製造業が自社のパンフレットに載せるべき項目とは?

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、すべての企業活動で必要となるパンフレット制作をテーマに取り上げます。そもそもパンフレットを作る目的にはどういうものがあり、どういう情報を掲載すべきなのか、掲載すべき内容やパンフレット制作のポイントについて解説していきます。

製造業におけるパンフレットの重要性と役割

製造業にとって、パンフレットは競争力を高める上で重要な役割を果たしています。本記事ではまず、パンフレットの重要性と役割についてお話します。

パンフレットの重要性

製造業にとって、パンフレットは企業のプレゼンスと信頼性を高める重要なツールです。ここでは、その重要性を5つの観点からご紹介します。

  • 直接的な情報伝達:パンフレットは、ビジネスや製品、サービスを直接伝えることができます。手に取ることで、製品の物理的存在感を感じられ、顧客への印象づけに役立ちます。
  • 強みや独自性のアピール:製品やサービスの強みや独自性、付加価値を打ち出すことができます。他社との差別化ポイントや特長を分かりやすく伝えることで、顧客の関心を引き付けられます。
  • ブランドメッセージの伝達:パンフレットは、企業のブランドメッセージを伝えるための有力な媒体です。ロゴやデザイン、文言の選び方などを通じて、企業の価値観や信念を伝えることができます。
  • ターゲットへの訴求:パンフレットは、特定の市場セグメントに訴求する手段としても有効です。顧客のニーズや関心に合わせてカスタマイズし、的確に訴求することで、効果的なマーケティングが可能となります。
  • 顧客獲得と生涯価値の向上:連絡先情報や問い合わせ先を明示することで、顧客の獲得と生涯価値の向上につなげられます。パンフレットを通じて顧客との接点を築き、関係を長期的に発展させることができます。

パンフレットの役割

製造業におけるパンフレットの役割は多岐にわたりますが、基本的な役割としては、以下の3つのポイントに集約されます。

  • 製品サービスの知名度向上:製品やサービスを広く知ってもらうための手段です。特長や利点を伝えることで、顧客の関心を引き付け、購買意欲を高めます。
  • 競争優位性の伝達:製造業の競争優位性を伝えるためのツールです。製品の品質や性能、価格競争力など、差別化ポイントを明確に伝えることで、顧客の選択を促します。
  • 信頼性と信用の確立:企業の信頼性と信用を確立するための重要な手段です。ブランドメッセージや実績を示すことで、顧客の信頼感を醸成し、長期的な関係の構築を支援します。

パンフレットの目的と掲載すべき項目

パンフレットは中小製造業において効果的な販促ツールですが、形式的に作るだけでは効果を最大化することはできません。パンフレットを作る目的を明確にし、適切な情報を掲載する必要があります。ここでは、パンフレットの目的と掲載すべき項目についてご紹介します。

パンフレットの目的

パンフレットは、主に以下の8つの目的でカテゴライズできます。

  • 会社案内:企業の特徴と強み、ビジョンを伝え、競争優位性をアピールします。顧客にとってなぜあなたの企業を選ぶべきかを明確に伝えることで、信頼と共感を得ることができます。
  • 製品/サービスの紹介:製品やサービスの特徴や利点、仕様などを説明し、顧客に価値を伝えます。顧客の購買意欲を高めるために、どのような問題を解決できるのかを重点的にアピールすると有効です。
  • ブランド認知:企業の理念や価値観を伝え、企業イメージを構築・浸透させることが重要です。顧客は企業ブランドに対する魅力や信頼度を高めるため、パンフレットを通じてブランドメッセージを伝えることが必要です。
  • 採用:求職者に対して会社情報や組織・仕事の魅力や内容を伝えます。求職者への興味喚起と応募意欲を促進するため、魅力的な企業文化やキャリアパスなどをパンフレットに掲載するとよいとされています。
  • 営業支援:製品やサービスの情報を提供し、営業活動をサポートします。営業担当者が説明したい流れや内容を考慮しながら、ページ構成や順序を検討すると効果的です。また、顧客からの問い合わせや購買意欲を促進するための情報を重点的に盛り込むとよいとされています。
  • イベント告知:イベントや展示会の告知を行います。掲載項目としては、顧客の興味を喚起し、参加を促すために、イベントの内容や出展製品に関する情報などがあります。
  • 販促支援:キャンペーンや特典情報など、企業の販促ツールとして活用します。顧客の購買意欲を刺激するような、魅力的な特典や限定オファーを案内すると効果的です。
  • 顧客サポート:製品の使い方や保守・メンテナンス情報を提供します。活用ガイドやQ&Aなどを通じて、顧客の満足度を向上させ、製品の生涯価値を高めることができます。

パンフレット制作の際には、これらの目的を念頭に置き、効果的な情報を盛り込むようにしましょう。中小製造業にとって、パンフレットは重要な販促ツールとなります。十分な計画と検討を行い、魅力的なパンフレットを作成しましょう。

パンフレットに掲載する項目

パンフレットには、目的に応じて適切な情報を掲載する必要があります。ここでは、一般的なパンフレットの掲載項目について説明します。情報を適切に絞り込み、目的に合わせた内容を掲載することが重要です。

  • 企業概要:企業の概要やビジョン、ミッションなどを掲載し、ブランドイメージを伝えます。
  • 業績:企業の沿革や売上実績、受賞歴などを示します。ただし、取引先実績については慎重に検討し、修正が困難な点に留意する必要があります。
  • 強み・独自性:企業の競争優位性や独自性を示しましょう。製品やサービスの強みだけでなく、企業としての競争力の源泉を明示すると効果的です。
  • 製品・サービスの特徴:製品やサービスの特徴、メリット、提供される価値を説明します。製品仕様や技術情報も掲載し、詳細な情報を提供しましょう。
  • 価格:製品やサービスの価格情報を掲載します。顧客企業全体のコスト削減につながる場合には、試算結果なども併せて記載しましょう。割引や特典情報も追加することで訴求力を高めます。
  • 事例:他の顧客の活用事例や顧客の声、満足度などを取り上げ、信頼性を向上させましょう。
  • 連絡先:顧客が問い合わせしたいときの連絡先情報を明示します。メール、電話、FAXなど複数の手段を記載すると便利です。また、Webサイトのリンクや問い合わせフォームへのQRコードを添付することも考慮しましょう。

パンフレットの項目は、目的やターゲットに合わせて適切に選択し、必要な情報を効果的に伝えるようにしましょう。顧客が必要な情報に簡単にアクセスできるように配慮し、読み手にとって使いやすいパンフレットを作成しましょう。

パンフレットの掲載例

ここまで、パンフレットの目的と掲載すべき項目について説明しましたが、具体例として「企業案内」および「製品・サービス紹介資料」の事例をご紹介します。これらは多くの企業で制作される一般的な事例です。

【企業案内の例】

  • 企業の概要やビジョン、ミッションの紹介
  • 主力製品やサービスの特徴と競合優位性
  • 企業の沿革や過去の実績

【製品・サービスの紹介資料の例】

  • 製品やサービスの詳細な説明
  • 特典やメリットの強調
  • オプションやカスタマイズの提案
  • 価格や条件の提示
  • 購入手続きや契約情報

これらの事例は一般的なパンフレット制作時に考慮される要素です。具体的な内容やデザインは企業の特性やターゲットによって異なる場合がありますが、目的に合わせた情報を簡潔かつ魅力的に伝えることが重要です。パンフレット制作の際には、これらの事例を参考にしながら、効果的なパンフレットを作成してください。

パンフレット制作のポイント

パンフレットを効果的に作成するには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは、パンフレット制作のポイントについてご紹介します。初心者でも分かりやすく、効果的なパンフレットを作成するために役立つ情報です。

ターゲット読者とニーズの理解

パンフレットを効果的に作成するためには、まずターゲット顧客の属性やニーズを明確に把握することが重要です。パンフレットの目的に合わせ、ターゲットが求める情報を提供しましょう。顧客の抱える課題や業界動向を分析し、自社の技術やサービスでどんな解決策が示せるかを検討しましょう。自社の独自性や強みとターゲットの課題解決手段を紐づけることが大切です。

ブランドメッセージ

パンフレットでは、ブランドのアイデンティティーを明確に伝えることが重要です。ミッションやバリューを明確化し、なぜこの事業を行っているのか、どのような価値を提供するのかを伝えましょう。ブランドの差別化や競合優位性を明示し、独自性をアピールしましょう。

また、ブランドのスタイルやトーンを反映したメッセージを使用しましょう。例えば、若々しいイメージを出したい場合、カラフルでアクティブなデザインや言葉を使うといった感じです。メッセージは簡潔で明確な言葉を使い、具体的な事例や数値データを活用して信憑性を高めましょう。読者の感情や興味を刺激する言葉を使い、専門用語や長文を避け、わかりやすい表現を心掛けるとよいでしょう。

コンテンツ作成

パンフレットのコンテンツは、シンプルで分かりやすいものが最も効果的です。情報を詰め込みすぎず、主要なポイントに絞りましょう。製品やサービスの特徴よりも、その特徴によって得られる具体的な利益や付加価値を伝えることが大切です。キャッチコピーは顧客の問題解決に焦点をあて、それを端的に表すようにしましょう。

表紙の部分は、見ただけで会社や製品の特徴が伝わるようなものを心掛けましょう。特に展示会などでは、多くのパンフレットが配布されるため、自社のパンフレットが埋もれないように注意しましょう。

デザインとレイアウト

パンフレットのデザインは、読みやすさと視覚的な魅力を兼ね備えるようにしましょう。適切なフォント、カラーパレット、画像を使用し、統一感のあるデザインを作成しましょう。

フォントはブランドのイメージやメッセージに合ったものを選びましょう。カラーパレットもブランドのカラースキームに沿ったものを選ぶとよいです。また、レイアウトでは情報の整理と視覚的なバランスを考慮する必要があります。情報が詰まりすぎないよう、読みやすい適度な余白を持つようにしましょう。

関連する情報をまとめてグループ化し、視覚的な整合性を出すことも大切です。目立つイメージを使うことで、自社のパンフレットが記憶に残りやすくなります。

信頼性の伝え方

パンフレットでは、顧客事例や成功事例を活用して製品やサービスの信頼性を訴求しましょう。実績や評価、満足度の高い顧客の声を引用すると効果的です。また、企業の歴史や資格・認証、専門知識なども信頼性を高める要素として活用しましょう。

パンフレット掲載・配布の方法

展示会やセミナー、ネットワーキングイベントなど、ターゲットが集まる場所でパンフレットを掲載しましょう。アナログな方法では、直接手渡しや郵送などがあります。イベントで収集したアンケートや問い合わせから確度の高い顧客に配布するのも効果的です。

デジタルの方法としては、パンフレットをPDF化してWebからダウンロードするやり方があります。リスティング広告やSEO対策などを活用して、ユーザーの流入を促進することも重要です。また、メールやSNSなどを活用して、ダウンロードを促す告知を行うことも有効です。ターゲットはさまざまな手段で情報を得るため、複数の施策を併用することがより効果的です。

以上が、パンフレット制作のポイントについてのお役立ち情報です。これらのポイントを押さえながら、効果的なパンフレットを作成し、中小製造業の販促活動にお役立てください。

まとめ

製造業にとって、パンフレットは競争力を高めるために重要な役割を果たしています。パンフレットは直接的な情報伝達や強みや独自性のアピール、ブランドメッセージの伝達、ターゲットへの訴求、顧客獲得と生涯価値の向上など、さまざまな重要な役割を担っています。

パンフレット制作の際には、目的を明確にし、適切な情報を掲載することが大切です。また、パンフレット制作にはターゲット読者のニーズを理解し、ブランドメッセージを明確に伝えることや、シンプルでわかりやすいコンテンツ作成が求められます。本記事では、魅力的に見せるデザインのやり方や、信頼性の示し方、掲載方法なども簡単に紹介していますので、制作する際に参考にしてください。

製造業の競争力強化には、効果的なパンフレットが不可欠です。テクノポートは効果的なパンフレット制作を支援するサービスもご用意しています。パンフレットの作成に関して、ご相談やお手伝いが必要な場合は、お気軽にご連絡ください。

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中小製造業にこそデータ活用を|よくある課題と対策、事例を紹介

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、中小製造業におけるデータ活用をテーマに取り上げます。そもそもなぜデータ活用が必要なのか、そして中小製造業におけるデータ活用の課題やその対策方法、成功している企業の事例などを解説していきます。

中小製造業のデータ活用はなぜ必要か

中小企業にとってデジタル化(DX)とデータ活用は不可分の関係です。デジタル化によって得られるデータを適切に活用することで、業務効率化と競争力の向上が可能となります。以下では、DXとデータ活用の重要性と具体的なメリットについて解説します。

中小製造業のデジタル化

一般的に、中小製造業はヒト・モノ・カネの観点でデジタル化が難しいというイメージがあります。しかし、実際はそんなことはありません。むしろ、だからこそデジタル化が有効といえます。

中小製造業には予算やリソースに制約がありますが、デジタル化による効率化や他社との差別化は有効です。中小製造業の組織は複雑ではなく、意思決定が迅速に行えるため、むしろ大企業よりもデジタル化の導入や変更がスムーズに進められます。デジタル化によって業務効率化や自動化が実現し、時間とコストの削減が可能となります。さらに、地理的制約から解放されることで、オンライン販売などを通じてグローバルな顧客層にリーチできます。政府も中小企業のデジタル化を支援するための施策を進めており、その波に乗ることでさらなる成長が期待できます。

DXとデータ活用

こうしたデジタル化を進める上で欠かせないのが、データ活用です。デジタルツールやセンサーによって収集されるデータは、貴重な情報源となります。そのデータを適切に分析し、活用することで多くのメリットが得られます。

例えば、生産ラインの情報収集や異常検知により、ラインの稼働率や作業効率を向上させることができます。これにより、生産能力の最適化やコスト削減が実現します。また、製品の品質予測やトレーサビリティの向上により、不良品のリスクが軽減でき、信頼性の向上を図ることが可能になります。

さらに、顧客の購買行動データを活用することで、ニーズや嗜好の把握が可能となります。これにより、顧客に合わせた個別マーケティングや新たな付加価値サービスの提供ができるようになります。顧客満足度の向上や顧客ロイヤルティの獲得につながるでしょう。

デジタル化とデータ活用は、中小製造業にとって大きなチャンスです。データを活用することで、効率化や品質向上、顧客満足度の向上など多くのメリットを享受できます。中小企業だからこそ、積極的にデジタル化とデータ活用を推進し、成長につなげていきたいものです。

中小製造業のデータ活用の課題

コロナ禍を契機に中小企業のデジタル化・データ分析は進展したといえますが、一方でデータ活用の課題も浮き彫りになっています。ここでは、中小製造業が直面するデータ活用の課題を4点ほどあげて説明します。

ITリテラシーが低い

一般に、中小企業は大企業に比べてIT知識や人材が不足しています。情報システム部門などの専門部署もなく、他部門の人間が兼任することが多い傾向です。そのため、担当者は本業務に手いっぱいであり、情報収集が後回しになることがあります。また、大企業と比べてベンダーとのつながりが薄く、最新情報を入手する機会が少ないことも課題です。

リソース/予算が足りない

多くの中小企業はIT予算を十分に割けていません。さらに、社内にIT専門人材が不足しているか、まったくいない場合もあります。ITへのリソースや予算を割く必要性に対する認識が希薄な企業も多く、コロナ禍においてもその状況は改善されていません。

セキュリティ問題

中小企業ではネットやクラウド環境が脆弱な傾向があり、外部からの攻撃や情報漏洩のリスクが懸念されます。個人情報や企業間取引などの機密情報の適切な管理が難しい状況です。

心理的ハードル

デジタル化を考える際、大規模なIoTシステムの導入や紙データを完全に置き換えるといった、大掛かりな取り組みを想像してしまいがちな方もいます。また、お金をかけずにスモールスタートする方法に気づいていない担当者も少なくありません。さらに、「そもそも中小企業には関係のない話だ」と思い込んでしまう企業も存在します。

中小製造業がデータ活用を進めるためには、これらの課題に対処する必要があります。従業員教育、予算配分の見直し、セキュリティ対策の強化、そして心理的ハードルを乗り越えるための啓もう活動や成功事例の共有が必要です。

なお、データ活用のアプローチはひとつではなく、自身の課題やリソースに合わせていくつものやり方を検討できます。外部の専門知識や技術を活用することも有益です。

中小製造業ができるデータ活用の対策

中小製造業がデータ活用に取り組むための対策として、次のようなものがあげられます。

政府や自治体の支援制度を活用する

中小企業向けの助成金や技術支援サービスなどを提供している政府や自治体の支援制度を利用しましょう。例えば、中小企業庁の「ミラサポ」や「中小企業向けAI導入ガイドブック」などの情報を活用できます。

外部企業との連携をはかる

ITベンダーや他の企業が提供しているデータ活用の事例やサービス情報を積極的に収集しましょう。関東経済産業局のサイトなどでベンダーの製品やサービスを検索できます。

社内担当者ができる対策を行う

以下のステップを検討することで、社内の担当者自身がデータ活用に取り組めます。

  • データソースや項目の定義を行い、利用可能なデータ源と必要なデータ項目の把握
  • 定義したデータを定期的に収集する方法の検討、並びに自動化
  • 収集したデータを整理・加工し、可視化や分析
  • 分析結果に基づく改善策や新たなサービスの提案の検討

例えば、分析結果に基づく改善策としては、工程別の歩留まりの分解や装置のメンテナンス状態との相関関係の分析などが考えられます。

データ活用に使えるツール

無料で使えるデータ活用ツールも存在します。例えば、Googleの「スプレッドシート」はExcelと同等の機能を持ち、Web上でデータ管理ができます。Microsoftの「Power BI」はデータ分析や可視化が可能なツールです。また、ZapierMatrixFlowなども異なるアプリケーションやサービスを組み合わせてデータの転送やタスクの自動化ができるツールです。無料版や機能制限付きのプランも提供されています。

これらの対策を講じることで、中小製造業でも手軽にデータ活用に取り組めます。データの力を最大限に活かし、効率化や競争力の強化につなげましょう。

中小製造業のデータ活用事例

ここでは、中小製造業のデータ活用事例を紹介します。

事例1)株式会社今野製作所

今野製作所は油圧機器や板金加工を手掛ける製造業です。同社は、ベテランの熟練技能者の技能をどう継承するかの問題を抱えていました。そこでIoTを活用し、Tig溶接熟練技能をデジタル化する溶接技能訓練支援システムを導入しました。熟練者の模範データを生産現場で活用することで、作業者の技能レベルの客観的な評価が可能となっています。その結果、時間の短縮と作業者間の技量のバラツキの減少が実現しました。

事例2)株式会社山口製作所

山口製作所は金属プレス加工を手掛ける企業です。同社が抱えていた課題は、加工作業のコスト削減や顧客への製品トレーサビリティ、多様な提案への対応をどうするかといったものでした。その対策として、株式会社KMCが提供するIoTツール「Σ軍師」を導入し、生産設備の稼働状況に関するデータを取得しました。これにより、過去の受注情報や製造にかかる情報を探す手間が削減され、工作機械の稼動状況を顧客に開示できるようになり、製品製造のトレーサビリティの観点で他社との差別化が図られました。なお同社では、「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」を活用しています。

事例3)株式会社ヤマナカゴーキン

ヤマナカゴーキンは鍛造金型の製造業で、「冷間鍛造」という技術を持っています。同社の主要顧客は自動車メーカーで、電気自動車(EV)化による業務縮小リスクがありました。そこで、冷間鍛造の用途拡大と付加価値製品の販売を目指し、IoT製品の新規事業立ち上げを検討しました。具体的には、海外ベンチャー企業であるコンセンシス社と提携し、ボルトに接続したケーブルからPC上にデータを蓄積する仕組みを構築しました。これにより、新規事業として新しいIoT製品「ピエゾボルト」を製造・販売することができました。

また、同社では、製品化したピエゾボルトからの測定データを自社金型の製造にも活用しています。将来的には、設備の異常検知や保全などの新しいサービス提供も視野に入れるとのことです。

これらの事例は、中小製造業がデータ活用を通じて課題解決や業績向上に取り組んだ成功例です。データの収集・分析・活用によって、生産性向上や品質管理の向上、新たなビジネスモデルの創出など、さまざまなメリットが得られることがわかります。これらの事例を参考にしながら、自社の課題に合ったデータ活用の取り組みを進めることが重要です。

まとめ

今回は中小製造業とデータ活用をテーマにとりあげました。中小製造業にとってデジタル化とデータ活用は重要です。デジタル化によって業務効率化や競争力の向上が可能となり、データ活用によって生産能力の最適化や顧客ニーズに対応できます。

一方、中小製造業がデータ活用に取り組むにはいくつかの課題を解決する必要があります。本記事では、代表的な4つの課題(ITリテラシーの低さ、リソース・予算、セキュリティ、心理的ハードル)をあげました。これらの課題に対処するためには、政府や外部企業の支援を活用し、従業員教育やセキュリティ対策の強化が求められます。

今は、政府や自治体の支援制度も充実してきているので、最大限に活用して取り組むとよいでしょう。無料で使えるデータ活用ツールも存在するため、まずはスモールスタートで着手してみてはいかがでしょうか?中小企業のデータ活用事例もネット上にたくさん公開されています。本記事でもいくつか紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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中小製造業が知っておきたい!ChatGPTの使い方と業務活用方法

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、中小製造業におけるChatGPTの活用方法をテーマに取り上げます。注目度の高いChatGPTですが、具体的にどんなことができるのか、企業においてどんな使い方があるのかを、具体例も交えてお話しします。

ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発した人工知能(AI)チャットボットで、人との自然な対話が可能です。OpenAIはAI開発研究所で、2015年にサム・アルトマンとTeslaのCEOであるイーロン・マスクが共同設立しました。

ChatGPTは、Transformerと呼ばれる学習モデルを使用した深層強化学習型のAIで、生成系AIとも呼ばれます。人間がAIの回答を評価し、それを元にAIが強化学習を行います。囲碁で人間に勝ったAlphaGoも深層強化学習で有名です。

ChatGPTは、発表されてからわずか40日で1,000万人以上の使用者を獲得し、公開からわずか2か月(2023年2月2日)で月間活動ユーザー数(MAU)1億人を突破しました。これは、インターネットが登場して以来、最も急速に成長したMAUの増加率です。

ChatGPTでできること・できないこと

ChatGPTは、自然言語処理を行うAIで、多言語の文章生成や翻訳などさまざまなことができます。ただし、ChatGPTには得意な分野と苦手な分野があります。ここでは、ChatGPTでできることとできないことを整理しておきます。

できること

以下は、ChatGPTが得意とする分野です。

  • 文章生成と翻訳:ChatGPTは、多言語で文章を生成できます。また、機械翻訳のレベルではありますが、自然な表現で翻訳可能です。
  • 質問応答:ChatGPTは、ユーザーのフリーな質問に対して、対話形式で回答できます。自然言語処理により、より自然な質疑応答が可能です。
  • 文章要約:ChatGPTは、長い文章を要約できます。また、文法的な誤りを修正することや、表現を言い換えることもできます。
  • 校正:ChatGPTは、文章の文法的な誤りを修正できます。
  • 表現の言い換え:ChatGPTは、対象にあわせた言い換えを提供できます。例えば、小学生にもわかる言葉などに言い換えることができます。
  • テキスト分類:ChatGPTは、文章をカテゴリやトピックに分類できます。大量のテキストデータを扱う場合に役立ちます。
  • プログラミング:ChatGPTは、プログラムに関する質問に答えることができます。コードのアイデアや、デバッグのヒントを出すことが可能です。
  • アプリケーションとの統合:ChatGPTはAPIとして利用可能で、他のアプリケーションと組み合わせて使うことができます。 

できないこと

以下は、ChatGPTが苦手な分野です。

  • 経験や感情の理解:ChatGPTは表層的な情報しか処理できないため、人間の感情や経験に対する適切な返答を提供できません。
  • 専門知識:ChatGPTは汎用的な自然言語処理モデルであり、特定分野の高度な専門知識を持ちません。
  • 画像/音声処理:ChatGPTはテキストベースの自然言語処理モデルであり、画像や音声などの非テキストデータを処理することはできません。
  • クリエイティブ性:ChatGPTは自然言語生成を行うAIですが、創造性や感性的な判断は持ちません。
  • 正確性:ChatGPTは訓練データに基づく自然言語処理モデルであるため、回答を誤ることがあります。特にあまり有名でない事実に関しては、誤った情報が提供される可能性があります。
  • 完璧な翻訳:ChatGPTは多言語の文章生成や翻訳ができますが、完全に正確な翻訳を保証することはできません。

ChatGPTの使い方とコツ

ここでは、製造業の現場で担当者が使えるChatGPTの使い方をご紹介します。

製品開発

ChatGPTは製品のアイデア出しや整理を行う際、補助ツールとして活用できます。製品の設計や素材選定にも応用可能です。例えば、ChatGPTに製品の特徴や性能、使用目的を教えることで、より効率的な設計や素材選定を行えます。

マーケティング

ChatGPTは、自社の製品やサービスの広告宣伝活動にも役立ちます。例えば商品サービスの宣伝をしたい場合、宣伝の目的やゴールを伝えることで、宣伝方法や媒体に関するヒントを教えてくれます。

また、ブログ記事やSNSの投稿文、営業資料を生成可能です。SEO対策やアンケートの分析にも活用できます。

カスタマーサポート

自社製品やサービスに関するカスタマーサポートへの応用展開も可能です。チャットボットなどの自動応答で、お客様からの質問に対して回答できます。お客様向けのFAQのネタ出しにも使えます。

ChatGPTは定性データの整理・分類も得意なので、お客様の声の分析にも活用可能です。

生産管理/品質管理

ChatGPTは工場の生産データの解析にも使えます。製品の欠陥率や不良品の原因などをデータ分析し、生産プロセスの改善に役立てられます。生産データの解析にあたっては、センサーで得られた温度や振動データなど、工場内の情報をChatGPT側にインプットする必要があります。データ収集を効率化するために、収集データを自動取得するマクロを組むこともできます。なお、有償版のChatGPTであれば画像データも扱えます。

ChatGPTは文章の自動生成が可能なので、各種マニュアルや手順書などを作る際にも役立ちます。

使い方のコツ

このように、ChatGPTは製造業の各種業務をサポートする便利な機能が揃っていますが、使い方によってはあまり多くの示唆を得られないこともあり、うまく使いこなすにはコツが必要です。

具体的には、質問の仕方を工夫する必要があります。ChatGPTでは、抽象度の高い質問をした場合、回答も一般的なものしか得られません。より具体的な答えを引き出すには、質問の目的や対象、コンセプトなど、前提条件を詳しくインプットする必要があります。

また、ChatGPTから出てきた答えを受け、さらに質問を重ねることで期待する答えに近づけることが可能です。

なお、ChatGPTの回答は間違っていることもあるため、回答をそのまま使うことはおすすめできません。ユーザー自身が回答の正誤を判断できる知識が必要になります。

ChatGPTの活用例

ここでは、業務に応用できるChatGPT活用例を紹介します。実際に質問した内容の回答とChatGPTの回答をスクリーンショットで画像化していますので、ChatGPTを活用する際の参考にしていただければと思います。

【製品開発の活用例】製品開発の素材ネタ出し

製品開発の素材選定を行うにあたり、ChatGPTでそのアイデア出しを行うことができます。そこで、人気商品の開発事例として公開されていた「コクのあるマヨネーズ開発(*1)」のお題にもあった、調味料の素材について、ChatGPTに答えを求めたらどうなるかを試してみました。

*1:https://j-net21.smrj.go.jp/special/popularfoods/2014032601.html

実際の開発現場にどの程度役に立つかは判断が難しいですが、アイデアが浮かばなくて困っている場合の壁打ちとしては使えるのではないでしょうか。

【マーケティング活用例】SEO対策記事

これは、本記事の企画の参考として試しにChatGPTに質問してみたもので、「製造業をターゲットにしたChatGPTの記事のテーマと記事タイトルを書いてもらう」というものです。

ChatGPTに複数候補を挙げてもらい、そこから最適なものをChatGPTに選んでもらうという使い方をしています。また、なぜそれを選んだかの理由もChatGPTに回答してもらいました。

【カスタマーサポートの活用例】不具合対応のFAQネタ出し

不具合対応の想定問答として、マウスを例にChatGPTにネタ出ししてもらったものです。今回の例は簡易的な質問を投げているだけなので、実際にはもう少し情報をインプットして行う必要があります。

逆に、このレベルの質問だと、この程度しか答えが得られないことがわかるので、そのあたりも参考にしてください。

まとめ

今回は中小製造業においてChatGPTを活用する方法について、どのような使い方ができそうか、ChatGPTでできることをご紹介しました。製品の開発からマーケティング、品質管理に至るまで、応用範囲は広いようです。

ただし、具体的な示唆を得るためには、質問の仕方を工夫する必要があります。業務にChatGPTを活用する場合、目的や答えを引き出すために必要な事前情報を整理することが求められます。また、正しい答えが得られるとは限らないため、利用者は正誤を判断できる知識も必要です。

活用の仕方によっては、複数の質問を繰り返し、答えをブラッシュアップさせる必要がある場合もあります。また、内容によっては人間が行う方が効率的な部分もあるため、どの部分にChatGPTを活用し、どこに人間の手を加えるかを探っておくことをおすすめします。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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【目的別】企業のLinkedIn活用事例5選

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は企業のLinkedIn活用をテーマにお話しします。

LinkedInとは

LinkedInは、2003年5月に開始された、世界最大級のビジネス向けSNSです。全世界で9.2億人程度のユーザーがおり(*1)、18歳以上の全ユーザーの16.0%が利用しています。最も多いユーザーは北米で2億人以上。ビジネス層の使用率が高く、自身のキャリアを登録するためのツールとして活用されています。

一方、日本では利用者数が約300万人程度とまだまだ普及していませんが、マネージャーやエンジニアなどハイクラス人材が多く登録しています。LinkedInはビジネスに特化したSNSで、自己紹介や経歴をアピールできるのが特徴です。

また、LinkedInは実名・顔出しであり、自身の仕事に影響するため、他SNSに比べアカウントや発信情報の正確性が高いです。グローバルに活用するユーザーが多く、日本人でも英語で発信しているコンテンツが多いのも特徴の一つです。

*1:https://datareportal.com/essential-linkedin-stats?rq=Linkedin

企業がLinkedInを使う目的

LinkedInはビジネス用途のSNSですが、企業はどういう目的で使うのでしょうか。今回は、主な目的4つについて解説します。

採用

LinkedInはもともと採用のためのプラットフォームとしてスタートしましたが、現在でもこの使い方が非常に多いです。Linkedinユーザーの8割が34歳以下の若年層であり、就職活動やインターンシップ目的の利用が多くなっています。

Linkedinのプロフィールは履歴書や職務経歴書としても活用でき、人材採用を検討している企業側もプロフィールを見てスカウトすることが可能です。LinkedInに登録しているユーザーにスカウトメールを送る機能があり、本人に直接コンタクトをとることができます。

特に海外での人材採用には、LinkedInが非常に有利です。コストをかけずにダイレクトにリクルーティングを実施でき、個人のつながりや、自社フォロワーなどから簡単に候補者を探すことができます。プロフィールだけでなく、 履歴も見ることができるので、エンゲージメントの高い候補者を探索可能です。

ブランディング・製品販促

近年、LinkedInで採用ブランディングを行う企業が増えており、自社を魅力的に見せるための取り組みを積極的に行っています。このような企業は、自社のLinkedInアカウント上で、企業への共感を誘う投稿を積極的に行ったり、動画コンテンツを提供したりしています。この内容には、自社の強みや特徴だけでなく、サステナブルな活動や従業員の様子など、求職者の共感を誘うものが多く含まれています。

LinkedInは意思決定者に対する販促や認知喚起にも有効なツールです。LinkedInによると、ユーザーの5人中4人は社内で何らかの意思決定権があるとされており(*2)、パーソナライズした情報を提示することで、効率的にアプローチすることができます。

日本では主に採用ブランディングに活用されていますが、海外では製品やサービスの販促にも用いられることが多く、BtoBだけでなくBtoCにも活用されています。

*2:https://business.linkedin.com/marketing-solutions

取引先開拓

LinkedInは、ビジネスネットワークの構築を通じて取引先開拓にも役立てることができます。例えば、業界や地域、職業などに基づいて、自社に興味を持ってくれそうな顧客やパートナーを探し、接触することが可能です。また、LinkedInグループを使うことで、同じ業界の人たちと交流して、知識を共有したり、つながりを広げたりすることもできます。

そして、LinkedInの投稿を通じて、製品やサービスに興味を持ってくれそうな人々に直接アプローチすることも可能です。さらに、業界リーダーや競合他社情報を収集することで、自社の戦略を改善して、取引先開拓に役立てることもできます。

業者選定

LinkedInは業者選定にも役立つプラットフォームです。業界や地域などの条件で検索することができ、業者のプロフィールを確認して、スキルや専門知識、ビジネスネットワークなどを評価できます。

また、LinkedInでは、他のビジネスプロフェッショナルからの推薦を受ける機能があります。業者が他の顧客やパートナーからどのように評価されているかを知ることができるので、より正確な業者選定が可能です。

LinkedIn活用事例5選

ここでは、企業のLinkedIn活用事例をご紹介します。

ブランディング

日本電気株式会社
https://www.linkedin.com/company/nec/

日本電気株式会社はコンピュータ、通信機器、ITサービスを幅広く提供する大手総合電機メーカーです。通信網の構築サービスでは国内トップクラスで、生体認証技術にも強みをもっています。

同社はLinkedInを海外市場でのブランド強化・ニーズ把握・潜在顧客の発掘目的で活用しています。2017年に取り組んだ事例では、BtoBで精度の高いターゲティングを行い、効果的なコンテンツを配信し5万3,000を超える登録者を獲得しました。有望な見込み客へのブランド認知と潜在顧客発掘の道筋を作れたとしています。

採用

シミックホールディングス株式会社(シミック)
https://www.linkedin.com/company/cmic-group/

シミックは医薬品の開発受託を行う企業です。がん治療薬を中心に、幅広い治療分野で開発支援を行っており、製造工程や品質管理などの技術支援や医薬品販売のためのマーケティング支援なども提供しています。

近年では、個人の生涯に渡り医療・健康に寄り添うヘルスケアプラットフォーム「電子お薬手帳harmo」を構築しました。

同社がLikedInを活用した目的は、新規事業のためのエンジニアの早期採用です。ダイレクトリクルーティングが実施でき、エンジニア登録数が多いことからLinkedInを導入しています。転職顕在層だけでなく潜在層に直接アプローチできることにメリットを感じたとのことです。

同社はLinkedInアカウント上で、事業への想いや可能性について動画で伝え、事業への共感を促しています。活動成果として、異業種からのエンジニア数名の採用に成功しています。

株式会社DeepX
https://www.linkedin.com/company/deepxinc/

DeepXは2016年創業の人工知能(AI)技術開発企業です。画像認識や音声認識、自然言語処理などの分野において、高度なAI技術を提供しています。「あらゆる機械を自動化し、世界の生産現場を確信する。」をミッションに掲げ、製造業や医療、農業などの産業用途で、AI技術を活用した自動化や効率化、生産性向上を図っています。同社は、LinkedInによるトップスタートアップに選出されている企業です。

同社がLinkedInを活用したのは、高いスキルをもつ即戦力エンジニアの採用を求めていたためです。顕在層では応募者が集まらず、潜在層にアプローチすることで対象を拡大しました。

LinkedIn上で、ユーザーの経験やスキルを見て候補者をターゲティング。ミッションへの共感度を重視してスカウトし、Zoomでのカジュアル面談につなげています。その結果、海外からの人材応募や求人からの応募拡大に成功しています。

認知獲得

LINE株式会社
https://www.linkedin.com/company/linecorp/

日本のコミュニケーションアプリ「LINE」を運営するLINEのミッションは「CLOSING THE DISTANCE」。世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることを目指しています。

同社はLINEを基軸としたモバイル特化サービスの開発・運営、広告事業を手掛けており、「LINE Pay」などのFintech事業、AI、ゲーム事業などを展開しています。

同社が求めていたものは、高いスキルをもつ即戦力エンジニアの採用ですが、同時に海外での「LINE」の認知度向上の必要性も感じていました。そのため、ブランディング強化と     採用を併行して行う施策をとっています。

具体的には、LinkedInで発掘した候補者に対して個別訴求を行い、エンゲージメントを強化しました。同社のLinkedInのアカウントでは、事業に対する考え方、時間や場所に縛られず柔軟に働ける環境づくりなど、業務、開発チームの紹介を積極的にアピールしています。

候補者へのアプローチは、ターゲットの範囲を絞るためタレントインサイトを活用しました。その結果、企業理念とプロダクトの両方に共感した人の採用に成功しています。

また、企業としての「LINE」のファン(フォロワー)を増やすことができたとのことです。

社員教育

日本ビジネスシステムズ株式会社
https://www.linkedin.com/company/japan-business-systems-inc/

日本ビジネスシステムズはITソリューションを提供する企業です。コンピュータシステムの開発・販売・保守、コンサルティング、システムインテグレーション等を展開しています。

主力製品は、ビジネスプロセスを統合管理するERPパッケージ「B-EN-G」や、各種業務システム開発に必要なノウハウやツールを提供する「ビジネスプラットフォーム」。なお、同社はマイクロソフトのパートナー企業です。

同社は、リモート勤務の従業員が多く、対面トレーニングに課題を抱えていました。一方、トレーニング環境はそれに対応したものではなく、自社コンテンツや社内講師に依存した状況となっていました。LinkedInを導入したのは、個人のペースに応じた学習機会をリーズナブルな価格で提供できることが魅力だったからとのことです。

導入後、従業員からは「多様なコース/講師が選択できる」や「仕事上必要な最新技術の学習ができる」などのポジティブな評価を得ています。

まとめ

今回は企業のLinkedIn活用手法について事例を中心にご紹介しました。海外に比べると日本国内ではまだ普及途上にあるLinkedInですが、採用プラットフォームとして積極的に活用する企業は増えているようです。世界に散らばる優秀な人材に対し、ダイレクトにリクルーティングを行えることはグローバルで展開する企業にとって魅力度が高く、特にエンジニアを探す企業にとって効果的だと考えられます。

日本では、採用以外の目的でLinkedInを活用する企業はまだまだ少ないですが、優秀な人材獲得のためには、認知度向上やブランド価値の底上げはセットで必要になります。実際、採用ブランディングという目的を兼ねてはいるものの、グローバルでの認知拡大のため、情報発信を行っている企業は目立ち始めています。

マーケティングがプロダクト起点から顧客起点に変化しつつあり、複数の企業で共創して製品サービスを作り上げていく時代になっています。LinkedInのようなSNSをうまく活用し、従来の枠を超えたつながりを実現し、新たなビジネス機会を広げることは今後ますます必要になるでしょう。

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【事例10選】ブログを活用し効率的に集客を行う中小製造業を紹介!

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は中小製造業のブログ活用をテーマにお話しします。

中小製造業のWEBサイトにおけるブログ活用

企業の購買担当や技術者がネットで一次選定を行っていると言われるようになってから、既に10年近く経過しました。コロナ禍の後、その動きはさらに加速しています。

ブログやオウンドメディアによる情報発信は、そうしたオンライン施策強化のひとつです。

以前は大手企業が中心でしたが、最近では、中小についてもこの取り組みを検討する企業が一段と増えています。

WEBマーケティングのノウハウがなく、資金/人材不足に悩む中小企業にとって、ブログ活用はハードルが高いものです。ブログは、商品ページのように、自社製品の特長や強みを一方的に紹介してあるだけでは効果がありません。また、サイトにコンテンツを掲載したからといって、即商談につながるわけでもないのです。どうしたものかと悩んでいる方も少なくないでしょう。

そんなときに欲しくなるのが、他社の参考事例です。ただし、BtoCや大手の事例はよく見かけますが、ニッチ分野を手掛ける中小企業の例はなかなかとりあげられていないかもしれません。そこで、BtoB製造業の中小企業の事例をご紹介します。

中小製造業のブログ事例

今回は、工業系の受託製造などを手掛けるBtoB中小企業の事例をまとめて10例ピックアップしました。どのような製品サービスを手掛ける企業が、どのようなコンテンツを作られているのかをご紹介します。

株式会社メルテック

出典:株式会社メルテック

メルテックは、フォトエッチングなど高精度の加工を行う会社です。電鋳加工やプレス・溶接など様々な加工に対応でき、表面処理、成型までの工程を手掛けています。海外ネットワークを持ち、現地調達をサポートしています。

メルテックでは、自社のホームページに加工に関する技術コラムを掲載しています。

ブログは、加工のメリットや、役割、プロセス、事例を紹介しており、製品の特性や方法別の比較表などの技術情報も掲載しています。

加工に関するコラムから詳細製品情報や問い合わせに誘導する構成です。

株式会社杉山チエン製作所 HKK Chain事業部

出典:株式会社杉山チエン製作所 HKK Chain事業部

杉山チエン製作所 HKK Chain事業部は、工業用チェーンやスプロケットを製造する会社です。特殊品も対応可能で、図面がなくても相談できると謳っています。

同社は自社ホームページにて、チェーンやスプロケットに関する技術コラムを掲載しています。主に加工方法やチェーンの切り方、寿命に関する情報です。工具の使用方法や取り付け方を図解でわかりやすく説明されています。写真や図が多めに入っているのでイメージしやすい構成です。

同社のホームページでは、サイト共通で問い合わせ、資料請求に誘導する設計になっています。

荒川技研 株式会社

出典:荒川技研 株式会社

荒川技研は、プラスチック試作品の切削加工を行う会社です。リクエストをもとに材料や加工方法の提案を行います。真空注型、光造形、簡易型成形などの試作もサポートしています。同社は多品種少量生産に対応しており、1個からの試作もリクエストできるとのことです。

同社は、「プラスチックの知識」として樹脂製品に関するお役立ちコンテンツを提供しています。同社WEBサイトのトップページから閲覧が可能です。「プラスチックの知識」では、材料の種類や特徴、要求される性能や加工工程、不具合の原因と対策などを解説しています。

記事最後で問い合わせに促す誘導を行っています。問い合わせフォームは、すべて同じ共通フォームとなっていますが、誘導ボタンのコピー文は、各記事の内容にあわせて最適な文言をつけるなど工夫しています。

株式会社サンヒル

出典:株式会社サンヒル

サンヒルはベアリングの開発・製造会社です。自動車や産業機器、建築などの工業用キャスター/ローラーなどの用途があり、自社ブランド品のほか、カスタム品の設計製造も手掛けています。米国/アジアに拠点をもち、海外現地調達・生産にも対応しています。

同社のブログ(コラム)では、ベアリングの基礎知識について、役割・構造・用途・製造方法などを解説しています。専門知識が浅くても読みやすい平易な内容となっていますが、一方で故障に関しては原因/対策が詳細に書かれており、ユーザーが知りたい内容とレベルに合わせ最適化されています。

さらに深い情報が知りたいユーザーに対しては、詳細情報「ベアリング取り扱いの基礎」や問い合わせに促す導線を用意しています。

株式会社アドレック

出典:株式会社アドレック

アドレックは、トルクレンチの製品開発・製造会社です。デジタル式のトルクレンチを扱っており、製造支援ソフトも販売しています。主に製造現場のコスト削減や効率化、品質向上を目的とする製品/サービスを提供しており、PLC連携といったプログラミング支援など     のサポートも実施しています。

同社は、自社ホームページ上で「トルクレンチの豆知識」という、製品の選び方や測定方法などのお役立ち情報を提供しています。トルクレンチの「意外な使い方」など興味を引く内容を織り込んでおり、問い合わせに促す導線設計となっています。

有限会社 岸本工業

出典:有限会社 岸本工業

岸本工業は、プラスチックや非鉄金属、アクリルの加工を行う会社です。同社は樹脂を±0.1mm以下の高精度で加工できる技術を売りにしており、冶具設計や製作、試作・開発・部品調達の支援も行っています。

ブログでは、同社が得意とする高精度で透明性が必要な加工事例を紹介しています。加工する上でお客様のどのような悩み/課題に対応できるか、加工方法や対応用途/形状に関する情報をシンプルに伝えています。

問い合わせへの導線は、共通のフォームに促すものですが、FAXでの問い合わせもできるとし、お客様の選択肢を増やしています。

株式会社ASTINA

出典:株式会社ASTINA

ASTINAは、産業用IoT製品の開発製造会社です。機械/電気設計からアプリ開発・テスト、サーバー構築までサポートしています。主に、見守りや認証/監視用の製品を開発しており、システム運用やAI/ロボット装置開発、DX支援も手掛けています。

同社のコンテンツはIoT/ロボット/AI技術に関するお役立ち情報です。産業分野における各種センサーの役割・用途や活用事例を掲載しています。IoT活用システムの導入フローや構築時の注意点など、導入検討者の関心事に沿った内容となっており、問い合わせフォームに誘導する導線設計です。

株式会社ファブエース

出典:株式会社ファブエース

ファブエースは、板金加工機械を取り扱う専門商社です。機械/ソフトウエア、ネジといった部品など幅広い商材を扱っています。自社製品の設計製作と販売も手掛けており、数千個から数百万個単位までの豊富な製作実績があります。

同社はホームページ上で、「技術コラム」、「社員ブログ」、「お知らせ」の3種類のコンテンツを発信しています。技術コラムは測定工具などの機能や使い方などのお役立ち情報で、社員ブログは自社製品の紹介や導入事例を提供するといった使い分けをしています。

山陽株式会社

出典:山陽株式会社

山陽は金属部品加工や組み立てを行う会社です。自動車部品や産業機器・住宅など幅広い業界での機械部品を扱っています。自社で幅広い用途に対応した加工組み立ての生産設備を有しており、数千個から数百万個単位までの製作実績があります。

同社のコンテンツは、お客様の課題を解決する事例が中心です。どのような課題をどう解決したかと、自社の強みを記載しています。実現までのプロセスを図解するなどわかりやすいものになっています。

株式会社ユニフォームネット

出典:株式会社ユニフォームネット

ユニフォームネットは、企業用ユニフォームの企画・販売を行う会社です。製造/建築現場の作業服やホテル・病院・飲食店用の制服などを扱っています。販売は、ネットショップや、カタログ通信販売などで行い、レンタルにも対応しています。

同社のコンテンツは、ユニフォームの選び方のポイントやトレンド情報、注文時のポイントなどが中心です。また、同社が取り扱うユニフォームメーカーの製品も紹介しています。

ユニフォームということもあり、ビジュアルを多用しています。服の完成イメージだけでなく素材・途中工程の説明画像も入れており、問い合わせやWEBカタログに誘導しています。

まとめ

今回はBtoB製造を手掛ける中小企業のブログ活用事例をご紹介しました。いろいろな業態・業種がありますが、どの企業もお客様の関心に沿った、役立つ情報を提供しています。もちろん、企業ならではのユニークな視点で興味関心を引く情報もありますが、基本は「お客様に必要な情報をシンプルにわかりやすく伝える」という内容です。

作り手の目線にたつと、どうしても他社にない製品の強みや魅力をたっぷりと伝え、「いかに問合せや資料請求につなげるか」ばかりに目がいきがちになります。しかし重要なのは、そうではなく「お客様にとってどうか」です。お客様が今、何に関心をもっているのか、欲しい情報がすぐに手に入るようになっているか、そして手をかけず、気軽に相談できる設計になっているかを考えていくとよいでしょう。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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製造業におけるプロダクトマーケティング推進の手法

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はプロダクトマーケティングをテーマにお話しします。

プロダクトマーケティングは製造業のマーケティングの要となる存在であり、専門組織を置く企業も多いと思われます。一方、企業によってその役割や求められるものが微妙に異なることが多く、どう進めていけばよいか迷う方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、プロダクトマーケティングの業務担当者や管理者の方に向けて、プロダクトマーケティングで求められる役割や、進め方や準備すべきコンテンツなどについて解説します。

プロダクトマーケティングとは?

プロダクトマーケティングは、製品サービスを市場に浸透させる一連のマーケティング活動を指します。製品サービスのコンセプト企画や販売戦略の立案・推進を行い、発売後の顧客生涯価値であるLTV(Life Time Value)を最大化します。

プロダクトマーケティングの役割

プロダクトマーケティングは、業界や企業によって求められる役割が異なります。拡販活動を主軸に置く場合もあれば、企画開発から販売後までの全プロセスを見る場合もあります。また、さまざまな関係組織との連携が必要です。開発部門、営業部門、生産部門、品質管理部門など、製品に関わるあらゆる部門が対象になります。

プロダクトマーケティングのプロセスと推進方法

プロダクトマーケティングは、大きな流れとして、以下の7ステップがあります。

  1. アイデア検討
  2. 市場/競合分析
  3. 製品ポジショニング
  4. マーケティングミックス
  5. 実行計画
  6. 発売時の対応
  7. 顧客満足度向上(発売後)

ここでは、各プロセスの概要と推進方法についてお話しします。なお、プロダクトマーケティングでは、これらの業務を遂行する上で、関係する部門への情報伝達と意識合わせを行うことも求められます。

1.アイデア検討

まず行うのは、製品企画の種となるアイデアを創出することです。これは、次で説明する市場や競合分析と一緒に行うこともあります。

アイデアの創出は、既存プロダクトの延長の場合と、完全に新規で企画する場合とでやり方が異なります。既存プロダクトの延長製品の場合、営業やカスタマーサポートなど顧客と直接接点がある関係部署からニーズや課題をヒアリングしていきます。その上で、そのニーズ/課題に応えるアイデアを着想することになります。

全くの新規で企画する場合、プロダクトマーケティング担当者が顧客の声を収集することが有効です。営業などの顧客訪問に同行して、直接顧客と会話し、顧客自身の発言を拾っていくとよいでしょう。別の方法として、リサーチ会社など外部の知見を借りて、アンケートやインタビュー調査を実施するやり方もあります。外部の知見を借りることで、新たな着想を得ることが可能です。コストはかかりますが、他者視点を組み合わせるのは効果的です。

アイデアはひとつだけではなく、できるだけ多く創出しておきたいところです。その上でアイデアを整理していくことになります。

2.市場/競合分析

アイデアを整理したら、それをもとに対象となる市場や競合の分析をしていきます。

市場分析では、そのアイデアが活用できそうなポテンシャルのある領域について調査します。現時点でどのような用途があるのかだけでなく、将来的に応用できそうなものは何かというところまで考えていきます。

同時に、競合となり得る製品やサービスも調査します。類似の他社製品だけでなく、広義の意味で製品を置き換える可能性のあるものはすべて視野に入れて考察していきます。

市場と競合がしっかりと分析されていると、自社のアイデアの立ち位置や、攻めるべきターゲットをどこに置けばよいのかが見えてくるはずです。

3.製品ポジショニング

ポジショニングは、市場における立ち位置を明確にすることです。製品やサービスの属性(セグメント)を2つの軸で考え、顧客から自社がどう見えてほしいか立ち位置(ポジション)を考えていきます。

2軸となる属性には、製品の機能や価格、ユーザビリティ、拡張性などがあげられます。例えば以下のようなものです。

  • 価格(安い)
  • 操作性(使い易い)
  • 機能(高機能/多機能/シンプル)
  • 品質(安全/長持ち)

4.マーケティングミックス

ポジショニングを行ったら、これまで検討したコンセプトをもとにマーケティングの実行戦略を考えていきます。マーケティングの4Pといわれるフレームワークに当てはめて検討するとよいでしょう。ここでの「4P」とは、

  • どんな製品を(Product)
  • いくらで(Price)
  • どこで(Place)
  • どうやって売るか(Promotion)

のことです。その際、顧客にとっての製品価値やコスト、入手手段に関する現状・課題・ニーズなどを調べておくと検討しやすくなります。なお、扱う商材によっては、Person(対象)/Package(パッケージ)/Process(業務プロセス)の要素を考えていくこともあります。

5.実行計画

製品サービスの発売前には全体の進め方や販促計画、顧客対応をどうするかなどの計画を立てていきます。プロジェクト全体の進捗を管理し、発売に合わせ具体的にどうアプローチしていくか考えるとよいでしょう。

プロダクトローンチのような発売前の取り組みも行うこともあります。プロダクトローンチとは、発売前に見込み顧客を集め、部分的に情報提供を行い顧客の購買意欲を高める手法です。

6.発売時の対応

製品の発売と同時に、プロモーション、営業をスタートします。

製品を発売すると、その製品に関心がある顧客から製品の仕様や価格、入手手段などの問い合わせを受けることになります。そのため事前に、問い合わせに対するサポートをどうするかを検討しておきます。また、製品不具合、配送トラブルなど不慮の事態に備えた対応も必要です。

問い合わせは営業や販売店、CS、広報など、さまざまな関係部署から寄せられます。それらの情報は一元管理して、関係部署間で共有しておいた方がよいでしょう。今後、改善ポイントを洗い出しPDCAを回していくために必要となります。

7.顧客満足度向上

プロダクトマーケティングは販売して終わりではありません。発売後はカスタマーサクセスにつなげ、顧客エンゲージメントの向上を図っていきます。プロダクトライフサイクルを考え、製品が今どの位置にいるか見ながら、その都度、売上や価格、チャネルを見直す必要があります。

そうして顧客の生の声を吸い上げ、次の改良製品につなげていくのです。

プロダクトマーケティング推進に必要なコンテンツ

プロダクトマーケティングを進めるにあたって、製品サービスをターゲットに知ってもらい、興味喚起させる必要があります。そのために必要なのがコンテンツです。ここではプロダクトの広報や広告宣伝用に活用するコンテンツについて解説します。

どんなコンテンツが必要か

コンテンツは、オンラインとオフラインのものがあります。

用途は、通常の営業活動で使うほか、広報や広告宣伝、展示会・イベントなど幅広いです。各コンテンツは、媒体/用途に限らず統一感のあるものが望ましいです。また、コンセプトを正しく効果的に伝える共通のビジュアルとメッセージを用意します。

オンラインで用意するもの

オンラインで用意するコンテンツは、Webサイトやランディングページ(LP)、ブログ、WP(ホワイトペーパー)、動画などです。また、これらのコンテンツを広めるためのSNS投稿やメール配信用のコンテンツも必要になります。

Webサイトは、会社ホームページ上に掲載しますが、製品の重要度、販売方針によって製品用に特設サイトを作ることもあります。デジタル広告を打つ場合、商品ページとは別に専用LPを用意した方が効果的です。

ダウンロード用のコンテンツとして、製品が必要な背景・課題などをとりあげたレポートや     事例、カタログ情報なども用意するとよいでしょう。製品の利用シーンや製品デモなど、体験型のコンテンツは動画制作が効果的です。

紙媒体の配布物

紙媒体の主なコンテンツとしては、製品カタログ、チラシなどがありますが、コロナ禍以降、デジタル化が急速に進展し、紙媒体コンテンツの提供機会は減っています。WebサイトからのPDFダウンロードで同じ情報として届けられる一方、紙は印刷や郵送コストがかかるため、コスト削減対象に考える企業もあるでしょう。

一方、紙のコンテンツは今でもFtoFの営業やリアルイベントの際の強力な販促ツールであることは変わりありません。むしろ、多くの企業がデジタル化に注目している今、逆に目に留まりやすい側面もあります。日々、大量のデジタルコンテンツが流れ、デジタル疲れをおこしているユーザーも少なくありません。紙媒体は、こうしたターゲットに刺さるコンテンツになり得る可能性があります。

広報宣伝で用意するもの

新製品を発売する際には、プレスリリースや記者発表、メディアキャラバンなど各種広報活動を行います。そうした広報活動に必要なコンテンツも準備する必要があります。

製品サービスの位置づけ、重要性によって異なりますが、最低でもプレスリリースは用意した方がよいでしょう。プレスリリースは、やることが当たり前になっていて形骸化しがちですが、少額のコストで準備ができ、メディアの力を利用することで広く拡散できます。

ただし、メディアを相手にする場合、期待通りにコントロールすることは難しいです。媒体の方針や記者の考え方によっては、露出効果が限定的になってしまうこともあります。最近は、PR TIMESなど、自社主導で発信できるプレスリリース配信サービスも充実しているので、うまく活用することをおすすめします。

展示会・イベントで用意するもの

イベントでは、オンライン、オフライン含めたすべてのコンテンツが有効活用できます。また、イベント専用のコンテンツとして、製品デモや試用サンプル、説明パネルなどもあります。

展示会の場合、競合他社も出展し、横並びで比較されるため、たくさんの展示品に埋もれないよう見せ方の工夫が必要です。そのためだけにコンテンツを企画制作することもありますが、制作準備のコストやリソースがかかるのが難点です。出展する展示会が自社の目的にどの程度マッチしているのか、期待する効果が得られるものなのか、慎重に選ぶ必要があります。

プロダクトマーケティング業務上の注意点

ここでは、プロダクトマーケティングの業務を推進する上で、現場担当者として気を付けておきたいポイントをご紹介します。

関係部門との意識整合

プロダクトマーケティングは、開発、製造、宣伝、営業、カスタマーサポートなどいろいろな部署と連携することになります。これらの関係部門・担当者間で、情報共有と意見整合がしっかりなされていることが重要です。

企画アイデアのヒントとなる顧客の声や新技術の開発状況、最新の市場トレンドや他社の動きなど各々の担当部門で収集した情報が、担当者や組織を超えて共有されていれば、問題解決やフォローがスムーズになり、部署間の議論が進み、スピードアップを図れます。

逆に情報が共有されていないと、関係者間のコミュニケーションに齟齬が生じて、企画段階からなかなか先に進まず、他社に先を越されてしまったり、十分に仕様検討を煮詰められずに市場に出すことになってしまったりするかもしれません。

ツールなどを活用し、情報共有の仕組みを構築しておくとよいでしょう。

また、組織の体制によっては各関係者の役割分担が曖昧で、業務の境目にボールが落ちることもあります。企業によりますが、プロダクトマーケティングの担当者には、プロジェクトの全体最適化が求められることも多いです。自身の業務だけでなく、他部門も含め上空から鳥の目線で業務を見ることも大切になります。

アイデア企画

プロダクトマーケティングにおいて、企画アイデアや打ち手の検討は根幹となる重要な部分です。この部分をどう考えていくべきかについては、製品/サービスが、従来延長なのか全くの新規なのかで変わってきます。

従来延長の製品/サービスの場合、顧客の課題やニーズに対する声は、日ごろ接点が多い営業やカスタマーサポートが拾う機会が多いです。こうした顧客接点のある担当者間の情報連携を仕組化し、一元化して情報蓄積しておくことが重要になります。

一方、新規プロダクトの場合、そうした通常のコミュニケーションではなかなか顧客の声を拾うことはできません。特に潜在的なニーズや課題は、言語化された情報になりにくいです。インタビューやアンケートを通して、マーケティング担当者が自ら情報収集し、業界の動向や先進事例なども見ながら分析・考察をすることになります。

この際注意したいのは、アンケートなどの調査のやり方です。従来のアイデア企画では、対象となる多くのユーザーの声を集め、傾向を分析する傾向がありました。しかし、大多数の平均的な声に耳を傾けすぎると、誰もが考えるような尖らない企画になってしまいます。

今日では、むしろリーディング顧客の一人に焦点をあて、その人を深堀して隠れた潜在的なニーズを引き出すことが重要視されています。

業務の優先順位

プロダクトマーケティングの業務は多岐に渡ります。一人でいくつもの製品を担当する人も珍しくなく、業務量も多いです。

特にコンテンツの資料作成や、内部関係者整合に時間をとられがちになります。そのため、本来やりたいアイデア着想や売り方を検討する時間がとれないのが課題です。高度な技術知識が要求されるハイテク関係でその傾向が強いといわれています。

一番の対策は、組織的解決です。例えばハイテク関係の企業であれば、テクニカルマーケティングの組織と担当者を置き、技術領域は担当者に専任してもらうという手があります。技術領域は高度な知識と専門性が必要とされるため、これは単にプロダクトマーケティングの負荷を減らすだけでなく、専門家部隊を置くことで価値向上を図ることもできます。

担当者自身が解決できる対策としては、コンテンツの制作負荷を削減する工夫です。先に挙げたようにプロダクトマーケティングに必要なコンテンツは多岐に渡りますが、目的や用途に合わせてテンプレート化し、コンテンツの流用を図ることで省力化できます。

プロダクトマーケティングは、高い専門性とマネジメント力を要求される業務です。人材育成にも時間がかかるため、慢性的な人材不足に陥っている企業もあるでしょう。自社の努力だけでは限界がある場合、外部人材やパートナー企業の活用も視野にいれるとよいでしょう。

最近は、マーケティング領域でも外部人材を積極活用する企業も増えています。コンテンツの企画制作や、調査分析業務であれば外部にリサーチ人材も多いので、業務を切り出してみるのもよいのではないでしょうか。

まとめ

プロダクトマーケティングは、アイデア検討から市場分析、発売からその後までプロダクトライフサイクルの全工程を見る業務です。さまざまな関係組織との連携が必要で、関係部署との情報共有と意見整合が重要になります。担当者や組織の垣根を超えて最新の情報共有を図ることで、部署間の議論が進み、スピードアップを図れます。時代のニーズをとらえた製品を他社に先駆けて市場投入するには、情報共有の仕組み化が重要です。

製品/サービスを認知喚起し、ターゲットに購入を促すためには、さまざまなコンテンツが必要になります。コンテンツは通常の営業活動以外でも、広報や広告宣伝、展示会・イベントなど幅広い用途があります。一方、それらのコンテンツの制作にはかなりのリソース・工数が必要です。マーケティング担当者が資料作成に追われ、本来力をいれるべきアイデア着想や売り方を検討する時間がとれなくなっては本末転倒になります。

業務の最適化を図る方法として、組織体制の見直しやコンテンツの流用などがありますが、外部人材を活用するのもひとつの手です。テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

The post 製造業におけるプロダクトマーケティング推進の手法 first appeared on モノカク.

BtoB製造業 メールマーケティングのコツ

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はメールマーケティングをテーマにお話しします。

メールマーケティングは、BtoB製造業では有効度が高いマーケティング手法として知られています。しかし、本当の意味で有効性を実感できている企業はどのくらいあるのでしょうか?目的や目標があいまいのまま、いつの間にか担当者のノルマと化していて、担当者だけがネタ集めや配信業務に苦労しているという事態に陥ってはいないでしょうか?

今回は、そんなお困りの担当者や管理責任者の方に向けて、効果的なメールマーケティングを行うための設計方法やメールマガジン(メルマガ)の書き方について解説します。

BtoBのメルマガとは?何のために出すのか

BtoBのメルマガとは、企業の担当者に向けて定期的に配信するメールで、顧客との関係構築や自社製品の認知度向上、醸成目的で配信されています。通常は、メール配信スタンドやマーケティングオートメーション(MA)ツールを使って運用管理を行います。

配信形式として主に3種類あります。すべての対象に同じ内容のメールを送る一斉配信と、特定の条件に合致する対象者に送るセグメント配信、対象者一人一人に合わせて私信メールのように送る1to1配信です。

メルマガの役割・用途

メルマガの一番の役割は、ユーザー(顧客)との接点・関係性を維持することです。顧客に接触し関係性をもつのは営業の仕事のひとつでもありますが、営業訪問のタイミングが顧客の欲しいタイミングとは限りません。一方、メールであれば定期的に情報発信することでそのタイミングをとらえることができます。

ただし、メールの役割は、その先のコンテンツへの流入を促すことによるきっかけづくりの部分が大きいです。その上で、その先のコンテンツで問い合わせ・無料相談などのコンバージョン獲得につなげます。もちろん、メルマガから直接獲得することもできますが、そこまでの導線を強化する役割の方が強いといえるでしょう。

メルマガとSNSどちらがよいか?

企業の担当者が受信するメールは非常に多いです。日々の業務のやり取りだけでも1日に何十通ものメールを処理しなければなりません。特に忙しいキーパーソンの場合、その数は膨大になり、業務目的以外のメールは埋もれてしまう可能性があります。

一方、SNSはリアルタイムに情報発信でき、拡散力もあります。初めての相手でも双方向で気軽にコミュニケーションをとることが可能です。昨今、SNSで情報収集を行うユーザーも増えており、情報発信はSNSだけで充分ではないか?という懐疑的な声も出ています。

しかしSNSにはデメリットもあります。次々と情報が切り替わってしまうため、SNS上で大量の情報を流し見るだけとなりがちです。その点、メルマガはメールボックスに情報が残り、数日前でも見てもらいやすいです。1通のメルマガを配信すると、数日間はサイトへのアクセスを増やすことができます。時には1週間以上前に打ったメールでも、コンバージョンにつながるケースもあります。

メルマガとSNSの特性を理解し、使い分けていいとこどりをするのが望ましいでしょう。

成果を出すメルマガの設計方法

メルマガの役割はユーザーとの関係性を維持し、その先のコンテンツに誘導することだと説明しました。では、メルマガに反応するユーザーを増やし、目的のコンテンツに対するアクセスを最大化するためにはどうすればよいのでしょうか?ここでは、メルマガ設計を行う上で重要となる5つの観点(目的、ターゲット、コンテンツ、フォーマット、配信頻度)において、なにがポイントとなるかを解説します。また、運用にあたって用意しておいた方がよいものについてもお話しします。

目的

メルマガの目的は、企業の事業内容や方向性によって異なります。製品サービスの認知喚起がしたいのか、それとも自社製品を売り込みたいのかによってメルマガの施策も変える必要があります。そのため、事前に「何の目的で配信するか」を明確にすることが重要です。

なお、複数の異なる目的がある場合、それをひとつのメルマガで実現しようとすると、内容がブレてしまうリスクがあります。もし目的が複数ある場合は、メルマガをその目的別に分けて配信した方がよいでしょう。

ターゲット

メルマガ設計を行う際、読み手のターゲット像を明確にするのが望ましいです。一般的にBtoBの取引では、複数の担当者を経由して意思決定が行われますが、その担当者の業務内容や役割によって欲しい情報が異なります。そのため、ペルソナを設定し、ターゲットの業務上の課題やニーズを明文化しておくとよいでしょう。

ただし、ターゲットを絞りすぎると、配信対象がかなり限定されてしまうので注意が必要です。メルマガは少し広めのターゲットを想定し、浅く緩くつながるように心がけましょう。

コンテンツ

BtoB製造業のメルマガコンテンツは、自社の目的によって求められるコンテンツが異なってきます。一般的には、ホワイトペーパーやウェビナー案内、ブログや導入事例などいろいろありますが、目的に合っているかを意識して検討することをおすすめします。

例えば、顧客との関係構築がメインの場合、商品サービスの宣伝ばかりだとユーザーに嫌がられてしまうおそれがあります。普段はなるべく宣伝と無関係な情報発信を心がけるか、宣伝だと感じさせないよう内容を工夫するとよいでしょう。

一方、メルマガを営業機会のきっかけにしたい場合には、顧客に視点をあて、顧客の課題を解決するコンテンツや導入事例などを中心に盛り込むと有効です。特に顧客自身も気づいていないような潜在課題や欲求に応えるコンテンツは非常に効果が高く、セールスにつなげやすくなります。

なお、目的に合わせたコンテンツを用意するのが効果的であることを理解していながらも、コンテンツのネタを集めることが難しく、結果としてあるものの寄せ集めとなってしまっている企業も多いと思われます。ネタ集めに関しては、後で詳しく解説します。

フォーマット

メルマガのフォーマットには、HTMLとテキストという2種類の形式があります。現在では、読み手のメーラーにあわせ、どちらでも対応できるよう2種類用意するのが一般的です。

HTML形式のメールは、画像で視覚に訴えることができます。誘導したい部分の文字フォントやリンクボタンをより目立たせることで、効果的にアクションにつなげることが可能です。

一方、HTMLの準備は手間がかかります。現在は、コーディングの知識がなくても制作できるツールが出回っており、制作環境は改善していますが、受信者のメール環境によりレイアウトが崩れてしまうこともあります。PCとスマホで見え方も変わってきますので、あらかじめデザインをテンプレート化しておき、型に従って制作できるようにしておくとよいでしょう。

テンプレート化することで、メルマガ全体のイメージを統一する効果もありますので、ブランディングの観点でも有効です。

配信頻度

結論から言うと、配信頻度はあげた方がよいです。よくある質問として、「配信頻度をあげると嫌がられてしまうのでは」という話があります。ひと昔前には、配信頻度を減らすことを推奨する有識者の方もいましたが、今は逆に頻度が少ない方が問題視されます。配信停止を心配し頻度を下げることで、接触機会が減ってしまうからです。

一般的には週1回は配信するようにしておくとよいでしょう。読み手が欲しい情報なら毎日でも読みたいので、デイリー配信でも問題ありません。ただし、一方的な自社宣伝を毎日のように送るのは避けた方がよいでしょう。あくまで、ターゲットが欲しいであろう情報発信を心がけることが前提となります。

運用に必要なもの

メルマガの運用にあたって、自社のWebサイト側で準備しておきたいものとしては3つ     あります。メルマガ登録用のランディングページ(LP)とサポートページ、プライバシーポリシーを記載したページです。

登録用LPには、メルマガの目的やターゲット、コンセプトがわかる内容を盛り込んでおくとよいでしょう。どんなユーザーのどんな課題/ニーズに応えるものなのかを明確にしておくことで、その内容に興味をもつユーザーの登録を促すことができます。

サポートページには、運用ルールや解約の手続き方法など購読者の疑問を解消する内容を記載することをおすすめします。事前に情報提供することで、ユーザーのストレスを軽減し、トラブル回避できるからです。ユーザーからの余計な問い合わせを減らす副次効果もあります。

なお、プライバシーポリシーは法規制対応のために必要です。自社ホームページと共通で用意しておく形でよいでしょう。

メルマガの構成要素

メルマガにおける個々メールの構成要素として、差出人名、件名、ヘッダー、本文、フッターがあります。ここでは、メルマガを制作する際、各要素において対策しておきたいポイントとなる事項や注意点などを整理しておきます。現在運用しているメルマガでも、意外と基本的なことが抜け落ちてしまっているものもあるので、この機会にチェックしてみてください。

差出人名

差出人名はユーザーがまず目にする重要な要素です。この名前のつけ方が閲覧率にも大きく影響するので、安易なネーミングはしないよう心がけましょう。

ちなみに、社名やサービスブランド名をつけているメルマガと、人の名前をつけているメルマガがありますが、どちらがよいのかは知名度によって変わってくるようです。知名度が高い場合は、差出人には社名をつけるとよく、そうでない場合は、担当者など個人名の方が刺さるといわれています。

件名

件名(タイトル名)は最も重要な構成要素です。メルマガが閲覧してもらえるかどうかは、件名にかかっているといっても過言ではありません。

件名にどんな内容を盛り込むべきかは、ターゲットユーザーにとって必要かどうかという視点が必要です。具体的には、ユーザーに有益な内容がより具体的に書かれていると、閲覧率が高くなる傾向があります。さらに独自性を感じさせる内容だと興味がもたれやすくなります。これは、Webサイトの記事タイトルを考えるときとほぼ同じ論理です。

なおタイトルに緊急性を出すことも有効で、ユーザーの行動を促しやすいと言われています。ただしこれは、乱用すると効果を失ってしまいます。ここぞという勝負時に使うことをおすすめします。

件名をつけるときの注意点としては、差出人名と被らないようにすることがあげられます。差出人も件名も同時にユーザーの目にふれることになるので、内容が被っているともったいないからです。また、文字数は30文字以内で考えるとよいでしょう。左から目に入るため、特に前半の15文字に重要なエッセンスをいれると効果的です。

ヘッダー

メールのヘッダー部分は、ユーザーに一番伝えたいことをもっていくとよいでしょう。この部分を読んでその下を読み進めるかどうかが決まるので、そのときのイチオシの内容をここに盛り込むことをおすすめします。

なお、誘導したいCall To Action(CTA)のリンクは、ヘッダーにいれておくと効果的です。

ヘッダーにおける注意点として、件名とのマッチングがあります。件名で伝えていることと、ヘッダーの話が全く違う内容の場合、離脱につながるのでミスマッチがないように気をつけましょう。

本文

メルマガの本文で気を付けるポイントは、コンテンツの順番です。

基本的には、伝えたい優先度の高い順に上から配置していきましょう。メールは上から読まれ、下に行くほど反応は鈍くなります。ただし、例外として「追記」コンテンツは読まれやすいです。また、冒頭に誘導文を設けることで下まで読まれやすくなります。人間の行動心理をうまく利用して作成してみてください。

コンテンツはあまり盛り込まない方がよいでしょう。ときどき大量のコンテンツを盛り込んであるメルマガを見かけますが、盛り込みすぎは効果的とはいえません。メインコンテンツは1つで充分で、テーマと無関係なコンテンツは削った方がよいでしょう。

なお、メルマガ本文中の文章は、一文はできるだけ短くした方が読みやすいです。3~     4行で改行するように心がけましょう。

フッター

メールの一番下にあるフッターには、運営者情報や問い合わせ、購読解除の選択、プライバシーポリシー情報などを記載します。必ずしもフッターの位置でなくてもよいですが、運営者情報/購読解除の項目は特定電子メール法で定められている必須事項なので、どこかに書いておくようにしましょう。

メルマガ関係で遵守しておくべき法律は主に以下になります。

  • メルマガ配信前に承諾をとっておく
  • 送信者の問い合わせ先や配信解除する方法を明記する
  • 購読者から自身の登録情報を聞かれたら情報開示する

メルマガのネタの探し方

ここでは、メルマガ担当者が一番頭を悩ませるといわれているネタの探し方についてご紹介します。ネタ作りに詰まっている方は参考にしてみてください。

ネタ探しの前にやるべきこと

メルマガでどんなネタを出すべきかを考える前にやるべきことがあります。それはスケジュールの作成です。期の節目などで配信テーマの大枠を決め、いつどんなメルマガを出すのか計画をたてておきましょう。メルマガのネタは、基本その計画に沿って考えていくことになります。

テーマは基本、メルマガの目的・ターゲットに合わせ、関連する事業/サービス部門から定期的に情報収集しておくとよいです。新製品のリリース計画や展示会の開催スケジュールなど会社にとって大きなイベントをおさえた上で、その内容に合わせて他のテーマを考えるとやりやすくなります。

スケジュールとテーマを決めたら、そのテーマに関する情報が定期的に入るような体制を整えておきましょう。具体的には、製品やイベントの担当部門から最新情報を入手できるように、各部署から情報をヒアリングするための打ち合わせの場や情報共有のグループチャットなどを設置しておくことです。そうすることで計画変更にも柔軟に対応できるようになります。

BtoBメルマガのネタ事例

スケジュールとテーマを決めたら、それにマッチするコンテンツを検討していきます。BtoBで有効なネタの事例として以下の6タイプがあります。

  • 技術/製品紹介:自社の技術や製品サービスの情報
  • ユーザー事例:お客様の製品導入事例
  • イベント告知/お礼:展示会の案内や、出展品情報、開催後のレポート
  • 業界動向:自社領域に関する業界情報や法規制・地政学に関する情報
  • お役立ち情報: ユーザーが業務上必要な参考情報
  • FAQ:企業からのよくある質問や、アンケート調査結果

自社技術や製品の紹介は、単に特徴が書いてあるだけの商品ページに促すだけだと自社宣伝の色が強くなるので注意しましょう。関係者の思いや開発に至った経緯などストーリー仕立てのコンテンツに誘導すると効果的です。コンテンツがない場合でも、ちょっとしたコメントをメルマガ本文に書いてあげるだけでも反応が変わるので試してみてください。

お役立ち情報は、ターゲットとなるユーザーが業務で使う可能性がある内容を盛り込むと効果的です。例えばユーザーが開発設計の技術者であれば、開発ツールやマニュアルの見方などがあげられます。業界の専門用語の解説も有効です。

FAQでは、メルマガを意見徴収のツールとして利用するのもよい方法です。メルマガの中でユーザーに問いかけをし、ユーザーから質問や意見を促すようにしましょう。その結果をメルマガのコンテンツにフィードバックすると、双方向のコミュニケーションが生まれます。

困ったときに使えるネタ探し術

メールの配信頻度をあげた方が効果的だという話をしましたが、自社製品のPRやイベント案内ばかりの内容になってしまうと逆効果です。とはいえ、毎回有益なネタを考える余裕はないかもしれません。そんなときにおすすめしたいのが以下の3つのポイントです。

  • 日々自動的に更新される情報を活用する
  • 少し古い情報を活用する
  • 以前使ったネタを再利用する

担当者が何もしなくても、社内で日々蓄積されていく情報はネタに困ったときに使いやすいコンテンツです。例えば自社でブログを運営している場合、その情報を活用できます。また、カスタマーサポートにくる顧客の質問なども日々蓄積していく情報なので、コンテンツ化して活用するとよいでしょう。

過去の古いコンテンツも活用できます。技術の基礎知識はいつの時代でも使えるコンテンツです。また、製品に関する情報は古い製品でも有効です。製品の更新情報や利用しているユーザーが多い場合、むしろ喜ばれます。一方、トレンドやニュースなどの時事ネタはとりあげにくいので注意しましょう。

また、一度使ったネタの再利用も有効です。メルマガを全部見ている人はほぼいないため同じ情報でも、見せ方を変えるだけでなんどでも使うことができます。

まとめ

BtoB製造業のメルマガは、顧客との接点をゆるく保ち続けるために効果の高い手段です。定期的に情報発信することで顧客が自ら欲しいと思うタイミングをとらえることができます。

そのためには、自社がではなく、ターゲットが有益と思うであろう情報を高めの頻度で発信し続ける必要があります。件名やヘッダー部分にイチオシで伝えたいことを短く具体的に述べることでより反応を高めることができるでしょう。

メルマガのネタ探しは担当者にとって悩みのつきない問題ですが、自らが動かなくても自動的に集まる情報の引き出しをいくつか確保しておくとよいでしょう。時には過去のコンテンツを使いまわすことで、うまく乗り切ることができるはずです。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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Webサイト翻訳ツールとは?検討時のチェックポイントやおすすめツールを紹介

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はWebサイトの多言語化をテーマにお話しします。

グローバルでの情報発信として自社のサイトを翻訳して海外でも活用したい企業は多いかと思います。一方、各地域で人が翻訳し、ローカルサイトを制作するのでは、費用工数が大幅にかさんでしまいます。今回は、費用工数を削減する手段となる「Webサイト翻訳ツール」に関して解説します。

Webサイト翻訳ツールとは

Webサイト翻訳ツールはサイトの多言語化を実現するツールで、Webページのテキストを機械的に翻訳します。翻訳したいWebページのHTMLやCSSに任意のコードを追加することで、希望の言語に変換するものです。

デザインやレイアウトを変更しなくても、元のデザインのテキスト位置に翻訳されて表示することができます。サービスによりますが、英語・中国語・スペイン語など、主要言語すべてに対応しています。中には100以上もの多言語を扱えるものもあります。

サイト制作における活用方法

サイト制作での活用方法として2通りあります。

ひとつは、自社のWebサイトを多言語対応することです。ある一言語のサイトをオリジナルで作るだけで、他の言語を容易に構築でき、グローバルに統一情報を少ない費用工数で発信できます。

もうひとつは、海外Webサイトのテキストを翻訳して、ローカルサイトを制作することです。拠点別のサイトを制作できます。翻訳ツールを活用して共通部分の情報を各言語に自動的に翻訳することで、工数を削減できます。また、各地域のユーザーニーズに合わせ独自色を出すことが可能です。

Webサイト翻訳ツールのメリット・デメリット

Webサイト翻訳ツールは、人が翻訳する場合と比較して、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?ここでは、Webサイト翻訳ツールが得意とする部分、苦手な部分を整理します。また、苦手な部分について改善策があるのかもあわせて解説します。

翻訳ツールが得意なこと

Webサイト翻訳ツールの一番の強みは、なんといっても処理スピードの速さです。人が何時間もかける作業を、ツールならわずか数分で処理することができます。

また費用も安いです。例えば英語から日本語に翻訳する場合、翻訳者が対応するとワードあたり10円~30円程度かかります。5,000ページ程度のWebサイトの場合、軽く数百万円はかかってしまう計算となります。一方、翻訳ツールの場合、サービスにもよりますが、同じ規模のサイトで1桁安くあげることが可能です。

一度に複数言語に対応できる点も、翻訳ツールならではの大きな強みです。人が翻訳する場合、一人で複数言語を翻訳できる専門家はなかなかいませんので、言語ごとに別の翻訳者に相談することになります。これが翻訳ツールであれば、一度に何言語でも翻訳可能です。

翻訳ツールが苦手なこと

Webサイト翻訳ツールの課題は翻訳精度にあります。AI翻訳のレベルは以前より高くなっていますが、まだ誤訳も含まれています。表記ゆれや訳抜けもあるため、結果の確認が必要です。

仮に、翻訳が完璧に正確になったとしても、まだ問題は残ります。言葉の解釈、ニュアンスの違いまでツールでは担保できないからです。コンテンツのタイプによって、得手不得手があります。日常会話レベルであればかなり品質は高いですが、広告宣伝系のクリエイティブ・コンテンツは、顧客や市場を理解する人の査読が必要です。専門性が非常に高い領域でも、同様に専門家による内容の精査が求められます。

精度の課題は改善できるのか?

AIは日々、対訳コーパスを学習しています。関連するIT技術もどんどん進化しているため、機械翻訳の精度はこれからも改善され続けていくでしょう。また、現時点のツールのままでも、自社のWebコンテンツに関連する翻訳文を継続的に学習させていけば、翻訳文を改善させることが可能です。

仮に、ツールの翻訳結果に満足できない部分が含まれていても、有料ツールであれば     編集機能があるため、適切な訳に修正できます。正しい訳を辞書登録、翻訳メモリーに設定しておくことで、使うたびに改善されていくようになります。

翻訳ツールだけで完結できるのか?         

こうして改善を続けていくことにより、ツールだけで完成度の高い多言語サイトが実現できるようになるでしょうか?

少なくとも現時点の技術レベルでは、高品質な翻訳を実現するには、人による校閲が不可欠になります。ただし、それはツールに限らず、翻訳者(人)に依頼した場合でも同じです。

ツールでも人でも、完璧な翻訳は困難です。品質を担保するためにクロスチェックが必要となります。仮に正しい訳だったとしても、自社の顧客のニーズをとらえる内容になっているかどうかは、翻訳者には確認しきれません。

翻訳ツールを検討する際のチェックポイント

Webサイト翻訳ツールを初めて導入する場合、ツールベンダーのWebサイトなどに書かれた情報を見ているだけでは、どのツールが自社にあったものか、使い勝手は実際どうなのかわからないかもしれません。ここでは、翻訳ツールを導入する前に確認しておきたいポイントを整理しておきます。ここであげた内容を参考に、ツールベンダーに確認するなどしてみてください。

翻訳の精度

翻訳の精度を左右する要素として「翻訳エンジン」があり、GoogleやDeepL、翻訳会社オリジナルのサービスが提供されています。業界や文章のタイプによって長所短所があり、どういうものが自社にとって最適か、ベンダーの説明だけで判断することは難しいかもしれません。

その際の判断基準として、自社の業種/業界での実績の有無を調べるのもよい方法ですが、それだけだと心もとないかもしれません。一番よい方法は、自社の想定コンテンツを入れて、複数のツールで実際に比較してみることです。

比較検証するコンテンツはテーマによって求められる質も変わります。まず対象コンテンツを整理し、自社で使う機会の多いテーマをいくつか試すとよいでしょう。テーマとしては、商品情報や技術仕様、ブログや記事、プレスリリース、宣伝広告系のクリエイティブといったものがあげられます。

そのほか、「精度を改善するための手段」も確認しておくとよいでしょう。チェックする内容は、専門用語の辞書登録や、正しい対訳の文章登録(翻訳メモリ)などです。機能として持っているかだけでなく、チューニングがどのくらいできるか、運用管理方法はどうなっているかなどを聞いておくことをおすすめします。

セキュリティ

コンテンツには、取扱注意の情報や極秘データが含まれていることがあります。情報漏洩は     大きな損失になるため、データセンターのセキュリティ面やデータの暗号化・ウイルスチェックなどの基本的な対策がどうなっているか、自社の環境も含め、あらためて確認しておくとよいでしょう。

ツールがクラウド型サービスの場合、サイバー攻撃による情報漏洩や改ざん、不正アクセスのリスクがあります。リスクを確実に回避したい場合は、オンプレミス型の開発環境の検討が必要です。

コスト

翻訳サービスは、翻訳ボリュームや利用者数によって料金体系が違ってきます。どの程度使う可能性があるのか、落としどころをみた上で検討するとよいでしょう。ボリュームが小さい場合、サービス料金が安く設定されているものもありますが、Webサイトの場合ページはどんどん追加されるので、あっという間に使い切ってしまう可能性があります。カバー範囲を超えると料金が大きく変わってしまうこともあるので、注意しておきましょう。

また、サービスによっては初期費用がかかってくるものもあります。さらに、自社の環境によってはサーバー料金が別途必要になる場合もあります。

ローカライズ

本文の翻訳だけでは、サイトのローカライズとして不十分です。各地域のニーズにあったデザイン、文章表現の再構成やSEO対策が求められます。Webサイト翻訳ツールのサービスとして、以下に示す機能の有無や内容を確認しておくとよいでしょう。

  • 検索エンジンへのインデックス対応&ドメイン設定
  • タグや画像テキストの翻訳対応
  • レイアウト調整としてHTML・CSSの編集・追加機能
  • 画像の差し替え機能

ユーザビリティ・運用面

Webサイト翻訳ツールのサービスの中には、サイトのローカライズを進める上での各種ニーズに応えるさまざまな機能がカバーされているものがあります。こうした機能は非常に心強いですが、操作の難易度が高くなってしまうかもしれません。

運用面の課題は検討時に気づきにくいため、無料体験を活用し、使い勝手を確かめてから検討するようにしたいものです。例えば、表示ビューで確認しながら翻訳の編集ができると便利ですが、スマホ表示には対応していないかもしれません。また、翻訳してほしくない部分の扱いや、サイト更新があった際の更新情報の通知などは、使ってみてはじめて気づく部分です。

実際に使ってみて気づいた点をまとめておき、どのようなサポート体制があるかも含めてベンダーに確認してみるとよいでしょう。

おすすめのWebサイト翻訳ツール

ここでは、レビューサイトなどで評判の高いおすすめのWebサイト翻訳ツールをご紹介します。

shutto翻訳

Shutto翻訳は、株式会社イー・エージェンシーが提供するツールです。Google翻訳APIを利用、100言語以上に対応しています。自動翻訳、プロ翻訳、セルフ翻訳の3つの翻訳を組み合わせられます。

企業サイト、ブログ、ECサイトなどさまざまなサイトを多言語化、動的なサイトでも対応可能です。翻訳結果を画面で見ながら直感的な編集が行えます。

検索インデックス登録やドメイン付与など海外のSEO対策も行えます。独自ドメイン取得もオプションで対応しています。

<詳細はこちら>
https://www.submit.ne.jp/shutto-translation

WOVN.io 

Wovn Technologies株式会社が運営するWebサイト翻訳ツールで18,000サイト以上の導入実績があり、43言語に対応しています。ECサイトの決済・配送ページなどの動的サイトを含め、幅広いコンテンツで活用できます。現地のSEO対策機能も備えています。

実際のWebサイトを確認しながら翻訳でき、スマホ表示も確認可能です。WordPressなど各種CMSやECサービスと連携しており、既存の環境に導入できます。

日本人の専任スタッフが導入から運用フローの構築までをサポートしています。

<詳細はこちら>
https://wovn.io/ja/suite-web/

WEB-Transer@Enterprise(AI)

株式会社クロスランゲージによるサービスです。22言語に対応しており、トップページに言語別のボタンを貼るだけで、ドメイン内の全ページを翻訳できます。

同社のサービスは、オンプレミス環境のAI自動翻訳プラットフォームでセキュリティを担保できます。独自開発の機械翻訳エンジンを備えており、翻訳者(人)との併用も可能です。

<詳細はこちら>
https://www.crosslanguage.co.jp/auto-translation/enterprise/lp-ai/

Myサイト翻訳

株式会社 高電社によるサービスです。デザインやWebサイトの内容を変えずに、翻訳ボタンで翻訳できます。121言語に対応しています。

「J-SERVER」は同社翻訳ソフトのエンジンを基に開発されたサービスの総称で、同社サービスを利用したサイトでは、自動翻訳サービス「J-SERVERプロフェッショナル」の機械翻訳であるという情報が入るようになっています。

<詳細はこちら>
https://mysite-ai.jp/

まとめ

Webサイト翻訳ツールはサイトの多言語化を実現するツールで、Webページのテキストを機械的に翻訳します。処理スピードが速く、複数の多言語サイトをリーズナブルに構築することができます。

ただし、翻訳精度の課題はあります。単なる正確性だけでなく、海外ユーザーのニーズに応えるローカライズを実現するには、クリエイティブの工夫やSEO対策などを施す必要がありますが、ツールは完ぺきではありません。どの程度の品質を要求するか、自社の目的にもよりますが、人の手によるクロスチェックが不可欠となります。

Webサイト翻訳ツールを検討する際には、精度やセキュリティ、コストなどさまざま     な項目を事前検証しておくとよいでしょう。使ってみないと気づきにくい運用操作上の問題もありますので、ある程度の期間、試用してみることをおすすめします。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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中小企業はDtoCをやるべき? BtoCとの違いや事例、成功ポイントを解説

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はこの数年で日本でもかなり浸透してきたDtoCをテーマにお話しします。中小企業でも取り組む企業が増えていますが、メリットはどのくらいあるのか、BtoCなど他の手法との違いや事例、成功するために何をすればいいのかについて解説していきます。

DtoCとは

DtoC(Direct-to-Consumer)とは、自社で開発・製造した商品を直接消費者へ届けるビジネスモデルのことです。Shopifyなどのデジタルプラットフォームサービスの開始を契機に、2010年ごろ、米国からビジネスが浸透しました。日本でもここ数年で急速に普及しており、食品、雑貨、衣料、化粧品などの日用品を中心に広がっています。「売れるネット広告社」によると、2025年には日本国内で3兆円の市場規模が期待されているとのことです。

BtoCとDtoCの違い

DtoCは自社商品を直接消費者に届けるものですが、従来からあるBtoC(Business to Consumer)やEC/通販と何が異なるのでしょうか?

BtoCは企業と消費者間の取引のことで、通常、商品が消費者へ渡る流通過程でメーカー、卸売業者、小売店と複数の業者が介在します。一方、DtoCは、メーカーが「直接」消費者とつながるビジネスモデルです。流通過程で業者が介在するかどうかがその違いとなります。

また、DtoCはEC/通販とも異なります。よくある疑問として、「DtoCはオンライン通販のことではないのか?」があり、何が違うのかよくわからない方も少なくないようです。EC/通販との違いは、情報発信に関するものです。DtoCでは、企業が自ら情報発信する媒体をもっていますが、EC/通販ではそれがありません。

例えばAmazonや楽天などのECモールでは、自社の商品ページがあり、その中で情報を発信することはできますが、各モールの規定がありその制約を受けてしまいます。DtoCはその点、自社の思う通りに伝えることができるのです。

DtoCは、リアル店舗でダイレクトに消費者とつながるSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)とも混同されがちですが、これも異なるものです。DtoCはオンラインを媒体とします。

なお、DtoCの発展形として、DNVB(Digitally Native Vertical Brand)があります。DNVBも企業と消費者を直接つなぐビジネスモデルですが、サービス提供やサプライチェーンまでを統合しています。このモデルを展開できている企業は日本ではまだ少数派といわれています。

中小企業がDtoCをやるべき理由

DtoCはコロナ禍を機にオンラインによる消費が加速したことで、一段と注目されるようになりました。一方、大企業と違い、潤沢な資金やリソースがない中小企業が安易に手を出すべきなのでしょうか? ここでは、DtoCが注目される背景やメリット・デメリットについて解説します。

DtoCが中小企業で注目される背景

DtoCが注目される背景として、まず、SNSの普及で個人でもブランドづくりが可能になったことがあげられます。また、安価なデジタルプラットフォームが普及し、経験知識が浅くても着手しやすくなったこともあるでしょう。クラウドファンディングによる資金調達もより身近なものとなりました。

このように、従来に比べ、事業化のハードルが下がったことで中小企業でも検討しやすくなっています。また、中小企業庁による「JAPANブランド育成支援等事業」や、各地方自治体による助成プログラム、民間のマーケティング会社により、サポート環境も整備されつつあることも追い風となっています。

DtoCのメリット・デメリット

注目度が高く、気軽に着手しやすい環境となったDtoCですが、実際にどの程度会社に利益をもたらすものでしょうか?DtoCを実施するメリット・デメリットを見てみましょう。

DtoCを実施するメリット・デメリットは以下のようなものがあります。

メリット

  • コスト削減が可能
  • 商品のコンセプトやビジョンを伝えやすい
  • 顧客との関係強化が図れる
  • 幅広いマーケティングが行える(顧客情報の収集が可能)

デメリット

  • 初期の環境構築にコストがかかる
  • 認知喚起・集客に時間がかかる、ノウハウも必要
  • 生産管理・カスタマーサポートなどの業務で体制強化とノウハウ蓄積が必要
  • ブランド乱立:DtoCが市場浸透し、似た領域で複数のブランドがでてしまい、競争激化

DtoCでは、他社にはないユニークな商品展開と、ユーザー体験の提供によりある特定のターゲットが欲しいものを届けられます。大量生産・大量消費のモデルではないため、中小企業でも付加価値がつけやすいです。

一方、Web環境や物流販売システムなど、環境構築にかかる初期コストとリソースは中小企業にとって大きな負担です。マーケティングノウハウなどは大手企業に比べると弱い部分は否めません。

自社ブランドをゼロから立ち上げる場合、認知を得るまでの道のりが長く途中で資金が尽きて挫折するリスクも考えられます。最近はブランドが乱立して、テーマによってはレッドオーシャンになっている領域もあり、一定の認知を得ていない状態で立ち上げが難しいという声もあります。

顧客と直接つながることで、顧客の生の声が届くメリットは大きいです。顧客の声を製品に反映し、共創の世界を確立できたDtoCブランドもいろいろあります。しかしその反面、従来小売店が引き受けていたクレーム対応などに自社で対応しなければならないというリスクもあります。

このように、DtoCでは様々な側面で大きなメリットが得られますが、それがデメリットにつながる危険性もあわせもっているのです。

DtoCの事例

ここでは、国内・海外の代表的なDtoCの事例をご紹介します。いずれも中小・スタートアップの成功事例として参考になるものばかりです。

国内事例

バルクオム(化粧品)

バルクオムは、20代~30代の男性をターゲットに高品質なメンズ化粧品を扱っています。「最も優れた化粧品は何か?」という疑問が、出発点となり2013年に事業化されました。「メンズスキンケア」という新ジャンルを確立させたDtoCのパイオニア的存在です。

パッケージは、従来のメンズスキンケアのイメージを変えるハイセンスなデザイン性の高いもの。Webメディアもそれに合わせ統一感のあるビジュアルとなっており、「男たちの本気のスキンケア」をキャッチフレーズにしています。2020年に木村拓哉の起用で話題となったTV CMの映像を全面に出した演出となっています。

初回70%以上の高い割引に各種特典を付け、定期コースを促す施策を採用。LINE、Facebook、Instagramといった幅広い媒体を活用、デジタル広告とSEOで接点を増やし、チャットサービスなどと組み合わせて醸成を図っています。

COHINA(衣料品)

COHINAは2017に女性2人で立ち上げた衣料品を扱うDtoC。創業者自身の悩みをもとに、「150cm前後の小柄な女性にあう洋服」をコンセプトとして起業したということです。

主な発信媒体はInstagramでフォロワー数23万人。Instagram上で日々ライブ配信を行い、ユーザーとのコミュニケーションが活性化されています。ユーザーの立場である小柄な一般女性を起用し、モデルだけでなく企画から参画させているのが特徴的です。ターゲットであるユーザー自身が自分自身の魅力を発信する内容となっており、それがよい顧客体験の場につながっている模様。初めての購入は送料無料、友達紹介で3,000円割引のクーポンが発行されます。

バルミューダ(家電)

バルミューダは空調やキッチン家電を手掛けている。DCモーター搭載の扇風機やスチームトースターなど、機能性とデザイン性を兼ね備えた製品で話題になっています。同社は機能ではなく体験をコンテンツのストーリーにのせて提供しています。例えばトースターでは、パン屋の焼きたてパンのように美味しいパンを食べられるという「体験」を提供。

オンラインだけでなく店頭でも30日間の返金保証をつけている点がユニークです。

石川鋳造(キッチン用品)

石川鋳造は、鋳鉄鋳物の製造業で、工作機械、水道のバルブや異形管、ロボットや重機の部品などを手掛けている。「お肉がおいしく焼けるフライパン を手掛け、肉の専門店との連携サービスを展開しています。

景気に左右されにくい製品として「お肉がおいしく焼けるフライパン」に着目、DtoCを始めました。2020年には、このフライパンの良さを伝えるためにお肉の専門店と連携して「お肉のサブスク」を立ち上げ。同社のフライパンを持っていないユーザーには無償で貸与するサービスを実施しています。

海外事例

Warby Parker(日用品)

WarbyParkerはメガネを手掛ける先駆的DtoCブランドとして有名な企業です。創業当初はオンラインのみで販売していたが現在はリアル店舗展開も行っています。「家から出ずに試着できる」がキャッチコピーとなっており、無料で5フレームまで試着が可能です。返品も無料。メガネ1本購入に対し、必要な人に1本寄付する「Buy a Pair、Give a Pair」というユニークな取り組みをしています。

サイト上で試着したユーザーのレビューが閲覧可能です。ユーザーのよくある質問である、価格、品質、サービスのテーマ別に閲覧できるようわかりやすい見せ方になっています。

Koala sleep(寝具)

オーストラリアの元ラガーマンが創業したマットレスのDtoC。2017年、日本に上陸しました。メルマガを登録するとお得なセールや割引クーポンが提供されるようになっています。このほか誕生日や季節の行事など、頻繁に割引キャンペーンが実施されています。

FacebookやYouTubeなどを活用し睡眠の大切さを伝えています。「マットレスで飛び跳ねてもワインがこぼれない」という動画が注目を集めていますが、こうしたコンテンツはユーザーを「寝心地を実際に体験してみたい」という気持ちに巧みに誘導していると思われます。また、その寝心地をじっくり試せるようにと全商品に120日保証がついています。

Allbirds(靴)

Allbirdsは靴のDtoCブランドです。素材であるメリノウールの特性を靴産業に活用できないものかと、再生可能エネルギーの専門家と靴用の素材を開発し、創業となりました。環境にやさしいサステナブルな取り組みに力を入れており、それを自社の媒体を使って発信しています。シンプルな設計をコンセプトにしており、靴業界で定着していた派手なロゴや不要な装飾物を一切取り払い、「天然素材を使った世界で最も快適なシューズ」を前面に打ち出しています。

オンライン購入の場合、どうしても靴の履き心地やフィット感に関する不安が残りますが、これを取り払うために、「どれだけ履いても30日間返品可能」という方針を打ち出しています。

DtoCの成功ポイント

ここでは、DtoCを検討するにあたって、どういうことを実践すると成果につながりやすいか、一般的に言われていることや、過去事例でうまくいっている施策などから考察します。

SNSを活用

DtoCではSNSを積極的に活用していきましょう。顧客との接点を増やして、商品を知ってもらう機会を多く作ることが望ましいです。

ただし、ここでいう「商品を知ってもらう」とは、従来のpush型の情報配信のことではありません。宣伝は一定の認知を稼ぐことはできますが、共感を呼びにくく、鬱陶しいと敬遠されてしまう場合もあります。SNSは顧客とのコミュニケーションの場として活用しましょう。

SNSをうまく活用することで、興味をもってもらったユーザーを囲い込み、自社の商品サービスのファンに育てていくことも可能です。

ブランディングに力点・顧客体験を提供

DtoCでは自社で情報発信媒体を持っています。その媒体を使って、イメージやストーリーを継続的に伝えていくようにしましょう。そうすることで、ユーザーの共感を呼び、商品に対するブランド認知を高めることができます。

自社の発信媒体をもっていたとしても、商品の特徴やスペックをただただ伝えるだけではユーザーの共感を呼ぶことは難しいです。大切なのは「商品に対するビジョン」をユーザーと共有すること。その商品があることでどんな未来が実現するのか、ユーザーの生活がどう変わるのかを視覚的に「体験」させるコンテンツが有効です。成功しているDtoCブランドは、商品そのものを売るのではなく、顧客体験の提供を重視しています。

また、商品を開発するきっかけとなった思いや、商品が完成するまでのプロセスをストーリーにのせて語るのもよいでしょう。

独自色を打ち出す

DtoCでは一般消費者に大量に出回っている商品を扱っても訴求しにくいです。どこででも手に入るものをわざわざそのサイトから購入することは通常考えられません。DtoCに出す商品・サービスは、オリジナリティの高いものが求められます。

対象とすべきなのは、一般ユーザーではなく、「尖ったニーズ」をもつ特定セグメントです。成功しているDtoCの事例を見ると、世の中にはなかったが、創業者自身が必要にせまられて「自ら開発した」という商品が目立ちます。規格外の商品を「どうしても欲しい」という層は少数派ですが、世界中の少数派を集めるとボリュームは大きくなります。商圏が限られたリアル店舗では難しくても、オンラインならビジネス機会となります。

また、顧客の声をダイレクトに収集できるので、それを製品に反映することも可能です。顧客をモノづくりの場に参画させることで、生産者と消費者の一体感が強まり、よい循環を生み出します。

DtoC構築のデジタルプラットフォーム

中小企業がDtoCに取り組むにあたり一番のハードルとなるのは、初期の環境構築コストとリソースです。自社で一から構築していたのでは、リリースまでに費用と時間がかかってしまいます。その手間と費用を削減できるのがデジタルプラットフォームです。

ここでは、DtoCを構築するためのデジタルプラットフォームを紹介します。

Shopify

Shopifyは世界175か国で170万以上の店舗に利用されている世界最大級のプラットフォームです。初期費用がかからず、月額費用も29ドルからとなっているため、手軽に利用できます。

マルチの販売チャネルを備えており、FacebookやInstagramなどのSNSからの投稿で販売できます。利用できる決済サービスも豊富で、拡張性も高いため、越境ECにも向いています。またWebサイトのテンプレートは100種類以上あり、ビジュアルを伝える際のデザインの自由度が高いです。

<詳細はこちら>
https://www.shopify.jp/

BASE

BASEは国内ASP型のECサイトプラットフォームです。初期費用、月額費用ともに無料から開始できます。商品が売れた際に、サービス料(3%)と決済手数料(3.36%)がかかる仕組みです。商品が売れるまでは費用が発生しないため、お試し用に適しています。

専門知識がなくても簡単にショップサイトを立ち上げられるよう工夫されている点が特徴で     す。例えば、サイトのデザインでは、パーツを選んでドラッグアンドドロップで簡単に制作できるようになっています。シンプルで機能が絞られているため制約はありますが、初心者にわかりやすいと評判です。

<詳細はこちら>
https://thebase.in/

STORES

STORESは、毎月1万ショップが利用するプラットフォームです。初期費用はかかりません。月額費用がかからないフリープランと、有料プラン(月額2,178円)があります。決済手数料はフリープランが5%、有料プランが3.6%です。プランは途中で変更できるので、立ち上げ初期はフリープランを活用し、ショップの販売が軌道にのったら有料プランに切り替えるというように、ランニングコストを抑えることが可能です。

スマートフォンからでも開設可能で、電話やメールで開設のサポートを受けられます。ただしサイトのHTML編集はできないのでデザインの制約が入ります。

<詳細はこちら>
https://stores.jp/

まとめ

DtoCは、デジタルという手段で自社商品を直接消費者に届けるビジネスモデルです。SNSでユーザーと直接つながる機会が増えたことと、デジタルプラットフォームの普及などで、中小企業でも検討しやすい環境となり、ここ数年、注目を集めています。

実際、中小・スタートアップで成功した事例もたくさんあり、新たな市場セグメントを確立するまでに至ったケースも少なくありません。これは、ある特定のセグメントに向けて「あったらいいのに」というユーザーの心を動かすビジュアルメッセージやユーザー体験の提供により実現したものばかりです。

一方、何もないところから立ち上げるまでの初期コストやリソースは、中小企業にとって大きな負担です。少ないリソースでも、少額から立ち上げることはできますが、認知度が上     がらなかったり、付加価値の高い商品につなげることができずビジネス継続が難しかったりするケースもあります。自社に知見やリソースが少ない場合、外部パートナーの力をうまく活用した方がよいでしょう。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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BtoB製造業のカスタマージャーニーマップについて考える

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はカスタマージャーニーをテーマにお話しします。カスタマージャーニーを作るメリットや具体的な作り方、BtoB製造業における注意点などについて解説します。

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、顧客が製品・サービスを認知してから購入/利用するまでの一連のプロセスのことです。その顧客がたどるプロセスを旅路に見立てジャーニーとしています。旅路における顧客とサービスの接点や顧客の行動心理などを整理して可視化したものがカスタマージャーニーマップになります。

カスタマージャーニーマップは、顧客の状況や自社施策をまとめたマーケティングの設計図のようなものです。マーケティング活動に活用することで、顧客が必要なタイミングに、必要な情報が届けることができ、購入を促すことができます。

カスタマージャーニーを作成するメリット

企業がカスタマージャーニーを作成するメリットはいろいろありますが、ここではBtoB製造業に対するメリットとして、主に3つのポイントを解説します。

組織全体でベクトル合わせができる

BtoBでは、受注に至るまでにBtoCよりも多くのメンバーが関わります。カスタマージャーニーマップを作成することで、すべての組織で共通認識が生まれ、同じ目標に対して同じ方向を向いて活動できます。個々の担当者の思い込みが排除できるので、個人の力量に依存しない組織全体での最適化が図れる。

顧客の状態にあった最適なアプローチができる

カスタマージャーニーマップを活用すると、顧客側の行動心理を時系列で追跡することができます。そのため顧客の「今」の状態にあわせて最善の施策を打つことが可能になり、購買促進や顧客満足度の向上につながります。

プロセスごとに進捗や達成度を可視化できる

カスタマージャーニーにおける各プロセス・施策ごとにプロセスの達成度を可視化できます。そのため、顧客がどの段階でどういう成果がでているのか、どういう課題があるかが明確になります。これは組織の中でも管理しやすく、PDCAを素早く回すことが可能です。どの施策に先に実施すべきなのかの優先順位付けを行うのにも役立ちます。

カスタマージャーニーマップを継続的に活用することで、ノウハウが組織で蓄積されていきます。ブラッシュアップしつづけることで大きなビジネス成果を得ることができます。

BtoB製造業のカスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップは、BtoBでもBtoCでも概ね共通の手順にて作ります。ここでは、一般的な作り方を5段階のステップでご紹介します。各ステップにおいて、BtoBならではのポイントも説明します。

1、ペルソナを設定する

まず、ターゲットとなる顧客の人物像を明確にします。顧客というと企業全体でとらえてしまう方もいらっしゃいますが、ここでは企業の中の個人が対象です。ただし、個人は企業を代表して動くのが前提となります。BtoB製造業の場合、企業内の複数の人・組織を経て購買に至るので、各役割におけるキーパーソンにフォーカスするのがよいでしょう。

ターゲットが複数いる場合、別々にペルソナを設定することになります。BtoBの場合、業務上の悩みや仕事スタイル・嗜好性を見た方がよいでしょう。顧客にヒアリングをし、それを拠り所に作成することが望ましいです。

2フェーズを設定する

次に、認知から受注に至るまでの顧客の行動フェーズを設定します。通常、購買行動モデルを参考に当てはめて考えていきます。BtoB製造業の一般的な購買行動モデルとして、ASICA(アシカ)*1があります。

ただし、商材によっては、一般的な購買行動モデルにあてはめにくいものもあります。また、BtoBの場合、担当役割によっても行動が異なることです。購買行動モデルに囚われず、ビジネス形態や、自社の目的にあわせて設定してみてください。

*1)BtoBの購買行動モデル ASICA(アシカ):

    • Assignment(課題)
    • Solution(解決)
    • Inspection(検証)
    • Consent(承認)
    • Action(行動)

3、タッチポイントを洗い出す

このステップでは、自社と顧客の接点となるポイントを考えます。BtoBの場合、受注に至るプロセスがパタン化されているため、そのパタンに沿って洗い出していくとよいでしょう。

タッチポイントと併せて、接触するメディアなどの媒体が何かも一緒に考えていきます。

タッチポイントを考える際の注意点として、今現在の活動において、どこにどういう接点があるかも見た上で検討するとよいでしょう。現状を無視して、理想を追い求めてしまうと絵に描いた餅となってしまい、実際の施策にうまく落とし込めないことがあるためです。

なお、複数ペルソナがある場合は、それぞれに対して別々にタッチポイントを考えます。同じ企業でも役割担当によりタッチポイントが異なるからです。

4行動・感情を整理する

ペルソナがどの段階でどんなアクションを行い、どんな心理状態なのかを考えます。例えば、課題解決に向け情報収集をしたい場合、ネット検索で関心の高いテーマのサイトを閲覧したり、展示会に足を運んだりします。比較検討の段階では、候補となる製品のデモ動画を視聴したり、サンプルを取り寄せたりします。

こうした行動やその際の感情は、基本、③で洗い出した個々のタッチポイントに対して考えていきますが、そのタッチポイントに限らず、その接点の前後の行動にあたる周辺までみていくとよいでしょう。顧客へのアンケートやヒアリングを活用し、多角的な視点で顧客行動を見ていくことが必要です。

5、マップに落とし込む

最後に、①~④の結果を実際のマップに落とし込んでいきます。マップの横軸には、時系列にフェーズを並べます。縦軸には、タッチポイントと媒体チャネル、行動、感情、そしてアプローチ施策を置いていきます。

わかりやすくするために、グラフなどを用いてビジュアル化してもよいでしょう。

カスタマージャーニーマップを作る上で押さえるべき5つのポイント

ここでは、カスタマージャーニーマップを実際に作る上で、BtoB製造業として注意しておきたい事項について説明します。

対象と目的は明確化されているか?            

カスタマージャーニーマップに限らず、計画立案時によく言われていることですが、手段が目的にならないようにするということはとても重要です。マップを作ることが目的にならないように注意しましょう。

また、ペルソナの対象はできるだけ具体的に設定した方がよいです。抽象的な設定をしてしまうと、対象がぼやけてイメージしづらくなります。

顧客視点で考えられているか?

顧客視点が重要ということは誰もが認識する当たり前の話になりますが、考えられていないケースが少なくありません。それは、顧客視点といいながら、自社にとっての理想像や、担当者の思い込みになっているケースが多々あるからです。

顧客視点で考えるには、営業やカスタマーサポートなど顧客と日頃接点をもつ担当者を巻き込むことが必要です。顧客自身が実際に述べた意見を拾うようにし、自社担当者が考える想像上の顧客イメージを盛り込んでしまわないよう気をつけましょう。

優先順位はつけられているか?

カスタマージャーニーを検討する際には、目的やゴールに対する優先順位を常に意識することが重要です。

理想を追いすぎてしまって現実とかけ離れたものができあがってしまわないよう、現状を見ながら検討していきましょう。なんでもかんでも緻密に考えすぎてしまうと冒頭で述べた手段が目的化してしまうことになりかねません。

フェーズごとにKPI設定されているか?           

カスタマージャーニーを考える際には、各フェーズ、タッチポイントごとにKPIを設定することが望ましいです。最終目的からの逆引き設計でKPIを考えていくとよいでしょう。

目的は、KPIの管理ではなく、PDCAを回してビジネスを改善することです。そこを見失わないようにしましょう。

作って終わりになっていないか?       

カスタマージャーニーマップは作って終わりではありません。実際に活用しながら課題を見つけ改善していくことが求められます。

顧客の行動を観察し、マップとあわない部分はどこか洗い出しましょう。顧客と直接接点がある営業やカスタマーサポートの部門から定期的に意見を吸い上げる仕組みを構築しておくことが肝要です。課題がどこにあるのかを検証し、タッチポイントやチャネル、施策を追加変更してPDCAを回していきましょう。

カスタマージャーニーに役立つツール

ここでは、カスタマージャーニーマップを作成する際に、役立つツールを3つ紹介します。

KARTE

株式会社プレイドが提供するカスタマージャーニーを分析・可視化するツールで、サイトやアプリの訪問者の行動や感情をリアルタイムに解析可能です。 カスタマージャーニーは、訪問者がWebサイトに訪れた理由を蓄積された情報からの推測により作成できます。

詳細はこちら

Salesforce Marketing Cloud

株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するMarketing Automation(MA)ツールです。カスタマージャーニーマップは、MAツール内の「Journey Builder」でカスタマージャーニーマップを作成できます。またSalesforce向けの「GetFeedback」を使用すると、カスタマージャーニーの重要なタッチポイントで、自動的に顧客フィードバックを収集できます。

詳細はこちら

AD EBiS

株式会社イルグルムが提供するアクセス解析ツールで、媒体・デバイスを横断したデータ取得が可能で、すべての流入チャネルを統合管理できます。カスタマージャーニー分析機能が搭載されており、「施策にどのくらい寄与したか」や「接触者と非接触者の違い」を比較検証できます。

詳細はこちら

カスタマージャーニーマップは、無料で使えるテンプレートが各社から提供されています。検索ワードで「カスタマージャーニーマップ テンプレート」と入力すると提供しているサイトが見つかるので、作成に慣れていない方は参考にしてみてください。

まとめ

カスタマージャーニーマップは、顧客の製品認知から購入に至るまでの旅路を可視化したもので、顧客接点・行動心理、施策をまとめたマーケティングの設計図です。このマップを組織全体で活用することで、組織全体で共通のゴールに向かって最適化が図れ、顧客起点でマーケティング活動が行えるようになります。

カスタマージャーニーマップは、対象となるペルソナの設計から始まり、顧客の購買行動に従って、顧客接点や行動心理を整理しながら作成していきます。BtoB製造業の場合、商材によってパタン化された流れがあるので、自社の現状を各フローで整理しながら作成するとよいでしょう。カスタマージャーニーマップはあくまでもマーケティング活動全体を改善するための手段のひとつです。手段が目的にならないよう気をつけたいものです。

カスタマージャーニーは、MAツールやアクセス解析ツールなどを活用して自動的に可視化・分析することができます。また、カスタマージャーニーマップのテンプレートもいろいろ出回っています。これらのツールを活用することで効率化を図れます。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

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なぜ進まない?中小企業のセキュリティ対策の現状と必要性

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は「中小企業のセキュリティ対策」をテーマに取り上げたいと思います。

セキュリティ対策は企業の大小問わず重要度の高い問題ですが、中小企業では、費用やリソースの問題もあり、対策に手が回らない企業も少なくないようです。しかしながら、サイバー攻撃は大企業だけにあるものではなく、最近は逆に狙われるケースも出ています。

さらに、個人情報保護法が改正となり、中小企業も対象となりました。個人情報の流出は会社の信用を落とすリスクも高いです。内容を把握していない状態で、こうした問題に直面してしまうと対応が遅れにつながり、ビジネスに大きな損失をもたらすリスクがあります。

そこで本記事では、そうした背景を受け、中小企業のセキュリティ対策の現状と必要性、やっておくべき対策について解説します。

中小企業のセキュリティ対策の現状

サイバー攻撃のトラブルが増えています。警察庁が2022年4月に発表した調査によると、2021年の1年間でランサムウェアの被害が急増しました。2021年の企業・団体における被害件数は146件。このうち下期は85件で、前年同期の実に4倍以上となっています。

同調査によると、最近のサイバー攻撃は企業規模によらず発生しており、実際にランサムウェアの被害にあった企業の過半数が中小企業です。テレワークが普及し、外部からのネットワーク接続が増えた結果、VPN機器の脆弱性から感染するパターンが見受けられるようになりました。

こうした状況は、ランサムウェアに限った話ではありません。情報処理推進機構(IPA)が行ったアンケート調査によると、中小企業の1割はなんらかのセキュリティトラブルを経験しているとのことです。

セキュリティトラブルは、中小企業にとってもはや身近な脅威となっているのです。

中小企業の対策は進んでいるのか?

では、中小企業では対策はどのくらい進んでいるのでしょうか?IPAの調査が2021年度に行ったセキュリティ対策の実態調査によると、中小企業のIT投資はここ3年で増えているものの1/3の企業は投資をしていない状況で、それは以前とあまり変わっていません。運用状況はここ5年で改善するも、セキュリティ製品/サービスの導入は進んでいないという結果となっています。

投資に消極的な理由として、最も多かった回答が「必要性を感じていない」であり、「費用がかかる」を大きく上回りました。また「効果が見えない」という回答も目立っています。

セキュリティ問題は注意しなければならない問題としての認識はあるものの、大企業のようにIT部門があるわけではなく、情報セキュリティの専門知識をもった人材がいないのが現状と思われます。

もし対策しなかったら?主なセキュリティ問題とその影響

ここでは、中小企業でもよくある主なセキュリティトラブルとその被害の影響についてお話します。

3つのセキュリティトラブル

セキュリティトラブルとしては、次にあげる3種類の問題があります。

  • 金銭問題
  • 信用問題
  • 業務問題

「金銭問題」は取引先や顧客からの損害賠償の請求や、不正送金・クレジットカードの不正利用に関する問題です。特に近年被害が急増しているのが「フィッシング詐欺」で、2021年に報告された件数は22万8,227件と、2年前の4倍に膨れ上がっています。フィッシング詐欺は、実在する企業や組織を騙ってメールなどを送信し、偽のホームページに誘導して、クレジットカードや口座番号、IDやパスワードといった情報を入力させるものです。

「信用問題」は、企業取引における顧客やビジネスに関わる機密情報が漏えいすることで企業の信用が失われる問題のことです。サイバー攻撃により、IDやパスワードの情報を抜き取られることで情報漏えいにつながる事例や、個人情報管理の観点からトラブルに発展する事例があります。いずれの場合も問題を起こした企業から顧客が離れていき、取引停止されるリスクが高いため、会社の屋台骨を揺るがしかねない重要な問題です。

「業務問題」は、職場における通常業務に影響する問題です。例えば会社で利用しているコンピューターがセキュリティ被害を受けると、その対策としてサーバーの停止やネット接続の遮断を余儀なくされます。そうすることで、業務に活用しているシステムがダウンし、従業員が利用できなくなってしまいます。オフィスでの業務はこうしたシステムの利用を前提としているため、業務自体が遂行できなくなってしまうのです。

個人情報管理の問題

従来の個人情報保護法は、大企業だけが対象とされていました。しかし、2022年4月に改正されたことにより、中小企業も規制対象となり、法律上でも取り扱いの管理強化が求められるようになりました。

改正個人情報保護法では、個人情報の取り扱いルールがより厳格になり、権利保護が強化されています。具体的には以下の4項目に対するものです。

  • 個人情報の取得/利用
  • 個人情報の保管/管理
  • 個人情報の第三者提供
  • 情報開示請求などへの対応

個人情報の取得/利用に関しては、情報取得の際、本人に対して事前に同意を求める手続きが必要になっていました。しかし改正後は、本人だけでなく個人情報保護委員会にも届け出ることが義務付けられました。また、情報の利用に対しても個人が取得した企業側に対し、情報の利用停止を求めたり、データの抹消を要求したりできる範囲が拡大しています。

例えば、メール配信の配信停止要求の際に、この改正法が適用されます。企業が発行するメールに対して、配信停止のリクエストをしたにもかかわらず、その依頼の後でもメールが届いてしまう場合があります。改正法では、ユーザーは、個人データの利用そのものを停止するといった、より強い要求を企業側に請求できるようになります。

また、従来あいまいになっていた第三者提供の情報も、本人が企業側に開示請求できるようになりました。これにより、企業側は、個人情報を外部の企業に提供する際、その記録をとって管理しておく必要が出ています。

個人の購買履歴などの個人関連情報についても、個人情報と紐づけする際に第三者提供に該当する可能性があります。またCookieや位置情報に関しても同様です。個人行動履歴からターゲティングを行う販促プロモーションを行う場合、注意が必要になります。

情報漏えいが起きた際の告知義務も、改正により厳しくなりました。本人への連絡だけでなく、個人情報保護委員会への告知も義務付けられています。漏えいの内容も、サイバー攻撃だけでなく、メールの誤送信やシステム管理における操作ミスによるものも対象です。

最低限やっておきたいセキュリティ対策

ここからは、最低限押さえておきたい基本的なセキュリティ対策についてお話しします。普段からセキュリティ対策をしっかり行っている企業にとってはどれも言わずもがなの内容かもしれませんが、「何をやればよいのかわからない」という方は、手始めにここで解説する内容から着手してみるとよいでしょう。

不正アクセス・情報漏えいに関する対策

不正アクセスや情報漏えいに関しては、IPAが提唱している「情報セキュリティ5か条」から対策するのがよいと思われます。

  • OS/ソフトは常に最新の状態にし、こまめに修正プログラムを適用する
  • ウイルス対策ソフトを導入し、定義ファイルは自動更新されるように設定する
  • パスワードは、長く複雑なものを設定し、複数で使いまわさない
  • ネットワーク接続のハードディスク、クラウドサービスなどの共有範囲を限定する
  • セキュリティの脅威やサイバー攻撃に関する最新情報を日ごろから収集しておく

参考)IPA 情報セキュリティ5か条
https://www.ipa.go.jp/security/security-action/download/5point_poster.pdf

これらは新しくなにかを検討するものではなく、今すでに使われているものを再確認することで簡単に対応できるものばかりです。

セキュリティ対策に予算を割く余裕がない企業も多いかもしれませんが、今使っているシステムのOSやアプリケーションに標準装備されたセキュリティ機能、無償のソフトを活用するだけでも十分効果的です。大切なのは、お金をかけることではなく、こうした対策をルール化して従業員ひとりひとりが順守できる環境を構築することです。そのための従業員教育も併せて行っておくとよいでしょう。

個人情報/機密保持管理対策について

個人情報や機密情報に関しても、同様に情報保管のルール策定と遵守のための環境づくりを行うことが重要になります。

顧客情報の場合、複数の組織・担当者がバラバラにデータを持っていることが往々にしてあります。その場合、顧客から開示要求があった際に情報収集に時間がかかってしまいかねません。また、同じ顧客の情報が重複して別部門に存在すると、どちらが適切な情報なのかわからなくなります。速やかに対応できるよう、情報の一元管理が必要です。

こうした機密情報の管理は、取引先についても管理する必要があります。ビジネス上の取引先だけではなく、業務委託先についても対応の徹底が求められます。中小企業にありがちなのが、自社のWebサイトやSNSの運用などを外部業者に丸投げして、管理を任せきりにしているケースです。WebサイトやSNSには、Web上での問い合わせなどの顧客情報や、イントラネット上で限定している特定の機密情報などが含まれている可能性があります。こうした外部業者に対しても、秘密保持を要請しておくことが必要があります。

テレワーク対策について

コロナ禍を契機にして、テレワークで業務を行う機会が大幅に増えました。テレワークの環境では、オフィスと異なり、様々な機密情報漏えいリスクがあります。例えば、インターネット上のやり取りでは、第三者によるデータ盗聴のリスクがあります。また個人が所有するPCを利用する場合、個々の従業員が自分自身でセキュリティ対策をしておかなければなりません。

テレワーク環境でオフィスと同じように安全なデータのやり取りを実現するには、ゼロトラストのような概念を導入・検討する必要があります。一方、ゼロトラストはコスト高で導入に長い期間が必要のため、中小企業がまともに取り組むには費用やリソースの面から難しいかもしれません。

基本的には、テレワークにおいても、まず先に示した「情報セキュリティ5か条」に沿った対策でよいと考えられますが、それだけでは安全性に欠ける部分もあります。例えば、パスワードについては、単に長く覚えにくいパスワードを用意しておくだけの対策では不十分です。スマホを使ったショートメッセージサービス(SMS)の受信確認コードによる二段階認証や、指紋や顔などの生体認証を併用した多要素認証を検討することをおすすめします。

まとめ

テレワークが進んでから、サイバー攻撃の問題が増加しています。最近では、企業の大小問わず攻撃の対象になっており、中には対策が弱い中小企業が狙い撃ちされるケースも出ています。また、今回個人情報保護法が改正され、中小企業も規制の対象となり、もはや対岸の出来事ではなく、すぐにでも取り組むべき緊急性の高い事案になっています。

一方、いまだ「必要性を感じない」「費用が捻出できない」など意識レベルが低い企業が目立っているのが現状です。実ビジネスに手いっぱいで「いつ起きるかわからない」セキュリティトラブルに思いをはせる余裕がないのかもしれません。

ただ、情報セキュリティの基本的な対策は、それほどハードルが高いものではありません。大掛かりなツールを導入して専門部隊をあてがわないと対処できないというイメージがありますが、現在使っているシステムに備わっている機能や低コストのツールでも、十分に対策できます。

被害を最小化するために考えるべきことは、従業員ひとりひとりができることから適切に対応していくことです。そのための対策のルール化や、情報共有の場を設けることが、対策の第一歩となるのではないでしょうか?

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BtoB企業が海外でやるべきSNSは?海外のSNS利用動向

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、BtoB企業が海外でSNSマーケティングを検討するにあたって役立つ、海外SNSの利用動向について取り上げます。

企業における海外向けSNSの利用動向

コロナ禍以降、デジタル活用の動きが活発になっていますが、その流れの中で、SNSのグローバル展開を検討する企業が増えています。SNSは、潜在顧客への認知喚起やブランディングとして企業に積極的に活用されています。それは国内に限らず海外でも基本的に目的は同じです。

ただし、ソーシャルメディアの活用方法は国によって特性が異なります。Facebookの利用率が非常に高い国もあれば、独自SNSが発展した国もあります。ユーザーの属性、用途は国によってバラバラです。全く同じ投稿でも文化の違いや国民性によって受け入れられるものとそうでないものがあります。

海外でSNSを活用するのであれば、対象国のSNS利用状況や各国のソーシャル事情を理解した上で情報発信したいところです。ここからは、世界各国のSNS利用状況について解説いたします。

BtoBで主に使われるSNS

BtoBの領域でも、海外でのSNS活用を積極的に行っている企業が多いです。現在は、海外進出先、特に日本の周辺国であるアジアやアメリカなどで主に検討されています。

BtoBで主に海外向けに利用されているSNS媒体は、主にFacebook、Twitter、YouTube、LinkedInの4種類です。グローバルでシェアの高い媒体で情報発信されている傾向がありますが、中国のように政府規制が入っていて発信が難しいところでは、自国のローカルSNSも対象になります。

BtoBが海外活用する主要SNS

ここでは、BtoB企業が海外でよく使う主なSNSについて、利用者数の多い国地域や、中核となる利用者の属性について簡単に概要を説明します。

Facebook

Facebookは、全世界で利用者数が最も多いSNSです。2022年1月時点で約29億人が利用しています。実名制SNSであり、ターゲティング精度が高く、低価格で広告運用しやすい特徴があります。

地域別にみると、特に浸透率が高いのは東南アジアで、なかでも台湾、フィリピンはネット利用者の9割を超えるユーザーが利用しています。欧米でも利用者は多く、浸透率は概ね6割前後となっていますが、足元は伸びが鈍化しています。

YouTube

動画SNSで、近年目覚ましく成長しているのがYouTubeです。2022年1月時点での利用者は約26億人で、Facebookに次ぐ規模になります。Facebookの利用者が全体的に鈍化基調なのに対し、YouTubeはここ数年、Facebookの倍のスピードで伸び続けています。

YouTubeは地域問わず普及していますが特に欧米の浸透率が高く、おおむね8割前後となっています。また幅広い年齢層に受け入れられており、広告のリーチも高いです。動画マーケティングの注目度の高さもあって力を入れている企業が非常に多いです。

Twitter

Twitterは匿名で情報発信できるSNSで、拡散力の高い媒体です。2022年1月時点の利用者は約4.3億人となります。情報収集目的で利用するユーザーが多く、ニュース性の高い発信が好まれる傾向にあります。

利用者が一番多い地域は米国、次いで日本です。日本ではネット利用者の過半数がTwitterを利用していますが、海外ではそこまで浸透率は高くありません。比較的浸透している米国や英国でも浸透率は3割前後になります。

LinkedIn

LinkedInはビジネス特化型のSNSです。日本ではほとんど普及していませんが、世界では8億人以上が利用しています(2022年1月時点)。25~34歳の若手ビジネスユーザーが中核で、リクルーティング目的で活用している企業が多く、人に焦点をあてた発信内容が目立ちます。

主な地域のSNS事情

ここでは、BtoBで対象となる主な地域について人気のSNS媒体の傾向や主な利用者層、用途について簡単に整理します。

米国

米国で普及しているSNS TOP3は以下になります。

  • 1位:YouTube
  • 2位:LinkedIn
  • 3位:Facebook

米国ではYouTubeの普及がダントツ1位です。2位はLinkedIn、3位は僅差でFacebookとなります。LinkedInに関してはメンバーの登録数をベースとしているので同じ土俵での比較ではないことをご注意ください。Facebookは以前YouTubeと同等の水準でしたが、近年その差が広がっています。

米国は日本同様、若年層のFaceboo離れが進んでいて利用者層の高齢化が進んでいます。Instagram(現在4位)が追い上げており勢いが強いです。

中国

中国のSNS TOP3は以下です。

  • 1位:WeChat
  • 2位:Sina Weibo
  • 3位:Baidu Tieba

中国は政府の規制で外国のサービスが遮断されているため、ローカル企業によるサービスが強くなっています。1位のWeChatは、いわゆる中国版LINEで、年代問わず広く使われています。ビジネス利用率も高いです。2位のSina Weiboは、中国版Twitterで、10~30代の若手層に人気です。

韓国

韓国のSNS TOP3は以下です。

  • 1位:Kakao Talk
  • 2位:YouTube
  • 3位:Facebook

1位のKakao Talkは、韓国ローカル企業が運営するメッセンジャーアプリでLINEに近いです。幅広い年齢層で活用されていますが、特に40代以上の利用率が高い状況です。3位のFacebookは日本と違い、若年層に受け入れられています。

台湾

台湾のSNS TOP3は以下です。

  • 1位:Facebook
  • 2位:Instagram
  • 3位:LINE

台湾ではFacebookの利用率が非常に高く、ネット利用者の9割超が利用しています。一方台湾ではTwitterは全く使われていません。台湾では口コミよりもブログが人気を集めており、ブロガーを活用したインフルエンサーマーケティングが有効になっています。

BtoB企業の海外SNS事例

最後に、BtoB企業の海外の取り組みについて2社ご紹介します。

オムロン株式会社

制御機器、電子部品を手掛けるオムロンは、中国ではWeChatとSina Weiboを活用し、それ以外の海外ではFacebookとLinkedInを使って情報発信をしています。 同社はオウンドメディアに力を入れており、SNSもこうしたメディアへ誘導するものが目立ちます。

Facebook: https://www.facebook.com/omron.corporation.global
LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/omron-corporation/

株式会社三ヶ島製作所

三ツ島製作所は自転車ペタルや自動車部品を手掛ける従業員85名の企業です。企業規模は小さいですが、数年前からSNSで積極的に情報発信を行っています。Instagram とYouTubeは英語で情報発信しており、Instagramではフォロワー数が1万人に達しています。投稿頻度は月に数回程度とそれほど高くないですが、クオリティの高さがうかがえる写真投稿が目を引く内容となっています。

Instagram: https://www.instagram.com/mkspedal/
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCHyzsDrJ0Yfu2UlMXdxWf2g

まとめ

認知喚起やブランディング目的で海外のSNS活用を検討するBtoB企業が増えています。BtoB企業が活用する媒体はグローバルでシェアが高いFacebook、Twitter、YouTube、LinkedIn の4種類です。

ソーシャルメディアの活用のされ方は国によって特性が異なります。YouTubeはどの国でも人気が高いですが、特に欧米が顕著です。台湾などアジアではFacebookの利用が非常に高いですが、米国では若手層が離れていく傾向にあります。中国のように独自SNSが活用されている国もあります。

国ごとに出し分けるのは手間がかかりリソースがないとなかなか難しいですが、企業規模は小さくても高い認知度を獲得できている企業もあります。国ごとの特性の違いを見ながらうまく活用していくとよいでしょう。

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BtoB製造業のWebサイト制作において大切なこと

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はBtoB製造業のWebサイト制作について取り上げたいと思います。

BtoB製造業がWebサイトを新規あるいはリニューアルを検討する際、どういったことに気をつけておきたいのか、そのポイントも解説。また、BtoCのサイト制作との違いやおすすめの制作会社についても取り上げます。

BtoB製造業のWebサイト制作とは

BtoB製造業におけるWebサイトは、誰のためにどんな目的でどんな情報を提供するものでしょうか?ここでは、まずWebサイトの役割と目的について解説します。さらに、BtoBサイト制作の上で求められる事項や、BtoCサイトとの違いについて説明します。

BtoBサイトの役割と目的

BtoBサイトの役割は、企業活動や対象によってさまざまです。

営業活動においては、その対象は「顧客」です。顧客が製品・サービスの購入を比較検討する際、必要な情報を提供できることが役割となります。

ターゲットがまだ取引実績のない未知の顧客の場合、Webサイトは集客の役目も担っています。これは、見込み客を集め、情報提供で醸成し、問い合わせなど次の行動喚起を促すことです。一方、既存顧客に対する継続的なサポート情報の提供や、問い合わせ対応などのアフターフォローもその役割に入ります。

BtoBサイトの役割は、営業に関することだけではありません。株主やステークホルダーに向けた経営情報を開示する役割、ブランドイメージを構築する役割も担っています。

このように、BtoBサイトはいろいろな役割をあわせもっていますが、目的は主に2つに集約されます。ひとつは、「見込み顧客の獲得と、生涯顧客価値LTVの最大化」であり、もうひとつは、「企業の存在を知ってもらい、信頼関係を構築し、ファンになってもらうこと」です。

見込み客を獲得するBtoBサイトの 制作に求められること

重要なのは、情報発信したい見込み顧客は誰なのかを明確にすることです。対象となるターゲットを決めた上で、そのターゲットの課題に働きかける情報の提供を検討します。

どのような情報が必要になるのかは、ターゲット顧客の購買プロセスや営業フローを整理した上で検討しましょう。実際に営業活動する上で、どの段階でどんな情報が必要になるのか、その活用用途まで落とし込む必要があります。

その上で、見込み客との接点を作り、問い合わせや資料請求につなげるための導線設計を行うことも重要です。その際、情報提供の順番についても考えたほうがよいでしょう。見込み顧客の行動パターンを調べ、各検討プロセスで顧客が必要となる順に情報を提供していくことが求められます。

BtoB製造業のWebサイト制作とBtoCのWebサイト制作の違い

BtoBとBtoCで大きく違う点は、ターゲットが組織か個人かです。BtoB製造業の見込み客は、特定の人物・属性が対象ではありません。購買は複数の人間の承認プロセスを経て決定されます。そのため、「企業が抱える課題やニーズ」に対して、解決策を提供できるサイト設計が望まれます。

企業にはさまざまな部門組織があり、役職や役割によって求める情報は異なります。顧客の役割・立場にあわせて異なるコンテンツの設計が必要です。

また、BtoBビジネスは成約までにかかる時間が長いのも特徴です。BtoCサイトなら、ユーザー心理をついた魅力的なコピー文で、商品・サービスを衝動買いさせることも可能ですが、BtoBはそれがありません。中長期的に有益な情報を提供し続けることで、ユーザーの興味を段階的に高める施策が有効でしょう 。

さらに、BtoCと違い、Webサイトでビジネスが完結することはほぼありません。Webサイトの問い合わせは最終ゴールではなく、その後、実営業との連携が必要になります。オンラインとリアルの両方でビジネスをつなぐことが求められるのです。

BtoBサイトの制作準備で押さえておきたいこと

では、実際にWebサイトを制作するにあたって、どんなことに気を付けて準備にあたればよいのでしょうか? ここでは、制作時のポイントや、おすすめの制作会社についてお話します。

BtoB製造業のWebサイト制作時に気を付けるポイント

BtoB製造業でWebサイトを制作する際、まず注意しなければならないことは、「企業の業態や営業スタイルによってWebサイトに求められる役割が異なる」ということです。企業戦略にそってサイト設計をしていくことが求められます。

コンテンツ設計する際には、自社の強み(USP)や競合他社のサイトのメッセージをよく研究しておくことも重要です。その上で、顧客目線の集客キーワードを考えていきます。

また、顧客の業態や役割・立場によってサイトの訪問目的や収集情報も異なるため、複数の顧客像(ペルソナ)を設定し、各々に対しどこでどんな情報を提供すべきか考えなければなりません。対象となるユーザーがWebサイトでどういう使い方をしているか、実際にサイトにアクセスしてもらい、使い勝手を検証しておくのもよいでしょう。

Webサイトは、顧客獲得以外にもさまざまな目的・用途に対する情報を織り込んでいかなければなりません。どうしても情報過多となってしまい、複雑なサイト構造になりがちです。ユーザーが迷子にならないようUI設計の最適化を図る必要があるでしょう。

BtoB製造業のWebサイト制作に特化した制作会社一覧

では、具体的にホームページ制作を始めるにあたって、どこの制作会社に依頼すればいいのでしょうか?ここでは「どこにお願いしていいのかわからない」という方に向けて、製造業に強いおすすめのホームページ会社をいくつかご紹介します。

・株式会社WEB STAGE(ステージグループ)https://www.w-stage.jp/

引用:株式会社WEB STAGE(ステージグループ)

制作実績が200業種で15,000件以上と、豊富な実績経験がある制作会社です。お客様ごとに専任のWebアドバイザーをつけており、制作から運用までサポートできる体制が整っています。

・株式会社クイックリー https://www.seizo-web.com/

引用:株式会社クイックリー

製造業専門のWeb制作会社です。製造業の現場経験のあるコンサルタントが担当しています。中小体制の企業にフォーカスされており、製造装置や部品・材料などさまざまな製造業で200社以上の実績があります。サイト公開後も1カ月間の無償修正サービスがあります。

・株式会社NCネットワーク https://corporate.nc-net.com/

引用:株式会社NCネットワーク

工場検索エンジン「エミダス」、製造業・技術系Q&Aサイト「技術の森」など各種メディアを運営する会社です。同社が運営する製造業ポータルサイトでホームページを公開できます。専門誌やメルマガでの情報発信も可能です。

・テクノポート株式会社 https://marketing.techport.co.jp/

引用:テクノポート株式会社

製造業を中心とした技術系企業のマーケティング支援を専門に行っており、このモノカクの運営会社です。サイトの企画・制作から、Web集客・運用コンサルティングまで一貫して対応しています。技術用語の分かる技術系ライターを揃えており、技術系コンテンツの実績が豊富です。

Webサイト制作会社を選ぶポイントには、会社の実績、料金やサービス内容、サポート体制などいろいろあるでしょう。ここで、ご紹介したおすすめのホームページ制作会社は、そうした視点に加え、なによりも重要な「顧客目線のコンテンツ制作」に視点をあてて選出しています。

まとめ

BtoB製造業におけるWebサイトの目的として、見込み顧客の獲得や認知・信頼関係の構築があります。見込み顧客の獲得において、Webサイトの役割は、「顧客が製品・サービスの購入を比較検討する際、必要な情報を提供できること」です。

情報発信したい見込み顧客像を明確化し、ターゲットの課題に働きかける情報の提供を検討しましょう。見込み客との接触から問い合わせまでの導線を作り、顧客の検討プロセスに沿って情報を提供していくことが求められます。

業態や営業スタイルによって求められるWebサイトは異なるため、企業戦略にそってサイト設計を行いましょう。その上で、自社の強みを伝えるメッセージや、顧客目線の集客キーワードの検討が必要です。

そうした顧客が求める情報や自社の強みをより第三者目線で伝えるために、外部のWeb制作会社を活用するのも有効な手段となります。自社と類似の業種での知見・実績が豊富な制作会社とタッグを組むのがおすすめです。

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BtoB製造業におけるリスティング広告

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はBtoB製造業におけるリスティング広告について、活用方法や分析ツールについて紹介します。

本記事では、BtoB製造業においてリスティング広告を検討する方に向けて、広告の手法や注意点、事例などを解説します。リスティング広告はWeb広告の中でも比較的取り組みやすいものなので、「Web広告に興味はあるけどまだ着手できていない」という方にもおすすめです。

リスティング広告の概要

リスティング広告とは、Web広告のひとつで、ユーザが検索するキーワードにあわせて検索結果の画面上に広告を出すものです。検索連動型広告ともいいます。検索画面上の一番上か一番下にテキストで表示されます。

リスティング広告の種類

代表的なものは、検索エンジンのGoogleとYahooの2種類です。これ以外にもいくつかありますが、まずはこの2つを押さえておけばよいでしょう。なお、Google/Yahooでは、検索パートナーとして連携している他社のものも利用可能です。

リスティング広告の効果

リスティング広告では、能動的に情報収集している顕在層に働きかけることができます。少額予算から始められ、比較的短期で成果をあげやすいのが特徴です。地域や曜日・時間帯、ターゲットの関心事など細かいセグメントに絞って配信できます。

リスティング広告の手法

リスティング広告は、比較的手軽に始められるのでゼロから自社で運用することも可能です。ここでは、自社で運用する際の始め方や費用、設定項目についてさらっと説明します。

自社ではなく、代理店に依頼するやり方もあります。どういう場合、代理店に向いているのか、代理店を選ぶ際のポイントについてもお話します。

リスティング広告の始め方

リスティング広告を自社で始めるには、まずGoogle/Yahooプラットフォームのアカウントを開設する必要があります。アカウントの登録は無料。登録すると広告管理ツールにアクセスできます。

管理ツールの使い方は、GoogleとYahooで少し異なりますが、基本設定項目は同じです。ターゲットユーザが情報収集すると想定される検索キーワードと、それに対して出稿する広告文を管理ツール上で設定すれば始められます。

必要な情報を管理ツールにセットすると、Google/Yahoo側がその広告に対し、掲載のポリシーを遵守しているかを審査します。承認がおりるとすぐに広告を配信できます。早ければ設定したその日のうちに配信が可能です。

リスティング広告の費用

リスティング広告はクリック課金方式です。クリックされなければ費用は発生しません。費用はクリック単価×クリック数で算出されます。1クリックあたりの相場は10円~数千円です。クリック単価は入札制で決まるため、人気度/競合の多さで変動します。

ターゲットの選定

BtoB商材の場合、商談化までの道のりが長く、複数の人間の意思決定を経てビジネスが成立することが多い傾向にあります。ターゲットは意思決定のどの段階の、誰に向けてのものかをよく検討したほうがよいでしょう。

Webでの情報収集は、意思決定プロセスの前段である場合が多く、それにあわせたターゲティングが有効といえます。また、リスティング広告の場合、実際に検討している顕在層を対象にすると成果につながりやすいといわれています。

キーワードの選定

リスティング広告のキーワードは、ターゲットのニーズを考えて選定しましょう。例えば、産業用ロボットの導入を検討している担当者は、「産業用ロボット 導入事例」のようなキーワードで情報収集している可能性がありますので、こうしたキーワードを管理ツールで設定するとよいでしょう。

なお、キーワードによっては、ターゲットでない人に広告が配信されるので注意が必要です。その場合、無関係の人間がクリックし、余計な広告費が発生してしまいます。

よくある失敗として、顕在層をターゲットにしているのに潜在層のキーワードを設定してしまうとうことがあげられます。例えば、先ほどの産業用ロボットの場合、「産業用ロボット 用途」というキーワードがあてはまるでしょう。こうしたキーワードでは、漠然と興味がある、これからこの分野を勉強したい潜在層が多く含まれているかもしれません。

代理店の存在

リスティング広告は他のWeb広告に比べて容易に始めやすく初心者でもとっつきやすいと言われています。一方、広告の専門知識は必要で、運用経験がないとなかなか成果があがらないことも多いです。社内に知見が全くない場合、代理店への委託であれば短期で成果があがりやすいでしょう。

代理店の場合、事業領域の知識が浅く、的外れなキーワードや広告文となってしまうこともあります。どのターゲットを狙いたいか、どんなニーズがあるかを担当者とすり合わせておきましょう。また、代理店を検討するときは、関連テーマでどの程度運用経験があるかを事前に確認しておくとよいでしょう。

なお、代理店に依頼する場合の運用手数料は、広告費の10~20%程度が相場です。広告の出稿費用の規模によって手数料が変動することもあるので注意しましょう。

リスティング広告の事例

ここでは、リスティング広告の活用事例を紹介します。

リスティング広告のよいところは、検索することで他社の広告が見えることです。キーワードの候補が決まったら、そのキーワードを実際に検索窓に打ち込んでみましょう。どんな企業がどのように広告を出しているかを実際に確認できます。

例えば、「産業用ロボット 導入事例」というキーワードで検索すると、ロボットのシステムや部品を手掛けるメーカーの広告が上部に表示されます。


実際に他社の広告と、自社のキーワードや広告文を比較してみるのもよいでしょう。リスティング広告では、検索キーワードと広告文の関連性の高さや、ランディングページの利用のしやすさ、広告文との親和性がよいと上位に表示されます。特にターゲットユーザがドンピシャで検索するワードに対して常に上位に表示される他社広告はよく研究することをおすすめします。

まとめ

リスティング広告は、少額から始められて、ニーズが顕在化した情報収集中の顧客に有効な広告です。BtoB製造業におけるキーワードは業界特化の用語が多いため、関係者による情報収集が多く、見込み客が含まれている可能性が高いです。対面では直接アプローチできない未知の顕在層を効率よくアプローチできます。

広告はGoogle/Yahooのプラットフォームを活用し、無料で開設できます。管理ツールにキーワードと広告文を設定すれば配信できるので、経験が浅くても自社で運用しやすいです。検索キーワードと広告文、ランディングページとの親和性が高い内容を検討しましょう。なによりターゲットのニーズに寄り添った質の高いコンテンツが必要です。

テクノポートは製造業の現場経験・工業知識をもつ技術ライターがコンテンツの執筆を対応いたします。ぜひご相談ください。

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ヒートマップ分析で何がわかる?主な活用方法やおすすめのツールを紹介

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はWebのヒートマップ分析について、活用方法や分析ツールについて取り上げたいと思います。

ヒートマップとは、多次元データの関係性を色で表現し、わかりやすくするものです。Webにおけるヒートマップはページのどこが見られているか、どこをクリックしたかをビジュアルで表現しています。そうすることで、サイトの問題点や、ユーザの隠れたニーズを視覚的に解析できるようになります。

とはいえ、ヒートマップ分析はさまざまな種類があり、具体的にどう見ればよいのか迷ってしまうかもしれません。分析結果をどう読み取って、どこをどう改善すればよいのかわからない方も少なくないでしょう。そこで本記事では、一般的に使うヒートマップ分析を取り上げ、指標の見方や改善ポイントについて解説します。後半では、おすすめの分析ツールについても簡単にご紹介します。

ヒートマップ分析の主な種類

一般的に使われている基本的なヒートマップ分析は以下の3つです。

  • アテンションヒートマップ
  • スクロールヒートマップ
  • クリックヒートマップ

アテンションヒートマップは、ページのどこがどのくらい見られているか、その熟読率を可視化。それに対し、スクロールヒートマップは読了率をみます。すなわち、ユーザがページのどこまでを見て、どこで離脱しているかがわかるのです。クリックヒートマップは、文字通り、どこがよくクリックされているかを確認できます。

上記3つ以外に、ユーザのデバイス操作の動きから興味関心を分析できるものとして以下の2つがあります。

  • マウスフローヒートマップ
  • タッチアクションヒートマップ

マウスフローヒートマップは、マウスの動きが分かるもの。これはPCからのアクセスのみ有効です。これに対して、タッチアクションヒートマップは、スマートフォンやタブレットに向けたものです。タップやスワイプユーザのタッチパネルの操作を可視化します。

ヒートマップ分析でわかること

ここでは、基本的な3タイプのヒートマップについて、ヒートマップで読み取れる指標や分析のチェックポイント、実際にどう改善に導いていけばよいかについて解説します。

アテンションヒートマップ

アテンションヒートマップの指標は熟読率です。マウスなどの動きからどれだけその箇所を読んでいるかを可視化できます。分析のポイントとして、以下があげられます。

  • 注目してほしいところが想定通り熟読されているか?
  • 想定外によく読まれているところはあるか?

分析結果に対する具体的な改善策としては、例えば、次のようなものがあげられます。

【注目してほしいところが読まれていない場合】

ユーザがわかりにくいと考えて読まれていない可能性があります。その場合、図表で視覚化したり、コピー文を変えたりして、反応があがるかを試してみましょう。

【想定外によく読まれている場合】

その部分がユーザの隠れたニーズである可能性があります。サイト上部の目立つところに再配置することで全体の反応が高くなる可能性があります。

スクロールヒートマップ

スクロールヒートマップの指標は離脱率です。何%のユーザがどこまで画面をスクロールしているかを確認します。分析のポイントとして以下があげられます。

  • どこで大幅に離脱しているか?
  • サイトのコンバージョン地点とその周辺の離脱率はどうか?

改善策の例として、以下があげられます。

【大幅に離脱している個所がある場合】

サイトに書かれている情報が、ユーザの求めるものと違っているかもしれません。ターゲットユーザの求めるコンテンツは何かを洗い出し、可能性のある情報に差し替えるといいでしょう。

なお、大幅に離脱している地点の近くに重たい画像がある場合、画像の読み込み速度の問題で離脱に繋がっている可能性もあります。画像を軽くするか、思い切って削除してしまうのも手です。

【サイトのコンバージョン地点に至らずに離脱してしまっている場合】

この場合、コンバージョンに至るまでの説明が長すぎる可能性があります。コンバージョンの位置を上にあげるだけでも効果がでる場合があるので、試してみることをおすすめします。

クリックヒートマップ

クリックヒートマップはクリック率を可視化します。どのくらいユーザがその場所をクリックしているかを可視化できます。分析のポイントとしては、以下です。

  • コンバージョンにつながる場所が想定通りクリックされているか?
  • リンクがないのにクリックされている箇所はどこか?

改善策の例として以下のようなものがあります。

【想定通りクリックされていない場合】

ユーザがクリックしたいと思わない、興味がもてない可能性があります。これはコピー文を変えるだけでもユーザの態度変容を促すことができるので、文章を変えてみるのもおすすめです。

また、UIがわかりにくく、クリック箇所だと思われずに素通りされている可能性もあります。その場合は、ボタンの色を変えるだけでも改善するので試してみるとよいです。

【リンクがないのにクリックされている場合】

例えば、そこに画像がある場合、画像が小さく読みづらいため拡大しようとしている可能性があります。その場合、画像を見やすく改善するか、拡大画像を設けるとよいです。

ヒートマップを使ってサイトの改善をする際は、このようにヒートマップの分析のポイントを見て、なぜそうなったかを考え仮説をたてることが重要です。そうすることで改善策の糸口がつかめます。

ヒートマップは組み合わせて改善せよ

ヒートマップは、単独で指標を見るだけでなく組み合わせて使うとより効果的です。ここでは、2つ例をあげて説明します。

  • アテンションヒートマップ×スクロールヒートマップの例

アテンションヒートマップの熟読率が高いにも関わらず、スクロールヒートマップで離脱が多いことがあります。これは、ユーザがその箇所でなんらかの混乱を起こして結果的に熟読率が高くなっているリスクを示しています。コンテンツがわかりにくい可能性があるので差し替えたほうがよいでしょう。

  • スクロールヒートマップ×クリックヒートマップの例

コールトゥアクション(CTA)となる登録フォームの近傍をスクロールヒートマップみると、離脱が多くなっていることがあります。これは2つの可能性があります。ひとつは、想定通りコンバージョンしている場合です。この場合は改善の必要はありません。

もうひとつは、登録せず離脱している場合です。これをクリックヒートマップのクリック状況で確認できます。離脱している場合はクリックが少なくなっています。ユーザは登録を迷っているので、迷いを解消する内容を盛り込んでみるとよいでしょう。

主なヒートマップ分析ツール

ここでは、無料で使える代表的なヒートマップ分析ツールをいくつか紹介いたします。

シンプルでわかりやすい操作性であり、初めてでも迷うことなく操作できます。無料プランでもサポートを受けられるので初心者でも使いやすいツールです。

URL数無制限で30万PVまで無料で使えます。入力フォームにサイトのURLを登録するだけで利用可能です(ただし、計測タグの埋め込みは必要)。有料版としてUser Insightsがあります。

国内導入実績No.1のツールで、世界で20万社が利用しています。サイト全体のアクセス解析とヒートマップ分析を一元管理できます。

アクセス解析も兼ね備えているツールです。A/BテストやEFO機能も搭載しています。AIによるレポーティング、流入チャネル分析が可能です。マウスフローヒートマップが搭載されているため PCユーザの解析はおすすめです。

コンテンツ単位のROIも可視化できるツールです。コンバージョンへの貢献を金額で見ることができるので、ECサイトなどで有効活用できます。

まとめ

ヒートマップ分析は、サイトの改善やユーザの隠れたニーズを探るのに役立つちます。「どこがよく見られていて」「どこで離脱されているのか」を視覚的に表現しているので初めての人にもわかりやすいです。

ヒートマップ分析にはさまざまな種類があります。「どこをどう改善したいのか」、複数のヒートマップを組み合わせて分析するとよいでしょう。ヒートマップツールはさまざまなものがあり、無料で使えるものも多いので目的に合わせてまずはトライアルで導入してみることをおすすめします。

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Web広告のタイプ別費用相場と外注費

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はWeb広告の費用相場や外注費をテーマに取り上げたいと思います。Web広告は、低額予算からはじめられることや、即効性があること、細かいターゲッティングができることなど様々なメリットがあります。特に予算がかけられない中小企業にとっては、むしろ大手よりも活用しやすいものといえるでしょう。

ただし、初めるにあたってハードルが高いのも事実です。Web広告の専門知識がなかったり、担当者をアサインするリソースがなかったりといった課題にぶち当たります。広告運用を外注するにしても、「なににどのくらいの費用をかけたらよいのか」と悩む担当者も少なくないかもしれません。

そこで、本記事では、広告の主なタイプ別の費用感と外注費について解説いたします。

タイプ別のWeb広告費

Web広告は、広告の種類と課金形態で費用が異なります。広告の種類としては、純広告、検索広告、動画広告、SNS広告などがあり、課金形態では、インプレッションや、クリックが発生する都度課金される方式や、PVや掲載を保証するものなどさまざまです。

主な広告の種類と課金形態について表にまとめておきます。

広告の種類 課金形態 価格相場
純広告 期間保証型課金
インプレッション課金
期間保証型では、数万円~/週、インプレッション型では10円~/1000回
検索(リスティング)広告 クリック課金 1クリックあたり10円~数千円
動画広告 再生課金
インプレッション課金
クリック課金
各々単価10円~数百円程度
アドネットワーク

(ディスプレイ)広告

クリック課金 1クリックあたり10円~数百円程度
SNS広告 インプレッション課金
クリック課金
1クリック or 1000インプレッションあたり10円~数百円程度
メール広告 配信課金 1配信あたり5円~数十円程度

表1 主な広告の種類と課金形態

広告タイプによって、費用のかかり方が大きく異なります。以下に、主な広告タイプについて解説いたします。

純広告

純広告は特定のメディアが提供する広告枠を買い取るものです。課金方式には、広告配信期間を保証する「期間保証型」と広告の表示回数で課金する「インプレッション型」があります。金額相場は、期間保証型では、数万円~/週、インプレッション型では10円~/1000回となります。

検索(リスティング)広告

検索広告は、Googleなどの検索エンジンでユーザが検索するキーワードをトリガーに広告出稿されるものです。1クリックあたりいくらの費用がかかる「クリック単価制」となっており、広告が表示されただけでは費用は発生しないのが特徴です。検索キーワードのクリック単価は入札制となっており、人気度/競合度によって10円~数千円と幅があります。

動画広告

動画の再生途中などに流れる広告です。バナー広告のようにYouTubeサイトの右側に置かれるものもあります。動画広告の課金方式は、再生数、インプレッション、クリックの3種類です。再生数の場合、1回再生されるごとに課金となりますが、一定秒数経過しないと課金対象にならない仕組みです。例えばYouTubeの場合、30秒以上再生すると課金されます。

費用相場は、プラットフォームによりますが、おおむね10円~数百円程度です。

アドネットワーク(ディスプレイ)広告

アドネットワーク広告は、複数の広告媒体(Webサイト、SNS等)を集め広告配信ネットワークを作り、まとめて配信する広告手法です。多くの媒体で効率的に広告が出せる反面、意図していないサイトに広告が表示されることもあります。検索広告同様、クリック単価制で、金額相場は、1クリックあたり10円~数百円程度です。

SNS広告

SNS広告は、Twitter、Facebook、InstagramやTikTokの投稿フィードに表示するなどの方法で配信する広告です。SNSページの右側の固定場所に出るバナー広告タイプや動画広告など様々な手法があります。課金方式は、主にクリック課金型とインプレッション課金型の2種類。費用相場は1クリック、あるいは1000回表示で 10円~数百円程度になります。

メール広告

電子メールで広告を配信する手法です。メルマガのコンテンツ内に広告文を挿入するタイプと、1通丸ごと広告を配信するタイプの2種類あります。1通いくらの配信課金型で、1通あたりの費用は5円~数十円程度です。

Web広告の費用対効果

Web広告はたくさんの手法があり、選ぶ媒体によっても費用対効果は大きく異なります。

  • ターゲットがどこにいて、どんな関心を持っているのか、
  • ターゲットがどの検討ステージにいるか

狙いたいターゲットの状態に合わせて、どの媒体でどういう広告を打つか決めることで費用対効果が高くなります。ここでは、ターゲットが顕在層か、潜在層にわけて一般的に効果的な手法をご紹介します。

顕在層に働きかけ行動喚起したい場合

購入する商品を探している顕在層にアプローチしたい場合、一般的に効果が高いのが検索広告です。ユーザが商品を探す際に使うキーワードを対象に、購入を促すランディングページを用意することで費用対効果が高くなります。また、関連する商品コンテンツの閲覧者に対するリターゲティング広告も有効です。

潜在層に働きかけ行動喚起したい場合

商品を知らない、漠然とした関心しかない潜在層に働きかけたい場合、検索広告は効果的ではありません。まずターゲットの悩みや関心を掘り起こして気づいてもらうことが必要になります。

その場合、ターゲットがよく見るサイトやSNSが何かを事前に仮説をたてておくことが重要です。媒体がある特定のメディアなら、そのメディアへの純広告が有効になります。例えば、自動車関係の技術者や自動運転に興味がある人に対しては、彼らが常日頃読むであろう自動車エレクトロニクスやAI関係の専門メディアへの広告が有効となります。

一方、対象のニーズが漠然としている場合、記事広告などで問題提起するのも費用対効果が高い施策となります。メディアが不特定多数なら、アドネットワーク広告で関連するWebサイトに広告出稿するのも有効です。

Web広告を外注する場合の費用・効果

Web広告は専門知識が必要であり、運用工数もかかってしまいます。広告の最新手法やトレンドを常に押さえておく必要があり、自社内で運用が難しい場合もあるでしょう。そうした状況では、社内で検討するよりも、外部の広告会社に委託する方が短期で成果をあげやすいといえます。

外部に委託するメリットは、運用の手間が省けるだけではありません。広告会社は多くの企業を運用した実績があります。広告のノウハウもあり、最新のトレンドもおさえています。そのため、自社内で運用するよりも費用対効果が高くなる可能性があるのです。広告の運用だけでなく、コンテンツの制作までまとめて依頼できるのも魅力のひとつでしょう。

Web広告の外注費用

では、具体的にWeb広告を外注する場合、どのくらい費用が必要になるのでしょうか?Web広告では、個々の広告の運用代行だけを行うケースと、制作物まで含め企画から運用進行管理まで総合的に行う場合があります。

個々の運用代行の場合、費用相場は、広告費の20%が多いです。ただし、業者や広告運用金額によって異なり、中には10%程度で運用したり、定額制のサービスを実施したりしているところもあります。

コンテンツ制作物まで含め依頼する場合、別途コピーライティングやコーディング、バナー画像制作料金が上乗せされます。こうした制作物は、内容や業者によってまちまちです。例えば広告ランディングページの場合、10万円~数十万程度かかるでしょう。

外注に依頼する際、注意したいこと

一方、Web広告を外注することのデメリットもあります。ひとつは、外注頼みになってしまい自社にノウハウがたまらないことです。そのため、ずっと外注にお願いし続けなければならず、長期的にみると費用対効果が悪くなる可能性があります。

中には料金をかさ上げするために、不必要な提案を盛り込んでくる業者もいるかもしれません。自社にノウハウがないと、そうした提案の要不要を見極めることも困難になります。

もうひとつは、自社の製品サービス領域に対する専門性の問題です。外注先の中には、自社のビジネス領域について広告運用の実績が少ない企業もあります。その場合、運用担当者が業界や製品サービスへの知識がないことが多々あります。

その場合、適切でない広告クリエイティブで運用されてしまい、費用対効果が下がってしまうリスクがあります。自社のテーマでどの程度実績があるか確認しておくといいでしょう。

まとめ

Web広告は、広告の種類や課金形態としてさまざまなものがあります。効果的に広告を打つには、ターゲットや目的によって使い分ける必要があります。ターゲットの興味関心や検討ステージに合わせて、費用対効果の高い、広告手法・媒体を選ぶ必要があります。

Web広告の浅い企業の場合、自社で運用するには、担当者の専門知識やリソース不足など様々な課題もあります。外注を活用することで、ノウハウや最新トレンドを取り入れることができ、効率的に成果をあげやすくなるでしょう。

一方、外注に丸投げにしてしまうと、かえって費用対効果が悪くなるリスクもあります。運用会社の実績・専門領域をしっかり見た上で、外注任せにせず、自社でもしっかり検証できる体制を構築することが重要です。

The post Web広告のタイプ別費用相場と外注費 first appeared on モノカク.

知らないではすまされない!中小企業に必要なWEBセキュリティ対策

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は「Webのセキュリティ対策」をテーマに取り上げたいと思います。

Webサイトは常にサイバー攻撃の脅威にさらされています。いったん被害をうけてしまうと、その対策に多くの工数や費用が発生してしまいます。そればかりか、個人情報の流出など会社の信用を落とすリスクも高いです。

そして、この問題は大企業だけの話ではありません。むしろ、情報システム部門や専任担当者がいない中小企業や個人事業主のほうが、大きな問題にかもしれません。特にWeb制作に関わる担当者は、実際にこうした問題に真っ先に直面する可能性が高いでしょう。

そこで本記事では、そうした背景を受け、Web制作関係者が知っておくべきサイバー攻撃の脅威とセキュリティ対策について解説します。

サイバー攻撃の脅威

増大するWebサイトの脆弱性問題

Webサイトの脆弱性の問題が増えています。脆弱性とは、コンピューターのOSやソフトウェアにおけるセキュリティ上の欠陥のことです。プログラムの不具合や設計上のミスによるもので、これが増えることでサイバー攻撃を受けるリスクが高まります。

情報処理推進機構の発表によると、2020年のWebサイトに関する脆弱性の届け出件数は755件です。ここ1,2年で再び増加傾向にあり、2018年の238件から3倍以上となっています。

 

図1 脆弱性の届け出件数の推移(出典:情報処理推進機構)

狙われる中小企業

サイバー攻撃の中で、近年問題が増えてきているのがサプライチェーン攻撃という、中小含むすべての取引関係企業を狙ったものです。中小企業では、大手に比べるとセキュリティ対策が十分でありません。情報システム部門はなく、専任担当者がいない企業も少なくないでしょう。一般的に対策に関するリテラシーが低い傾向にあります。そのため、最終的な狙いは大手でも、サプライチェーンでつながっている中小企業がまず標的にされてしまうのです。

実際、中小企業でも攻撃を受けた企業は多いようです。 デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社が実施した「中小企業のサイバー攻撃対策」に関する実態調査によると、従業員100名以上の中小企業の7割がサイバー攻撃を受けたことがあると回答しています。そのうち4割が「Webサイトが改ざんされた」としており、2割以上が「情報漏洩」の被害を受けたとしています。

WordPressの問題

Web関係で狙われやすいケースとして、中小企業でもよく利用されているWordPressがあげられます。Wordpressはオープンソースのコンテンツマネジメントシステム( CMS) で 利用者が非常に多く、 ターゲットになりやすいといえるでしょう。

WordPress上でも脆弱性が度々発見されています。主な被害として、コンテンツを改ざんされたり、マルウェアに感染し情報流出されたりといったものがあげられます。

サイト立上げ時に設定すべきセキュリティ対策システム

ここでは、Web制作担当者が、新たにサイトを立ち上げる際、対策しておきたいセキュリティシステムについてお話します。

ファイアウォール

ファイアウォールは、サイバー攻撃における ウィルスの侵入を遮断するシステムです。サーバーが提供するサービスを除き、使っていない侵入口(ポート)を塞ぐことで、ウィルスの攻撃から守る役割をもっています。

ファイアウォールの設定は、使用しているWebサーバーの種類によって、やり方が異なります。レンタルサーバーの共用サーバーの場合、運営会社があらかじ め設定してくれていますので、自分で設定する必要はありません。一方、専用サーバーやVPS、クラウドサーバーでは「iptables」というソフトウェアで設定する必要があります。設定する項目は、開閉するポートやプロトコル、アクセスを遮断する特定のIPアドレスです。

IPS(Intrusion Prevention System)

IPSは、不正な通信を監視し、通信を遮断するセキュリティシステムです。ファイアウォールを通過してしまった悪意のあるアクセスを検出します。

IPSが防御するのは、コンピューターのOSやミドルウェア層への攻撃です。例えば、トロイの木馬などの不正プログラムや、Webサイトやサーバーに大量の通信を送り込み、正常なシステム動作を停止させるDoS攻撃を回避できます。

なお、IPS製品には、「ネットワーク型」「ホスト型」「クラウド型」の3タイプあり、監視する役割内容が異なります。導入費用や工数も変わってくるので目的をしっかり定めた上で製品を検討することをおすす めします。

WAF(Web Application Firewall)

WAFは、Webアプリケーションへの脆弱性に対する不正な攻撃から守ります。アクセスのパターンを検知し、通信許可と拒否の判断を行う仕組みです。Webページを不正操作する「クロスサイトスクリプティング」やデータベースを改ざんする「SQLインジェクション」などの不正トラフィックに有効となります。

WordPressの場合、WAFのプラグインが無料で提供されています。また、レンタルサーバー会社の共用サーバーを利用する場合も、標準で装備されていることが多いです。

日ごろから気を付けたいセキュリティ対策

ここでは、Web制作関係者が、業務の中で意識しておきたいセキュリティ対策についてお話します。よく言われていることなので、当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、うっかりすると放置しがちになってしまうこともあるので普段から注意しておくとよ いでしょう。

不要なアプリケーションは削除せよ

使っていないアプリケーション、サービスを残しておかずに削除しておきましょう。例えば、WordPressで フリーで便利に使えるプラグインが多くあるので、ついあれこれ入れてしまうことがあります。しかし実際には使わず放置してしまう。これは、セキュリティ上問題となってしまいます。

悪用されるリスクだけでなく、サイトの表示速度にも影響するので必要ないものは削除しておきましょう。

OS・ソフトウェアは常に最新状態に

サーバーOSやソフトウェアのアップデートは、発見された脆弱性に対するセキュリティパッチが施されていることが多いです。放置しておくと攻撃対象になるので、忘れずに最新版にアップデートしておきましょう。

WordPress の場合、管理画面上で、現在使われているバージョンの情報や更新情報が確認できます。プラグインのアップデートも必要です。管理画面上で通知されるので、サイトの更新がしばらくない場合でも、コマメにチェックすることをおすすめします。

複雑なパスワードを設定せよ

管理者パスワードが容易に推測しやすいものや、他と共通で使いまわすのよくありませんは 。自動生成パスワードで総当たり攻撃するブルートフォースアタックを仕掛けられ、不正ログインされるリスクがあります。

パスワードの問題は、Web関係者に限らずすべての人に当てはまる話ですが、特に管理者用のパスワードが破られると被害が大きくなるので注意しましょう。

まとめ

今の時代 、専門知識がなくても手軽にWeb制作ができる環境が整っています 。そして、クラウド上でさまざま なアプリケーションを利用 できます。しかしながら、それらの中にはサイバー攻撃の対象となる脆弱性が潜んでいるものがたくさんあります。

最近では、中小企業を狙ったサプライチェーン攻撃も増えてきました。中小企業の場合、情報システムに関する知見が社内のどこにもない場合が多いです。Web制作も含め、総務・事務系スタッフがいくつもの業務を兼任して回していることも普通にあるでしょう。

被害を受けてしまってからでは遅いのです。Webを立ち上げる際に、どんなセキュリティシステムを導入すべきなのか、日ごろどんなことに気を付けなければならないのか、最低限の知識でよいので頭にいれておくことをおすすめします。具体的な設定方法などは、ネットに初心者向けの情報がたくさんあるのでチェックしておくとよ いでしょう。

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デジタルマーケティング担当者が押さえておきたい改正個人情報保護法とは?

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、来年施行される改正個人情報保護法について取り上げます。

個人情報保護法は、個人の権利・利益を保護するもので、取り扱い事業者が守るべき義務、違反時の罰則が定められています。海外ではEU一般データ保護規則(GDPR:General Data Protection Regulation)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act)があり、近年個人の権利保護が強化されつつある状況です。

一方、日本は欧米と比べると規制対象が緩い傾向にありますが、方向性は基本的に同じです。国内の個人情報保護法は3年おきに見直されており、今度の改正法は2022年4月に施行されます。

本記事では、この法改正で何が変わるのか、またデジタルマーケティング活動を行う上で、法律がどう影響するのか、主な業務についてポイントをまとめてご紹介します。

2022年、個人情報保護法の改正で何が変わるのか?

今度の法改正で改正される大きなポイントとしては、規制対象の拡大です。従来は5,000件以下のリストを扱う中小事業者は外れていましたが、今回の改正で、全事業者が対象となります。例え数十件のリストでも法律が適用されるようになります。

ルールとして改正される内容は主に以下の5点です。

  1. 漏洩など報告の義務化
  2. 不適正な利用の禁止
  3. 個人情報の第三者提供の制限強化
  4. 海外の第三者への提供時の提供情報の拡充
  5. 仮名加工情報の創設

内容で注目されるポイントとして、3にあげた「個人情報の第三者提供の制限強化」があげられます。強化される部分として2つあります。

ひとつは、本人の事前同意(オプトアウト)の際の手続きが厳格化することです。従来は、同意を取る項目として、以下の4つがありました。

  • 個人情報の第三者提供
  • 提供項目
  • 提供方法
  • 本人が求めに応じ第三者への提供を停止

これが改正後は項目が追加され、「個人情報保護委員会への届け出」が義務として必要になります。

もうひとつは、個人情報の第三者提供を行う際に、本人の同意が必要になる範囲が拡大することです。従来、個人情報の扱いの対象から外れていたCookieや位置情報が個人情報として対象に入る場合があります。いわゆるCookie規制です。

Cookie規制については、欧米の動きにあわせた形になっていますが、Cookieがなんでもかんでも個人情報として規制の対象に入るわけではありません。具体的にどういったものが対象になるのでしょうか?これについては、次の章で広告業務を例としてご説明 します。

ポイント解説!デジタルマーケティングの何が変わるのか?

ここでは、主なデジタルマーケティング業務において、今回の法改正で何が変わるのか、どんなことに気を付けなければならないのか、ポイントを絞ってお伝えします。

WEB広告

WEB広告における注目すべき改正ポイントは、「Cookie規制の強化」です。先に述べたように、もともと国内ではCookieは個人情報の扱いから外れていました。しかし今回、部分的に規制の対象となり、Cookieレスに向けて進んでいきます。

国内のCookieレスに関する改正法については、個人情報の第三者提供を行う際、本人の同意が必要となる範囲が多少広がる程度でしょう 。例えば自社サイトに訪問した個人のCookie情報を第三者の個人データベースと照合してターゲッティングを行う場合、あらかじめ第三者企業における同意と、自社からの同意の両方が必要となります。

なお、Googleなどの大手ITプラットフォーム提供企業の自主規制の縛りが強いため、影響度はそちらの方が大きそうです。特に3rd party cookie廃止により、高精度なターゲッティング広告ができなくなるリスクがあります。

例えば、他サイトのアクセス履歴と個人情報を照合してターゲッティングすることは厳しくなるかもしれません。Google/YahooやSNS広告など自社サイト上で行う運用広告に対してはよいが、パブリックDMPやDSP広告については影響が大きくなるでしょう。

一部ではあるが、1st party cookieでも制限がかかってきます。例えば一度アクセスしたユーザをリターゲティングしたい場合、期間が経ってしまうと追跡しきれなくなるかもしれません。cookieの有効期間が短くなり、経路が特定しにくくなるためです。

メールマーケティング

先に述べたように、今回の個人情報保護法の改正では、5,000件未満のリストを扱う中小事業者が新たに対象となります。つまり、たとえ数十件のメルマガを配信する場合でも、法律が適用されるのです。それが今回の改正では一番大きいポイントになるでしょう。では、メルマガを配信する際、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか?ここで改めてメールマーケティングに関する法律をおさらいしておきます。メールの場合、個人情報保護法と特定電子メール法の2種類の法律があり、遵守すべき法律は以下のとおりです 。

  • 個人情報は本人の同意なしで第三者に開示できない
  • 個人情報の利用目的の記載が必要
  • 配信前に承諾が必要
  • 送信者の問い合わせ先や配信解除する方法を明記する義務がある
  • メルマガ受信者の登録情報(※)を記録しておく必要がある
    ※登録日や登録時にユーザが提供した情報

例えば、「配信前の承諾」について、よくある疑問として、「名刺交換した相手にメルマガを送っていいのか」というものがあります。基本的に営業活動やイベントなどを通じて名刺交換した相手のメールアドレスを配信対象にすることは可能です。ただし、本人が配信解除できるようにしておく義務がありますので注意しましょう。

顧客管理

通常、企業では、複数の異なるシステムが点在しています。メルマガなどの登録情報、イベントやセミナーへの申し込み、技術問い合わせなど、別々のツールで管理されていて、一元情報になっていない場合もあります。各々の管理ツールで同じユーザなのに登録時期の違いなどによって情報が食い違ってしまう可能性も十分に考えられます。

今回の改正では、ユーザから、自身の個人情報の開示要求や削除依頼を受けた場合、企業側が提示しなければならない情報、対応義務の範囲が拡大します。

この場合、ツールごとに問い合わせのあったユーザの情報を照会し、各々削除・修正しなければなりません。組織も担当者も異なるケースがあるため連携も大変です。こうした情報は一元管理しておき、煩雑にならないように体制を整備しておくことを推奨します。

今後のデジタルマーケティングの潮流

個人情報保護の法規制は今後も強化される方向性は変わらないでしょう。事業者横断のトラッキングはますます困難な時代になってくると考えられます。大手ITプラットフォームベンダーはこの1,2年で3rd party cookieへの対応を停止する動きを見せています。Googleも予定を1年遅らせてはいるものの、2023年には対応を辞めるとしています。

もちろん、ベンダー各社は個人を特定しない広告技術の開発を強化してくるでしょう。AI技術がもっと進化することで、今よりも効果的なWeb広告が打てるようになる技術が開発されるかもしれません。ですが、基本的には3rd party cookieの停止によって個人を追跡する高精度のターゲッティング広告は難しくなると考えて、今後の施策を検討したほうがよ いでしょう。

Web広告の場合、どうしてもプラットフォームを提供するベンダーの施策・方針に依存します。SNSにしても同じです。各ベンダーの動向をウォッチしていくことも必要ですが、自社でコントロールできることは何かを改めて考えてみたほうがよいかもしれません。

高精度のターゲッティングでニーズの高い顧客をピンポイントで狙い撃ちできなくなってくると、そうした顧客が情報を求めて自ら来訪したくなるコンテンツが重要になります。これからは、本当の意味でコンテンツが勝負となる時代が到来するでしょう。

それに伴い、集客に対する考え方も徐々に変化するでしょう。その場限りの集客施策より、集客した後の関係構築に力点を置き、生涯価値(LTV)をあげる方法を真剣に考えるフェーズに移っていくのかもしれません。

まとめ

日本の個人情報保護法は、欧米のGDPRやCCPAと同じ方向性で、近年個人の権利保護が強化されつつあります。2022年4月から施行される改正法では、規制対象が全事業者に拡大され、報告の義務化などの規制が強化されます。

改正法では、個人情報の第三者提供の制限範囲が拡大され、個人情報と第三者情報の紐づけを行う際のルールが厳格化されます。この際のポイントとして新たに浮上したキーワードが「Cookie規制」です。これは、世界的な規制の動きを受けたITプラットフォームベンダーが先行して対応しており、Web広告やメールマーケティングの業務に影響がでます。

こうした規制の動きを受け、従来行えていた事業者横断のトラッキングが厳しくなってくるでしょう。高精度なターゲッティングありきの集客施策に頼るのではなく、コンテンツを強化し、集客後の顧客生涯価値をあげるマーケティング施策の検討がより求められるでしょう。

コロナ時代のオンライン展示会フォローを考察!失敗しないためにやるべきこととは?

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、コロナ禍をきっかけに様変わりする展示会について取り上げます。

コロナ禍の影響で、展示会出展が制限され、オンラインへの切り替え/併用の動きが進みつつあります。まだまだ戸惑う声は多いですが、この1年試行錯誤され、オンライン配信も徐々に慣れてきた方が多いようです。

オンライン開催により場所の制約が外れたことで、「従来よりも集客できている」という声もちらほら聞こえます。特に、遠方から気軽に参加者できるメリットは大きいです。「Afterコロナでもオンライン展示会を継続してほしい」という声は大きくなりつつあるようです。一方、「リストだけは増えたけど、どうフォローしていいのかわからない」と悩む企業も多いという話を聞きます。

そこで本記事では、改めて展示会のフォローの方法をふりかえり、課題と改善ポイントをまとめたいと思います。

展示会フォローの課題

ではなぜ、「リストが増えているのに」企業は悩んでいるのでしょうか?それには大きく2つの理由が考えられます。

ひとつは、オンライン展示会では、メールアドレスや企業名だけのデータばかりがたくさん集まってしまい、肝心のニーズが拾えないことです。リアルで出展する企業が減り、仮にブースを構えたとしてもパネル展示が多く、展示デモの機会が減っています。会場で実際に目で見る環境が失われたことで、製品サービスに対するリアルなニーズが獲得しにくくなっています。その結果、会話したこともない客のリストばかり集まってしまうのです。

もうひとつは、イベント後のフォロー体制が組織的に整備されていないことです。これは従来からの課題でしたが、顔の見えない相手が増えたことにより、問題がより大きくなったといえます。

展示会フォローでやるべきこと

ここでは、一般的な企業が実施している展示会フォローを紹介し、活用にあたって注意すべきポイントをお伝えします。

見積もり・問い合わせ対応

展示会では、ブースで興味をもった来場者からサンプルや見積書の依頼を受ける機会がたくさんあります。当然の話ですが、依頼されたサンプル・見積書の送付などは速やかに行うべきです。そして、これはどの企業でも行っていることですが、withコロナ時代ならではの注意点があります。

それは、対面コミュニケーションが制限されていることです。従来ならば、営業がサンプルを直接持参し、お客様からニーズをヒアリングし、関係構築を図ることができていました。しかし、今は直接訪問が難しくなっているため、顧客との接点がとりにくい状況です。

こういうとき、オンライン商談の活用を積極的に行いたいところです。ただ、サンプルを届けるという名目がたたないこともあり、展示会が終わって熱も冷めた状態でアポイントを取ってもうまくいかないかもしれません。

こういう場合は、できるだけ前もって組織的に準備しておくといいでしょう。そうすることで、例えば担当営業でなくても、対応者が依頼時にオンライン商談の予約を促すことも可能です。タイムリーなフォローにつながるでしょう。

お礼メールの送付

展示会終了後に、来場者へのお礼を実施している企業は多いです。対応の早い企業だと会期後翌日には送付されます。このメール送付の際、注意したいポイントが2つあります。それはタイミングとコンテンツです。

まず、タイミング。できるだけ早い方がよいのですが、問題はどうやって早くリスト化するかです。通常、外部業者に依頼すると時間がかかることが多いです。来場規模にもよりますが、会期中に社内で電子化する方法を考えておくことをおすすめします。今は、スマホで写真をとって管理できるツールも豊富にあります。無料でcsvにダウンロードし、ハウスリストにすぐ移植できるものもあるので便利です。

メールのコンテンツも重要です。情報を詰め込み過ぎず、シンプルに伝えるのがいいでしょう。単なる挨拶メールや売り込みだけの内容は避けた方がよいです。来場者の目的は情報収集なので、会場のナマの声を提供すると喜ばれます。とはいえスピード重視なので、制作に時間をかけられません。会期前に大枠の内容を決めておき、会場情報は部分的に使えばよいでしょう。

展示会特設サイト

出展内容の関連資料や動画をコンテンツにしてWEB上に特設サイトを設ける企業もここ最近増えています。カタログやリーフレットをダウンロードできるようにし、行動履歴をもとにフォローしている企業もあります。

このとき気を付けたいのは、来場者の流入経路です。流入経路は、オンラインとオフラインの2パターンあります。配布チラシなどの紙媒体は足跡が追いにくいため、QRコードやサイトのURL、検索キーワードを併記しておくといいでしょう。ただ、個人情報の獲得のために、過度に登録を促すと敬遠されるのでバランスには注意したいものです。

マイページなど会員サイトを活用して、顧客限定の情報を発信するのもよい方法です。マイページというと、コストがかかるイメージがありますが、現在はワードプレスのプラグインや、クラウドサービス活用で予算がなくても設置できます。コンテンツ制作リソースがなければ、顧客限定で見せている営業用の情報をデジタル化する手も有効です。

展示会フォローにおける注意点

従来のリアル会場での展示会の場合、来場者との接点は会話が中心でした。一方、オンライン展示会では、来場者のWEBサイト上の行動を閲覧履歴から追うことになります。

そのため、オンライン展示会を行う場合、従来以上に組織的行動とルール決めが重要になります。これは、リアルと併用する場合も同様。会場のリアルとネット上において、どういう行動をとる顧客を誰が・どうフォローするかを事前に決めておく必要があります。

そうすることで、担当営業でなくてもあらかじめ決めたルールをもとに、適確かつ迅速な営業フォローが可能になるのです。

一番重要なのは継続すること

展示会の目的は、「新規見込み客」を増やし、売上を拡大させることにあります。普段会えない見込み客にアプローチする場として、展示会はとても有効です。しかしながら、展示会の開催時期と顧客のニーズが発生する時期が一致するとは限りません。漠然とした興味はあったとしても、それが購買行動につながることはむしろ少ないといえるでしょう。

それにもかかわらず、一度話を聞いて、具体的なニーズが聞けないとその場で終わってしまう企業が多いようです。営業担当者からみると、いつ実需が期待できるのかわからない顧客をフォローするよりも、足元の需要が見えている顕在客に目が向いてしまうのは当然の話でしょう。しかしそこで接点が切れてしまうと、顧客のニーズが顕在化した際に気が付かず、せっかくの機会がムダになってしまいます。

だからこそ、一度つないだ接点を切らさずに、関係性を維持することが重要なのです。新製品の情報やお役立ち情報をデジタルの手段を使って発信し続けることで、ゆるく関係性を維持できます。できるだけ、顧客の関心テーマに沿ったパーソナライズコンテンツを発信しておくといいでしょう。そうすることで「顧客がその気になった」ときにタイムリーな提案ができるようになります。

まとめ

コロナ時代で展示会でもオンライン開催の動きが進んでいます。場所の制約が外れたことで利便性が増し、集客に寄与している一方、リアルなニーズの把握が難しい顔の見えない来場者が増えています。

こうした環境の変化を踏まえ、来場者へのフォローのやり方もデジタル接客をうまく活用することが求められます。フォローの手段としては、問い合わせ対応やお礼メール、フォロー用の特設サイトなどがあります。どれも基本的には従来のリアル展示会でも実施してきたことですが、従来に比べ、より組織的かつルール化されたフォロー施策が必要になっています。

展示会開催は手段であり、目的は営業活動の起点となる新しい接点の創出です。つながりを維持するための継続コミュニケーションがなにより重要になります。

テクノポートはこうしたデジタルコミュニケーション施策に関する様々なサポート活動を行っています。ぜひご相談ください。

製造業がアカウントベースドマーケティングに取り組むべき理由とは?

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、近年注目されつつあるアカウントベースドマーケティングについて取り上げます。

アカウントベースドマーケティング(ABM)とは?

アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、B2B(BtoB)企業における代表的なマーケティング戦略のひとつです。あらかじめターゲットとなる企業を定義し、各々の企業にあった最適なアプローチをかけるもので、日本では古くから浸透している手法といえます。

一方、Webマーケティングの世界では、比較的新しい考え方です。従来のWebマーケティングでは、企業というより個人単位でフォローするアプローチが主体でした。しかし近年、企業情報連携ツールの高度化で、ABMがWebマーケティングでも注目されるようになっています。

製造業が今、取り組むべき理由

それでは、なぜ今ABMが注目されているのでしょうか?果たしてABMは製造業で取り組むべき施策なのでしょうか?

AMBが注目を集めた背景には、Webマーケティング、特にマーケティングオートメーション(MA)ツール活用におけるビジネス案件化での課題があると考えられます。ここ数年、日本でもMAツールを導入し、Webサイトに誘致した見込み客をツール活用してフォローする企業が増えてきました。

一方、ツールを導入してみたものの、「何も変わってない」という話もよく聞きます。例えば、獲得したリードが営業側で放置されてしまったり、一度はアプローチするものの、その後のコミュニケーションが継続しなかったりするものです。Web上の顧客行動は追えても、デジタルからアナログに活動が移行してから顧客行動が可視化できなくなることもよくあります。

なぜ、Web上の見込み客は放置されてしまうのでしょうか?これはそもそもターゲッティングが営業視点になっていないことが大きな原因です。「どこの馬のホネかわからない」企業、担当者にもかかわらず、Webに頻繁にアクセスしているという理由だけで「ホットリード」となってしまうことがあります。顧客になりえたとしても、ECサイトでディストリビューター(卸売業者)がフォローするような小口案件や、実験用のトライアルのケースも多いです。当然、営業の食指が動きません。営業サイドの目には、効率的な刈り取りのための仕組みどころか、かえって非効率を助長しているように映るわけです。

これらの問題は、営業とマーケティングの溝のような問題と言われていますが、要は営業視点でフォローすべき顧客が定義されていないことで起きている問題ともいえます。つまり、あらかじめターゲットを営業視点で定義してフォローすれば解決できるのです。ABMはまさにその解決策となる手法だといえます。

ABMで検討すべきこと

ここでは、Webを活用したABMで検討しておきたいことを3ステップでご紹介します。

  • Step1:ターゲットを定義する
  • Step2:顧客データを名寄せする
  • Step3:顧客の行動を管理する

Step1:ターゲットを定義する

ABMで初めにやるべきことは、自社でターゲットとしたい「企業」、「人」、「ステータス」の定義です。ここで重要なのは、「営業側と事前に意見整合しておく」ことです。

まず「企業」については、自社のセールス対象となる顧客がWebでフォローすべき対象としてよいと思いますが、営業の方針によっては、対面だけで充分なものもあるかもしれません。一般的には、営業のマンパワーが不足していて非対面のサポートを営業側が必要としているかどうかの観点で選出しておくとよいとされています。

次に、「人」について定義すべきこととは、どういう部門・役割にいる人なのかという点です。これは、自社製品・サービスの選定にどういう部門が関わるのか、決定権は誰がもっているのかの視点が必要になります。

最後の「ステータス」は、購買プロセスにおけるターゲットの現在の段階を指します。つまり、情報収集段階なのか比較検討中なのか、はたまたほぼ決定しているかを定義しておくといいでしょう。

Step2:顧客データを名寄せする

ターゲットを決めたら次に、自社の顧客データ(ハウスリスト)のデータをきれいにし、名寄せを行った後で、必要な情報を付与します。社内で保有している顧客データは、ユーザー自身がWebサイトで登録した情報や、古い名刺情報などが混在しています。そのため、表記ゆれやデータの抜けなどが激しいです。M&Aなどで社名が変更になっていることも多々あります。

データの問題はそれだけではありません。例えば、同一人物が重複して登録されていたり、会社や部門単位でひとつのアドレスを使っていたりする場合もあります。

顧客データが何千件、何万件と大量に存在する場合、それをマニュアルで解決するのに膨大な時間がかかってしまいます。情報は日々変わっていくので、一度だけ整理すればよい話ではなく、定期的に更新する必要があります。こうした作業を効率よく行うには、「名寄せツール」や外部の専門業者への委託が必要です。

なお、外部業者に委託する場合、顧客データのボリュームを考慮して依頼するといいでしょう。なぜなら、料金は『基本料金+データ件数×1件当たりの単価』で決まるからです。仮に1件あたりの単価が数円単位でも、データ件数が数万件になると費用がかさんでしまいます。

予算を抑えたい場合は、全部ではなく絞って依頼することをおすすめします。例えば、何年も前に登録されたままアクセス履歴が全くないデータは依頼対象から外すという選択もありです。

Step3:顧客の行動を管理する

顧客データが整備されたら、後は日々ユーザーのWeb行動をチェックし、管理します。ユーザーがどう行動すると「ホット」なのか、どの状態になったらアプローチするのか、事前の定義に沿って活動します。

こうしたユーザーフォローに関する定義は、事前に営業と整合しておく必要があります。ただし、単にフォローするかどうかを決めておくだけでは不十分です。BtoB製造業では、1回のアプローチで商談化するものは少なく、ビジネスが成立するまで、ある程度長い期間がかかります。そのため、営業に引き渡した後も、見込み客の足跡を共有できる仕組みづくりが必要です。営業が連絡後、どうなったかわからなくなると成果の可視化ができず、組織的なフォローが行えなくなるからです。

例えば、営業フォローの結果、まだ検討段階に入ってない客はFtoFでフォローするよりWeb 活用した方が効率的かもしれません。また、マーケティングとセールスの相互フォローも必要になってきます。

従来、マーケティング部隊が育成した見込み客を営業がフォローするという図式がありました。一方、実際の客側の行動としては、対面と非対面の両方から同時進行で情報収集しているケースが多いです。そのため相互でフォローし合うことがより成果につながるのです。

実際に、「誰が」「どう」フォローするかについては、ターゲットの優先度に合わせて、事前にチャネルと方法論を決めておいた方がいいでしょう。その上で、コンタクトした結果をWebマーケティング側と共有し情報管理しておくのがベストです。

コンテンツで気を付けるべきポイント

ここまでで、ABMで検討すべきことを3ステップでお伝えしました。ターゲットや顧客情報管理はABMを行う上で大切なことです。しかし、それ以上に重要な肝となることがあります。それはコンテンツです。

コンテンツが顧客目線で作られていない場合、ターゲットをWebサイトに誘致し、行動を促すことはできません。典型的な悪い例としてあげられるのが、単なる自社商品の紹介だけをうたったもの。既に取引があり、その製品をピンポイントで探している顧客にはよいですが、その製品の存在を知らない、興味もない相手にとって必要な情報にはなりえません。

では、ターゲットを行動に促すコンテンツとはどんなものでしょうか?一般的には、ターゲットが「いま」抱えている課題やニーズが自社製品・サービスで解決できるコンテンツが望ましいと言われています。その最強のコンテンツが「事例解決型コンテンツ」です。

ただし、ひとくちに「事例解決型」といっても、制作するのはそう簡単ではありません。というのは、こうしたWebマーケティングのターゲットにしたいのは、新しい業界や応用用途の開拓だったり、新製品の拡販だったりするので、そもそも事例がないことが多いのです。こういうときは、インセンティブを付けて、テストマーケティングに付き合ってくれる会社を探すところから始めるといいでしょう。あるいは、仮説のもとに架空の事例を作るという手段もあります。

ABMは中小企業に向いているのか?

ABMのメリットとして、セールスの効率化がありますが、一方で、コンテンツ制作や顧客管理に膨大なリソース・費用がかかるのも事実です。ターゲットが明確でない場合、かえって無駄なフォローが増えることになってしまいます。

では、リソースが少なく、予算がかけられない中小企業にWebを活用したABMは向いていないのでしょうか?もし、現在の営業部隊のリソースで、顧客フォローが十分ならば、導入しなくてもいいかもしれません。しかしながら、リソース不足で営業活動に課題を抱えている中小企業には、有効な手法です。

対面営業の場合、見込み客に24時間365日フォローすることはできませんので、いつ顧客が検討し始めるのか、あたりをつけてフォローすることになります。顧客との関係性が構築途上であったり、営業リソースが不足していると、顧客の検討タイミングにタイミングよくアプローチするのは難しいでしょう。一方、Webの場合、顧客が欲するコンテンツさえ仕込んであれば、顧客の情報収集タイミングに合わせて、アプローチできます。

また、Webを活用したABMは、特定のキーアカウント向けでなく、未開拓の業種全体を攻略することも可能です。プログラマティックABMという1対多のアプローチ手法が有効です。担当者一人でもテクノロジーの力で、数百数千のアカウントを自動的にターゲッティング、パーソナライズが可能になります。

まとめ

アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、あらかじめターゲットとなる企業を定義し、各々の企業に合った最適なアプローチをかけるものです。営業視点でフォローすべき顧客をあらかじめ定義しておくため、従来MAツールを活用したWebマーケティングの課題だった営業連携上の課題が改善されます。

Webを活用したABMでは、まずターゲットを定義し、顧客データを整備して連携に必要な情報を付与します。セールスに渡す見込み客については、「誰が」「どう」フォローするか、ターゲットの優先度に合わせて、チャネルと方法論を決めておくのがよい方法です。その上で、コンタクトした結果をWebマーケティング側と共有し顧客の行動を管理しておくのがおすすめです。

テクノポートは製造業の「デジタルマーケティング」を導入・定着化していくための支援を行っています。ぜひご相談ください。

B2B製造業は活用すべき?Google広告のススメ

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、Web広告と、その代表選手でもある「Google広告」について取り上げます。

昨今、どんな企業でもWebサイトを活用した見込み客の獲得に力を入れています。リレーションのある少数の顧客に対してのルート営業を主軸としていたB2B製造業でも例外ではありません。コロナ禍で非対面の営業スタイルが浸透したことや、環境の変化に備えて新しい市場、顧客を開拓する必要性が出たことで、

「自社製品をWEBサイトで紹介し、新たな見込み客を集めたい」

としてデジタルマーケティングの体制強化を図る企業も多いようです。実際、ウェビナーや動画コンテンツの活用を増やしたり、自社ブログやオウンドメディアを立ち上げたりするB2B企業がこの1-2年で一気に加速しています。

見込み客が集まらない

「未知の見込み客」へのアプローチは容易ではありません。新しいデジタルコンテンツが日々量産され、世の中にあふれている中、潜在顧客に気づいてもらうのは難しいでしょう。見込み客が集まらないと悩んでいる企業は多く、特に中小企業では顕著になっています。

中小企業の場合、もともとコンテンツマーケティングや広告宣伝にかけられる予算が少なく、専任の担当者がいないケースも珍しくありません。限られた予算の中でメディア広告を実施しても効果が得られない、効果が見えないことが多々あります。

今回は、限られたリソース・予算しかない中小企業でも有効なオンラインで未知の見込み客に働きかける方法について言及したいと思います。

未知の顧客に働きかける方法

オンラインで未知の見込み客に働きかける方法は、大きく2種類あります。ひとつはSEO対策、もうひとつはWeb広告です。

SEO対策

SEO対策は、ネット検索経由で情報収集をする未知の顧客にアプローチする方法です。ターゲットユーザは、「検索キーワード」にちなんだテーマに関心があって、情報収集しています。彼らが検索するキーワードからニーズを読み取って、そのニーズに即したコンテンツを提供することで、興味関心のあるユーザをサイトに誘導します。

この方法はニーズが顕在化したユーザの獲得に有効です。しかし、自社サイトが検索エンジンの上位に表示されなければ、多くののユーザを集客できません。サイト立上げから効果をあげるまでに時間がかかるのが難点です。また、Googleアルゴリズムの理解など専門知見が必要になります。

Web広告

一方、Web広告は、ネット上の各種媒体に広告を出稿するものです。広告媒体として、出版社が提供するオンラインメディアや、Google、Yahooなどの検索エンジン、Facebook、TwitterなどのSNSなどがあります。

かつては、B2B製造業の場合、専門メディアへのバナー広告やPR記事が主流でした。しかし、ここ数年、GoogleやYahooが提供する広告出稿サービスやSNS広告の普及が進んでいます。クリック課金型で費用対効果が見えやすく、少額予算でも始められるのが特徴です。

従来、こうしたクリック課金型の広告は、広告代理店、運用代行業者が行うことが一般的でした。しかし、最近ではAIの高度化などで専門知識がなくてもツールを使えるようになったため、企業の担当者が社内で運用するケースが増えています。

今回取り上げるGoogle広告も、代表的な広告出稿サービスのひとつです。

Google広告とは?

Google広告は、Googleが提供するサービスです。Google AdSenseというサイト運営者向けの広告配信サービスから、広告を世界中のWebサイトに表示させることができます。クリック課金型の広告で、リンクのクリックによって費用が発生します。

Google広告の費用はオークション形式で決まります。そのため、競合と広告の品質で掲載の優先度が変わります。広告は全部で5種類。検索連動型広告、ディスプレイ広告、ショッピング広告、動画広告、アプリ広告です。

B2B製造業で主に使われる広告は以下の3種類です。

  • 検索連動型広告(リスティング広告)
  • ディスプレイ広告
  • 動画広告

それぞれ、簡単に紹介します。

検索連動型広告(リスティング広告)

検索エンジンでユーザが検索するキーワードに関連する広告を検索結果の画面に表示するものです。広告は、検索窓のすぐ下か一番下に掲載されます。

能動的に情報収集しているユーザに対して表示されるので、目的やニーズが顕在化したターゲット層へのアプローチに適しています。また、ターゲットをさらに絞り込むことも可能です。地域や曜日、時間帯、ターゲットの興味関心などで絞り込みできます。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、Googleディスプレイネットワーク(GDN)と呼ばれています。Googleと提携するWebサイトやアプリに配信される広告のことです。提携サイトのバナー枠で配信されます。静止画像、動画、テキスト形式で配信できます。

Google提携サイトは非常に多く、広い範囲のユーザに訴求できます。漠然としたニーズをもつ潜在層へのアプローチにも有効です。非常に詳細なターゲット設定が可能で、地域、年齢、性別はもちろん、家族構成や世帯年収、興味関心分野、購買意欲の高さ、サイトの閲覧履歴などから細かく指定できます。一度自社サイトに来訪したユーザに対してリマーケティングできるのもディスプレイ広告の特長です。

動画広告

YouTubeに掲載される広告です。「インストリーム」「ディスカバリー」「バンパー」「アウトストリーム」「マストヘッド」の5タイプあり、掲載場所や時間、課金方式が異なります。

YouTube広告は広告の目的によって配信すべきタイプが異なります。ブランディングや認知度アップに向いているのは、動画の中で再生されるインストリーム広告やバンパー広告です。一方、商品の比較検討や購買促進には、YouTube内の検索結果や関連動画の横に表示されるディスカバリー広告が向いています。

Google広告の活用事例

具体的にどんな広告が出稿されているのか、活用事例を紹介します。

B2B製造業におけるキーワードは、業界特化の用語が多く、基本、一般の個人が検索することはほとんどありません。そのワードで検索されている時点で、ほぼ関係者による情報収集ということになります。それが見込み客の可能性も高いです。つまり、その検索ワードに対して検索連動型広告を出稿することで、具体的に情報収集している顕在化した「未知の見込み客」に効率よくアプローチできます。

例えば、「協働ロボット」というキーワードで検索すると、以下のようにロボットメーカーや、部品メーカーの広告が上位にズラリと並びます。

検索連動型広告でも競合が多いキーワードだと、自社の広告を上位に表示させるために工夫が必要となります。Google広告はオークション形式ですが、単に入札単価をあげれば広告が上位に表示されるわけではありません。検索キーワードと広告文がどれだけ関連性が高いかや、リンク先のランディングページの利用のしやすさ、広告文との親和性なども影響します。

どのキーワードで広告を出稿するかは、Googleが提供している「キーワードプランナー」というツールで調査してから決めるといいでしょう。検索ボリュームや入札単価の範囲、競合がどれだけ多いかなどを調べることができます。

まとめ

Webサイトで未知の見込み客を集める方法として、Web広告は有効な手段です。Google広告は代表的なWeb広告のひとつです。広告は全部で5種類ありますが、B2Bでは、検索連動型広告、ディスプレイ広告、動画広告がよく使われます。

中でも、少額から始められて、ニーズが顕在化した情報収集中の顧客に有効な広告が検索連動型広告です。B2B製造業におけるキーワードは、見込み客による可能性が高いので、効率よくアプローチできます。

Google広告はオークション形式ですが、単に入札単価をあげても広告が上位に表示されるわけではありません。検索キーワードと広告文、ランディングページとの親和性や使い勝手が影響します。ターゲットのニーズに寄り添った質の高いコンテンツが必要です。

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コンテンツマーケティングのネタの探し方

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、「コンテンツマーケティング」における現場担当者のよくある悩みについて取り上げました。

オウンドメディアやブログの担当者が日々頭を抱えるのが「コンテンツのネタ探し」です。

「コンテンツの質」がサイトの価値を決めるといっても過言ではないため、ネタ集めは重要な位置づけにあります。しかしながら、読者の悩みに刺さるコンテンツを量産し続けるのは容易なことではありません。外部のライターに執筆を依頼するにしても、ネタ出しの部分まで一任してしまうと、目的・意図から外れた内容になってしまい、成果をあげることが難しくなります。

B2B製造業における「ネタ探し」の課題

コンテンツのネタ探しは、B2CでもB2Bでも大きな課題ですが、B2Bのほうが、ハードルが高いかもしれません。B2B製造業では、オウンドメディアのターゲット層として顧客企業の技術者を想定している企業が多いです。しかしながら、以下のような課題があります。

顧客の生の声を聴く機会がない

B2Bの場合、顧客企業との接点があったとしても、実際に顔をつきあわせて話ができる人間は限られています。現場の開発エンジニアと直接会話できる機会はなかなかありません。また、開発状況はクローズドなので、リレーションが薄い顧客がどのような課題を抱えているのか、今何に関心をもっているのかを把握することはとても難しいでしょう。

部門間の情報共有/連携が不足しがち

コンテンツマーケティングは、主に広報宣伝やWeb関係の部署に在籍する人間が担当しています。こうした部署では、そもそもあまり顧客との直接のやりとりがありません。縦割り組織の弊害で、顧客と直接接する営業部門との連携がうまくいっていないケースも多く、情報が共有されないこともあります。

もちろん、こうした問題に対して組織の垣根を取り払い、横断的な体制を構築して問題解決に取り組めている企業もあります。しかしながら、こうした取り組みを実現するには、複数の組織の協力体制が必要です。各部門の理解を得るまでに時間もかかるかもしれませんが、中長期で計画を立てて実現させましょう。

そこで今回は、顧客との接点が少ない、社内協力が得にくい場合でも比較的有効性が高いネタ探しのやり方をご紹介します。

ネタ探しの方法5選

客先エンジニアのニーズは、直接ヒアリングができなくても、Webや社内に蓄積するデータを活用すれば間接的に情報収集できます。ここでは、継続して回せるネタ探しのやり方を5つ紹介します。

キーワードを分析する

BtoB製造業に関連するキーワードは、特殊な単語が多く、一般の方はあまり使いません。つまり、顧客を含めた業界人が、実際にその単語を使って情報収集していると考えます。そのため、自社のWebサイトに来訪するユーザの検索キーワードからSEOコンテンツを作ると、ニーズに刺さりやすいコンテンツができます。

キーワードの情報は、アクセス解析ツールやGoogleが提供するsearch consoleで調べられます。キーワードは、何百、何千とありすべてをチェックするのは難しいため、ボリュームの大きいビッグワードに目がいきがちです。しかし、上位ワードは社名や、誰でも検索する共通の単語ばかりなので、コンテンツマーケティングのネタ探しの参考にはならないかもしれません。

ネタ収集には上位よりもむしろテールを見ることが有効です。テールのキーワードには、いくつかの単語を組み合わせた複合ワードや、ニッチな単語が含まれていることがあります。これらはユーザがピンポイントでその情報を探していると考えられます。検索ボリュームが少なくても、次のアクションにつなげられる確率があると考えてよいでしょう     。

FAQ情報をチェックする

顧客からの問い合わせや意見からコンテンツを作るのも有効です。問い合わせには、顧客が抱える課題やニーズが詰まっています。それらに基づいたコンテンツは、同じ悩みをかかえるユーザによって貴重な情報源です。

顧客の声を拾うコミュニティサイトや質問を募るコーナーを設置するなど、定期的に情報が入ってくるような仕掛けを作るのもよいでしょう。ニーズ収集からコンテンツ制作までを業務フローに組み込むことで、スムーズなサイクルの構築が可能です。

ただし、商材や社内リソースの問題でこうした取り組みを行うことが難しいケースもあるかもしれません。自社での情報収集が難しい場合は、外部のQAサイトを活用するのもひとつの手だと考えます。

製造業向けのサイトとしては「技術の森」が有名です。

引用:https://www.nc-net.or.jp/mori/

このサイトは年間7,000万人が利用する国内最大級のQ&Aサイト【OKWAVEコニュニティー】と連携しており、幅広いテーマに関する質問が寄せられています。検索窓から関連キーワードを入れることにより、どのような質問があるのか 確認できます。例えば、「ロボット 制御」と検索すると、以下のような情報が閲覧できます。

Google Scholarを活用する

コンテンツのネタは、日ごろのニュースや学術論文、特許などから情報を得ることができます。このうち誰もが注目する情報はメディアで取り上げられますが、ニッチな領域はあまりニュースにはなりません。自社に関連するニッチな領域をネタにすることで、濃い潜在層に対してアプローチできるのでおすすめです。

とはいえ、情報量は膨大であり、自社に関係するものを定期的に効率よく入手したいと思う人も多いでしょう。そこでおすすめなのが、Google Scholarでキーワードのアラートを活用するやり方です。

引用:https://scholar.google.com/

Google Scholarは、学術論文や関連書籍、特許、法律関係の情報をキーワードで簡単に全文検索できます。キーワードはアラートを作成できるので、新しい論文が追加されると、自動的にメールで通知をしてくれるので効率のよい情報収集が可能です。

ソーシャルリスニング

B2B製造業では、秘匿性の高い情報を扱うこと多い傾向にあります。WebやSNSで情報発信する内容は公開できる情報だけに限定されてしまいます。そのため、技術者が本当に知りたい情報は、ネットで探すことは難しいでしょう。

しかしながら最近は、徐々にクローズドな情報も見られるように変化しています 。関係者が個人的にSNSで情報発信や情報交換を積極的に行っているためです。開発中の情報が表にでることはありませんが、どのような話題が興味をもたれているのかの傾向を分析できます。ソーシャルリスニングは足元のトレンドをつかむには有効な手段です。

認知喚起にSNSを活用する企業も多いため、どのようなコンテンツが拡散されやすいのかを調査しておくのもよいでしょう。ツールなどを使って、効率的にリサーチすることをおすすめします。

アンケートを実施

最近では、専門家へのヒアリングや、アンケート調査を手軽に実施できるサービスも増えています。これらは有料にはなりますが、効率的に一次情報を取得できます。ここでは代表的な2社のサービスを紹介します。

ビザスク

引用:https://service.visasq.com/

ビザスクは、さまざまなビジネス領域の専門家に1時間からのスポットコンサルを提供するサービスです。登録されている専門アドバイザーは10万人以上で、うち7割は現職に従事されています。キーワード検索でアドバイザーを探すことができ、電話や対面で相談できます。

イプロスリサーチ

引用:https://marketing.ipros.jp/service/ad/research/

イプロスリサーチは、日本最大級のものづくり分野のB2Bデータベースサイトとして知られるイプロスが運営するアンケート調査のサービスです。イプロス会員の中から任意の業種・職種・役職・エリアで絞り込めます。ネットリサーチなので、短期調査が可能です。

まとめ

B2B製造業におけるコンテンツマーケティングのネタ探しは困難ですが、Webや各種ツールを活用することで効率的に情報収集ができます。日ごろからルーチンワークとして収集する習慣をつけておくとよいでしょう。気になったネタはエクセルなどでリスト化しておき、優先順位付けを行っておけば計画的にコンテンツの量産ができます。

テクノポートは製造業の現場経験・工業知識をもつ技術ライターがコンテンツの執筆を対応いたします。ぜひご相談ください。

UIデザインが光る製造業のWebサイトを紹介

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、「WEBサイトのデザイン」について取り上げます。企業イメージを一瞬で決定づけてしまうWEBサイト。どんなサイトにすればいいのでしょうか?テクノロジーの進化やデザインの流行をどこまで取り入れればいいのか迷う方も少なくないのではと考えます。

記事では、製造業のUIデザインとして参考にしたいサイトをご紹介します。

UIデザインの重要性

製造業のWEBサイトは、「企業の顔」となる存在です。単に製品情報を並べておくだけの場ではなく、いろいろな目的・役割のもとにつくられています。主なものとして以下があげられます。

  • 製品や技術の認知度を上げて興味をもってもらう
  • 企業のブランドイメージを確立し、信頼性を高め、企業としてのメッセージを発信する
  • 製品を検討してもらいセールスにつなげる
  • 製品を購入しているお客様に関連情報を提供し、顧客満足度をあげる

WEBサイトのデザインは、上記であげたサイトの目的、役割にそってユーザーが求める情報を適切に、わかりやすく伝えるためのものです。単純に見た目を美しくするのではなく、ユーザビリティを向上させる、ユーザーフレンドリーなデザインが求められます。

こうした役割をもと、製造業のWEBサイトで「良いデザイン」とされる条件はどのようなものがあるでしょうか?ここでは、いくつかの共通するポイントを5点ほどあげておきます。

  • Webサイトに無駄な動きがないデザイン
  • ユーザーが直感的に操作できるデザイン
  • ユーザーを迷わせない導線設計、ナビゲーション、カテゴライズ
  • 統一感があり、共通のメッセージ性を感じさせるデザイン
  • 製品や企業イメージを連想させるデザイン”

つまり、製造業のWEBサイトのデザインは、サイトを訪れるユーザーが使いやすく、最短で目的の情報にたどり着きやすくためのサポートとしての要素が大きいのです。

見た目の美しさで、人を惹きつけることも必要ですが、ユーザビリティを損なうデザインは求められていません。あくまでユーザーのことを第一に考えた設計になっていることが重要なのです。

参考にしたい製造業サイト5選

ここでは、UIデザインで参考になるサイトを5つご紹介します。

原田産業株式会社

引用:https://www.haradacorp.co.jp/

グローバルの総合商社である原田産業株式会社は、造船・海洋事業、エレクトロニクス、日用品の製造まで、幅広く事業を手掛けています。製品ジャンルの数が非常に多いですが、シンプルな導線設計で情報にたどり着きやすいです。事業は大きく6テーマにカテゴライズされ、トップページから目的の事業まで3クリックでたどり着けるようになっています。各テーマに沿って体系的に情報が整理されており、わかりやすいです。全体イメージは、青みを取り入れ色調を抑えた写真画像と、明朝系のフォントを使用。落ち着きと信頼感を演出しています。

株式会社ミナミサワ

引用:http://www.minamisawa.co.jp/

株式会社ミナミサワはトイレの自動水栓の機器を手掛けるメーカーです。サイト全体としては、色使いとスペースの取り方のバランスがとてもよい構成となっています。ブルーグリーンを基調とした色使いが、トイレというより、インテリアを見ているような感覚を起こさせます。

導線もわかりやすく、初めての訪問でも感覚的に目的の場所に進めます。また、製品リストの表示にカードデザインを使っており、スッキリまとまっていて見やすい構成です。マウスオーバー時の切り替わる画像の色使いもよく、訪問者が迷わずにサクサクと進めます。

株式会社オガワスプリング

引用:http://ogawaspring.co.jp/

株式会社オガワスプリングはサスペンション用スプリングの開発・製造を手掛けています。同社のサイトは全体がすっきりしていて、スペースのバランスがよくとても見やすいレイアウトです。ダークグリーンとグレーの2色のカラーの色使いがよく、高性能・高品質の技術力の高さとマッチしています。同社は、製品であるバネを、メインビジュアルや、サイト各所にアクセントとして配置していますが、それがサイト全体の統一感につながっています。メインビジュアルの動きのあるバネは印象的で、技術力の高さの演出に一役買っています。また、トップへのスクロールのバネの絵も面白いです。

黒木テック工業株式会社

引用:http://www.kurokitec.com/

黒木テック工業は、遊園施設の乗り物の製造・設置を手掛けています。乗物製作では日本唯一の専業メーカーです。同社は製造業ですが、遊園地ということもあり、遊びたくなるようなワクワクする楽しいデザインとなっています。

しかしながら、華美な装飾はなく、サクサク動き、各種情報にもたどり着きやすい構成です。いたるところに従業員の顔がみえる写真素材を使っており、親しみやすく雰囲気をかもしだしています。

ふくべ鍛冶

引用:https://fukubekaji.jp/

ふくべ鍛冶は、石川県能登町の老舗鍛冶店。包丁やアウトドアナイフの製造販売を行っています。うほか、ネットで注文できる包丁研ぎの宅配サービスも手掛けています。同社の製品は、日本古来の製鉄法で作られた和鉄を使ったもの。古来の和鉄と鍛冶職人による匠の技を、黒の中の黒を基調としたサイトと縦置き文字でうまく表現しています。フレームの見せ方、ボタンのデザインやマウスオーバー時のエフェクトなど細部に渡って工夫されており、切れ味が鋭いシャープな外観を際立たせる効果を高めています。

まとめ

製造業のWEBサイトは、認知喚起やブランディング、セールス、顧客満足度向上といろいろな目的のもとに制作されています。サイトのデザインは、見た目の美しさというより、ターゲットの操作性向上を補助する役割を担っています。

今回、事例としてあげたサイトは、シンプルでユーザーが直感的に操作でき、導線設計の工夫がこらされています。企業のブランドイメージを伝えるため、ロゴやアクセサリー素材、フォント、スペースや色使いなどの細部にこだわって丁寧に制作されているものばかりです。

テクノポートはWEBサイトの企画、制作、コンサルティングまで一貫して対応いたします。これからWEBサイトのリニューアルをお考えの方は、ぜひご相談ください。

マーケティングオートメーションまとめ

フリーランス・マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、近年国内の製造業での導入が進んでいる「マーケティングオートメーション」を取り上げます。

本記事では、製造業が導入すべき理由や、主なツール、業種別のおすすめなどをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

マーケティングオートメーションとは?

マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動を可視化し、業務を自動化することで効率化を高め生産性を向上させるものです。見込み客(リード)の情報を管理し、コミュニケーションによって興味関心を高め、購買の確度を高めて営業に引き渡す仕組みを構築します。リード情報の管理とコミュニケーションの自動化を行う、さまざまなデジタルツールが増えてきました。

製造業が取り組むべき理由

マーケティングオートメーションが日本で導入されはじめたのは、2010年に入ってからです。当初はIT企業を中心に導入されていましたが、ここ5〜6年の間に製造業でも浸透しつつあります。製造業の間で一般に普及されるようになった背景には、インターネットの普及によって、顧客の購買行動が変化したことがあります。

購買行動の変化としては主に2点。ひとつは情報収集方法です。従来、B2Bの領域では、製品やサービスの情報は、営業から提供されることが一般的でした。当時インターネットはありましたが、掲載されている情報はかなり限定的で最新情報を得ることは困難でした。

しかし、現在は多くの情報をネットで収集できるようになりました。企業のメルマガに登録すれば最新の製品や技術情報を定期的に入手できます。第一線のエンジニアが登壇するセミナーも常時開催されています。開発製品のデモさえ動画で閲覧できるのです。そのため購買担当者は、営業から直接情報をヒアリングする必要が薄れてしまいました。

その結果、営業がアプローチする前に水面下で検討を進めている傾向が強くなっています。CSO Insightsの調査によると、企業の購買担当者の約7割は営業される前に製品の検討段階を終えており、半数がなにを買うか特定しています。つまり、営業が連絡した時には「もうある程度決めてしまっている」ので、巻き返しが難しいのです。

もうひとつの変化は、企業の開発管理体制にあります。製品企画の検討プロセスが複雑になり、マネジメントがトップダウン型からボトムアップ型に切り替わっていることです。

従来のトップダウン型では、キーマンは製品開発の主導する立場でした。営業はキーマンとの関係性を構築できていればその企業の製品開発の情報やニーズをがっちり押さえられていました。

一方、ボトムアップ型の体制では、キーマンは中核製品には深く関与しますが、派生製品の詳細までは目が届きにくい傾向にあります。こうした製品の選定には、営業と日ごろ接点がない実務担当者が担当します。そのためキーマンを押さえているだけでは、ニーズを拾いきれなくなってしまうのです。

マーケティングオートメーションツール

マーケティング業務を自動化するツールの大半は、アメリカが発祥地です。もともとは、営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)システムを補完するものとして開発されました。効率的にセールスを行うためのツールとして、米国内ではかなり早い段階で普及しました。そうした経緯もあり、ツールは米系のITベンダーのものが多くなっています。

一方、高度な専門知識がないと使いこなすのが難しく、有料のベンダーサポートを前提とするものも少なくありません。さらに、言語の壁もあります。現在は、使い勝手のよい国産のMAツールも製品化されています。ツールを使う目的・方針を明確化した上で選定するといいでしょう。

ここでは、B2Bの製造業で実績のある国内外の主なツールを紹介します。

Kairos3 (カイロスマーケティング株式会社)


引用:https://www.kairosmarketing.net/

Kairos3は、初期費用は1万円、月々6,000円から始められる国産マーケティングオートメーションツールです(*)。ユーザーの使い勝手を第一に開発されており、マニュアル一体型で直感的にわかる画面設計になっています。

Webサイトに計測タグを埋め込めば、即日利用も可能です。サポート費用は無料です。手軽に導入でき、すぐに使えるツールとしておすすめです。

*) 2021年4月より月額費用の最低価格が15,000円に価格改定される予定です。

List Finder(株式会社Innovation & Co.)


引用:https://promote.list-finder.jp/

List Finderは、B2Bに特化した国産マーケティングオートメーションツールです。月額3万9,800円からという低価格で、リード管理、メール配信、LP作成、見込み客の評価、営業連携までの基本的機能をカバーしています。シンプルで使いやすい操作性と、無料サポートが魅力です。名刺管理ツールのSanSanやSFDCとの連携もできます。

Salesforce Pardot(株式会社セールスフォース・ドットコム)


引用:https://www.salesforce.com/jp/products/sales-cloud/features/marketing-automation-software/

Salesforce Pardotは、顧客管理(CRM)システムのトップベンダーによるマーケティングオートメーションツールです。営業支援や顧客管理など他ツール間のシームレスな連携とデータの統合管理に強みがあります。

メールなどのマーケティング施策に対する投資対効果(ROI)を分析でき、営業活動全体を評価してプロセスのボトルネックを明らかにするライフサイクルレポートなど、マネジメント機能が充実しています。

HubSpot (ハブスポット社)


引用:https://www.hubspot.jp/

HubSpotは、2005年に開発されたインバウンドマーケティングのプラットフォームです。リード獲得からセールスまでのマーケティングファネルを一括で管理できます。顧客管理ツール「HubSpot CRM」と営業支援ツール「HubSpot Sales Hub」ももっており、ひとつでセールスマーケティングの全プロセスを統合管理できるのが特徴です。リード管理と簡単なメールコミュニケーション機能は無料で使えるので、中小企業でも導入しやすいでしょう。

業種ごとのおすすめツール

見込み客のリアルタイムの行動に合わせ、インテリジェントなコミュニケーションを可能にする高機能で魅力的なツールはたくさんあります。しかし、高度すぎてツールを使いこなせず、費用だけかかってしまうケースも珍しくありません。

例えば、マーケティングオートメーションで営業活動を効率化する上で重要な施策のひとつである「営業の名刺情報のデジタル化」。やり方次第ではかなり重い問題になります。

見込み客(リード)情報は、名刺情報とメルマガ登録データなどのハウスリストを統合管理する必要があります。しかし、このデータ管理の精度を追求すると、かなりの労力とお金がかかってしまいます。

個人が登録するデータは、各自が思い思いに入力しており、正確ではありません。データ統合による重複を除く「名寄せ」が必要です。情報は、漢字、平仮名、カタカナ、ローマ字が混在し、略称が使われることもあります。

例えば、先に挙げたベンダーの名前ひとつとっても、「株式会社セールスフセールスフォース・ドットコム」とフォームに登録せず、「セールスフォース」や「Salesforce」と登録するかもしれません。同じ社名なのに、10種類以上の別の会社が見かけ上存在することもよくあります。

これをひとつの社名に統合する作業は容易なことではありません。組織名の変更はよくありますし、M&Aで社名が変わることさえあります。何十万件のデータをリアルタイムで精査して統合していくのは非現実的です。

営業情報ツールを使う目的・方針を明確化した上で、最適なツール選定をする必要があります。目的は業種・業態によってある程度傾向が分かれてきます。ここでは、業種別にどんなツールがおすすめかを紹介します。

加工業

加工業の場合、多くの顧客を少ないリソースで対応しなければならないケースがあります。常時取引がある顧客はよいかもしれませんが、休眠顧客の掘り起こしはマンパワーが必要です。

こうした休眠顧客に向けた施策としては、メルマガなど定期情報発信で信頼関係を構築することが有効です。また、オウンドメディア上で、顧客が必要なときに資料請求や問い合わせを促すプル型の仕掛けを設ける手段もあります。

実際に実施している企業もたくさんありますので、今の延長上で活用できるでしょう。営業側は顧客の方からのアクションをトリガーとして効率的に業務を行えます。

現在はどのMAツールでもそうした機能はあります。複数商材・拠点での運用や、自社CRMシステムとのデータ連携など、複雑な連携が必要でないなら導入は簡単です。知識がなくても操作できるものを検討するのがいいでしょう。

メーカー

BtoB製造業では、潜在顧客に対する将来の種まきと、既存顧客の刈り取り効率化や顧客満足度の向上でコンテンツマーケティングが行われています。複数の製品、サービス、地域ごとの拠点があり、それらの間で相互連携しなければならないケースも多々あります。営業、マーケティング、開発事業部など関係部門間の調整だけでも一大業務です。

また既存の顧客管理システムとの統合まで視野に入れて検討しなければならないこともあるでしょう。そうなると、高度なデータ統合管理とシステム間連携が必須になります。

業態や規模、目的にもよりますので、一概にひとくくりにして語るのは適切ではないかもしれません。もし上記のような要素がある場合には、営業管理システムとの連携に強く、サポート体制が充実したベンダーを選定することをおすすめします。

商社

商社では、近年個々のコンポーネンツの単品売りから、システム化・パッケージ化したソリューション提案型の営業へと舵を切っている傾向があります。顧客が抱える課題に対して、「モノ」だけでなく付加価値として「機能・サービス」を売らなければならない時代になったと考えられるでしょう。

そうした時代に求められるのは、顧客の潜在ニーズをあらゆる角度から情報収集することです。そして、段階的に確度を上げていくための柔軟なマーケティング・キャンペーン設計が必要になります。

こうした用途では、動的セグメンテーション・キャンペーン機能を兼ね備えたツールがいいでしょう。様々なセグメント、検討プロセスにあるユーザーを動的にセグメンテーションし、働きかけることが有効と考えられます。

例えば、個人情報が取得できていない「未知」のユーザーに対しアプローチすることで、思わぬ潜在ニーズを発見できるかもしれません。また、WEBサイトの回遊行動やイベント参加状況などいろいろな確度から追跡し、自動的に最適なキャンペーンを割り当てられる機能があると効率的にユーザーを次の段階に誘導できます。

まとめ

マーケティングオートメーションツールは、営業業務の効率化や潜在顧客の確度見極めの可視化ツールとして有用です。ただし、導入には時間とお金がかかります。目的とゴールを明確にしない状態で安易にツールを導入してしまうと、本来の目的である業務の効率化につながらず、逆に非効率になってしまうこともあります。

あれもこれもと手を出さず、まずは「なにがやりたいのか」をよく見極めてから検討することをおすすめします。

テクノポートではコンテンツマーケティング支援の一環として、ツール活用のアドバイスも行っています。お気軽にご相談ください。

部材メーカーのコンテンツマーケティング活用事例

フリーランス・マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。

今回は、ここ数年で多くの企業に浸透しつつある「コンテンツマーケティング」を取り上げます。コンテンツマーケティングは、客観的視点で読み手に価値を届けるものですが、業界や事業形態、企業の目的によって、いろいろな見せ方や提供スタイルがあります。

この記事では、部材メーカーにフォーカスして活用事例とともに紹介します。

部材メーカーのコンテンツマーケティング


コンテンツマーケティングは、ターゲットユーザーの興味関心がある情報をコンテンツとして提供するマーケティング手法です。ユーザーは、既に企業の顧客になっている「既存顧客」と、現在顧客ではないが将来顧客になり得る「潜在顧客」の2種類に大きく分けられます。

潜在顧客の中には、企業の存在を全く知らないユーザーもいるでしょう。「どの段階のユーザーにどう働きかけたいのか」は、マーケティングを実施する企業の目的によって変わります。しかし基本的には、ユーザーの認知から育成、購買、顧客となった後のカスタマーサポートまで、ユーザーのカスタマージャーニーに沿ってコンテンツを提供します。

部材メーカーの場合、主な顧客は機器メーカーとなり、購買関係者や開発エンジニアをターゲットユーザーとするところが多いです。こうした人たちをターゲットとするのにはいろいろな目的がありますが、大きく大別すると3つ挙げられます。1つ目はターゲットに知ってもらうこと(認知喚起やブランディング)、2つ目は新たな商談機会を得るために見込み顧客を育成(ナーチャリング)すること、3つ目は既存顧客への顧客満足度を上げるカスタマーサポートです。

コンテンツの内容としては、技術開発に役立つ知識・ノウハウや選定ポイント、試作開発する上で必要なツールの情報などです。このほか、顧客からの問い合わせに基づいたFAQの延長コンテンツを盛り込んでいるところもあります。

これらの情報は、広く一般に公開できない内容も少なくありません。そのため、入口には広く認知喚起を促す基礎的なコンテンツを設置し、ノウハウやツール情報などは登録者を限定して提供しているところが多いです。

コンテンツマーケティングでは、通常、コンテンツの中に購買プロセスの各フェーズにいるターゲットが求める「トリガー」となる記事や動画を用意します。そこには、必ず次に行動してほしいフックコンテンツが設置されています。

多くの部材メーカーでは、ホワイトペーパーや動画、セミナーへの参加、問い合わせをフックコンテンツとしていることが一般的です。また、顧客の声を拾うためにアンケートやプレゼントキャンペーンなどを実施することもあります。取得した情報をコンテンツに反映させることで、ユーザー参加型の仕組みづくりにつなげられるのです。

部材メーカーの活用事例

ここでは、部材メーカーのコンテンツマーケティング活用事例を5つご紹介します。

1. 株式会社村田製作所

引用:https://my.murata.com/ja/home

電子部品メーカー大手の村田製作所では、技術者向けの会員制ポータルサイトを提供しています。登録者限定のコンテンツで、コーポレートサイトに来訪したユーザーを対象に、より付加価値の高いサポートコンテンツを提供する形をとっています。

具体的には、技術者同士で情報交換できる掲示板や、製品や設計支援ツールのお試しができるものです。顧客満足度を上げるカスタマーサポートに重点を置いた内容になっていると考えられるでしょう。

2.ローム株式会社

引用:https://techweb.rohm.co.jp/

電源や半導体などの電子部品を扱うロームでは、電源・電子回路に関するエンジニア向けの情報を提供しています。電源回路の基礎知識や技術トレンド、仕様書の読み方など、開発設計現場の方に必要な情報が詰まったコンテンツです。技術資料、動画、セミナーで登録を促す仕組みになっています。

本サイトはドメインパワーも比較的強く、同社が力を入れている電源、パワー半導体周りのキーワードでは検索上位に表示されています。検索経由でしっかりと流入を稼げていると推測できます。

3.パナック株式会社

引用:http://www.plasticfilm-labo.com/

パナック株式会社は、プラスチックフィルムの加工及び販売を行う企業です。同社の手掛けるプラスチックフィルムは、使われる用途がかなり幅広いため、法人個人問わず広く一般に向けてフィルムの「知って得する」情報を発信しています。

シンプルでわかりやすい言葉が使われており、業務に直接関係ない(知識がない)個人にも伝わりやすいメッセージとなっています。ユーザーからのニーズを拾い、ユーザーと企業をつなぐ「あるといいな/あります」コンテンツを提供しています。

4.山洋電気株式会社

引用:https://techcompass.sanyodenki.com/jp/index.html

山洋電気は、冷却ファンやモータ、電源装置の開発製造企業です。同社は、エンジニア向けに、課題解決のヒントが見つかる事例や教育用コンテンツを掲載しています。また同社の歴史など、会社を知ってもらうブランディング用と思われるコンテンツも発信しています。

フックコンテンツとしては、記事の延長上の事例集のダウンロードや録画ウェビナーがあり、資料のダウンロードやメルマガ、問い合わせへと促しています。

5.ハードロック工業株式会社

引用:https://navi.hardlock.co.jp/

ハードロック工業は、ゆるみ止めねじの開発・製造及び販売を行う企業です。2020年10月よりエンジニア向けの技術情報サイト「ねじ締結技術ナビ」を公開しています。ねじがゆるむ原理や、ゆるみを把握するための評価方法、取り付け方法など、ねじのゆるみと締結に特化した専門技術情報や採用事例が豊富に掲載されています。

工数削減、安全性向上、コストダウンなどのキーワードタグで細かく分類され、エンジニアの目的別に探しやすくなっています。また、評価試験はビジュアルで確認できるよう動画を提供しているのも特徴です。

まとめ

部材メーカーのコンテンツマーケティングは、ブランディング、認知から商談化、既存顧客へのサポートまで幅広い目的で行われています。顧客からの問い合わせに基づいた事例解決型のコンテンツや学習コンテンツが充実しており、ユーザーと企業の接点を深める工夫が随所に施されています。

サイトが複雑化しやすく、運用が難しい側面もありますが、目的を絞ってわかりやすい構成にすることで工数を削減でき、読者にとってもわかりやすい訴求になるでしょう。

テクノポートでは部材メーカーへのコンテンツマーケティング支援をしています。オウンドメディアの運営やWEBサイトの企画制作を検討されている方は、お気軽にお問合せください。