技術広報の効果的な進め方とWeb活用術

テクノポートの永井です。テクノポートでは、技術を発信したい製造業のWebマーケティングを支援しています。

技術を発信する際に最も重要になるのが「技術の説明」です。誰に、どのように思ってもらいたいかによって技術の説明方法は変わります。例えば、採用向けであれば大学生や一般の人にわかるように、技術者向けであれば技術の原理をわかりやすく表現するなど、伝える相手によって内容を工夫する必要があります。

今回は技術広報のメリットや技術の説明方法や事例について紹介します。

Webを使った技術広報例

●ヤマハ発動機株式会社
技報:https://global.yamaha-motor.com/jp/design_technology/technical/

●浜松ホトニクス株式会社
研究開発について:https://www.hamamatsu.com/jp/ja/our-company/research-and-development.html

●株式会社島津製作所
コンテンツ一覧:https://www.shimadzu.co.jp/stories-of-excellence/index.html

●大日本印刷株式会社(DNP)
ディスカバーDNP:https://www.dnp.co.jp/media/

●株式会社IHI
技術記事一覧:https://www.ihi.co.jp/technology/techinfo/

●旭化成株式会社
イノベーション事例:https://www.asahi-kasei.com/jp/r_and_d/innovation/

●富士フイルム株式会社
ビジネスのお客様:https://www.fujifilm.com/jp/ja/business

●ソニー株式会社
産業用イメージセンサー:https://www.sony-semicon.com/ja/technology/industry/pregius.html

●ボッシュ株式会社
技術アーカイブ:https://corporate.bosch.co.jp/products-and-services/technology-archives/

●NISSHA株式会社
コンテンツマーケティング:https://connect.nissha.com/filmdevice/filmdevice_column/

技術をわかりやすく相手に伝える方法について

技術をわかりやすく相手に伝えるためには以下の手順で行います。

  1. 伝えたい相手を決める:相手を決めると伝え方の方向性が決まります。
  2. 相手にどう思ってもらいたいのかを決める:コンテンツを見てもらったあとに、相手に反応してほしいのかを決めます。例えば、共同研究に興味を持ってもらいたい、製品を購入してもらいたい、自社の求人に応募してもらいたいなどです。
  3. 相手が何に興味を持つのかを想像する:技術を伝える前に相手の興味を想定します。例えば、製品の性能なのか、技術のコア部分なのか、開発の環境なのか、技術のインパクトなのかなどです。
  4. 相手が理解できていない部分を十分想像する:技術を理解するためには最低限の知識が必要です。人は理解できないコンテンツを読み進めてはくれません。そのため、相手が理解できない部分はこちらで補ってあげなければなりません。特に専門用語を使う際には注意が必要です。
  5.  相手がスムーズに理解できるような流れを作る:最後に疑問が出てこないような流れを検討し、コンテンツづくりを始めていきます。

また、コンテンツを作る際は図、表、動画、画像などを多様してください。文章のみでは伝わらない・伝わりにくい内容でも、絵や動画があると伝わりやすくなります。

参考

技術をわかりやすく相手に伝える方法についてhttps://keikakuhiroba-mfi.com/archives/20896

技術広報の役割

技術広報の役割は「目的を達成するために技術情報を発信すること」です。ここでは技術広報を行うことでどういった効果が得られるのか、また、どういった効果を得たいときに技術広報に力を入れないといけないのかを紹介します。

自社技術の用途開発

技術広報を行うことで、自社の技術や製品が持つ潜在的な価値や用途を広く知らせることができます。

これにより、新たなビジネスチャンスやパートナーシップの機会を生み出すことが期待されます。例えば、ある技術が他の産業や分野での応用可能性を持っている場合、その情報を広めることで、異業種との連携や新しい市場への進出のきっかけとなることもあります。

企業ブランドの信頼性向上

技術広報は、自社の技術力や研究開発の取り組みをアピールする絶好の機会です。これにより、企業のブランドイメージの向上や、業界内での評価の向上が期待されます。

特に、革新的な技術や独自の研究成果を持つ企業にとっては、その情報を適切に発信することで、競合他社との差別化を図れます

採用

技術広報は、採用活動にも大きな影響を与えます。自社の技術的な取り組みや研究開発の内容を公開することで、技術者や研究者からの注目を集められます。これにより、優秀な人材を引き寄せられるだけでなく、採用時のコミュニケーションもスムーズに進めることが期待されます。

技術の普及と教育

技術広報を通じて、一般の人々や他の企業に技術の知識や情報を提供することで、技術の普及や教育にも寄与します。これにより、技術の理解を深めることができるだけでなく、新しい技術の採用や導入を促進できます。

技術広報の種類

技術広報は、企業や組織が自らの技術や製品、サービスを広く知らせるための手段です。これにはさまざまな方法があり、その選択は対象とするターゲットや伝えたい内容、予算などによって異なります。以下に、主な技術広報の種類とその特徴を述べます。

Webサイト

Webサイトは、インターネットを利用して情報を発信する手段です。

24時間365日、世界中の人々にアクセス可能であり、更新も容易。製品の詳細や技術的な情報、使用例などを掲載し、顧客や取引先、一般の人々に情報を提供します。また、動画や画像、インタラクティブなコンテンツを取り入れることで、訴求力を高めることも可能です。

プレスリリース

プレスリリースは、新製品の発表や技術的な進展、企業の取り組みなどを報道機関や関連業界に向けて発信する手段です。短い文章でポイントを伝えることが求められ、正確かつわかりやすい情報提供が必要です。メディアが取り上げることで、広範囲に情報が伝わる可能性があります。

雑誌

専門的な内容を深く掘り下げて伝えるための手段として、雑誌があります。特定の業界や分野に特化した内容を提供し、専門家や関心を持つ読者に向けて情報を発信します。長文での解説や専門家のインタビューなど、詳細な情報を提供することができます。

書籍

書籍は、技術や知識を体系的にまとめ、長期間にわたって情報を残す手段です。深い内容や研究結果、技術の背景などを詳しく解説し、専門家や学生、一般の読者に提供します。信頼性が高く、長期的な情報提供が可能です。

イベントやセミナー

実際に人々を集めて情報を伝える手段として、イベントやセミナーがあります。参加者と直接コミュニケーションを取ることができ、質疑応答やデモンストレーションを行うことで、深い理解を促せます。また、参加者同士のネットワーキングの場としても機能します。

ソーシャルメディア

近年、ソーシャルメディアを利用した技術広報も増えてきました。TwitterやFacebook、LinkedInなどのプラットフォームを利用して、短いメッセージや動画、画像を共有し、リアルタイムでの情報発信が可能です。また、フォロワーとの直接的なコミュニケーションも行え、効果的な情報伝達が期待できます。

技術広報にWebサイトが向いている理由

技術広報は、企業の技術力や製品の特徴を伝える重要な手段です。その中でも、Webサイトは多くのメリットを持ち、効果的な技術広報のツールとして注目されています。以下に、Webサイトが技術広報に向いている理由を詳しく解説します。

自由に表現できる

Webサイトは、文字、画像、動画、インタラクティブなコンテンツなど、多様なメディアを組み合わせて情報を発信できます。これにより、技術的な内容や製品の特徴を分かりやすく、魅力的に伝えることが可能です。また、デザインやレイアウトも自由にカスタマイズできるため、ブランドのイメージやメッセージを一貫して伝えられます。

閲覧者を増やしやすい

SEO対策を施すことで、検索エンジンからのアクセス増加が期待できます。技術的なキーワードや専門用語を適切に取り入れることで、ターゲットとなる閲覧者を効果的に引き寄せることができます。さらに、SNSやメールマーケティングと連携すれば、より多くの人々に情報を届けることができます。

継続が簡単

Webサイトは、情報の更新や追加が容易です。新しい技術や製品の発表、業界の動向など、タイムリーな情報を随時掲載できます。これにより、常に最新の情報を提供し、閲覧者との関係を継続的に深化させることが可能です。また、定期的な更新はSEO対策としても有効であり、検索エンジンの評価を高める効果も期待できます。

コストパフォーマンスが高い

一度Webサイトを構築すれば、継続的に情報を発信できます。印刷物やイベントと比べると、情報の更新や配信にかかるコストは低く抑えられます。特に中長期的な視点で見ると、高いコストパフォーマンスを実現できるため、技術広報の主要なツールとして活用する価値があります

技術広報用のWebサイト制作はテクノポートへ

技術広報は、企業の技術力や製品の特徴を伝えるための重要な手段です。

Webサイトは、その中でも特に効果的なツールとして注目されています。自由な表現、閲覧者の増加、継続的な情報発信が可能であり、さらに高いコストパフォーマンスを実現できます。

テクノポートでは、これらのメリットを最大限に活かした技術広報用のWebサイト制作を提供しています。最新の技術とマーケティングの知識を活かし、お客様のニーズに合わせた最適なサイトを構築します。技術情報を効果的に伝えるためのWebサイト制作をお考えの際は、ぜひテクノポートにご相談ください。

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中小企業が取り組むべき売上・事業拡大のための広報活動

機械系エンジニアで製造業・技術系ライターとして活動している竹重です。

今回は、動画のまとめ記事となります。テーマは「中小製造業が取り組むべき売上・事業拡大のための広報活動」についてです。本記事では、広報活動について具体的に知らない方や、これから広報活動を検討している方に、製造業が取り組むべき広報活動のポイントについて紹介します。

【講師】野沢 直人(のざわ なおひと)
株式会社ベンチャー広報 代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者を500人以上取材。その後、当時無名だった海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、毎年100~140件のマスコミ露出を実現。5年で売上10倍という同社の急成長に貢献する。2010年に日本では珍しいベンチャー企業・スタートアップ専門のPR会社として株式会社ベンチャー広報を創業。

動画はこちらから

広報とは何か

広報とはマスコミを活用し、無料で商品・サービス・自社の認知度やブランド力を高める手法のことです。「無料」であることがポイントであり、広告を出すのではなく取材してもらい、報道という形でマスコミに取り上げてもらうことが必要になります。

小さい企業ほどより機動的であるため、コストパフォーマンス的にも広報をやるメリットがあります。また、広報を使うことで、短期間で信用力・ブランド力などお金で買えない価値を得ることもできます。

広報と広告との違い

広報と広告はよく混同しやすいため、ここでは、広報と広告との大きな違いを4つご紹介します。

情報発信方法

まず1つ目に、「情報発信方法」が挙げられます。広告は買い取った広告・CM枠の中で情報発信しますが、広報はメディアの記事・番組という形で情報発信します。

発信する情報の自由度

2つ目に、「発信する情報の自由度」が挙げられます。広告はほぼ100%コントロールできますが、広報はメディアからの情報発信のため、コントロールが難しい傾向にあります。

コスト

3つ目に、「コスト」が挙げられます。広告は広告費・制作費がかかり割高ですが、広報は活動実費のみで比較的割安です。

視聴者の信頼度

4つ目に、「視聴者の信頼度」が挙げられます。広告は手前味噌で信頼性に欠けますが、広報はメディアという第三者が発信する情報なので、信用する人が比較的多いです。

広報の目的

続いて、広報の目的を確認しましょう。広報は、企業や事業の成長を加速させるための活動です。そのため、しっかりと目的に沿った形で広報活動を展開していかなければなりません。

広報の効果

広報は、しっかりと戦略を持って取り組めば、経営のさまざまな面において効果を発揮できます。例えば、以下のような効果が上げられます。

売上拡大

問い合わせが増えるだけでなく、ネット上での指名検索により他社比較を排除することもでき、その質も向上します。また、潜在顧客を増やすだけでなく、その潜在顧客を顕在化させることができ、中長期的な売上貢献が可能となります。

採用力の向上

メディアで話題になると、優秀な社員の採用に繋がります。また、すでに働いている社員のロイヤリティーやモチベーションが上がり、社員の離職率を下げることができます。

ファイナンス

メディアで注目されると、会社自体の信用度が上がり、銀行からお金が借りやすくなる可能性があります。他にも、ベンチャーキャピタルから出資されることもあるでしょう。

広報活動への取り組み方

ここからは、広報活動への取り組み方をご紹介します。

広報専任者が雇えない中での進め方

中小企業では広報専任者を雇えないことが多いため、他の業務と兼任で構いません。(例:営業と兼務など)兼務の具体的な配分としては、自分の持っているリソースの50%、少なくとも30~40%を広報活動に充て、アウトプットしていくのが理想となります。

広報担当者に求められる能力

広報担当はどんな人材でも務まるものではありません。広報担当者には、「企画・アイデア力」「文書作成能力」「コミュニケーション能力」の3つの能力が求められ、バランスよく持っているのが良いとされています。

広報活動を進めるためのSTEP

ここからは、広報活動を進めるための具体的なSTEPをご紹介します。

広報活動を進めるためには、以下6つのSTEPを経る必要がありますが、本記事では、中小企業にとって特に重要なSTEP1とSTEP2について、詳細にご説明します。

  • 【STEP1】過去報道の調査と分析
  • 【STEP2】広報ネタの作り方
  • 【STEP3】プレスリリースなどの資料作成
  • 【STEP4】マスコミに情報提供(電話、メール、訪問)
  • 【STEP5】取材対応
  • 【STEP6】報道・記事化

【STEP1】過去報道の調査と分析

まずは、過去にマスコミが一体何を報道していたのかをしっかりと調べる必要があります。そうすることで、マスコミの興味関心を把握でき、そこに合わせて情報提供すれば、取材しやすくなります。マスコミの興味関心を知るためには、例えば、Googleの「ニュース」タブの検索結果から情報収集すれば良いです。

【STEP2】広報ネタの作り方

次に、マスコミが取材したくなるようなネタを作るためには、マスコミが取材したいと思うニーズを把握することが大切です。

「自分の持っているネタをそのままマスコミに持って行く」というプロダクトアウトの発想ではあまりうまくいかず、逆のマーケットインの発想で「今、マスコミはどんなネタを求めているか?」を提供していくことが求められます。

広報活動の成功の秘訣

ここからは、広報活動をうまく進める上での成功の秘訣をご紹介します。

過去の成功事例

以下は過去にマスコミに取材された切り口であり、マスコミが関心を持つ可能性が高い内容となります。

マスコミは時流に乗るトレンドを意識する傾向があり、新聞や雑誌、テレビなどで情報に精通することも必要です。

  • 技術を他業界に提供し取引先を増やした事例
  • 自社技術を生かしオリジナル商品を企画販売した事例
  • 事業継承・跡継ぎ問題をうまく解決した事例
  • 地域向けのイベントを開催した事例
  • 他業界・他社とコラボレーションした事例

ソーシャルメディアの活用

近年、時流を掴んだり記者とのコネクションを作ったりする手段として、ソーシャルメディアが使われるケースが増えています。また、コロナ禍の影響もあり、記者とのコミュニケーションもますますオンラインに移行してきており、SNS上でのダイレクトメッセージによるやり取りも増えてきています。

メディアの選び方

初めて広報活動を行う際は、小さな成功体験を積むことがとても大事になるため、いきなりマスメディアにいくのではなく、取材してもらえる可能性が高いニッチなメディア(業界紙や専門誌など)から攻めることも一つの手段となります。

また、取材してもらうことによって、取材の受け答えの経験値が上がるなどのメリットも享受できます。

広報ネタの使い分け方

ニッチなメディアである業界専門誌は、ニュースバリューが高くなくとも取り上げてくれます。しかしマスメディアは、特ダネ(世の中で誰も知らないネタ)になり得る、社会的にも影響力があって、ニュースバリューのあるものでないと、取り上げてくれないこともあります。

そのため、小さくニッチなメディアで「信用を積み上げる用のネタ」とマスメディア用に「これぞ特ダネというネタ」を使い分けながら、広報活動をしていくことも一つのやり方です。

これから広報活動への取り組みを考えている製造業の方へ

小さい会社こそ広報活動をやることで、会社の事業拡大・成長に繋げることができます。マスコミから取材してもらうことは簡単ではないですが、もしうまくいけばコストパフォーマンスが良く、経営メリットを享受できます。

できそうだと感じましたら、ぜひチャレンジしてみて下さい。

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情報発信が取材に繋がる ハタノ製作所の「広報」を聞く

テクノポートの菊地です。2020年からのコロナ禍を経て、情報発信に積極的に取り組む企業が増えています。その傾向は製造業でも高まっており、ブログやオウンドメディア、SNS、プレスリリースなど様々な手段が用いられています。情報発信の目的は会社や方法によって異なると思いますが、今回は私が「広報」の視点で情報発信に工夫されていると感じていた、「ハタノ製作所」の波田野さんにお話を伺いました。

広報ってどういうこと?という方は、こちらの記事がおすすめです。

ハタノ製作所について

引用:ハタノ製作所Webサイト

ハタノ製作所は、東京都大田区京浜島に拠点を構える2020年10月に創業したばかりの町工場です。TIG溶接を主とした金属加工をおこなっていますが、特筆すべきは従来の溶接工の枠組みに捉われない様々な分野での活動、コラボレーションではないでしょうか。

地域のメディアに留まらず、NHKの首都圏ネットワークや美術手帖など数多くのメディア露出を叶えています。

【主なメディア実績】
NHK総合 首都圏ネットワーク「町工場 若手職人の挑戦」
首都圏ニュース 生活情報
美術手帖  「町工場とクリエイターの協働から生まれる「遊具」とは? 大森のKOCAで「ラウンドテーブル2020」が開催」
「KOCA」Youtubeチャンネル

代表 波田野哲二さん

1986年東京都大田区生まれ。工業高校卒業後、一般企業で5年、大田区の溶接工場で10年勤続を経てハタノ製作所を創業。TIG溶接を主とした金属加工を行い製造業の仕事に加え、デザイナー・アーティスト向けに金属製品の少量受注生産及び工場見学&溶接体験の受け入れを行なっている。デザイナーユニットYOCHIYAと協働し、溶接の繊細さを活かしたプロダクト「SUS 50A」を開発。おおたオープンファクトリーをはじめとした大田観光協会の各種イベントに積極的に協力をしている。町工場の若手職人を集めたコミュニティを作り、自身が主催する「#町工場LT」で要素技術の魅力を伝える活動を行っている。キャッチコピーは「人を繋ぐ溶接工」。
Twitter:@hatano_work

伺ったお話を5つの項目でご紹介していきます!

①広報活動に取り組んだ背景

現代美術家 金子未弥さんとの協働作品  ガードレールを溶接している

ーメディアに取り上げてもらおう、とか広報活動しようと感じたきっかけを教えてください。

実は、「広報をしないと」とか「メディアで取り上げてもらうために何かしよう」という狙いで情報発信に取り組んでいたわけではなくて。もともとは広報しようとかってイメージではなかったんです。

ーそうだったんですね。 Twitterを使ってらっしゃると思うのですが、いつから使っていますか?

2018年ですね。創業するよりも前に、閉鎖的な町工場から他の会社さんがどんなことをやっているのかとかを情報収集するためにTwitterをはじめました。最初は大田区の町工場の人です、みたいな匿名アカウントでしたね。とはいえ見るだけだとつまらないので、アットカマタさんの「おおたオープンファクトリー」とかそういうイベントがありますよとか信頼性のある発信をしながら、他の工場の方はどういうふうに思ってるのかなというのを知りたくて少しずつ交流をしていったというのがはじめです。
もちろんものづくりのことを広く色んな方に知ってほしいという気持ちもありますし、情報発信しないといけないとは思っています。

ー情報収集やコミュニケーションの手段としてTwitterを使っていたんですね。

そうですね。その時はまだ、独立する前だったというのもあって自分の会社の宣伝がしたいというよりは、個人として他の人のお話を聞きたいとか、どんなことをやっているか知りたいという感じでした。

ー先ほどの「広く知って欲しい」というのは製造業の人に限らずですか?

はい。製造業の方向けではなくて一般の方とかクリエイターの方とかに溶接やものづくりについて何か気付いてもらえるような発信の仕方をするように心がけてます。そういう意味では差別化しながら発信しているっていうんですかね。他の人がしないことをやるっていうのがあるので、それがうまくメディアの方々の目に留っているんじゃないかなと思ってます。

ー広報的ですね!波田野さんの投稿ってあまり宣伝ぽさがないですよね。製造業の方同士で専門的な話題で盛り上がったりするのはよく見かけますが、一般の人に知って欲しいというのはなにかきっかけがありましたか?

創業前になるんですけど、おおたオープンファクトリーというイベントに参加して工場見学で一般の方を受け入れたんですね。閉鎖的な町工場が当たり前だと思っていたんですけど、地域の方とか街づくりを学んでいる大学生とか、本当に色んな方が来てくれたんです。その時に僕が溶接しているのを見てた小さい男の子が「お兄さんかっこいい」って言ってくれたのがすごく嬉しくて。もっといろんな人に溶接に限らないんですけど、町工場の人や技術を知って欲しいと思ったんです。

②取材獲得のための工夫

ーいろんな人に知ってもらうためにメディア露出は良い手段だと思います。NHKなど取材を受けてこられてますが、「僕こういうことやってるんですけど、取材しませんか!」とかって連絡したりしてるんですか?

それが全部受け身で…。メディアの方からお声掛けいただいて、という感じですね。

ーうらやましい…。先ほどおっしゃっていた「広く知って欲しい」という情報発信の仕方が広報の要素なので、きっとそれが目に留まるんですね。

別に僕は世界一溶接がうまいわけではないので、その溶接工がどう生き残っていくかと考えたときに、他の人がやらない領域に手を伸ばしていくことと、相見積もりとかで同じ金額とクオリティの時に波田野にやって欲しいよねと思ってもらえるようにならないといけないとずっと思っていて。情報発信していたこととか、クリエイターさんとのものづくりとか色々取り組んできたことが見つけてもらえたり、KOCA(大田区のインキュベーション施設)のインタビューに喜んで出してもらったりとか。

ー差別化、とも言えますね。

あと、町工場さんってお客様の製品を扱っているので機密情報があったり、そもそもテレビとか出たくないと思っていたりする方もいると思うので断っちゃったりするかもしれないですよね。その点、僕は情報発信をするべきだと思ってますし、今のところ機密に触れるものもないので来ていただいた時に見せられるような準備はしてありますね。心構えと言いますか。これからはプレスリリースを書いたりもしていきたいので、勉強しているところです。

③取材やメディア露出で困ったこと

ーときどき、自分の発言が意図しない方向性で取り上げられてしまった、という話を耳にすることもあるのですが、取材を受けたことで困ったり嫌な思いをしたことってありますか?

全然ないんですよ。「幸せ!ボンビーガール」でクレープ食べてたっていじられるとか?笑

すごく皆さん私の気持ちを汲み取ってくれて、丁寧に報道してくれました。放送前も、どういう意図でその発言をしたかを誤解されないように何度も確認してくれたり。やろうとしていること自体がちょっと変わっていることというのもありますし、町工場が衰退しているとかネガティブな業界のイメージがある中で、何かやろうとしている人と取材していただいているので、最終的な着地点が明るい方向になっていて、そこに助けられている部分はあると思います。

④メディア露出をしてよかったこと

SUS 50A: 溶接の技術とビート(溶接跡)の色目の美しさを活かしたステンレス茶筒

ーTVやWebメディアに出てよかったこととか、反響も教えてください。

結構色々あって、まず、妻のご両親がNHK見てくれたんですけどすっごい喜んでくれました。あとは加工をお願いしている町工場の会長の奥様からも「NHK見ましたよ」って言っていただいたりとか。

ーいいですね。嬉しい。

NHKで取材していただいた時は社名とかは出なかったんですけど、名前で検索してくれたみたいで、直接の問い合わせが多かったですね。あと、メディア露出ではないんですけど「波田野さんいつもTwitter見てます!」って言われて驚いたらある企業の「中の人」でした。いや、ありがたいですね。

⑤今後のハタノ製作所

ーこれから出演したいメディアや取り組んでいきたいことはありますか?

そうですね…、一般の人向けに製造業や金属加工で新しく取り組んでいることを取り上げてもらえると嬉しいです。そもそも製造業を盛り上げないといけないし、素晴らしいと思っているイベントの紹介したり、イベントがなくても技術は伝えられるのでそういうのを発信したりはこれからもしていきたいですね。

広報のテーマで言うと、僕は「日本一話しかけやすい町工場の職人」を目指しているので声かけていただければ基本的には断らないようにと思っていたんですよ。ただ、一緒にステンレス茶筒に取り組んでいるクリエイターの方が、世界観とかブランディングとか含めてゆくゆくは世界に届けたいねと企画してくれていて、そういうことも考えると出す部分は選ばないといけないと改めて思いました。

WBSのディレクターの方が書いた本に、例えばバラエティとかに出てしまうと経済番組には呼ばれなくなってしまうと言うようなことが書かれていたのもありますね。Twitterの見せ方も気をつけているんですけど、メディアに出る時も同じようにブランディングとか考えていきたいです。

まとめ

今回は、広報や情報発信についてハタノ製作所の波田野さんにお話を伺いました。他の人がどう考えているか知りたい・情報収集がしたいというスタートや、製造業に関わる人に限らず広くたくさんの人に町工場のことを知って欲しいという気持ちは、PR(パブリックリレーション)そのものでした。製造業への考えやTwitterへの姿勢から趣味など、書ききれないほどたくさんのお話をお聞きしたので、また別の機会にお伝えできたらと思います。

波田野さん、ご協力いただきありがとうございました。

ネタがないなんて嘘。プレスリリースのネタ作りとは

テクノポートの菊地です。プレスリリースの書き方や媒体研究の方法をご紹介してきましたが、いざプレスリリースを書いてみよう!と思っても「ネタがない」という壁にぶつかってしまうという話をしばしば耳にします。

プレスリリースのネタがない

果たして本当にネタはないのでしょうか?

広報関係者やメディアの方とお客様の話をすると「それ面白い取り組みですね!」「そういう情報、メディアは探してますよ」と興味を持っていただくことも少なくありません。ネタがない、というよりも自社内の情報と世の中の関心を結びつけて捉えられていないために、情報の価値に気がついていないという印象があります。

自社の持つ情報をそのまま捉えるのではなく、社会にどう関連するのか、何を可能にするのかといった視点をもって社会的な価値を見出していきましょう。今回は社会の関心と自社情報のネタの繋げ方をご紹介します。

2020年秋、社会の関心とは

媒体研究についての記事でも書いたとおり、メディアが求めている情報は世の中の関心につながる情報です。世の中の関心を知るには媒体研究が必要なのですが…それではイタチごっこになってしまうので、「2020年秋の社会の関心」として今年だからこその時流のネタと毎年恒例の季節ネタに分けて説明します。

時流のネタ

今年の話題が何かといえば、ほとんどの方がまず「新型コロナウイルス感染症」を挙げるのではないでしょうか。プレスリリースの一斉配信サービス「PRTIMES」の2020年10月のプレスリリースキーワードランキングでも、1位が「コロナ」、9位が「新型コロナウイルス」です。


テレビや新聞でも、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための

  • 製品(マスクやフェイスシールド、消毒液など)
  • 取り組み(テレワークの導入、オンラインでの営業活動の強化)

などが3月頃から連日報道されていることからも社会の関心の高さがうかがえるのではないでしょうか。

4位の「テレワーク」、5位の「オンライン」、7位の「DX」も新型コロナウイルス感染症に付随して関心の高まっているキーワードです。

季節ネタ


また、毎年恒例の季節のイベントや祝日に合わせた打ち出し方も「旬」を感じさせることができます。いつかそのうちではなく、今報道する必要を季節に関連づけることで考えてもらうことが可能になります。

  • 10月
    スポーツの日(旧体育の日)
    ハロウィン
  • 11月
    文化の日
    勤労感謝の日
  • 〇〇の秋
    スポーツの秋
    芸術の秋
    紅葉の秋

季節に関係するネタは、前年の同時期の媒体を見ると報道の傾向が掴みやすいのでおすすめです。報道されている媒体と、どんなプレスリリースが配信されていたかを照らし合わせて見てください。

中小製造業にもおすすめのプレスリリースネタ

自社製品の発表

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、下請けがメインだった加工業でも自社ブランド・製品の開発、販売が進みました。Webサイトの新着情報やSNSでの発信に加えて、ぜひプレスリリースでも情報発信をしてみてください。どんな背景があって企画されたのか、他の商品と比べてどんな良さや違いがあるのか、開発エピソードなどに前述した社会の関心や季節性を絡めて作成することで、「商品の宣伝」ではなく「社会課題や世の中の需要に対しての自社なりの提案」という形での発表になります。

山本製作所有限会社 マスクスタンド

コロナウイルス感染予防のため生活必需品になったと言っても過言ではないマスク。山本製作所は外出先で飲食などで外した時に置き場に困ってしまうという悩みを解消する、マスクスタンドを自社製品として開発しました。

プレスリリース

毎日新聞

オンライン活用


コロナ禍で非接触・非対面が推奨されるようになり、訪問営業ができないことでもどかしさを感じた方も多いのではないでしょうか。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が叫ばれるようになって久しいですが、今までになく急速に取り組みが進んだのが今年の特徴です。

反面、業界や業種によるIT化やデジタル化の格差がやっと表面化してきたとも言われています。コミュニケーションの手段を取っても、FAXが主流の企業や業界もあれば、メール、電話、チャットツールなどさまざまです。IT化の実情やなぜ導入が進まないのかは、メディアからも非常に関心の高いテーマです。

最新のツールを導入したなど大手企業のようなネタでなくても、コロナ禍を契機としたDXの第一歩として

  • Webサイトの制作やリニューアル
  • デジタルツールの導入

などに着手した中小製造業は多いのではないでしょうか。実施に至った背景や、今後の展望を含めることで「コロナに立ち向かう町工場」といった印象を抱かれるようになります。また、実施後の変化を数字で説明できるように記録をしておくと、メディアから問い合わせがあったときの情報として非常に有効です。

イベント・企画の開催、参加

イベントやセミナーを開催するときや、参加するときもプレスリリースを配信するのに適しています。特に、地域のメディアなどを呼びやすいのがイベント系です。

  • 展示会(オンライン含む)への出展
  • 工場見学の実施
  • 地域イベントへの参加
  • 企画への参加、協業

などが挙げられます。

弊社の事例ですが、一般社団法人スマートニッチ応援団との協業・サプライチェーンチャレンジへの参画についてプレスリリースを配信したところ、取材には至らなかったもののメディアからの問い合わせを頂いたり、別の企画のお誘いを頂いたりと反響を感じました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000055603.html

広報活動は広告・宣伝ではないので、自社の情報をダイレクトに届けることは難しいです。メディアの報道を通して情報発信をするためには、情報に社会的な価値や意義を付随させることが欠かせません。
どうしてこの企業や取り組みが報道されているのかという視点をもって、日々の新聞やニュースを見てみると広報視点が育まれます。季節や社会の関心を意識しながら、自社の情報や報道に目を向けていただけたら幸いです。

「ものづくり企業のメディア露出を叶えるには?製造業系Webメディアとの付き合い方」セミナーレポート

テクノポートの菊地です。先日、弊社技術ライティング事業主催「元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方」オンラインセミナーが開催されました。

当日の受講者は技術ライティングサロンの会員(ライター)が多かったのですが、企業の広報担当者にとっても為になる内容でしたので、「企業のメディア露出・取材を叶えるポイント」に絞ってセミナーレポートをお送りします。

元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方

講師紹介

Facet 小林由美様

【経歴】

町工場でのトレースや設計補助、メーカーでの設計製造現場での実務を経験した後、アイティメディア株式会社に入社。「MONOist」の立上げから参画し、月間100万PV以上の業界最大手サイトに成長させるべく尽力した。MONOistの編集記者として約12年間、技術解説記事の企画や執筆の他、広告企画および制作、イベント企画など、幅広く携わる。2019年には3D設計コンサル企業の株式会社プロノハーツにジョインし、広報・マーケティング担当として従事する傍らで、製造業に特化したライティング事業を展開する。2020年独立。

【主な執筆歴】

  • アイティメディア「MONOist」「TechFactory」「キーマンズネット」
  • 日経BP「日経ものづくり」「日経クロステック」
  • メイテック「fabcross」
  • 金森産業「PlaBase」「Chematels」※編集部運営支援

セミナー内容

  • 製造業系Webメディア紹介(特徴別に解説)
  • Webメディアのビジネスの課題
  • 編集の現場が置かれている状況(一般メディアとオウンドメディア)
  • 記事を企画し、公開されるまでのおおよその流れ

【取材をしてもらいたい企業向け】

  • メディアに取材をしてもらうためには?
  • こういうことはしてはいけない

【ライター向け】

  • 外部寄稿者に求められるスキルや資質
  • メディアとのコンタクト(営業)のしかた

製造業系Webメディアとは

工業系、製造業系の記事を取り扱っている大手(月間300万PV〜1000万PV程度の規模)Webメディアを運営元別にご紹介します。

新聞・出版社系メディア

日経クロステック(日経BP)

特徴:有料会員限定の記事が多い。ニュースが多く、旬な企業や最新の技術などを取り上げることが多い

ニュースイッチ(日刊工業新聞)

特徴:20〜40代がターゲット。工業系の業界ニュースを幅広く扱っている。読みやすさを意識して短めの記事が多い

広告系メディア

マイナビニュース(マイナビ)

特徴:ニュース系の記事が中心で時々解説記事。IT、半導体、エレクトロニクス系の記事が多い。

Web専業メディア

MONOist(ITmedia)

特徴:長編の読み物が多い。技術解析や取材記事も充実している。工程と業界でジャンルを作って記事分類している。

EE Times Japan(ITmedia)、EDN Japan(IT media)

特徴:技術的難易度が高め

この他にも、出版系企業以外が運営しているWebメディア(オウンドメディア)などが数多く存在します。各メディアのPV数や読者層はメディアガイド(媒体資料)に掲載されているので、気になるメディアについては「媒体名 メディアガイド」で検索をして調べてみましょう。

企業のメディア露出・取材を叶えるには

企業の広報担当なら誰しもが知りたいメディア露出や取材の獲得について、編集の現場にいた小林さんから、様々な方法が紹介されました。

記者・編集者が求めている情報作り

メディアの記者や編集者は、読者のために記事を作っています。なので、読者が興味を持ちそう、必要だと思ってもらえそうな製品やサービスなどの情報を求めています。製造業系WebメディアはBtoCではなくBtoBを中心としたメディアであるため、派手であることや有名であること、大規模であることなどは取り立てて求められないのだそうです。例えば、

  • 読者の関心を強く引きそうな自社の取り組み(開発体制、人材育成、今であればリモートワークやDXに関する取り組みなど)
  • トークイベントやワークショップのようなイベントの開催

またニュース性の高いメディアであれば、新しいことや未公開であることも取材されやすくなるポイントになります。

プレスリリースでの発表

過去のモノカクの記事でもプレスリリースについて紹介していますが、小林さんもプレスリリースによる情報配信をお勧めしています。また、プレスリリースの作成というとPR会社などに依頼をするイメージもあるようですが、自分たちで用意してもまったく問題ないと小林さんは話していました。有名企業のプレス向けページに掲載されているプレスリリースを参考にしてぜひ書いてみてください。

送り先は、過去の名刺などで記者個人の連絡先などがわかれば一番良いのですが、特定の担当者などがわからない場合はサイトに掲載されている「お問い合わせ」や「プレスリリース送付先」などのフォームまたはメールアドレスでも十分だそうです。特に大手メディアや編集部が機能しているメディアほど公開している窓口からの情報は必ずチェックをしているとのことでした。

発表会の開催

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、発表会はオンラインでの開催がおすすめされました。オンラインの場合は、会場費用もかからず拘束時間も30分程度などで済むため、企業側の負担も少ないため中小規模の製造業でも実施しやすく、拘束時間の短さや移動の必要がないことから記者の参加もしやすいと言われています。発表会を開き、記者を呼ぶことができれば、プレスリリースの配信だけの場合よりも記事化や掲載の可能性が格段と高くなります。

招待方法は2つ。

  1. 自社でSNSを行っている場合は、まず発表会の案内を投稿する。
  2. PR手帳記載の連絡先に連絡するか、各メディアの「情報提供」のメールやフォームからご案内を出す。

展示会での取材

小林さんは、「展示会に出展した時は、記事にしてもらえる&編集記者と知り合いになれるチャンス!取材してもらいやすい環境を積極的に作ろう」と話していました。取材しやすい環境づくりについて、展示会前の事前準備と当日の体制に分けて紹介します。記者、メディア関係者かどうかは「報道」の腕章で判断することができます。

事前準備

自社出展情報をSNS告知、メディアに対しても連絡をします。また展示品は記事に写真が掲載されてもよいものをなるべく用意し、ちょっと目立つ展示物やパネル置いてアイキャッチにします。

当日

突然訪れた記者に対して、しっかり質疑応答できる営業や広報の担当者、代表などを必ずブースに待機させましょう。離席する際も連絡がすぐ取れるようにして、チャンスが来たときにしっかりと対応をします。また、ブースの一歩前に出て取材しやすい空気を作ることも大切です。

せっかくの機会も、準備不足やコミュニケーションの悪さで逃してしまうケースも少なくないようです。広報担当者だけでなく、経営陣や営業担当者などとも取り組むと効果が得られやすいのではないでしょうか。

継続的なコンタクト

最後に心構えとして、記事化に至らなくても継続的なコンタクトの継続が広報活動の成果に繋がるので、腐らずにコツコツとメディアへの情報発信とコンタクトを繰り返すことが肝心です、と小林さん。1回の取材で記事にならなくても、名刺を入手することができれば継続的にコンタクトをとることが可能になります。

一部分ではありますが、今回は「元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方オンラインセミナー」について企業広報の視点からご紹介をしました。技術ライティング事業では今後も、企業のコンテンツ制作に役立つ知識・技術や、製造業の経験のある方のライターとしてのスキルアップ支援に関する内容を中心にオンラインセミナーを多数開催する予定です。当事業やセミナー開催については、Webページ並びにご登録いただければメールマガジンにて、随時お知らせ致します。

ご質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。

メディア露出を実現するには?媒体研究を徹底せよ

テクノポートの菊地です。前回プレスリリースの書き方や配信についてお伝えしました。今回はメディアに自社を取り上げてもらうために欠かせない媒体研究についてです。媒体研究は、大手企業の広報担当者やPR会社の人であれば毎日2時間かけることも珍しくないと言われるほど、広報活動において重要な業務と言われています。新聞や自社に関係のある各種媒体に目を通し、自社に関連する報道や競合他社の報道をクリッピングします。

なぜそこまで時間をかけて行うのかというと、様々な媒体に目を通すことで「世の中の関心・動向」を知り、各媒体や担当者を掘り下げることで「媒体や担当者の関心、特色」を理解することができるからです。この2点を理解することが、報道価値の高い情報づくりの基本となります。とはいえ、実際はそんなに日々時間を割くことができないという方もいらっしゃると思いますので、ターゲットを絞って行う方法をご紹介します。

媒体研究の考え方

自社の情報を伝えたいユーザーがどんなメディアをチェックしているのかを踏まえて、そのメディアに掲載してもらうために、どこ(担当部署・コーナー)の誰(担当者・記者)にアプローチをかければ良いのかを調査します。例えば、ユーザーが経営者であれば、経済やビジネス系、業界に長けたメディアを狙います。toCの自社製品としてアクセサリーを制作したので販売していきたい、という目的であれば、女性誌やファッション誌を狙う場合も考えられます。その上で、選定したメディアのどのコーナーが提供したい情報とマッチしているかを考え、連絡する相手を特定します。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」の「トレたま」が良いのか、「朝日新聞」の「魂の中小企業」が良いのか、具体的に考えることが必要です。

媒体研究の方法

①目的を決める

情報を発信することで、どんな効果を生み出したいのか目的を明確にします。

②ターゲットを考える

①で考えた目的を達成するために、誰にその情報を伝えるべきかを検討します。toBのサービスや製品であれば、経営者なのか、営業担当者なのか、購買担当者なのか、まで具体的に考えましょう。toCであれば、性別や年代だけでなく嗜好やライフスタイル、収入なども考慮していきます。

③媒体を選定する

②のターゲットが情報源としているであろう媒体をピックアップします。
身近にターゲット層がいる場合は、ヒアリングをするのも良いと思います。各媒体のWebサイトに掲載されている特徴やターゲットを参考にすることもできますが大変なので、Web検索やまとめてあるサイトの活用がおすすめです。

国立国会図書館リサーチナビ https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-656.php

雑誌広告ドットコム https://www.zasshi-ad.com/

④過去の記事・放送を調べ尽くす

【新聞・雑誌・Webメディア】

過去の記事を読み、提供したい情報に関連する記事やコーナーを探し署名記事で担当者の名前をチェックします。新聞であれば短くても3ヶ月、可能であれば1年分調べると記者の関心などが見えてきます。雑誌の場合は、週刊誌やビジネス誌などであれば数週間、業界誌やファッション誌などは2、3年ほど遡り、季節や時期による傾向なども調べるのが良いと言われています。図書館などで探すこともできますが記事検索ツールを使用すると費用はかかりますが、所要時間が短く済みます。

日経テレコン:https://telecom.nikkei.co.jp/

【テレビ】

テレビ番組の場合は、日頃から視聴をして傾向が掴めていることも多いかもしれません。番組内のコーナーや制作スタッフは番組のWebサイトやWikipediaで調べられる要素も多くあります。検索ツールでは、放送内容がテキストで確認することができます。

テレビでた蔵:https://datazoo.jp/

大変なのはこれから

担当者やコーナーが分かれば、電話をかけて情報提供がしたい旨を伝えたり、郵送で資料を送ったりすることができるようになります。営業で例えるとテレアポができるようになった状態です。営業先のことを知らずに提案するよりも、特徴や業界の動向を踏まえた提案が響くのと同様に、掲載したい媒体についてはしっかりと研究をしてアプローチをすることが欠かせません。メディア露出を狙う場合は、媒体研究をして臨みましょう。

プレスリリースを使って、自社情報を広く届ける方法とは

テクノポートの菊地です。東京オリンピックの延期や新型コロナウィルス感染症の影響で開催の見通しが立たない展示会に替わる手段として、Webサイトの活用やオンラインセミナーなどが挙げられますが、一つの案として広報活動の一つである「プレスリリースの配信」を提案したいと思います。

そもそも広報って何?広告と何が違うの?という方はこちら

プレスリリースとは?

プレスリリースとは、企業からマスメディア(テレビ、新聞、Webメディアなど)への情報提供のことをいい、過去の情報ではなく新しい情報を公にする時に用います。マスメディアにニュースとして取り上げてもらいたいときに作成、送付を行うことが多いです。

特徴

自社の新しい情報と言う点では、Webサイトに掲載する新着情報と変わらないように感じるかもしれませんが、 “Webサイトの情報”にユーザーが辿り着くには「検索」が欠かせません。

一方、プレスリリースは自社での発信に留まらず、

  • メディアでの記事化
  • メディアへの転載
  • SNSでのシェア

などが可能です。情報の拡散性が高く、自社のことを知らない人に対しても情報を届けることができます。

メリット

  • 無料で情報発信ができる
  • 情報の拡散性が高く、自社を認知していない人にも情報を届けることができる
  • 配信サービスを使うことで一定の転載枠によるパブリシティが得られる

デメリット

  • 作成したからと言って確実にメディアに掲載されるわけではない
  • メディアの視点で情報が編集されるため、思い通りの記事になるわけではない

プレスリリースの内容

プレスリリースに書くことなんてない、と思ってしまうかもしれませんが、プレスリリースを読んだことはあるでしょうか。
代表的な内容としては下記のようなものが挙げられます。

  • 新しい情報
    新製品の発売、新サービスの開始、イベントの開催、新規事業立ち上げなど
  • 自社でとったデータの発表
    顧客アンケート、事例の公開
  • ○周年

最近、製造業からでは、フェイスシールドやパーテーション、マスクの製作・販売や、オンラインセミナーの開催などがプレスリリースとして配信されていました。

書き方

決まった形はないとも言われていますが、基本的な形をご紹介します。こちらは弊社が業務提携に際して配信したプレスリリースです。

構成

①冒頭

レターヘッドはほぼ定型なので下記の4点を入れます。

  • プレスリリース:報道資料であることを明示する
  • 報道各位:誰宛の文書化を明確にする
  • 発表日:配信日を記載
  • 社名:発信者を明示する

会社ロゴがあればヘッダーに差し込みます。

②見出し

目安としては30文字前後で、前半に読みたくなるような言葉や表現を使用するのがコツです。直接プレスリリースをメディア関係者に渡すような場合を除いては、数千枚のプレスリリースの中から読もうと思ってもらえるかどうかを決めるのが見出しに当たります。特に、配信代行を使ってメールなどで届く場合には見出しがメールの件名になるため、受信トレイで見切れない見出しの前半に重要な言葉をおきましょう。

③リード(前文)

プレスリリースの概要をまとめて記載します。5W1Hを押さえて、簡潔にわかりやすく表現しましょう。ここまでで、プレスリリースで配信する情報に価値があると感じさせられないと、ここから先は読んでもらえないと言っても過言ではありません。

リードの頭は、「製造業が抱えるあらゆる経営課題の解決に挑むテクノポート株式会社(本社:東京都江東区 代表取締役:徳山正康 、以下テクノポート)は、」のように、事業の概要、社名(本社:市区町村まで 代表者)で書き始めるのが一般的です。

④本文

本文には、

  • そのサービスや製品、企画に至った背景
  • サービスや製品の概要
  • 参考となるデータ、情報

などを書きます。項目立てて書いていくと読みやすくなります。

⑤会社概要

会社名、代表者、設立日、資本金 、所在地、Webサイトなどを記載します。その他、会社のビジョンやミッション、事業内容などを記載することもあります。

⑥連絡先

製品やサービスについての問い合わせ先、取材等のメディア関係者の問い合わせ先をそれぞれ記載します。(画像ではサービス問い合わせ先のみ)電話番号、メールアドレス、担当者を明記します。

コツ

簡潔且つ分かりやすく書く

せっかく見てもらえるなら、と1から100までありとあらゆる情報を詰め込みたくなりますが、すっきりと簡潔に書くように心がけます。全体の量としては長くてもA4用紙3枚までを目安にすると良いと思います。また、公に発表するという側面があるので、誰にでもわかるよう表現します。社内で通じる造語や略語も第三者には伝わりません。中学生が読んでもわかるようなイメージです。

ビジュアルで攻める

数多あるプレスリリースの山から、目を惹くプレスリリースを作るには画像が欠かせません。私自身、プレスリリースを作成するときに困るのは自社サービスを視覚的に表現することです。製造業は、ビジュアルで魅せることができる業種なので、ぜひ力を入れてみてください。製品の写真だけでなく、現場の写真や、加工をしている手元など魅力的な写真がたくさん撮れるはずです。

テーマは一つに絞る

複数のネタがある時に、せっかくだから…とまとめて詰め込んではいけません。何を伝えたいプレスリリースなのかがわからなくなってしまいます。

盛らない

アピールをしたいあまり、「業界No1」「業界初」「かつてない」など強調をした文章を使いたくなってしまいますが、根拠のないことを書くと信用を失います。主観ではなく、客観的にみて正確な事実であることが必要です。また、広告ではないので売り込むような表現も控えます。

真似る

色々書きましたが、いざ書いてみようと思うと筆が進まないという方が多いのではないかと思います。私自身、プレスリリースを書くたびにA4用紙をどう編集したら良いものか途方に暮れることも多いです。そんな時は、「プレスリリースの書き方」を調べてはいけません。プレスリリースを調べます。例えば、フェイスシールドの販売をはじめる場合、「プレスリリース フェイスシールド 販売」と検索をします。実際に配信されたプレスリリースが見られるので、具体的なイメージが掴めます。

ちなみにこの方法はネタ探しにも有効です。「板金 プレスリリース」と検索すれば板金に関連したプレスリリースがたくさん出てきます。

配信方法

直接送る

ファックスやメール、持ち込みなど、直接編集部や記者の方に届けます。過去に取材を受けたことがあれば、名刺を探して連絡をとって情報提供をすると良いでしょう。メディアによってプレスリリースなどの情報提供の受け方が異なり、Web上で検索して申込フォームから送る、あるいは電話をかけて確認する、FAX、郵送などがあります。会社宛や編集部宛よりも、担当の部署や担当者宛に送ると目に留まる確率が高くなります。代表電話で断られてしまうこともあるので、マスコミ電話帳などで直通の連絡先を入手するという手段もあります。

配信先は、そのプレスリリースの内容やどの媒体に掲載したいかによっても異なりますが、新聞であれば、経済紙(日本経済新聞や日刊工業新聞他)一般紙(産経新聞、朝日新聞、読売新聞他)、雑誌であれば、ビジネス誌(週刊東洋経済やPRESIDENT他)、業界誌(設備と管理、日経ものづくり他)その他業界新聞やWebメディアなど中心です。地元紙などは比較的掲載されやすいかと思います。

配信代行

配信代行サービスを利用して連絡先を知らないメディアにプレスリリースを配信してもらうこともできます。複数のメディアに一斉配信ができたり、配信代行サービスのSNSに掲載されてより拡散性が高まったりします。配信代行サービスのサイトで情報を探すメディアの方もいますが、一斉配信した情報であるため情報価値が低いと考える方もいるようです。

PRTIMES

1配信30000円〜

業界最大手。上場企業の約4割が利用しており、月間5200万PV。大手から業界紙、専門誌まで数多くのメディアと提携しており、配信先リストを自分で作成することができる。メディア関係者だけでなく、一般ユーザーの閲覧も増加してきている。

@press

1配信30000円〜

プレスリリースの添削や掲載メディアのレポートなども料金に含まれている。業界で唯一FAX送信も料金内に含まれている。
プレスリリースに合わせて配信先を選定してもらえる。

プレスリリースゼロ

無料提携メディアや配信先についての情報が明かされていないため、どのメディアにアプローチをしたのかがわからない。

プレスリリースを作成して、送ったからといって必ず記事化されたり取材されたりするわけではありません。とはいえ、今まで情報が届かなかった相手に対して、アプローチをかけられるというだけでもメリットが得られるのではないでしょうか。
とはいえ、せっかく取り組むのであれば成果を出したいと思いますよね。戦略的に取材を獲得するために欠かせないメディアのニーズの探し方や、媒体の研究についてはまた次回以降にご紹介します。

プレスリリースを検討する際に気を付けて欲しいこと

中小企業専門の弁理士の亀山です。お陰様で開業して6年目になります。開業して約300社の中小企業様・個人事業主様のご相談を受けてまいりました。今回は、プレスリリースを行う際、気を付けて欲しい点についてお話したいと思います。

あなたのプレスリリースを見る人

プレスリリースを見る人は、どのような人でしょうか?

  • 既存のお客様
  • まだ見ぬ新規のお客様
  • ・・・

これだけでしょうか?これ以外にもあります。

それは、あなたのライバル企業や、ライバル企業の取引先です。

ライバル企業がみていること

プレスリリースされた新しい商品やサービスについて、ライバル企業は何を見ているでしょうか?あなたの商材について、機能や品質の優劣や、価格の競争力も比較しています。さらに、以下のようなものを見ています。

それは、うちの知的財産権を侵害しているか?という点です。

知的財産権の侵害について

さて、知的財産権には、特許権・実用新案権(技術の権利)、意匠権(プロダクトデザインの権利)、著作権(大雑把にいうとアートの権利)や、商標権(商品名やサービス名の権利)等があります。ライバル企業からみれば、「せっかく知的財産権を取得したのだから、模倣犯がいれば取り締まりたい。」と思うでしょう。

このため、ライバル企業は、

  • プレスリリースされた商材の機能は、わが社の特許発明を使っていないかな?
  • プレスリリースされた商材のプロダクトデザイン、わが社の登録意匠を使っていないかな?
  • プレスリリースされた商材の名称は、わが社の登録商標に似ていないかな?
  • プレスリリースに掲載された写真は、自社サイトの写真を流用していないかな?

と、様々な角度から、目を皿のようにしてチェックしています。実際に、そのような侵害発見を依頼されるときもあります。そして、何かしらの権利を侵害している可能性が高い場合には、特許権侵害等を根拠とする警告書が、内容証明郵便にてあなたの会社へ郵送されてくることになります。

法的手段を取られたときのインパクト

警告書で要求される主なものは、差止請求と損害賠償請求の2つがあります。今回は、プレスリリースの場合ですので、差止請求についてのみ述べます。

さて、相手が要求が差止請求の内容に正当である場合、あなたの会社はどうなるでしょうか?

特許権侵害や意匠権侵害の場合

特許発明や登録意匠を使わないような設計変更をしなければなりません。すでに仕掛品や在庫を持っている場合には、廃棄せざるを得ない場合も多いでしょう。また、設計変更や仕掛品等の廃棄を受け入れられない場合には、相当のライセンス料を支払う必要が出てきます。

そして、これらを受け入れられなければ、新しい商材のリリースを中止せざるを得ません。

商標権侵害の場合

プレスリリースされた商材の名称は、継続して使用できません。特許権等のようなライセンスも可能ですが、商標権の場合には、権利者側のブランドイメージの棄損につながるため、ライセンスを許可する場合は少ないです。したがって、名称変更をせざるを得ない場合がほとんどです。結果としては、チラシ制作やパッケージ制作は0からやりなおしになります。また、プレスリリースや宣伝広告も0からやり直しになります。

このように、ライバル企業の知的財産権の侵害行為によって、新しい商材によるビジネスが困難になるばかりか、これまでに投じた時間やコストの回収ができなくなってしまいます。すなわち、他社の知的財産権の侵害行為は、あなたの会社の存続に直結します。

警告書を無視したらどうなる?

相手方の主張が正しいにも関わらず、警告書を無視して侵害行為を継続した場合には、刑事罰の対象となります。特許権、意匠権や商標権侵害の場合における刑事罰は、以下の通りです。

  • 個人の場合:10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(両方が科される場合もあります。)
  • 法人の場合:法人に対して3億円の罰金。代表者等には、個人と同じペナルティが課されます。

よって、専門家に相談せずに、警告書の無視することは、とてもお勧めできません。

ライバル企業の権利を侵害しないためにはどうすれば?

前項では、ライバル企業の知的財産権を侵害してしまうと、あなたの会社の存続が危うくなることについて述べました。それでは、ライバル企業の知的財産権を侵害しないためには、何をすればよいのでしょうか?

そのためには、ライバル企業の権利を調べる必要があります。この調査は、プレスリリースよりも前に行う必要があります。より詳しく言えば、他社の特許権や意匠権の調査の場合には、万が一の設計変更やデザイン変更を考慮して、試作のテストに目途がついた段階に行うことが望ましいでしょう。他社の商標権の調査の場合には、万が一の名称変更を考慮して、名称の案がある程度絞り込まれた段階で行うことが望ましいです。

このような特許権、意匠権、商標権の権利の調査(クリアランス調査といいます)は、専門的知識が必要です。調査の際には、お近くの専門家にご相談ください。

まとめ

  1. わが社のプレスリリースは、お客様だけでなく、ライバル企業も見ている。
  2. ライバル企業は「プレスリリースの商材が、自社の知的財産権を侵害しているか?」を見ている。
  3. ライバル企業が知的財産権の侵害を発見した場合には、差止請求により、プレスリリースの商材の販売は停止し、在庫処分となるため、経済的損失は大きい。
  4. このような経済的損失を回避するためには、「プレスリリースの商材が他社の知的財産権を侵害していないか」のチェックが必要。
  5. チェックのタイミングは、プレスリリースの前に行うこと。

町工場の魅力で経営課題を解決。 製造業の広報PRとは

テクノポートの菊地です。社内では、未経験ですが広報業務を担当しています。今後、モノカクの記事として、日々学びながら実践している広報活動にまつわるアレコレを共有していきたいと思います。

広報とは

そもそも「広報」とは何か。聞いたことはあるし、なんとなくイメージはあるけど正直よくわからないという方が多いのではないでしょうか。人や時代によって異なる用いられ方をすることもあり、一言では説明しがたく、正解はひとつではないと言えるのが正直なところです。

広報の定義

広報」という言葉が日本で使われるようになったのは、戦後GHQが日本へ民主主義を根付かせる目的で行政に「PR=Public Relations(企業や団体が社会や消費者とより良い関係を築くための活動全般のこと)」を伝えたことが始まりとされています。「広報PR」と表記されるのはこのためです。(ちなみにPRの発祥はアメリカの独立戦争と言われており、面白いのですが、今回は割愛します。)広報PRは、Promotion(販売促進)やPress Release(自社の新しい情報をメディアに届ける手段の一つのこと)ではなく、「組織や個人が社会とより良い関係を築いていくために、自らの事業についての活動や方針を広く伝え、共感・理解を得るための活動」と言えるでしょう。

具体的には、主に「社内外の情報収集」→「集めた情報をもとに企画・情報発信」→「企画や情報を活かした取材獲得」を行っていきます。(下表参照)

企業によってはWebサイトの運営やお客様対応なども広報担当者が受け持っていたり、情報の発信先によって部署が細分化していたり、インターネットの発達による変化も含め、その姿は日々多様化しています。また、社内のリソースによって対応できる業務の取捨選択も必要です。

広報の目的

書籍「戦略PR 著:本田哲也」によると、広報の究極の目的は「人々の行動を変えること」とされています。昨今の広報には、社会的な視点や文脈が強く求められるようになってきました。「その商品やサービス、事業は、社会にどんな効果を与えますか?」と。これを踏まえて、次の図をご覧ください。

上記の図は、「PRのピラミッド」と呼ばれるPRの目的構造を図式化したものです。

  1. パブリシティ:情報の露出→取材獲得、新聞や雑誌などメディアでの情報露出
  2. パーセプションチェンジ:認識の変化→パブリシティによるモノの見方・価値観の変化
  3. ビヘイビアチェンジ:行動の変化→認識の変化による行動の変化

例えば、製造業者が採用難の対策として広報活動を導入するとしましょう。この場合に考えられるパブリシティは、

  • 会社について(企業風土や福利厚生など他社と差別化が図れるネタ)
  • 人について(代表や名物社員、若手、女性など募集したい層に合わせたり、こんな人と働きたいと感じさせたりする切り口)
  • 権威について(受賞や官公庁、大手企業との連携など)

などが挙げられます。パブリシティによって、「この会社面白いな」「こんな会社があるのか」「思っていたより、製造業って面白そう」などと思うようになったら、それがパーセプションチェンジです。そして、実際に求人に対して応募されたり、業界での就職希望者が増加したりするとビヘイビアチェンジの達成です。その年に限らず、継続して効果が現れれば大成功と言えるでしょう。

PRのピラミッドの事例としては、サントリーのウイスキーの再興やP&Gがインドで行った「洗濯」への問題提議が有名です。興味のある方は検索していただけたらと思います。

広報と広告の違い

メディアを用いた企業の情報発信というと、広報に限らず広告が挙げられます。似て非なるものですが、混在されがちなので違いを比較しながら紹介します。

広報の特徴

低コストでありながら信頼性が高い反面、情報のコントロールができず(報道の自由・編集権)、必ずメディア露出ができるものではないので、中長期的な視点と時流に合わせた提案をする戦略が必要です。費用対効果の換算が難しいことへの理解も欠かせません。

広告の特徴

費用はかかるが、企業の意向のままの情報発信が確実に行えます。一方、広告やCMは読み飛ばしやスキップされる傾向も高くなっています。

広報で解決できる(かもしれない)製造業の経営課題

まだまだ中小規模の製造業では「広報活動」に取り組んでいる企業は少なく、平成25年の東京都産業労働局の調査ではわずか6.0%とのデータも出ています。(東京都産業労働局 中小企業の宣伝・広報活動に関する実態調査 プレスリリース活動の状況)広報活動でできることは、「選ばれる雰囲気を作る」ことだと思います。

どんな情報を使って目的を達成するかの道のりは、解決したい課題によってまちまちですが、考えられるものをPRのピラミッドの3段階ごとに考えていきましょう。

パブリシティ

→取材が取材を呼び、情報の露出が増えるほど幅広い層の目に触れる機会が増える。Google検索などで自社メディア以外にもヒットするようになるので、企業としての信頼性が高まりブランディングの効果や市場におけるマウントの獲得ができる。

パーセプションチェンジ

→自社を知らなかった人に認知されたり、製造業に興味を持ったりする人が増える。取材を通じて自社や業界の魅力を伝えてもらうことができる。

  • 自社のブランディング、製造業のイメージアップ、関心の向上

ビヘイビアチェンジ

→あの会社に頼もうと選ばれる:新規顧客の開拓 事業提携

  • ここで働きたいと選ばれる:人材難の解消
  • 製造業に関わる人が増えるなど:オープンイノベーション、業界の活性化、事業継承、地域の活性化

見出しで(かもしれない)としたのは、前述したとおり広報活動に確実性がないためです。ただ、町工場を舞台とした小説やドラマがヒットしているように、中小規模の製造業は社会の関心も高く、メディアの方の関心も非常に高いように感じています。私の体験としても、メディアの方に当社の説明をした際、「中小規模の製造業のWebマーケティング支援を…」と伝えても興味を持ってもらえませんでしたが「〇〇の町工場に行って、」と話したときは非常に興味を持って頂いたことが記憶に新しいです。

パブリシティの多い製造業

最後に、より具体的なイメージを持って貰えるように報道実績が多く、ホームページから内容が確認できる製造業の会社をいくつかご紹介します。

自社の技術についてや、代表取材、社員インタビューなど様々な記事が掲載されていますが、最新のパブリシティ情報だけでなく、掲載されている過去の古い記事から数年分も目を通していただくことをお勧めします。いきなりビジネス誌やテレビに出演しているわけでなく、専門誌や業界誌などから少しずつコツコツと露出が増えていると気づくのではないでしょうか。また、どんな内容や切り口で書かれているかを見ると、広報の切り口のヒントが見つかります。最近のメディアの関心や時流を紐解くには最近の記事の研究がおすすめです。

競合となる会社や、似ている会社のホームページにパブリシティ情報(メディア掲載、ニュースなど)があれば併せて研究するとより具体的な広報の切り口が見つかります。

今回は、広報の概要について説明をしました。次回以降は、より具体的に焦点を絞って製造業のための広報活動を伝えていく予定です。今後、実際に製造業の広報に取り組んでいる方からお話を伺う機会も設けたいと考えています。興味を持った方は、広報活動の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

今すぐ始めたい失敗しない「自社商品づくり」

新型コロナウイルスの影響で、今までBtoBビジネスだけをやってきた中小企業も、大手企業からの受注が減少しています。その中で、今まで「日々の業務でいっぱいで考える時間がない」と後回しになっていた自社商品づくりに本腰を入れる企業も多いようです。

この流れが起きている理由としてはこれら3つの点が挙げられます。

  • 受注案件に左右されない収入の柱を作れるから

今まで大手の受注に頼ってきた収入では、今回ようなの世界情勢乗せ変化によって経営が左右されてしまう振り幅が大きいものです。しかし自社商品を継続的に販売することができれば、揺るがない新しい収益の柱を作ることができます。

  • 新しい企業との取り組みができるから

今までは下請けとしての取り組みではいて企業と1対1の関係が多くなりがちです。しかし自社商品を開発・販売することになると、自社を起点として商品の販売先やデザイナーなど今まで取り組んだことない新しいカテゴリーの企業との関係を展開することができます。

  • 社員の自主性が上がるから

BtoB向け企業だど、多くが半製品を作り納品するケールが多いかと思います。そのため、多くの社員にとっては自分たちの仕事ぶりの完成形をなかなか近くに感じることができずにいます。そんな自らの「仕事」を「作業」として感じている社員に対して、を自社商品の開発では自分たちが求めるクオリティの限界を自分たちで決めることが重要です。それによって、自分たちで完成させたもの大きな可能性を感じすことができます。

自社商品づくりのつまづきポイント

まさに「自社商品づくり」は自社を成長させる可能性に溢れたものですが、今まで多くのBtoB向け中小企業がチャレンジしては断念している、つまづきの共通項があります。

商品づくりでのつまづき

  • たくさんの人に買ってもらえるデザインを仕上げるのが難しい
  • BtoCで流通させるためのパッケージデザインができない

販売でのつまづき

  • 作ることはできるけれど、どこでどう売っていいのかわからない
  • 地域のイベント止まりになってしまう
  • 知り合いへの告知で終わってしまう
  • たくさんの人に知ってもらいたいけれど、どうしたら認知度が高まるかわからない

これらのつまづきが重なって、多くの企業が自社商品の開発を「また今度考えよう」とずっと後回しにしてきています。

ではなぜこれらのつまずきが生まれるのかというと、今までやったことのない分野まで自分たちでやってしまおうとすることが起因しています。今ままで長くものづくりをしてきたBtoB向け企業にとって品質の良いものづくりは当たり前のようにできますが、多くのBtoB向け企業が自社商品でつまずく2つの共通項があります。

BtoC向け商品づくりの全体の工程は次の章でご説明しますが、1つ目は、コンセプト設定(生産背景/ペルソナ設定)、市場調査、プロダクトデザイン、パッケージデザインという市場に流通させるときの顧客ウケする商品づくりという視点。

そして2つ目は販売場所の確保(リアル/オンライン)、PR施策(プレスリリース/WEBサイト/SNS)の認知活動という視点です。

もしあなたの会社が「自社商品づくり」でつまづいているのなら、この2つの視点を今から急いで養おうとせず、まずはデザイナーやブランディングの専門家と手を組んで、大きくそして素早く飛躍できる手段を取ることがオススメします。

自社商品づくりの大きなステップ

BtoC向け商品づくりの工程にはこのようなステップが必要です。

  1. コンセプト設定(生産背景/ペルソナ設定)
  2. 市場調査
  3. プロダクトデザイン
  4. パッケージデザイン
  5. 生産背景確保
  6. コスト試算
  7. 流通経路確保
  8. 販売場所の確保(リアル/オンライン)
  9. PR施策(プレスリリース/WEBサイト/SNS)
  10. 継続施策(WEBサイト/SNS/シリーズ品開発/口コミ回収etc…)

今だから始められるあなたの会社が成長する「自社商品づくり」

今回お伝えさせていただいた通り、BtoB向けの新規開拓が難しく受注も減少している今だからこそ、自社の収入面でも人材面でも根底を強化する「自社商品づくり」のタイミングだと言えます。

働き方や人とのつながりがより重要になるこれからの時代に向けて、自分たちの仕事に改めて誇りが持てる「自社商品づくり」をしましょう。