。