技術広報の効果的な進め方とWeb活用術

テクノポートの永井です。テクノポートでは、技術を発信したい製造業のWebマーケティングを支援しています。

技術を発信する際に最も重要になるのが「技術の説明」です。誰に、どのように思ってもらいたいかによって技術の説明方法は変わります。例えば、採用向けであれば大学生や一般の人にわかるように、技術者向けであれば技術の原理をわかりやすく表現するなど、伝える相手によって内容を工夫する必要があります。

今回は技術広報のメリットや技術の説明方法や事例について紹介します。

Webを使った技術広報例

●ヤマハ発動機株式会社
技報:https://global.yamaha-motor.com/jp/design_technology/technical/

●浜松ホトニクス株式会社
研究開発について:https://www.hamamatsu.com/jp/ja/our-company/research-and-development.html

●株式会社島津製作所
コンテンツ一覧:https://www.shimadzu.co.jp/stories-of-excellence/index.html

●大日本印刷株式会社(DNP)
ディスカバーDNP:https://www.dnp.co.jp/media/

●株式会社IHI
技術記事一覧:https://www.ihi.co.jp/technology/techinfo/

●旭化成株式会社
イノベーション事例:https://www.asahi-kasei.com/jp/r_and_d/innovation/

●富士フイルム株式会社
ビジネスのお客様:https://www.fujifilm.com/jp/ja/business

●ソニー株式会社
産業用イメージセンサー:https://www.sony-semicon.com/ja/technology/industry/pregius.html

●ボッシュ株式会社
技術アーカイブ:https://corporate.bosch.co.jp/products-and-services/technology-archives/

●NISSHA株式会社
コンテンツマーケティング:https://connect.nissha.com/filmdevice/filmdevice_column/

技術をわかりやすく相手に伝える方法について

技術をわかりやすく相手に伝えるためには以下の手順で行います。

  1. 伝えたい相手を決める:相手を決めると伝え方の方向性が決まります。
  2. 相手にどう思ってもらいたいのかを決める:コンテンツを見てもらったあとに、相手に反応してほしいのかを決めます。例えば、共同研究に興味を持ってもらいたい、製品を購入してもらいたい、自社の求人に応募してもらいたいなどです。
  3. 相手が何に興味を持つのかを想像する:技術を伝える前に相手の興味を想定します。例えば、製品の性能なのか、技術のコア部分なのか、開発の環境なのか、技術のインパクトなのかなどです。
  4. 相手が理解できていない部分を十分想像する:技術を理解するためには最低限の知識が必要です。人は理解できないコンテンツを読み進めてはくれません。そのため、相手が理解できない部分はこちらで補ってあげなければなりません。特に専門用語を使う際には注意が必要です。
  5.  相手がスムーズに理解できるような流れを作る:最後に疑問が出てこないような流れを検討し、コンテンツづくりを始めていきます。

また、コンテンツを作る際は図、表、動画、画像などを多様してください。文章のみでは伝わらない・伝わりにくい内容でも、絵や動画があると伝わりやすくなります。

参考

技術をわかりやすく相手に伝える方法についてhttps://keikakuhiroba-mfi.com/archives/20896

技術広報の役割

技術広報の役割は「目的を達成するために技術情報を発信すること」です。ここでは技術広報を行うことでどういった効果が得られるのか、また、どういった効果を得たいときに技術広報に力を入れないといけないのかを紹介します。

自社技術の用途開発

技術広報を行うことで、自社の技術や製品が持つ潜在的な価値や用途を広く知らせることができます。

これにより、新たなビジネスチャンスやパートナーシップの機会を生み出すことが期待されます。例えば、ある技術が他の産業や分野での応用可能性を持っている場合、その情報を広めることで、異業種との連携や新しい市場への進出のきっかけとなることもあります。

企業ブランドの信頼性向上

技術広報は、自社の技術力や研究開発の取り組みをアピールする絶好の機会です。これにより、企業のブランドイメージの向上や、業界内での評価の向上が期待されます。

特に、革新的な技術や独自の研究成果を持つ企業にとっては、その情報を適切に発信することで、競合他社との差別化を図れます

採用

技術広報は、採用活動にも大きな影響を与えます。自社の技術的な取り組みや研究開発の内容を公開することで、技術者や研究者からの注目を集められます。これにより、優秀な人材を引き寄せられるだけでなく、採用時のコミュニケーションもスムーズに進めることが期待されます。

技術の普及と教育

技術広報を通じて、一般の人々や他の企業に技術の知識や情報を提供することで、技術の普及や教育にも寄与します。これにより、技術の理解を深めることができるだけでなく、新しい技術の採用や導入を促進できます。

技術広報の種類

技術広報は、企業や組織が自らの技術や製品、サービスを広く知らせるための手段です。これにはさまざまな方法があり、その選択は対象とするターゲットや伝えたい内容、予算などによって異なります。以下に、主な技術広報の種類とその特徴を述べます。

Webサイト

Webサイトは、インターネットを利用して情報を発信する手段です。

24時間365日、世界中の人々にアクセス可能であり、更新も容易。製品の詳細や技術的な情報、使用例などを掲載し、顧客や取引先、一般の人々に情報を提供します。また、動画や画像、インタラクティブなコンテンツを取り入れることで、訴求力を高めることも可能です。

プレスリリース

プレスリリースは、新製品の発表や技術的な進展、企業の取り組みなどを報道機関や関連業界に向けて発信する手段です。短い文章でポイントを伝えることが求められ、正確かつわかりやすい情報提供が必要です。メディアが取り上げることで、広範囲に情報が伝わる可能性があります。

雑誌

専門的な内容を深く掘り下げて伝えるための手段として、雑誌があります。特定の業界や分野に特化した内容を提供し、専門家や関心を持つ読者に向けて情報を発信します。長文での解説や専門家のインタビューなど、詳細な情報を提供することができます。

書籍

書籍は、技術や知識を体系的にまとめ、長期間にわたって情報を残す手段です。深い内容や研究結果、技術の背景などを詳しく解説し、専門家や学生、一般の読者に提供します。信頼性が高く、長期的な情報提供が可能です。

イベントやセミナー

実際に人々を集めて情報を伝える手段として、イベントやセミナーがあります。参加者と直接コミュニケーションを取ることができ、質疑応答やデモンストレーションを行うことで、深い理解を促せます。また、参加者同士のネットワーキングの場としても機能します。

ソーシャルメディア

近年、ソーシャルメディアを利用した技術広報も増えてきました。TwitterやFacebook、LinkedInなどのプラットフォームを利用して、短いメッセージや動画、画像を共有し、リアルタイムでの情報発信が可能です。また、フォロワーとの直接的なコミュニケーションも行え、効果的な情報伝達が期待できます。

技術広報にWebサイトが向いている理由

技術広報は、企業の技術力や製品の特徴を伝える重要な手段です。その中でも、Webサイトは多くのメリットを持ち、効果的な技術広報のツールとして注目されています。以下に、Webサイトが技術広報に向いている理由を詳しく解説します。

自由に表現できる

Webサイトは、文字、画像、動画、インタラクティブなコンテンツなど、多様なメディアを組み合わせて情報を発信できます。これにより、技術的な内容や製品の特徴を分かりやすく、魅力的に伝えることが可能です。また、デザインやレイアウトも自由にカスタマイズできるため、ブランドのイメージやメッセージを一貫して伝えられます。

閲覧者を増やしやすい

SEO対策を施すことで、検索エンジンからのアクセス増加が期待できます。技術的なキーワードや専門用語を適切に取り入れることで、ターゲットとなる閲覧者を効果的に引き寄せることができます。さらに、SNSやメールマーケティングと連携すれば、より多くの人々に情報を届けることができます。

継続が簡単

Webサイトは、情報の更新や追加が容易です。新しい技術や製品の発表、業界の動向など、タイムリーな情報を随時掲載できます。これにより、常に最新の情報を提供し、閲覧者との関係を継続的に深化させることが可能です。また、定期的な更新はSEO対策としても有効であり、検索エンジンの評価を高める効果も期待できます。

コストパフォーマンスが高い

一度Webサイトを構築すれば、継続的に情報を発信できます。印刷物やイベントと比べると、情報の更新や配信にかかるコストは低く抑えられます。特に中長期的な視点で見ると、高いコストパフォーマンスを実現できるため、技術広報の主要なツールとして活用する価値があります

技術広報用のWebサイト制作はテクノポートへ

技術広報は、企業の技術力や製品の特徴を伝えるための重要な手段です。

Webサイトは、その中でも特に効果的なツールとして注目されています。自由な表現、閲覧者の増加、継続的な情報発信が可能であり、さらに高いコストパフォーマンスを実現できます。

テクノポートでは、これらのメリットを最大限に活かした技術広報用のWebサイト制作を提供しています。最新の技術とマーケティングの知識を活かし、お客様のニーズに合わせた最適なサイトを構築します。技術情報を効果的に伝えるためのWebサイト制作をお考えの際は、ぜひテクノポートにご相談ください。

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技術の魅力を伝える!効果的なWebコンテンツの作り方

テクノポートの永井です。今回は、自社技術を相手に伝える方法を紹介します。

技術を伝えるとは?

「技術を伝える」という言葉にはさまざまな意味があります。例えば、技術継承などの教育的な意味や自社技術の魅力を伝えるというマーケティング的な意味がありますが、ここではマーケティングの意味で技術を伝えるという言葉を使っていきます。

技術は相手が理解して初めて伝わったことになります。相手が技術の背後にある原理や概念を理解し、その意味や応用方法を把握することで、初めて技術が伝わったと言えます。しかし、技術を伝えることは想像以上に難しく、特にWebサイトだけで技術を伝えるには相当の努力が必要になります。

技術を伝える際の難しさは、主に技術の複雑性と不確定要素に起因します。

技術の複雑性

多くの技術は高度な知識や専門用語を必要とし、複雑な仕組みや手順を含んでいます。技術の複雑性は、非専門家や初心者にとって特に理解しにくくなります。

技術の概念や原理を明確に伝えるためには、それをよりシンプルで具体的な形で説明する必要があります。また、技術の異なる側面や関連する要素を統合的に理解することも重要です。

技術の不確定要素

技術を受け入れる人々や組織は、それぞれ異なる目的や要件、制約を持っています。そのため、技術を適切に活用するには、相手のニーズや状況を理解し、それに合わせた使い方やカスタマイズを行う必要があり、相手によって技術の意味が変わってきます。

技術を伝える際には、以下の点に留意することが重要です。

  • 相手の背景や知識レベルに合わせた説明を行う
  • 専門用語や複雑な概念をできるだけシンプルに解説する
  • 具体的な例やイメージを挙げて理解を助ける

技術を伝えるときに想定すべきこと

ターゲットを明確にする

Webサイトの目的として、「どのような人々に向けて技術情報を提供するのか」を明確にしましょう。ターゲットが決まれば、ターゲットの一般的な背景や知識レベルについて予測し、それに基づいて技術の説明や表現方法を工夫できます。

シンプルな言葉と明快な表現を使用する

Webサイトのコンテンツは短く簡潔にまとめ、シンプルな言葉を使って説明しましょう。専門用語や複雑な概念はできるだけ避け、一般の人々でも理解しやすいように工夫します。また、技術の効果や利点を明快に伝えるために、短い文や箇条書きを活用することも効果的です。

視覚的な要素を活用する

技術の説明には、視覚的な要素を取り入れることで相手にわかりやすく伝えることができます。図やグラフ、イラスト、スクリーンショットなどを使用して、技術の概念や手順を視覚的に補完しましょう。また、動画やデモンストレーションを提供することで、技術の使い方や応用の具体例を示すことができます。

初心者向けと上級者向けの情報を提供する

技術の理解度には個人差がありますので、初心者向けと上級者向けの情報を両方提供すると有効です。基本的な概念や用語を解説する初心者向けのセクションと、より詳細な情報や実践的な応用例を提供する上級者向けのセクションを設けることで、幅広い層のユーザーに対応できます。

技術を伝えるための手順

1.誰に何を伝えたいのかを決める

はじめにターゲットは誰で、ターゲットがこのコンテンツを読んだときにどう思ってほしいのかを決めます。技術の良さを伝えるためには、自社の技術的価値と相手にとっての価値を一致させる必要があります。そのため、コンテンツを作る前に誰に何を伝えるのかしっかりと決める必要があります。

2.コンテンツの目次を考える

コンテンツの概要を把握し、主要なセクションやトピックをリストアップします。目次を作成することで、コンテンツの全体像を整理し、論理的な流れを確保できます。このときコンテンツの流れや論理的な順序を考慮し、見出しやサブ見出しを作成します。出だしで矛盾が生じると相手は読むのをやめてしまいます。矛盾が生じないような目次を検討してください。

3.見出しの情報を伝えやすくするための視覚的情報を準備する

目次が決まったら、伝えづらそうな部分をピックアップし、それを補足するための視覚的情報を用意します。例えば、実験データ、比較データ、原理のイラスト、画像、動画などになります。文章だけでは技術は伝わりづらいので、視覚的情報は必ず入れましょう。

4.コンテンツのワイヤーフレームを作る

ワイヤーフレームは、コンテンツのレイアウトや要素の配置を示す簡単なスケッチやデザインのことです。ワイヤーフレームを作成することで、コンテンツの配置や視覚的なバランスを確認し、相手目線で情報を整理できます。ワイヤーフレームを何度も確認し、矛盾点、補足資料の不足などがないか確認してください。

5.第三者にチェックしてもらい修正する

他の人にワイヤーフレームを見てもらい、フィードバックや修正の提案を受けてください。第三者の目からの意見や新たな視点を得ることで、コンテンツの質や理解しやすさを向上させることができます。特に、ターゲットと同じ立場の人や技術をあまり知らない人に見てもらうと、自身では気づけなかったポイントに気づくことがあります。資料作成者は技術について深く理解しているため、単純なことを見落としがちです。第三者にチェックしてもらうことで、不足部分を補えます。

6.コンテンツを完成させる

フィードバックや修正を反映させ、コンテンツを最終的な形に仕上げます。文章を校正し、視覚要素や画像、グラフィックスなどを適切に配置します。また、リンクや参照先などの正確性も確認しましょう。

変化を数値で確認する

技術情報を公開したら、相手に伝わったかどうかを確認する必要があります。

Webサイトの場合、一方通行の情報であるため、実際の相手の反応を見ることはできません。しかし、問い合わせ数や問い合わせの質の変化またアクセスデータの滞在時間などを見れば、技術が伝わったかどうか確認できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。Webサイトで技術を伝えることは非常に難しいのですが、工夫次第で伝えることは可能です。
テクノポートでは自社技術を伝えるためのサポートなども行っておりますので、技術の伝え方でお困りでしたらお気軽にお問い合わせください。事例とともに参考情報をお送りいたします。

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製造業のためのSWOT分析活用方法

はじめに

製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。コロナ禍や製造業のグローバル化により、製造業を取り巻く環境は目まぐるしく変わってきています。

そのため、製造業の経営や開発戦略の立案には、自社や自部門などの内部環境と世界や社会などの外部環境を一段と分析しなければなりません。この記事では代表的な経営手法の1つであるSWOT分析を紹介します。ぜひ、参考にして自社の環境の捉え方や整理方法を身に付けてください。

SWOT分析とは

SWOT分析とは経営環境や開発環境を整理するフレームワークのひとつです。社内外の環境を分析して戦略を立案するのに用いられます。SWOTとは強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字を並べたものです。これら4つの観点をもとに整理していきます。

一般的に内部環境は社内が当てはまり、自社の強みや弱みを分析します。一方で外部環境は社外環境や外部環境です。自社に対する機会やチャンスと脅威を分析します。このように、社内外の環境を4つの切り口でフレームワークし、戦略を立案する手法がSWOT分析です。

SWOT分析の4つの観点

SWOT分析では、4つの観点による分析が必要です。具体的に分析する内容を紹介します。

強み(Strength)

強みは同業他社に対して優れているスキルや技術、環境などです。たとえば、加工メーカーであれば、0.1μm以上の精度で加工ができる。部品メーカーであれば、独自の機能を有する半導体部品の製造しているなどです。その企業や開発部門だけがもつ独自の技術を洗い出しましょう。

弱み(Weakness)

弱みは同業他社と比較して劣っていることスキルや技術、環境です。

たとえば、マーケティングが劣っており開発のリサーチ力が足りない他社に比べて加工精度が低い、開発、実験環境が整っていないなどが該当します。社内における課題が多く当てはまるのです。

機会(Opportunity)

機会は市場や業界のチャンスです。

たとえば、コロナ禍であればテレワークで働く方が増えるため、在宅で活用するプリンターやノートPCの需要の増加、家での食事による冷凍食品の需要の増加などが当てはまります。市場や社会の変化が該当します。

脅威(Threat)

脅威も市場や社会の変化が当てはまります。

たとえば、環境問題意識の高まりによる製造手法の改善や開発内容の変更を余儀なくされたり、保有技術以上の高度な技術を要求されて対応に四苦八苦したりなどです。部品需要の増加により、製造部品が手に入らなくなるなどが該当します。脅威は、機会と同様に市場や社会の変化による自社への悪影響と捉えるとわかりやすいでしょう。

SWOT分析を基にした戦略

SWOT分析は4つの観点を吟味し、戦略にいかすためのフレームワークです。SWOT分析をいっそう活用するには、強みと機会を掛け合わせた組み合わせが大切です。

強み×機会による戦略

自社の強みをいかして市場のチャンスをつかみます。チャンスをつかむと、他社よりも有利に働く場合が多くなります。たとえば、大企業であれば、コア技術を生かした戦略や蓄積された技術を軸に戦略をたてるなどが該当。自社の強みを生かして市場の流れにのる戦略です。

強み×脅威による戦略

自社の強みをもとにして、将来の脅威を乗り越える戦略です。市場調査や社会動向を調査して、危機に対応します。

脅威は社会全体に影響を与える場合が多いのが特徴です。たとえば、最近の半導体不足問題を考えると、強固な販売網を駆使して在庫を潤沢にするなど、自社の強みで課題を解決するものになります。ピンチをチャンスに変えたり、ピンチを強みで乗り切る戦略です。

弱み×機会による戦略

自社の弱みを克服して機会を得ようとする戦略です。一般的には弱みを克服しても競合他社に勝てるまで育てるのには、時間やお金など多くのリソースが発生します。また、競合他社は市場で優位な地位を築いているため、余力が少ない場合は強みを伸ばす戦略が望ましいです。

弱み×脅威による戦略

自社の弱みや脅威を認識してリスクに備える戦略です。リスクを乗り越えるよりも、これから起こりうるリスクへ対処する予防策を練るとも捉えられます。自社や自部門だけで解決できない課題は、他社や他部門に協力を求めるなど将来起こりうる最悪な結果の発生を防ぐための戦略です。

まとめ

SWOT分析は経営や開発戦略の立案時に有効な考え方です。内部環境と外部環境を、強みや弱み、機会、脅威4つの観点で整理できるからです。4つの観点で整理した内容組み合わせることで、今後の戦略を立てられます。戦略立案に困っている方は一度SWOT分析を用いてみてはいかがでしょうか。

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ひと目でわかる技術・製品の紹介ページの作り方

こんにちは、テクノポートの永井です。今回は製造業Webサイトの技術・製品ページの書き方をご紹介します。

技術・製品ページは、SEO対策を施し技術探索者からのアクセスを獲得するためのランディングページ機能と、探索者を納得させる訴求ページ機能の2つの要素を持ち、問い合わせにつなげるためには欠かせないページの一つです。

BtoB製造業の場合、探索者の多くは今抱えている課題を解決する方法を探しています。探索者は、Googleやyahooなどの検索エンジンで課題解決に繋がるキーワードを入力して検索をします。その後、上位に表示されたWebサイトの技術・製品情報を確認し、課題を解決できそうな企業に問い合わせを行います。そのため、技術・製品ページではキーワード対策を行いつつ、技術を正確に伝え、さらに探索者が途中で離脱しないような工夫が必要です。

それでは、6つのポイントに分けて技術・製品ページの作り方を解説します。

1.技術・製品ページの一般的な構成

技術・製品ページの基本構成は下記の通りです。

  1. キャッチコピー:自社の技術がひと目でわかり、探索者に興味を持ってもらえるもの
  2. 解決できる課題を網羅的に掲載:技術を使うことで解決できる課題の紹介
  3. 技術や製品の特徴:自社技術の特徴や他の技術と比較したときのメリットの紹介
  4. 技術や製品の詳細:具体的な技術や製品の紹介

探索者に興味を持ってもらうために、顕在ニーズ、つまり今抱えている課題を出発点とし、徐々に自社の技術に落とし込むような構成にします。そうすることで、技術を理解しやすくなり、離脱を防ぐ効果も得られます。

2.技術・製品のキャッチコピーの書き方

探索者は「そのページを閲覧するかどうか、キャッチコピーを見て決めている」と言われるほど、キャッチコピーは重要です。

キャッチコピーは機能訴求でなく、課題解決を意識し、自社の技術をひと目で伝えられるものが適切です。

探索者は、抱えている課題や検索したキーワードを頭に思い浮かべながらWebサイトを閲覧しています。探しているものと一致する情報があるかどうかを集中的に見ています。そのため、最初に目に入るキャッチコピーに課題解決のヒントを見つけると、そのページの情報を続けて閲覧します。逆に、課題解決に結びつかないキャッチコピーだった場合、ページを最後まで見ずに、離脱する可能性があります。BtoB製造業などの技術系企業の場合、キャッチコピーは奇抜なものより、わかりやすさを重視したものをおすすめしています。

例えば、アルミケースを製造している伊藤製鞄株式会社のキャッチコピーは「オーダーメイドも量産も、要望に合わせたジュラルミンケース」です。これは「オーダー品を作りたい」「量産したい」という要望に対して、そのままの言葉でわかりやすく訴求しています。


引用元:伊藤製鞄株式会社(http://www.itohseiho.co.jp/

BtoC向けの製品に良くあるキャッチコピーはインパクトが強いものが多いですが、抽象的で課題解決と結びつかないことがあるため、BtoBでは避けたほうが良いでしょう。

3.解決できる課題を網羅的に掲載

キャッチコピーに課題を入れることは有効です。しかし、キャッチコピーでは短すぎるため、探索者ごとに抱えている様々な課題に対して訴求しきれません。そのため、キャッチコピーの次に自社の技術や製品を使って解決できる具体的な課題を掲載することをおすすめしています。

この項目で重要なのは、「探索者の抱えている具体的な課題」と「自社の技術で解決できる課題」を一致させることです。課題が一致すれば、探索者は「なぜ課題を解決できるのか?」と自社の具体的な技術に興味を持ってくれます。例えば、ロボットを使った自動搬送システムを提供している水野鉄工株式会社は探索者が興味を持つように、具体的な課題を多数掲載しています。

解決できる課題を掲載することで、探索者の様々な課題に対して自社の技術が有効であることをアピールしています。


引用元:水野鉄工株式会社(http://mizuno-tk.jp/weight

キャッチコピーのような抽象的な言葉でなく、具体的な課題を書くことが大切です。掲載する課題の数は、レイアウトにもよりますが3〜10個程度が良いでしょう。

4.技術や製品の特徴を紹介

次は技術や製品の特徴を紹介です。技術の詳細を説明する前に特徴や概要を説明することで、技術の全体像を伝えやすくなったり、心理的なハードルを下げたりすることができます。例えば、切削からプレス、溶接、組立までも社内で一貫して対応できる山陽株式会社は、個々の技術紹介の前に何ができるかをまとめた画像を掲載しています。


引用元:山陽株式会社(http://sany.co.jp/point/

また、株式会社サイトウ工機は、具体的な精度ではなく高精度な加工が得意であることを説明しています。

引用元:株式会社サイトウ工機(https://saitoukouki.com/specialty.html

はじめに技術の特徴を掲載することで、次に説明する技術の詳細情報が伝わりやすくなります。

また、新しい技術を伝える場合でも概要から説明することが大切です。同じ分野の既存技術は技術の詳細だけでもある程度理解できますが、同じ分野でも新しい技術の場合や分野が異なる場合は、探索者がその技術について知らない可能性があります。そのため技術を理解してもらうためには、それなりの前情報が必要です。この前情報がないと、探索者に技術を理解してもらえず、ページから離脱されてしまいます。

例えば、超音波はんだ装置を販売している株式会社リソー技研は、代用技術との比較(メリット・デメリット)を掲載しています。

引用元:株式会社リソー技研(http://www.velbond.com/difference.html

また、株式会社メルテックは加工技術の紹介をすることで、新技術に対する心理的なハードルを下げています。

引用元:株式会社メルテック(https://e-meltec.jp/photo

探索者に「その技術なら、抱えている課題を解決できそう」と思ってもらうことがこのページの目的ですので、わかりやすく伝える工夫をしてみてください。

5.技術や製品の詳細の説明

最後に、技術や製品について詳しく説明します。ここまで読んできた探索者は

  • なぜ課題が解決できるのか?
  • どのような技術が、どのように使えるのか?
  • なぜその技術を持っているのか?

といった疑問を持っています。ここでは、その疑問を解決するための技術的な回答を掲載します。技術情報については、掲載可能な範囲でできるだけ細かく書いてください。

例えば、株式会社パルメソは「MSE試験」という独自の試験方法を開発しました。これまで世の中に存在していなかった試験方法であるため、「柔らかい素材の表面強度を測定できます」と記載するだけでは探索者に信じてもらえません。そこで、図やイラストを使って技術の詳細を伝え、探索者に納得してもらえるよう工夫しています。

引用元:株式会社パルメソ(https://palmeso.co.jp/

6.SEO対策について

実は、これまでの流れで技術情報を掲載すれば最低限のSEO対策はできています。SEO対策は探索者の検索するキーワードを文章中に入れることで行います。

具体的には、<h1>見出しタイトル</h1>のような見出しタグの中にキーワードを入れる必要があるため、キャッチコピーや見出しタイトルがタグの中に入るような設定が必要です。

SEO対策についての詳細はこちら:https://marketing.techport.co.jp/seo/

入力するキーワードは探索レベルによって対策は異なります。例えば、課題が明確になっているが技術の詳細はわからないという探索者の場合、
「検索キーワード」=「探索者が抱えている課題」になり、

  • キャッチコピーに解決できる課題を入れる。
  • 解決できる課題を網羅的に入れる。

の項目がSEO対策になっています。

また、探索者が具体的な技術まで想定している場合、「検索キーワード」=「具体的な技術」になり、

  • 技術の概要説明
  • 技術の詳細説明

の項目がSEO対策になっています。

SEO対策は原則1ページ、1キーワードです。そのため、SEO対策をより意識する場合は、

  • 課題想起から技術概要の説明
  • 技術概要の説明から技術詳細の説明

とページを分けたほうが効果的です。もちろんこれだけでは十分でない場合もあります。実際の検索キーワードの調査や自社サイトの検索順位などをチェックしながら、長期的に対策を行う必要があります。

まとめ

このように技術・製品ページは探索者の解決したい課題から始まり、技術概要の紹介、技術の詳細説明と、探索者の顕在ニーズから説明していくと技術を理解してもらいやすくなります。ページのボリュームが多くなりすぎる場合は、画像やイラストを効果的に掲載したり、詳細ページへのリンクを設置するなど読みやすくなる工夫が必要です。

テクノポートでは技術や製品の情報を広く発信したいとお考えの企業のWebマーケティングを行っています。技術の伝え方についてお困りでしたら、ぜひ弊社にご相談ください。

自社技術を提案する際に気を付けたいこと

中小企業専門の弁理士の亀山です。お陰様で開業して6年目になります。開業して約300社の中小企業様・個人事業主様のご相談を受けてまいりました。今回は、自社の技術を提案する際、気を付けて欲しい点についてお話したいと思います。

自社の技術を提案する際のリスク

自社の技術を提案する際、どのようなリスクが考えられるでしょうか?それは、相手企業が自社技術を理解してしまうことです。

自社技術が部品の構造であれば、部品の構造を相手企業に見せてしまうと、相手企業はその構造に関わる技術を理解してしまいます。また、自社技術が製造技術であれば、製造現場や製造装置を相手企業に見せてしまうと、相手企業はその構造に関わる技術を理解してしまいます。そして、部品の構造や製造装置や製造現場を相手企業に見せてしまうと、理解を通して、相手企業も自社と同じような技術を、あるいはそれに近しい技術を持つこととなってしまいます。

その結果、相手がその技術を利用して、自社と同じような商品やサービスが再現できてしまうと、自社の技術的優位性がなくなってしまう場合も多いです。したがって、自社の技術を提案する際のリスクとして、「相手企業が、理解した技術を利用して、自社と同じ商品やサービスを模倣(再現)する」というリスクがあります。技術で収益を立てているモノづくり企業にとっては無視できないリスクですね。

模倣防止リスク対策は非常に悩ましい

「相手企業が再現できる程度に自社の技術を理解してしまうこと」を回避するためにはどうすればよいでしょうか?そのためには、自社の技術を見せないことです。簡単ですね?しかし、これも問題があります。「自社の技術に興味のある相手企業」に対して、自社の技術を全部見せないまでも、全く見せないままでは、商談が進みません。商談は進めたい。しかし、商談を進めるために、技術を開示すると、自社の技術を模倣リスクが生まれてしまう。

商談を優先したいが、模倣リスクは回避したい。どうすればよいでしょうか?「えーい!面倒くさいから、とりあえず、商談を進めて、模倣リスクが危なくなったら、対策を講る?」としましょうか?いえいえ。技術を理解してしまった相手企業に対し「あの技術のことは、忘れてください!」な~んて言えません。

自社技術の開示には、「技術を一度開示してしまうと、開示前(知らない状態)に戻すことができない」という悩ましさが、常に付きまといます。

リスク対策

技術の模倣リスクに関してよく知られている対策としては、2つがあります。

対策1

解決策の1つ目は、「相手企業に自社技術を開示する前に特許出願を済ます」です。これにより、特許権の取得の際には、特許発明の模倣を防止することができますし、出願を済ましておけば、権利化後に模倣行為を取り締まることができるため、相手企業側から見れば「後で取り締まりの対象になるかもしれない」と、一定の牽制効果(保護効果)を得ることができます。

対策2

解決策の2つ目は、「相手企業に自社技術を開示する前に秘密保持契約を締結する」です。これにより、秘密保持契約の締結によって、「秘密情報(自社の技術)の漏洩禁止」及び「秘密情報(自社の技術)の目的外使用禁止」を課すことができます。

2つの対策のメリットとデメリット

(1)特許出願

模倣防止のためには、特許権取得が前提になりますが、特許権取得のためには、少なくとも、①新規性、②進歩性の2つのハードルが課されます。また、特許権取得にかかる期間は、通常は4~5年、最短でも半年はかかります(参考記事)が、出願による牽制効果(保護効果)も得られます。特許出願までの費用は、30~40万円(目安)、特許権取得までのトータル費用は、約60~100万円程度で収まる場合が多いです。手続面でいえば、同じ技術内容であっても、相手が変わる都度、出願をせずに済みます。

保護の終了条件に関してですが、特許権は、特許料納付により特許権の延命が可能なものの、延命は特許権の存続期間出願日から20年が限度です。この延命については、相手の同意も不要です。また、出願後に、自ら、自社技術を公開しても、保護を受けることができます(ここは、とても重要です)。

(2)秘密保持契約(NDA)

模倣防止のためには、秘密情報である必要があります。つまり、①新規性が必要です。契約に要する時間は、契約書の提示から署名まで、通常1~2か月で済む場合が多いです。契約書作成の費用は、約3~5万円のところが多いですし、相手との交渉が含まれる場合には、トータルで約5~15万円となるケースが多いです。

手続面でいえば、相手が変わる都度、同じ技術内容であっても、相手が変わるたびに、契約をする必要があります。

また、保護の終了条件に関してですが、契約は、更新を続けることで延命が永続的に可能ですが、更新には相手の同意が必要です。しかし、秘密保持契約締結後であっても、自ら、自社技術を公開・販売してしまう場合や、第三者が同じ技術を公開してしまう場合は、秘密情報ではなくなるため、契約上の保護を受けることができません(ここは、とても重要です)。

保護を受けられる技術の条件 保護が開始するとき 費用 保護が終わるとき
特許出願 ①新規性

②進歩性

の2つが必要。

権利取得まで4~5年。最短でも半年。

※権利化前でも、出願後は、牽制効果あり

出願まで30~40万円

権利取得まで60~100万円

(目安)

出願から20年が限度。※相手の同意:不要

出願後に、自ら、自社技術を公開(販売)しても保護される。

第三者が、同様の技術を公開(販売)しても保護される。

秘密保持契約 ①新規性が必要。

※②進歩性は不要

契約書の署名まで。約1~2か月。 3~15万円

(目安)

契約の更新について相手の同意が得られれば永続的に可能。※相手の同意:必要

契約後に、自ら、自社技術を公開(販売)してしまうと、保護が終了する(契約上の秘密情報ではなくなるため)。

第三者が、同様の技術を公開(販売)した場合も保護が終了する(契約上の秘密情報ではなくなるため)。

2つの対策をどう使い分けたらいいの?

特許出願のメリットは、「①出願後、自ら自社技術を公開(販売)しても保護が継続される」点、「②出願後、第三者が同一の技術を公開(販売)しても保護が継続される」点にありますが、デメリットとして、開示技術には、進歩性が必要なこと、費用が掛かること等があります。

秘密保持契約のメリットは手続きが簡単なところにありますが、デメリットは、「①契約後、自ら自社技術を公開(販売)してしまうと保護が終わる点」、「②契約後、第三者が同一の技術を公開(販売)した場合に保護が終わる点」にあります。

つまり、特許出願は、保護を受けるための条件が難しいですが、保護の安定性が高いといえますし、秘密保持契約は、保護を受けるための条件が簡単ですが、保護の安定性が低いといえます。

特許出願と秘密保持契約。これら2つの対策をどう使い分けたらよいの?という点は、守りたい技術の内容や技術の使い方によっても変わってくるため、なかなか一言では言えない部分があります。実務上、不特定多数の公開・販売をしない間は秘密保持契約とし、不特定の公開・販売をせざるを得なくなる場合には、前もって特許出願とするケースが多いですし、「商談の序盤はで、秘密保持契約を結んで、特定企業のみに技術開示を行い、収益が見込めるようになった場合には、公開(販売)までに特許出願を行う」というハイブリットケースも多いです。

※特許の新規性と秘密保持契約の関係:「秘密保持契約を結ばない状態での情報開示」は新規性が否定されますが、「秘密保持契約下による情報開示」は新規性が確保されます。

まとめ

  1. 自社の技術を提案する際のリスクは、「自社技術の模倣リスク」である。
  2. 自社技術を一旦開示してしまうと、元に戻すことができない。
  3. 模倣リスクの回避策としては、特許出願、秘密保持契約の2つがある。
  4. 特許出願は「不特定の公開・販売をせいざる得なくなる場合」に行う場合が多い。
  5. 秘密保持契約は「不特定多数の公開・販売をしない場合」に行う場合が多い。

このように、自社技術を一度開示してしまったあとでは取り返しがつきません。自社技術を提案する際には、事前に、お近くの専門家にご相談ください。

開発設計者に興味をもってもらえるコンテンツの作り方

こんにちは、テクノポートの永井です。

技術を採用してもらう場合、「技術の提供側」が「技術を必要としている人」に自社の技術の良さを納得してもらわなければなりません。

多くの企業では新製品開発、製品の改善、不具合対応など、様々な技術的課題を抱えています。それを解決するために、新しい技術の導入を行うのは開発設計者の役目です。つまり、自社の技術を導入してもらいたい場合は、彼らの目に止まり、納得してもらう必要があります。今回はそんな開発設計者に興味をもってもらえるコンテンツの作り方について紹介します。

開発設計者は何を考えているのか

開発フェーズによって抱えている技術課題が異なる

開発設計者へ技術を伝えるためには、まずは開発設計者がどういう状況で、何を考えているのかを知る必要があります。製品の開発には様々なフェーズがあり、各フェーズで求められる技術が異なります。

例えば、新製品開発フェーズは開発期間が長く、開発設計者はまだ世の中で使われたことのないような新しい技術を入れてみるなど、様々なチャレンジが許されます。一方で、不具合対応では、今の課題をすぐに解決できる確実性の高い技術を求めています。

このように開発フェーズによって求められる技術レベルが異なるため、各フェーズにおける開発設計者の気持ちを理解し、情報の提供方法を工夫する必要があります。

開発フェーズと求められる技術のまとめ

開発フェーズ 開発期間 求められる技術レベル 技術者の気持ち
新製品開発 長期開発
(1年〜5年)
研究段階の新技術も歓迎 失敗してもOK
既存製品の改善 中期開発
(半年〜2年)
量産を前提とした技術 何回か失敗してもOK
不具合対応 短期対応
(数ヶ月)
実績もある確実な量産技術 失敗は許されない

新製品開発のときの開発設計者の置かれている状況

新製品の開発の場合、製品の構想が事前にあることもあれば、ものになるかわからない製品の開発など様々です。そのため、開発設計者はできる限りいろいろ試してみようという気持ちで開発を行っています。

新製品開発には魔の川、死の谷、ダーウィンの海と言われる大きな3つ壁があると言われ、その壁を乗り越えるために新しい技術を求めています。

魔の川は自社の技術を使えばどのような製品が実現かを試行錯誤している段階を指し、自社の技術と組み合わさることで真価を発揮してくれる技術を求めています。このときは製品化を具体的に考慮していないため、求める技術も研究段階のもので問題ありません。それよりも「製品を作ることができるかどうか」が重要になります。

死の谷は製品を量産化するための課題を解決する段階を指し、安全性、品質、コスト、量産性、製造方法、供給体制など、あるゆることを検討します。そのため、求める技術は量産が可能な製造技術がメインになってきます。このときは技術のみならず企業の品質管理体制など、技術とは別の部分の情報も求めています。

ダーウィンの海は競合製品に勝ち、シェアを奪うための期間で、技術者にとっては待ちの状態になるか、コストダウンや品質などの改善技術が求められます。

このときの技術者の気持ちはリチウムイオン電池を開発し、ノーベル賞を受賞した吉野氏の著書「科学と人間 電池が起こすエネルギー革命」に詳しく載っているので、ぜひ読んでみてください。

3つの壁についてのまとめ

  • 魔の川:研究→開発に移る際の壁。研究段階の技術が何の役に立つかを探索する段階
  • 死の谷:開発→製品化に移る際の壁。安全性、品質、生産体制など製品化に必要となる課題を解決する段階
  • ダーウィンの海:新製品がお客様に受け入れられるかどうかの判定期間

既存製品を改善するときの開発設計者の置かれている状況

既存製品を改善するときは、競合調査や自社技術の応用などで既存製品の「機能の向上」や「追加したい機能」など、ある程度開発の方向性は見えている状況です。自社に足りない技術についてもある程度明確になっているため、闇雲に技術を探すことはありませんが、基本的には「量産時にも採用できる技術」を探しています。

既存製品が量産体制に入ってる中で、あえて量産技術になっていない技術を取り入れるような冒険はしません。ただ、量産時にも採用できる見込があれば、量産の実績は問われないケースもあります。また、この段階では技術を試すために積極的に試作品の製作も行うため、技術の提供側としては絶好の機会になります。

不具合対応をするときの開発設計者の置かれている状況

不具合のレベルにもよりますが、短期で確実な対応が求められます。また、製品の変更が大きい場合は耐久試験など、検査項目が増えるため変更点はできるだけ少なくしたいというのが設計者の想いです。そのため、不具合対応をするときの開発設計者に求められる技術としては

  • 精度のバラツキをなくす加工技術
  • 表面の物性値を変える表面加工技術
  • 不具合品を流出させない品質検査技術

など、製造技術に近い技術を求めています。この段階は技術導入の決定が早く行われる場合が多いため、技術の提供側にとっては入り込みやすい状況です。

開発設計者に興味をもってもらえる技術コンテンツの作り方

各フェーズにおける開発設計者の置かれている状況を踏まえて、本題であるコンテンツの作り方を紹介します。

新製品開発をしている開発設計者にささるコンテンツの作り方

新製品開発のときには、開発設計者は新製品づくりの「きっかけとなる技術」を求めています。そのため、具体的な技術だけではなく、役に立ちそうな技術であれば、研究段階の技術にも興味を持ってもらえます。「技術の提供側」は自社の技術がどのように役に立つかどうかを相手に想像してもらうために、技術の説明だけではなく、具体的にどのようなことができるかも併せて書くことが大切です。

新製品開発をしている開発設計者にささるコンテンツの作り方

  1. 自社技術のコア部分の説明(何ができるようになったか)
  2. この技術を使えば、なにが → どうなる という事例をできる限り洗い出し、掲載。事例は仮説でも大丈夫です。ただし、イラスト、写真、動画など、用途がイメージできるように工夫してください。
  3. 共同開発体制や技術の提供方法について掲載

例えば、精度の高い画像処理技術を持っていた場合

  1. 自社技術のコア部分の説明
    独自理論により、数ミクロン単位の精度で測定が可能
  2. この技術を使えば、なにが → どうなるという事例
    ・高精度の非接触測定機への応用が可能
    ・ミクロン単位でのロボット制御が可能
    ・超小型製品の自動ピッキングへの応用が可能
    ・顔の識別精度の向上
    ・コピーブランドの識別が可能
  3. 共同開発体制や技術の提供方法について
    弊社の技術を貴社の製品に応用するための共同開発も行います。画像認識技術者の他に、ロボットや製造、流体力学など様々な専門知識をもった開発体制を整えています。

このように、「この技術があれば何かできそう!」と興味を持ってもらい、さらに「この会社だったなら一緒にやっていけそう!」と背中を押せるるようなコンテンツの作り方をすることが大切です。

既存製品の改善をしている開発設計者に刺さる技術コンテンツの作り方

既製品の改善(自動車でいうところのマイナーチェンジ)のときは、向上させたい機能のレベルや追加したい機能がある程度固まっているため、求められる技術の概要は決まっています。そのため、技術の提供側は既存の競合技術との違いがどれくらいあるのか、スペックや数値によって具体的に見せることが有効です。また、改善のときは下記のような製造項目の見直しも行われるため、それを実現する技術も求められます。

  • コストダウン
  • 軽量化
  • 小型化
  • 品質の改善(歩留まりの向上)

最後に、技術とは少し違いますが量産性もある程度考慮して探している場合が多いため、量産体制についても記載しておくほうが良いでしょう。

既存製品の改善をしている開発設計者に刺さる技術コンテンツの作り方

  1. 自社技術を生かした提案
  2. 既存技術や競合との比較をグラフや数値を使って明確に差別化
  3. 実績の掲載
  4. 量産体制について説明

例えば、樹脂成形が得意な場合

  1. 自社技術を生かした提案
    金属材料から樹脂に変換することで、コストダウンと軽量化を提案
  2. 既存技術や競合との差別化を、グラフや数値で明確に
    ・鉄からPPSに変更の場合、コスト30%、重量50%削減可能
    ・アルミからPPSに変更の場合、コスト20%、重量20%削減可能
  3. 実績の掲載
    ・水道の配管設備への実績あり(年間3万個)
    ・センサー・ハウジングへの応用実績あり(年間5万個)
  4. 量産体制について説明
    射出成形機を多数保有しているため、年間10万個以上の量産にも対応できます。

不具合対応をしている開発設計者に刺さる技術コンテンツの作り方

不具合対応のときは、なるべく早く解決できる具体的な技術を求めていますが、図面を大幅に変えるような大きな変更はしたくないとも思っています。技術の提供側としては「製品の故障」の原因と紐付けて技術を説明すると伝わりやすくなります。不具合の原因として下記のようなものが多くあります。

  • 焼付き
  • 錆び
  • 腐食
  • 摩耗
  • 熱ダレ
  • 加工精度のバラツキ
  • 光による劣化

また、量産を前提としているため、ワークサイズ、量産実績、品質管理など、製造するための具体的な情報も求めています。

不具合対応をしている開発設計者にささる技術コンテンツの作り方

  1. 自社の技術を使えば、どのような不具合の改善に役立つか説明
  2. 自社の技術の説明
    物性値の変化がわかるように説明
  3. 製造方法に関する情報を掲載
    対応可能ワークサイズや品質管理方法など
  4. 実績の掲載
  5. お客様の声の掲載(できれば)
    実際に自社の技術が使われてどうなったかというお客様の声が有効

例えば、摩擦係数を小さくできるめっき技術を持っていた場合

  1. 自社の技術を使えば、どのような不具合の改善に役立つか説明
    弊社のめっき技術により、油を使えない高回転領域による焼付きの改善と耐食性の両方を実現できます。
  2. 自社の技術の説明
    ○○めっきには○○が含まれているため、摩擦係数は従来の○○めっきと比較して10%程度低くなります。そのため、これまで難しいとされた高回転領域においても熱が発生しづらく、焼き付きを改善できます。また、耐食性も高いため特殊なオイルにも適用可能です。
  3. 製造方法に関する情報を掲載
    ○○○○×○○○○のめっき層を保有しているため、ワークサイズは最大○○○○×○○○○まで可能です。ただし、量産を考慮すると○○○×○○○でおよその○○○個/月の生産が可能になります。
    品質管理はISOの取得はもちろん、初品のめっき厚、硬度などの検査を行っています。
  4. 実績の紹介
    ・自動車の高回転領域のワッシャー
    ・自転車の軸受
    ・ロボットの可動部品
  5. お客様の声の掲載
    焼付きで困っているところにこのめっきについて知りました。従来のめっきでは最大10,000rpm以上にすると焼付きが発生したのですが、このめっきを使うことで最大15,000rpmまで性能を上げられるようになりました。

まとめ

開発設計者に興味をもってもらうためには、開発設計者の状況に合わせた情報を発信することが大切です。自社の技術の見せ方を一工夫するだけで、興味を持ってもらいやすくなります。

テクノポートでは技術系コンテンツマーケティングのライティングサービスもはじめましたので、技術系コンテンツの制作でお困りでしたらぜひご相談ください。

自社の技術を使った用途開発を見つける方法について

テクノポートの永井です。技術マーケティングでは「技術の用途開発」が大きなテーマとなります。既存技術の転用先や偶然できた新技術の利用先など「自社の技術がどの分野の何で活用されるのか?」について課題を抱えている企業は多いかと思います。このテーマについて過去に弊社の徳山が「自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する」という記事を書いています。

今回は自社の技術を別業界(分野)へ積極的に展開し、別の用途として使ってもらう「用途開発」の方法について具体的な進め方を紹介したいと思います。

そもそも技術はなぜ必要とされるのでしょうか?

用途開発の方法を紹介する前に、前提とされる「技術の必要性」について述べたいと思います。基本的に技術は「課題を解決するための手段」として使われ、それだけで価値を生むものではありません。製品やサービスと結合することで、初めて技術に価値が生まれるものが技術になります。その技術が必要とされる一般的なケースとして、製品を改良するときがあげられます。

既存の製品は

  • 機能が低い(掃除機で例えると、吸引力が低いなど)
  • 機能が足りない(スマホで例えると、電子マネー対応していない)
  • 寿命が短い(電球で例えると、切れやすい)
  • デザイン性が悪い

など様々な課題を抱えています。この課題を解決するときに「技術が必要」となります。例えば、新しい技術を加えることで

  • 機能の向上(掃除機で例えると、吸引力が高い)
  • 機能の追加(スマホで例えると、電子マネー対応)
  • 寿命が長い(電球で例えると、LED対応)
  • デザイン性が高い(羽根のない扇風機)

など、製品に新たな価値を付けることができます。このように製品を改良したい場合に技術は必要とされることから、用途開発を考える場合も「技術と製品」をつなげて考える必要があります。

まずは自社の技術の棚卸しを行う

技術の用途開発をする前に、自社が持つ技術を棚卸し、どの業界で使われているか、機能はどのようなものか、どのような技術課題を解決できるかといったことを洗い出します。

手順としては下記のように行うと見つけやすいと思います。

1、自社の技術もしくは類似技術が使われている製品を見つける

はじめに自社の技術や類似する技術が使われている製品を見つけましょう。今の技術が使われている製品は必ずあります。そこを手がかりとして「技術が使われている理由」を見つけていきます。使用先がわからない場合は、取引先に確認するのも一つの手です。また、同じ技術が使われていれば取引のない企業の製品でもかまいません。

2.その技術が製品に使われている理由を知る

次に技術がその製品に使われている理由を知りましょう。他の技術ではなく、その技術が必要とされる理由があるはずです。例えば、

  • 製品の軽量化が可能
  • 高回転にしてもぶれない
  • 反応が早くなる
  • 耐久性を向上させられる
  • 小型化できる
  • 安く製造できる

など、様々な理由があげられます。なかなか検討がつかない場合は、取引先に確認するとスムーズかもしれません。以上により、用途開発の方向性が見えてきます。

用途開発の方法について

それでは本題の用途開発の方法を紹介します。用途開発の方法は大きく「自分で見つける場合」と「他者に見つけてもらう場合」の2つがあります。自分で見つける場合は「技術を活かせる製品を見つけること」、他者に見つけてもらう場合は「自社の技術の詳細を紹介」することがポイントになります。

用途を自分で見つける場合

自ら用途開発を行う場合は「製品の課題を見つけて、製品をレベルアップできるような技術を提案する」ことが求められます。そのため、製品の課題を見つけることが最大の目標になります。

1.同じ課題をもった別の製品を調査する

自社の技術の理由が把握できたら、同じ課題を持った別の製品を探して見ましょう。これが用途開発のきっかけになります。自社の技術が今の製品の課題を解決しているのでれば、別の製品の同様の課題を解決できる可能性は非常に高くなります。

ただ、別の製品を見つけることは容易ではありません。製品の構造や機能を知っていなければならないため、普段から情報のアンテナを伸ばし、製品ついての知識を溜め込んでいかなければなりません。

2.自社の技術が新しい製品に転用可能か調査する

最後に自社の技術がその製品の課題を解決できるかを検討します。同じ課題を抱えていても、その製品の技術レベルのほうが高い可能性もあります。例えば、自動車業界の製品を作っていて、医療製品へ転用できそうだと思っても、医療製品のほうが精度などが高い可能性があります。これでは、製品の課題を解決できないので、別の製品を調査する必要があります。

上記の手順の簡単な例を紹介します。

  1. 現在、自動車のエンジンのピストンを作っている。
  2. 技術が使われている理由は真円度と円筒度の精度が高く、摩擦抵抗を小さくできるため。
  3. 真円度と円筒度の精度が必要となる別の製品として高速回転の軸がある。
  4. もしかしたらうちの技術は高速回転の軸に使えるかもしれないので、軸の現状について調査してみよう。
  5. 材質や精度について、ほぼ同程度の技術があれば自社の加工技術が高速回転の軸の製造にも応用できることがわかった。
  6. 提案資料などを作って、高速回転設備を作っている企業に自社技術の売り込みをする。

という風に、自社の技術が使われている製品からその理由を見つけることで、用途開発ができるようになります。

用途を他者に見つけてもらう場合

他者に用途開発を行ってもらう場合は「技術をオープンにして、相手に自社技術の利用価値を見出してもらう」ことが必要になります。技術をオープンにすると、不特定多数の技術者に自社の技術を知って貰えます。すると、相手が技術の使い道を想像し、利用価値を見出してくれます。

そのためには、多くの人に技術を知ってもらい、技術の使い方を想像してもらう工夫が必要になります。

1.自社の技術の説明資料を作る

まずは自社の技術を説明するための資料を作ります。技術がどのように呼ばれているか(業界によって違う場合があるので)、どのような機能を持ち、どのような技術課題を解決できるのかを分かりやすく、他の業界の人でもわかるようにイラスト、図、グラフ、画像、活用事例などを使って技術の見える化を行ってください。

大切なことは「この技術だったらうちの製品の改良に使えるかもしれない」と相手に想像してもらえるような資料を作ることです。

2.技術を公開する

資料ができたらそれを公開しましょう。これにより多くの人に技術を見てもらうことができます。例えば、

  • ホームページに公開
  • 展示会に参加
  • 学会で発表
  • オープンイノベーションなどのポータルサイトへ登録
  • 営業時に手渡し

など、あらゆる手段を使って技術の告知を行ってください。

3.データを分析し、探索者が求めている情報を追加していく

2まで行うとかなりの確率で新しい用途の問合せが増えます。その中で探索者がどのような課題を抱えていて、なぜ自社の技術で課題を解決できそうと思ったのかを情報として集めています。ホームページの場合はアクセスデータから探索者が求める情報を拾うことができたり、展示会であれば直接話を聞くことができます。

集めた情報をもとに発信する情報の更新を行うことで、探索者の想像力が更に高まり、新しい用途に関する問合せに繋がります。

用途開発事例

用途開発を積極的に行っている企業を紹介します。

自社で用途を見つけている由紀ホールディングス様の事例です。弊社のセミナーで講演していただいたときの懇親会で、大坪社長が取り組んでいる用途開発の方法についても教えていただきましたので、その時の内容をご紹介します。セミナーレポートはこちら

大坪社長は技術の用途を見つけるために、最新の情報を集められるだけ集めているそうです。論文の調査から学会への参加、研究者との交流、大学訪問などを行い、これからの時代に必要とされる製品に自社の技術が活用できる場面を探し続けています。その結果、ワイヤー技術からは超電導ワイヤーや宇宙用ハーネスなどへの応用、超精密加工から超小型スラスタや世界最速ピストンの開発など様々な用途を見つけ、新しい分野にチャレンジされています。

次に、他者に見つけてもらう場合としてNISSHA様の事例を紹介します。NISSHA様の用途開発専用ページは弊社で制作しました。サイトはこちら

NISSHA様はフィルムディバイスに関する様々な技術をお持ちですが、製品の応用力が高すぎて、ターゲットを絞れずにいました。そこで、持っている技術情報を公開し、お客様に用途を見つけてもらう専用のWebサイトを作成しました。

ターゲットを絞らず、技術の使い方について説明やこれまでの製品事例、グラフや画像を使って既存技術の違いの説明などを行うことで、新しい業界からの問合せが増え、これまで社内で想定すら難しかった用途の開発に成功した事例です。

まとめ

技術の用途開発をすることは簡単ではありません。しかし、自社の技術を知り、用途を想像したり、技術を公開することで新しい用途を見つけることができます。用途開発をする際は、自社で用途を見つける努力をしながらも、他の方に見つけて貰えるように技術を公開することが大切だと思います。

テクノポートでは技術の用途開発のサポートも行っていますので、お気軽にご相談ください。

技術マーケティングの手法まとめ

テクノポートの永井です。BtoCやWebサービス系のBtoBマーケティングについては書籍やセミナーなどで多く紹介されていますが、技術系のBtoBマーケティングについての情報ほとんどありません。弊社は「技術をマーケティングする」を理念に、数多くの企業の技術マーケティングの支援を行っています。その経験を基に技術系マーケティングに必要と思われる考え方や手法について紹介いたします。

  • 技術を持っているのに、伝え方がわからない。
  • 自社の技術を使ってくれる企業を探している。
  • 自社の技術を使って、新しい製品を生み出してほしい。

など、技術を売り込みたいと思った方は参考にしてください。

技術マーケティングとは

弊社が考える「技術マーケティング」の目的は、「保有技術を、既に使用されている領域ではなく、新しい領域へ用途展開することで、競合企業を出し抜き、技術探索者であるメーカーに技術を高く買ってもらうこと」だと考えています。

新しい技術を開発し続けることはもちろん大切ですが、コストがかかってしまいますし、主戦場としている市場自体が縮小している場合、新たな技術を開発しても投資効果が低くなってしまいます。それに対して、既存の技術を新たな分野へ売り込む手法であれば、分野によっては既存の市場とは比較にならないほどの単価で技術を買ってくれることもありますし、成長性の高い市場への参入機会にも繋がります。

技術マーケティングにおける用途開発の重要性

よって、弊社では技術の用途開発を行い、技術をこれまで以上に高い価格で買ってもらうことを目的とする「技術マーケティング」の推進を様々な技術系企業に挑戦していただきたいと考えています。

自社技術の用途開発を提案するために準備すること

自社がどのような技術を持っているのか整理する

まずは自社がどのような技術を持っているのかを把握する必要があります。自社の保有技術を網羅的に整理し、他者にも理解できる表現にすることで、自社の技術についての理解度が増します。

  • そもそも技術とは何か?
  • 網羅的に洗い出すにはどうすれば良いかのか?
  • 他者にもわかりやすく理解してもらう方法は?

などを把握することが必要となってきます。

技術をわかりやすく相手に伝える

自社の技術を知ったとしても、伝える努力をしなければ相手に理解してもらえません。「技術を伝える」ことは思っている以上に難しいものです。どれだけ自社の技術がすごいと言っても、別の業界の人には理解してもらえないケースがほとんどです。例えば、電子回路の設計者に機械加工の精度の話をしても伝わりづらいですし、機械加工の人に基盤設計の話をしても伝わりません。

だからこそ、技術者は他者にわかるように技術を伝える努力をしなければなりません。技術の伝え方には様々あります。

  • グラフ
  • 画像
  • 実際のもの

技術を分かりやすく伝える手法については、下記記事をご参照ください。

開発用途を想定する

技術の用途開発は想像以上に難しく、技術を提示して待っているだけではなかなか成果につながりません。もちろん技術を求めているメーカーが見つけてくれる場合もありますが、時間がかかってしまいます。有効な手段としては「こちらから技術の用途開発を想定して提案する」ことです。

例えば、「自社の技術を使えば、既存の製品はこれくらいコンパクトになる」という想定をします。たとえ、その想定が間違っていたとしても、先方の技術者と直接話せる機会を得ることができます。

技術の用途を想定するための手法については下記記事をご参照ください。

自社技術を伝えるためのWebマーケティングについて

技術をより多くの人に広めるコンテンツマーケティングの手法

自社の技術を知り、伝え方の準備し、開発用途の想定ができたら、次は技術を発信する必要があります。技術を知ってもらう場所としては、TVCM、雑誌広告、学会の発表、直接会っての打ち合わせなどの方法もありますが、今回はWebを使った方法について説明します。

Webを使っての効果的な方法として「コンテンツマーケティング」があります。コンテンツマーケティングでは、技術をあらゆる角度から見直し、技術のスペックなどといった情報だけではなく、想定される利用用途や、技術が持つ機能的な情報などを多くWebコンテンツとして発信し、様々な分野の技術者に見てもらいましょうという考え方です。ただし、BotBの場合は一般的なアクセスを稼ぐだけのコンテンツマーケティングではなく、技術を知ってもらうための工夫が必要になります。

コンテンツマーケティングの手法に関しては下記記事に手法がまとまっていますので、ご参照ください。

技術者に興味を持ってもらうためのコンテンツ作成方法

メーカーの設計者は「すぐに使える技術」を求めています。そのために、研究レベルではなく、開発レベルの技術を事例など具体的な例を上げて伝える方法が効果的です。

事例といっても、具体的なものを見せるだけではなく、性能面の比較も必要になります。例えば、工業メッキを売り込みたい場合は、画像を見せてもあまり意味がなく、グラフや表を多用して「数値」で技術を見せる必要があります。

そして何よりターゲットとする技術者のレベルに応じた技術文書を書くスキルが必要不可欠です。技術者に対し、効果的な技術コンテンツを作成する「技術ライディング」の手法については、下記記事にまとめてありますので、ご参照ください。

技術者がマーケティングに参加することで、自社のレベルはぐんと上がる

技術をマーケティングするためには、技術者の協力は必須になる

一般的にマーケティングはマーケティング部門や営業部門の仕事だと思われていますが、BtoBのビジネスを行っている企業、特に技術系企業の場合は技術者もマーケティングに参加したほうが良いと考えています。

技術者は技術についての詳細を知っていますし、顧客が求めている情報に対して技術的な回答をすることができるからです。技術者がマーケティングに参加することで、技術マーケティングのレベルがぐんと上がり、開発用途などの発想も多岐にわたるようになります。ただ、技術者の場合、話が技術だけに進みがちになるので、顧客に近い立場にいる人(営業やマーケティング部門)の視点も加えることは大切です。

技術者をマーケティング活動に参画させるメリットに関してまとめた記事がございますので、こちらもご参照ください。

技術マーケティングの手法についてご理解いただけましたでしょうか?弊社では数多くの技術系企業の技術マーケティングを支援した実績がございます。技術マーケティングでお困りの方はお気軽にご相談ください。