町工場ぶっちゃけ対談 vol.8 ~特別企画・ライブ版~

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

ごく一部の方にはご好評いただいている「町工場ぶっちゃけ対談」シリーズですが、なんと、公開の場でやっちゃいました!題して「町工場ぶっちゃけ対談~加工屋おやじ大集合・収拾不可能?言いたい放題トーク!」(笑)

もうおなじみのIRONCAFe(アイアンカフェ)さん主催のイベントで、切削加工を題材にしたトークショーに出演させていただくことになり、どうせなら、というノリで提案したところ、快諾していただき、実現に至りました。今回は、その様子をこちらの読者の方にもお伝えしたいと思います。

司会進行は、大学時代に落研でしゃべりを磨いたというIRONCAFeの戸田有紀さん。トークショーは乾杯からスタートです。

改めて自己紹介

戸田:では、さっそく栗原さん、自己紹介からお願いします。

栗原:皆さん、あらためまして、こんばんは!今日はしばらくの間、町工場おやじの「ぶっちゃけトーク」にお付き合いください。では、まず、自己紹介を簡単に…。会社は、株式会社栗原精機。父親が創業、旋盤、マシニングセンターなどを使って金属加工一筋、50年ほどやっております。一口に金属加工といっても様々ありますが、うちは、どちらかというと、サイズが小さくて、ちょっと複雑な形のものにを得意としてます。

戸田:それと、もう一つの顔もありますね。

栗原:はい、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、MAKERS LINKという、ものづくりをテーマとしたコミュニティをやっていまして、その運営管理のための新しい会社、合同会社メイカーズリンクを、一ヵ月ほど前に立ち上げました。こちらの代表も務めています。

戸田:ありがとうございます。それでは、きょうは、ぶっちゃけトークなんで、いろいろぶっちゃたお話、お願いします!

栗原:先代は、二年半ほど前に亡くなったのですが、まあ、この父親がいろいろとエピソード残してますんで、そのあたりから。写真を1分ほどの動画にまとめたので、見ていただけますか…

戸田:いかにも職人といった感じのお父様ですね。

栗原:仕事してるかお酒飲んでるか、たまにゴルフには行ってましたが。まあ、根っからの職人でした。後先考えずに仕事ばっかり。経営のことはそっちのけで、目の前の機械を動かして何か作ることに熱中してました。職人らしく(?)、いつも、たばこの煙は絶やさず、結果、肺がん患って…

戸田:仕事が好きだったんですよね?お父さんが会社を立ち上げるきっかけというのはあったんですか?

栗原:いわゆる戦後ですね、昭和20年代です。中学出て、千葉の田舎から就職のために東京で働き始めて、縁あって池袋の町工場に住み込みで。あ、ここが私の母親の実家なんですけどね…

戸田:あ、なるほど(笑)

栗原:のれん分けで独立して、田端の中古屋さんで機械一台買って、埼玉に買った小さな家の軒先で工場を始めたわけです。で、いくらか仕事が増えてきて、ある日、二間しかない家を半分、つぶして工場にしちゃった。その日から、一家四人が四畳半での生活ですよ。枕の先、ふすまの向こうで機械が動いている、そんな環境で育ちました。

戸田:後先考えず?

栗原:そう。でも時代がよかったんですかね。自分が小学校高学年の頃には引っ越しして、本格的な工場も建てて、高価な機械を買って…。また、工場建て直して、機械増やしてって、そのたびにお袋と衝突してましたよ。

戸田:見境なくとか、後先考えずって、今日のテーマになりそうですね。ぶっちゃけ話、ほかにもありますか?

栗原:まあ、結局、そんな好き勝手な人生、死ぬまで続けましたね。入院先の病院から、外出許可とってはうちに帰ってきては仕事をしてましたよ。亡くなった後、病室を片付けていたら引き出しから図面が出てきてびっくりしました。母親は、手紙の一つも出てくるかと思ってたのに、苦労かけたねの一言くらい書いた…

戸田:仕事、人生そのものですね。いい話じゃないですか?

栗原:いや、笑い話ですよ。おふくろ、まじで怒ってましたから(笑)

軽いノリで

戸田:で、今日は、加工屋おやじ大集合とタイトルにある通り、そんな見境ない方たちが集まっているというわけですよね?

栗原:はい、MAKERS LINKで活動する中で、親しくしている同じ埼玉の加工屋で、COOL MILLINGSっていうチームを結成したんで、今日はそのメンバーに来てもらっています。

戸田:では、栗原さんからさっそくご紹介いただけますか。

栗原:メンバーは、アキモトパーツの秋元さん、有木製作所の有木さん、きょうは所用で欠席ですが、メガワークスの永井さん、と私です。で、ここに、デザイナーの高橋さん(マナブデザイン)にも加わってもらいました。

戸田:COOL MILLINGSのコンセプトというか目的って?

栗原:コンセプトは、かっこいい加工屋を目指す!です。普段、我々、請け負っている仕事は機械の中に入って普通には目に触れないものばかりなんです。でもね、その仕事ぶりや加工して作った金属製品をカッコいいと言ってもらえることがあるんですよね。金属のカッコよさ、金属が好きっていう人が世の中には一定数いるみたいなんです。

戸田:え?どこにいるんですか?(笑)

栗原:世界中に!だってね、切削加工で作った部品を写真に撮ってSNSに載せると、たくさんいいね!がつくし。実際、今日このイベントのために作った製品を、わざわざ買いに来た方もいらっしゃいましたよ!

戸田:あ、でもトークは聞かずに帰られちゃったんですか?

栗原:製品には惹かれたんだけど、それを作っているおじさんには興味がなかったのかな?(笑)。でもさ、このお店(アイアンカフェ)だって、無機質な金属でかためて、すごいオシャレな雰囲気で人気じゃないですか!

戸田:もっと言ってください(笑)。さて、では、チーム作るぞって集められた、秋元さん、有木さんは、どんな思いで参加されたんですか?

秋元:いや、栗原さんから特に説明ないまま、居酒屋に集合かかって、行ってみたら、今日からチームだぞ、みたいな。

有木:自分も、やっぱり、飲み会のつもりで、軽いノリで(笑)

戸田:そんな?軽いノリで?でも、しっかりといっしょに商品開発とかやられているじゃないですか!そこはやっぱり、デザイナーとして、高橋さんがまとめ役?

高橋:いや、軽いノリで(笑)。いやいや、ノリだけじゃなくて、デザインしたものがカタチになる、これ、すごく重要なことで、それが実現できるっていうのはありがたいし素晴らしいです。

戸田:それにしても、メンツは個性的ですてきですね!

栗原:いや、メンツは厳選してますよ!腕もだけど、気が合うっていうのがすごく大事。

秋元:軽いノリで、すぐ集まれるし(笑)。

栗原:気が合う仲間が、それぞれの得意な技術を持ち寄って、付加価値の高い製品を世に出していこう。デザイナーの高橋さんがデザイン、みんなで分担して加工して製品化もやっていこう、それが、切削加工屋チーム、COOL MILLINGSなんです。俺たち、ちょっと表に出ていくぜ!ってね。

戸田:今日お持ちいただいた製品について、これは秋元さんの、ですね?

秋元:はい、チタンの削り出しのアクセサリーと爪楊枝です。チタンて加工がちょっと厄介なんで、これを得意にしているというのをアピールするのに作ってみました。

合同会社メイカーズリンク

戸田:みんなで一つの作品を作り上げていくっていう感じなんですかね?

栗原:いいこと言ってくれた!ちょっと映画製作の手法というか、映画って制作委員会をつくって、たとえば、制作会社のほかにテレビ局だったりグッズにかかわる会社とか、それぞれ関係する会社が出資しあって一本の作品を作り上げますよね。それに近い方法をものづくりでもできないかな?っていう発想はあります。

戸田:では、合同会社メイカーズリンクは芸能プロダクション?

栗原:近いね!町工場はそれぞれ個性派の役者で、デザイナーは演出家?言い出しっぺはプロデューサーになるんですけど。

戸田:軽いノリで始めた割には、すごい壮大ですね

栗原:かっちりとした事業として、たとえば、事業計画書をしっかり作ってからスタート、では、なかなか動き出せない。軽いノリで、まずはやってみようだと、案外スムーズに製品が出来上がるところまでいけるって面もありますよ。でも、仕事、ビジネスだから、お金の面はしっかりとやっていく必要があって、そのためには、会社が必要だってことですね。

海外支部(?)の方々

戸田:さて、先ほどから、画面にはフランスですか?外国のようですが?

栗原:はい、MAKERS LINKには海外でがんばってるメンバーもいます。フランスで加工屋さんをやっている石塚さんをまず紹介します。この人も、まあ、破天荒ですよね。神奈川・茅ケ崎で、やっぱりお父さんから引き継いだ工場を営んでいたんですけどね。茅ケ崎のグループでフランスの展示会に打って出たことをきっかけに、ついに、海を渡ってしまいました。

戸田:ご家族は反対しなかったんですかね?

栗原:いや、逆に、奥さんが、フランスだったら行きたいって言ったそうです。(笑)。

戸田:あと、ケニアにもメンバーがいるってお聞きしましたが…

栗原:そう、いるんですよ。しかも女性ですよ!ご両親に成り代わって、私も反対したんですけどね!実は、いま、ちょうど日本に一時帰国中で、きょうはここに来てもらったんで、紹介します。山口遥さんです。

戸田:栗原ブロックももろともせず、ケニアに行ってしまった山口さん!

山口:ケニアで美容オイルとスーパーフードを扱う事業をしている山口です。よろしくお願いします。

栗原:切削加工とは直接的には関係ないんですけど、山口さんが前職のときに、会社のホームページを立ち上げる仕事を担当してくれて。

山口:製造業の経営者の方にたくさんお会いしていくうちに、自分も起業したいって気持ちになりました。

戸田:それにしても、すごいな!で、日本にはいつ帰ってこられたんですか?

山口:今週の水曜日です。一ヵ月くらい滞在して、商品のパッケージなどを作り上げたいと思っています。

栗原:MAKERS LINKのネットワークをぜひ活用してください!

結局、1時間の予定のトークは、大いに盛り上がって、30分ほど延長。その後、ほとんどのお客さんがお店に残って、加工談議に花を咲かせていました。

いやはや、好き勝手にしゃべったことを、文字に起こす作業は大変です!だいぶ端折ったし、オブラートにも包みました。(苦笑)

さて、最後に告知を

5/30(水) 〜 6/1(金)に東京ビッグサイトで開催の「スマートファクトリー Japan 2018」で行われるパネルディスカッションに、パネリストとして登壇させていただくことになりました。テーマは、中堅中小製造業のスマートものづくりを取り巻く環境について、とのこと。末端町工場のおやじがスマート?大丈夫かな~

日時は、5月30日(水) 13:00〜14:30となっております。ご興味ある方はぜひ、お越しください。http://biz.nikkan.co.jp/eve/smart-factory/

同じく東京ビッグサイトでは、6月20日から3日間にわたり、機械要素技術展が開催となります。今年も、MAKERS LINKからは11社+1グループで共同出展いたします!こちらにもぜひ、足を運んでくださいね!

http://www.mtech-tokyo.jp/